説明

入力装置

【課題】 本発明は具備するスイッチの数を限定し、該限定したスイッチのオン又はオフの検知情報の組合せによりデータの入力を実現する入力装置において、入力作業の容易化と組合せ検知情報の体系化の両立を図った入力装置を提供する。
【解決手段】 単数又は複数の仮入力スイッチ1と複数の入力スイッチ2を備えるスイッチ部3と、該スイッチ部の各仮入力スイッチと各入力スイッチのオン又はオフを検知し該検知した情報7を組み合わせて組合せ検知情報8を生成する検知情報生成部4と、上記組合せ検知情報の夫々に対応するデータ9を記憶する記憶部5と、上記検知情報生成部から上記組合せ検知情報を取得し上記記憶部に記憶されたデータと対応させて入力すべきデータを決定する入力決定部6とを有し、上記検知情報生成部が何れかの入力スイッチのオンを検知し次いで全ての入力スイッチの同時オフを検知した場合のみ上記検知情報の組合せを断定する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種コンピュータに文字等のデータを入力する入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の各種コンピュータへの入力においては、文字、数字、記号等の膨大なデータをできるだけ少ない数のスイッチにより入力する装置や方法の開発が試みられている。
【0003】
下記特許文献1は具備するスイッチの数を限定し、該限定したスイッチのオン又はオフの組合せにより、膨大なデータの入力を実現する入力装置を開示している。
【0004】
具体的には、入力装置が具備する全スイッチの同時オフ検知後から次の全スイッチの同時オフ検知までの各スイッチのオン又はオフを検知し、その検知情報を組合せて組合せ検知情報を生成し、該組合せ検知情報により入力すべきデータを決定する装置を開示している。
【0005】
即ち、上記入力装置は最終的に全スイッチの同時オフにより各スイッチのオン又はオフの組合せを断定して組合せ検知情報を生成し、該組合せ検知情報により入力データを決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭64−8425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
然し乍ら、上記特許文献1においては、入力データ決定を左右する組合せ検知情報の断定が上記同時オフ検知により誘起され、該同時オフの対象が全てのスイッチであるため、何れかのスイッチをオン操作して入力作業を開始した後は、入力作業を終了するまで少なくとも一つのスイッチをオン位置に保持しなければならず、自ずと入力作業が煩雑となる問題点を有している。
【0008】
又一系統のスイッチのオン又はオフの組合せにより組合せ検知情報を生成するため、該組合せ検知情報の体系化が困難であるという問題点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記問題点を抜本的に解決するために、上記した同時オフの対象外となる仮入力スイッチを具備し、該仮入力スイッチによる同時オフに拘束されない独立したオン又はオフの組合せを付加して、入力作業の容易化と組合せ検知情報の体系化の両立を図った入力装置を提供する。
【0010】
要述すると、本発明は単数又は複数の仮入力スイッチと複数の入力スイッチを備えるスイッチ部と、該スイッチ部の各仮入力スイッチと各入力スイッチのオン又はオフを検知し該検知した情報を組み合わせて組合せ検知情報を生成する検知情報生成部と、上記組合せ検知情報の夫々に対応するデータを記憶する記憶部と、上記検知情報生成部から上記組合せ検知情報を取得し上記記憶部に記憶されたデータと対応させて入力すべきデータを決定する入力決定部とを有し、上記検知情報生成部が何れかの入力スイッチのオンを検知し次いで全ての入力スイッチの同時オフを検知した場合のみ上記検知情報の組合せを断定する構成とする。
【0011】
好ましくは、上記スイッチ部の仮入力スイッチと入力スイッチの数を同一にし、両者を線対称に配置する構成とする。
【発明の効果】
【0012】
依って、上記同時オフの対象となる入力スイッチに加えて、上記同時オフの対象外となる仮入力スイッチを具備することにより、入力スイッチのオン又はオフの組合せに仮入力スイッチのオン又はオフの組合せを付加し、独立した二系統のスイッチのオン又はオフの組合せが実現できる。
【0013】
又上記した二系統の組合せを利用して、組合せ検知情報を容易に体系化することができる。
【0014】
その為、膨大なデータの入力を二段階に分けたスイッチ操作により行うことができ、入力作業を著しく容易化すると共に、その習得をも容易化する。例えば、仮入力スイッチのオン又はオフの組合せを子音データに割り当てる一方、入力スイッチのオン又はオフの組合せを母音データに割り当てれば、文字入力作業とその習得が頗る容易化できる。
【0015】
好ましい例示として、上記スイッチ部の仮入力スイッチと入力スイッチの数を同一にし、両者を線対称に配置することにより、二体系のスイッチ、即ち仮入力スイッチと入力スイッチの操作を明確に区別して行うことができ、作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る入力装置のスイッチ部における仮入力スイッチと入力スイッチの配置図である。
【図2】本発明に係る入力装置の構成を概示する説明図である。
【図3】本発明に係る入力装置の入力処理のフローチャートである。
【図4】操作記号の説明図である。
【図5】上記操作記号を用いたデータ表を例示する図である。
【図6】上記操作記号を時計回りに90度回転させて用いたデータ表を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図6に基づき説明する。
【0018】
図1・図2に示すように、本発明に係る入力装置は、基本的には、仮入力スイッチ1と入力スイッチ2とを備えるスイッチ部3と、該スイッチ部3の各仮入力スイッチ1と各入力スイッチ2のオン又はオフを検知し該検知した情報7を組み合わせて組合せ検知情報8を生成する検知情報生成部4と、上記組合せ検知情報8の夫々に対応するデータ9を記憶する記憶部5と、上記検知情報生成部4から上記組合せ検知情報8を取得し上記記憶部5に記憶されたデータ9と対応させて入力すべきデータ9を決定する入力決定部6とを有し、既知のキーボードの如く、筐体表側に上記スイッチ部3を配置し、筐体内側に上記検知情報生成部4・記憶部5及び入力決定部6を配置する構成となっている。
【0019】
上記スイッチ部3が備える仮入力スイッチ1と入力スイッチ2は、既知のキースイッチの如く、上限のオフ位置と下限のオン位置を往復動するものであって、通常時にはオフ位置に弾性付勢手段により保持される一方、押し下げ時にオン位置に移動する。又押し下げ状態を解けば上記弾性付勢手段によりオフ位置まで自動的に復帰する。
【0020】
尚仮入力スイッチ1と入力スイッチ2は上記形態に限定されるものではなく、オフ位置とオン位置間を自由に行き来できるものであれば、如何なる形態のものでも実施に応じ任意である。
【0021】
又仮入力スイッチ1(1a・1b・1c)は縦一列に3個設けられ、同様に入力スイッチ2(2a・2b・2c)は縦一列に3個設けられ、両者1・2は対象軸Oに対して線対称に左右に配置されている。
【0022】
本発明においては、仮入力スイッチ1と入力スイッチ2の数は上記した3個に限定されるものではなく、両者1・2の数が夫々複数個であり相互に同数であればよい。又両者1・2を線対称に配置できればよく、縦一列以外の配列を排除しない。
【0023】
尚本発明においては、同時オフに拘束されない仮入力スイッチ1は一つのみでもオン又はオフの組合せが可能であるため、単数とすることも実施に応じ任意である。
【0024】
上記検知情報生成部4は、図2・図3に示すように、各仮入力スイッチ1のオン又はオフを検知して検知情報71(検知情報7)を生成する一方、各入力スイッチ2のオン又はオフを検知して検知情報72(検知情報7)を生成し、何れかの入力スイッチ2のオンを検知した後、全ての入力スイッチ2の同時オフを検知した際に、上記検知情報71と検知情報72の組合せを断定して組合せ検知情報8を生成する。
【0025】
即ち、検知情報生成部4は何れかの入力スイッチ2のオンを検知し次いで全ての入力スイッチ2の同時オフを検知した場合のみ上記検知情報71と検知情報72の組合せを断定して組合せ検知情報8を生成し、仮入力スイッチ1は上記同時オフの対象外とする。
【0026】
その為、入力スイッチ2のオン又はオフの組合せに更に仮入力スイッチ1のオン又はオフの組合せを付加し、独立した二系統のスイッチのオン又はオフの組合せが実現できる結果、膨大なデータ9の入力を二段階に分けたスイッチ操作により行うことができ、入力作業を著しく容易化すると共に、その習得をも容易化する。
【0027】
上記記憶部5は上記組合せ検知情報8の夫々に対応するデータ9を記憶しており、例えば、図5に示すデータ表11のようなテーブルファイルを格納している。
【0028】
データ表11は組合せ検知情報8に係る操作を操作記号で体系化し、該操作記号を介して組合せ検知情報8の夫々に対応するデータ9を格納している。上記操作記号は図4にも示すように、仮入力スイッチ1と入力スイッチ2のオン操作イメージを複数本の直線により表現したものである。
【0029】
操作記号について詳述すると、操作記号は唯一の縦の直線L1を中心として、左に延びる直線L2で仮入力スイッチ1の1回のオン操作を表現する一方、右に延びる直線L3で入力スイッチ2の1回のオン操作を表現する。又上記直線L2又はL3の先端から斜めに延びる直線L4で該当する仮入力スイッチ1又は入力スイッチ2の2回のオン操作を表現する。尚上記直線L4の先端に更に同寸の直線L4をジグザグに繋げることにより、3回のオン操作を表現し、同様に複数本の直線L4をジグザグに繋げることにより、直線L4の数に1を加えた回数のオン操作を表現することができる。
【0030】
上記左に延びる直線L2は縦一列に3個配置された仮入力スイッチ1a・1b・1cの夫々のオン操作イメージを表現するため、上中下の3段に分けて描かれる。即ち、上段の直線L2で仮入力スイッチ1aのオン操作、中段の直線L2で仮入力スイッチ1bのオン操作、下段の直線L2で仮入力スイッチ1cのオン操作を表現する。
【0031】
同様に、上記右に延びる直線L3は縦一列に3個配置された入力スイッチ2a・2b・2cの夫々のオン操作イメージを表現するため、上中下の3段に分けて描かれる。即ち、上段の直線L3で入力スイッチ2aのオン操作、中段の直線L3で入力スイッチ2bのオン操作、下段の直線L3で入力スイッチ2cのオン操作を表現する。
【0032】
従って、例えば、図4(A)に示す操作記号は、仮入力スイッチ1aを1回オン操作すると共に、入力スイッチ2aと入力スイッチ2bを夫々1回オン操作する一連の操作を表現している。同様に、図4(B)に示す操作記号は仮入力スイッチ1aを2回オン操作すると共に、入力スイッチ2aを1回オン操作し入力スイッチ2bを2回オン操作する一連の操作を表現している。
【0033】
上記各操作記号は各直線L1乃至L4で仮入力スイッチ1と入力スイッチ2の夫々のオン操作イメージを的確且つ簡潔に表現できる。しかも、本発明にあっては、仮入力スイッチ1と入力スイッチ2の独立した二系統のオン又はオフの組合せを利用して、上記組合せ検知情報8を容易に体系化することができるため、上記操作記号においても仮入力スイッチ1と入力スイッチ2の夫々のオン操作を明確に区別し体系化して表現できる。
【0034】
又図5に示すように、例えば、仮入力スイッチ1のオン又はオフの組合せを子音データに割り当てる一方、入力スイッチ2のオン又はオフの組合せを母音データに割り当てれば、上記操作記号の左半分で子音に関する仮入力スイッチ1のオン操作を表現し、同右半分で母音に関する入力スイッチ2のオン操作を表現することができるため、操作記号自体を恰も文字のように利用することもできる。
【0035】
尚上記操作記号は直線L1を対象軸として線対象に直線L2と直線L3を配置できればよく、例えば、図6に示すように、図4・図5で示した操作記号を時計回りに90度回転させて、直線L2を上に延びる直線とし、直線L3を下に延びる直線とすることを排除しない。
【0036】
又図6に示すように、例えば、ヨーロッパ大陸のアルファベットや中国大陸のピンイン記号等を統合して容易に体系化することもでき、やはり、操作記号自体を恰も文字のように利用することができる。尚ピンイン記号に関するデータは図6中の太枠で囲んだ部分で示している。又アルファベットに関するデータは上記太枠で囲んだ部分の内、更に点線枠で囲んだ部分と、上記太枠で囲んだ部分以外の部分で示している。依って、上記点線枠で囲んだ部分はピンイン記号に関するデータとアルファベットに関するデータを兼ねている。
【0037】
以上のような構成を有する本発明に係る入力装置において、その入力作業を図3を用いて説明すると、まず、入力したいデータ9に対応する操作記号に従って、所定の仮入力スイッチ1を所定回数押し下げてオン操作し該押し下げ状態を解いてオフ操作した後、所定の入力スイッチ2を所定回数押し下げてオン操作し該押し下げ状態を解いてオフ操作する(ステップ1)。又は上記仮入力スイッチ1の操作と入力スイッチ2の操作を一緒に行う。
【0038】
尚入力スイッチ2に関しては、何れかの入力スイッチ2のオン検知後、全ての入力スイッチ2の同時オフが検知されると、検知情報7の組合せが断定されて組合せ検知情報8が生成されるため、一旦、何れかの入力スイッチ2のオン操作をした後は、所定の操作が終了するまで何れかの入力スイッチ2をオン位置に保持する。
【0039】
又操作記号に従い仮入力スイッチ1のオン操作が不要な場合は、入力スイッチ2のみの操作を行う。尚入力スイッチ2は上記同時オフの対象であるため、オン操作が不要な場合はない。
【0040】
本発明においては、スイッチ部3の仮入力スイッチ1と入力スイッチ2の数を同一にし、両者1・2を線対称に配置することにより、仮入力スイッチ1と入力スイッチ2の操作を明確に区別して行うことができ、作業者の負担を軽減することができる。
【0041】
次に、検知情報生成部4が上記仮入力スイッチ1のオン又はオフと入力スイッチ2のオン又はオフを検知して夫々の検知情報7(検知情報71・検知情報72)を生成する(ステップ2)。
【0042】
その際に何れかの入力スイッチ2のオンを検知したか否か確認し(ステップ3)、何れかの入力スイッチ2のオンを検知していれば、次いで全ての入力スイッチ2の同時オフを検知したか否かを確認し(ステップ4)、該同時オフを検知した場合のみ上記検知情報7の組合せを断定して組合せ検知情報8を生成する(ステップ5)。
【0043】
依って、入力スイッチ2を上記同時オフの対象とし、仮入力スイッチ1を上記同時オフの対象外とすることにより、入力スイッチ2と仮入力スイッチ1の独立した二系統のスイッチのオン又はオフの組合せが実現できる。
【0044】
その為、膨大なデータ9の入力を二段階に分けたスイッチ操作により行うことができ、入力作業を著しく容易化すると共に、その習得をも容易化する。例えば、図5に示すように、仮入力スイッチ1のオン又はオフの組合せを子音データに割り当てる一方、入力スイッチ2のオン又はオフの組合せを母音データに割り当てれば、二段階に分けた入力作業が実現でき、該入力作業とその習得が頗る容易化できる。
【0045】
最後に、入力決定部6が上記検知情報生成部4から組合せ検知情報8を取得し該組合せ検知情報8に対応するデータ9を記憶部5に照会して入力すべきデータ9を決定し(ステップ6)、決定したデータ9を各種コンピュータに入力する(ステップ7)ことにより、入力作業が終了する。
【符号の説明】
【0046】
1…仮入力スイッチ、1a…一番上の仮入力スイッチ、1b…真ん中の仮入力スイッチ、1c…一番下の仮入力スイッチ、2…入力スイッチ、2a…一番上の入力スイッチ、2b…真ん中の入力スイッチ、2c…一番下の入力スイッチ、3…スイッチ部、4…検知情報生成部、5…記憶部、6…入力決定部、7・71・72…検知情報、8…組合せ検知情報、9…データ、11…対応表、L1…縦直線、L2…左側に延びる横直線、L3…右側に延びる横直線、L4…斜めに延びる直線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単数又は複数の仮入力スイッチと複数の入力スイッチを備えるスイッチ部と、該スイッチ部の各仮入力スイッチと各入力スイッチのオン又はオフを検知し該検知した情報を組み合わせて組合せ検知情報を生成する検知情報生成部と、上記組合せ検知情報の夫々に対応するデータを記憶する記憶部と、上記検知情報生成部から上記組合せ検知情報を取得し上記記憶部に記憶されたデータと対応させて入力すべきデータを決定する入力決定部とを有し、上記検知情報生成部が何れかの入力スイッチのオンを検知し次いで全ての入力スイッチの同時オフを検知した場合のみ上記検知情報の組合せを断定することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
上記スイッチ部の仮入力スイッチと入力スイッチの数を同一にし、両者を線対称に配置したことを特徴とする請求項1記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−44588(P2012−44588A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186085(P2010−186085)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【特許番号】特許第4700758号(P4700758)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(307044828)
【Fターム(参考)】