説明

免震床及びフリーアクセスフロア免震床

【課題】低コスト、低床、軽量、且つ施工時間が短い免震床を提供する。
【解決手段】フレーム1,2に複数個のボールベアリング5を固定することによりフレーム1,2を床スラブ9上に移動自在に配置した免震床において、フレーム1,2を開口部を下方に向けたC形鋼によって形成し、該C形鋼の上板部1c内面にボールベアリング5を固定するとともに、ボールベアリング5の取り付け高さ調節機構6,7,8を設けるようにした。
【効果】低コスト、低床、軽量、且つ施工時間が短い免震床が得られると共に、前記ボールベアリングを確実に接地させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は免震床に関し、特にフリーアクセスフロア用の免震床に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の免震床は、例えばH型鋼によってフレームを形成し、H型鋼の下面に例えば3mピッチにてボールベアリングを固定する構造が用いられていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の免震床構造は、H型鋼を用いているから著しく重く、同時にコスト高となり、施工時間も長時間を要していた。また、H型鋼の下面にボールベアリングを固定しているから、床スラブ面からフレームの上面までの高さが著しく高いという問題点を有していた。したがって本発明は、低コスト、低床、軽量、且つ施工時間が短い免震床を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明は、
フレームに複数個のボールベアリングを固定することにより前記フレームを床スラブ上に移動自在に配置した免震床において、
前記フレームを開口部を下方に向けたC形鋼によって形成し、該C形鋼の上板部内面に前記ボールベアリングを固定するとともに、前記ボールベアリングの取り付け高さ調節機構を設けたことを特徴とするものである。
【0005】
また、上記課題を解決するために本発明は、
フレームに複数個のボールベアリングを固定することにより前記フレームを床スラブ上に移動自在に配置し、フレームの上面に支持脚を載置し、該支持脚によって床板を支持することにより、フレームの上面との間に間隔を開けて前記床板を敷き詰めたフリーアクセスフロア免震床において、
前記フレームを開口部を下方に向けたC形鋼によって形成し、該C形鋼の上板部内面に前記ボールベアリングを固定するとともに、前記ボールベアリングの取り付け高さ調節機構を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る免震床によれば、
フレームに複数個のボールベアリングを固定することにより前記フレームを床スラブ上に移動自在に配置した免震床において、
前記フレームを開口部を下方に向けたC形鋼によって形成し、該C形鋼の上板部内面に前記ボールベアリングを固定するとともに、前記ボールベアリングの取り付け高さ調節機構を設けたことにより、
低コスト、低床、軽量、且つ施工時間が短い免震床が得られると共に、前記ボールベアリングを確実に接地させることができる。
【0007】
また、本発明に係るフリーアクセスフロア免震床によれば、
フレームに複数個のボールベアリングを固定することにより前記フレームを床スラブ上に移動自在に配置し、フレームの上面に支持脚を載置し、該支持脚によって床板を支持することにより、フレームの上面との間に間隔を開けて前記床板を敷き詰めたフリーアクセスフロア免震床において、
前記フレームを開口部を下方に向けたC形鋼によって形成し、該C形鋼の上板部内面に前記ボールベアリングを固定するとともに、前記ボールベアリングの取り付け高さ調節機構を設けたことにより、
低コスト、低床、軽量、且つ施工時間が短いフリーアクセスフロア免震床が得られると共に、前記ボールベアリングを確実に接地させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を図面によって説明する。図1は本発明による免震床の一実施例を示す。この免震床はフリーアクセスフロア用の免震床であり、複数本の縦フレーム1の間に複数本の横フレーム2を固定することにより、全体のフレームが組まれている。各フレーム1,2は角筒状パイプによって形成されており、また本実施例では、縦横のフレーム1,2は溶接によって相互に固定されている。相対向する縦フレーム1,1の側面には、相対向するように突出部3,3が突設されており、この突出部3,3には、断面コ字状の掛け渡し部材4が掛け渡されている。
【0009】
図2は図1中A−A線矢視の右半部分を示し、同図に示すように、縦フレーム1のうちの横フレーム2との接合箇所に、それぞれボールベアリング5が固定されている。縦フレーム1は角筒状パイプによって形成されているが、ボールベアリング5を固定する部分での角筒状パイプの下板部1aには、貫通孔1bが設けられており、ボールベアリング5はこの貫通孔1bを貫通して、角筒状パイプの上板部1cの内面に固定されている。すなわちボールベアリング5の頂部からはおねじ5aが突出しており、このおねじ5aに延長用止めネジ6が螺着されている。この延長用止めネジ6の上端には、すり割り6aが設けられている。他方、角筒状パイプの上板部1cの下面には、下ナット7が溶接によって固定されており、この下ナット7に延長用止めネジ6が螺入されている。延長用止めネジ6の上部は上板部1cの上面より上方に突出し、この突出部分に上ナット8が螺着されている。
【0010】
こうして延長用止めネジのすり割り6aを利用して、延長用止めネジ6を下ナット7にねじ込み、あるいはねじ戻すことにより、ボールベアリング5の取り付け高さを調節し、しかる後に上ナット8を延長用止めネジ6に締め付けることにより、その位置で延長用止めネジ6をロックするように構成されている。なお免震床の部分では、床スラブ9上には鋼板9aが敷かれており、ボールベアリング5はこの鋼板9a上を転動する。
【0011】
各縦フレーム1、横フレーム2、及び掛け渡し部材4の上面には位置決め部材10が載置されており、位置決め部材10上にはこの位置決め部材10によって位置決めされた支持脚11が載置されている。本実施例の支持脚11は、金属パイプ11aと、この金属パイプ11a上に取り付けた樹脂製の受け具11bとからなる。受け具11bの上面には縦横にスリットが刻設されており、このスリットに床板12の側面リブが嵌入しており、こうしてフレーム1,2上に、間隔を開けて複数枚の床板12を支持するように構成されている。床板12上にはカーペット13が敷かれる。
【0012】
図3は図1中A−A線矢視の左半部分を示し、この図3は固定床の部分であり、次のように形成されている。床スラブ9上に位置決め部材10が敷かれており、その上に支持脚11が載置されている。支持脚11は金属パイプ11aと受け具11bとからなり、受け具11b上に複数枚の床板12が載置されており、床板12上にカーペット13が敷かれている。こうして床スラブ9上に、間隔を開けて複数枚の床板12を支持するように構成されている。固定床部分での金属パイプ11aの高さは、免震床部分での金属パイプ11aよりも長く形成されている。また図2、図3に示すように、免震床から固定床にかけて、緩衝床板14が掛け渡されている。
【0013】
本実施例は以上のように構成されており、地震荷重が作用して床スラブ9が縦横に振動しても、免震床はボールベアリング5を介して床スラブ9上に載置されているから、地震荷重を軽減することができる。なお地震エネルギーの吸収は、ボールベアリング5のころがり摩擦抵抗、緩衝床板14と固定床の床板12との摺動摩擦抵抗などによって行われる。また本実施例では、地震発生前の位置に免震床を戻すための復元機構を用いていないが、コイルバネ等を用いることにより復元力を持たせることもできる。
【0014】
しかして本実施例において、縦フレーム1は角筒状パイプによって形成されており、この角筒状パイプの下板部1aに設けた貫通孔1bを貫通して、上板部1cにボールベアリング5を固定している。したがってH型鋼の下面にボールベアリングを固定した従来技術と比較して、低コスト、低床、軽量、且つ施工時間が短い免震床となっている。なお本実施例ではフリーアクセスフロアに適用した免震床を示したが、免震床の上にフリーアクセスフロアを載置せずに、通常の免震床として本発明を用いることもできる。
【0015】
次に図4と図5は別の実施例を示し、この実施例では図5に示すように、フレーム1,2の材料としてC形鋼を用いており、このC形鋼は開口部を下方に向けて配置されており、ボールベアリング5はC形鋼の上板部1cの内面に固定されている。なおC形鋼は、平板状の鋼板を折り曲げ加工することによって形成されている。また縦フレーム1には、横フレーム2を取り付けた位置の中間部にもボールベアリング5を設けている。更に縦フレーム1の側面に取り付けた突出部3は、縦フレームの長手方向に連続するように設けられており、したがって掛け渡し部材4の下面がこの突出部の上面に載置される。また掛け渡し部材4の位置決めを図るために、突出部3に上方に向けて位置決め部3aを立設している。このように形成しても前記実施例と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例を示す平面図である。
【図2】図1中A−A線矢視の右半部分を示す断面図である。
【図3】図1中A−A線矢視の左半部分を示す断面図である。
【図4】別の実施例を示す平面図である。
【図5】図4中B−B線矢視断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 縦フレーム
1a 下板部
1b 貫通孔
1c 上板部
2 横フレーム
3 突出部
3a 位置決め部
4 掛け渡し部材
5 ボールベアリング
5a おねじ
6 延長用止めネジ
6a すり割り
7 下ナット
8 上ナット
9 床スラブ
9a 鋼板
10 位置決め部材
11 支持脚
11a 金属パイプ
11b 受け具
12 床板
13 カーペット
14 緩衝床板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに複数個のボールベアリングを固定することにより前記フレームを床スラブ上に移動自在に配置した免震床において、
前記フレームを開口部を下方に向けたC形鋼によって形成し、該C形鋼の上板部内面に前記ボールベアリングを固定するとともに、前記ボールベアリングの取り付け高さ調節機構を設けたことを特徴とする免震床。
【請求項2】
フレームに複数個のボールベアリングを固定することにより前記フレームを床スラブ上に移動自在に配置し、フレームの上面に支持脚を載置し、該支持脚によって床板を支持することにより、フレームの上面との間に間隔を開けて前記床板を敷き詰めたフリーアクセスフロア免震床において、
前記フレームを開口部を下方に向けたC形鋼によって形成し、該C形鋼の上板部内面に前記ボールベアリングを固定するとともに、前記ボールベアリングの取り付け高さ調節機構を設けたことを特徴とするフリーアクセスフロア免震床。
【請求項3】
前記フレームのうちの相対向する側面に相対向するように突出部を突設し、該突出部間に掛け渡し部材を掛け渡すことにより、前記フレームの上面と前記掛け渡し部材の上面とによって前記支持脚を支持した請求項2に記載のフリーアクセスフロア免震床。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−348748(P2006−348748A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272226(P2006−272226)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【分割の表示】特願平9−150311の分割
【原出願日】平成9年5月22日(1997.5.22)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【出願人】(599105724)株式会社開発設計コンサルタント (1)
【Fターム(参考)】