光音響計測装置
【課題】光音響計測装置において、簡易に装置の動作モードを切り替えることができるようにする。
【解決手段】プローブ11は、被検体に対して音響波を送信する音響波送信部と、レーザユニット13から導光された光を被検体に向けて出射する光照射部と、被検体に対する光照射により被検体内で生じた光音響波、及び、被検体内に送信された音響波に対する反射音響波を検出する音響波検出部を含む。プローブ11にはモード切替スイッチ15が設けられる。制御手段22は、モード切替スイッチ15の操作に応じて、音響波検出部で少なくとも光音響波を検出する動作モードと、音響波検出部で光音響波を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替える
【解決手段】プローブ11は、被検体に対して音響波を送信する音響波送信部と、レーザユニット13から導光された光を被検体に向けて出射する光照射部と、被検体に対する光照射により被検体内で生じた光音響波、及び、被検体内に送信された音響波に対する反射音響波を検出する音響波検出部を含む。プローブ11にはモード切替スイッチ15が設けられる。制御手段22は、モード切替スイッチ15の操作に応じて、音響波検出部で少なくとも光音響波を検出する動作モードと、音響波検出部で光音響波を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替える
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光音響計測装置に関し、更に詳しくは、被検体に光を照射し、光照射により被検体内で生じた音響波を検出する光音響計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内部の状態を非侵襲で検査できる画像検査法の一種として、超音波検査法が知られている。超音波検査では、超音波の送信及び受信が可能な超音波探触子を用いる。超音波探触子から被検体(生体)に超音波を送信させると、その超音波は生体内部を進んでいき、組織界面で反射する。超音波探触子でその反射音波を受信し、反射超音波が超音波探触子に戻ってくるまでの時間に基づいて距離を計算することで、内部の様子を画像化することができる。
【0003】
また、光音響効果を利用して生体の内部を画像化する光音響イメージングが知られている。一般に光音響イメージングでは、パルスレーザ光を生体内に照射する。生体内部では、生体組織がパルスレーザ光のエネルギーを吸収し、そのエネルギーによる断熱膨張により超音波(光音響信号)が発生する。この光音響信号を超音波プローブなどで検出し、検出信号に基づいて光音響画像を構成することで、光音響信号に基づく生体内の可視化が可能である。
【0004】
光音響画像と超音波画像とを生成可能な装置が、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1では、操作パネル上に設けられたキーボード、トラックボール、マウス等を用いて、光音響画像データの収集開始コマンドを入力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】2005−218684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、光音響画像と超音波画像とを生成可能な装置においては、超音波画像、光音響画像、及び超音波画像と光音響画像とを重畳した画像の3通りの画像が表示(生成)可能である。特許文献1においては、画像の切り替えは、操作パネル上に設けられたキーボード、トラックボール、マウス等を操作することでなされる。しかし、その場合、操作者は、いちいち操作パネルを操作するために体の向きを変えたり、プローブを一度手から離したりする必要があり、操作が面倒であった。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、操作者が、簡易に表示画像を切り替えることができる光音響計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、光源と、被検体に対して音響波を送信する音響波送信部と、光源から導光された光を被検体に向けて出射する光照射部と、被検体に対する光照射により被検体内で生じた光音響波、及び、被検体内に送信された音響波に対する反射音響波を検出する音響波検出部を含むプローブと、プローブに設けられたモード切替スイッチと、モード切替スイッチの操作に応じて、音響波検出部で少なくとも光音響波を検出する動作モードと、音響波検出部で光音響信号を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替える制御部とを備えたことを特徴とする光音響計測装置を提供する。
【0009】
本発明では、動作モードが、音響波検出部で光音響波を検出する第1の動作モードと音響波検出部で反射音響波を検出する第2の動作モードと、音響波検出部で光音響波及び反射音響波の双方を検出する第3の動作モードとを含み、制御部が、モード切替スイッチが操作されるたびに第1〜第3の動作モードの間で動作モードを切り替えることとしてもよい。
【0010】
制御部が、初期状態では動作モードを音響波検出部で光音響波を検出しない動作モードに設定することが好ましい。
【0011】
モード切替スイッチには、オルタネート動作のプッシュスイッチを用いることができる。
【0012】
本発明の光音響計測装置は、光音響波及び反射音響波の検出信号に基づいて光音響画像及び音響波画像を生成する画像生成部を更に備える構成とすることができる。
【0013】
プローブは、音響波送信部と光照射部とのうちの少なくとも一方を更に含んでいてもよい。
【0014】
光源が、相互に異なる複数の波長の光を出射可能であり、被検体に照射されるべき光の波長を選択するための波長選択スイッチを更に備え、制御部が、動作モードに切替えに加えて、波長選択スイッチの操作に応じて光源から出射する光の波長を制御することとしてもよい。波長選択スイッチは、プローブに設けることができる。
【0015】
制御部が、波長選択スイッチの操作に応じて、光源から第1の波長の光を出射させ、第1の波長とは異なる第2の波長の光を出射させ、又は、第1の波長の光と第2の波長の光とを交互に出射させることとすることができる。
【0016】
波長選択スイッチには、スライドスイッチを用いることができる。
【0017】
プローブが被検体に接触しているか否かを判断する接触状態判断部を更に備え、接触状態判断部がプローブが被検体に接触していると判断したときに、被検体に対する光照射が行われるようにしてもよい。
【0018】
接触状態判断部は、反射音響波の検出信号に基いて、プローブが被検体に接触しているか否かを判断してもよい。
【0019】
本発明は、また、光源と、被検体に対して音響波を送信する音響波送信部と、光源から導光された光を被検体に向けて出射する光照射部と、被検体に対する光照射により被検体内で生じた光音響波、及び、被検体内に送信された音響波に対する反射音響波を検出する音響波検出部を含むプローブと、動作モードを切り替えるためのモード切替スイッチと、光源から出射すべき光の波長を選択するための波長選択スイッチと、モード切替スイッチの操作に応じて、音響波検出部で少なくとも光音響波を検出する動作モードと、音響波検出部で光音響信号を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替え、かつ、波長選択スイッチの操作に応じて光源から出射する光の波長を制御する制御部とを備え、モード切替スイッチと波長選択スイッチの少なくとも一方がプローブに設けられていることを特徴とする光音響計測装置を提供する。
【0020】
本発明の光音響計測装置は、モード切替スイッチと波長選択スイッチの双方がプローブに設けられている構成としてもよい。
【0021】
モード切替スイッチには、オルタネート動作のプッシュスイッチを用いることができる。
【0022】
上記したものに代えて、モード切替スイッチ及び波長選択スイッチとのうち波長選択スイッチのみがプローブに設けられており、モード切替スイッチに、操作者が足で操作するフットスイッチを用いることとしてもよい。フットスイッチには、オルタネート動作するものを用いることができる。
【0023】
波長選択スイッチには、スライドスイッチを用いることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の光音響計測装置では、プローブにモード切替スイッチを設け、そのスイッチを操作することで、光音響信号の検出を含む動作モードと、光音響信号の検出を含まない動作モードとの間で動作モードを切り替える。操作者は、プローブに設けられたスイッチを操作するだけで生成される画像の切り替えを行うことができ、表示画像を簡易に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態の光音響計測装置を示すブロック図。
【図2】プローブの外観を示す図。
【図3】動作モードが超音波画像生成のモードであるときの動作手順を示すフローチャート。
【図4】動作モードが光音響画像生成のモードであるときの動作手順を示すフローチャート。
【図5】動作モードが双方の画像を生成するモードであるときの動作手順を示すフローチャート。
【図6】超音波画像を例示する図。
【図7】光音響画像を例示する図。
【図8】光音響画像と超音波画像とを重畳した画像を例示する図。
【図9】本発明の第2実施形態の光音響計測装置を示すブロック図。
【図10】プローブの外観を示す図。
【図11】レーザユニットの構成を示すブロック図。
【図12】波長選択素子、駆動手段、及び駆動状態検出手段の構成例を示す図。
【図13】本発明の第3実施形態の光音響計測装置を示すブロック図。
【図14】変形例の光音響計測装置を示すブロック図。
【図15】変形例におけるプローブの外観を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の光音響計測装置を示す。光音響計測装置10は、超音波探触子(プローブ)11、超音波ユニット12、及びレーザ光源(レーザユニット)13を備える。レーザユニット13は、光源であり、被検体に照射するレーザ光を生成する。レーザ光の波長は、観察対象物に応じて適宜設定すればよい。レーザユニット13が出射するレーザ光は、例えば光ファイバなどの導光手段を用いてプローブ11まで導光される。
【0027】
プローブ11は、レーザユニット13から導光された光を被検体に向けて照射する光照射部を含む。また、被検体に対して音響波(典型的には超音波)を送信する音響波送信部と、及び被検体からの音響波の検出(受信)を行う音響波検出部とを含む。プローブ11は、例えば一次元的に配列された複数の超音波振動子を有する。プローブ11は、例えば超音波画像の生成時は複数の超音波振動子から音響波を出力し、出力された音響波に対する反射音響波(以下、反射音響信号とも呼ぶ)を検出する。プローブ11は、光音響画像生成時は、被検体内の測定対象物がレーザユニット13からのレーザ光を吸収することで生じた音響波(以下、光音響信号とも呼ぶ)を検出する。なお、プローブ11は、少なくとも音響波検出部を含んでいればよく、音響波送信部と光照射部との双方、又は何れか一方がプローブ11の外部に設けられていてもよい。
【0028】
プローブ11には、装置の動作モードを切り替えるためのモード切替スイッチ15が設けられる。モード切替スイッチ15には、例えばオルタネート動作のプッシュスイッチを用いることができる。モード切替スイッチ15は、プローブ11の音響波検出部で少なくとも光音響波を検出する動作モードと、音響波検出部で光音響波を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替えるために使用される。動作モードは、例えば音響波検出部で光音響波を検出する第1の動作モードと、反射音響波を検出する第2の動作モードと、光音響波及び反射音響波の双方を検出する第3の動作モードとを含む。医師などの操作者は、モード切替スイッチ15を押すことで、光音響信号の検出、反射音響信号の検出、及び光音響信号と反射音響信号の双方の検出を切り替えることができる。
【0029】
超音波ユニット12は、受信回路16、AD変換手段17、画像再構成手段18、検波手段19、対数変換手段20、画像構築手段21、制御手段22、送信制御回路23を有する。受信回路16は、プローブ11が有する複数の超音波振動子が検出した音響波の検出信号(光音響信号又は反射音響信号)を受信する。AD変換手段17は、受信回路16が受信した音響波の検出信号をデジタル信号に変換する。AD変換手段17は、例えば所定のサンプリング周期で音響波の検出信号をサンプリングする。
【0030】
超音波ユニット12は、プローブで検出された光音響波及び反射音響波の検出信号を処理する検出信号処理部を有する。信号処理部は、例えば、プローブ11が検出した音響波の検出信号に基づいて断層画像を生成する画像生成部として構成される。図1では、画像再構成手段18、検波手段19、対数変換手段20、及び画像構築手段21が画像生成部を構成する。画像生成手段の機能は、コンピュータが所定のプログラムに従って処理を動作することで実現できる。画像生成部は、プローブ11が受信した光音響信号に基づいて第1の断層画像(光音響画像)を生成すると共に、プローブ11が受信した反射音響信号に基づいて第2の断層画像(超音波画像)を生成する。
【0031】
画像再構成手段18は、プローブ11の複数の超音波振動子で検出された音響波の検出信号に基づいて、断層画像の各ラインのデータを生成する。画像再構成手段18は、例えばプローブ11の64個の超音波振動子からのデータを、超音波振動子の位置に応じた遅延時間で加算し、1ライン分のデータを生成する(遅延加算法)。画像再構成手段18は、遅延加算法に代えて、CBP法(Circular Back Projection)により再構成を行ってもよい。あるいは画像再構成手段18は、ハフ変換法又はフーリエ変換法を用いて再構成を行ってもよい。
【0032】
検波手段19は、画像再構成手段18が出力する各ラインのデータの包絡線を出力する。対数変換手段20は、検波手段19が出力する包絡線を対数変換し、ダイナミックレンジを広げる。画像構築手段21は、対数変換が施された各ラインのデータに基づいて、断層画像を生成する。画像構築手段21は、例えば音響波の検出信号(ピーク部分)の時間軸方向の位置を、断層画像における深さ方向の位置に変換して断層画像を生成する。画像表示手段14は、画像構築手段21が生成した断層画像を、表示モニタなどに表示する。
【0033】
制御手段(制御部)22は、超音波ユニット12内の各部を制御する。制御手段22が行う制御は、動作モードの切り替えを含む。制御手段22は、モード切替スイッチ15の操作に応じて、プローブ11の音響波検出部で少なくとも光音響波を検出する動作モードと、光音響信号を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替える。制御手段22は、例えば光音響波を検出して光音響画像を生成する動作モードと、反射音響波を検出した超音波画像を生成する動作モードと、光音響波及び反射音響波の双方を検出して光音響画像及び超音波画像の双方を生成する動作モードとの間で、動作モードを切り替える。
【0034】
制御手段22は、初期状態、つまりモード切替スイッチ15が一度も押されてない状態では、例えばプローブ11の音響波検出部で光音響波を検出しない動作モード、具体的には超音波画像を生成する動作モードに設定する。制御手段22は、例えばモード切替スイッチ15が操作されるたびに動作モードを切り替える。制御手段22は、動作モードが超音波画像生成モードのときにモード切替スイッチ15が押されると、動作モードを光音響画像生成モードに切り替える。制御手段22は、更にモード切替スイッチ15が押されると、動作モードを光音響画像生成モードから超音波画像と光音響画像との双方を生成するモードに切り替える。双方の画像を生成するモードでモード切替スイッチ15が押されたときは、動作モードを、超音波画像を生成するモードに戻す。以降、制御手段22は、モード切替スイッチ15が押されるたびに、動作モードを、超音波画像、光音響画像、超音波画像と光音響画像の双方を生成するモードの順に切り替えていく。
【0035】
制御手段22は、動作モードが超音波画像を生成するモード、又は超音波画像と光音響画像とを生成するモードのときは、送信制御回路23に超音波送信トリガ信号を送る。送信制御回路23は、トリガ信号を受けると、プローブ11から超音波を送信させる。制御手段22は、超音波送信トリガ信号と同期して、AD変換手段17における反射音響信号のサンプリング開始タイミングを制御する。一方、制御手段22は、動作モードが光音響画像を生成するモード、又は超音波画像と光音響画像とを生成するモードのときは、レーザユニット13に対してレーザ発振トリガ信号を送る。レーザユニット13は、トリガ信号を受けてレーザ発振を行い、レーザ光を出射する。制御手段22は、レーザ発振トリガ信号と同期して、AD変換手段17における光音響信号のサンプリング開始タイミングを制御する。
【0036】
図2は、プローブ11の外観を示す。操作者は、プローブ11を手で握って観察したい場所に超音波振動子が配列されている面を接触させる。モード切替スイッチ15は、例えばプローブ11を手で握ったときに、親指が位置する部分に設けられている。操作者は、モード切替スイッチ15を適宜操作して、動作モードを所望の動作モードに設定する。
【0037】
図3は、動作モードが超音波画像生成のモードであるときの動作手順を示す。制御手段22は、超音波送信トリガ信号を送信制御回路23に出力する(ステップA1)。プローブ11は、被検体内へ超音波を送信する(ステップA2)。プローブ11は、被検体内で反射した反射音響信号を受信する(ステップA3)。超音波ユニット12内の画像生成部は、反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する(ステップA4)。画像表示手段14は、超音波ユニット12で生成された超音波画像を表示画面上に表示する(ステップA5)。
【0038】
図4は、動作モードが光音響画像生成のモードであるときの動作手順を示す。制御手段22は、レーザ発振トリガ信号をレーザユニット13へ出力する(ステップB1)。レーザユニット13は、パルスレーザ光を出射する。レーザユニット13から出射したパルスレーザ光は、プローブ11から被検体に照射される(ステップB2)。プローブ11は、レーザ光の照射により生体内で発生した光音響信号を受信する(ステップB3)。超音波ユニット12内の画像生成手段は、光音響信号に基づいて光音響画像を生成する(ステップB4)。画像表示手段14は、超音波ユニット12で生成された光音響画像を表示画面上に表示する(ステップB5)。
【0039】
図5は、動作モードが光音響画像と超音波画像とを生成するモードであるときの動作手順を示す。制御手段22は、レーザ発振トリガ信号をレーザユニット13へ出力する(ステップC1)。レーザユニット13は、パルスレーザ光を出射する。レーザユニット13から出射したパルスレーザ光は、プローブ11から被検体に照射される(ステップC2)。プローブ11は、レーザ光の照射により生体内で発生した光音響信号を受信する(ステップC3)。超音波ユニット12内の画像生成手段は、光音響信号に基づいて光音響画像を生成する(ステップC4)。
【0040】
続いて制御手段22は、超音波送信トリガ信号を送信制御回路23に出力する(ステップC5)。プローブ11は、被検体内へ超音波を送信する(ステップC6)。プローブ11は、被検体内で反射した反射音響信号を受信する(ステップC7)。超音波ユニット12内の画像生成手段は、反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する(ステップC8)。画像表示手段14は、超音波ユニット12で生成された光音響画像と超音波画像とを表示画面上に表示する(ステップC9)。画像表示手段14は、例えば光音響画像と超音波画像とを重畳表示する。なお、図5では先に光音響画像を生成し、次いで超音波画像を生成することとしたが、超音波画像の生成を先に行い、その後に光音響画像を生成してもよい。
【0041】
図6は超音波画像を示し、図7は光音響画像を示し、図8は光音響画像と超音波画像とを重畳した画像を示す。各図において、横方向は超音波振動子が配列された方向に対応し、縦方向は深さ方向に対応している。画像表示手段14は、動作モードが超音波画像生成モードのときは、図6に示す超音波画像を表示する。画像表示手段14は、動作モードが光音響画像生成モードのときは、図7に示す光音響画像を表示する。画像表示手段14は、動作モードが光音響画像と超音波画像とを生成するモードのときは、図8に示す光音響画像と超音波画像とを重畳した画像を表示する。
【0042】
本実施形態では、制御手段22は、モード切替スイッチ15が操作されるたびに、動作モードを切り替える。例えば光音響計測装置10が超音波画像生成モードで動作し、超音波画像を観察していたときにモード切替スイッチ15を1回操作すると、動作モードが光音響画像生成モードに切り替わり、光音響画像の観察が可能となる。本実施形態では、モードの切り替えモード切替スイッチ15をプローブに設けているため、操作者は、操作パネルなどを操作しなくても、観察画像の切り替えが可能であり、簡易に表示画像を切り替えることができる。動作モードの初期状態としては、光音響画像の生成を含まないモードが好ましい。その場合、いきなりレーザ光が照射されることを防止できる。
【0043】
続いて、本発明の第2実施形態を説明する。図9は、本発明の第2実施形態の光音響計測装置を示す。光音響計測装置10aは、超音波探触子(プローブ)11、超音波ユニット12a、及び光源(レーザユニット)13を備える。超音波ユニット12aは、受信回路16、AD変換手段17、光音響画像再構成手段27、光音響画像構築手段31、制御手段22、送信制御回路23、受信メモリ24、データ分離手段25、2波長データ複素数化手段26、2波長データ演算手段28、強度情報抽出手段29、検波・対数変換手段30、超音波画像再構成手段32、検波・対数変換手段33、超音波画像構築手段34、画像合成手段35、及びトリガ制御回路36を有する。
【0044】
本実施形態では、レーザユニット13は、相互に異なる複数の波長のレーザ光を出射可能に構成されている。複数波長の光を被検体に照射した場合、光音響画像の生成では、被検体内の光吸収体における光吸収特性の波長依存性を利用して、例えば動脈と静脈とが判別可能な光音響画像を生成する。モード切替スイッチ15を用いた装置の動作モードの切り替えは、第1実施形態と同様である。すなわち、例えばオルタネート動作のプッシュスイッチを用いて構成されたモード切替スイッチ15を押すたびに、光音響画像と超音波画像のうちの超音波画像のみを生成する動作モード、光音響画像のみを生成する動作モード、及び、双方の画像を生成する動作モードの間で動作モードの切り替えを行う。
【0045】
レーザユニット13から出射したパルスレーザ光は、例えば光ファイバなどの導光手段を用いてプローブ11まで導光され、プローブ11から被検体に向けて照射される。以下の説明においては、主に、レーザユニット13が、第1の波長のパルスレーザ光と第2の波長のパルスレーザ光とを出射可能であるものとして説明する。
【0046】
例えば、第1の波長(中心波長)として約750nmを考え、第2の波長として約800nmを考える。ヒトの動脈に多く含まれる酸素化ヘモグロビン(酸素と結合したヘモグロビン:oxy-Hb)の波長750nmにおける分子吸収係数は、波長800nmにおける分子吸収係数よりも高い。一方、静脈に多く含まれる脱酸素化ヘモグロビン(酸素と結合していないヘモグロビンdeoxy-Hb)の波長750nmにおける分子吸収係数は、波長800nmにおける分子吸収係数よりも低い。この性質を利用し、波長800nmで得られた光音響信号に対して、波長750nmで得られた光音響信号が相対的に大きいのか小さいのかを調べることで、動脈からの光音響信号と静脈からの光音響信号とを判別することができる。
【0047】
プローブ11は、被検体に向けて光を照射する光照射部と、被検体に音響波を送信する音響波送信部と、被検体からの音響波(光音響波及び反射音響波)を検出する音響波検出部とを有する。受信回路16は、プローブ11が検出した音響波の検出信号を受信する。AD変換手段17は、受信回路16が受信した音響波の検出信号をサンプリングする。AD変換手段17は、例えばADクロック信号に同期して、所定のサンプリング周期で音響波の検出信号のサンプリングを行う。AD変換手段17は、反射音響信号をサンプリングした反射音響データと、光音響信号をサンプリングした光音響データとを、受信メモリ24に格納する。
【0048】
制御手段22及びトリガ制御回路36は、制御部を構成する。制御手段22は、超音波ユニット12a内の各部の制御を行う。トリガ制御回路36は、装置の動作モードが光音響画像の生成を含む動作モードのとき、レーザユニット13に対して光出射を指示する光トリガ信号を出力する。この光トリガ信号は、第1実施形態におけるレーザ発振トリガ信号に相当する。トリガ制御回路36は、まずフラッシュランプトリガ信号を出力し、それに後続して、Qスイッチトリガ信号を出力する。レーザユニット13は、フラッシュランプトリガ信号に応答してレーザ媒質の励起を行い、Qスイッチトリガ信号に応答してパルスレーザ光を出射する。なお、トリガ制御回路36は、制御手段22の一部であってもよい。
【0049】
トリガ制御回路36からQスイッチトリガ信号をレーザユニット13に送信するのに代えて、レーザユニット13内においてQスイッチトリガのタイミングを生成してもよい。その場合は、Qスイッチをオンにした旨を示す信号をレーザユニット13から超音波ユニット12a側に通知してもよい。ここで、光トリガ信号とは、フラッシュランプトリガ信号とQスイッチトリガ信号の少なくとも一方を含む概念である。トリガ制御回路36からQスイッチトリガ信号を出力する場合はQスイッチトリガ信号が光トリガ信号に対応し、レーザユニット13にてQスイッチトリガのタイミングを生成する場合はフラッシュランプトリガ信号が光トリガ信号に対応していてもよい。
【0050】
トリガ制御回路36は、装置の動作モードが超音波画像の生成を含む動作モードのとき、送信制御回路23に、音響波送信を指示する超音波トリガ信号を出力する。送信制御回路23は、超音波トリガ信号を受けると、プローブ11から音響波(超音波)を送信させる。トリガ制御回路36は、装置の動作モードが光音響画像と超音波画像との双方を生成する動作モードのときは、所定の順序で光トリガ信号と超音波トリガ信号とを出力する。トリガ制御回路36は、例えば先に光トリガ信号を出力し、次いで超音波トリガ信号を出力する。光トリガ信号が出力されることで被検体に対するレーザ光の照射及び光音響信号の検出が行われ、その後、超音波トリガ信号が出力されることで被検体に対する超音波の送信及び反射音響信号の検出が行われる。トリガ制御回路36は、光トリガ信号又は超音波トリガ信号の出力後、AD変換手段17に対して、サンプリング開始を指示するサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段17は、サンプリングトリガ信号を受けると、光音響信号又は反射音響信号のサンプリングを開始する。AD変換手段17は、サンプリングした光音響信号及び反射音響信号を、受信メモリ24に格納する。
【0051】
なお、光音響画像と超音波画像との双方を生成する場合、光音響信号と反射音響信号とを個別にサンプリングするのに代えて、両者を連続的にサンプリングするようにしてもよい。例えば、トリガ制御回路36は、光トリガ信号の出力後、光音響信号の検出を終了するタイミングで超音波トリガ信号を出力する。このとき、AD変換手段17は反射音響波の検出信号のサンプリングを中断せず、サンプリングを継続して実施する。言い換えれば、トリガ制御回路36は、AD変換手段17が音響波の検出信号のサンプリングを継続している状態で、超音波トリガ信号を出力する。超音波トリガ信号に応答してプローブ11が超音波送信を行うことで、プローブ11で検出される音響波は、光音響波から反射音響波に変わる。AD変換手段17は、検出された音響波の検出信号のサンプリングを継続することで、光音響信号と反射音響信号とを連続的にサンプリングし、サンプリングした光音響信号及び反射音響信号を、両者に共通の受信メモリ24に格納してもよい。
【0052】
ところで、被検体内の深さ方向の同じ位置で光音響波及び反射音響波が発生したとすると、反射音響信号の場合は、プローブ11から送信された音響波がその位置まで進むまでに要する時間が必要なため、音響波送信から反射音響波の検出までの時間は、光照射から光音響波の検出までの時間の倍の時間となる。超音波画像の生成に際しては、反射音響信号を1/2にリサンプルする1/2リサンプル手段を設け、例えば反射音響信号を時間軸方向に1/2に圧縮したものを対象に超音波画像を生成するようにしてもよい。あるいは、反射音響波の検出信号をサンプリングするタイミングでAD変換手段17におけるサンプリングレートを半分に、例えば40MHzから20MHzに下げてもよい。
【0053】
光音響信号のサンプリングは、レーザユニット13が出射する光の波長の数だけ繰り返し行う。例えばまずレーザユニット13から第1の波長の光を被検体に照射し、被検体に第1の波長のパルスレーザ光が照射されたときにプローブ11で検出された第1の光音響信号(第1の光音響データ)を受信メモリ24に格納する。次いで、レーザユニット13から第2の波長の光を被検体に照射し、第2の波長のパルスレーザ光が照射されたときにプローブ11で検出された第2の光音響信号(第2の光音響データ)を受信メモリ24に格納する。光音響信号と反射音響信号とを連続的にサンプリングする場合、波長の数だけ光音響信号のサンプリングと反射音響信号のサンプリングとを繰り返せばよい。例えば第1の光音響データと連続して、受信メモリ24に反射音響データを格納し、第2の光音響データと連続して、受信メモリ24に反射音響データを格納する。
【0054】
データ分離手段25は、受信メモリ24に格納された反射音響データと、第1及び第2の光音響データとを分離する。データ分離手段25は、第1及び第2の光音響データを、2波長データ複素数化手段26に渡す。2波長データ複素数化手段26は、第1の光音響信号と第2の光音響信号のうちの何れか一方を実部、他方を虚部とした複素数データを生成する。以下では、2波長データ複素数化手段26が、第1の光音響信号を実部とし、第2の光音響信号を虚部とした複素数データを生成するものとして説明する。
【0055】
光音響画像再構成手段27は、2波長データ複素数化手段26から光音響データである複素数データを入力し、光音響データの再構成を行う。光音響画像再構成手段27は、入力された複素数データから、フーリエ変換法(FTA法)により画像再構成を行う。フーリエ変換法による画像再構成には、例えば文献”Photoacoustic Image Reconstruction-A Quantitative Analysis”Jonathan I.Sperl et al. SPIE-OSA Vol.6631 663103 等に記載されている従来公知の方法を適用することができる。光音響画像再構成手段27は、再構成画像を示すフーリエ変換のデータを強度情報抽出手段29と2波長データ演算手段28とに入力する。
【0056】
2波長データ演算手段28は、各波長に対応した光音響データ間の相対的な信号強度の大小関係を抽出する。本実施形態では、2波長データ演算手段28は、光音響画像再構成手段27で再構成された再構成画像を入力データとし、複素数データである入力データから、実部と虚部とを比較したときに、相対的に、どちらがどれくらい大きいかを示す位相情報を抽出する。2波長データ演算手段28は、例えば複素数データがX+iYで表わされるとき、θ=tan−1(Y/X)を位相情報として生成する。なお、X=0の場合はθ=90°とする。実部を構成する第1の光音響データ(X)と虚部を構成する第2の光音響データ(Y)とが等しいとき、位相情報はθ=45°となる。位相情報は、相対的に第1の光音響データが大きいほどθ=0°に近づいていき、第2の光音響データが大きいほどθ=90°に近づいていく。
【0057】
強度情報抽出手段29は、各波長に対応した光音響データに基づいて信号強度を示す強度情報を生成する。本実施形態では、強度情報抽出手段29は、光音響画像再構成手段27で再構成された再構成画像を入力データとし、複素数データである入力データから、強度情報を生成する。強度情報抽出手段29は、例えば複素数データがX+iYで表わされるとき、(X2+Y2)1/2を、強度情報として抽出する。検波・対数変換手段30は、強度情報抽出手段29で抽出された強度情報を示すデータの包絡線を生成し、次いでその包絡線を対数変換してダイナミックレンジを広げる。
【0058】
光音響画像構築手段31は、2波長データ演算手段28から位相情報を入力し、検波・対数変換手段30から検波・対数変換処理後の強度情報を入力する。光音響画像構築手段31は、入力された位相情報と強度情報とに基づいて、光吸収体の分布画像である光音響画像を生成する。光音響画像構築手段31は、例えば入力された強度情報に基づいて、光吸収体の分布画像における各画素の輝度(階調値)を決定する。また、光音響画像構築手段31は、例えば位相情報に基づいて、光吸収体の分布画像における各画素の色(表示色)を決定する。光音響画像構築手段31は、例えば例えば位相0°から90°の範囲を所定の色に対応させたカラーマップに用いて、入力された位相情報に基づいて各画素の色を決定する。
【0059】
ここで、位相0°から45°の範囲は、第1の光音響データが第2の光音響データよりも大きい範囲であるため、光音響信号の発生源は、波長798nmの光に対する吸収よりも波長756nmの光に対する吸収の方が大きい酸素化ヘモグロビンを主に含む血液が流れている動脈であると考えられる。一方、位相45°から90°の範囲は、第2の光音響データが第1の光音響データよりも小さい範囲であるため、光音響信号の発生源は、波長798nmの光に対する吸収よりも波長756nmの光に対する吸収の方が小さい脱酸素化ヘモグロビンを主に含む血液が流れている静脈であると考えられる。
【0060】
そこで、カラーマップとして、例えば位相が0°が赤色で、位相が45°に近づくに連れて無色(白色)になるように色が徐々に変化すると共に、位相90°が青色で、位相が45°に近づくに連れて白色になるように色が徐々に変化するようなカラーマップを用いる。この場合、光音響画像上で、動脈に対応した部分を赤色で表わし、静脈に対応した部分を青色で表わすことができる。強度情報を用いずに、階調値は一定として、位相情報に従って動脈に対応した部分と静脈に対応した部分との色分けを行うだけでもよい。
【0061】
なお、被検体に対して単一の波長の光のみが照射される場合は、2波長データ複素数化手段26による複素数化、及び、2波長データ演算手段28による位相情報の抽出は不要である。単一の波長の光のみが照射される場合は、強度情報抽出手段29によって抽出される強度情報に基づいて、光音響画像を生成すればよい。
【0062】
一方、データ分離手段25は、分離した反射音響データを、超音波画像再構成手段32に渡す。超音波画像再構成手段32は、反射音響信号(反射音響データ)に基づいて、断層画像である超音波画像の各ラインのデータを生成する。検波・対数変換手段33は、超音波画像再構成手段32が出力する各ラインのデータの包絡線を生成し、その包絡線を対数変換してダイナミックレンジを広げる。超音波画像構築手段34は、対数変換が施された各ラインのデータに基づいて、超音波画像を生成する。
【0063】
画像合成手段35は、光音響画像構築手段31で生成された光音響画像と、超音波画像構築手段34で生成された超音波画像とを合成する。合成された画像は、画像表示手段14に表示される。画像合成を行わずに、画像表示手段14に、光音響画像と超音波画像とを並べて表示し、或いは光音響画像と超音波画像とを切り替えて表示することも可能である。
【0064】
波長選択スイッチ37は、レーザユニット13が出射可能な複数の波長のうち、どの波長の光を出射するかを選択するためのスイッチである。ユーザは、波長選択スイッチ37を操作することで、光音響画像の生成に際して、例えば第1の波長、第2の波長、及び、第1の波長と第2の波長とを交互に出射するの何れかを選択することができる。トリガ制御回路36は、波長選択スイッチ37の操作に応じて、レーザユニット13から出射する光の波長を制御する。
【0065】
図10は、プローブ11の外観を示す。プローブ11には、モード切替スイッチ15に加えて、波長選択スイッチ37が設けられている。波長選択スイッチ37は、例えばスライドスイッチとして構成される。波長選択スイッチ37のスライド位置が「750」の位置のとき、トリガ制御回路36は、レーザユニット13から波長750nmの光を出射させる。スライド位置が「800」のときは、レーザユニット13から波長800nmの光を出射させる。スライド位置が「ALT」のときは、レーザユニット13から波長750nmの光と波長800nmの光とを交互に出射させる。
【0066】
続いて、レーザユニット13の構成を詳細に説明する。図11は、レーザユニット13の構成を示す。レーザユニット13は、レーザロッド61、フラッシュランプ62、ミラー63、64、Qスイッチ65、波長選択素子66、駆動手段67、駆動状態検出手段68、及びBPF制御回路69を有する。
【0067】
レーザロッド61は、レーザ媒質である。レーザロッド61には、例えばアレキサンドライト結晶やCr:LiSAF(Cr:LiSrAlF6),Cr:LiCAF(Cr:LiCaAlF6)結晶,Ti:Sapphire結晶を用いることができる。フラッシュランプ62は、レーザ媒質を励起する励起手段であり、レーザロッド61に励起光を照射する。フラッシュランプ62以外の光源、例えば半導体レーザや固体レーザを、励起光源として用いてもよい。
【0068】
ミラー63、64は、レーザロッド61を挟んで対向しており、ミラー63、64により光共振器が構成される。ここでは、ミラー64が出力側のミラーであるとする。光共振器内には、Qスイッチ65が挿入される。Qスイッチ65により、光共振器内の挿入損失を損失大(低Q)から損失小(高Q)へと急速に変化させることで、パルスレーザ光を得ることができる。
【0069】
波長選択素子66は、透過波長が相互に異なる複数のバンドパスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)を含む。波長選択素子66は、複数のバンドパスフィルタを光共振器の光路上に選択的に挿入する。波長選択素子66は、例えば波長750nm(中心波長)の光を透過させる第1のバンドパスフィルタと、波長800nm(中心波長)の光を透過させる第2のバンドパスフィルタとを含む。光共振器の光路上に第1のバンドパスフィルタを挿入することで、光発振器の発振波長を750nmとすることができ、光共振器の光路上に第2のバンドパスフィルタを挿入することで、光発振器の発振波長を800nmとすることができる。
【0070】
駆動手段67は、波長選択素子66を駆動する。駆動状態検出手段68は、波長選択素子66の駆動状態を検出する。BPF制御回路69は、駆動手段67を制御する。駆動手段67は、例えば波長選択スイッチ37(図9)により波長750nmが選択されているときは、光共振器の光路上に第1のバンドパスフィルタが挿入されるように、波長選択素子66を駆動する。また、波長800nmが選択されているときは、光共振器の光路上に第2のバンドパスフィルタが挿入されるように、波長選択素子66を駆動する。
【0071】
駆動手段67は、波長選択スイッチ37により2つの波長の光を交互に出射することが選択されているときは、光共振器の光路上に挿入されるバンドパスフィルタが所定の順序で順次に切り替わるように波長選択素子66を駆動する。例えば波長選択素子66が、回転変位に伴って光共振器の光路上に選択的に挿入するバンドパスフィルタを切り替えるフィルタ回転体で構成されているとき、駆動手段67は、波長選択素子66を構成するフィルタ回転体を連続的に回転駆動する。駆動状態検出手段68は、例えばフィルタ回転体である波長選択素子66の回転変位を検出する。駆動状態検出手段68は、フィルタ回転体の回転変位位置を示すBPF状態情報を出力する。
【0072】
図12は、波長選択素子66、駆動手段67、及び駆動状態検出手段68の構成例を示す。この例では、波長選択素子66は2つのバンドパスフィルタを含むフィルタ回転体であり、駆動手段67はサーボモータである。また、駆動状態検出手段68はロータリーエンコーダーである。波長選択素子66は、サーボモータの出力軸の回転に従って回転する。波長選択素子66を構成するフィルタ回転体の半分(例えば回転変位位置0°から180°)は波長750nmの光を透過させる第1のバンドパスフィルタであり、残りの半分(例えば回転変位位置180°から360°)は波長800nmの光を透過させる第2のバンドパスフィルタである。このようなフィルタ回転体を回転させることで、光共振器の光路上に、第1のバンドパスフィルタと第2のバンドパスフィルタとを、フィルタ回転体の回転速度に応じた切り替え速度で交互に挿入することができる。
【0073】
駆動状態検出手段68を構成するロータリーエンコーダーは、サーボモータの出力軸に取り付けられたスリット入りの回転板と透過型フォトインタラプタとで、波長選択素子66であるフィルタ回転体の回転変位を検出し、BPF状態情報を生成する。駆動状態検出手段68は、フィルタ回転体の回転変位位置を示すBPF状態情報をBPF制御回路69に出力する。
【0074】
波長選択スイッチ37(図9)により2つの波長の光を交互に出射することが選択されているとき、BPF制御回路69は、例えば所定時間の間に駆動状態検出手段68が検出した回転変位の量が、フィルタ回転体の所定の回転速度に応じた量になるように駆動手段67に供給する電圧などを制御する。トリガ制御回路36は、BPF制御信号を通じて、BPF制御回路69に、フィルタ回転体の回転速度を指示する。BPF制御回路69は、例えばBPF状態情報をモニタし、所定時間の間に駆動状態検出手段68で検出される波長選択素子66の変位量が、指示された回転速度に対応した量に保たれるように、サーボモータに供給する電圧などを制御する。BPF制御回路69を用いるのに代えて、トリガ制御回路36がBPF状態情報をモニタし、波長選択素子66が所定の速度で駆動されるように、駆動手段67を制御するようにしてもよい。
【0075】
以下、超音波画像を生成する動作モード、光音響画像を生成する動作モード、及び双方の画像を生成する動作モードにおける動作手順について説明する。まず、超音波画像を生成する動作モードにおける動作手順を説明する。超音波画像生成の動作手順は、基本的に第1実施形態で説明したものと同様である。トリガ制御回路36(図9)は、超音波トリガ信号を送信制御回路23に出力する。プローブ11は、被検体内へ超音波を送信する。プローブ11は、被検体内で反射した反射音響波を検出する。超音波ユニット12a内の受信回路16は反射音響波の検出信号(反射音響信号)を受信し、AD変換手段17は反射音響信号をサンプリングして受信メモリ24に格納する。データ分離手段25は、受信メモリ24から反射音響信号を読み出して超音波画像再構成手段32に渡す。反射音響信号は、超音波画像再構成手段32で再構成された後に、検波・対数変換手段33にて検波・対数変換される。超音波画像構築手段34は、検波・対数変換された反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する。生成された超音波画像は、画像表示手段14の表示画面上に表示される。
【0076】
次いで、光音響画像を生成する動作モードにおける動作手順を説明する。ここでは、波長選択スイッチ37により、波長750nmの光と波長800nmの光とを交互に照射することが選択されているものとする。トリガ制御回路36は、レーザユニット13内の波長選択素子66(図11)が光共振器の光路上に挿入するバンドパスフィルタが所定の切替え速度で切り替わるように、BPF制御回路69を制御する。トリガ制御回路36は、例えば、波長選択素子66を構成するフィルタ回転体を、所定の方向に所定の回転速度で連続的に回転させる旨のBPF制御信号を、BPF制御回路69に出力する。フィルタ回転体の回転速度は、例えばレーザユニット13から出射すべきパルスレーザ光の波長の数(バンドパスフィルタの透過波長の数)と、単位時間当たりのパルスレーザの個数とに基づいて決定できる。
【0077】
トリガ制御回路36は、レーザユニット13に、フラッシュランプ62からレーザロッド61へ励起光を照射させる旨のフラッシュランプトリガ信号を出力する。フラッシュランプ62は、フラッシュランプトリガ信号に応答してレーザロッド61に励起光を照射する。トリガ制御回路36は、BPF状態信号に基づいて、フラッシュランプトリガ信号を出力する。例えばトリガ制御回路36は、BPF状態情報が、出射すべきパルスレーザ光の波長(第1の波長)に対応したバンドパスフィルタが光共振器の光路上に挿入される波長選択素子66の駆動位置から、レーザロッド61の励起に要する時間の間に波長選択素子66が変位する量を差し引いた位置を示す情報になるとフラッシュランプトリガ信号を出力し、レーザロッド61に対して励起光を照射させる。トリガ制御回路36は、例えば所定の時間間隔で周期的にフラッシュランプトリガ信号を出力する。
【0078】
トリガ制御回路36は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、レーザユニット13のQスイッチ65にQスイッチトリガ信号を出力する。トリガ制御回路36は、波長選択素子66が、出射すべきパルスレーザ光の波長(第1の波長)に対応した透過波長のバンドパスフィルタを光共振器の光路上に挿入しているタイミングでQスイッチトリガ信号を出力する。例えば波長選択素子66がフィルタ回転体で構成されるとき、トリガ制御回路36は、BPF状態情報が、出射すべきパルスレーザ光の波長に対応したバンドパスフィルタが光共振器の光路上に挿入されていることを示す位置となっているときに、Qスイッチトリガ信号を出力する。Qスイッチ65が、Qスイッチトリガ信号に応答して光共振器内の挿入損失を損失大から損失小に急激に変化させることで、出力側のミラー64から第1の波長のパルスレーザ光が出射する。
【0079】
レーザユニット13から出射した第1の波長の光は、例えばプローブ11まで導光された後に被検体に照射される。プローブ11は、第1の波長のレーザ光の照射により生体内で発生した光音響信号を検出する。超音波ユニット12a内の受信回路16は光音響信号を受信し、AD変換手段17は第1の波長が照射されたときの光音響信号をサンプリングして受信メモリ24に格納する。
【0080】
第1の波長の光の照射に続いて、上記と同様な手順により、第2の波長の光を被検体に照射する。すなわち、フラッシュランプトリガ信号の出力後、波長選択素子66が、第2の波長に対応した透過波長のバンドパスフィルタを光共振器の光路上に挿入しているタイミングでQスイッチトリガ信号を出力し、レーザユニット13から第2の波長のパルスレーザ光を出射させる。プローブ11は、第2の波長のレーザ光の照射により生体内で発生した光音響信号を検出する。超音波ユニット12a内の受信回路16は光音響信号を受信し、AD変換手段17は第2の波長が照射されたときの光音響信号をサンプリングして受信メモリ24に格納する。
【0081】
データ分離手段25は、受信メモリ24から第1の波長の光が照射されたときの光音響信号と、第2の波長の光が照射されたときの光音響信号とを読み出し、2波長データ複素数化手段26に渡す。2波長データ複素数化手段26は、2つの波長に対応した光音響信号のうちの一方を実部とし、他方を虚部とした複素数データを生成し、光音響画像再構成手段27は、その複素数データをフーリエ変換法により再構成する。2波長データ演算手段28は、再構成された複素数データから位相情報を抽出する。また、強度情報抽出手段29は、再構成された複素数データから強度情報を抽出する。抽出された強度情報は、検波・対数変換手段30にて検波・対数変換される。光音響画像構築手段31は、検波・対数変換された強度情報と位相情報とに基づいて、光音響画像を生成する。生成された光音響画像は、画像表示手段14の表示画面上に表示される。
【0082】
続いて、超音波画像と光音響画像との双方を生成する動作モードにおける動作手順を説明する。ここでも、波長選択スイッチ37により、波長750nmの光と波長800nmの光とを交互に照射することが選択されているものとする。トリガ制御回路36は、上記した光音響画像の生成の場合と同様に、レーザユニット13内の波長選択素子66が光共振器の光路上に挿入するバンドパスフィルタが所定の切替え速度で切り替わるように、BPF制御回路69を制御する。
【0083】
トリガ制御回路36は、レーザユニット13にフラッシュランプトリガ信号を出力し、フラッシュランプ62からレーザロッド61に励起光を照射させる。トリガ制御回路36は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、レーザユニット13のQスイッチ65にQスイッチトリガ信号を出力する。Qスイッチ65が光共振器内の挿入損失を損失大から損失小に急激に変化させることで、出力側のミラー64から第1の波長のパルスレーザ光が出射する。
【0084】
レーザユニット13から出射した第1の波長の光は、例えばプローブ11まで導光された後に被検体に照射される。プローブ11は、第1の波長のレーザ光の照射により生体内で発生した光音響信号を検出する。超音波ユニット12a内の受信回路16は光音響信号を受信し、AD変換手段17は第1の波長が照射されたときの光音響信号をサンプリングして受信メモリ24に格納する。
【0085】
トリガ制御回路36は、第1の波長の光の照射に続いて、上記と同様な手順により、第2の波長の光を被検体に照射する。すなわち、フラッシュランプトリガ信号の出力後、波長選択素子66が、第2の波長に対応した透過波長のバンドパスフィルタを光共振器の光路上に挿入しているタイミングでQスイッチトリガ信号を出力し、レーザユニット13から第2の波長のパルスレーザ光を出射させる。プローブ11は、第2の波長のレーザ光の照射により生体内で発生した光音響信号を検出する。超音波ユニット12a内の受信回路16は光音響信号を受信し、AD変換手段17は第2の波長が照射されたときの光音響信号をサンプリングして受信メモリ24に格納する。
【0086】
光音響信号のサンプリングが終了すると、トリガ制御回路36は、超音波トリガ信号を送信制御回路23に出力する。プローブ11は、被検体内へ超音波を送信する。プローブ11は、被検体内で反射した反射音響信号を検出する。超音波ユニット12a内の受信回路16は反射音響信号を受信し、AD変換手段17は反射音響信号をサンプリングして受信メモリ24に格納する。
【0087】
データ分離手段25は、受信メモリ24から第1の波長の光が照射されたときの光音響信号と、第2の波長の光が照射されたときの光音響信号とを読み出し、2波長データ複素数化手段26に渡す。また、受信メモリ24から反射音響信号を読み出し、超音波画像再構成手段32に渡す。
【0088】
2波長データ複素数化手段26は、2つの波長に対応した光音響信号のうちの一方を実部とし、他方を虚部とした複素数データを生成し、光音響画像再構成手段27は、その複素数データをフーリエ変換法により再構成する。2波長データ演算手段28は、再構成された複素数データから位相情報を抽出する。また、強度情報抽出手段29は、再構成された複素数データから強度情報を抽出する。抽出された強度情報は、検波・対数変換手段30にて検波・対数変換される。光音響画像構築手段31は、検波・対数変換された強度情報と位相情報とに基づいて、光音響画像を生成する。
【0089】
データ分離手段25から超音波画像再構成手段32に渡された反射音響信号は、超音波画像再構成手段32で再構成された後に、検波・対数変換手段33にて検波・対数変換される。超音波画像構築手段34は、検波・対数変換された反射音響信号に基づいて、超音波画像を生成する。光音響画像構築手段31で生成された光音響画像と超音波画像構築手段34で生成された超音波画像とは、画像合成手段35で合成された後に、画像表示手段14の表示画面上に表示される。
【0090】
本実施形態では、レーザユニット13が波長選択素子66を含んでおり、レーザユニット13から、相互に異な複数の波長のレーザ光を被検体に照射することができる。波長選択素子66が透過波長が異なる2つのバンドパスフィルタを含むとき、それらバンドパスフィルタを光共振器の光路上に選択的に挿入することで、レーザユニット13から出射する光の波長を制御することができる。また、例えば、透過波長が異なる2つのバンドパスフィルタを含む波長選択素子66を連続的に駆動することで、2つのバンドパスフィルタを連続的、かつ選択的に光共振器の光路上に挿入することができ、レーザユニット13から複数波長のレーザ光を連続的に切り替えて出射することができる。複数の波長のパルスレーザ光を照射したときの光音響信号(光音響データ)を用いることで、各光吸収体の光吸収特性が波長に応じて異なることを利用した機能イメージングを行うことができる。
【0091】
また、本実施形態では、2つの波長で得られた第1の光音響データと、第2の光音響データとの何れか一方を実部、他方を虚部とした複素数データを生成し、その複素数データからフーリエ変換法により再構成画像を生成している。このようにする場合、再構成は一度で済むため、第1の光音響データと第2の光音響データとを別々に再構成する場合に比して、再構成を効率的に行うことができる。
【0092】
本実施形態では、光音響計測装置10は、被検体に照射すべき光の波長を選択するための波長選択スイッチ37を含んでおり、ユーザは、その波長選択スイッチ37を操作することで、レーザユニット13から出射する光の波長を選択することができる。本実施形態では、波長選択スイッチ37がプローブ11に設けられており、ユーザは、プローブ11から手を離すことなく、被検体に照射すべき光の波長を切り替えることができる。プローブ11に設けられたモード切替スイッチ15を操作することで、超音波画像を生成する動作モードと光音響画像を生成する動作モードとを容易に切り替えられる点は、第1実施形態と同様である。
【0093】
続いて、本発明の第3実施形態を説明する。図13は、本発明の第3実施形態の光音響計測装置を示す。本実施形態の光音響計測装置10bは、第2実施形態の光音響計測装置10aの構成に加えて、超音波ユニット12b内に接触状態判断手段38を有する。接触状態判断手段38は、プローブ11が被検体に接触しているか否かを判断する。トリガ制御回路36は、接触状態判断手段38がプローブ11が被検体に接触していると判断しているとき、レーザユニット13に対してフラッシュランプトリガ信号を出力し、被検体に対する光照射が行われる。
【0094】
本実施形態では、被検体に対する光照射に先行して、プローブ11から音響波を送信する。プローブ11は、送信された超音波に対する反射音響信号を検出する。接触状態判断手段38は、プローブ11で検出された反射音響信号に基づいて、プローブ11が被検体に接触しているか否かを判断する。より詳細には、接触状態判断手段38は、超音波画像構築手段34が生成した、反射音響信号に基づく超音波画像を用いて、プローブ11が被検体に接触しているか否かを判断する。
【0095】
接触状態判断手段38は、例えばプローブ11が被検体に接触していない状態で生成された超音波画像の典型的な画像を参照画像として記憶している。接触状態判断手段38は、超音波画像構築手段34が生成した超音波画像と、記憶している参照画像とを比較し、その比較結果に基づいてプローブ11が被検体に接触しているか否かを判断する。接触状態判断手段38は、例えば超音波画像構築手段34が生成した緒音波画像と参照画像との類似度を計算する。接触状態判断手段38は、2つの超音波画像の類似度が所定のしきい値以上のときは、プローブ11が被検体に接触していないと判断する。接触状態判断手段38は、類似度がしきい値よりも低ければ、プローブ11が被検体に接触していると判断する。トリガ制御回路36は、接触状態判断手段38にてプローブ11が被検体に接触していないと判断されたときは、レーザユニット13に対するフラッシュランプトリガ信号及びQスイッチトリガ信号のうちの少なくとも一方を抑止し、プローブ11から被検体にレーザ光を照射させない。
【0096】
上記では、接触状態判断手段38が参照画像を記憶しておき、参照画像と類似度に基づいてプローブ11が被検体に接触しているか否かを判断することとしたが、超音波画像に基づく接触状態の判断は上記したものに限定されない。例えば、接触状態判断手段38が、超音波画像構築手段34で生成された超音波画像の特徴解析を行い、その解析結果に基づいて接触しているか否かを判断してもよい。一般に、プローブ11が被検体に接触しない状態で生成された超音波画像では、飽和した高輝度の線が超音波振動子と平行に等間隔で並ぶ。接触状態判断手段38は、例えば生成された超音波画像において、飽和した高輝度の線が超音波振動子と平行に等間隔で並んでいるときに、プローブ11が被検体に接触していない状態で超音波画像が生成されたと判断してもよい。
【0097】
また、超音波画像に基づいて接触状態を判断するのに代えて、接触状態判断手段3が、反射音響信号の信号波形に基づいて接触状態を判断するようにしてもよい。例えば接触状態判断手段38は、反射音響信号の信号波形の特徴解析を行い、AD変換手段17でサンプリングされた反射音響信号(受信メモリ24から読み出された反射音響信号)の信号波形に、プローブ11が被検体に接触していないときに観察される反射音響信号の信号波形の特徴が表れているか否かを判断する。例えば接触状態判断手段38は、反射音響信号において振幅が飽和レベルに対応する所定のレベル以上となっている箇所がいくつあるかを調べると共に、その飽和レベルとなっている箇所の間隔を調べる。接触状態判断手段38は、例えば反射音響信号において複数の飽和レベルとなる個所が等間隔に並んでいるときは、プローブ11が被検体に接触していないと判断する。接触状態判断手段38は、逆に、飽和レベルとなる個所が等間隔に並んでいないときは、プローブ11が被検体に接触していると判断する。
【0098】
反射音響信号の信号波形基づく接触状態の判断は上記したものに限定されない。例えば、接触状態判断手段38は、プローブ11が被検体に接触していないときの典型的な反射音響信号の信号波形を参照信号波形として記憶しておき、AD変換手段17が出力する反射音響信号の信号波形と参照信号との相関を求め、その相関に基づいて両者がどれだけ類似しているかを判断してもよい。その場合、接触状態判断手段38は、両者の類似度をしきい値処理し、類似度が高ければプローブ11が被検体に接触していると判断し、類似度が低ければプローブ11が被検体に接触していると判断すればよい。
【0099】
なお、接触状態判断手段38は、AD変換手段17でサンプリングされた反射音響信号に基づいて接触状態を判断するに代えて、超音波画像再構成手段32、検波・対数変換手段33の出力信号に基づいて接触状態を判断してもよい。その場合でも、超音波画像生成前の反射音響信号の信号波形に基づいて、プローブ11が被検体に接触しているか否かの判断が可能である。
【0100】
本実施形態では、接触状態判断手段38を用い、プローブ11が被検体に接触しているか否かを判断する。トリガ制御回路36は、プローブ11が被検体に接触していると判断されたときに、レーザユニット13からレーザ光を出射させる。このようにすることで、レーザユニット13から出射したパルスレーザ光が自由空間に放出されることを防ぐことができる。その他の効果は第2実施形態と同様である。
【0101】
なお、第2及び第3実施形態では、第1の光音響データと第2の光音響データとを複素数化する例について説明したが、複素数化せずに、第1の光音響データと第2の光音響データとを別々に再構成してもよい。また、再構成の手法は、フーリエ変換法には限定されない。さらに、第2及び第3実施形態においては、複素数化して位相情報を用いて第1の光音響データと第2の光音響データの比を計算しているが、両者の強度情報から比を計算しても同様の効果が得られる。また、強度情報は、第1の再構成画像における信号強度と、第2の再構成画像における信号強度とに基づいて生成できる。
【0102】
光音響画像の生成に際して、被検体に照射されるパルスレーザ光の波長の数は2つには限られず、3以上のパルスレーザ光を被検体に照射し、各波長に対応する光音響データに基づいて光音響画像を生成してもよい。その場合、例えば2波長データ演算手段28は、各波長に対応する光音響データ間での相対的な信号強度の大小関係を位相情報として生成すればよい。また、強度情報抽出手段29は、例えば各波長に対応する光音響データにおける信号強度を1つにまとめたものを強度情報として生成すればよい。
【0103】
第2実施形態では、主に、波長選択素子66が、2つのバンドパスフィルタ領域を含むフィルタ回転体で構成される例を説明したが、波長選択素子66は、光共振器内で発振する光の波長を変化させるものであればよく、フィルタ回転体の構成には限定されない。例えば、波長選択素子66を、複数のバンドパスフィルタを円周状に配置した回転体で構成してもよい。波長選択素子66は回転体である必要はなく、例えば、複数のバンドパスフィルタを一列に並べたものでもよい。その場合、複数のバンドパスフィルタが循環的に光共振器の光路上に挿入されるよう波長選択素子66を駆動してもよいし、一列に並べられた複数のバンドパスフィルタが光共振器の光路上を横切るように波長選択素子66を往復駆動させてもよい。バンドパスフィルタに代えて、複屈折フィルタなどの波長選択素子を用いることも可能である。また、2波長選択において、両者のゲインが異なる場合は、バンドパスフィルタの代わりにロングパスフィルタ又はショートパスフィルタを使用してもよい。例えばアレキサンドライトレーザで、800nmと750nmとを切り替えて出射する場合、750nmの方が高ゲインであるため、800nmと750nmのロングパスフィルターの組み合わせでも、それぞれの波長の選択が可能である。
【0104】
第2及び第3実施形態では、モード切替スイッチ15と波長選択スイッチ37との双方がプローブ11に設けられる例について説明したが、モード切替スイッチ15と波長選択スイッチ37との少なくとも一方がプローブ11に設けられていればよく、必ずしも双方がプローブ11に設けられている必要はない。図14は、変形例の光音響計測装置10cを示している。図9に示す第2実施形態の光音響計測装置10aではプローブ11にモード切替スイッチ15が設けられているのに対し、図14では、フットスイッチ39が、装置の動作モードを切り替えるためのスイッチとして用いられる。フットスイッチ(モード切替スイッチ)39は、例えばオルタネート動作し、フットスイッチ39を操作するたびに、光音響信号の検出を含む動作モードと含まない動作モードとの間で動作モードが切り替えられる。
【0105】
図15は、変形例におけるプローブ11の外観を示す。プローブ11には、スライドスイッチで構成された波長選択スイッチ37だけが設けられ、図10に示す第2実施形態で用いられるプローブ11に存在していたモード切替スイッチ15が設けられてない。このような構成とした場合、ユーザは、手元の波長選択スイッチ37を操作することで、被検体に照射される光の波長を選択することができる。一方、足元のフットスイッチ39を操作することで、超音波画像の生成と光音響画像の生成とを切り替えることができる。
【0106】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の光音響計測装置は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
10:光音響計測装置
11:プローブ
12:超音波ユニット
13:レーザユニット
14:画像表示手段
15:モード切替スイッチ
16:受信回路
17:AD変換手段
18:画像再構成手段
19:検波手段
20:対数変換手段
21:画像構築手段
22:制御手段
23:送信制御回路
24:受信メモリ
25:データ分離手段
26:2波長データ複素数化手段
27:光音響画像再構成手段
28:2波長データ演算手段
29:強度情報抽出手段
30:検波・対数変換手段
31:光音響画像構築手段
32:超音波画像再構成手段
33:検波・対数変換手段
34:超音波画像構築手段
35:画像合成手段
36:トリガ制御回路
37:波長選択スイッチ
38:接触状態判断手段
39:フットスイッチ
61:レーザロッド
62:フラッシュランプ
63、64:ミラー
65:Qスイッチ
66:波長選択素子
67:駆動手段
68:駆動状態検出手段
69:BPF制御回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、光音響計測装置に関し、更に詳しくは、被検体に光を照射し、光照射により被検体内で生じた音響波を検出する光音響計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内部の状態を非侵襲で検査できる画像検査法の一種として、超音波検査法が知られている。超音波検査では、超音波の送信及び受信が可能な超音波探触子を用いる。超音波探触子から被検体(生体)に超音波を送信させると、その超音波は生体内部を進んでいき、組織界面で反射する。超音波探触子でその反射音波を受信し、反射超音波が超音波探触子に戻ってくるまでの時間に基づいて距離を計算することで、内部の様子を画像化することができる。
【0003】
また、光音響効果を利用して生体の内部を画像化する光音響イメージングが知られている。一般に光音響イメージングでは、パルスレーザ光を生体内に照射する。生体内部では、生体組織がパルスレーザ光のエネルギーを吸収し、そのエネルギーによる断熱膨張により超音波(光音響信号)が発生する。この光音響信号を超音波プローブなどで検出し、検出信号に基づいて光音響画像を構成することで、光音響信号に基づく生体内の可視化が可能である。
【0004】
光音響画像と超音波画像とを生成可能な装置が、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1では、操作パネル上に設けられたキーボード、トラックボール、マウス等を用いて、光音響画像データの収集開始コマンドを入力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】2005−218684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、光音響画像と超音波画像とを生成可能な装置においては、超音波画像、光音響画像、及び超音波画像と光音響画像とを重畳した画像の3通りの画像が表示(生成)可能である。特許文献1においては、画像の切り替えは、操作パネル上に設けられたキーボード、トラックボール、マウス等を操作することでなされる。しかし、その場合、操作者は、いちいち操作パネルを操作するために体の向きを変えたり、プローブを一度手から離したりする必要があり、操作が面倒であった。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、操作者が、簡易に表示画像を切り替えることができる光音響計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、光源と、被検体に対して音響波を送信する音響波送信部と、光源から導光された光を被検体に向けて出射する光照射部と、被検体に対する光照射により被検体内で生じた光音響波、及び、被検体内に送信された音響波に対する反射音響波を検出する音響波検出部を含むプローブと、プローブに設けられたモード切替スイッチと、モード切替スイッチの操作に応じて、音響波検出部で少なくとも光音響波を検出する動作モードと、音響波検出部で光音響信号を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替える制御部とを備えたことを特徴とする光音響計測装置を提供する。
【0009】
本発明では、動作モードが、音響波検出部で光音響波を検出する第1の動作モードと音響波検出部で反射音響波を検出する第2の動作モードと、音響波検出部で光音響波及び反射音響波の双方を検出する第3の動作モードとを含み、制御部が、モード切替スイッチが操作されるたびに第1〜第3の動作モードの間で動作モードを切り替えることとしてもよい。
【0010】
制御部が、初期状態では動作モードを音響波検出部で光音響波を検出しない動作モードに設定することが好ましい。
【0011】
モード切替スイッチには、オルタネート動作のプッシュスイッチを用いることができる。
【0012】
本発明の光音響計測装置は、光音響波及び反射音響波の検出信号に基づいて光音響画像及び音響波画像を生成する画像生成部を更に備える構成とすることができる。
【0013】
プローブは、音響波送信部と光照射部とのうちの少なくとも一方を更に含んでいてもよい。
【0014】
光源が、相互に異なる複数の波長の光を出射可能であり、被検体に照射されるべき光の波長を選択するための波長選択スイッチを更に備え、制御部が、動作モードに切替えに加えて、波長選択スイッチの操作に応じて光源から出射する光の波長を制御することとしてもよい。波長選択スイッチは、プローブに設けることができる。
【0015】
制御部が、波長選択スイッチの操作に応じて、光源から第1の波長の光を出射させ、第1の波長とは異なる第2の波長の光を出射させ、又は、第1の波長の光と第2の波長の光とを交互に出射させることとすることができる。
【0016】
波長選択スイッチには、スライドスイッチを用いることができる。
【0017】
プローブが被検体に接触しているか否かを判断する接触状態判断部を更に備え、接触状態判断部がプローブが被検体に接触していると判断したときに、被検体に対する光照射が行われるようにしてもよい。
【0018】
接触状態判断部は、反射音響波の検出信号に基いて、プローブが被検体に接触しているか否かを判断してもよい。
【0019】
本発明は、また、光源と、被検体に対して音響波を送信する音響波送信部と、光源から導光された光を被検体に向けて出射する光照射部と、被検体に対する光照射により被検体内で生じた光音響波、及び、被検体内に送信された音響波に対する反射音響波を検出する音響波検出部を含むプローブと、動作モードを切り替えるためのモード切替スイッチと、光源から出射すべき光の波長を選択するための波長選択スイッチと、モード切替スイッチの操作に応じて、音響波検出部で少なくとも光音響波を検出する動作モードと、音響波検出部で光音響信号を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替え、かつ、波長選択スイッチの操作に応じて光源から出射する光の波長を制御する制御部とを備え、モード切替スイッチと波長選択スイッチの少なくとも一方がプローブに設けられていることを特徴とする光音響計測装置を提供する。
【0020】
本発明の光音響計測装置は、モード切替スイッチと波長選択スイッチの双方がプローブに設けられている構成としてもよい。
【0021】
モード切替スイッチには、オルタネート動作のプッシュスイッチを用いることができる。
【0022】
上記したものに代えて、モード切替スイッチ及び波長選択スイッチとのうち波長選択スイッチのみがプローブに設けられており、モード切替スイッチに、操作者が足で操作するフットスイッチを用いることとしてもよい。フットスイッチには、オルタネート動作するものを用いることができる。
【0023】
波長選択スイッチには、スライドスイッチを用いることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の光音響計測装置では、プローブにモード切替スイッチを設け、そのスイッチを操作することで、光音響信号の検出を含む動作モードと、光音響信号の検出を含まない動作モードとの間で動作モードを切り替える。操作者は、プローブに設けられたスイッチを操作するだけで生成される画像の切り替えを行うことができ、表示画像を簡易に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態の光音響計測装置を示すブロック図。
【図2】プローブの外観を示す図。
【図3】動作モードが超音波画像生成のモードであるときの動作手順を示すフローチャート。
【図4】動作モードが光音響画像生成のモードであるときの動作手順を示すフローチャート。
【図5】動作モードが双方の画像を生成するモードであるときの動作手順を示すフローチャート。
【図6】超音波画像を例示する図。
【図7】光音響画像を例示する図。
【図8】光音響画像と超音波画像とを重畳した画像を例示する図。
【図9】本発明の第2実施形態の光音響計測装置を示すブロック図。
【図10】プローブの外観を示す図。
【図11】レーザユニットの構成を示すブロック図。
【図12】波長選択素子、駆動手段、及び駆動状態検出手段の構成例を示す図。
【図13】本発明の第3実施形態の光音響計測装置を示すブロック図。
【図14】変形例の光音響計測装置を示すブロック図。
【図15】変形例におけるプローブの外観を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の光音響計測装置を示す。光音響計測装置10は、超音波探触子(プローブ)11、超音波ユニット12、及びレーザ光源(レーザユニット)13を備える。レーザユニット13は、光源であり、被検体に照射するレーザ光を生成する。レーザ光の波長は、観察対象物に応じて適宜設定すればよい。レーザユニット13が出射するレーザ光は、例えば光ファイバなどの導光手段を用いてプローブ11まで導光される。
【0027】
プローブ11は、レーザユニット13から導光された光を被検体に向けて照射する光照射部を含む。また、被検体に対して音響波(典型的には超音波)を送信する音響波送信部と、及び被検体からの音響波の検出(受信)を行う音響波検出部とを含む。プローブ11は、例えば一次元的に配列された複数の超音波振動子を有する。プローブ11は、例えば超音波画像の生成時は複数の超音波振動子から音響波を出力し、出力された音響波に対する反射音響波(以下、反射音響信号とも呼ぶ)を検出する。プローブ11は、光音響画像生成時は、被検体内の測定対象物がレーザユニット13からのレーザ光を吸収することで生じた音響波(以下、光音響信号とも呼ぶ)を検出する。なお、プローブ11は、少なくとも音響波検出部を含んでいればよく、音響波送信部と光照射部との双方、又は何れか一方がプローブ11の外部に設けられていてもよい。
【0028】
プローブ11には、装置の動作モードを切り替えるためのモード切替スイッチ15が設けられる。モード切替スイッチ15には、例えばオルタネート動作のプッシュスイッチを用いることができる。モード切替スイッチ15は、プローブ11の音響波検出部で少なくとも光音響波を検出する動作モードと、音響波検出部で光音響波を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替えるために使用される。動作モードは、例えば音響波検出部で光音響波を検出する第1の動作モードと、反射音響波を検出する第2の動作モードと、光音響波及び反射音響波の双方を検出する第3の動作モードとを含む。医師などの操作者は、モード切替スイッチ15を押すことで、光音響信号の検出、反射音響信号の検出、及び光音響信号と反射音響信号の双方の検出を切り替えることができる。
【0029】
超音波ユニット12は、受信回路16、AD変換手段17、画像再構成手段18、検波手段19、対数変換手段20、画像構築手段21、制御手段22、送信制御回路23を有する。受信回路16は、プローブ11が有する複数の超音波振動子が検出した音響波の検出信号(光音響信号又は反射音響信号)を受信する。AD変換手段17は、受信回路16が受信した音響波の検出信号をデジタル信号に変換する。AD変換手段17は、例えば所定のサンプリング周期で音響波の検出信号をサンプリングする。
【0030】
超音波ユニット12は、プローブで検出された光音響波及び反射音響波の検出信号を処理する検出信号処理部を有する。信号処理部は、例えば、プローブ11が検出した音響波の検出信号に基づいて断層画像を生成する画像生成部として構成される。図1では、画像再構成手段18、検波手段19、対数変換手段20、及び画像構築手段21が画像生成部を構成する。画像生成手段の機能は、コンピュータが所定のプログラムに従って処理を動作することで実現できる。画像生成部は、プローブ11が受信した光音響信号に基づいて第1の断層画像(光音響画像)を生成すると共に、プローブ11が受信した反射音響信号に基づいて第2の断層画像(超音波画像)を生成する。
【0031】
画像再構成手段18は、プローブ11の複数の超音波振動子で検出された音響波の検出信号に基づいて、断層画像の各ラインのデータを生成する。画像再構成手段18は、例えばプローブ11の64個の超音波振動子からのデータを、超音波振動子の位置に応じた遅延時間で加算し、1ライン分のデータを生成する(遅延加算法)。画像再構成手段18は、遅延加算法に代えて、CBP法(Circular Back Projection)により再構成を行ってもよい。あるいは画像再構成手段18は、ハフ変換法又はフーリエ変換法を用いて再構成を行ってもよい。
【0032】
検波手段19は、画像再構成手段18が出力する各ラインのデータの包絡線を出力する。対数変換手段20は、検波手段19が出力する包絡線を対数変換し、ダイナミックレンジを広げる。画像構築手段21は、対数変換が施された各ラインのデータに基づいて、断層画像を生成する。画像構築手段21は、例えば音響波の検出信号(ピーク部分)の時間軸方向の位置を、断層画像における深さ方向の位置に変換して断層画像を生成する。画像表示手段14は、画像構築手段21が生成した断層画像を、表示モニタなどに表示する。
【0033】
制御手段(制御部)22は、超音波ユニット12内の各部を制御する。制御手段22が行う制御は、動作モードの切り替えを含む。制御手段22は、モード切替スイッチ15の操作に応じて、プローブ11の音響波検出部で少なくとも光音響波を検出する動作モードと、光音響信号を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替える。制御手段22は、例えば光音響波を検出して光音響画像を生成する動作モードと、反射音響波を検出した超音波画像を生成する動作モードと、光音響波及び反射音響波の双方を検出して光音響画像及び超音波画像の双方を生成する動作モードとの間で、動作モードを切り替える。
【0034】
制御手段22は、初期状態、つまりモード切替スイッチ15が一度も押されてない状態では、例えばプローブ11の音響波検出部で光音響波を検出しない動作モード、具体的には超音波画像を生成する動作モードに設定する。制御手段22は、例えばモード切替スイッチ15が操作されるたびに動作モードを切り替える。制御手段22は、動作モードが超音波画像生成モードのときにモード切替スイッチ15が押されると、動作モードを光音響画像生成モードに切り替える。制御手段22は、更にモード切替スイッチ15が押されると、動作モードを光音響画像生成モードから超音波画像と光音響画像との双方を生成するモードに切り替える。双方の画像を生成するモードでモード切替スイッチ15が押されたときは、動作モードを、超音波画像を生成するモードに戻す。以降、制御手段22は、モード切替スイッチ15が押されるたびに、動作モードを、超音波画像、光音響画像、超音波画像と光音響画像の双方を生成するモードの順に切り替えていく。
【0035】
制御手段22は、動作モードが超音波画像を生成するモード、又は超音波画像と光音響画像とを生成するモードのときは、送信制御回路23に超音波送信トリガ信号を送る。送信制御回路23は、トリガ信号を受けると、プローブ11から超音波を送信させる。制御手段22は、超音波送信トリガ信号と同期して、AD変換手段17における反射音響信号のサンプリング開始タイミングを制御する。一方、制御手段22は、動作モードが光音響画像を生成するモード、又は超音波画像と光音響画像とを生成するモードのときは、レーザユニット13に対してレーザ発振トリガ信号を送る。レーザユニット13は、トリガ信号を受けてレーザ発振を行い、レーザ光を出射する。制御手段22は、レーザ発振トリガ信号と同期して、AD変換手段17における光音響信号のサンプリング開始タイミングを制御する。
【0036】
図2は、プローブ11の外観を示す。操作者は、プローブ11を手で握って観察したい場所に超音波振動子が配列されている面を接触させる。モード切替スイッチ15は、例えばプローブ11を手で握ったときに、親指が位置する部分に設けられている。操作者は、モード切替スイッチ15を適宜操作して、動作モードを所望の動作モードに設定する。
【0037】
図3は、動作モードが超音波画像生成のモードであるときの動作手順を示す。制御手段22は、超音波送信トリガ信号を送信制御回路23に出力する(ステップA1)。プローブ11は、被検体内へ超音波を送信する(ステップA2)。プローブ11は、被検体内で反射した反射音響信号を受信する(ステップA3)。超音波ユニット12内の画像生成部は、反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する(ステップA4)。画像表示手段14は、超音波ユニット12で生成された超音波画像を表示画面上に表示する(ステップA5)。
【0038】
図4は、動作モードが光音響画像生成のモードであるときの動作手順を示す。制御手段22は、レーザ発振トリガ信号をレーザユニット13へ出力する(ステップB1)。レーザユニット13は、パルスレーザ光を出射する。レーザユニット13から出射したパルスレーザ光は、プローブ11から被検体に照射される(ステップB2)。プローブ11は、レーザ光の照射により生体内で発生した光音響信号を受信する(ステップB3)。超音波ユニット12内の画像生成手段は、光音響信号に基づいて光音響画像を生成する(ステップB4)。画像表示手段14は、超音波ユニット12で生成された光音響画像を表示画面上に表示する(ステップB5)。
【0039】
図5は、動作モードが光音響画像と超音波画像とを生成するモードであるときの動作手順を示す。制御手段22は、レーザ発振トリガ信号をレーザユニット13へ出力する(ステップC1)。レーザユニット13は、パルスレーザ光を出射する。レーザユニット13から出射したパルスレーザ光は、プローブ11から被検体に照射される(ステップC2)。プローブ11は、レーザ光の照射により生体内で発生した光音響信号を受信する(ステップC3)。超音波ユニット12内の画像生成手段は、光音響信号に基づいて光音響画像を生成する(ステップC4)。
【0040】
続いて制御手段22は、超音波送信トリガ信号を送信制御回路23に出力する(ステップC5)。プローブ11は、被検体内へ超音波を送信する(ステップC6)。プローブ11は、被検体内で反射した反射音響信号を受信する(ステップC7)。超音波ユニット12内の画像生成手段は、反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する(ステップC8)。画像表示手段14は、超音波ユニット12で生成された光音響画像と超音波画像とを表示画面上に表示する(ステップC9)。画像表示手段14は、例えば光音響画像と超音波画像とを重畳表示する。なお、図5では先に光音響画像を生成し、次いで超音波画像を生成することとしたが、超音波画像の生成を先に行い、その後に光音響画像を生成してもよい。
【0041】
図6は超音波画像を示し、図7は光音響画像を示し、図8は光音響画像と超音波画像とを重畳した画像を示す。各図において、横方向は超音波振動子が配列された方向に対応し、縦方向は深さ方向に対応している。画像表示手段14は、動作モードが超音波画像生成モードのときは、図6に示す超音波画像を表示する。画像表示手段14は、動作モードが光音響画像生成モードのときは、図7に示す光音響画像を表示する。画像表示手段14は、動作モードが光音響画像と超音波画像とを生成するモードのときは、図8に示す光音響画像と超音波画像とを重畳した画像を表示する。
【0042】
本実施形態では、制御手段22は、モード切替スイッチ15が操作されるたびに、動作モードを切り替える。例えば光音響計測装置10が超音波画像生成モードで動作し、超音波画像を観察していたときにモード切替スイッチ15を1回操作すると、動作モードが光音響画像生成モードに切り替わり、光音響画像の観察が可能となる。本実施形態では、モードの切り替えモード切替スイッチ15をプローブに設けているため、操作者は、操作パネルなどを操作しなくても、観察画像の切り替えが可能であり、簡易に表示画像を切り替えることができる。動作モードの初期状態としては、光音響画像の生成を含まないモードが好ましい。その場合、いきなりレーザ光が照射されることを防止できる。
【0043】
続いて、本発明の第2実施形態を説明する。図9は、本発明の第2実施形態の光音響計測装置を示す。光音響計測装置10aは、超音波探触子(プローブ)11、超音波ユニット12a、及び光源(レーザユニット)13を備える。超音波ユニット12aは、受信回路16、AD変換手段17、光音響画像再構成手段27、光音響画像構築手段31、制御手段22、送信制御回路23、受信メモリ24、データ分離手段25、2波長データ複素数化手段26、2波長データ演算手段28、強度情報抽出手段29、検波・対数変換手段30、超音波画像再構成手段32、検波・対数変換手段33、超音波画像構築手段34、画像合成手段35、及びトリガ制御回路36を有する。
【0044】
本実施形態では、レーザユニット13は、相互に異なる複数の波長のレーザ光を出射可能に構成されている。複数波長の光を被検体に照射した場合、光音響画像の生成では、被検体内の光吸収体における光吸収特性の波長依存性を利用して、例えば動脈と静脈とが判別可能な光音響画像を生成する。モード切替スイッチ15を用いた装置の動作モードの切り替えは、第1実施形態と同様である。すなわち、例えばオルタネート動作のプッシュスイッチを用いて構成されたモード切替スイッチ15を押すたびに、光音響画像と超音波画像のうちの超音波画像のみを生成する動作モード、光音響画像のみを生成する動作モード、及び、双方の画像を生成する動作モードの間で動作モードの切り替えを行う。
【0045】
レーザユニット13から出射したパルスレーザ光は、例えば光ファイバなどの導光手段を用いてプローブ11まで導光され、プローブ11から被検体に向けて照射される。以下の説明においては、主に、レーザユニット13が、第1の波長のパルスレーザ光と第2の波長のパルスレーザ光とを出射可能であるものとして説明する。
【0046】
例えば、第1の波長(中心波長)として約750nmを考え、第2の波長として約800nmを考える。ヒトの動脈に多く含まれる酸素化ヘモグロビン(酸素と結合したヘモグロビン:oxy-Hb)の波長750nmにおける分子吸収係数は、波長800nmにおける分子吸収係数よりも高い。一方、静脈に多く含まれる脱酸素化ヘモグロビン(酸素と結合していないヘモグロビンdeoxy-Hb)の波長750nmにおける分子吸収係数は、波長800nmにおける分子吸収係数よりも低い。この性質を利用し、波長800nmで得られた光音響信号に対して、波長750nmで得られた光音響信号が相対的に大きいのか小さいのかを調べることで、動脈からの光音響信号と静脈からの光音響信号とを判別することができる。
【0047】
プローブ11は、被検体に向けて光を照射する光照射部と、被検体に音響波を送信する音響波送信部と、被検体からの音響波(光音響波及び反射音響波)を検出する音響波検出部とを有する。受信回路16は、プローブ11が検出した音響波の検出信号を受信する。AD変換手段17は、受信回路16が受信した音響波の検出信号をサンプリングする。AD変換手段17は、例えばADクロック信号に同期して、所定のサンプリング周期で音響波の検出信号のサンプリングを行う。AD変換手段17は、反射音響信号をサンプリングした反射音響データと、光音響信号をサンプリングした光音響データとを、受信メモリ24に格納する。
【0048】
制御手段22及びトリガ制御回路36は、制御部を構成する。制御手段22は、超音波ユニット12a内の各部の制御を行う。トリガ制御回路36は、装置の動作モードが光音響画像の生成を含む動作モードのとき、レーザユニット13に対して光出射を指示する光トリガ信号を出力する。この光トリガ信号は、第1実施形態におけるレーザ発振トリガ信号に相当する。トリガ制御回路36は、まずフラッシュランプトリガ信号を出力し、それに後続して、Qスイッチトリガ信号を出力する。レーザユニット13は、フラッシュランプトリガ信号に応答してレーザ媒質の励起を行い、Qスイッチトリガ信号に応答してパルスレーザ光を出射する。なお、トリガ制御回路36は、制御手段22の一部であってもよい。
【0049】
トリガ制御回路36からQスイッチトリガ信号をレーザユニット13に送信するのに代えて、レーザユニット13内においてQスイッチトリガのタイミングを生成してもよい。その場合は、Qスイッチをオンにした旨を示す信号をレーザユニット13から超音波ユニット12a側に通知してもよい。ここで、光トリガ信号とは、フラッシュランプトリガ信号とQスイッチトリガ信号の少なくとも一方を含む概念である。トリガ制御回路36からQスイッチトリガ信号を出力する場合はQスイッチトリガ信号が光トリガ信号に対応し、レーザユニット13にてQスイッチトリガのタイミングを生成する場合はフラッシュランプトリガ信号が光トリガ信号に対応していてもよい。
【0050】
トリガ制御回路36は、装置の動作モードが超音波画像の生成を含む動作モードのとき、送信制御回路23に、音響波送信を指示する超音波トリガ信号を出力する。送信制御回路23は、超音波トリガ信号を受けると、プローブ11から音響波(超音波)を送信させる。トリガ制御回路36は、装置の動作モードが光音響画像と超音波画像との双方を生成する動作モードのときは、所定の順序で光トリガ信号と超音波トリガ信号とを出力する。トリガ制御回路36は、例えば先に光トリガ信号を出力し、次いで超音波トリガ信号を出力する。光トリガ信号が出力されることで被検体に対するレーザ光の照射及び光音響信号の検出が行われ、その後、超音波トリガ信号が出力されることで被検体に対する超音波の送信及び反射音響信号の検出が行われる。トリガ制御回路36は、光トリガ信号又は超音波トリガ信号の出力後、AD変換手段17に対して、サンプリング開始を指示するサンプリングトリガ信号を出力する。AD変換手段17は、サンプリングトリガ信号を受けると、光音響信号又は反射音響信号のサンプリングを開始する。AD変換手段17は、サンプリングした光音響信号及び反射音響信号を、受信メモリ24に格納する。
【0051】
なお、光音響画像と超音波画像との双方を生成する場合、光音響信号と反射音響信号とを個別にサンプリングするのに代えて、両者を連続的にサンプリングするようにしてもよい。例えば、トリガ制御回路36は、光トリガ信号の出力後、光音響信号の検出を終了するタイミングで超音波トリガ信号を出力する。このとき、AD変換手段17は反射音響波の検出信号のサンプリングを中断せず、サンプリングを継続して実施する。言い換えれば、トリガ制御回路36は、AD変換手段17が音響波の検出信号のサンプリングを継続している状態で、超音波トリガ信号を出力する。超音波トリガ信号に応答してプローブ11が超音波送信を行うことで、プローブ11で検出される音響波は、光音響波から反射音響波に変わる。AD変換手段17は、検出された音響波の検出信号のサンプリングを継続することで、光音響信号と反射音響信号とを連続的にサンプリングし、サンプリングした光音響信号及び反射音響信号を、両者に共通の受信メモリ24に格納してもよい。
【0052】
ところで、被検体内の深さ方向の同じ位置で光音響波及び反射音響波が発生したとすると、反射音響信号の場合は、プローブ11から送信された音響波がその位置まで進むまでに要する時間が必要なため、音響波送信から反射音響波の検出までの時間は、光照射から光音響波の検出までの時間の倍の時間となる。超音波画像の生成に際しては、反射音響信号を1/2にリサンプルする1/2リサンプル手段を設け、例えば反射音響信号を時間軸方向に1/2に圧縮したものを対象に超音波画像を生成するようにしてもよい。あるいは、反射音響波の検出信号をサンプリングするタイミングでAD変換手段17におけるサンプリングレートを半分に、例えば40MHzから20MHzに下げてもよい。
【0053】
光音響信号のサンプリングは、レーザユニット13が出射する光の波長の数だけ繰り返し行う。例えばまずレーザユニット13から第1の波長の光を被検体に照射し、被検体に第1の波長のパルスレーザ光が照射されたときにプローブ11で検出された第1の光音響信号(第1の光音響データ)を受信メモリ24に格納する。次いで、レーザユニット13から第2の波長の光を被検体に照射し、第2の波長のパルスレーザ光が照射されたときにプローブ11で検出された第2の光音響信号(第2の光音響データ)を受信メモリ24に格納する。光音響信号と反射音響信号とを連続的にサンプリングする場合、波長の数だけ光音響信号のサンプリングと反射音響信号のサンプリングとを繰り返せばよい。例えば第1の光音響データと連続して、受信メモリ24に反射音響データを格納し、第2の光音響データと連続して、受信メモリ24に反射音響データを格納する。
【0054】
データ分離手段25は、受信メモリ24に格納された反射音響データと、第1及び第2の光音響データとを分離する。データ分離手段25は、第1及び第2の光音響データを、2波長データ複素数化手段26に渡す。2波長データ複素数化手段26は、第1の光音響信号と第2の光音響信号のうちの何れか一方を実部、他方を虚部とした複素数データを生成する。以下では、2波長データ複素数化手段26が、第1の光音響信号を実部とし、第2の光音響信号を虚部とした複素数データを生成するものとして説明する。
【0055】
光音響画像再構成手段27は、2波長データ複素数化手段26から光音響データである複素数データを入力し、光音響データの再構成を行う。光音響画像再構成手段27は、入力された複素数データから、フーリエ変換法(FTA法)により画像再構成を行う。フーリエ変換法による画像再構成には、例えば文献”Photoacoustic Image Reconstruction-A Quantitative Analysis”Jonathan I.Sperl et al. SPIE-OSA Vol.6631 663103 等に記載されている従来公知の方法を適用することができる。光音響画像再構成手段27は、再構成画像を示すフーリエ変換のデータを強度情報抽出手段29と2波長データ演算手段28とに入力する。
【0056】
2波長データ演算手段28は、各波長に対応した光音響データ間の相対的な信号強度の大小関係を抽出する。本実施形態では、2波長データ演算手段28は、光音響画像再構成手段27で再構成された再構成画像を入力データとし、複素数データである入力データから、実部と虚部とを比較したときに、相対的に、どちらがどれくらい大きいかを示す位相情報を抽出する。2波長データ演算手段28は、例えば複素数データがX+iYで表わされるとき、θ=tan−1(Y/X)を位相情報として生成する。なお、X=0の場合はθ=90°とする。実部を構成する第1の光音響データ(X)と虚部を構成する第2の光音響データ(Y)とが等しいとき、位相情報はθ=45°となる。位相情報は、相対的に第1の光音響データが大きいほどθ=0°に近づいていき、第2の光音響データが大きいほどθ=90°に近づいていく。
【0057】
強度情報抽出手段29は、各波長に対応した光音響データに基づいて信号強度を示す強度情報を生成する。本実施形態では、強度情報抽出手段29は、光音響画像再構成手段27で再構成された再構成画像を入力データとし、複素数データである入力データから、強度情報を生成する。強度情報抽出手段29は、例えば複素数データがX+iYで表わされるとき、(X2+Y2)1/2を、強度情報として抽出する。検波・対数変換手段30は、強度情報抽出手段29で抽出された強度情報を示すデータの包絡線を生成し、次いでその包絡線を対数変換してダイナミックレンジを広げる。
【0058】
光音響画像構築手段31は、2波長データ演算手段28から位相情報を入力し、検波・対数変換手段30から検波・対数変換処理後の強度情報を入力する。光音響画像構築手段31は、入力された位相情報と強度情報とに基づいて、光吸収体の分布画像である光音響画像を生成する。光音響画像構築手段31は、例えば入力された強度情報に基づいて、光吸収体の分布画像における各画素の輝度(階調値)を決定する。また、光音響画像構築手段31は、例えば位相情報に基づいて、光吸収体の分布画像における各画素の色(表示色)を決定する。光音響画像構築手段31は、例えば例えば位相0°から90°の範囲を所定の色に対応させたカラーマップに用いて、入力された位相情報に基づいて各画素の色を決定する。
【0059】
ここで、位相0°から45°の範囲は、第1の光音響データが第2の光音響データよりも大きい範囲であるため、光音響信号の発生源は、波長798nmの光に対する吸収よりも波長756nmの光に対する吸収の方が大きい酸素化ヘモグロビンを主に含む血液が流れている動脈であると考えられる。一方、位相45°から90°の範囲は、第2の光音響データが第1の光音響データよりも小さい範囲であるため、光音響信号の発生源は、波長798nmの光に対する吸収よりも波長756nmの光に対する吸収の方が小さい脱酸素化ヘモグロビンを主に含む血液が流れている静脈であると考えられる。
【0060】
そこで、カラーマップとして、例えば位相が0°が赤色で、位相が45°に近づくに連れて無色(白色)になるように色が徐々に変化すると共に、位相90°が青色で、位相が45°に近づくに連れて白色になるように色が徐々に変化するようなカラーマップを用いる。この場合、光音響画像上で、動脈に対応した部分を赤色で表わし、静脈に対応した部分を青色で表わすことができる。強度情報を用いずに、階調値は一定として、位相情報に従って動脈に対応した部分と静脈に対応した部分との色分けを行うだけでもよい。
【0061】
なお、被検体に対して単一の波長の光のみが照射される場合は、2波長データ複素数化手段26による複素数化、及び、2波長データ演算手段28による位相情報の抽出は不要である。単一の波長の光のみが照射される場合は、強度情報抽出手段29によって抽出される強度情報に基づいて、光音響画像を生成すればよい。
【0062】
一方、データ分離手段25は、分離した反射音響データを、超音波画像再構成手段32に渡す。超音波画像再構成手段32は、反射音響信号(反射音響データ)に基づいて、断層画像である超音波画像の各ラインのデータを生成する。検波・対数変換手段33は、超音波画像再構成手段32が出力する各ラインのデータの包絡線を生成し、その包絡線を対数変換してダイナミックレンジを広げる。超音波画像構築手段34は、対数変換が施された各ラインのデータに基づいて、超音波画像を生成する。
【0063】
画像合成手段35は、光音響画像構築手段31で生成された光音響画像と、超音波画像構築手段34で生成された超音波画像とを合成する。合成された画像は、画像表示手段14に表示される。画像合成を行わずに、画像表示手段14に、光音響画像と超音波画像とを並べて表示し、或いは光音響画像と超音波画像とを切り替えて表示することも可能である。
【0064】
波長選択スイッチ37は、レーザユニット13が出射可能な複数の波長のうち、どの波長の光を出射するかを選択するためのスイッチである。ユーザは、波長選択スイッチ37を操作することで、光音響画像の生成に際して、例えば第1の波長、第2の波長、及び、第1の波長と第2の波長とを交互に出射するの何れかを選択することができる。トリガ制御回路36は、波長選択スイッチ37の操作に応じて、レーザユニット13から出射する光の波長を制御する。
【0065】
図10は、プローブ11の外観を示す。プローブ11には、モード切替スイッチ15に加えて、波長選択スイッチ37が設けられている。波長選択スイッチ37は、例えばスライドスイッチとして構成される。波長選択スイッチ37のスライド位置が「750」の位置のとき、トリガ制御回路36は、レーザユニット13から波長750nmの光を出射させる。スライド位置が「800」のときは、レーザユニット13から波長800nmの光を出射させる。スライド位置が「ALT」のときは、レーザユニット13から波長750nmの光と波長800nmの光とを交互に出射させる。
【0066】
続いて、レーザユニット13の構成を詳細に説明する。図11は、レーザユニット13の構成を示す。レーザユニット13は、レーザロッド61、フラッシュランプ62、ミラー63、64、Qスイッチ65、波長選択素子66、駆動手段67、駆動状態検出手段68、及びBPF制御回路69を有する。
【0067】
レーザロッド61は、レーザ媒質である。レーザロッド61には、例えばアレキサンドライト結晶やCr:LiSAF(Cr:LiSrAlF6),Cr:LiCAF(Cr:LiCaAlF6)結晶,Ti:Sapphire結晶を用いることができる。フラッシュランプ62は、レーザ媒質を励起する励起手段であり、レーザロッド61に励起光を照射する。フラッシュランプ62以外の光源、例えば半導体レーザや固体レーザを、励起光源として用いてもよい。
【0068】
ミラー63、64は、レーザロッド61を挟んで対向しており、ミラー63、64により光共振器が構成される。ここでは、ミラー64が出力側のミラーであるとする。光共振器内には、Qスイッチ65が挿入される。Qスイッチ65により、光共振器内の挿入損失を損失大(低Q)から損失小(高Q)へと急速に変化させることで、パルスレーザ光を得ることができる。
【0069】
波長選択素子66は、透過波長が相互に異なる複数のバンドパスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)を含む。波長選択素子66は、複数のバンドパスフィルタを光共振器の光路上に選択的に挿入する。波長選択素子66は、例えば波長750nm(中心波長)の光を透過させる第1のバンドパスフィルタと、波長800nm(中心波長)の光を透過させる第2のバンドパスフィルタとを含む。光共振器の光路上に第1のバンドパスフィルタを挿入することで、光発振器の発振波長を750nmとすることができ、光共振器の光路上に第2のバンドパスフィルタを挿入することで、光発振器の発振波長を800nmとすることができる。
【0070】
駆動手段67は、波長選択素子66を駆動する。駆動状態検出手段68は、波長選択素子66の駆動状態を検出する。BPF制御回路69は、駆動手段67を制御する。駆動手段67は、例えば波長選択スイッチ37(図9)により波長750nmが選択されているときは、光共振器の光路上に第1のバンドパスフィルタが挿入されるように、波長選択素子66を駆動する。また、波長800nmが選択されているときは、光共振器の光路上に第2のバンドパスフィルタが挿入されるように、波長選択素子66を駆動する。
【0071】
駆動手段67は、波長選択スイッチ37により2つの波長の光を交互に出射することが選択されているときは、光共振器の光路上に挿入されるバンドパスフィルタが所定の順序で順次に切り替わるように波長選択素子66を駆動する。例えば波長選択素子66が、回転変位に伴って光共振器の光路上に選択的に挿入するバンドパスフィルタを切り替えるフィルタ回転体で構成されているとき、駆動手段67は、波長選択素子66を構成するフィルタ回転体を連続的に回転駆動する。駆動状態検出手段68は、例えばフィルタ回転体である波長選択素子66の回転変位を検出する。駆動状態検出手段68は、フィルタ回転体の回転変位位置を示すBPF状態情報を出力する。
【0072】
図12は、波長選択素子66、駆動手段67、及び駆動状態検出手段68の構成例を示す。この例では、波長選択素子66は2つのバンドパスフィルタを含むフィルタ回転体であり、駆動手段67はサーボモータである。また、駆動状態検出手段68はロータリーエンコーダーである。波長選択素子66は、サーボモータの出力軸の回転に従って回転する。波長選択素子66を構成するフィルタ回転体の半分(例えば回転変位位置0°から180°)は波長750nmの光を透過させる第1のバンドパスフィルタであり、残りの半分(例えば回転変位位置180°から360°)は波長800nmの光を透過させる第2のバンドパスフィルタである。このようなフィルタ回転体を回転させることで、光共振器の光路上に、第1のバンドパスフィルタと第2のバンドパスフィルタとを、フィルタ回転体の回転速度に応じた切り替え速度で交互に挿入することができる。
【0073】
駆動状態検出手段68を構成するロータリーエンコーダーは、サーボモータの出力軸に取り付けられたスリット入りの回転板と透過型フォトインタラプタとで、波長選択素子66であるフィルタ回転体の回転変位を検出し、BPF状態情報を生成する。駆動状態検出手段68は、フィルタ回転体の回転変位位置を示すBPF状態情報をBPF制御回路69に出力する。
【0074】
波長選択スイッチ37(図9)により2つの波長の光を交互に出射することが選択されているとき、BPF制御回路69は、例えば所定時間の間に駆動状態検出手段68が検出した回転変位の量が、フィルタ回転体の所定の回転速度に応じた量になるように駆動手段67に供給する電圧などを制御する。トリガ制御回路36は、BPF制御信号を通じて、BPF制御回路69に、フィルタ回転体の回転速度を指示する。BPF制御回路69は、例えばBPF状態情報をモニタし、所定時間の間に駆動状態検出手段68で検出される波長選択素子66の変位量が、指示された回転速度に対応した量に保たれるように、サーボモータに供給する電圧などを制御する。BPF制御回路69を用いるのに代えて、トリガ制御回路36がBPF状態情報をモニタし、波長選択素子66が所定の速度で駆動されるように、駆動手段67を制御するようにしてもよい。
【0075】
以下、超音波画像を生成する動作モード、光音響画像を生成する動作モード、及び双方の画像を生成する動作モードにおける動作手順について説明する。まず、超音波画像を生成する動作モードにおける動作手順を説明する。超音波画像生成の動作手順は、基本的に第1実施形態で説明したものと同様である。トリガ制御回路36(図9)は、超音波トリガ信号を送信制御回路23に出力する。プローブ11は、被検体内へ超音波を送信する。プローブ11は、被検体内で反射した反射音響波を検出する。超音波ユニット12a内の受信回路16は反射音響波の検出信号(反射音響信号)を受信し、AD変換手段17は反射音響信号をサンプリングして受信メモリ24に格納する。データ分離手段25は、受信メモリ24から反射音響信号を読み出して超音波画像再構成手段32に渡す。反射音響信号は、超音波画像再構成手段32で再構成された後に、検波・対数変換手段33にて検波・対数変換される。超音波画像構築手段34は、検波・対数変換された反射音響信号に基づいて超音波画像を生成する。生成された超音波画像は、画像表示手段14の表示画面上に表示される。
【0076】
次いで、光音響画像を生成する動作モードにおける動作手順を説明する。ここでは、波長選択スイッチ37により、波長750nmの光と波長800nmの光とを交互に照射することが選択されているものとする。トリガ制御回路36は、レーザユニット13内の波長選択素子66(図11)が光共振器の光路上に挿入するバンドパスフィルタが所定の切替え速度で切り替わるように、BPF制御回路69を制御する。トリガ制御回路36は、例えば、波長選択素子66を構成するフィルタ回転体を、所定の方向に所定の回転速度で連続的に回転させる旨のBPF制御信号を、BPF制御回路69に出力する。フィルタ回転体の回転速度は、例えばレーザユニット13から出射すべきパルスレーザ光の波長の数(バンドパスフィルタの透過波長の数)と、単位時間当たりのパルスレーザの個数とに基づいて決定できる。
【0077】
トリガ制御回路36は、レーザユニット13に、フラッシュランプ62からレーザロッド61へ励起光を照射させる旨のフラッシュランプトリガ信号を出力する。フラッシュランプ62は、フラッシュランプトリガ信号に応答してレーザロッド61に励起光を照射する。トリガ制御回路36は、BPF状態信号に基づいて、フラッシュランプトリガ信号を出力する。例えばトリガ制御回路36は、BPF状態情報が、出射すべきパルスレーザ光の波長(第1の波長)に対応したバンドパスフィルタが光共振器の光路上に挿入される波長選択素子66の駆動位置から、レーザロッド61の励起に要する時間の間に波長選択素子66が変位する量を差し引いた位置を示す情報になるとフラッシュランプトリガ信号を出力し、レーザロッド61に対して励起光を照射させる。トリガ制御回路36は、例えば所定の時間間隔で周期的にフラッシュランプトリガ信号を出力する。
【0078】
トリガ制御回路36は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、レーザユニット13のQスイッチ65にQスイッチトリガ信号を出力する。トリガ制御回路36は、波長選択素子66が、出射すべきパルスレーザ光の波長(第1の波長)に対応した透過波長のバンドパスフィルタを光共振器の光路上に挿入しているタイミングでQスイッチトリガ信号を出力する。例えば波長選択素子66がフィルタ回転体で構成されるとき、トリガ制御回路36は、BPF状態情報が、出射すべきパルスレーザ光の波長に対応したバンドパスフィルタが光共振器の光路上に挿入されていることを示す位置となっているときに、Qスイッチトリガ信号を出力する。Qスイッチ65が、Qスイッチトリガ信号に応答して光共振器内の挿入損失を損失大から損失小に急激に変化させることで、出力側のミラー64から第1の波長のパルスレーザ光が出射する。
【0079】
レーザユニット13から出射した第1の波長の光は、例えばプローブ11まで導光された後に被検体に照射される。プローブ11は、第1の波長のレーザ光の照射により生体内で発生した光音響信号を検出する。超音波ユニット12a内の受信回路16は光音響信号を受信し、AD変換手段17は第1の波長が照射されたときの光音響信号をサンプリングして受信メモリ24に格納する。
【0080】
第1の波長の光の照射に続いて、上記と同様な手順により、第2の波長の光を被検体に照射する。すなわち、フラッシュランプトリガ信号の出力後、波長選択素子66が、第2の波長に対応した透過波長のバンドパスフィルタを光共振器の光路上に挿入しているタイミングでQスイッチトリガ信号を出力し、レーザユニット13から第2の波長のパルスレーザ光を出射させる。プローブ11は、第2の波長のレーザ光の照射により生体内で発生した光音響信号を検出する。超音波ユニット12a内の受信回路16は光音響信号を受信し、AD変換手段17は第2の波長が照射されたときの光音響信号をサンプリングして受信メモリ24に格納する。
【0081】
データ分離手段25は、受信メモリ24から第1の波長の光が照射されたときの光音響信号と、第2の波長の光が照射されたときの光音響信号とを読み出し、2波長データ複素数化手段26に渡す。2波長データ複素数化手段26は、2つの波長に対応した光音響信号のうちの一方を実部とし、他方を虚部とした複素数データを生成し、光音響画像再構成手段27は、その複素数データをフーリエ変換法により再構成する。2波長データ演算手段28は、再構成された複素数データから位相情報を抽出する。また、強度情報抽出手段29は、再構成された複素数データから強度情報を抽出する。抽出された強度情報は、検波・対数変換手段30にて検波・対数変換される。光音響画像構築手段31は、検波・対数変換された強度情報と位相情報とに基づいて、光音響画像を生成する。生成された光音響画像は、画像表示手段14の表示画面上に表示される。
【0082】
続いて、超音波画像と光音響画像との双方を生成する動作モードにおける動作手順を説明する。ここでも、波長選択スイッチ37により、波長750nmの光と波長800nmの光とを交互に照射することが選択されているものとする。トリガ制御回路36は、上記した光音響画像の生成の場合と同様に、レーザユニット13内の波長選択素子66が光共振器の光路上に挿入するバンドパスフィルタが所定の切替え速度で切り替わるように、BPF制御回路69を制御する。
【0083】
トリガ制御回路36は、レーザユニット13にフラッシュランプトリガ信号を出力し、フラッシュランプ62からレーザロッド61に励起光を照射させる。トリガ制御回路36は、フラッシュランプトリガ信号の出力後、レーザユニット13のQスイッチ65にQスイッチトリガ信号を出力する。Qスイッチ65が光共振器内の挿入損失を損失大から損失小に急激に変化させることで、出力側のミラー64から第1の波長のパルスレーザ光が出射する。
【0084】
レーザユニット13から出射した第1の波長の光は、例えばプローブ11まで導光された後に被検体に照射される。プローブ11は、第1の波長のレーザ光の照射により生体内で発生した光音響信号を検出する。超音波ユニット12a内の受信回路16は光音響信号を受信し、AD変換手段17は第1の波長が照射されたときの光音響信号をサンプリングして受信メモリ24に格納する。
【0085】
トリガ制御回路36は、第1の波長の光の照射に続いて、上記と同様な手順により、第2の波長の光を被検体に照射する。すなわち、フラッシュランプトリガ信号の出力後、波長選択素子66が、第2の波長に対応した透過波長のバンドパスフィルタを光共振器の光路上に挿入しているタイミングでQスイッチトリガ信号を出力し、レーザユニット13から第2の波長のパルスレーザ光を出射させる。プローブ11は、第2の波長のレーザ光の照射により生体内で発生した光音響信号を検出する。超音波ユニット12a内の受信回路16は光音響信号を受信し、AD変換手段17は第2の波長が照射されたときの光音響信号をサンプリングして受信メモリ24に格納する。
【0086】
光音響信号のサンプリングが終了すると、トリガ制御回路36は、超音波トリガ信号を送信制御回路23に出力する。プローブ11は、被検体内へ超音波を送信する。プローブ11は、被検体内で反射した反射音響信号を検出する。超音波ユニット12a内の受信回路16は反射音響信号を受信し、AD変換手段17は反射音響信号をサンプリングして受信メモリ24に格納する。
【0087】
データ分離手段25は、受信メモリ24から第1の波長の光が照射されたときの光音響信号と、第2の波長の光が照射されたときの光音響信号とを読み出し、2波長データ複素数化手段26に渡す。また、受信メモリ24から反射音響信号を読み出し、超音波画像再構成手段32に渡す。
【0088】
2波長データ複素数化手段26は、2つの波長に対応した光音響信号のうちの一方を実部とし、他方を虚部とした複素数データを生成し、光音響画像再構成手段27は、その複素数データをフーリエ変換法により再構成する。2波長データ演算手段28は、再構成された複素数データから位相情報を抽出する。また、強度情報抽出手段29は、再構成された複素数データから強度情報を抽出する。抽出された強度情報は、検波・対数変換手段30にて検波・対数変換される。光音響画像構築手段31は、検波・対数変換された強度情報と位相情報とに基づいて、光音響画像を生成する。
【0089】
データ分離手段25から超音波画像再構成手段32に渡された反射音響信号は、超音波画像再構成手段32で再構成された後に、検波・対数変換手段33にて検波・対数変換される。超音波画像構築手段34は、検波・対数変換された反射音響信号に基づいて、超音波画像を生成する。光音響画像構築手段31で生成された光音響画像と超音波画像構築手段34で生成された超音波画像とは、画像合成手段35で合成された後に、画像表示手段14の表示画面上に表示される。
【0090】
本実施形態では、レーザユニット13が波長選択素子66を含んでおり、レーザユニット13から、相互に異な複数の波長のレーザ光を被検体に照射することができる。波長選択素子66が透過波長が異なる2つのバンドパスフィルタを含むとき、それらバンドパスフィルタを光共振器の光路上に選択的に挿入することで、レーザユニット13から出射する光の波長を制御することができる。また、例えば、透過波長が異なる2つのバンドパスフィルタを含む波長選択素子66を連続的に駆動することで、2つのバンドパスフィルタを連続的、かつ選択的に光共振器の光路上に挿入することができ、レーザユニット13から複数波長のレーザ光を連続的に切り替えて出射することができる。複数の波長のパルスレーザ光を照射したときの光音響信号(光音響データ)を用いることで、各光吸収体の光吸収特性が波長に応じて異なることを利用した機能イメージングを行うことができる。
【0091】
また、本実施形態では、2つの波長で得られた第1の光音響データと、第2の光音響データとの何れか一方を実部、他方を虚部とした複素数データを生成し、その複素数データからフーリエ変換法により再構成画像を生成している。このようにする場合、再構成は一度で済むため、第1の光音響データと第2の光音響データとを別々に再構成する場合に比して、再構成を効率的に行うことができる。
【0092】
本実施形態では、光音響計測装置10は、被検体に照射すべき光の波長を選択するための波長選択スイッチ37を含んでおり、ユーザは、その波長選択スイッチ37を操作することで、レーザユニット13から出射する光の波長を選択することができる。本実施形態では、波長選択スイッチ37がプローブ11に設けられており、ユーザは、プローブ11から手を離すことなく、被検体に照射すべき光の波長を切り替えることができる。プローブ11に設けられたモード切替スイッチ15を操作することで、超音波画像を生成する動作モードと光音響画像を生成する動作モードとを容易に切り替えられる点は、第1実施形態と同様である。
【0093】
続いて、本発明の第3実施形態を説明する。図13は、本発明の第3実施形態の光音響計測装置を示す。本実施形態の光音響計測装置10bは、第2実施形態の光音響計測装置10aの構成に加えて、超音波ユニット12b内に接触状態判断手段38を有する。接触状態判断手段38は、プローブ11が被検体に接触しているか否かを判断する。トリガ制御回路36は、接触状態判断手段38がプローブ11が被検体に接触していると判断しているとき、レーザユニット13に対してフラッシュランプトリガ信号を出力し、被検体に対する光照射が行われる。
【0094】
本実施形態では、被検体に対する光照射に先行して、プローブ11から音響波を送信する。プローブ11は、送信された超音波に対する反射音響信号を検出する。接触状態判断手段38は、プローブ11で検出された反射音響信号に基づいて、プローブ11が被検体に接触しているか否かを判断する。より詳細には、接触状態判断手段38は、超音波画像構築手段34が生成した、反射音響信号に基づく超音波画像を用いて、プローブ11が被検体に接触しているか否かを判断する。
【0095】
接触状態判断手段38は、例えばプローブ11が被検体に接触していない状態で生成された超音波画像の典型的な画像を参照画像として記憶している。接触状態判断手段38は、超音波画像構築手段34が生成した超音波画像と、記憶している参照画像とを比較し、その比較結果に基づいてプローブ11が被検体に接触しているか否かを判断する。接触状態判断手段38は、例えば超音波画像構築手段34が生成した緒音波画像と参照画像との類似度を計算する。接触状態判断手段38は、2つの超音波画像の類似度が所定のしきい値以上のときは、プローブ11が被検体に接触していないと判断する。接触状態判断手段38は、類似度がしきい値よりも低ければ、プローブ11が被検体に接触していると判断する。トリガ制御回路36は、接触状態判断手段38にてプローブ11が被検体に接触していないと判断されたときは、レーザユニット13に対するフラッシュランプトリガ信号及びQスイッチトリガ信号のうちの少なくとも一方を抑止し、プローブ11から被検体にレーザ光を照射させない。
【0096】
上記では、接触状態判断手段38が参照画像を記憶しておき、参照画像と類似度に基づいてプローブ11が被検体に接触しているか否かを判断することとしたが、超音波画像に基づく接触状態の判断は上記したものに限定されない。例えば、接触状態判断手段38が、超音波画像構築手段34で生成された超音波画像の特徴解析を行い、その解析結果に基づいて接触しているか否かを判断してもよい。一般に、プローブ11が被検体に接触しない状態で生成された超音波画像では、飽和した高輝度の線が超音波振動子と平行に等間隔で並ぶ。接触状態判断手段38は、例えば生成された超音波画像において、飽和した高輝度の線が超音波振動子と平行に等間隔で並んでいるときに、プローブ11が被検体に接触していない状態で超音波画像が生成されたと判断してもよい。
【0097】
また、超音波画像に基づいて接触状態を判断するのに代えて、接触状態判断手段3が、反射音響信号の信号波形に基づいて接触状態を判断するようにしてもよい。例えば接触状態判断手段38は、反射音響信号の信号波形の特徴解析を行い、AD変換手段17でサンプリングされた反射音響信号(受信メモリ24から読み出された反射音響信号)の信号波形に、プローブ11が被検体に接触していないときに観察される反射音響信号の信号波形の特徴が表れているか否かを判断する。例えば接触状態判断手段38は、反射音響信号において振幅が飽和レベルに対応する所定のレベル以上となっている箇所がいくつあるかを調べると共に、その飽和レベルとなっている箇所の間隔を調べる。接触状態判断手段38は、例えば反射音響信号において複数の飽和レベルとなる個所が等間隔に並んでいるときは、プローブ11が被検体に接触していないと判断する。接触状態判断手段38は、逆に、飽和レベルとなる個所が等間隔に並んでいないときは、プローブ11が被検体に接触していると判断する。
【0098】
反射音響信号の信号波形基づく接触状態の判断は上記したものに限定されない。例えば、接触状態判断手段38は、プローブ11が被検体に接触していないときの典型的な反射音響信号の信号波形を参照信号波形として記憶しておき、AD変換手段17が出力する反射音響信号の信号波形と参照信号との相関を求め、その相関に基づいて両者がどれだけ類似しているかを判断してもよい。その場合、接触状態判断手段38は、両者の類似度をしきい値処理し、類似度が高ければプローブ11が被検体に接触していると判断し、類似度が低ければプローブ11が被検体に接触していると判断すればよい。
【0099】
なお、接触状態判断手段38は、AD変換手段17でサンプリングされた反射音響信号に基づいて接触状態を判断するに代えて、超音波画像再構成手段32、検波・対数変換手段33の出力信号に基づいて接触状態を判断してもよい。その場合でも、超音波画像生成前の反射音響信号の信号波形に基づいて、プローブ11が被検体に接触しているか否かの判断が可能である。
【0100】
本実施形態では、接触状態判断手段38を用い、プローブ11が被検体に接触しているか否かを判断する。トリガ制御回路36は、プローブ11が被検体に接触していると判断されたときに、レーザユニット13からレーザ光を出射させる。このようにすることで、レーザユニット13から出射したパルスレーザ光が自由空間に放出されることを防ぐことができる。その他の効果は第2実施形態と同様である。
【0101】
なお、第2及び第3実施形態では、第1の光音響データと第2の光音響データとを複素数化する例について説明したが、複素数化せずに、第1の光音響データと第2の光音響データとを別々に再構成してもよい。また、再構成の手法は、フーリエ変換法には限定されない。さらに、第2及び第3実施形態においては、複素数化して位相情報を用いて第1の光音響データと第2の光音響データの比を計算しているが、両者の強度情報から比を計算しても同様の効果が得られる。また、強度情報は、第1の再構成画像における信号強度と、第2の再構成画像における信号強度とに基づいて生成できる。
【0102】
光音響画像の生成に際して、被検体に照射されるパルスレーザ光の波長の数は2つには限られず、3以上のパルスレーザ光を被検体に照射し、各波長に対応する光音響データに基づいて光音響画像を生成してもよい。その場合、例えば2波長データ演算手段28は、各波長に対応する光音響データ間での相対的な信号強度の大小関係を位相情報として生成すればよい。また、強度情報抽出手段29は、例えば各波長に対応する光音響データにおける信号強度を1つにまとめたものを強度情報として生成すればよい。
【0103】
第2実施形態では、主に、波長選択素子66が、2つのバンドパスフィルタ領域を含むフィルタ回転体で構成される例を説明したが、波長選択素子66は、光共振器内で発振する光の波長を変化させるものであればよく、フィルタ回転体の構成には限定されない。例えば、波長選択素子66を、複数のバンドパスフィルタを円周状に配置した回転体で構成してもよい。波長選択素子66は回転体である必要はなく、例えば、複数のバンドパスフィルタを一列に並べたものでもよい。その場合、複数のバンドパスフィルタが循環的に光共振器の光路上に挿入されるよう波長選択素子66を駆動してもよいし、一列に並べられた複数のバンドパスフィルタが光共振器の光路上を横切るように波長選択素子66を往復駆動させてもよい。バンドパスフィルタに代えて、複屈折フィルタなどの波長選択素子を用いることも可能である。また、2波長選択において、両者のゲインが異なる場合は、バンドパスフィルタの代わりにロングパスフィルタ又はショートパスフィルタを使用してもよい。例えばアレキサンドライトレーザで、800nmと750nmとを切り替えて出射する場合、750nmの方が高ゲインであるため、800nmと750nmのロングパスフィルターの組み合わせでも、それぞれの波長の選択が可能である。
【0104】
第2及び第3実施形態では、モード切替スイッチ15と波長選択スイッチ37との双方がプローブ11に設けられる例について説明したが、モード切替スイッチ15と波長選択スイッチ37との少なくとも一方がプローブ11に設けられていればよく、必ずしも双方がプローブ11に設けられている必要はない。図14は、変形例の光音響計測装置10cを示している。図9に示す第2実施形態の光音響計測装置10aではプローブ11にモード切替スイッチ15が設けられているのに対し、図14では、フットスイッチ39が、装置の動作モードを切り替えるためのスイッチとして用いられる。フットスイッチ(モード切替スイッチ)39は、例えばオルタネート動作し、フットスイッチ39を操作するたびに、光音響信号の検出を含む動作モードと含まない動作モードとの間で動作モードが切り替えられる。
【0105】
図15は、変形例におけるプローブ11の外観を示す。プローブ11には、スライドスイッチで構成された波長選択スイッチ37だけが設けられ、図10に示す第2実施形態で用いられるプローブ11に存在していたモード切替スイッチ15が設けられてない。このような構成とした場合、ユーザは、手元の波長選択スイッチ37を操作することで、被検体に照射される光の波長を選択することができる。一方、足元のフットスイッチ39を操作することで、超音波画像の生成と光音響画像の生成とを切り替えることができる。
【0106】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の光音響計測装置は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
10:光音響計測装置
11:プローブ
12:超音波ユニット
13:レーザユニット
14:画像表示手段
15:モード切替スイッチ
16:受信回路
17:AD変換手段
18:画像再構成手段
19:検波手段
20:対数変換手段
21:画像構築手段
22:制御手段
23:送信制御回路
24:受信メモリ
25:データ分離手段
26:2波長データ複素数化手段
27:光音響画像再構成手段
28:2波長データ演算手段
29:強度情報抽出手段
30:検波・対数変換手段
31:光音響画像構築手段
32:超音波画像再構成手段
33:検波・対数変換手段
34:超音波画像構築手段
35:画像合成手段
36:トリガ制御回路
37:波長選択スイッチ
38:接触状態判断手段
39:フットスイッチ
61:レーザロッド
62:フラッシュランプ
63、64:ミラー
65:Qスイッチ
66:波長選択素子
67:駆動手段
68:駆動状態検出手段
69:BPF制御回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
被検体に対して音響波を送信する音響波送信部と、
前記光源から導光された光を被検体に向けて出射する光照射部と、
被検体に対する光照射により被検体内で生じた光音響波、及び、被検体内に送信された音響波に対する反射音響波を検出する音響波検出部を含むプローブと、
前記プローブに設けられたモード切替スイッチと、
前記モード切替スイッチの操作に応じて、前記音響波検出部で少なくとも前記光音響波を検出する動作モードと、前記音響波検出部で前記光音響波を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替える制御部とを備えたことを特徴とする光音響計測装置。
【請求項2】
前記動作モードが、前記音響波検出部で前記光音響波を検出する第1の動作モードと前記音響波検出部で前記反射音響波を検出する第2の動作モードと、前記音響波検出部で前記光音響波及び前記反射音響波の双方を検出する第3の動作モードとを含み、前記制御部が、前記モード切替スイッチが操作されるたびに前記第1〜第3の動作モードの間で動作モードを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の光音響計測装置。
【請求項3】
前記制御部が、初期状態では前記動作モードを前記音響波検出部で前記光音響波を検出しない動作モードに設定するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光音響計測装置。
【請求項4】
前記モード切替スイッチが、オルタネート動作のプッシュスイッチであることを特徴とする請求項1から3何れかに記載の光音響計測装置。
【請求項5】
前記光音響波及び前記反射音響波の検出信号に基づいて光音響画像及び音響波画像を生成する画像生成部を更に備えたことを特徴とする請求項1から4何れかに記載の光音響計測装置。
【請求項6】
前記プローブが、前記音響波送信部と光照射部とのうちの少なくとも一方を更に含んでいることを特徴とする請求項1から5何れかに記載の光音響計測装置。
【請求項7】
前記光源が、相互に異なる複数の波長の光を出射可能であり、
被検体に照射されるべき光の波長を選択するための波長選択スイッチを更に備え、
前記制御部が、前記動作モードに切替えに加えて、前記波長選択スイッチの操作に応じて前記光源から出射する光の波長を制御することを特徴とする請求項1から6何れかに記載の光音響計測装置。
【請求項8】
前記波長選択スイッチがプローブに設けられていることを特徴とする請求項7に記載の光音響計測装置。
【請求項9】
前記制御部が、前記波長選択スイッチの操作に応じて、前記光源から第1の波長の光を出射させ、前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を出射させ、或いは、前記第1の波長の光と前記第2の波長の光とを交互に出射させることを特徴とする請求項7又は8に記載の光音響計測装置。
【請求項10】
前記波長選択スイッチが、スライドスイッチであることを特徴とする請求項7から9何れかに記載の光音響計測装置。
【請求項11】
前記プローブが被検体に接触しているか否かを判断する接触状態判断部を更に備え、前記接触状態判断部がプローブが被検体に接触していると判断したときに、被検体に対する光照射が行われることを特徴とする請求項1から10何れかに記載の光音響計測装置。
【請求項12】
前記接触状態判断部が、前記反射音響波の検出信号に基いて、プローブが被検体に接触しているか否かを判断することを特徴とする請求項11に記載の光音響計測装置。
【請求項13】
光源と、
被検体に対して音響波を送信する音響波送信部と、
前記光源から導光された光を被検体に向けて出射する光照射部と、
被検体に対する光照射により被検体内で生じた光音響波、及び、被検体内に送信された音響波に対する反射音響波を検出する音響波検出部を含むプローブと、
動作モードを切り替えるためのモード切替スイッチと、
前記光源から出射すべき光の波長を選択するための波長選択スイッチと、
前記モード切替スイッチの操作に応じて、前記音響波検出部で少なくとも前記光音響波を検出する動作モードと、前記音響波検出部で前記光音響波を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替え、かつ、前記波長選択スイッチの操作に応じて前記光源から出射する光の波長を制御する制御部とを備え、
前記モード切替スイッチと前記波長選択スイッチの少なくとも一方が前記プローブに設けられていることを特徴とする光音響計測装置。
【請求項14】
前記モード切替スイッチと前記波長選択スイッチの双方が前記プローブに設けられていることを特徴とする請求項13に記載の光音響計測装置。
【請求項15】
前記モード切替スイッチが、オルタネート動作のプッシュスイッチであることを特徴とする請求項13又は14に記載の光音響計測装置。
【請求項16】
前記モード切替スイッチ及び前記波長選択スイッチとのうち前記波長選択スイッチのみが前記プローブに設けられており、前記モード切替スイッチが、操作者が足で操作するフットスイッチであることを特徴とする請求項13に記載の光音響計測装置。
【請求項17】
前記フットスイッチがオルタネート動作するものであることを特徴とする請求項16に記載の光音響計測装置。
【請求項18】
前記波長選択スイッチが、スライドスイッチであることを特徴とする請求項13から17何れかに記載の光音響計測装置。
【請求項1】
光源と、
被検体に対して音響波を送信する音響波送信部と、
前記光源から導光された光を被検体に向けて出射する光照射部と、
被検体に対する光照射により被検体内で生じた光音響波、及び、被検体内に送信された音響波に対する反射音響波を検出する音響波検出部を含むプローブと、
前記プローブに設けられたモード切替スイッチと、
前記モード切替スイッチの操作に応じて、前記音響波検出部で少なくとも前記光音響波を検出する動作モードと、前記音響波検出部で前記光音響波を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替える制御部とを備えたことを特徴とする光音響計測装置。
【請求項2】
前記動作モードが、前記音響波検出部で前記光音響波を検出する第1の動作モードと前記音響波検出部で前記反射音響波を検出する第2の動作モードと、前記音響波検出部で前記光音響波及び前記反射音響波の双方を検出する第3の動作モードとを含み、前記制御部が、前記モード切替スイッチが操作されるたびに前記第1〜第3の動作モードの間で動作モードを切り替えることを特徴とする請求項1に記載の光音響計測装置。
【請求項3】
前記制御部が、初期状態では前記動作モードを前記音響波検出部で前記光音響波を検出しない動作モードに設定するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光音響計測装置。
【請求項4】
前記モード切替スイッチが、オルタネート動作のプッシュスイッチであることを特徴とする請求項1から3何れかに記載の光音響計測装置。
【請求項5】
前記光音響波及び前記反射音響波の検出信号に基づいて光音響画像及び音響波画像を生成する画像生成部を更に備えたことを特徴とする請求項1から4何れかに記載の光音響計測装置。
【請求項6】
前記プローブが、前記音響波送信部と光照射部とのうちの少なくとも一方を更に含んでいることを特徴とする請求項1から5何れかに記載の光音響計測装置。
【請求項7】
前記光源が、相互に異なる複数の波長の光を出射可能であり、
被検体に照射されるべき光の波長を選択するための波長選択スイッチを更に備え、
前記制御部が、前記動作モードに切替えに加えて、前記波長選択スイッチの操作に応じて前記光源から出射する光の波長を制御することを特徴とする請求項1から6何れかに記載の光音響計測装置。
【請求項8】
前記波長選択スイッチがプローブに設けられていることを特徴とする請求項7に記載の光音響計測装置。
【請求項9】
前記制御部が、前記波長選択スイッチの操作に応じて、前記光源から第1の波長の光を出射させ、前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を出射させ、或いは、前記第1の波長の光と前記第2の波長の光とを交互に出射させることを特徴とする請求項7又は8に記載の光音響計測装置。
【請求項10】
前記波長選択スイッチが、スライドスイッチであることを特徴とする請求項7から9何れかに記載の光音響計測装置。
【請求項11】
前記プローブが被検体に接触しているか否かを判断する接触状態判断部を更に備え、前記接触状態判断部がプローブが被検体に接触していると判断したときに、被検体に対する光照射が行われることを特徴とする請求項1から10何れかに記載の光音響計測装置。
【請求項12】
前記接触状態判断部が、前記反射音響波の検出信号に基いて、プローブが被検体に接触しているか否かを判断することを特徴とする請求項11に記載の光音響計測装置。
【請求項13】
光源と、
被検体に対して音響波を送信する音響波送信部と、
前記光源から導光された光を被検体に向けて出射する光照射部と、
被検体に対する光照射により被検体内で生じた光音響波、及び、被検体内に送信された音響波に対する反射音響波を検出する音響波検出部を含むプローブと、
動作モードを切り替えるためのモード切替スイッチと、
前記光源から出射すべき光の波長を選択するための波長選択スイッチと、
前記モード切替スイッチの操作に応じて、前記音響波検出部で少なくとも前記光音響波を検出する動作モードと、前記音響波検出部で前記光音響波を検出しない動作モードとの間で動作モードを切り替え、かつ、前記波長選択スイッチの操作に応じて前記光源から出射する光の波長を制御する制御部とを備え、
前記モード切替スイッチと前記波長選択スイッチの少なくとも一方が前記プローブに設けられていることを特徴とする光音響計測装置。
【請求項14】
前記モード切替スイッチと前記波長選択スイッチの双方が前記プローブに設けられていることを特徴とする請求項13に記載の光音響計測装置。
【請求項15】
前記モード切替スイッチが、オルタネート動作のプッシュスイッチであることを特徴とする請求項13又は14に記載の光音響計測装置。
【請求項16】
前記モード切替スイッチ及び前記波長選択スイッチとのうち前記波長選択スイッチのみが前記プローブに設けられており、前記モード切替スイッチが、操作者が足で操作するフットスイッチであることを特徴とする請求項13に記載の光音響計測装置。
【請求項17】
前記フットスイッチがオルタネート動作するものであることを特徴とする請求項16に記載の光音響計測装置。
【請求項18】
前記波長選択スイッチが、スライドスイッチであることを特徴とする請求項13から17何れかに記載の光音響計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−196430(P2012−196430A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28219(P2012−28219)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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