説明

入力装置、設定方法およびプログラム

【課題】接触または近接する物体の位置を検出することで入力操作を受け付ける入力装置において、ユーザの負担を抑えつつ、入力装置の調節を行うことができるようにする。
【解決手段】記憶部22が、例えば静電容量方式のタッチパネルに接触する接触物体の分類毎に、タッチパネルの感度設定パラメータを予め記憶しておくなど、入力操作に応じた設定パラメータを取得するための情報を予め記憶しておく。そして、制御部21は、記憶部22の記憶する情報に基づいて、タッチ入力部141の受け付ける入力操作に応じた設定パラメータを取得し、当該設定パラメータに応じてタッチ入力部141に対する調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルやタッチバッドなど、指やタッチペン等を接触あるいは近接させて操作する入力操作を受け付ける入力装置、当該入力装置の設定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルやタッチパッドなど、指やタッチペン等を接触あるいは近接させて操作する入力操作を受け付ける入力装置において、当該装置が入力を適切に検出可能とするために、当該装置の感度など、幾つかの設定を行う必要がある。まず、かかる設定の必要性および設定に際しての問題点について、静電容量方式のタッチパネルを例に説明する。
【0003】
静電容量方式のタッチパネルは、応答速度が速いという特徴、および、大型画面に低コストにて適用可能なタイプや、検出精度が高くかつ多点検出(マルチタッチ)可能なタイプがあるという特徴を有する。これらの特徴ゆえ、静電容量方式のタッチパネルは、携帯電話装置をはじめとする様々な機器に用いられ、その需要は増大しつつある。
【0004】
この静電容量方式のタッチパネルでは、指など接触する物体の導電性に基づく静電容量の変化を検出することでタッチ位置の検出を行う。従って、静電容量方式のタッチパネルに対するタッチ操作は、指など導電性を有する物体にて行われる必要がある。
しかしながら、静電容量方式のタッチパネルに対するタッチ操作が必ず素手で行われるとは限らない。特に、携帯電話装置など携帯型の機器に搭載されたタッチパネルでは、例えば、手袋を装着した指を用いてタッチ操作が行われることが考えられる。手袋を装着した指を用いてタッチ操作が行われる場合、素手を用いてタッチ操作が行われる場合よりも静電容量の変化が小さくなり、タッチ操作の検出に失敗するおそれがある。
【0005】
そこで、タッチパネルに接触する物体の導電性に応じてタッチパネルの感度を調節可能とすることが考えられる。
例えば、手袋を装着した指など、比較的導電性の低い物体を用いてタッチ操作を行う場合、ユーザは、タッチパネルの感度を高く設定する。これにより、タッチ操作の検出失敗を低減させることができる。一方、素手など、比較的導電性の高い物体を用いてタッチ操作を行う場合、ユーザは、タッチパネルの感度を低く設定する。これにより、ユーザの意図しないタッチ操作を検出する誤検出を低減させることができる。
【0006】
なお、特許文献1では、ユーザのキー入力に応じてタッチパネルの感度を増加または減少させるタッチスクリーンディスプレイ装置が示されている。これにより、ユーザ個人のタッチ習性を考慮してタッチパネルの感度を調整できて、ユーザの意図と異なるタッチ結果を発生させる現象を最小化させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−165801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示されるタッチスクリーンディスプレイ装置では、ユーザが、キー入力を行ってタッチパネルの感度を調整する。従って、特許文献1に示されるタッチスクリーンディスプレイ装置において、手袋を装着しているか否かに応じてタッチパネルの感度を調整する場合、ユーザは、素手を用いたタッチ操作から手袋を装着してのタッチ操作に変更する毎に、タッチパネルの感度を高くする調整を行い、手袋を装着してのタッチ操作から素手を用いたタッチ操作に変更する毎に、タッチパネルの感度を低くする調整を行う必要がある。
ここで、特許文献1に示されるタッチスクリーンディスプレイ装置において、タッチパネルの感度を高く、あるいは低く調整する場合、ユーザは、感度の変更幅に応じた回数のキー操作を行う必要がある。一般に、素手の場合と手袋を装着した場合とでは、タッチパネルの感度を大幅に変更する必要があり、キー操作の回数が多くなってしまう点でユーザの負担が大きい。
また、一般のユーザは、素手の場合や手袋を装着した場合に、タッチパネルを如何なる感度に設定すればよいかの知識を有しない。このため、試行錯誤にて最適な感度を見つけ出す必要があり、この点でもユーザの負担が大きい。
【0009】
また、上述のように試行錯誤にて最適な感度を見つけ出す必要がある場合、例えば、ユーザは、素手の状態から手袋装着に変更するために、実際に手袋を装着してタッチ操作を行ってみて、タッチ操作を検出可能な感度を見つける必要がある。ところが、タッチパネルの感度変更完了前においては、タッチパネルが、手袋を装着してのタッチ操作を検出できないおそれがある。この場合、ユーザは、手袋を外して感度の変更を行い、手袋を装着してタッチ操作を検出可能か試す操作を繰り返す必要があり、非常に手間がかかる。
かかる手間を解消するためには、タッチパネルとは別に、感度設定用の入力キー等を設ける必要がある。このため、装置が大型化してしまい、また、コストアップにつながる。
【0010】
上述した設定の必要性や、設定に際しての問題は、静電容量方式のタッチパネルに限らず、他の入力装置でも生じ得る。
例えば、ユーザが手袋を装着した指でタッチパネルやタッチパッド等の入力装置を操作する場合、素手で操作する場合よりも入力装置の検出する面積が増大して中心位置が素手の場合からずれることが考えられる。この場合、ユーザが手袋を装着した指で入力装置を操作する場合、入力装置が検出するタッチ位置が、ユーザの意図する位置とずれてしまう。
そこで、ユーザが手袋を装着した指で入力装置を操作する場合に入力装置が検出するタッチ位置を、ユーザの意図する位置に合わせて調整しておくことが考えられる。この場合、ユーザは、実際に手袋を装着して操作してみなければタッチ位置をどのように調整すればよいか把握できないのが通常と考えられ、試行錯誤にて調整を行う必要がある。その際、ユーザは、手袋を装着した状態では適切な操作を行えず、手袋を装着してずれを把握してから手袋を外して設定を行う作業を繰り返す必要が生じ得る。かかる作業は非常に手間がかかり、ユーザの負担となる。
【0011】
本発明は、上述の課題を解決することのできる入力装置、設定方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による入力装置は、接触または近接する物体の位置を検出することで入力操作を受け付ける操作入力部と、前記操作入力部が受け付ける入力操作に応じて前記操作入力部の設定パラメータを取得する設定パラメータ取得部と、前記設定パラメータ取得部の取得する前記設定パラメータに基づいて前記入力操作部に対する設定を行う設定部と、を具備することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様による設定方法は、操作入力部に接触または近接する物体の位置を検出することで入力操作を受け付ける入力受付ステップと、前記入力受付ステップで受け付ける入力操作に応じて前記操作入力部の設定パラメータを取得する設定パラメータ取得部ステップと、前記設定パラメータ取得ステップにて取得する前記設定パラメータに基づいて前記入力操作部に対する設定を行う設定ステップと、を具備することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様によるプログラムは、接触または近接する物体の位置を検出することで入力操作を受け付ける操作入力部を具備するコンピュータに、前記操作入力部に接触または近接する物体の位置を検出することで入力操作を受け付ける入力受付ステップと、前記入力受付ステップで受け付ける入力操作に応じて前記操作入力部の設定パラメータを取得する設定パラメータ取得部ステップと、前記設定パラメータ取得ステップにて取得する前記設定パラメータに基づいて前記入力操作部に対する設定を行う設定ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザの負担を抑えつつ、入力装置の調節を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態における携帯電話装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】同実施形態における携帯電話装置の表面の外観の概略を示す平面図である。
【図3】同実施形態における、接触物体とタッチパネルとの位置関係の例を示す説明図である。
【図4】同実施形態において、記憶部が記憶するタッチ判定閾値テーブルのデータ構成を示す説明図である。
【図5】同実施形態において、携帯電話装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態におけるタッチパッド式入力装置の概略構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における携帯電話装置1の概略構成を示す構成図である。同図において、携帯電話装置1は、音声入力部11と、音声出力部12と、送受信部13と、タッチパネル部14と、制御部(設定部)21と、記憶部22とを具備する。タッチパネル部14は、タッチ入力部141と、表示部142とを具備する。
携帯電話装置1は、本発明におけるタッチパネル入力装置の一例である。ここでいう「タッチパネル入力装置」は、タッチパネルを具備し、当該タッチパネルにて入力操作を受け付ける装置である。携帯電話装置1は、タッチパネル部14の具備するタッチパネルにてユーザの入力操作を受け付け、入力に応じて、電話機能や電子メール機能やタッチパネル感度調節機能など各種機能(アプリケーション)を実行する。
【0018】
なお、本発明の適用範囲は、同図に示す携帯電話装置1に限らず、接触または近接する物体の位置を検出することで入力操作を受け付ける様々な入力装置に適用可能である。ここで、接触する物体の位置を検出することで入力操作を受け付ける入力装置としては、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式など接触型のタッチパネルやタッチパッドがある。また、近接する物体の位置を検出することで入力操作を受け付ける入力装置(すなわち、物体の位置を検出する際に当該物体と接触することを必要としない入力装置)としては、例えば、静電式(電磁誘導方式)、静電容量方式、光学式、超音波方式など非接触型のタッチパネルやタッチパッドがある。
【0019】
音声入力部11は、マイクを備え、周囲の音声を取得して音声信号に変換し、制御部21に出力する。特に、音声入力部11は、通話時において、ユーザの音声を取得して音声信号に変換し、制御部21に出力する。
音声出力部12は、スピーカを備え、制御部21から出力される音声信号を音声に変換して出力する。特に、音声出力部12は、通話時に受話音を出力する。また、音声出力部12は、電話着信時に着信音を出力する。
送受信部13は、無線通信用アンテナを備え、制御部21の行う制御に従って、携帯電話網(携帯電話通信事業者が提供する、携帯電話のための通信ネットワーク)の基地局との間で無線通信を行って、電話音声データや電子メールデータなど各種データを送受信する。より具体的には、送受信部13は、制御部21から出力される送信データを変調し、無線信号にて基地局に送信する。また、送受信部13は、基地局からの無線信号を受信し復調して受信データを生成し、生成した受信データを制御部21に出力する。
【0020】
タッチパネル部14は、静電容量方式のタッチパネルを備え、タッチ操作(タッチパネルをタッチする操作)を入力操作として受け付け、また、静止画や動画やテキストなど各種画像を表示する。
表示部142は、制御部21から出力される画面データに従って、タッチパネルの液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)における画面表示を行うことで、静止画や動画やテキストなど各種画像を表示する。特に、表示部142は、ユーザが、各種アプリケーションを選択し実行指示するためのアイコンや、電子メールなどアプリケーション実行結果としての様々な画面を表示する。
【0021】
タッチ入力部141は、タッチ操作が行われると、タッチ位置(タッチ操作が行われた位置)を検出し、タッチ位置を示す情報を制御部21に出力する。特に、タッチ入力部141は、表示部142が表示するアイコンの選択操作としてタッチ操作を受け付けて、制御部21にタッチ位置を出力する。このタッチ位置に基づいて、制御部21は、選択されたアイコンを識別し、当該アイコンに対応するアプリケーションを実行することができる。
ここで、タッチ入力部141は、指など導電性を有する物体を用いたタッチ操作を受け付けてタッチ位置を検出する。以下では、指やタッチペンなど、タッチ操作の際にタッチパネルに接触する物体を「接触物体」と称する。
【0022】
制御部21は、携帯電話装置1の具備するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、記憶部22の記憶するプログラムを読み出して実行することで実現され、携帯電話装置1の各部を制御する。特に、制御部21は、タッチ入力部141の受け付ける操作に応じて携帯電話装置1の各部を制御して、電話機能や電子メール機能やタッチパネル感度調節機能など各種機能を実行する。
【0023】
例えば、制御部21は、ユーザの発呼要求操作に応じて、呼出先の電話装置の電話番号を含む発呼要求信号を基地局に送るよう送受信部13を制御する発呼処理を行う。また、制御部21は、送受信部13が基地局から送信される呼出信号を受信すると、着信音を出力するよう音声出力部12を制御し、また、着信内容を表示するよう表示部142を制御する着信処理を行う。また、制御部21は、着信時におけるユーザの接続指令操作に応じて、携帯電話装置1を携帯電話網に無線接続するよう送受信部13を制御する接続処理を行う。また、制御部21は、発呼処理や接続処理が行われて相手側の電話装置との間に呼が確立されたときに、音声入力部11の取得するユーザの音声を無線信号にて基地局に送信するよう送受信部13を制御し、送受信部13が無線信号にて受信する音声信号を音声に変換して出力するよう音声出力部12を制御する音声入出力処理を行う。また、携帯電話装置1が携帯電話網に無線接続された状態において、ユーザの切断指令操作に応じて、当該無線接続を切断する(基地局との通信を終了する)よう送受信部13を制御する切断処理を行う。
【0024】
記憶部22は、制御部21の実行するプログラムや各種データを記憶する。特に、記憶部22は、後述するように、タッチパネルの感度設定パラメータを記憶する。
【0025】
図2は、携帯電話装置1の表面の外観の概略を示す平面図である。
携帯電話装置1の筐体69は、片手で持って操作可能、かつ、携帯に便利な大きさを有する。そして、筐体69の表面には、タッチパネル部14のタッチパネル64が配置され、タッチパネルの下方に音声入力部11のマイク61が配置され、タッチパネルの上方に音声出力部12のスピーカ62が配置されている。
また、携帯電話装置1の上方内部には、送受信部13の無線通信用アンテナが配置されている。なお、送受信部13の無線通信アンテナは、筐体69の外部に向かって伸縮可能に配置されていてもよい。
【0026】
なお、本発明の適用範囲は、上記の外観を有する携帯電話装置に限らない。例えば、両手で持って両親指で操作するタイプの端末装置(例えば、携帯情報端末(PDA;Personal Data Assistant))など、片手で持って操作するタイプの携帯電話装置以外の機器も含まれる。また、マイクやスピーカやアンテナの配置も、上述したものに限らない。例えば、タッチパネルの側方にスピーカが配置されていてもよいし、タッチパネルが配置される面とは別の面にスピーカが配置されていてもよい。さらには、本発明は、マイクやスピーカやアンテナを備えない機器にも適用可能である。
【0027】
次に、図3を参照して、タッチパネル64における感度調節の必要性について説明する。
図3は、接触物体とタッチパネルとの位置関係の例を示す説明図である。同図において、層L1は、タッチパネル64の表面に設置される絶縁フィルムを示し、層L2は、タッチパネル64の静電容量センサを示す。なお、同図(a)では、静電容量センサL2と平行に位置する接触物体C1を想定している。また、同図(b)では、指F1が接触物体に該当し、同図(c)では、指F1と手袋G1とを併せて接触物体C2を構成する。
同図(a)に示す、静電容量センサL2に平行に位置する接触物体C1と、当該静電容量センサL2との間に発生する静電容量Cは、式(1)に示されるように接触物体C1と静電容量センサL2との距離Dに反比例する。
【0028】
【数1】

【0029】
ただし、εは接触物体の材料の誘電率を表し、Sは接触物体C1の面積を表す。
ここで、図3(b)に示されるように、ユーザが、素手でタッチ操作を行う場合、指F1と静電容量センサL2との間の距離は、絶縁フィルムの厚みに応じた距離Dとなる。
一方、同図(c)に示されるように、ユーザが、手袋を装着した指でタッチ操作を行う場合、指F1と静電容量センサL2との間の距離は、絶縁フィルムおよび手袋の厚みに応じた距離Dとなり、素手の場合の距離Dよりも距離が長くなる。
手袋の誘電率にもよるが、一般には、指F1と静電容量センサL2との間の距離が長くなるために、手袋を装着した場合に検出される静電容量は、素手の場合よりも小さくなる。その結果、ユーザが手袋を装着してタッチ操作を行った場合、携帯電話装置1がタッチ操作を検出できないおそれがある。
【0030】
そこで、タッチパネルの感度を高く設定することで、ユーザが手袋を装着してタッチ操作を行う場合にも携帯電話装置1がタッチ操作を検出できるようにすることが考えられる。具体的には、タッチ操作の有無の判定閾値を低く設定することで、タッチパネル64において、比較的小さい静電容量が検出された場合に、タッチ入力部141がタッチ操作有りと判定して、当該静電容量の検出された位置を制御部21に出力するようにする。
【0031】
一方、ユーザが素手でタッチ操作を行う場合、タッチパネルの感度を低く設定することで、ユーザの意図しないタッチ操作を検出する誤検出を低減させることが望ましい。例えば、タッチパネルの感度が高く設定されていると、ユーザが素手で操作を行う場合に、ユーザの指とタッチパネルとの距離が比較的長い状態で、タッチ入力部141がタッチ操作有りと判定するため、ユーザがタッチパネルから指を離していると認識して指を動かした際に、タッチ入力部141がタッチ操作有りと判定してしまう誤検出のおそれがある。そこで、ユーザが素手で操作を行う場合は、タッチパネルの感度を低く設定し、指がタッチパネルに充分近づいた場合のみタッチ操作有りと判定することで、誤検出のおそれを低減させることが望ましい。
【0032】
そこで、携帯電話装置1では、記憶部22が、次に説明するタッチ判定閾値テーブルの形式にて、接触物体の分類毎に、タッチパネルの感度設定パラメータを、予め記憶しておく。そして、接触物体の分類の何れかをユーザが選択すると、制御部21が、選択された分類に対応付けて記憶されている感度設定パラメータを記憶部22から読み出し、読み出した感度設定パラメータにてタッチパネルの感度を設定する。
【0033】
これにより、ユーザは、接触物体の分類の何れかを選択することで、タッチパネルを適切な感度に設定することが出来る。従って、素手を用いたタッチ操作から手袋を装着してのタッチ操作に変更する場合や、その逆の場合のように、タッチパネルの感度を大幅に変更する必要がある場合でも、少ない回数の操作でタッチパネルの感度調節を行うことができる。例えば、ユーザは、接触物体の分類をメニュー形式で表示させる操作と、表示されたメニューの中から接触物体の分類の何れかを選択する操作との、2回の操作でタッチパネルの感度調節を行うことができる。従って、携帯電話装置1の感度調節方法では、ユーザのキー入力に応じてタッチパネルの感度を増加または減少させる方法との比較において、より少ない回数の操作でタッチパネルの感度を調節できるので、ユーザの負担が少なく、また、調節に要する時間が短くて済む。
【0034】
また、ユーザは、接触物体の分類の何れかを選択することで、タッチパネルを適切な感度に設定することが出来るので、素手を用いたタッチ操作から手袋を装着してのタッチ操作に変更する場合や、その逆の場合の、タッチパネルの感度の変化量を覚えていなくとも、試行錯誤(当該試行錯誤は、例えば、手袋を装着した際の静電容量の変化によってタッチパネルの感度が変化する場合のように、接触物体の特性が変化する場合において、ユーザが当該特性の変化に応じたタッチパネルに対する調節量を把握していないときに生じることが考えられる)にて最適な感度を見つけ出す必要がない。この点でも、携帯電話装置1の感度調節方法では、ユーザの負担が少なく、また、調節に要する時間が短くて済む。
なお、以上で説明したタッチ判定閾値テーブルは、携帯電話装置1がタッチパネルの設定値を取得する手段の一例であり、本発明の適用範囲は、このタッチ判定閾値テーブルを用いる機器に限らない。例えば、携帯電話装置1が、次に説明する図4に示す項目以外の項目を含むテーブルを用いるようにしてもよい。あるいは、携帯電話装置1が、関数など、テーブル以外の形式で入力パラメータと設定値との関係を記憶しておくようにしてもよい。
【0035】
次に、図4を参照して、記憶部22の記憶するタッチ判定閾値テーブルについて説明する。
図4は、記憶部22の記憶するタッチ判定閾値テーブルのデータ構成を示す説明図である。同図に示すタッチ判定閾値テーブルの各行には、接触物体の分類と、当該分類毎の感度設定パラメータとしてのタッチ判定閾値とが、対応付けて格納されている。なお、上述したように、同図に示すタッチ判定閾値テーブルは、携帯電話装置1がタッチパネルの設定値を取得する手段の一例であり、本発明の適用範囲は、このタッチ判定閾値テーブルを用いる機器に限らない。
本実施形態のタッチ判定閾値テーブルでは、大分類と、手袋素材と、厚さとに基づいて、接触物体が分類されている。大分類の欄には、接触物体がタッチペンであることを示す「タッチペン」と、接触物体が素手の指であることを示す「素手」と、接触物体が手袋を着用した指であることを示す「手袋装着」との何れかの値が格納される。手袋素材の欄には、大分類が「手袋装着」である場合に、着用される手袋の素材を示す情報が格納される。厚さの欄には、大分類が「手袋装着」である場合に、着用される手袋の素材の厚さが、「薄い」と「普通」と「厚い」との何れかの値にて格納される。
【0036】
また、タッチ判定閾値の欄に格納されるタッチ判定閾値は、タッチ入力部141が、タッチパネル64における通常状態からの静電容量の変化に基づいてタッチ操作の有無を判定する基準を示す閾値である。具体的には、タッチ入力部141は、タッチパネル64の、ある位置においてタッチ判定閾値以上の静電容量の変化を検出すると、当該位置をタッチ位置として制御部21に出力する。従って、タッチ判定閾値の値が小さいほど、タッチパネル64の感度が高く設定され、タッチ判定閾値の値が大きいほど、タッチパネル64の感度が低く設定される。
【0037】
次に、図5を参照して、携帯電話装置1の動作について説明する。
図5は、携帯電話装置1が行う処理の手順を示すフローチャートである。携帯電話装置1は、電源を投入(オン)されて起動すると、同図の処理を開始する。
まず、制御部21は、送受信部13がメールまたは電話を着信しているか否かを判定する(ステップS101)。着信していると判定した場合(ステップS101:YES)、制御部21は、音声出力部12に着信音を出力させ、表示部142に着信内容を表示させるなど、着信時の処理を行う(ステップS111)。その後、ステップS101に戻り、同図の処理を繰り返す。
【0038】
一方、ステップS101において、着信していないと判定した場合(ステップS101:NO)、制御部21は、タッチ入力部141がタッチ操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS121)。タッチ操作を受け付けたと判定した場合(ステップS121:YES)、制御部21は、当該タッチ操作がメニューアイコンの選択を示すか否かを判定する(ステップS131)。
【0039】
ここでいう「メニューアイコン」は、アプリケーション選択画面の表示に対応付けられたアイコンである。表示部142は、制御部21から出力される待受画面データに基づいて、待受画面にメニューアイコンを表示している。また、「アプリケーション選択画面」は、携帯電話装置1に実行させる機能をユーザが選択するための画面である。アプリケーション選択画面では、例えば、携帯電話装置1が実行可能な機能毎に、当該機能を示すアイコンが表示され、ユーザは、何れかのアイコンをタッチすることで、携帯電話装置1に実行させる機能を選択する。
【0040】
ステップS131において、メニューアイコンの選択を示すと判定した場合(ステップS131:YES)、制御部21は、表示部142にアプリケーション選択画面を表示させ、タッチ操作を用いた機能の選択を待ち受ける(ステップS141)。
そして、制御部21は、タッチパネル入力条件変更機能が選択されたか否かを判定する(ステップS142)。タッチパネル入力条件変更機能が選択されたと判定した場合(ステップS142:YES)、制御部21は、接触物体の分類の選択を待ち受ける(ステップS151)。
【0041】
例えば、制御部21は、図4のタッチ判定閾値テーブルにおける大分類の列と手袋素材の列と厚さの列とからなる表を表示部142に表示させ、タッチ入力部141の検出するタッチ操作に基づいて何れの行が選択されたかを判定し、選択された行に示される分類を取得する。あるいは、制御部21が、複数段階にて接触物体の分類の選択を受け付けるなど、他の方法で接触物体の分類の選択を受け付けるようにしてもよい。例えば、制御部21は、まず、タッチペン、素手、合成皮革の手袋装着、天然皮革の手袋装着、・・・、というように、図4のタッチ判定閾値テーブルにおける大分類および手袋素材の選択画面を、表示部142に表示させ、タッチ入力部141の受け付けるタッチ操作に基づいて、大分類および手袋素材の何れが選択されたかを判定する。そして、制御部21は、選択された大分類および手袋素材に対応する厚さの選択画面を、表示部142に表示させ、タッチ入力部141の受け付けるタッチ操作に基づいて、何れの厚さが選択されたかを判定する。
【0042】
そして、制御部21は、選択された接触物体の分類と対応付けて記憶部22が記憶するタッチ判定閾値を読み出し、当該タッチ判定閾値をタッチ操作有無の判定閾値とするよう、タッチ入力部141の設定を行う(ステップS152)。その後、ステップS101に戻り、同図の処理を繰り返す。
【0043】
一方、ステップS142において、タッチパネル入力条件変更機能以外の機能が選択されたと判定した場合(ステップS142:NO)、制御部21は、選択された機能の処理を実行する(ステップS161)。その後、ステップS101に戻り、同図の処理を繰り返す。
また、ステップS121でタッチ操作を受け付けていないと判定した場合(ステップS121:NO)や、ステップS131で、メニューアイコンが選択されていないと判定した場合(ステップS131:NO)、ステップS101に戻り、同図の処理を繰り返す。
【0044】
以上のように、記憶部22が、接触物体の分類毎に、タッチパネルの感度設定パラメータとしてのタッチ判定閾値を予め記憶する。そして、接触物体の分類の何れかが選択されると、制御部21は、選択された分類に対応付けて記憶部22が記憶するタッチ判定閾値を読み出し、読み出したタッチ判定閾値に従って、タッチパネルの感度を設定する。
【0045】
これにより、ユーザは、接触物体の分類の何れかを選択することで、タッチパネルを適切な感度に設定することが出来る。従って、素手を用いたタッチ操作から手袋を装着してのタッチ操作に変更する場合や、その逆の場合のように、タッチパネルの感度を大幅に変更する必要がある場合でも、少ない回数の操作でタッチパネルの感度を調節できる。この点で、携帯電話装置1の感度調節方法では、ユーザの負担が少なく、また、調節に要する時間が短くて済む。
【0046】
また、ユーザは、接触物体の分類の何れかを選択することで、タッチパネルを適切な感度に設定することが出来るので、素手を用いたタッチ操作から手袋を装着してのタッチ操作に変更する場合や、その逆の場合の、タッチパネルの感度の変化量を覚えていなくとも、試行錯誤にて最適な感度を見つけ出す必要がない。この点でも、携帯電話装置1の感度調節方法では、ユーザの負担が少なく、また、調節に要する時間が短くて済む。
【0047】
また、ユーザは、試行錯誤にて最適な感度を見つけ出す必要がないので、素手から手袋装着への変更、あるいはその逆など、接触物体の変更を行う前に、予めタッチパネルの感度を設定しておくことが出来る。これにより、携帯電話装置1は、タッチパネルにて設定操作を受け付けることが出来るので、タッチパネルの感度設定用の入力キー等を別途設ける必要がなく、携帯電話装置1の構成を簡単に出来る。
【0048】
ここで、試行錯誤にて最適な感度を見つけ出す必要がある場合、例えば、ユーザは、素手の状態から手袋装着に変更するために、実際に手袋を装着してタッチ操作を行ってみて、タッチ操作を検出可能な感度を見つける必要がある。ところが、タッチパネルの感度変更完了前においては、タッチ入力部141が、手袋を装着してのタッチ操作を検出できないおそれがある。この場合、ユーザは、手袋を外して感度の変更を行い、手袋を装着してタッチ操作を検出可能か試す操作を繰り返す必要があり、非常に手間がかかる。
かかる手間を解消するためには、タッチパネルとは別に、感度設定用の入力キー等を設ける必要がある。
これに対して、携帯電話装置1においては、ユーザは、試行錯誤にて最適な感度を見つけ出す必要がなく、予めタッチパネルの感度を設定しておくことが出来る。従って、携帯電話装置1は、タッチパネルの感度設定用の入力キー等をタッチパネルと別に設ける必要がない。従って、携帯電話装置1の構成を簡単に出来る。
【0049】
また、記憶部22は、手袋の素材に加えて、素材の厚さに応じてタッチ判定閾値を記憶しているので、ユーザは、素材の厚さに応じたより適切な感度に設定することができる。例えば、同じ合成皮革の手袋でも、皮が厚い手袋では、皮が薄い手袋の場合よりも静電容量の発生量が少なくなり、タッチパネルの感度をより高く設定する必要がある。かかる場合にも、携帯電話装置1では、皮の厚さに応じて、より適切な感度に設定することができる。
【0050】
なお、本発明における入力の設定は、上述した設定に限らない。例えば、携帯電話装置1が、接触物体の太さの入力や、接触物体としてタッチペンが用いられる場合の当該タッチペンの材質の入力を受け付け、受け付けた入力に応じた設定を行うようにしてもよい。また、携帯電話装置1が具備するタッチ入力部141は、静電容量方式のものに限らず、タッチ入力部141の種類に応じて、携帯電話装置1が、気温や湿度等の外部環境の情報の入力を受け付け、受け付けた入力に応じた設定を行うようにしてもよい。例えば、タッチ入力部141が超音波方式によって接触物体の位置を検出する場合、気温によって音速が異なることから、携帯電話装置1が気温の入力を受け付け、当該気温に応じた設定を行うことにより、タッチ位置の検出精度を高められることが期待される。
【0051】
なお、携帯電話機1が入力を受け付ける方法は、上述したアイコンの設定に限らない。例えば、タッチ入力部141が、手袋の厚さなどの数値を、手書き入力操作にて受け付けるようにしてもよい。
【0052】
<第2の実施形態>
なお、上述したように、本発明の適用範囲は上記の携帯電話装置1に限らず、接触または近接する物体の位置を検出することで入力操作を受け付ける様々な入力装置に適用可能である。
図6は、本発明の第2の実施形態におけるタッチパッド式入力装置の概略構成を示す構成図である。同図において、タッチパッド式入力装置6は、タッチ入力部141と、記憶部22と、制御部61とを具備する。
同図において、図1の各部に対応して同様の機能を有する部分には、同一の符号(141、22)を付し、説明を省略する。
なお、タッチ入力部141におけるアイコン選択操作は、携帯電話装置(図1)の表示部142の表示するアイコンに代えて、タッチ入力部141としてのタッチパッド表面にアイコンを示す絵柄を予め記載しておくこと実現できる。また、タッチ入力部141の受け付ける入力操作波はアイコン選択操作に限らない。例えば、タッチ入力部141が手書き文字入力などの入力操作を受け付けるようにしてもよい。
【0053】
制御部61は、タッチパッド式入力装置6の各部を制御する。特に、制御部61は、制御部21(図1)と同様、タッチ入力部141の受け付ける入力操作に応じて、記憶部22から感度設定パラメータを読み出し、読み出した感度設定パラメータに従って、タッチ入力部141の入力感度を設定する。
【0054】
このタッチパッド式入力装置6は、携帯電話装置1(図1)と同様の入力感度設定を行い、第1の実施形態で説明したのと同様の効果を得られる。
【0055】
なお、携帯電話装置1またはタッチパッド式入力装置6の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することで各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0056】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1 携帯電話装置
6 タッチパッド式入力装置
11 音声入力部
12 音声出力部
13 送受信部
14 タッチパネル部
141 タッチ入力部
142 表示部
21、61 制御部
22 記憶部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触または近接する物体の位置を検出することで入力操作を受け付ける操作入力部と、
前記操作入力部が受け付ける入力操作に応じて前記操作入力部の設定パラメータを取得する設定パラメータ取得部と、
前記設定パラメータ取得部の取得する前記設定パラメータに基づいて前記入力操作部に対する設定を行う設定部と、
を具備することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記接触または近接する物体の分類毎に、前記操作入力部の設定パラメータを記憶する記憶部を具備し、
前記操作入力部は、前記記憶部の記憶する前記接触または近接する物体の分類のうち何れかを選択する操作を受け付け、
前期設定部は、前記操作入力部の受け付けた操作の示す前記接触または近接する物体の分類と対応付けて前記記憶部が記憶する設定パラメータに従って、前記操作入力部を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記接触物体が素手か手袋を装着しているか否かと、前記手袋の素材と、前記手袋の素材の厚さと、を含む前記接触物体の分類毎に、前記操作入力部の設定パラメータを記憶することを特徴とする請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
操作入力部に接触または近接する物体の位置を検出することで入力操作を受け付ける入力受付ステップと、
前記入力受付ステップで受け付ける入力操作に応じて前記操作入力部の設定パラメータを取得する設定パラメータ取得部ステップと、
前記設定パラメータ取得ステップにて取得する前記設定パラメータに基づいて前記入力操作部に対する設定を行う設定ステップと、
を具備することを特徴とする設定方法。
【請求項5】
接触または近接する物体の位置を検出することで入力操作を受け付ける操作入力部を具備するコンピュータに、
前記操作入力部に接触または近接する物体の位置を検出することで入力操作を受け付ける入力受付ステップと、
前記入力受付ステップで受け付ける入力操作に応じて前記操作入力部の設定パラメータを取得する設定パラメータ取得部ステップと、
前記設定パラメータ取得ステップにて取得する前記設定パラメータに基づいて前記入力操作部に対する設定を行う設定ステップと、
を実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−173749(P2012−173749A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31744(P2011−31744)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】