説明

光遮蔽フィルムおよびそれを用いた赤外遮蔽体

【課題】高濃度で金属酸化物粒子を含む水系の塗布液を用いて形成される光学特性に優れる光遮蔽フィルムを提供する。
【解決手段】支持体上に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されてなるユニットを少なくとも1つ有する光遮蔽フィルムであって、該高屈折率層が、
下記一般式(1):


で示される構造単位を分子中に有する、重量平均分子量が1000〜3万の水溶性高分子(1);重量平均分子量が5万以上の水溶性高分子(2);及び金属酸化物粒子を含有することを特徴とする光遮蔽フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光遮蔽フィルムおよびそれを用いた赤外遮蔽体に関する。より詳しくは、本発明は、金属酸化物粒子が良好に分散してなる高屈折率層を有する光遮蔽フィルムおよびそれを用いた赤外遮蔽体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー対策に対する関心の高まりにより、冷房設備にかかる負荷を減らす観点から、建物や車両の窓ガラスに装着させて、太陽光の熱線の透過を遮断する光遮蔽フィルムの要望が高まってきている。
【0003】
光遮蔽フィルムの形成方法としては、主には、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた構成からなる積層膜を、蒸着法、スパッタ法などのドライ製膜法を用いて形成する方法が提案されている。しかし、ドライ製膜法は、形成に用いる真空装置等が大型になり、製造コストが高く、大面積化が困難であり、しかも、基材として耐熱性素材に限定される等の課題を抱えている。
【0004】
上記のような課題を有しているドライ製膜法に代えて、湿式塗布法を用いて光遮蔽フィルムを形成する方法が知られている。
【0005】
例えば、金属酸化物や金属化合物微粒子を含む熱硬化型シリコーン樹脂や紫外線硬化型アクリル樹脂を有機溶媒中に分散させた高屈折率層塗布液を、バーコーターを用いた湿式塗布方式により基材上に塗布して透明積層体を形成する方法(例えば、特許文献1参照)や、ルチル型の酸化チタン、複素環系窒素化合物(例えば、ピリジン)、紫外線硬化型バインダーおよび有機溶剤から構成される高屈折率塗膜形成用組成物を、バーコーターを用いた湿式塗布方式により基材上に塗布して透明積層体を形成する方法(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−110401号公報
【特許文献2】特開2004−123766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示されている方法では、高屈折率層形成用塗布液の媒体が、主には、有機溶剤により形成されているため、高屈折率層形成および乾燥時に、多量の有機溶剤を飛散させることになり、環境上の課題がある。さらに、上記特許文献で開示されている方法では、バインダーとして紫外線硬化型バインダーや熱硬化型バインダーを用いて、高屈折率層を形成した後、紫外線あるいは熱により硬化するため、柔軟性に乏しい塗膜物性となっている。
【0008】
上記事情を勘案して、有機溶剤系ではなく、水系の屈折率形成用塗布液を用いた重層塗布により、製造コストが安く、大面積化が可能であり、柔軟性があり、近赤外反射性に優れ、可視光透過率が高い光遮蔽フィルムおよびその光遮蔽フィルムを設けた赤外遮蔽体もまた考えられる。しかしながら、液の長期保存性とヘイズ、光学特性との両立が十分でなく、実用化には至っていない。
【0009】
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、高濃度で金属酸化物粒子を含む水系の塗布液を用いて形成されうる高屈折率層を有する光遮蔽フィルムを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の他の目的は、近赤外反射性および/または可視光透過性に優れる光遮蔽フィルムを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、上記したような光遮蔽フィルムを用いた赤外遮蔽体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、大量に有機溶媒を用いることなく、水系塗布液を用いる方法でありながら、塗布液として低温環境での増粘性を確保しつつ、生産において問題となる塗布液の分散安定性を向上させることによって、高生産性でかつ、光反射性が高く、光散乱が少ない光遮蔽フィルムについて鋭意研究を行った。その結果、高屈折率層に、重量平均分子量が3万以下の置換基にピコリン酸構造を有する水溶性高分子を用いることによって、金属酸化物粒子の分散性が向上するため、高濃度の金属酸化物粒子を含む水系の塗布液で光遮蔽フィルムを形成できることを知得し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0014】
1.支持体上に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されてなるユニットを少なくとも1つ有する光遮蔽フィルムであって、
該高屈折率層が、
1)下記一般式(1):
【0015】
【化1】

【0016】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子または1価の金属原子を表わし;Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表わし;Rは、水素原子またはメチル基を表わし;Xは、単結合またはカルボニル基を含む2価の連結基を表わし;mは、0〜3の整数である、
で示される構造単位を分子中に有する、重量平均分子量が1000〜3万の水溶性高分子(1);
2)重量平均分子量が5万以上の水溶性高分子(2);および
3)金属酸化物粒子
を含有することを特徴とする光遮蔽フィルム。
【0017】
2.前記水溶性高分子(1)が、側鎖に水酸基(−OH)を有する構造単位またはアミド基を有する構造単位を分子中にさらに有する、上記1.に記載の光遮蔽フィルム。
【0018】
3.前記水溶性高分子(1)における前記一般式(1)で表わされる構造単位の含有比率が3〜80モル%である、上記1.または2.に記載の光遮蔽フィルム。
【0019】
4.近赤外遮蔽フィルムである、上記1.〜3.のいずれかに記載の光遮蔽フィルム。
【0020】
5.上記1.〜4.のいずれかに記載の光遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けてなる、赤外遮蔽体。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、金属酸化物粒子濃度が高い水系の塗布液であっても、凝集を生じることなく、高屈折率層を形成できる。このため、近赤外反射性や可視光透過性に優れた光遮蔽フィルムとそれを用いた赤外遮蔽体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、支持体上に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されてなるユニットを少なくとも1つ有する光遮蔽フィルムであって、
該高屈折率層が、
1)下記一般式(1):
【0023】
【化2】

【0024】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子または1価の金属原子を表わし;Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表わし;Rは、水素原子またはメチル基を表わし;Xは、単結合またはカルボニル基を含む2価の連結基を表わし;mは、0〜3の整数である、
で示される構造単位(以下、単に「構造単位(1)」とも称する)を分子中に有する、重量平均分子量が1000〜3万の水溶性高分子(1)(以下、単に「水溶性高分子(1)」とも称する);
2)重量平均分子量が5万以上の水溶性高分子(2)(以下、単に「水溶性高分子(2)」とも称する);および
3)金属酸化物粒子
を含有することを特徴とする光遮蔽フィルムに関する。本発明は、光遮蔽フィルムを構成する高屈折率層に、特定の構造及び重量平均分子量を有する水溶性高分子(1)を使用することを特徴とする。
【0025】
従来、湿式塗布法により赤外遮蔽フィルムを形成する方法としては、金属酸化物粒子を含む熱硬化型シリコーン樹脂や紫外線硬化型アクリル樹脂を有機溶媒中に分散させた高屈折率層用塗布液を、バーコーターを用いた湿式塗布方式により基材上に塗布して透明積層体を形成する方法;酸化チタン、紫外線硬化型バインダおよび有機溶剤から構成される高屈折率塗膜形成用組成物を、スピンコーターを用いた湿式塗布方式により基材上に塗布して透明積層体を形成する方法;球状ルチル型酸化チタン粒子のメタノール分散スラリーと、メタノールシリカゾルを用いて交互積層する方法、などが報告されていた。しかしながら、上記の製造方法では、形成した膜が硬すぎたり、層間の密着性が不十分で、強く屈曲されると層間剥離がおこるため、作業性が悪いだけでなく赤外遮蔽フィルムのガラスへの接着性が不十分になるという問題があった。
【0026】
これらの問題を解決するために、金属酸化物粒子(例えば、二酸化チタン粒子)を水溶性バインダに混合し、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、バインダである水溶性高分子に金属酸化物粒子を併存させた分散液は、高屈折率層塗布液として安定性が低いという問題があった。また、金属酸化物粒子の層間凝集が起こるため、高屈折率層と低屈折率層との界面やフィルム表面における凹凸が大きくなり、その結果、高屈折率層と低屈折率層との層間剥離が起こり、赤外遮蔽フィルムのガラスへの密着性が不十分になるなどの問題もあった。
【0027】
粒子同士の凝集を少なくするために、金属酸化物粒子の固形分中の金属酸化物(例えば、二酸化チタン)粒子の含有量(添加量)を少なくすることが考えられる。しかし、この場合には、高屈折率層と低屈折層との屈折率差が小さくなり、フィルムの赤外反射率が低下する、あるいは高い赤外反射率を達成するためには、積層数を多くする(フィルム全体の厚みを増加する)必要がある。このため、より高屈折率を実現するためには、塗布液中の金属酸化物粒子の含有量を高めたいという要望があった。
【0028】
一方、水系で重層塗布するために、少量のセット性を有する水溶性高分子を添加する方法が使用されている。このような水溶性高分子としては、重量平均分子量が5万以上のポリビニルアルコール(PVA)や重量平均分子量が10万以上の高分子ゼラチンなどが知られている。しかしながら、上記したような水溶性高分子を添加すると、塗布液中に共存する金属酸化物粒子の分散安定性が低下しやすいという問題があった。この問題を考慮して、より低分子量の、すなわち、重量平均分子量が3万未満の水溶性高分子(例えば、ゼラチン、セルロース、増粘多糖類など)で予め金属酸化物を被覆した後、重量平均分子量が5万以上の水溶性高分子を添加する方法も提案されている。しかしながら、この場合には、分散安定性は若干向上するものの未だ十分ではなく、また、分散液を保存する場合などに凝集が生じることがあり、塗布液の貯蔵安定性に問題があった。
【0029】
これに対して、本発明では、重量平均分子量が3万以下の側鎖(置換基)にピコリン酸構造を有する水溶性高分子(1)を高屈折率層に用いることを特徴とする。このような水溶性高分子(1)を添加すると、塗布液中の金属酸化物粒子の分散性が向上するため、塗布液中の金属酸化物粒子の含有量を増加しても、金属酸化物粒子の凝集がほとんどまたは全く起こらない。
【0030】
ここで、水溶性高分子(1)を添加することにより、塗布液中の金属酸化物粒子の分散性が向上するメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。なお、本発明は、下記推測によって限定されるものではない。水溶性高分子(1)は、その構造単位内にピコリン酸構造を有するが、このピコリン酸構造内のカルボニル基(−COOHの−C(=O)−部分)や複素環の窒素原子(ピリジン環内の窒素原子)が金属酸化物粒子の金属部分に配位するため、水溶性高分子(1)は金属酸化物粒子の表面に強固に吸着して、金属酸化物粒子表面を保護する。このような金属酸化物粒子表面保護により、金属酸化物粒子同士による凝集が抑制される(すなわち、水溶性高分子(1)は、金属酸化物粒子の凝集抑制剤として作用する)。
【0031】
このため、塗布液に水溶性高分子(1)を添加することによって、塗布液中の金属酸化物粒子濃度を増加しても、塗布液中で金属酸化物粒子は凝集することなく、良好な分散性を発揮し、また、分散安定性(塗布液の長期保存安定性)にも優れる。加えて、高屈折率層と低屈折率層との界面やフィルム表面における凹凸を低減させることができ、高屈折率層と低屈折率層との層間剥離が起こりにくくヘイズに優れ、かつガラス等との密着性に優れた赤外遮蔽フィルムを得ることができる。
【0032】
また、高屈折率層中の金属酸化物粒子含有量を増加できるため、高屈折率層と低屈折層との屈折率差を広げることができる。これにより、積層数を減少しても、高屈折率差を実現することができる。ゆえに、光遮蔽フィルムの薄膜化が達成できる。また、水溶性高分子(1)による金属酸化物粒子表面保護による金属酸化物粒子同士による凝集の抑制や金属酸化物粒子含有量の増加によって、得られる高屈折率層は、低ヘイズで、かつ近赤外反射性、可視光透過性に優れる。
【0033】
したがって、本発明の光遮蔽フィルムおよび当該光遮蔽フィルムを設けてなる赤外遮蔽体は、(a)形成時(特に高屈折率層形成時)に塗布液を長期貯蔵しても塗布故障(例えば、金属酸化物粒子の凝集など)の発生が少なくまたはない;(b)ヘイズが低い;(c)近赤外反射性に優れる;(d)可視光透過性に優れる;および(e)柔軟性に優れるなどの、利点がある。なお、本明細書中、「光遮蔽フィルム」とは、可視光および赤外光(近赤外光、中赤外光、遠赤外光)の少なくとも一方を遮蔽するフィルムを意味する。好ましくは、本発明の光遮蔽フィルムは、赤外遮蔽フィルムであり、より好ましくは近赤外遮蔽フィルムである。
【0034】
本発明の光遮蔽フィルムは、支持体上に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されてなるユニットを少なくとも1つ有する。以下、本発明の赤外遮蔽フィルムの構成要素について、詳細に説明する。
【0035】
[支持体]
本発明の光遮蔽フィルムに用いられる支持体としては、特に制限されないが、フィルム支持体であることが好ましい。フィルム支持体は、透明であっても不透明であってもよく、種々の樹脂フィルムを用いることができる。その具体例としては、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。
【0036】
ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの2種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。ここで、「主要な構成成分とする」とは、当該成分が全構成成分のうち50質量%以上を占めることを意味し、好ましくは全構成成分のうち80質量%以上を占める。
【0037】
本発明に係る支持体の厚みは、10〜300μmであることが好ましく、より好ましくは20〜150μmである。支持体は、2枚以上を重ねたものであってもよく、この際、支持体の種類は同じでもよいし異なっていてもよい。
【0038】
[高屈折率層]
本発明に係る高屈折率層は、水溶性高分子(1)、水溶性高分子(2)および金属酸化物粒子を含む。なお、本明細書において、「水溶性高分子」とは、水溶性高分子が最も溶解する温度で、0.5質量%の濃度に水に溶解させた際、G2グラスフィルタ(最大細孔40〜50μm)で濾過した場合に濾別される不溶物の質量が、加えた該水溶性高分子の50質量%以下(下限:0質量%)であるものを言う。
【0039】
<水溶性高分子(1)>
水溶性高分子(1)は、下記一般式(1):
【0040】
【化3】

【0041】
で示される構造単位(構造単位(1))を分子中に有する。なお、上記水溶性高分子(1)の末端は特に制限されず、使用される原料(単量体)の種類によって適宜規定されるが、通常、水素原子である。
【0042】
水溶性高分子(1)を添加した塗布液を用いて高屈折率層を形成することによって、水溶性高分子(1)がピコリン酸中に存在するカルボニル基および/または窒素原子を介して金属酸化物粒子(例えば、ルチル型の二酸化チタン等)に強く吸着して、金属酸化物粒子の表面を水溶性高分子(1)で被覆し、その結果、塗布液中での金属酸化物同士の凝集を防ぎ、金属酸化物粒子の分散安定性を向上できる。これにより、塗布液中の金属酸化物粒子濃度を増加しても、塗布液中で金属酸化物粒子は凝集することなく、良好な分散性を発揮し、また、分散安定性(塗布液の長期保存安定性)にも優れる。また、高屈折率層中の金属酸化物粒子含有量を増加できるため、高屈折率層の屈折率を高めることができ、高屈折率層と低屈折層との屈折率差を広げることができる。このため、積層数を減少しても、高屈折率差を実現することができ、光遮蔽フィルムの薄膜化を達成できる。また、水溶性高分子(1)による金属酸化物粒子表面保護による金属酸化物粒子同士による凝集の抑制や金属酸化物粒子含有量の増加によって、得られる高屈折率層は、低ヘイズで、かつ近赤外反射性、可視光透過性に優れる。上記効果は、特に金属酸化物粒子が二酸化チタン粒子である時に顕著に発揮される。
【0043】
上記一般式(1)中、Rは、水素原子または1価の金属原子を表わす。ここで、1価の金属原子としては、特に制限されないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどが挙げられる。塗布液中での金属酸化物の凝集の抑制・防止性、金属酸化物粒子の分散安定性などを考慮すると、Rは、水素原子、ナトリウム、カリウムであることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。また、mは、0〜3の整数であり、0〜2が好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。なお、「mが0である」とは、ピリジン環に置換基Rが存在しないことを意味する。また、Rが複数個存在する(mが2または3である)場合には、各Rは、それぞれ同一であってもあるいは異なるものであってもよい。
【0044】
が存在する(mが1、2または3である)場合の、Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表わす。ここで、ハロゲン原子としては、特に制限されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。また、炭素数1〜8のアルキル基は、炭素数1〜8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の、直鎖または分岐鎖のアルキル基;およびシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基等の、環状のアルキル基などが挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、特に制限されないが、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、o−,m−若しくはp−トリル基、2,3−若しくは2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニリル基及びピレニル基などが挙げられる。これらのうち、塗布液中での金属酸化物の凝集の抑制・防止性、金属酸化物粒子の分散安定性などを考慮すると、Rは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。さらに、Rは、水素原子またはメチル基を表わす。Xは、単結合またはカルボニル基を含む2価の連結基を表わす。ここで、カルボニル基を含む2価の連結基は、カルボニル基(−C(=O)−)を含みかつ(メタ)アクリル酸由来の主鎖[−C(R)CH−]とピコリン酸構造とを連結する2価の基である。具体的には、カルボニル基を含む2価の連結基としては、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−及び−NH−C(=O)−などが挙げられる。これらのうち、塗布液中での金属酸化物の凝集の抑制・防止性、金属酸化物粒子の分散安定性などを考慮すると、Xは、単結合、−C(=O)−O−であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。なお、単結合とは、(メタ)アクリル酸由来の主鎖[−C(R)CH−]とピコリン酸構造とが直接結合することを意味する。
【0045】
また、(メタ)アクリル酸由来の主鎖[−C(R)CH−]は、連結基Xを介してピリジン環の任意の位置に結合すればよく、その結合位置は特に制限されない。すなわち、(メタ)アクリル酸由来の主鎖[−C(R)CH−]は、連結基Xを介してピリジン環の3位、4位、5位または6位に結合し、好ましくは連結基Xを介してピリジン環の3位、4位または5位に結合し、より好ましくは連結基Xを介してピリジン環の3位または5位に結合する。
【0046】
具体的には、上記一般式(1)で示される構造単位は、3−ビニルピコリン酸、4−ビニルピコリン酸、5−ビニルピコリン酸、3−ビニル−4−メチルピコリン酸、3−ビニル−4−エチルピコリン酸、3−ビニル−5−メチルピコリン酸、3−ビニル−5−エチルピコリン酸、3−ビニル−4,6−ジメチルピコリン酸、3−ビニル−4,6−ジエチルピコリン酸、3−アクリロキシピコリン酸、3−メタクリロキシピコリン酸、及び下記構造を有する化合物:
【0047】
【化4】

【0048】
から選択される化合物;および上記化合物の1価の金属原子塩由来の構造単位などが挙げられる。これらのうち、3−ビニルピコリン酸、3−メタクリロキシピコリン酸から選択される化合物;ならびに上記化合物のナトリウム塩及びカリウム塩由来の構造単位が好ましい。
【0049】
上記水溶性高分子(1)は、上記一般式(1)の構造単位(1)を有するものであればよい。ここで、水溶性高分子(1)が構造単位(1)のみから構成される重合体である場合に、当該水溶性高分子(1)を構成する構造単位(1)は、単一の構造単位(1)(即ち、単独重合体の形態)であってもあるいは2種以上の構造単位(1)の組み合わせ(即ち、共重合体の形態)であってもよい。
【0050】
または、上記水溶性高分子(1)は、上記一般式(1)の構造単位(1)に加えて、他の構造単位を有するものであってもよい。ここで、他の構造単位としては、特に制限されないが、側鎖に水酸基(−OH)を有する化合物、アミド基を有する化合物、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン類、ビニルカルバゾール類、スチリルオキサジアゾール類由来の構造単位などが挙げられる。ここで、アミド基は、特に制限されないが、式:−C(=O)−N(R)(R)で表される基であることが好ましい。上記式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表わす。この際、アルキル基は、Rで記載されたのと同様に定義され、好ましくは水素原子である。具体的には、側鎖に水酸基(−OH)を有する化合物としては、以下に制限されないが、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどが挙げられる。アミド基を有する化合物としては、以下に制限されないが、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類などが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル類としては、以下に制限されないが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。スチレン類としては、以下に制限されないが、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、ビニルアントラセンなどが挙げられる。ビニルカルバゾール類としては、以下に制限されないが、ビニルカルバゾールなどが挙げられる。スチリルオキサジアゾール類としては、以下に制限されないが、2−スチリル−5−フェニル−1−オキサ−3,4−ジアゾール、2−スチリルフェニル−5−フェニル−1−オキサ−3,4−ジアゾール、2−スチリル−5−フェニル−1−オキサ−3,4−ジアゾール、2−(p−スチリルフェニル−5−(p−t−ブチルフェニル)−1−オキサ−3,4−ジアゾールなどが挙げられる。これらのうち、側鎖に水酸基(−OH)を有する構造単位またはアミド基を有する構造単位が好ましい。すなわち、水溶性高分子(1)は、側鎖に水酸基(−OH)を有する構造単位またはアミド基を有する構造単位を分子中にさらに有することが好ましい。このような他の構造単位を分子中にさらに有する水溶性高分子(1)は、塗布液中での金属酸化物の凝集を有効に抑制・防止し、金属酸化物粒子の分散安定性を向上できる。より好ましくは、他の構造単位は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド由来の構造単位である。なお、他の構造単位は、単一の他の構造単位であってもあるいは2種以上の他の構造単位の組み合わせであってもよい。また、水溶性高分子(1)が2種以上の構造単位から構成される共重合体である場合には、その構造単位は、ブロック状であってもまたはランダム状であってもよい。
【0051】
また、水溶性高分子(1)が構造単位(1)及び他の構造単位から構成される場合には、水溶性高分子(1)における前記一般式(1)で表わされる構造単位(1)の含有比率は、構造単位(1)による効果が十分発揮できる割合であれば特に制限されない。水溶性高分子(1)における前記一般式(1)で表わされる構造単位(1)の含有比率は、3〜80モル%であることが好ましく、4〜65モル%であることがより好ましく、5〜50モル%であることが特に好ましい。このような範囲であれば、塗布液中の金属酸化物粒子濃度を増加しても、塗布液中で金属酸化物粒子は凝集することなく、良好な分散性、優れた分散安定性(塗布液の長期保存安定性)を発揮し、また、高屈折率層中の金属酸化物粒子含有量を増加できるため、高屈折率層の屈折率を高めることができる。
【0052】
本発明では、水溶性高分子(1)の重量平均分子量は、1000〜3万である。ここで、水溶性高分子(1)の重量平均分子量が1000未満であると、塗布液中での金属酸化物粒子の凝集を十分抑制・防止できず、金属酸化物粒子の分散性が不十分となる。また、この際、金属酸化物粒子の凝集を抑制・防止するために、水溶性高分子(1)の添加量を増やすと、光遮蔽フィルムが脆弱になったり、高湿環境下でのブリードアウト等による可視光透過率の低下が起こる。一方、水溶性高分子(1)の重量平均分子量が3万を超えると、水溶性高分子(2)との混合時に、金属酸化物粒子の凝集を誘発する。水溶性高分子(1)の重量平均分子量は、3000〜28000であることが好ましく、6000〜2600であることがより好ましい。このような範囲であれば、塗布液中で金属酸化物粒子の凝集をより抑制・防止し、良好な分散性、優れた分散安定性(塗布液の長期保存安定性)をより向上できる。なお、本明細書中、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法によって測定することができる。より具体的には、本明細書では、重量平均分子量は、下記条件によってGPC法によって測定された値である。
【0053】
【化5】

【0054】
本発明において、高屈折率層中における水溶性高分子(1)の含有量は、十分な金属酸化物粒子の分散性を確保できる量であれば特に制限されない。高屈折率層中における水溶性高分子(1)の含有量(固形分換算)は、高屈折率層全質量に対して、10質量%以上、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以上、40質量%以下である。このような範囲であれば、塗布液中で金属酸化物粒子の凝集をより抑制・防止し、良好な分散性、優れた分散安定性(塗布液の長期保存安定性)をより向上できる。
【0055】
<水溶性高分子(2)>
本発明に係る高屈折率層は、水溶性高分子(1)と併用して、重量平均分子量が5万以上の水溶性高分子(2)を含む。水溶性高分子(2)は、重量平均分子量が5万以上で水溶性であれば特に制限されないが、通常バインダーとして作用する。具体的には、ゼラチン、セルロース類、増粘多糖類及び反応性官能基を有するポリマー類等を挙げることができる。または、水溶性高分子(2)は、重量平均分子量が5万以上である以外は同様の構造を有する水溶性高分子(1)であってもよい。好ましくは、水溶性高分子(2)は、水溶性高分子(1)と異なる構成単位を有する。また、低温増粘性を有する水溶性高分子であることがより好ましい。これにより、高屈折率層形成用の塗布液に、同時重層塗布適性を付与することができる。このような水溶性高分子としては、ゼラチン、セルロース類、増粘多糖類及び反応性官能基を有するポリマー類等を挙げることができる。水溶性高分子(2)は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0056】
以下にこれらの水溶性高分子について説明する。なお、水溶性高分子(2)が重量平均分子量が5万以上である以外は同様の構造を有する水溶性高分子(1)である場合の、水溶性高分子(2)は、重量平均分子量以外は上記水溶性高分子(1)と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0057】
(ゼラチン)
本発明で用いられるゼラチンとしては、従来、ハロゲン化銀写真感光材料分野で広く用いられてきた各種ゼラチンを挙げることができる。例えば、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチン及びゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシ基、またはカルボキシル基を有し、それと反応して得る基を持った試薬で処理し改質したものでもよい。ゼラチンの一般的製造法に関しては良く知られており、例えば、T.H.James:The Theory of Photographic Process 4th. ed. 1977(Macmillan)55頁、科学写真便覧(上)72〜75頁(丸善)、写真工学の基礎−銀塩写真編 119〜124頁(コロナ社)等の記載を参考にすることができる。また、リサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIXページに記載されているゼラチンを挙げることができる。なお、ゼラチンは、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0058】
(ゼラチンの硬膜剤)
高屈折率層塗布液及び低屈折率層塗布液には、高屈折率層または低屈折率層を形成した後に、ゼラチン塗膜を硬化するため、必要に応じて硬化剤を添加することもできる。
【0059】
用いることのできる硬膜剤としては、通常の写真乳剤層の硬膜剤として使用されている公知の化合物を使用でき、例えば、ビニルスルホン化合物、尿素−ホルマリン縮合物、メラニン−ホルマリン縮合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、活性オレフィン類、イソシアネート系化合物等の有機硬膜剤、クロム、アルミニウム、ジルコニウム等の無機多価金属塩類等を挙げることができる。
【0060】
(セルロース類)
本発明で用いることのできるセルロース類としては、水溶性のセルロース誘導体を好ましく用いることができ、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体や、カルボン酸基含有セルロース類であるカルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、カルボキシエチルセルロース等を挙げることができる。なお、セルロースは、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0061】
(増粘多糖類)
本発明で用いることのできる増粘多糖類としては、特に制限はなく、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類及び合成複合多糖類に挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学事典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
【0062】
本発明でいう増粘多糖類とは、糖類の重合体であり分子内に水素結合基を多数有するもので、温度により分子間の水素結合力の違いにより、低温時の粘度と高温時の粘度との差が大きな特性を備えた多糖類であり、さらに金属酸化物粒子を添加すると、低温時にその金属酸化物粒子との水素結合またはイオン結合を形成して粘度上昇またはゲル化を引き起こすものである。粘度の上昇幅は、金属酸化物粒子を増粘多糖類100質量部に5質量部添加した際に、金属酸化物粒子の添加前の15℃における粘度に比較して、15℃の粘度で、1.0mPa・s以上であり、好ましくは5.0mPa・s以上であり、更に好ましくは10.0mPa・s以上である。なお、本明細書において、粘度は、ブルックフィールド粘度計により測定した値を採用するものとする。
【0063】
本発明に適用可能な増粘多糖類としては、例えば、ペクチン、ガラクタン(例えば、アガロース、アガロペクチン等)、ガラクトマンノグリカン(例えば、ローカストビーンガム、グアラン等)、キシログルカン(例えば、タマリンドガム、タマリンドシードガム等)、グルコマンノグリカン(例えば、蒟蒻マンナン、木材由来グルコマンナン、キサンタンガム等)、ガラクトグルコマンノグリカン(例えば、針葉樹材由来グリカン)、アラビノガラクトグリカン(例えば、大豆由来グリカン、微生物由来グリカン等)、グルコラムノグリカン(例えば、ジェランガム等)、グリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸等)、アルギン酸及びアルギン酸塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等の紅藻類に由来する天然高分子多糖類等が挙げられる。塗布液中に共存する金属酸化粒子の分散安定性を低下させない観点から、その構成単位がカルボン酸基やスルホン酸基を有しないものが好ましい。そのような多糖類としては、例えば、L−アラビトース、D−リボース、2−デオキシリボース、D−キシロース等のペントース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトース等のヘキソースのみからなる多糖類であることが好ましい。具体的には、主鎖がグルコースであり、側鎖もグルコースであるキシログルカンとして知られるタマリンドシードガムや、主鎖がマンノースで側鎖がグルコースであるガラクトマンナン(ガラクトマンノグリカン)として知られるグアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、タラガムや、主鎖がガラクトースで側鎖がアラビノースであるアラビノガラクタン(アラビノガラクトグリカン)を好ましく使用することができる。本発明においては、特には、タマリンド、タマリンドシードガム、グアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガムが好ましい。なお、上記増粘多糖類は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよいが、二種類以上の増粘多糖類を併用することが好ましい。
【0064】
(反応性官能基を有するポリマー類)
本発明に適用可能な水溶性高分子としては、反応性官能基を有するポリマー類が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等のスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等の酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、およびこれらの共重合体が好ましい。
【0065】
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したカチオン変性ポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0066】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものがより好ましい。
【0067】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一級〜第三級アミノ基や第四級アンモニウム基を主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールが挙げられ、これはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得ることができる。
【0068】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコール中のカチオン性基含有エチレン性不飽和単量体の比率は、酢酸ビニルに対して、好ましくは0.1〜10モル%、より好ましくは0.2〜5モル%である。
【0069】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および特開昭63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、または特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0070】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されているような疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類の異なるものなどを、2種以上併用することもできる。
【0071】
本発明においては、バインターとして作用する水溶性高分子(2)を硬化させるため、硬化剤を使用することもできる。ここで適用可能な硬化剤としては、水溶性高分子(2)と硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、水溶性高分子(2)がポリビニルアルコールの場合には、ホウ酸及びその塩が好ましい。他にも公知の化合物が使用でき、一般的には水溶性高分子と反応し得る基を有する化合物、または水溶性高分子(2)が有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性高分子(2)の種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエ−テル、グリセロ−ルポリグリシジルエ−テル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−S−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1.3.5−トリス−アクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
【0072】
上記反応性官能基を有するポリマーが共重合体である場合の共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。
【0073】
上記水溶性高分子(2)のうち、金属酸化物粒子の分散性、塗布安定性などの観点から、ポリビニルアルコール、ゼラチン、タマリンド、タマリンドシードガムからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
【0074】
本発明では、水溶性高分子(2)の重量平均分子量は、5万以上である。ここで、水溶性高分子(2)の重量平均分子量が5万未満であると、塗布液中での金属酸化物粒子の凝集を十分抑制・防止できず、金属酸化物粒子の分散性が不十分となるため、好ましくない。水溶性高分子(2)の重量平均分子量は、1万〜100万であることが好ましく、5万〜50万であることがより好ましい。このような範囲であれば、塗布液中で金属酸化物粒子の凝集をより抑制・防止し、良好な分散性、優れた分散安定性(塗布液の長期保存安定性)をより向上できる。なお、本明細書中、重量平均分子量は、上記水溶性高分子(1)で規定される方法と同様にして測定された値である。
【0075】
本発明において、高屈折率層中における水溶性高分子(2)の含有量は、十分な同時重層塗布適性を付与できる量であれば特に制限されない。高屈折率層中における水溶性高分子(2)の含有量(固形分換算)は、高屈折率層全質量に対して、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。ここで、水溶性高分子(2)が上記範囲であれば、塗膜乾燥時に膜面が乱れることなく、十分な透明性を確保でき、また、金属酸化物の含有量を相対的に増加して、高屈折率層と低屈折率層の屈折率差を容易に大きくすることができる。
【0076】
また、高屈折率層における水溶性高分子(1)および(2)の混合比は、特に制限されないが、水溶性高分子(1)100質量部に対する水溶性高分子(2)の混合量が、20〜200質量部であることが好ましく、50〜150質量部であることがより好ましい。このような範囲であれば、塗布液中の金属酸化物粒子濃度を増加しても、塗布液中で金属酸化物粒子は凝集することなく、良好な分散性を発揮し、また、優れた分散安定性(塗布液の長期保存安定性)を達成できる。
【0077】
<金属酸化物粒子>
本発明においては、高屈折率層または低屈折率層のいずれかに金属酸化物粒子を含む。好適には、高屈折率層または低屈折率層のいずれにも金属酸化物粒子を含む。
【0078】
高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、屈折率が2.0以上であることが好ましい。例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化セリウム(CeO)、酸化チタン(TiO)等を挙げることができる。これらの中でも、高屈折率層を形成するための塗布液の安定性の観点から、酸化ジルコニウム、酸化チタンが好ましく、酸化チタン(TiO)がより好ましい。また、TiOの中でも、特にアナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いために高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高くなることから好ましい。
【0079】
高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、その平均粒径が100nm以下であることが好ましいが、4nm以上、50nm以下であることがより好ましく、更に好ましくは4nm以上、30nm以下である。平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0080】
以下、高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子として特に好ましいルチル型酸化チタンについて、詳細に説明する。
【0081】
(ルチル型酸化チタン)
一般的に、酸化チタン粒子は、粒子表面の光触媒活性の抑制や、溶媒等への分散性を向上する目的で、表面処理が施された状態で使用されることが多く、例えば、酸化チタン粒子表面をシリカからなる被覆層で覆われ、粒子表面が負電荷を帯びたものや、アルミニウム酸化物からなる被覆層が形成されたpH8〜10で表面が正電荷を帯びたものが知られている。
【0082】
金属酸化物粒子は、体積平均粒径が100nm以下のルチル型(正方晶形)の酸化チタン粒子であることが好ましい。体積平均粒径が4nm以上、50nm以下であることがより好ましく、更に好ましくは4nm以上、40nm以下である。体積平均粒径が100nm以下であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
【0083】
ルチル型酸化チタン粒子の体積平均粒径とは、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd、d・・・d・・・dの粒径を持つ粒子がそれぞれn、n・・・n・・・n個存在する金属酸化物粒子の集団において、粒子1個当りの表面積をa、体積をvとした場合に、下記数式1で表される体積で重み付けされた平均粒径である。
【0084】
【数1】

【0085】
さらに、ルチル型酸化チタン粒子は、単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記数式2で求められる単分散度が40%以下をいう。より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは0.1〜20%となる粒子である。
【0086】
【数2】

【0087】
(ルチル型酸化チタンゾルの製造方法)
近赤外反射フィルムを製造する方法として、水系高屈折率層塗布液を調製する際に、ルチル型酸化チタンとして、pHが1.0以上、3.0以下で、かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルを用いることが好ましい。
【0088】
一般的に酸化チタン粒子は、粒子表面の光触媒活性の抑制や、溶媒等への分散性を向上する目的で表面処理を施された状態で使用されることが多く、例えば、酸化チタン粒子表面をシリカからなる被覆層で覆われ、粒子表面が負電荷を帯びたものや、アルミニウム酸化物からなる被覆層が形成されたpH8〜10で表面が正電荷を帯びたものが知られているが、このような表面処理が施されていないpHが1.0〜3.0で、かつゼータ電位が正である酸化チタンの水系ゾルが用いることが高屈折率粒子を高濃度で膜に充填できる(屈折率を低下させる成分が少ない)点で好ましい。
【0089】
ルチル型酸化チタンゾルの調製方法としては、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等に記載された事項を参照にすることができる。
【0090】
また、ルチル型酸化チタンのその他の製造方法については、例えば、「酸化チタン−物性と応用技術」、清野学著、p255〜258(2000年)技報堂出版株式会社、または国際公開第2007/039953号パンフレットの段落番号「0011」〜「0023」に記載の工程(2)の方法を参考にすることができる。
【0091】
上記工程(2)による製造方法とは、二酸化チタン水和物をアルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される、少なくとも1種の塩基性化合物で処理する工程(1)の後に、得られた二酸化チタン分散物を、カルボン酸基含有化合物および無機酸で処理する工程(2)からなる。本発明では、工程(2)により得られた無機酸によりpHを1.0〜3.0に調整されたルチル型酸化チタンの水系ゾルを用いることができる。
【0092】
高屈折率層中における金属酸化物の含有量としては、高屈折率層全体積の15体積%以上、50体積%以下であることが好ましく、更に好ましくは、20体積%以上、40体積%以下である。また、高屈折率層中における金属酸化物の含有量としては、高屈折率層全質量の10〜80質量%であることが好ましく、20〜75質量%であることがより好ましい。
【0093】
低屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、二酸化ケイ素を用いることが好ましく、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることが特に好ましい。
【0094】
好ましく用いられるコロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号パンフレットなどに記載されているものである。かようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、MgまたはBa等で処理された物であってもよい。
【0095】
二酸化ケイ素は、その平均粒径が100nm以下であることが好ましい。二酸化ケイ素の平均粒径の下限は特に限定されないが、通常2nm以上である。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、20nm以下のものが好ましく、より好ましくは10nm以下である。また二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。なお、平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0096】
また、本発明において、高屈折率層の1層あたりの厚み(乾燥後の厚み)は、20〜1000nmであることが好ましく、50〜500nmであることがより好ましい。
【0097】
高屈折率層の屈折率は、好ましくは1.70〜2.50であり、より好ましくは1.80〜2.20である。
【0098】
なお、本明細書において、高屈折率層および後述する低屈折率層の屈折率は、下記方法により求めることができる。
【0099】
(屈折率の測定方法)
支持体(PETフィルム)上に、屈折率を測定する対象の層(高屈折率層、低屈折率層)をそれぞれ単層で塗設したサンプルを作製し、下記の方法に従って屈折率を求める。分光光度計として、U−4000型(株式会社日立製作所製)を用いた。各サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率の測定結果より、屈折率を求める。
【0100】
[低屈折率層]
本発明に係る低屈折率層は、通常、水溶性高分子(以下、「水溶性高分子(3)」とも称する)と金属酸化物粒子(以下、「第2の金属酸化物粒子」)とを含む。
【0101】
<水溶性高分子(3)>
水溶性高分子(3)としては、特に制限されず、通常、光遮蔽フィルムを構成する低屈折率層に使用される水溶性高分子が使用できる。具体的には、水溶性高分子(3)としては、上記水溶性高分子(1)および(2)が使用できる。このため、水溶性高分子(3)の具体例、好ましい重量平均分子量、および使用できる硬化剤などは、上記水溶性高分子(1)および(2)の欄で説明した内容と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0102】
低屈折率層中の水溶性高分子(3)の含有量(固形分換算)は、低屈折率層の全質量に対して、3〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
【0103】
<第2の金属酸化物粒子>
第2の金属酸化物粒子は、特に制限されず、光遮蔽フィルムの高屈折率層や低屈折率層を構成する時に通常用いられる金属酸化物粒子が同様にして使用される。例えば、二酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズ等を挙げることができる。
【0104】
また、これらのうち、低屈折率層に含有される金属酸化物としては、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカが好ましい。なお、本発明に係る低屈折率層には、前述の二酸化ケイ素(シリカ)を金属酸化物としてさらに添加してもよい。なお、上記金属酸化物(金属酸化物粒子)の具体的な説明は、上記高屈折率層における金属酸化物(金属酸化物粒子)の説明と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0105】
第2の金属酸化物粒子は、平均粒子径が2〜100nmであることが好ましく、より好ましくは3〜50nm、さらに好ましくは4〜30nmである。また、第2の金属酸化物粒子がコロイダルシリカの場合の、コロイダルシリカの好ましい平均粒子径は、通常は3〜50nmであるが、特に4〜30nmの平均粒子径が好ましい。
【0106】
第2の金属酸化物粒子の平均粒子径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0107】
また、低屈折率層中における金属酸化物粒子の含有量は、適度な屈折率、透明性などを達成できる量であれば特に制限されない。低屈折率層中における金属酸化物粒子の含有量(固形分換算)は、低屈折率層全質量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、20〜85質量%であることがより好ましい。ここで、金属酸化物粒子が上記範囲であれば、十分な透明性を確保でき、また、金属酸化物の含有量を相対的に増加して、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差を十分に確保することができる。
【0108】
低屈折率層の1層あたりの厚み(乾燥後の厚み)は、20〜800nmであることが好ましく、50〜350nmであることがより好ましい。
【0109】
低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.10〜1.60であり、より好ましくは1.30〜1.55である。
【0110】
[添加剤]
本発明に係る高屈折率層および低屈折率層には、必要に応じて各種添加剤を添加することができる。以下、添加剤について説明する。
【0111】
(無機ポリマー)
本発明に係る高屈折率層および低屈折率層では、必要に応じてジルコニウム原子含有化合物あるいはアルミニウム原子含有化合物等の無機ポリマーを用いることができる。
【0112】
本発明に適用可能なジルコニウム原子を含む化合物は、酸化ジルコニウムを除くものであるが、その具体例としては、二フッ化ジルコニウム、三フッ化ジルコニウム、四フッ化ジルコニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸塩(例えば、カリウム塩)、ヘプタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩やアンモニウム塩)、オクタフルオロジルコニウム酸塩(例えば、リチウム塩)、フッ化酸化ジルコニウム、二塩化ジルコニウム、三塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、ヘキサクロロジルコニウム酸塩(例えば、ナトリウム塩やカリウム塩)、酸塩化ジルコニウム(塩化ジルコニル)、二臭化ジルコニウム、三臭化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、臭化酸化ジルコニウム、三ヨウ化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、過酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、硫化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、p−トルエンスルホン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニル、硫酸ジルコニルナトリウム、酸性硫酸ジルコニル三水和物、硫酸ジルコニウムカリウム、セレン酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニル、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニウム、酢酸ジルコニル、酢酸ジルコニルアンモニウム、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニル、ステアリン酸ジルコニル、リン酸ジルコニル、シュウ酸ジルコニウム、ジルコニウムイソプロピレート、ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセチルアセトネート、アセチルアセトンジルコニウムブチレート、ステアリン酸ジルコニウムブチレート、ジルコニウムアセテート、ビス(アセチルアセトナト)ジクロロジルコニウム、トリス(アセチルアセトナト)クロロジルコニウム等が挙げられる。
【0113】
これらの化合物の中でも、炭酸ジルコニル、炭酸ジルコニルアンモニウム、酢酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、酸塩化ジルコニル、乳酸ジルコニル、クエン酸ジルコニルが好ましく、特に、炭酸ジルコニルアンモニウム、酸塩化ジルコニル、酢酸ジルコニルが好ましい。上記化合物の具体的商品名としては、第一稀元素化学工業(株)製の酢酸ジルコニルZA(商品名)や、第一稀元素化学工業(株)製の酸塩化ジルコニル(商品名)等が挙げられる。
【0114】
ジルコニウム原子を含む化合物は、単独で用いてもよいし、異なる2種類以上の化合物を併用してもよい。
【0115】
また、本発明で用いることのできる分子内にアルミニウム原子を含む化合物には、酸化アルミニウムは含まず、その具体例としては、フッ化アルミニウム、ヘキサフルオロアルミン酸(例えば、カリウム塩)、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム(例えば、ポリ塩化アルミニウム)、テトラクロロアルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩)、臭化アルミニウム、テトラブロモアルミン酸塩(例えば、カリウム塩)、ヨウ化アルミニウム、アルミン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩)、塩素酸アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、チオシアン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン)、硫酸ナトリウムアルミニウム、燐酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、燐酸水素アルミニウム、炭酸アルミニウム、ポリ硫酸珪酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセトネート)等を挙げることができる。
【0116】
これらの中でも、塩化アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硫酸珪酸アルミニウムが好ましく、塩基性塩化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウムが最も好ましい。
【0117】
(アミノ酸)
本発明においては、高屈折率層または低屈折率層が、アミノ酸をさらに含有してもよい。アミノ酸を含むことにより、高屈折率層または低屈折率層中の金属酸化物粒子の分散性が向上し得る。
【0118】
ここで、前記アミノ酸とは、同一分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する化合物を意味し、α−、β−、γ−などいずれのタイプのアミノ酸でもよいが、等電点が6.5以下のアミノ酸であることが好ましい。アミノ酸には光学異性体が存在するものもあるが、本発明においては光学異性体による効果の差はなく、いずれの異性体も単独でもまたはラセミ体でも使用することができる。なお、アミノ酸の等電点とは、アミノ酸は特定のpHにおいて分子内の正・負電荷が釣り合い、全体としての電荷が0となるので、このpH値をいう。本発明においては等電点6.5以下のアミノ酸を用いることが好ましい。各アミノ酸の等電点については、低イオン強度での等電点電気泳動で求めることができる。
【0119】
本発明に係るアミノ酸の詳しい解説は、化学大辞典1縮刷版(共立出版;昭和35年発行)268頁〜270頁の記載を参照することができる。
【0120】
本発明において、好ましいアミノ酸として、グリシン、アラニン、バリン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−アラニン、セリン、ε−アミノ−n−カプロン酸、ロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ヒスチジン、リジン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン等を挙げることができる。水溶液として使用するためには、等電点における溶解度が、水100gに対し、3g以上が好ましく、例えば、グリシン、アラニン、セリン、ヒスチジン、リジン、グルタミン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン等が好ましく用いられ、金属酸化物粒子が、バインダーと緩やかな水素結合を有する観点から、水酸基を有する、セリン、ヒドロキシプロリンを用いることがさらに好ましい。
【0121】
(エマルジョン樹脂)
本発明においては、高屈折率層または低屈折率層が、さらにエマルジョン樹脂を含有してもよい。エマルジョン樹脂を含むことにより、膜の柔軟性が高くなりガラスへの貼りつけ等の加工性がよくなる。
【0122】
ここで、前記エマルジョン樹脂とは、油溶性のモノマーを、分散剤を含む水溶液中でエマルジョン状態に保ち、重合開始剤を用いて乳化重合させた樹脂(好ましくは樹脂微粒子)である。
【0123】
エマルジョンの重合時に使用される分散剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、四級アンモニウム塩などの低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの高分子分散剤が挙げられる。
【0124】
本発明で用いられるエマルジョン樹脂は、水系媒体中に微細な、例えば、平均粒子径が0.01〜2.0μm程度の樹脂粒子がエマルジョン状態で分散されている樹脂が好ましく、油溶性のモノマーを、水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合して得ることができる。用いる分散剤の種類によって、得られるエマルジョン樹脂のポリマー成分に基本的な違いは見られないが、水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合すると、微細な微粒子の少なくとも表面に水酸基の存在が推定され、他の分散剤を用いて重合したエマルジョン樹脂とはエマルジョンの化学的、物理的性質が異なってくる。
【0125】
水酸基を含む高分子分散剤とは、重量平均分子量が10000以上の高分子の分散剤で、側鎖または末端に水酸基が置換されたものであり、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミドのようなアクリル系の高分子で2−エチルヘキシルアクリレートが共重合されたもの、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリエーテル、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、特にポリビニルアルコールが好ましい。
【0126】
高分子分散剤として使用されるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、カチオン変性したポリビニルアルコールやカルボキシル基のようなアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、シリル基を有するシリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。ポリビニルアルコールは、平均重合度は高い方がインク吸収層を形成する際のクラックの発生を抑制する効果が大きいが、平均重合度が5000以内であると、エマルジョン樹脂の粘度が高くなく、製造時に取り扱いやすい。したがって、平均重合度は300〜5000のものが好ましく、1500〜5000のものがより好ましく、3000〜4500のものが特に好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100モル%のものが好ましく、80〜99.5モル%のものがより好ましい。
【0127】
上記の高分子分散剤で乳化重合される樹脂としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル系化合物、スチレン系化合物といったエチレン系単量体、ブタジエン、イソプレンといったジエン系化合物の単独重合体または共重合体が挙げられ、例えばアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。
【0128】
(その他の添加剤)
本発明に係る高屈折率層および低屈折率層には、必要に応じて各種の他の添加剤を含有させることができる。
【0129】
本発明に係る高屈折率層および低屈折率層に適用可能な各種の他の添加剤を、以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、および特開昭62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報、および特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報、および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
【0130】
[光遮蔽フィルムの製造方法]
本発明の光遮蔽フィルムの製造方法は、特に制限されないが、支持体上に、水溶性高分子(1)、水溶性高分子(2)および金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液と、水溶性高分子(3)および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層用塗布液と、を塗布する工程を含む製造方法が好ましい。
【0131】
さらに具体的には、例えば、(1)支持体上に、水溶性高分子(1)、水溶性高分子(2)および金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液を塗布し乾燥して高屈折率層を形成した後、水溶性高分子(3)および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層用塗布液を塗布し乾燥して低屈折率層を形成し、光遮蔽フィルムを形成する方法;(2)支持体上に、水溶性高分子(3)および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層用塗布液を塗布し乾燥して低屈折率層を形成した後、水溶性高分子(1)、水溶性高分子(2)および金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液を塗布し乾燥して高屈折率層を形成し、光遮蔽フィルムを形成する方法;(3)支持体上に、水溶性高分子(1)、水溶性高分子(2)および金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液と、水溶性高分子(3)および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層用塗布液とを交互に逐次重層塗布した後乾燥して、高屈折率層および低屈折率層を含む光遮蔽フィルムを形成する方法;(4)水溶性高分子(1)、水溶性高分子(2)および金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液と、水溶性高分子(3)および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層用塗布液とを同時重層塗布し、乾燥して、高屈折率層および低屈折率層を含む光遮蔽フィルムを形成する方法などが挙げられる。なかでも、より簡便な製造プロセスとなる上記(4)の方法が好ましい。
【0132】
以下、本発明の好ましい製造方法(塗布方法)である同時重層塗布法について詳細に説明する。
【0133】
(溶媒)
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。
【0134】
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
【0135】
環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、特に水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましく、水がより好ましい。
【0136】
(塗布液の濃度)
高屈折率層用塗布液中の水溶性高分子(1)および(2)の濃度、ならびに低屈折率層用塗布液中の水溶性高分子(3)の濃度は、特に制限されないが、同時重層塗布を行う際の各塗布液の適当な粘度を達成できるような濃度であることが好ましい。ここで、塗布液の適当な粘度は、いかに上述するように、塗布方法によって適宜選択される。
【0137】
また、高屈折率層用塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、2〜50質量%であることが好ましい。低屈折率層用塗布液中の第2の金属酸化物粒子の濃度は、2〜50質量%であることが好ましい。
【0138】
さらに、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液中の金属酸化物粒子と水溶性高分子との質量比(F/B)が上記中間層の欄で説明した数値範囲となるように、塗布液に金属酸化物粒子と水溶性高分子とを添加することが好ましい。
【0139】
(塗布液の調製方法)
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、水溶性高分子、金属酸化物粒子、および必要に応じて添加されるその他の添加剤を添加し、攪拌混合する方法が挙げられる。この際、水溶性高分子、金属酸化物粒子、および必要に応じて用いられるその他の添加剤の添加順も特に制限されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。必要に応じて、さらに溶媒を用いて、適当な粘度に調製される。
【0140】
(塗布液の粘度)
例えば、スライドホッパー塗布法やスライドビード塗布方式により同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の40℃における粘度は、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、10〜50mPa・sの範囲がより好ましい。また、スライド型カーテン塗布法により同時重層塗布を行う際の高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の40℃における粘度は、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、25〜500mPa・sの範囲がより好ましい。
【0141】
また、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の15℃における粘度は、5mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、3,000〜30,000mPa・sがさらに好ましく、10,000〜30,000mPa・sが特に好ましい。
【0142】
(塗布および乾燥方法)
塗布および乾燥方法は、特に制限されないが、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液を30℃以上に加温して、支持体上に高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を好ましくは1〜15℃に一旦冷却し(セット)、その後10℃以上で乾燥することが好ましい。より好ましい乾燥条件は、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件である。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜の均一性向上の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。さらに、塗布方法は、特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、あるいは米国特許第2,761,419号公報、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
【0143】
高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液の塗布厚は、上記で示したような好ましい乾燥時の厚みとなるように塗布すればよい。
【0144】
塗布した後、冷風を当ててからセットが完了するまでの時間(セット時間)は、5分以内であることが好ましく、2分以内であることが好ましい。また、下限の時間は特に制限されないが、45秒以上の時間をとることが好ましい。セット時間が短すぎると、層中の成分の混合が不十分となる虞がある。一方、セット時間が長すぎると、金属酸化物粒子の層間拡散が進み、高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が不十分となる虞がある。
【0145】
セット時間の調整は、水溶性高分子の濃度や金属酸化物粒子の濃度を調整したり、ゼラチン、ペクチン、寒天、カラギ−ナン、ゲランガム等の各種公知のゲル化剤など、他の成分を添加することにより調整することができる。
【0146】
冷風の温度は、0〜25℃であることが好ましく、5〜15℃であることがより好ましい。また、塗膜が冷風に晒される時間は、塗膜の搬送速度にもよるが、10〜120秒であることが好ましい。
【0147】
また、本発明の光遮蔽フィルムを保管する際には、オーバーコートして乾燥した後、ロールに保管したまま、あるいはシート状に断裁した後、保管することが好ましい。30℃以上で一定時間、例えば、1日〜1ヶ月間保管すると、塗布ムラの軽減に役立つ。好ましい保管条件は、30〜50℃で1〜30日である。
【0148】
[膜設計]
一般に、光遮蔽フィルムにおいては、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外反射率を高くすることができる観点で好ましい。本発明では、少なくとも隣接した2層(高屈折率層及び低屈折率層)の屈折率差は、0.1以上であり、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.4以上である。なお、屈折率差の限には特に制限はないが、反射率の向上と層数を少なくする観点からは、通常1.4以下である。
【0149】
隣接した層界面での反射は、層間の屈折率比に依存するのでこの屈折率比が大きいほど、反射率が高まる。また、単層膜でみたとき層表面における反射光と、層底部における反射光の光路差を、n・d=波長/4、で表される関係にすると位相差により反射光を強めあうよう制御でき、反射率を上げることができる。ここで、nは屈折率、dは層の物理膜厚、n・dは光学膜厚である。この光路差を利用することで、反射を制御できる。この関係を利用して、各層の屈折率と膜厚を制御して、可視光や、近赤外光の反射を制御する。即ち、各層の屈折率、各層の膜厚、各層の積層のさせ方で、特定波長領域の反射率をアップさせることができる。
【0150】
本発明の光遮蔽フィルムは反射率をアップさせる特定波長領域を変えることにより、可視光遮蔽フィルムや赤外(近赤外光、中赤外光、遠赤外光、好ましくは近赤外光)遮蔽フィルムとすることができる。ここで、即ち、反射率をアップさせる特定波長領域を可視光領域に設定すれば可視光遮蔽(反射)フィルムとなり、赤外領域に設定すれば赤外光遮蔽(反射)フィルムとなる。
【0151】
本発明の光遮蔽フィルムを遮熱フィルムに用いる場合は、近赤外光反射フィルムとすればよい。高分子フィルムに互いに屈折率が異なる膜を積層させた多層膜を形成し、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上で、かつ、波長900〜1400nmの領域に反射率40%を超える領域を有するように光学膜厚とユニットを設計することが好ましい。
【0152】
太陽直達光の入射スペクトルのうち赤外域が室内温度上昇に関係し、これを遮蔽することで室内温度の上昇を抑えることができる。日本工業規格JIS R3106−1998に記載された重価係数をもとに赤外の最短波長(760nm)から最長波長3200nmまでの累積エネルギー比率をみると、波長760nmから最長波長3200nmまでの赤外全域の総エネルギーを100としたときの、760nmから各波長までの累積エネルギーをみると、760から1300nmのエネルギー合計が赤外域全体の約75%を占めている。従って、1300nmまでの波長領域を遮蔽することが熱線遮蔽による省エネルギー効果の効率がよい。
【0153】
この近赤外光域(760〜1300nm)の反射率を最大ピーク値で約80%以上にすると、体感温度の低下が官能評価により得られる。たとえば8月の午前中の南東方法を向く窓際での体感温度が近赤外光域の反射率を最大ピーク値で約80%にまで遮蔽したとき明確な差がでた。
【0154】
このような機能を発現するのに必要となる多層膜構造を光学シミュレーション(FTG Software Associates Film DESIGN Version 2.23.3700)で求めた結果、屈折率が1.9以上、望ましくは2.0以上の高屈折率層を利用し、6層以上積層した場合に優れた特性が得られることがわかっている。例えば、高屈折率層と低屈折率層(屈折率=1.35)を交互に8層積層したモデルのシミュレーション結果をみると、高屈折率層の屈折率が1.8では反射率が70%にも達しないが、1.9になると約80%の反射率が得られる。また、高屈折率層(屈折率=2.2)と低屈折率層(屈折率=1.35)を交互に積層したモデルでは、積層数が4では反射率が60%にも達していないが、6層になると約80%の反射率が得られる。
【0155】
[光遮蔽フィルム]
本発明の光遮蔽フィルムは、支持体上に、高屈折率層と、低屈折率層と、からなるユニットを少なくとも1つ有するが、高屈折率層と低屈折率層との間に中間層をさらに配置してもよい。さらには、本発明の光遮蔽フィルムの光学特性として、JIS R3106−1998により測定される可視光領域の透過率が50%以上であり、かつ、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
【0156】
本発明の光遮蔽フィルムは、支持体上に、高屈折率層と低屈折率層とからなるユニットを少なくとも1つ有する構成であればよいが、高屈折率層および低屈折率層の総数の上限としては、100層以下、すなわち50ユニット以下であることが好ましく、より好ましくは40層(20ユニット)以下であり、さらに好ましくは20層(10ユニット)以下である。
【0157】
なお、本発明の光遮蔽フィルムの全体の厚みは、好ましくは12μm〜315μm、より好ましくは15μm〜200μm、さらに好ましくは20μm〜100μmである。このように、本発明の光遮蔽フィルムは、従来の光遮蔽フィルムと比べてより薄い膜厚で、高い赤外反射率を得ることが可能となる。
【0158】
本発明の光遮蔽フィルムは、支持体の下または支持体と反対側の最表面層の上に、さらなる機能の付加を目的として、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、本発明の高屈折率層および低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、合わせガラスに利用される中間膜層などの機能層の1つ以上を有していてもよい。
【0159】
[光遮蔽フィルムの応用]
本発明の光遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等の長期間太陽光に晒らされる設備(基体)に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。特に、本発明の光遮蔽フィルムが直接または接着剤を介して、ガラスまたはガラス代替の樹脂などの基体に貼合される部材に好適に用いられる。
【0160】
すなわち、本発明は、本発明の光遮蔽フィルム、または本発明の製造方法により得られる光遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、赤外遮蔽体をも提供する。
【0161】
前記基体の具体的な例としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでも良く、これらを2種以上組み合わせて用いても良い。本発明で使用されうる基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。
【0162】
基体の厚みは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。
【0163】
本発明の光遮蔽フィルムと基体とを貼り合わせる接着層または粘着層は、光遮蔽フィルムが日光(熱線)入射面側にあるように設置することが好ましい。また、本発明の光遮蔽フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。本発明の光遮蔽フィルムを、屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
【0164】
本発明に適用可能な接着剤または粘着剤としては、光硬化性または熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤または粘着剤が挙げられる。
【0165】
接着剤または粘着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系及びエマルジョン系の中で溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
【0166】
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を上記の接着剤または粘着剤として用いてもよい。その具体例としては、例えば、可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、三菱モンサント社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、メルセンG)等である。なお、接着層または粘着層には、紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着(粘着)調整剤等を適宜添加配合してもよい。
【実施例】
【0167】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
【0168】
製造例1
【0169】
【化6】

【0170】
(1)モノマー(3−ビニルピコリン酸)の合成
3−ヒドロキシピコリン酸25gと500mlのメタノール溶液を環流した状態で塩化水素ガスを5時間吹き込み、窒素バブリングにより塩化水素を除いたのち、減圧下でメタノールを除去して得られる3―ヒドロキシピコリン酸メチルエステルの塩酸塩を水に溶解し、炭酸水素ナトリウムで中和、析出固体を濾過、乾燥することにより20gの白色固体として3―ヒドロキシピコリン酸メチルエステル単離した。次に、3―ヒドロキシピコリン酸メチルエステル20g、塩化メチレン200g、トリエチルアミン30gの溶液を0℃に冷却し、無水トリフルオロメタンスルフォン酸40gを15分かけて滴下後、室温で3時間攪拌した。溶液を塩化メチレンで希釈後、水洗し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレートすることで3−トリフルオロメタンスルフォキシピコリン酸メチルエステル22gを得た。3−トリフルオロメタンスルフォキシピコリン酸メチルエステル22gに対し、トリブチルビニルスズ、塩化リチウム、パラジウムジクロロビス(トリフェニルホスフィン)、2,6―ジーt―ブチルフェノール、ジメチルホルムアミドの溶液を窒素気流下、100℃で3時間加熱攪拌した。反応溶液を冷却後、ヘキサンで希釈後、水洗した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレートし、シリカゲルクロマトグラフィーで精製後、ミクロ蒸留することで3−ビニルピコリン酸メチルエステル15gを得た。3−ビニルピコリン酸メチルエステル15gとメタノール200g、水10g、炭酸カリウム2gの溶液を3時間環流後、0.1規定塩酸で中和後エバポレートした。メタノールから再結晶することで3−ビニルピコリン酸10gを得た。
【0171】
(2)ポリマー(1)(3−ビニルピコリン酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートの共重合体)の合成
窒素置換したフラスコへ、3−ビニルピコリン酸12.0g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)50.0g、アゾビスバレロニトリル1.3g、及びジメチルホルムアミド450mlを加え、80℃で5時間加熱攪拌した。反応溶液を1リットルのトルエンへ注ぎ、再沈殿精製することで白色粉末を50g得た。GPCによる重量平均分子量は11000であり、H−NMRより3−ビニルピコリン酸と2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)との組成が20対80のモル比の共重合体であることを確認し、この共重合体をポリマー(1)とする。
【0172】
製造例2
上記製造例1と同様にして、3−ビニルピコリン酸を合成した。
【0173】
窒素置換したフラスコへ、3−ビニルピコリン酸12.0g、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(2−HPMA)62.0g、アゾビスバレロニトリル1.3g、及びジメチルホルムアミド450mlを加え、80℃で5時間加熱攪拌した。反応溶液を1リットルのトルエンへ注ぎ、再沈殿精製することで白色粉末を60g得た。GPCによる重量平均分子量は13000であり、H−NMRより3−ビニルピコリン酸/2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(2−HPMA)が20対80のモル比の共重合体であることを確認し、この共重合体をポリマー(2)とする。
【0174】
製造例3
上記製造例1と同様にして、3−ビニルピコリン酸を合成した。
【0175】
窒素置換したフラスコへ、3−ビニルピコリン酸12.0g、アクリルアミド(AM)32g、アゾビスバレロニトリル1.3g、及びジメチルホルムアミド450mlを加え、80℃で5時間加熱攪拌した。反応溶液を1リットルのトルエンへ注ぎ、再沈殿精製することで白色粉末を35g得た。GPCによる重量平均分子量は9000であり、H―NMRより3−ビニルピコリン酸/アクリルアミド(AM)が20対80のモル比の共重合体であることを確認し、この共重合体をポリマー(3)とする。
【0176】
製造例4
上記製造例1において、3−ビニルピコリン酸を3g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)を60gに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行うことによって、重量平均分子量が25000で、3−ビニルピコリン酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの組成が3対97のモル比の共重合体を得、この共重合体をポリマー(4)とする。
【0177】
製造例5
上記製造例1において、3−ビニルピコリン酸を5g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)を58gに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行うことによって、重量平均分子量が21000で、3−ビニルピコリン酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの組成が5対95のモル比の共重合体を得、この共重合体をポリマー(5)とする。
【0178】
製造例6
上記製造例1において、3−ビニルピコリン酸を8g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)を55gに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行うことによって、重量平均分子量が19000で、3−ビニルピコリン酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの組成が10対90のモル比の共重合体を得、この共重合体をポリマー(6)とする。
【0179】
製造例7
上記製造例1において、3−ビニルピコリン酸を35gと、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)を30gに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行うことによって、重量平均分子量が8500で、3−ビニルピコリン酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの組成が50対50のモル比の共重合体を得、この共重合体をポリマー(7)とする。
【0180】
製造例8
上記製造例1において、3−ビニルピコリン酸を55g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)を15gに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行うことによって、重量平均分子量が11000で、3−ビニルピコリン酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの組成が80対20のモル比の共重合体を得、この共重合体をポリマー(8)とする。
【0181】
製造例9
上記製造例1において、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)を使用せず、3−ビニルピコリン酸を60gにした以外は、製造例1と同様の操作を行うことによって、重量平均分子量が8000で、3−ビニルピコリン酸の単独重合体を得、この単独重合体をポリマー(9)とする。
【0182】
製造例10
上記製造例1において、アゾビスバレロニトリルを3gに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行うことによって、重量平均分子量が800で、3−ビニルピコリン酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの組成が20対80のモル比の共重合体を得、この共重合体をポリマー(9)とする。
【0183】
製造例11
上記製造例1において、アゾビスバレロニトリルを1gにし、加熱撹拌温度を85℃に変更した以外は、製造例1と同様の操作を行うことによって、重量平均分子量が35000で、3−ビニルピコリン酸と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの組成が20対80のモル比の共重合体を得、この共重合体をポリマー(11)とする。
【0184】
製造例12
上記製造例1において、3−ビニルピコリン酸の代わりに3−メタクリロキシピコリン酸32gを使用し、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)を41gに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行うことによって、重量平均分子量が12000で、3−メタクリロキシピコリン酸と2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)との組成が30対70のモル比の共重合体を得、この共重合体をポリマー(12)とする。
【0185】
製造例13
上記製造例1において、3−ビニルピコリン酸を使用せず、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)を40gに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行うことによって、重量平均分子量が23000で、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)の単独重合体を得、この単独重合体をポリマー(13)とする。
【0186】
[塗布液の調製]
(高屈折率層塗布液1の調製)
10質量%のジルコニアゾル(ジルコゾールZSL−10T 第一稀元素化学工業(株)製、平均粒子径10〜30nm)200質量部を撹拌しながら50℃まで昇温した後、ポリマー(1)の5質量%水溶液125質量部を添加して30分間攪拌した。次いで、3質量%ホウ酸水溶液20質量部を添加し、ポリビニルアルコール(PVA235、重量平均分子量15万、(株)クラレ製)の5質量%水溶液100質量部と純水150質量部を添加して90分撹拌した後、5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P、花王(株)製)0.45質量部を添加して高屈折率層塗布液1を調製した。
【0187】
(高屈折率層塗布液2の調製)
ジルコニアゾルの代わりに、20質量%二酸化チタンゾル(体積平均粒子径:35nm、ルチル型二酸化チタン)を100質量部使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液1と同様にして高屈折率層用塗布液2を調製した。
【0188】
(高屈折率層塗布液3の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(2)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液3を調製した。
【0189】
(高屈折率層塗布液4の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(3)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液4を調製した。
【0190】
(高屈折率層塗布液5の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(4)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液5を調製した。
【0191】
(高屈折率層塗布液6の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(5)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液6を調製した。
【0192】
(高屈折率層塗布液7の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(6)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液7を調製した。
(高屈折率層塗布液8の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(6)を使用し、20質量%二酸化チタンゾル(体積平均粒子径:35nm、ルチル型二酸化チタン)を80質量部使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液8を調製した。
(高屈折率層塗布液9の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(6)を使用し、20質量%二酸化チタンゾル(体積平均粒子径:35nm、ルチル型二酸化チタン)を50質量部使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液9を調製した。
【0193】
(高屈折率層塗布液10の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(7)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液8を調製した。
【0194】
(高屈折率層塗布液11の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(8)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液9を調製した。
【0195】
(高屈折率層塗布液12の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(9)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液12を調製した。
【0196】
(高屈折率層塗布液13の調製)
ポリビニルアルコールの代わりに、酸処理ゼラチン(AP−270、重量平均分子量13万、(株)ニッピ製)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液13を調製した。
【0197】
(高屈折率層塗布液14の調製)
ポリビニルアルコールの代わりに、タマリンドシードガム(TG−500、重量平均分子量50万、MRCポリサッカライド(株)製)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液14を調製した。
【0198】
(高屈折率層塗布液15の調製)
ポリビニルアルコールの代わりに、ポリビニルアルコール(PVA210、重量平均分子量4.4万、(株)クラレ製)の5質量%水溶液の量を100質量部を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液15を調製した。
【0199】
(高屈折率層塗布液16の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(10)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液13を調製した。
【0200】
(高屈折率層塗布液17の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(11)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液14を調製した。
【0201】
(高屈折率層塗布液18の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(12)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液18を調製した。
【0202】
(高屈折率層塗布液19の調製)
ポリビニルアルコールを使用しない以外は、上記高屈折率層用塗布液7と同様にして高屈折率層用塗布液19を調製した。
【0203】
(高屈折率層塗布液20の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリマー(13)を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液20を調製した。
【0204】
(高屈折率層塗布液21の調製)
ポリマー(1)を使用せず、また、ポリビニルアルコール(PVA235、重量平均分子量15万、(株)クラレ製)の5質量%水溶液の量を200質量部に変更した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液21を調製した。
【0205】
(高屈折率層塗布液22の調製)
ポリマー(1)の代わりに、ポリビニルアルコール(PVA203、重量平均分子量1.3万、(株)クラレ製)の10質量%水溶液の量を50質量部を使用した以外は、上記高屈折率層用塗布液2と同様にして高屈折率層用塗布液17を調製した。
【0206】
(低屈折率層塗布液1の調製)
19質量%のコロイダルシリカ(スノーテックスAK、日産化学工業(株)製、平均粒子径:10〜20nm)68質量部と3質量%ホウ酸水溶液20質量部を撹拌しながら40℃まで昇温した後、ポリビニルアルコール(PVA235、重量平均分子量15万、(株)クラレ製)の5質量%水溶液280質量部と純水240質量部を添加して10分間攪拌した後、5質量%界面活性剤水溶液(コータミン24P、花王(株)製)0.64質量部を添加して低屈折率層塗布液1を調製した。
【0207】
(低屈折率層塗布液2の調製)
ポリビニルアルコールの代わりに、酸処理ゼラチン(AP−270、重量平均分子量13万、(株)ニッピ製)を使用し、3質量%ホウ酸水溶液を除いた以外は、低屈折率層用塗布液1と同様にして低屈折率層用塗布液2を調製した。
【0208】
(低屈折率層塗布液3の調製)
酸処理ゼラチンの代わりに、タマリンドシードガム(TG−500、重量平均分子量50万、MRCポリサッカライド(株)製)を使用した以外は、低屈折率層用塗布液2と同様にして低屈折率層用塗布液3を調製した。
【0209】
(実施例1)
[光遮蔽フィルムの作製]
以下の高屈折率層、低屈折率層の形成においては、塗布液の安定性を確認するために、上記調製した高屈折率層塗布液、低屈折率層塗布液をそれぞれ45℃に保温しながら24時間撹拌保存した後に用いた。
【0210】
[低屈折率層1の形成]
上記調製した低屈折率層用塗布液1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、A4300、両面易接着層)上に、乾燥時の膜厚が175nmとなる条件で、ワイヤーバーを用いて塗布し、次いで、膜面が15℃以下となる条件で冷風を1分間吹き付けてセットさせた後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、低屈折率層1を形成した。
【0211】
[高屈折率層1の形成]
次に、上記調製した高屈折率層用塗布液1を45℃に保温しながら、45℃に加温した上記低屈折率層1上に、乾燥時の膜厚が135nmとなる条件で、ワイヤーバーを用いて塗布し、次いで、膜面が15℃以下となる条件で冷風を1分間吹き付けてセットさせた後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、高屈折率層1を形成した。
【0212】
上記形成した高屈折率層1上に、上記[低屈折率層1の形成]及び[高屈折率層1の形成]に記載されるのと同様の操作を繰り返して、低屈折率層1/高屈折率層1から構成されるユニットをさらに5ユニット積層し、合計6ユニット(計12層)から構成された交互積層膜を形成した後、最上層にさらに低屈折率層1を積層し、光遮蔽フィルム1(フィルム全体の厚み:52μm)を作製した。なお、膜面pHは7.2となるように調整した。pHの調整には、酢酸、アンモニア水を用いた。
【0213】
実施例2
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液2を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム2を作製した。
【0214】
実施例3
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液3を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム3を作製した。
【0215】
実施例4
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液4を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム4を作製した。
【0216】
実施例5
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液5を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム5を作製した。
【0217】
実施例6
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液6を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム6を作製した。
【0218】
実施例7
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液7を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム7を作製した。
【0219】
実施例8
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液8を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム8を作製した。
【0220】
実施例9
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液9を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム9を作製した。
【0221】
実施例10
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液10を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム10を作製した。
【0222】
実施例11
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液11を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム11を作製した。
【0223】
実施例12
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液12を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム12を作製した。
【0224】
実施例13
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液13を使用し、低屈折率層用塗布液1の代わりに低屈折率層用塗布液2を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム13を作製した。
【0225】
実施例14
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液14を使用し、低屈折率層用塗布液1の代わりに低屈折率層用塗布液3を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム14を作製した。
【0226】
比較例1
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液15を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較光遮蔽フィルム1を作製した。
【0227】
比較例2
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液16を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較光遮蔽フィルム2を作製した。
【0228】
比較例3
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液17を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較光遮蔽フィルム3を作製した。
【0229】
実施例15
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液18を使用した以外は、実施例1と同様にして、光遮蔽フィルム15を作製した。
【0230】
比較例4
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液19を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較光遮蔽フィルム4を作製した。
【0231】
比較例5
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液20を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較光遮蔽フィルム5を作製した。
【0232】
比較例6
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液21を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較光遮蔽フィルム6を作製した。
【0233】
比較例7
実施例1において、高屈折率層用塗布液1の代わりに高屈折率層用塗布液22を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較光遮蔽フィルム7を作製した。
【0234】
(光遮蔽フィルムの評価)
上記作製した各光遮蔽フィルムについて、下記の特性値の測定を行った。
【0235】
(可視光透過率および近赤外透過率の測定)
分光光度計(U−4000型、(株)日立製作所製)を用い、各光遮蔽フィルムの800〜1400nmの領域における透過率を測定し、その平均値を求め、これを近赤外透過率(%)とした。この値が小さいほど近赤外遮断性が高いことになる。
【0236】
また、550nmにおける透過率を測定し、可視光透過率(%)とした。
【0237】
(均一性の評価)
上記(可視光透過率および近赤外反射率の測定)において、近赤外透過率(%)を10点測定し、この際、近赤外透過率のバラツキが5%以下である場合を「○」とし、近赤外透過率のバラツキが5%を超えて15%以下である場合を「△」とし、近赤外透過率のバラツキが15%を超える場合を「×」とする。
【0238】
近赤外透過率、可視光透過率および均一性の結果を表1に示す。
【0239】
【表1】

【0240】
表1の結果より明らかなように、本発明の光遮蔽フィルム1〜15は、比較例の比較光遮蔽フィルム1〜7に比べ、近赤外透過率を有意に低く(近赤外遮断性に優れ)、可視光透過率が有意に高い(可視光透過性に優れる)ことが分かる。
【0241】
また、本発明の光遮蔽フィルム7〜9より、高屈折率層塗布液中での金属酸化物粒子の比率を高めることができ、均一性に影響なく近赤外透過率をより低く(近赤外遮断性を良く)することが可能であることが分かる。特に、比較光遮蔽フィルム4は被膜に微小なクラックが発生し、比較光遮蔽フィルム5〜7は高屈折率層での凝集が激しく評価に堪えない膜面品質で表1には、NDと表示した。
【0242】
実施例2
[近赤外遮蔽体の作製]
実施例1〜15で作製した光遮蔽フィルム1〜15を用いて、以下のようにして近赤外反射体1〜15を作製した。すなわち、厚さ5mm、20cm×20cmの透明アクリル樹脂板上に、下記のようにして粘着層を設けた光遮蔽フィルム1〜6→15を用いて、それぞれ、近赤外遮蔽体1〜6→15を作製した。
【0243】
まず酢酸エチル60質量部とトルエン20質量部を混合し、更にアクリル系粘着剤(アロンタックM−300:東亞合成社製)を20g添加し撹拌混合することで粘着剤塗布液を作製した。次に、下記のように、セパレータフィルムに粘着層を塗設し、その後上記の光遮蔽フィルム1〜15と、それぞれ、貼り合わせた。なお、セパレータフィルムとしては、25μm厚のポリエステルフィルム(セラピール:東洋メタライジング社製)を用いた。セパレータフィルムの上に、上記で作製した粘着剤塗布液をワイヤーバーにより塗布し、80℃、2分間乾燥することで粘着層付きフィルムを作製した。その後、上記光遮蔽フィルムの赤外反射層表面へ、粘着層付きフィルムの粘着層表面を貼合機により貼合した。このとき赤外反射層フィルム側の貼合時張力を10kg/m、粘着層付きフィルムの貼合時張力を30kg/mとした。
【0244】
[評価]
上記作製した近赤外遮蔽体1〜15は、サイズが大きいにもかかわらず、容易に利用可能であり、また、本発明の光遮蔽フィルムを利用することで、優れた光反射性を確認することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されてなるユニットを少なくとも1つ有する光遮蔽フィルムであって、
該高屈折率層が、
1)下記一般式(1):
【化1】

上記一般式(1)中、Rは、水素原子または1価の金属原子を表わし;Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表わし;Rは、水素原子またはメチル基を表わし;Xは、単結合またはカルボニル基を含む2価の連結基を表わし;mは、0〜3の整数である、
で示される構造単位を分子中に有する、重量平均分子量が1000〜3万の水溶性高分子(1);
2)重量平均分子量が5万以上の水溶性高分子(2);および
3)金属酸化物粒子
を含有することを特徴とする光遮蔽フィルム。
【請求項2】
前記水溶性高分子(1)が、側鎖に水酸基(−OH)を有する構造単位またはアミド基を有する構造単位を分子中にさらに有する、請求項1に記載の光遮蔽フィルム。
【請求項3】
前記水溶性高分子(1)における前記一般式(1)で表わされる構造単位の含有比率が3〜80モル%である、請求項1または2に記載の光遮蔽フィルム。
【請求項4】
近赤外遮蔽フィルムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光遮蔽フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の光遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けてなる、赤外遮蔽体。

【公開番号】特開2013−80178(P2013−80178A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221206(P2011−221206)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】