説明

免疫接種のための発現ベクターとしての水疱性口内炎ウイルスの異なる複数の抗原型

【課題】 哺乳動物に免疫反応を誘起させ、哺乳動物の病原性感染を予防または治療するのに有用な免疫プラットホーム、免疫レジメン(療法)および薬剤を提供する。
【解決手段】 免疫プラットホームおよび薬剤は、1つの抗原型の組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)と、他の抗原型のrVSVを含み、プライム(抗原刺激)‐ブースト(追加)免疫レジメンに使用される。本発明の1形態として、1つのVSV抗原型がインディアナ(Indiana)であり、他のVSV抗原型がニュージャージイ(New Jersey)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの異なる抗原型(血清型(serotypes))の組換え水疱性口内炎ウイルスを含むワクチン又は免疫抗原性組成物(immunogenic compositions)の新規なプラットホーム、並びに該組成物における該新規なプラットホームの使用並びにヒトの病原体に対する予防用および治療用ワクチン接種の為の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願明細書中において、本発明に関連する従来技術をより完全に説明するため種々の参考文献を角カッコ内に引用している。これらの参考文献の開示は本発明の開示内に参照として組み込まれるものである。
【0003】
CD8+CTLを接種する最良の方法は、ウイルス又はバクテリアベクターを使用するDNAトランスフェクション又は感染により標的抗原を合成することである。ウイルスワクチンベクターとして要求されることは、広範な宿主および関係する遺伝子の良好な発現である。水疱性口内炎ウイルス(VSV)は殆どの哺乳動物細胞(mammalian cells)を感染させ、感染された細胞の全たんぱく質の60%までのウイルスたんぱく質を発現させる[Kim,G.N.およびC. Y. Kang. Virology 357:41, 2007(非特許文献1)。自然界において、VSVは豚、牛、馬を感染させ、口および足の周りに小胞性疾患を生じさせる。VSVによるヒトの感染も報告されているが、VSVは重篤な症状を生じさせるものではない[Fields,B.N.およびK. Hawkins. N Engl J Med 277:989, 1967(非特許文献2); Johnson, K.M.ら,Am J Trop Med Hyg 15:244, 1966(非特許文献3)]。
【0004】
VSVはネガティブ鎖RNAウイルスであり、5つのたんぱく質、ヌクレオカプシドたんぱく質(N)、リンたんぱく質(P)、マトリックスたんぱく質(M)、表層糖たんぱく質(G)およびRNA依存性RNAポリミラーゼ(L)を符号化する。これらVSVのN,PおよびLたんぱく質は、ポジティブおよびネガティブセンスゲノムRNAsおよびmRNAの合成に必要なものであり、これらRNAはVSVたんぱく質およびC型肝炎ウイルス(HCV)たんぱく質のような関係する遺伝子の合成に必要なものである。
【0005】
cDNAから組換えVSVsを発生させるVSV逆行遺伝子システム(reverse genetics system)[Lawson,N.D.ら,Proc Natl Acad Sci USA 92:4477,1995(非特許文献4); Whelan, S.P.ら,Proc Natl Acad Sci USA 92:8388, 1995(非特許文献5)]の発展以来、VSVは種々の病原体の免疫のためのウイルスワクチンベクターとして研究されてきた[Brandsma,J.L.ら,J Virol 81:5749,2007(非特許文献6); Daddario-DiCaprio, K.M.ら, J Virol 80:9659,2006(非特許文献7); Kohl,W.ら, J Gen Virol 88:157, 2007(非特許文献8); Kuate,S.ら, Virology 362:26,2007(非特許文献9); Palin,A.ら, Vaccine 25:741,2007(非特許文献10); Schwartz,J.A.ら, Virology 366:166,2007(非特許文献11)]。
【0006】
VSVは急速に複製されるウイルスであるが、最終的には、他の全てのウイルスベクターのように、VSVに対する体液性および細胞免疫反応(cellular immune responses)が動物宿主において誘発される[Yewdell,J.W.ら,J Exp Med 163:1529-1938,1986(非特許文献12); Puddington, L.ら, J Virol 60:708-717,1986(非特許文献13); Kalinke,U.ら, Immunity 5:639-652, 1996(非特許文献14)]。VSVで感染された動物は、中和抗体を含めて1又は2週間で免疫反応(immune response)を発現させ[Kalinke,U.ら, Immunity 5:639-652, 1996(非特許文献14)]、これは同じベクターでの予防接種のための追加免疫の効能を妨害することになる。VSVはウイルス性表層糖たんぱく質Gに対する抗原型特定抗体により中和される。VSVの2つの異なる抗原型、すなわちVSV-インディアナ(VSVInd)抗原型およびrVSVニュージャージイ(VSVNJ)抗原型は糖たんぱく質において50%のアミノ酸一致を示す[Gallione,C.J.およびRose,J.K. J. Virol. 46:162-169,1983(非特許文献15)]。VSVの1つの抗原型に対し生起された抗体はVSVの他の抗原型を中和することはない[Cartwright,B.およびBrown,F.J. Gen. Virol. 16:391-398,1972(非特許文献16)]。従って、VSVIndをワクチンベクターとして使用することが行われているが、この場合、糖たんぱく質はVSVNJのものと置換し、ウイルスベクターに対するこの免疫反応から生じる問題を抑制している[Rose,N.F.ら, J. Virol. 74:10903-10910,2000(非特許文献17); Rose,N.F.ら, Cell 106:539-549,2001(非特許文献18)]。
【0007】
VSVNJ抗原型のGたんぱく質を有するVSVIndは体液性免疫反応を回避するのに有用であるが、N,P,MおよびLたんぱく質を含む他のVSVたんぱく質により誘起される細胞免疫反応を防止することはできない。Gたんぱく質以外のVSVたんぱく質に対する細胞免疫反応は関係する抗原に対する不完全な免疫反応を生じることになる。従って、他の抗原型からの追加組換えVSVの発生は、生ウイルスワクチンベクターとしてVSVを使用する効能を増大させることができる。
【0008】
興味深いことに、完全rVSVNJ抗原型ベクターの発生は、インディアナ抗原型とニュージャージイ抗原型との間の交差反応性細胞毒T-リンパ球反応についての可能性のため、試みられることがなかったということが従前から示唆されてきた[Clarkeら, Springer Semin Immun 28:239,2006(非特許文献19)]。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kim,G.N.およびC. Y. Kang. Virology 357:41, 2007
【非特許文献2】Fields,B.N.およびK. Hawkins. N Engl J Med 277:989, 1967
【非特許文献3】Johnson, K.M.ら,Am J Trop Med Hyg 15:244, 1966
【非特許文献4】Lawson,N.D.ら,Proc Natl Acad Sci USA 92:4477,1995
【非特許文献5】Whelan, S.P.ら,Proc Natl Acad Sci USA 92:8388, 1995
【非特許文献6】Brandsma,J.L.ら,J Virol 81:5749,2007
【非特許文献7】Daddario-DiCaprio, K.M.ら, J Virol 80:9659,2006
【非特許文献8】Kohl,W.ら, J Gen Virol 88:157, 2007
【非特許文献9】Kuate,S.ら, Virology 362:26,2007
【非特許文献10】Palin,A.ら, Vaccine 25:741,2007
【非特許文献11】Schwartz,J.A.ら, Virology 366:166,2007
【非特許文献12】Yewdell,J.W.ら,J Exp Med 163:1529-1938,1986
【非特許文献13】Puddington, L.ら, J Virol 60:708-717,1986
【非特許文献14】Kalinke,U.ら, Immunity 5:639-652, 1996
【非特許文献15】Gallione,C.J.およびRose,J.K. J. Virol. 46:162-169,1983
【非特許文献16】Cartwright,B.およびBrown,F.J. Gen. Virol. 16:391-398,1972
【非特許文献17】Rose,N.F.ら, J. Virol. 74:10903-10910,2000
【非特許文献18】Rose,N.F.ら, Cell 106:539-549,2001
【非特許文献19】Clarkeら, Springer Semin Immun 28:239,2006
【非特許文献20】Petersen,J.M.ら, Mol Cell Biol 20:8590,2000
【非特許文献21】von Kobbe,C.,ら, Mol Cell 6:1243,2000
【非特許文献22】Buchholz, U.J.ら,J Virol 73:251, 1999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の背景に鑑みて、体液性および細胞免疫システムの双方を利用する免疫防御および免疫療法のためのアプローチを提供することは有益なものであろう。そのため、本出願人は感染性病原体に対し反応を誘起させる複数のワクチンの組合せからなるシステムを開発した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの形態は、プライム(抗原刺激)・ブースト(追加)免疫療法に使用される免疫プラットホーム(immunization platform)であって、(a)1つの抗原型の組換え水疱性口内炎ウイルス(rVSV)を含む1つのワクチン又は免疫抗原性組成物と、(b)他の抗原型のrVSVを含む1つのワクチン又は免疫抗原性組成物とを有することを特徴とする免疫プラットホームを提供することである。
【0012】
本発明の他の形態は、前記免疫プラットホームにおいて、1つの抗原型がインディアナ(Indiana)であり、他の抗原型がニュージャージイ(New Jersey)であることを特徴とする。
【0013】
本発明の他の形態は、前記免疫プラットホームにおいて、2つのrVSV抗原型の夫々が突然変異マトリックスたんぱく質(M)遺伝子を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の他の形態は、前記免疫プラットホームにおいて、1つの抗原型が、他の抗原型の表層糖タンパク(G)遺伝子を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の他の形態は、前記免疫プラットホームにおいて、2つのrVSV抗原型が関連する1又はそれ以上のたんぱく質を発現可能であることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の形態は、前記免疫プラットホームにおいて、2つのrVSV抗原型が1又はそれ以上のC型肝炎ウイルス(HCV)たんぱく質を発現可能であることを特徴とする。
【0017】
本発明の更なる形態は、被検体に対し、第1の抗原型rVSVを含むワクチン又は免疫抗原性組成物をプライム投与し、ついで、第2の抗原型rVSVを含むワクチン又は免疫抗原性組成物をブースト投与することを特徴とする免疫レジメンを提供することである。
【0018】
本発明の他の形態は、前記免疫レジメンにおいて、ブースト投与の後、第1の抗原型rVSVを含むワクチン又は免疫抗原性組成物の少なくとも1以上の投与を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明の他の形態は、前記免疫レジメンにおいて、第1の抗原型がインディアナ(Indiana)であり、第2の抗原型がニュージャージイ(New Jersey)であることを特徴とする。
【0020】
本発明の他の形態は、前記免疫レジメンにおいて、第1の抗原型がニュージャージイ(New Jersey)であり、第2の抗原型がインディアナ(Indiana)であることを特徴とする。
【0021】
本発明の他の形態は、前記免疫レジメンにおいて、第1および第2のrVSV抗原型が突然変異M遺伝子を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明の他の形態は、前記免疫レジメンにおいて、第2のrVSV抗原型が第1のrVSV抗原型のG遺伝子を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の他の形態は、前記免疫レジメンにおいて、第1および第2のrVSV抗原型が関連する1又はそれ以上のたんぱく質を発現可能であることを特徴とする。
【0024】
本発明の他の形態は、前記免疫レジメンにおいて、前記の関連する1又はそれ以上のたんぱく質が、HCV、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ウエスト・ナイルウイルス、ハンタウイルス(Hantaviruses)、インフルエンザウイルス、エボラウイルス、デング出血熱ウイルス、日本脳炎ウイルスおよびSARSコロナウイルスからなる群から選択される外因性ウイルスの1又はそれ以上のたんぱく質であることを特徴とする。
【0025】
本発明の他の形態は、前記免疫レジメンにおいて、第1および第2のrVSV抗原型が1又はそれ以上のHCVたんぱく質を発現可能であることを特徴とする。
【0026】
本発明の他の形態は、前記免疫レジメンにおいて、第1の抗原型がインディアナであり、第2の抗原型がニュージャージイであり、このrVSVインディアナおよびrVSVニュージャージイの双方が突然変異M遺伝子を含み、かつ、このrVSVインディアナおよびrVSVニュージャージイが外因性ウイルスの1又はそれ以上のたんぱく質を発現可能であることを特徴とする。
【0027】
本発明の更なる形態は、哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる方法であって、(a)第1のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を哺乳動物に投与するステップであって、ここで該第1のワクチン又は免疫抗原性組成物が第1の抗原型のrVSVを含み、(b)第2のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を哺乳動物に投与するステップであって、ここで該第2のワクチン又は免疫抗原性組成物が第2の抗原型のrVSVを含むことからなることを特徴とする方法を提供することである。
【0028】
本発明の他の形態は、哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる前記方法において、更に(c)第1のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を哺乳動物に投与するステップを含むことを特徴とする。
【0029】
本発明の他の形態は、哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる前記方法において、第1の抗原型がインディアナであり、第2の抗原型がニュージャージイであることを特徴とする。
【0030】
本発明の他の形態は、哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる前記方法において、第1の抗原型がニュージャージイであり、第2の抗原型がインディアナであることを特徴とする。
【0031】
本発明の他の形態は、哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる前記方法において、第1および第2のrVSV抗原型が突然変異M遺伝子を含むことを特徴とする。
【0032】
本発明の他の形態は、哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる前記方法において、第2のrVSV抗原型が第1のrVSV抗原型のG遺伝子を含むことを特徴とする。
【0033】
本発明の他の形態は、哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる前記方法において、前記免疫反応が体液性及び/又は細胞質免疫反応を含むことを特徴とする。
【0034】
本発明の他の形態は、哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる前記方法において、第1および第2のrVSV抗原型が、細胞媒介及び/又は体液性免疫反応を誘起させる能力を有するウイルス様粒子を生産することができるものであることを特徴とする。
【0035】
本発明の他の形態は、哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる前記方法において、第1および第2のrVSV抗原型が、外因性ウイルスの1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができるものであり、前記免疫反応が更に該1又はそれ以上の外因性ウイルスたんぱく質に対する免疫反応を含み、該外因性ウイルスが、ヒトHCV、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ウエスト・ナイルウイルス、ハンタウイルス(Hantaviruses)、インフルエンザウイルス、エボラウイルス、デング出血熱ウイルス、日本脳炎ウイルスおよびSARSコロナウイルスからなる群から選択されるものであることを特徴とする。
【0036】
本発明の他の形態は、哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる前記方法において、第1および第2のrVSV抗原型が、1又はそれ以上のHCVたんぱく質を発現することができるものであり、前記免疫反応が更に該1又はそれ以上のHCVたんぱく質に対する免疫反応を含むものであることを特徴とする。
【0037】
本発明の更なる形態は、病原体に対する免疫反応を誘起させるのに有用な複合薬剤であって、(a)病原体の1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができる1つの抗原型のrVSVを含む1つのワクチン又は免疫抗原性組成物と、(b)病原体の1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができる他の抗原型のrVSVを含む他のワクチン又は免疫抗原性組成物とを含むことを特徴とする複合薬剤を提供することである。
【0038】
本発明の他の形態は、前記複合薬剤において、1つの抗原型がrVSVインディアナであり、他の抗原型がrVSVニュージャージイであり、これらrVSVインディアナおよびrVSVニュージャージイが突然変異M遺伝子を含むことを特徴とする。
【0039】
本発明の更なる形態は、病原体による感染を予防又は治療する為の方法であって、(a)病原体の1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができる第1の抗原型のrVSVを含む第1のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を被験者に投与すること、(b)病原体の1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができる第2の抗原型のrVSVを含む第2のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を被験者に投与することからなる方法を提供することである。
【0040】
本発明の他の形態は、病原体による感染を予防又は治療する為の前記方法において、更に(c)第1のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を被験者に投与することを含むことを特徴とする。
【0041】
本発明の他の形態は、病原体による感染を予防又は治療する為の前記方法において、第1の抗原型がrVSVインディアナであり、第2の抗原型がrVSVニュージャージイであることを特徴とする。
【0042】
本発明の他の形態は、病原体による感染を予防又は治療する為の前記方法において、第1の抗原型がrVSVニュージャージイであり、第2の抗原型がrVSVインディアナであることを特徴とする。
【0043】
本発明の更なる形態は、(a)1つの抗原型のrVSVを含むワクチンの有効量の少なくとも1投与量と、(b)他の抗原型のrVSVを含むワクチンの有効量の少なくとも1投与量とを含むキットを提供することである。
【0044】
本発明の他の形態は、前記キットにおいて、前記(a)および(b)が薬理学的に許容できるキャリア中に調剤されていることを特徴とする。
【0045】
ワクチンベクターとして、VSVおよびVSVの2つの抗原型を使用する利点として以下のことが含まれる。すなわち、
(1)VSVの2つの抗原型を利用することにより、このVSVをより効果的なワクチンベクターとすることができる。なぜならば、VSVの1つの抗原型(第1のワクチン)はVSVの他の抗原型(第2のワクチン)を中和することがなく、あるいは、このVSVの他の抗原型で感染された細胞を容易に死滅させることがないからである。
(2)VSVはヒトにおいて重大な病気を生じさせることはなく、感染する殆どの人は病気の動物を取扱う獣医師であるか、あるいはVSVについて従事している科学者である。従って、一般の人々での血清抗体陽性の割合は極めて低く、そのことがこのVSVを魅力的なワクチンベクターとさせている。
(3)VSVは感染した個人において自己制御的に複製するが、依然として強力な細胞および体液性免疫反応を誘起させる。
(4)VSVは培養において殆どの哺乳動物細胞において良好に複製し、高いウイルス力価(viral titer)を生じさせる。
【0046】
本発明は此処に記載した詳細な説明並びに添付図面から、より十分に理解されるであろうが、これらは単に説明の為のものであり、意図する本発明の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】水疱性口内炎ウイルス(VSV)、インディアナ(Ind)抗原型耐熱(HR)種およびニュージャージイ(NJ)抗原型ヘーズルハースト(Hazlehurst)種(Haz)の遺伝子組織を示す図。
【図2】cDNAからVSVを回収するための逆行遺伝子システムを示す図。
【図3】関係する遺伝子を有しない組換えVSVsの生長動態を示す図。
【図4】組換えVSVsで感染されたベビーハムスターの腎臓細胞におけるVSVたんぱく質の発現を示す図。
【図5】単一ウイルス3投与スケジュールVSVワクチンを投与されたBalb/cマウスにおけるVSVペプチド特異的CD8+T細胞反応を示す図。
【図6】ニュージャージイ-インディアナ-ニュージャージイの順でVSVワクチンの連続的投与スケジュールで投与されたBalb/cマウスにおけるVSVペプチド特異的CD8+T細胞反応を示す図。
【図7】インディアナ-ニュージャージイ-インディアナの順でVSVワクチンの連続的投与スケジュールで投与されたBalb/cマウスにおけるVSVペプチド特異的CD8+T細胞反応を示す図。
【図8A】VSVワクチンの1又は2抗原型を投与されたBalb/cマウスにおけるVSVペプチド特異的CD8+T細胞反応を比較して示す図。
【図8B】VSVInd-M(M51R)+HCV-Core△ERで、ついでVSVNJ-M(M48/51R)+HCV-Core△ERで接種され、更に3週間後にVSVInd-M(M51R)+HCV-CoreΔERで追加投与されたマウスの一団(コホート)(n=2)において、HCV MHCクラスIペプチドでex vivo刺激が与えられた後のCD8+T細胞の再活性化を比較して示す図(パネルの右側の1セットのバー)。
【図9】失欠変異を伴った又は伴合わないHCVコア遺伝子のVSVNJのcDNAクローンへのクローニングを示す図。
【図10】失欠変異を伴った又は伴合わないHCVコア遺伝子のVSVIndのcDNAクローンへのクローニングを示す図。
【図11】組換えVSVNJ-M野生型およびM突然変異体からのHCVコアたんぱく質の発現を示す図(A)。同じ細胞からのこのVSVたんぱく質の発現も検出された(B)。この発現はコア抗体又はVSVNJ抗体を使用するウェスターンブロット分析により判定された。
【図12】組換えVSVInd-M野生型およびM突然変異体からのHCVコアたんぱく質の発現を示す図(A)。同じ細胞からのこのVSVたんぱく質の発現も検出された(B)。この発現はコア抗体又はVSVNJ抗体を使用するウェスターンブロット分析により判定された。
【図13】HCVコア遺伝子を有するrVSVNJおよびrVSVIndからのHCVコアの発現を示す図。HCVコアたんぱく質は、感染された細胞を3H-Leu(ロイシン)で1時間ラベリングし、HCVコアに対する抗体でこのコアたんぱく質を免疫沈降させることにより検出された。
【図14】rVSVNJ(MWT)、rVSVNJ(MM48R-M51R)、rVSVInd(MWT)およびrVSVInd(MM51R)のcDNAクローンへのHCV NS3遺伝子のクローニングを示す図。
【図15】NS3を発現するrVSVNJ(MWT)、rVSVNJ(MM48R-M51R)、rVSVInd(MWT)およびrVSVInd(MM51R)の回収を示す図。回収されたrVSVのNS3、抗原型およびM表現型の発現はHCV NS3抗体および抗原型特異的VSV抗体を使用するウェスターンブロット分析により確認された。
【図16】rVSVNJ(MWT)、rVSVNJ(MM48R-M51R)、rVSVInd(MWT)およびrVSVInd(MM51R)のcDNAクローンへのHCV NS5AおよびNS5B遺伝子のクローニングを示す図。
【図17】NS5Aを発現する回収されたrVSVNJ(MWT)、rVSVNJ(MM48R-M51R)を示す図。回収されたrVSVのNS5A、抗原型およびM表現型の発現はHCV NS5A抗体および抗原型特異的VSVNJ抗体を使用するウェスターンブロット分析により確認された。
【図18】NS5Aを発現する回収されたrVSVInd(MWT)、rVSVInd(MM51R)を示す図。回収されたrVSVのNS5A、抗原型およびM表現型の発現はHCV NS5A抗体および抗原型特異的VSVInd抗体を使用するウェスターンブロット分析により確認された。
【図19】NS5Bを発現する回収されたrVSVNJ(MWT)、rVSVNJ(MM48R-M51R)を示す図。回収されたrVSVのNS5B、抗原型およびM表現型の発現はHCV NS5B抗体および抗原型特異的VSVNJ抗体を使用するウェスターンブロット分析により確認された。
【図20】NS5Bを発現する回収されたrVSVInd(MWT)およびrVSVInd(MM51R)を示す図。回収されたrVSVのNS5B、抗原型およびM表現型の発現はHCV NS5B抗体および抗原型特異的VSVInd抗体を使用するウェスターンブロット分析により確認された。
【発明を実施するための形態】
【0048】
1.定義:
便宜上、本明細書、実施例および特許請求の範囲に使用されている用語および表現の意味するところを説明する。別途断りのない限り、ここに記載した全ての技術的、科学的用語は、本発明に属する当業者により一般に理解されているものと同じ意味のものである。
【0049】
ここに記載されている冠詞は文法上の目的において1又はそれ以上(すなわち、少なくとも1)を示すものである。
【0050】
ここに記載されている「動物」および「被験者」とは、哺乳動物、好ましくはヒトを含む動物界の全てのメンバーを包含するものである。
【0051】
ここに使用されている「有効量」とは、所望の結果を達成するのに要する投与量および期間において効果的な量を意味する。
【0052】
ここに使用されている“インディアナ”および“IND”の用語はVSV抗原型インディアナ(VSVInd)を指している。
ここに使用されている“MWT”および“M(WT)”の用語は野生型M遺伝子を有するVSVを指している。同じく使用されている“M51R”の用語は、位置51でアルギニンに変化したメチオニンを有するVSVInd中のM遺伝子を指している。同じく使用されている“M48R-M51R”の用語は、位置48および51でアルギニンに変化したメチオニンを有するVSVNJ中のM遺伝子を指している。
【0053】
ここに使用されている“ニュージャージイ”および“NJ”の用語はVSV抗原型ニュージャージイ(VSVNJ)を指している。
ここに使用されている“Ind-M(M51R)/NJ G”の用語は突然変異M遺伝子を有しVSV抗原型ニュージャージイ(VSVNJ)Gたんぱく質を発現するVSVIndを指している。同じく使用されている“Ind-M(WT)/NJ G”の用語は、野生型Mたんぱく質を有しVSVNJGたんぱく質を発現するVSVIndを指している。
【0054】
ここに使用されている“NJ-M(M48R-M51R)/Ind G”の用語は突然変異M遺伝子を有しVSVIndGたんぱく質を発現するVSVNJを指している。同じく使用されている“NJ-M(WT)/Ind G”の用語は、野生型M遺伝子を有しVSVIndGたんぱく質を発現するVSVNJを指している。
【0055】
ここに使用されている「たんぱく質」とは、通常、所定の配列を有するアミノ酸残渣の連鎖として規定される。ここに使用されているたんぱく質の用語は“ペプチド”および“タンパク”を包含するものである。更に、この用語は変性されたアミノ酸ポリマーをも包含するものである。
ここに使用されている“rVSV”とは、組換え水疱性口内炎ウイルスを指すものである。
【0056】
2.発明の概要:
本発明は、被験者における免疫反応を誘起させたり、被験者における病原性感染を予防ないし治療するのに有用な免疫プラットホーム、免疫レジメンおよび薬剤を提供することを特徴とするものであり、ここで、これら免疫プラットホーム、免疫レジメンおよび薬剤は1つの抗原型の組換えVSVと、他の抗原型の組換えVSVとを具備してなる。本発明の以前において、他の研究者グループはプライムウイルスにより誘起された抗体によるブースターウイルスの中和を防止するため第2の免疫のためのVSVsに変換した表層糖タンパク(G)遺伝子を使用していた。しかし、本発明の以前においては、プライム・ブースト免疫機構又は療法においてrVSVの2つの異なる抗原型を使用する研究者グループは存在しなかった。
【0057】
従って、1形態として、本発明はプライム・ブースト免疫療法に使用される免疫プラットホームを提供するものであって、この免疫プラットホームが、
(a)1つの抗原型の組換え水疱性口内炎ウイルス(rVSV)を含む1つのワクチン又は免疫抗原性組成物と、
(b)他の抗原型のrVSVを含む1つのワクチン又は免疫抗原性組成物と、
を有することを特徴とする。
【0058】
他の形態として,本発明は病原体に対する免疫反応を誘起させるのに有用な複合薬剤を提供するものであって、この複合薬剤が、
(a)病原体の1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができる1つの抗原型のrVSVを含む1つのワクチン又は免疫抗原性組成物と、
(b)病原体の1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができる他の抗原型のrVSVを含む他のワクチン又は免疫抗原性組成物と、
を含むことを特徴とする。
【0059】
本発明者はcDNAからVSVNJを回収する逆行遺伝子システムを初めて開発した(図1および2;非特許文献1参照)。この組換えVSVNJは外因遺伝子(すなわち、外因ウイルスの遺伝子)の発現にとってVSVIndと共に効果的なウイルスベクターであり、これはVSV自体に対する先在する免疫反応と関連する問題を抑制するのに使用することができる。VSVNJベクターシステムに加えて、本発明者は更にVSVIndの全長クローンを発生させたものであり(図1)、これはブースト免疫の後、VSVベクターの中和を回避する発現ベクターとして使用することができる。
【0060】
本発明のrVSV免疫プラットホームの特徴は、1形態として、VSVの2つの異なる抗原型を使用することであり、他の形態として、野生型M遺伝子および突然変異M遺伝子を有するVSVsを使用することである。本発明の態様として、この2つの異なるVSV抗原型はVSVIndおよびVSVNJである。
【0061】
VSVMたんぱく質は細胞質たんぱく質合成を非常に効率的に抑制するが、VSVIndMの位置51において、又、VSVNJMの位置48および51においてメチオニンがアルギニンに変化したとき、Mたんぱく質はホスト細胞質たんぱく質発現に対する抑制作用を失う(非特許文献1、Petersen,J.M.ら, Mol Cell Biol 20:8590,2000(非特許文献20);von Kobbe,C.,ら, Mol Cell 6:1243,2000(非特許文献21))。この突然変異M遺伝子を有するrVSVは従って野生型Mを有するrVSVよりも、より良好な発現ベクターとなり得る。なぜならば、これらは抗原提供細胞におけるケモカイン(chemokines)のような免疫関連たんぱく質の発現を阻止することがないからである。
【0062】
3.本発明のワクチン又は免疫抗原性組成物:
本発明は更に上述のように、第1の抗原型のrVSVを含むワクチン又は免疫抗原性組成物および第2の抗原型のrVSVを含むワクチン又は免疫抗原性組成物を提供することを特徴とするものである。本発明のこれらワクチン又は免疫抗原性組成物は、相容性的形態でin vivoで被験者に投与するのに適している。此処で使用されている“相容性的形態でin vivoでの投与に適している”の表現は、如何なる毒性作用も治療的効果により打ち負かされるような投与されるべき物質の形態を意味している。このような物質は動物、被験者、好ましくはヒトに投与することができる。本発明のワクチンは凍結乾燥された調剤として提供することもできる。更に、本発明のワクチンは、輸送のため凍結することができる溶液として提供することもできる。更に、このワクチンはグリセロールのような適当な保存剤を含むもの、あるいは含まないものとして調剤することができる。所望に応じて(すなわち、ワクチン中のVSVにダメージを与えない)、これらワクチンは適当な希釈剤、佐剤及び/又はキャリアを含んでいてもよい。
【0063】
ワクチンの投与量は、個々の症状の状態、年齢、性別、体重などのファクター、個々における所望の反応を誘起させる抗体の能力などにより変化させることができる。投薬レジメンは最適治療反応が提供されるよう調整することができる。このワクチンの投与量は状況に従って最良の予防的投与反応が提供されるよう変化させることができる。
【0064】
4.使用方法:
本発明は更に、被験者に免疫反応を誘起させる方法、被験者の病原性感染を防止ないし治療するための方法を提供することを特徴とするものであって、その方法は、ワクチン又は免疫抗原性組成物の組合せの有効量を被験者に投与することからなる。
【0065】
従って、1形態として、本発明は哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる方法であって、以下のステップを具備してなる。
(a)第1のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を哺乳動物に投与するステップであって、ここで該第1のワクチン又は免疫抗原性組成物が第1の抗原型のrVSVを含み、
(b)第2のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を哺乳動物に投与するステップであって、ここで該第2のワクチン又は免疫抗原性組成物が第2の抗原型のrVSVを含む、
ことからなることを特徴とする
【0066】
他の形態として、本発明は病原体による感染を予防又は治療する為の方法を提供するものであって、その方法は、(a)病原体の1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができる第1の抗原型のrVSVを含む第1のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を被験者に投与すること、(b)病原体の1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができる第2の抗原型のrVSVを含む第2のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を被験者に投与することからなる。
【0067】
他の形態として、本発明は哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる方法および病原体による感染を予防又は治療する為の方法を提供するものであって、これらの方法は更に、第1のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を哺乳動物に投与するステップ(c)を更に含む。このステップ(c)は免疫反応を誘起させる過程、感染を予防又は治療する過程において1回以上繰返してもよい。
【0068】
以上の記載は本発明の概要を説明するものである。より完全な理解は以下の具体的実施例を参照することにより得られるであろう。これらの実施例は単に説明を目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。状況に応じて、又はより得策な場合は、形態の変更、均等物の置換などが適宜考えられる。なお、ここでは具体的な用語が使用されているが、それらの用語は記述的感覚を意図するものであり、制限を意図するものではない。
【0069】
実施例:
以下の実施例は説明を目的とするものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1−逆行遺伝学によるVSVの回収
本発明者は逆行遺伝子システムによりcDNAから組換えVSVsを発生した。これはRoseおよびWertzにより別々に先に確立されている(非特許文献4,5)。バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼ、すなわちBHK-T7細胞を発現するベビーハムスター腎臓細胞(Buchholz, U.J.ら,J Virol 73:251, 1999(非特許文献22))を、VSV、インディアナ抗原型又はニュージャージイ抗原型の全長ゲノムを符号化したDNAプラスミドおよびVSV N、PおよびL遺伝子を符号化したプラスミドを用いてトランスフェクトさせた。新規に発生させたウイルスを含む細胞培養基をトランスフェクションの48〜72時間後、この組換えVSVによる細胞病理学的作用の度合いに応じて採取した。図2はcDNAからVSVを回収するための逆行遺伝子システムを示している。
【0070】
図1は本発明者により発生させたVSVIndおよびVSVNJのcDNAクローンを示している。図1には遺伝子順序(N,P,M,G,L)およびVSVゲノムの全長DNAクローンにおける制限酵素部位(Pac I, Not I, Kpn I, Spe I)が示されている。これは関係する遺伝子(外因遺伝子)をVSVゲノムにクローニングするのに使用することができる。VSVのM遺伝子(VSVInd中のM51RおよびVSVNJ中のM48R−M51R)に導入された突然変異体も示されている。
【0071】
図3についてみると、組換えVSVが3連続的プラークピッキングにより精製されベビーハムスター腎臓細胞中で増殖されている。組換えVSVsの複製動態を判定するため、我々はBHK細胞を3の感染多重度(MOI)で感染させ、感染後10時間まで2時間毎に感染された細胞から細胞培養基を採取した。この採取された培養基中のウイルス力価はプラーク検定により判定した。
【0072】
実施例2−組換えVSVsで感染されたベビーハムスター腎臓細胞中でのVSVたんぱく質の発現
組換えVSVs(2つの抗原型、VSVIndおよびVSVNJ、M野生型およびM突然変異体のVSVsおよび切換えられたG遺伝子を有するVSVs)からのたんぱく質の発現を、VSVIndおよびVSVNJに対する抗体を使用したウェスタンブロット分析により検査した。VSVIndおよびVSVNJに対する我々の抗体はVSVの4つのたんぱく質(N,P,M,G)を検出した。図4は3つのたんぱく質帯域を示している。なぜならば、Nたんぱく質およびPたんぱく質は同じサイズのたんぱく質としてSDS−PAGEゲル上に移行するからである。
【0073】
VSVInd又はVSVNJに対する抗体は、単一抗原型から発現された4つの全てのVSVのたんぱく質、N,P,MおよびGを検出することができた。VSVIndNJG中のG遺伝子の交換はVSVInd抗体によるGたんぱく質検出欠乏により確認された。なぜならば、VSVInd抗体はVSVNJのGたんぱく質と交差反応しないからである(レーン2および4)。VSVNJIG中のG遺伝子の交換はVSVIndGおよびVSVNJGでのサイズの差異により確認された。レーン6および8に見られるように、VSVIndGはVSVNJのGよりも若干ゆっくりと移行する。M遺伝子(VSVIndMプロテイン中のM51RおよびVSVNJMプロテイン中のM48R−M51R)における突然変異は、Mたんぱく質を、双方の抗原型の野生型Mたんぱく質より若干速く移行させる。これはレーン3,4,7および8で実証されている。このMたんぱく質の移行パターンは突然変異体VSVs内での突然変異を確認させるものである。
【0074】
実施例3−ウイルス接種の最良組合せを見出す為の予防接種レジメン又はスキーム
図5乃至8および表1を参照すると、本発明者の1つの目的が動物を免疫するためプライムおよびブーストレジメンを利用することであるから、本発明者はプライムおよびブースト免疫スキームのため、組換えVSV抗原型の最良なオーダを決定した。(1)2つの異なる抗原型(VSVInd又はVSVNJ)に基づくベクター、(2)代わりの抗原型のGたんぱく質を発現するVSVベクター、又は(3)細胞毒性野生型又は非細胞病理学的突然変異VSV Mたんぱく質での予防接種がVSV特異的CD8+T細胞の発生に如何なる優位性を提供するかについて研究した。表1は全ての可能な抗原型の組合せを示している。
【0075】
マウスのグループを、3投与予防接種スケジュールで、rVSVsで予防接種した。マウスの13グループからなるこの予防接種の研究において、目的はVSV Nペプチド、VSV N275(VSV Nにおけるアミノ酸配列を標的としたMHC I H2d特異的ペプチド)での刺激後のインターフェロンガンマー(IFNγ)生産に基づいて、VSVヌクレオカプシド特異的CD8+T細胞を最も高い率で発生させる組換えVSVワクチン構成を決定することである。特に我々は、(1)2つの異なる菌株(VSVInd又はVSVNJ)に基づくベクター、(2)代わりの抗原型のGたんぱく質を発現するベクター、又は(3)細胞毒性野生型又は非細胞病理学的突然変異VSV Mたんぱく質での予防接種がVSV N特異的CD8+T細胞の発生に如何なる優位性を提供するかについて研究した。
【0076】
6匹の6週齢メスBalb/cマウス(MHC型H2d)からなるグループに対し、投与1において1x10pfu(プラーク形成ユニット)を投与した。この投与は後方腿部筋肉に筋肉内注射により行われ、総容量50μLのPBSで希釈した。更に投与2においてマウスに対し1x10pfuのrVSVを、更に投与3においてマウスに対し5x10pfuのrVSVを投与した。なお、投与1と投与2との時間的間隔は4週間とし、投与2と投与3との時間的間隔は更に10週間とした。3回目の投与後7日目にマウスを安楽死させ、VSVヌクレオカプシドペプチド(VSV N275)に特異的なCD8+T細胞の検出のため脾細胞を採取した。
【0077】
脾細胞の単一の細胞懸濁液を完全RPMI内に作製し、ついで1x10細胞をU-ボトム96穴プレート内の適当な穴に移した。VSV N特異的ペプチド、VSV N275、NH2−MPYLIDFGL−COOH(GenScript社、Piscataway NJ)および共興奮性抗CD28(クローン37.51、BD Biosciences, San Jose CA)混合物を添加し、その混合物を2時間培養した。ブレフェルジンA(BD Biosciences)を製造元の指示に従ってブロックサイトカイン分泌液に添加し、細胞を更に3時間培養した。ハツカネズミCD8(FITC-CD8a,BD バイオサイエンスクローン53-6.7)を認識する抗体又は適当なアイソタイプ制御抗体で細胞を染色した。これら細胞を洗浄し、製造元の指示に従ってCytofix/cytopermキット試薬(BD Biosciences)で浸透化させ、IFNγ(APC‐IFNγ、BD Biosciences、クローンXMG1.2)の為染色をおこなった。この染色した細胞をFACS Calibur フローサイトメータ(BD Biosciences)およびFlowJoソフトウエア(Tree Star社、Ashland OR)を用いて同定した。そのデータは各ワクチンにつき、4〜6マウス群におけるCD8+IFNγ+脾細胞の平均%(平均値の+/-標準誤差、SEM)として表わされている。統計的意義は、Bonferroni修正を伴ったワンウェイANOVAを用いて判定した(Prism 4.0 ソフトウエア、GraphPad Software社、San Diego, CA)。
【0078】
結果:
これらの結果は、2回目の投与についてVSV抗原型を代替することは、VSV N特異的CD8+T細胞の発生のため、単一のVSV抗原型を3投与することよりもすぐれていることを示している。ここに示した結果から見て、VSV N特異的CD8+T細胞を誘起させるための手法は、VSVInd−突然変異体Mの第1の投与、次にVSVNJ−突然変異体Mの投与、最後にVSVInd−突然変異体Mの投与ということになる(図8A)。
【0079】
実施例4−HCVたんぱく質を発現する組換えVSVを用いた免疫化の研究
(背景)
C型肝炎ウイルス(HCV)はヒトにおけるC型肝炎の原因となる物質である。C型肝炎の患者は世界中で約1億7千万人いると推測されている。世界の人口の約3%がこのウイルスにより慢性的に感染されている。米国においては、約3百万人がHCVで慢性的に感染されている。その感染の大多数は30乃至50歳の人々である。
【0080】
HCVでの感染は極めて深刻である。最初の感染は全く病気を生じさせないか、あるいは黄疸を伴った肝炎を生じさせ、劇症肝不全は稀である。しかし、殆どのHCV感染は慢性となる。この慢性感染は、或る場合は耐えられるものの、肝臓病、肝硬変、肝細胞癌となる。これらの慢性感染患者は殆ど全ての新たな感染の源となる。
【0081】
HCVゲノムは10年以上前から単離され配列化されているが、HCV感染を防止したり、急性又は慢性HCVを治療するための効果的なワクチンは未だに開発されていない。
【0082】
理想的なHCVワクチン又は予防接種療法は、体液性又は細胞免疫反応を誘起させるものである。従って、本出願人により開発された新規な組換えVSV免疫化療法は2つの異なるVSV抗原型を利用するものであり、HCVワクチンシステムを得るためのプラットホームを提供するものとなる。
【0083】
HCVたんぱく質を発現する組換えVSVの発生:
図9ないし20を参照すると、VSV遺伝子間接合配列を導入するため、HCVコア、NS3、NS5A、およびNS5B遺伝子が最初にpBluescript II KSベクター(Stratagen)にクローン化された。これは上流遺伝子において転写末端が、又、VSVの下流遺伝子において転写再開が関与する。全長コアおよび4つのHCVコア遺伝子であって核局在化に関連しER膜に繋がった領域で欠失を伴ったものがpBluscript II KSベクターにクローン化された。全長NS3遺伝子が変性することなくpBluescript IIベクターにクローン化された。全長NS5AおよびNS5B並びにER膜繋留領域で欠失を伴ったNS5AおよびNS5BがpBluescript II KSベクターにクローン化された。各クローンにおける補正配列の確認後、全長NS5B以外のVSV遺伝子間接合配列を有するHCV遺伝子は制限酵素、Kpn1を用いて切断され、G遺伝子とL遺伝子との間でpVSVNJ-M(WT)およびpVSVNJ-M(M48R−M51R)にクローン化された。VSV遺伝子間接合配列を有するHCV遺伝子のカットPacIがpVSVInd-M(WT)およびpVSVInd-M(M51R)においてG遺伝子とL遺伝子との間のPacI部位にクローン化された。全長NS5BはSpeIを用いてpBluescript IIベクターから切断され、クレノウフラグメントで平滑末端として(blunt ended)、pVSVNJに繋がれた。このpVSVNJはKpn Iを用いて切断されクレノウフラグメントで平滑末端とされていた。NS5BのpVSVNJへの挿入はPacIでプラスミドを消化することにより確認された。なお、その部位はNS5Bクローンの両端に導入された。HCVコア遺伝子は、コア遺伝子内の1つの付加的Kpn I部位の存在のため、Kpn Iを用いて部分的に消化された。HCV遺伝子、コア、NS3、NS5A、およびNS5BをpVSVInd-M(WT)およびpVSVInd-M(M51R)にクローン化するため、pBluescript IIベクター内の同じクローンを制限酵素、PacIを用いて切断した。HCV遺伝子のpVSVsへの挿入はKpn I 又はPacIでプラスミドを消化することにより、並びにDNA配列により確認された。
【0084】
HCVコア(図11,12,13)、NS3(図15)、NS5A(図17,18)およびNS5B(図19,20)を発現する組換えVSVIndおよびVSVNJはVSV逆行遺伝手法によりcDNAクローンから回収された。組換えウイルスが3連続的プラークピッキングにより精製され、0.1の感染多重度(MOI)を有するBHK細胞を感染させることにより増殖された。これらウイルスからのHCVたんぱく質の発現は、ウイルス感染細胞分離物および各HCVたんぱく質に対する抗血清を使用したウェスターンブロット分析により判定された。VSVIndおよびVSVNJに対する抗血清を使用した同じ細胞分離物のウェスターンブロット分析により、各HCVたんぱく質を発現するVSVベクターの抗原型およびM遺伝子表現型が判定された。VSVInd(MM51R)およびVSVNJ(MM48R−M51R)の突然変異Mたんぱく質は、野生型Mたんぱく質よりも若干速くSDS−PAGEゲル上に移行した。
【0085】
結果:
図8Bを参照すると、まず、VSVInd-MM51R+HCV-Core△ERで接種され、ついでVSVNJ-MM48/51R+HCV-Core△ERで接種され、更に3週間後にVSVInd-MM51R+HCV-Core△ERの追加投与で接種されたマウスのコホート(n=2)に対し、HCV MHCクラスIペプチドを用いex vivoで刺激を与えたところ、CD8+T細胞の強力な再活性が認められた。この再活性はHCVペプチドに特異的であることが示された。なぜならば、VSVベクター単独で免疫化された対照マウスはHCVペプチドに特異的なCD8+T細胞を示さなかったからである(パネルの左側の1セットのバー)。2VSVヌクレオカプシド・エピトープに特異的なCD8+T細胞の再活性化を全てのマウスにおいてポジティブコントロールとして使用した。
【0086】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
プライム・ブースト免疫療法に使用される免疫プラットホームであって、
a.1つの抗原型の組換え水疱性口内炎ウイルス(rVSV)を含む1つのワクチン又は免疫抗原性組成物と、
b.他の抗原型のrVSVを含む1つのワクチン又は免疫抗原性組成物と、
を有することを特徴とする免疫プラットホーム。
【請求項2】
1つの抗原型がインディアナ(Indiana)であり、他の抗原型がニュージャージイ(New Jersey)であることを特徴とする請求項1に記載の免疫プラットホーム。
【請求項3】
2つのrVSV抗原型の夫々が突然変異マトリックスたんぱく質(M)遺伝子を含むことを特徴とする請求項1に記載の免疫プラットホーム。
【請求項4】
1つの抗原型が、他の抗原型の表層糖タンパク(G)遺伝子を含むことを特徴とする請求項1に記載の免疫プラットホーム。
【請求項5】
2つのrVSV抗原型が関連する1又はそれ以上のたんぱく質を発現可能であることを特徴とする請求項1に記載の免疫プラットホーム。
【請求項6】
2つのrVSV抗原型が1又はそれ以上のC型肝炎ウイルス(HCV)たんぱく質を発現可能であることを特徴とする請求項1に記載の免疫プラットホーム。
【請求項7】
被検体に対し、第1の抗原型rVSVを含むワクチン又は免疫抗原性組成物をプライム投与し、ついで、第2の抗原型rVSVを含むワクチン又は免疫抗原性組成物をブースト投与することを特徴とする免疫レジメン。
【請求項8】
ブースト投与の後、第1の抗原型rVSVを含むワクチン又は免疫抗原性組成物の少なくとも1以上の投与を行うことを特徴とする請求項7に記載の免疫レジメン。
【請求項9】
第1の抗原型がインディアナ(Indiana)であり、第2の抗原型がニュージャージイ(New Jersey)であることを特徴とする請求項7又は8に記載の免疫レジメン。
【請求項10】
第1の抗原型がニュージャージイ(New Jersey)であり、第2の抗原型がインディアナ(Indiana)であることを特徴とする請求項7又は8に記載の免疫レジメン。
【請求項11】
第1および第2のrVSV抗原型が突然変異M遺伝子を含むことを特徴とする請求項7に記載の免疫レジメン。
【請求項12】
第2のrVSV抗原型が第1のrVSV抗原型のG遺伝子を含むことを特徴とする請求項7に記載の免疫レジメン。
【請求項13】
第1および第2のrVSV抗原型が関連する1又はそれ以上のたんぱく質を発現可能であることを特徴とする請求項7に記載の免疫レジメン。
【請求項14】
前記の関連する1又はそれ以上のたんぱく質が、HCV、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ウエスト・ナイルウイルス、ハンタウイルス(Hantaviruses)、インフルエンザウイルス、エボラウイルス、デング出血熱ウイルス、日本脳炎ウイルスおよびSARSコロナウイルスからなる群から選択される外因性ウイルスの1又はそれ以上のたんぱく質であることを特徴とする請求項7に記載の免疫レジメン。
【請求項15】
第1および第2のrVSV抗原型が1又はそれ以上のHCVたんぱく質を発現可能であることを特徴とする請求項7に記載の免疫レジメン。
【請求項16】
第1の抗原型がインディアナであり、第2の抗原型がニュージャージイであり、このrVSVインディアナおよびrVSVニュージャージイの双方が突然変異M遺伝子を含み、かつ、このrVSVインディアナおよびrVSVニュージャージイが外因性ウイルスの1又はそれ以上のたんぱく質を発現可能であることを特徴とする請求項7に記載の免疫レジメン。
【請求項17】
哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる方法であって、
a.第1のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を哺乳動物に投与するステップであって、ここで該第1のワクチン又は免疫抗原性組成物が第1の抗原型のrVSVを含み、
b.第2のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を哺乳動物に投与するステップであって、ここで該第2のワクチン又は免疫抗原性組成物が第2の抗原型のrVSVを含む、
ことからなることを特徴とする方法。
【請求項18】
c.第1のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を哺乳動物に投与するステップを更に含むことを特徴とする哺乳動物においてVSVに対する免疫反応を誘起させる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1の抗原型がインディアナであり、第2の抗原型がニュージャージイであることを特徴とする請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
第1の抗原型がニュージャージイであり、第2の抗原型がインディアナであることを特徴とする請求項17又は18に記載の方法。
【請求項21】
第1および第2のrVSV抗原型が突然変異M遺伝子を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項22】
第2のrVSV抗原型が第1のrVSV抗原型のG遺伝子を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記免疫反応が体液性及び/又は細胞質免疫反応を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項24】
第1および第2のrVSV抗原型が、細胞媒介及び/又は体液性免疫反応を誘起させる能力を有するウイルス様粒子を生産することができるものであることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項25】
第1および第2のrVSV抗原型が、外因性ウイルスの1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができるものであり、前記免疫反応が更に該1又はそれ以上の外因性ウイルスたんぱく質に対する免疫反応を含み、該外因性ウイルスが、HCV、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ウエスト・ナイルウイルス、ハンタウイルス(Hantaviruses)、インフルエンザウイルス、エボラウイルス、デング出血熱ウイルス、日本脳炎ウイルスおよびSARSコロナウイルスからなる群から選択されるものであることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項26】
第1および第2のrVSV抗原型が、1又はそれ以上のHCVたんぱく質を発現することができるものであり、前記免疫反応が更に該1又はそれ以上のHCVたんぱく質に対する免疫反応を含むものであることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項27】
病原体に対する免疫反応を誘起させるのに有用な複合薬剤であって、
a.病原体の1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができる1つの抗原型のrVSVを含む1つのワクチン又は免疫抗原性組成物と、
b.病原体の1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができる他の抗原型のrVSVを含む他のワクチン又は免疫抗原性組成物と、
を含むことを特徴とする複合薬剤。
【請求項28】
1つの抗原型がrVSVインディアナであり、他の抗原型がrVSVニュージャージイであり、これらrVSVインディアナおよびrVSVニュージャージイが突然変異M遺伝子を含むことを特徴とする請求項27に記載の複合薬剤。
【請求項29】
病原体による感染を予防又は治療する為の方法であって、
a.病原体の1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができる第1の抗原型のrVSVを含む第1のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を被験者に投与すること、
b.病原体の1又はそれ以上のたんぱく質を発現することができる第2の抗原型のrVSVを含む第2のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を被験者に投与すること、
からなることを特徴とする方法。
【請求項30】
c.第1のワクチン又は免疫抗原性組成物の有効量を被験者に投与することを更に含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
第1の抗原型がrVSVインディアナであり、第2の抗原型がrVSVニュージャージイであることを特徴とする請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
第1の抗原型がrVSVニュージャージイであり、第2の抗原型がrVSVインディアナであることを特徴とする請求項29又は30に記載の方法。
【請求項33】
(a)1つの抗原型のrVSVを含むワクチンの有効量の少なくとも1投与量と、(b)他の抗原型のrVSVを含むワクチンの有効量の少なくとも1投与量とを含むことを特徴とするキット。
【請求項34】
前記(a)および(b)が薬理学的に許容できるキャリア中に調剤されていることを特徴とする請求項33に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2012−529427(P2012−529427A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513426(P2012−513426)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000874
【国際公開番号】WO2010/142030
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511296572)ザ ユニバーシティー オブ ウェスタン オンタリオ (1)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF WESTERN ONTARIO
【住所又は居所原語表記】The Gordon Moganson Building,Suite 105,100 Collip Circle,London,Ontario N6G 4X8 Canada
【Fターム(参考)】