説明

免疫グロブリン融合タンパク質

生物学的活性分子およびこの生物学的活性分子に結合する免疫グロブリン(Ig)Fcドメインを含む融合タンパク質を開示する。Fcドメインは(i)IgG1、IgG2またはIgG4、または(ii)IgG4およびIgDのハイブリッドヒトFcドメインである。ハイブリッドFcは生物学的活性分子の担体として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドヒトFc、および前記ハイブリッドヒトFcが生物学的活性分子に結合した免疫グロブリン融合タンパク質に関する。具体的に、ヒト免疫グロブリンG(IgG)サブクラス同士の組み合わせまたはヒトIgDとIgGとの組み合わせに由来するハイブリッドヒトFc、および前記Fcが共有結合を介して生物学的活性分子に結合した融合タンパク質に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的活性分子は治療学的に非常に重要である。ところが、これらは、生体内安定性が低いため、治療学的製剤として不利になることもある。これら生物学的活性分子は生体内で多様な酵素によって分解されるため、これらの循環半減期(circulating half-life)または血中半減期(serum half-life)は短い。よって、生物学的活性分子の循環半減期を増加させることが要求される。
【0003】
タンパク質のサイズ増加が腎臓によるタンパク質除去を妨害するので、その半減期が増加できると知られている(Knauf et al., J. Biol. Chem. 1988. 263:15064-15070)。例えば、ヒトアルブミンに活性タンパク質を結合させることによりタンパク質安定性を増加させるということが報告されている(Kinstler et al., Pharm. Res. 1995. 12: 1883-1888)。ところが、ヒトアルブミンに活性タンパク質を結合させることは滞留時間を若干増加させるだけなので、効果的な活性タンパク質含有薬学的剤形を開発するためにヒトアルブミンを結合させることは適切な方法ではない。
【0004】
この他に報告された方法はタンパク質の糖化(glycosylation)を調節することである。タンパク質における追加糖化およびタンパク質へのシアル酸導入は、肝におけるタンパク質分解の防止を誘導する。ところが、タンパク質糖化の増加はまたタンパク質の生物活性の減少を同時にもたらす。
【0005】
タンパク質を安定化し且つ腎臓による除去を防止するために、タンパク質はポリエチレングリコール(PEG)に結合してきた。PEGへの共有結合は長引く半減期を有する薬物を運搬するのに広く用いられている(Delgado et al., 1992. 9: 249-304)。ところが、サイトカイン(cytokines)またはホルモンにPEGを結合させることは、結合による立体障害(steric hindrance)により受容体結合親和力を減少させる結果を引き起こすと報告されている。
【0006】
最近、免疫グロブリン(Ig)を用いて製造された融合タンパク質が研究・開発されている。Igは血液の主要構成成分である。ヒトIg(hIg)は多様な部類、例えばIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEなどを含む(Roitt et al., "Immunology" 1989, Gower Medical Publishing, London, U. K.; New York, N. Y.)。ヒトIgGは、ヒトIgG1(hIgG1)、ヒトIgG2(hIgG2)、ヒトIgG3(hIgG3)、およびヒトIgG4(hIgG4)として知られている様々な亜型にさらに分類できる。
【0007】
免疫グロブリンは4つのポリペプチド鎖からなるが、これら2つの重鎖または2つの軽鎖は四量体を形成するためにジスルフィド結合を介して連結されている。各鎖は可変領域および不変領域から構成されている。重鎖の不変領域はイソタイプによって3つの部位または4つの部位(CH1、CH2、CH3およびCH4)にさらに分けられる。重鎖不変領域のFc領域は、Igイソタイプに応じて、ヒンジ、CH2、CH3および/またはCH4ドメインを含む。
【0008】
血中半減期に関連し、IgG1、IgG2およびIgG4は21日の長い半減期を有するが、他の免疫グロブリンは相対的に1週以下の短い半減期を有する。IgGのFc領域に融合したキメラタンパク質は増加した安定性および増加した血中半減期を示す(Capon et al., Nature 1989. 337: 525-531)。生物学的活性タンパク質はCH1部位のN末端、Fc部位のN末端、またはIgGsのCH3部位のC末端に融合してきた。
【0009】
初めに、IgG融合タンパク質は、CD4(Capon et al., Nature 1989. 337: 525-531)、TNFR(Mohler et al., J. Immunology 1993. 151: 1548-1561)、CTLA4(Linsley et al., J. Exp. Med. 1991. 173: 721-730)、CD86(Morton et al., J. Immunology 1996. 156: 1047-1054)などの細胞表面受容体の細胞外ドメインに付着してきた。また、IgGドメインに融合してきた幾つかのサイトカインおよび成長ホルモンがある。ところが、細胞表面受容体の細胞外ドメインに融合した場合とは異なり、IgGに水溶性タンパク質が融合した場合、非融合サイトカインまたは成長因子と比較するとき、生物学的活性を減少させる結果を引き起こす。キメラタンパク質は二量体として存在するが、この二量体は互いに近く存在する2つの活性タンパク質の存在により、受容体のようなそれらの標的分子と相互作用するにおいて立体障害を引き起こす。よって、このような問題は効率的なFc融合タンパク質を製造するために克服されなければならない。
【0010】
Fc融合技術の別の限界は意図していない免疫反応である。免疫グロブリンのFcドメインも抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC、antibody dependent cell-mediated cytotoxicity)または補体依存性細胞傷害(CDC、complement-dependent cytotoxicity)などのエフェクター機能を有する。このようなエフェクター機能は、一般に、IgのFc部位とエフェクター細胞上のFcRs間の相互作用を介してあるいは補体結合を介して達成される。よって、細胞殺滅、サイトカイン分泌または炎症などの望ましくない反応を減少させるために、Fcのエフェクター機能は抑制されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
要するに、生物学的活性損失が最小化し且つ望ましくない免疫反応に対する危険性が減少した、改善されたFc融合タンパク質が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ヒトIgGサブクラス同士の組み合わせまたはヒトIgDとIgGとの組み合わせから誘導されるハイブリッドFcを提供する。ハイブリッドFcは、生物学的活性分子に結合する場合、生物学的活性分子の血中半減期を増加させるだけでなく、Fc−ポリペプチド融合タンパク質をコードするヌクレオチドが発現されるときにポリペプチドの発現水準を高めるという効果がある。
【0013】
また、本発明は、ハイブリッドFcが生物学的活性分子に結合したハイブリッドFc融合ポリペプチドを提供する。融合タンパク質は、場合によっては「生物学的活性分子Fc融合タンパク質」または簡単に「融合タンパク質」と呼ばれる。融合タンパク質はFcと生物学的活性分子との間にリンカーを持つことができる。FcはそのN末端で生物学的活性分子のC末端と結合できる。
【0014】
融合タンパク質は、それをコードし且つ融合タンパク質を発現させることが可能なヌクレオチド構造物を製造し、宿主細胞でそれを発現させ、融合タンパク質を収得することにより生産できる。あるいは、融合タンパク質は、Fcをコードするヌクレオチドを発現させ、これを通常の方法によって生物学的活性分子と結合させることにより生産できる。
【0015】
本発明の一様態に係るポリペプチドは、下記化学式で表される:
N’−(Z1)−Y−Z2−Z3−Z4−C’
式中、N’はポリペプチドのN末端であり、C’はポリペプチドのC末端であり、
Z1は少なくとも配列番号11の90〜98位のアミノ酸残基のC末端領域、または少なくとも配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基部分を含むアミノ酸配列を示し、
Yは少なくとも配列番号11の99〜113位のアミノ酸残基のC末端領域、または少なくとも配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基部分を含むアミノ酸配列を示し、
Z2は少なくとも配列番号12の111〜147位のアミノ酸残基のN末端領域、または少なくとも配列番号14の163〜199位のアミノ酸残基部分を含むアミノ酸配列を示し、
Z3は少なくとも配列番号11の118〜223、配列番号12の114〜219、配列番号24の165〜270、または配列番号13の115〜220位のアミノ酸残基のC末端領域を含むアミノ酸配列を示し、
Z4は少なくとも配列番号11の224〜330、配列番号12の220〜326、配列番号24の271〜377、または配列番号13の221〜327位のアミノ酸残基のN末端領域を含むアミノ酸配列を示し、
pは0または1の整数であり、
前記Z2およびZ3のアミノ酸残基の総数は両方とも80〜140個である。
【0016】
Z1は配列番号11の90〜98位のアミノ酸残基のC末端側から5〜9個の連続したアミノ酸残基、または配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基のC末端側から5〜9個の連続したアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であってもよい。一様態において、Z1はIgG1 CH1ドメイン(配列番号:11)またはIgD CH1ドメイン(配列番号:14)の5、6、7、8または9個のC末端アミノ酸残基であってもよい。
【0017】
他の様態において、Z1は配列番号11の90〜98位のアミノ酸残基または配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列である。Z1は配列番号11の90〜98位のアミノ酸残基または配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基5〜9個からなるアミノ酸配列であってもよい。また、Z1は配列番号11の90〜98位のアミノ酸残基または配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列であってもよい。
【0018】
Yは、配列番号11の99〜113位のアミノ酸残基のC末端側から5またはそれ以上、または10またはそれ以上の連続したアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であってもよく、配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基のC末端側から5またはそれ以上、または10またはそれ以上の連続したアミノ酸残基であってもよい。特定の具体例において、Yは配列番号11の99〜113位のアミノ酸残基、配列番号14の158〜162位のアミノ酸残基、配列番号14の153または162位のアミノ酸残基、配列番号14の143〜162位のアミノ酸残基、配列番号14の133〜162位のアミノ酸残基、または配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であってもよい。
【0019】
Z2は配列番号12(hIgG2)の111〜147位のアミノ酸残基のN末端側から4〜37個、または6〜30個の連続したアミノ酸残基、または配列番号14(hIgD)の163〜199位のアミノ酸残基のN末端側から4〜37個、または6〜30個の連続したアミノ酸残基であってもよい。具体的な様態において、Z2はヒトIgG2 CH2ドメインの6個のN末端アミノ酸残基またはヒトIgD CH2ドメインの8個のN末端アミノ酸残基であってもよい。
【0020】
Z2およびZ3のアミノ酸の総数は80〜140個であり得る。一つの様態において、Z2およびZ3のアミノ酸残基の総数は両方とも90〜120個である。他の様態において、Z2およびZ3のアミノ酸残基の総数は両方とも105〜115個である。一つの具体的な様態において、Z2およびZ3のアミノ酸残基の総数は108個である。別の具体的な様態において、Z2およびZ3のアミノ酸残基の総数は109個である。
【0021】
Z4は配列番号11(hIgG1)の224〜330、配列番号12(hIgG2)の220〜326、配列番号24(hIgG3)の271〜377、または配列番号13(hIgG4)の221〜327位の90またはそれ以上、または100またはそれ以上の連続したアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であり得る。Z4は配列番号11の224〜330、配列番号12の220〜326、配列番号24の271〜377、配列番号13の221〜327位のアミノ酸残基のアミノ酸配列であってもよい。
【0022】
本発明の具体例によれば、Z3〜Z4は、(i)配列番号11の118〜223位のアミノ酸残基のC末端領域および配列番号11の224〜330位のアミノ酸残基のN末端領域を含む連続アミノ酸配列、(ii)配列番号12の114〜219位のアミノ酸残基のC末端領域および配列番号12の220〜326位のアミノ酸残基のN末端領域を含む連続アミノ酸配列、(iii)配列番号24の165〜270位のアミノ酸残基のC末端領域および配列番号24の271〜377位のアミノ酸残基のN末端領域を含む連続アミノ酸配列、および(iv)配列番号13の115〜220位のアミノ酸残基のC末端領域および配列番号13の221〜327位のアミノ酸残基のN末端領域の連続アミノ酸配列よりなる群から選ばれたいずれか一つのアミノ酸配列である。
【0023】
本発明の一つの具体的な様態に係るポリペプチドのアミノ酸残基の総数は154〜288個である。
【0024】
一つの具体的な様態において、Yは少なくとも配列番号11の99〜113位のアミノ酸残基部分を含むアミノ酸配列であってもよく、pは1または0であってもよく、Z2は少なくとも配列番号12の111〜147位のアミノ酸残基部分を含むアミノ酸配列であってもよく、Z3は少なくとも配列番号11の118〜223、配列番号12の114〜219、配列番号24の165〜270、または配列番号13の115〜220位のアミノ酸残基部分を含むアミノ酸配列であってもよい。このような様態において、pが1のとき、Z1は少なくとも配列番号11の90〜98位のアミノ酸残基部分を含むアミノ酸配列であってもよい。
【0025】
さらに具体的な様態において、Z3は配列番号11の118〜223、配列番号12の114〜219、配列番号24の165〜270、または配列番号13の115〜220位の73〜106個の連続アミノ酸残基であってもよく、Z2およびZ3のアミノ酸残基の総数は110個であってもよい。Z2は配列番号12の111〜116位のアミノ酸残基のアミノ酸配列であってもよく、Z3は配列番号11の120〜223、配列番号12の116〜219、配列番号24の167〜270、または配列番号13の118〜220位のアミノ酸残基のアミノ酸配列であってもよい。
【0026】
他の具体的な様態において、Yは少なくとも配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基部分を含むアミノ酸配列であってもよく、pは1または0であってもよく、Z2は少なくとも配列番号14の163〜199位のアミノ酸残基部分を含むアミノ酸配列であってもよく、Z3は少なくとも配列番号13の121〜220位のアミノ酸残基部分を含むアミノ酸配列であってもよい。このような様態において、pが1のとき、Z1は配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であってもよい。
【0027】
さらに具体的な様態において、Yは配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基のC末端側の20個の連続アミノ酸残基またはそれ以上、30個の連続アミノ酸残基またはそれ以上、40個の連続アミノ酸残基またはそれ以上、50個の連続アミノ酸残基またはそれ以上、または60個の連続アミノ酸残基またはそれ以上であってもよい。Z2は配列番号14の163〜170位のアミノ酸残基であってもよく、Z3は配列番号11の124〜223、配列番号12は120〜219、配列番号24の171〜270、または配列番号13の121〜220位のアミノ酸残基のC末端側の71〜100の連続アミノ酸残基を含むことができる。Z2およびZ3のアミノ酸残基の総数は108個であってもよい。
【0028】
一つの具体的な様態において、ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号26、および配列番号27よりなる群から選ばれたヌクレオチド配列によってコードできる。ポリペプチドは、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号28および配列番号29よりなる群から選ばれたアミノ酸配列である。
【0029】
一つの具体的な様態において、ポリペプチドはそのN末端で生物学的活性分子と融合するが、この生物学的活性分子は天然型の循環半減期に比べて増加した循環半減期を示す。生物学的活性分子はポリペプチド、タンパク質、または単一ペプチドであってもよい。生物学的活性分子はポリペプチド、ペプチドまたはタンパク薬物(protein drug)であってもよい。生物学的活性分子は可溶性タンパク質、例えば、ホルモン、サイトカイン、成長因子、共刺激分子、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、成長因子受容体、または短ペプチド(short peptide)であり得るが、これに限定されない。生物学活性分子はEPOまたはその変異体/断片、p40またはその変異体/断片(例えば、Asn303Gln置換体を含む変異体)、G−CSFまたはその変異体/断片、TNF受容体、GM−CSF、IL−1、IL2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−10受容体、TGF−β、TGF−β受容体、IL−17、IL−17受容体、因子VII、CXCL−11、FSH、ヒト成長ホルモン、BMP−1(bone morphogenetic protein-1)、CTLA4、PD−1、GLP−1、ベータセルリン(betacellulin)、OPG、RNAK、インターフェロン−α、インターフェロン−βまたはそれらの変異体または断片であり得るが、これに限定されない。生物学的活性分子は成熟形態(mature form)の分泌タンパク質であってもよい。
【0030】
一つの具体的な様態において、本発明は、次の段階を含む、請求項1に係るポリペプチドの生産方法を提供する:(i)哺乳類宿主細胞に、ポリペプチドをコードするDNA分子を導入する段階、(ii)成長培地でポリペプチドが発現できる条件下で細胞を培養する段階、および(iii)発現されたポリペプチドを収得する段階。哺乳類宿主細胞はCHO、COSまたはBHK細胞であってもよい。
【0031】
他の具体的な様態において、本発明は、前述したポリペプチドの治療学的有効量を投与することを含む、(i)自己免疫疾患の症状を軽減、予防または治療し、(ii)移植拒否を抑制し、または(iii)内毒素により誘導されたショックを治療または予防する方法を提供し、ここで、ポリペプチドは生物学的活性分子に融合したポリペプチドをいう。
【0032】
一つの具体的な様態において、本発明は、本発明の様態に係るポリペプチドをコードする単離核酸分子を提供する。ポリペプチドは、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号28、および配列番号29よりなる群から選ばれたアミノ酸配列を持つことができる。核酸分子は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号26、または配列番号27に示されるヌクレオチド配列を持つことができる。核酸分子はシグナル配列またはリーダー配列をさらに含むことができる。
【0033】
本発明の具体的な様態によれば、本発明は、核酸分子を含む発現ベクター、およびそのベクターを含む宿主細胞を提供する。発現ベクターの例としては、pAD11 EPO−hFc−1、pAD11 G−CSF−hFc−1、pAD11 p40N303Q−hFc−1、pAD11 EPO−hFc−6、pAD11 G−CSF−hFc−6、pAD11 p40N303Q−hFc−6、pAD11 EPO−hFc−5、pAD11 G−CSF−hFc−5、pAD11 p40N303Q−hFc−5、およびpAD11 TNFR−hFc−5を含むことができるが、これに限定されない。
【0034】
一つの具体的な様態において、本発明は、それを必要とする哺乳類に核酸分子を投与する段階を含む、哺乳類に生物学的活性分子を伝達する方法を提供する。
【0035】
別の具体的な様態において、ポリペプチドはN末端でC末端方向にヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインからなるFcドメインを含み、前記ヒンジ領域は少なくともヒトIgDヒンジ領域またはヒトIgG1ヒンジ領域のアミノ酸残基部分を含み、前記CH2ドメインは少なくともヒトIgG4 CH2ドメインのアミノ酸残基部分を含み、ここで、ヒトIgG4 CH2ドメインのN末端における4〜37個の連続アミノ酸残基は少なくともヒトIgG2 CH2ドメインのN末端領域またはヒトIgD CH2ドメインのN末端領域のアミノ酸残基部分で置換され、前記CH3ドメインは少なくともヒトIgG4 CH3ドメインのアミノ酸残基部分を含む。
【0036】
前記ヒンジ領域は少なくともヒトIgG1ヒンジ領域のアミノ酸残基部分を含むことができ、前記CH2ドメインは少なくともヒトIgG4 CH2ドメインのアミノ酸残基部分を含み、ここで、ヒトIgG4 CH2ドメインのN末端の4〜37個のアミノ酸残基は少なくともヒトIgG2 CH2ドメインのN末端部位のアミノ酸残基部分で置換される。
【0037】
前記ヒンジ領域は少なくともIgDヒンジ領域のアミノ酸残基部分を含むことができ、前記CH2ドメインは少なくともヒトIgG4 CH2ドメインのアミノ酸残基部分を含み、ここで、ヒトIgG4 CH2ドメインのN末端の4〜37個のアミノ酸残基は少なくともヒトIgD CH2ドメインのN末端部位のアミノ酸残基部分で置換される。
【0038】
ポリペプチドはCH1ドメインをさらに含むことができるが、ここで、前記CH1ドメインは少なくともヒトIgG1 CH1ドメインのアミノ酸残基部分を含み、ここで、前記CH1ドメインは前記ヒンジ領域のN末端に結合する。ポリペプチドはCH1ドメインをさらに含むことができるが、ここで、前記CH1ドメインはヒトIgD CH1ドメインのアミノ酸残基部分を少なくとも含み、ここで、前記CH1ドメインは前記ヒンジ領域のN末端に結合する。ポリペプチドは前記ヒンジ領域のN末端に結合した2次ポリペプチドをさらに含むことができ、ここで、2次ポリペプチドは生物学的活性非免疫グロブリンポリペプチドである。ポリペプチドは、リンカーを介して前記CH1ドメインのN末端または前記CH4ドメインのC末端に結合した生物学的活性分子をさらに含むことができるが、ここで、前記生物学的活性分子は免疫グロブリンポリペプチドではない。ポリペプチドおよび生物学的活性分子はリンカーを介して互いに結合できる。リンカー分子はアルブミンリンカーまたは合成リンカーである。アルブミンリンカーは、配列番号25のアミノ酸配列321〜323、318〜325、316〜328、313〜330、311〜333、または306〜338を含む。合成リンカーは、GlyおよびSer残基からなるアミノ酸残基の10〜20個のペプチドであってもよい。一つの具体的な様態において、このようなGly−SerリンカーはGGGGSGGGGSGGGSG(配列番号32)である。
【0039】
また、本発明は組み換えFc部位を含む抗体分子を含む。組み換えFc部位は上述されている。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】「X」と明示された生物学的活性分子の担体タンパク質として使用できるハイブリッドFc(hFc)を示す概略図である。
【図2】本発明の詳細な説明によるhFcを成すIgG1(配列番号11)、IgG2(配列番号12)、IgG4(配列番号13)およびIgD(配列番号14)に由来したアミノ酸位置を示す概略代表図である。他に説明がない限り、同じ方式が本出願によるポリペプチドのアミノ酸位置の指示にも適用される。
【図3】「AL」と明示されたアルブミンリンカーペプチドを介して、C末端に、「X」と明示された生物学的活性分子がそれぞれ結合したhFcの概略代表図である。
【図4】リンカーと結合しているhFcの概略代表図であって、前記リンカーは本発明の詳細な説明によってヒトアルブミン(配列番号25)に由来したアルブミンリンカーのアミノ酸位置を示す。
【図5】hFc−6の疎水性区画(hydrophobicity plot)の結果を示す。
【図6】(a)は特異的ELISA分析を用いたMabThera(登録商標)(リツキシマブ(Rituximab))、hIgG1、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト(entanercept))、EPO−hFc−5、G−CSF−hFc−5、p40N303Q−hFc−5のFcγRI結合活性結果を示し、(b)は特異的ELISA分析を用いたMabThera(登録商標)(リツキシマブ(Rituximab))、hIgG1、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト)、EPO−hFc−5、G−CSF−hFc−5、p40N303Q−hFc−5のClq結合活性結果を示す。
【図7】(a)はヒトF36E細胞株におけるEPOの生物活性と比較したEPO−IgG1 Fc、EPO−hFc−1、EPO−hFc−5、EPO−hFc−6、およびAranesp(登録商標)(ダーベポエチンアルファ(darbepoetin alfa))の生物活性の結果を示し、(b)はマウス造血細胞株(NFS−60)におけるNeulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム(pegfilgrastim))およびG−CSF−hFc−5の試験管内生物活性の結果を示し、(c)はヒトPBMCsにおけるp40およびp40N303Q−hFc−5の試験管内生物活性の結果を示し、(d)はマウス(murine)L929細胞におけるEnbrel(登録商標)(エタネルセプト)およびTNFR−hFc−5の試験管内生物活性の結果を示し、(e)はヒトWISH細胞におけるthFc−1−AL(0)−IFN−betaおよびthFc−1−AL(3)−IFN−betaの試験管内生物活性の結果を示す。
【図8】(a)はSC経路(左パネル)およびIV経路(右パネル)を介してカニクイザル(cynomolgus monkeys)に投与されたAranesp(登録商標)(ダーベポエチンアルファ)、EPO−hFc−1、またはEPO−hFc−5の生体内半減期に対する結果を示し、(b)はSC経路(左パネル)およびIV経路(右パネル)を介してSD(Sprague Dawley)ラットに投与されたLEUCOSTIM(登録商標)(フィルグラスチム(filgrastim))およびG−CSF−hFc−1の薬動学的結果を示し、(c)はSC経路を介してカニクイザルに投与されたp40N3030Q−hFc−5およびEnbrel(登録商標)(エタネルセプト)の薬動学的結果を示し、(d)はSC経路を介してSD(Sprague Dawley)ラットに投与されたTNFR−hFc−5およびEnbrel(登録商標)(エタネルセプト)の薬動学的結果を示す。
【図9】(a)はSC経路(左上パネル)およびIV経路(右下パネル)を介してカニクイザルに投与されたAranesp(登録商標)(ダーベポエチンアルファ)およびEPO−hFc−5の生体内生物活性に対する結果を示し、(b)はSC経路(上パネル)およびIV経路(下パネル)を介してSDラットに投与されたLEUCOSTIM(登録商標)(フィルグラスチム)およびG−CSF−hFc−1の生体内生物活性に対する結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、N末端でC末端方向にヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含むハイブリッドヒト免疫グロブリンFc断片を提供するが、ここで、ヒンジ領域は少なくともヒトIgDヒンジ領域またはヒトIgG1ヒンジ領域の部分的アミノ酸配列であり、CH2ドメインはヒトIgG4 CH2ドメインであって、そのN末端領域がヒトIgG2 CH2またはヒトIgD CH2ドメインのN末端領域の4〜37個のアミノ酸残基で置換されたものである。Fc融合タンパク質を生産するために、生物学的活性ポリペプチドのような生物学的活性分子に結合するとき、前記ハイブリッドFc断片はFc融合タンパク質の非特異的免疫反応を最小化し、生物学的活性分子の血中半減期を延長させ、生物学的活性分子の活性を最適化する。
【0042】
本発明の一つの具体的様態に係るFc融合タンパク質において、IgG4 CH2ドメインの残余部分とIgD CH2ドメインのN末端との組み合わせは、融合タンパク質において2つの相異なるIgサブユニットが組み換えられる領域が疎水性となるようにした。融合したタンパク質の疎水性領域は、折り畳みタンパク質(folded protein)の内部に位置し、望ましくない非特異的免疫反応を最小化する。
【0043】
本願で使用される用語「Fc断片」または「Fc」とは、免疫グロブリンの重鎖不変領域1(CH1)、重鎖不変領域2(CH2)および重鎖不変領域3(CH3)を含み、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の可変領域および軽鎖不変領域1(CL1)は含まないタンパク質をいう。それは重鎖不変領域のヒンジ領域をさらに含むことができる。ハイブリッドFcまたはハイブリッドFc断片は本願において「hFc」と呼ばれることもある。
【0044】
また、本発明のFc断片は、天然型糖鎖、天然型に比べて増加した糖鎖、天然型に比べて減少した糖鎖、または糖鎖が除去された形態である。当業界における公知の方法、例えば化学的方法、酵素的方法、および微生物を用いた遺伝工学的エンジニアリング方法などによって免疫グロブリンFc糖鎖の増加、減少または除去が行われ得る。Fc断片からの糖鎖の除去は、1次補体構成要素C1のClqへの結合親和力を急激に減少させ、ADCC(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity)またはCDC(complement-dependent cytotoxicity )の減少または消失をもたらし、それにより生体内の不要な免疫反応を誘導しない。このような点で、糖鎖の除去された(deglycosylated)形態あるいは非糖化された(aglycosylated)形態における免疫グロブリンFc断片は、薬物の担体として本発明の目的にさらに適することもある。
【0045】
ここで、使用された用語「糖鎖の除去(deglycosylation)」はFc断片から酵素的に糖が除去されることを意味し、用語「非糖化(aglycosylation)」はFc断片が原核生物、好ましくは大腸菌(E.coli)によって糖化されていない(unglycosylated)形態で生成されることを意味する。
【0046】
本願で使用された用語「ハイブリッド」は、互いに異なる起源の2つまたはそれ以上の免疫グロブリンFc断片をコードする配列が単一鎖免疫グロブリンFc断片に存在することを意味する。
【0047】
一つの具体的な様態において、ハイブリッドヒトFcはN末端でC末端方向にヒンジ領域、CH2メインおよびCH3ドメインを含み、ここで、前記ヒンジ領域は、少なくともヒトIgDヒンジ領域またはヒトIgG1ヒンジ領域の部分的アミノ酸配列であり、CH2ドメインは、ヒトIgG4 CH2ドメインであって、その末端領域がヒトIgG2 CH2またはヒトIgD CH2ドメインのN末端領域の4〜37個のアミノ酸残基で置換されたものである。ハイブリッドヒトFcは、共有結合によって、そのN末端で生物学的活性分子のC末端に結合できる。
【0048】
別の具体的な様態において、生物学的活性分子−ハイブリッドFc融合ポリペプチドは、次の化学式によって表される。
【0049】
N’−X−(Z1)−Y−Z2−Z3−Z4−C’、または
N’−X−(Z1)−Y−Z2−Z3−Z4−(リンカー)−X−C’
ここで、N’はポリペプチドのN末端であり、C’はポリペプチドのC末端であり;Z1は配列番号11の90〜98位のアミノ酸残基のC末端領域を少なくとも含みあるいは配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基部分を少なくとも含むアミノ酸配列を示し;Yは配列番号11の99〜113位のアミノ酸残基のC末端領域を少なくとも含みあるいは配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基部分を少なくとも含むアミノ酸配列を示し;Z2は配列番号12の111〜147位のアミノ酸残基のN末端領域を少なくとも含みあるいは配列番号14の163〜199位のアミノ酸残基のN末端領域を少なくとも含むアミノ酸配列を示し;Z3は配列番号11の118〜223、配列番号12の114〜219、配列番号24の165〜270、または配列番号13の115〜220のアミノ酸残基のC末端領域を少なくとも含むアミノ酸配列を示し;Z4は配列番号13の221〜327位のアミノ酸残基のN末端領域を少なくとも含むアミノ酸配列を示し、pおよびqはそれぞれ整数0または1であり、ここで、Z2およびZ3のアミノ酸残基の総数は両方とも80〜140個であり、リンカーはリンカー分子であり、Xは目的の生物学的活性分子である。
【0050】
一つの具体的な様態において、Z3〜Z4は、(i)配列番号11の118〜223位のアミノ酸残基のC末端領域および配列番号11の224〜330位のアミノ酸残基のN末端領域を含む連続アミノ酸配列、(ii)配列番号12の114〜219位のアミノ酸残基のC末端領域および配列番号12の220〜326位のアミノ酸残基のN末端領域を含む連続アミノ酸配列、(iii)配列番号24の165〜270位のアミノ酸残基のC末端領域および配列番号24の271〜377位のアミノ酸残基のN末端領域を含む連続アミノ酸配列、および(iv)配列番号13の115〜220位のアミノ酸残基のC末端領域および配列番号13の221〜327位のアミノ酸残基のN末端領域の連続アミノ酸配列よりなる群から選ばれたいずれか一つのアミノ酸配列である。
【0051】
本発明の一つの様態に係るポリペプチドアミノ酸残基の総数は154〜288個である。
【0052】
化学式N’−X−(Z1)−Y−Z2−Z3−Z4−C’およびN’−(Z1)−Y−Z2−Z3−Z4−(リンカー)−X−C’のポリペプチドを対象に投与する場合、Xを単独で投与した場合の循環半減期に比べて生物学的活性分子Xの循環半減期を増加させる。
【0053】
リンカーはヒトアルブミンに由来できる(配列番号25 CAA00606)。リンカーは配列番号25のアミノ酸配列321〜323、318〜325、316〜328、313〜330、311〜333、または306〜338を含むことができる。場合によって、リンカーは合成リンカーであってもよい。合成リンカーはGlyおよびSerの総10〜20個の残基からなるペプチドである。一つの様態において、Gly−SerリンカーはGGGGSGGGGSGGGSG(配列番号32)である。
【0054】
Z1はヒトIgG1のCH1ドメイン(配列番号11)またはIgD(配列番号14)の領域を少なくとも含むことができる。Z1はIgG1 CH1ドメイン(配列番号11の90〜98位)のC末端領域またはIgD CH1ドメイン(配列番号14の90〜98位)のC末端領域の5〜9個または7〜9個の連続したアミノ酸残基を含むことができる。あるいは、Z1はIgG1 CH1ドメインまたはIgD CH1ドメインの5、6、7、8または9個のC末端アミノ酸残基であってもよい。
【0055】
一つの具体的な様態において、Z1は配列番号11の90〜98位のアミノ酸残基または配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列である。Z1は配列番号11の90〜98位のアミノ酸残基または配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基5〜9個からなるアミノ酸配列であってもよい。また、Z1は配列番号11のアミノ酸残基90〜98個または配列番号14のアミノ酸残基90〜98個からなるアミノ酸配列であってもよい。
【0056】
YはヒトIgG1またはIgDのヒンジ領域の部分を少なくとも含むことができる。YはC末端IgG1ヒンジ領域(配列番号11のアミノ酸位置99〜113)またはIgDヒンジ領域(配列番号14のアミノ酸位置99〜162)の5またはそれ以上、または10またはそれ以上の連続したアミノ酸残基を含むことができる。特定の様態において、Yは配列番号11の99〜113位のアミノ酸残基、配列番号14の158〜162位のアミノ酸残基、配列番号14の153〜162位のアミノ酸残基、または配列番号14の143〜162位のアミノ酸残基、配列番号14の133〜162位置のアミノ酸残基、または配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であってもよい。
【0057】
Z2はヒトIgG CH2ドメインのN末端領域(配列番号12の111〜147位のアミノ酸残基)またはIgD CH2ドメインのN末端領域(配列番号14の163〜199位のアミノ酸残基)の4〜37、6〜30、6〜12、6〜8、8または6個の連続したアミノ酸残基を含むことができる。特定の様態において、Z2はヒトIgG2 CH2ドメインの6個のN末端アミノ酸残基(配列番号12のアミノ酸残基111〜116)またはヒトIgD CH2ドメインの8個のN末端アミノ酸残基(配列番号14のアミノ酸残基163〜170)であってもよい。
【0058】
Z2またはZ3のアミノ酸残基の総数は両方とも、90〜120個または105〜115個であり得る。
【0059】
Z4はIgG4 CH3ドメインの90またはそれ以上、または100またはそれ以上の連続アミノ酸残基を含むアミノ酸配列であってもよい(配列番号11の224〜330、配列番号12の220〜326、配列番号24の271〜377、または配列番号13の221〜327位のアミノ酸残基)。Z4はヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 CH3ドメインのアミノ酸残基の98%または95%以上のアミノ酸残基であってもよい。一つの実施例として、Z4はヒトIgG CH3ドメインの全体アミノ酸配列を含むアミノ酸配列である。たとえば、Z4はKabatなどによるEUインデックスナンバリングで表示されるヒトIgG4のアミノ酸残基341〜347に対応するヒトIgG4 CH3ドメインのアミノ酸配列であるが、これは配列番号13の221〜327位のアミノ酸残基に対応する。
【0060】
一つの具体的な様態において、YはヒトIgG1ヒンジ領域(配列番号11のアミノ酸残基99〜113)のC末端アミノ酸残基部分を少なくとも含むアミノ酸配列であってもよく、pは1または0であってもよく、Z2はヒトIgG2 CH2(配列番号12の111〜147位のアミノ酸残基)のN末端領域の部分を少なくとも含むアミノ酸配列であってもよく、Z3はヒトIgGサブクラスのいずれか一つ(配列番号11の118〜223、配列番号12の114〜219、配列番号24の165〜270、または少なくとも配列番号13の115〜220位のアミノ酸残基)のC末端領域の部分を含むアミノ酸配列であってもよい。このような様態において、pが1のとき、Z1は少なくともヒトIgG1 CH1ドメイン(配列番号11の90〜98位のアミノ酸残基)のC末端領域の部分を含むアミノ酸配列であり得る。たとえば、Z1は配列番号11のアミノ酸残基90〜98である。
【0061】
より具体的な様態において、Z3はヒトIgG4 CH2ドメイン(配列番号13の115〜220位)、ヒトIgG1 CH2ドメイン(配列番号11の118〜223位)、ヒトIgG2 CH2ドメイン(配列番号12の114〜219位)、ヒトIgG3 CH2ドメイン(配列番号24の165〜270位)のC末端領域の73〜106個の連続したアミノ酸残基であってもよく、Z2およびZ3のアミノ酸残基の総数は110個であってもよい。たとえば、Z2は配列番号12の111〜116位のアミノ酸残基のアミノ酸配列であり、Z3は配列番号13の117〜220位のアミノ酸残基のアミノ酸配列であり得る。
【0062】
他の具体的な様態において、Yは少なくともヒトIgDヒンジ領域のC末端領域の部分を含むアミノ酸配列(配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基)であってもよく、pは1または0であってもよく、Z2は少なくともIgD CH2ドメインのN末端領域の部分を含むアミノ酸配列(配列番号14の163〜199位のアミノ酸残基)であってもよく、Z3は少なくともヒトIgG4 CH2ドメインのC末端領域の部分を含むアミノ酸配列(配列番号13の121〜220位のアミノ酸残基)であってもよい。たとえば、Yは配列番号14の158〜162、133〜162、または99〜162位のアミノ酸残基であり、Z2は配列番号14の163〜170位のアミノ酸残基であり、Z3は配列番号13の121〜220位のアミノ酸残基であり得る。
【0063】
このような様態において、pが1のとき、Z1はヒトIgD CH1ドメインのC末端領域を含むアミノ酸配列(配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基)であってもよい。たとえば、Z1は配列番号14の90〜98のアミノ酸残基であり得る。
【0064】
このような様態において、YはヒトIgDヒンジ領域のC末端側の20個の連続したアミノ酸残基またはそれ以上、30個の連続したアミノ酸残基またはそれ以上、40個の連続したアミノ酸残基またはそれ以上、50個の連続したアミノ酸残基またはそれ以上、60個の連続したアミノ酸残基またはそれ以上であってもよい(配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基)。Z3は配列番号13の121〜220位のアミノ酸残基のC末端側の71〜100個の連続したアミノ酸残基を含むことができる。Z2およびZ3のアミノ酸残基の総数は108個であり得る。
【0065】
表1は本発明の具体的な様態に係るhFcの構造に有用なヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgDの断片のアミノ酸配列を示す。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
EUインデックスは「Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Edition, United States Department of Health and Human Services」に記述されている.
**各アミノ酸の下線領域は許容可能なアミノ酸残基範囲の最も短い断片を示す。
【0069】
一つの具体的な様態において、本発明は、図1および図2に示すようにhFc−1、hFc−2、hFc−3、hFc−4、hFc−5またはhFc−6のいずれか一つのハイブリッドFcを提供し、あるいは図3および図4に示すようにthFc−1またはthFc−2を提供する。図1および図3は二本鎖Fcを示すが、本発明は一本鎖ハイブリッドFc分子も含む。hFc−1〜hFc−6のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号18〜23に示されており、thFc−1またはthFc−2のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号28および配列番号29に示されている。また、本発明はハイブリッドFcをコードするポリヌクレオチド分子を含む。本発明は、配列番号1(hFc−1)、配列番号2(hFc−2)、配列番号3(hFc−3)、配列番号4(hFc−4)、配列番号5(hFc−5)、配列番号6(hFc−6)、配列番号26(thFc−1)および配列番号27(thFc−2)に示されるようなじポリヌクレオチド配列を含むが、これに限定されない。
【0070】
ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列は当業界によく知られており、それらは公開的に接近可能な受託機関(publicly accessible depository)に受託されている。例えば、ヒトIgG1不変領域、ヒトIgG2不変領域、ヒトIgG3不変領域、ヒトIgG4不変領域、およびヒトIgD不変領域のアミノ酸配列はそれぞれCAA75032、CAC20455、CAC20456、AAH25985およびP01880として用いることができる。このような配列はそれぞれ配列番号11、12、24、13および14に示した。
【0071】
生物学的活性分子Xは可溶性タンパク質であってもよい。具体的に、ホルモン、サトカイン、成長因子、共刺激分子、ホルモン受容体、サトカイン受容体、成長因子受容体、または短ペプチドであるが、これに限定されない。例えば、XはEPO、p40、G−CSF、TNF受容体またはこれらの変異体/断片であり得る。XはGM−CSF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、IL−10受容体、TGF−β、TGF−β受容体、IL−17、IL−17受容体、血液因子VII、CXCL−11、FSH、ヒト成長ホルモン、BMP−1(bone morphogenetic pritein-1)、CTLA4、PD−1、GLP−1、ベータセルリン(betacellulin)、OPG、RNAK、インターフェロン−α、インターフェロン−βまたはこれらの変異体/断片であり得る。また、抗体のFab領域を含むことができるが、これに限定されない。また、生物学的活性分子は分泌タンパク質であってもよい。一つの様態において、生物学的活性分子は免疫グロブリン群に属しない。
【0072】
用語「変異体」とは、それらの核心的な特性を保有するが、標準核酸またはポリペプチドとは異なるポリペプチドまたは核酸を意味する。一般に、変異体は、全体的に非常に類似であり、且つ多くの領域で標準核酸またはポリペプチドと同一である。また、用語「変異体」は、本明細書または当業界における公知の、少なくとも一つの機能および/または治療学的特性を維持する生物学的活性分子薬物の生物学的活性部分を意味する。一般に、変異体は全体的に非常に類似であり、多くの領域で、目的とする生物学的活性ポリペプチドのアミノ酸配列と同一である。
【0073】
また、本発明は、例えば配列番号18〜23および28〜29で表示されるポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、あるいはそのようなアミノ酸配列からなるタンパク質を提供する。また、本発明は、このようなポリペプチドの断片を提供する。また、本発明は、当業界における公知(Ausubel, F. M. et al., eds., 1989 Current protocol in Molecular Biology, Green publishing associates, Inc., and John Wiley & Sons Inc., New York, at pages 6.3.1 6.3.6 and 2.10.3)の、厳しいハイブリッド化条件(例えば、約45℃で6×SSC(Sodium chloride/Sodium citrate)でフィルターに結合したDNAとハイブリッド化した後、約50〜65℃で0.2×SSC、0.1%SDSに1回以上洗浄)、さらに厳しい条件(約45℃で6×SSCでフィルターに結合したDNAとハイブリッド化した後、約68℃で0.1×SSC、0.2%SDSで1回以上洗浄)、あるいは別の厳しいハイブリッド化条件で、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子の補体とハイブリッド化したポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドを提供する。このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも本発明の範囲に含まれる。
【0074】
クエリーアミノ酸配列と例えば少なくとも95%の「同一性」を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、対象ポリペプチド配列がクエリーアミノ酸配列における100個のアミノ酸当たり5個までのアミノ酸の置換を含むことを除いては、対象ポリペプチドのアミノ酸配列がクエリー配列と同一である。すなわち、クエリーアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドを得るために、対象配列においてアミノ酸残基の最高5%が挿入され、欠損され、あるいは他のアミノ酸で置換され得る。標準配列の置換は、標準アミノ酸配列のアミノ−またはカルボキシ−末端位置で起ることができ、このような末端位置の間であればどこでも起ることができ、標準配列内の残基の間で個別的に、または標準配列内の一つまたはそれ以上の連続的なグループに散在して起ることができる。
【0075】
実質的な例として、ある特定のポリペプチドが例えば本発明のアルブミン融合タンパク質またはその断片のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するか否かは、公知のコンピュータプログラムを用いて通常決定できる。グローバル配列アラインメント(global sequence alignment)としても言及される、クエリー配列(本発明の配列)と対象配列間の最上の全体的マッチ(match)を決定する好ましい方法は、Brutlag等のアルゴリズム(Comp. App. Biosci. 6:237 245 (1990))に基づいたFASTDBコンピュータプログラムを用いて決定できる。配列アラインメントにおいて、クエリーおよび対象シーケンスは全てヌクレオチド配列であり、あるいは全てアミノ酸配列である。グローバル配列アラインメントの結果はパーセント同一性として示される。FASTDBアミノ酸整列に使用される好ましい基準は:Matrix=PAM 0、k−tuple=2、Mismatch Penalty=1、Joining Penalty=20、Randomization Group Length=0、Cutoff Score=1、Window Size=sequence length、Gap Penalty=5、Gap Size Penalty=0.05、Window Size=500または対象アミノ酸配列の長さであり、どれでもさらに短い。
【0076】
変異体は、通常、一般なHAの長さ、または変異体と同じ長さの治療タンパク質と少なくとも75%(好ましくは少なくとも約80%、90%、95%または99%)の配列同一性を持つことができる。ヌクレオチドまたはアミノ酸配列水準における相同性または同一性は、配列類似性調査目的で仕立てられたblastp、blastn、blastx、tblatnおよびtbastx(Karlin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 2264 2268 (1990)およびAltschul, J. Mol. Evol. 36: 290 300 (1993))プログラムが導入されたアルゴリズムを用いたBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)分析によって決定される。
【0077】
本発明のポリヌクレオチド変異体は、コード部位、非コード部位、または両方ともにおける変更を含むことができる。特に、好ましくは、コードされたポリペプチドの特性または活性を変更させないサイレント置換、添加、または欠損を生産する変更を含むヌクレオチド変異体である。好ましくは、遺伝的コードの退化(degeneracy)に起因したサイレント置換で生産されたヌクレオチド変異体である。ひいては、ある組み合わせにおいて50個以下、40個以下、30個以下、20個以下、10個以下、または5〜50、5〜25、5〜10、1〜5または1〜2個のアミノ酸が置換、欠損、添加されたポリペプチド変異体も好ましい。ポリヌクレオチド変異体は、多様な理由で生産できるが、例えば、特定宿主へのコドン発現を最適化するために(ヒトmRNAコドンを酵母または大腸菌などのバクテリア宿主によって好まれるコドンに変化)生産される。
【0078】
多様なFc融合タンパク質、例えばEPO−Fc融合構造物、G−CSF−Fc融合構造物、またはヒト40−Fc融合構造物などを製造するための目的で、ヒトEPOのアミノ酸配列、ヒトG−CSF、ヒトp40、およびヒトTNF受容体のアミノ酸配列は、NP_000790(配列番号15)、CAA27291(配列番号16)、AAG32620(配列番号17)、およびNP_001057(配列番号31)がそれぞれ使用できる。一つの具体的な様態において、303位のアミノ酸残基AsnがGlnで代替された変形ヒトp40はポリペプチドと連結される。
【0079】
本発明の他の様態によれば、製造されたFc領域を含む全体抗体を提供する。本願で使用される用語「抗体」は、全体抗体、および少なくともCH1、ヒンジ領域、CH2またはCH3の少なくとも2つを含む抗体断片を含む。好ましくは全体モノクローナル抗体である。抗体の重鎖可変領域はその結合特異性によって選択され、いずれのタイプにもなれるが、例えば、非ヒトのもの、ヒト化のものまたは全部ヒトのものであり得る。抗体の重鎖可変領域が、非ヒトのもの(例えばマウス)であって、本願によって製造されたFc領域と組み換え的に結合する場合、このように生成された組み換え抗体をキメラ抗体という。抗体の重鎖可変領域が、ヒト化のものであって、本願によって製造されたFc領域と組み換え的に結合する場合、このように生成された組み換え抗体をヒト化抗体という。抗体の重鎖可変領域が、ヒトのものであって、本願によって製造されたFc領域と組み換え的に結合する場合、このように生成された組み換え抗体を完全なヒト抗体という。例えば、重鎖の可変領域はヒト化のものであり、ヒトフレームワーク領域および非ヒト(この場合にはマウス)CDRs(complementary determining regions)を含む。フレームワーク領域は一つのソースまたは一つ以上のソースに由来でき、CDRは一つのソースまたは一つ以上のソースに由来できる。抗体のヒト化方法は当業者および当業界によく知られている。
【0080】
抗体の軽鎖はヒト、非ヒトまたはヒト化のものである。図1Bに示すように、軽鎖はヒト化のものであり、ヒトフレームワーク領域、非ヒト(この場合にはマウス)CDR、およびヒト不変領域を含む。フレームワーク領域は一つのソースまたは一つ以上のソースに由来でき、CDRは一つのソースまたはそれ以上のソースに由来できる。
【0081】
製造されたFc部位を含む抗体は、細胞表面分子、または細胞表面分子に結合する可溶性分子と結合する能力に基づいて選択される。よって、例えば、抗体はサイトカイン受容体(IL−2R、TNF−αR、IL−15Rなど)、接着分子(例えば、E−selectin、P−selectin、L−selectin、VCAM、ICAMなど)、細胞分化または活性抗原(例えば、CD3、CD4、CD8、CD20、CD25、CD40など)などの細胞表面分子と結合する能力に基づいて選択できる。場合によって、抗体は細胞表面分子に結合する可溶性分子と結合する能力に基づいて選択できる。このような可溶性分子はサイトカインおよびケモカイン(例えば、インターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−5、IL−6など)、成長因子(例えば、EGF、PGDF、GM−CSF、HGF、IGF、BMP−1など)、細胞分化を誘導する分子(例えば、EPO、TPO、SCF、PTNなど)およびその他のものを含むが、これに限定されない。
【0082】
一般に、本願に提示された抗体構造は、遺伝工学的技術を用いて公知の方法を使用することにより行われる。例えば、DNAを分離する技術、DNAを発現するベクターを製造し選択する技術、核酸を精製し分析する技術、組み換えベクターDNAを製造するための特別な方法に対する技術、制限酵素でDNAを切断し、DNAを接着し、安定的または限時手段によって宿主細胞にベクターDNAなどのDNAを導入する技術、DNAを発現する細胞を選別および維持するために選別培地または非選別培地で宿主細胞を培養する技術は、当業界に一般に知られている技術である。
【0083】
本願に記述されたモノクローナル抗体は、当業界における公知のハイブリドーマ技術、または当業界における公知の他の組み換えDNA方法を用いて得ることができる。ハイブリドーマ方法は、マウスまたは他の適切な宿主動物のリンパ球によって抗体が生産できるように、DNA、ペプチドまたはタンパク質で免疫されることである。
【0084】
場合によって、リンパ球は試験管内で免疫できる。抗原に対する反応により生産されたリンパ球は、ポリエチレングリコールなどの適切な融合製剤を用いて骨髄腫細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成する。次に、ハイブリドーマ細胞は、好ましくは融合していない親骨髄腫細胞の成長または生存を抑制する一つ以上の物質が含まれた適切な培養培地に接種されて成長する。好ましい骨髄腫細胞は効果的に融合し、選別された抗体生産細胞の安定的な抗体生産を維持するうえ、HAT培地(Sigma Chemical Company, St. Louis, Mo., Catalog No. H-0262)などの培地に敏感ではない細胞である。
【0085】
製造されたFc領域を含む抗体は、治療学的製剤と結合して別途投与される組成物としても使用できる。診断目的で、抗体は標識形態でもよく非標識形態でもよい。
【0086】
非標識抗体は、ヒト免疫グロブリン不変領域に特異的な抗体のように、製造された抗体に反応する他の標識付きの抗体(2次抗体)と共に使用できる。場合によって、抗体は直接標識されてもよい。広範囲で多様な標識、例えば放射性核種、蛍光体、酵素、酵素基質、酵素補助因子、酵素抑制剤、リガンド(特にヘプテン)などが導入できる。多くの種類の免疫分析が可能であり、このような技術は当業界によく知られている。
【0087】
一つの具体的な様態において、本発明は、(i)哺乳類宿主細胞に、融合タンパク質をコードするDNA分子を導入する段階と、(ii)融合タンパク質が発現される条件の下に成長培地で細胞を成長させる段階と、(iii)生産された融合タンパク質を収得する段階とを含む、融合タンパク質の生産方法を提供する。
【0088】
別の実験的具体例として、本発明は、融合タンパク質を含む薬学的組成物、または前述した抗体分子または抗体断片を提供する。また、本発明は、薬学的組成物を投与することにより、特定の症状を治療または予防する方法を提供する。例えば、(i)自己免疫疾患の予防/治療に対する症状を軽減させ、(ii)移植拒否反応を抑制し、(iii)ハイブリッドFcおよびp40タンパク質の融合タンパク質またはその変異体/断片の治療学的有効量を投与することを含む、内毒素により誘導されたショックを治療/予防する方法を提供する。
【0089】
組成物は薬学的担体を含むことができる。薬学的担体は、患者への抗体伝達に適した非毒性物質であればいずれの担体でも使用可能である。蒸留水、アルコール、脂肪、ワックスおよび非活性固体が担体として含有できる。薬学的に許容されるアジュバント(緩衝剤、分散剤)も薬学的組成物に含有できる。
【0090】
抗体組成物は多様な方法で対象に投与できる、例えば、薬学的組成物は非経口的に投与できるが、例えば、皮下、筋肉内または静脈内である。このような組成物は通常良く知られている滅菌技術によって滅菌できる。組成物は、pH調節などの生理的条件を調節するために要求される、薬学的に許容可能な補助物質および補助剤、毒性調節製剤およびその類似体を含むことができるが、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどがある。このような剤形において、融合タンパク質、抗体、または抗体断片の濃度は非常に多様であり得るが、例えば、重量によって約0.5%以下であり、一般にまたは少なくとも約1%〜15%または20%までであり、選択された特定投与方法によって体液量、粘度などに優先的に基づいて選択できる。
【0091】
また、本発明は、融合タンパク質をコードする単離核酸分子、および核酸分子を運搬する発現ベクターを提供する。前記核酸は、核酸によってコードされるポリペプチドを必要とする対象に直接運搬できる。場合によって、ポリヌクレオチドは培地で核酸を発現することにより生産され、その後、対象に投与される。
【0092】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」または「タンパク質」は、2〜40個のアミノ酸からなる分子、好ましくは3〜20個のアミノ酸からなる分子、最も好ましくは6〜15個のアミノ酸からなる分子を意味する。典型的なペプチドは、前述した方法のいずれか一つ、例えばペプチドライブラリー(例えばファージ提示ライブラリー)で行われる方法あるいはタンパク消化によって誘導される方法によって無作為に生成され得る。
【0093】
ここで使用された用語「薬物」とは、ヒトまたは動物に投与したときに治療学的活性を示す物質を意味し、例えば、ポリペプチド、化合物、抽出物および核酸などを含むが、これに限定されない。薬物は、好ましくはポリペプチド薬物である。
【0094】
ここで使用された用語「生理学的活性ポリペプチド」、「生物学的活性分子」、「生理学的活性タンパク質」、「活性ポリペプチド」、「ポリペプチド薬物」および「タンパク薬物」は同一の意味で使用されており、生体内で多様な生理学的機能を示す生理活性型の特徴を有する。
【0095】
ポリペプチド薬物は、容易に変性される特徴、または体内でタンパク質加水分解酵素によって分解される特徴のため、長期間生理学的活性を維持することができないという欠点がある。ところが、ポリペプチド薬物が本発明に係る免疫グロブリンFc断片に結合(またはカップリング)して融合タンパク質を形成する場合、薬物は構造的安定性および血中半減期が増加する。また、Fc断片に結合するポリペプチドは他の公知のポリペプチド薬物製剤より生理学的活性が一層少なく減少する。よって、通常のポリペプチド薬物の生体内利用率と比較するとき、本発明のポリペプチド薬物およびFc断片を含む融合ポリペプチド、またはポリペプチド薬物とFc断片との結合体は著しく増加した生体内利用率を有することを特徴とする。これも本発明の実施例によって明確に記述される。すなわち、本発明のFc断片が結合したIFN−α、G−CSF、EPO、p40、TNF受容体および他のタンパク薬物は、それらの天然形態または他の通常の融合形態より生体内利用率を増加させる。
【0096】
本発明は、Fc融合タンパク質、本発明によって製造されたFc領域を含む抗体、および本発明の実施に有用な抗体断片を製造するための通常の組み換えDNA方法論を提供する。Fc融合構造物は、好ましくはDNAレベルで製造され、製造されたDNAは発現ベクターに挿入され、本発明の融合タンパク質、抗体または抗体断片を生産するために発現される。
【0097】
ここで使用された用語「ベクター」は、宿主細胞に統合されて宿主細胞ゲノム 内に組み換えおよび挿入でき、あるいはエピソームとして自発的に複製できるヌクレオチド配列を含む核酸手段として理解される。前記ベクターは、線形核酸、プラスミド、ファージミド、コスミド、RNAベクター、ウイルスベクターおよびその類似体を含む。ウイルスベクターの例としては、レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ関連ウイルスを含むが、これに限定されない。ここで使用された用語、目的タンパク質の「遺伝子発現」または「発現」は、DNA配列の転写、mRNA転写体の翻訳、およびFc融合タンパク質生産物または抗体または抗体断片の分泌を意味するものと理解される。
【0098】
有用な発現ベクターは、RcCMV(Invitrogen、Carlsbad)またはその変異体である。有用な発現ベクターは哺乳類細胞で目的遺伝子の連続的な転写を促進するためのヒトCMV(cytomegalovirus)プロモーター、および転写後RNAの安定状態水準を高めるためのウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列を含まなければならない。本発明の一つの様態において、発現ベクターはRcCMVの変形ベクターpAD11である。生物学的活性分子薬物をコードするヌクレオチド配列を運搬する発現ベクターの例は、実施例でさらに詳細に記述されたように、pAD11 EPO−hFc−1、pAD11 G−CSF−hFc−1、pADD11 p40N303Q−hFc−1、pAD11 EPO−hFc−6、pAD11 G−CSF−hFC−6、pAD11 p40N303Q−hFc−6、pAD11 EPO−hFc−5、pAD11 G−CSF−hFc−5、pAD11 p40N303Q−hFc−5またはpAD11 TNFR−hFc−5を含むことができるが、これに限定されない。
【0099】
適切な宿主細胞は、本発明のDNA配列で形質転換または形質感染させることができ、目的タンパク質の発現および/または分泌に利用できる。本発明に使用可能な現在好ましい宿主細胞は、不死のハイブリドーマ細胞(immortal hybridoma cells)、NS/O骨髄腫細胞(NS/0 myeloma cells)、293細胞、CHO細胞(Chinese hamster ovary cells)、HeLa細胞、およびCOS細胞を含む。
【0100】
哺乳類細胞において融合タンパク質または抗体または抗体断片を高い水準で発現させるために用いられる一つの発現システムは、5’〜3’方向に、シグナル配列、免疫グロブリンFc領域、および例えばp40、EPO、G−CSF、TNF受容体などの標的タンパク質を含む分泌カセットをコードするDNA構造物である。幾つかの標的タンパク質はこのようなシステムで成功的に発現されているが、例えばIL−2、CD26、Tat、Rev、OSF−2、ss;IG−H3、IgE受容体、PSMA、およびgp120などである。このような発現構造物はLo等によって米国登録特許第5,541,087号および同第5,726,044号に開示されており、前記文献の内容は本願に参考として組み込まれる。
【0101】
本発明の融合タンパク質または抗体分子または抗体断片は、発現の際にシグナル配列を含んでもよく、含まなくてもよい。ここで使用された用語「シグナル配列」は、生物学的活性分子薬物;融合タンパク質の分泌を指示する断片を意味し、宿主細胞で翻訳された後に切断される。本発明のシグナル配列は、ER(endoplasmic reticulum)膜を貫通するタンパク質の移動を開始するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドである。本発明で有用なシグナル配列は、例えば抗体14.18(Gillies et al., J. Immunol. Meth. 1989. 125:191-202)などの 抗体軽鎖シグナル配列、例えばMOPC141抗体重鎖シグナル配列(Sakano et al., Nature 1980. 286: 676-683)などの抗体重鎖シグナル配列、および当業界における公知の他のシグナル配列(see, e.g., Watson et al., Nucleic Acids Research 1984. 12:5145-5164)を含む。
【0102】
シグナル配列は、当業界にその特徴がよく知られており、通常16〜30個のアミノ酸残基を含むものとして知られており、それよりさらに多いあるいはさらに少ないアミノ酸残基を含むことができる。通常のシグナルペプチドは、3つの領域、すなわち基本N末端領域、中心の疎水性領域、およびより極性のC末端領域から構成される。中心の疎水性領域は未成熟ポリペプチドが移動する間に膜脂質二重層を介してシグナル配列を固定させる4〜12個の疎水性残基を含む。開始以後、シグナルペプチドは、シグナルペプチダーゼとして知られている細胞酵素によってERのルーメン(lumen)内で切断される。シグナルペプチドの潜在的な切断サイトは一般に「(−3、−1)法則」に従う。よって、典型的なシグナルペプチドは小さく、−1および−3位置に中性アミノ酸残基を有し、この部位内にプロリン残基が欠如している。
【0103】
シグナルペプチダーゼは、−1および+1アミノ酸間の前記シグナルペプチドを切断する。よって、シグナル配列は分泌する間に融合タンパク質のアミノ末端から切断できる。これにより、免疫グロブリンFc領域および目的タンパク質から構成されるFc融合タンパク質が分泌される。シグナルペプチド配列の詳細は「von Heijne (1986) Nucleic Acids Res. 14:4683」に記述されている。
【0104】
特定シグナル配列が分泌カセットへの使用に適するかを調べるためには一般な実験が必要であることは、当業者には明白である。
【0105】
このような実験は、融合Fc融合タンパク質の分泌を誘導するためのシグナル配列の能力に対する決定、最適の形態、ゲノムDNAまたはcDNAの決定、および融合タンパク質の効果的な分泌を達成するために使用される配列の決定を含むであろう。また、当業者は、von Heijne(1986)によって提示される方法にしたがって合成シグナルペプチドを製造することができ、一般な実験によって前記合成シグナル配列の有効性をテストすることができる。シグナル配列は「シグナルペプチド」、「リーダー配列」または「リーダーペプチド」を意味することができる。
【0106】
シグナル配列と免疫グロブリンFc領域との融合は分泌カセットとも呼ばれる。本発明の実験で有用な代表的な分泌カセットは、5’〜3’方向に、免疫グロブリン軽鎖遺伝子およびヒト免疫グロブリンy1遺伝子のFcy1領域のシグナル配列をコードするポリヌクレオチドである。免疫グロブリンFcy1遺伝子のFcyl領域は、好ましくは少なくとも免疫グロブリンヒンジドメインの部分および少なくともCH3ドメインを含み、さらに好ましくは少なくともヒンジドメインの部分、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む。ここで使用される用語、免疫グロブリンヒンジ領域の「部分」は、鎖間ジスルフィド結合を形成することが可能な少なくとも一つ、好ましくは2つのシステイン残基を含む免疫グロブリンヒンジの部分を意味する。分泌カセットをコードするDNAは、それのゲノム形態またはそれのcDNA形態である。特定の場合には、ヒト免疫グロブリンFcy2重鎖配列からFc領域を生産することが有利であることもある。ヒト免疫グロブリンy1およびy2配列に基づいたFc融合はマウスにおいても同様に作用するが、y2配列に基づいたFc融合はヒトにおいて優れた薬動学的特徴を示す。
【0107】
他の具体的な様態において、DNA配列は、分泌カセットと目的タンパク質との間に存在するタンパク質分解的切断部位をコードする。切断部位は、コードする融合タンパク質のタンパク質分解的切断を提供し、これにより目的タンパク質からFcドメインを分離する。ここで使用される用語「タンパク質分解的切断部位」は、タンパク質分解酵素または他のタンパク質分解製剤によって選択的に切断されるアミノ酸配列を意味する。有用なタンパク質分解的切断部位は、トリプシン(trypsin)、プラスミン(plasmin)またはエンテロキナーゼK(enterokinase K)などのタンパク質分解酵素によって認識されるアミノ酸配列を含む。多くの切断部位/切断製剤対が知られている(例えば、米国登録特許第5,276,044号を参照されたい)。
【0108】
また、不変領域ドメインの一つ以上のアミノ酸残基が置換または欠失された不変領域の構造物の置換または欠失が有用であることもある。一つの例は、Fc受容体に対する親和力を減少させたFc変異体を製造するために上方のCH2部位にアミノ酸置換を導入する(Cole et al. (1997) J. Immunol. 159: 3613)。当業者はよく知られている分子生物学的技術を用いて前記構造物を製造することができる。
【0109】
本発明の免疫グロブリンFc断片に結合できるタンパク薬物の例は、ヒト成長ホルモン、BMP−1(bone morphogenetic protein-1)、成長ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、インターフェロン類およびインターフェロン受容体類(例えば、インターフェロン−α、−βおよび−γ、受容性タイプIインターフェロン受容体など)、G−CSF(granulocyte colony stimulating factor)、GM−CSF(granulocyte-macrophage colony stimulating factor)、グルカゴン様ペプチド(glucagon-like peptides)(例えば、GLP−1など)、Gタンパク質共役受容体(G-protein-coupled receptor)、インターロイキン類(例えば、インターロイキン−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8、−9、−10、−11、−12、−13、−14、−15、−16、−17、−18、−19、−20、−21、−22、−23、−24、−25、−26、−27、−28、−29−、30など)およびインターロイキン受容体類(例えば、IL−1受容体、IL−4受容体など)、酵素(例えば、グルコセレブロシダーゼ(glucocerebrosidase)、イズロン酸−2−スルファターゼ(iduronate-2-sulfatase)、α−ガラクトシダーゼA(alpha-galactosidase-A))、アガルシダーゼαおよびβ(agalsidase alpha and beta)、α−L−イズロニダーゼ(alpha-L-iduronidase)、ブチリルコリンエステラーゼ、キチナーゼ(chitinase)、グルタミン酸デカルボキシラーゼ(glutamate decarboxylase)、イミグルセラーゼ(imiglucerase)、リパーゼ、ウリカーゼ(uricase)、血素板活性化因子アセチルヒドロラーゼ(platelet-activating factor acetylhydrolase)、中性チエンドペプチダーゼ(neutral endopeptidase)、ミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase)など)、インターロイキンおよびサイトカイン結合タンパク質(例えば、IL−18bp、TNF結合タンパク質など)、マクロファージ活性化因子、マクロファージペプチド、B細胞因子、T細胞因子、タンパク質A、アレルギー抑制剤、細胞壊死糖タンパク(cell necrosis glycoproteins)、抗毒素(immunotoxin)、リンホトキシン、腫瘍壊死因子、腫瘍抑制剤、転移成長因(metastasis growth factor)、α−1アンチトリプシン、アルブミン、α−ラクトアルブミン、アポリポタンパク質−E、赤血球生成因子、高糖化赤血球生成因子、アンジオポイエチン;ヘモグロビン、トロンビン、トロンビン受容体活性ペプチド、トロンボモジュリン、血液因子VII、血液因子VIIa、血液因子VIII、血液因子IX、血液因子XIII、プラスミノゲン活性化因子、フィブリン結合ペプチド、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヒルジン、タンパク質C、C−反応性タンパク質、レニン抑制剤、コラゲナーゼ抑制剤、スーパーオキシドジムスターゼ、レプチン、血素板由来成長因子、上皮成長因子、外皮成長因子、アンジオスタチン、アンジオテンシン、骨成長因子、骨促進タンパク質、カルシトニン、インスリン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(atriopeptin)、軟骨誘導因子、エルカトニン、結合組織活性因子(connective tissue activating factor)、組織因子経路阻害剤、卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone)、黄体形成ホルモン(luteinizing hormone)、黄体形成ホルモン放出ホルモン、神経成長因子類(例えば、神経成長因子、毛様体神経栄養因子(ciliary neurotrophic factor)、AF−1(axogenesis factor-1)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide)、グリア細胞由来神経栄養因子(glial derived neurotrophic factor)、ネトリン(netrin)、好中球抑制因子、神経栄養因子(neurotrophic factor)、ニュートリン(neuturin)など)、副甲状腺ホルモン、レラキシン、セクレチン、ソマトメジン、インスリン様成長因子、副腎皮質ホルモン、グルカゴン、コレシストキニン、膵臓ポリペプチド、ガストリン放出ペプチド、ココルチコトロピン放出因子(corticotropin releasing factor)、甲状腺刺激ホルモン、オートタキシン、ラクトフェリン、ミオスタチン、受容体例(例えば、TNFR(p75)、TNFR(p55)、IL−1受容体、VEGF受容体、B細胞活性化因子受容体など)、受容体拮抗剤(IL1−Raなど)、細胞表面抗原(例えば、CD3、4、5、7、11a、11b、18、19、20、23、25、33、38、40、45、69など)、ウイルスワクチン抗原、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えば、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFd)、およびウイルス由来ワクチン抗原を含む。抗体断片はFab、Fab’、F(ab’)2、FdまたはscFvであり得る、このような抗体断片は特異的抗原に結合することができ、好ましくはFab’である。Fab断片は軽鎖の可変ドメイン(VL)および不変ドメイン(CL)、および重鎖の可変ドメイン(VH)および第1不変ドメイン(CH1)を含む。Fab’断片は、ヒンジ領域からCH1メインのカルボキシル末端まで一つ以上のシステイン残基を含むアミノ酸残基が添加されたという点で、Fab断片とは異なる。Fd断片はVHおよびCH1ンのみを含み、F(ab’)2断片はジスルフィド結合または化学反応によってFab’断片が対をなすことにより製造される。scFv(single-chain Fv)断片は、ペプチドリンカーによって連結されたVLおよびVHドメインを含むので、単一ポリペプチド鎖として存在する。
【0110】
具体的に、生物学的活性分子として好ましいものは、疾患を治療または予防するために体内に投与されるときに投与頻度が高いもので、ここにはヒト成長ホルモン、インターフェロン(インターフェロン−α、−β、−γなど)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、EPO(erythropoietin)、TNF受容体、p40および抗体断片が含まれる。また、特定誘導体の機能、構造、活性または安定性が生物学的活性分子の天然形態と実質的に同等の場合またはそれより改善された場合、そのような誘導体も本発明の生物学的活性分子の範囲に含まれ、最も好ましいポリペプチド薬物はインターフェロン−αである。
【0111】
本発明の別の様態において、例えば、IgG−FcおよびIgG−CH融合タンパク質は、二量体を形成するために単量体として生産される。典型的に、二量体はIgGヒンジ領域におけるジスルフィド結合によって形成される。IgGを分泌する細胞からの条件培地は、融合タンパク質はIgG融合タンパク質単量体および二量体の混合物を含むことができる。ヒトの治療に用いるためには、IgG融合タンパク質単量体または二量体の均質集団を使用することが好ましく、2つの形態を混合して使用することは好ましくない。
【0112】
また、本発明は、二量体活性ポリペプチド−IgG融合タンパク質本来の純粋な形態を得る方法を提供する。その方法は、一般に、IgG融合タンパク質を発現させることが可能な宿主細胞を収得し、条件培地を集め、カラムクロマトグラフィーによって単量体融合タンパク質、凝集体および汚染タンパク質から二量体融合タンパク質を精製することにより成し遂げられる。IgG融合タンパク質を発現させる適切な宿主細胞は、酵母、昆虫、哺乳類または他の真核細胞を含む。一つの様態において、宿主細胞は哺乳類細胞であってもよく、具体的にCOS、CHOはBHK細胞である。
【0113】
また、本発明は、ポリペプチド薬物およびFc断片の新規融合タンパク質を提供する。一つの具体的な様態において、EPO、p40、G−CSFまたはTNF受容体などのポリペプチド薬物はペプチドリンカーの挿入なしでハイブリッドFc断片に直接結合する。他の具体的な様態において、ポリペプチド薬物は1〜50個のアミノ酸のペプチドリンカーを介して互いに結合し、さらに好ましくは1〜7個のアミノ酸のペプチドリンカーを介して結合する。このような目的に特に有用なリンカーは、GlyおよびSer残基からなる(Gly Gly Ser Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser配列番号32)、またはヒトアルブミン由来の配列番号25の282〜314位のアミノ酸からなる免疫的に非活性なペプチドを含む。
【0114】
リンカーが使用される場合、リンカーおよびポリペプチド薬物は特定の方法で製造できる。すなわち、リンカーはハイブリッドFc断片のN末端、C末端または遊離基に連結でき、またポリペプチド薬物のN末端、C末端または遊離基に連結できる。リンカーがペプチドリンカーの場合、連結は任意の連結部位で起こり得る。ポリペプチド薬物およびハイブリッドFcが別個に発現された後で互いに結合するとき、結合(coupling)は当業界における公知の様々な任意の架橋剤を用いて行われ得る。架橋剤の例としては、1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、例えば4−アジドサリチル酸(4-azidosalicylic acid)などのN−ヒドロオキシスクシンイミドエステル、例えば3,3’−ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)などのジスクシンイミジルエステルを含むイミドエステル、および例えばビス−N−マレイミド−1,8−オクタンなどの二機能性マレイミドを含むが、これに限定されない。
【0115】
また、本発明は、ポリペプチド薬物−ハイブリッドFc断片の生産方法を提供する。
【0116】
また、本発明は、ポリペプチド薬物を投与して疾病を治療する方法を提供する。このような目的は、目的の疾病と直接関連しているあるいは関連していない健康状態を有する哺乳類に本発明のポリペプチドの有効量を投与することを含む。例えば、好ましいポリペプチド薬物−ハイブリッドFc断片融合タンパク質をコードするDNAまたはRNAなどの核酸が個体、好ましくは哺乳類に治療学的製剤として投与できる。また、ポリペプチド薬物−ハイブリッドFc断片融合タンパク質をコードする核酸を含む細胞は、個体、好ましくは哺乳類に治療学的製剤として投与できる。また、ポリペプチド薬物−ハイブリッドFc断片融合構造物は、個体、好ましくは哺乳類に治療学的有効量で投与できる。前記キメラポリペプチドは静脈内、皮下、経口、口腔、舌下、鼻、非経口、直腸、膣または肺経路で投与できる。
【0117】
本発明のEPO(この変異体/断片を含む)−Fc融合タンパク質は、哺乳類においてヘマトクリット(hematocrit)を維持し増加させるのに有用である可能性がある。
【0118】
p40はIL−12のサブユニットである。IL−12は生体内で多様な機能を有する75kDaのヘテロ二量体サイトカインである。例えば、IL−12は活性化されたTおよびNKの増殖を促進させ、Th−1タイプヘルパー細胞反応を促進させる。IL−12は活性化されたTおよびNK細胞の血漿膜上のIL−12受容体に結合することにより、生物学的効果を発揮する。IL−12がIL−12受容体に結合する能力はIL−12のp40サブユニットに起因する。よって、本発明のp40(この変異体/断片を含む)−Fc融合タンパク質は、(i)自己免疫疾患を予防/治療の症状を緩和させ、(ii)移植拒否反応を抑制し、または(iii)内毒素により誘導されたショックを治療/予防するのに有用であり得る。また、本発明のp40(この変異体/断片を含む)−Fc融合タンパク質は、リウマチ性関節炎(rheumatoid arthritis)、強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis)、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease)、多発性硬化症(multiple sclerosis)、または乾癬(psoriasis)症状を治療/予防/軽減させるのに有用であり得る。変異体および断片は当業界に知られており、ここに参考として組み込まれる国際公開特許第97/20062号を含むが、これに限定されない。p40変異体の一様態はAsn3Gln置換を含むp40を含むが、これに限定されない。
【0119】
顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)は顆粒球、特に好中球の増殖および分化に核心的なタンパク質である。顆粒球は、侵入した微生物および細胞残屑を沈めて除去するので、感染反応に核心的である。化学治療は顆粒球を破壊し、および/または顆粒球の生産を減少させる。よって、本発明のG−CSF(この変異体/断片を含む)−Fc融合タンパク質は、骨髄移植後に、化学療法によって誘導された好中球減少症骨髄抑制、急性白血病、再生不良性性貧血(aplastic anemia)、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome)、重症慢性好中球減少症、または移植のための末消血液前駆細胞の可動化(mobilization of peripheral blood progenitor cells)症状の治療/予防/軽減に有用である。
【0120】
本発明の融合タンパク質は、治療学的製剤として有用であるうえ、診断学的使用のための抗体の生産においても有用であることを当業者であれば認識することができる。その他にも、本発明の使用方法は、DNAまたはRNAの適切な投与、例えばそのような投与目的のベクターまたは他の伝達システムを含む。
【0121】
本発明の組成物はいずれの経路でも投与できる。本発明の組成物は直接(例えば、組織部位に注入、移植または局部的に投与することにより、局所的に)またはシステム的に(例えば、非経口または経口で)任意の適切な手段によって動物に提供できる。本発明の組成物が静脈内、皮下、眼、腹腔内、筋肉内、口腔、直腸、眼窩内、脳内、頭蓋内、脊椎内、脳室内、くも膜下腔、嚢内、カプセル内、鼻内、またはエアロゾル投与のように非経口的に提供される場合、組成物は好ましくは水性、あるいは生理学的に適用可能な体液懸濁液または溶液の部分を含むことが好ましい。これにより、担体またはビヒクルが生理学的に許容可能なので、組成物に添加して患者に伝達できる。これは患者の電解質および/または体積バランスに悪影響を及ぼさない。よって、製剤のための液状媒体として、一般に生理食塩水を含むことができる。
【0122】
本発明のDNA構造物(または遺伝子構造物)は、ポリペプチド薬物またはその融合タンパク質構造物をコードする核酸を運搬する遺伝子治療プロトコルの一部として使用できる。
【0123】
本発明は、所望のポリペプチド薬物の機能を再構成または補充するために、特定の細胞タイプで目的のポリペプチド薬物またはその融合タンパク質構造物を生体内感染および発現させる発現ベクターを特徴とする。所望のポリペプチド薬物の発現構造物、またはその融合タンパク質構造物は、任意の生物学的有効担体と共に投与できるが、例えば、生体内細胞に所望のポリペプチド薬物コード遺伝子またはその融合タンパク質を効率よく運搬することが可能な任意の剤形または組成物などがそれである。
【0124】
本発明は、組み換えレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、および単純ヘルペスウイルス−1を含むウイルスベクター、または組み換えバクテリアプラスミドまたは組み換え真核プラスミド内に対象遺伝子を挿入することを含む。本発明の融合タンパク質をコードする核酸の好ましい投与量は、ヒトの場合に0.1mg〜100mgの範囲であり、さらに好ましくは1mg〜10mg、最も好ましくは2mg〜10mgである。最適量および投与形態は当業界の技術水準に属する一般な実験によって決定することができる。
【0125】
融合タンパク質の好ましい単位投与量は、ヒトの場合に0.1mg〜1000mgであり、さらに好ましくは1mg〜100mg、および最も好ましくは5mg〜20mgである。これが最適量ではあるが、治療対象疾患および副作用の有無によって異なる。ところが、最適の投与量は通常の実験を用いて決定できる。融合タンパク質の投与は周期的な急速注入(periodic bolus injections)により、あるいは外側供給源(external reservoir)(例えば、静脈注射保有袋または内側(例えば、生体腐食性インプラント)からの持続的な静脈内、皮下、または腹膜内投与によることができる。
【0126】
しかも、本発明の融合タンパク質は、他の生物学的活性分子と共に対象受容体に投与できる。ところが、融合タンパク質および他の分子の最適の組み合わせ、投与形態、定量は当業界における公知の通常の実験によって決定できる。
【実施例】
【0127】
以下、本発明を下記実施例によってさらに詳細に説明する。但し、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0128】
〔実施例1:hFc−1、hFc−2、hFc−3、hFc−4、hFc−5およびhFc−6融合タンパク質の発現ベクターの製造〕
hFc−1はC末端IgG1 CH1領域の9個のアミノ酸(90〜98)、IgG1のヒンジ領域(99〜113)、N末端IgG2 CH2領域の6個のアミノ酸(111〜116)、IgG4 CH2領域の103個のアミノ酸(118〜220)、およびIgG4 CH3領域の107個のアミノ酸(221〜327)を含む(図1および図2)。hFc−1のアミノ酸配列は配列番号18に示されている。hFc−1(配列番号1)、ヒトEPO(配列番号7)、ヒトG−CSF(配列番号8)およびヒトp40N303Q(ヒトp40サブユニットの303番目のアミノ酸AsnがGlnで置換された突然変異)(p40N303Qのヌクレオチド配列は配列番号9に示されており、ヒトp40のアミノ酸配列は配列番号17に示されている)をコードするコドン最適化ヌクレオチドを得るために、それぞれこのようなヌクレオチド分子をTOP gene Technologies(Quebec、Canada)(www.topgenetech.com)のカスタムサービスによって合成した。タンパク質発現水準を増加させるために、遺伝子のコドン使用を最適化させることが非常に効果的である。コドン使用のパターンは有機体間で互いに異なる。あるコドンはいずれか一つの有機体で非常に頻繁に使用されるが、他の有機体では殆ど使用されない。コドン使用におけるこのような傾向は、翻訳効率、コードされたタンパク質を合成するための有機体の能力に影響を与える。発現ベクターpAD11(配列番号10)に各融合遺伝子を挿入させるために、EPO、G−CSFおよびp40N303QのATG配列の5’末端にEcoRI部位を生成させ、hFc−1の終止コドンの3’末端にXbaI部位を生成させた。発現ベクターpAD11はRcCMV骨格から収得した(Invitrogen、Carlsbadから可能)。pAD11はCMV(cytomegalovirus)に由来したプロモーター、ウシ成長ホルモンに由来したポリ(A)配列、ウサギベータグロビンに由来したgIVS(globin intervening sequence) (Mol Cell Biol, 1988 8: 4395)、およびその他の要素を含む。pAD11ベクターを製造するためには、RcCMVベクター(Invitrogen)を複数箇所変形させる。まず、ネオマイシン抵抗性部位はXhoI酵素によって除去させ、gIVSをCMVプロモーター部位の3’に追加させた。また、マウスDHFR(dihydrofolate reductase)遺伝子(Pubmed, NM 010049)はCMVプロモーターの5’に追加させた。pAD11ベクターは、前述したものを含む幾つかの要素の組み合わせ状態で各種発現テストを経て開発された。われわれの未発表結果において、pAD11ベクターはRcCMVベクター(Invitrogen)と比較するとき、発現水準において約12倍の増加を示した。フレーム内でEPO、G−CSFおよびp40N303Qの3’末端とhFc−1の5’末端との連結部位を製造するために、EPO、G−CSFおよびp40N303Qのコード配列の3’末端とhFc−1のコード配列の5’末端にNheI部位を生成させた。各制限酵素部位を用いたサブクローニングの後、EPO、G−CSFまたはp40N303Qで融合したhFc−1最終発現ベクターが製造された。これらをそれぞれpAD11 EPO−hFc−1、pAD11 G−CSF−hFc−1およびpAD11 p40N303Q−hFc−1と命名した。
【0129】
hFc−2、hFc−3、hFc−4、hFc−5およびhFc−6のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号19〜23に示されている。hFc−6はIgD CH1ドメインC末端の9個のアミノ酸(90〜98)、IgDのヒンジ領域の64個のアミノ酸(99〜162)、IgD CH2ドメインN末端の8個のアミノ酸(shtqplgv 163〜170)、IgG4 CH2ドメインの100個のアミノ酸(121〜220)、およびIgG4 CH3ドメインの107個のアミノ酸(221〜327)を含む(図1および図2)。hFc−6(配列番号6)をコードするコドン最適化ヌクレオチド分子を収得するために、遺伝子はTOP Gene technologies(www.topgenetech.com)のカスタムサービスによって合成した。フレーム内でEPO、G−CSF、またはp40N303Qの3’末端およびhFc−6の5’末端を融合させるために、hFc−6のN末端コード部位(90および91アミノ酸)に含まれたNheI部位(gctagc:Ala−Ser)を使用した。また、pAD11ベクター内に各hFc−6融合遺伝子を挿入するために、XbaI部位をhFc−6遺伝子の3’末端に生成させた。各制限酵素部位を用いてサブクローニングした後、EPO、G−CSFおよびp40N303Qが融合したhFc−6を製造するための最終発現ベクターが製造された。これらをそれぞれpAD11 pEPO−hFc−6、pAD11 G−CSF−hFc−6およびpAD11 p40N303Q−hFc−6と命名した。hFc−2、hFc−3、hFc−4、およびhFc−5は同一のCH2およびCH3部位を有するが、それらはIgDヒンジのサイズが互いに異なる(図1および図2)。hFc−2(配列番号19)、hFc−3(配列番号20)、hFc−4(配列番号21)、およびhFc−5(配列番号22)はそれぞれ、C末端IgDヒンジの5個のアミノ酸(158〜162)、10個のアミノ酸(153〜162)、20個のアミノ酸(143〜162)、30個のアミノ酸(133〜162)を含む(図1および図2)。EPO、G−CSF、p40N303QまたはTNFR(tumor necrosis factor receptor II)(配列番号30)、およびこのようなhFcをコードする核酸分子(配列番号2〜5)間の融合遺伝子を製造するために、融合した遺伝子の全体サイズにおける最小遺伝子断片をTOP gene Technologies(ww.topgenetech.com)のカスタムサージスによって合成した。各hFc−2、hFc−3、hFc−4またはhFc−5のヒンジおよびN末端CH2領域をコードするヌクレオチド分子に融合した各EPO、G−CSF、p40N303QびTNFRの断片は、全体EPO、G−CSF、p40N303QまたはTNFR配列からIgG4内のCH2領域(配列番号13)の138〜140番目のアミノ酸残基に位置する同一酵素部位としてのBstEII部位(GGTGACC)までを含む。各種遺伝子断片を含むサブクローニングベクターは、それぞれ5’末端および3’末端に位置するEcoRIおよびBstEIIで切断された後、hFc−6のCH2〜CH3部位に連結される。最終的に、各融合遺伝子はEcoRIおよびXbaI部位を用いてpAD11にサブクローニングさせ、これらをそれぞれpAD11 EPO−hFc−2、pAD11 EPO−hFc−3、pAD11 EPO−hFc−4、pAD11 EPO−hFc−5、pAD11 G−CSF−hFc−2、pAD11 G−CSF−hFc−3、pAD11 EPO−hFc−4、pAD11 EPO−hFc−5、pAD11 p40N303Q−hFc−2、pAD11 p40N303Q−hFc−3、pAD11 p40N303Q−hFc−4、pAD11 p40N303Q−hFc−5、およびpAD11 TNFR−hFc−5と命名した。
【0130】
〔実施例2:IFN−βに結合したthFc−1およびthFc−2のための発現ベクターの製造〕
thFc−1はヒトtPA(tissue plasminogen activator)のシグナル配列の23個のアミノ酸(MDAMLRGLCCVLLLCGAVFVSPS)、IgG1ヒンジ領域の15個のアミノ酸(99〜113)、N末端IgG2 CH2領域の6個のアミノ酸(111〜116)、IgG4 CH2領域の103個のアミノ酸(118〜220)、およびIgG4 CH3部位の107個のアミノ酸(221〜327)を含む。thFc−1のアミノ酸配列は配列番号28に示されている。thFc−2はtPAシグナル配列の23個のアミノ酸(MDAMLRGLCCVLLLCGAVFVSPS)、IgDヒンジ領域の15個のアミノ酸(148〜162)、N末端IgD CH2領域の8個のアミノ酸(163〜170)、IgG4 CH2部位の100個のアミノ酸(121〜220)、およびIgG4 CH3領域の107個のアミノ酸(221〜327)を含む(図3)。thFc−2のアミノ酸配列は配列番号29に示されている。シグナル配列の除去されたヒトIFN−βのN末端に結合したthFc−1(配列番号26)またはthFc−2(配列番号27)をコードするコドン最適化ヌクレオチドを収得するために、このようなヌクレオチド分子をTOP Gene Technologies(Quebec、 Canada)(www.topgenetech.com)のカスタムサービスによって合成した。発現ベクターpAD11(配列番号10)に各融合遺伝子を挿入するために、thFc−1またはthFc−2の5’末端にEcoRI部位を生成させ、IFN−βの終止コドンの3’末端にNotI部位を生成させた。各制限酵素部位を用いてサブクローニングした後、最終発現ベクターをそれぞれpAD11 thFc−1−AL(0)−IFN−betaおよびpAD11 thFc−2−AL(0)−IFN−betaと命名した。
【0131】
相異なるサイズのアルブミンリンカーまたはGly−Serリンカーを介してIFN−βに結合したthFcを製造するために、結合したthFc−1のCH3領域のPstI部位から相異なるサイズのアルブミンリンカー(3aa、8aa、13aa、18aa、23aaおよび33aa)またはGly−Serリンカー(15aa)を介してそのシグナル配列が除去されたIFN−βの範囲を有する遺伝子断片をTOP Gene Technologies(wwww.topgenetech.com)のカスタムサービスによって合成した(図4)。発現ベクターpAD11 thFc−1−AL(0)−IFN−betaおよびpAD11 thFc−2−AL(0)−IFN−betaに7個の相異なる遺伝子断片を挿入させるために、PstI部位をそれらの5’末端に生成させ、NotI部位をIFN−βの終止コドンの3’末端に生成させた。各制限酵素部位を用いてサブクローニングした後、最終発現ベクターをpAD11 thFc−1−AL(1)−IFN−beta、pAD11 thFc−1−AL(2)−IFN−beta、pAD11 thFc−1−AL(3)−IFN−beta、pAD11 thFc−1−AL(4)−IFN−beta、pAD11 thFc−1−AL(5)−IFN−beta、pAD11 thFc−1−AL(6)−IFN−beta、pAD11 thFc−1−GS−IFN−beta、およびpAD11 thFc−2−AL(1)−IFN−beta、pAD11 thFc−2−AL(2)−IFN−beta、pAD11 thFc−2−AL(3)−IFN−beta、pAD11 thFc−2−AL(4)−IFN−beta、pAD11 thFc−2−AL(5)−IFN−beta、pAD11 thFc−2−AL(6)−IFN−beta、およびpAD11 thFc−2−GS−IFN−betaと命名した。
【0132】
〔実施例3:ヒトEPO−hFcs、ヒトG−CSF−hFcs、ヒトp40N303Q−hFcs、ヒトTNFR−hFc−5およびthFcs−IFN−betaタンパク質の発現〕
発現検証のためにCOS−7細胞を使用し、10%ウシ胎仔血清(Hyclone、South Logan)および抗生物質(Invitrogen、Carlsbad)の添加されたDMEM培地(Invitrogen、Carlsbad)で培養した。EPO−hFcs、G−CSF−hFcs、p40N303Q−hFcs、TNFR−hFc−5、thFcs−IFN−betaをコードするベクターは、通常のエレクトロポレーション方法を用いて5×10COS−7細胞に感染させた。感染48時間後、上澄み液および細胞を収得した。各ベクターからの融合タンパク質の発現を確認するために、全てのサンプルは多数のキット(R&D system、Minneapolis、#DEP00 for EPO;Biosource、Camarillo、#KHC2032 for G−CSF;R&D system、Minneapolis、#DY1240 for p40N303Q;R&D system、Minneapolis、#DRT200 for TNFR;PBL Biomedical Lavoratories、#41410−1A for IFN−beta)を用いてELISA分析し、抗ヒトIgG抗体(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz)を用いてウエスタンブロット分析した。その結果、全てのベクターは上澄み液および細胞溶解物で正確な発現様相を示した(データは提示されない)。
【0133】
〔実施例4:hFc融合タンパク質の精製〕
CHO/DHFR−/−(CHO細胞、DG44、ATCC)は、α−MEM(Invitrogen、Carlsbad)、10%透析ウシ胎仔血清(JRH Biosciences、Kansas)、HT補充剤(Invitrogen、Carlsbad)および抗生物質(Invitrogen、Carlsbad)で培養した。通常のCaPO共沈法によって発現ベクターをCHO細胞に感染させた。感染48時間後、CHO細胞をプレートから取り外し、様々な比率(1/2、1/5、1/20、1/50、1/100、1/200、1/500)で希釈させた。希釈した細胞は100mmのディッシュに接種し、HT補充剤のない培地で培養した。スクリーニング過程中に、継代していない細胞にHT補充剤のない新規培地を供給した。コロニーは接種2〜3週後に生成され、各コロニーを48ウェルプレートに移した。EPO、G−CSF、p40N303QおよびTNFR検出に対するELISA分析によって陽性コロニーをスクリーニングした。最も高い発現を示した各コロニーは無血清培地(JRH Biosciences、Kansas)を用いて大規模(5L)培養した。収得された無血清上澄み液は各融合タンパク質の精製に使用した。精製のために20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)でHiTrap組み換えタンパク質A FF(Amersham biosciences、Piscataway)カラムの均衡を維持させた。濾過された上澄み液をカラムに添加し、0.1Mクエン酸ナトリウム(pH3.0)で溶出させた。溶出したタンパク質は膜(MWCO 12 14K、spectrapor、Rancho Dominguez)で3回以上透析した後、最終的に収得した。タンパク質サンプルの全ての濃度は総タンパク質を測定するためのBCAキット(Pierce Biotechnology、Rockford)およびEPO−hFcs、G−CSF−hFcs、p40N303Q−hFcs、TNFR−hFc−5およびthFcs−IFN−betaを測定するためのELISAキットによって決定した。
【0134】
〔実施例5:FcgRIおよびClq結合分析〕
hFc−5融合タンパク質がFcgRIおよびClqに結合するか否かを調べるために、MabThera(リツキシマブ(Rituximab)、Roche)、hIgG1(カルバイオケム(Calbiochem)、Cat#、400120)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト(Etanercept)、Amagen)、EPO−hFc−5、G−CSF−hFc−5およびp40N303Q−hFc−5を連続的に希釈し(2μg/mLから16ng/mLまで2培ずつ)、4℃で8ウェルストリップ上に一晩結合させておいた。標準曲線を作るために、FcgRI(R&D、caat#BAF1257)またはClq(AbD serotech、Cat#、2221〜5504)も連続的に希釈し(2μg/mLから32ng/mLまで2倍ずつ)、4℃で一晩8ウェルストリップ(COSTAR、New York)上に一晩結合させておいた。洗浄バッファ(0.05%tweenを含むPBS)で各サンプルのストリップを洗浄し、室温で1時間PBSで10%FBSで抑制した後、各ウェルに2μg/mLのFcgRIまたはClqを添加し、しかる後に、室温で2時間培養した。全てのストリップは洗浄バッファで洗浄した。Clq結合検証のために、各ウェルに2.5μg/mLの抗−Clq(AbD serotech、cat#.2221〜5004P)結合HRPを添加した後、暗条件の室温で30分間培養した。FcgRI結合検証のために、各ウェルに2μg/mLのビオニン化抗−FcgRI(R&D、cat#.1257−FC)を添加した後、室温で1時間培養した。洗浄バッファでこれらを洗浄した後、3000倍で希釈されたストリプトアビジン−HRP(BD、cat#.554066)を各ストリップに添加し、しかる後に、暗条件の室温で30分間培養した。ストリップを洗浄した後、TMB溶液(TMBペルオキシダーゼ基質およびペルオキシダーゼ基質溶液B、KPLの1:1混合物、KPL、cat#.50−76−01、cat#,50−65−00)を添加し、2N HSOを添加した。図6(a)および図6(b)に示すように、MabThere(登録商標)、Enbrel(登録商標)およびhIgG1はFcgRIおよびClqによく結合したが、EPO−hFc−5、G−CSF−hFc−5、およびp40N303Q−hFc−5はそうではない。
【0135】
〔実施例6:精製されたhFc融合タンパク質の試験管内生物活性〕
EPO−hFcタンパク質の試験管内生物活性を調べるために、ヒトF35E細胞株を、10%FBS、抗生物質および5IU/mLの組み換えヒトEPO(DongA、韓国)が添加されたRPMI1640(Cambrex、Charles City)で培養した。96ウェル細胞培養プレート(Corning、オランダ)のテストウェルに2×10細胞を接種して生物学的検定を行った。このようなウェルに、EPO、EPO−hFc−1、EPO−hFc−5、EPO−hFc−6、EPO−IgG1 FcまたはAranesp(ダーベポエチンアルファ、Amgen)を連続的に希釈した(0、0.064mIU/mL〜25IU/mL)サンプルを添加した。プレートは湿っぽい5%CO培養器に37℃で72時間培養した。製造社のプロトコルによって、細胞成長比色分析キット(cell growth colorimetric assay kit)(Sigma−Aldrich、韓国)を用いてMTT分析を行った。ヒトF35E細胞株は、細胞数および吸光度値における用量依存方式によって証明されたように、rEPOに対して強い増殖反応を示した。図7(a)に示すように、IgG1 FcまたはhFcに結合したAranesp(登録商標)およびEPOタンパク質はEPOタンパク質に比べて生物学的活性が減少した。ところが、EPO−hFc−1、EPO−hFc−5およびEPO−hFc−6はEPO−IgG1 Fcより著しく増加した生物活性を示した。また、EPO−hFc−5およびEPO−hFc−6はAranesp(登録商標)より若干高い生物活性を示すが、これはhFc融合タンパク質がEPOタンパク質の生物活性維持においてAranesp(登録商標)よりさらに優秀に見えることを意味する。
【0136】
試験管内G−CSF−hFcタンパク質の生物活性を調べるために、マウス造血細胞株NFS−60を、10%FBS、抗生物質および100units/mLの組み換えマウスIL−3(R&D systen、Minneapolis)が添加されたRPMI1640培地(Cambrex、Charles City)で培養した。96ウェル細胞培養プレート(Corning、オランダ)のウェルに2×10細胞を接種して生物学的検定を行った。このようなウェルに、G−CSF−hFc−5およびNeulastaを連続的に希釈(0〜10000pg/mLの範囲で3倍ずつ)したサンプル(ペグフィルグラスチム、Amgen)を添加した。プレートは湿っぽい5%CO培養器に37℃で72時間培養した。タンパク質サンプルはトリプリケートウェル(Tiplicate well)で分析し、このような実験は5回繰返し行われた。72時間培養後、製造社のプロトコルによって、細胞成長比色分析キット(Sigma−Aldrich、韓国)を用いてMTT分析を行った。図7(b)に示すように、G−CSF−hFc−5はNeulasta(登録商標)より若干高い試験管内生物活性を示した。
【0137】
p40N303Q−hFcタンパク質の試験管内生物活性を調べるために、10%FBS、および抗生物質を添加したPRMI1640培地(Cambrex、Charles City)で、抗ヒトCD3抗体(R&D system、#MAB100)2μg/mLが存在し、ヒトp40(R&D system)10ng/mLまたはp40N303Q−hFc−5が存在するまたは非存在しない環境でリウマチ性関節炎患者のPBMCs(peripheral blood mononuclear cells)を培養した。6日の後、CD4およびIL−17に対して陽性の細胞をFACS分析によって測定した。図7(c)に示すように、p40N303Q−hFc−5はp40タンパク質よりCD4/IL−17細胞の生産においてさらに強力な抑制効果を示したが、これはTh17の極性化(polarization)におけるp40N303Q−hFc−5の抑制機能を示す。
【0138】
TNFR−hFcタンパク質の試験管内生物活性を調べるために、マウスL929細胞を、10%FBSおよび抗生物質が添加されたRPMI1640(Cambrex、Charles City)培地で培養した。96ウェル細胞培養プレート(Corning、オランダ)のウェルに3×410個の細胞を接種して細胞変性抑制分析(cytopathic inhibition assay)を開始し、しかる後に、TNF−α 1ng/mLを処理した。このようなウェルに、TNFR−hFc−5およびEnbrel(登録商標)(エタネルセプト(etanercept)、Amgen)が連続的に希釈された(15.6〜1000ng/mLの範囲で、2倍ずつ)サンプルを添加した。プレートは湿っぽい5%CO培養器に37℃で72時間培養した。培養の後、製造社のプロトコルによって、細胞成長比色分析キット(Sigma−Aldrich、韓国)を用いてMTT分析を行った。図7(d)に示すように、TNFR−hFc−5は試験管内でEnbrel(登録商標)より若干高い生物活性を示した。
【0139】
thFc−1−AL(0)−IFN−betaおよびthFc−1−AL(3)−IFN−betaタンパク質の試験管内生物活性を調べるために、WISH細胞(ATCC、CCL−25)が10%FBSおよび抗生物質の添加されたDMEM/F12(Cambrex、Charles City)培地で培養された。96ウェル細胞培養プレート(Corning、オランダ)のウェルに3×410個の細胞を接種して細胞変性抑制分析を行い、しかる後に、VSV(ATCC、VR−158)1500PFU/wellで処理した。このようなウェルに、組み換えIFN−beta(WHO標準、NIBSC 00/572)、thFc−1−AL(0)−IFN−betaおよびthFc−1−AL(3)−IFN−betaタンパク質が連続的に希釈されたサンプル(40IU/mLから2倍ずつ)を添加した。プレートは湿っぽい5%CO培養器に37℃で72時間培養した。培養の後、製造社のプロトコルによって、細胞成長比色分析キット(Sigma−Aldrich、韓国)を用いてMTT分析を行った。図7(e)に示すように、thFc−1−AL(3)−IFN−betaはthFc−1−AL(0)−IFN−betaより20倍さらに高い生物活性を示したが、これはFcに融合したIFN−βの生物活性を維持するのにアルブミンリンカーが重要な役割を果たすことを示す。
【0140】
〔実施例7:精製されたhFc融合タンパク質の生体内半減期〕
EPO−hFc−1、EPO−hFc−5およびAranesp(登録商標)の半減期を比較するために、15匹のカニクイザルに単一皮下(subcutaneous、SC)注入または単一静脈(intravenous、IV)注入を介して2400IU/kgの量でこれらタンパク質を処理した。注入前、および注入後1、3、6、12、24、30、48、54、72、78、96、120、168、336、504、および672時間に各猿の血液サンプルを収得した。血液サンプルは凝集のために30分間室温で培養した。3000rpmで10分間遠心分離した後、各サンプルから血清を収得し、超低温冷凍庫に貯蔵した。各時間に収得した全てのサンプルを定量化するために、EPO ELISAキットを用いてテストした。図8(a)に示すように、SCまたはIV経路を経てEPO−hFc−1またはEPO−hFc−5が注入された全ての猿は、SCまたはIV経路を経てAranesp(登録商標)が注入された猿より長い半減期を示した。
【0141】
G−CSF−hFc−1の薬動学を調査するために、グループ当り2匹の雄SDラット(Charles River Laboratories、Wilmington)にSCまたはIV経路を経て対照群としてLEUCOSTIM(登録商標)(フィルグラスチム(filgrastim) 、DongA、韓国)100μg/kgおよびGCSF−hFc−1を投与した。注入前、および注入後1、2、3、4、8、12、24、48、72、96、120および192時間に血液サンプルを収得した。血液サンプルは凝集のために30分間室温で培養した。3000rpmで10分間遠心分離した後、各サンプルから血清を収得し、超低温冷凍庫に貯蔵した。サンプルはG−CSFキット(Biosource、Camarillo、#KHC2032)を用いて1/2、1/5、1/50、1/250、1/500などの幾つかの希釈比率で定量した。図8(b)に示すように、SCたはIV経路を経て注入されたG−CSF−hFc−1はLEUCOSTIM(登録商標)より長い半減期を示した。G−CSF−hFc−1およびG−CSFは、SC投与後にそれぞれ8.76時間および2.36時間の生体内半減期を有し、IV投与後にそれぞれ10.42時間および1.78時間の生体内半減期を有した。よって、G−CSF−hFc−1は、LEUCOSTIM(登録商標)と比較するとき、SC注入の場合に3.7倍の半減期増加を示し、IV注入の場合には5.9倍の半減期増加を示した。
【0142】
p40N303Q−hFc−5およびEnbrel(登録商標)の薬動学を調査するために、グループ当り3匹のカニクイザルに100μg/kgの量でこれらタンパク質を単一SC注入処理した。各猿の血液サンプルは注入前、および注入後8、24、48、72、96、120、168、336、504および672時間に収得した。血液サンプルは凝集のために30分間室温で培養した。3000rpmで10分間遠心分離した後、各サンプルから血清を収得し、超低温冷凍庫に貯蔵した。各時間に収得した全てのサンプルは、ヒトp40およびヒトTNFRIIを定量化するために、ELISAキットを用いてテストした。図8(c)に示すように、p40N303Q−hFc−5はEnbrel(登録商標)より低いCmax値(平均3ng/mL vs 7ng/mL)を示したが、p40N303Q−hFc−5はEnbrel(登録商標)より長い半減期を示した(平均199h vs 127h)。
【0143】
TNFR−hFc−5およびEnbrel(登録商標)の薬動学(pharmacokinetics)を調査するために、グループ当り3匹のSDラット(Charles River Laboratories、Wilmington)に500μg/kgの量でこれらタンパク質を単一SC注入した。各ラットの血液サンプルは注入前、および注入後2、4、8、12、24、30、48、72、96および120時間に収得した。血液サンプルは凝集のために30分間室温で培養した。3000rpmで10分間遠心分離した後、各サンプルから血清を収得し、超低温冷凍庫に貯蔵した。各時間に収得した全てのサンプルは、ヒトTNFRIIを定量化するために、ELISAキット(R&D system、Minneapolis、#DRT200)を用いてテストした。図8(d)に示すように、TNFR−hFc−5はEnbrel(登録商標)の半減期と類似であったが(平均28.6h vs 29.4h)、TNFR−hFc−5はEnbrel(登録商標)より高いAUC水準を示した(平均198.1 vs 172.9μg*h/mL)。
【0144】
〔実施例8:精製されたhFc融合タンパク質の生体内生物活性〕
EPO−hFc−5およびAranesp(登録商標)の生体内生物活性を比較するために、グループ当り3匹のカニクイザルに2400IU/kgの量でこれらタンパク質を単一SC注入または単一IV注入処理した。注入前、および注入後1、3、6、12、24、30、48、54、72、78、96、120、168、336、504および672時間に各猿の血液サンプルを収得した。
【0145】
EPO−hFc−5およびAranesp(登録商標)の生体内生物活性を評価するために、網状赤血球を含む多様な血液細胞の数を測定した。図9(a)に示すように、猿における網状赤血球の増加に関連し、EPO−hFc−5はSCおよびIV経路の両方ともでAranesp(登録商標)より若干高い生体内効能を示した。
【0146】
G−CSF−hFc−1の生体内生物活性を調査するために、対照群としてLEUCOSTIM(登録商標)(フィルグラスチム、DongA、韓国)、およびG−CSF−hFc−1を100μg/kgの量でSCまたはIV経路を経てグループ当り2匹の雄SDラット(Charles River Laboratories、Wilmington)に投入した。注入前、および注入後1、2、3、4、8、12、24、48、72、96、120および192時間にEDTAを用いて血液を収得した。各血液サンプルはRBC溶解バッファ(BD Bioscience、韓国)で4分間処理し、FACSバッファで希釈された総WBCs(white blood cells)は血球計数器(hematocytometer)を用いて3回繰返しカウントした。FACS caliberを用いてFSC(正方向スキャター)で細胞サイズを決定し、SSC(側面スキャター)で顆粒のサイズを決定することにより、顆粒球の数を測定した。図9(b)に示すように、SCおよびIV経路を介して処理されたLEUCOSTIM(登録商標)は注入24時間後にWBCおよび顆粒球のピーク数を誘導した。これに対し、G−CFS−hFc−1はSC注入72時間後、およびIV注入48時間後にWBCおよび顆粒球のピーク数を誘導した。注入後24時間〜120時間に、LEUCOSTIM(登録商標)と比較するとき、G−CSF−hFc−1は生体内生物活性をさらに高く持続させた。
【0147】
以上、本発明を好適な実施例として開示および記述したが、当業者であれば、添付した請求の範囲によって定められる本発明の精神と範囲から逸脱することなく、発明の形態および詳細の多様な変更が可能であることを理解するであろう。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明は、生物学的活性分子およびこの生物学的活性分子に連結された免疫グロブリン(Ig)Fcドメインを含む融合タンパク質に関する。Fcドメインは(i)IgG1、IgG2またはIgG4、または(ii)IgG4およびIgDのハイブリッドヒトFcドメインである。ハイブリッドFcは生物学的活性分子の担体として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式で表されるポリペプチド:
N’−(Z1)−Y−Z2−Z3−Z4−C’
ここで、N’はポリペプチドのN末端であり、C’はポリペプチドのC末端であり、
Z1は少なくとも(i)配列番号11または(ii)配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基のC末端領域を含むアミノ酸配列であり、
Yは少なくとも(i)配列番号11の99〜113位または(ii)配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基のC末端領域を含むアミノ酸配列であり、
Z2は少なくとも(i)配列番号12の111〜147位または(ii)配列番号14の163〜199位のアミノ酸残基のN末端領域を含むアミノ酸配列であり、
Z3〜Z4は(i)配列番号11の118〜223位のアミノ酸残基のC末端領域および配列番号11の224〜330位のアミノ酸残基のN末端領域を含む連続アミノ酸配列、(ii)配列番号12の114〜219位のアミノ酸残基のC末端領域および配列番号12の220〜326位のアミノ酸残基のN末端領域を含む連続アミノ酸配列、(iii)配列番号24の165〜270位のアミノ酸残基のC末端領域および配列番号24の271〜377位のアミノ酸残基のN末端領域を含む連続アミノ酸配列、および(iv)配列番号13の115〜220位のアミノ酸残基のC末端領域および配列番号13の221〜327位のアミノ酸残基のN末端領域の連続アミノ酸配列よりなる群から選ばれたいずれか一つのアミノ酸配列であり、
pは0または1の整数であり、
前記Z2およびZ3のアミノ酸残基の総数は両方とも80〜140個であり、
前記ポリペプチドのアミノ酸残基の総数は両方とも154〜288個である。
【請求項2】
前記Z1は(i)配列番号11または(ii)配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基の5〜9個の連続したアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記Z1は(i)配列番号11または(ii)配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記Z1は(i)配列番号11または(ii)配列番号14の90〜98位の5〜9個のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記Z1は(i)配列番号11または(ii)配列番号14のアミノ酸残基90〜98からなるアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記Yは(i)配列番号11の99〜113位または(ii)配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基の10個またはそれ以上の連続アミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記Yは、配列番号11の99〜113位のアミノ酸残基、配列番号14の158〜162位のアミノ酸残基、配列番号14の153〜162位のアミノ酸残基、配列番号14の143〜162位のアミノ酸残基、配列番号14の133〜162位のアミノ酸残基、または配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列である、請求項6に記載のポリペプチド。
【請求項8】
前記Z2は(i)配列番号12の111〜147位または(ii)配列番号14の163〜199位のアミノ酸残基4〜37個の連続アミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記Z2は(i)配列番号12の111〜147位または(ii)配列番号14の163〜199位のアミノ酸残基6〜30個の連続アミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項10】
前記Z2およびZ3のアミノ酸の総数は両方とも90〜120個または両方とも105〜115個であることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項11】
前記Z4は配列番号13の221〜327位のアミノ酸残基90個またはそれ以上、または100個またはそれ以上の連続アミノ酸残基であることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項12】
前記Z4は配列番号13の221〜327位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項11に記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記Z1は配列番号11の94〜98位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記Z1は配列番号11の90〜98位のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項15】
前記Yは配列番号11の109〜113位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項13に記載のポリペプチド。
【請求項16】
前記Yは配列番号11の99〜113位のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項15に記載のポリペプチド。
【請求項17】
前記Z2は配列番号12の111〜114位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項15に記載のポリペプチド。
【請求項18】
前記Z2は配列番号12の111〜116位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項15に記載のポリペプチド。
【請求項19】
前記Yは少なくとも配列番号11の99〜113位のアミノ酸残基部分を含むアミノ酸配列であり、前記pは0であることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項20】
前記Z2は配列番号12の111〜116位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項21】
前記Z3は配列番号13の150〜220位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項22】
前記Z3は配列番号13の115〜220位のアミノ酸残基の71〜106個の連続したアミノ酸残基を含むことを特徴とする、請求項21に記載のポリペプチド。
【請求項23】
前記Z2およびZ3のアミノ酸残基の総数は109個であることを特徴とする、請求項22に記載のポリペプチド。
【請求項24】
前記Z2は配列番号12の111〜116位のアミノ酸残基のアミノ酸配列であり、Z3は配列番号13の118〜220位のアミノ酸残基のアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項23に記載のポリペプチド。
【請求項25】
前記Z1は配列番号14の94〜98位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項26】
前記Z1は配列番号14の90〜98位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項25に記載のポリペプチド。
【請求項27】
前記Yは配列番号14の158〜162位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項25に記載のポリペプチド。
【請求項28】
前記Yは配列番号14の133〜162位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項27に記載のポリペプチド。
【請求項29】
前記Yは配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項28に記載のポリペプチド。
【請求項30】
前記Z2は配列番号14の163〜166位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項29に記載のポリペプチド。
【請求項31】
前記Z2は配列番号14の163〜168位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項27に記載のポリペプチド。
【請求項32】
前記Yは配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であり、pは0であることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項33】
前記Z2は配列番号14の163〜199位のアミノ酸残基の部分を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項32に記載のポリペプチド。
【請求項34】
前記Yは配列番号14の99〜162位のアミノ酸残基の20個の連続したアミノ酸残基またはそれ以上、30個の連続したアミノ酸残基またはそれ以上、40個の連続したアミノ酸残基またはそれ以上、50個の連続したアミノ酸残基またはそれ以上、または60個の連続したアミノ酸残基またはそれ以上のアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項25に記載のポリペプチド。
【請求項35】
前記Z2は配列番号14の163〜170位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項33に記載のポリペプチド。
【請求項36】
前記Z3は配列番号13の121〜220位のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項33に記載のポリペプチド。
【請求項37】
前記Z3は配列番号13の121〜220位のアミノ酸残基の71〜100個の連続したアミノ酸残基を含むアミノ酸配列であることを特徴とする、請求項36に記載のポリペプチド。
【請求項38】
前記Z2およびZ3のアミノ酸残基の総数は108個であることを特徴とする、請求項37に記載のポリペプチド。
【請求項39】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5および配列番号6、配列番号26および配列番号27よりなる群から選ばれたヌクレオチド配列によってコードされることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項40】
前記配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22および配列番号23、配列番号28および配列番号29よりなる群から選ばれたアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項41】
前記ポリペプチドは配列番号18のアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項40に記載のポリペプチド。
【請求項42】
前記ポリペプチドは配列番号22のアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項40に記載のポリペプチド。
【請求項43】
前記ポリペプチドは配列番号23のアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項40に記載のポリペプチド。
【請求項44】
請求項1のポリペプチドおよび生物学的活性を含むキメラポリペプチドにおいて、前記生物学的活性分子は請求項1のポリペプチドのN末端またはC末端に融合し、前記生物学的活性分子はその生物学的活性分子の天然型の循環半減期に比べて増加した循環半減期を示すことを特徴とする、キメラポリペプチド。
【請求項45】
前記生物学的活性分子は可溶性タンパク質であることを特徴とする、請求項44に記載のキメラポリペプチド。
【請求項46】
前記生物学的活性分子はホルモン、サイトカイン、成長因子、共刺激分子、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、成長因子受容体、または短ペプチドであることを特徴とする、請求項45に記載のキメラポリペプチド。
【請求項47】
前記生物学的活性分子はEPOまたはその変異体/断片であることを特徴とする、請求項46に記載のキメラポリペプチド。
【請求項48】
前記生物学的活性分子はp40、TNF受容体またはその変異体/断片であることを特徴とする、請求項46に記載のキメラポリペプチド。
【請求項49】
前記生物学的活性分子はAsn303Gln置換を含むp40変異体であることを特徴とする、請求項48に記載のキメラポリペプチド。
【請求項50】
前記生物学的活性分子はG−CSFまたはその変異体/断片であることを特徴とする、請求項46に記載のキメラポリペプチド。
【請求項51】
前記生物学的活性分子はGM−CSF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、ヒト成長ホルモン、BMP−1(bone morphogenetic protein-1)、インターフェロンα、IL−10、FSH、血液因子VII、CTLA4、IFN−β、PD−1、IL−10R、CXCL−11、TGF−β受容体、TGF−β、IL−17R、GLP−1、BTC、OPG、RANKまたはそれらの変異体/断片であることを特徴とする、請求項46に記載のキメラポリペプチド。
【請求項52】
前記生物学的活性分子は分泌タンパク質であることを特徴とする、請求項44に記載のキメラポリペプチド。
【請求項53】
前記生物学的活性分子は分泌タンパク質の成熟形態(mature form)であることを特徴とする、請求項52に記載のキメラポリペプチド。
【請求項54】
前記生物学的活性分子は抗体のFab領域であることを特徴とする、請求項46に記載のキメラポリペプチド。
【請求項55】
前記ポリペプチドおよび前記生物学的活性分子はリンカーを介して互いに連結されたことを特徴とする、請求項44に記載のキメラポリペプチド。
【請求項56】
前記リンカーはアルブミンリンカーまたは合成リンカーであることを特徴とする、請求項55に記載のキメラポリペプチド。
【請求項57】
前記リンカー分子はアルブミンリンカーであることを特徴とする、請求項56に記載のキメラポリペプチド。
【請求項58】
前記アルブミンリンカーは配列番号25のアミノ酸配列321〜323、318〜325、316〜328、313〜330、311〜333、または306〜338を含むことを特徴とする、請求項57に記載のキメラポリペプチド。
【請求項59】
前記合成リンカーは、GlyおよびSer残基からなる10〜20個のアミノ酸残基のペプチドであることを特徴とする、請求項56に記載のキメラポリペプチド。
【請求項60】
前記Gly−SerリンカーはGGGGSGGGGSGGGSG(配列番号32)であることを特徴とする、請求項59に記載のキメラポリペプチド。
【請求項61】
(i)哺乳類宿主細胞に、ポリペプチドをコードするDNA分子を導入する段階と、(ii)成長培地でポリペプチドが発現できる条件の下で細胞を成長させる段階と、(iii)発現されたポリペプチドを収得する段階とを含む、請求項1によるポリペプチドの生産方法。
【請求項62】
前記哺乳類宿主細胞はCHO、COSまたはBHK細胞であることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
請求項44、48、または49または94のいずれか1項によるキメラポリペプチドの治療学的有効量を投与することを含む、(i)自己免疫疾患症状の軽減、予防または治療、(ii)移植拒否反応の抑制、または(iii)内毒素により誘導されたショックの治療または予防方法。
【請求項64】
前記キメラポリペプチドは静脈内、皮下、経口、口腔、舌下、鼻、非経口、直腸、膣または肺回路を介して投与されることを特徴とする、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
請求項44、48、または49または94のいずれか1項によるキメラポリペプチドの治療学的有効量を投与することを含む、リウマチ性関節炎(rheumatoid arthritis)、強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis)、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease)、多発性硬化症(multiple sclerosis)、乾癬(psoriasis)、アトピー(atopy)、骨関節炎(osteoarthritis)、または骨粗しょう症(osteoporosis)の症状を(i)治療、(ii)予防または(iii)軽減させる方法。
【請求項66】
前記キメラポリペプチドは静脈内、皮下、経口、口腔、舌下、鼻、非経口、直腸、膣または肺回路を介して投与されることを特徴とする、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
骨髄移植後の好中球減少骨髄異常(neutropenia myelosuppression)、急性白血病(acute leukemia)、再生不良性貧血(aplastic anemia)、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome)、重症慢性好中球減少症(severe chronic neutropenias)、または移植のための末梢血液前駆細胞の可動化(mobilization of peripheral blood progenitor cells)の症状を(i)治療、(ii)予防または(iii)軽減させる方法。
【請求項68】
前記キメラポリペプチドは静脈内、皮下、経口、口腔、舌下、鼻、非経口、直腸、膣または肺回路を介して投与されることを特徴とする、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
請求項44または47のキメラポリペプチドの治療学的有効量を投与することを含む、哺乳類のヘマトクリット水準の(i)増加または(ii)維持方法。
【請求項70】
前記キメラポリペプチドは静脈内、皮下、経口、口腔、舌下、鼻、非経口、直腸、膣または肺回路を介して投与されることを特徴とする、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記キメラポリペプチドは皮下または静脈に投与されることを特徴とする、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
請求項44のキメラポリペプチドをコードする単離核酸分子。
【請求項73】
前記キメラポリペプチドは、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号28および配列番号29よりなる群から選ばれるアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項72に記載の核酸分子。
【請求項74】
前記核酸分子は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号26および配列番号27よりなる群から選ばれるいずれか一つであることを特徴とする、請求項73に記載の核酸分子。
【請求項75】
前記核酸分子はシグナル配列またはリーダー配列をさらに含むことを特徴とする、請求項72〜74のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項76】
前記シグナル配列はtPAシグナル配列であることを特徴とする、請求項75に記載の核酸分子。
【請求項77】
請求項72による核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項78】
前記発現ベクターは、pAD11のEPO−hFc−1、pAD11 G−SCF−hFc−1、pAD11 p40NO303Q−hFc−1、pAD11 EPO−hFc−6、pADD11 G−SCF−hFc−6、pAD11 p40N303Q−hFc−6、pAD11 EPO−hFc−5、pAD11 G−CSF−hFc−5、pAD11 p40N303Q−hFc−5およびpAD11 TNFR−hFc−5よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項77に記載の発現ベクター。
【請求項79】
請求項77の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項80】
請求項79の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項81】
必要とする哺乳類に請求項72による核酸を投与する段階を含む、哺乳類に生物学的活性分子を伝達する方法。
【請求項82】
前記生物学的活性分子は免疫グロブリン群に属しないことを特徴とする、請求項44に記載のポリペプチド。
【請求項83】
前記ポリペプチドは、抗体の可変領域であるVHおよびVLが欠如していることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項84】
N末端でC末端方向にヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインよりなるFcドメインを含むポリペプチドにおいて、前記ヒンジ領域は少なくともヒトIgD部位またはヒトIgG1ヒンジ領域のアミノ酸残基部分を含み、前記CH2ドメインは少なくともヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4 CH2ドメインのアミノ酸残基部分を含むが、そのCH2ドメインのN末端4〜37個のアミノ酸残基はヒトIgG2 CH2ドメインまたはヒトIgD CH2ドメインのN末端領域の対応するアミノ酸残基を含み、前記CH3ドメインは少なくともヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 CH3ドメインのアミノ酸残基部分を含む、ポリペプチド。
【請求項85】
前記ヒンジ領域は少なくともヒトIgG1ヒンジ領域のアミノ酸残基部分を含み、前記CH2ドメインは少なくともヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4 CH2ドメインのアミノ酸残基部分を含むが、そのCH2ドメインのN末端の4〜37個のアミノ酸残基はヒトIgG2 CH2ドメインのN末端の対応するアミノ酸残基を含むことを特徴とする、請求項84に記載のポリペプチド。
【請求項86】
前記ヒンジ領域は少なくともヒトIgDヒンジ領域のアミノ酸残基部分を含み、前記CH2ドメインは少なくともヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIGG4 CH2ドメインのアミノ酸残基部分を含むが、そのCH2ドメインのN末端の4〜37個のアミノ酸残基はヒトIgD CH2ドメインのN末端の対応するアミノ酸残基を含むことを特徴とする、請求項84に記載のポリペプチド。
【請求項87】
前記ポリペプチドはCH1ドメインをさらに含み、前記CH1ドメインは少なくともヒトIgG1 CH1ドメインのアミノ酸残基部分を含み、前記CH1ドメインは前記ヒンジ領域のN末端に結合していることを特徴とする、請求項85に記載のポリペプチド。
【請求項88】
前記ポリペプチドはCH1ドメインをさらに含み、前記CH1ドメインは少なくともヒトIgD CH1ドメインのアミノ酸残基部分を含み、前記CH1ドメインは前記ヒンジ領域のN末端に結合していることを特徴とする、請求項86に記載のポリペプチド。
【請求項89】
請求項84のポリペプチドを含むキメラポリペプチドおよび生物学的活性分子において、前記生物学的活性分子は請求項84のポリペプチドのN末端またはC末端に融合し、前記生物学的活性分子は前記生物学的活性分子のその天然型の循環半減期に比べて増加した循環半減期を示す、キメラポリペプチド。
【請求項90】
前記ポリペプチドは配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22および配列番号23、配列番号28および配列番号29よりなる群から選ばれたアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項84に記載のポリペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−531134(P2010−531134A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510223(P2010−510223)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003060
【国際公開番号】WO2008/147143
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(509312651)ポステク アカデミー−インダストリー ファウンデイション (1)
【氏名又は名称原語表記】POSTECH ACADEMY−INDUSTRY FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】Pohang University of Science and Technology(POSTECH),San 31,Hyoja−dong,Pohang,Kyung−buk 790−784,Republic of Korea
【出願人】(506122464)ジェネクシン カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】