説明

免疫反応の増加、及び抗原及び/又は薬物結合による標的化

本発明は、リンカーを介して抗原又は薬物に共有結合的に結合された糖脂質からなる化合物に関する。該化合物は、別個の糖脂質及び抗原を含む組成物よりも強い免疫反応を誘導することができる。該化合物はまた、CD1d制限細胞に薬物を標的することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗原及び/又は薬物に共有結合的に結合された糖脂質を活性化するNKT細胞に関する。本発明は、リンカーを介して抗原又は薬物に共有結合的に結合された糖脂質からなる化合物に関する。該化合物は、別個の糖脂質及び抗原を含む組成物よりも強い免疫反応を誘導することができる。該化合物はまた、CD1d制限細胞に対して薬物を標的することができる。
【背景技術】
【0002】
ナチュラルキラーT細胞(「NKT細胞」)は、ナチュラルキラー(NK)受容体及び保存的半-不変T細胞受容体(TCR)を発現する、生得-様記憶/エフェクタ細胞の一群である。NKT細胞は、自己免疫及び移植拒絶の抑制、病原体への耐性の促進、及び腫瘍免疫の促進に関連してきた。
【0003】
NKT細胞は、IFN-γ及びTNFを含むTH1-型サイトカイン並びにIL-4及びIL-13を含むTH2-型サイトカインを放出することによって、TCR活性化の時間内に様々なサイトカイン産生に反応する。これらのリンフォカイン反応の調節は、免疫原性組成物において使用されるアジュバントの主な意図した効果である。
【0004】
NKT細胞は、β2マイクログロブリン-関連分子のファミリーのCD1dメンバーによって提示された、外来及び自身の脂質抗原を認識する。異なった構造を有する様々な脂質が、CD1d分子の2つの疎水性結合ポケット(A'及びF)の各々に脂肪酸鎖を伴う独特な方法で、CD1d分子に結合することがわかっている。CD1d分子に結合することができる脂質種は、ミコール酸、ジアシルグリセロール、スフィンゴ脂質、ポリイソプレノイド、リポペプチド、ホスホマイコケチド及び小さな疎水性化合物を含む。
【0005】
多数の天然及び合成脂質分子は、抗原-提示細胞によって処理され、CD1細胞によってNKT細胞に提示される。インビトロ及びインビボでのNKT細胞活性化を研究するために使用された原型的な化合物は、KRN7000、及び海綿アゲラス・マウリシアヌス(Agelas mauritianus)由来のα-ガラクトシルセラミド(galactosyceramide)(「α-GalCer」)である。最近同定された更なる化合物は、PCT特許出願WO2006/029010に記載された内因性糖脂質であるイソグロボスへキソシルセラミド(「iGB3」)、及び本明細書に援用されているPCT出願PCT/US2007/066250に記載されたPBS-57、すなわち修飾された6”アミノ-6”デオキシガラクトシセラミドを含む。これらの化合物は、NKT細胞を活性化し、サイトカイン反応をインビトロ及びインビボでアップレギュレートする。従って、抗原と共投与したときにワクチン効力を改善するためのアジュバントのような化合物を使用することが提案されている(PCT特許出願WO2006/083671)。
【0006】
ワクチン接種に関連して、抗原は、この抗原に対する特異的免疫反応を誘導するために、それぞれ、MHCクラスI又はクラスII分子を介して、慣用的なCD8+及びCD4+ T細胞に対して、抗原-提示細胞(APC)、特に樹状細胞(DC)によって提示されなければならない。この目的のために、NKT細胞及び樹状細胞の相互活性化は、樹状細胞をNKT細胞に休止させ、NKT細胞を誘導してCD40L、Th1及びTh2サイトカイン並びにケモカインをアップレギュレートすることによって、α-ガラクトシルセラミドの提示の際に開始される。次いで、CD40架橋結合は、次にNKT細胞活性化及びサイトカイン産生を亢進する、CD40、B7.1及びB7.2、及びIL-12をアップレギュレートする。この反応の伝達は、NK細胞の細胞融解の活性化及びIFN-γ産生を含み、最も重要なことには、樹状細胞の共-刺激性のアップレギュレーション、及びMHCクラスI-及びMHCクラスII-介在抗原提示を含む。
【0007】
糖脂質は、フルオロフォア又は他の小分子(例えば、ビオチン)のようなレポーター基に直接的に結合されており、CD1d及びNKT細胞との糖脂質会合を観察するためのプローブとして提案されてきた(PCT特許出願WO2004/094444)。特に、フルオロフォア及びビオチン付加6”アミノ-6”デオキシ-ガラクトシルセラミドは、CD1d及びNKT細胞のレポーター結合における糖脂質構造の役割を理解するために使用されてきた。染色は、糖脂質の輸送、及びCD1d及びNTK細胞受容体とのその会合の定量化の観察を可能にした(Zhou他, Org. Lett. 2000 4: 1267-1270)。ダンシル-、プロダン誘導体、及びビオチン付加6”アミノ-6”デオキシ-ガラクトシルセラミドは、親の糖脂質に類似するNKT細胞を刺激することが分かった。このことは、これらの化合物が、エンドサイトーシス、CD1dローディング、細胞表面上での提示、及びT細胞刺激を引き起こすT細胞受容体への結合を経ることを示唆している。しかし、Zhou他は、NKT細胞及び/又はCD1d制限細胞を標識するための糖脂質に小分子を付加した。より大きな分子の脂質鎖への付加がCD1dへの結合を妨害するか否かは未だわかっていない。更に、抗原又は薬物と結合された糖脂質は、これまでに報告されていない。
【発明の概要】
【0008】
発明の説明
驚くべきことに、本発明者らは、リンカーを介して抗原に共有結合された糖脂質からなる化合物が、糖脂質及び抗原が別個に組成物中で共投与されるときに観察された反応よりも強く抗原に対する特異的免疫反応を誘発することができる、ことを見出した。理論に拘束されるものではないが、該抗原及びNKTアゴニストの同一のAPC、好ましくは同一のBリンパ球又は同一のDCへの共送達後に、B細胞及び/又はDCがNKT細胞によって活性化され、そのため該抗原が十分に活性化されたB細胞及び/又はDCによって慣用的T細胞に提示されることになる、と予測される。活性化されたNKTの近さは、APCが抗原をT細胞に提示するときに有用であろう、それは、サイトカイン環境に役立つことになるからである。
【0009】
更に、糖脂質が薬物に共有結合的に結合されるときに、該糖脂質は該薬物をNKT細胞への特異的標的を可能にする。
【0010】
従って、本発明は、抗原又は薬物を介して共有結合的に結合された糖脂質からなる化合物、及びその使用に関する。
【0011】
抗原又は薬物へのリンカーを介して共有結合的に結合された糖脂質からなる化合物
本発明の化合物は、式(I):
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、
R1、R2、R3及びR4は互いに独立に、水素、C1-C6アルキル、C6-C12アラルキル又はC1-C6アシルであり;及びR1は上記又は下記のいずれかの糖環であり;
R6は、a) -(CH2)xCH3、ここで、xは、1〜100から選ばれる整数であり;又は
b) -(CH2)xCH=CH(CH2)yCH3、又は-(CH2)xCH=CH(CH2)yCH=CH(CH2)zCH3、ここで、x、y及びzは1〜14から独立に選ばれる整数であり;
R5は、下記式(II)、(III)又は(IV)
【0014】
【化2】

【0015】
のいずれか1つであり
Xは、O、N又はSであり;
Yは、開裂可能又は非-開裂可能なリンカー基であり;そして
Zは、抗原もしくは薬物又はその薬学的に許容される塩である。]
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、免疫されたマウスの血液中のSIINFEKL-特異的細胞溶解活性の検出を示す図である。すべての試料は、標的細胞注入の後日に回収された。マウスは、100 μgのOvaペプチドのみ (群1)、1 μgOvaペプチドのみ (群2)、100 μgのOvaペプチドと1 μgの糖脂質との組合せ (群3)、1 μgのOvaペプチドと1 μgの糖脂質との組合せ (群4)、糖脂質に共有結合的に結合された1 μgのOvaペプチド (群5)、糖脂質に共有結合的に結合された100 ngのOvaペプチド (群6)、又は糖脂質に共有結合的に結合された10 ngのOvaペプチド (群7) での静脈内経路によって免疫した。
【図2】図2は、PBS (PBS)、オバルブミンペプチド (OVA)、PBS-6に共有結合的に結合されたオバルブミンペプチド (PBS6-OVA)、PBS-14に共有結合的に結合されたオバルブミンペプチド (PBS14-OVA)、又はPBS-57に共有結合的に結合されたオバルブミンペプチド (PBS57-OVA) で免疫したマウス由来の血液中の、SIINFEKL-H2Kb特異的CD8+ (CD8+ SIINFEKLペンタマー + (%)、横座標) のパーセンテージを表すヒストグラムを示す。
【図3】図3は、PBS (PBS)、短オバルブミンペプチド (50 μgの短OVA)、長オバルブミンペプチド (50 μgの長OVA)、PBS-6に共有結合的に結合されたオバルブミンペプチド (1 μgのPBS6-OVA)、PBS-14に共有結合的に結合されたオバルブミンペプチド (1 μgのPBS14-OVA)、又はPBS-57に共有結合的に結合されたオバルブミンペプチド ((1 μgのPBS57-OVA) で免疫したマウス由来の血液中の、SIINFEKL特異的細胞溶解活性 (%特異的溶解、横座標) のパーセンテージを表すヒストグラムを示す。
【図4】図4は、CFA/IFAを有するオバルブミン (陽性対照、CTRL+)、短オバルブミンペプチド (50 μgの短OVA)、長オバルブミンペプチド (50 μgの長OVA)、PBS-6に共有結合的に結合されたオバルブミンペプチド (1 μgのPBS6-OVA)、PBS-14に共有結合的に結合されたオバルブミンペプチド (1 μgのPBS14-OVA)、又はPBS-57に共有結合的に結合されたオバルブミンペプチド ((1 μgのPBS57-OVA) で免疫したマウス由来の血液中の、OVA特異的IgG1抗体の力価を表すヒストグラムを示す。
【図5】図5は、CFA/IFAを有するオバルブミン (陽性対照、CTRL+)、短オバルブミンペプチド (50 μgの短OVA)、長オバルブミンペプチド (50 μgの長OVA)、PBS-6に共有結合的に結合されたオバルブミンペプチド (1 μgのPBS6-OVA)、PBS-14に共有結合的に結合されたオバルブミンペプチド (1 μgのPBS14-OVA)、又はPBS-57に共有結合的に結合されたオバルブミンペプチド ((1 μgのPBS57-OVA) で免疫したマウス由来の血液中の、OVA特異的IgG2a抗体の力価を表すヒストグラムを示す。
【図6】図6は、PBS (PBS)、短Trp2ペプチド (50 μgの短Trp2)、長Trp2ペプチド (50 μgの長Trp2)、PBS-6に共有結合的に結合されたTrp2ペプチド (1 μgのPBS6-Trp2)、PBS-14に共有結合的に結合されたTrp2ペプチド (1 μgのPBS14-Trp2)、又はPBS-57に共有結合的に結合されたTrp2ペプチド ((1 μgのPBS57-Trp2) で免疫したマウス由来の血液中の、Trp2特異的細胞溶解活性 (%特異的溶解、横座標) を表すヒストグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、所定数の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖でよい炭化水素鎖を意味する。例えば、C1-C12アルキルは、該基が1〜12個(包括的)炭素原子をその中に有することがあることを示す。用語「アリールアルキル」又は「アラルキル」は、アルキル水素原子がアリール基によって置換されるアルキル部分を意味する。「アリールアルキル」又は「アラルキル」の例は、ベンジル及び9-フルオレニル基を含む。
【0018】
用語「アシル」は、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル又はヘテロアリールカルボニル置換基を意味し、それらのいずれかは、更に置換基によって置換されてよい。
【0019】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、3〜12個の炭素原子を有する、飽和の環式、二環式、三環式又は多環式の炭化水素基であって、置換することができる任意の環原子が置換基によって置換され得る炭化水素基を含む。シクロアルキル部分の例は、シクロヘキシル及びアダマンチルを含むが、これらに限定されない。
【0020】
用語「アリール」は、芳香族の環式、二環式、三環式又は多環式の炭化水素基であって、置換することができる任意の環原子が置換基によって置換され得る炭化水素基を含む。アリール部分の例は、フェニル、ナフチル及びアンスラセニルを含むが、これらに限定されない。
【0021】
用語「ヘテロシクリル」は、単環式の場合には1〜3個のヘテロ原子、二環式の場合には1〜6個のヘテロ原子又は三環式の場合には1〜9個のヘテロ原子を有する、非-芳香族の3〜10員単環式、8〜12員二環式、又は11〜14員三環式の環系であって、該へテロ原子がO、N又はS(例えば、炭素原子、及び単環式、二環式又は三環式の場合にそれぞれN、O又はSの1〜3、1〜6又は1〜9個のヘテロ原子)から選ばれ、置換することができる任意の環原子は置換基によって置換され得る、環系を意味する。
【0022】
用語「ヘテロアリール」は、単環式の場合には1〜3個のヘテロ原子、二環式の場合には1〜6個のヘテロ原子又は三環式の場合には1〜9個のヘテロ原子を有する、芳香族の5〜8員単環式、8〜12員二環式又は11〜14員三環式の環系であって、該ヘテロ原子がO、N又はS(例えば、炭素原子、及び単環式、二環式又は三環式の場合にそれぞれN、O又はSの1〜3、1〜6又は1〜9個のヘテロ原子)から選ばれ、置換することができる任意の環原子は置換基によって置換され得る、環系を意味する。
【0023】
用語「オキソ」は、炭素原子に結合するときにカルボニルを形成し、窒素原子に結合するときにN-オキシドを形成し、そしてイオウに結合するときにスルホキシド又はスルホンを形成する、酸素原子を意味する。
【0024】
用語「置換基」は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリール基の任意の原子での該基上で「置換された」基を意味する。好適な置換基は、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、SO3H、硫酸塩、リン酸塩、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、カルボキシル、オキソ、チオキソ、イミノ(アルキル、アリール、アラルキル)、S(O)nアルキル (nは、0〜2)、S(O)nアリール (nは、0〜2)、S(O)nヘテロアリール (nは、0〜2)、S(O)nヘテロシクリル (nは、0〜2)、アミン (モノ-、ジ-、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、及びそれらの組合せ)、エステル (アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル)、アミド (モノ-、ジ-、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、及びそれらの組合せ)、スルホンアミド (モノ-、ジ-、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、及びそれらの組合せ)、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、非置換へテロシクリル、及び非置換シクロアルキルを含む。
【0025】
R6は、1〜100のメチレン(CH2)基(すなわち、R6は(CH2)XCH3であり、x=1〜100を示す)を有することができる。特に、R6は、1〜75のCH2基、1〜50のCH2基、1〜25のCH2基、1〜20のCH2基、1〜15のCH2基、1〜10のCH2基、又は1〜5のCH2基を有してよい。好ましくは、R6は、15〜25のCH2基を有する。より好ましくは、R6は、20〜25のCH2基を有する。
【0026】
ある実施態様では、R6は、22又は24のCH2基(x=22又はx=24)を含む。
【0027】
R7は、線状又は分岐のC3-C75アルキル、C3-C50アルキル、C3-C25アルキルを、C3-C20アルキル、C3-C20アルキル、C3-C15アルキル、C10-C15アルキル又はC3-C10アルキルでよい。
【0028】
ある実施態様では、R7は、14個の炭素原子の非分岐アルキル基である。
【0029】
好ましくは、R6はC25H51であり、R7はC14H29である。より好ましくは、R6はC23H45であり、R7はC14H29である。別の好ましい実施態様では、R6はC23H47であり、R7はC14H29である。
【0030】
R1〜R3が水素以外であるとき、好ましくは、各々は、独立にメチル、ベンジル又はアセチルである。ある態様によれば(以下、PBS-6と称する)、R1、R2、R3、R4及びRは水素であり、R5は(II)、R6はC25H51、R7はC14H29、XはNである。
【0031】
別の態様によれば(以下、PBS-57と称する)、R1、R2、R3、R4及びRは水素であり、R5は(II)、R6はC23H54、R7はC14H29、XはNである。
【0032】
別の態様によれば(以下、PBS-14と称する)、R1、R2、R3、R4及びRは水素であり、R5は(II)、R6はC25H51、R7はC14H29、XはNである。
【0033】
別の態様によれば(以下、PBS-96と称する)、R1、R2、R3、R4及びRは水素であり、R5は(II)、R6はC23H47、R7はC14H29、XはNである。
【0034】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される無機酸及び有機酸、及び塩基由来のものを含む。好適な酸塩の例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンセンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素塩、ヨウ化水素塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピリビン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩及びウンデカノン酸塩を含む。シュウ酸のような他の酸は、それ自体薬学的に許容されるものではないが、本発明の化合物を得ることにおいて中間体として有用である塩及びその薬学的に許容される酸付加塩の調製において使用してよい。好適な塩基由来の塩は、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウム及びN-(アルキル)4塩を含む。本発明は、本明細書に記載の化合物の任意の塩基性窒素-含有基の四級化を含む。水もしくは油溶性又は分散可能な生成物は、このような四級化によって得られてよい。本明細書に記載の式の化合物の塩形態は、カルボキシ基のアミノ酸塩(例えば、L-アルギニン、-リジン、-ヒスチジン塩)でよい。
【0035】
上記の本発明の化合物の糖脂質部分は、本明細書に参考として援用される国際特許出願WO2004/094444に開示されているように合成してよい。
【0036】
リンカー-抗原又は該糖脂質部分上の薬物部分(Y-Z)の結合は、Zhou他に記載された方法に従って行ってよい(Org. Lett. 2000 4: 1267-1270)。
【0037】
ペプチド抗原の複合の例は、以下のスキームIに示される。
【0038】
【化3】

【0039】
かかるペプチド抗原の複合体を得るために、ペプチドは、室温でpH 7.0〜7.5の好適なバッファー中で50〜100 μMで溶解されてよい。該ペプチド中のジスルフィド結合の還元は、10-倍モル過剰のDTT又はTCEPのような還元剤を加えることによって実行され得る。反応基を含む糖脂質は、各モルのペプチドについて10〜20モルの糖脂質の最終割合になるように、攪拌しながら該ペプチド溶液に滴下し得る。反応は、40℃で室温で2時間又は終夜行えばよい。複合体は、ゲル濾過カラム上で最終的に分離され得る。
【0040】
リンカー基Yは、任意の炭素-含有鎖又は環でよい。例えば、リンカーは、-(CH2)tでよく、該鎖は、場合により、1以上の末端へテロ原子(例えば、N、O、S)、及び/又は該鎖に挿入されている1以上のヘテロ原子、環、二重結合、三重結合を含む。値「t」は、1〜20、好ましくは3〜10でよい。
【0041】
本発明の好ましい実施態様では、リンカーは6個の炭素からなる。
【0042】
好ましくは、リンカーは、タンパク質開裂部位、特にエンド-リソソームプロテアーゼ開裂部位を含む。あるいは、リンカー基は、リパーゼ開裂部位を含む。特に、リンカー基は、プロテアーゼ開裂部位及び/又はリパーゼ開裂部位を含んでよい。
【0043】
好ましくは、本発明の化合物は、CD1Dモノマー又はテトラマーに結合することができる。より好ましくは、本化合物は、NKT細胞を活性化することができる。
【0044】
本明細書で使用する「抗原」は、パラトープ又はT細胞受容体(TCR)を含む抗体又は抗体フラグメントのような、免疫系の結合体によって特異的に認識される任意の物質又は材料を意味する。
【0045】
好適には、式(I)の化合物の抗原は、弱毒化又は死滅された感染性物質から得られる。微生物又はその一部(例えば、膜ゴースト;粗膜調製物、溶解物及び他の微生物調製物)が使用できる。抗原が得られる好適な感染性物質は、病原菌及び微生物、例えばバクテリア、寄生虫及びウイルスを含むが、これらに限定されない。これに関連して、好適な抗原は、HIV/AIDS (レトロウイルス、例えば、HIV-1及びHIV-2単離物、HTLV-I、HTLV-11についてのgp120分子)、インフルエンザウイルス (オルトミクソ・ウイルス科、例えば、A、B及びC型)、ヘルペス (例えば、ヘルペス単純ウイルス、HSV-1及びHSV-2糖タンパク質gB、gD及びgH)、ロタウイルス感染 (レオウイルス科)、気管支感染 (パラインフルエンザ及び呼吸系発疹ウイルス)、灰白髄炎 (ピコルナ・ウイルス科、例えば、ポリオウイルス、リノウイルス)、麻疹・ムンプス (パラミクソウイルス科)、風疹 (トガウイルス科、例えば、風疹ウイルス)、肝炎 (例えば、肝炎ウイルスA、B、C、D、E及び/又はG型)、サイトメガロ・ウイルス (例えば、gB及びgH)、ガストロエンテリティス (カリシウイルス科)、黄熱及び西ナイル熱 (フラビウイルス科)、狂犬病 (ラブドウイルス科)、朝鮮出血熱 (ブニヤウイルス科)、ブラジル熱 (アレナウイルス科)、疣贅 (パピローマウイルス科)、サル免疫不全ウイルス、脳炎ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バール・ウイルス、並びにコロナウイルス科、ビルナ・ウイルス科及びフィロ・ウイルス科を含む他のウイルスファミリーを含むが、これらに限定されない、ヒト疾患と関連するウイルス病原菌から得られ又は該ウイルス病原菌に由来する。
【0046】
好適な細菌性及び寄生性抗原は、ジフテリア、テタナス、チューバキュロウセス、細菌性又は真菌性肺炎、中耳炎、淋病、コレラ、腸チフス、髄脳膜炎、単球増加症、伝染病、細菌性赤痢又はサルモネラ中毒、レジオネラ症、ライム病、ハンセン氏病、マラリア、鉤虫、オンコセルカ症、住血吸虫症(Schistosomiasis)、馬トリパノゾーマ病(Trypanosomiasis)、リーシュマニア症(Leishmaniasis)、ランブル鞭毛虫症、アメーバ症、フィラリア症、ボレリア症、及び旋毛虫症を含むがこれらに限定されない疾患に原因となる公知の物質から得られ又はそれに由来してもよい。なお更なる抗原は、クールー病、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、スクレピー、伝染性ミンク脳症及び慢性消耗病の病原物質のような異例の病原菌、又は狂牛病に関連するプリオンのようなタンパク質性の感染性粒子から得られ又はそれに由来する。
【0047】
抗原が得られる更なる具体的な病原菌は、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、クラミジア(Chlamydia)、ナイセリア−ゴノレエ(Neisseria gonorrhoeae)淋病菌、シゲラ属(Shigella)菌、サルモネラ属(Salmonella)菌、コレラ菌(Vibrio cholerae)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、シュードモナス属(Pseudomonas)菌、百日咳菌(Bordetella pertussis)、Brucella、野兎病菌(Francisella tularensis)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、レプトスピラ−インタロガンス(Leptospira interrogans)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、エルシニア・ペスチス(Yersinia pestis)、ストレプトコックス属(Streptococcus)(A型及びB型)、肺炎球菌、髄膜炎菌、ヘモフィラス・インフルエンザエ(Haemophilus influenza)(b型)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、鼠径リンパ肉芽腫症及び頭頚部放線菌症を含み;真菌性病原菌は、カンジダ症及びアスペルギルス症を含み;寄生性病原菌は、サナダムシ類、吸虫類、蛔虫、アメーバ症、ランブル鞭毛虫症、クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium)、住血吸虫属(Schistosoma)、ニューモシスチス−カリニ(Pneumocystis carinii)、トリコモナス症及び旋毛虫病を含む。本発明は、口蹄疫、コロナウイルス、パスツレラ皮膚壊死毒素、ヘリコバクター、ストロンギルス・バルガリス(Strongylus vulgaris)、アクチノバチルス・プルロニューモニア(Actinobacillus pleuropneumonia)、牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)及び百日咳菌(Bordetella pertussis)、パラ百日咳及び気管支敗血症菌(brochiseptica)のような多数の動物疾患に対する好適な免疫反応を提供するために使用してもよい。
【0048】
他の実施態様では、使用され得る糖脂質に結合するために抗原は、腫瘍-由来抗原又は自系もしくは異種遺伝子型の全腫瘍細胞である。好適には、腫瘍抗原は、腫瘍特異的抗原(TSA)又は腫瘍関連抗原(TAA)である。数個の腫瘍抗原及びその発現パターンは、当該分野で知られており、処置される腫瘍の種類に基いて選択され得る。腫瘍抗原の非-限定的例は、cdk4 (黒色腫)、β-カテニン (黒色腫)、カスパーゼ-8 (扁平上皮癌)、MAGE-1及びMAGE-3 (黒色腫、乳癌、神経膠腫)、チロシナーゼ (黒色腫)、免疫グロブリンのイデオタイプ (例えば、BCR) (リンパ腫)、Her-2/neu (乳房、卵巣)、MUC-1 (乳房、膵臓) 及びHPV E6及びE7 (頸癌)を含む。更なる好適な腫瘍抗原は、前立腺特異的抗原(PSA)、シアリルTn(STn)、ヒートショックタンパク質、及び関連する腫瘍ペプチド(例えば、gp96、ガングリオシド分子(例えば、GM2、GD2及びGD3)、癌胎児性抗原(CEA)及びMART-1を含む。
【0049】
別の実施多様によれば、薬物は糖脂質に付加される。好適な薬物の例は、シクロスポリン、FK 506及びラパマイシンを含む。
【0050】
ワクチン及び医薬組成物
本発明の別の局面は、Zが抗原である、上記の式(I)の化合物を含むワクチン組成物に関する。
【0051】
「ワクチン」は、対象に投与されるときに、本明細書に記載の細胞性及び/又は体液性免疫反応を誘導する、組成物を意味する。
【0052】
本発明の文脈では、「対象」は、動物、好ましくは非-ヒト又はヒト哺乳動物を意味する。非-ヒト哺乳動物の例は、齧歯動物及び霊長類を含む。より好ましくは、対象はヒトである。
【0053】
本発明はまた、特に、対象における免疫反応を刺激することを含む方法であって、本発明の化合物又はワクチン組成物を該対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0054】
本発明の文脈では、「免疫反応を刺激すること」は、抗原の存在によって誘導されている免疫反応を強化することを意味する。
【0055】
好ましい実施態様では、免疫反応は体液性免疫反応である。本明細書で使用される「体液性免疫反応」は、B細胞による抗体の産生であり、そして例えばTh2活性化及びサイトカイン産生、胚中心形成及びアイソタイプスィッチ、親和的成熟産生及び記憶細胞生成を含むがこれらに限定されない、それに付随する補足的プロセスである。体液性免疫反応が刺激されるか否かを決定する目的のために、上で定義された化合物又はワクチン組成物でワクチン接種された対象からの試料中のシグナルの定量的比較は、抗原のみでワクチン接種された対象からの試料に匹敵し得る。体液性免疫反応は、病原菌又は毒素中和、古典的な補体活性化、食作用のオプソニン促進及び病原菌除去を含む、抗体のエフェクタ機能を測定することによって評価されることがある。上で定義された化合物又はワクチン組成物及び抗原を投与することに反応して産生された抗体は、任意の種類、例えば、IgM、IgA又はIgGでよい。体液性免疫反応は、当該分野で公知の任意の定量的方法、例えばELISA、一元放射状拡散アッセイ (SRID)、酵素免疫アッセイ (EIA)、又は血球凝集阻害アッセイ (HAI) によって評価され得る。
【0056】
別の好ましい実施態様では、免疫反応の刺激は、CD4+ Tリンパ球の活性化に相当する。当該分野で理解されているように、CD4+ T細胞又は「Tヘルパー細胞」は、主要組織適合性マーカー(MHC)クラスIIによって抗原提示細胞表面上に提示された抗原を認識し、そして免疫系の細胞-介在及び抗体-介在枝の両方を刺激するためにリンフォカインを分泌する、細胞である。CD4+ T細胞活性化は、リンフォカイン分泌、免疫グロブリンアイソタイプスィッチング、抗体反応の親和性成熟、マクロファージ活性化、及びナチュラルキラー(NK)及び細胞傷害性T細胞(CTL)の亢進された活性化を促進する。リンフォカインは、それ自身の活性及び/又は他の細胞の活性に影響を及ぼすリンパ球によって分泌されるタンパク質である。リンフォカインは、インターロイキン及びサイトカイン、例えばIL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12又はINF-γを含むが、これらに限定されない。CD4+ Tリンパ球が活性化されるか否かを決定するために、上で定義された化合物又はワクチン組成物でワクチン接種された対象からの試料中のシグナルの定量的比較は、抗原のみでワクチン接触された対象からの試料と匹敵し得る。CD4+ T細胞の活性化をアッセイする方法は当該分野で知られている。
【0057】
別の好ましい実施態様では、免疫反応の刺激は、CD8+ Tリンパ球の活性化に対応する。CD8+ Tリンパ球は、MHCクラスI分子(すべての核のある細胞上に存在する)によって提示される抗原を認識する。MHCクラス-Iペプチド複合体の関与は、標的細胞の溶解をもたらす標的細胞に対して細胞溶解粒子の送達をもたらす。CD8+ T細胞の活性化をアッセイするために使用される方法は、当該分野で知られており、ELISPOT、ELISA及び細胞傷性アッセイを含む(induce)。あるいは、マウスモデルは、Hermans他 (2004) J. Immunol. Meth. 285: 25-40に記載の、細胞-介在細胞傷害性を測定するための蛍光アッセイを使用して、CD8+ T細胞の活性化をモニターするために使用してよい。ワクチン組成物における式(I)の化合物の好適な有効投薬量は、当業者によって決定され得る。しかし、典型的には約1,000マイクログラム以下/キログラム体重であるが、典型的には、約1マイクログラム〜約10,000マイクログラム/キログラム体重の範囲でよい。実施態様によっては、有効投薬量は、約10〜約5,000マイクログラム/キログラム体重の範囲である。別の実施態様では、有効投薬量は、約50〜約1,000マイクログラム/キログラム体重の範囲である。別の実施態様では、有効投薬量は、約75〜約500マイクログラム/キログラム体重の範囲である。該組成物は、単一投薬量で、又は数種間もしくは数ケ月間にわたって複数の投薬量に分けて投与され得る。ご承知のように、抗原の投薬量は、特異的抗原、対象の年齢及び免疫状態、並びに当業者によって決定され得る他の関連因子に依拠することになる。本発明のワクチンの投与は、感染性疾患又は感染物質に関連する疾患の治療的又は予防的処置を好適にもたらすことがある。感染性疾患の「治療すること」又は「治療」は、以下:(1) 感染を阻害すること、すなわち感染性物質が感染を確立しないようにすること、(2) 感染性物質の拡散を抑制すること、すなわち対照の他の部位への又は1対象から他への拡散を抑制すること、(3) 疾患の重度を制限すること、(4) 再発性感染を抑制すること、すなわち潜在剤又はしつこい感染の再活性化を制限すること、及び(5) 感染性疾患の症候を一時的に緩和すること、の1以上を含む。
【0058】
本発明の別の局面は、Zが薬物である、式(I)の化合物を含む医薬組成物に関する。本発明はまた、それを必要としている対象に該医薬又は該医薬組成物を投与することを含む、該対象の治療方法を提供する。「有効量」は、処置された対象に対する治療的効果を付与する化合物量を意味する。該治療的効果は、客観的(すなわち、有る試験又はマーカーによって測定可能)又は主観的(すなわち、対象が効果の兆しを示すか効果を感じる)。上記の化合物の有効量は、約0.01 μg/kg〜約500 μg/kgの範囲でよく、あるいは約0.1 μg/kg〜約100 μg/kgの範囲でよく、あるいは約1 μg/kg〜約50 μg/kgの範囲でよい。有効量はまた、投与経路及び他の物質との同時使用の可能性によって変動することになる。当業者によって理解されているように、ワクチンは好適には意図した投与経路に匹敵するように調合される。好適な投与経路の例は、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、筋肉内、経口(例えば鼻腔内)、経皮的(局所的)、経粘膜的及び直腸投与を含む。好ましくは、本発明のワクチンは、筋肉内で、静脈内で、皮下的に、皮内的に、腹腔内で、鼻腔内で、経腸的に又は吸入によって投与される。より好ましくは、本発明のワクチンは、筋肉内で又は皮下的に投与される。ワクチンは、生理学的に許容されるビヒクルを含んでもよい。「生理学的に許容される」ビヒクルは、インビボ投与(例えば、経口、経皮的又は非経口投与)又はインビトロ使用、すなわち細胞培養、に好適である任意のビヒクルである。インビボ投与のために好適な生理学的に許容されるビヒクルは、とりわけ、水、緩衝液及びグルコース溶液を含む。該組成物の更なる成分は、好適には、生理学的に許容されるビヒクルに加えて、安定剤、保存料、希釈剤、乳化剤又は滑剤のような賦形剤を含んでよい。特に、好適な賦形剤は、Tween 20、DMSO、スクロース、L-ヒスチジン(histadine)、ポリソルベート20及び血清を含むが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書に記載の式の化合物は、例えば、注射によって、静脈内に、眼科調製物において動脈内に、皮下的に、腹腔内に、筋肉内に又は皮下的にあるいは、経口的に、舌下的に、鼻腔的に、経粘膜的に、局所的に、あるいは吸入によって、約0.5〜約100μg/kg体重の投薬量の範囲で、あるいは1 mg〜10OO mg/用量の投薬量で、4〜120時間投与され、あるいは具体的な薬物の要件に従って投与され得る。本明細書の方法は、所望の又は記載した効果を達成するための、化合物又は化合物組成物の有効量の投与を考慮する。典型的には、本発明の医薬組成物は、約1〜約6回/日、あるいは継続的注入として投与されることになる。かかる投与は、慢性又は急性療法として使用され得る。単一投薬剤形をつくるための担体物質と組合わされてよい活性成分の量は、処置される宿主及び具体的な投与形式によって変動することになる。典型的な調製物は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含むことになる。あるいは、かかる調製物は、約20%〜約80%の活性化合物を含むことになる。
【0060】
上記の投薬量よりも低い又は高い投薬量が必要とされてよい。任意の具体的な患者のための具体的な投薬量及び治療レジメは、使用される具体的化合物の活性、年齢、体重、全身的な健康状態、性別、栄養、投与時間、排出速度、薬物組合せ、疾患の重度及び経過、症状又は症候、疾患に対する患者の意向、及び治療する医師の判断を含む、様々な因子によることになる。
【0061】
患者の症状が改善すれば、必要ならば、本発明の化合物、組成物又はその組合せの維持投薬量が投与されることがある。次いで、投与の投薬量又は頻度あるいはその両方は、症候が所望のレベルまで緩和されている時に改善された症状が維持されるレベルまで、症候の機能として減少されてよい。しかし、患者は、疾患の症候の任意の再発した場合に長期の基準で断続的な治療を必要とする。本明細書に記載された組成物は、疾患又は本明細書に記載の症候を含む症候を含む疾患症候の調節を達成するために効果的な量で、本明細書に記載の式の化合物及び必要ならば更なる治療物質を含む。
【0062】
用語「薬学的に許容される担体」は、本発明の化合物と共に患者に投与されることができ、その薬理学的活性を破壊せず、化合物の治療的量を送達するために十分な投薬量で投与される時に非-毒性である、担体を意味する。
【0063】
本発明の医薬組成B津において使用してよい薬学的に許容される担体及びビヒクルは、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化薬送達システム(SEDDS)、例えばd-α-トコフェロール・ポリエチレングリコール1000コハク酸塩、Tweenのような医薬投薬剤形において使用される界面活性剤、又は他の類似のポリマー性送達マトリクス、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムのような緩衝物質、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、プロタミン硫酸塩、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩のような塩又は電解質、コロイド状シリカ、マグネシウム三ケイ酸塩、ポリビニルピロリドン、セルロース-系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂を含むが、これらに限定されない。α-、β-及びγ-シクロデキストリンのようなシクロデキストリン、又は2-及び3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデキストリンのようなその化学的修飾誘導体、あるいは他の可溶化誘導体は、本明細書に記載の式の化合物の送達を亢進するために有利に使用してもよい。
【0064】
本発明の医薬組成物は、経口で、非経口で、吸入スプレイによって、局所的に、直腸内に、鼻腔内に、舌下的に、膣内に又は移植されたリザーバを介して、好ましくは経口投与もしくは注射投与によって投与してよい。本発明の医薬組成物は、任意の慣用的な非-毒性の薬学的に許容される担体又はビヒクルを含んでよい。場合によっては、製剤のpHは、製剤化された化合物又はその送達形態の安定性を亢進するための薬学的に許容される酸、塩基又はバッファーで調整してよい。
【0065】
本明細書で使用される用語「非経口」は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内及び頭蓋内注射又は注入技術を含む。
【0066】
医薬組成物は、例えば殺菌性の注射水溶液又は油性の懸濁液のような殺菌性の注射調製物の形態でよい。
【0067】
本懸濁液は、好適な分散剤又は湿潤剤(例えば、Tween 80)及び懸濁剤を用いて、当該分野で知られている技術によって調合されてよい。殺菌性の注射調製物は、非-毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の殺菌された注射溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液でもよい、使用してよい許容されるビヒクル及び溶媒中で、マンニトール、水、リンゲル液及び等張の塩化ナトリウム溶液が使用される。加えて、殺菌性の不揮発性油葉、溶媒又は懸濁媒体としてこれまで使用されている。この目的で、合成モノ-又はジグリセリドを含む、任意のブレンドの不揮発性油が使用できる。オリーブ油又はヒマシ油のような天然の薬学的に許容される油が、特にそのポリオキシエチル化修飾体において有用であるので同様に、オレイン酸及びそのグリセリド誘導体のような脂肪酸は、注射剤の調製に有用である。これらの油溶液又は懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤又はカルボキシメチルセルロースもしくはエマルション及び/又は懸濁液のような薬学的に許容される投薬剤形の調合において一般的に使用される類似の分散剤を含んでもよい。TweenもしくはSpanのような他の一般的に使用される界面活性剤、及び/又は薬学的に許容される固体、液体又は他の投薬剤形の製造において一般的に使用される他の類似の乳化剤又はバイオアベイラビリティ亢進剤は、製剤の目的で使用してもよい。
【0068】
本発明の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、エマルション剤及び水性懸濁剤、分散剤及び液剤を含むがこれらに限定されない任意の経口的に許容される投薬剤形で経口的に投与されてよい。経口使用のための錠剤の場合には、一般的に使用される担体は、ラクトース及びコーンスターチを含む。
【0069】
ステアリン酸マグネシウムのような滑剤も、典型的には加えられる。カプセル形態での経口投与のためには、有用な希釈剤は、ラクトース及び乾燥コーンスターチを含む。
【0070】
水性懸濁剤及び/又はエマルション剤が経口的に投与されるときには、活性成分は、乳化剤及び/又は懸濁剤と組み合わされた油相中で懸濁され又は溶解されてよい。必要であれば、ある甘味料、風味剤及び/又は着色剤を加えてよい。
【0071】
本発明の医薬組成物は、直腸投与のための座剤の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、本発明の化合物を、室温で固体であるが直腸温度で液体であり、よって直腸で溶解して活性成分を放出することになる、好適な非-刺激性の賦形剤と混合することによって調製し得る。かかる物質は、ココアバター、蜜蝋及びポリエチレングリコールを含むが、これらに限定されない。
【0072】
本発明の医薬組成物の局所的投与は、所望の処置が局所的適用によって容易にアクセス可能な部位又は臓器を含む場合に有用である。皮膚への局所的な適用については、医薬組成物は、担体に懸濁された又は溶解された活性成分を含む好適な軟膏で調合される必要がある。本発明の化合物の局所的投与のための担体は、鉱油(mineral oil)、鉱油(liquid petroleum)、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水を含むが、これらに限定されない。あるいは、医薬組成物は、好適な乳化剤と共に、担体中に懸濁され又は溶解された活性化合物を含む好適なローション又はクリームで調合され得る。
【0073】
好適な担体は、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水を含むが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物は、直腸の座剤によって又は好適な浣腸剤においてより低い腸管に局所的に適用されてもよい。局所的な経皮パッチも本発明に含まれる。
【0074】
本発明の医薬組成物は、鼻腔アエロゾル又は吸入によって投与されてよい。かかる組成物は、医薬製剤の分野で周知の技術に従って調製され、そして、べンジルアルコール又は他の好適な保存料、バイオアベイラビリティを亢進するための吸収促進剤、フルオロカーボン及び/又は当該分野で公知の他の可溶化剤又は分散剤を用いて、生理食塩水中の溶液として調製されてよい。
【0075】
本明細書に記載の式の化合物を有する組成物は、移植型装置を用いて投与され得る。
【0076】
移植型装置及び関連技術は、当該分野で知られており、本明細書に記載の化合物又は組成物の継続的又は時間放出型送達が望ましい送達システムとして有用である。加えて、移植型装置の送達システムは、化合物又は組成物の送達の特定の点を標的化するために有用である(例えば、局在化部位、臓器)(Negrin他, (2001 ) Biomaterials, 22 (6): 563参照)。
【0077】
別の送達法に関連する時間放出技術も、本発明で使用できる。例えば、ポリマー技術、徐放技術及びカプセル技術(例えば、ポリマー型、リポソーム型)に基づく時間放出型製剤はまた、本明細書に記載の化合物又は組成物の送達に使用することができる。本明細書に記載の活性な化学療法化合物を送達するためのパッチも本発明に含まれる。
【0078】
パッチは、物質層(例えば、ポリマー性、布、ガーゼ、包帯)、及び本明細書に記載の、本明細書の式の化合物を含む。該物質層の一方の側は、本化合物又は組成物の通過に抵抗するように、それに接着された保護層を有してよい。パッチは、更に、対象上の位置でパッチを保持するように接着剤を含んでよい。接着剤は、対象皮膚に接触させたときに皮膚に一時的に接着する、天燃又は合成起源のいずれかのものを含む組成物である。それは、水抵抗性でよい。接着剤は、長期間対象の皮膚と接触してパッチを保持するように、パッチ上に配置されてよい。接着剤は、所定の対象にある装置が起こり得る接触に耐えるように、粘着性の又は接着性の強度から成ってよい。しかし、積極的な行動(例えば、引き裂きと、剥離、又は他の意図的な除去)の場合には、接着剤は、装置又は接着剤自体の上に加えられた外圧に対する方法を付与し、接着的な接触の遮断を可能にする。接着剤が粘着テープでよい、すなわち、接着剤又は装置への圧力(例えば、押し、摩擦)の適用によって皮膚に対して接着剤の配置を可能にし(及び、装置を皮膚に接着させる)。
【実施例】
【0079】
実施例1: VITALアッセイにおいて静脈内経路によって投与されたPBS6と結合した抗原で誘導された試験免疫
-材料
33匹の8週齢のC57BI/6J CD45.2雌性マウスを免疫に使用した。それを8群に分けた:群1、2、4、6及び8は3匹の動物を含み、群3、5及び7は6匹の動物を含んだ。20匹の8週齢のC57BI/6J CD45.2雌性マウスを標的細胞に使用した。
【0080】
-インビボ細胞傷害性アッセイのための標的細胞
CD8+ T細胞反応を誘導した配列SIINFEKL(配列番号1)のオバルブミンペプチド(又はOvaペプチド)のインビボ細胞傷害性は、Hermans他 (2004, J. Immunol. Methods, 285: 25-40) によって記載されたVITALアッセイによって評価した。すなわち、低濃度(37℃で10分間、0.6 μM)又は高濃度(37℃で10分間、6 μM)のいずれかの蛍光色素CFSEで脾細胞集団を標識した。CFSEの高濃度で標識された集団は、SIINFEKLペプチド(37℃で60分間、5 μM)で予備ロードし、一方、CFSEの低濃度で標識された集団は、LCMV gp33-41ペプチド(37℃で60分間、5 μM)で予備ロードした。
【0081】
2つの集団の等数を混合し、静脈内経路によって注射し免疫マウスを得た。ワクチン接種の10日後、100 μlの体積中の、各条件(20x106細胞の総数)の10x106細胞を各免疫マウスの眼窩血脈洞(orbital sinus)又は側脈尾に注射した。
【0082】
-ワクチン化の処置
オバルブミンペプチドは、配列SIINFEKL(配列番号1)(すなわち、オバルブミンのアミノ酸257〜264)から成り、使用した糖脂質はPBS-6である。異なった群に従う以下の溶液の50 μlを用いて、0日に、マウスを静脈内経路によってワクチン接種した:
1 - 50 μlのPBS中の100 μgのOvaペプチド
2 - 50 μlのPBS中の1 μgのOvaペプチド
3 - 50 μlのPBS中の、1 μgのPBS-6及び100 μgのOvaペプチド
4 - 50 μlのPBS中の、1 μgのPBS-6及び1 μgのOvaペプチド
5 - 50 μlのPBS中の、PBS-6と結合した1 μgのOvaペプチド
6 - 50 μlのPBS中の、PBS-6と結合した100 ngのOvaペプチド
7 - 50 μlのPBS中の、PBS-6と結合した10 ngのOvaペプチド。
【0083】
-読み出し
SINFEKL-ロードされた標的の特異的溶解を末梢血細胞又は脾細胞へのFACS分析によってモニターした。11日に免疫マウスを殺した後、血液試料を眼窩血脈洞に集め、脾臓を回収した。対照群の平均生存率と比較した、ペプチド-パルス化標的の平均生存率を計算し、細胞傷害性活性を特異的溶解率として表した(100−ペプチド-パルス化標的の平均生存率)。
【0084】
-結果
この試験の目的は、静脈内経路によって投与した場合の、特異的溶解反応を誘導する糖脂質NKTアゴニストとペプチドとの共有結合を、同一の糖脂質と混合した同一のペプチドと比較して評価することである。1 μg〜100 μgのOvaペプチドのみで処理したマウスは、抗原-特異的溶解を示さなかった。プラセボ対照中の自然溶解のベースラインを-6%〜+3%で評価した(図1)。1 μgのPBS-6と組み合わせて100 μgのOvaペプチドで静脈内経路で処置したマウスの結果は、予測したようにすべてのマウスにおいて強い特異的溶解を示した。1 μgのPBS-6と組み合わせて1 μgのOvaペプチドで処置したマウスは、静脈内経路によって免疫した後に特異的溶解を示さなかった。しかし、PBS-6に共有結合した1 μgのOvaペプチドで処置したマウスの結果は、すべてのマウスにおいて強い特異的溶解を示した。この活性は、100〜10 ngでもなお示された。この結果は、共有結合された抗原ペプチドを用いる静脈内経路による免疫は混合物の注射よりもよい結果を示したことを示唆した。
【0085】
結論として、この実験は、抗原とCD1d制限アジュバントとのこの結合が反応の可能性を増加させることを示唆した。
【0086】
実施例2: モデル抗原OVAを用いる糖脂質アジュバントによって誘導された免疫反応の刺激の評価
-材料
48匹の9週齢のC57BI/6J CD45.2雌性マウスを免疫に使用した。それを9群に分けた:群1及び2は3匹の動物を含み、群3〜9は6匹の動物を含んだ。
【0087】
-ワクチン化の処置
オバルブミンペプチドは、配列VSGLEQLESIINFEKLTEWTS(配列番号2)から成り、使用した糖脂質はPBS-6、PBS-14及びPBS-57である。異なった群に従う以下の溶液の50 μlを用いて、0及び14日に、マウスを筋肉内経路によってワクチン接種した:
1 - 100 μlのPBS
2 - 100 μlのPBS中の、50 μgのOvaペプチド
3 - 100 μlのPBS中の、1 μgのOva-PBS-6
4 - 100 μlのPBS中の、1 μgのOva-PBS-14
5 - 100 μlのPBS中の、1 μgのOva-PBS-57。
【0088】
-読み出し
SINFEKL特異的CD8+細胞の検出は、H-2Kb SIINFEKLペンタマー及びCD8共染色に従うFACSによってモニターした。サイトカイン反応は、CBS分析によって脾臓中でモニターした。フローサイトメトリ上でマウスTh1/Th2サイトカインCBAで、サイトカイン分泌をモニターし、FCAPアレイソフトウェアBDを用いてサイトカイン濃度を決定した。
【0089】
-結果
この試験の目的は、筋肉内経路によって投与した時の、特異的免疫反応を誘導する、抗原と糖脂質との結合の効率を評価することであった。
【0090】
PBS-6、PBS-14又はPBS-57のいずれかに共有結合された1 μgのOVAで処置したマウスは、50 μgのOVA単独で処置されたマウスよりも血中のSIINFEKL-H2Kb特異的CD8+の強いパーセンテージを示した(図2)。
【0091】
従って、この実験は、抗原と糖脂質アジュバントとの結合が反応の可能性を増加させることを証明している。
【0092】
実施例3: 筋肉内経路によって投与された異なった糖脂質アジュバントと結合された抗原で誘導された試験免疫
-材料
69匹の9週齢のC57BI/6J CD45.2雌性マウスを免疫に使用した。それを14群に分けた:群1〜5は3匹の動物を含み、群6〜14は6匹の動物を含んだ。
【0093】
-インビボ細胞傷害性アッセイのための標的細胞
SIINFEKL(配列番号1)のインビボでの細胞傷害性はCD8+T細胞反応を誘導し、実施例1に記載のVITALアッセイによって評価した。
【0094】
-ワクチン化の処置
短オバルブミンペプチドは、SIINFEKL配列(配列番号1;オバルブミンのアミノ酸257〜264)から成り、長オバルブミンペプチドは、VSGLEQLESIINFEKLTEWTS配列(配列番号2;オバルブミンのアミノ酸250〜269)から成り、使用した糖脂質はPBS-6、PBS-14及びPBS-57である。異なった群に従う以下の溶液の50 μlを用いて、0日に、マウスを筋肉内経路によってワクチン接種した:
1 - 50 μlのPBS
2 - 50 μlのPBS/DMSO中の、50 μgの短OVA
3 - 50 μlのPBS/DMSO中の、50 μgの長OVA
4 - 50 μlのPBS中の、1 μgのPBS-6-OVA
5 - 50 μlのPBS中の、1 μgのPBS-57-OVA
6 - 50 μlのPBS中の、1 μgのPBS-14-OVA。
【0095】
-読み出し
読み出しは、実施例1に記載したとおりである。
【0096】
-結果
PBS-6、PBS-14又はPBS-57のいずれかと共有結合的に結合された1 μgのOVAで処置したマウスは、50 μgのOVA単独で処置したマウスよりも血中のSIINFEKL-特異的細胞傷害性活性の強いパーセンテージを示した(図3)。
【0097】
従って、この実験は、抗原と糖脂質アジュバントとの結合が反応の可能性を増加させることを証明している。
【0098】
実施例4: オボアルブミンペプチドに対する特異的抗体反応の評価
この試験の目的は、共有結合的に結合された異なったアジュバントと組み合わせたオバルブミンによる免疫後に、IgG1及びIgG2a抗体反応を評価することであった。
【0099】
-材料及び方法
試験した血清は以下のとおりである:
群1; CFA/IFAを有する500 μgのovaタンパク質 (陽性対照) で免疫した6匹
群2; 50 μgの、配列ISSAESLKISQAVHAAHAEINEA(配列番号3;オバルブミンのアミノ316〜338)の長ovaペプチドで免疫した6匹
群3; 50 μgの、配列KISQAVHAAHA(配列番号4;オバルブミンのアミノ323〜333)の短ovaペプチドで免疫した6匹
群4; 1 μgのPBS-6-OVAで免疫した6匹
群5; 1 μgのPBS-14-OVAで免疫した6匹
群6; 1 μgのPBS-57-OVAで免疫した6匹。
【0100】
0日及び14日に筋肉内経路によってすべてのマウスを免疫した。すべての試料を第2免疫後の14日に回収し、オバルブミンに特異的なIgG1及びIgG2a力価を評価した。
【0101】
-結果
PBS-6、PBS-14又はPBS-57のいずれかに共有結合的に結合した1μgのOVAで処置したマウスは、50μg1のOVA単独で処置したマウスよりも、オバルブミンに特異的なIgG1(図4)及びIgG2aのより高い力価を示した(図5)。
【0102】
従って、この実験は、抗原と糖脂質アジュバントとの結合が反応の可能性を増加させることを証明している。
【0103】
実施例5: 筋肉内経路によって投与された異なった糖脂質アジュバントと結合されたチロシナーゼ-関連タンパク質2(Trp2)抗原で誘導された試験免疫
-材料
69匹の9週齢のC57BI/6J CD45.2雌性マウスを免疫に使用した。それを14群に分けた:群1〜5は3匹の動物を含み、群6〜14は6匹の動物を含んだ。
【0104】
-インビボ細胞傷害性アッセイのための標的細胞
Trp2 181 188のインビボでの細胞傷害性はCD8+T細胞反応を誘導し、実施例1に記載のVITALアッセイによって評価した。
【0105】
-ワクチン化の処置
Trp2短ペプチドは、Trp2のアミノ酸181〜188の配列から成り、Trp2長ペプチドは、Trp2のアミノ酸174〜193の配列から成り、使用した糖脂質は、PBS-6、PBS-14及びPBS-57である。
【0106】
異なった群に従う以下の溶液を用いて、0日に、マウスを筋肉内経路によってワクチン接種した:
1 - 50 μlのPBS
2 - 50 μlのPBS/DMSO中の、50 μgのTrp2短ペプチド
3 - 50 μlのPBS/DMSO中の、50 μgのTrp2長ペプチド
4 - 50 μlのPBS中の、1 μgのPBS-6-Trp2
5 - 50 μlのPBS中の、1 μgのPBS-57-Trp2
6 - 50 μlのPBS中の、1 μgのPBS-14-Trp2。
【0107】
-読み出し
読み出しは、実施例1に記載したとおりである。
【0108】
-結果
この試験の目的は、筋肉内経路によって投与した時の、特異的溶解反応を誘導する、異なった抗原と糖脂質NKTアゴニストとの共有結合を、同一の抗原単独と比較して評価することであった。PBS-6、PBS-14又はPBS-57のいずれかと共有結合的に結合された1 μgのTrp24で処置したマウスは、50 μgのTrp2単独で処置したマウスよりも血中のTrp2-特異的細胞傷害性活性の強いパーセンテージを示した(図6)。
【0109】
従って、この実験は、糖脂質アジュバントに共有結合的に結合されたオバルブミンペプチドを用いて得られた結果が他の抗原を用いても得られたことを証明している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
R1、R2、R3及びR4は互いに独立に、水素、C1-C6アルキル、C6-C12アラルキル又はC1-C6アシルであり;及びR1は上記又は下記のいずれかの糖環であり;
R6は、a) -(CH2)xCH3、ここで、xは、1〜100から選ばれる整数であり;又は
b) -(CH2)xCH=CH(CH2)yCH3、又は-(CH2)xCH=CH(CH2)yCH=CH(CH2)zCH3、ここで、x、y及びzは1〜14から独立に選ばれる整数であり;
R5は、下記式(II)、(III)又は(IV)
【化2】

のいずれか1つであり
Xは、O、N又はSであり;
Yは、開裂可能又は非-開裂可能なリンカー基であり;そして
Zは、抗原もしくは薬物又はその薬学的に許容される塩である。]
で表される化合物。
【請求項2】
R1、R2、R3、R4及びR8が水素であり、R5が式(II)であり、R6がC25H51であり、R7がC14H29であり、そしてXがNである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1、R2、R3、R4及びR8が水素であり、R5が式(II)であり、R6がC23H45であり、R7がC14H29であり、そしてXがNである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1、R2、R3、R4及びR8が水素であり、R5が式(II)であり、R6がC23H47であり、R7がC14H29であり、そしてXがNである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
前記リンカーがプロテアーゼ開裂部位を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
前記リンカーがリパーセ開裂部位を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
前記リンカーが、プロテアーゼ開裂部位及び/又はリパーセ開裂部位を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
NKT細胞を活性化することができる、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
Zが抗原である、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
Zが薬物である、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物及び生理学的に許容されるビヒクルを含むワクチン組成物。
【請求項12】
請求項10記載の化合物及び生理学的に許容されるビヒクルを含むワクチン組成物。
【請求項13】
請求項11記載のワクチン組成物の有効量を対象に投与することを含む、該対象における免疫反応を刺激する方法。
【請求項14】
前記免疫反応が、体液性免疫反応である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
CD4+ Tリンパ球を活性化するための、請求項13記載の方法。
【請求項16】
CD8+ Tリンパ球を活性化するための、請求項13記載の方法。
【請求項17】
請求項12記載の組成物の有効量を対象に投与することを含む、該対象を治療する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−503034(P2011−503034A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532611(P2010−532611)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065179
【国際公開番号】WO2009/060086
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(510055172)
【Fターム(参考)】