説明

入れ歯

【課題】入れ歯の使用情報を蓄えることができると共に識別性を備えて、受診便利性及び正確度を高め、紛失や取り違いなどの事態を防ぐことができる入れ歯を提供する。
【解決手段】無線周波数読取装置と互いに通信することができる入れ歯であって、複数の義歯と、前記複数の義歯における少なくとも1つに埋め込まれ、前記義歯の所有者に対応する識別情報を格納し、前記無線周波数読取装置との間で受送信する無線周波数識別タグとを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入れ歯に関し、特に、識別性を備えた入れ歯に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、数本程度の歯又は全ての歯が抜けた時に、これを補うため義歯からなる部分入れ歯か総入れ歯が装着されている。この場合、食事のあと、入れ歯についた食べかすをそのままにしておくと、時間が経つにつれてさまざまな細菌が増殖して、口臭や歯周病の原因になることがあるので、部分入れ歯や総入れ歯は、自分の歯と同様に、毎日の手入れをしなければならず、例えば毎食後、入れ歯を外して例えば歯ブラシで磨くなどして、清潔を保たなければならない。また、入れ歯は装着したら歯ぐきを時々休ませる必要があるので、通常寝ている間入れ歯を外しておく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾実用新案登録番号第M257789号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人が多い例えば養護老人ホームや病院では、外した入れ歯をどこに置いたか忘れたり、取り違いがあったり、紛失したりすることがよくあるので、直接入れ歯に名前を入れたり、記名テープを貼ったりするといった手段を用いて入れ歯の持ち主がすぐ分かるようにしなければならないが、これを嫌がる人も少なくない。また、入れ歯の紛失などで新たにつくる場合、もとの病院でなければ患者の病状や装着後の使用状況などがわからず、すぐ判断できず、作製時間が延びてしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消しようとするもので、入れ歯の使用情報を蓄えることができると共に識別性を備えて、受診便利性及び正確度を高め、紛失や取り違いなどの事態を防ぐことができる入れ歯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、無線周波数読取装置と互いに通信することができる入れ歯であって、複数の義歯と、前記複数の義歯の少なくとも一つに埋め込まれ、前記義歯の所有者に対応する識別情報を格納し、前記無線周波数読取装置との間で受送信する無線周波数識別タグとを備えている入れ歯を提供する。
【0007】
さらに、前記無線周波数識別タグに送信可能に電気的に接続されるように前記義歯に埋め込まれた検出素子を備え、前記検出素子は、前記義歯の使用変更量を検出し、前記無線周波数識別タグに出力し前記識別情報として保存する構成としてもよい。
【0008】
また、前記検出素子は、無線又は有線によって前記無線周波数識別タグと電気的に接続されることが好ましい。
【0009】
また、前記検出素子は、前記義歯が外力を受けたときの圧力変化を感知し、圧力変化値を生成し、前記無線周波数識別タグに出力して前記識別情報として保存する圧力検出素子及び/または、前記義歯が前記所有者の口の内外の温度の違いを感知し、温度変化値を生成し、前記無線周波数識別タグに出力して前記識別情報として保存する温度検出素子を有することが好ましい。
【0010】
また、前記無線周波数識別タグに保存されている識別情報は、追加、更新、削除することができるように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の入れ歯によれば、義歯に所有者の固有情報や使用情報を含んだ識別情報を保存している無線周波数識別タグが埋め込まれているので、通常入れ歯の使用情報をキャッチすることができると共に識別性を備えるようにすることができるため、受診便利性及び正確度を高めることができる。また、所有者不明の義歯や取り違いのとき、所定の無線周波数読取装置を通じて無線周波数識別タグ内に保存された情報を引き出して照合することができるので、むやみに他人に知られずに入れ歯の持ち主をすぐ判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】無線周波数読取装置と通信可能の入れ歯の構成を示す斜視図である。
【図2】図1の一部を切り欠いて示す拡大断面図である。
【図3】図1の通信状態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【実施例】
【0014】
図1〜図3は、本発明の入れ歯の一実施の形態を示し、図1は、無線周波数読取装置1と通信可能の入れ歯2の構成を示す斜視図、図2は、図1の一部を切り欠いて示す拡大断面図、図3は、図1の通信状態を示すブロック図である。この実施の形態の入れ歯2は、無線周波数読取装置1と互いに通信可能に構成されたものであり、所有者の上顎部、下顎部の歯ぐき(図示せず)に装着する義歯床21、21と、それぞれの義歯床21、21によって支持される一本或いは複数の義歯22、22、・・・と、これらの義歯22、22、・・・における少なくとも1つ内に埋め込まれた無線周波数識別(Radio Frequency Identification/RFID)タグ3、3と、RFIDタグ3に送信可能に電気的に接続されるように義歯2に埋め込まれた検出素子4、5を備えている。
【0015】
RFIDタグ3は、例えばチップの形で義歯22内に埋め込まれ、義歯の所有者に対応する識別情報を格納し、無線周波数読取装置1との間に受送信するように構成される。RFIDタグ3は、義歯22の義歯床21側の下部に設けられることが好ましい。なお、RFIDタグ3は、数メガバイトのデータを格納するような記憶容量を備える構成とし、また、識別情報は、追加、更新、削除することができるように構成される。
【0016】
検出素子は、RFIDタグ3と互いに受送信可能に電気的に接続されるようにRFIDタグ3に載置されて義歯22に埋め込まれ、義歯22の使用変更量を検出し、RFIDタグ3に出力し識別情報として保存する。なお、検出素子は、無線又は有線によってRFIDタグ3と電気的に接続される構成としてよい。
【0017】
検出素子は、より具体的には、義歯2が外力を受けたときの圧力変化を感知し、圧力変化値を生成し、RFIDタグ3に出力して識別情報として保存する圧力検出素子4、及び義歯2が所有者の口の内外の温度の違いを感知し、温度変化値を生成し、RFIDタグ3に出力して識別情報として保存する温度検出素子5を有する。
【0018】
なお、RFIDタグ3は、駆動エネルギーによって、電池による主動タイプと、例えば無線周波数読取装置1によって作動される従動タイプとに大別される。この例においては、RFIDタグ3は、主動タイプのRFIDタグとして圧力検出素子4と温度検出素子5に電力を供給すると共に、電磁波を発生する電力を供給することができる電池(図示せず)を設けている。なお、RFIDタグ3が無線周波数読取装置1の感知範囲内にあると、RFIDタグ3が内蔵電池に対して充電を行うことができる。
【0019】
次に、本実施の形態の入れ歯の作用を説明する。
【0020】
入れ歯2の所有者は、入れ歯2で食べ物を噛んだりするとき、圧力検出素子4によって噛む前後の圧力の違いを感知し、圧力変化値を生成してRFIDタグ3に出力して識別情報としてRFIDタグ3の識別情報に追加するように保存する。一方、温度検出素子5によって所有者の口の内外の温度の違いを感知し、温度変化値を生成し、RFIDタグ3に出力して識別情報としてRFIDタグ3の識別情報に追加するように保存する。また、所有者の固有情報、例えば年齢、住所などが変ったとき、RFIDタグ3に保存された識別情報から旧いデータを削除してデータの更新を行うことができる。
【0021】
無線周波数読取装置1によってRFIDタグ3の識別情報が読み取られたとき、RFIDタグ3の識別情報における圧力変化値に基づいて、入れ歯2の噛み具合などの使用状態を判定することができ、入れ歯2の調整を行うことができる。そして、RFIDタグ3の識別情報の温度変化値に基づいて、入れ歯2を外した回数、期間を判定することができる。このようにすると、受診便利性を向上させることができる。
【0022】
もし、入れ歯2が無線周波数読取装置1の感知範囲内に位置すれば、RFIDタグ3は自動的に識別情報を無線周波数読取装置1に送出し、或いは、無線周波数読取装置1が無線電波を発射し、感知範囲内のRFIDタグ3が感知すると、RFIDタグ3が応答して電磁波を発射し得る。また、無線周波数読取装置1を無線又は有線でコンピュータなどと接続すると、コンピュータの入力装置を用いて無線周波数読取装置1に読み取られたRFIDタグ3の識別情報に基づいて診察などのための処置をすることができる。
【0023】
以上のように、本発明による識別性を備えた入れ歯は、RFIDタグ3に所有者に対応する入れ歯の情報を保存してあるので、入れ歯の置き忘れなどの場合、無線周波数読取装置1を通じて、所有者の身元、医療記録などを引き出すことができ、所有者を見出すことができ、また、入れ歯の作製などのとき、入れ歯から見出す情報を有効に利用することができる。
【0024】
また、本発明による識別性を備えた入れ歯は、圧力変化や温度変化などを検出する検出素子を備えているので、これらの変化値をRFIDタグ3に保存することによって、必要時に引き出すことができるので、入れ歯2の噛み具合などの使用状態、入れ歯2を外した回数、期間を判定することができ、入れ歯2の装着や作製の調整に役立てることができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明による識別性を備えた入れ歯は、入れ歯の所有者の見出し、入れ歯の作製や装着調整に有用である。
【符号の説明】
【0026】
1 無線周波数読取装置
2 入れ歯
21 義歯床
22 義歯
3 無線周波数識別(RFID)タグ
4、5 検出素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数読取装置と互いに通信することができる入れ歯であって、
複数の義歯と、
前記複数の義歯における少なくとも1つに埋め込まれ、前記義歯の所有者に対応する識別情報を格納し、前記無線周波数読取装置との間で受送信する無線周波数識別タグとを備えていることを特徴とする入れ歯。
【請求項2】
さらに、前記無線周波数識別タグと互いに受送信可能に電気的に接続されるように前記義歯に埋め込まれた検出素子を備え、前記検出素子は、前記義歯の使用変更量を検出し、前記無線周波数識別タグに出力し前記識別情報として保存することを特徴とする請求項1に記載の入れ歯。
【請求項3】
前記検出素子は、無線又は有線によって前記無線周波数識別タグと電気的に接続されることを特徴とする請求項2に記載の入れ歯。
【請求項4】
前記検出素子は、前記義歯が外力を受けたときの圧力変化を感知し、圧力変化値を生成し、前記無線周波数識別タグに出力して前記識別情報として保存する圧力検出素子を有することを特徴とする請求項2に記載の入れ歯。
【請求項5】
前記検出素子は、前記義歯が前記所有者の口の内外の温度の違いを感知し、温度変化値を生成し、前記無線周波数識別タグに出力して前記識別情報として保存する温度検出素子を有することを特徴とする請求項2に記載の入れ歯。
【請求項6】
前記検出素子は、前記義歯が外力を受けたときの圧力変化を感知し、圧力変化値を生成し、前記無線周波数識別タグに出力して前記識別情報として保存する圧力検出素子と、前記義歯が前記所有者の口の内外の温度の違いを感知し、温度変化値を生成し、前記無線周波数識別タグに出力して前記識別情報として保存する温度検出素子とを有することを特徴とする請求項2に記載の入れ歯。
【請求項7】
前記無線周波数識別タグに保存されている識別情報は、追加、更新、削除することができるように構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の入れ歯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−50645(P2011−50645A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203951(P2009−203951)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(509248615)中国▲医▼薬大学 (1)
【氏名又は名称原語表記】CHINA MEDICAL UNIVERSITY
【Fターム(参考)】