説明

免疫賦活剤

【課題】新たな免疫賦活剤及び免疫療法剤を提供する。
【解決手段】一般式(1)


(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
で表されるピロリドン類を有効成分とする免疫賦活剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫賦活剤及び免疫療法剤に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫療法とは、ヒトまたは非ヒト哺乳動物が自然に有している、外来抗原への防御機構を利用して行う治療法であり、免疫系を賦活させることで治療するものである。免疫療法としては、例えば、各種予防接種、減感作療法、がんの免疫療法等の研究が行われている。特に、がんの免疫療法では、副作用もほとんどなく、手術、放射線、抗がん剤の三大治療につぐ第四のがん治療法として近年注目されるようになってきている。免疫療法には、皮下・皮内注射、経皮などの手段で、免疫賦活剤のみ、抗原のみまたはそれらの両方を生体に投与する方法がある。抗原を含む場合には、その抗原特異的免疫応答を誘導することができる。
【0003】
免疫療法に用いられる免疫賦活剤としては、例えば、アレルギーの予防や治療に有効な米原料醸造物(特許文献1)、抗腫瘍作用、免疫賦活作用を有する糖脂質誘導体(特許文献2)、抗アレルギー作用、抗ガン作用を有するBifidobacterium属に属する菌またはその処理物(特許文献3)、抗ガン作用を有するD−マンノース、L−アラビノース、L−フコース、イソマルトース、ラミナリビオース、セロビオース、ソホロース、コージビオース、ゲンチオビオース、1−O−β−D−フルクトピラノシル−D−フルクトース、ジ−β−D−フルクトフラノース1,2′:2,1′ジアンヒドリド、α−D−フルクトフラノースβ−D−フルクトフラノース1,2':2,1'ジアンヒドリド、ジヘテロレブロサンII、アラビノガラクタン、アラビノキシラン、エチル−β−ラクトシド、およびグリセロイル−β−N−アセチルラクトサミニドからなる群より選択される少なくとも1種の糖類(特許文献4)などが開示されている。
【0004】
また、経皮的免疫療法としては、例えば、抗原とアジュバント(好ましくはADP−リボシル化外毒素)を含んでなる経皮的免疫のための製剤(特許文献5〜7)、哺乳動物の腫瘍に対して免疫応答を高める局所的方法であって、前記哺乳動物の表皮または粘膜部位に、腫瘍抗原と、表皮または上皮を通しての腫瘍抗原の透過を高める親油性溶媒(ジメチルスルフォキシド)との混合物を含む第1組成物を投与する段階と、第1組成物の投与後に該表皮または粘膜に、ランゲルハンス細胞遊走の誘導物質(ジブチルフタレート、ジブチル−D−酒石酸、N,N−ジエチル−トルアミド、ジブチルフマレート、ジ(2−エチルヘキシル)フマレート、ジイソオクチルマレエート、ジエチルヘキシルマレエート、ジイソオクチルフマレート、安息香酸、塩化ベンザルコニウム、ビヘニルマレエート、ジオクチルフタレート、ジブチルマレエート、ジオクチルマレエート、ジブチルスクシネート、ジオクチルスクシネート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジプロピルフタレート、ジフェニルフタレート、ジベンジルブチルフタレート、ジエチルメチルフタレートおよびショウノウからなる群から選択される)を含む第2組成物を投与する段階とを含む、哺乳動物の腫瘍に対して免疫応答を高める局所的方法(特許文献8)などが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−292785号公報
【特許文献2】特開2009−263391号公報
【特許文献3】特開2005−089388号公報
【特許文献4】特開2005−008616号公報
【特許文献5】特表2001−511115号公報
【特許文献6】特表2003−523937号公報
【特許文献7】特表2004−525921号公報
【特許文献8】特表2002−512186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら従来の免疫賦活剤の効果は十分ではなく、さらに優れた免疫賦活剤及びそれを用いた免疫療法剤が望まれていた。
従って、本発明の課題は、新たな免疫賦活剤及び免疫療法剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者は、種々の成分を用いて抗原提示細胞の活性化及びそのリンパ節移行の促進作用、並びにその表面活性化分子の発現誘導作用を指標として自然免疫系の免疫賦活作用を検討してきたところ、ピロリドン誘導体が強い免疫賦活作用を有し、免疫療法剤として有用であることを見出した。さらにピロリドン誘導体は、獲得免疫系であるT細胞系、すなわちヘルパーT細胞から産生されるインターフェロン(IFN)γを増強する作用も有することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、一般式(1)
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
で表されるピロリドン類を有効成分とする免疫賦活剤を提供するものである。
また、本発明は、上記の免疫賦活剤を含む免疫療法剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、抗原提示細胞の活性化及びそのリンパ節移行が促進され、その表面活性化分子が顕著に発現誘導されると共に、ヘルパーT細胞から産生されるIFNγを増強するので、優れた免疫賦活剤が提供できるとともに、その免疫賦活剤を含む免疫療法剤が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の免疫賦活剤1がMHC class II分子及びその表面活性化分子(CD40/CD54/CD80/CD86)に及ぼす作用を示す図である。
【図2】実施例2の免疫賦活剤2がMHC class II分子及びその表面活性化分子(CD40/CD54/CD80/CD86)に及ぼす作用を示す図である。
【図3】実施例6,7の免疫賦活剤6,7がMHC class II分子及びその表面活性化分子(CD40/CD54/CD80/CD86)に及ぼす作用を示す図である。
【図4】T細胞の細胞表面抗原(CD4/CD8)の発現に及ぼすNMPの作用を示す図である。
【図5】T細胞内IFNγ/IL−4の発現状況に及ぼすNMPの作用を示す図である。
【図6】T細胞内IFNγ/IL−4の発現状況に及ぼすNMPの作用を示す図である。
【図7】T細胞内IFNγ/IL−4の発現状況に及ぼすNMPの作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の免疫賦活剤及び免疫療法剤の有効成分は、一般式(1)で表されるピロリドン類である。
一般式(1)中、Rとしては炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられるが、メチル基、エチル基が特に好ましい。すなわち、ピロリドン類(1)としては、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンが特に好ましい。
【0014】
ピロリドン類(1)は、皮膚下層(表皮、真皮等)に常在する抗原提示細胞(表皮ランゲルハンス細胞、真皮内樹状細胞等の樹状細胞、マクロファージ、B細胞等)の活性化及びそのリンパ節移行を促進させ、その表面活性化分子であるCD40、CD54、CD80、CD86等を顕著に発現誘導させることから、ヒトを含む哺乳動物の免疫賦活剤として有用である。このことは、後記実施例に示すように、ピロリドン類(1)の投与後において、上記抗原提示細胞を含む限られた免疫系細胞にのみ発現するMHC class II分子及びその表面活性化分子のリンパ節移行の割合を、フローサイトメータを使用して測定することにより確認された。また、ピロリドン類(1)は、獲得免疫系の一つである、抗原特異性を有するリンパ球集団のうち、ヘルパーT細胞から産生されるIFNγを増強する作用を有し、この点からもヒトを含む哺乳動物の免疫賦活剤として有用である。また、ピロリドン類(1)は、優れた免疫賦活作用を有するので、単独で、あるいは他の成分、例えば抗原、他の免疫賦活剤、免疫調節剤、不完全フロイントアジュバント(IFA)、TLR賦活剤(イミキモド、CpGヌクレオチド)等と併用して免疫療法剤として有用である。
【0015】
本発明の免疫賦活剤及び免疫療法剤の投与方法としては、経皮投与、経粘膜投与、経口投与、皮下注射、皮内注射等が挙げられるが、経皮投与が好ましい。ピロリドン類と他の成分例えば抗原とを併用する場合は、ピロリドン類(1)のみまたはピロリドン類(1)と抗原の両方を生体に投与する方法がある。抗原を投与する場合には、その抗原特異的免疫応答を誘導することができる。抗原の投与は、ピロリドン類(1)と抗原とを同時に投与してもよく、またピロリドン類(1)を投与した後に抗原を投与してもよい。
上記抗原としては、免疫応答を引き起こすことができる分子であれば、特に制限はないが、例えばペプチドまたはタンパク質が挙げられる。ペプチドとしては、天然由来のペプチドまたは合成ペプチドのいずれでもよく、3〜25のアミノ酸残基からなるペプチドが好ましい。タンパク質としては、天然由来のタンパク質または合成タンパク質のいずれでもよい。具体的には、癌抗原(腫瘍抗原)、種々のウイルス由来抗原、感染原因菌由来抗原、種々のアレルギー原因抗原等が挙げられる。
【0016】
本発明の免疫賦活剤又は免疫療法剤は、前記のように経皮投与製剤とするのが好ましい。経皮投与製剤としての免疫賦活剤又は免疫療法剤の剤形としては、液剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤等の他、パップ剤、テープ剤等の貼付剤が挙げられる。これらの経皮投与製剤中のピロリドン類(1)の含有量は0.00001〜50質量%が好ましく、0.001〜30質量%がより好ましく、0.1〜10質量%がさらに好ましい。
【0017】
また、本発明の免疫賦活剤及び免疫療法剤には、希釈剤、溶解助剤、吸収促進剤等として、常温で液状又はペースト状の成分が含まれていてもよく、例えば、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン等の炭化水素類;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等の石油系オイル;ホホバ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、オリーブ油、ごま油、サフラワー油、スクワレン等の天然動植物油脂類;ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等の高級アルコール類;メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン等のシリコーン類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸類;アルキルグリセリルエーテル等の界面活性剤;水等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
本発明の免疫賦活剤及び免疫療法剤の剤形としては、ピロリドン類(1)を粘着層に含有する貼付剤がより好ましい。当該粘着層中のピロリドン類(1)の含有量は0.00001〜50質量%が好ましく、0.001〜30質量%がより好ましく、0.1〜10質量%がさらに好ましい。
【0019】
粘着層は水系でも非水系でもよい。水系の粘着層を形成するための水系粘着剤としては、従来公知の水性ジェルを用いることができる。また、非水系の粘着層を形成するための非水系粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、粘着力の制御が容易である点で、ゴム系粘着剤およびアクリル系粘着剤が好ましい。
【0020】
上記水性ジェルとしては、ベースポリマー、架橋剤、ミセル安定剤、防腐剤、水等を含有するものが好ましい。ベースポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等のポリアクリル酸の一価アルカリ金属塩、ポリアクリル酸モノエタノールアミン、ポリアクリル酸ジエタノールアミン、ポリアクリル酸トリエタノールアミン等のポリアクリル酸のアミン塩、ポリアクリル酸のアンモニウム塩等のポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸、アルギン酸、カラーギナン、寒天、ファーセラン、グアガム、クインスシード、コンニャクマンナン、タマリンドガム、タラガム、デキストリン、デンプン、ローカストビーンガム、アラビアガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。中でもジェル強度および皮膚への粘着性の観点からポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩およびカルボキシメチルセルロースから選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0021】
上記架橋剤としては、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物およびカルシウム化合物等の各種金属化合物が上げられる。
アルミニウム化合物としては、硫酸アルミニウムカリウム、アミノ酢酸ジヒドロキシアルミニウム、ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、酢酸アルミニウム、アルミナマグネシウム、有機アルミニウム錯体、アルミニウムグリシネート、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アセトグルタミドアルミニウム等が挙げられる。
マグネシウム化合物およびカルシウム化合物としては、例えば水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミナ・マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
架橋剤の添加量は、ベースポリマー100質量部に対して、通常1〜10質量部、好ましくは3〜8質量部である。このようにすることにより、水性ジェルの凝集力を良好なものとすることができる。
【0022】
上記ミセル安定剤としては、ヘキシルデカノールのような高級アルコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等の保護コロイドである水溶性高分子、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、りん酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機塩及び、酸化ケイ素、酸化チタン等の金属酸化物等が挙げられる。
【0023】
水性ジェル中の水の含有量は、質量基準で通常20〜80%、好ましくは30〜70%、さらに好ましくは40〜60%である。
水の含有量を20%以上とすることにより、水性ジェル組成物を含む塗工液の支持体への塗工が容易な粘性に保つことができ、80%以下とすることにより、ジェル残りやジェルのはみ出しを防止することができる。
【0024】
上記ゴム系粘着剤としては、ゴム系ポリマーおよび粘着付与剤等を含有するものが好ましい。ゴム系ポリマーとしては、例えば、天然ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、ポリプテン、ポリイソブチレン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、粘着付与剤としては、例えば、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
上記ゴム系ポリマーの配合量は、粘着層全体の好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは10〜50質量%である。この配合量が上記下限未満では粘着層の凝集力や保型性等が低下する傾向にあり、他方、上記上限を超えると粘着層の凝集力が増加して粘着力の低下や作業性の低下等を招き易くなる傾向にある。
【0026】
また、上記粘着付与剤の配合量は、粘着層全体の好ましくは15〜60質量%であり、より好ましくは20〜50質量%である。この配合量が上記下限未満では粘着層の粘着力が低下する傾向にあり、他方、上記上限を超えると剥離時の痛みが発生し、また皮膚のかぶれが発生し易くなる傾向にある。
【0027】
また、ゴム系粘着剤には、必要に応じて、抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤等をさらに配合してもよい。抗酸化剤としては、トコフェロール及びこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒトログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩、ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。このような抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤は、粘着層全体の質量に基づいて合計で、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下の範囲内で適宜配合される。
【0028】
上記アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーと、必要に応じて架橋剤等を含有するものが好ましい。
(メタ)アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステルなどの(メタ)アクリル系モノマーを重合してなるポリマーが挙げられる。
【0029】
また、(メタ)アクリル系ポリマーを形成するための(メタ)アクリル系モノマーとして、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことが好ましく、アルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数は、3〜12であることがより好ましく、4〜8であることが特に好ましい。これにより、粘着層の粘着力を適度なものとすることができる。
【0030】
(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能な他のモノマーとして、アクリル酸;メタクリル酸等のカルボキシル基を有するモノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;等の架橋可能な官能基(例えばカルボキシル基、水酸基、アミノ基、チオール基等の活性水素基)を有するモノマー;
N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム等のN−ビニル環状ラクタム類;プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;
(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)ブチレングリコール、(ポリ)ペンタメチレングリコール、(ポリ)ヘキサメチレングリコール等のアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、(ポリ)グリセリン等のポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン等の重合性不飽和基を複数有するモノマー;等が挙げられる。
これらの他のモノマーは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
また、架橋剤を用いて(メタ)アクリル系ポリマーを架橋させる場合には、(メタ)アクリル系ポリマーを重合する際に、架橋可能な官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーを、全使用モノマーの0.1〜30モル%用いるのが好ましく、0.5〜10モル%用いるのがより好ましい。このようにすることにより、アクリル系粘着剤の凝集力を良好なものとすることができる。
【0032】
また、架橋剤を用いない場合には、(メタ)アクリル系ポリマーを重合する際に、重合性不飽和基を複数有するモノマーを、全使用モノマーの0.00001〜0.1モル%用いるのが好ましく、0.01〜0.05モル%用いるのがより好ましい。このようにすることにより、アクリル系粘着剤の凝集力を良好なものとすることができる。
【0033】
用いる架橋剤としては、架橋可能な官能基に対する反応性を有していればよく、例えば、エポキシ系架橋剤、金属塩系架橋剤、尿素系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、金属キレート系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤等、通常の粘着剤に使用される架橋剤が挙げられる。
これらの架橋剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤の配合量は、架橋可能な官能基を有する(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.01〜15質量部であるのが好ましく、0.1〜5質量部であるのがより好ましい。このようにすることにより、アクリル系粘着剤の凝集力を良好なものとすることができる。
【0034】
また、本発明の免疫賦活剤及び免疫療法剤(剤形が貼付剤の場合)の粘着層には、可塑剤、溶解助剤、吸収促進剤等として、常温で液状又はペースト状の成分が含まれていてもよく、例えば、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン等の炭化水素類;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等の石油系オイル;ホホバ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、オリーブ油、ごま油、サフラワー油、スクワレン等の天然動植物油脂類;ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等の高級アルコール類;メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン等のシリコーン類;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸類;アルキルグリセリルエーテル等の界面活性剤等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
常温で液状又はペースト状の成分は、粘着層全体の質量に基づいて合計で、好ましくは1〜40質量%、さらに好ましくは5〜35質量%の範囲内で適宜配合される。
【0035】
粘着層の坪量は、粘着層が水系粘着剤で形成されている場合には、100〜3000g/m2であることが好ましく、200〜2000g/m2であることがより好ましい。また、粘着層が非水系粘着剤で形成されている場合には、10〜500g/m2であることが好ましく、20〜100g/m2であることがより好ましい。
【0036】
本発明の免疫賦活剤及び免疫療法剤(剤形が貼付剤の場合)は、支持基材を有していることが好ましい。
支持基材は、粘着層を支持する機能を有する。かかる支持基材は、可撓性(柔軟性)を有し、貼付時における曲面追従性をもち、加工時における裁断または打ち抜き等に適したものが好ましい。
このような支持基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ポリスルホン、ナイロン、ポリ乳酸、レーヨン、アクリル等の樹脂からなるプラスチックフィルム、織物、編物および不織布を用いることが可能である。さらに、プラスチックフィルムと、プラスチックフィルム、織物、編物、不織布および紙等とのラミネートシートや金属蒸着を施したプラスチックフィルムを用いることが可能である。
支持基材の平均厚さは、2〜4000μmであるのが好ましく、10〜300μmであるのがより好ましい。
【0037】
本発明の免疫賦活剤及び免疫療法剤(剤形が貼付剤の場合)は、剥離シートを有していることが好ましい。
剥離シートは、貼付剤の保管時(未使用時)において、粘着層の貼付面を保護する機能を有するとともに、有効成分の拡散を防止する機能を有している。
【0038】
このような剥離シートとしては、例えば、ポリエチレンラミネート紙、ポリプロピレンラミネート紙等のラミネート紙類;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム等の合成樹脂フィルム等が使用できる。また、剥離シートは、必要に応じてこれらの材料の片面または両面にシリコーン樹脂等により剥離処理が施されたものを使用してもよい。
また、剥離シートの平均厚さは、10〜200μmであることが好ましく、15〜100μmであることがより好ましい。
【0039】
また、本発明の免疫賦活剤及び免疫療法剤(剤形が貼付剤の場合)は、リザーバー型貼付剤であってもよく、例えば、支持基材と、支持基材の一方の面に設けられた第1の粘着層と、第1の粘着層の支持基材とは反対側の面側に設けられ、皮膚に貼着する第2の粘着層と、第1の粘着層と第2の粘着層との間に設けられ、ピロリドン類(1)を含む薬物貯蔵層とを有するリザーバー型貼付剤であってもよい。
【0040】
上記薬物貯蔵層は、第1の粘着層を介して支持基材の一方の面側に接合されており、繊維状物質で構成された基体やバインダ成分等にピロリドン類(1)を含有させたものであるのが好ましい。なお、ピロリドン類(1)の、繊維状物質で構成された基体への含浸方法としては塗布、浸漬、滴下、噴霧等の手段が挙げられる。
【0041】
上記繊維状物質で構成された基体としては、例えば、織布、編物、不織布および紙等が挙げられる。また、繊維状物質を構成する材料としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、アクリル樹脂、レーヨン、セルロース等が挙げられる。
【0042】
上記第1の粘着層、薬物貯蔵層及び第2の粘着層中におけるピロリドン類(1)の含有量の合計は0.00001〜50質量%が好ましく、0.001〜30質量%がより好ましく、0.1〜10質量%がさらに好ましい。
【0043】
本発明の免疫賦活剤及び免疫療法剤(剤形が貼付剤の場合)は、生体の皮膚表面に貼付することにより、経皮で免疫賦活剤であるピロリドン類(1)を生体に投与することができる。
免疫療法剤として、免疫賦活剤と併用して抗原を投与する場合には、その抗原特異的免疫応答を誘導することができる。
抗原を経皮で投与する場合には、上記貼付剤の剥離直後または剥離後約96時間以内に、好ましくは剥離後約72時間以内に、特に好ましくは剥離後約48時間以内に、上記貼付剤を貼付したところと同じ表皮表面に、抗原を塗布するか、抗原を含む別の貼付剤を貼付することにより行うことができる。
【0044】
また、上記貼付剤の粘着層の粘着力をJIS Z0237に準拠した測定方法(対ベークライト板)で、3〜20N/25mm程度に調整すると、上記貼付剤の剥離により皮膚表皮角質層を物理的に破壊させることができ、皮膚表皮角質層の破壊により表皮ランゲルハンス細胞の活性化が引き起こされる。すなわち、免疫賦活成分による抗原提示細胞(例えば表皮ランゲルハンス細胞や真皮内樹状細胞等)の活性化及びそのリンパ節移行の促進と、皮膚表皮角質層の破壊による抗原提示細胞(特に表皮ランゲルハンス細胞)の活性化の両方を一つの貼付剤で行うことができる。
【実施例】
【0045】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0046】
実施例1
N−メチル−ピロリドン(NMP)3質量部とオレイン酸97質量部とを混ぜて本発明の免疫賦活剤1(液剤、NMP3質量%含有)を調製した。
【0047】
実施例2
N−エチル−ピロリドン(NEP)3質量部とオレイン酸97質量部とを混ぜて本発明の免疫賦活剤2(液剤、NMP3質量%含有)を調製した。
得られた免疫賦活剤1および2を、それぞれ8〜10週齢C57BL/6マウス外耳に約50μL塗布し、24時間経過後、頚部リンパ節中のMHC class II分子及びその表面活性化分子(CD40/CD54/CD80/CD86)の割合をフローサイトメータを使用して測定した。
【0048】
比較例1
免疫賦活剤1を塗布しなかった以外は、実施例1と同様にして試験した。
【0049】
比較例2
実施例1の免疫賦活剤1に代えて、オレイン酸のみをマウス外耳に約50μL塗布した以外は、実施例1と同様にして試験した。
【0050】
結果を図1および図2に示す。
図1および図2の結果から、ピロリドン類(1)は、経皮投与により抗原提示細胞の活性化及びそのリンパ節移行を促進すると共に、各種表面活性化分子を顕著に誘導していることがわかる。
【0051】
実施例3
精製水75.8質量部に対して、グリセリン5質量部、プロピレングリコール4質量部、およびNMP3質量部を加え室温下で溶解した溶液Aを調製した。次いで、エタノール10質量部に対して、オレイルアルコール0.1質量部、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル1.5質量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル0.5質量部、およびブチルヒドロキシトルエン0.1質量部を加えて室温下で溶解した溶液Bを調製した。次いで、溶液Aと溶液Bとを全量混合することにより、本発明の免疫賦活剤3(ローション剤、NMP3質量%含有)を調製した。
【0052】
実施例4
精製水67.2質量部に対して、プロピレングリコール5質量部、NMP0.25質量部、およびNEP0.25質量部を加え、70℃に加熱して溶解した溶液Cを調製した。次いで、ステアリン酸2質量部、ステアリルアルコール7質量部、還元ラノリン2質量部、スクワラン5質量部、オクチルドデカノール6質量部、ポリオキシエチレンセチルエーテル3質量部、親油型モノステアリン酸グリセリン2質量部、およびメチルパラペン0.3質量部を混合し、70℃に加熱して溶解した溶液Dを調製した。次いで、溶液Dを溶液Cに加えて、予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化する。その後室温まで冷却し、本発明の免疫賦活剤4(クリーム剤、NMP0.25質量%、NEP0.25質量%含有)を調製した。
【0053】
実施例5
ポリアクリル酸部分中和物3.2質量部、アミノ酢酸ジヒドロキシアルミニウム0.24質量部をグリセリン11.5質量部に分散させた分散液Eを調製した。次いで、精製水100質量部に、ポリアクリル酸0.96質量部、フェノキシエタノール0.05質量部、NMP25質量部を加え、ホモディスパーを用いて分散させた分散液Fを調製した。次いで、分散液Fに分散液Eを練り合わせながら添加し、粘着剤組成物G(水系)を調製した。これを、剥離シートとしてのポリエステルフィルム上に、ナイフコーターを用いて塗布し、120℃で3分間加熱し、坪量1000g/m2の粘着層を形成した後、支持基材としてのレーヨン不織布/ポリエチレンフィルム積層品のレーヨン不織布面に貼り合わせ、室温で1日間エージングして、支持基材/粘着層(水系)/剥離シートの構成からなる本発明の免疫賦活剤5(パップ剤、粘着層中にNMP28質量%含有)を得た。
【0054】
実施例6
アクリル系ポリマー溶液(アクリル酸−2−エチルヘキシル;2EHA/N−ビニルピロリドン;VP/ヘキサメチレングリコールジメタクリレート;HDDM 共重合体=78/22/0.03[mol%]、Mw=約85万、固形分35質量%)100質量部に対して、NMP10質量部を溶解して粘着剤組成物H(非水系、溶剤型)を調製した。次いで、剥離シートとしての剥離処理ポリエステルフィルム(商品名「SP−PET381031」、リンテック社製)上に、粘着剤組成物Hをアプリケーターで塗布し、80℃で乾燥して坪量25g/m2の粘着層を形成した。次いで、支持基材としての厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを粘着層面にラミネートして、支持基材/粘着層(非水系)/剥離シートの構成からなる本発明の免疫賦活剤6(テープ剤、粘着層中にNMP8質量%含有)を得た。
【0055】
実施例7
スチレン−イソプレン−スチレン共重合体33質量部、テルペン系樹脂33質量部、および流動パラフィン33質量部を160℃で溶融混合し、次いで、ブチルヒドロキシトルエン1質量部を加え、均一になるまで溶融混合して粘着剤組成物J(非水系、無溶剤型)を調製した。次いで、剥離シートとしての厚さ75μmの剥離処理ポリエステルフィルム上に、粘着剤組成物Jをホットメルトコーターで塗工した後、冷却して坪量100g/m2の第1の粘着層を形成した。次いで、支持基材としての厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを第1の粘着層面にラミネートして、中間体Aを作製した。次いで、剥離シートとしての厚さ75μmの剥離処理ポリエステルフィルム上に、粘着剤組成物Jをホットメルトコーターで塗工した後、冷却して坪量100g/m2の第2の粘着層を形成した後、薬物貯蔵層としての坪量60g/m2のセルロース系不織布(サイズ:25mm×25mm)を第2の粘着層面にラミネートした後、セルロース系不織布上に、NMPを0.114g含浸させて中間体Bを作製した。次いで、中間体Aの剥離シートを剥離除去し、中間体Bのセルロース系不織布上に中間体Aの第1の粘着層が接するようにラミネートした後、セルロース系不織布が中心になるようにサイズ:30mm×30mmに裁断して、支持基材/第1の粘着層(非水系)/薬物貯蔵層/第2の粘着層(非水系)/剥離シートの構成からなる本発明の免疫賦活剤7(テープ剤、第1の粘着層/薬物貯蔵層/第2の粘着層中にNMP5質量%含有)を得た。
【0056】
得られた免疫賦活剤6,7(サイズ:30mm×30mm)を、それぞれ8〜10週齢C57BL/6マウス背中に貼付し、48時間経過後、鼠径リンパ節中のMHC class II分子及びその表面活性化分子(CD40/CD54/CD80/CD86)の割合をフローサイトメータを使用して測定した。なお、免疫賦活剤を使用しなかった場合(未処理)を比較として同様に試験した。
【0057】
結果を図3に示す。
図3の結果から、ピロリドン類(1)は、経皮投与により抗原提示細胞の活性化及びそのリンパ節移行を促進すると共に、各種表面活性化分子を顕著に誘導していることがわかる。
上記の結果により、ピロリドン類(1)の自然免疫系に対する免疫賦活効果が確認された。
【0058】
実施例8
免疫系は自然免疫系と獲得免疫系に大別され、後者は抗原特異性を有するリンパ球集団(B細胞やT細胞)が属するが、ピロリドン類(1)の獲得免疫系に対する影響は不明である。そこで獲得免疫系において中心的な役割を果たしているT細胞に対するピロリドン類(1)の影響を把握する目的で検討を行った。
【0059】
8週齢オスC57BL/6マウスの脾臓から細胞液を調製し、10% FCS RPMI1640培地(IL−2 100U/ml含有)に懸濁した。その後、抗マウスCD3ε抗体(クローン名:145−2C11)が固相化されている24wellプレートに1×106個の脾臓細胞を播種し、5%CO2,37℃で培養した。培養期間中、培地にはNMPが0.01,0.1,又は1mM含むようにし培養を行った。培養開始から5日目に細胞を回収し、CD4又はCD8抗体で細胞表面を染色後、細胞内IFNγ/IL−4の発現状況をフローサイトメータで解析した。
【0060】
1mM NMP存在下で若干生存率が低下したが、NMPを含有しないネガティブコントロールと比較して、NMP存在下でもCD4/CD8の割合に顕著な差は観察されなかった(図4)。一方、細胞内IFNγ/IL−4の割合を解析すると、とりわけCD4陽性細胞においてNMPの濃度依存的にIL−4の産生が抑制されていた(図5〜7)。IFNγ産生に関してはNMPによる直接の影響は観察されなかった。これらのことから、免疫二次器官にNMPが存在することでT細胞の分化は結果的にTh1>Th2にシフトし、細胞性免疫を向上させる可能性が示唆された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
で表されるピロリドン類を有効成分とする免疫賦活剤。
【請求項2】
前記ピロリドン類が、N−メチル−ピロリドンまたはN−エチルピロリドンである請求項1記載の免疫賦活剤。
【請求項3】
剤形が、経皮投与製剤である請求項1または2に記載の免疫賦活剤。
【請求項4】
剤形が、貼付剤である請求項1〜3のいずれか1項記載の免疫賦活剤。
【請求項5】
ヘルパーT細胞から産生されるIFNγを増強する作用も有するものである請求項1〜4のいずれか1項記載の免疫賦活剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の免疫賦活剤を含む免疫療法剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−32332(P2013−32332A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−36128(P2012−36128)
【出願日】平成24年2月22日(2012.2.22)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】