説明

入力装置

【課題】ユーザが接触操作を行いやすく、かつ視認した際にも瞬時に意匠を識別できる入力装置を提供する。
【解決手段】操作面を有する第一のシート状部材111と、指先が操作面と接触した位置を検出するためのセンサが設けられた第二のシート状部材112と、を積層して一体化した封止シートパネル部材113とを備え、操作面の表面側には、ジェスチャー操作などによる操作指標となる隆起部111bが設けられ、隆起部111bの配置に合わせて意匠部Dを設けてなることを特徴とする入力装置100であり、ジェスチャー操作によって隆起部111bを基準として指先にて接触操作でき、封止シートパネル部材113自体を視覚により確認することなく良好に操作することができ、隆起部111b箇所が透過照明されるため瞬時に意匠部Dの基準箇所を認識判別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関するものである
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ユーザからの接触操作を受け付ける接触センサを備える入力装置を車両のステアリングに設け、前記の接触操作に応じて、カーナビゲーション装置、オーディオ装置等の車載電子機器を制御する技術が開示されている。
しかし、車両内の電子機器が多様化して操作項目が増えるに連れ、多くの操作押釦スイッチが必要となり、運転中に前方から目を離す時間が長くなる虞があるため、例えば特許文献2のように、タッチパネルでの動作状態を表示するヘッドアップディスプレイを有することを特徴とする車載用入力装置が提案されている。
しかしながら、特許文献2による車載用入力装置においても、スイッチ操作を行う際にスイッチ自体を視覚により確認する必要はないものの、その操作時にはディスプレイに表示された複数個のスイッチの位置、および動作表示状態の両者を注視する必要があるため、運転中の安全性の向上は十分なものではないという問題点があり、特許文献3に示すように、タッチパネルの操作面に凹凸の領域を形成し、ミスタッチを防ぐタッチパネルが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009ー298285号公報
【特許文献2】特開2000−71809号公報
【特許文献3】特開2010ー86236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献3では、画像、文字、数字などを表示するディスプレイと、このディスプレイの表示面側に配置されたタッチパネルの操作面に表示位置に合わせて凹凸を形成している。この際、単にディスプレイの表示位置に合わせてタッチパネル操作面に複数個の凹凸を設けているため、数が多くなればなるほど表示切り替え位置が特定できなくなることがある。すなわち、アイズフリーによってスイッチ箇所(ディスプレイの表示箇所)を操作する際に所定の場所が特定できないことがある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、ユーザが凹凸形状により接触操作を行いやすく、かつ視認した際にも瞬時に意匠を識別できる入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述した課題を解決するため、請求項1では、入力操作を行う被検出体が接触する操作面を有する第一のシート状部材と、前記被検出体が前記操作面と接触した位置を検出するためのセンサが前面側に設けられた第二のシート状部材と、前記第二のシート状部材の前面側に前記第一のシート状部材を積層して一体化した封止シートパネル部材と、を備え、前記操作面の表面側には、操作指標となる凹凸形状からなる隆起部と、前記隆起部の配置に合わせて前記封止シートパネル部材に設けられた意匠部と、からなることを特徴とする入力装置である。このように構成することにより、入力装置の操作面の表面側に操作指標となる隆起部を基準として被検出体(指先)にて接触操作することができるため、入力装置の封止シートパネル部材自体を視覚により確認することなく良好に操作を行うことができる。また入力装置を視認した際においても、隆起部箇所が透過照明されるため瞬時に意匠部の基準箇所を認識判別することができる。
【0007】
また請求項2では、請求項1に記載の入力装置において、前記封止シートパネル部材の背後に光源によって発光する導光部材を配設してなることを特徴とするものである。このように構成することにより、ジェスチャー操作による意匠部位置を明るく透過照明することによって即座に判別することができるものであり、夜間などにおいても入力装置の位置を良好に確認することができる。
【0008】
また請求項3では、請求項1に記載の入力装置において、前記センサの電極部を透過性を有する材料にて形成してなることを特徴とするものである。このように構成することにより、電極部が影とはならず、光源からの照射光線を導光部材を介して封止シートパネル部材側へと良好に案内することができる。
【0009】
また請求項4では、請求項2に記載の入力装置において、前記意匠部は、少なくとも前記意匠部の一部を透過可能に設けてなることを特徴とするものである。このように構成することにより、ジェスチャー操作による基準位置となる隆起部位置を明るく透過照明することによって即座に判別することができるものであり、夜間などにおいても入力装置の位置を良好に確認することができる。
【0010】
また請求項5では、請求項1から請求項4のいずれかに記載の入力装置において、前記封止シートパネル部材の凹凸形状は、圧空成型などの絞り加工によって成型してなることを特徴とするものである。このように構成することにより、製作が容易にしかも封止シートパネル部材の内部側にて電極部が設けられたセンサー部を配置することによってセンサー部を保護することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ユーザが入力装置の操作面に設けられた凹凸形状からなる隆起部を基準として、ジェスチャー操作を良好に行うことができるものであり、所期の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る入力装置を含むシステムの構成図である。
【図2】入力装置が搭載される自動車の車両内の運転席側付近の概要図である。
【図3】図3は、入力装置の構成を示す分解斜視図である。
【図4】図4(a)は、入力装置の接触操作部である封止シートパネル部材の印刷前の状態を示す平面図であり、図4(b)はその封止シートパネル部材を示す断面図である。
【図5】図5は、入力装置の接触操作部である封止シートパネル部材の印刷を施した状態を示す平面図であり、図5(b)はその封止シートパネル部材を示す断面図である。
【図6】図6(a)(b)は、図3の組み付け状態を示す平面図と断面図である。
【図7】図7は、入力装置の接触操作部である封止シートパネル部材を部分拡大した要部を示す断面図である。
【図8】図8は第二のシート状部材が有する第1のセンサ列および第2のセンサ列を説明する図である。
【図9】図9は隆起部でのジェスチャー操作と、それに応じて実行される車載電子機器の動作の一例を示した図である。
【図10】図10は隆起部でのジェスチャー操作と、それに応じて実行される車載電子機器の動作の一例を示した図である。
【図11】図11は隆起部を基準としたジェスチャー操作と、それに応じて実行される車載電子機器の動作の一例を示した図である。
【図12】図12は隆起部を基準としたジェスチャー操作と、それに応じて実行される車載電子機器の動作の一例を示した図である。
【図13】図13は隆起部を基準としたジェスチャー操作と、それに応じて実行される車載電子機器の動作の一例を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施形態に係る入力装置を、添付図面に基づいて説明する。
【0014】
第1の実施形態に係る入力装置としては、図1に示すように、自動車などの車両に搭載される入力装置100である。車両1のユーザ(通常、運転者)が、入力装置100を操作すると、制御装置1000は、その操作に応じた各種動作を車載電子機器20に実行させる。
【0015】
(車両1の構成)
車両1は、図2に示すように、ステアリング10と、車載電子機器20と、を備えている。
【0016】
ステアリング10は、車両1の操舵装置の一部であり、本体部11と、ステアリングホイール12と、を備えている。
【0017】
本体部11は、車両1の図示しないステアリングシャフトと接続されるスポーク部であり、右側に入力装置100を備える。また、本体部11には、入力装置100の形状にあわせた取付孔(図示せず)が形成されている。取付孔に入力装置100が取り付けられることにより、入力装置100の後述する操作面のみが露出する。
【0018】
ステアリングホイール12は、本体部11に取り付けられる、運転者が車両1を操舵する際に握るリング形状のハンドルのグリップ部材である。
【0019】
車載電子機器20は、オーディオ装置、カーナビゲーション装置等であり、後述する制御部200と電気的に接続され、制御部200から受信した制御信号に従って動作する。
また、車載電子機器20は、その表示部21の動作に対応した画像を表示する。
【0020】
(制御装置1000の構成)
制御装置1000は、入力装置100と、制御部200と、記憶部300と、を備える。
【0021】
入力装置100は、図3に示すように、接触操作部(接触センサ)110と、接触操作部110を照明表示する照明部120と、を備える。
【0022】
接触操作部110は、ユーザが、親指等でその操作面上を所定の軌跡を描くようになぞる操作(以下、ジェスチャー操作と言う)を行った際に、後述する制御部200の制御のもと、親指などが操作面に触れた位置を検出するタッチパッド装置であり、表面カバーとなる透過性の材料からなる第一のシートパネル部材111と、親指などの被検出体が操作面と接触した位置を検出するためのセンサが前面側に設けられた透過性の材料からなる第二のシート状部材112と、を積層して一体化した封止シートパネル部材113とを備える。
【0023】
また入力装置100としては、各シート部材111,112(封止シートパネル部材113)の背後に配置されるスペーサ114と、スペーサ114の背後に設けられる前記照明部120を、下ケース130と、上ケース140とによって覆うように設けている。
【0024】
表面カバーである第一のシート状部材111は、アクリル樹脂等の透過性を有する絶縁材料からシート状部材によって形成され、ジェスチャー操作が行われる際に、ユーザの指等が触れる操作面を有する。第一のシート状部材111の操作面は、図4(b)に示すように、凹凸を有し、これによってこの操作面には段差が形成されている。このような操作面は、平面部111a、隆起部111b、窪み部111c、隙間部111dから構成される。
【0025】
平面部111aは、表面カバー111の平面状の部分である。
【0026】
隆起部111bは、図4から図7などに示すように、平面部111aから表側方向に盛り上がるように隆起する部分である。この際、操作面には、その操作面の操作指標となる輪郭部を形成する凹凸からなる隆起部111bとして形成されている。表側から見れば、図4(a)に示すように、円弧状に形成された隆起部111bが、円を略囲むように、所定の間隔をおいて複数配置されていることがわかる。なお、「表側」とは、図3で示すように、入力装置100に対して図中上側をいい、「裏側」とは、その反対側をいうものとする。
【0027】
窪み部111cは、たとえば図4(b)に示すように、操作面の略中央に位置し、平面部111aから裏側方向に沈むように窪んだ部分であり、図4(a)に示すように、円状に配置された隆起部111bよりも内側に形成されている。
【0028】
隙間部111dは、図4(a)に示すように(4つの隙間部111dのうちの一つを二点鎖線で示した)、円弧状の各隆起部111bの間の部分である。隙間部111dは、平面部111aの一部であるが、後に行う「隆起部を基準としたジェスチャー操作」の説明にあたり、平面部111aとは別の名称とした。
【0029】
平面部111aと隆起部111bと窪み部111cとは、ユーザのジェスチャー操作を妨げることがないように、図4(b),図5(b),図6(B),図7などに示すように、その断面形状は、互いになめらかに繋がって形成されている。
【0030】
第二のシート状部材112は、指等の被検出体の位置を検出するための複数のセンサ1120(透明導電性インクなどからなる検出電極)を有する投影静電容量方式の透過性を有するシート部材であり、表面カバーである第一のシート状部材111の裏面側に位置する。
【0031】
第二のシート状部材112は、図8に示すように、X方向における被検出体の位置を検出するための第1のセンサ列1120aを有する層と、Y方向における被検出体の位置を検出するための第2のセンサ列1120bを有する層を重ね合わせ概略構成されている。第1のセンサ列1120aと第2のセンサ列1120bが合わさることにより、結果的に、第二のシート状部材112には、センサ1120がマトリックス状に配置されることになる。第1のセンサ列1120aと第2のセンサ列1120bは、透明導電性インクなどの透光性のある延伸可能で成型できる素材によって形成され、各々のセンサ列1120a,1120bは、後述する制御部200と電気的に接続されている。
【0032】
表面カバーである第一のシート状部材111に指等の被検出体が触れると、その裏面側に位置するセンサ1120と被検出体との間の静電容量が変化する。制御部200と各センサ1120とは電気的に接続されているので、制御部200は、各センサ1120における静電容量の変化を検出できる。制御部200は、この静電容量の変化に基づいて、被検出体の接触位置を示す入力座標値(X,Y)を算出する。入力座標値は、操作面上に予め設定されている、各センサ1120におけるXY座標系における座標値である。入力座標値は、X方向における静電容量の変化の分布の重心位置(例えば、静電容量が一定の閾値よりも高くかつ最も大きいセンサ1120の位置)に割り当てられているX座標と、Y方向における静電容量の変化の分布の重心位置(例えば、静電容量が一定の閾値よりも高くかつ最も大きいセンサ1120の位置)に割り当てられているY座標と、によって表される。制御部200は、このX座標及びY座標を算出することによって入力座標値(X,Y)を算出する。
【0033】
また第二のシート状部材112は、絞り加工により第一のシート状部材111と一体成形されることで封止シートパネル部材113が形成される(図4(b)参照)。このように一体成形されることで、第一のシート状部材111と第二のシート状部材112とが封止シートパネル部材113として、一枚のシート状となり、操作面が有する隆起部111b、窪み部111c等の段差形状は、その一枚のシートの曲がった部分で構成されることになる。また、このように封止シートパネル部材113として一体成形されることで、表面カバーである第一のシート状部材111の裏面と第二のシート状部材112の表面とが当接する。これにより、第一のシート状部材111の段差形状に対応して、センサ1120が配置されることになる。このようにセンサ1120が配置されているため、隆起部111b等の段差形状を有した操作面上で行われたジェスチャー操作であっても、制御部200は、各センサにおける静電容量の変化を検出できる。
【0034】
スペーサ114は、第二のシート状部材112の裏面側に位置し、図5(b)に示すように、一体成形された第一のシート状部材111と第二のシート状部材112からなる封止シートパネル部材113の形状に合わせて形成され、ユーザ操作により封止シートパネル部材113の表側から押圧が加わった際にこれらの形状を保持する部材である。
【0035】
図3などに示すように、下ケース130は、合成樹脂等から形成される箱状の部材であり、その表側に上記の各部111〜114と、照明部120とが配置されるように設けられている。
【0036】
上ケース140は、上記の各部111〜114と、照明部120とを表側から覆う蓋部であり、第一のシート状部材111の操作面を露出させる開口部を有して、合成樹脂等から形成される。
【0037】
照明部120は、面光源となる透明な合成樹脂材料からなる導光部材(導光体)121と、この導光部材121の端部に配置されたLEDからなる光源122と、この光源を実装する柔軟性材料からなるフレキシブルプリント配線基板123と、からなり、光源122からの光を導光部材121の端部から入射するように設け、この導光部材121にて面発光した光を封止シートパネル部材113を背後から透過照明するようにしている。
【0038】
なお、照明部120には、導光部材121、光源122を実装したフレキシブルプリント配線基板123を保持するホルダー124が設けられている。また、導光部材121による照明効率や均一照明など照明効果を良好に保つために、本実施形態のように、導光部材121の背面側に反射シート125を配置するとともに、導光部材121の表面側に拡散シート126を配置するようにしても良い。
【0039】
また照明部120と下ケース130との間には、車体側へと電源供給を行ったり、センサ1120からの信号を制御装置200へと伝達したり、あるいは光源121が実装されたフレキシブルプリント配線基板などを電気的に引き回し形成するための回路基板150が設けられている。
【0040】
封止シートパネル部材113に設けられる意匠部Dとしては、図5から図7などに示すように、例えば第一のシート状部材111の操作面の表面側には、隆起部111b位置を除いて黒色などの遮光性を有する地色印刷層D1が施されるとともに、この隆起部111b位置に対応する第一のシート状部材111の操作面の表面側に、例えば白色や青色などの透過性を有する表示色印刷層D2が施されている。
【0041】
また、図1に示すように、制御部200は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、記憶部300に格納されている動作プログラムを実行して、各種の処理や制御を行う。制御部200は、その少なくとも一部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の各種専用回路によって構成されてもよい。
【0042】
記憶部300は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等から構成され、制御部200を構成するCPUのワークエリア、CPUが実行する動作プログラムを記憶するプログラムエリア、データエリア等として機能する。
【0043】
プログラムエリアには、車載電子機器制御処理を実行するためのプログラム等の動作プログラムが記憶される。
【0044】
データエリアには、図1に示すように、ジェスチャー辞書G、対応動作データC、後述するジェスチャー特徴量の所定値である設定値Q、等が予め記憶されている。
【0045】
ジェスチャー辞書Gは、行われているジェスチャー操作を認識するために必要となるデータであり、ジェスチャー操作によって描かれる軌跡の特徴を示す複数のパターンを含む。ジェスチャー操作の特徴を示すパターンは、ジェスチャー特徴量の各成分の組合せから構成されている。本実施形態において、このパターンは、「隆起部を基準としたジェスチャー操作」の特徴を示すパターンである。
【0046】
対応動作データCは、車載電子機器20に所定の動作を実行させる制御信号のデータである。対応動作データCは、複数あり、その各々が、ジェスチャー辞書Gが含む複数のパターンと対応付けられている。例えば、隆起部111bに沿った円弧状のジェスチャー操作の特徴を示すパターンには、車載電子機器20にオーディオ音量の変更を実行させる音量制御信号を送信するコマンドのデータが対応動作データCとして対応付けられて予めデータエリアに記憶されている。
【0047】
設定値Qは、ジェスチャー特徴量の所定値のデータであり、制御信号を車載電子機器20へ送信するトリガーの役割となるデータである。設定値Qは、ジェスチャー辞書Gが含む複数のパターンごとに対応付けられている。つまり、設定値Qは複数ある。ここで、設定値Qとの比較対象として選択されるジェスチャー特徴量は、例えば、複数の入力座標値を、時系列順に直線で繋いだ軌跡における、軌跡の長さである。
【0048】
制御装置1000の動作については、ジェスチャー辞書G、対応動作データC、設定値Q、それぞれの役割について簡潔に述べる。
1)ジェスチャー辞書Gは、行われているジェスチャー操作が、予め定められたどのパターンに属するか(即ち、どのような種類のジェスチャー操作であるか)を認識するために用いられる。
2)対応動作データCは、ジェスチャー辞書Gを基に認識したジェスチャー操作に応じてどのような制御信号を車載電子機器20に送信するか、を判別するために用いられる。
3)設定値Qは、認識されたジェスチャー操作に係るジェスチャー特徴量がどのような値に達したら、対応動作データCに基づく制御信号を送信するか、を判別するために用いられる。
【0049】
なお、記憶部300に格納される各データは、既知のデータ登録手法を用いて、デフォルト値として或いはユーザ自身の操作により適宜格納される。
【0050】
以下、図9から図13を参照して、本実施形態に特有の「隆起部を基準としたジェスチャー操作」とそれに応じて車載電子機器20が実行する動作の一例を挙げる。
【0051】
(隆起部を基準としたジェスチャー操作の一例)
<隆起部に沿ったジェスチャー操作OP10>
イグニッションのオンに伴って、動作電力が供給されると、車載電子機器20は、表示部21に、図9に示す初期画面21aを表示する。初期画面21aの状態で、ユーザが、操作面の窪み部111cを隆起部111bに沿って時計回りになぞるジェスチャー操作OP10を行うと、制御部200は、OP10を認識して、認識したOP10に対応付けられた音量制御信号を送信する。音量制御信号を受信した車載電子機器20は、初期画面21aを音量操作画面21bに切り替えるとともにOP10に応じてオーディオ音量を変更する。このように、ユーザはOP10を行って、車載電子機器20のオーディオ音量を変更することができる。
【0052】
<外側から内側に隆起部を乗り越えるジェスチャー操作OP20>
図10に示すように、初期画面21aの状態で、入力装置100の操作面を、外側から順に、平面部111a、隆起部111b、窪み部111cの順でなぞるジェスチャー操作OP20(本例では、初期画面21aの“AUDIO”に対応した右方向から内側に向かう操作)を行うと、初期画面21aはオーディオ操作画面21cに切り替わる。
【0053】
<隙間部を通過するジェスチャー操作OP30>
図11に示すように、オーディオ操作画面21cの状態で、入力装置100の操作面を、窪み部111cから隙間部111d(本例では、オーディオ操作画面21cの“Source”に対応した右上の隙間部111d)を通って平面部111aへなぞるジェスチャー操作OP30を行うと、オーディオ操作画面21cは音源選択画面21dに切り替わる。
【0054】
<内側から外側に隆起部を乗り越えるジェスチャー操作OP40>
図12に示すように、オーディオ操作画面21cの状態で、入力装置100の操作面を、内側から順に、窪み部111c、隆起部111b、平面部111aの順でなぞるジェスチャー操作OP40(本例では、オーディオ操作画面21cの“Search”に対応した右側の隆起部111bを乗り越える操作)を行うと、オーディオ操作画面21cは楽曲サーチ画面21eに切り替わる。
【0055】
<窪み部内でのジェスチャーOP50>
図13に示すように、楽曲サーチ画面21eの状態において、窪み部111cから隆起部111bに向かって小さくスライドさせるジェスチャー操作OP50を行うと、所定のカーソルがそのスライド方向に対応して動き、所望の楽曲を選択することができる。選択された楽曲は、スイッチ装置120が受け付けた入力確定操作により、再生される。
【0056】
上記に挙げた例は、ジェスチャー辞書Gに、ジェスチャー操作OP10〜50のそれぞれによって描かれる軌跡の特徴を示す複数のパターンが含まれ、これらの複数のパターンのそれぞれに、設定値Q及び対応動作データCが対応付けられていることを条件に、上記の車載電子機器制御処理を実行することにより実現される。各パターンに対応付けられる、設定値Qの比較対象となるジェスチャー特徴量の種類・値は、認識させたいジェスチャー操作の特性に鑑みて、適宜、定められる。また、各パターンに対応付けられる、対応動作データCの種類は、認識させたいジェスチャー操作の特性に鑑みて、適宜、定められる。
【0057】
本実施形態に係る入力装置100においては、ユーザは、操作面上に設けられた隆起部111b等の段差形状を指先で感じながら、適確に意図する操作を行うことができる。また、制御部200は、車載電子機器制御処理により、隆起部111b等の段差形状を基準として行われたジェスチャー操作を認識し、認識したジェスチャー操作に応じて、車載電子機器20の動作を制御する。即ち、本実施形態に係る入力装置100によれば、ユーザがジェスチャー接触を行いやすい。また、操作面上の隆起部111b等の段差形状により、ユーザが、車両1の走行中に、入力装置100の操作面を見ないで操作(アイズフリー操作)を行った場合でも、的確なジェスチャー操作を行いやすい。
【0058】
また、本実施形態に係る入力装置100の操作面には、隆起部111bが円弧状に形成されている。これにより、車両1の走行中においても、ステアリングホイール12を握っている状態でユーザが親指の付け根を中心として親指を動かす場合に想定される円弧状の動きに合わせたスムーズな操作入力が可能である。
【0059】
また、操作面には、隆起部111bが形成されているため、車両1の走行中に、前述の隆起部111bを乗り越えるジェスチャー操作OP20及びOP40を行った場合でも、ユーザは、段差形状を乗り越えたという感覚を指先で感じとることができ、アイズフリー操作においても、操作入力が容易である。
【0060】
また、本実施形態にあっては、操作面には、隣り合う隆起部111bの間に隙間部111dが形成されているため、車両1の走行中に、隙間部111dを通過するジェスチャー操作OP30を行った場合でも、ユーザは、隙間部分を通過したという感覚を指先で感じとることができ、アイズフリー操作においても、操作入力が容易である。
【0061】
また、操作面には、窪み部111cが形成されているため、ユーザが操作面上をジェスチャー操作する際に指の収まりがよい。それとともに、窪み部111cと隆起部111cは、互いになめらかに繋がって形成されているため、ユーザが隆起部111bに沿ったジェスチャー操作OP10や、隆起部111bを乗り越えるジェスチャー操作OP20及びOP40を行うときに、運指をスムーズに行うことができる。
【0062】
また、入力装置100を視認した際においても、隆起部111b箇所が透過照明されるため瞬時に意匠部Dの基準箇所を認識判別することができる。
【0063】
この際、封止シートパネル部材113の背後に光源122によって発光する導光部材121を配設してなることにより、ジェスチャー操作による意匠部D位置を明るく透過照明することによって即座に判別することができるものであり、夜間などにおいても入力装置100の位置を良好に確認することができるものであり、特に、少なくとも意匠部Dの一部であるジェスチャー操作による基準位置となる隆起部111b位置を明るく透過照明することによって即座に判別することができるという効果がある。
【0064】
また、センサ1120の電極部となる各センサ列1120a,1120bを透過性を有する材料にて形成してなることにより、電極部であるセンサ列1120a,1120bが影とはならず、光源122からの照射光線を導光部材121を介して封止シートパネル部材113側へと良好に案内することができる。
【0065】
また、封止シートパネル部材113の凹凸形状は、圧空成型などの絞り加工によって成型してなることにより、製作が容易でしかも封止シートパネル部材113の内部側にて電極部が設けられたセンサ1120を配置することによってセンサ1120を密封することができ、保護することができる。
【0066】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。たとえば前述した実施形態にあっては、意匠部Dは、第一のシート状部材111の操作面の表面側に地色印刷層D1と、表示色印刷層D2とをそれぞれ印刷によって形成していたが、第一のシート状部材111の表面に塗装などの手段によって形成しても良いものであり、またシートパネル部材111の裏面に印刷や塗装などによって施すようにしても良いものであり、その意匠部Dの表示形態についても円弧状の表示色印刷層D2に限らず、任意の幅を持たせて形成しても良いものであり、透過光量などの照明輝度も任意に設定すれば良い。
【0067】
また、封止シートパネル部材113の意匠部D(表示部印刷層D2)を透過照明するための透光性を有する導光部材を無色透明の合成樹脂にて形成していたが、場合によっては、照明色として青色などに着色形成して表示部印刷層D2を透過照明するようにしても良いし、他の色合いに着色形成して透過照明するようにしても良い。
【0068】
また、隆起部111bの形状として前述した実施形態では、円弧状からなる隆起部111bを4つ円形に組み合わせて形成するようにしていたが、扇形などの形状であったり、
細かい丸型の隆起部111bを連続して設けるように形成しても良いものである。
【0069】
また本実施形態においては、第二のシート状部材112は、指等の被検出体の位置を検出するための複数のセンサ1120(透明導電性インクなどからなる検出電極)を有する投影静電容量方式を採用したが、表面静電容量方式であっても良いし、抵抗膜方式などであっても良い。この場合においても、第二のシートパネル部材112を操作面を有する第一のシート状部材111と一体的に形成すれば良い。
【0070】
また、本実施形態では、ステアリング10の右端に入力装置100を1つ設けるようにしていたが、これに限られるものでなく、たとえばステアリング10の左端に入力装置100を配置するように設け、左手の親指にて操作するようにしても良いものであり、親指シフトに限らず他の指にて操作可能に入力装置100を配置しても良いものである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
また前述した実施形態にあっては、入力装置100を搭載した乗り物の一例として自動車などの車両を例にして説明したが、これに限られるものでなく船舶あるいは農業機械などに搭載することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…車両
10…ステアリング
11…本体部
12…ステアリングホイール
1000…制御装置
100…入力装置
110…接触操作部
111…第一のシート状部材(表面カバー)
111a…平面部
111b…隆起部
111c…窪み部
111d…隙間部
112…第二のシート状部材
1120…センサ
1120a…第1のセンサ列
1120b…第2のセンサ列
1120…センサ
113…封止シートパネル部材
114…スペーサ
120…照明部
121…導光部材
122…光源(LED)
123…フレキシブルプリント配線基板
124…ホルダー
125…反射シート
126…拡散シート

130…下ケース
140…上ケース

150…回路基板
200…制御部
300…記憶部
20…車載電子機器
21…表示部
21a…初期画面

21b…音量操作画面

21c…オーディオ操作画面
21d…音源選択画面
OP10…隆起部に沿ったジェスチャー操作
OP20…タッチ操作
OP30…窪み部でのジェスチャー操作

OP40…内側から外側に隆起部を乗り越えるジェスチャー操作

OP50…窪み部分でのジェスチャー操作


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作を行う被検出体が接触する操作面を有する第一のシート状部材と、前記被検出体が前記操作面と接触した位置を検出するためのセンサが前面側に設けられた第二のシート状部材と、前記第二のシート状部材の前面側に前記第一のシート状部材を積層して一体化した封止シートパネル部材と、を備え、前記操作面の表面側には、操作指標となる凹凸形状からなる隆起部と、前記隆起部の配置に合わせて前記封止シートパネル部材に設けられた意匠部と、からなることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記封止シートパネル部材の背後に光源によって発光する導光部材を配設してなることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記センサの電極部を透過性を有する材料にて形成してなることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記意匠部は、少なくとも前記意匠部の一部を透過可能に設けてなることを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項5】
前記封止シートパネル部材の凹凸形状は、圧空成型などの絞り加工によって成型してなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の入力装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−178080(P2012−178080A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41135(P2011−41135)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】