説明

光電センサ

【課題】ボリュームの操作面を壁面等に近接して設置しても、ボリュームの調整作業を容易に行い得る光電センサを提供する。
【解決手段】ケースの投光面から投光する投光素子と、ケースの受光面から受光する受光素子との少なくともいずれかを備え、調整軸を回動操作して被検出物の検出感度を調整するボリュームをケース内に備え、調整軸を投光面若しくは受光面とは異なる操作面1aに露出させた光電センサにおいて、ケース1に着脱可能とした取付金具14に、調整軸10と係合して一体に回動する回動操作部15を設け、回動操作部15には、操作面1aに平行な方向に延び、前記操作面1aより突出する軸体を介して調整軸10を回動可能とする操作方向変換手段22を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、感度調整用のボリュームを備えた光電センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光電センサの一種類として、投光素子にレーザダイオードを使用したレーザセンサが実用化されている。レーザセンサは、レーザ光を細いビームで長距離まで照射することができるため、微小物体の検出であったり、センサを被検出物体の直近に配置できないような場合に適しており、例えば電子部品の位置決め、加工穴の有無の検出、チップ部品の有無の検出等に使用される。
【0003】
レーザセンサをはじめとする光電センサでは、ユーザーのアプリケーションや向上のライン等の設置環境によって、透過型あるいは反射型という検出形態の異なるものを適宜選択して使用される。
【0004】
反射型の光電センサでは、被検出物からの反射光量に基づいて被検出物の有無を検出するため、被検出物表面の光反射率の相違により、受光素子に入射する反射光量が左右される。
【0005】
そこで、光電センサには反射光の受光感度等を調整する調整手段が備えられ、その調整手段の一種類として、ケースの操作面に調整軸を露出したボリュームを具備したものがある。
【0006】
特許文献1には、ケースの外面にボリュームのつまみが露出された電気機器が開示されている。
特許文献2には、ケースの背面に投光レンズの光軸を調整するネジが露出された光電センサが開示されている。
【0007】
特許文献3には、操作軸をケース外から回転操作するつまみを備えた無接触スイッチが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4048095号
【特許文献2】特開2000‐2586
【特許文献3】実開昭56‐137338
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような光電センサでは、ボリュームの操作面をケースの背面側としたものがある。このような光電センサでは操作面が壁面等に近接していると、作業者がボリュームを操作し難い。
【0010】
従って、光電センサを設置した後に、受光感度の初期設定操作を行う必要がある場合には、光電センサを一旦設置箇所から外してボリュームの調整を行い、その後光電センサを再設置して受光感度を確認する必要がある。
【0011】
また、被検出物の変更により、受光感度を再設定する場合にも、光電センサを一旦設置箇所から外して調整する必要がある。従って、ボリュームの調整作業が煩雑となるという問題点がある。
【0012】
この発明の目的は、ボリュームの操作面を壁面等に近接して設置しても、ボリュームの調整作業を容易に行い得る光電センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、ケースの投光面から投光する投光素子と、前記ケースの受光面から受光する受光素子との少なくともいずれかを備え、調整軸を回動操作して被検出物の検出感度を調整するボリュームを前記ケース内に備え、前記調整軸を前記投光面若しくは受光面とは異なる操作面に露出させた光電センサにおいて、前記ケースに着脱可能とした取付金具に、前記調整軸と係合して一体に回動する回動操作部を設け、前記回動操作部には、前記操作面に平行な方向に延び、前記操作面より突出する軸体を介して前記調整軸を回動可能とする操作方向変換手段を設けたことを要旨とする。
【0014】
上記構成では、ボリュームの調整軸を操作面に平行な方向から操作可能となる。従って、操作面が壁面に近接していても、ボリュームを調整することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光電センサにおいて、前記操作方向変換手段は、前記回動操作部に対し、前記操作面に平行な方向に前記軸体として冶具を係止可能とした冶具係止手段としたことを要旨とする。
【0015】
上記構成では、冶具を操作面に平行な方向に回動操作してボリュームを調整することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光電センサにおいて、前記冶具係止手段は、前記回動操作部の外周面に設けた係止孔としたことを要旨とする。
【0016】
上記構成では、係止孔に冶具を挿入して回動操作部を回動操作することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の光電センサにおいて、前記回動操作部の外周面を六角ナット状としたことを要旨とする。
【0017】
上記構成では、回動操作部をスパナで回動操作することができる。
請求項5に記載の発明では、請求項1に記載の光電センサにおいて、前記回動操作部は、前記操作面に平行な方向に回動することにより前記調整軸を回転させる操作軸としたことを要旨とする。
【0018】
上記構成では、操作軸の操作によりボリュームを調整することができる。
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の光電センサにおいて、前記操作面に平行な方向に回動する連結軸の基端部を前記調整軸に連結し、前記連結軸の先端部に前記操作軸を前記操作面に平行な方向に回動可能に連結したことを要旨とする。
【0019】
上記構成では、連結軸に対し操作軸を折り畳んで収容可能である。
請求項7に記載の発明では、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光電センサにおいて、前記取付金具を前記ケースに弾発的に着脱可能としたことを要旨とする。
【0020】
上記構成では、取付金具がケースに弾発的に着脱可能となる。
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の光電センサにおいて、前記取付金具は、前記ケースの操作面以外の面に着脱可能としたことを要旨とする。
【0021】
上記構成では、取付金具がケースの操作面以外の面に取着される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ボリュームの操作面を壁面等に近接して設置しても、ボリュームの調整作業を容易に行い得る光電センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第一の実施形態の光電センサを示す斜視図である。
【図2】第一の実施形態の光電センサを示す斜視図である。
【図3】第一の実施形態の光電センサを示す分解斜視図である。
【図4】第一の実施形態の光電センサを示す断面図である。
【図5】第一の実施形態の取付金具を示す斜視図である。
【図6】第一の実施形態の光電センサを設置した状態を示す平面図である。
【図7】第二の実施形態の取付金具を示す斜視図である。
【図8】第二の実施形態の取付金具を示す斜視図である。
【図9】第二の実施形態の取付金具を示す正面図である。
【図10】第二の実施形態の取付金具を示す正面図である。
【図11】第三の実施形態の取付金具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第一の実施形態)
以下、この発明を具体化した第一の実施形態を図面に従って説明する。図1に示す光電センサのケース1は、縦長の直方体状に形成され、その下面から通信用のケーブル2が延設されて、制御部(図示しない)と電気的に接続されている。
【0025】
図2に示すように、前記ケース1の前面(投光面、受光面)上部には受光窓3が形成され、その受光窓3の下方には投光窓4が形成されている。前記ケース1内において前記投光窓4の後方には、図4に示すように、投光レンズ5と、その投光レンズ5からレーザ光を被検出物に向かって照射する投光制御部6が投光素子として配設されている。
【0026】
また、前記受光窓3の後方には被検出物から反射されるレーザ反射光を集光する受光レンズ7と、受光レンズ7で集光し光量を電気信号に変換し、あらかじめ設定されるしきい値と比較する受光制御部8が受光素子として配設されている。そして、前記投光制御部6及び受光制御部8は、前記ケーブル2を介して制御部に接続される。
【0027】
前記ケース1内には、ボリューム9が設けられ、そのボリューム9の調整軸10の先端はケース1の背面1aに設けられる操作孔11に露出されている。このボリューム9は、検出感度として前記投光レンズ5からの投光量、受光制御部8での受光量の増幅率、前記しきい値等を調整するものである。
【0028】
前記調整軸10の先端面には、図3に示すように、径方向に直線状の係止溝12が形成されている。
前記ケース1の上面には、この光電センサが正常に動作しているか否かを表示する表示灯13が上方へ突出するように形成されている。
【0029】
前記ケース1には、前記調整軸10をケース1の側方から操作可能とする操作装置が取着される。この操作装置はケース1に嵌着される取付金具14と、その取付金具14に回転可能に支持された回動操作部15とを備えている。
【0030】
前記取付金具14は、図3及び図5に示すように、前記ケース1の幅とほぼ等しい幅を備えた弾性を有する金属板をほぼコ字状に折り曲げて形成され、その上辺には前記表示灯13を嵌合可能とした取付孔16が形成されている。
【0031】
前記取付金具14の下辺には、前記ケース1の下面に前記ケーブル2を固定するためのナット17を嵌合可能とした一対の弾性片18が形成されている。そして、前記取付金具14の取付孔16を前記表示灯13に嵌合しながら前記弾性片18を前記ナット17に嵌着すると、取付金具14の縦辺19がケース1の背面1aに沿う状態で、同取付金具14がケース1に取着される。
【0032】
前記取付金具14の縦辺19には、前記回動操作部15が回転可能に支持されている。回動操作部15は六角ナット状に形成されるとともに、その一側面に設けられた軸部20が前記縦辺19に回転可能に支持されている。また、回動操作部15は前記ケース1から側面方向にはみ出さない径で形成されている。
【0033】
図5に示すように、前記軸部20の先端面には前記ボリューム9の調整軸10に設けられた係止溝12に係合する係止突条21が形成されている。そして、取付金具14をケース1の背面1aに取着すると、係止突条21が係止溝12に係合して、前記調整軸10と回動操作部15が一体に回転するようになっている。
【0034】
前記回動操作部15の周面にはそれぞれ係止孔22が形成され、図6に示すように、側方からドライバ等の棒状の冶具23を挿入可能となっている。そして、冶具23をボリューム9の背面1aすなわち壁面wに沿って回動させることにより、回動操作部15を回動操作して、前記ボリューム9を回動操作可能となっている。また、回動操作部15をスパナで回動操作することも可能である。
【0035】
上記のように構成された光電センサでは、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)回動操作部15に冶具23を挿入し、その冶具23をケース1の背面1a、すなわちボリューム9の操作面に沿う方向に回動操作することにより、ボリューム9をケース1の操作面に平行な方向から操作可能である。従って、ケース1の操作面が壁面wに近接していても、光電センサを設置位置から取り外すことなく、ボリューム9の調整作業を容易に行うことができる。
(2)取付金具14をケース1に取着することにより、ボリューム9の調整軸10に回動操作部15を容易に連結することができる。
(3)取付金具14はケース1に弾発的に取着可能であるので、取付金具14をケース1に容易に着脱可能である。
(4)回動操作部15は、ケース1の側面から露出しないので、冶具23の係合に基づいて回動操作部15を回動操作する場合を除いて、回動操作部15の不用意な回動を防止することができる。
(5)取付金具14をケース1の上面と下面側とに嵌着するので、操作面1aと壁面Wとの間に取付金具14を嵌着するためのスペースを確保する必要はない。
(第二の実施形態)
図7〜図10は、第二の実施形態を示す。この実施形態は、ボリューム9の回動操作部をレバー状としたものである。その他の構成は、前記第一の実施形態と同様である。
【0036】
図7及び図8に示すように、取付金具14の縦辺19には軸状の回動操作部24が回動可能に支持されている。回動操作部24は、連結軸25の基端部に設けられた軸部27が取付金具14に回動可能に支持され、連結軸25の先端部に操作軸26の基端部が回動可能に支持されている。
【0037】
図8に示すように、前記軸部27の先端面には前記ボリューム9の調整軸10に設けられた係止溝12に係合する係止突条28が形成されている。そして、取付金具14をケース1に取着すると、係止突条28が調整軸10の係止溝12に係合するようになっている。
【0038】
図9に示すように、操作軸26をケース1の側面から突出するまで回動させると、操作軸26を操作して連結軸25を回動操作することにより、ボリューム9を調整可能となる。
【0039】
また、ボリューム9の調整作業が終了した後は、図10に示すように、連結軸25に対し操作軸26を回動させて、操作軸26をケース1の側面から突出しないように収納すると、連結軸25の不用意な回動を防止することができる。
【0040】
この実施形態の光電センサでは、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)回動操作部24の操作軸25をケース1の側面から突出するまで回動すると、ボリューム9をケース1の背面1aに平行な方向から操作することができる。従って、ケース1の背面1a、すなわちボリューム9の操作面が壁面に近接していても、光電センサを設置位置から取り外すことなく、ボリューム9の調整作業を容易に行うことができる。
(2)取付金具14をケース1に取着することにより、ボリューム9の調整軸10に回動操作部24を容易に連結することができる。
(3)取付金具14はケース1に弾発的に取着可能であるので、取付金具14をケース1に容易に着脱可能である。
(4)回動操作部24は、不使用時にはケース1の背面1aに同ケース1の側面から突出しないように収納されるので、回動操作部24の不用意な回動を防止することができる。
(第三の実施形態)
図11は、第三の実施形態を示す。この実施形態は、第一の実施形態の六角ナット状の回動操作部15の形状を異なる形状としたものである。その他の構成は、前記第一の実施形態と同様である。
【0041】
図11に示す回動操作部29は、円板状に形成されるとともに、その周面から中心方向に向かって6つの係止孔30が等間隔に形成されている。
このような構成により、係止孔30のいずれかに六角レンチ等の冶具を挿入して回動操作部29を回動操作可能である。従って、第一の実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0042】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・第一の実施形態で、回動操作部15を円形とし、その外周面に係止孔を設けてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…ケース、1a…操作面、5…投光素子(投光レンズ)、7…受光素子(受光レンズ)、9…ボリューム、10…調整軸、14…取付金具、15,24…回動操作部、22,30…操作方向変換手段(冶具係止手段、係止孔)、23…軸体(冶具)、25,26…操作方向変換手段(連結軸、操作軸)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの投光面から投光する投光素子と、前記ケースの受光面から受光する受光素子との少なくともいずれかを備え、調整軸を回動操作して被検出物の検出感度を調整するボリュームを前記ケース内に備え、前記調整軸を前記投光面若しくは受光面とは異なる操作面に露出させた光電センサにおいて、
前記ケースに着脱可能とした取付金具に、前記調整軸と係合して一体に回動する回動操作部を設け、前記回動操作部には、前記操作面に平行な方向に延び、前記操作面より突出する軸体を介して前記調整軸を回動可能とする操作方向変換手段を設けたことを特徴とする光電センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の光電センサにおいて、
前記操作方向変換手段は、
前記回動操作部に対し、前記操作面に平行な方向に前記軸体として冶具を係止可能とした冶具係止手段としたことを特徴とする光電センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の光電センサにおいて、
前記冶具係止手段は、
前記回動操作部の外周面に設けた係止孔としたことを特徴とする光電センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の光電センサにおいて、
前記回動操作部の外周面を六角ナット状としたことを特徴とする光電センサ。
【請求項5】
請求項1に記載の光電センサにおいて、
前記回動操作部は、
前記操作面に平行な方向に回動することにより前記調整軸を回転させる操作軸としたことを特徴とする光電センサ。
【請求項6】
請求項5に記載の光電センサにおいて、
前記操作面に平行な方向に回動する連結軸の基端部を前記調整軸に連結し、前記連結軸の先端部に前記操作軸を前記操作面に平行な方向に回動可能に連結したことを特徴とする光電センサ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光電センサにおいて、
前記取付金具を前記ケースに弾発的に着脱可能としたことを特徴とする光電センサ。
【請求項8】
請求項7に記載の光電センサにおいて、
前記取付金具は、前記ケースの操作面以外の面に着脱可能としたことを特徴とする光電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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