説明

入力装置及び該入力装置を備えた電子機器

【課題】薄型であっても、がたつき等の問題を発生させない。
【解決手段】ベース1と、ベース1上に押込及び回転操作可能に配置される第1の操作部材8と、第1の操作部材8の押込操作に従って押込移動する第2の操作部材6と、第2の操作部材6を介して第1の操作部材8をベース1から離間するように付勢する付勢部材18と、ベース1上に配置されて、第1の操作部材8による押込操作と回転操作を検出可能な検出部材15,17,18とを備える。第2の操作部材6は、弾性変形可能な2つの脚部27を、回転方向に等分に備える。ベース1は、第2の操作部材6の各脚部27が配置される切欠部11aと、各脚部27を、その押込方向とは逆方向と、回転方向とに移動しないように保持する保持部11とを備える。第2の操作部材6が、付勢部材18によって付勢されることにより、脚部27を、ベース1の保持部11に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、特に、携帯電話、PHS、デジタルカメラ、MP3プレーヤー、リモコン等、種々の電子機器に採用可能な薄型の入力装置、及び、この入力装置を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等に使用される薄型の入力装置として、ベースと、複数個の押しボタンスイッチ及びホール素子が実装される、ベースに積み重ねて一体化したプリント基板と、プリント基板上で上下動可能にベースに支持された操作板と、N極及びS極を交互に配置した環状マグネットを下面に組み付け、操作板の上面に回動自在に組み付けられた円盤型操作ダイヤルとからなるものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−285743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の入力装置では、構造上、操作板とプリント基板との間にクリアランスが必要である。このため、薄型とするには制約が大きい。また、操作ダイヤルの操作により誤って押しボタンが押し込まれないようにするため、操作ダイヤルと押しボタンの間にもクリアランスが必要である。ところが、このクリアランスによりがたつきが発生し、異音が発生するという問題がある。また、4箇所でスナップフィットさせて組み付ける構造となっているため、作業性が悪いという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、薄型であっても、がたつき等の問題を発生させることのない入力装置及び電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
ベースと、
前記ベース上に押込及び回転操作可能に配置される第1の操作部材と、
前記第1の操作部材の押込操作に従って押込移動する第2の操作部材と、
前記ベース上に配置されて、前記第1の操作部材による押込操作と回転操作を検出可能な検出部材と、
前記第2の操作部材を介して前記第1の操作部材を前記ベースから離間するように付勢する付勢部材と、
を備え、
前記第2の操作部材は、弾性変形可能な2つの脚部を、回転方向に等分に備え、
前記ベースは、前記第2の操作部材の各脚部が配置される切欠部と、前記各脚部を、その押込方向とは逆方向と、回転方向とに移動しないように保持する保持部と、を備え、
前記第2の操作部材が、前記付勢部材によって付勢されることにより、脚部を、前記ベースの保持部に保持したものである。
【0007】
前記構成により、脚部をベースの切欠部に配置することができるので、余分なクリアランスが不要となり、薄型に形成することができる。また、第2の操作部材の脚部がベースの保持部に保持されて弾性変形するので、がたつきが発生することがない。しかも、第1の操作部材を押込操作しても、第2の操作部材は、回転方向に位置ズレすることがなく、スムーズに動作する。
【0008】
前記脚部は、係止孔を備え、
前記保持部は、前記ベースに形成され、前記脚部が配置される略U字形の係止片からなり、
前記係止片は、前記係止孔に係止される係止爪を備えるのが好ましい。
【0009】
前記構成により、操作部材の脚部をベースの保持部に保持させるだけで、ベースに対して操作部材を簡単に組み付けることができる。また、2つの脚部を保持するだけであるので、組み付け作業が容易となる。さらに、係止孔に係止爪が係止することにより、脚部を抜止めすることができ、十分な組立強度を得ることが可能となる。
【0010】
前記第1の操作部材は、環状で、中心部に操作孔が形成され、
前記第1の操作部材の操作孔に配置される押しボタンを備え、
前記押しボタンは、両側に係止突部を備え、
前記ベースは、前記押しボタンによる押込方向及びその逆方向に、前記係止突部をガイドするガイド部を備えるのが好ましい。
【0011】
前記検出部材は、前記ベース上に配置されるプリント基板と、該プリント基板上に配置される絶縁シートとからなり、
前記プリント基板は、一対の固定接点を有する固定接点部を少なくとも1つ備え、
前記絶縁シートは、弾性変形して、前記固定接点部の固定接点間を導通させ、前記付勢部材として機能する可動接点部を備え、
前記プリント基板及び前記絶縁シートは、前記ベースの切欠部に対応する位置に切欠部を備えるのが好ましい。
【0012】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、電子機器を、前記いずれかの入力装置を備えた構成としたものである。
【0013】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、電子機器を、
電子機器本体と、
前記電子機器本体に押込及び回転操作可能に配置される第1の操作部材と、
前記第1の操作部材の押込操作に従って押込移動する第2の操作部材と、
前記電子機器本体に配置されて、前記操作部材による押込操作と回転操作を検出可能な検出部材と、
前記第2の操作部材を介して前記第1の操作部材を前記電子機器本体から離間するように付勢する付勢部材と、
を備え、
前記第2の操作部材は、弾性変形可能な2つの脚部を、回転方向に等分に備え、
前記ベースは、前記第2の操作部材の各脚部が配置される切欠部と、前記各脚部を、その押込方向とは逆方向と、回転方向とに移動しないように保持する保持部と、を備え、
前記第2の操作部材が、前記付勢部材によって付勢されることにより、脚部を、前記ベースの保持部に保持したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第2の操作部材の脚部をベースの切欠部に配置するようにしたので、ベースと操作部材との間に余分なクリアランスが不要となり、薄型に形成することが可能となる。また、第2の操作部材の脚部を、ベースの保持部に保持させて弾性変形可能としたので、がたつくことがなく、異音を発生することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、本願明細書では、方向や位置等を表す用語(例えば、「上」、「下」、「端」等)を適宜用いるが、それらの用語は、説明に用いる図面中の方向や位置等を示すだけのものであって、それらの用語によって本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0016】
(構成)
図1から図3は、本実施形態に係る入力装置を示す。この入力装置は、図5に示すように、金属ベース1(ベース)、プリント基板2、絶縁シート3、押しボタン4、加締リング5、操作プレート6、環状マグネット7、及び、操作ダイヤル8を備える。
【0017】
(金属ベース1)
金属ベース1は、図7(d)に示すように、金属材料(例えば、ステンレス鋼)を平面視略円形の板状としたものである。金属ベース1の中央部分には所定間隔で対向する位置決め片9が形成されている。各位置決め片9は、略U字形をしており、中間部で曲げ起こされた構造となっている。曲げ起こし部分の開口は、後述する押しボタン4のガイド突部23をガイドするガイド孔10として機能する。また、これら位置決め片9の幅寸法は相違させてあり、後述するプリント基板2や絶縁シート3が回転方向の誤った位置に取り付けられないようになっている。一方の位置決め片9の両側近傍には、一対の貫通孔1aが形成されている。各貫通孔1aには、図示しない回止めピンが挿通する。
【0018】
また、金属ベース1の外周縁部には、前記位置決め片9が対向する方向とは直交する位置2箇所に係止片11(保持部)がそれぞれ形成されている。各係止片11は、前記位置決め片9と同様に、略U字形をしており、中間部分で曲げ起こされた構造となっている。係止片11の開口部11aの下縁には、下方に向かって突出する係止爪11bが突設されている。また、各係止片11の両側は内側に切り込まれ、係止片11が容易に弾性変形するようになっている。
【0019】
さらに、金属ベース1の外周縁部には、位置決め用切欠部12が形成されている。この位置決め用切欠部12には、客先で組み付ける際、携帯電話等の筐体に設けた突起(図示せず)が位置決めされる。これにより、金属ベース1を所望の組立精度で筐体に組み付けることが可能となる。また、各位置決め用切欠部12の近傍にはベース位置決め孔1bがそれぞれ形成されている。一方のベース位置決め孔1bは矩形状で、他方のベース位置決め孔1bは円形である。各ベース位置決め孔1bには、対応する断面形状に形成された位置決めピンがそれぞれ挿入される。
【0020】
(プリント基板2)
プリント基板2は、図7(c)及び図11に示すように、前記金属ベース1と平面視略同一形状の樹脂フィルムからなる。プリント基板2の裏面には基板本体13が一体化され、この基板本体13からはリード部14が延びている。基板本体13には、中心部とその周囲4箇所の合計5箇所に固定接点部15が設けられている。周囲4箇所の固定接点部15は、前記中心部を中心とする同一円周上に等ピッチで配置されている。各固定接点部15は、所定間隔で配置した一対の固定接点15aを備える。これら固定接点15aに、後述する可動接点部18の可動接点(図示せず)が接離することにより、オン・オフする。
【0021】
また、プリント基板2には、中心部の固定接点部15を挟んで両側の外周縁に第1切欠部16がそれぞれ形成されている。各第1切欠部16は、外周縁側が幅広となった、外側切欠部16aと内側切欠部16bとからなる段付き形状である。外側切欠部16aには、前記プリント基板2の係止片11が位置する。内側切欠部16bには、後述する操作プレート6の脚部27が位置する。各第1切欠部16の近傍には、前記中心部を中心とする、前記ベース位置決めピンに対応する点対称の位置に、基板位置決め孔2aがそれぞれ形成されている。各基板位置決め孔2aの形状は、前記ベース位置決めピンと同様であり、前記ベース位置決め孔1bを貫通した位置決めピンが貫通し、金属ベース1に対してプリント基板2が位置決めされるようになっている。
【0022】
さらに、プリント基板2には、前記中心部の固定接点部15を挟んで、前記第1切欠部16に対して90度回転した位置に挿通孔2bがそれぞれ形成されている。各挿通孔2bには、前記金属ベース1の位置決め片9がそれぞれ挿通する。各挿通孔2bよりも外周側には、ホール素子17がそれぞれ実装されている。また、一方の挿通孔2bの近傍には、一対の回止め孔2cが形成されている。各回止め孔2cには、前記貫通孔1aを介して回止めピン(図示せず)が挿通し、後述する押しボタン4の回転方向の位置ズレが防止される。なお、2dは、前記金属ベース1の位置決め用切欠部12に対応する位置決め用切欠部である。
【0023】
(絶縁シート3)
絶縁シート3は、図7(b)及び図10に示すように、合成樹脂材料(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))を、前記プリント基板2の基板本体13と略同一平面形状に形成したものである。絶縁シート3は、各固定接点部15に対応する位置が薄いドーム状に膨出し、その下面には導電性反転バネからなる可動接点部18がそれぞれ貼着されている。また、絶縁シート3には、前記プリント基板2の第1切欠部16、基板位置決め孔2a、挿通孔2b、回止め孔2c、及び、ホール素子17に対応する位置に、第2切欠部19、プレート位置決め孔3a、挿通孔3b、回止め孔3c、及び、逃がし孔3dがそれぞれ形成されている。第2切欠部19は、第1切欠部16と同様に段付き形状である。絶縁シート3の下面には裏打ちシート20が貼着され、可動接点部18の周囲、可動接点部18と可動接点部18との間に空気逃げ溝20aがそれぞれ形成されている。なお、3eは、前記金属ベース1の位置決め用切欠部12に対応する位置決め用切欠部である。
【0024】
(押しボタン4)
押しボタン4は、合成樹脂材料(例えば、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂等)を成形したもので、後述する操作ダイヤル8の操作孔8aに配置可能な平面視略円形形状である。押しボタン4の外周下端縁部には抜け止め用の鍔部21が一体成形されている。鍔部21の外周面には、金属ベース1のベース位置決め孔1bに圧入された位置決めピンにスライド係合するガイド用スリット22と、前記位置決め片9のガイド孔10にガイドされるガイド突部23が形成されている。
【0025】
(加締リング5)
加締リング5は、図6(d)に示すように、金属材料(例えば、ステンレス鋼)をリング状の平板にプレス加工したもので、6箇所等分に加締孔24が形成されている。加締リング5は、加締孔24を利用して後述する操作ダイヤル8を加締固定することにより、両部材の間で、操作プレート6及び環状マグネット7を保持する。そして、この保持状態では、操作プレート6に対し、操作ダイヤル8、環状マグネット7及び加締リング5が回転可能となる。
【0026】
(操作プレート6)
操作プレート6は、図6(c)及び図9に示すように、合成樹脂材料(例えば、ポリアセタール樹脂(POM))を略ドーナツ状に成形したものである。操作プレート6の下面には、4箇所等分に押圧突部26が形成され、前記プリント基板2の周囲4箇所の固定接点部15を押圧可能となっている。また、操作プレート6の外周部2箇所から対称に外径方向に向かって脚部27が延びている。脚部27は、斜め下方に向かって突出し、弾性を有する。また、脚部27の先端には、矩形孔27aが形成され、そこには前記金属ベース1の係止片11に形成した係止爪11bが係止される。なお、脚部27とは直交する位置の外周縁は一部切り欠かれることにより、組立後にホール素子17との干渉が回避されている。また、その近傍には補強リブ6aが設けられ、操作プレート6を押込操作した際、ホール素子17を押し込んでしまうことを回避するように構成されている。
【0027】
(環状マグネット7)
環状マグネット7は、N極とS極を交互に配置して環状に一体化したものである。環状マグネット7は、後述する操作ダイヤル8の外方環状溝に配置される。
【0028】
(操作ダイヤル8)
操作ダイヤル8は、図6(a)及び図8に示すように、合成樹脂材料(例えば、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂等)をドーナツ状に成形したものである。内径側は、前記押しボタン4が配置される操作孔8aとなっている。操作孔8aよりも若干外周側には、下方側に突出する内方環状リブ28が形成されている。この操作孔8aと、内方環状リブ28とによって形成された段部には押しボタン4の鍔部21が配設され、押しボタン4が操作孔8aから上方に脱落しないように保持可能となっている。また、内方環状リブ28には、加締用の突起28aが6箇所等分に形成されている。各突起28aは、前記加締プレートの加締孔24に挿通し、加締られる。また、操作ダイヤル8は、外周縁のうち、前記各突起28aに対応する部分に切除部28bがそれぞれ形成されている。これは、加締孔24に突起28aを冷間加締する際、外周側に変形したとしても、外周縁から外径側にはみ出ないようにしたものである。これにより、加締後に操作プレート6と干渉し、操作プレート6との相対的な回転動作が妨げられるといったことがない。また、操作ダイヤル8の外周縁及びその内側にも、下方側に突出する外方環状リブ29a、29bがそれぞれ形成されている。そして、内方環状リブ28と外方環状リブ29aにより、操作プレート6を配置可能な内方環状溝が形成され、外方環状リブ29a、29bにより、環状マグネット7を配置可能な外方環状溝が形成されている。
【0029】
(組立方法)
続いて、前記構成からなる入力装置の組立方法について説明する。なお、この入力装置の組立は、基本的に、前述の説明順で各構成部材を上方に重ね合わせて行くだけで、簡単に行うことができる。
【0030】
まず、図示しない治具に金属ベース1を位置決めする。治具には、位置決めピン及び回止めピンが突設されており、位置決めピンをベース位置決め孔1bに、回止めピンを貫通孔1aにそれぞれ挿入する。これにより、治具に対して金属ベース1が適切な位置に位置決めされる。
【0031】
そして、金属ベース1上にプリント基板2を配置する。プリント基板2には、予めホール素子17を実装しておき、その挿通孔2bに金属ベース1の位置決め片9を挿通し、第1切欠部16に係止片11を配置する。また、プリント基板2の基板位置決め孔2aに位置決めピンを挿通し、回止め孔2cに回止めピンを挿通する。これにより、プリント基板2は、治具及び金属ベース1に対して適切な位置に位置決めされる。
【0032】
続いて、プリント基板2上に絶縁シート3を配置する。絶縁シート3の挿通孔3bに位置決め片9、プレート位置決め孔3aに位置決めピン、回止め孔3cに回止めピン、逃がし孔3dにホール素子17をそれぞれ挿通する。位置決め孔3aに位置決めピンを挿通することにより、治具、金属ベース1及びプリント基板2に対して絶縁シート3が位置決めされ、各固定接点部15に対して正確に可動接点部18が接離可能に対向する。
【0033】
さらに、絶縁シート3上に押しボタン4を配置する。押しボタン4は、そのガイド用スリット22に、前記回止めピンをスライド係合させて回転方向に位置決めする。また、押しボタン4は、ガイド突部23を、位置決め片9を両側に弾性変形させてガイド孔10に位置させ、位置決め片9を形状復帰させることにより抜止めする。この状態では、押しボタン4の下面には、絶縁シート3の中心部に可動接点部18によって膨出した絶縁シート3の表面が圧接する。これにより、押しボタン4は、ガイド突部23がガイド孔10の上端内縁に当接し、押込可能な状態で突出位置に位置決めされる。金属ベース1、プリント基板2及び絶縁シート3は、治具から取り外した後も位置ズレしないように、接着等により一体化しておけばよい。これにより、図7に示す各部品で構成される下半部の組立が完了する。
【0034】
一方、操作ダイヤル8の外方環状溝に環状マグネット7を(両面テープ、接着剤等により)固定し、内方環状溝に操作プレート6を配置する。そして、操作ダイヤル8の下面に加締リング5を配置し、操作ダイヤル8の突起28aを加締リング5の加締孔24に挿通して加締る。これにより、操作ダイヤル8と加締リング5との間に、操作プレート6がサンドイッチ状態で保持され、図6に示す各部品で構成される上半部の組立が完了する。この状態では、操作プレート6に対し、操作ダイヤル8、環状マグネット7、及び、加締リング5が一体となって回転可能である。
【0035】
最後に、下半部に上半部を組み付ける。この組み付けでは、図12(a)から(c)に示すように、操作プレート6の一方の脚部27を、一方の係止片11の開口部11aに正規の取付位置を超えて挿入する。そして、下半部に対して上半部を傾斜させた状態で、図12(d)に示すように、他方の脚部27を弾性変形させ、図12(e)に示すように、他方の係止片11の開口部11aに係止する。続いて、上半部全体をスライド移動させ、図12(f)に示すように、各脚部27の矩形孔27aに、各係止片11の係止爪11bを係止する。これにより、組立作業が完了する。
【0036】
このように、前記入力装置は、金属ベース1に対して、順次、各構成部材を組み付けて行くだけで簡単に組立作業を終えることができる。特に、下半部に上半部を組み付ける際、前述のように、2箇所を係止するだけでよいので、組立作業性に優れている。
【0037】
また、このようにして組み立てられた状態では、操作プレート6は、図4(b)に示すように、その押圧突部26を介して絶縁シート3の可動接点部18から弾性力を受け、押込方向とは逆方向(離間方向)に付勢されている。操作プレート6の脚部27は、金属ベース1に形成した係止片11に当接し、矩形孔27aには係止爪11bが係止されている。したがって、操作プレート6は、前記可動接点部18の付勢によっては、前記離間方向に脱落することはない。しかも、図4(a)に示すように、操作プレート6の脚部27が、常時、金属ベース1に形成した係止片11の内縁に圧接して保持されている。脚部27は、斜め下方に向かって突出し、(水平部分の)開口部11a内に位置しているため、操作ダイヤル8を介して操作プレート6を押込操作するのに、従来のように、クリアランスを設ける必要がなくなり、高さ寸法が抑制される。例えば、直径約20mmの入力装置では、高さ寸法が、従来、約3mmであったものを、本実施形態では、約2mmとすることができ、30%以上の削減効果が得られた。
【0038】
(動作)
次に、前記構成からなる入力装置を電子機器(例えば、携帯電話)に組み込んだ状態での動作について説明する。
【0039】
指等で操作ダイヤル8を回転させると、加締リング5により一体化した環状マグネット7も回動する。この環状マグネット7が回転することにより変化する磁界は、ホール素子17によって検出される。ホール素子17からは、磁界の変化が電気信号として図示しない制御部(入力装置が搭載される携帯電話等に設けられる。)へと出力される。
【0040】
制御部では、ホール素子17から入力される電気信号に基づいて、操作ダイヤル8の回転方向及び回転量を検出する。そして、この検出結果に基づいて、例えば、図示しないモニターに表示させた複数の項目のいずれかを、他と識別可能に表示(例えば、ハイライト表示)させる。所望の項目が他と識別可能に表示されて、操作ダイヤル8の回転が中止されれば、押しボタン4の押込操作に基づいて、選択された項目を実行する。具体的には、電話帳に登録してある氏名を一覧表示させ、操作ダイヤル8の操作により、その氏名を選択して電話をかける場合等に利用できる。また、操作ダイヤル8を押圧して周囲4箇所のいずれかの固定接点部15をオン状態とすることにより、ツリー構造となったデータのいずれかの階層を一覧表示させるようにすることも可能である。具体的には、電話帳の一覧表示させた氏名を、例えば、「あ行」から「か行」に表示を切り替える場合等に使用できる。
【0041】
(他の実施形態)
なお、本発明は、前記実施形態に記載の構成に限定されることなく種々の変更が可能である。
【0042】
例えば、前記各構成部品は一体的に設けて、独立した入力装置とする必要はなく、予め、携帯電話の筐体に組み付けたり、筐体の一部で構成したりしてもよい。また、金属ベース1は筐体の一部で構成することも可能である。さらに、下半部のみを予め筐体に組み付けておき、上半部を別個独立した商品として、その後、筐体に組み付けるようにすることも可能である。
【0043】
また、下半部への上半部の組み付け構造については、図13(a)に示すような前述のものに限らず、例えば、次のように構成することもできる。
【0044】
図13(b)では、脚部27の先端に、上方に向かって突出する係止突部27bを形成し、この係止突部27bの内側面を係止片11の水平部でガイドするように構成されている。脚部27の両係止突部27bが、両側の係止片11の外側面で、図中左右方向にガイドされる。
【0045】
図13(c)では、図13(a)に示すものとは逆に、係止突部27bの外側面を係止片11の水平部でガイドするように構成されている。脚部27の両係止突部27bが、両側の係止片11の内側面で、図中左右方向にガイドされる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態に係る入力装置の斜視図である。
【図2】図1に示す入力装置を底面側から見た状態での斜視図である。
【図3】図1に示す入力装置の平面図である。
【図4】(a)は図3のA−A線断面図、(b)は図3のB−B線断面図である。
【図5】図1に示す入力装置の分解斜視図である。
【図6】(a)は図5の操作ダイヤル、(b)は環状マグネット、(c)は操作プレート、(d)は加締リングの拡大斜視図である。
【図7】(a)は図5の押しボタン、(b)は絶縁シート、(c)はプリント基板、(d)は金属ベースの拡大斜視図である。
【図8】図5の操作ダイヤルを下面側から見た状態を示す拡大斜視図である。
【図9】図5の操作プレートを下方側から見た状態を示す拡大斜視図である。
【図10】図5の絶縁シートを下方側から見た状態を示す拡大斜視図である。
【図11】図5のプリント基板を下方側から見た状態を示す拡大斜視図である。
【図12】図1に示す入力装置の下半部への上半部の組み付け状態を示す断面図である。
【図13】(a)は図5に示す操作プレートの組み付け構造を示す部分拡大断面図、(b)、(c)は他の実施形態に係る対応部分の断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1…金属ベース
1a…貫通孔
1b…ベース位置決め孔
2…プリント基板
2a…基板位置決め孔
2b…挿通孔
2c…回止め孔
2d…位置決め用切欠部
3…絶縁シート
3a…プレート位置決め孔
3b…挿通孔
3c…回止め孔
3d…逃がし孔
4…押しボタン
5…加締リング
6…操作プレート(第2の操作部材)
6a…補強リブ
7…環状マグネット
8…操作ダイヤル(第1の操作部材)
8a…操作孔
9…位置決め片
10…ガイド孔
11…係止片(保持部)
11a…開口部
11b…係止爪
12…位置決め用切欠部
13…基板本体
14…リード部
15…固定接点部(検出部材)
15a…固定接点
16…第1切欠部
16a…外側切欠部
16b…内側切欠部
17…ホール素子(検出部材)
18…可動接点部(付勢部材、検出部材)
19…第2切欠部
20…裏打ちシート
20a…空気逃げ溝
21…鍔部
22…ガイド用スリット
23…ガイド突部
24…加締孔
26…押圧突部
27…脚部
27a…矩形孔
27b…係止突部
28…内方環状リブ
28a…突起
28b…切除部
29a、29b…外方環状リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベース上に押込及び回転操作可能に配置される第1の操作部材と、
前記第1の操作部材の押込操作に従って押込移動する第2の操作部材と、
前記ベース上に配置されて、前記第1の操作部材による押込操作と回転操作を検出可能な検出部材と、
前記第2の操作部材を介して前記第1の操作部材を前記ベースから離間するように付勢する付勢部材と、
を備え、
前記第2の操作部材は、弾性変形可能な2つの脚部を、回転方向に等分に備え、
前記ベースは、前記第2の操作部材の各脚部が配置される切欠部と、前記各脚部を、その押込方向とは逆方向と、回転方向とに移動しないように保持する保持部と、を備え、
前記第2の操作部材が、前記付勢部材によって付勢されることにより、脚部を、前記ベースの保持部に保持したことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記脚部は、係止孔を備え、
前記保持部は、前記ベースに形成され、前記脚部が配置される略U字形の係止片からなり、
前記係止片は、前記係止孔に係止される係止爪を備えたことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第1の操作部材は、環状で、中心部に操作孔が形成され、
前記第1の操作部材の操作孔に配置される押しボタンを備え、
前記押しボタンは、両側に係止突部を備え、
前記ベースは、前記押しボタンによる押込方向及びその逆方向に、前記係止突部をガイドするガイド部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記検出部材は、前記ベース上に配置されるプリント基板と、該プリント基板上に配置される絶縁シートとからなり、
前記プリント基板は、一対の固定接点を有する固定接点部を少なくとも1つ備え、
前記絶縁シートは、弾性変形して、前記固定接点部の固定接点間を導通させ、前記付勢部材として機能する可動接点部を備え、
前記プリント基板及び前記絶縁シートは、前記ベースの切欠部に対応する位置に切欠部を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の入力装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
電子機器本体と、
前記電子機器本体に押込及び回転操作可能に配置される第1の操作部材と、
前記第1の操作部材の押込操作に従って押込移動する第2の操作部材と、
前記電子機器本体に配置されて、前記操作部材による押込操作と回転操作を検出可能な検出部材と、
前記第2の操作部材を介して前記第1の操作部材を前記電子機器本体から離間するように付勢する付勢部材と、
を備え、
前記第2の操作部材は、弾性変形可能な2つの脚部を、回転方向に等分に備え、
前記ベースは、前記第2の操作部材の各脚部が配置される切欠部と、前記各脚部を、その押込方向とは逆方向と、回転方向とに移動しないように保持する保持部と、を備え、
前記第2の操作部材が、前記付勢部材によって付勢されることにより、脚部を、前記ベースの保持部に保持したことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−205902(P2009−205902A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46095(P2008−46095)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】