入力操作装置、入力操作制御方法、入力操作制御プログラムおよび入力操作装置の設計方法
【課題】ユーザーの意図しない誤操作を極力減らすことによって操作性を向上させた入力操作装置を提供する。
【解決手段】入力操作装置は、回転操作、傾動操作および押下げ操作が可能な操作ノブ400を備える。所定のモードにおいて、操作ノブ400の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する。回転操作で行える処理についてはできる限り回転操作にキー割り当てを行い、傾動操作についてはできる限り押下げ操作と同じ処理になるようにキー割り当て行う。
【解決手段】入力操作装置は、回転操作、傾動操作および押下げ操作が可能な操作ノブ400を備える。所定のモードにおいて、操作ノブ400の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する。回転操作で行える処理についてはできる限り回転操作にキー割り当てを行い、傾動操作についてはできる限り押下げ操作と同じ処理になるようにキー割り当て行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力操作装置および入力操作制御方法に関する。詳しくは、ユーザーが指押しする位置が多少ずれてもそれを誤入力とせず、ユーザーの意図しない誤操作を極力減らすことによって操作性を向上させる入力操作装置および入力操作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されるカーオーディオ機器としての車載機器が知られている(例えば、特許文献1)。
車載機器には、ラジオチューナやCDドライバが内蔵され、ラジオ放送や音楽が楽しめるようになっている。さらに、車載機器はUSB端子やBluetooth(登録商標)を備えており、USB端子を利用してiPod(登録商標)等の携帯型デジタル音楽プレーヤーを接続したり、Bluetooth(登録商標)を介して携帯電話機を接続することができるようになっている。
【0003】
ところで、このような多機能の車載機器では、面積が限定されている操作パネル上に各種操作キー、LCD表示器等の部品を配置しなければならない。そこで、このような車載機器では、押す位置で多種類の入力操作ができる操作部が採用されている。
【0004】
例えば、図5に示すように、車載機器100の操作パネル110には、操作キー111と、操作ボタン112、113と、表示部114と、が配設されている。
操作キー111は、傾動操作および押下げ操作が可能になっている。操作キー111の傾動操作としては、右端と左端とがそれぞれ個別に押せるようになっている。例えば、図6のように右端を押すと、操作キー111が右側にわずかに傾動する。操作キー111の右押し操作に対しては、選択カーソル200が右に移動したり、設定レベルが大きくなるように変更したり、曲をスキップや早送りするようにキー割り当てが設定される。
また、操作キー111の押下げ操作としては、図8のように操作キー111のセンターを押すと、操作キー111がまっすぐに押し下がるようになっている。
操作キー111の押下げ操作に対しては、エンター(Enter)としての入力確定が割り当てられる。
【0005】
操作ボタンとしては、必要に応じて各種の操作キーが配設される。
例えば、iPod、電話、ラジオなどの各種メニューを選択する個別のボタンキー(不図示)が設けられていてもよい。
ここでは、アップ、ダウンをそれぞれ指示するための操作ボタン112、113が設けられている。
アップボタン112の押動操作に対しては、カーソル200が上方に移動したり、設定レベルが大きくなるように変更したり、メニューの上位階層に移動するようにキー割り当てが設定される。
ダウンボタン113の押動操作に対しては、カーソル200が下方に移動したり、設定レベルが小さくなるように変更したり、メニューの下位位階層に移動するようにキー割り当てが設定される。
【0006】
図面を参照して車載機器100の操作について説明する。
図6において、表示部114には4つの選択項目が表示されている。
この状態で、操作キー111を右押しすると、カーソル200が右に移動する。さらに、図7のようにアップボタン112を押すと、カーソル200が上に移動する。そして、図8のように操作キー111を押下げ操作すると、選択を確定し、その下位の設定画面に移行する。
【0007】
ここでは、オーディオ設定における低域出力調整(Bass Boost)を例示している。
図9のように、アップボタン112を押動操作すると、バスブースターのレベルが上がる。
また、図10のように、操作キー111でもレベル変更操作が可能であるようにキー割り当てが設定されており、右押しによってレベルアップ、左押しによってレベルダウンの操作ができる。
バスブースターが所望のレベルになったところで操作キー111を押下げ操作すると(図11)、入力が確定する。ここでは、入力が確定した後、上の階層に戻るようになっている。
【0008】
このようにして、操作キー111および操作ボタン112、113を用いることにより、ユーザーは各種の設定入力を行うことができる。特に、操作キー111は、一つの部材で左右の押動とエンターの役割を果たせるので、操作パネル110のスペース効率の向上に貢献している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010-159016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような操作キー111にはユーザーが誤操作しやすいという問題点がある。例えば、図10の状態で操作キー111の中心を押し下げてエンター入力をするつもりが(図11)、押す場所がずれて右押しや左押しになることがしばしば生じてしまう。すると、カーソル200が意図した項目からずれてしまうので、再び左押しや右押しをして選び直さなければならなくなる。
また逆に、右押しや左押しをしたいときに、エンター入力になってしまうことも起こりうる。この場合、階層を戻した上でさらに選択し直さなければならなくなる。
【0011】
さらに近年では、図12に示すように、回転操作もできる操作ノブ400が用いられるようになってきている。
この操作ノブ400によれば、回転操作としては、右回転401および左回転402ができ、傾動操作としては、上押し403、下押し404、右押し405、左押し406ができ、さらに、押下げ操作407ができ、合計で7種類の入力操作が可能である。
しかしながら、押す位置のわずかなずれで誤操作が起こりやすいという問題が依然として残る。
【0012】
本発明の目的は、ユーザーの意図しない誤操作を極力減らすことによって操作性を向上させる入力操作装置、入力操作制御方法、入力操作制御プログラムおよび入力操作装置の設計方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の入力操作装置は、
傾動操作および押下げ操作が可能な操作部と、
前記操作部の傾動方向および押し下げを検出する検出手段と、
それぞれが複数の選択項目を有する複数のモードを管理し、前記操作部による入力操作に応じて入力変更または入力確定を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、所定のモードにおいて、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする。
【0014】
本発明では、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
前記検出手段は、さらに、前記操作部の回転を検出し、
前記制御手段は、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を選択項目の変更に割り当てている場合、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことが好ましい。
【0015】
本発明では、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
前記検出手段は、さらに、前記操作部の回転を検出し、
前記制御手段は、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を設定レベルの上げ下げに割り当てている場合、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことが好ましい。
【0016】
本発明では、
前記制御手段は、前記回転操作でも前記傾動操作でも行える入力操作に対して前記操作部の回転操作を割り当てるとともに、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理するように操作割り当てする
ことが好ましい。
【0017】
本発明では、
前記回転操作でも前記傾動操作でも行える入力操作とは、
選択項目の変更および設定レベルの上げ下げの少なくともいずれかである
ことが好ましい。
【0018】
本発明の入力操作制御方法は、
傾動操作および押下げ操作が可能な操作部を有する入力操作装置を用いた入力操作を制御する入力操作制御方法であって、
所定のモードにおいて、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする。
【0019】
本発明では、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を選択項目の変更として処理し、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことが好ましい。
【0020】
本発明では、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を設定レベルの上げ下げとして処理し、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことが好ましい。
【0021】
本発明の入力操作制御プログラムは、
傾動操作および押下げ操作が可能な操作部と、前記操作部の傾動方向および押し下げを検出する検出手段と、を備える入力操作装置に組み込まれたコンピュータを、
それぞれが複数の選択項目を有する複数のモードを管理し、前記操作部による入力操作に応じて入力変更または入力確定を制御するとともに、所定のモードにおいて前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する制御手段として機能させる
ことを特徴とする。
【0022】
入力操作装置の設計方法は、
傾動操作、押下げ操作および回転操作が可能な操作部と、
前記操作部の傾動方向、押し下げ、回転を検出する検出手段と、
それぞれが複数の選択項目を有する複数のモードを管理し、前記操作部による入力操作に応じて入力変更または入力確定を制御する制御手段と、を備えた入力操作装置の設計方法であって、
前記回転操作でも前記傾動操作でも行える入力操作に対しては前記操作部の回転操作を割り当て、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理するように操作割り当て設計を行う
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、所定のモードにおいて操作部の傾動方向への操作が押下げ操作と同等に処理されるので、ユーザーが押下げ操作のつもりで誤って傾動操作をしてしまってもユーザーの意図通りの処理になる。
これにより、押し場所のずれに起因した誤操作を少なくし、操作性を格段に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態の機能ブロック図。
【図2】キー割り当てを設計するときのフローチャート。
【図3】音響効果の設定調整画面の例を示す図。
【図4】オーディオプリセットの選択をする画面の一例を示す図。
【図5】車載機器の外観を示す図。
【図6】車載機器を操作している様子を示す図。
【図7】車載機器を操作している様子を示す図。
【図8】車載機器を操作している様子を示す図。
【図9】車載機器を操作している様子を示す図。
【図10】車載機器を操作している様子を示す図。
【図11】車載機器を操作している様子を示す図。
【図12】車載機器を操作している様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明に係る第1実施形態について説明する。
第1実施形態としては、回転操作可能な操作ノブ400を有する車載機器100を例に説明する。
第1実施形態の外観図は、図12に示したものと同じであり、操作パネル110には、操作ノブ400と表示部114とが配設されている。すなわち、操作ノブ400は、回転操作として右回転および左回転ができ、傾動操作として上押し、下押し、右押し、左押しができ、さらに、押下げ操作ができ、合計で7種類(7コマンド)の入力操作が可能である。
【0026】
図1は、第1実施形態の機能ブロック図である。
図1において、操作ノブ400の操作は検出部120で検出され、入力インターフェース130を介して制御部150に入力される。
検出部120は、操作ノブ400の回転操作を検出する回転検出部121と、操作ノブ400の4方向(上、下、右、左)の傾動を検出する傾き検出部122と、操作ノブ400の押下げを検出する押下げ検出部123と、を備える。
これら検出部121、122、123は、各種のエンコーダおよびスイッチによって実現できる。
【0027】
また、車載機器100には、ラジオチューナ141と、CDドライバ142と、Bluetooth装置(無線通信部)143と、が内蔵されており、これらに加えて、iPod 501が入力インターフェース130を介して制御部150に接続可能になっている。Bluetooth装置143により、例えば携帯電話機502と通信を確立することができる。
【0028】
制御部150には各種の設定が記憶されたRAM 151およびROM 152が付設され、制御部150によって車載機器全体の動作が制御される。RAM 151およびROM 152に設定された各種プログラムが制御部150に読み込まれることによって、表示部114の画面ステイタスや操作ノブ400の操作に対する動作などが制御されるが、詳しくは後述する。
また、制御部150には出力インターフェース160を介して表示部114およびスピーカ170が接続されている。
【0029】
本実施形態は、操作ノブ400の操作に対するキー割り当てに特徴を有するので、図2のフローチャートを参照してキー割り当ての設計について説明する。
ここで、本実施形態は車載機器100を例にして説明しているところ、車載機器100の設計者がキー割り当てを設計できるのは、主に、車載機器自体に依存した機能をユーザーに選ばせる画面ステイタスにおいてである。車載機器100が各種のソース(携帯音楽プレーヤーや携帯電話機)に繋がって動作する場合、操作ノブ400のキー割り当ては、基本的にソースの設計を引き継ぐ。
【0030】
例えば、よく知られているように、iPod(登録商標)501の場合、メニュー選択中は、回転操作でリスト項目の上下、上押しで上位のフォルダへ移動、中心ボタンで選択確定かさらにその下位の階層への移動である。また、音楽再生中は、回転操作でボリューム調整、下押しで再生または一時停止、左右押しで曲のスキップ(長押しは早送り巻き戻し)、中心ボタンでタイムバーの表示、などと決められている。
このようなキーの割り当てはソースと同じにしておいた方がユーザーは操作しやすく誤操作も少ないので、車載機器100の設計者がソースのキー割り当てを変更することは、特別な例外を除き、原則としてしない。
【0031】
一方、車載機器自体に依存した機能として、オーディオ調整やファンクション設定(現時刻設定、CDの曲のリピート設定、携帯電話機のハンズオン/ハンズフリー、外部接続機器のデバイス登録/削除など)がある。これらはソースに依存せず、車載機器100のみの設定調整である。したがって、設計者は、オーディオ調整モードやファンクション設定モードにおいて、ユーザーが操作しやすく誤操作を極力減らすようにキー割り当てを設計する。
【0032】
図2は、キー割り当てを設計するときのフローチャートである。
まず、ST100において、各モードを作成する。すなわち、オーディオ調整モードやファンクション設定モードなど車載機器100の動作設定に必要なモードを作成する。
次に、各モードにおいて表示部114に表示させる表示画面を作成する(ST101)。
例えば、オーディオ調整モードであれば、図3(A)にあるような音響効果の設定調整画面を作成する。
【0033】
ここで、前記作成した表示画面の操作にあたって、傾動操作に個別に割り当てる機能があるか否か判断する(ST102)。
例えば、図3(A)の場合、表示部114には3つの選択項目が上下方向に配置されている。したがって、上押しおよび下押しに対し、カーソル200を上下に移動させる機能を割り当てることはできる(ST102:YES)。
【0034】
この場合、次に、傾動操作と同じことが回転操作でも可能であるかどうかについて判断する(ST103)。
例えば、図3(A)のようにカーソル200を上下に動かしたい画面ステイタスでは、操作ノブ400の回転でも同じことができる(ST103:YES)。
すなわち、操作ノブ400を右回転(時計回り)させた場合にカーソル200を下方向に移動させ、操作ノブ400を左回転(反時計回り)させた場合にカーソル200を上方向に移動させるようにできる。
このように、傾動操作に割り当てる機能を回転操作でも実現できる場合には(ST103:YES)、回転操作にキー割り当てを行い、傾動操作に対しては押下げ操作と同等のキー割り当てとする(ST104)。
図3(A)の画面ステイタスでは、回転操作にのみカーソル200の移動を割り当て、傾動操作は押下げ操作と同じエンターキーとする。
【0035】
また、例えば、図3(C)では、表示部114においてLevelを上げたり下げたりしたい。
この場合、上押しおよび下押しに対しレベルの上げ下げを割り当てることはできるが(ST102:YES)、レベルの上げ下げは回転操作にも割り当てることができる(ST103:YES)。すなわち、操作ノブ400を右回転(時計回り)させた場合にレベルをアップさせ、操作ノブ400を左回転(反時計回り)させた場合にレベルをダウンさせるようにできる。そこで、図3(C)の画面ステイタスでは、回転操作にのみレベルの上げ下げを割り当て、傾動操作は押下げ操作と同じエンターキーとする。
【0036】
また、例えば、図4(B)のように、左右に並んだ二つの選択項目から一つを選ばせる場合、左押しおよび右押しに対しカーソル200の左右の移動を割り当てることはできるが(ST102:YES)、カーソル200の左右の移動は回転操作でもできる(ST103:YES)。すなわち、操作ノブ400を右回転(時計回り)させた場合にカーソル200を右に移動させ、操作ノブ400を左回転(反時計回り)させた場合にカーソル200を左に移動させるようにすればよい。そこで、図4(B)の画面ステイタスでは、回転操作にのみカーソル200の移動を割り当て、傾動操作は押下げ操作と同じエンターキーとする。
【0037】
なお、図6のように、表示部114に4つの選択項目が表示されている場合でも、回転操作でカーソル200を巡回移動させるようにすれば、傾動操作をカーソル移動に割り当てる必要はなく、この場合も傾動操作は押下げ操作と同じエンターキーとすることができる。
【0038】
このように傾動操作を押下げ操作と同じエンターキーとしておけば、エンターのつもりが誤って右押しや上押しになってしまってもユーザーの意図通りにエンター(選択確定)になり、押し場所のずれに起因した誤操作がなくなる。
【0039】
このようなキー割り当て設計を行い、総てのモードの総ての表示画面に対して順次行っていく(ST106-ST109)。
【0040】
なお、ST102において、傾動操作に個別に割り当てる機能がそもそもなければ(ST102:NO)、この場合も傾動操作に対して押下げ操作と同等のキー割り当てを行う(ST104)。
従来は、傾動操作に個別に割り当てる機能がなければキー割り当てを行わず、傾動操作に対しては無効の処理をしていた。
この場合、エンターのつもりが誤って右押しや上押しになってしまった場合、ユーザーの意図通りに入力確定できず、ユーザーは再び押し直さなければならない。
これに対し、本実施形態のように、傾動操作に対して押下げ操作と同等のキー割り当てをしておけば、押し場所がずれてもユーザーの意図通りにエンター(選択確定)になる。
【0041】
また、ST103において、回転操作で代替できない場合には(ST103:NO)、当然ながら、傾動操作に個別のキー割り当てを行う(ST105)。
なお、ST105において傾動操作に個別のキー割り当てを行う際、4方向の総てにキー割り当てが行われない場合がある。
例えば、右押し、左押しおよび下押しに割り当てる機能はそれぞれあるが、上押しに割り当てる機能が無い、という場合がある。
この場合、割り当てる機能が無ければ、上押し操作にはキー割り当てを行わず、この操作は無効処理をするようにする。
【0042】
このようにして車載機器の各モードおよび各画面ステイタスでのキー割り当て設計を行う。
【0043】
次に、上記のようにキー割り当て設計を行った場合の動作を図3および図4を参照して説明する。
図3は、オーディオ調整モードの画面ステイタスを例示した図である。
図3(A)において、表示部114には、上下方向に選択項目が3段表示されている。
ユーザーはカーソル200を移動させるのに操作ノブ400の回転操作を行い、例えば、図3(B)のように2段目のBass Boostを選択する場合には、操作ノブ400を左回転させる。
カーソル200がBass Boostにあったところで、ユーザーが操作ノブ400の押下げ操作をすると、図3(C)のようにBass Boostの下位階層の移動し、Bass Boostのレベル選択画面になる。
このとき、ユーザーの指押しの位置がずれて、上押しや右押しになったとしても、押下げ操作と同様に処理され、ユーザーが意図したとおり、画面はBass Boostのレベル選択画面(図3(C))になる。
【0044】
そして、レベルの上げ下げは操作ノブ400の回転操作で行い、所望のレベルになったところでユーザーが操作ノブ400の押下げ操作をするとレベルが確定し、図3(B)のように上位階層の画面に戻る。
ここでも、ユーザーの指押し位置がずれても、押下げ操作と同様に処理されるので誤操作がない。
【0045】
同じように、図4はオーディオプリセットの選択をする画面である。
図4(A)において、表示部114には、上下方向に選択項目が2段表示されている。
ユーザーは操作ノブ400の回転操作を行って2段目のmemoryを選択し、カーソル200がmemoryにあったところで、ユーザーが操作ノブ400の押下げ操作をすると図4(B)のようにmemoryの下位階層に移動する。
ユーザーは、操作ノブ400の回転操作によって[Yes]または[No]を選択し、ユーザーが操作ノブ400の押下げ操作をすると選択が確定し、上位階層の画面に戻る。
この場合も、ユーザーの指押しの位置がずれて上押しや右押しになったとしても、押下げ操作と同様に処理され、ユーザーが意図したとおりに選択確定となる。
【0046】
このような本第1実施形態によれば、次の効果を奏する。
(1)傾動操作を押下げ操作と同じ処理にしておくことで、押下げ操作のつもりが誤って右押しや上押しになってしまってもユーザーの意図通りの押下げ操作として処理される。したがって、押し場所のずれに起因した誤操作が少なくなり、操作性が向上する。
(2)本実施形態では、回転操作で行える処理についてはできる限り回転操作にキー割り当てを行い、傾動操作についてはできる限り押下げ操作と同じ処理になるようにキー割り当て行う。これにより、ユーザーが誤操作する場面が極力少なくなるようにでき、より一層の操作性向上を図れる。
【0047】
(変形例1)
上記実施形態では、回転操作可能な操作ノブを有する車載機器の場合を例示したが、操作ノブは回転操作ができない場合であっても本発明の適用は可能である。
例えば、傾動操作と押下げ操作とが可能な操作キーの他に、回転操作用のつまみを操作パネルに別途設けておいてもよい。
【0048】
または、図5で説明したように、傾動操作と押下げ操作とが可能な操作キー111の他にアップボタン112、ダウンボタン113等の操作ボタンを設けておいてもよい。
この場合、上記第1実施形態の「回転操作」を適宜「アップボタン112およびダウンボタン113による操作」に置き換えればよい。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
上記実施形態では車載機器を例示したが、本発明は車載機器に限られず、その他様々な入力操作装置に適用できることはもちろんである。
操作部の操作に対するキー割り当ては実際の必要に応じて適宜設計されるものである。例えば、上記実施形態では、操作部の押下げ操作をエンターキーとしたが、その他必要に応じたキー割り当てを行えばよいことはもちろんである。
【0050】
上記の説明では、車載機器自体に依存した機能をユーザーに選ばせる画面ステイタスにおいて本発明を適用する場合を例示したが、この他、ソースのキー割り当てを変更するようにキー割り当てを行ってもよい。
入力操作装置(車載機器)の操作ノブが小さかったりする場合には誤操作が増えてしまうおそれもあるので、敢えてソースのキー割り当てを変更した方がよい場合もありうるからである。
【0051】
キー割り当てを実行させる入力操作制御プログラムは、インターネット等の通信手段や、CD-ROM、メモリカード等の記録媒体を介して入力操作装置(車載機器)にインストールし、このインストールされたプログラムでCPU(制御部)を動作させてもよい。
入力操作制御プログラムをインストールするにあたっては、入力操作装置(車載機器)にメモリカードやCD-ROM等を直接差し込んで行ってもよいし、これらの記憶媒体を読み取る機器を外付けで接続してもよい。さらには、LANケーブル、電話線等を接続して通信によってプログラムを供給してもよいし、無線によってプログラムを供給してもよい。
【符号の説明】
【0052】
100…車載機器、110…操作パネル、111…操作キー、112…アップボタン、113…ダウンボタン、114…表示部、120…検出部、121…回転検出部、122…傾き検出部、123…押下げ検出部、130…入力インターフェース、141…ラジオチューナ、142…CDドライバ、143…Bluetooth装置、150…制御部、160…出力インターフェース、170…スピーカ、200…カーソル、400…操作ノブ、502…携帯電話機。
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力操作装置および入力操作制御方法に関する。詳しくは、ユーザーが指押しする位置が多少ずれてもそれを誤入力とせず、ユーザーの意図しない誤操作を極力減らすことによって操作性を向上させる入力操作装置および入力操作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されるカーオーディオ機器としての車載機器が知られている(例えば、特許文献1)。
車載機器には、ラジオチューナやCDドライバが内蔵され、ラジオ放送や音楽が楽しめるようになっている。さらに、車載機器はUSB端子やBluetooth(登録商標)を備えており、USB端子を利用してiPod(登録商標)等の携帯型デジタル音楽プレーヤーを接続したり、Bluetooth(登録商標)を介して携帯電話機を接続することができるようになっている。
【0003】
ところで、このような多機能の車載機器では、面積が限定されている操作パネル上に各種操作キー、LCD表示器等の部品を配置しなければならない。そこで、このような車載機器では、押す位置で多種類の入力操作ができる操作部が採用されている。
【0004】
例えば、図5に示すように、車載機器100の操作パネル110には、操作キー111と、操作ボタン112、113と、表示部114と、が配設されている。
操作キー111は、傾動操作および押下げ操作が可能になっている。操作キー111の傾動操作としては、右端と左端とがそれぞれ個別に押せるようになっている。例えば、図6のように右端を押すと、操作キー111が右側にわずかに傾動する。操作キー111の右押し操作に対しては、選択カーソル200が右に移動したり、設定レベルが大きくなるように変更したり、曲をスキップや早送りするようにキー割り当てが設定される。
また、操作キー111の押下げ操作としては、図8のように操作キー111のセンターを押すと、操作キー111がまっすぐに押し下がるようになっている。
操作キー111の押下げ操作に対しては、エンター(Enter)としての入力確定が割り当てられる。
【0005】
操作ボタンとしては、必要に応じて各種の操作キーが配設される。
例えば、iPod、電話、ラジオなどの各種メニューを選択する個別のボタンキー(不図示)が設けられていてもよい。
ここでは、アップ、ダウンをそれぞれ指示するための操作ボタン112、113が設けられている。
アップボタン112の押動操作に対しては、カーソル200が上方に移動したり、設定レベルが大きくなるように変更したり、メニューの上位階層に移動するようにキー割り当てが設定される。
ダウンボタン113の押動操作に対しては、カーソル200が下方に移動したり、設定レベルが小さくなるように変更したり、メニューの下位位階層に移動するようにキー割り当てが設定される。
【0006】
図面を参照して車載機器100の操作について説明する。
図6において、表示部114には4つの選択項目が表示されている。
この状態で、操作キー111を右押しすると、カーソル200が右に移動する。さらに、図7のようにアップボタン112を押すと、カーソル200が上に移動する。そして、図8のように操作キー111を押下げ操作すると、選択を確定し、その下位の設定画面に移行する。
【0007】
ここでは、オーディオ設定における低域出力調整(Bass Boost)を例示している。
図9のように、アップボタン112を押動操作すると、バスブースターのレベルが上がる。
また、図10のように、操作キー111でもレベル変更操作が可能であるようにキー割り当てが設定されており、右押しによってレベルアップ、左押しによってレベルダウンの操作ができる。
バスブースターが所望のレベルになったところで操作キー111を押下げ操作すると(図11)、入力が確定する。ここでは、入力が確定した後、上の階層に戻るようになっている。
【0008】
このようにして、操作キー111および操作ボタン112、113を用いることにより、ユーザーは各種の設定入力を行うことができる。特に、操作キー111は、一つの部材で左右の押動とエンターの役割を果たせるので、操作パネル110のスペース効率の向上に貢献している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010-159016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような操作キー111にはユーザーが誤操作しやすいという問題点がある。例えば、図10の状態で操作キー111の中心を押し下げてエンター入力をするつもりが(図11)、押す場所がずれて右押しや左押しになることがしばしば生じてしまう。すると、カーソル200が意図した項目からずれてしまうので、再び左押しや右押しをして選び直さなければならなくなる。
また逆に、右押しや左押しをしたいときに、エンター入力になってしまうことも起こりうる。この場合、階層を戻した上でさらに選択し直さなければならなくなる。
【0011】
さらに近年では、図12に示すように、回転操作もできる操作ノブ400が用いられるようになってきている。
この操作ノブ400によれば、回転操作としては、右回転401および左回転402ができ、傾動操作としては、上押し403、下押し404、右押し405、左押し406ができ、さらに、押下げ操作407ができ、合計で7種類の入力操作が可能である。
しかしながら、押す位置のわずかなずれで誤操作が起こりやすいという問題が依然として残る。
【0012】
本発明の目的は、ユーザーの意図しない誤操作を極力減らすことによって操作性を向上させる入力操作装置、入力操作制御方法、入力操作制御プログラムおよび入力操作装置の設計方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の入力操作装置は、
傾動操作および押下げ操作が可能な操作部と、
前記操作部の傾動方向および押し下げを検出する検出手段と、
それぞれが複数の選択項目を有する複数のモードを管理し、前記操作部による入力操作に応じて入力変更または入力確定を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、所定のモードにおいて、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする。
【0014】
本発明では、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
前記検出手段は、さらに、前記操作部の回転を検出し、
前記制御手段は、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を選択項目の変更に割り当てている場合、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことが好ましい。
【0015】
本発明では、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
前記検出手段は、さらに、前記操作部の回転を検出し、
前記制御手段は、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を設定レベルの上げ下げに割り当てている場合、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことが好ましい。
【0016】
本発明では、
前記制御手段は、前記回転操作でも前記傾動操作でも行える入力操作に対して前記操作部の回転操作を割り当てるとともに、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理するように操作割り当てする
ことが好ましい。
【0017】
本発明では、
前記回転操作でも前記傾動操作でも行える入力操作とは、
選択項目の変更および設定レベルの上げ下げの少なくともいずれかである
ことが好ましい。
【0018】
本発明の入力操作制御方法は、
傾動操作および押下げ操作が可能な操作部を有する入力操作装置を用いた入力操作を制御する入力操作制御方法であって、
所定のモードにおいて、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする。
【0019】
本発明では、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を選択項目の変更として処理し、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことが好ましい。
【0020】
本発明では、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を設定レベルの上げ下げとして処理し、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことが好ましい。
【0021】
本発明の入力操作制御プログラムは、
傾動操作および押下げ操作が可能な操作部と、前記操作部の傾動方向および押し下げを検出する検出手段と、を備える入力操作装置に組み込まれたコンピュータを、
それぞれが複数の選択項目を有する複数のモードを管理し、前記操作部による入力操作に応じて入力変更または入力確定を制御するとともに、所定のモードにおいて前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する制御手段として機能させる
ことを特徴とする。
【0022】
入力操作装置の設計方法は、
傾動操作、押下げ操作および回転操作が可能な操作部と、
前記操作部の傾動方向、押し下げ、回転を検出する検出手段と、
それぞれが複数の選択項目を有する複数のモードを管理し、前記操作部による入力操作に応じて入力変更または入力確定を制御する制御手段と、を備えた入力操作装置の設計方法であって、
前記回転操作でも前記傾動操作でも行える入力操作に対しては前記操作部の回転操作を割り当て、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理するように操作割り当て設計を行う
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、所定のモードにおいて操作部の傾動方向への操作が押下げ操作と同等に処理されるので、ユーザーが押下げ操作のつもりで誤って傾動操作をしてしまってもユーザーの意図通りの処理になる。
これにより、押し場所のずれに起因した誤操作を少なくし、操作性を格段に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態の機能ブロック図。
【図2】キー割り当てを設計するときのフローチャート。
【図3】音響効果の設定調整画面の例を示す図。
【図4】オーディオプリセットの選択をする画面の一例を示す図。
【図5】車載機器の外観を示す図。
【図6】車載機器を操作している様子を示す図。
【図7】車載機器を操作している様子を示す図。
【図8】車載機器を操作している様子を示す図。
【図9】車載機器を操作している様子を示す図。
【図10】車載機器を操作している様子を示す図。
【図11】車載機器を操作している様子を示す図。
【図12】車載機器を操作している様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明に係る第1実施形態について説明する。
第1実施形態としては、回転操作可能な操作ノブ400を有する車載機器100を例に説明する。
第1実施形態の外観図は、図12に示したものと同じであり、操作パネル110には、操作ノブ400と表示部114とが配設されている。すなわち、操作ノブ400は、回転操作として右回転および左回転ができ、傾動操作として上押し、下押し、右押し、左押しができ、さらに、押下げ操作ができ、合計で7種類(7コマンド)の入力操作が可能である。
【0026】
図1は、第1実施形態の機能ブロック図である。
図1において、操作ノブ400の操作は検出部120で検出され、入力インターフェース130を介して制御部150に入力される。
検出部120は、操作ノブ400の回転操作を検出する回転検出部121と、操作ノブ400の4方向(上、下、右、左)の傾動を検出する傾き検出部122と、操作ノブ400の押下げを検出する押下げ検出部123と、を備える。
これら検出部121、122、123は、各種のエンコーダおよびスイッチによって実現できる。
【0027】
また、車載機器100には、ラジオチューナ141と、CDドライバ142と、Bluetooth装置(無線通信部)143と、が内蔵されており、これらに加えて、iPod 501が入力インターフェース130を介して制御部150に接続可能になっている。Bluetooth装置143により、例えば携帯電話機502と通信を確立することができる。
【0028】
制御部150には各種の設定が記憶されたRAM 151およびROM 152が付設され、制御部150によって車載機器全体の動作が制御される。RAM 151およびROM 152に設定された各種プログラムが制御部150に読み込まれることによって、表示部114の画面ステイタスや操作ノブ400の操作に対する動作などが制御されるが、詳しくは後述する。
また、制御部150には出力インターフェース160を介して表示部114およびスピーカ170が接続されている。
【0029】
本実施形態は、操作ノブ400の操作に対するキー割り当てに特徴を有するので、図2のフローチャートを参照してキー割り当ての設計について説明する。
ここで、本実施形態は車載機器100を例にして説明しているところ、車載機器100の設計者がキー割り当てを設計できるのは、主に、車載機器自体に依存した機能をユーザーに選ばせる画面ステイタスにおいてである。車載機器100が各種のソース(携帯音楽プレーヤーや携帯電話機)に繋がって動作する場合、操作ノブ400のキー割り当ては、基本的にソースの設計を引き継ぐ。
【0030】
例えば、よく知られているように、iPod(登録商標)501の場合、メニュー選択中は、回転操作でリスト項目の上下、上押しで上位のフォルダへ移動、中心ボタンで選択確定かさらにその下位の階層への移動である。また、音楽再生中は、回転操作でボリューム調整、下押しで再生または一時停止、左右押しで曲のスキップ(長押しは早送り巻き戻し)、中心ボタンでタイムバーの表示、などと決められている。
このようなキーの割り当てはソースと同じにしておいた方がユーザーは操作しやすく誤操作も少ないので、車載機器100の設計者がソースのキー割り当てを変更することは、特別な例外を除き、原則としてしない。
【0031】
一方、車載機器自体に依存した機能として、オーディオ調整やファンクション設定(現時刻設定、CDの曲のリピート設定、携帯電話機のハンズオン/ハンズフリー、外部接続機器のデバイス登録/削除など)がある。これらはソースに依存せず、車載機器100のみの設定調整である。したがって、設計者は、オーディオ調整モードやファンクション設定モードにおいて、ユーザーが操作しやすく誤操作を極力減らすようにキー割り当てを設計する。
【0032】
図2は、キー割り当てを設計するときのフローチャートである。
まず、ST100において、各モードを作成する。すなわち、オーディオ調整モードやファンクション設定モードなど車載機器100の動作設定に必要なモードを作成する。
次に、各モードにおいて表示部114に表示させる表示画面を作成する(ST101)。
例えば、オーディオ調整モードであれば、図3(A)にあるような音響効果の設定調整画面を作成する。
【0033】
ここで、前記作成した表示画面の操作にあたって、傾動操作に個別に割り当てる機能があるか否か判断する(ST102)。
例えば、図3(A)の場合、表示部114には3つの選択項目が上下方向に配置されている。したがって、上押しおよび下押しに対し、カーソル200を上下に移動させる機能を割り当てることはできる(ST102:YES)。
【0034】
この場合、次に、傾動操作と同じことが回転操作でも可能であるかどうかについて判断する(ST103)。
例えば、図3(A)のようにカーソル200を上下に動かしたい画面ステイタスでは、操作ノブ400の回転でも同じことができる(ST103:YES)。
すなわち、操作ノブ400を右回転(時計回り)させた場合にカーソル200を下方向に移動させ、操作ノブ400を左回転(反時計回り)させた場合にカーソル200を上方向に移動させるようにできる。
このように、傾動操作に割り当てる機能を回転操作でも実現できる場合には(ST103:YES)、回転操作にキー割り当てを行い、傾動操作に対しては押下げ操作と同等のキー割り当てとする(ST104)。
図3(A)の画面ステイタスでは、回転操作にのみカーソル200の移動を割り当て、傾動操作は押下げ操作と同じエンターキーとする。
【0035】
また、例えば、図3(C)では、表示部114においてLevelを上げたり下げたりしたい。
この場合、上押しおよび下押しに対しレベルの上げ下げを割り当てることはできるが(ST102:YES)、レベルの上げ下げは回転操作にも割り当てることができる(ST103:YES)。すなわち、操作ノブ400を右回転(時計回り)させた場合にレベルをアップさせ、操作ノブ400を左回転(反時計回り)させた場合にレベルをダウンさせるようにできる。そこで、図3(C)の画面ステイタスでは、回転操作にのみレベルの上げ下げを割り当て、傾動操作は押下げ操作と同じエンターキーとする。
【0036】
また、例えば、図4(B)のように、左右に並んだ二つの選択項目から一つを選ばせる場合、左押しおよび右押しに対しカーソル200の左右の移動を割り当てることはできるが(ST102:YES)、カーソル200の左右の移動は回転操作でもできる(ST103:YES)。すなわち、操作ノブ400を右回転(時計回り)させた場合にカーソル200を右に移動させ、操作ノブ400を左回転(反時計回り)させた場合にカーソル200を左に移動させるようにすればよい。そこで、図4(B)の画面ステイタスでは、回転操作にのみカーソル200の移動を割り当て、傾動操作は押下げ操作と同じエンターキーとする。
【0037】
なお、図6のように、表示部114に4つの選択項目が表示されている場合でも、回転操作でカーソル200を巡回移動させるようにすれば、傾動操作をカーソル移動に割り当てる必要はなく、この場合も傾動操作は押下げ操作と同じエンターキーとすることができる。
【0038】
このように傾動操作を押下げ操作と同じエンターキーとしておけば、エンターのつもりが誤って右押しや上押しになってしまってもユーザーの意図通りにエンター(選択確定)になり、押し場所のずれに起因した誤操作がなくなる。
【0039】
このようなキー割り当て設計を行い、総てのモードの総ての表示画面に対して順次行っていく(ST106-ST109)。
【0040】
なお、ST102において、傾動操作に個別に割り当てる機能がそもそもなければ(ST102:NO)、この場合も傾動操作に対して押下げ操作と同等のキー割り当てを行う(ST104)。
従来は、傾動操作に個別に割り当てる機能がなければキー割り当てを行わず、傾動操作に対しては無効の処理をしていた。
この場合、エンターのつもりが誤って右押しや上押しになってしまった場合、ユーザーの意図通りに入力確定できず、ユーザーは再び押し直さなければならない。
これに対し、本実施形態のように、傾動操作に対して押下げ操作と同等のキー割り当てをしておけば、押し場所がずれてもユーザーの意図通りにエンター(選択確定)になる。
【0041】
また、ST103において、回転操作で代替できない場合には(ST103:NO)、当然ながら、傾動操作に個別のキー割り当てを行う(ST105)。
なお、ST105において傾動操作に個別のキー割り当てを行う際、4方向の総てにキー割り当てが行われない場合がある。
例えば、右押し、左押しおよび下押しに割り当てる機能はそれぞれあるが、上押しに割り当てる機能が無い、という場合がある。
この場合、割り当てる機能が無ければ、上押し操作にはキー割り当てを行わず、この操作は無効処理をするようにする。
【0042】
このようにして車載機器の各モードおよび各画面ステイタスでのキー割り当て設計を行う。
【0043】
次に、上記のようにキー割り当て設計を行った場合の動作を図3および図4を参照して説明する。
図3は、オーディオ調整モードの画面ステイタスを例示した図である。
図3(A)において、表示部114には、上下方向に選択項目が3段表示されている。
ユーザーはカーソル200を移動させるのに操作ノブ400の回転操作を行い、例えば、図3(B)のように2段目のBass Boostを選択する場合には、操作ノブ400を左回転させる。
カーソル200がBass Boostにあったところで、ユーザーが操作ノブ400の押下げ操作をすると、図3(C)のようにBass Boostの下位階層の移動し、Bass Boostのレベル選択画面になる。
このとき、ユーザーの指押しの位置がずれて、上押しや右押しになったとしても、押下げ操作と同様に処理され、ユーザーが意図したとおり、画面はBass Boostのレベル選択画面(図3(C))になる。
【0044】
そして、レベルの上げ下げは操作ノブ400の回転操作で行い、所望のレベルになったところでユーザーが操作ノブ400の押下げ操作をするとレベルが確定し、図3(B)のように上位階層の画面に戻る。
ここでも、ユーザーの指押し位置がずれても、押下げ操作と同様に処理されるので誤操作がない。
【0045】
同じように、図4はオーディオプリセットの選択をする画面である。
図4(A)において、表示部114には、上下方向に選択項目が2段表示されている。
ユーザーは操作ノブ400の回転操作を行って2段目のmemoryを選択し、カーソル200がmemoryにあったところで、ユーザーが操作ノブ400の押下げ操作をすると図4(B)のようにmemoryの下位階層に移動する。
ユーザーは、操作ノブ400の回転操作によって[Yes]または[No]を選択し、ユーザーが操作ノブ400の押下げ操作をすると選択が確定し、上位階層の画面に戻る。
この場合も、ユーザーの指押しの位置がずれて上押しや右押しになったとしても、押下げ操作と同様に処理され、ユーザーが意図したとおりに選択確定となる。
【0046】
このような本第1実施形態によれば、次の効果を奏する。
(1)傾動操作を押下げ操作と同じ処理にしておくことで、押下げ操作のつもりが誤って右押しや上押しになってしまってもユーザーの意図通りの押下げ操作として処理される。したがって、押し場所のずれに起因した誤操作が少なくなり、操作性が向上する。
(2)本実施形態では、回転操作で行える処理についてはできる限り回転操作にキー割り当てを行い、傾動操作についてはできる限り押下げ操作と同じ処理になるようにキー割り当て行う。これにより、ユーザーが誤操作する場面が極力少なくなるようにでき、より一層の操作性向上を図れる。
【0047】
(変形例1)
上記実施形態では、回転操作可能な操作ノブを有する車載機器の場合を例示したが、操作ノブは回転操作ができない場合であっても本発明の適用は可能である。
例えば、傾動操作と押下げ操作とが可能な操作キーの他に、回転操作用のつまみを操作パネルに別途設けておいてもよい。
【0048】
または、図5で説明したように、傾動操作と押下げ操作とが可能な操作キー111の他にアップボタン112、ダウンボタン113等の操作ボタンを設けておいてもよい。
この場合、上記第1実施形態の「回転操作」を適宜「アップボタン112およびダウンボタン113による操作」に置き換えればよい。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
上記実施形態では車載機器を例示したが、本発明は車載機器に限られず、その他様々な入力操作装置に適用できることはもちろんである。
操作部の操作に対するキー割り当ては実際の必要に応じて適宜設計されるものである。例えば、上記実施形態では、操作部の押下げ操作をエンターキーとしたが、その他必要に応じたキー割り当てを行えばよいことはもちろんである。
【0050】
上記の説明では、車載機器自体に依存した機能をユーザーに選ばせる画面ステイタスにおいて本発明を適用する場合を例示したが、この他、ソースのキー割り当てを変更するようにキー割り当てを行ってもよい。
入力操作装置(車載機器)の操作ノブが小さかったりする場合には誤操作が増えてしまうおそれもあるので、敢えてソースのキー割り当てを変更した方がよい場合もありうるからである。
【0051】
キー割り当てを実行させる入力操作制御プログラムは、インターネット等の通信手段や、CD-ROM、メモリカード等の記録媒体を介して入力操作装置(車載機器)にインストールし、このインストールされたプログラムでCPU(制御部)を動作させてもよい。
入力操作制御プログラムをインストールするにあたっては、入力操作装置(車載機器)にメモリカードやCD-ROM等を直接差し込んで行ってもよいし、これらの記憶媒体を読み取る機器を外付けで接続してもよい。さらには、LANケーブル、電話線等を接続して通信によってプログラムを供給してもよいし、無線によってプログラムを供給してもよい。
【符号の説明】
【0052】
100…車載機器、110…操作パネル、111…操作キー、112…アップボタン、113…ダウンボタン、114…表示部、120…検出部、121…回転検出部、122…傾き検出部、123…押下げ検出部、130…入力インターフェース、141…ラジオチューナ、142…CDドライバ、143…Bluetooth装置、150…制御部、160…出力インターフェース、170…スピーカ、200…カーソル、400…操作ノブ、502…携帯電話機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾動操作および押下げ操作が可能な操作部と、
前記操作部の傾動方向および押し下げを検出する検出手段と、
それぞれが複数の選択項目を有する複数のモードを管理し、前記操作部による入力操作に応じて入力変更または入力確定を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、所定のモードにおいて、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする入力操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力操作装置において、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
前記検出手段は、さらに、前記操作部の回転を検出し、
前記制御手段は、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を選択項目の変更に割り当てている場合、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする入力操作装置。
【請求項3】
請求項1に記載の入力操作装置において、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
前記検出手段は、さらに、前記操作部の回転を検出し、
前記制御手段は、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を設定レベルの上げ下げに割り当てている場合、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする入力操作装置。
【請求項4】
請求項2に記載の入力操作装置において、
前記制御手段は、前記回転操作でも前記傾動操作でも行える入力操作に対して前記操作部の回転操作を割り当てるとともに、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理するように操作割り当てする
ことを特徴とする入力操作装置。
【請求項5】
請求項4に記載の入力操作装置において、
前記回転操作でも前記傾動操作でも行える入力操作とは、
選択項目の変更および設定レベルの上げ下げの少なくともいずれかである
ことを特徴とする入力操作装置。
【請求項6】
傾動操作および押下げ操作が可能な操作部を有する入力操作装置を用いた入力操作を制御する入力操作制御方法であって、
所定のモードにおいて、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする入力操作制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の入力操作制御方法において、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を選択項目の変更として処理し、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする入力操作制御方法。
【請求項8】
請求項6に記載の入力操作制御方法において、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を設定レベルの上げ下げとして処理し、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする入力操作制御方法。
【請求項9】
傾動操作および押下げ操作が可能な操作部と、前記操作部の傾動方向および押し下げを検出する検出手段と、を備える入力操作装置に組み込まれたコンピュータを、
それぞれが複数の選択項目を有する複数のモードを管理し、前記操作部による入力操作に応じて入力変更または入力確定を制御するとともに、所定のモードにおいて前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する制御手段として機能させる
ことを特徴とする入力操作制御プログラム。
【請求項10】
傾動操作、押下げ操作および回転操作が可能な操作部と、
前記操作部の傾動方向、押し下げ、回転を検出する検出手段と、
それぞれが複数の選択項目を有する複数のモードを管理し、前記操作部による入力操作に応じて入力変更または入力確定を制御する制御手段と、を備えた入力操作装置の設計方法であって、
前記回転操作でも前記傾動操作でも行える入力操作に対しては前記操作部の回転操作を割り当て、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理するように操作割り当て設計を行う
ことを特徴とする入力操作装置の設計方法。
【請求項1】
傾動操作および押下げ操作が可能な操作部と、
前記操作部の傾動方向および押し下げを検出する検出手段と、
それぞれが複数の選択項目を有する複数のモードを管理し、前記操作部による入力操作に応じて入力変更または入力確定を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、所定のモードにおいて、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする入力操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力操作装置において、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
前記検出手段は、さらに、前記操作部の回転を検出し、
前記制御手段は、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を選択項目の変更に割り当てている場合、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする入力操作装置。
【請求項3】
請求項1に記載の入力操作装置において、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
前記検出手段は、さらに、前記操作部の回転を検出し、
前記制御手段は、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を設定レベルの上げ下げに割り当てている場合、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする入力操作装置。
【請求項4】
請求項2に記載の入力操作装置において、
前記制御手段は、前記回転操作でも前記傾動操作でも行える入力操作に対して前記操作部の回転操作を割り当てるとともに、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理するように操作割り当てする
ことを特徴とする入力操作装置。
【請求項5】
請求項4に記載の入力操作装置において、
前記回転操作でも前記傾動操作でも行える入力操作とは、
選択項目の変更および設定レベルの上げ下げの少なくともいずれかである
ことを特徴とする入力操作装置。
【請求項6】
傾動操作および押下げ操作が可能な操作部を有する入力操作装置を用いた入力操作を制御する入力操作制御方法であって、
所定のモードにおいて、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする入力操作制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の入力操作制御方法において、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を選択項目の変更として処理し、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする入力操作制御方法。
【請求項8】
請求項6に記載の入力操作制御方法において、
前記操作部は、さらに、回転操作が可能であり、
所定のモードにおいて、前記操作部の回転操作を設定レベルの上げ下げとして処理し、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する
ことを特徴とする入力操作制御方法。
【請求項9】
傾動操作および押下げ操作が可能な操作部と、前記操作部の傾動方向および押し下げを検出する検出手段と、を備える入力操作装置に組み込まれたコンピュータを、
それぞれが複数の選択項目を有する複数のモードを管理し、前記操作部による入力操作に応じて入力変更または入力確定を制御するとともに、所定のモードにおいて前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理する制御手段として機能させる
ことを特徴とする入力操作制御プログラム。
【請求項10】
傾動操作、押下げ操作および回転操作が可能な操作部と、
前記操作部の傾動方向、押し下げ、回転を検出する検出手段と、
それぞれが複数の選択項目を有する複数のモードを管理し、前記操作部による入力操作に応じて入力変更または入力確定を制御する制御手段と、を備えた入力操作装置の設計方法であって、
前記回転操作でも前記傾動操作でも行える入力操作に対しては前記操作部の回転操作を割り当て、前記操作部の傾動方向への操作を押下げ操作と同等に処理するように操作割り当て設計を行う
ことを特徴とする入力操作装置の設計方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−133713(P2012−133713A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287238(P2010−287238)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
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