説明

免疫賦活及び感染防御を目的とする犬用のサプリメント

【課題】
犬における免疫賦活と感染防御を高めることの重要性に着目し、さらに無理なく継続的に与えることができる嗜好性と機能性を十分に考慮することにより、犬の免疫賦活と感染防御に優れ、かつ飼い主が容易に犬に与えることができる嗜好性の高いサプリメントを提供すること。
【解決手段】
消化促進機能を持つビール酵母、乳酸菌(死菌剤)、腸内における乳酸菌(死菌剤)の餌となるオリゴ糖を配合し、かつ顆粒状に製剤することで、十分な免疫賦活・感染防御の効果が発揮される顆粒状の犬用のサプリメント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫賦活及び感染防御を目的とする犬用のサプリメントに関する。
【背景技術】
【0002】
犬の動物病院への来院理由の大半は皮膚疾患並びに消化器疾患である。それらはすなわち胃腸疾患から発生する感染や総合的な免疫力の低下と考えられている。
【0003】
このような感染や免疫力の低下は犬の消化管における特徴と現代のドッグフードが密接に関係している。
【0004】
犬は人間と同様に雑食性であり、その腸内細菌叢は総菌数として人よりやや低く、最優勢菌として乳酸桿菌が検出されるが、ビフィズス菌は成人より少なく、それらの菌数や検出率は食餌によってかなり変動するという。(非特許文献1)
【0005】
また、犬の食餌用として市販されているドッグフードはたんぱく質含有量が多く、それらを餌とする悪玉菌のウエルシュ菌や大腸菌が増加することで、さらに犬の腸内環境を悪化させており、その食べ過ぎも胃腸疾患の原因となっている。(特許文献1)
【0006】
このような犬の胃腸疾患の原因を解決する為に、多くの医薬品やサプリメントが様々な形態で発明されている。
【0007】
しかしながらこれらのほとんどは固形状のものであり、剤形上、直接犬に与えることや摂取量の調整が困難であると指摘されている。また残念ながら本来不要となる食品添加物が混入されている例が数多く見受けられてきた。
【0008】
「動物や人に投与した際に、内在性微生物叢の改善によって消化器系、呼吸器系、泌尿器系などを対象に広く宿主の健康に好影響を与える生きた単一もしくは混合微生物」と定義されているプロバイオテクスを応用した研究も盛んに行われている。(非特許文献1)
【0009】
近年ではプロバイオテクスとして用いられている乳酸菌の菌体成分の研究から、免疫力の活性化に働く成分として生菌ではなく死菌の投与による効果が認められている。(非特許文献2)
【0010】
生菌剤を配合した製品は開発されているが、その有効性の可否が指摘されている。
【0011】
すなわち、犬の免疫賦活や感染防御を目的とする製品において、乳酸菌(死菌剤)を用いたサプリメントで嗜好性並びに安全性を兼ね備えたものは未だ見られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−357505号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】本好茂一監修「ペットフードの開発」CMC出版 2006年
【非特許文献2】塚原隆充著 「生菌剤を超える?」月刊ピッグジャーナル 2004年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は免疫賦活及び感染防御に優れ、かつ飼い主が容易に犬に与えることができる犬用のサプリメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、免疫賦活及び感染防御に優れた成分を有し、かつ飼い主が容易に継続的に与えることができる形状について鋭意研究をした結果、乳酸菌(死菌剤)とビール酵母とオリゴ糖を同時に配合することにより、免疫賦活及び感染防御の効果が得られ、かつ飼い主が容易に犬に与えることができる顆粒状にすることにより、嗜好性の高い犬用のサプリメントが得られることを見出し、本発明に至った。
【0016】
すなわち、本発明は、乳酸菌(死菌剤)、ビール酵母、オリゴ糖のみを含有する、免疫賦活及び感染防御を目的とする犬用のサプリメントに関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ビール酵母、オリゴ糖、乳酸菌(死菌剤)を有効成分として含有する顆粒状の犬用のサプリメントは免疫賦活・感染防御に関し極めて有効であり、その安全性はその他の添加物を配合しないことから信用することができる。このような犬用のサプリメントは、愛犬家の人々の需要に応えうる物である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は乳酸菌(死菌剤)、ビール酵母、オリゴ糖のみを含有する、免疫賦活及び感染防御を目的とする犬用のサプリメントに関する製造工程を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、胃における消化促進機能を持つビール酵母と、乳酸菌(死菌剤)、その乳酸菌(死菌剤)の腸内における餌となるオリゴ糖を同時に配合することにより犬の免疫賦活及び感染防御を著しく改善するサプリメントである。
【0020】
本発明におけるビール酵母としては、例えばビール酵母を発酵させ、洗浄、殺菌、乾燥するといった製造方法によって得ることができ、市販品を用いることができる。ビール酵母は顆粒状製剤中に63質量%程度配合することが好ましい。配合比率を著しく逸脱するとサプリメントとしての効果が不十分になるため、上記数値であることが望ましい。
【0021】
本発明におけるオリゴ糖としてはフラクトオリゴ糖を指し、市販品を用いることができる。オリゴ糖は顆粒状製剤中に33質量%程度配合することが好ましい。配合比率を著しく逸脱するとサプリメントとしての効果が不十分になるため、上記数値であることが望ましい。
【0022】
本発明における乳酸菌(死菌剤)としてはエンテロコッカス・フェカリス菌EC−12株を指し、これらは培養し、乾燥するといった製造方法によって得ることができ、市販品を用いることができる。乳酸菌(死菌剤)は顆粒状製剤中に4質量%程度配合することが好ましい。配合比率を著しく逸脱するとサプリメントとしての効果が不十分になるため、上記数値であることが望ましい。
【実施例】
【0023】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0024】
ビール酵母粉末3500g、オリゴ糖1850g、乳酸菌(死菌剤)250gを混合機に投入し10分間混合した。
【0025】
混合した粉末は乾式造粒機を用いて造粒後、1包あたり1.5gの製剤を包装した。
【0026】
試験として50匹の犬に1.5gの製剤を1日2回、1週間飼い主から与えさせ、その結果をアンケートによりまとめた。(犬の大きさ・歳は今回の試験では無視した。)
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
表1、表2の結果からは消化促進機能を持つビール酵母、乳酸菌(死菌剤)、腸内における乳酸菌(死菌剤)の餌となるオリゴ糖を配合し、かつ顆粒状に製剤することで、嗜好性の高さが窺えた。
【0031】
表3の結果から消化促進機能を持つビール酵母、乳酸菌(死菌剤)、腸内における乳酸菌(死菌剤)の餌となるオリゴ糖を配合し、かつ顆粒状に製剤することで、十分な免疫賦活・感染防御の効果が発揮され、その症状の悪化や副作用が出た例はなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビール酵母・オリゴ糖・乳酸菌(死菌剤)を含有する免疫賦活・感染防御を目的とした顆粒状の犬用のサプリメント
【請求項2】
乳酸菌(死菌剤)がエンテロコッカス・フェカリスEC−12株であることを特徴とする請求項1に記載のサプリメント。

【図1】
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【公開番号】特開2011−223952(P2011−223952A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98487(P2010−98487)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(310010014)
【Fターム(参考)】