説明

光電検知装置

【課題】生体内の分析物の存在又は濃度を検知するための光電検知装置を提供する。
【解決手段】外面を有するハウジング112と、当該ハウジングの外面の少なくとも一部分上に配置された複数の標識分子116と、前記ハウジング内に収容された回路基板170と、頂面と底面とを有し、前記回路基板上の回路に電気的に接続されており、当該光検知器の少なくとも頂面が光電性である光検知器120と、頂面と底面とを有し、当該底面は前記光検知器の頂面を覆うように配置されているフィルタ134と、当該フィルタの頂面を覆うように配置されている放射線源118と、を含んでいる光電検知装置であって、滑らかで丸い長円、卵形又は楕円形状(例えば、豆又は医薬品カプセル形状)をしており、生体内検知のために装置が人体内に埋め込まれるのを可能にする大きさであり、全体を内蔵できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、液体又は気体媒体内の分析物の存在又は濃度を検知するための光電検知装置に関する。より特定すると、本発明は、(全ての場合において、必ずしも限定されないけれども)滑らかで丸い長円形、卵形又は楕円形状(例えば、豆又は医薬品カプセル形状)によって全体的に内蔵されること及び種々の分析物の生体内での検知のために、装置が人間の体内に埋め込まれるのを可能にする大きさを特徴としている光学的検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
その開示が本明細書に参考として組み入れられている米国特許第5,527,313号には、標識分子と、例えば、光検知器のような光検知素子とを含んでいる蛍光ベースの検知装置が記載されている。概して、本発明の技術分野においては、標識分子は、1以上の光学特性が分析物の局部的な存在によって影響を受ける分子を意味する。米国特許第5,517,313号による装置においては、光源例えば発光ダイオード(“LED”)が、蛍光標識分子を含んでいる材料の層内又は代替的には導波層内に少なくとも部分的に配置されていて、光源に対して発せられた放射線(光)が標識分子にぶつかり且つ蛍光を発生させるようになされている。高域フィルタは、光源からの散乱光を濾波して取り除きつつ、標識分子によって発せられた蛍光が光検知素子(光検知器)に達するのを可能にする。
【0003】
米国特許第5,517,313号に記載されている装置において採用されている標識分子の蛍光は、分析物の局部的な存在によって変調される(すなわち、減衰されるか又は増大される)。例えば、錯トリス(4,7−ジフェニール1−1,10−フェナンスロリン)ルテニウム(II)ペルクロレイトのオレンジ赤色蛍光は、酸素の局部的な存在によって消える。従って、この錯体は、酸素センサー内の標識分子として有利に使用することができる。蛍光特性が種々の他の分析物によって影響を受ける標識分子は公知である。
【0004】
更に、吸収レベルが分析物の存在又は濃度によって影響を受ける吸光性の標識分子もまた知られている。例えば米国特許第5,512,246号を参照のこと(当該米国特許は、その開示が参考として本明細書に組み入れられており、砂糖のようなポリヒドロキシル化合物の局部的な存在によってスペクトル感度が減衰せしめられる組成物を開示している)。しかしながら、このような吸光性標識分子は、以前は、米国特許第5,517,313号において教示されているようなセンサー構造又は本明細書に教示されているようなセンサー構造においては使用されていなかった。
【0005】
米国特許第5,517,313号に記載されているセンサーにおいては、標識分子を含んでいる材料は、分析物に対して浸透性である。従って、分析物は、周囲の試験媒体から材料内へ拡散して、標識分子の蛍光に影響を及ぼし得る。光源、マトリックス材料を含んでいる標識分子及び光検知器は、標識分子によって発せられる蛍光が光検知器にぶつかって周囲の媒体内の分析物の濃度を示す電気信号が発せられるような構造とされている。
【0006】
米国特許第5,517,313号に記載されている検知装置は、米国特許第5,517,313号に対する従来技術を構成している装置に優る顕著な改良を示している。しかしながら、極めて重要な環境である人体内の種々の分析物の検知を可能にするセンサーの必要性が依然として存在する。更に、より小さく且つ効率の良い装置をもたらす更なる改良が当該分野でなされて来た。
【0007】
米国特許第6,400,974号及び第6,711,423号(これらによる開示は本明細書において参考として組み入れられている)には、各々、標識分子及び人体内で使用できるように設計されている光電素子を含んでいる蛍光ベースの検知素子が記載されている。
【発明の開示】
【0008】
一つの特徴においては、本発明は、光電検知素子を提供する。一つの特別な実施形態においては、当該検知素子は、外面を有しているハウジングと、当該ハウジングの外面の少なくとも一部分上に配置されている複数の標識分子と、ハウジング内に収納されている回路基板と、当該回路基板の頂面が位置する面にほぼ直角である面に位置する側面を有している支持部材と、当該支持部材の上記側面に取り付けられ且つ回路基板の頂面の上方ある距離のところに配置されている放射線源と、標識分子の応答を検知するために回路基板に結合されている光検知器とを含んでいる。
【0009】
回路基板への支持部材の取り付けを容易にするために、回路基板は、その頂面に溝を有することができ、支持部材は前記溝内に挿入される端部を有することができるので有利である。
【0010】
当該検知装置は更に、放射線源から隔置されており且つ放射線源に対向している反射面を有している反射器を含んでいる。当該光検知器は、放射線源と反射器の反射側との間の位置決めをすることができる。
【0011】
もう一つ別の実施形態においては、検知装置は、外面を有しているハウジングと、当該ハウジングの外面の少なくとも一部分上に配置されている複数の標識分子と、前記ハウジング内に収納されている回路基板と、頂面及び底面を有している光検知器(当該光検知器は、回路基板上の回路に電気的に接続されており、前記光検知器の少なくとも頂面が光電性である)と、頂面及び底面を有し、当該底面が光検知器の頂面を覆うように配置されているフィルタと、当該フィルタの頂面を覆うように配置されている前記放射線源とを含んでいる。
【0012】
幾つかの実施形態においては、当該検知装置は更に、頂面及び底面を有している基部を含んでいても良く、前記底面は回路基板の端部に取り付けられており、光検知器の底面は、前記基部の頂面上に取り付けられる。好ましくは、前記基部の頂面は、回路基板の頂面が位置する面にほぼ直角である面内に位置し、光検知器の頂面は前記基部の頂面にほぼ平行である。回路基板への前記基部の取り付けを容易にするために、基部の底面は、内部に溝を有していても良く、前記回路基板の端部は当該溝内に挿入することができる。
【0013】
他の構造においては、光検知器の頂面は、回路基板の頂面が位置している面とほぼ平行である面内に位置している。更に、放射線源とフィルタとの間に不透明な基部を配置しても良い。当該基部は、モリブデンによって作ることができる。
【0014】
本発明の上記の及びその他の特徴及び利点のみならず本発明の好ましい実施形態の構造及び作動を、添付図面を参考にして以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書に組み込まれており且つ出願書類の一部を形成している添付図面は、詳細な説明と共に、本発明の種々の実施形態を例示する助けとなり、更に、本発明を説明し且つ当業者が本発明を作り且つ使用することを可能にする機能を果たす。図面においては、同様の参照符号は、同一又は機能的に類似している部材を示している。更に、参照符号の最も左の桁は、当該参照符号が最初に現れる図面を特定している。
【図1】図1は、本発明の一実施形態による蛍光ベースのセンサーの断面図である。
【図2】図2は、本発明の別の実施形態による蛍光ベースのセンサーの断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による回路基板の頂面斜視図である。
【図4】図4は、本発明の別の実施形態による蛍光ベースのセンサーの断面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態によるアセンブリの断面図である。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態による蛍光ベースのセンサーの断面図である。
【好ましい実施形態の説明】
【0016】
図1は、蛍光標識分子116の蛍光に基づいて作動する本発明の一実施形態による光学ベースのセンサー(“センサー”)110の断面図である。図示されているように、センサー110はセンサーハウジング112を含んでいる。センサーハウジング112は、適切な光学的に透過性のポリマー材料によって形成することができる。好ましいポリマー材料としては、限定的ではないが、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなアクリル系ポリマーがある。
【0017】
センサー110は更に、センサーハウジング112の外面の少なくとも一部分上にコーティングされたマトリックス層114を含んでおり、層114全体に蛍光標識分子116が分布せしめられている(層114は、ハウジング112の表面の全て又は一部分を覆うことができる)。
【0018】
センサー110は更に、標識分子116と相互作用する波長範囲に亘る放射線を含む放射線を発する例えば発光ダイオード(LED)のような放射線源118又はその他の放射線源を含んでいる。例えば、蛍光ベースのセンサーの場合には、放射線源118は、標識分子116に蛍光を発生させる波長の放射線を発する。センサー110はまた、光検知器120(例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタ又はその他の光検知素子)をも含んでおり、蛍光ベースのセンサーの場合には、標識分子116によって発せられる蛍光を感知し、それに応答して、標識分子の蛍光レベルを示す信号が光検知器120によって発生される。図1には、センサー110が1以上の光検知器を有することができることを示すために、2つの光検知器120a及び120bが示されている。放射線源118は、例えば、ニチアコーポレーション(www.nichia.com)から提供されているLEDモデル番号EU−U32SBを使用して提供しても良い。センサー110に適用される特別な標識分子及び検知される興味のある特別な分析物に応じて、他のLEDも使用することができる。
【0019】
センサー本体の表面に標識分子116をコーティングしても良く、又は、これらは、(図1に示されているように)マトリックス層114内に含まれていても良い。マトリックス層114は、当該技術において公知の方法により準備し且つセンサーハウジング112の表面にコーティングされた生体適合性のポリマーマトリックスを含んでいる。分析物に対して浸透性であるのが好ましい適切な生体適合性マトリックス材料としては、幾つかのメタクリレート(例えば、HEMA)及びヒドロゲルがあり、これらは、特に分析物に対して選択的に浸透性であるように、すなわち、分子量カットオフ機能を果たすように作ることができるのが有利である。
【0020】
センサー110は、全体的に内蔵型とすることができる。言い換えると、センサーは、(例えば、放射線源118を駆動するために、)センサーに電力を供給するか又はセンサーからの信号を伝達するために、センサーハウジング112内へ又はセンサーハウジング112から延びている電気リード線が無いような形態で構成されるのが好ましい。むしろ、センサー110は、当該技術において良く知られているように、外部電源(図示せず)によって電力を供給されても良い。例えば、外部電源は、磁場を発生して誘導要素142(例えば、銅線コイル又はその他の誘導要素)内に電流を誘導することができる。更に、回路166は、外部データ読み取り装置に情報を伝達するために、誘導要素142を使用しても良い。回路166は、個別の回路要素、積分回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又はその他の電子要素)を含んでいても良い。外部電源及びデータ読み取り装置は同じ装置であっても良い。
【0021】
代替的な実施形態においては、センサー110は、例えば、マイクロバッテリ、マイクロ発電機及び/又はその他の電源のような内蔵電源によって電力を供給されても良い。
図1に示されているように、センサー110の光電要素の多くは、回路基板170に固定される。回路基板170は、センサー110の種々の構成要素間の連絡経路を提供する。
【0022】
図1に更に図示されているように、高域パスフィルタ又はバンドパスフィルタのような光学フィルタ134a及び134bは、各々、光検知器120a及び120bの光電面を覆うことができる。フィルタ134aは、光検知器120aの光検知面135上にぶつかることによって光源118によって発生される放射線の量を阻止するか又は実質的に減らしても良い。これと同時に、フィルタ134aは、蛍光標識分子116によって発せられる蛍光が通過して光検知器120aの光検知面135にぶつかることを可能にする。これは、光源118からの入射光に起因する光検知器信号内の“ノイズ”を著しく減らす。
【0023】
本発明の一つの特徴に従って、センサー110が開発された用途(決して、これが適する唯一の用途ではないけれども)は、人体内の種々の生物学的分析物を測定することである。例えば、センサー110は、グルコース、酸素、毒素、医薬品その他の薬剤、ホルモン及びその他の人体内の代謝性分析物を測定するために使用することができる。マトリックス層114と標識分子116との特別な組成は、センサーが検知するために使用される特別な分析物及び/又はセンサーが分析物を検知するために使用されるべき場所(すなわち、血液内又は皮下組織内)に応じて変わるかも知れない。しかしながら、もし存在するならば、マトリックス層114は、好ましくは、標識分子を分析物に対して曝すのを容易にすべきである。更に、標識分子の光学的特性(例えば、蛍光標識分子の蛍光レベル)は、標識分子が曝される特別な分析物の濃度の関数であるのが好ましい。
【0024】
人体の生体内での使用を容易にするために、ハウジング112は、滑らかな長円又は丸い形状に形成されるのが好ましい。これは、豆又は医薬品ゼラチンカプセルとほぼ同じ大きさ及び形状、すなわち、長さLが約500ミクロン乃至約0.85インチ(21.59ミリメートル)程度であり、直径Dが約300ミクロン乃至約0.3インチ(7.62ミリメートル)程度であり、内部が概して滑らかで丸い表面であることが有利である。この形状によって、センサー110が、基本的身体機能と干渉することなく又は過剰な痛み又は不快感を惹き起こすことなく、人体内すなわち経皮的に又は下に横たわる組織内(器官又は血管内を含む)に埋め込まれるのを可能にする。
【0025】
幾つかの実施形態においては、ハウジングの好ましい長さは約0.5インチ(12.7ミリメートル)乃至0.85インチ(21.59ミリメートル)であり、好ましい直径は約0.1インチ(2.54ミリメートル)乃至0.11インチ(2.794ミリメートル)である。
【0026】
図1に示されている実施形態においては、光線源118は、回路基板170の頂面171に対して持ち上がっている。より特別には、図示された実施形態においては、光線源118は支持部材174に固定されており、支持部材174は、光線源118を面171の上方へ持ち上げ且つ光線源118を基板170上の回路に電気的に接続して、電力が光線源118に供給されることができるように機能する。光線源118と側面171との間の距離(d)は、概して、0乃至0.030インチ(0.762ミリメートル)の範囲内である。好ましくは、距離(d)は、0.010乃至0.020インチ(0.254乃至0.508ミリメートル)の範囲内である。回路基板170は、支持部材174の基端173を受け入れるための溝180を有していても良い。この特徴は更に、基板170の頂面斜視図である図3に示されている。
【0027】
幾つかの実施形態においては、支持部材174は、その表面上に配置され且つ光線源118に電気的に接続されている電気接点158(例えば、電気を導くための導電性パッド又はその他の器具)を含んでいても良い。接点158は、電気的連結159(例えば、回路トレース又はその他の伝達ライン)を介して、電気的に接続されている。接点157は、回路基板170の回路166又はその他の回路に電気的に接続されていても良い。従って、幾つかの実施形態においては、回路166から光線源118までの電気経路が設けられている。
【0028】
図1に更に示されているように、反射器176を、その端部によって基板170に取り付けても良い。好ましくは、反射器176は、反射器176の面部分177が面171にほぼ直角であり且つ光線源118に対向するように基板170に取り付けられるのが好ましい。好ましくは、面177は、光線源118によって発せられた放射線を反射する。例えば、面177は、その上に配設された反射コーティングを有していても良く又は面177は反射材料によって構成しても良い。
【0029】
光検知器120を参照すると、光検知器120は、光線源118と反射器176との間に配置された面領域171の下方に配置されるのが好ましい。例えば、幾つかの実施形態においては、光検知器120は、光線源118と反射器176との間の領域の下方の位置で基板170の底面175に取り付けられている。光検知器120が基板170の底面175に取り付けられている実施形態においては、各光検知器120のための穴は、基板170を貫通するように形成されるのが好ましい。このことは図3に示されている。図3に示されているように、基板170内には2つの穴301a及び301bが形成されており、それによって、標識分子116からの光が光検知器120へ到達するための通路を提供している。回路基板170内の穴は、例えば、ドリル加工、レーザー加工等によって形成することができる。各光検知器120は、図1に示されているように、穴に入る光が光検知器120の光電面にぶつかりそうな配置とされている。この技術はまた、光検知器120にぶつかる周辺光の量を減らす。
【0030】
図1に更に示されているように、基板170内の各穴は、フィルタ134を含むことができ、光が、対応するフィルタ134を通過することによってのみ光検知器120に到達できるようになされている。光検知器120の底面及び全ての側面は、光検知器120にぶつかる周辺光の量を更に減じるために、暗光を遮蔽するエポキシ樹脂190によって覆うことができる。
【0031】
一つの実施形態においては、光検知器120aは、標識分子116によって射出され又は吸収された光に対応する信号を形成するために使用され、光検知器120bは、基準信号を形成するために使用される。この実施形態においては、蛍光要素154は、フィルタ134bの頂面上に配置することができる。蛍光要素154は、所定の波長で蛍光を発することが好ましい。要素154は、所定の波長で蛍光を発するテルビウム又はその他の蛍光要素によって作ることができる。この実施形態においては、フィルタ134a及びフィルタ134bは、種々の波長の光を濾波する。フィルタ134aは400nm未満の波長を濾波することができ、フィルタ134bは500nm未満の波長を濾波することができる。
【0032】
図2を参照すると、図2は、本発明のもう一つ別の実施形態によるセンサー210を示している。図2に示されているように、センサー210はセンサー110に類似している。主要な相違点は、反射器176が支持部材202によって置換されているという点であり、支持部材202は基板170の端部194に結合されており、光線源118が支持部材202に固定されている。この実施形態においては更に、支持部材174が反射器209によって置き換えられている。反射器176のように、反射器209は光線源118に面している反射面211を有している。更に、その結果、光検知器120aは光線源118に近接したままであり、光検知器120aは、光検知器120bによって置換しても良く、フィルタ134aはフィルタ134bと置換しても良い。蛍光要素154はまた、フィルタ134bの頂部上にとどまることができるように再配置しても良い。
【0033】
図1及び2に示されているように、幾つかの実施形態においては、標識分子116は、光線源118と反射器176との間の領域である領域193の上方の領域内にのみ配置することができる。
【0034】
図4を参照すると、図4は、本発明の別の実施形態による光学ベースのセンサー410の断面図である。センサー410は、センサー110の機械要素と同じ要素を多く含んでいる。しかしながら、センサー410内の光線源118、光検知器120a及びフィルタ134aの配置は、センサー110内の配置と異なっている。
【0035】
図4に示されているように、基部412は、回路基板170の端部413に取り付けられている。基部412の頂面414及び底面416は、各々、基板170の側面171が位置している面にほぼ直角である面内に位置していても良い。底面416は、基板170の端部413を収容する溝418を有していても良い。溝418は、基部412を基板170に固定する助けとなる。
【0036】
光検知器120aは、基部412の頂面414上に取り付けても良い。光検知器120aは、当該光検知器120aの光電面135が基板170の側面171が位置している面にほぼ直角である面内に位置し且つ頂面414と同じ方向に面するように基部412上に取り付けられるのが好ましい。
【0037】
フィルタ134aは、側面135にぶつかる光のほとんど(全部でない場合)が最初にフィルタ134aを通過しなければならないように、光検知器120aの側面135の上方に配置されるのが好ましい。フィルタ134aは、光検知器120aに固定して取り付けても良い。例えば、フィルタ134aを光検知器120aに固定するために、屈折率(RI)適合エポキシ樹脂501(図5参照)を使用しても良い。
【0038】
幾つかの実施形態においては、基部412は、少なくとも2つの電気接点が表面(例えば側面414)上に設けられていても良い。例えば、図4に示されているように、第一の電気接点471と第二の電気接点472とが、基部412の側面414上に設けられている。線473(又は、その他の電気コネクタ)は、光検知器120aを電気接点471に接続するのが好ましく、線474(又はその他の電気接点)は、光線源118を電気接点472に電気的に接続するのが好ましい。接点471は、電気的連結部476を介して対応する接点475に電気的に接続されている。同様に、接点472は、電気的連結部478を介して対応する接点477に電気的に接続されている。接点475、477は、溝418内に挿入されている基板170の端部に設けられるのが好ましい。接点475、477は、回路基板170上の回路166又はその他の回路に電気的に接続しても良い。従って、幾つかの実施形態においては、基部412は、回路166から電源118及び/又は光検知器120aへの電気経路の一部分を提供している。
【0039】
図5を参照すると、図5は更に、光検知器120a、フィルタ134a及び光線源118の配置を示している。図4及び5に示されているように、光線源118は、フィルタ134aの頂面467上に取り付けられている。従って、図4及び5に示されているように、光検知器120a、フィルタ134a及び光線源118は整合されている。すなわち、図5に示されているように、フィルタ134a及び光線源118の両方が、各々、光検知器120aの光電面135の少なくとも一部分の上方の領域内に配置されている。
【0040】
好ましくは、不透明で非半透明な基部431が、光線源118とフィルタ134との間に配置されている。不透明な基部431が、光線源118から射出された光がフィルタ134aの面467にぶつかるのを阻止するように機能する。基部431は、金クラッド−モリブデンのタブ(モリタブ:molytab)又はその他の不透明な構造とすることができる。光線源118を基部431に及び基部431をフィルタ134aに固定するために、エポキシ樹脂555を使用しても良い。
【0041】
好ましくは、この実施形態においては、光線源118は、図4及び5に示されているように、そこから伝達される光のほとんどが側面467から離れる方向へ伝搬されるような構造及び配向とされている。例えば、図示された実施形態においては、光は、主としてハウジング102の端部491へと導かれる。標識分子116は、これらが光線源118から射出される放射線を受け取るように端部491上に配置されているのが好ましい。上記したように、標識分子116は受け取った放射線に応答し、当該応答は、標識分子116の領域内で測定されている分析物の濃度の関数であろう。光検知器120aは当該応答を検知する。
【0042】
図6を参照すると、図6は、本発明の別の実施形態による光学ベースのセンサー610の断面図である。センサー610は、センサー110と同じ構成要素のうちの多くを含んでいる。また、センサー610は、センサー610においては、光検知器120a、フィルタ134a及び光線源118が整合されているのが好ましい点において、センサー410と類似している。更に、センサー410と同様に、センサー610においては、フィルタ134aは光検知器120aの側面135上に取り付けられており、光線源118はフィルタ134aの側面467上に固定取り付けすることができ、光検知器120a、フィルタ134a、光線源118のアセンブリを、図6に示されているように、ハウジング102の端部491に隣接させて配置しても良い。
【0043】
しかしながら、センサー610内の光線源118、光検知器120a及びフィルタ134aの向きは、センサー410内の向きと異なっている。例えば、センサー610においては、光検知器120aの側面135は、ハウジング102の長手軸線にほぼ直角の方向に面している。付加的に、センサー610においては、フィルタ134a及び/又は光検知器120aは、基部412が取り外せるように基板170に直に固定されている。図示された実施形態においては、フィルタ134a及び/又は光検知器120aは、基板170の端部413に直に固定されている。
【0044】
上記の実施形態のうちの1以上においては、ハウジング102は、ハウジング102内に収容されている構成部品が動かないようにするための材料によって充填されていても良い。例えば、ハウジング102は、基板170及び当該基板に取り付けられた構成部品がハウジング120内へ挿入される前か後に光学エポキシ樹脂を充填しても良い。マサチューセッツ州ビルリカにあるEpoxy Technologyによって供給されるEPO−TEK 301−2エポキシ樹脂及び/又はその他のエポキシ樹脂を使用することができる。
【0045】
以上、本発明の種々の実施形態/変更例を上記したけれども、これらは、例示のためにのみ提供されており、限定的なものではないことは理解されるべきである。従って、本発明の広さ及び範囲は、上記した例示的な実施形態のいずれかに限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びそれらの等価物によってのみ規定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物の存在又は濃度を検知するための光電検知装置であり、
外面を有するハウジングと、
当該ハウジングの外面の少なくとも一部分上に配置された複数の標識分子と、
前記ハウジング内に収容された回路基板と、
頂面と底面とを有し、前記回路基板上の回路に電気的に接続されており、当該光検知器の少なくとも頂面が光電性である光検知器と、
頂面と底面とを有し、当該底面は前記光検知器の頂面を覆うように配置されているフィルタと、
当該フィルタの頂面を覆うように配置されている放射線源と、を含んでいる光電検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光電検知装置であり、
頂面及び底面を有している基部を更に含んでおり、前記底面が前記回路基板の端部に取り付けられており、前記光検知器の底面が前記基部の頂面上に取り付けられている光電検知装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光電検知装置であり、
前記基部の頂面が、前記回路基板の頂面が位置している面にほぼ直角である面内に位置している光電検知装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光電検知装置であり、
前記光検知器の頂面が前記基部の頂面とほぼ平行である光電検知装置。
【請求項5】
請求項2に記載の光電検知装置であり、
前記基部の底面が溝を備え、前記回路基板の端部が前記溝内に挿入されている光電検知装置。
【請求項6】
請求項2に記載の光電検知装置であり、
前記基部上に配置されている第一の電気接点と、
前記基部上に設けられている第二の電気接点と、を更に含み、
前記光検知器が前記第一の電気接点に電気的に接続されており、
前記放射線源が、前記第二の電気接点に電気的に接続されている光電検知装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光電検知装置であり、
前記第一の電気接点が前記回路基板上に設けられた第三の電気接点に電気的に接続されており、
前記第二の電気接点が前記回路基板上に配置されている第四の電気接点に電気的に接続されている光電検知装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光電検知装置であり、
前記基部上又は基部内に設けられている回路トレースを更に含み、当該回路トレースは、前記第一の電気接点を前記第三の電気接点と電気的に接続し、前記第二の電気接点を前記第四の電気接点と電気的に接続するように機能する光電検知装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光電検知装置であり、
前記光検知器の頂面が、前記回路基板の頂面が位置する面とほぼ平行である面内に位置している光電検知装置。
【請求項10】
請求項1に記載の光電検知装置であり、
前記放射線源と前記フィルタとの間に設けられた不透明な基部を更に含んでいる光電検知装置。
【請求項11】
請求項10に記載の光電検知装置であり、
前記基部がモリブデンを含んでいる光電検知装置。
【請求項12】
請求項1に記載の光電検知装置であり、
前記フィルタが、エポキシ樹脂を使用して前記光検知器に固定されている光電検知装置。
【請求項13】
請求項12に記載の光電検知装置であり、
前記エポキシ樹脂が、前記フィルタの底面と前記光検知器の頂面との間に設けられている光電検知装置。
【請求項14】
請求項13に記載の光電検知装置であり、
前記エポキシ樹脂の屈折率が前記フィルタの屈折率に適合している光電検知装置。
【請求項15】
請求項1に記載の光電検知装置であり、
前記放射線源が発光ダイオードである光電検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−118086(P2012−118086A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−14025(P2012−14025)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【分割の表示】特願2008−506490(P2008−506490)の分割
【原出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(501078166)センサーズ・フォー・メデセン・アンド・サイエンス・インコーポレーテッド (17)
【Fターム(参考)】