説明

光電変換装置、光電変換素子収納用パッケージ及び光電変換モジュール

【課題】本発明は、放熱性に優れた光電変換装置、光電変換素子収納用パッケージ及び光電電変換モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】光電変換装置2であって、導電層7が設けられた素子搭載基板5と、素子搭載基板5上に設けられるとともに、導電層7と電気的に接続される複数の光電変換素子9と、素子搭載基板5上に光電変換素子9を囲むように配置される枠体6と、枠体6と接合されるとともに、複数の光電変換素子9と対応するように配置される複数の集光部を有した集光材10と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置、光電変換素子収納用パッケージ及びその光電変換装置を用いる光電変換モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光電変換素子を有する光電変換装置の開発が進められている。例示的な光電変換装置としては、太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池装置がある。特に、発電効率の向上を目的として、集光型の太陽電池装置の開発が進められている。この太陽電池装置の場合、光電変換素子は、太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池素子である。集光された太陽光を効率良く太陽電池素子に照射する構造が、例えば、特許文献1に、開示されている。
【0003】
上記特許文献1で提案されている太陽電池装置は、光電変換する太陽電池セルが実装された基板と、基板上の太陽電池セルへ太陽光を集光する集光レンズと、太陽電池セルの外周を囲むように基板に設けられ、集光レンズが接続されたレンズ支持枠とを備える太陽電池装置と、を含んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−147155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1で提案された太陽電池装置の構造では、太陽電池セルが実装された基板の熱の発生によって、レンズ支持枠等が熱の影響を受ける可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、放熱性に優れた光電変換装置、光電変換素子収納用パッケージ及び光電変換モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る光電変換装置は、導電層が設けられた素子搭載基板と、前記素子搭載基板上に設けられるとともに、前記導電層と電気的に接続される複数の光電変換素子と、前記素子搭載基板上に前記光電変換素子を囲むように配置される枠体と、前記枠体と接合されるとともに、前記複数の光電変換素子と対応するように配置される複数の集光部を有した集光材と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る光電変換素子収納用パッケージは、複数の光電変換素子と、これら複数の光電変換素子と対応するように配置される複数の集光部を有した集光材と、を搭載するための光電変換素子収納用パッケージであって、前記複数の光電変換素子が搭載される素子搭載基板と、前記素子搭載基板上に設けられるとともに、前記複数の光電変換素子と電気的に接続される導電層と、前記素子搭載基板上に配置されるとともに、前記集光材と接合される枠体と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る光電変換モジュールは、前記光電変換装置と、前記光電変換装置上に設けられ、前記集光材に光を集める受光材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光電変換装置、光電変換素子収納用パッケージ及び光電変換モジュールは放熱性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る光電変換モジュールの概観を示す分解斜視図である。
【図2】本実施形態に係る光電変換装置の概観斜視図である。
【図3】本実施形態に係る光電変換装置の集光材の接合状態を解いた状態を示す概観斜視図である。
【図4】図2に示す光電変換装置をA−A線で切断したときの断面図である。
【図5】図2に示す光電変換装置において、集光材と枠体を省略し、光電変換素子を搭載した状態の平面図である。
【図6】本実施形態の変形例1に係る光電変換装置の集光材と枠体を省略し、光電変換素子を搭載した状態の平面図である。
【図7】本実施形態の変形例2に係る光電変換装置の概観斜視図である。
【図8】図7に示す光電変換装置をB−B線で切断したときの断面図である。
【図9】本実施形態の変形例3に係る光電変換装置の概観斜視図である。
【図10】図9に示す光電変換装置の概観を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る光電変換装置、光電変換素子収納用パッケージ及び光電変換モジュールについて、図面を参照しながら説明する。
【0013】
<実施形態>
<光電変換モジュール及び光電変換装置の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る光電変換モジュール1の概観を示す分解斜視図である。また、図2は、図1に示す光電変換装置2の概観斜視図である。また、図3は、集光材の接合を解いた状態を示す光電変換装置2の概観斜視図である。また、図4は、光電変換装置2の断面図である。また、図5は、集光材と枠体を省略し、光電変換素子を搭載した状態の光電変換装置2の平面図である。
【0014】
本実施形態に係る光電変換モジュール1は、太陽光エネルギーを電力に変換する太陽光発電モジュールである。また、本実施形態に係る光電変換装置2は、光エネルギーを電力に変換する光電変換素子9を含んでいる。かかる光電変換素子9は、例えば、太陽光エネルギーを電力に変換する機能を備えている太陽電池素子である。
【0015】
光電変換モジュール1は、複数の光電変換装置2と、複数の光電変換装置2の上方に設けられた受光材3と外部基板4を含んで構成される。受光材3は、外部からの光を受光するとともに、受光した光を集光材10に集める機能を備えている。また、受光材3は、複数個のレンズ部材3bが矩形のフレーム部材3aに固定されることにより構成されている。受光材3のレンズ部材3bは、例えば、ドーム状のフレネルレンズであり、例えば、アクリル樹脂等の光学的特性に優れた樹脂材料からなる。複数の光電変換装置2は、外部基板4に固定されている。そして、受光材3は、外部基板4に固定された複数の光電変換装置2を覆っている。
【0016】
また、外部基板4は、光電変換装置2から発せられる熱を放散させる機能を備えている。外部基板4は、例えば、アルミニウム、銅、炭素−金属複合材等の金属材料からなる。なお、外部基板4の熱伝導率は、例えば、100W/(m・K)以上500W/(m・K)以下に設定されている。
【0017】
受光材3に入射された光は、光電変換装置2の集光材10の上端部に集められる。すなわち、集光材10は、受光材3によって集められた光を光電変換素子9に導く機能を備えている。集光材10に入射された光は、集光材10で反射を繰り返しながら集光材10の上端部から下端部へ進み、集光材10の下端部から光電変換素子9の上面の受光面に入射される。そして、光電変換素子9は、光エネルギーを電力に変換する。
【0018】
光電変換素子2は、図4に示すように、導電層7が設けられた素子搭載基板5と、素子搭載基板5上に設けられるとともに、導電層7と電気的に接続される複数の光電変換素子9と、素子搭載基板5上に光電変換素子9を囲むように配置される枠体6と、枠体6と接合されるとともに、複数の光電変換素子9と対応するように配置される複数の集光部を有した集光材10と、を備えている。
【0019】
素子搭載基板5は、平面透視したとき、矩形状に形成された部材である。素子搭載基板5は、絶縁性の材料からなり、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体又はガラスセラミック等のセラミックス材料からなる。または、これらの材料のうちの複数の材料を混合した複合系からなる。また、素子搭載基板5の熱伝導率は、例えば、15W/(m・K)以上250W/(m・K)以下に設定されている。枠体6への熱伝導を抑制するために、熱伝導率の高い材料の酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体等で構成されることが好ましい。なお、平面透視したときの形状は、矩形状に限らず、円形状等の形状にすることができる。
【0020】
また、素子搭載基板5上には、図5に示すように、光電変換素子9を搭載する導電層7が、素子搭載基板5の長手方向に延在して設けられる。また、枠体6の内外の領域にまで延在されて設けられている。導電層7は、例えば、銅、銀、金、鉄、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、タングステン、モリブデン又はマンガン等の金属材料、或いはそれらの合金からなり、例えば、スクリーン印刷法によるメタライズ形成技術を用いて形成される。
【0021】
枠体6は、光電変換素子9が搭載されている素子搭載基板5上を環状に取り囲むように設けられる。また、枠体6は、集光材10の少なくとも一部が嵌め込まれて配置される開口部A1を有している。なお、本実施形態では、3個の光電変換素子9に対して、3個の枠体6としているが、これに限らない。例えば、複数の光電変換素子9に対して、1個の枠体6として良い。枠体6は、絶縁性の材料からなり、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体又はガラスセラミック等のセラミックス材料からなる。または、これらの材料のうちの複数の材料を混合した複合系からなる。
【0022】
また、枠体6の熱伝導率は、例えば、15W/(m・K)以上30W/(m・K)以下に設定されている。素子搭載基板5の熱伝導率を枠体6の熱伝導率よりも大きくすることによって、枠体6への熱伝導を抑制することができ、枠体6と集光材10との接合部が熱の影響を受けにくくなる。
【0023】
また、枠体6の熱膨張係数は、例えば、3.0(ppm/℃)以上10.0(ppm/℃)以下に設定されている。枠体6は、平面透視したときに矩形状に形成された部材であるが、矩形状に限らず、円形状等の形状にすることができる。
【0024】
また、枠体6は、集光材10を支持する機能を備えている。集光材10の少なくとも一部が、枠体6の開口部A1に嵌め込まれて配置される。枠体6は、図4に示すように、枠体6の上面から枠体6の全周にわたって、枠体6の内壁面が低くなる方向に傾斜している傾斜面を有する支持部6aを有し、集光材10の側面に接合されている。枠体6の支持部6aの傾斜の形状は、集光材10の傾斜の形状に合わせて形成される。集光材10の側面が枠体6の支持部6aの傾斜面で接合されるため、両者が滑らかに接合され、集光材10に傷等が付きにくく、両者を良好に接合することができる。結果として、傷等によって、光電変換素子9に導かれる光の進行方向の変化を抑制することができ、集光性を向上することができる。また、枠体6の支持部6aは、枠体6の上面から内壁面にかけて切り欠き部を有しても良い。
【0025】
また、集光材10との接合のために、枠体6の支持部6aには、メタライズ層が設けられている。メタライズ層としては、例えば、タングステン、モリブデン又はマンガン等の金属材料が、例えば、スクリーン印刷法によるメタライズ形成技術を用いて形成される。なお、集光材10の詳細な構成については後述する。
【0026】
光電変換素子9は、例えば、III−V族化合物半導体を含んでいる太陽電池素子である。光電変換素子9は、光起電力効果により、受けた光エネルギーを即時に電力に変換して出力することができる。例えば、太陽電池素子は、InGaP/GaAs/Ge3接合型セルの構造を有している。インジウムガリウムリン(InGaP)トップセルは、660nm以下の波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。ガリウムヒ素(GaAs)ミドルセルは、660nmから890nmまでの波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。ゲルマニウム(Ge)ボトムセルは、890nmから2000nmまでの波長領域に含まれる光をエネルギー変換する。3つのセルは、トンネル接合を介して直列に接続されている。開放電圧は、3つのセルの起電圧の和である。
【0027】
また、光電変換素子9の下面には、光電変換素子9の下面電極が形成されている。かかる下面電極は、例えば、銀、アルミニウム等により形成され、低融点半田、導電性エポキシ樹脂等の接合材を介して、素子搭載基板5に設けられる導電層7上に搭載され、電気的に接続されている。なお、本実施形態では、1つの素子搭載基板5に対して、搭載されている光電変換素子9を3個としているが、これに限らず、光電変換素子9の個数は、2以上の複数個としても良い。
【0028】
また、光電変換素子9の上面には、光電変換素子9の上面電極が設けられている。かかる上面電極は、例えば、銀、アルミニウム等により形成され、図5に示すように、第1の接続領域S1及び第2の接続領域S2で、導電性ワイヤで導電層7と電気的に直列に接続されている。光電変換素子9を搭載する導電層7が、素子搭載基板5の長手方向に延在して設けられている。また、長手方向に2つの領域に分岐して設けられている。導電層7が、第1の接続領域S1及び第2の接続領域S2の2つの領域を形成しているため、光電変換素子9で発生した熱が2つの領域に放熱されるので、発生した熱を効果的に放熱することができる。また、光電変換素子9の上面電極の導電層7に対する導電性ワイヤの接続箇所は、第1の接続領域S1及び第2の接続領域S2で、それぞれ3箇所の合計6箇所で接続しているが、これに限らない。例えば、第1の接続領域S1及び第2の接続領域S2でそれぞれ2箇所の合計4箇所で接続しても良い。接続箇所は、適宜選択することができる。接続箇所を複数箇所以上することにより、導電性ワイヤの1本あたりの電流が低減し、熱の発生を抑制することができる。結果として、導電性ワイヤの信頼性を向上することができる。
【0029】
また、導電層7は、図5に示すように、導電性ワイヤで接続される領域が、第1の接続領域及び第2の接続領域S2と2つの領域に分岐されて設けられている。例えば、第1の接続領域S1の接続箇所の全ての導電性ワイヤが断線しても、第2の接続領域S2の接続箇所で電気的な接続が維持されるため、光電変換装置2が不良となることを防ぐことができる。また、光電変換装置2の電気的な接続を確保する点においても、光電変換素子9と導電層7との接続箇所は、複数個所とすることが好ましい。
【0030】
更に、導電層7は、接合材を介して第1の出力端子8a及び第2の出力端子8bに電気的に接続されている。第1の出力端子8及び第2の出力端子8bは、例えば、鉄−ニッケル−コバルト(Fe−Ni−Co)合金等からなる。また、接合材としては、例えば、銀−銅ロウ、低融点半田又は導電性エポキシ樹脂等からなる。
【0031】
ここで、例えば、第1の出力端子8aは、正極として機能する。また、第2の出力端子8bは、負極として機能する。そして、光電変換素子9は、第1の出力端子8a及び第2の出力端子8bに電気的に接続されており、第1の出力端子8a及び第2の出力端子8bを介して外部に電気を取り出すことができる。
【0032】
集光材10は、光電変換素子9に光を集光する機能を備え、断面視して、集光材10の上部より下部が光電変換素子9に向かうに従って幅狭であり、断面積が小さくなる角錐台形状である。集光材10に届いた光は、集光材10の内部と外部との界面において繰り返し反射される。集光材10は、光電変換素子9に向かう過程で反射によって断面積内の光エネルギーの強度分布を均等化するという機能を備えている。なお、集光材10の周囲には、例えば、蒸着法等の薄膜形成技術によって、太陽光を反射する機能を有する反射部材として、金属の薄膜を設けてもよい。なお、集光材10は、集光部10a、10b、10cから構成される。また、集光材10は、集光部10a、10b、10cをまとめた1個の集光部を有する集光材で構成してもよい。
【0033】
また、集光材10は、透光性を有しており、受光部材3から届いた光を光電変換素子9に導く機能を備えている。集光材10の透光性とは、光電変換素子9が、太陽電池素子である場合は、太陽光の少なくとも一部の波長領域に含まれる光が透過できることをいう。なお、集光材10は、例えば、ホウ珪酸ガラス、プラスチック又は透光性樹脂等からなる。
【0034】
集光材10の集光部10a、10b、10cの側面は、枠体6の支持部6aと接合される位置に全周にわたって金属層が形成される。また、金属層は、蒸着法やスパッタ法等の薄膜形成技術によって形成される。金属層は、例えば、チタン、白金、金、クロム、ニッケル、金、銀、銅、或いはそれらの合金等の金属材料からなる。集光材10の集光部10a、10b、10cの側面の金属層が、例えば、ロウ材、半田、低融点ガラス又はエポキシ樹脂等からなる接合部材11を介して、枠体6の全周にわたって、枠体6の支持部6aの傾斜面で接合される。接合方法は、例えば、ロウ接合、半田接合又は樹脂接合等の方法からなる。ロウ材は、例えば、銀−銅ロウ等からなる。半田は、金−錫系、金−ゲルマニウム系、錫−鉛系等からなる。また、低融点ガラスとは、ガラス転移点が600℃以下のガラスのことをいう。
【0035】
また、枠体6と集光材10が、枠体6の支持部6aのみで接合されることによって枠体6と集光材10の接合面積が小さくできる。その結果、枠体6から集光材10への圧縮応力が低減でき、集光材10の屈折率の変化による光電変換素子9への照射光の位置ずれを抑制し、集光性を向上することができる。
【0036】
また、集光材10の少なくとも一部は、枠体6の開口部A1に嵌め込まれて配置され、枠体6の支持部6aで接合される。開口部A1の径を調整することで光電変換素子9から集光材10までの高さを調整することができ、光電変換素子9から集光材10の下面までの高さを予め決められた所定の高さに容易に設定することができる。結果として、光電変換素子9への照射光の高さ方向の位置ずれを抑制することができ、集光効率を向上することができる。なお、光電変換素子9から集光材10までの高さは、集光材9から光電変換素子9へ入射される照射光を効率良く集光させる点で重要である。
【0037】
集光材10は、枠体6の全周にわたって接合される。そして、複数の光電変換素子9と対応するように複数の集光部10a、10b、10cを有した集光材10が、光電変換素子9の上方に空間SPを介して配置される。結果として、複数の光電変換素子9が、素子搭載基体5及び集光材10で囲まれる空間SPに設けられ、気密封止される。光電変換素子9が、内部の空間SPに設けられることによって、気密封止することができるため、耐湿性が向上し、光電変換素子9を長期にわたって信頼性良く作動させることができる。
【0038】
また、集光材10は、光の反射によって断面積内の光エネルギーの強度分布を均等化する機能を有していればよい。集光材10の形状は、集光材10の上部から下部へ光電変換素子9に向かうに従って断面積が小さくなる円錐台形状であっても良い。また、集光材10の形状は、光電変換素子9の受光面の形状に合わせて形成されることによって、集光効率を向上させることができる。例えば、光電変換素子9の受光面が円状で有れば、集光材10の形状は、円錐台形状とすることが好ましく、また、光電変換素子9の受光面が矩形状で有れば、集光材10の形状は、角錐台形状とすることが好ましい。なお、枠体6の形状は、集光材10の形状に合わせて形成されることが好ましい。
【0039】
本実施形態によれば、同一の素子搭載基板5上に、複数の光電変換素子9が搭載されているので、各々の光電変換素子9で発生する熱を、効果的に放熱することができる。また、素子搭載基板5の全体で均一な温度分布とすることができる。
【0040】
例えば、局所的な発熱によって、枠体6から集光材10に多くの熱が伝導すると、枠体6と集光材10との接合部材11が局所的な熱の影響を受けて、接合状態が損なわれ、集光材10の位置ずれが発生する虞がある。本実施形態では、各々の光電変換素子9で発熱の状態が異なり、温度分布が生じても、複数の光電変換素子9が同一の素子搭載基板5に搭載されているので、複数の光電変換素子9の周辺の熱は、素子搭載基板5全体に効果的に放熱されるため、素子搭載基板5の全体で均一な温度分布とすることができる。局所的な発熱を効果的に素子搭載基板5に放熱することができるため、枠体6と集光材10との接合部が熱の影響を受けにくく、集光材10の位置ずれが抑制される。結果として、集光材10から光電変換素子9への照射光の位置ずれを抑制することができ、集光性を向上することができる。
【0041】
また、例えば、集光材10で集光された太陽光が、光電変換素子9以外の領域に、位置ずれした状態で局所的に多く照射されると、局所的な領域で素子搭載基板5の温度が上昇する。本実施形態では、同一の素子搭載基板5で構成されるため、集光材10で集光された太陽光が、光電変換素子9以外の領域に、位置ずれした状態で局所的に照射されても、素子搭載基板5に効果的に放熱されるため、温度上昇を抑制することができる。結果として、集光された太陽光の位置ずれに起因して発生する熱による素子搭載基板5の温度上昇及び光電変換素子9の変換効率の低下を抑制することができる。
【0042】
<光電変換素子収納用パッケージの構成>
ここで、光電変換素子収納用パッケージについて説明する。光電変換素子収納用パッケージとは、素子搭載基板5及び枠体6で構成され、光電変換素子9及び集光材10が未搭載の状態である。すなわち、光電変換素子収納用パッケージは、複数の光電変換素子9が搭載される搭載部を有した素子搭載基板5と、素子搭載基板5上の搭載部を取り囲むように設けられる枠体6と、を備えている。枠体6には、光電変換素子9の搭載予定位置より上方の位置に設けられる予定の集光材10が接合される。
【0043】
光電変換素子収納用パッケージの光電変換素子9が搭載される素子搭載基板5の導電層7上に、例えば、半田や樹脂等の接合材を介して複数の光電変換素子9を搭載し、更に、枠体6に、光電変換素子9の上方に空間を介して集光材10が設けられることにより、光電変換素子9及び集光材10が設けられた光電変換装置2となる。このような光電変換素子収納用パッケージとすることにより、複数の光電変換素子9で光電変換装置2が構成されるため、少ない数の光電変換装置2で光電変換モジュール1を構成することができ、光電変換装置2同士の接続箇所を低減することができる。
【0044】
<光電変換装置及び光電変換モジュールの製造方法>
ここで、図1に示す光電変換モジュール1及び図2に示す光電変換装置2の製造方法を説明する。
【0045】
まず、素子搭載基板5及び枠体6をそれぞれ準備する。
素子搭載基板5及び枠体6準備する。素子搭載基板5及び枠体6が、例えば、酸化アルミニウム質焼結体からなる場合、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム及び酸化カルシウム等の原料粉末に、有機バインダー、可塑剤又は溶剤等を添加混合して混合物を得る。そして、素子搭載基板5及び枠体6の型枠内に、混合物を充填して乾燥させた後、焼結前の素子搭載基板5及び枠体6を取り出すことで作製することができる。
【0046】
また、タングステン又はモリブデン等の高融点金属粉末を準備し、この粉末に有機バインダー、可塑剤又は溶剤等を添加混合して金属ペーストを得る。
【0047】
そして、取り出した焼成前の未硬化の素子搭載基板5上に、例えばスクリーン印刷法によるメタライズ形成技術を用いて、金属ペーストを塗って、光電変換素子9、第1の出力端子8a及び第2の出力端子8bと接続するための導電層7を形成する。また、取り出した焼成前の未硬化の枠体6の支持部6aの傾斜面に、例えばスクリーン印刷法によるメタライズ形成技術を用いて、金属ペーストを塗って、集光材10の集光部10a、10b、10cの側面と接合するための金属層を形成する。
【0048】
さらに、導電層7が形成された焼成前の未硬化の素子搭載基板5上に、焼成前の未硬化の枠体6を載せて圧着して、両者を密着させる。そして、両者を約1600℃の温度で同時に焼成することにより、焼成後に、素子搭載基板5及び枠体6を一体化した成型体を作製することができる。
【0049】
次に、枠体6で取り囲まれる領域であって、素子搭載基板5の導電層7上に、例えば、導電性エポキシ樹脂で光電変換素子9を搭載し、光電変換素子9の下面電極を電気的に接続する。また、枠体6で囲まれる導電層7上から、光電変換素子9の上面電極に対して、導電性ワイヤを介して電気的に接続する。
【0050】
集光材10は、モールド成形技術によって作製することができる。具体的には、集光材10の金型内に、ホウ珪酸ガラスを投入し、加熱、プレスして成形する。さらに、当該成形品を冷却して金型から成形品を取り出すことで、集光材10を作製することができる。そして、枠体6の支持部6aと接合する位置の全周にわたって、集光部材10の側面に、例えば、蒸着法によって、クロムの金属層を形成する。
【0051】
そして、集光材10は、半田等を介して、枠体6の支持部6aと接合する。
【0052】
更に、導電層7に、例えば、鉄−ニッケル−コバルト(Fe−Ni−Co)合金からなる第1の出力端子8a及び第2の出力端子8bを半田等で電気的に接続する。このようにして、光電変換装置2を作製することができる。
【0053】
光電変換モジュール1の作製方法について説明する。複数個の光電変換装置2と、外部基板4を準備する。ここで、二つの光電変換装置2の接続方法について説明する。
【0054】
まず、一方の光電変換素子2の第1の出力端子8aと他方の光電変換装置2の第2の出力端子8bとが隣り合うように、例えば、樹脂等によって両者を外部基板4上に固定する。そして、配置した二つの光電変換装置2を、例えば、導電性ワイヤ等の接続部材を介して電気的に接続する。このようにして、二つの光電変換装置が外部基板4に固定され、接続される。同様にして、複数の光電変換装置2を外部基板4に配置して固定する。そして、外部基板4に配置した複数の光電変換装置2上に受光部材3を設けることで、光電変換モジュール1を作製することができる。
【0055】
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。以下、本実施形態の変形例について説明する。なお、本実施形態の変形例に係る光電変換装置のうち、本実施形態に係る光電変換装置2と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0056】
<変形例1>
上記実施例に係る光電変換装置2は、素子搭載基板5に対して、光電変換素子9を3個搭載し、各々の光電変換素子9を電気的に直列に接続する構成としているが、これに限らない。図6に示すように、光電変換素子9を3個搭載し、第1の接続領域S1及び第2の接続領域S2の2つの領域で、各々の光電変換素子9を電気的に並列に接続する構成としてもよい。すなわち、各々の光電変換素子9が導電性ワイヤで導電層7と電気的に並列に接続されている。光電変換素子9を搭載する導電層7が、素子搭載基板5の長手方向に延在して設けられている。光電変換素子9が搭載される導電層7の領域を素子搭載基板5の長手方向に広く形成することができるため、光電変換素子9で発生した熱を効果的に放熱することができる。また、光電変換素子9が同一の導電層7に搭載されているので、光電変換素子9で発生した熱を素子搭載基板5の全体で均一な温度分布とすることができるため、局所的な発熱を効果的に素子搭載基板5に放熱することができる。
【0057】
<変形例2>
上記実施例に係る光電変換装置2は、素子搭載基板5に対して、光電変換素子9を3個搭載し、各々の光電変換素子9に対してそれぞれに枠体6を設ける構成としているが、これに限らない。図7及び図8に示すように、3個の光電変換素子9を素子搭載基板5上に搭載し、1個の枠体16を設ける構成としてもよい。結果として、光電変換装置12は、1個の枠体16で構成される構造となり、枠体16を複数個使用しないため、製造プロセスを削減することができる。なお、複数の光電変換素子9に対して、枠体16を1個で構成することは、製造プロセスを削減する点で好ましい。また、枠体16を1個で構成しているため、素子搭載基板5上に枠体16を搭載する際、光電変換素子9に対する枠体16の搭載位置の調整を1回で済ませることができる。また、集光材10を、複数の集光部10a、10b、10cをまとめた1個の集光材で構成してもよい。
【0058】
<変形例3>
更に、図9及び図10に示すように、9個の光電変換素子9を素子搭載基板5上に搭載し、1個の枠体26を設ける構成としても良い。尚、集光材10は、集光部10a〜10iを有して構成されている。導電層27のパターンは、素子搭載基板25上で折り返すように設けられているので、複数の光電変換素子9を効果的に接続することができる。また、光電変換装置22が複数の光電変換素子9で構成されているため、少ない数の光電変換装置22で光電変換モジュール1を構成することができるので、光電変換装置22同士を接続する箇所を低減することができる。結果として、接続の信頼性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 光電変換モジュール
2、12、22 光電変換装置
3 受光材
3a フレーム部材
3b レンズ部材
4 外部基板
5、25 素子搭載基板
6、16、26 枠体
6a、16a 枠体の支持部
7、27 導電層
8a 第1の出力端子
8b 第2の出力端子
9 光電変換素子
10 集光材
10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i 集光部
11 接合部材
SP 空間
A1 開口部
S1 第1の接続領域
S2 第2の接続領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電層が設けられた素子搭載基板と、
前記素子搭載基板上に設けられるとともに、前記導電層と電気的に接続される複数の光電変換素子と、
前記素子搭載基板上に前記光電変換素子を囲むように配置される枠体と、
前記枠体と接合されるとともに、前記複数の光電変換素子と対応するように配置される複数の集光部を有した集光材と、
を備えたことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光電変換装置であって、
前記導電層は、前記複数の光電変換素子の上面と導電性ワイヤで接続されていることを特徴とする光電変換装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光電変換装置であって、
前記枠体は、前記集光材の少なくとも一部が配置される複数の開口部を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項4】
複数の光電変換素子と、これら複数の光電変換素子と対応するように配置される複数の集光部を有した集光材と、を搭載するための光電変換素子収納用パッケージであって、
前記複数の光電変換素子が搭載される素子搭載基板と、
前記素子搭載基板上に設けられるとともに、前記複数の光電変換素子と電気的に接続される導電層と、
前記素子搭載基板上に配置されるとともに、前記集光材と接合される枠体と、
を備えたことを特徴とする光電変換素子収納用パッケージ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置上に設けられ、前記集光材に光を集める受光材と、
を備えたことを特徴とする光電変換モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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