説明

入力装置、及び入力装置の補正方法

【課題】ユーザー環境においてタッチセンサーの調整を行う。
【解決手段】複数のキーを有する入力装置は、前記複数のキーのそれぞれに対応し静電容量を検出するパッドと、前記複数のキーのそれぞれに対応する照明と、を備える。入力装置は、操作が有効なキーに対応する照明を点灯するとともに、操作が無効なキーに対応する照明を消灯する。ここで、入力装置は、少なくとも一以上の無効キーに対応するパッドの出力値を測定し、前記出力値を用いてパッドの出力を補正するための補正値を算出し、少なくとも一以上のパッドの出力を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量方式のタッチセンサーを備える入力装置、及びその補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量の変化を検出することにより、ユーザーの指などのタッチを検出する静電容量方式のタッチセンサー(タッチパネル、タッチパッド、タッチスイッチなどを含む。)が知られている(例えば、特許文献1)。このタッチセンサーは、例えば、電子機器の筐体の操作パネルに使用され、ユーザーの手入力を受け付ける入力装置として電子機器を機能させる。
【0003】
タッチセンサーの一つとして、例えば、静電容量を検出して出力するパッド(例えば、静電パッド、タッチパッドともいう)と、パッドから出力された静電容量の変化を検出してCPU等に出力するコントローラー(例えば、コントロールICともいう)とを備えるものが知られている。該コントローラーは、例えば、パッドから出力される信号をCPUで処理可能な信号(例えば、電位を示す値や周波数)に変換して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−52583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電子機器の特性や、パッドやコントローラーの特性は、個体によって異なる。そのため、静電容量という微小な変化の検出にあたっては、それらの個体ごとの特性が大きく影響し、各電子機器間では、コントローラーにより測定される値にばらつきが発生する。
【0006】
ばらつきの発生によりタッチを検出できないといった電子機器の不具合をなくすため、電子機器の製造工程においては、タッチセンサーを電子機器に取り付けた後、その調整が行われる。
【0007】
タッチセンサーの調整では、例えば、パッドに指やその他の物体が接近又は接触していない状態(オフ状態)でそのパッドの出力値を測定し、その測定値が予め定められている基準値(オフ状態と判定するための適正値)に達することができる補正値(例えば、ゲインを調整するための補正値)を算出し、不揮発性メモリーなどに記憶しておく。その後、パッドの出力は、コントロールIC及びCPUの少なくとも一方の処理によって、この補正値に基づいて補正(例えば、ゲイン調整)が行われ、適切な値が測定されるようになる。
【0008】
しかしながら、電子機器の製造工程における環境と、当該電子機器がエンドユーザーに使用される実際の環境とは異なる。環境の違いによって、同じ個体であっても測定値や補正値が異なることがある。そのため、製造工程での調整は、エンドユーザーの環境に適した調整ではない場合がある。すると、エンドユーザー環境においては、タッチセンサーの反応が悪いなどの不具合が起きる可能性が高まる。
【0009】
そこで、本発明は、ユーザー環境においてタッチセンサーの調整を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための本発明の一態様は、複数のキーを有する入力装置であって、前記複数のキーのそれぞれに対応し静電容量を検出するパッドと、前記複数のキーのそれぞれに対応する照明と、操作が有効なキーに対応する照明を点灯するとともに、操作が無効なキーに対応する照明を消灯する表示制御手段と、前記有効キーに対応するパッドに対する操作を検出する入力制御手段と、少なくとも一以上の無効キーに対応するパッドの出力値を測定する測定手段と、前記出力値を用いてパッドの出力を補正するための補正値を算出し、少なくとも一以上のパッドの出力を補正する補正手段と、を有する、ことを特徴とする。
【0011】
ここで、前記表示制御手段は、ユーザーの操作に応じて、予め定められた複数の点灯パターンに従って前記複数のキーに対応する照明の点灯又は消灯を変化させ、前記測定手段は、前記点灯パターンが変化した場合に、少なくとも一以上の無効キーに対応するパッドの出力値を測定する、ことを特徴としていてもよい。
【0012】
また、前記測定手段は、前記無効キーに対応するパッドの出力値の測定の際、出力値を複数回取得するとともに、各回において当該無効キーに対応するパッドに対する操作を監視し、操作がされていない回の出力値を、測定値として採用する、ことを特徴としていてもよい。
【0013】
また、上記のいずれかの入力装置において、前記測定手段は、所定の一つの無効キーに対応するパッドの出力値を測定し、前記補正手段は、前記所定の一つの無効キーに対応するパッドの出力値を用いて、全てのパッドの出力を補正する、ことを特徴としていてもよい。
【0014】
また、上記のいずれかの入力装置において、前記測定手段は、前記無効キーに対応するパッドそれぞれの出力値を測定し、前記補正手段は、前記無効キーに対応するパッドそれぞれの出力値を用いて、各パッドの出力を補正する、ことを特徴としていてもよい。
【0015】
また、上記のいずれかの入力装置において、前記複数のキーは、複数のグループに分けられるとともに、グループごとに一の代表キーが予め定められており、前記測定手段は、グループごとに、当該グループ内の前記代表キーに対応するパッドの出力値を測定し、前記補正手段は、グループごとに、前記代表キーに対応するパッドの出力値を用いて、当該グループ内の全てのキーに対応するパッドの出力を補正する、ことを特徴としていてもよい。
【0016】
また、上記のいずれかの入力装置において、前記点灯パターンごとに異なる少なくとも一以上の無効キーに対応するパッドの出力値を測定し、前記補正手段は、測定したパッドの出力値を用いて、当該測定したパッドの出力を補正する、ことを特徴としていてもよい。
【0017】
また、上記のいずれかの入力装置において、前記測定手段は、前記無効キーごとに測定頻度を記録し、前記点灯パターンが変化した場合に、該点灯パターンにおいて測定対象である無効キーの測定頻度よりも低い測定頻度を有する他の無効キーを優先的に測定する、
ことを特徴とする入力装置。
【0018】
上記の課題を解決するための本発明の他の態様は、複数のキーと、前記複数のキーのそれぞれに対応し静電容量を検出するパッドと、前記複数のキーのそれぞれに対応する照明とを備える入力装置の補正方法であって、操作が有効なキーに対応する照明を点灯するとともに、操作が無効なキーに対応する照明を消灯するステップと、前記有効キーに対応するパッドに対する操作を検出するステップと、少なくとも一以上の無効キーに対応するパッドの出力値を測定する測定ステップと、前記出力値を用いてパッドの出力を補正するための補正値を算出し、少なくとも一以上のパッドの出力を補正するステップと、を含む、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一実施形態の一例に係る複合機のハードウェアの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態の一例に係る操作パネルの操作面を示す図である。
【図3】本発明の第一実施形態の一例に係るタッチセンサー基板のハードウェアの概略構成を示す図である。
【図4】本発明の第一実施形態の一例に係る複合機の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第一実施形態の一例に係る点灯・測定制御テーブルを示す図である。
【図6】本発明の第一実施形態の一例に係る操作パネルの点灯キーの遷移を示す図である。
【図7】本発明の第一実施形態の一例に係る点灯・測定処理を示すフロー図である。
【図8】発明の第一実施形態の変形例に係る点灯・測定処理を説明するための操作パネルの操作面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第一実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
【0021】
本実施形態では、タッチセンサーを備える入力装置として、複合機を例に挙げて説明する。もちろん、入力装置は、複合機に限られず、例えば、プリンター、スキャナー、コピー機、携帯端末、パーソナルコンピューターなどの電子機器であってもよい。
【0022】
図1は、本発明の第一実施形態の一例に係る複合機のハードウェアの概略構成を示すブロック図である。
【0023】
複合機100は、例えば、原稿を読み取って画像データを生成するスキャン機能、印刷データに基づいて印刷媒体に印刷を行う印刷機能、スキャンした画像データを印刷するコピー機能などを有する。
【0024】
複合機100は、コントローラー110と、操作パネル120と、スキャナーエンジン130と、印刷エンジン140と、通信インターフェイス150とを有する。
【0025】
コントローラー110は、例えば、複合機100の主要機能を搭載したチップ(SoC:System on Chip)などで構成され、複合機100全体の動作を制御する。
【0026】
例えば、コントローラー110は、通信インターフェイス150を介して印刷データを受信すると、当該印刷データに基づいて印刷エンジン140に出力する印字データを生成し、印刷エンジン140を制御して印字データに基づく印刷を実行させる。また、例えば、コントローラー110は、操作パネル120を介してユーザーからスキャンの指示を受け付けると、スキャナーエンジン130を制御して、原稿台(不図示)に載せられた原稿を読み取らせ、スキャナーエンジン130から出力されるデータに基づいて画像データを生成する。
【0027】
また、例えば、コントローラー110は、操作パネル120を制御して、ユーザーの操作を促す各種の画面をディスプレイに表示させたり、各種のユーザーの操作を受け付けたりする。詳細は後述するが、操作パネル120には、ユーザーが操作するための複数のキーが配置されている。そして、各キーは、ユーザーの指の接触や接近を検知する静電パッドと、操作が有効であることをユーザーに知らせる照明とからなる。従って、コントローラー110は、各キーに対応する静電パッドの制御、各キーに対応する照明の点灯/消灯の制御などを行う。
【0028】
上記のような処理を実現するために、コントローラー110は、CPU(Central Processing Unit)111と、RAM(Random Access Memory)112と、ROM(Read Only Memory)113とを備える。もちろん、例えば、画像処理などの各種の処理を行う専用の回路を備えていてもよい。コントローラー110は、上記の処理を専用に行うように設計されたASICで構成されていてもよい。
【0029】
CPU111は、各種プログラムを実行する。RAM112は、印刷データや印字データなどの各種データおよびプログラム等を一時的に記憶する。ROM113には、複合機100を制御するための各種データ、各種プログラム等があらかじめ不揮発的に記憶されている。
【0030】
スキャナーエンジン130は、コントローラー110からの指示に基づいて、原稿台(不図示)に載せられた原稿を読み取り、読み取りデータをコントローラー110に出力する。スキャナーエンジン130は、例えば、イメージセンサー、光源、光源及びイメージセンサーを備えたキャリッジ、キャリッジを動かす駆動モーターなどを備える機構である。
【0031】
印刷エンジン140は、コントローラー110からの指示に基づいて、コントローラー110から出力された印字データを印刷媒体に印刷する。印刷エンジン140は、例えば、インクジェット方式やレーザー方式の機構である。
【0032】
通信インターフェイス150は、LANなどのネットワークに接続して、パーソナルコンピューターなどのホストと通信するユニットである。もちろん、USB(Universal Serial Bus)などのインターフェイスであってもよい。
【0033】
操作パネル120は、ユーザーと複合機100のインターフェイスとして機能する。操作パネル120は、例えば、文字や画像を表示したり、ユーザーの操作を受け付けたりする。本実施形態の操作パネル120は、ディスプレイと、タッチセンサーと、照明とを備える。以下、図2、及び図3を参照して、具体的に説明する。
【0034】
図2は、本発明の第一実施形態の一例に係る操作パネルの操作面を示す図である。本図は、ユーザーによる操作対象の各種キーが配置された操作面の正面を示している。
【0035】
操作パネル120は、ディスプレイ121と、複数のキー122(a〜p)とを備える。図3で後述するように、各キー122への操作は、操作パネル120内部に設けられたタッチセンサー基板により検出される。また、各キー122の領域は、操作パネル120内部に設けられたLED照明により内部から照らされ、キー122以外の領域よりも明るく光るようになっている。
【0036】
各キー122には、その機能が分かるように文字や記号が印刷されている。本図の例では、各キーは、ONキー122a、Trayキー122b、Homeキー122c、Displayキー122d、Vierキー122e、マイナスキー122f、左キー122g、Menuキー122h、上キー122i、OKキー122j、下キー122k、プラスキー122l、右キー122m、Backキー122n、Startキー122o、Cancelキー122pである。なお、各キーの機能は、本実施形態では重要ではないので説明を省略する。
【0037】
ディスプレイ121は、コントローラー110で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ121は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Electro-Luminescence Display)などで構成される。
【0038】
もちろん、操作面の構成は上記に限れない。例えば、ディスプレイや各キーの配置、大きさ、数、キー機能の種類などは、上記に限られない。
【0039】
図3は、本発明の第一実施形態の一例に係るタッチセンサー基板のハードウェアの概略構成を示す図である。本図は、操作パネル内部、すなわち操作面123の下に設けられるタッチセンサー基板124を、側面から見た図である。なお、本図は、タッチセンサーを説明するためのものであり、それ以外の構成(例えば、ディスプレイ121)は省略している。また、複数のキー122は、同様の構成であるので、そのうち一つのキーを代表的に図示する。
【0040】
タッチセンサー基板124は、キー122ごとに、対応する導光板(導光体)125と、パッド126と、LED(light emitting diode)127とを備える。また、タッチセンサー基板124は、複数のパッド126を制御するパッド制御回路128と、複数のLED127を制御するLED制御回路129とを備える。パッド制御回路128と各パッド126とは、信号線により接続される。LED制御回路129と各LED127とは、信号線により接続される。
【0041】
パッド126は、キー122ごとに設けられる。パッド126は、いわゆる静電パッドであり、例えば、電極から構成される。パッド126は、例えば、人の指などの誘電体が接近することにより蓄積される電荷を検出し、パッド制御回路128に出力する。
【0042】
パッド126と操作面123との間には、導光板(導光体)125が配置される。導光板125の上端は、操作面123の内側から操作面123に接触し又は接着され、下端は、パッド126の上側に接触し又は接着される。導光板125の一部は、LED127の発光する部分の少なくとも一部が挿入できるように形成されている。
【0043】
タッチセンサー基板124のパッド126の近隣には、キー122の照明であるLED127が配置されている。LED127の発光する部分の少なくとも一部は、導光板125の一部に挿入されている。
【0044】
導光板125は、LED127の光を操作面123へと導く。すなわち、操作面123の少なくとも導光板125と接触し又は接着されている部分(キー122に対応する領域)の少なくとも一部は、光を透過する材質又は構成となっており、ユーザーはこの光により操作対象であるキー122を確認できる。導光板125は、パッド126が静電容量の変化を検出できるように、誘電体である。なお、後述するように、LED127が点灯しているキー122は、操作が有効なキーであり、LED127が点灯しているキーは、操作が無効なキーである。
【0045】
パッド制御回路128は、パッド126を制御するユニットであり、例えば、専用のコントロールICである。なお、本実施形態では、パッド制御回路128は、複数のパッド126を制御可能である。もちろん、パッド126ごとに、パッド制御回路128が設けられていてもよい。
【0046】
パッド制御回路128は、例えば、パッド126ごとにその出力を測定し、CPU111(図1参照)が処理可能な信号に変換して出力する。CPU111は、例えば、パッド126から所定時間ごとに測定値を取得し、ある時点の測定値と所定時間後のある時点の測定値との差分を算出し、該差分が予め定められた値を超えている場合に当該パッド126がタッチされた判定する。
【0047】
なお、タッチされたか否かの判定をパッド制御回路128が行い、タッチされているか否かを示す信号をCPU111に出力するようにしてもよい。
【0048】
また、パッド制御回路128は、パッド126ごとに、CPU111により設定された補正値によりゲインを調整することができる。CPU111は、例えば、パッド制御回路128から出力されたパッド126の測定値を受け付けるとともに、予め定められた変換式や変換テーブルを使用して、その測定値が予め定められている基準値に達することができる補正値を算出する。そして、該補正値をRAM112やROMな113に記憶する。CPU111は、パッド制御回路128に該補正値を設定する。そして、パッド制御回路128は、パッド126のゲインを該補正値で補正する。
【0049】
なお、本実施形態では、補正値はCPU111により算出されるが、例えば、パッド制御回路128により算出されるようにしてもよい。また、本実施形態では、補正値がパッド制御回路128に設定されるようになっているが、例えば、パッド制御回路128は補正を行わず、CPU111が補正値を使用して補正を行ってもよい。
【0050】
LED制御回路129は、LED127を制御するユニットであり、例えば、専用のコントロールICである。なお、本実施形態では、LED制御回路129は、複数のLED127を制御可能である。もちろん、LED127ごとに、LED制御回路129が設けられていてもよい。
【0051】
LED制御回路129は、例えば、LED127ごとに、その点灯/消灯を制御することができる。本実施形態では、CPU111は、LED127ごとに、点灯/消灯を示す信号をLED制御回路129に出力する。そして、LED制御回路129は、CPU111の指示に従って、各LED127を点灯/消灯する。
【0052】
以上のような構成により、コントローラー110は、操作パネル120の操作面123の各キー122の操作を検出することができる。また、コントローラー110は、各キー122の照明を点灯したり消灯したりすることができる。
【0053】
もちろん、上記のタッチセンサー基板124の構成は一例である。例えば、タッチセンサー基板124とコントローラー110の基板は一体となっていてもよい。また、例えば、導光板125、パッド126、及びLED127と、パッド制御回路128及びLED制御回路129とは、別々の基板に搭載されていてもよい。また、照明は、LEDに限られず、他の照明装置であってもよい。
【0054】
以上が、本発明の第一実施形態の一例に係る複合機の、ハードウェアの概略構成の一例である。ただし、この構成は、本願発明の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られない。また、一般的な複合機が備える構成を排除するものではない。
【0055】
図4は、本発明の第一実施形態の一例に係る複合機の機能構成を示すブロック図である。
【0056】
複合機100は、表示制御部10と、入力制御部20と、測定処理部30と、補正処理部40と、読取制御部50と、印刷制御部60とを有する。
【0057】
上記の機能部は、例えば、CPU111がROM113からRAM112にロードした所定のプログラムを実行することにより実現される。この所定のプログラムは、予め記ROM113に格納される。もちろん、通信インターフェイス150を介してネットワーク上からダウンロードされてインストールおよび/または更新されてもよい。また、複合機100が可搬型の記憶媒体を読み取る装置を有する場合は、当該記憶媒体から読み出されてインストールおよび/または更新されてもよい。
【0058】
表示制御部10は、操作パネル120に対する表示制御を行う機能部である。
【0059】
例えば、表示制御部10は、複合機100の機能をユーザーが指示するための画面(例えば、メニュー画面、設定画面など)を、操作パネル120のディスプレイ121に表示する。
【0060】
本実施形態では、ディスプレイ121に表示される画面は、階層化されているものとする。例えば、所定のキー122の操作により、ある画面に含まれる項目を選択する指示がされた場合、当該項目に対応付けられた、当該画面の下の階層の画面に遷移する。また、例えば、所定のキー122の操作により、上の階層に戻る指示がされた場合、表示中の画面の上の階層の画面に遷移する。このような画面遷移の制御方法は、従来の技術なので詳細な説明は省略する。
【0061】
また、例えば、表示制御部10は、操作パネル120の各LED127の点灯/消灯の制御を行う。
【0062】
本実施形態では、表示制御部10は、画面に応じて、画面ごとに予め定められたキー122を点灯する。このような点灯制御を行うため、表示制御部10は、例えば、図5に示すようなテーブルを使用する。
【0063】
図5は、本発明の第一実施形態の一例に係る点灯・測定制御テーブルを示す図である。なお、本テーブルは、キー122に対応するLED127の点灯制御と、キー122に対応するパッド126の測定制御との両方に使用される。
【0064】
点灯・測定制御テーブル70には、画面ごとに、当該画面を識別する画面ID71と、当該画面において点灯されるキーのパターンを示す点灯対象キー情報72と、当該画面においてゲイン調整のための測定値を得る測定対象のキーを識別する測定対象キーID73と、が対応付けられたデータ(以下、「エントリー」ともいう)が格納される。これらのエントリーは、例えば、画面階層の構成に応じて予め決定され、設定される。
【0065】
点灯対象キー情報72には、操作パネル120のキー122ごとに、対応するLED127の消灯又は点灯を示す値が設定される。本図の例では、消灯は「0」であり、点灯は「1」である。なお、キーID(1〜n)は、それぞれ、例えば、図2で示したキー122(a〜p)に対応する。
【0066】
本実施形態では、各エントリーの測定対象キーID73には、同一のキー122のキーIDが設定される。ただし、当該キー122のLED127が点灯される画面のエントリーにおいては、当該キー122のキーIDは、設定されない。画面遷移によりLED127が消灯される確率がより大きいと予想されるキーを、測定対象キーとして設定するのが好ましい。測定対象キーとしてLED127が消灯されているキーのIDが設定されるのは、当該キーがユーザーにより触れられる可能性を低減し、より正確な測定値、補正値を得るためである。なお、測定対象キーID73には、例えば、Cancelキー122pが設定される。
【0067】
さらに、測定対象キーは、出力値の測定条件が最も悪いパッド126に対応するキーであることが好ましい。「測定条件が悪い」とは、例えば、各パッド126からの出力直後の電流値はほぼ同じであるが、パッド制御回路128で検出される際には電流値が他のパッドよりも低くなるパッドである。一般的に、パッド制御回路128からの距離がより遠い場合や、信号線の長さがより長い場合に、測定条件は悪くなる。測定条件が最も悪いパッド126は、複合機100の製造工程などにおいて、決定すればよい。
【0068】
なお、測定条件が最も悪いパッド126の測定値が適正となるようにゲイン調整を行うための補正値が算出されれば、その補正値を使用することにより、測定条件が該パッド126よりも良い他のパッド126の測定値は適正になる。
【0069】
上記のような点灯・測定制御テーブル70を用いることにより、表示制御部10は、画面に応じて、画面ごとに予め定められたキー122を点灯/消灯することができる。すなわち、表示制御部10は、入力制御部20によりいずれかのキー122の操作を検出する。そして、画面を遷移させる所定の操作があった場合に、画面を遷移させるとともに、遷移後の画面のIDに対応するエントリーの点灯対象キー情報72に基づいて、点灯が設定されているキーに対応するLED127を点灯し、消灯が設定されているキーに対応するLED127を消灯する。このようにして、ユーザーの操作により点灯パターンを変化させることができる。
【0070】
図6は、本発明の第一実施形態の一例に係る操作パネルの点灯キーの遷移を示す図である。例えば、(A)、(B)、(C)に示すように、ディスプレイ121に表示された画面がと遷移するごとに、キー122(a〜p)の点灯/消灯も変化する。
【0071】
なお、本実施形態では、画面が遷移するごとにキー122の点灯を制御しているが、これに限られない。例えば、画面に含まれる項目ごとにキー122の点灯を制御してもよい。
【0072】
図4に戻って説明を続ける。入力制御部20は、操作パネル120に対する入力制御を行う機能部である。
【0073】
例えば、入力制御部20は、操作パネル120の各キー122に対する操作を検出する。すなわち、入力制御部20は、各キー122に対応するパッド126から出力される測定値に基づいて、タッチがされたか否かを判定する。なお、判定方法の詳細は、タッチセンサー基板124の説明で記載したとおりである。
【0074】
本実施形態では、入力制御部20は、タッチ操作が有効なキー122と無効なキー122とを区別するため、上述の点灯・測定制御テーブル70を用いる。すなわち、表示されている画面の画面IDに対応するエントリーの点灯対象キー情報72に基づいて、タッチされたと判定したキー122が「点灯」に設定されている場合、該タッチを有効な操作として扱う。一方、タッチされたと判定したキー122が「消灯」に設定されている場合、該タッチを無効な操作として扱う。有効な操作である場合、当該操作内容を表示制御部10に通知する。また、有効な操作である場合、例えば、選択された項目に応じた動作を行うように、読取制御部50又は印刷制御部60に通知する。
【0075】
測定処理部30は、パッド126のゲイン調整に用いられる補正値の算出に用いられる出力値の測定を行う機能部である。
【0076】
例えば、測定処理部30は、画面が遷移したタイミングで、予め設定された測定対象キーから測定値を得る。すなわち、測定処理部30は、点灯・測定制御テーブル70を参照し、遷移後の画面の画面IDに対応するエントリーの測定対象キーID73に含まれるキーIDに対応するパッド126を、測定値を取得するパッドとして特定する。測定値は、補正処理部40に出力されて、使用される。なお、測定対象キーID73としていずれのキーも設定されていない場合は、測定処理部30は、測定を行わない。
【0077】
上述したように、本実施形態の一例では、各エントリーの測定対象キーID73には、同一のキー122のキーIDが設定されが、当該キー122のLED127が点灯される画面のエントリーにおいては、当該キー122のキーIDは設定されない。従って、測定処理部30は、タッチ操作が無効なキー122に対応するパッド126から測定値を取得する。
【0078】
測定の方法について、例えば、測定処理部30は、画面が遷移したタイミングから所定時間(0を含む)経過後に、測定対象キーの測定を行う。測定の回数は、例えば、1回とすることができる。
【0079】
なお、測定回数が1回の場合、その測定タイミングに、測定対象キーがユーザーにより触れられる可能性がある。そこで、当該可能性をより低減するため、複数回(例えば、画面が遷移したタイミングから所定時間間隔で3回)測定を行うようにしてもよい。この場合、測定処理部30は、各回の測定タイミングにおいて、入力制御部20を介して測定対象キーがタッチされたか否かを監視し、タッチがされていないタイミングの測定値を選択するようにする。
【0080】
もちろん、測定回数が1回の場合においても、測定処理部30は、測定タイミングにおいて、入力制御部20を介して測定対象キーがタッチされたか否かを判定するようにしてもよい。そして、タッチがされていない状態の測定値が得られるまで、所定時間間隔で測定を行うようにしてもよい。
【0081】
補正処理部40は、パッド126のゲイン調整に用いられる補正値の算出、各パッド126への補正値の設定を行う機能部である。
【0082】
例えば、補正処理部40は、画面が遷移したタイミングで、測定処理部30により出力された測定値を取得する。そして、予め定められた変換式や変換テーブルを使用して、その測定値が予め定められている基準値に達することができる補正値を算出する。また、該補正値をパッド制御回路128に設定する。なお、補正方法の詳細は、タッチセンサー基板124の説明で記載したとおりである。
【0083】
上述したように、本実施形態の一例では、画面ごとに測定対象キーID73は、一つである。この場合、補正処理部40は、当該測定対象キーの測定値から算出した補正値を、全てのキー122のパッド126に反映されるように、パッド制御回路128に設定する。
【0084】
補正値の算出、設定タイミングは、例えば、画面が遷移したタイミングから所定時間(0を含む)経過後とすることができる。もちろん、これに限られず、例えば、補正値の設定タイミングは、次の画面への遷移タイミングとしてもよい。また、例えば、補正値を算出したタイミングにおいては、LED127が消灯されているキー122について設定を行い、LED127が点灯されているキー122については、当該LED127が消灯されてから行うようにしてもよい。
【0085】
読取制御部50は、スキャナーエンジン130による読み取りの制御、スキャナーエンジン130から出力されたデータに基づいて画像データを生成する機能部である。例えば、読取制御部50は、入力制御部20から通知された操作内容に応じて、設定値の変更、スキャナーエンジン130の制御、画像データの生成などを行う。本実施形態では、読取制御部50は主要な機能部ではないので、詳細な説明を省略する。
【0086】
印刷制御部60は、印刷エンジン140による印刷の制御を行う機能部である。例えば、印刷制御部60は、入力制御部20から通知された操作内容に応じて、設定値の変更、印字データの生成、印刷エンジン140の制御などを行う。本実施形態では、印刷制御部60は主要な機能部ではないので、詳細な説明を省略する。
【0087】
以上の各構成要素は、複合機100の構成を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。複合機100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0088】
次に、上記の複合機100により実現される特徴的な処理について説明する。
【0089】
図7は、本発明の第一実施形態の一例に係る点灯・測定処理を示すフロー図である。本フローは、照明の点灯の遷移に注目したフローである。本フローは、例えば、複合機100の電源オン後開始される。
【0090】
S110では、表示制御部10は、初期点灯対象キーのLEDを点灯する。具体的には、表示制御部10は、点灯・測定制御テーブル70を参照し、予め定められた初期画面のエントリーに含まれる点灯対象キー情報72に基づいて、点灯(1)が設定されているキーに対応するLED127を点灯し、消灯(0)が設定されているキーに対応するLED127を消灯する。そして、処理をS120に進める。
【0091】
S120では、入力制御部20は、いずれかのキーがタッチされたか否かを監視する。具体的には、入力制御部20は、有効なキー122に対応するパッド126から出力される測定値に基づいてタッチを判定する。すなわち、入力制御部20は、点灯・測定制御テーブル70を参照し、表示中の画面のエントリーに含まれる点灯対象キー情報72に基づいて、LED127が点灯(1)に設定されているキー122のタッチがされたか否かを判定する。いずれかの有効なキー122がタッチされた場合(S120:YES)、当該操作内容を表示制御部10に通知し、処理をS130に進める。いずれのキー122もタッチされていない場合(S120:NO)、監視を継続する。
【0092】
S130では、表示制御部10は、点灯対象キーを特定する。具体的には、表示制御部10は、入力制御部20から通知された操作内容に基づいて画面を遷移させるとともに、点灯・測定制御テーブル70を参照して、遷移後の画面のエントリーに含まれる点灯対象キー情報72を特定する。そして、処理をS140に進める。
【0093】
S140では、表示制御部10は、S130で特定した点灯対象キー情報72に基づいて、点灯(1)が設定されているキーに対応するLED127を点灯し、消灯(0)が設定されているキーに対応するLED127を消灯する。そして、処理をS150に進める。
【0094】
S150では、測定処理部30は、測定対象キーを特定する。具体的には、測定処理部30は、点灯・測定制御テーブル70を参照して、遷移後の画面(S130)のエントリーに含まれる測定対象キーID73を特定する。そして、処理をS160に進める。
【0095】
S160では、測定処理部30は、測定対象キーがあるか否かを判定する。具体的には、測定処理部30は、S150で特定した測定対象キーID73に、測定対象のキーIDが設定されているか否かを判定する。測定対象のキーIDが設定されている場合(S160:YES)、処理をS170に進める。測定対象のキーIDが設定されていない場合(S160:NO)、処理をS120に戻す。
【0096】
S170では、測定処理部30は、測定対象キーの出力値の測定を行う。具体的には、測定処理部30は、S150で特定した測定対象キーID73に設定されているキーIDに対応するパッド126から測定値を取得する。そして、処理をS180に進める。
【0097】
S180では、補正処理部40は、補正値を算出する。具体的には、補正処理部40は、S170で取得された測定値を取得し、予め定められた変換式や変換テーブルを使用して、その測定値が予め定められている基準値に達することができる補正値を算出する。そして、処理をS190に進める。
【0098】
S190では、補正処理部40は、補正値の反映を行う。具体的には、補正処理部40は、S180で算出した補正値を、全てのパッド126の補正値として、パッド制御回路128に設定する。そして、処理をS120に戻す。
【0099】
なお、S110の後、S120の前に、補正値の測定、反映を行うようにしてもよい。
【0100】
上述の図7の各フローの各処理単位は、複合機100の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。複合機100の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。
【0101】
以上、本発明の第一実施形態の一例について説明した。本実施形態によれば、ユーザー環境においてタッチセンサーの調整を行うことができる。
【0102】
すなわち、本発明の第一実施形態の一例では、キーがタッチされるたびに、所定のキーに対応するパッドの出力値の測定が行われ、その測定値に基づいて各パッドの補正が行われる。このような構成により、補正のためのユーザーの作業なしで、所定のタイミングで自動的に補正が行われる。
【0103】
仮に、従来の通常の方法に従うと、パッドの補正は、例えば、ユーザーがメニューを操作し、パッドの補正を開始するための指示を出すことにより行われる。しかし、この方法は、特に電子機器が苦手なユーザーにとっては煩わしい作業を伴い、悪い場合には、パッドの補正が実行されない可能性も高くなる。さらに、ユーザー自身が補正の必要性を認識する程度にタッチセンサーの動作に不具合を感じた場合に、初めてパッドの補正が行われる可能性が高まる。すなわち、ユーザーにとって明らかな不具合が発生するまで、パッドの補正が行われない。従って、本発明の第一実施形態の一例によれば、これらの問題が解消される。
【0104】
また、本発明の第一実施形態の一例では、LEDが消灯されている所定のキーに対応するパッドの出力値の測定が行われる。このような構成により、より適切な補正値を得られる可能性が高まる。
【0105】
タッチセンサーの調整では、指その他の物体がキーに接近又は接触すると、適切に測定値を得ることができない。すると、適切な補正値が算出できず、その結果、タッチセンサーの不具合が起きる可能性が高まる。このように、タッチセンサーの調整は、外部の影響をできる限り受けない状態で行う必要がある。従って、本発明の第一実施形態の一例によれば、照明が点灯しているキー(有効なキー)にユーザーの注意が向くので、消灯しているキー(無効なキー)が操作される可能性が低下し、適切な測定値を得られる可能性が高まる。
【0106】
また、本発明の第一実施形態の一例によれば、タッチセンサーの調整は、電子機器の製造工程において行わないでも、ユーザー環境で自動的に行うことができる。従って、製造工程でのコストを低減することができる。
【0107】
なお、上記の本発明の第一実施形態の一例は、本発明の要旨と範囲を例示することを意図し、限定するものではない。多くの代替物、修正および変形例が当業者にとって明らかである。
【0108】
<変形例1>
上記の本発明の第一実施形態の一例では、特定の一つのパッドが測定対象となっているが、照明が消灯している全て又は複数のパッドを測定対象とし、各パッドの測定値を自身の補正に用いるようにしてもよい。
【0109】
具体的には、点灯・測定制御テーブル70のエントリーごとに、点灯対象キー情報72において消灯(0)が設定されている全て又は複数のキーのキーIDを、測定対象キーID73に設定する。測定処理部30は、測定タイミングにおいて、測定対象キーID73に設定されている全て又は複数のキーIDに対応するパッド126から測定値を取得する。補正処理部40は、測定値が取得されたキーごとに、補正値を算出し、パッド制御回路128に設定する。
【0110】
<変形例2>
上記の本発明の第一実施形態の一例では、特定の一つのパッドが測定対象となっているが、キーを複数のグループに分け、グループごとに、当該グループ内の特定の一つのパッドを測定し、当該グループ内の全パッドの補正に用いるようにしてもよい。
【0111】
具体的には、点灯・測定制御テーブル70の各エントリーの測定対象キーID73に、グループごとに一つのキーIDを設定する。グループは、例えば、図8に示すように、操作パネル120の操作面を三つのエリアA〜Cに分割した場合、エリアに対応する。この場合、エリアごとに一つの測定対象キー(代表キー)を定め、当該測定対象キーのLEDが消灯する画面のエントリーの測定対象キーID73に、当該測定対象キーのキーIDを設定する。なお、各エリアの測定対象キーは、当該エリア内で、出力値の測定条件が最も悪いパッド126に対応するキーであることが好ましい。
【0112】
測定処理部30は、測定タイミングにおいて、エリアごとに、測定対象キーID73に設定されている当該エリアのキーIDに対応するパッド126から測定値を取得する。補正処理部40は、エリアごとに、測定対象キーの測定値に基づいて補正値を算出し、当該エリア内の全パッドの補正値としてパッド制御回路128に設定する。
【0113】
<変形例3>
上記の本発明の第一実施形態の一例では、画面階層間で、同一の一つのパッドが測定対象となっているが、画面ごとに、測定対象のパッドを異ならせ、測定対象のパッドの測定値を自身の補正にだけ用いるようにしてもよい。測定対象のパッドは、点灯・測定制御テーブル70の各エントリーに予め設定されていてもよいし、画面ごとに任意のパッドをランダムに選択するようにしてもよい。
【0114】
さらに、上記の場合において、他の測定対象パッドと比べて測定の頻度が少ない測定対象パッドについては、所定のタイミングで、他の測定対象パッドよりも優先的に測定を行うようにしてもよい。これは、画面の遷移の仕方によっては、測定の頻度が極端に少なくなる場合があるからである。
【0115】
具体的には、例えば、測定処理部30は、測定対象キーごとに測定が実行された測定回数などの履歴を記録するとともに、画面階層間の遷移回数の累計を記録する。また、画面が遷移するたびに、各測定対象キーの測定頻度(測定回数/遷移回数)を算出するとともに、測定頻度が所定の値以下である測定対象キーが存在するか否かを監視する。遷移後の画面において、測定頻度が所定の値以下である測定対象キーが存在し、かつ、当該キーの照明が消灯される場合、遷移後の画面において測定対象であるキーに替えて、測定頻度が所定の値以下である測定対象キーの測定を行うようにする。遷移後の画面において測定対象であるキーの測定頻度と他の無効キーの測定頻度とを比較し、遷移後の画面において測定対象であるキーの測定頻度よりも低い測定頻度の無効キーを測定対象としてもよい。
【0116】
<変形例4>
上記の本発明の第一実施形態の一例では、照明が点灯しないキーを測定対象としているが、照明が点灯するキーを測定対象としてもよい。ただし、この場合、画面を遷移したタイミングですぐに測定対象キーの照明を点灯するのではなく、該タイミングから所定時間待ち、該所定時間の間に測定を行い、該所定期間経過後に照明を点灯するようにすればよい。
【0117】
<変形例5>
上記の本発明の第一実施形態の一例では、画面が遷移する度に測定を行っているが、例えば、所定回数遷移がある度に測定をするようにしてもよい。また、前回の測定から所定時間が経過し、かつ、当該所定時間の経過後最初の画面の遷移があった場合に測定を行うようにしてもよい。
【0118】
なお、上記の第一実施形態の一例及び他の変形例は、いずれか一以上を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0119】
10:表示制御部、20:入力制御部、30:測定処理部、40:補正処理部、50:読取制御部、60:印刷制御部、70:点灯・測定制御テーブル、71:画面ID、72:点灯対象キー情報、73:測定対象キーID、100:複合機、110:コントローラー、111:CPU、112:RAM、113:ROM、120:操作パネル、121:ディスプレイ、122(a〜p):キー、123:操作面、124:タッチセンサー基板、125:導光板、126:パッド、127:LED、128:パッド制御回路、129:LED制御回路、130:スキャナーエンジン、140:印刷エンジン、150:通信インターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキーを有する入力装置であって、
前記複数のキーのそれぞれに対応し静電容量を検出するパッドと、
前記複数のキーのそれぞれに対応する照明と、
操作が有効なキーに対応する照明を点灯するとともに、操作が無効なキーに対応する照明を消灯する表示制御手段と、
前記有効キーに対応するパッドに対する操作を検出する入力制御手段と、
少なくとも一以上の無効キーに対応するパッドの出力値を測定する測定手段と、
前記出力値を用いてパッドの出力を補正するための補正値を算出し、少なくとも一以上のパッドの出力を補正する補正手段と、を有する、
ことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置であって、
前記表示制御手段は、ユーザーの操作に応じて、予め定められた複数の点灯パターンに従って前記複数のキーに対応する照明の点灯又は消灯を変化させ、
前記測定手段は、前記点灯パターンが変化した場合に、少なくとも一以上の無効キーに対応するパッドの出力値を測定する、
ことを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の入力装置であって、
前記測定手段は、前記無効キーに対応するパッドの出力値の測定の際、出力値を複数回取得するとともに、各回において当該無効キーに対応するパッドに対する操作を監視し、操作がされていない回の出力値を、測定値として採用する、
ことを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか一項に記載の入力装置であって、
前記測定手段は、所定の一つの無効キーに対応するパッドの出力値を測定し、
前記補正手段は、前記所定の一つの無効キーに対応するパッドの出力値を用いて、全てのパッドの出力を補正する、
ことを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項1〜3いずれか一項に記載の入力装置であって、
前記測定手段は、前記無効キーに対応するパッドそれぞれの出力値を測定し、
前記補正手段は、前記無効キーに対応するパッドそれぞれの出力値を用いて、各パッドの出力を補正する、
ことを特徴とする入力装置。
【請求項6】
請求項1〜3いずれか一項に記載の入力装置であって、
前記複数のキーは、複数のグループに分けられるとともに、グループごとに一の代表キーが予め定められており、
前記測定手段は、グループごとに、当該グループ内の前記代表キーに対応するパッドの出力値を測定し、
前記補正手段は、グループごとに、前記代表キーに対応するパッドの出力値を用いて、当該グループ内の全てのキーに対応するパッドの出力を補正する、
ことを特徴とする入力装置。
【請求項7】
請求項2又は3に記載の入力装置であって、
前記測定手段は、前記点灯パターンごとに異なる少なくとも一以上の無効キーに対応するパッドの出力値を測定し、
前記補正手段は、測定したパッドの出力値を用いて、当該測定したパッドの出力を補正する、
ことを特徴とする入力装置。
【請求項8】
請求項7に記載の入力装置であって、
前記測定手段は、前記無効キーごとに測定頻度を記録し、前記点灯パターンが変化した場合に、該点灯パターンにおいて測定対象である無効キーの測定頻度よりも低い測定頻度を有する他の無効キーを優先的に測定する、
ことを特徴とする入力装置。
【請求項9】
複数のキーと、前記複数のキーのそれぞれに対応し静電容量を検出するパッドと、前記複数のキーのそれぞれに対応する照明とを備える入力装置の補正方法であって、
操作が有効なキーに対応する照明を点灯するとともに、操作が無効なキーに対応する照明を消灯するステップと、
前記有効キーに対応するパッドに対する操作を検出するステップと、
少なくとも一以上の無効キーに対応するパッドの出力値を測定する測定ステップと、
前記出力値を用いてパッドの出力を補正するための補正値を算出し、少なくとも一以上のパッドの出力を補正するステップと、を含む、
ことを特徴とする補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−173922(P2012−173922A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34379(P2011−34379)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】