説明

免疫刺激性ウイルスRNAオリゴヌクレオチド

一本鎖のマイナス−センスRNAゲノムRNAの3’末端配列に相当する免疫刺激性の配列特異的なRNAオリゴヌクレオチドが提供される。また5’−C/U−U−G/U−U−3’として提供される免疫刺激性4マーRNAモチーフに関連する組成物および方法も提供される。この短いRNAモチーフの組み込みは、CpGオリゴデオキシヌクレオチドを含む、新規および既存のオリゴヌクレオチドにおいて、新規のおよび変更された免疫刺激性特性を付与するのに十分である。また、インビトロおよびインビボにおいて免疫応答を誘導するため、そして被験体においてアレルギー、喘息、感染および癌を処置するための、本発明の本発明の免疫刺激性RNAオリゴヌクレオチドおよびDNA:RNAキメラオリゴヌクレオチドの使用のための方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、免疫刺激性核酸組成物およびその使用の方法に関する。さらに詳細には、本発明は、免疫刺激性ウイルスRNA配列、その改変体および結合体、ならびにそれらの使用に関する
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
免疫応答は、概念的には、先天性免疫および適応免疫に分けられる。先天性免疫は、感染性微生物によって発現される特定のクラスの分子または外来の高分子によって通常共有される病原体関連分子パターン(PAMP)の認識に関与すると考えられる。PAMPは、特定の免疫細胞上でパターン認識レセプター(PRR)によって認識されるものと考えられる。トール様(Toll−like)レセプター(TLR)はPRRの重要なクラスに相当するということが、最近報告されている。
【0003】
TLRは、哺乳動物における先天性免疫において重要な役割を果たす、高度に保存されたポリペプチドのファミリーである。現在、TLR1〜TLR12と命名される12個のファミリーメンバーが特定されている。種々のTLRは、ロイシン−リッチリピートを有する細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質のシグナル伝達ドメインの存在によって構造的に特徴付けられる。種々のTLRの細胞質ドメインは、トール−インターロイキン1レセプター(TIR)ドメインによって特徴付けられる。非特許文献1。TLRによる微生物侵襲の認識は、Drosophilaおよび哺乳動物において進化的に保存されているシグナル伝達カスケードの活性化を誘発する。TIRドメイン含有アダプタータンパク質MyD88は、TLRと会合すること、そしてIL−1レセプター関連キナーゼ(IRAK)および腫瘍壊死因子(TNF)レセプター関連因子6(TRAF6)をTLRに対して補充することが報告されている。TIR−依存性および/またはMyD88−依存性シグナル伝達経路は、免疫活性化および炎症性サイトカインの産生における重要な工程である、NF−κB転写因子およびc−Jun NHターミナルキナーゼ(Jnk)マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)の活性化をもたらすと考えられる。概説については、非特許文献2を参照のこと。
【0004】
多数のTLRについてのリガンドが報告されている。TLR2のリガンドとしては、ペプチドグリカンおよびリポペプチドが挙げられる。非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5。リポポリサッカリド(LPS)はTLR4のリガンドである。非特許文献6;非特許文献7。細菌性フラゲリンは、TLR5のリガンドである。非特許文献8。ペプチドグリカンは、TLR2についてだけでなく、TLR6についてもリガンドであることが報告されている。非特許文献9;非特許文献10。
【0005】
前述に加えて、特定のTLRについての天然のリガンドは、特定のタイプの核酸分子を含むことが報告されている。細菌DNA(CpG DNA)は、TLR9リガンドであることが報告されている。非特許文献11;非特許文献12。さらに最近では、ウイルス由来の二本鎖RNA(dsRNA)およびdsRNAの合成アナログであるポリI:CがTLR3のリガンドであることが報告された。非特許文献13。
【0006】
最近まで、TLR7およびTLR8の天然のリガンドは未知であった。特定の低分子量合成化合物であるイミダゾキノロンイミキモド(R−837)およびレシキモド(R−848)がTLR7およびTLR8のリガンドであることは以前に報告されていた。非特許文献14;非特許文献15。さらに最近では、Lipfordらは、特定のG,U−含有オリゴリボヌクレオチドが免疫刺激性であり、かつTLR7およびTLR8を通じて作用することを発見した。特許文献1。Lipfordらによって記載された免疫刺激性G,U−含有オリゴリボヌクレオチドは、リボソームRNA、トランスファーRNA、メッセンジャーRNA、およびウイルスRNAを含むRNA供給源に由来すると考えられた。
【0007】
Lipfordらによって記載された特定の免疫刺激性RNAは、5’−RURGY−3’を含む塩基配列を有するRNAを含み、ここでRはプリンであり、Uがウラシルであり、Gがグアニンであり、そしてYがピリミジンである。Lipfordらによって記載された特定の免疫刺激性RNAは、GUAGUGU、GUUGB、GUGUG、GUGUUUAC、GUAGGCAC、CUAGGCAC、CUCGGCACまたはGUUGUGGUUGUGGUUGUG(配列番号1)を含むか、またはその配列によって提供される塩基配列を有するRNAを含み、ここでAはアデニンであり、Cがシトシンであり、そしてBがU、GまたはCである。ある実施形態では、Lipfordらによって記載される免疫刺激性RNAは、カチオン性脂質N−[1−(2,3ジオレオイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチルサルフェート(DOTAP)と合わされる。
【特許文献1】国際公開第03/086280号パンフレット
【非特許文献1】Medzhitov Rら、Mol Cell (1998年)2:p.253〜8
【非特許文献2】Aderem Aら、Nature (2000年)406:p.782〜87
【非特許文献3】Yoshimura Aら、J Immunol (1999年)163:p.1〜5
【非特許文献4】Yoshimura Aら、J Immunol (1999年)163:p.1〜5
【非特許文献5】Aliprantis AOら、Science (1999年)285:p.736〜9
【非特許文献6】Poltorak Aら、Science (1998年)282:p.2085〜8
【非特許文献7】Hoshino Kら、J Immunol (1999年)162:p.3749〜52
【非特許文献8】Hayashi Fら、Nature (2001年)410:p.1099〜1103
【非特許文献9】Ozinskyら、Proc Natl Acad Sci USA (2000年)97:p.13766〜71
【非特許文献10】Takeuchi Oら、Int Immunol (2001年)13:p.933〜40
【非特許文献11】Hemmi Hら、Nature (2000年)408:p.740〜5
【非特許文献12】Bauer Sら、Proc Natl Acad Sci USA (2001年)98,p.9237〜42
【非特許文献13】Alexopoulou Lら、Nature (2001年)413:p.732〜8
【非特許文献14】Hemmi Hら、Nat Immunol (2002年)3:p.196〜200
【非特許文献15】Jurk Mら、Nat Immunol (2002年)3:p.499
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、比較的高度に保存され、かつ一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムの3’末端でまたはその近位で見出され得る特定の短いRNA配列が免疫刺激性であるという本発明者らによる驚くべき発見に一部基づく。これらの配列は特定の接触ポイントを含み、これが、免疫細胞上で発現された特定のトール様レセプター(TLR)を介するシグナル伝達を刺激することを可能にすると考えられる。関与するTLRは、TLR8およびTLR7のうち少なくとも1つを含むと考えられる。TLR3はまた、これらの核酸分子についてのレセプターとして作用し得るが、本発明の免疫刺激性核酸分子の重要な特徴は塩基配列である。このように、配列非特異的な二本鎖RNAがTLR3についてのリガンドであることが報告されているが、本発明は、配列特異的な一本鎖RNAおよび関連の組成物の免疫刺激性の性質を開示する。本発明の免疫刺激性組成物は、ヒト末梢血単核球細胞(PBMC)およびマウス白血病単球マクロファージ(RAW 264)細胞において、1型インターフェロン、インターロイキン−12(IL−12)、インターロイキン−6(IL−6)、および腫瘍壊死因子α(TNF−α)を含む多数のサイトカインの強力な誘発物質として作用することが見出されている。
【0009】
本発明はまた、配列5’−C/U−U−G/U−U−3’によって提供される免疫刺激性の4マーのRNAモチーフの本発明者らによる驚くべき発見に一部は基づく。ちょうど記載された一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムの3’末端の多くで見出されることに加えて、このモチーフは、このオリゴヌクレオチドに対して新規な免疫刺激性特性を付与するように別のオリゴヌクレオチドに接合され得ることが発見されている。例えば、このモチーフは、非免疫刺激性のオリゴヌクレオチドを、多数のサイトカインおよび免疫活性化の他の徴候を誘導し得るオリゴヌクレオチドに変換するのに十分である。さらに、このモチーフは、DNAの状況におかれても、またはRNAの状況におかれてもよい。
【0010】
本発明は概して、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスのゲノムRNAの3’末端に存在する特定の高度に保存された核酸配列に関する免疫刺激性組成物、およびその使用のための方法を提供する。この組成物は、インビトロまたはインビボにおいて免疫応答を刺激するために有用であり、そしてワクチン接種;アレルギー、喘息、感染および癌を含む特定の条件を処置すること;または他の免疫調節性組成物のスクリーニングという目的のために、単独で、または抗原もしくは他の因子と組み合わせて用いられてもよい。
【0011】
1局面では、本発明は、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムの3’末端によって提供される配列を含む10〜30ヌクレオチド長の単離された核酸分子であって、安定化された骨格を有する核酸分子を含む免疫刺激性組成物を提供する。この一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムがセグメント化されたゲノムである場合、このゲノムの3’末端によって提供される配列は、このセグメント化されたゲノムの任意のセグメントの3’末端によって提供される配列であってもよい。以下にさらに詳細に記載されるように、安定化された骨格を有する核酸とは、ホスホジエステル骨格を有する核酸に比較してヌクレアーゼ分解に対して比較的安定である核酸分子をいう。1実施形態では、この核酸分子は、10〜20ヌクレオチド長である。1実施形態では、この核酸分子は、10ヌクレオチド長である。
【0012】
1実施形態では、この核酸分子は、配列モチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を含み、Uがウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、C/Uがシトシン(C)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、かつG/Uがグアニン(G)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドである。本発明のこの局面および他の局面による種々の具体的な実施形態では、この配列モチーフは、5’−CUGU−3’、5’−UUGU−3’、5’−CUUU−3’または5’−UUUU−3’である。本発明のこの局面および他の局面による1実施形態では、この核酸分子は、配列5’−GUUGU−3’を排除する。
【0013】
1実施形態では、この安定化された骨格は、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。例えば、1実施形態では、この安定化された骨格は、ホスホロチオエート骨格であり、すなわち、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合のみを含む。特定の実施形態では、この安定化された骨格は、少なくとも1つのピロリン酸ヌクレオシド間結合を含むか、またはこの安定化された骨格はピロリン酸骨格であり、すなわち、ピロリン酸ヌクレオシド間結合のみを含む。
【0014】
1実施形態では、この単離された核酸分子はRNAであるが、1実施形態では、この核酸分子は、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドを含む。
【0015】
本発明の免疫刺激性組成物は、少なくとも1つのトール様レセプター(TLR)を介してシグナル伝達すると考えられる。1実施形態では、この核酸分子は、TLRアゴニストである。1実施形態では、この核酸分子は、TLR8のアゴニストである。1実施形態では、この核酸分子は、TLR7のアゴニストである。1実施形態では、この核酸分子は、TLR3のアゴニストである。
【0016】
特定の実施形態では、上記の一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスは、モノネガウイルス目(order Mononegavirales)に属し、かつセグメント化されるゲノムを有しても、またはセグメント化されないゲノムを有してもよい。1実施形態では、この一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスは、オルトミクソウイルスである。1実施形態では、この一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスは、パラミクソウイルスである。1実施形態では、この一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスは、ラブドウイルスである。さらに別の実施形態では、この一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスはフィロウイルスである。1実施形態では、この一本鎖のマイナス−センスRNAは、ボルナウイルスである。1実施形態では、この一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスは、インフルエンザAウイルスである。1実施形態では、この一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスは、インフルエンザBウイルスである。
【0017】
本発明の免疫刺激性組成物は、必要に応じて、上記核酸の免疫刺激性機能を増強し得るかそうでなければ改変し得る別の因子と会合されてもよい。1実施形態では、この核酸分子は、カチオン性脂質と会合される。
【0018】
あるいは、またはさらに、本発明の免疫刺激性組成物は必要に応じて、抗原を含んでもよい。
【0019】
1局面では、本発明は、単離された4〜30ヌクレオチド長の核酸分子であって、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムの3’末端によって与えられた配列を含み、この核酸分子が安定化された骨格を有する核酸分子と、抗原とを含む、免疫刺激性組成物を提供する。
【0020】
1局面では、本発明は、
5’−N−C/U−U−G/U−U−N−3’
を含む、7〜40ヌクレオチド長の単離されたオリゴヌクレオチド(ORN)を含む免疫刺激性組成物であって、Uがウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、C/Uがシトシン(C)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、G/Uがグアニン(G)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、NおよびNが独立して、0〜10ヌクレオチド長のRNA配列であり、かつこのオリゴリボヌクレオチドが安定化された骨格を有する、免疫刺激性組成物を提供する。
【0021】
1局面では、本発明は、
5’−dX−N−C/U−U−G/U−U−N−dX−3’
を含む、7〜40ヌクレオチド長のキメラDNA:RNAオリゴヌクレオチドを含む免疫刺激性組成物であって、Uがウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、C/Uがシトシン(C)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、G/Uがグアニン(G)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、dXおよびdXが独立して、0〜6ヌクレオチド長のDNA配列であり、dXおよびdXの少なくとも1つが少なくとも1ヌクレオチド長であり、かつNおよびNが独立して、0〜10ヌクレオチド長のRNA配列である、免疫刺激性組成物を提供する。本発明のこの局面に従う1実施形態では、NおよびNが両方とも0ヌクレオチド長である。また本発明のこの局面によれば、1実施形態では、dXは0ヌクレオチド長であり、そして1実施形態では、dXが0ヌクレオチド長である。本発明のこの局面による種々の実施形態では、dX、dXまたはdXおよびdXの両方がCpGモチーフを含んでもよい。このCpGモチーフは、中央の5’−シトシン−グアノシン−3’(CG)ジヌクレオチドを含むDNA配列を含み、このCGジヌクレオチドのCは、メチル化されておらず、そしてCGジヌクレオチドは、グアノシン−チミジン(GT)、グアノシン−グアノシン(GG)、グアノシン−アデノシン(GA)、アデノシン−チミジン(AT)、およびアデノシン−アデノシン(AA)から好ましくは選択される5’ジヌクレオチドに、そしてチミジン−チミジン(TT)およびシトシン−チミジン(CT)から好ましくは選択される3’ジヌクレオチドに隣接する。
【0022】
別の局面では、本発明は、参照免疫刺激性プロフィールを有する参照オリゴヌクレオチドの免疫刺激性プロフィールを変更するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、RNAモチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を含むように3〜40ヌクレオチド長の参照オリゴヌクレオチドを変更させる工程を包含し、ここでUがウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、C/Uがシトシン(C)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、G/Uがグアニン(G)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、この参照オリゴヌクレオチドは、免疫刺激性RNAモチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を含まず、この変更の結果として、この参照免疫刺激性プロフィールとは別個の変更された免疫刺激性プロフィールを有する変更されたオリゴヌクレオチドが生じる。1実施形態におけるオリゴヌクレオチドの免疫刺激性プロフィールとは、このオリゴヌクレオチドが、TLR9、TLR8、TLR7およびTLR3から選択される1つ以上のTLRによるシグナル伝達を刺激する能力をいう。1実施形態では、オリゴヌクレオチドの免疫刺激性プロフィールとは、このオリゴヌクレオチドが免疫応答に関連する1つ以上のサイトカイン、ケモカインまたは免疫グロブリンのクラスの分泌を刺激する能力をいう。1実施形態では、オリゴヌクレオチドの免疫刺激性プロフィールとは、このオリゴヌクレオチドが、免疫系における1つの細胞または細胞集団において免疫活性化に関連する同時刺激分子を含む1つ以上の細胞表面マーカーの発現を刺激する能力をいう。
【0023】
1局面では、本発明は、参照免疫刺激性プロフィールを有するCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)の免疫刺激性プロフィールを変更するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、CpG ODNの少なくとも1つのdC、CpG ODNの少なくとも1つのdT、またはCpG ODNの少なくとも1つのdC、およびCpG ODNの少なくとも1つのdTをUで置換する工程を包含し、ここでUはウラシルオキシリボヌクレオシドであり、この置換の結果として、この参照免疫刺激性プロフィールとは別個の変更された免疫刺激性プロフィールを有する変更されたオリゴヌクレオチドが生じる。本発明のこの局面による変更されたオリゴヌクレオチドは常に少なくとも1つのUを含む。本発明のこの局面による種々の実施形態では、この変更されたオリゴヌクレオチドは、部分的にRNAであってもまたは完全にRNAであってもよい。
【0024】
本発明は、1局面では、単離された免疫刺激性オリゴリボヌクレオチドであって、その配列が、5’−UUGUUGUUUUGUUGUUUUGUUGUU−3’(配列番号286)として提供される、免疫刺激性オリゴリボヌクレオチドを含む組成物を提供する。
【0025】
本発明は、1局面では、単離された免疫刺激性オリゴリボヌクレオチドであって、その配列が、5’−TUGTUGTTTTGTUGTTTTGTUGTT−3’(配列番号287)として提供され、その各々のTがリボヌクレオチドの5−メチルウリジンである、免疫刺激性オリゴリボヌクレオチドを含む組成物を提供する。
【0026】
別の局面では、本発明は、免疫応答を刺激するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、免疫系の細胞と、本発明の組成物の有効量とを接触させて免疫応答を刺激する工程を包含する。1実施形態では、免疫応答は、Th1様免疫応答である。1実施形態では、この方法は、免疫系の細胞と、本発明の組成物の有効量とを接触させて、1型インターフェロン、例えば、インターフェロンα(IFN−α)またはインターフェロンβ(IFN−β)の発現を刺激する工程を包含する。1実施形態では、この方法は、免疫系の細胞と、本発明の組成物の有効量とを接触させて、IL−12の発現を刺激する工程を包含する。
【0027】
別の局面では、本発明は、TLRシグナル伝達を刺激するための方法を提供する。本発明のこの局面によるこの方法は、TLRを発現する細胞と、本発明の組成物の有効量とを接触させてTLRによるシグナル伝達を刺激する工程を包含する。1実施形態では、このTLRはTLR9である。1実施形態では、TLRはTLR8である。1実施形態では、TLRはTLR7である。1実施形態では、TLRはTLR3である。
【0028】
本発明はまた、1局面では、被験体における免疫応答を刺激するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、本発明の組成物の有効量を被験体に投与して、この被験体における免疫応答を刺激する工程を包含する。1実施形態では、この被験体における免疫応答はTh1様免疫応答である。1実施形態では、この方法は、本発明の組成物の有効量を被験体に投与して、この被験体における1型インターフェロンの発現を刺激する工程を包含する。1実施形態では、この方法は、本発明の組成物の有効量を被験体に投与して、この被験体におけるIL−12の発現を刺激する工程を包含する。
【0029】
1局面によれば、本発明は、被験体における抗原特異的免疫応答を刺激するための方法を提供する。本発明のこの局面によるこの方法は、有効量の本発明の組成物および抗原を被験体に投与して、この被験体における抗原特異的免疫応答を刺激する工程を包含する。1実施形態では、この抗原は、アレルゲンであり、そしてこの抗原特異的免疫応答は被験体におけるアレルゲン特異的免疫応答である。1実施形態では、この抗原はウイルス抗原であり、そしてこの抗原特異的免疫応答は、この被験体におけるウイルス抗原特異的免疫応答である。1実施形態では、この抗原は細菌抗原であり、そしてこの抗原特異的免疫応答は、この被験体における細菌抗原特異的免疫応答である。1実施形態では、この抗原は癌抗原であり、そしてこの抗原特異的免疫応答は、この被験体における癌抗原特異的免疫応答である。
【0030】
本発明は1局面では、被験体におけるアレルギー性の状態を処置するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、本発明の組成物の有効量を、アレルギー性状態を有するかまたは発症する危険にある被験体に投与して、このアレルギー性の状態を処置する工程を包含する。
【0031】
本発明は1局面では、被験体における喘息を処置するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、本発明の組成物の有効量を、喘息を有するかまたは発症する危険にある被験体に投与して、この喘息を処置する工程を包含する。
【0032】
本発明は1局面では、被験体における感染を処置するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、本発明の組成物の有効量を、感染を有するかまたは発症する危険にある被験体に投与して、この感染を処置する工程を包含する。1実施形態では、この感染はウイルス感染である。1実施形態では、この感染は細菌感染である。
【0033】
本発明は1局面では、被験体において癌を処置するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、本発明の組成物の有効量を、癌を有するかまたは発症する危険にある被験体に投与して、この癌を処置する工程を包含する。
【0034】
1局面では、本発明は、TLRのアンタゴニストについてスクリーニングするための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、TLRを発現する参照細胞と、本発明の組成物の有効量とを、TLRの候補アンタゴニストの非存在下で接触させて、TLRによるシグナル伝達の参照量を測定する工程と;TLRを発現する試験細胞と、この組成物の有効量とを、TLRの候補アンタゴニストの存在下で接触させて、TLRによるシグナル伝達の試験量を測定する工程と;このシグナル伝達の参照量がこのシグナル伝達の試験量を超える場合、TLRのこの候補アンタゴニストがTLRのアンタゴニストであることを確認する工程、を包含する。1実施形態では、TLRはTLR9である。1実施形態では、TLRはTLR8である。1実施形態では、TLRはTLR7である。1実施形態ではTLRはTLR3である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書において用いる場合、「アレルゲン」という用語は、アレルギー性反応またはアレルギー性状態を惹起し得る抗原をいう。
【0036】
本明細書において用いる場合、「アレルギー性状態」という用語は、ある物質(アレルゲン)に対する後天性の過感受性をいう。アレルギー性の状態としては、湿疹、アレルギー性鼻炎または鼻感冒、枯草熱、気管支喘息、蕁麻疹(じんま疹)および食物アレルギー、ならびに他のアトピー性状態が挙げられる。
【0037】
本明細書において用いる場合、「抗原」という用語は、T細胞抗原レセプターまたはB細胞抗原レセプターによって認識され得る任意の分子を指す。この用語は広義には、宿主免疫系によって外来性として認識される任意のタイプの分子を包含する。抗原としては一般には、限定はしないが、細胞、細胞抽出物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ポリサッカリド、ポリサッカリド結合体、ポリサッカリドおよび他の分子のペプチド模倣物および非ペプチド模倣物、低分子、脂質、糖脂質、ポリサッカリド、炭化水素、ウイルスおよびウイルス抽出物、ならびに寄生生物のような多細胞生物、ならびにアレルゲンが挙げられる。タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドである抗原に関して、このような抗原は、このような抗原をコードする核酸分子を包含し得る。抗原としてはさらに具体的には、限定はしないが、癌細胞および癌細胞中でまたは癌細胞上で発現された分子を含む癌抗原;微生物または微生物中でまたは微生物上で発現された分子を含む微生物抗原;ならびにアレルゲンが挙げられる。
【0038】
本明細書において用いる場合、「喘息」という用語は、炎症によって特徴付けられる呼吸器系の障害、気道の狭窄、および吸入された因子に対する機能の反応性の増大をいう。喘息は高頻度に、ただし排他的ではないが、アトピー性の症候群またはアレルギー性の症状に関連する。
【0039】
核酸分子に関して本明細書において用いる場合、「骨格」という用語は、天然に存在する核酸の重合体の糖リン酸骨格、ならびにその修飾された対応物および模倣物であって、ここに特定の核酸分子の塩基配列を規定する核酸塩基が共有結合されるものを指す。
【0040】
本明細書において用いる場合、「癌」という用語は、外部シグナルによる調節なしに増殖する異常な細胞の集団を指す。2つのタイプの癌または新生物、良性および悪性が存在する。ほぼ全ての良性の癌は、被膜で覆われており、非侵襲性である。対照的に、悪性の癌はほとんど、被膜で覆われることはないが、浸潤性の破壊的な増殖によって隣接する組織に侵入する。この浸潤性の増殖は、もとの癌と連続しない部位に移入する癌細胞を伴い得る。
【0041】
本明細書において用いる場合、「免疫系の細胞」という用語は、先天性の免疫応答または適応免疫応答に関与し得る任意の骨髄由来細胞を指す。免疫系の細胞としては、限定はしないが、樹状細胞(DC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、マクロファージ、顆粒球、Bリンパ球、形質細胞、Tリンパ球およびその前駆細胞を挙げることができる。
【0042】
本明細書において用いる場合、「有効量」という用語は、所望の生物学的効果をもたらすのに必須であるかまたは十分である物質の量を指す。有効量は、限定する必要はないが、単回投与で投与される量であり得る。
【0043】
本明細書において用いる場合、「免疫応答」という用語は、増殖するため、エフェクター免疫機能を行うため、または免疫応答に関与する遺伝子産物を産生するために、免疫細胞の活性化を反映する先天性免疫応答または適応免疫応答の任意の局面を指す。免疫応答に関与する遺伝子産物としては、分泌された産物(例えば、抗体、サイトカインおよびケモカイン)、ならびに免疫機能の特徴である細胞内および細胞表面の分子(例えば、特定の表面抗原分類(cluster of differentiation)(CD)抗原、転写因子、および遺伝子転写物)を挙げることができる。「免疫応答」という用語は、単独の細胞に適用されても、または細胞の集団に適用されてもよい。
【0044】
本明細書において用いる場合、「感染」という用語は、宿主における感染性微生物または感染性因子の異常な存在をいう。感染性微生物での感染とは具体的には、細菌、ウイルス、真菌または寄生生物の感染、およびその任意の組み合わせを含む。
【0045】
本明細書において用いる場合、ある化合物を記載するために用いられるときの「単離された」という用語は、この化合物が天然に存在する天然の環境から取り出されたことを意味するものとする。1実施形態では、単離されたとは、ある細胞の非核酸分子から取り出されたことを意味する。
【0046】
本明細書において用いる場合、「核酸分子」という用語は、複数のヌクレオチドを含む任意の分子(すなわち、置換されたピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミン(T)またはウラシル(U))または置換されたプリン(例えば、アデニン(A)またはグアニン(G))のいずれかである、リン酸基に対して、そして交換可能な有機塩基に対して結合された糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)を含む分子)を指す。以下にさらに記載されるとおり、塩基は、C、T、U、CおよびG、ならびにその改変体を含む。本明細書において記載されるように、この用語は、リボヌクレオチド(オリゴリボヌクレオチド(ORN)を含む)、およびデオキシリボヌクレオチド(オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)を含む)を指す。この用語はまた、ポリヌクレオシド(すなわち、ポリヌクレオチドからリン酸塩がない)およびポリマーを含む任意の他の有機塩基を含むものとする。核酸分子は、既存の核酸供給源(例えば、ゲノムまたはcDNA)に由来してもよいが、好ましくは合成である(例えば、オリゴヌクレオチド合成によって生成される)。
【0047】
本明細書において用いる場合、「薬学的に受容可能なキャリア」という用語は、1つ以上の適合性の固体もしくは液体の充填剤、希釈剤またはカプセル化物質であって、ヒトまたは他の脊椎動物に対する投与に適切であるものをいう。
【0048】
本明細書において用いる場合、「ホスホロチオエート骨格」という用語は、核酸分子の安定化された糖リン酸骨格であって、非架橋リン酸酸素が、少なくとも1つのヌクレオシド間結合でイオウによって置き換えられる骨格を指す。1実施形態では、非架橋リン酸酸素は、各々およびあらゆるヌクレオシド間結合でイオウによって置換される。
【0049】
本明細書において用いる場合、「一本鎖のマイナス−センスRNAウイルス」という用語は、モノネガウイルス目に属しており、脊椎動物宿主を有する任意のウイルスをいう。1実施形態では、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスは、5’末端および3’末端を有する、すなわち環状ではないゲノムRNAを有する。
【0050】
本明細書において用いる場合、「安定化された骨格」という用語は、ホスホジエステル骨格に比較してヌクレアーゼ分解に対して比較的安定である核酸分子の骨格をいう。
【0051】
本明細書において用いる場合、「被験体」という用語は、ヒトまたは非ヒト脊椎動物を指す。非ヒト脊椎動物としては、家畜、ペットおよび実験室動物が挙げられる。非ヒト被験体としてはまた具体的には、非ヒト霊長類およびげっ歯類が挙げられる。非ヒト被験体としてはまた具体的には、限定はしないが、ニワトリ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ミンク、ウサギおよび魚が挙げられる。
【0052】
本明細書において用いる場合、ある条件を「発症の危険のある被験体」という用語は、この条件を生じるかもしくはこの条件に関連することが公知である因子に対する既知のもしくは疑われる曝露、またはこの条件を発症することが公知のもしくは疑われる素因(例えば、この条件の家族歴についての遺伝子マーカー)を伴う被験体を指す。
【0053】
本明細書において用いる場合、「Th1様免疫応答」という用語は、1型インターフェロン、インターフェロンγ(IFN−γ)、IFN−γ−誘導性の10kDaのタンパク質(IP−10)、インターロイキン12(IL−12)、IgG2a(マウスで)、IgG1(ヒトで)の産生によって特徴付けられる任意の適応免疫応答またはその局面、または細胞媒介性免疫、またはその任意の組み合わせをいう。Th1様免疫応答としては、限定はしないが、Th1免疫応答が挙げられる。
【0054】
本明細書において用いる場合、「Th2様免疫応答」という用語は、インターロイキン4(IL−4)、IgE、IgG1(マウスで)、IgG2(ヒトで)の産生によって特徴付けられる任意の適応免疫応答もしくはその局面、または体液性免疫、またはその任意の組み合わせをいう。Th2様免疫応答としては、限定はしないが、Th2免疫応答が挙げられる。
【0055】
本明細書において用いる場合、「TLRシグナル伝達」という用語は、TLRを通じたシグナル伝達に関連する細胞内シグナル伝達の任意の局面をいう。
【0056】
本明細書において用いる場合、「TLRアゴニスト」および等しく、「TLRのアゴニスト」という用語は、特定のTLRによるシグナル伝達を誘導し得る任意の因子をいう。TLRシグナル伝達アゴニストとは詳細には、限定はしないが、本発明の免疫刺激性組成物を包含する。
【0057】
本明細書において用いる場合、疾患もしくは状態に関して用いる「処置する」という用語は、このような疾患もしくは状態を邪魔して、これによってこの疾患もしくは状態を防ぐか、またはその発症を遅らせるか、その進行を防ぐか、遅らせるかもしくは妨害するか、または排除することを意味するものとする。
【0058】
本明細書において用いる場合、「1型インターフェロン」という用語は、インターフェロンα(IFN−α)またはインターフェロンβ(IFN−β)の任意のアイソフォームをいう。
【0059】
(特定の実施形態)
本発明は、特定のRNAウイルスのゲノムRNAの概して高度に保存された領域に存在する特定の核酸配列が高度に免疫刺激性であるという、本発明者らによる発見に一部関する。さらに詳細には、一本鎖マイナス−センスRNAウイルスゲノムのRNA分子の3’末端で見出される配列が免疫刺激性であるということが本発明者らによって発見されている。さらに、ちょうど記載された配列を保有する本発明の核酸分子が、特定のTLRによるシグナル伝達のためのアゴニストとして作用するということが本発明者らによって現在発見されている。本発明の核酸分子は、Th1様免疫応答の強力な誘発物質であり、従って、Th1様免疫応答に向かう免疫応答を指向するために有用である。このような免疫のゆがみは、Th2様免疫応答を減少させるかまたは再指向させることが所望される状況で、ならびにTh1様免疫応答を誘発または増強することが所望される状況で有用である。Th2様免疫応答を減少させるかまたは再指向することが所望され得る状態としては、限定はしないが、アレルギーおよび喘息を挙げることができる。Th1様免疫応答を誘導または増強することが所望され得る状態としては、限定はしないが、ワクチン接種、種々の感染の処置、癌の処置、および抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)の増強を挙げることができる。
【0060】
本発明の免疫刺激性組成物は、モノネガウイルス目に属するウイルスのゲノムRNAにおいて見出される配列を有する比較的短い核酸分子を含む。このようなウイルスは一般に、マイナス−センス(ときに、(−)、ネガティブ鎖、ネガティブセンスまたはアンチセンスと呼ばれる)である一本鎖のRNA分子から構成されるセグメント化されるかまたはセグメント化されていないゲノムを有するウイルスを包含する。RNA依存性RNAポリメラーゼは、ゲノムRNAを転写して、相補的な、ポジティブ鎖RNA分子を作成し、これが次に、さらにマイナス−センスのゲノムRNAを作成するため、そしてウイルスのポリペプチド遺伝子産物をコードするためのテンプレートとして機能する。この群のいくつかのウイルスは、環状のゲノムRNAを有し、そして他のウイルスは直線(非環状)のゲノムRNAを有する。各々の非環状ゲノムRNA分子は、5’末端および3’末端を有する。これらの5’末端および3’末端は、高度に保存されて、しばしば部分的にまたは正確に相補的である配列を有する。この保存は、ファミリー内でおよびファミリーにまたがっての両方で、特にファミリー内で存在する。これらの同じ5’末端および3’末端は、ウイルス複製に重要であると考えられるが、それらは一般に非コードであり、すなわち、ウイルスポリペプチド遺伝子産物には翻訳されない。
【0061】
モノネガウイルス目は詳細には、オルトミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、フィロウイルス科(Filoviridae)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、ボルナウイルス科(Bornaviridae)、ブニヤウイルス科(Bunyaviridae)、およびアレナウイルス科(Arenaviridae)のウイルスファミリーを包含する。オルトミクソウイルス科のファミリーとしては、限定はしないが、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、インフルエンザCウイルス、トゴトウイルス、ドーリウイルスおよび感染性サケ貧血ウイルスが挙げられる。パラミクソウイルス科のファミリーとしては、限定はしないが、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、センダイウイルス、ニューカッスル病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹(はしか)ウイルス、ヘンドラウイルス、トリニューモウイルスおよびイヌジステンパーウイルスが挙げられる。フィロウイルス科のファミリーとしては、限定はしないが、マールブルグウイルスおよびエボラウイルスが挙げられる。ラブドウイルス科のファミリーとしては、限定はしないが、狂犬病ウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、モコラウイルス、ドウベンハーゲウイルス、ヨーロッパコウモリウイルス、サケ伝染性造血器壊死症ウイルス、ウイルス性出血性敗血症ウイルス、コイ春ウイルス血症およびライギョラブドウイルスが挙げられる。ボルナウイルス科のファミリーとしては、限定はしないが、ボルナ病ウイルスが挙げられる。ブニヤウイルス科のファミリーとしては、限定はしないが、ブニヤンベラ(Bynyamwera)ウイルス、ハンタンウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルス、リフトバレー熱ウイルス、およびスナバエ熱ウイルスが挙げられる。アレナウイルス科のファミリーとしては、限定はしないが、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、ラッサ熱ウイルス、デルタ(D型肝炎)ウイルス、および南アメリカ出血熱ウイルスが挙げられる。
【0062】
インフルエンザA型ウイルスは、人、鳥類、ブタ、ウマ、オットセイ(アザラシ)、クジラおよび他の動物に感染し得るが、野生の鳥類がこれらのウイルスの天然の宿主である。インフルエンザA型ウイルスは、ウイルスの表面上の2つのタンパク質に基づいてサブタイプに分けられる。これらのタンパク質は、ヘマグルチニン(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれる。15個の異なるHAサブタイプおよび9つの異なるNAサブタイプが存在する。インフルエンザAウイルスのサブタイプは、それらのHAおよびNAの表面タンパク質に従って命名され、そしてHAおよびNAのタンパク質の多くの異なる組み合わせが可能である。例えば、「H7N2ウイルス」は、HA7タンパク質およびNA2タンパク質を有するインフルエンザAサブタイプを指名する。同様に「H5N1」ウイルスは、HA5タンパク質およびNA1タンパク質を有する。いくつかのインフルエンザAサブタイプのみ(すなわち、H1N1、H1N2、およびH3N2)が、現在一般に人々の間で循環している。他のサブタイプは、他の動物種において最も一般的に見いだされる。例えば、H7N7およびH3N8ウイルスは、ウマの病気を起こす。
【0063】
ヒトは、インフルエンザA型、B型およびC型に感染され得る。しかし、人々に通常感染するインフルエンザAウイルスのサブタイプは、インフルエンザAのサブタイプH1N1、H1N2、およびH3N2しかない。1957〜1968年に、H2N2ウイルスはまた、人々の間で流行したが、現在は流行していない。
【0064】
種々のタイプのインフルエンザウイルスのなかでも、インフルエンザAウイルスのみが鳥類に感染する。野生の鳥類は、インフルエンザAウイルスの全てのサブタイプについての天然の宿主である。代表的には、野生の鳥類は、インフルエンザウイルスに感染した場合でも病気にはならない。しかし、シチメンチョウおよびニワトリのような家禽は、重篤な病気になり、トリのインフルエンザで死ぬことがあり、そしていくつかのトリのウイルスはまた、野性の鳥類で重篤な疾患および死亡を生じ得る。
【0065】
3’末端の20マーの配列の例としては、以下が挙げられ、ここでは5’から3’の読み取りを左から右に示している:
【0066】
【数1】

概して、最も高度に保存されている配列は、3’末端の最も近くに位置するようである。すなわち、一般には3’末端の1ダースのヌクレオチドは、3’の最後から2段階目の1ダースのヌクレオチドよりも高度に保存されている。全てではないがこれらの代表的な配列のうちいくつかは5’−CpG−3’ジヌクレオチドを含むことも注目されるべきである。
【0067】
以下にかなり詳細に記載されるように、本発明の免疫刺激性の一本鎖RNA配列の多くが以下の4マーの配列モチーフ:
5’−C/U−U−G/U−U−3’
であって、C/UはCまたはUを示し、そしてG/UはGまたはUを示すモチーフの存在によって特徴付けられ、このモチーフは代表的には、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムまたはそのセグメントの3’末端の15程度のヌクレオチド内で見出され得ることが、本発明によって発見されている。従ってこの4マーの配列モチーフは以下の4マーの配列:CUGU、UUGU、CUUU、およびUUUUを含む。特定の理論にも機構にも束縛されることは意味しないが、この4マーの配列モチーフは、レセプターTLR8、TLR7、および/またはTLR3との相互作用についての接触ポイントを含むと本発明者らは信じている。また特定の理論にも機構にも束縛されることは意味しないが、このモチーフの1位置は、CまたはUであり、決定的にはこの塩基上に2つの酸素を含み;このモチーフの2位置は、決定的にUであり;このモチーフの3位置は、GまたはUであり、決定的にはこの塩基上にそれぞれ4つの酸素または6つの酸素を含み;そしてこのモチーフの4位置は、決定的にUである。この4マーの配列モチーフは、非セグメント化ウイルスゲノムについての報告された転写開始位置、すなわち5’−CUGUU−3’と全く同様であることが注目される。
【0068】
本発明は1局面では、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムの3’末端によって得られる配列を含む10〜30ヌクレオチド長の単離された核酸分子であって、安定化された骨格を有する核酸分子を含む免疫刺激性組成物を提供する。1実施形態では一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムの3’末端とは、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムであってこのゲノムがセグメント化されていないゲノムの3’末端を指す。別の実施形態における一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムの3’末端とは、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムのセグメントであってこのゲノムがセグメント化されているゲノムの3’末端を指す。本発明のこの局面によれば、従って免疫刺激性組成物は、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムまたはその直鎖状セグメントの最も3’側の少なくとも10個のヌクレオチドを含む。1実施形態では、この免疫刺激性組成物は、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムまたはその直鎖状セグメントの10個の最も3’側のヌクレオチドを含む。1実施形態では、この免疫刺激性組成物は、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムまたはその直鎖状セグメントの11個の最も3’側のヌクレオチドを含む。1実施形態では、この免疫刺激性組成物は、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムまたはその直鎖状セグメントの12個の最も3’側のヌクレオチドを含む。同様の方式で、特定の具体的な実施形態では、この免疫刺激性組成物は、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムまたはその直鎖状セグメントの13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30個の最も3’側のヌクレオチドを含む。
【0069】
以下は、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムのRNAの3’末端に存在する固有の10〜30マーのRNA配列の列挙である。2つ以上の配列が特定のアクセッション番号と関連して列挙される場合、短い方の配列は、この群における最長の配列の5’切断である。
【0070】
(ウイルス;ssRNA ネガティブ鎖のウイルス;モノネガウイルス目;フィロウイルス科)
(フィロウイルス科;マールブルグ様ウイルス)
GenBankアクセッション番号Z12132
vp35、vp40、vp30、vp24、糖タンパク質、核タンパク質、ポリメラーゼについてのマールブルグウイルスの遺伝子、
長さ=19104
【0071】
【数2】

【0072】
【数3】

【0073】
【数4】

【0074】
【数5】

【0075】
【数6】

【0076】
【数7】

【0077】
【数8】

【0078】
【数9】

【0079】
【数10】

【0080】
【数11】

【0081】
【数12】

【0082】
【数13】

【0083】
【数14】

【0084】
【数15】

【0085】
【数16】

【0086】
【数17】

【0087】
【数18】

【0088】
【数19】

【0089】
【数20】

7ヌクレオチド長程度の短さであって、かつ免疫刺激性の4マーのRNAモチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を含むオリゴヌクレオチドは免疫刺激性であるということが本発明者らによって見出されてきた。この配列モチーフは、ちょうど上記のウイルス配列の多くに存在する。従って、1局面では、本発明は、7ヌクレオチド長程度の短さであって、かつ免疫刺激性の4マーのRNAモチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を含む免疫刺激性オリゴヌクレオチドを提供する。この4マーのRNAモチーフ外の配列は任意の配列であってもよい。1実施形態では、このオリゴヌクレオチドは、配列5’−GUUGU−3’を含まない。この4マーのRNAモチーフ以外の配列は、RNAであっても、DNAであっても、またはRNAおよびDNAの混合物であってもよい。このモチーフ以外の配列は、1つ以上の修飾されたリボヌクレオシド、1つ以上の修飾されたデオキシリボヌクレオシド、1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。種々の実施形態では、この免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長であってもよい。1実施形態では、このオリゴヌクレオチドは、安定化された骨格を有する。このようなオリゴヌクレオチドは、本明細書に開示される任意の方法で用いられてもよく、この方法としては、免疫応答を刺激、Th1様免疫応答を刺激、TLRシグナル伝達を刺激、被験体における免疫応答を刺激、被験体におけるTh1様免疫応答を刺激、被験体における抗原特異的免疫応答を刺激、被験体におけるアレルギー性状態を処置、被験体における喘息を処置、被験体における感染を処置、被験体における癌を処置、およびTLRのアンタゴニストをスクリーニングするための方法が挙げられる。
【0090】
以下の実施例6に開示されるように、少なくとも3ヌクレオチド長の非免疫刺激性のオリゴヌクレオチドは、このような非免疫刺激性のオリゴヌクレオチドに免疫刺激性の4マーのRNAモチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を導入することによって、免疫刺激性オリゴヌクレオチドに変換され得るということも本発明者らによって発見されている。この得られた免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、少なくとも7ヌクレオチド長である。このモチーフは、このオリゴヌクレオチドのいずれの場所に、例えば、5’末端、3’末端、または5’および3’末端の内側に付加されても導入されてもよい。この4マーのRNAモチーフ以外の配列は、任意の配列であってもよい。1実施形態では、得られたオリゴヌクレオチドは、配列5’−GUUGU−3’を含まない。4マーのRNAモチーフ以外の配列は、RNAであっても、DNAであっても、またはRNAおよびDNAの混合物であってもよい。種々の実施形態では、得られた免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長であり得る。1実施形態では、この得られたオリゴヌクレオチドは、安定化された骨格を有する。このようなオリゴヌクレオチドは、本明細書に開示される任意の方法で用いられてもよく、この方法としては、免疫応答を刺激、Th1様免疫応答を刺激、TLRシグナル伝達を刺激、被験体における免疫応答を刺激、被験体におけるTh1様免疫応答を刺激、被験体における抗原特異的免疫応答を刺激、被験体におけるアレルギー性状態を処置、被験体における喘息を処置、被験体における感染を処置、被験体における癌を処置、およびTLRのアンタゴニストをスクリーニングするための方法が挙げられる。
【0091】
少なくとも3ヌクレオチド長の弱い免疫刺激性のオリゴヌクレオチドは、このような非免疫刺激性のオリゴヌクレオチドに免疫刺激性の4マーのRNAモチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を導入することによって、さらに強力な免疫刺激性オリゴヌクレオチドに変換され得るということも本発明者らによって発見されている。この得られた免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、少なくとも7ヌクレオチド長である。このモチーフは、このオリゴヌクレオチドのいずれの場所に、例えば、5’末端、3’末端、または5’および3’末端の内側に付加されても導入されてもよい。この4マーのRNAモチーフ以外の配列は、任意の配列であってもよい。1実施形態では、得られたオリゴヌクレオチドは、配列5’−GUUGU−3’を含まない。4マーのRNAモチーフ以外の配列は、RNAであっても、DNAであっても、またはRNAおよびDNAの混合物であってもよい。種々の実施形態では、得られた免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長であり得る。1実施形態では、この得られたオリゴヌクレオチドは、安定化された骨格を有する。このようなオリゴヌクレオチドは、本明細書に開示される任意の方法で用いられてもよく、この方法としては、免疫応答を刺激、Th1様免疫応答を刺激、TLRシグナル伝達を刺激、被験体における免疫応答を刺激、被験体におけるTh1様免疫応答を刺激、被験体における抗原特異的免疫応答を刺激、被験体におけるアレルギー性状態を処置、被験体における喘息を処置、被験体における感染を処置、被験体における癌を処置、およびTLRのアンタゴニストをスクリーニングするための方法が挙げられる。
【0092】
少なくとも特定の免疫刺激性CpG DNAオリゴヌクレオチド配列は、UでTおよびCの両方を置換することによって、あるいはUでCを置換することによって本発明の免疫刺激性RNAオリゴヌクレオチド配列に変換され得るということが本発明者らによって、現在見出されている。1実施形態では、出発CpG DNAオリゴヌクレオチドは、配列5’−tcgtcgttttgtcgttttgtcgtt−3’(ODN 2006、配列番号285)を有する。本発明の対応するRNAオリゴヌクレオチドは、配列5’−uuguuguuuuguuguuuuguuguu−3’(配列番号286)を有する。本発明の別の対応するRNAオリゴヌクレオチドは、配列5’−tugtugttttgtugttttgtugtt−3’(配列番号287)を有する。1実施形態では、出発CpG DNAオリゴヌクレオチドは、配列5’−tcgtcgttttcggcggccgccg−3’(配列番号288)を有する。本発明の対応するRNAオリゴヌクレオチドは、配列5’−uuguuguuuuuggugguuguug−3’(配列番号289)を有する。本発明の別の対応するRNAオリゴヌクレオチドは、配列5’−tugtugttttuggugguuguug−3’(配列番号290)を有する。このような変化は、驚くべきことに、免疫刺激性CpG DNAオリゴヌクレオチドに対する比較的保存的なヌクレオチド置換であって、得られたRNAオリゴヌクレオチドがTLR9のパラログである、TLR9以外のTLRと相互作用することを可能にし得る置換であると考えられる。
【0093】
詳細には、免疫刺激性の4マーのRNAモチーフである5’−C/U−U−G/U−U−3’を含むようなCpG ODNの変換は、得られたオリゴヌクレオチドに対して新規な免疫刺激性プロフィールを付与し得る、すなわち、得られたオリゴヌクレオチドは出発CpG ODNによって刺激されるTLR9に加えて、および/またはそれとは異なるTLRを刺激すると考えられる。例えば、ODN2006のようなCpG ODNの、免疫刺激性4マーRNAモチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を含むオリゴリボヌクレオチド(ORN)への完全な変換によって、TLR9を刺激する能力が失われ得、そしてTLR7、TLR8、またはTLR7およびTLR8の両方を刺激する能力の獲得が生じ得る。部分的な変換でさらに異なるプロフィールが生じ得る。
【0094】
ちょうど記載されたDNAからRNAへのCpG ODNの変換または部分的変換に加えて、既存のCpG ODNは、このCpG ODNに免疫刺激性の4マーのRNAモチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を付加するかそうでなければ導入することによって、新規なプロフィールの免疫刺激性活性を有するように変換され得るということが本発明者らによって発見されている。得られた組み合わせのモチーフのオリゴヌクレオチドは、出発のCpG ODNによって刺激されるTLR9に加えて、および/またはそれとは異なるTLRを刺激する。
【0095】
本発明の組成物は、天然に見出される塩基配列に相当する塩基配列、すなわち、一本鎖マイナス−センスRNAウイルスゲノムの3’末端に見出される塩基配列を有する特定の人工的に合成されたオリゴヌクレオチドを含んでもよい。この組成物は、安定化された骨格の特徴を含むように人工的に合成される。オリゴヌクレオチドの骨格は、この安定化された骨格を有するオリゴヌクレオチドが、全てホスホジエステル骨格を有する対応するオリゴヌクレオチドよりもヌクレアーゼ分解に対して比較的耐性である条件では、任意の適切な化学的方法または修飾を用いて安定化されてもよい。
【0096】
本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、天然のRNAおよびDNAに比較して、ホスホジエステルヌクレオシド間架橋、β−D−リボース単位、および/または天然のヌクレオシド塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル)を含む、種々の化学的修飾および置換を包含し得る。化学的修飾の例は、当業者に公知であり、そして例えば、Uhlmann Eら(1990)Chem Rev 90:543;「Protocols for Oligonucleotides and Analogs」Synthesis and Properties & Synthesis and Analytical Techniques、S.Agrawal編、Humana Press、Totowa、USA 1993;Crooke STら(1996)Annu Rev Pharmacol Toxicol 36:107〜29;およびHunziker Jら(1995)Mod Synth Methods 7:331〜417に記載される。本発明によるオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾を有してもよく、各々の修飾は、天然のDNAまたはRNAから構成される同じ配列のオリゴヌクレオチドに比較して、特定のヌクレオシド間架橋、および/または特定のβ−Dリボース単位、および/または特定の天然のヌクレオシド塩基の位置に位置する。
【0097】
例えば、オリゴヌクレオチドは各々の修飾が:
a)修飾されたヌクレオシド間架橋による、ヌクレオシドの3’末端および/または5’末端に位置するホスホジエステルヌクレオシド間架橋の置換、
b)脱リン酸架橋による、ヌクレオシドの3’末端および/または5’末端に位置するホスホジエステルヌクレオシド間架橋の置換、
c)糖リン酸骨格由来の糖リン酸単位の別の単位による置換、
d)β−D−リボース単位の修飾された糖単位による置換、ならびに
e)修飾されたヌクレオシド塩基による天然のヌクレオシド塩基の置換、
から独立して選択される1つ以上の修飾を含んでもよい。
【0098】
オリゴヌクレオチドの化学的修飾のためのさらに詳細な実施例は以下のとおりである。
【0099】
オリゴヌクレオチドは、上記のaまたはbに記載されるような修飾されたヌクレオシド間結合を含み得る。これらの修飾された結合は、分解に対して部分的に耐性であり得る(例えば、安定化される)。「安定化されたオリゴヌクレオチド分子」とは、あるオリゴヌクレオチドが、このような修飾から生じるインビボ分解(例えば、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼを介する)に対して比較的耐性であることを意味するものとする。ある実施形態では、ホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドは、最大活性を提供し得、そして細胞内のエキソおよびエンドヌクレアーゼによる分解からこのオリゴヌクレオチドを保護し得る。
【0100】
ヌクレオシドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステルヌクレオシド間架橋は、修飾されたヌクレオシド間架橋によって置換されてもよく、この修飾されたヌクレオシド間架橋は、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、NR−ホスホラミデート、ボラノホスフェート、α−ヒドロキシベンジルホスホネート、ホスフェート−(C−C21)−O−アルキルエステル、ホスフェート−[(C−C12)アリール−(C−C21)−O−アルキル]エステル、(C−C)アルキルホスホネートおよび/または(C−C12)アリールホスホネート架橋、(C−C12)−α−ヒドロキシメチル−アリール(例えば、WO 95/01363に開示される)から選択され、(C−C12)アリール、(C−C20)アリール、および(C−C14)アリールは必要に応じて、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノで置換され、RおよびRは、互いに独立して、水素、(C−C18)−アルキル、(C−C20)−アリール、(C−C14)−アリール−(C−C)−アルキル、好ましくは水素、(C−C)−アルキル、好ましくは(C−C)−アルキルおよび/またはメトキシエチル、であるか、あるいはRおよびRは、それらが担持する窒素原子と一緒になって、5−6−員の複素環式環を形成し、これはさらに、O、SおよびNの基からさらなるヘテロ原子を含んでもよい。
【0101】
ヌクレオシドの3’末端および/または5’末端に位置するホスホジエステル架橋の脱リン架橋による置換(脱リン架橋は、例えば、Uhlmann EおよびPeyman Aの「Methods in Molecular Biology」、第20巻、「Protocols for Oligonucleotides and Analogs」、S.Agrawal編、Humana Press、Totowa 1993、第16章、pp.355ffに記載される)は、脱リン架橋ホルムアセタール、3’−チオホルムアセタール、メチルヒドロキシルアミン、オキシム、メチレンジメチル−ヒドラゾ、ジメチレンスルホン、および/またはシリル基から選択される脱リン架橋であってもよい。
【0102】
糖リン酸骨格(すなわち、糖リン酸骨格が糖リン酸単位から構成される)由来の糖リン酸単位(すなわち、一緒になって糖リン酸単位を形成するβ−D−リボースおよびホスホジエステルヌクレオシド間架橋)は、別の単位によって置換され得、この他の単位は、例えば、「モルホリノ−誘導」オリゴマーを構築するために適切である(例えば、Stirchak EPら(1989)Nucleic Acids Res 17:6129〜41に記載される)単位によって置換され得(すなわち、例えば、モルホリノ−誘導体化単位による置換)、またはポリアミド核酸(「PNA」;例えば、Nielsen PEら(1994)Bioconjug Chem 5:3〜7に記載される)を構築するために適切である単位によって置換され得る(すなわち、PNA骨格単位による、例えば、2−アミノエチルグリシンによる置換)。オリゴヌクレオチドは、アリキルリンカーまたはアミノリンカーによる、リン酸基を有するペプチド核酸(PHONA)、ロックされた核酸(locked nucleic acids)(LNA)および骨格部位を有するオリゴヌクレオチドの修飾および置換のような、他の炭化水素骨格の修飾および置換を有してもよい。アルキルリンカーは、分枝しても分枝しなくてもよいし、置換されても置換されなくてもよいし、キラルとして純粋でもラセミ混合物でもよい。
【0103】
上記で開示された安定化された骨格に加えて、本発明の組成物は、ピロリン酸ヌクレオシド間結合を、代替的にまたは追加して含んでもよい。3’,5’−ピロリン酸結合ヌクレオチドによる合成およびリボヌクレアーゼ阻害は、例えば、Russo Nら(1999)J Biol Chem 274:14902〜8に記載されている。
【0104】
本発明の組成物は、少なくとも1つのヌクレオチドがデオキシヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドであるキメラRNA:DNA骨格を代替的にまたは追加して含んでもよい。少なくとも1つのデオキシヌクレオチドの数および位置は、オリゴヌクレオチドの免疫刺激性活性に影響し得る。種々の実施形態では、4マーの配列モチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を有する本発明の免疫刺激性核酸におけるデオキシヌクレオチドの数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、または26であってもよい。2つ以上のデオキシヌクレオチドが存在する、いくつかの実施形態では、デオキシヌクレオチドはお互いに対して隣接(すなわち直接結合)する。種々の実施形態では、連続的な隣接するデオキシヌクレオチドの数は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25または26であり得る。隣接するデオキシヌクレオチドの群はまた、デオキシヌクレオチドでない少なくとも1つの介在性のヌクレオチドによってお互いから隔てられて存在してもよい。2つ以上のデオキシヌクレオチドが存在する、いくつかの実施形態では、別のデオキシヌクレオチドに対して隣接するデオキシヌクレオチドはない。ある実施形態では、少なくとも1つのデオキシヌクレオチドの位置は、厳密にRNAである、相当するオリゴヌクレオチドに比較してオリゴヌクレオチドの免疫刺激性効果を増大し得る。他の実施形態では、少なくとも1つのデオキシヌクレオチドの位置は、厳密にRNAである、相当するオリゴヌクレオチドに比較してオリゴヌクレオチドの免疫刺激性効果を低下させ得る。
【0105】
1実施形態では、本発明のキメラRNA:DNAオリゴヌクレオチドが種々のTLRを刺激し得る結合体を含むことが本発明によって発見されている。さらに詳細には、本発明の特定のキメラRNA:DNAオリゴヌクレオチドが、TLR9およびTLR8の両方を刺激し得ることが発見されている。1実施形態では、キメラRNA:DNAオリゴヌクレオチドのDNA部分は、TLR9活性を刺激するCpG DNAである;同じキメラRNA:DNAオリゴヌクレオチドのRNA部分は、TLR8を刺激する本発明の免疫刺激性RNAである。1実施形態では、このようなキメラ結合体は、5’−tcgtcgttttguuguuuuguuguu−3’(配列番号291)であり、ここでtcgtcgtttt(配列番号292)は、CpG DNAであり、そしてguuguuuuguuguu(配列番号293)はRNAである。guuguuuuguuguu(配列番号293)が4マーの配列モチーフ5’−UUGU−3’および5’−UUUU−3’を含むことが注目されるべきである。別の実施形態では、このようなキメラ結合体は、5’−tcgtcgttttuggugguuguug−3’(配列番号294)であり、tcgtcgtttt(配列番号292)はやはりCpG DNAであり、そしてuggugguuguug(配列番号295)はRNAである。uggugguuguug(配列番号295)は4マーの配列モチーフ5’−UUGU−3’を含むことが注目されるべきである。
【0106】
1実施形態では、キメラRNA:DNAオリゴヌクレオチドのDNAおよびRNA部分の両方が、3’−5’ヌクレオチド間結合を含む。別の実施形態では、キメラRNA:DNAオリゴヌクレオチドのRNA部分は、2’−5’ヌクレオチド間結合(3’−5’ヌクレオチド間結合ではない)を含む。例えば、1実施形態では、RNA:DNAキメラ結合体は、5’−tcgtcgtttguuguguaat−3’(配列番号296)を有し、ここでtcgtcgtttおよびaatは、DNAであり、そしてguuguguはRNAであり、そして全てのヌクレオチド間結合が3’−5’ヌクレオチド間結合である。このキメラRNA:DNA結合体は、TLR9およびTLR8の両方を刺激すること、そしてIFN−α、TNF−α、およびIFN−γを誘導することが見出された。対照的に、同一の配列ならびにDNAおよびRNA組成を有するが、guuguguaが3’−5’ヌクレオチド間結合ではなく、2’−5’ヌクレオチド間結合によって相互接続されるオリゴヌクレオチドは、TLR9を刺激するがTLR8は刺激せず、そしてIFN−αは誘導するが、TNF−αもIFN−γも誘導しないことが見出された。
【0107】
本発明の核酸組成物は、修飾された糖単位を含み得る。β−リボース単位またはβ−D−2’−デオキシリボース単位は、修飾された糖単位によって置換され、この修飾された糖単位は、例えば、β−D−リボース、α−D−2’−デオキシリボース、L−2’−デオキシリボース、2’−F−2’−デオキシリボース、2’−F−アラビノース、2’−O−(C−C)アルキル−リボース、2’−O−メチルリボース、2’−O−(C−C)アルケニル−リボース、2’−[O−(C−C)アルキル−O−(C−C)アルキル]−リボース、2’−NH−2’−デオキシリボース、β−D−キシロ−フラノース、α−アラビノフラノース、2,4−ジデオキシ−β−D−エリトロ−ヘキソ−ピラノース、および炭素環式の(例えば、Froehler(1992)J Am Chem Soc 114:8320に記載される)および/または開放型鎖の糖アナログ(例えば、Vandendriesscheら(1993)Tetrahedron 49:7223に記載される)および/またはビシクロ糖アナログ(例えば、Tarkov Mら(1993)Helv Chim Acta 76:481に記載)から選択される。
【0108】
1実施形態では、4マーの配列モチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’の2位置のUのリボースの2’ヒドロキシル基はインタクトであり、すなわちβ−リボース単位はこの位置では、前述の修飾された糖単位のいずれでも置換されない。1実施形態では、4マーの配列モチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’の2位置のUのリボースの2’ヒドロキシル基は、2’−O−メチルリボースによって置換されない。これらの位置における2’ヒドロキシル基は、RNAオリゴヌクレオチドとTLRとの間の相互作用に関与し得ると本発明者らは考えている。この概念の支持では、2’−5’ヌクレオチド間結合による、通常の3’−5’ヌクレオチド間結合の4−マーモチーフ内の置換は、このオリゴヌクレオチドの免疫刺激性活性を有意に低下させるということが発見されている。しかし、この4マーの配列モチーフの外側の位置で、このような2’−5’ヌクレオチド間結合、または他のヌクレアーゼ耐性結合を含むことは可能であり得る。このようなRNAオリゴヌクレオチドは、TLRを通じてシグナル伝達する能力、および分解に対して比較的抵抗性である特性という両方を保持する。
【0109】
本発明の核酸組成物は、グアノシン、シチジン、アデノシン、チミジンおよびウリジンを含む、天然に見出されるヌクレオシドを含んでもよいが、この核酸組成物はそのように限定はされない。本発明の核酸組成物は、修飾されたヌクレオシドを含んでもよい。修飾されたヌクレオシドは、塩基、糖、または塩基および糖の両方を含む修飾を有するヌクレオシド誘導体を含む。
【0110】
核酸はまた、C−5プロピンピリミジンおよび7−デアザ−7置換プリン修飾塩基のような置換されたプリンおよびピリミジンを含む。Wagner RWら(1996)Nat Biotechnol 14:840〜4。プリンおよびピリミジンとしては限定はしないが、アデニン、シトシン、グアニン、チミンおよびウラシル、ならびに他の天然に存在するおよび天然に存在しない核酸塩基、置換された芳香族部分および非置換の芳香族部分が挙げられる。
【0111】
修飾された塩基とは、T,C、G、AおよびUのようなDNAおよびRNAに代表的に見出される天然に存在する塩基とは化学的に異なるが、これらの天然に存在する塩基のうちの少なくとも1つと基本的な化学構造を共有する任意の塩基である。修飾されたヌクレオシド塩基は、例えば、ヒポキサンチン、ジヒドロウラシル、プソイドウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−アミノウラシル、5−(C−C)−アルキルウラシル、5−(C−C)−アルケニルウラシル、5−(C−C)−アルキニルウラシル、5−(ヒドロキシメチル)ウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシシトシン、5−(C−C)−アルキルシトシン、5−(C−C)−アルケニルシトシン、5−(C−C)−アルキニルシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、N−ジメチルグアニン、2,4−ジアミノ−プリン、8−アザプリン、置換7−デアザプリン(例えば、7−デアザ−7−置換プリンおよび/または7−デアザ−8−置換プリン)、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、例えば、N4−エチルシトシン、5−ヒドロキシデオキシシチジン、5−ヒドロキシメチルデオキシシチジン、N4−アルキルデオキシシチジン、例えば、N4−エチルデオキシシチジン、6−チオデオキシグアノシン、およびニトロピロールのデオキシリボヌクレオシド、C5−プロピニルピリミジン、およびジアミノプリン、例えば、2,6−ジアミノプリン、イノシン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、または天然のヌクレオシド塩基の他の修飾から選択され得る。この列挙は、例示的であることを意味しており、限定されると解釈されるべきではない。
【0112】
本明細書に記載される特定の実施形態では、修飾された塩基が組み込まれてもよい。例えば、シトシンは、修飾されたシトシンで置換されてもよい。本明細書に用いられるような修飾されたシトシンは、シトシンの天然に存在するかまたは天然には存在しないピリミシン塩基アナログであって、このオリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなくこの塩基を置換し得る。
【0113】
修飾されたシトシンとしては、限定はしないが、5置換シトシン(例えば、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、および非置換または置換5−アルキニル−シトシン)、6−置換シトシン、N4−置換シトシン(例えば、N4−エチル−シトシン)、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、プソイド−イソシトシン、縮合した環系を有するシトシンアナログ(例えば、N,N’−プロピレンシトシンまたはフェノキサジン)、ならびにウラシルおよびその誘導体(例えば、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル)が挙げられる。本発明の特定の実施形態では、このシトシン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば、3−ニトロピロール、P−塩基)、芳香族環系(例えば、フルオロベンゼンまたはジフルオロベンゼン)、または水素原子(スペーサー(Spacer)またはdスペーサー)によって置換される。
【0114】
シチジン誘導体はまた一般に、限定はしないが、修飾された糖を有するシチジンを含む。修飾された糖を有するシチジンとしては、限定はしないが、シトシン−β−D−アラビノフラノシド(Ara−C)、リボ−C、および2’−O−(C−C)アルキル−シチジン(例えば、2’−O−メチルシチジン、2’−OMe−C)が挙げられる。
【0115】
グアニンは、修飾されたグアニン塩基で置換されてもよい。本明細書において用いられる修飾されたグアニンは、グアニンの天然に存在するかまたは天然には存在しないプリン塩基アナログであって、このオリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなくこの塩基を置換し得る、プリン塩基アナログである。
【0116】
修飾されたグアニンとしては、限定はしないが、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン(例えば、7−デアザ−7−(C2−C6)アルキニルグアニン)、7−デアザ−8−置換グアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン(例えば、N2−メチル−グアニン)、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、アデニン、置換アデニン(例えば、N6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン)、8−置換グアニン(例えば、8−ヒドロキシグアニンおよび8−ブロモグアニン)、および6−チオグアニンが挙げられる。本発明の特定の実施形態では、グアニン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば、4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドール、およびK−塩基)、芳香族環系(例えば、ベンズイミダゾールまたはジクロロ−ベンズイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド)、または水素原子(スペーサーまたはdスペーサー)によって置換される。
【0117】
本発明の核酸組成物は、10〜30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである。しかし、4または5ヌクレオチド長程度の短いオリゴヌクレオチドがTLRに対する結合に十分であり得るというのが本発明者らの見解である。種々の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長である。1実施形態では、このオリゴヌクレオチドは、10〜20ヌクレオチド長である。1実施形態では、このオリゴヌクレオチドは10ヌクレオチド長である。
【0118】
本発明の核酸組成物は、一本鎖であっても、部分的に二本鎖を含む二本鎖であってもよい。オリゴヌクレオチドが二本鎖核酸を含む場合、この二本鎖部分は、生理学的条件下で二本鎖構造を維持するのに十分な相補的な配列を含む。これは、G−C、A−U、A−T、G−T、およびG−Uから選択される複数の、隣接するかまたは隣接しない塩基対を含み得る。1実施形態では、この塩基対は、G−C、A−U、およびG−Uから選択される。この二本鎖構造は、RNA−RNA二重鎖形成、RNA−DNA二重鎖形成、DNA−DNA二重鎖形成、または少なくとも1つのキメラRNA:DNA配列(すなわち、キメラRNA:DNA−DNA二重鎖、キメラRNA:DNA−RNA二重鎖、またはキメラRNA:DNA−キメラRNA:DNA二重鎖)を含む二重鎖形成を包含し得る。
【0119】
(本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドの供給源および調製)
本発明における使用のために、本発明のオリゴヌクレオチドは、当該分野で周知の任意の多数の手順、例えば、β−シアノエチルホスホラミダイト法(Beaucage S Lら(1981)Tetrahedron Lett 22:1859);またはヌクレオシドHホスホン酸法(Gareggら(1986)Tetrahedron Lett 27:4051−4;Froehler BCら(1986)Nucleic Acids Res 14:5399−407;Gareggら(1986)Tetrahedron Lett 27:4055−8;Gaffneyら(1988)Tetrahedron Lett 29:2619〜22)を用いて新規に合成され得る。これらの化学反応は、市販されている種々の自動的な核酸シンセサイザーによって行うことができる。これらのオリゴヌクレオチドは、合成オリゴヌクレオチドと呼ばれる。単離されたオリゴヌクレオチドとは一般に、通常は自然にともなう成分から分離されているオリゴヌクレオチドをいう。例えば、単離されたオリゴヌクレオチドとは、細胞から、核から、ミトコンドリアから、またはクロマチンから分離されているオリゴヌクレオチドであり得る。1実施形態では、単離されたオリゴヌクレオチドは、合成オリゴヌクレオチドである。
【0120】
修飾された骨格、例えば、ホスホロチオエートは、ホスホラミダイトまたはH−ホスホン酸化学のいずれかを使用する自動技術を用いて合成され得る。アリール−ホスホン酸およびアルキル−ホスホン酸は、例えば、米国特許第4,469,863号に記載されるように作成され得;そしてアルキルリン酸トリエステル(荷電された酸素部分は、米国特許第5,023,243号および欧州特許第092,574号に記載されるようにアルキル化される)は、市販の試薬を用いて自動的な固相合成によって調製され得る。他のDNAおよびRNA骨格の修飾および置換を作成するための方法は、記載されている(例えば、Uhlmann Eら(1990)Chem Rev 90:544;Goodchild J(1990)Bioconjugate Chem 1:165)。
【0121】
特定の実施形態では、本発明の免疫刺激性核酸分子は、別の因子と結合体化され得る。1実施形態では、本発明の核酸分子と結合体化され得る因子は、TLRリガンドであってもよく、これには限定はしないが、本発明の別の核酸分子が挙げられる。1実施形態では、本発明の核酸分子と結合体化され得る因子は、本発明の免疫刺激性核酸ではない免疫刺激性核酸分子であってもよい。例えば、他の因子とは、CpG−DNA分子であってもよい(例えば、米国特許第6,194,388号;同第6,207,646号;同第6,214,806号;同第6,218,371号;同第6,239,116号;同第6,339,086号;同第6,406,705号;同第6,429,199号;および同第6,653,292号を参照のこと)。1実施形態では、本発明の核酸分子と結合体化され得る因子は、TLRアゴニストであってもよい。TLRアゴニストは、TLR媒介性シグナルを誘発または増強する任意の因子である。TLRアゴニストとしては、例えば、R−837(イミキモド(imiquimod))またはR−848(レシキモド(resiquimod))のような低分子が挙げられる。1実施形態では、本発明の核酸分子と結合体化され得る因子は、TLRアンタゴニストであってもよい。TLRアンタゴニストは、TLR媒介性シグナルを阻害する任意の因子である。TLRアンタゴニストとしては、特定の低分子(例えば、Macfarlaneらに発行された、米国特許第6,221,882号;同第6,399,630号;および同第6,479,504号)および特定の免疫刺激性オリゴヌクレオチド(例えば、Lenart Pら(2001)Antisense Nucleic Acid Drug Dev 11:247〜56;Stunz LLら(2002)Eur J Immunol 32:1212〜22;Lenert Pら(2003)Antisense Nucleic Acid Drug Dev 13:143〜50;およびLenert Pら(2003)DNA Cell Biol 22:621〜31)が挙げられる。1実施形態では、本発明の核酸分子と結合体化され得る因子は、抗原であってもよく、これには、抗原自体または抗原をコードする核酸分子が挙げられる。1実施形態では、本発明の核酸分子と結合体化され得る因子は医薬であってもよい。これらの実施形態の各々では、本発明の免疫刺激性核酸分子は、任意の適切な直接または間接的な物理化学的結合を通じて他の因子と結合体化され得る。1実施形態では、この結合は、共有結合である。1実施形態では、本発明の免疫刺激性核酸分子は、リンカーを通じて他の因子と結合体化され得る。
【0122】
1局面では、本発明は、抗原または他の治療因子および本発明の単離された免疫刺激性オリゴヌクレオチドの結合体を含む組成物を提供する。1実施形態では、抗原または他の治療因子は、例えば共有結合を通じて、本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドに直接結合される。1実施形態では、この抗原または他の治療因子は、例えば、リンカーを通じて、本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドに直接結合される。この結合体の抗原または他の治療因子が、ペプチドまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである場合、この抗原または他の治療因子および単離された免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、単独の発現ベクターに組み込まれ得る。この結合体の抗原または他の治療因子が事前形成されたポリペプチドまたはポリサッカリドである場合、この抗原または他の治療因子および単離された免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、当該分野で周知の方法を用いて結合され得る。
【0123】
1実施形態では、本発明の免疫刺激性核酸分子は、本発明の核酸分子の3’末端を含む結合を通じてこの抗原または他の治療因子と結合体化され得る。1実施形態では、本発明の免疫刺激性核酸分子は、本発明の核酸分子の5’末端を含む結合を通じてこの抗原または他の治療因子と結合体化され得る。
【0124】
1実施形態では、本発明の免疫刺激性核酸分子は、本発明の核酸分子の3’末端を含まない結合を通じてこの抗原または他の治療因子と結合体化され得る。1実施形態では、本発明の免疫刺激性核酸分子は、本発明の核酸分子の5’末端を含まない結合を通じてこの抗原または他の治療因子と結合体化され得る。
【0125】
インビボの投与のためには、本発明の免疫刺激性核酸分子は、「核酸送達複合体(nucleic acid delivery complex)」を形成するように、標的細胞(例えば、B細胞、単球細胞、NK細胞、樹状細胞)表面に対するより高い親和性結合および/または標的細胞による増大された細胞取り込みを生じる分子と会合され得る。核酸は、当該分野で周知である技術を用いて適切な分子とイオン的にまたは共有結合的に会合され得る。種々のカップリング因子または架橋因子、例えば、プロテインA、カルボジイミド、およびN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPDP)が用いられ得る。あるいは、核酸は、周知の技術を用いてリポソームまたはビロゾームにカプセル化されてもよい。
【0126】
ある実施形態では、本発明の免疫刺激性核酸分子は、カチオン性脂質と混合されてもそうでなければ会合されてもよい。カチオン性脂質と混合されるかそうでなければ会合される本発明の免疫刺激性核酸分子は、リポソームを含む、カチオン性脂質/核酸複合体の形態をとってもよい。本発明の免疫刺激性核酸分子は、単独で(すなわち、「裸の(naked)」オリゴヌクレオチドとして)用いられる場合、生物学的に活性であるが、カチオン性脂質との会合は、本発明の免疫刺激性核酸分子の生物学的活性を増大することが観察されている。いかなる特定の理論にも機序にも束縛されることは意味しないが、カチオン性脂質の使用と関連される生物学的活性の増大は、本発明の免疫刺激性核酸分子の細胞取り込みの効率の増大に起因すると考えられる。このような脂質は、分子生物学におけるトランスフェクションの適用のために通常用いられる。本発明において有用なカチオン性脂質としては、限定はしないが、DOTAP(N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチルサルフェート)、DOTMA(N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド)、DOSPA(2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート)、DMRIE(N,N−ジメチル−2,3−ビス(テトラデシルオキシ)−1−プロパンアミニウムブロミド)、DOGS(ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン)、コレステロール、リポソーム、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0127】
カチオン性脂質との会合の代用として、本発明の免疫刺激性核酸分子は有利には、例えば、ポリカチオン性ペプチドであって、ポリアルギニン、ポリアルギニン/ポリリジンおよびプロタミンを含むポリカチオン性ペプチドを含む、他のタイプのカチオン性部分と会合されてもよい。
【0128】
本発明の前述の局面の各々では、本発明の免疫刺激性核酸分子は必要に応じて、遊離の核酸の塩または水和物として存在し得る。
【0129】
本発明の前述の局面の各々では、組成物はまた、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含んでもよく、その結果、本発明はまた、本発明の単離された免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含む薬学的組成物を提供する。このような薬学的組成物は、薬学的に受容可能なキャリアと接触させて本発明の単離された免疫刺激性オリゴヌクレオチドを置くことによって調製され得る。
【0130】
(方法および用途)
本発明の組成物は、アレルギー、喘息、感染、癌または自己免疫疾患の処置に用いられ得る。
【0131】
本発明の組成物は、アレルギー、喘息、感染、癌または自己免疫疾患の処置のための医薬の調製に用いられ得る。この用途は、アレルギー、喘息、感染、癌または自己免疫疾患を処置するための本発明の組成物の治療上有効な量を薬学的に受容可能なキャリアと接触させる工程を包含する。
【0132】
本発明は、1局面では、免疫応答を刺激するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、免疫系の細胞を本発明の組成物の有効量と接触させて免疫応答を刺激する工程を包含する。この方法は、インビトロで行われても、またはインビボで行われてもよい。特定の実施形態では、免疫系の細胞は、免疫系の細胞の集団の一部であってもよく、この集団は、免疫系の種々のタイプの細胞の混合された集団であってもよいし、あるいは、免疫系の細胞の単一のタイプの精製された集団であってもよい。この集団が免疫系の単一のタイプの細胞の精製された集団である場合、1実施形態では、この選択された単一のタイプの細胞は、細胞集団の少なくとも90%を占める。免疫系の単一のタイプの細胞の精製された集団を含む他の実施形態では、この選択された単一のタイプの細胞は、細胞集団の少なくとも95%または少なくとも99%を占める。1実施形態では、この方法は、末梢血単核球細胞(PBMC)と、本発明の組成物の有効量とを接触させて免疫応答を刺激する工程を包含する。
【0133】
免疫応答は、免疫応答の少なくとも1つの特徴を検出し得る任意の適切な方法を用いて測定され得る。免疫刺激性効果、すなわち免疫応答を検出および測定するための方法は以下に記載される。
【0134】
本発明は1局面では、Th1様免疫応答を刺激するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、免疫系の細胞と、本発明の組成物の有効量とを接触させて、Th1様免疫応答を刺激する工程を包含する。この方法は、インビトロで行われても、またはインビボで行われてもよい。1実施形態では、この方法は、末梢血単核球細胞(PBMC)と、本発明の組成物の有効量とを接触させてTh1様免疫応答を刺激する工程を包含する。Th1様免疫応答は、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、TNF−α、IL−12、IL−18、IP−10、およびそれらの任意の組み合わせを含む、特定のサイトカインおよびケモカインの発現を包含し得る。ある実施形態では、Th1−様免疫応答は、IL−4、IL−5、およびIL−13を含む特定のTh2関連サイトカインの抑制を含み得る。Th1−様免疫応答は、IgEおよび(マウスでは)IgG1を含む特定のTh2関連抗体のアイソタイプの抑制の有無において、(マウスでは)IgG2aを含む特定の抗体アイソタイプの発現を包含し得る。
【0135】
本発明は1局面では、TLRシグナル伝達を刺激するための方法を提供する。この局面による方法は、TLRを発現する細胞と、本発明の組成物の有効量とを接触させて、TLRによるシグナル伝達を刺激する工程を包含する。この方法は、インビトロで行われても、インビボで行われてもよい。一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムのRNAの3’末端に存在する高度に保存されたRNA配列は、TLR8、TLR7、およびTLR3を含む特定のTLRの天然に存在するアゴニストであり、そしてその潜在的なリガンドであるということが本発明者らの考えである。一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムのRNAの3’末端に存在する高度に保存されたRNA配列を組み込む、本発明の免疫刺激性核酸分子は、これらの同じTLR、すなわち、TLR8、TLR7、およびTLR3のアゴニストであり、そしてその潜在的なリガンドであるということが本発明者らの考えである。
【0136】
従って、1実施形態では、本方法は、TLR8を発現する細胞と、本発明の組成物の有効量とを接触させて、TLR8によるシグナル伝達を刺激する工程を包含する。1実施形態では、この方法は、TLR7を発現する細胞と、本発明の組成物の有効量とを接触させて、TLR7によるシグナル伝達を刺激する工程を包含する。1実施形態では、この方法は、TLR3を発現する細胞と、本発明の組成物の有効量とを接触させて、TLR3によるシグナル伝達を刺激する工程を包含する。
【0137】
前述の実施形態の各々では、TLRを発現する細胞は、TLRを天然に発現する細胞であってもよい。このような細胞は、天然に見出される細胞、例えばPBMCを包含し得る。あるいはそしてさらに、このような細胞は、クローニングされた細胞、または細胞株の一部を含んでもよい。
【0138】
あるいは、前述の実施形態の各々では、TLRを発現する細胞は、TLRを人工的に発現する細胞であってもよい。このような細胞は詳細には、TLRをコードするベクターで一過性にまたは安定にトランスフェクトされた細胞であって、その結果このトランスフェクトされた細胞がこのベクターによってコードされるTLRを発現する細胞を含み得る。特定のTLRをコードするベクターは、この特定のTLRのコード領域のヌクレオチド配列を含む。このようなヌクレオチド配列は以下にさらに詳細に記載される、GenBankのようなデータベースから公的に入手可能である。
【0139】
人工的に発現されたTLRは、ヒトTLRであってもよい。1実施形態では、トランスフェクトされた細胞は、ヒトTLR8の発現ベクターで安定にトランスフェクトされた293HEKヒト線維芽細胞である。1実施形態では、このトランスフェクトされた細胞は、ヒトTLR7の発現ベクターで安定にトランスフェクトされた293HEKヒト線維芽細胞である。1実施形態では、このトランスフェクトされた細胞は、ヒトTLR3の発現ベクターで安定にトランスフェクトされた293HEKヒト線維芽細胞である。
【0140】
人工的に発現されるTLRは、非ヒトTLRであってもよい。1実施形態では、このトランスフェクトされた細胞は、マウスTLR8の発現ベクターで安定にトランスフェクトされた293HEKヒト線維芽細胞である。1実施形態では、このトランスフェクトされた細胞は、マウスTLR7の発現ベクターで安定にトランスフェクトされた293HEKヒト線維芽細胞である。1実施形態では、このトランスフェクトされた細胞は、マウスTLR3の発現ベクターで安定にトランスフェクトされた293HEKヒト線維芽細胞である。
【0141】
特異的なTLRを天然にまたは人工的に発現する細胞は必要に応じて、TLRによって媒介されるシグナル伝達に対して感受性であるレポーター構築物を含む。このレポーター構築物は、TLRシグナル伝達活性を検出するために用いられ得る。多数のこのようなレポーター構築物が、本発明の方法の実施に用いられ得る。1実施形態では、このレポーター構築物は、レポーター遺伝子を含み、その転写は、TLRシグナル伝達によって誘導される転写因子、例えば、NF−κBの制御下である。1実施形態では、このレポーター構築物は、NF−κB応答エレメントの制御下に置かれたルシフェラーゼ(luc)遺伝子、すなわち、NF−κB−lucを含む。このような構築物は市販されている。
【0142】
本発明は、1局面では、被験体における免疫応答を刺激するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、本発明の組成物の有効量を被験体に投与して、この被験体における免疫応答を刺激する工程を包含する。被験体に対する本発明の組成物の投与に関与する本発明のこの局面および全ての局面では、有効量は、単回の用量で投与されてもよいし、または2回以上の用量で投与されてもよい。さらに、投与は、限定はしないが、腸内投与、非経口投与、粘膜投与、局所投与および全身投与を含む、任意の適切な経路または適切な投与経路の組合せを用いて達成され得る。被験体における免疫応答を検出する方法としては、限定はしないが、本明細書に記載される方法を含む、任意の適切な方法が挙げられる。
【0143】
核酸分子の「有効量」という用語は、所望の生物学的効果をもたらすのに必須であるかまたは十分である核酸分子の量をいう。例えば、障害を処置するための本発明の核酸分子の有効量とは、癌またはウイルス、細菌、真菌もしくは寄生生物の感染を排除するのに十分な大きさの免疫応答を誘導するのに必要な量であり得る。ワクチンとしての使用のための有効量は、被験体における防御免疫応答をプライミングおよびブーストするために有用な量であり得る。任意の特定の適用のための有効な量は、処置される疾患または状態、投与される特定の核酸、被験体のサイズ、または疾患もしくは状態の重篤度のような要因に依存して変化し得る。当業者は、過度の実験を要することなく、特定のオリゴヌクレオチドの有効量を経験的に決定することが可能である。予防的ワクチンとしての使用のための有効量は、被験体における防御的な免疫応答をプライミングおよびブーストするために有用な量である。1実施形態では、防御免疫応答は、抗原特異的な免疫応答である。
【0144】
本発明は1局面では、Th1様免疫応答を被験体において刺激するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、被験体に対して本発明の組成物の有効量を投与してこの被験体においてTh1−様免疫応答を刺激する工程を包含する。
【0145】
本発明は1局面では、被験体において抗原特異的免疫応答を刺激するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、本発明の組成物の有効量を被験体に投与する工程と、この被験体と抗原とを接触させて、この被験体における抗原特異的免疫応答を刺激する工程とを包含する。この被験体と抗原との接触の工程は、抗原との能動的な接触(例えば、意図的投与)または受動的な接触(例えば、環境的な曝露)を包含し得る。1実施形態では、この方法は、ある被験体に対して本発明の組成物の有効量を投与する工程と、この被験体に対して有効量の抗原を投与してこの被験体において抗原特異的免疫応答を刺激する工程とを包含する。1実施形態では、この抗原はアレルゲンであり、そしてこの抗原特異的応答はこのアレルゲンに特異的である。1実施形態では、この抗原はウイルス抗原であり、そしてこの抗原特異的な応答は、ウイルス抗原に特異的である。1実施形態では、この抗原は、細菌抗原であり、そしてこの抗原特異的な応答は、細菌抗原に特異的である。1実施形態では、この抗原は真菌抗原であり、そしてこの抗原特異的な応答は真菌抗原に特異的である。1実施形態では、この抗原は寄生生物の抗原であり、そして抗原特異的な応答は、寄生生物の抗原に特異的である。1実施形態では、この抗原は癌抗原であり、そしてこの抗原特異的な応答は癌抗原に特異的である。
【0146】
本明細書において用いる場合、「癌抗原」および「腫瘍抗原」とは、交換可能に用いられて、癌細胞によって示差的に発現され、それによって癌細胞を標的するために利用され得る抗原をいう。癌抗原は、明らかに腫瘍特異的免疫応答を潜在的に刺激し得る抗原である。これらの抗原のいくつかはコードされているが、正常な細胞によっては必ずしも発現されない。これらの抗原は、正常な細胞において通常はサイレント(すなわち、発現されない)抗原、分化の特定の段階でのみ発現される抗原、そして胚性抗原および胎児性抗原のように一時的に発現される抗原として特徴付けられ得る。他の癌抗原は、変異体細胞遺伝子、例えば、発癌遺伝子(例えば、活性化ras発癌遺伝子)、抑制遺伝子(例えば、変異体p53)、内部欠失または染色体転位から生じる融合タンパク質によってコードされる。さらに他の癌抗原が、RNAおよびDNA腫瘍ウイルス上に担持されるウイルス遺伝子のようなウイルス遺伝子によってコードされ得る。
【0147】
本明細書において用いる場合、癌抗原とは、腫瘍または癌細胞の表面と関連しており、主要組織適合複合体(MHC)分子の状況では抗原提示細胞の表面で発現された場合、免疫応答を誘発し得る、ペプチド、タンパク質または糖タンパク質のような化合物である。癌抗原は、例えば、Cohen PAら(1994)Cancer Res 54:1055〜8に記載のように、癌細胞の粗抽出物を調製することによって、抗原を部分的に精製することによって、組み換え技術によって、または既知の抗原の新規な合成によって、癌細胞から調製され得る。癌抗原としては、限定はしないが、組み換え発現される抗原、腫瘍もしくは癌、またはそれらの細胞の免疫原性の一部、または全体が挙げられる。このような抗原は、組み換え的に、または当該分野で公知の任意の他の手段によって単離されても調製されてもよい。
【0148】
腫瘍抗原の例としては、MAGE、MART−1/Melan−A、gp100、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、アデノシンデアミナーゼ−結合タンパク質(ADAbp)、シクロフィリンb、結腸直腸関連抗原(CRC)−−C017−1A/GA733、癌胎児性抗原(CEA)およびその免疫原性エピトープCAP−1およびCAP−2、etv6、aml1、前立腺特異的抗原(PSA)およびその免疫原性エピトープPSA−1、PSA−2、およびPSA−3、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、T−細胞レセプター/CD3−ζ鎖、腫瘍抗原のMAGEファミリー(例えば、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A5、MAGE−A6、MAGE−A7、MAGE−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、MAGE−A12、MAGE−Xp2(MAGE−B2)、MAGE−Xp3(MAGE−B3)、MAGE−Xp4(MAGE−B4)、MAGE−C1、MAGE−C2、MAGE−C3、MAGE−C4、MAGE−C5)、腫瘍抗原のGAGE−ファミリー(例えば、GAGE−1、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7、GAGE−8、GAGE−9)、BAGE、RAGE、LAGE−1、NAG、GnT−V、MUM−1、CDK4、チロシナーゼ、p53、MUCファミリー、HER2/neu、p21ras、RCAS1、α−フェトプロテイン、E−カドヘリン、α−カテニン、β−カテニンおよびγ−カテニン、p120ctn、gp100Pmel117、PRAME、NY−ESO−1、cdc27、大腸腺腫様性ポリポーシスタンパク質(APC)、ホドリン、Connexin 37、Ig−イディオタイプ、p15、gp75、GM2およびGD2ガングリオシド、ウイルスの生成物、例えば、ヒトパピローマウイルスタンパク質、腫瘍抗原のSmadファミリー、lmp−1、P1A、EBV−コード核抗原(EBNA)−1、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、SSX−1、SSX−2(HOM−MEL−40)、SSX−1、SSX−4、SSX−5、SCP−1およびCT−7、ならびにc−erbB−2が挙げられる。この列挙は限定を意味するものではない。
【0149】
本明細書において用いられる微生物抗原とは、微生物の抗原であって、これには限定はしないが、ウイルス、細菌、寄生生物および真菌が挙げられる。このような抗原としては、インタクトな微生物、ならびに天然の単離物およびそのフラグメント、または誘導体、そしてまた天然の微生物抗原に対して同一であるかまたは類似であり、その微生物に特異的な免疫応答を誘発する合成化合物が挙げられる。化合物は、これが天然の微生物抗原に対する免疫応答(体液性および/または細胞性)を誘発する場合、天然の微生物抗原と同様である。このような抗原は、当該分野で慣用的に用いられて、当業者に周知である。
【0150】
この抗原は、核酸ベクターによってコードされる抗原であってもよく、または核酸ベクターにコードされなくてもよい。前者の場合、この核酸ベクターは、被験体に投与されて、抗原がインビボで発現される。後者の場合、この抗原は被験体に直接投与され得る。本明細書において用いられる、核酸ベクターにコードされない抗原とは、核酸ではない任意のタイプの抗原をいう。例えば、本発明のある局面では、核酸ベクターにコードされない抗原はポリペプチドである。ポリペプチド抗原の一次アミノ酸配列のわずかな修飾はまた、修飾されていない対応のポリペプチドに比較して、実質的に等価な抗原活性を有するポリペプチドを生じ得る。このような修飾は、部位特異的突然変異誘発によるような、故意であってもよいし、または自発性であってもよい。これらの修飾によって生じる全てのポリペプチドは、抗原性が存在さえすれば、本明細書に包含される。ポリサッカリド、低分子、模倣物などのような核酸ベクターによってコードされない他のタイプの抗原は、本発明内に含まれる。
【0151】
本発明はある実施形態では、抗原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを利用する。抗原は、この抗原がインビボで発現され得るように、この抗原をコードする核酸分子中で被験体に送達されてもよいことが想定される。核酸ベクター中で被験体に送達されるこのような抗原は、核酸ベクターによってコードされる抗原と呼ばれる。抗原をコードする核酸は、真核生物細胞内の抗原の核酸の発現を指向する遺伝子発現配列に対して作動可能に連結される。この遺伝子発現配列は、任意の調節性ヌクレオチド配列、例えば、プロモーター配列またはプロモーター−エンハンサーの組み合わせであり、それが作動可能に連結されている抗原核酸の効率的な転写および翻訳を容易にする。この遺伝子発現配列は、例えば、哺乳動物プロモーターまたはウイルスプロモーター、例えば、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターであってもよい。構成的な哺乳動物プロモーターとしては、限定はしないが、以下の遺伝子のプロモーターが挙げられる:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルベートキナーゼ、β−アクチン、および他の構成的プロモーター。真核生物細胞において構成的に機能する例示的なウイルスプロモーターとしては、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス(例えば、SV40)、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス由来のプロモーター、モロニー白血病ウイルスおよび他のレトロウイルスの長末端反復配列(LTR)、ならびに単純疱疹ウイルスのチミジンキナーゼプロモーターが挙げられる。他の構成的プロモーターは、当業者に公知である。本発明の遺伝子発現配列として有用なプロモーターとしてはまた、誘導性プロモーターが挙げられる。誘導性プロモーターは、誘導性因子の存在下で発現される。例えば、メタロチオネインプロモーターは、特定の金属イオンの存在下で転写および翻訳を促進するように誘導される。他の誘導性プロモーターは、当業者に公知である。
【0152】
概して、この遺伝子発現配列は、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列などのように、それぞれ、転写および翻訳の開始に関与する、5’非転写配列および5’非翻訳配列を必要に応じて含むものとする。特に、このような5’非転写配列は、作動可能に結合された抗原核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含む。この遺伝子発現配列は必要に応じて、エンハンサー配列または上流のアクチベーター配列を所望の場合、含む。
【0153】
この抗原核酸は、遺伝子発現配列に対して作動可能に連結される。本明細書において用いる場合、この抗原核酸配列および遺伝子発現配列は、それがこの遺伝子発現配列の影響または制御下でこの抗原コード配列の発現または転写および/または翻訳を行なうように共有結合された場合、作動可能に連結されたと言われる。2つのDNA配列は、5’遺伝子発現配列におけるプロモーターの誘導が抗原配列の転写を生じる場合、および2つのDNA配列の間の結合の性質が(1)フレームシフトの変異の導入を生じず、(2)プロモーター領域が抗原配列の転写を指向する能力を妨害せず、(3)対応するRNA転写物がタンパク質に翻訳される能力を妨害もしない場合に、作動可能に連結されると言われる。従って、遺伝子発現配列は、この遺伝子発現配列がその抗原核酸配列の転写を果たし得、その結果、得られた転写物が所望のタンパク質またはポリヌクレオチドに翻訳される場合に抗原核酸配列に対して作動可能に連結されるものである。
【0154】
本発明の抗原核酸は、免疫系に対して単独で、またはベクターとともに送達され得る。広義では、ベクターとは、抗原が免疫細胞の表面上で発現されて提示され得るように、免疫系の細胞に対する抗原核酸の移入を促進し得る任意のビヒクルである。このベクターは一般に、ベクターの非存在下で生じる分解の程度に対して低下した分解でもって核酸を免疫細胞に輸送する。このベクターは必要に応じて、免疫細胞における抗原核酸の発現を増強するために、上記の遺伝子発現配列を含む。一般に、本発明において有用なベクターとしては、限定はしないが、プラスミド、ファージミド、ウイルス、この抗原核酸配列の挿入または取り込みによって操作されているウイルスまたは細菌の供給源に由来する他のビヒクルが挙げられる。ウイルスベクターは、好ましいタイプのベクターであり、そして限定はしないが、以下のウイルスに由来する核酸配列を含む:レトロウイルス、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス、ハービー・マウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルスおよびラウス肉腫ウイルス;アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス;SV40型ウイルス;ポリオーマウイルス;エプスタイン−バーウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;およびRNAウイルス、例えばレトロウイルス。当業者は、ここに挙げていないが当該分野で公知の他のベクターを容易に使用できる。
【0155】
好ましいウイルスベクターは、必須でない遺伝子が目的の遺伝子で置換されている、非細胞変性真核生物ウイルスに基づく。非細胞変性ウイルスはレトロウイルスを含み、そのライフサイクルは、ゲノムのウイルスRNAのDNAへの逆転写を含み、これには引き続く宿主細胞DNAへのプロウイルスの組み込みを伴う。レトロウイルスは、ヒト遺伝子治療のトライアルについて承認されている。最も有用なのは、複製欠損である(すなわち、所望のタンパク質の合成を指向し得るが、感染性粒子を製造できない)レトロウイルスである。このような遺伝子操作されたレトロウイルス発現ベクターはインビボにおける遺伝子の高効率の形質導入に一般的有用性を有する。複製欠損レトロウイルスを作製するための標準的プロトコール(プラスミドへの外因性の遺伝物質の組み込みと、プラスミドでのパッケージング細胞株のトランスフェクションと、パッケージング細胞株による組み換えレトロウイルスの産生と、組織培養培地からのウイルス粒子の収集と、ウイルス粒子での標的細胞の感染の工程を含む)は、Kriegler、M.、Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual、W.H.Freeman and Co.、New York(1991)and Murray、E.J.、Methods in Molecular Biology、vol.7、Humana Press、Inc.、Cliffton、New Jersey(1991)に示される。
【0156】
特定の適用のために好ましいウイルスは、二本鎖DNAウイルスであるアデノ随伴ウイルスである。アデノ随伴ウイルスは、複製欠損となるように操作されてもよく、そして広範な細胞タイプおよび種に感染し得る。これはさらに利点、例えば、熱および脂質溶媒に対する安定性;造血細胞を含む多様な系等の細胞での高い形質導入頻度;およびこれによって多系列での形質導入が可能になる、重複感染阻害の欠失を有する。報告によれば、アデノ随伴ウイルスは、部位指向性の方式であって、これによって挿入の突然変異誘発の可能性およびレトロウイルス感染の特徴である挿入された遺伝子発現の変動を最小限にする方式で、ヒトの細胞DNAに組み込み得る。さらに、野性型のアデノ随伴ウイルス感染は、選択性の圧力の非存在下で100継代を超えて組織培養中で継続されており、このことはアデノ随伴ウイルスのゲノムの組み込みが比較的安定な事象であることを意味する。アデノ随伴ウイルスはまた、染色体外の方式で機能し得る。
【0157】
他のベクターとしてはプラスミドベクターが挙げられる。プラスミドベクターは、当該分野で広く記載されており、そして当業者に周知である。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第二版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989を参照のこと。ここ2〜3年間で、プラスミドベクターは、複製されず宿主ゲノムへ組み込まれないという理由で、インビボで細胞に遺伝子を送達するには特に有利であることが見出されている。しかし、宿主細胞と適合性であるプロモーターを有するこれらのプラスミドは、このプラスミド内で作動可能にコードされた遺伝子からペプチドを発現し得る。いくつかの一般に用いられるプラスミドとしては、pBR322、pUC18、pUC19、pRc/CMV、SV40、およびpBlueScriptが挙げられる。他のプラスミドが当業者に周知である。さらに、プラスミドは、DNAの特定のフラグメントを除去および付加するために、制限酵素およびライゲーション反応を用いてカスタム設計されてもよい。
【0158】
遺伝子を担持するプラスミドが細菌を用いて免疫系に送達され得るということが最近発見されている。Salmonellaのような細菌の改変型は、プラスミドでトランスフェクトされてもよく、そして送達ビヒクルとして用いられてもよい。細菌送達ビヒクルは、経口的にまたは他の投与方法によって宿主被験体に投与され得る。細菌は、おそらく、腸の障壁を通過することによって、免疫細胞、例えば、B細胞およびDCに対してプラスミドを送達する。高レベルの免疫防御は、この方法論を用いて達成されている。このような送達方法は、抗原、免疫刺激性核酸および/または他の治療因子の全身送達を利用する、本発明の局面に有用である。
【0159】
被験体と抗原とを接触させる工程、または被験体に抗原を投与する工程は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドの有効量を投与する前、本質的には同時に、またはその後に行なわれ得る。例えば、特定の実施形態における免疫刺激性オリゴヌクレオチドの投与は、被験体と抗原との接触の少なくとも1日前に行う。別の例では、特定の実施形態での免疫刺激性オリゴヌクレオチドの投与は、被験体と抗原との接触の少なくとも1日後に行う。少なくとも1日とは、24時間を超えて、最大4週間までを含む任意の時間を含む。個々の実施形態では、少なくとも1日とは、少なくとも:2日、3日、4日、5日、6日、1週、2週、3週、または4週である。他の実施形態では、免疫刺激性オリゴヌクレオチドを投与することは、抗原との接触または投与の24時間以内に行ってもよい。
【0160】
本発明は1局面では、被験体におけるアレルギー状態を処置するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、アレルギー状態を有するか、または発症する危険にある被験体に対して、本発明の組成物の有効量を投与して、このアレルギー状態を処置する工程を包含する。
【0161】
アレルギー状態を有する被験体とは、アレルゲンに応答するアレルギー性反応を有するか、またはそれを発症する危険にある被験体である。アレルギー性の状態とは、代表的には、アレルゲンに対する曝露によって誘発される偶発性のものである。1実施形態では、このアレルギー性の状態は、本発明の免疫刺激性組成物の投与の時点で活動的である。
【0162】
アレルギー性の状態を発症する危険にある被験体としては、アレルギー性状態を有するが、免疫刺激性核酸処置の時点では活動的な疾患を有さないと確認されている被験体、および遺伝的要因または環境要因のせいでアレルギー状態を発症するリスクがあるとみなされる被験体が挙げられる。
【0163】
アレルゲンのリストは、膨大であって、花粉、昆虫の毒液、動物の鱗屑、菌類胞子および薬物(例えば、ペニシリン)を挙げることができる。天然の動物および植物のアレルゲンの例としては、以下の属に特異的なタンパク質が挙げられる:イヌ属(Canis familiaris);Dermatophagoides(例えば、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae));ネコ属(Felis domesticus);ブタクサ属(Ambrosia)(Ambrosia artemiisfolia;ドクムギ属(Lolium)(例えば、Lolium perenneおよびLolium multiflorum);スギ属(Cryptomeria)(Cryptomeria japonica);アルテルナリア属(Alternaria)(Alternaria alternata);ハンノキ属(Alder);ハンノキ属(Alnus)(Alnus gultinosa);カバノキ属(Betula)(Betula verrucosa);カシ属(Quercus)(Quercus alba);オレア属(Olea)(Olea europa);ヨモギ属(Artemisia)(Artemisia vulgaris);オオバコ属(Plantago)(例えば、Plantago lanceolata);ヒカゲミズ属(Parietaria)(例えば、Parietaria officinalisおよびParietaria judaica);チャバネゴキブリ属(例えば、Blattella germanica);ミツバチ属(Apis)(例えば、Apis multiflorum);イトスギ属(Cupressus)(例えば、Cupressus sempervirens、Cupressus arizonicaおよびCupressus macrocarpa);ネズミサシ属(Juniperus)(例えば、Juniperus sabinoides、Juniperus virginiana、Juniperus communis、およびJuniperus ashei);クロベ属(Thuya)(例えば、Thuya orientalis);ヒノキ属(Chamaecyparis)(例えば、Chamaecyparis obtusa);ワモンゴキブリ属(Periplaneta)(例えば、Periplaneta americana);カモジグサ属(Agropyron)(例えば、Agropyron repens);Secale(例えば、Secale cereale);コムギ属(Triticum)(例えば、Triticum aestivum);カモガヤ属(Dactylis)(例えば、Dactylis glomerata);ウシノケグサ(Festuca)(例えば、Festuca elatior);イチゴツナギ属(Poa)(例えば、Poa pratensisおよびPoa compressa);カラスムギ属(Avena)(例えば、Avena sativa);シラゲガヤ属(Holcus)(例えば、Holcus lanatus);ハルガヤ属(Anthoxanthum)(例えば、Anthoxanthum odoratum);オオカニツリ属(Arrhenatherum)(例えば、Arrhenatherum elatius);ヌカボ(コヌカグサ)属(Agrostis)(例えば、Agrostis alba);アワガエリ属(Phleum)(例えば、Phleum pratense);クサヨシ属(Phalaris)(例えば、Phalaris arundinacea);スズメノヒエ属(Paspalum)(例えば、Paspalum notatum);モロコシ属(例えば、Sorghum halepensis);およびスズメノチャヒキ属(Bromus)(例えば、Bromus inermis)。
【0164】
本発明は1局面では、被験体における喘息を処置するための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、喘息を有するかまたは喘息を発症する危険にある被験体に対して、本発明の組成物の有効量を投与して喘息を処置する工程を包含する。1実施形態では喘息はアレルギー性喘息である。
【0165】
喘息を有する被験体とは、喘息を有するか、またはそれを発症する危険にある被験体である。喘息とは、代表的には偶発性で、ある時点では活動的であり、他の時点では静止状態である。1実施形態では、喘息は、本発明の免疫刺激性組成物の投与の時点で活動的である。
【0166】
喘息を発症する危険にある被験体としては、喘息を有するが、免疫刺激性核酸処置の時点では活動的な疾患を有さないと確認されている被験体、および遺伝的要因または環境要因のせいで喘息を発症するリスクがあるとみなされる被験体が挙げられる。
【0167】
本発明は1局面では、被験体における感染を処置するための方法を提供する。この実施形態による方法は、感染を有するかまたは感染を発症する危険にある被験体に対して、本発明の組成物の有効量を投与してこの感染を処置する工程を包含する。
【0168】
感染を有する被験体とは、感染性の病原体に対して曝露されており、身体においてこの病原体の急性または慢性の検出可能なレベルを有する被験体である。免疫刺激性核酸は、抗原特異的な全身または粘膜の免疫応答を上昇させるために抗原とともに用いられてもよく、これによって感染性病原体のレベルを低下させるかまたは根絶し得る。
【0169】
感染を発症する危険にある被験体とは、特定のタイプの感染性因子が見出される地域で生活しているか、またはその地域に対する旅行を計画している被験体であってもよい。感染を発症する危険にある被験体は、ライフスタイル、環境または医学的手順が感染性生物体に暴露される被験体であってもよい。感染を発症する危険にある被験体としてはまた、医療機関が特定の感染性生物体抗原でのワクチン接種を推奨する一般的な集団が挙げられる。
【0170】
1実施形態では、感染とはウイルス感染である。この方法は特に、本発明の有効量の組成物がウイルス感染の早期に投与される場合、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスでのウイルス感染の処置においてさえ有用であり得ると本発明者らは考えている。いかなる理論にも機構にも束縛されることは意味しないが、本発明の組成物の早期の投与は、ウイルスに対する有効な免疫応答をブーストまたは加速して、それによってウイルス感染を処置すると本発明者らは、考えている。
【0171】
ヒトで見出されているウイルスの例としては、限定はしないが:レトロウイルス科(例えば、ヒト免疫不全ウイルス、例えば、HIV−1(HTLV−III、LAVまたはHTLV−III/LAV、またはHIV−IIIとも呼ばれる;および他の単離体、例えば、HIV−LP;ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カリシウイルス科(Calciviridae)(例えば、胃腸炎を生じる株);トガウイルス科(例えば、ウマ脳症ウイルス、風疹ウイルス);フラビウイルス科(例えば、デング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);コロナウイルス科(例えば、コロナウイルス);ラブドウイルス科(例えば、水泡性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(例えば、エボラウイルス);パラミクソウイルス科(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス);ブニヤウイルス科(例えば、ハンタンウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルスおよびナイロビウイルス);アレナウイルス科(出血熱ウイルス);レオウイルス科(例えば、レオウイルス、オルビウイルスおよびロタウイルス);ボルナウイルス科;ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(パルボウイルス);パポバウイルス科(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(ほとんどのアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(単純疱疹ウイルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス;ポックスウイルス科(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびイリドウイルス科(例えば、アフリカ豚コレラウイルス(アフリカ豚熱ウイルス));および非古典的ウイルス(例えば、δ肝炎の因子(B型肝炎ウイルスの欠損性サテライトであると考えられる)、C型肝炎;ノーウォークおよび関連のウイルス、およびアストロウイルス)が挙げられる。
【0172】
別の実施形態では、感染は細菌感染である。細菌としては、限定はしないが、パスツレラ(Pasteurella)種、ブドウ球菌(Staphylococci)種、連鎖球菌(Streptococcus)種、Escherichia coli、シュードモナス(Pseudomonas)種、およびサルモネラ(Salmonella)種が挙げられる。感染性細菌の特異的な例としては、限定はしないが、Helicobacter pyloris、Borrelia burgdorferi、Legionella pneumophilia、Mycobacteria(マイコバクテリア)sps(例えば、M.tuberculosis、M.avium、M.intracellulare、M.kansasii、M.gordonae)、Staphylococcus aureus、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Listeria monocytogenes、Streptococcus pyogenes(A群連鎖球菌)、Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)、Streptococcus(ビリダンス群)、Streptococcus faecalis、Streptococcus bovis、Streptococcus(嫌気性 sps.)、Streptococcus pneumoniae、Campylobacter(病原性カンピロバクター)sp.、Enterococcus(腸球菌)sp.、Haemophilus influenzae、Bacillus anthracis、Corynebacterium diphtheriae、コリネバクテリウム(Corynebacterium)sp.、Erysipelothrix rhusiopathiae、Clostridium perfringens、Clostridium tetani、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Pasturella multocida、Bacteroides(バクテロイデス)sp.、Fusobacterium nucleatum、Streptobacillus moniliformis、Treponema pallidum、Treponema pertenue、レプトスピラ(Leptospira)、リケッチア(Rickettsia)、およびActinomyces israeliiが挙げられる。
【0173】
別の実施形態では、感染は真菌の感染である。真菌としては、酵母およびカビが挙げられる。真菌の例としては、限定はしないが、Aspergillus fumigatusを含むAspergillus(アスペルギルス)spp、Blastomyces dermatitidis、Candida albicansを含むCandida(カンジダ)spp、Coccidioides immitis、Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Pneumocystis carinii、Rhizomucor spp、およびRhizopus spp.が挙げられる。
【0174】
他の感染性微生物(すなわち、原生生物)としては、Plasmodium(プラスモジウム)spp.、例えば、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium ovale、およびPlasmodium vivax、およびToxoplasma gondiiが挙げられる。血液由来のおよび/または組織の寄生生物としては、Plasmodium(プラスモジウム)spp.、Babesia microti、Babesia divergens、Chlamydia trachomatis、Leishmania tropica、Leishmania spp.、Leishmania braziliensis、Leishmania donovani、Trypanosoma gambienseおよびTrypanosoma rhodesiense(アフリカ睡眠病)、Trypanosoma cruzi(シャーガス病)、およびToxoplasma gondiiが挙げられる。
【0175】
他の医学的に関連する微生物は、文献に広範に記載されている。例えば、その内容全体が参照によって本明細書に援用される、C.G.A Thomas、Medical Microbiology、Bailliere Tindall、Great Britain 1983を参照。
【0176】
本発明は1局面では、被験体において癌を処置する方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、癌を有するかまたは発症するリスクの被験体に対して、本発明の組成物の有効量を投与してこの癌を処置する工程を包含する。
【0177】
癌を有する被験体とは、検出可能な癌細胞を有する被験体である。癌とは、悪性の癌であっても非悪性の癌であってもよい。癌または腫瘍としては、限定はしないが、胆道癌;脳腫瘍;乳癌;子宮頸癌;絨毛癌;結腸癌;子宮内膜癌;食道癌;胃癌;上皮内新生物;リンパ腫;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞および非小細胞);黒色腫;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;腎臓癌;肉腫;皮膚癌;精巣癌;および甲状腺癌、ならびに他の癌腫および肉腫が挙げられる。1実施形態では、癌は毛状細胞白血病(hairy cell leukemia)、慢性骨髄性白血病、皮膚T−細胞白血病、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、扁平上皮細胞癌、腎細胞癌、前立腺癌、膀胱細胞癌、または結腸癌である。
【0178】
癌を発症するリスクの被験体とは、癌を発症する可能性が高い被験体である。これらの被験体としては、例えば、遺伝的異常であってその存在は癌を発症する可能性の高さと相関関係を有することが示されているかまたは有することが実証され得る異常を有する被験体、およびタバコ、アスベストまたは多の化学的毒素のような癌発症因子に曝された被験体、または癌について以前に処置されており明白に寛解している被験体が挙げられる。癌を発症するリスクの被験体を、この被験体が発症する危険にあるタイプの癌に特異的な抗原および免疫刺激性核酸で処置した場合、この被験体は、癌が発症した場合この癌細胞を殺傷し得る。この被験体内で腫瘍が形成し始めた場合、この被験体は、この腫瘍抗原に対して特異的な免疫応答を発達させる。
【0179】
(スクリーニング方法)
本発明は、別の局面では、TLRのアンタゴニストをスクリーニングするための方法を提供する。本発明のこの局面による方法は、TLRを発現する参照細胞と本発明の組成物の有効量とを、TLRの候補アンタゴニストの非存在下で接触させて、TLRによるシグナル伝達の参照量を測定する工程と;TLRを発現する試験細胞とこの組成物の有効量とを、TLRの候補アンタゴニストの存在下で接触させて、TLRによるシグナル伝達の試験量を測定する工程と;シグナル伝達の参照量がシグナル伝達の試験量を超える場合、TLRのこの候補アンタゴニストがTLRのアンタゴニストであることを確認する工程とを包含する。参照細胞および試験細胞は各々が、上記のように、TLRを天然に発現しても、または人工的に発現してもよい。1実施形態では、参照細胞および試験細胞は各々が、細胞の共通の集団、例えば、単一のドナーから採取されたPBMC、またはTLRについての発現ベクターで安定にトランスフェクトされた293HEK細胞の代表である細胞である。種々の特異的な実施形態では、TLRは、TLR8、TLR7、またはTLR3から選択され得る。
【0180】
(免疫刺激性効果の測定)
本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドの免疫刺激性効果は、インビトロまたはインビボで任意の適切な方法を用いて測定され得る。このような測定の基礎は、細胞増殖;限定はしないが特にTLRシグナル伝達を含む細胞内シグナル伝達;可溶性の産物、例えば、サイトカイン、ケモカインまたは抗体の発現;表面抗原分類(CD)抗原のような細胞表面マーカーの発現;またはアポトーシスおよびNK細胞の細胞傷害性のような機能的活性;の測定に関与し得る。このようなタイプの測定を行うための方法は、当該分野で周知であり、そしてこれには、限定はしないが、トリチウムチミジンの取り込み、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、バイオアッセイ、蛍光活性化細胞分類、イムノブロット(ウエスタンブロット)アッセイ、ノーザンブロットアッセイ、ターミナルデオキシヌクレオチドトランスフェラーゼdUTPニック末端標識(TUNEL)アッセイ、逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)アッセイ、およびクロム遊離アッセイを挙げることができる。測定は、定量的であっても定性的であってもよい。
【0181】
特定の実施形態では、測定は、Th1様免疫応答に特異的に行われる。このような測定は、上記のような、Th1様免疫応答と関連している特定のサイトカイン、ケモカイン、抗体アイソタイプ、および細胞活性の測定を包含し得る。
【0182】
1実施形態では、測定は、特にTLRシグナル伝達活性について行われる。このような測定は、直接的でも間接的でもよく、代表的には、それらの測定は、TLRによって媒介される細胞内シグナル伝達経路のいくつかの成分によって影響される遺伝子の発現または活性の測定を包含する。
【0183】
ヒトおよびマウスのTLR8のヌクレオチドおよびアミノ酸配列が公知である。例えば、その全ての内容が参照によって全体として本明細書に援用される、GenBankアクセッション番号AF246971、AF245703、NM_016610、XM_045706、AY035890、NM_133212;およびAAF64061、AAF78036、NP_057694、XP_045706、AAK62677、およびNP_573475を参照のこと。ヒトTLR8は、1つは1041アミノ酸長であって、もう一方は1059アミノ酸長である少なくとも2つのアイソマー、に存在することが報告される。マウスTLR8は、1032アミノ酸長である。TLR8ポリペプチドは、ロイシン−リッチリピート領域を有する細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよびTIRドメインを含む細胞内ドメインを含む。
【0184】
ヒトおよびマウスのTLR7のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は公知である。例えば、その全ての内容が参照によって全体として本明細書に援用されるGenBankアクセッション番号、AF240467、AF245702、NM_016562、AF334942、NM_133211;およびAAF60188、AAF78035、NP_057646、AAL73191、およびAAL73192を参照のこと。ヒトTLR7は、1049アミノ酸腸であることが報告されている。マウスTLR8は1050アミノ酸長であることが報告されている。TLR7ポリペプチドは、ロイシン−リッチリピート領域を有する細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよびTIRドメインを含む細胞内ドメインを含む。
【0185】
ヒトおよびマウスのTLR3のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は公知である。例えば、その全ての内容が参照によって全体として本明細書に援用されるGenBankアクセッション番号、NM_003256およびU88879(ヒト、cDNA);NP_003256およびAAC34134(ヒト、アミノ酸);NM_126166およびAF355152(マウス、cDNA);およびNP_569054およびAAK26117(マウス、アミノ酸)。ヒトTLR3は、ロイシン−リッチリピートを有する細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよびインターロイキン1型レセプターのファミリーのシグナル伝達ドメインと同様の細胞内セグメントによって少なくとも一部は特徴付けられる904アミノ酸のポリペプチドである。マウスTLR3は、ロイシン−リッチリピートを有する細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよびインターロイキン1型レセプターのファミリーのシグナル伝達ドメインと同様の細胞内セグメントによって少なくとも一部は特徴付けられる905アミノ酸のポリペプチドである。
【0186】
TLRによるシグナル伝達は、他のTLRファミリーのメンバーによるシグナル伝達と同様に、NF−κB活性化を生じる。TLRシグナル伝達は最近、いくつかの他のTLRファミリーのメンバーによるシグナル伝達よりもいくらか複雑であることが報告されている。詳細には、TLR3は、MyD88に依存してシグナル伝達経路を通じたサイトカイン産生を誘導するが、ポリ(I:C)は依然として、MyD88−依存性マクロファージにおけるNF−κBおよびMAPキナーゼの活性化を誘導し得、さらに、NF−κBおよびMAPキナーゼのTLR3媒介性活性化が報告によれば、シグナル伝達成分TLR3、TRAF6、TAK1、TAB2、およびプロテインキナーゼRNA−調節(PKR)を使用するIRAK依存性経路を通じて生じ得る。Jiang Zら(2003)J Biol Chem 278:16713〜9。TLR3シグナル伝達機構のいくつかの特異的な詳細にかかわらず、TLR3シグナル伝達は、NF−κB活性化を生じることに注目すべきである。
【0187】
(投薬および投与)
本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、単独で用いられてもよいし、それ自体と組み合わされてもよいし、別の因子と組み合わされてもよいし、またはそれ自体とそして別の因子と組み合わせて投与されてもよい。本明細書に記載される結合体に加えて、別の因子と組み合わせた免疫刺激性オリゴヌクレオチドはまた、所望の効果を達成するために一緒に用いられる、別々の組成物であってもよい。例えば、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび第二の因子は、一緒に混合されて、そして被験体に投与されてもよく、または組み合わせとして細胞と接触させられてもよい。別の例としては、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび第二の因子は、被験体に投与されても、種々の時点で細胞と接触させられてもよい。さらに別の例として、免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび第二の因子は、種々の投与部位で被験体に投与されてもよい。
【0188】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/または抗原および/または他の治療剤は、単独で(例えば、生理食塩水または緩衝液中で)、または当該分野で公知の任意の送達ビヒクルを用いて投与され得る。例えば、以下の送達ビヒクルが記載されている:蝸牛状物(cochleate)(Gould−Fogeriteら、1994、1996);エマルゾーム(emulsome)(Vancottら、1998、Lowellら、1997);ISCOM(Mowatら、1993、Carlssonら、1991、Hu et.、1998、Moreinら、1999);リポソーム(Childersら、1999、Michalekら、1989、1992、de Haan 1995a、1995b);生きた細菌ベクター(例えば、Salmonella、Escherichia coli、カルメット・ゲラン桿菌(bacillus Calmette−Guerin)、Shigella、Lactobacillus)(Honeら、1996、Pouwelsら、1998、Chatfieldら、1993、Stoverら、1991、Nugentら、1998);生きたウイルスベクター(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、単純疱疹(ヘルペス))(Gallichanら、1993、1995、Mossら、1996、Nugentら、1998、Flexnerら、1988、Morrowら、1999);マイクロスフェア(Guptaら、1998、Jonesら、1996、Maloyら、1994、Mooreら、1995、O’Haganら、1994、Eldridgeら、1989);核酸ワクチン(Fynanら、1993、Kuklinら、1997、Sasakiら、1998、Okadaら、1997、Ishiiら、1997);ポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース、キトサン)(Hamajimaら、1998、Jabbal−Gillら、1998);ポリマー環(Wyattら、1998);プロテオソーム(Vancottら、1998、Lowellら、1988、1996、1997);フッ化ナトリウム(Hashiら、1998);トランスジェニック植物(Tacketら、1998、Masonら、1998、Haqら、1995);ビロゾーム(Gluckら、1992、Mengiardiら、1995、Cryzら、1998);ウイルス様粒子(Jiangら、1999、Leiblら、1998)。他の送達ビヒクルが当該分野で公知である。
【0189】
上記のように、「有効量(effective amount)」という用語は一般に、所望の生物学的効果をもたらすのに必要であるかまたは十分である量をいう。本明細書に提供される教示と組み合わせれば、種々の活性化合物のなかでの選択、ならびに、力価、相対的なバイオアベイラビリティー、患者の体重、有害な副作用の重篤度および好ましい投与形態のような因子の重み付けによって、実質的な毒性を生じず、さらに特定の被験体を処置するのに完全に有効である、有効な予防的または治療的な処置レジメンが計画され得る。任意の特定の適用のための有効量は、処置されている疾患または状態、投与される特定のオリゴヌクレオチド、被験体のサイズまたは疾患もしくは状態の重篤度のような因子に依存し得る。当業者は、特定の免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/または抗原および/または他の治療因子の有効量を過度の実験の必要性なしに経験的に決定し得る。
【0190】
全身的または局所的な送達のための本明細書に記載される化合物の対象用量は代表的には、1投与あたり約10ng〜10mgの範囲におよび、これは、適用次第で、毎日、毎週または毎月、そしてその間の任意の他の時間量で、またはそうでなければ必要時に投与されてもよい。さらに代表的には全身用量または局所用量は、1投与あたり約1μg〜1mg、そして最も代表的には約10μg〜100μgにおよび、2〜4回の投与が数日または数週間離れて行われる。非経口投与にはより高用量が必要とされ得る。しかし、ある実施形態では、これらの目的のための非経口投与は、上記での代表的な用量よりも5〜10,000倍高い範囲で用いられてもよい。
【0191】
本明細書に記載される任意の化合物について、治療上有効な量は、動物モデルから最初に決定され得る。投与量は、投与される化合物の相対的なバイオアベイラビリティーおよび投与される化合物の力価に基づいて調節され得る。上記の方法および当該分野で周知の他の方法に基づいて最大の有効性を達成するための用量の調節は、当業者の能力の十分に範囲内である。
【0192】
(投与経路)
臨床的使用のためには、本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、単独で投与されてもよいし、または所望の治療的結果を達成するのに有効である任意の適切な投与経路を介して送達複合体として処方されてもよい。投与経路としては、経腸的および非経口的な投与経路が挙げられる。経腸的な投与経路の例としては、経口、胃、腸内および直腸が挙げられる。非経口的な投与経路の非限定的な例としては、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、クモ膜下腔内、局所注射、局所、鼻腔内、粘膜および肺が挙げられる。
【0193】
(処方物)
本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、被験体に対して直接投与されてもよいし、または核酸送達複合体と組み合わせて投与されてもよい。核酸送達複合体は、標的化手段(例えば、標的細胞に対してより高い親和性を生じる分子)と会合された(例えば、イオン的にまたは共有結合的に結合するか;またはその中にカプセル化されて)核酸分子を意味するものとする。核酸送達複合体の例としては、ステロール(例えば、コレステロール)、脂質(例えば、カチオン性脂質、ビロソーム、ウイルス様粒子(VLP)、またはリポソーム)または標的細胞特異的な結合因子(例えば、標的細胞特異的なレセプターによって認識されるリガンド)と会合した核酸が挙げられる。好ましい複合体は、標的細胞による内部移行の前に有意なカップリングを妨げるようにインビボで十分に安定であり得る。しかし、この複合体は、オリゴヌクレオチドが機能的な形態で放出されるように、細胞内の適切な条件下で切断され得る。
【0194】
経口投与については、化合物(すなわち、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、抗原および/または他の治療因子)は、活性化合物(単数または複数)と当該分野で周知の薬学的に受容可能なキャリアとを組み合わせることによって容易に処方され得る。このようなキャリアによって、本発明の化合物は、処置されるべき被験体による経口摂取のために錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液体、ジェル、シロップ、スラリー、懸濁剤などとして処方することが可能になる。経口使用のための薬学的な調製物は、所望の場合、錠剤または糖衣錠コアを得るために、安定な補助剤の添加後に、必要に応じて、得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工して、固体の賦形剤として得られてもよい。適切な賦形剤は詳細には、充填剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシルメチル・セルロース・ナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP)などである。所望の場合、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムが添加されてもよい。必要に応じて経口処方物はまた、内部の酸性状態を中和するための生理食塩水もしくは緩衝液に処方されてもよく、または任意のキャリア内で投与されてもよい。
【0195】
糖衣錠のコアは、適切なコーティングを設けられる。この目的のために、濃縮された糖溶液が用いられてもよく、これは必要に応じて、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含んでもよい。染料または顔料が、同定のために、または活性化合物の用量の種々の組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠のコーティングに加えられてもよい。
【0196】
経口的に用いられ得る薬学的調製物としては、ゼラチン製の押込み型のカプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールから作成された軟性の密閉されたカプセルが挙げられる。この押込み型のカプセルは、ラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤、および/または、滑石もしくはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、および必要に応じて安定化剤と混合して活性成分を含んでもよい。軟性のカプセルでは、活性化合物は、適切な液体、例えば、脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール中に溶解されても、または懸濁されてもよい。さらに、安定化剤が添加されてもよい。経口投与のために処方されたマイクロスフェアも用いられてもよい。このようなマイクロスフェアは、当該分野で十分に規定されている。経口投与のための全ての処方物が、このような投与のために適切な糖衣錠中であるべきである。
【0197】
口腔投与のためには、この組成物は、従来の様式で処方された錠剤またはトローチ剤(lozenge)の形態をとってもよい。
【0198】
この化合物は、肺の気道に対する、特には気管支そしてさらに詳細には肺深部の肺胞への、標準的な吸入デバイスを用いた吸入によって投与されてもよい。この化合物は、圧縮パックまたはネブライザーからのエアロゾル噴霧提示の形態で、適切な噴霧剤、例えば、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガスの使用とあわせて、送達され得る。圧縮されたエアロゾルの場合、投与単位は、一定量を送達するためのバルブを設けることによって決定され得る。吸入装置は、被験体に化合物を送達するために用いられ得る。本明細書において用いる場合、吸入装置とは、エアロゾル、例えば、化合物の乾燥粉末型を投与するための任意のデバイスである。このタイプの装置は、当該分野で周知であり、そしてRemington:The Science and Practice of Pharmacy、第19版、1995、Mac Publishing Company、Easton、Pennsylvania、1676〜1692頁に見出される説明のように詳細に記載されている。米国特許第6,116,237号のような、多くの米国特許も、吸入デバイスを記載している。
【0199】
「粉末(powder)」とは、本明細書において用いる場合、微細に分散された固体粒子からなる組成物をいう。好ましくは、この化合物は、比較的自由流動し、吸入デバイスに分散され得、そして引き続いて被験体によって吸入されて、その結果その化合物は肺に到達して、肺胞への浸透が可能になる。「乾燥粉末(dry powder)」とは、この粒子がエアロゾルを形成する吸入デバイスに容易に分散可能であるような含水量を有する粉末組成物をいう。この含水量は一般に、水が約10重量%(%w)未満であり、そしてある実施形態では、約5重量%未満、そして好ましくは約3重量%未満である。この粉末は、ポリマーと処方されてもよく、または必要に応じて、他の物質、例えば、リポソーム、アルブミンおよび/または他のキャリアとともに処方されてもよい。
【0200】
エアロゾル投与および送達系は、例えば、Gonda、I.「Aerosols for delivery of therapeutic and diagnostic agents to the respiratory tract,」Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、6:273〜313(1990)、およびMoren、「Aerosol dosage forms and formulations,」 Aerosols in Medicine.Principles、Diagnosis and Therapy、Morenら編、Elsevier、Amsterdam、1985に記載されるように、当業者による特定の治療適用のために選択され得る。
【0201】
この化合物は、それを全身に送達することが所望される場合、注射による、例えば、ボーラス注射または連続注入による、非経口投与のために処方され得る。注射用処方物は、単位用量の剤形で、例えば、アンプル中にまたは多用量の容器中に、添加された防腐剤とともに存在してもよい。この組成物は、油状または水性のビヒクル中で、懸濁液、溶液またはエマルジョンのような形態をとってもよく、そして懸濁剤、安定化剤および/または分散剤のような処方因子を含んでもよい。
【0202】
非経口投与のための薬学的処方物としては、水溶性型での活性化合物の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油状の注射懸濁液として調製されてもよい。適切な親油性の溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えば、ゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリド、またはリポソームが挙げられる。水性の注射溶液は、懸濁液の粘度を増大する物質、例えば、カルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含んでもよい。必要に応じて、この懸濁液はまた、適切な安定化剤、または化合物の溶解度を向上して高度に濃縮された溶液の調製を可能にする因子を含んでもよい。
【0203】
あるいは、この活性化合物は、適切なビヒクル、例えば、滅菌のパイロジェンフリーの水との、使用前の、構成のために粉末型であってもよい。
【0204】
この化合物はまた、例えば、従来の坐剤の基剤、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドを含む、坐剤または滞留式浣腸のような、直腸または膣の組成物に処方されてもよい。
【0205】
以前に記載された処方物に加えて、この化合物はまた、デポ調製物として処方されてもよい。このような長時間作用性処方物は、適切なポリマー性もしくは疎水性の物質(例えば、受容可能なオイル中のエマルジョンとして)もしくはイオン交換樹脂とともに、または難溶性の誘導体として、例えば、難溶性の塩として処方されてもよい。
【0206】
この薬学的組成物はまた、適切な固相またはゲル相のキャリアまたは賦形剤を含んでもよい。このようなキャリアまたは賦形剤の例としては、限定はしないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチンおよびポリマー、例えばポリエチレングリコールが挙げられる。
【0207】
適切な液体または固体の薬学的調製物の形態は、例えば、吸入のための水性もしくは生理食塩水の溶液であるか、マイクロカプセル化されるか、エンコヒレート(encochleate)化されるか、顕微鏡的に金粒子上にコーティングされるか、リポソームに含まれるか、噴霧されるか、エアロゾルであるか、皮膚への移植のためのペレットであるか、または皮膚にスクラッチされる先鋭な物体上に乾燥される。薬学的組成物としてはまた、顆粒、粉末、錠剤、コーティング錠剤、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、エマルジョン、懸濁液、クリーム、ドロップまたは活性化合物の持続的な放出を伴う調製物であって、その調製物の賦形剤および添加物および/または補助剤、例えば、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、潤滑剤、香味料、甘味料または可溶化剤が上記のように習慣的に用いられる調製物が挙げられる。薬学的組成物は、種々の薬物送達系における使用のために適切である。薬物送達のための方法の簡潔な概説については、参照によって本明細書に援用される、Langer R(1990)Science 249:1527〜33を参照のこと。
【0208】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび必要に応じて他の治療剤および/または抗原は、それ自体で(そのままで)、または薬学的に受容可能な塩の形態で投与されてもよい。医薬中で用いられる場合、塩は、薬学的に受容可能でなければならないが、薬学的に受容可能でない塩が、その薬学的に受容可能な塩を調製するために都合よく用いられ得る。このような塩としては、限定はしないが、以下の酸から調製される塩が挙げられる:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸。また、このような塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えば、カルボン酸基のナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩として調製され得る。
【0209】
適切な緩衝剤としては:酢酸および塩(1〜2%w/v);クエン酸および塩(1〜3%w/v);ホウ酸および塩(0.5〜2.5%w/v);ならびにリン酸および塩(0.8〜2%w/v)が挙げられる。適切な防腐剤(保存剤)としては、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%w/v);クロロブタノール(0.3〜0.9%w/v);パラベン(0.01〜0.25%w/v)およびチメロサール(0.004〜0.02%w/v)が挙げられる。
【0210】
本発明の薬学的組成物は、有効量の免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび必要に応じて抗原および/または必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアに含まれる他の治療剤を含む。薬学的に受容可能なキャリアという用語は、ヒトまたは他の脊椎動物に対する投与に適切である1つ以上の適合性の固体または液体の充填剤、希釈剤またはカプセル化物質を意味する。キャリアという用語は、適用を容易にするための活性成分が組み合わされる、天然または合成の、有機または無機の成分をいう。薬学的組成物の成分はまた、本発明の化合物と、そしてお互いに、所望の薬学的な有効性を実質的に障害する相互作用のない様式で混ぜ合わされてもよい。
【0211】
本発明は、以下の実施例によってさらに例証されるが、これはさらなる限定として解釈されるべきではない。
【実施例】
【0212】
(実施例1)
(TLRシグナル伝達を検出するためのインビトロの方法)
ヒトTLRおよびNF−κB−ルシフェラーゼレポーター構築物(hTLR3−NFκB−293)で安定にトランスフェクトされたHEK293細胞上でNF−κB−ルシフェラーゼ読み取りによって免疫刺激に関する分析を行った。要するに、細胞を免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたは他の試験因子またはコントロールの因子と、所定の期間、代表的には16時間、接触させ、次いで、照度計で分析した。放射光は、NF−κB活性化に直接比例して変化した。
【0213】
免疫刺激のための分析も、ヒト末梢血単球性細胞(PBMC)アッセイで、TNF−α、IFN−α、およびIL−12 p40サイトカイン産生について行った。要するに、健常なヒトドナーから得たPBMCを、免疫刺激性オリゴヌクレオチドまたは他の試験因子またはコントロールの因子と所定の期間、代表的には16時間、接触させ、次いで、細胞上清を、適切なサイトカイン特異的な酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いてサイトカインについて分析した。
【0214】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドの効果は、所定の実験でオリゴヌクレオチド濃度の量または濃度を滴定することによって評価した。免疫刺激性オリゴヌクレオチド濃度の効果は、EC50(免疫刺激性オリゴヌクレオチドが最大効果に比較して50%有効である濃度)として表した。所定の免疫刺激性オリゴヌクレオチドの力価を、最大刺激指数(SIマックス;最大倍数は未処理のコントロールのものを超えるシグナルで増大する)または最大活性として表した。
【0215】
(実施例2)
(オルトミクソウイルス科)
以下は、オルトミクソウイルス科のファミリーに属する以下のウイルスの3’末端(左から右に読んで、5’から3’を示す、末端の26マー)を列挙する。ダッシュ(−)は、示した位置での、インフルエンザA PR/8/34(Cambridge)H1N1 PB2との配列同一性を示す。
【0216】
【数21】

【0217】
【数22】

(実施例3)
(パラミクソウイルス科)
以下は、パラミクソウイルス科のファミリーに属する以下のウイルスの3’末端(左から右に読んで、5’から3’を示す、末端の20マー)を列挙する。ダッシュ(−)は、示した位置での、センダイ(Sendai)ウイルスとの配列同一性を示す。
【0218】
【数23】

(実施例4)
(フラビウイルス科)
以下は、フラビウイルス科のファミリーに属する以下のウイルスの3’末端(左から右に読んで、5’から3’を示す、末端の24マー)を列挙する。ダッシュ(−)は、示した位置での、マーブルグ(Marburg)ウイルスとの配列同一性を示す。
【0219】
【数24】

(実施例5)
(ヒトPBMCは、一本鎖マイナス−センスRNAウイルスのゲノムRNAの3’末端の代表的な安定化されたORNに応答してサイトカインを分泌する)
一本鎖のネガティブ鎖RNAウイルスの3’ゲノムのRNAが免疫刺激性であるか否かに関する仮説を試験した。5つの実験ウイルスから20マーのオリゴヌクレオチド(ORN)を選択して、ホスホロチオエート骨格と化学的に合成した。コントロール配列として、配列特異性を実証するために、インフルエンザA配列の相補的な鎖を用いた(ORN5)。この試験配列を、インビトロ培養物中でヒトPBMCに用量滴定して、サイトカインの放出パターンをモニターした。用量滴定の結果を分析して、EC50および最大のサイトカイン放出値を得た。全ての試験配列は免疫刺激的であったが、コントロール配列はそうではなかった。このデータによって、一本鎖のネガティブ鎖RNAウイルスの3’のゲノムRNAが、配列依存性の様式で免疫刺激性であることが実証される。
【0220】
健常な男性または女性のヒトのドナー由来の末梢血バフィーコート調製物は、University of Dusseldorf(Germany)のBlood Bankから入手して、これから、Ficoll−Hypaque(Sigma)での遠心分離によってPBMCを精製した。精製されたPBMCは、あらゆるアッセイ中で新鮮に用い、従って、5%(v/v)熱不活性化ヒトAB血清(BioWhittaker、Belgium)または10%(v/v)熱不活化ウシ胎仔血清(FCS)、1.5mM L−グルタミン、100U/ml ペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン(全てSigma由来)を補充したRPMI 1640培養培地中に再懸濁した。
【0221】
新鮮なPBMCは、3×10/ml〜5×10/mlの濃度で再懸濁して、96−ウェルの丸底プレート(150μl/ウェル)に添加した。細胞をプレートした後、オリゴリボヌクレオチド(ORN)に加えてDOTAPを、3倍階段希釈を用いて、種々の時点で添加した。DOTAPの出発濃度は、50μg/mlで、ORNについては5μMであった。湿式インキュベーター中で37℃で細胞を培養した。培養上清を16時間後に収集して、直ちに用いない場合は、必要になるまで−20℃で凍結させた。
【0222】
上清中のサイトカインの定量的分析は、市販の抗体(それぞれ、Becton Dickinson/PharmingenまたはPBL;GermanyまたはUSAより)を用いて発色させた、市販の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キット(IFN−γまたはTNF−α;Diaclone、USA、IL−12 p40;Pharmingen)または独自仕様のELISA(IFN−α)を用いて評価した。代表的な結果を表2〜4に示す。
【0223】
【数25】

【0224】
【数26】

(実施例6)
(4マーのモチーフについての原理の証明)
本実施例は、提唱された4マーのモチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’の免疫刺激能を実証する。原理の証明のためには、UUGUまたはUUUUから選択された4マーのRNAモチーフを、各々のNが独立して任意の塩基A、G、U、またはCであるホスホロチオエートポリN組成物内でネスト化した。この骨格は、RNA骨格またはキメラRNA:DNA骨格のいずれかから構成され、このNはRNAを示し、dNはDNAを示す。オリゴヌクレオチドは、以下を含んだ:
【0225】
【数27】

ヒトPBMCを、実施例5に記載されたのと同様に刺激して、サイトカイン産生についてアッセイした。代表的な結果を表5〜7に示す。
【0226】
【数28】

【0227】
【数29】

(実施例7)
(キメラRNA:DNAオリゴヌクレオチドによるサイトカイン誘導)
本実施例は、本発明の特定のキメラRNA:DNAオリゴヌクレオチドがヒトPBMCによるサイトカイン分泌を刺激する能力を記載する。サイトカインの誘導および検出は、オリゴヌクレオチドとして以下のキメラRNA:DNAオリゴヌクレオチドを用いて、実施例5に記載されるように行ったが、ここでdT、dC、dG、およびdAはデオキシリボヌクレオチドを示しGおよびUは、リボヌクレオチドを示す。
【0228】
【数30】

ORN12およびORN13は両方とも、ホスホロチオエート骨格を有する。さらに、ORN12は排他的に3’−5’ヌクレオチド間結合を有するが、ORN13は、GUUGUGUdAを相互接続する2’−5’ヌクレオチド間結合を有する。代表的な結果を表8〜10に示す。
【0229】
【数31】

【0230】
【数32】

(実施例8)
(キメラRNA:DNAオリゴヌクレオチドによるTLR刺激)
本実施例は、キメラRNA:DNA結合体オリゴヌクレオチドによるTLR8およびTLR9と、排他的に3’−5’ヌクレオチド間結合を有するホスホロチオエート骨格との組み合わせた刺激を実証する。ヒトTLR8またはヒトTLR9およびNF−κB−ルシフェラーゼレポーター構築物のいずれかで安定にトランスフェクトされたHEK293細胞において、シグナル形質導入の刺激および測定を、実施例1に本質的に記載されるとおり行った。キメラRNA:DNAオリゴヌクレオチドは実施例7に示したとおりであった。結果を表11に示す。結果は、EC50(μM)として表し、刺激指数(SI)=リガンド−パルスした細胞におけるNF−κB−ルシフェラーゼ活性の誘導倍数。
【0231】
【数33】

キメラRNA:DNAオリゴヌクレオチド ORN12は、TLR8およびTLR9を通じて効果的に作用した。しかし、ORNにおける内部リボヌクレオチド結合が、2’−5’(ORN 13)に変化された場合、TLR8活性は失われたが、TLR9活性は維持された。この結果によって、TLRについて1つおよびTLR9について1つという、2つのTLRモチーフを有するおかげでこのキメラは、それぞれのレセプターを特異的に刺激することができるということが実証される。
【0232】
(実施例9)
(新規な免疫刺激性プロフィールを有するRNA含有オリゴヌクレオチドへのCpGオリゴデオキシヌクレオチドの変換)
本実施例によって、TLR9を刺激する能力を反映する免疫刺激性プロフィールを有するCpGオリゴデオキシヌクレオチドが、特定のリボヌクレオチドによる特定のデオキシヌクレオチドの置換によって、TLR7および/またはTLR8を刺激する能力の反映であると考えられる新規でかつさらなる免疫刺激性特性を有するように改変され得るということが実証される。また、この実施例で示されるとおり、極めてよく特徴付けられたCpGオリゴヌクレオチドでさえ、この方式で改変され得る。
【0233】
CpG ODN 2006(5’−tcgtcgttttgtcgttttgtcgtt−3’、配列番号285)、ODN 10101(5’−tcgtcgttttcggcggccgccg−3’、配列番号288)、およびODN 8954(5’−ggggatgatgttgtggggggg−3’、配列番号_)の配列を、出発位置としてとった。これらのCpG ODNは、TをUで、CをUで、またはTおよびCの両方をUで置換することによってORNとして再製した。ODN 2006、10101、および8954に相当する、得られたORNは、ORN 14〜16、ORN 17〜18、そしてORN 19〜20であった。
【0234】
【数34】

ヒトPBMCを刺激して、実施例5に記載されるのと同様にサイトカイン産生についてアッセイした。代表的な結果を表12および13に示す。
【0235】
【数35】

【0236】
【数36】

(実施例10)
(4マーモチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’の原理のさらなる証明)
本実施例は、UUGUおよびUUUUから選択された4マーのRNAモチーフを用いて、非免疫刺激性ORNを免疫刺激性ORNになるように変換させることができることを示すことによって、実施例6における観察を拡大する。免疫刺激性活性を示さないORN21を出発位置としてとった。次いで、UUGU(ORN 22)またはUUUU(ORN 23)を保有する関連のORNを合成して、アッセイで用いて、それらの免疫刺激性活性を評価した。
【0237】
【数37】

ヒトPBMCを、実施例5に記載されるのと同様に刺激して、サイトカイン産生についてアッセイした。代表的な結果を表14および15に示す。
【0238】
【数38】

【0239】
【数39】

(実施例11)
(4マーモチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’の原理のさらなる証明)
本実施例はさらに、4マーのRNAモチーフの3マーへの減少が免疫刺激性活性の劇的な消失を生じることを示すことによって、実施例6および11における観察を拡大する。ランダム配列デオキシヌクレオチドの状況に組み込まれるRNA配列GUUGUGUで開始して、リボヌクレオシドは、dNデオキシヌクレオシドに首尾よく変化された。以下のデータからわかるとおり、4マーのモチーフUUGUはこの実験では活性であったが、3マーのUUGおよび2マーのUGは活性ではなかった。
【0240】
【数40】

ヒトPBMCを、実施例5に記載されるのと同様に刺激して、サイトカイン産生についてアッセイした。代表的な結果を表16および17に示す。
【0241】
【数41】

【0242】
【数42】

(実施例12)
(ウイルス由来のORNは、ヒトPBMC由来のサイトカインの広範なパターンを刺激する)
ヒトPBMCを、2.5μMのORNに加えてDOTAP、DOTAP単独、2.5μMのR−848、25ng/mlのLPS、または0.5μMのCpG ODN 2395(5’−TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCG−3’、配列番号343)で刺激した。この実験で用いたORNは、ORN 4およびORN 5(実施例5、上記)を含んだ。上清を刺激の16時間後に回収して、種々のELISAに用いた。結果を図1に示す。この図で示されるように、インフルエンザウイルスに由来するORN4による免疫刺激のプロフィールは、TNF−α、IL−6、IL−12 p40、IFN−α、およびIFN−γの誘導を含んで、極めて広範であり、CpG ODN 2395の特徴的なプロフィールとは別個であった。
【0243】
(実施例13)
(ウイルス由来のORNは、インビボでサイトカイン産生を刺激する)
マウスに50μgのORN21(実施例10を参照のこと)、ORN 3(実施例5を参照のこと)、またはORN 35(5’−CCGUCUGUUGUGUGACUC−3’、配列番号344)を、各々のORNを100μgのDOTAP、またはDOTAP単独と組み合わせて、注射した。マウスを、注射後1時間または3時間で採血して、IL−12およびIP−10に特異的な別々のELISAを行った。結果を図2(IL−12)および図3(IP−10)に示す。サイトカイン誘導の存在によって、ORNによる配列依存性の様式での免疫刺激が実証された。さらに、ORNは、疾患に対する免疫調節性の処方物において有用であり得ることが実証された。IL−12の応答は、Th1誘導の能力と相関している。IP−10の応答は、Th1誘導の能力と相関する、1型IFNの代用のマーカーである。
【0244】
(実施例14)
(ヒトCD14+細胞は、ウイルス由来ORNでの刺激の際にCD80を上方制御する)
本実施例は、ウイルス由来のORNでの刺激の際に同時刺激性の分子CD80をヒトCD14+細胞(単球、骨髄球系統の細胞)が上方制御するということを実証する。ヒトPBMCを、DOTAP、またはR−848、CpG ODN 2395、DOTAP単独、または培地単独と混合した、1nM〜10μMにおよぶ種々の濃度のORN(ORN3、ORN4、またはORN5;実施例5を参照のこと)を用いて刺激した。16時間後、細胞をCD19、CD14、およびCD80について染色し、次いでFACS分析した。細胞をCD14+染色について分類して、CD80表面染色のレベルを図4に示す。この図によって、ORN3およびORN4、ならびにR−848が、CD14+細胞の表面上で同時刺激分子CD80を、配列依存性の様式で誘導するということが実証される。
【0245】
(実施例15)
(ヒトCD19+細胞は、ウイルス由来ORNでの刺激の際に、CD80を上方制御する)
本実施例によって、ヒトCD19+細胞(B細胞)が、ウイルス由来のORNでの刺激の際に同時刺激分子CD80を上方制御することが実証される。ヒトPBMCを、DOTAP、またはR−848、CpG ODN 2395、DOTAP単独、または培地単独と混合した、1nM〜10μMにおよぶ種々の濃度のORN(ORN3、ORN4、またはORN5;実施例5を参照のこと)を用いて刺激した。16時間後、細胞をCD19、CD14、およびCD80について染色し、次いでFACS分析した。細胞をCD14+染色について分類して、CD80表面染色のレベルを図5に示す。この図によって、ORN3およびORN4、ならびにCpG ODN2395およびR−848が、CD14+細胞の表面上で同時刺激分子CD80を、配列依存性の様式で誘導するということが実証される。
【0246】
(等価物)
前述で記載した明細書は、当業者が本発明を行うことを可能にするのに十分であるとみなされる。本発明は、示された実施例による範囲に限定されるとは解釈されるべきではない。なぜなら、本実施例は、本発明の1局面の単一の例示であって、他の機能的に等価な実施形態が本発明の範囲内であるからである。本明細書に示され、かつ記載されるものに加えて、本発明の種々の改変が、前述の詳細な説明から当業者に明らかとなり、そして添付の特許請求の範囲内におさまる。本発明の利点は、本発明の各々の実施形態によって包含される必要はない。
【0247】
本出願に引用される全ての引用文献、特許および特許刊行物は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0248】
【図1】図1は、CpG ODN 2395(5’−TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCG−3’、配列番号343)、リポポリサッカリド(LPS)、レシキモド(resiquimod)(R−848)、培地単独、カチオン性脂質単独(DOTAP)、ネガティブコントロールのオリゴリボヌクレオチドORN 5(5’−AGCGAAAGCAGGUCAAUUAU−3’、配列番号327)、およびウイルス由来RNAオリゴヌクレオチド ORN 4(5’−AUAAUUGACCUGCUUUCGCU−3’、配列番号5)を用いた一晩の刺激後にヒトPBMCにおける種々のサイトカイン(TNF−α、IL−6、IL−12 p40、IFN−α、およびIFN−γ)の誘導を示す棒グラフである。
【図2】図2は、ネガティブコントロール ORN 21(5’−GCCACCGAGCCGAAGGCACC−3’、配列番号337)、ウイルス由来のORN 3(5’−UGUUUUUUCUCUUGUUUGGU−3’、配列番号4)、ORN 35(5’−CCGUCUGUUGUGUGACUC−3’、配列番号344)、またはカチオン性脂質単独(DOTAP)を用いた注射後のマウスにおけるIL−12の誘導を示す棒グラフである。結果は、注射の1時間後および3時間後に得たサンプルについて示す。
【図3】図3は、ネガティブコントロールORN 21(5’−GCCACCGAGCCGAAGGCACC−3’、配列番号337)、ウイルス由来のORN 3(5’−UGUUUUUUCUCUUGUUUGGU−3’、配列番号4)、ORN 35(5’−CCGUCUGUUGUGUGACUC−3’、配列番号344)、またはカチオン性脂質単独(DOTAP)を用いた注射後のマウスにおけるIP−10の誘導を示す棒グラフである。注射の1時間後および3時間後に得られたサンプルについて結果を示す。
【図4】図4は、示した濃度のウイルス由来のORN 3(5’−UGUUUUUUCUCUUGUUUGGU−3’、配列番号4)、ウイルス由来のORN 4(5’−AUAAUUGACCUGCUUUCGCU−3’、配列番号5)、ネガティブコントロールのオリゴリボヌクレオチドORN 5(5’−AGCGAAAGCAGGUCAAUUAU−3’、配列番号327)、DOTAP単独、培地単独、R−848、CpG ODN 2395(5’−TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCG−3’、配列番号343)、または培地単独との一晩のインキュベーション後のヒトCD14+細胞におけるCD80の発現を示すグラフである。
【図5】図5は、示した濃度のウイルス由来のORN 3(5’−UGUUUUUUCUCUUGUUUGGU−3’、配列番号4)、ウイルス由来のORN 4(5’−AUAAUUGACCUGCUUUCGCU−3’、配列番号5)、ネガティブコントロールのオリゴリボヌクレオチドORN 5(5’−AGCGAAAGCAGGUCAAUUAU−3’、配列番号327)、DOTAP単独、培地単独、R−848、CpG ODN 2395(5’−TCGTCGTTTTCGGCGCGCGCCG−3’、配列番号343)、または培地単独との一晩のインキュベーション後のヒトCD19+細胞(B細胞)でのCD80の発現を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫刺激性組成物であって、該組成物は、単離された10〜30ヌクレオチド長の核酸分子を含み、該核酸分子は、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムの3’末端配列によって与えられた配列を含み、安定化された骨格を有する、免疫刺激性組成物。
【請求項2】
前記核酸分子が10〜20ヌクレオチド長である、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項3】
前記核酸分子が10ヌクレオチド長である、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項4】
一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムRNAの3’末端によって与えられた前記配列が、配列モチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を含み、Uがウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、C/Uがシトシン(C)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、かつG/Uがグアニン(G)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドである、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項5】
前記配列モチーフが5’−CUGU−3’である、請求項4に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項6】
前記配列モチーフが5’−UUGU−3’である、請求項4に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項7】
前記配列モチーフが5’−CUUU−3’である、請求項4に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項8】
前記配列モチーフが5’−UUUU−3’である、請求項4に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項9】
前記安定化された骨格が、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項10】
前記安定化された骨格がホスホロチオエート骨格である、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項11】
前記安定化された骨格が、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項12】
前記安定化された骨格がピロリン酸骨格である、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項13】
前記核酸分子が、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドを含む、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項14】
前記核酸分子がRNAである、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項15】
前記核酸分子がトール様レセプター(TLR)アゴニストである、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項16】
前記核酸分子がTLR8のアゴニストである、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項17】
前記核酸分子がTLR7のアゴニストである、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項18】
前記核酸分子がTLR3のアゴニストである、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項19】
前記一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスがオルトミクソウイルスである、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項20】
前記一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスがパラミクソウイルスである、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項21】
前記一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスがラブドウイルスである、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項22】
前記一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスがフィロウイルスである、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項23】
前記一本鎖のマイナス−センスRNAがボルナウイルスである、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項24】
前記一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスがインフルエンザAウイルスである、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項25】
前記一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスがインフルエンザBウイルスである、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項26】
前記核酸分子がカチオン性脂質と会合される、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項27】
さらに抗原を含む、請求項1に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項28】
免疫刺激性組成物であって、該組成物は、4〜30ヌクレオチド長の単離された核酸分子であって、一本鎖のマイナス−センスRNAウイルスゲノムの3’末端配列によって与えられた配列を含み、安定化された骨格を有する核酸分子と、抗原とを含む、免疫刺激性組成物。
【請求項29】
免疫刺激性組成物であって、該組成物は、
5’−N−C/U−U−G/U−U−N−3’
を含む、7〜40ヌクレオチド長の単離されたオリゴヌクレオチドを含み、
ここで、Uはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、C/Uはシトシン(C)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、G/Uはグアニン(G)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、NおよびNは独立して、0〜10ヌクレオチド長のRNA配列であり、かつ該オリゴリボヌクレオチドは安定化された骨格を有する、免疫刺激性組成物。
【請求項30】
5’−C/U−U−G/U−3’が5’−CUGU−3’である、請求項29に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項31】
5’−C/U−U−G/U−3’が5’−UUGU−3’である、請求項29に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項32】
5’−C/U−U−G/U−3’が5’−CUUU−3’である、請求項29に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項33】
5’−C/U−U−G/U−3’が5’−UUUU−3’である、請求項29に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項34】
5’−N−C/U−U−G/U−U−N−3’がRNA配列5’−GUUGU−3’を含まない、請求項29に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項35】
前記オリゴリボヌクレオチドがカチオン性脂質に会合される、請求項29に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項36】
さらに抗原を含む、請求項29に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項37】
免疫刺激性組成物であって、該組成物は、
5’−dX−N−C/U−U−G/U−U−N−dX−3’
を含む、7〜40ヌクレオチド長のキメラDNA:RNAオリゴヌクレオチドを含み、
ここで、Uはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、C/Uはシトシン(C)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、G/Uはグアニン(G)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、dXおよびdXは独立して、0〜6ヌクレオチド長のDNA配列であり、dXおよびdXの少なくとも1つは少なくとも1ヌクレオチド長であり、かつNおよびNは独立して、0〜10ヌクレオチド長のRNA配列である、免疫刺激性組成物。
【請求項38】
およびNが両方とも0ヌクレオチド長である、請求項37に記載のキメラオリゴヌクレオチド。
【請求項39】
dXが0ヌクレオチド長である、請求項37に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項40】
dXが0ヌクレオチド長である、請求項37に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項41】
dX、dXまたはdXおよびdXの両方がCpGモチーフを含む、請求項37に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項42】
少なくとも1つの安定化されたヌクレオチド間結合をさらに含む、請求項37に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項43】
少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合をさらに含む、請求項37に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項44】
5’−C/U−U−G/U−3’が5’−CUGU−3’である、請求項37に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項45】
5’−C/U−U−G/U−3’が5’−UUGU−3’である、請求項37に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項46】
5’−C/U−U−G/U−3’が5’−CUUU−3’である、請求項37に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項47】
5’−C/U−U−G/U−3’が5’−UUUU−3’である、請求項37に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項48】
5’−dX−N−C/U−U−G/U−U−N−dX−3’がRNA配列5’−GUUGU−3’を含まない、請求項37に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項49】
前記キメラDNA:RNAオリゴリボヌクレオチドがカチオン性脂質に会合される、請求項37に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項50】
さらに抗原を含む、請求項37に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項51】
参照の免疫刺激性プロフィールを有する参照オリゴヌクレオチドの免疫刺激性プロフィールを変更させるための方法であって、該方法は、
RNAモチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を含むように3〜40ヌクレオチド長の参照オリゴヌクレオチドを変更させる工程を包含し、ここで、Uはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、C/Uはシトシン(C)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、G/Uはグアニン(G)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、該参照オリゴヌクレオチドは、免疫刺激性RNAモチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を含まず、該変更の結果として、該参照免疫刺激性プロフィールとは別個の変更された免疫刺激性プロフィールを有する変更されたオリゴヌクレオチドが生じる、方法。
【請求項52】
前記参照オリゴヌクレオチドがオリゴリボヌクレオチドである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記参照オリゴヌクレオチドがオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)である、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記参照オリゴヌクレオチドがCpG ODNである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
5’−C/U−U−G/U−3’が5’−CUGU−3’である、請求項51に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項56】
5’−C/U−U−G/U−3’が5’−UUGU−3’である、請求項51に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項57】
5’−C/U−U−G/U−3’が5’−CUUU−3’である、請求項51に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項58】
5’−C/U−U−G/U−3’が5’−UUUU−3’である、請求項51に記載の免疫刺激性組成物。
【請求項59】
前記参照オリゴヌクレオチドが安定化された骨格を有する、請求項51に記載の方法。
【請求項60】
前記参照の免疫刺激性プロフィールが非免疫刺激性である、請求項51に記載の方法。
【請求項61】
参照の免疫刺激性プロフィールを有するCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)の免疫刺激性プロフィールを変更するための方法であって、該方法は、
CpG ODNの少なくとも1つのdC、CpG ODNの少なくとも1つのdT、またはCpG ODNの少なくとも1つのdC、およびCpG ODNの少なくとも1つのdTをUで置換する工程を包含し、Uはウラシルオキシリボヌクレオシドであり、該置換の結果として、該参照免疫刺激性プロフィールとは別個の変更された免疫刺激性プロフィールを有する変更されたオリゴヌクレオチドが生じる、方法。
【請求項62】
前記CpG ODNのあらゆるdCがUによって置換される請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記CpG ODNのあらゆるdTがUによって置換される請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記CpG ODNのあらゆるdCおよびあらゆるdTがUによって置換される請求項61に記載の方法。
【請求項65】
CpG ODNの少なくとも1つのdGをGによって、CpG ODNの少なくとも1つのdAをAによって、またはCpG ODNの少なくとも1つのdGをGによって、そしてCpG ODNの少なくとも1つのdAをAによって置換する工程をさらに包含し、ここで、Gはグアニンオキシリボヌクレオシドであり、Aはアデニンオキシリボヌクレオシドである、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記CpG ODNのあらゆるdGがGによって置換される請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記CpG ODNのあらゆるdAがAによって置換される請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記CpG ODNのあらゆるdCおよびあらゆるdTがUによって置換される請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記CpG ODNのあらゆるdGがGによって置換され、かつ前記CpG ODNのあらゆるdAがAによって置換される請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記CpG ODNのあらゆるdCおよびあらゆるdTがUによって置換される請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記変更されたオリゴヌクレオチドが、配列モチーフ5’−C/U−U−G/U−U−3’を含み、ここで、Uはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、C/Uはシトシン(C)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドであり、G/Uはグアニン(G)オキシリボヌクレオシドまたはウラシル(U)オキシリボヌクレオシドである、請求項61に記載の方法。
【請求項72】
前記変更されたオリゴヌクレオチドが、安定化された骨格を有する、請求項61に記載の方法。
【請求項73】
5’−UUGUUGUUUUGUUGUUUUGUUGUU−3’(配列番号286)として提供された、単離された免疫刺激性オリゴリボヌクレオチドを含む組成物。
【請求項74】
5’−TUGTUGTTTTGTUGTTTTGTUGTT−3’(配列番号287)として提供された、単離された免疫刺激性オリゴリボヌクレオチドを含む組成物。
【請求項75】
免疫応答を刺激するための方法であって、
免疫系の細胞と、請求項1〜29および37のいずれか1項に記載の組成物の有効量とを接触させて免疫応答を刺激する工程を包含する、方法。
【請求項76】
Th1様免疫応答を刺激するための方法であって、
免疫系の細胞と、請求項1〜29および37のいずれか1項に記載の組成物の有効量とを接触させてTh1様免疫応答を刺激する工程を包含する、方法。
【請求項77】
前記Th1様免疫応答が、1型インターフェロンの発現を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記Th1様免疫応答が、インターロイキン12(IL−12)の発現を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
TLRシグナル伝達を刺激するための方法であって、
TLRを発現する細胞と、請求項1〜29および37のいずれか1項に記載の組成物の有効量とを接触させてTLRによるシグナル伝達を刺激する工程を包含する、方法。
【請求項80】
前記TLRがTLR9である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記TLRがTLR8である、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記TLRがTLR7である、請求項79に記載の方法。
【請求項83】
前記TLRがTLR3である、請求項79に記載の方法。
【請求項84】
被験体における免疫応答を刺激するための方法であって、
請求項1〜29および37のいずれか1項に記載の組成物の有効量を被験体に投与して、該被験体における免疫応答を刺激する工程を包含する、方法。
【請求項85】
被験体におけるTh1様免疫応答を刺激するための方法であって、
請求項1〜29および37のいずれか1項に記載の組成物の有効量を被験体に投与して、該被験体におけるTh1様免疫応答を刺激する工程を包含する、方法。
【請求項86】
前記Th1様免疫応答が、前記被験体における1型インターフェロンの発現を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記Th1様免疫応答が、前記被験体におけるIL−12の発現を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
被験体における抗原特異的免疫応答を刺激するための方法であって、
有効量の請求項1〜29および37のいずれか1項に記載の組成物および抗原を被験体に投与して、該被験体における抗原特異的免疫応答を刺激する工程を包含する、方法。
【請求項89】
前記抗原がアレルゲンを含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記抗原がウイルス抗原を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
前記抗原が細菌抗原を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項92】
前記抗原が癌抗原を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項93】
被験体においてアレルギー性の状態を処置するための方法であって、
請求項1〜29および37のいずれか1項に記載の組成物の有効量を、アレルギー性状態を有するかまたは発症するリスクにある被験体に投与して、該アレルギー性の状態を処置する工程を包含する、方法。
【請求項94】
被験体において喘息を処置するための方法であって、
請求項1〜29および37のいずれか1項に記載の組成物の有効量を、喘息を有するかまたは発症する危険にある被験体に投与して、該喘息を処置する工程を包含する、方法。
【請求項95】
被験体において感染を処置するための方法であって、
請求項1〜29および37のいずれか1項に記載の組成物の有効量を、感染を有するかまたは発症する危険のある被験体に投与して、該感染を処置する工程を包含する、方法。
【請求項96】
前記感染がウイルス感染を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記感染が細菌感染を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
被験体において癌を処置するための方法であって、
請求項1〜29および37のいずれか1項に記載の組成物の有効量を、癌を有するかまたは発症する危険にある被験体に投与して、該癌を処置する工程を包含する、方法。
【請求項99】
TLRのアンタゴニストについてスクリーニングするための方法であって、
TLRを発現する参照細胞と、請求項1〜29および37のいずれか1項に記載の組成物の有効量とを、該TLRの候補アンタゴニストの非存在下で接触させて、該TLRによるシグナル伝達の参照量を測定する工程;
該TLRを発現する試験細胞と、該組成物の有効量とを、該TLRの候補アンタゴニストの存在下で接触させて、該TLRによるシグナル伝達の試験量を測定する工程;および
該シグナル伝達の参照量が該シグナル伝達の試験量を超える場合に、該TLRの該候補アンタゴニストが該TLRのアンタゴニストであることを決定する工程;
を包含する、方法。
【請求項100】
前記TLRがTLR9である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記TLRがTLR8である、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記TLRがTLR7である、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
前記TLRがTLR3である、請求項99に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−526253(P2007−526253A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554267(P2006−554267)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/005420
【国際公開番号】WO2005/097993
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(500523962)コーリー ファーマシューティカル グループ,インコーポレイテッド (18)
【出願人】(502102051)コーリー ファーマシューティカル ゲーエムベーハー (21)
【Fターム(参考)】