説明

光電気複合型コネクタ

【課題】ある部分に塗布すべき樹脂と他の部分に塗布すべき樹脂とを明確に使い分ける等して組立時間の短縮化等を図ることができる光電気複合型コネクタを提供する。
【解決手段】第一のタイプの構成部品が配置される第一の凹部と、第二のタイプの構成部品が配置される第二の凹部と、第一の凹部と第二の凹部の間に配した仕切りを有する。第一の凹部は、第一の樹脂を用いて封止され、第二の凹部は、第一の樹脂を用いて第一の凹部が封止された後に第二の樹脂を用いて封止される。第一の凹部を第一の樹脂を用いて封止する際、仕切りによって、第一の樹脂が第二の凹部に流れ込むことを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電気複合型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光電気複合型コネクタの一例が特開2007年121697号公報に開示されている。図9に、ここに開示された光電気複合型コネクタ100の中心線横断面図を示す。
【0003】
コネクタ100の基板106には、様々な部品、例えば、光素子に相当する発光素子103、受光素子104、およびチップ部品105が搭載されており、これらの搭載部品を保護或いは固定するため、ここでは、フェルール102と基板106を被着するための透明樹脂110と、基板106上に搭載される光素子を被覆するエンキャプシュレーション樹脂111の2種類の樹脂を使用することとしている。
【0004】
このように2種類の樹脂が使用されているにもかかわらず、透明樹脂110を塗布する部分と、エンキャプシュレーション樹脂111を塗布する部分の間は、何も仕切られておらず、この結果、一方の樹脂が他方の樹脂に流れ込んで、好ましくない結果を生じることがある。
【0005】
また、例えば、紫外線(UV)硬化樹脂のみを使ってこれらを封止すると、紫外線照射が届かなかった樹脂が未硬化状態で染み出してしまう等の不具合を生じさせるおそれあり、また、熱硬化樹脂のみを使って封止すると、硬化完了まで調心状態を保持しておかなければならないことから、組立が複雑化し、また、組立に非常に時間がかかるといった問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007年121697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は、このような従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、ある部分に塗布すべき樹脂と他の部分に塗布すべき樹脂とを明確に使い分ける等して組立時間の短縮化等を図ることができる、光電気複合型コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第一のタイプの構成部品が配置される第一の凹部と、第二のタイプの構成部品が配置される第二の凹部と、前記第一の凹部と前記第二の凹部の間に配した仕切りを有する光電気複合型コネクタであって、前記第一の凹部は、第一の樹脂を用いて封止され、前記第二の凹部は、前記第一の樹脂を用いて前記第一の凹部が封止された後に第二の樹脂を用いて封止され、前記第一の凹部を前記第一の樹脂を用いて封止する際、前記仕切りによって、前記第一の樹脂が前記第二の凹部に流れ込むことを防止する光電気複合型コネクタを特徴とする。
【0009】
上記コネクタにおいて、前記第一のタイプの構成部品は、光信号と電気信号の間で変換を行う光電気変換部品と、光信号を伝送する光部品を含み、前記第二のタイプの構成部品は、電気信号を処理する電気部品を含んでもよい。
【0010】
また、上記コネクタにおいて、前記第一の凹部と前記第二の凹部は、前記光電気複合型コネクタのハウジングによって構成され、前記仕切りは、前記ハウジングの一部で構成されてもよい。
また、前記第一の凹部と前記第二の凹部は、前記光電気複合型コネクタのハウジングによって構成され、前記仕切りは、前記ハウジングとは別体で構成されてもよい。
更に、前記光部品と前記電気部品の間に配した前記光電気変換部品を前記仕切りとして利用することもできる。
尚、上記コネクタにおいて、前記仕切りの高さは、前記光電気変換部品の上面の高さと略同じであってもよい。
【0011】
更に、上記コネクタにおいて、前記第一の凹部は、紫外線硬化樹脂を流し込むことによって封止され、前記第二の凹部は、熱硬化樹脂を流し込むことによって封止されてもよい。
また、上記コネクタにおいて、前記光電気変換部品の上面の前記電気接続部と前記第二の凹部は、前記熱硬化樹脂によって封止されてもよい。
【0012】
また、上記コネクタにおいて、前記第一の凹部の体積を減少させることによって前記紫外線硬化樹脂の量を減少させることが好ましい。
更に、上記コネクタにおいて、前記第一の凹部に光ファイバケーブルを配し、前記光ファイバケーブルの固定部を狭めることによって前記第一の凹部の体積を減少させることができる。
【0013】
尚、上記コネクタにおいて、前記光電気複合型コネクタは、相手コネクタと対で光電気変換装置を構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明によれば、一方の部分に塗布すべき樹脂と他方の部分に塗布すべき樹脂を使い分けることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本願発明による光電気変換装置の使用例であって、レセプタクルコネクタとプラグコネクタの嵌合後の状態を示す斜視図である。
【図2】本願発明による光電気変換装置の使用例であって、レセプタクルコネクタとプラグコネクタの嵌合前の状態を示す斜視図である。
【図3】嵌合側から見たプラグコネクタの平面図である。
【図4】嵌合側から見たプラグコネクタの斜視図である。
【図5】グランド板の上面斜視図である。
【図6】グランド板と一体成形されたプラグハウジングの上面斜視図を、プラグ端子を取り付ける前の状態で示した図である。
【図7】グランド板と一体成形されたプラグハウジングの上面斜視図を、プラグ端子を取り付けた後の状態で示した図である。
【図8】封止工程を図3の中心線横断面図として示す図である。
【図9】従来技術による光電気複合型コネクタの中心線横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照しつつ、本願発明の好適な実施形態を以下に説明する。
図1、図2に、本願発明の一つの実施形態による光電気変換装置10の使用例を示す。光電気変換装置10は、互いに嵌合され得るレセプタクルコネクタ20(相手コネクタ)とプラグコネクタ(光電気複合型コネクタ)30の対から成る。図1は、嵌合後の状態、図2は、嵌合前の状態を、それぞれ示す。プラグコネクタ30は、レセプタクル20の凹状の嵌合部23に嵌め込んで使用する。プラグコネクタ30とレセプタクルコネクタ20は互いに嵌合されて初めて、1つの光電気変換装置10として形成され得る。
【0017】
プラグコネクタ30は、図示のように、光ファイバケーブル12を介して互いに接続されてもよい。また、特に図示していないが、光ファイバケーブル12の一端にのみプラグコネクタ30を設け、他端を装置に接続してもよい。レセプタクルコネクタ20は、これと異なり、配線基板等(図示していない)に固定して使用する。
【0018】
レセプタクルコネクタ20は、一般的な電気コネクタと考えてよい。一方、プラグコネクタ30は、様々な光電気交換部品を備えることによって、電気・光変換機能(送信機能と捉えることもできる)を発揮することもできるし、光・電気変換機能(受信機能と捉えることもできる)を発揮することもできる。例えば、レセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30の嵌合時には、プラグコネクタ30に設けた光電気変換部品の働きによって、光ファイバケーブル12を通じて伝達された光信号を電気信号に変換した後に、配線基板に伝達することもできるし、逆に、配線基板を通じて伝達された電気信号を光信号に変換した後に、光ファイバケーブル12に伝達することもできる。
【0019】
レセプタクルコネクタ20は、枠状のレセプタクルハウジング21と、これに設置される複数のレセプタクル端子84、更に、レセプタクルハウジング21の外部を覆うレセプタクルシェル27を有する。図示のように、レセプタクルハウジング21を枠状として、プラグコネクタ30を嵌め込む嵌合部23を形成してもよい嵌合部23の底部は、レセプタクルコネクタ20自体によって形成されてもよいし、図示のように、レセプタクルコネクタ20を固定する配線基板等によって形成されてもよい。
【0020】
レセプタクル端子84は、レセプタクルハウジング21に圧入固定される。レセプタクル端子84には、グランド端子(G)85と信号端子(S)86の2種類の端子が含まれる。これら2種類の端子85、86は、長手方向に並行に延びるレセプタクルハウジング21の側壁部29のそれぞれに、先端側からGSGSSSGの順に、嵌合部23の外側面と上面の双方を取り巻くように配置され、それらの端部は配線基板に半田付けされる。ただし、グランド端子85や信号端子86の数は任意である。これらグランド端子85及び信号端子86は各々、それらの一部87において嵌合部23に突出し、プラグコネクタ30が嵌合部23に嵌め込まれた際、プラグコネクタ30側の対応端子(プラグ端子34)と接続され得る。
【0021】
レセプタクルシェル27は、レセプタクルハウジング21の側面の略全体と、その上面の一部を覆う。レセプタクルシェル27は、圧入部分24をレセプタクルハウジング21に圧入等することによって、レセプタクルハウジング21に固定されている。圧入部分24の先端付近は、嵌合部23に突出する弾性突出部22として形成され、レセプタクルコネクタ20の嵌合部23にプラグコネクタ30が嵌め込まれた際、この弾性突出部22がプラグコネクタ30側の対応ロック部65と係合して、プラグコネクタ30とレセプタクルコネクタ20の嵌合をロックする。
【0022】
レセプタクルハウジング21やレセプタクルハウジング21の外部を覆うレセプタクルシェル27は、レセプタクル端子84の固定位置との関係で外部に延出されている。例えば、レセプタクル端子84の圧入位置は、レセプタクルハウジング21の上面25よりも深い位置に設定され、また、レセプタクルシェル27の上面28は、レセプタクル端子84よりも一段高く設定されている。このような構成とすることにより、レセプタクル端子84をレセプタクルハウジング21やレセプタクルシェル27の内側に位置付け、レセプタクル端子84が外部に出っ張らない構造とし、レセプタクルコネクタ20に触れたときでも、グランドであるレセプタクルシェル27にだけ触れるようにして、特に信号端子86の外部接触が効果的に防止されている。尚、レセプタクルハウジング21のこのような構成は、レセプタクル端子84自体を保護する他、レセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30の嵌合時に、プラグコネクタ30に設けたプラグ端子34の外部接触を防止する利点もある。
【0023】
プラグコネクタ30は、プラグハウジング31と、これに設置される複数のプラグ端子34、更に、プラグハウジング31と一体成形されるグランド板60を有する。図3に、レセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30の嵌合側から見たプラグコネクタ30の平面図を、図4に、その斜視図を、それぞれ示す。更に、図5に、グランド板60だけの上面斜視図を、図6に、グランド板と一体成形されたプラグハウジングの上面斜視図をプラグ端子を取り付ける前の状態で、図7に、グランド板と一体成形されたプラグハウジングの上面斜視図をプラグ端子を取り付けた後の状態で、それぞれ示す。
【0024】
プラグ端子34は、グランド端子85と同様に、グランド端子(G)35と信号端子(S)36の2種類の端子を含む。これら2種類の端子は、プラグハウジング31の先端側からGSGSSSGの順に配列される。このようにグランド端子35を信号端子36よりも先端側に配置することにより、例えば、先端側から位置決めを行うような方法でレセプタクルコネクタ20の嵌合部23にプラグコネクタ30を嵌め込んだときは(通常の取り付け方法と考えられる)、信号端子36よりも先にグランド端子35をレセプタクルコネクタ20側のグランド端子85と接触させることができ、雑音等が信号端子36に与える影響を少なくすることができる。尚、グランド端子や信号端子の数は、レセプタクル端子と同様、任意である。
【0025】
プラグ端子34は、圧入端子として、プラグハウジング31に圧入固定される。プラグハウジング31とグランド板60を一体成形した後、プラグ端子34をプラグハウジング31に圧入するとしたことにより、一体成形の際にかかる熱や金型との接触による悪影響を無視することができる。レセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30の嵌合の際、プラグ端子34は、レセプタクル端子84と、対応端子同士で接続される。これらプラグ端子34やレセプタクル端子84は、プラグハウジング31やレセプタクルハウジング21の長手方向に沿って配列されていることから、嵌合時には、それらの長手方向に沿って複数の端子間接続が生じることになる。
【0026】
プラグハウジング31は、全体として略直方形状であるが、プラグ端子34の固定位置との関係で外部に延出されている。言い換えれば、図7等に示すように、プラグ端子34の圧入位置は、プラグハウジング31の外側面73や上面74よりも深い位置に設定されている。例えば、プラグハウジング31の上面74は、プラグ端子34同士の間に設けた壁32を利用してプラグ端子34よりも一段高く設定されており、また、プラグハウジング31の外側面73は、壁32を利用してプラグ端子34よりも外部に突出した状態とされている。このような構成とすることにより、プラグ端子34をプラグハウジング31の内側に位置付け、プラグ端子34が外部に出っ張らない構造とし、プラグコネクタ30に触れたときでも、プラグ端子34には触れることがないようにして、特に信号端子36の外部接触が効果的に防止されている。信号端子36に指等が触れた場合には、静電気で内部チップを破損させる危険があるが、このような構成とすれば、危険を効果的に取り除くことができる。
【0027】
プラグハウジング31は、レセプタクルコネクタ20との嵌合側に2つの凹部、即ち、第一の凹部46と第二の凹部47を有する。これら2つの凹部46、47に、様々な構成部品を配置して、装置の小型化を図っている。これらの凹部46、47は、長手方向に並行に延びる2つの側壁部49や、グランド板60と一体成形された底部或いはグランド板60の露出部を利用して形成されている。更に、これらの凹部46、47は、プラグハウジング31の一部等によって形成された仕切り39によって互いに仕切られ、異なるタイプの樹脂によって封止される。
【0028】
図8に、樹脂の封止工程を図3の中心線横断面図として示している。図8の(a)は、図3に対応する状態、即ち、光学関連部品が配置された後の状態を示す図、(b)は、第一の凹部46に第一の樹脂57を流し込んで封止した後の状態を示す図、(c)は、第一の樹脂57で第一の凹部46を封止した後に、第二の樹脂58で第二の凹部47と第一の凹部46の一部を封止した後の状態を示す図である。第一の凹部46には、半導体レーザー或いはフォトダイオードのような面発光型の光半導体(VCSEL)43や、光半導体43を前面に支持するためのサブマウント44のような、光信号と電気信号の間で変換を行う光電気変換部品、或いは、光ファイバケーブル12のような、光信号を伝送する光部品(これらの光学関連部品を「第一のタイプの構成部品」と呼ぶ)が配置される。この第一の凹部46は、図8の(a)に示すように、光学関連部品を配置した後に、図8の(b)に示すように、紫外線(UV)硬化樹脂(第一の樹脂)57をそこに流し込むことによって封止される。このとき、第一の凹部46と第二の凹部47の間に設けた仕切り39によって、紫外線硬化樹脂57が、第二の凹部47に流れ込むことは防止される。また、第一の凹部46側の仕切り39の壁面に、斜め下方に延びる案内用の盛り上がり71(図4参照)を形成し、紫外線硬化樹脂が仕切り39を超えて第二の凹部47に溢れ出しても、樹脂57が凹部47で露出している金属ワイヤーを結線する端子の金属部に接触することを阻止することができる。第一の凹部46を封止する樹脂として紫外線硬化樹脂を用いることとしたのは、第一の構成部品については、短時間に精度よく固定するのが好ましいからである。例えば、第一の凹部46では、光ファイバケーブル12のファイバ素線14の端面17を光半導体43に対して調心させる必要があるが、仮に熱硬化樹脂を用いた場合は、熱膨張によって調心位置がずれ、また、硬化までに時間がかかることから、硬化完了まで調心状態を正確に保持する必要が生じ、組立が困難になってしまう。紫外線硬化樹脂を用いることにより、短時間に精度良く確実に調心、固定を行うことができ、組立を容易にすることができる。
【0029】
第二の凹部47には、ICパッド51や離れた端子への配線を可能にする信号中継部品52のような電気信号だけを処理する電気部品(この電気部品を「第二のタイプの構成部品」と呼ぶ)が配置される。信号中継部品52は、少なくとも一面にインピーダンス整合した伝送経路54を有し、伝送経路54の端部には、金属ワイヤー53の一端が結線され、金属ワイヤー53の他端はコネクタ端子36やICパッド51に接続される。第二の凹部47は、これらの電気部品を配置した後であって、好ましくは、図8の(b)に示すように、紫外線硬化樹脂57で第一の凹部46を封止した後に、図8の(c)に示すように、熱硬化樹脂(第二の樹脂)58をそこに流し込むことによって封止される。一般に、第二の凹部47には通常の電気部品を実装する必要があるが、この場合は構造が複雑となり、例えば、金属ワイヤー53やその他電気部品の影となる複雑な部分に紫外線硬化樹脂57が流れ込んでしまうと、紫外線の照射が届かず、この結果、未硬化状態の樹脂が染み出して、接点等に悪影響を与える危険が生じてしまう。一方、熱硬化樹脂58を用いた場合には、このような危険を生じさせることはない。このような理由から、第二の凹部47については、紫外線硬化樹脂ではなく、熱硬化樹脂58を用いることとしている。
【0030】
尚、第一の凹部46については、その体積を可能な限り減少させて紫外線硬化樹脂57の量を減少させるのが好ましい。充填量を減らすことにより、硬化収縮による調心ズレへの影響を低減させることができる。例えば、V溝40を設ける等して、光ファイバケーブル12のファイバ固定部をファイバの径に合わせて狭めて、体積を減少させてもよい。
【0031】
仕切り39は、上述したように、一体成形したプラグハウジング31の一部として形成してもよいが、プラグハウジング31とは別体で形成してもよい。更に、第一の凹部46と第二の凹部47の境界に、光学関連部品の1つであるサブマウント44を可能な限り接近させた状態で配置して、仕切り39として併用してもよい。
【0032】
仕切り39の高さは、サブマウント44の上面45の高さと略同じであってもよい。このような高さとした場合、図8の(c)に示すように、紫外線硬化樹脂57によって封止された第一の凹部46に、第二の凹部47を封止するための熱硬化樹脂58を多少流し込むことができる。信号中継部品52の伝送経路54やICパッド51、サブマウント44の上面45等には、金属ワイヤー53を利用した電気接続部が設けられているが、紫外線硬化樹脂57によって封止された第一の凹部46にも、第二の凹部47を封止するための熱硬化樹脂58を多少流し込むことにより、これらの電気接続部をも、熱硬化樹脂58によって封止できる。このような構成によれば、第一の凹部46においても、ワイヤボンディング、或いは、金属ワイヤー53を保護することができる。
【0033】
グランド板60は、図5に示すように予め所定の形状に折り曲げた状態で、プラグハウジング31と一体成形される。成形後のプラグハウジング31にグランド板60を実装すると、組立時間もコストもかかり、強度面でも不利になる。一体成形することにより、このような問題は解消される。但し、一体成形後も、グランド板60の一部は、プラグハウジング31から露出した状態とする。露出部には、例えば、グランド板60の底部62の一部や、先端側上面に設けたグランド端子接触部64、後端側側面に設けたロック部65が含まれる。
【0034】
底部62の一部を露出させることとしたのは、光半導体43やサブマウント44等の実装を容易にするためである。実装部分を金属とすることにより、構成部品をリフロー等によって半田実装できる。構成部品からの電磁波の外部漏洩を防ぐため、グランド板60の中央付近で一部両側側面を垂直に立ち上げて壁63(図5参照)を形成してもよい。但し、これらの壁63は、プラグハウジング31によって完全に覆われており、外部には露出させていない。
【0035】
グランド板60の一部を上方で折返すことによって、グランド端子接触部64が形成されている。グランド端子接触部64を露出させることにより、プラグコネクタ30のグランド端子35を直接接触させることができるようにして、グランド板60とグランド端子35の導通を容易にすることができる。
【0036】
更に、ロック部65やその周辺付近でグランド板60を露出させ、ロック部を金属で形成してもよい。これにより、ロックを強化し、加えて、グランド機能を強化することができる。ロック部65は、例えば、光ファイバケーブル12、特に、そのファイバ素線14の配置付近で、グランド板60の一部両側側面を垂直に立ち上げることによって形成され得る。尚、ロック部65の上部は強度を保つため、或いは、弾性突出部22との衝突を和らげて嵌合をスムーズにする等のため、半円筒状に折り曲げておくのが好ましい。ロック部65の底部付近には、切欠を設けてロック孔67を形成する。レセプタクルコネクタ20の嵌合部23にプラグコネクタ30を嵌め込んだ際、このロック孔67にレセプタクルコネクタ20の弾性突出部22を係合させて、プラグコネクタ30とレセプタクルコネクタ20の嵌合をロックすることができる。尚、この構成によれば、抜去力を強化し、ロック時にクリック感を持たせることもできる。更に、この構成では、ロック時に、レセプタクルシェル27の一部である弾性突出部22と、グランド板60の一部であるロック孔67等が直接接触するため、プラグコネクタ30のグランド板60とレセプタクルコネクタ20のレセプタクルシェル27を嵌合時に電気的に接触させて、グランド機能を強化することができる。尚、嵌合側に位置付けられたロック孔67の頂上部70、即ち、半円筒状の頂上付近は、プラグコネクタ30とレセプタクルコネクタ20の嵌合時に、ロック孔67よりもレセプタクルコネクタ20の嵌合部23に接近した側に位置付けられていることから、レセプタクルコネクタ20の弾性突出部22とプラグコネクタ30のロック孔67を係合させる前、更に言えば、プラグ端子34とレセプタクル端子84を接触させる前に、弾性突出部22と頂上部70を接触させることにより、グランド板60とシェル27を電気的に接続させて、グランド機能をより確実に発揮させることもできる。尚、プラグコネクタ30(グランド板60)の後端近傍に設けたツマミ37は、レセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30の嵌合を解除する際に使用され得る。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本願発明は、光と電気を混合して使用する通信に幅広く用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
10 光電気複合型コネクタ
20 レセプタクルコネクタ
21 レセプタクルハウジング
22 弾性突出部
27 レセプタクルシェル
30 プラグコネクタ
31 プラグハウジング
34 プラグ端子
35 グランド端子
36 信号端子
37 ツマミ
38 凹形状
39 仕切り
42 端子配列部
44 サブマウント
46 第一の凹部
47 第二の凹部
60 グランド板
84 レセプタクル端子(第2端子)
85 グランド端子
86 信号端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電気複合型コネクタにおいて、第一のタイプの構成部品が配置される第一の凹部と、第二のタイプの構成部品が配置される第二の凹部と、前記第一の凹部と前記第二の凹部の間に配した仕切りを有し、前記第一の凹部は、第一の樹脂を用いて封止され、前記第二の凹部は、前記第一の樹脂を用いて前記第一の凹部が封止された後に第二の樹脂を用いて封止され、前記第一の凹部を前記第一の樹脂を用いて封止する際、前記仕切りによって、前記第一の樹脂が前記第二の凹部に流れ込むことを防止することを特徴とする光電気複合型コネクタ。
【請求項2】
前記第一のタイプの構成部品は、光信号と電気信号の間で変換を行う光電気変換部品と、光信号を伝送する光部品を含み、前記第二のタイプの構成部品は、電気信号を処理する電気部品を含む請求項1に記載の光電気複合型コネクタ。
【請求項3】
前記第一の凹部と前記第二の凹部は、前記光電気複合型コネクタのハウジングによって構成され、前記仕切りは、前記ハウジングの一部で構成される請求項1又は2に記載の光電気複合型コネクタ。
【請求項4】
前記第一の凹部と前記第二の凹部は、前記光電気複合型コネクタのハウジングによって構成され、前記仕切りは、前記ハウジングとは別体で構成される請求項1又は2に記載の光電気複合型コネクタ。
【請求項5】
前記光部品と前記電気部品の間に配した前記光電気変換部品を前記仕切りとして利用する請求項2に記載の光電気複合型コネクタ。
【請求項6】
前記仕切りの高さは、前記光電気変換部品の上面の高さと略同じである請求項3又は4に記載の光電気複合型コネクタ。
【請求項7】
前記第一の凹部は、紫外線硬化樹脂を流し込むことによって封止され、前記第二の凹部は、熱硬化樹脂を流し込むことによって封止される請求項1乃至6のいずれかに記載の光電気複合型コネクタ。
【請求項8】
前記光電気変換部品の上面の前記電気接続部と前記第二の凹部は、前記熱硬化樹脂によって封止される請求項7に記載の光電気複合型コネクタ。
【請求項9】
前記第一の凹部の体積を減少させることによって前記紫外線硬化樹脂の量を減少させる請求項7又は8に記載の光電気複合型コネクタ。
【請求項10】
前記第一の凹部に光ファイバケーブルを配し、前記光ファイバケーブルの固定部を狭めることによって前記第一の凹部の体積を減少させる請求項9に記載の光電気複合型コネクタ。
【請求項11】
前記光電気複合型コネクタは、相手コネクタと対で光電気変換装置を構成する請求項1乃至10のいずれかに記載の光電気複合型コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−101408(P2013−101408A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−36880(P2013−36880)
【出願日】平成25年2月27日(2013.2.27)
【分割の表示】特願2009−118497(P2009−118497)の分割
【原出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(390005049)ヒロセ電機株式会社 (383)
【Fターム(参考)】