説明

入力装置

【課題】携帯型の電子機器などに搭載されるタッチパネルにおいて、機器の使用者に適切なクリック感を持つ入力装置を提供する。
【解決手段】本発明の入力装置の構成は、タッチパネル10への入力座標を検出するXY座標検出回路11からの座標データがCPU12に伝達され、さらにメタルドームスイッチ13の入力もCPU12に接続された構成になっている。CPU12は、タッチパネル10を指40等で触りXY座標がCPU12へ伝達されているときに、メタルドームスイッチ13がONになった場合にのみ入力を決定し、その後対応する処理を行い、表示コントローラー14へ結果を送り、表示パネル15へ結果が表示される。このような構成にすることで連続的に入力を行うことが出来る。さらにメタルドームスイッチ13がつぶれる際の振動でクリック感も発生するため、使用者が操作しやすい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やPDAなどの携帯型の電子機器へ搭載されるタッチパネルを用いた入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来型のタッチパネルの入力装置として表示画面上にタッチパネルを配置し、タッチしたことを使用者に知らせるための振動発生装置を備えた入力装置がある。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5と図6を用いて特許文献1に開示されているキー入力装置を説明する。図5は、従来のキー入力装置の駆動回路の構成を示すブロック図である。
【0004】
まず図5に示すように、従来の入力装置の構成は、タッチパネル10の表面を指等でタッチした位置を入力検出回路50で検出し、タッチしたことを使用者に知らせるための振動発生させる可動子51を駆動するための駆動回路52を備えている。
【0005】
使用者がタッチパネル10を触ると、入力面検出回路50から駆動回路52へタッチしたことを示す信号が渡される。タッチしたことを示す信号が駆動回路52へ伝達されると、駆動信号を発生させ、可動子51へ信号を送る。
【0006】
駆動信号が可動子51へ伝達されると可動子51が振動し、タッチパネル10を触っている使用者に振動が伝わる仕組みになっている。
【0007】
また図6は従来の入力装置の構造を示す断面図である。タッチパネル10は四隅にクッション台座60を設け、ハウジング61に固定されており、タッチパネル10とハウジング61の間に表示パネル15が配置されている。さらにタッチパネル10の端部には接触子62が接しており、可動子51が発生する振動を接触子62がタッチパネル10に伝える構造になっている。
【0008】
【特許文献1】特開2001−350592号公報(第3−4頁、第1図と第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これまで電子機器に搭載されているタッチパネルは、入力を電気信号で検出するため、使用者は入力されたかどうかの確認は表示画面上の表示の変化やスピーカから出力される音などで確認しており、通常のボタン入力のようなクリック感がなく、入力されたかどうかの確認がしづらいといわれている。
【0010】
従来の入力装置では、前記タッチパネルへの入力を使用者に知らせるために振動を発生する可動子が搭載されているが、駆動回路が必要なため、装置の規模が大きく、またクリック感を出すだけのために電力を消費するため、小型薄型で低消費電力の装置にはなりにくく、携帯電話のような電池駆動の小型電子機器には向かないという不具合があった。
【0011】
また従来例の装置構造では、タッチパネルが四隅で固定されており筐体の間に隙間が出来るため、防塵や防滴の構造にすることが難しく、野外で用いることが多い携帯機器には適さない構造になっていた。
【0012】
また従来技術のタッチパネルでは一度タッチして入力したあと、次の入力をするためには、駆動回路への入力信号を解除する必要があり、一旦タッチパネル表面から指を離す必要がある。したがって連続してキー入力を行う場合に指の動作が大きくなり、すばやい入力が行いにくいという欠点もあった。
【0013】
以上のことから明らかなように従来の入力装置では、小型薄型で低消費電力で駆動が必要な携帯機器には向かない不具合がある。
【0014】
そこで、本発明の目的は上記課題を解決し、装置規模が小さく、消費電力がより少ない構成で、クリック感のある入力装置を提供することにある。さらにタッチパネル表面から指を離さずに連続的に入力でき、防塵防滴の構造にすることができる携帯機器に適した入力装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の入力装置は、基本的に下記記載の構成要件を採用する。
【0016】
タッチパネルを備えた入力操作を行うための入力装置において、タッチパネルにおける操作面の裏側に、タッチパネルを押圧方向に可動可能とする柔軟部材を少なくとも1個配置し、かつ、タッチパネルにおける操作面の裏側にドームスイッチを配置し、タッチパネルに触れることによって、タッチパネルの位置情報を検出し、タッチパネルが押圧方向に可動し、ドームスイッチが前記押圧方向に押圧されることによって、入力信号が制御回路へ送付されることを特徴とする。
【0017】
また、タッチパネルは操作面側に保護パネルを備え、該保護パネルが押圧方向に可動し、ドームスイッチを押圧することを特徴とするまた、ドームスイッチはタッチパネルの一辺側の端部に配置されていることを特徴とする。また、タッチパネルは静電容量式または抵抗膜式であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の入力装置の構造を採用することにより、クリック感があり連続入力しやすく、小型薄型で低消費電力であるという特徴を持たせることができる。また、柔軟部材を設けているため、ドームスイッチの個数は少なくてもよく、装置全体を小型化でき、なおかつ良好なクリック感が得られる。また、タッチパネルだけが押されて上下し、タッチパネルの裏側に配置される表示体へのダメージが少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の入力装置の構造について、以下に図面を用いて説明する。まず、本実施例における入力装置の構成について説明する。図1は、本発明で用いる入力装置の駆動回路の構成を示すブロック図である。図2は本発明の入力装置を携帯機器に搭載した場合の断面構造を示す。
【0020】
図1に示すように、タッチパネル10は使用者が表面を触った箇所を検出するXY座標検出回路11とつながっており、XY座標検出回路11は検出したXY座標を処理装置のCPU12へ伝達する。またメタルドームスイッチ13を1個だけ配置し、その配線もCPU12へ接続されており、CPU12はタッチパネル10からのタッチされた場所のXY座標の入力とメタルドームスイッチ13のON入力の2つの入力を受ける構成になっている。
【0021】
XY座標検出回路11は、使用者がタッチパネル10を触ると連続的に入力位置のXY座標をCPU12へ伝達する構造になっており、CPU12では常にタッチパネル10の入力位置を検知している状態になっている。さらに使用者がタッチパネル10を押し込んでメタルドームスイッチ13をONにすると、CPU12は、その時点で検出しているXY座標を入力位置として決定する。
【0022】
次にCPU12は、対応するソフトウエアの処理を行い、さらに表示画面に入力した結果を反映させるために表示コントローラー14へ処理結果を送り、表示パネル15へ結果が表示される仕組みになっている。
【0023】
このように本発明の入力装置は、タッチパネル10を触った場所のXY座標が検出されていて、かつメタルドームスイッチ13がONになったときだけCPU12はその時点のXY座標に対応したソフトウエア処理を行うようになっている。逆にメタルドームスイッチ13がOFFの状態のときには、タッチパネル10への入力はCPU12では入力の決定の処理をしないため、使用者が不用意に表面をタッチしても誤作動しないようになっている。
【0024】
図2は、タッチセンサに静電容量式のタッチパネル10を用いた場合の断面図である。抵抗膜式のタッチセンサを用いる場合には、直接タッチパネル10を触る必要があるため、保護パネル20の上に貼り付けた構造になる。本実施例では静電容量式のタッチパネル10を用いているため保護パネル20の下面に貼り付けた構造とする。
【0025】
静電容量式のタッチパネル10では、表面の容量の変化で使用者が触った位置を検出するため、タッチパネル10表面から数mm離れていても位置を検出することができる。よって、保護パネル20の下にタッチパネル10を配置することが可能になる。そのためタッチパネル10自体も傷つきにくく耐久性を高くすることが可能になる。
【0026】
図2に示すように、タッチパネル10を貼り付けた保護パネル20は、粘着シート21で筐体22と貼り付ける構造になっている。粘着シート21は、ゴムやスポンジ等の柔軟性の素材23の両面に粘着材24を貼り付けた構造になっている。このように柔らかい素材で固定することで保護パネル20は上下に可動することができ押し込むことができるようになる。
【0027】
メタルドームスイッチ13は、保護パネル20と携帯機器の筐体22との間に配置してあり、使用者が保護パネル20全体を押し込むことでメタルドームスイッチ13がONになるように配置している。また図示しないが、メタルドームスイッチ13の下には、メタルドームスイッチ13のON信号をCPU12へ伝えるための回路配線が配置されている。
【0028】
1回の入力は、タッチパネル10を押し込んでメタルドームスイッチ13をONした後、タッチパネル10を元の位置に戻し、メタルドームスイッチ13をOFFにして行われる。CPU12はメタルドームスイッチ13がOFFになると決定した入力を解除し、再びメタルドームスイッチ13がONになるまで入力待ちの状態になる。
【0029】
メタルドームスイッチ13をONしたときに、使用者へのクリック感も発生するので、より入力したことが使用者に分かりやすくなる。
【0030】
したがって、使用者が連続して入力を行う場合には、メタルドームスイッチ13がOFFになるところまで戻せばよく、タッチパネル10表面から指を離す必要がなく、次の入力位置まで表面を触りながら移動して、目的の位置に来たときに再びタッチパネル10を
押し込んでメタルドームスイッチ13をONして入力を決定すれば、次の入力を行うことができる。
【0031】
従来型のタッチパネル10は、タッチパネル10のみで入力位置の検出を行っているため、1度目の入力のあと、連続して次の入力を行う場合には、タッチパネル10表面から一旦指を離して決定した入力を解除しなければ次の入力を受け付けることが出来ないため、連続して入力する場合に指の動作が大きく、入力しにくい不具合があった。
【0032】
本実施例では、タッチパネル10への入力座標の検出機構と入力の決定機構を別々にしているため、連続したタッチパネル10への入力は表面から指を離さなくても行うことが可能になる。そのため使用者は携帯電話のテンキー部のボタン入力のような感覚でタッチパネル10への入力を行うことができ、一般的なタッチパネル入力装置と比較して非常に入力しやすい入力装置となっている。
【0033】
さらに粘着シート21とメタルドームスイッチ13の配置について携帯電話に本発明の入力装置を搭載した場合の上面図を図3に示す。
【0034】
粘着シート21は保護パネル20の外周部に沿って配置してあり、メタルドームスイッチ13は、粘着シート21で囲まれた領域の内側に配置した構造になっている。その際に、メタルドームスイッチ13は表示パネル15と重ならないように配置する。本実施例では、メタルドームスイッチ13は表示パネル15の下部に配置しているが、表示パネル15の上部や側面に配置してもよい。このような構造にすることで保護パネル20と筐体22の接続部に開口部や隙間が出来ないようにすることができ、持ち運んで野外で使用する携帯機器に必要な防塵や防滴の機能をもたせることが可能になる。
【0035】
次に図4の構造断面図を用いて、クリック感が発生する機構について説明する。図4(a)は使用者が保護パネル20の表面を指40で触っている状態で、タッチパネル10に接続しているXY座標検出回路は入力を検出しており、XY座標検出回路からCPUへ、指40でタッチしているXY座標を伝達しているが、このときはまだメタルドームスイッチ13はOFF状態のため、入力は決定されていない状態である。
【0036】
次に図4(b)に示すように使用者が指で保護パネル20全体を押し込むと、粘着シート21がつぶれて保護パネル20が下に押し下げられる。このときに筐体22と保護パネル20に挟まれているメタルドームスイッチ13がつぶれて振動が発生しクリック感が指40に伝わる。
【0037】
さらにこのとき同時にメタルドームスイッチ13がONになるため、CPU12が入力を決定し、表示パネル15に処理をした結果が表示される。
【0038】
そのため使用者は保護パネル20を押し込んでクリック感が発生したと同時に結果が表示パネル15へ表示されるため、最適な入力感覚を得ることができる。
【0039】
このように本発明の入力装置では、保護パネル20の表面を触ることでタッチパネル10への入力を行い、さらに保護パネル20を押し込むことで、メタルドームスイッチ13をONし、その入力座標の位置を決定しCPU12で処理を行うという入力機構となっている。
【0040】
また本発明の構造では、保護パネル20と筐体22の接続に、ゴムやスポンジ等の柔軟性の素材23を用いた粘着シート21で固定してあるため、搭載する携帯機器を密閉構造にすることができ、防塵性や防滴性を確保することができる。またメタルドームスイッチ
13がつぶれてONするときにクリック振動が発生するため、使用者に入力が決定したかどうかが分かりやすくなっている。
【0041】
さらに本発明の方式では表面から指を離さなくても連続して次の入力が行うことができるので、タッチパネル10であっても通常の携帯電話のテンキー部でのボタン入力のような感覚で入力を行うことができる。また従来例のようにクリック感を出す可動子を動かすために駆動回路が必要ないため、回路全体として低消費電力化することができ、さらにメタルドームスイッチは保護パネルと筐体の間に配置するだけでよく、従来例と比べて大幅に省スペース化することが可能になる。
【0042】
以上の説明からも明白なように、本発明の入力装置では、従来例の不具合を解決し、機器の使用者に使いやすい入力装置を提供することが可能になる。
【0043】
従来例と比べても駆動回路規模が小さく低消費電力であるため、充電電池で駆動する携帯電話などの携帯機器へ搭載する場合に適した構造であり、さらにクリック感を発生する機構も省スペースで配置することが出来るため、搭載する機器も小型薄型化することができ、筐体デザインに大きな影響を及ぼさない構造である。
【0044】
このように携帯機器の使用者が使いやすく耐久性が高くデザイン性に優れた入力装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明で用いる入力装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明で用いる入力装置の構造を示す断面図である。
【図3】本発明で用いる保護パネルの固定状態を示す上面図である。
【図4】本発明のクリック感を発生する機構を示す断面図である。
【図5】従来の入力装置の構成を示すブロック図である。
【図6】従来の入力装置の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10 タッチパネル
11 XY座標検出回路
12 CPU
13 メタルドームスイッチ
14 表示コントローラー
15 表示パネル
20 保護パネル
21 粘着シート
22 筐体
23 柔軟性の素材
24 粘着材
40 指
50 入力面検出回路
51 可動子
52 駆動回路
60 クッション台座
61 ハウジング
62 接触子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを備えた入力操作を行うための入力装置において、
前記タッチパネルにおける操作面の裏側に、前記タッチパネルを押圧方向に可動可能とする柔軟部材を少なくとも1個配置し、
かつ、前記タッチパネルにおける操作面の裏側にドームスイッチを配置し、
前記タッチパネルに触れることによって、前記タッチパネルの位置情報を検出し、前記タッチパネルが押圧方向に可動し、前記ドームスイッチが前記押圧方向に押圧されることによって、入力信号が処理装置へ伝達されることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記タッチパネルは操作面側に保護パネルを備え、該保護パネルが前記押圧方向に可動し、前記ドームスイッチを押圧することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記ドームスイッチは前記タッチパネルの一辺側の端部に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記タッチパネルは静電容量式または抵抗膜式であることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−49316(P2010−49316A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210560(P2008−210560)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】