説明

入力装置

【課題】パソコン操作において、マウスに代えて使用することができ、しかも、パソコン操作状態からすぐにメモをとることができる入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置は、四角枠状の保持板7に設けられた、四角形状の入力用中空部Sを有する四角枠状の光導波路Wと、この光導波路Wの光出射用のコア2aの後端部に接続された発光素子5と、光導波路Wの光入射用のコア2bの後端部に接続された受光素子6と、保持板7の移動量を認識する光学式移動量センサ9と、入力用中空部S内で動かす入力体とを備え、その入力体の先端入力部による遮光位置の位置情報をパソコンに出力する。また、パソコン操作用マウスにおける左右のクリックボタンに相当する左右の領域L,Rを入力用中空部Sに設定している。また、光学式移動量センサ9で認識した移動量に応じて、パソコンのディスプレイに表示されるポインタを動かすようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)の操作やパソコンへの文字等の入力に用いられる入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、パソコンには、そのパソコンを操作するためのマウスが有線または無線で接続されている(例えば、特許文献1参照)。このマウスは、一般に、そのマウス自体の直交する2方向への移動量を認識するための移動量認識手段(光学式移動量センサ等)と、左右2個のクリックボタン(押しボタン)とを備えている。そして、上記マウスを机上等で移動させると、その移動量を上記移動量認識手段が認識し、その移動量に応じて、パソコンのディスプレイに表示されるポインタ(指示点)が移動するようになっている。さらに、上記左のクリックボタンを押す(左クリックする)と、上記ポインタの指す操作内容を実行させる等の操作ができるようになっている。また、上記右のクリックボタンを押す(右クリックする)と、他の操作ができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−156565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記マウスを使用してパソコンを操作しているときに、電話がかかってくる等して、メモをとる必要がある場合、上記マウスから手を離し、その手にペン等の筆記具を持ち、メモ用紙等に上記メモの内容を書く必要がある。
【0005】
しかしながら、上記のようにマウスを使用してパソコンを操作している状態からメモをとる一連の動作は、時間を要する。しかも、上記ペン等の筆記具やメモ用紙等が見当たらない場合は、それらを探す必要があるため、さらに時間を要する。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、パソコン操作において、マウスに代えて使用することができ、しかも、パソコン操作状態からすぐにメモをとることができる入力装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の入力装置は、所定領域上を移動し、その領域内の所望の位置で停止し、その位置で情報を入力し、情報をパソコンに出力する構成を有する枠状の入力装置であって、枠状体と、この枠状体に設けられ光の投射および受光をする一組の発光手段および受光手段と、入力体と、上記枠状体に設けられ上記枠状体の移動量を認識する移動量認識手段と、上記枠状体の枠内の一部分に設定される第1および第2の領域とを備え、上記移動量認識手段で認識された上記枠状体の移動量の情報を、パソコンのディスプレイに表示されるポインタの移動情報とし、上記枠状体停止時における上記入力体の先端入力部による上記投射光における遮光の位置を、上記入力体の先端入力部による入力情報として、上記入力体の先端入力部が上記第1の領域に位置すると認識されるとパソコン操作用のマウスに備えられた左のクリックボタンを押したことに相当し、上記入力体の先端入力部が上記第2の領域に位置すると認識されると上記マウスに備えられた右のクリックボタンを押したことに相当するように設定されているという構成をとる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の入力装置は、枠状体の移動量を認識する移動量認識手段を備えており、その移動量認識手段で認識された移動量の情報が、パソコンのディスプレイに表示されるポインタの移動情報になっている。そのため、本発明の入力装置の枠状体を移動させると、その移動量が移動量認識手段により認識され、その移動量の情報がパソコンに出力されることにより、上記枠状体の移動に対応して、パソコンのディスプレイに表示されるポインタを移動させることができる。ここで、本発明の入力装置は、枠状に形成され、その枠内に入力体(例えばペンや指等)の先端入力部(例えばペン先や指先等)を位置させると、発光手段からの投射光が上記入力体の先端入力部により遮光され、その遮光を、受光手段が感知することにより、上記入力体の先端入力部の位置情報を検知するようになっている。そして、本発明の入力装置には、上記枠内の一部分に、第1および第2の領域が設定されており、上記入力体の先端入力部を上記第1の領域に位置させると、パソコン操作用のマウスに備えられた左のクリックボタンを押したことに相当し(左クリックすることができ)、上記入力体の先端入力部を上記第2の領域に位置させると、パソコン操作用のマウスに備えられた右のクリックボタンを押したことに相当する(右クリックすることができる)ようになっている。すなわち、本発明の入力装置は、このようにマウスとしての機能(マウス機能)を有しており、パソコン操作において、上記マウスに代えて使用することができる。一方、本発明の入力装置の枠内で入力体を移動させると、その先端入力部による遮光位置の軌跡が、上記入力体の先端入力部の移動による入力情報(メモ)として検知される。そして、その入力情報がパソコンに出力されることにより、その入力情報をパソコンのディスプレイに表示することができるようになっている。すなわち、本発明の入力装置は、ペンや指等でメモを入力できる機能(メモ機能)も有している。このように、本発明の入力装置は、マウス機能とメモ機能とを有しており、パソコン操作状態から、時間をあけることなく、メモをとることができる。
【0009】
特に、上記発光手段が、発光素子と、この発光素子に接続された、光導波路の複数の光出射用コアとからなり、上記受光手段が、受光素子と、この受光素子に接続された、光導波路の複数の光入射用コアとからなり、上記光出射用コアの先端部と上記光入射用コアの先端部とが、上記枠状体の内側縁に位置決めされた状態で対向している場合には、上記枠状体上に上記光導波路が形成され、その光導波路は薄く形成することができるため、入力体で入力する際に、本発明の入力装置が、入力の妨げにならず、入力し易くなっている。
【0010】
また、上記発光手段が、複数の発光素子からなり、上記受光手段が、複数の受光素子からなり、上記複数の発光素子と上記複数の受光素子とが、上記枠状体の内側縁に位置決めされた状態で対向している場合には、上記発光素子および上記受光素子がある程度厚みを有するため、本発明の入力装置も全体的にある程度厚く形成され、その入力装置を剛性および強度のあるものとすることができる。
【0011】
さらに、上記発光手段と受光手段とが、発光素子と受光素子とを上下に重ねたモジュールからなり、そのモジュールが上記枠状体の一つの辺の両側の角部にそれぞれ配置され、これらモジュールの間の上記一つの辺を除く辺の内側面に、テープ状の再帰性光反射体が配置され、一方のモジュールの発光素子から投射された光が、上記再帰性光反射体に反射されて、この一方のモジュールの受光素子で受光されるようになっている場合には、少ない部品点数で、三角測量により、入力体の先端入力部の位置を特定することができる。
【0012】
そして、パソコン操作用のマウスに備えられたスクロール用ホイールに相当するホイールボタンが設けられている場合には、そのホイールボタンを回動させたり押したり等することにより、上記マウスに備えられたスクロール用ホイールと同様のパソコン操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の入力装置の第1の実施の形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】(a)は、上記入力装置の入力枠を模式的に示す平面図であり、(b)は、(a)のX1−X1断面の拡大図であり、(c)は、(a)のX2−X2断面の拡大図である。
【図3】(a)〜(c)は、上記入力枠の作製方法の一例を模式的に示す説明図である。
【図4】(a)〜(c)は、上記図3に示す工程に続く入力枠の作製方法を模式的に示す説明図である。
【図5】(a)〜(b)は、上記図4に示す工程に続く入力枠の作製方法を模式的に示す説明図である。
【図6】(a)は、上記図5に示す工程に続く入力枠の作製方法を模式的に示す説明図であり、(b)は、(a)のX3−X3断面図である。
【図7】上記図6に示す工程に続く入力枠の作製方法を模式的に示す説明図である。
【図8】本発明の入力装置の第2の実施の形態における入力枠を模式的に示す説明図である。
【図9】本発明の入力装置の第3の実施の形態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0015】
図1は、本発明の入力装置の第1の実施の形態を示す斜視図である。この実施の形態の入力装置は、図1に示すように、パソコンPにUSBケーブル等の接続ケーブルCで接続して使用するものであり、四角形状の入力用中空部(窓部)Sを有する四角枠状の入力枠A1と、この入力枠A1の上記入力用中空部Sにメモを入力するためのペンや指等の入力体Bとからなっている。そして、上記入力枠A1は、その入力枠A1自体の直交する2方向への移動量を認識する光学式移動量センサ(移動量認識手段)9を備えており、上記入力枠A1の移動量に応じて、上記パソコンPのディスプレイDに表示されるポインタFを動かすことができるようになっている。また、上記入力枠A1の入力用中空部Sに、上記入力体Bでメモを入力すると、その入力体Bの先端入力部(ペン先や指先等)の移動軌跡を上記入力枠A1が検知し、その移動軌跡をメモ(入力情報)として上記パソコンPのディスプレイDに表示させることができるようになっている。さらに、上記入力用中空部Sの一部分(図1では右上部分)には、二つの四角形状の領域L,Rが左右に隣接した状態で設定されており(図1の2点鎖線参照)、上記入力体Bの先端入力部を上記左の領域(第1の領域)Lに位置させると、パソコン操作用の一般的なマウスに備えられた左のクリックボタンを押したことに相当し(左クリックすることができ)、上記入力体Bの先端入力部を上記右の領域(第2の領域)Rに位置させると、パソコン操作用の一般的なマウスに備えられた右のクリックボタンを押したことに相当する(右クリックすることができる)ようになっている。なお、この実施の形態では、上記左右の領域L,Rの境界を目視にて認識できるよう、上記入力枠A1の表面に、上記境界を示す目印8aを設けている。この目印8aとしては、刻印した印や埋め込んだLED等があげられる。
【0016】
すなわち、上記入力装置は、マウス機能とメモ機能とを有している。そして、マウス機能からメモ機能への切り換えは、上記入力体Bの先端入力部を入力用中空部Sの上記左右の領域L,R以外の領域において感知させることにより行い、メモ機能からマウス機能への切り換えは、上記入力体Bの先端入力部が入力用中空部Sにおいて感知されない状態で、上記入力枠A1を動かし、その入力枠A1が動いたことを上記光学式移動量センサ9に感知させることにより行うことができる。このため、上記入力枠A1を動かすと、マウス機能に切り換わり、そのままで上記入力枠A1を移動させると、その移動に対応して、パソコンPのディスプレイDに表示されたポインタFを動かすことができる。そして、上記入力枠A1を停止させ、必要に応じて、上記左の領域Lに上記入力体Bの先端入力部を位置させる(左クリックする)か、または上記右の領域Rに上記入力体Bの先端入力部を位置させる(右クリックする)等して、パソコン操作用の一般的なマウスと同様に、パソコンPを操作することができる。一方、上記入力枠A1が停止した状態で、上記入力用中空部S内の領域でペンや指等の入力体Bでメモを書き込むと、メモ機能に切り換わり、そのメモの内容をパソコンPのディスプレイDに表示させることができる。なお、この実施の形態では、メモ機能に切り換えると、上記左右の領域L,Rが機能しなくなり(左右の領域L,Rがなくなり)、上記入力用中空部S全体がメモを書き込む領域となるよう設定されている。
【0017】
これにより、例えば、上記入力装置をマウスとして使用してパソコンPを操作しているときに、電話がかかってくる等して、メモをとる必要がある場合、上記入力枠A1を停止させ、そのまま、すぐに、上記入力枠A1の入力用中空部Sに、上記ペンや指等の入力体Bでメモを書き込むことができる。そのメモの内容は、パソコンPのディスプレイDに表示され、必要に応じて、パソコンPのハードディスク等の記憶媒体に記憶させることもできる。さらに、上記メモを書き込む際に、上記入力体Bとしてペン等の筆記具を用い、上記入力枠A1を紙の上に載置し、その入力枠A1の入力用中空部Sから露呈する上記紙の部分にメモを書き込むと、その紙にもメモの内容を残すことができる。上記メモの書き込みを終えると、上記入力体Bの先端入力部を入力用中空部Sから外し、その後、上記入力枠A1を動かすことにより、続きのパソコン操作を行うことができる。
【0018】
より詳しく説明すると、上記入力枠A1の内部には、その平面図を図2(a)に、図2(a)のX1−X1断面の拡大図を図2(b)に、図2(a)のX2−X2断面の拡大図を図2(c)に示すように、上記入力用中空部Sを有する四角枠状の光導波路Wと、この光導波路Wに接続される発光素子5および受光素子6を有する制御手段Eとを備えている。これら光導波路Wと制御手段Eとは、上記入力用中空部Sを有する四角枠状の保持板(枠状体)7の表面に設けられているとともに、上記入力用中空部Sを有する四角枠状の保護板8で覆われている。なお、上記入力用中空部Sの大きさは、例えば、対角線の長さが50〜155mm程度の大きさに設定される。
【0019】
上記四角枠状の光導波路Wは、図2(a),(b)に示すように、その四角枠形状の各辺の帯状の光導波路部分を個別に作製し、それを四角枠状に接続したものとなっている。この実施の形態では、上記帯状の各光導波路部分の両端縁が段部に形成されており、その段部を利用して位置決めした状態で、隣接し合う光導波路部分と光導波路部分とが接続されている。また、上記帯状の各光導波路部分は、アンダークラッド層1と、このアンダークラッド層1の表面に所定パターンに形成された光出射用のコア2aおよび光入射用の2bと、これらコア2a,2bを被覆した状態で、上記アンダークラッド層1の表面に形成されたオーバークラッド層3とからなっている。上記アンダークラッド層1は、上記四角枠状の保持板7の表面に貼着されている。なお、図2(b)は光入射側の断面図であるため、この図2(b)に光出射用のコア2aは図示されない。
【0020】
そして、四角枠状に形成された上記光導波路Wは、そのアンダークラッド層1の四角枠を構成する一対のL字状部分の一方の表面に、光出射用のコア2aが複数に分岐された状態で形成され、他方の表面に、光入射用の複数のコア2bが並列状態で形成されている。各コア2a,2bの先端部は、上記一対のL字状部分の内側縁(四角枠の内周縁)に位置決めされ、光出射用のコア2aの先端部と光入射用のコア2bの先端部とが対向した状態に形成されている。さらに、上記光出射用のコア2aおよび光入射用のコア2bを被覆した状態で、上記アンダークラッド層1の表面に、オーバークラッド層3が四角枠状に形成されている。この実施の形態では、上記四角枠の内周縁に位置決めされているコア2a,2bの先端部が、平面視形状が略1/2円弧状の曲面を有する凸状のレンズ部に形成され、そのレンズ部を被覆するオーバークラッド層3の先端部が、側断面形状が略1/4円弧状の曲面を有する凸状のレンズ部3aに形成されている。なお、図2(a)では、コア2a,2bを鎖線で示しており、鎖線の太さがコア2a,2bの太さを示している。また、図2(a),(b)では、コア2a,2bの数を略して図示している。
【0021】
一方、上記制御手段Eは、図2(a),(c)に示すように、上記発光素子5,受光素子6に加え、上記光学式移動量センサ9,上記入力装置を制御するCPU(中央処理装置)(図示せず),上記入力装置のマウス機能による情報およびメモ機能による情報を出力する出力モジュール(図示せず),そのメモ機能による情報を記憶する記憶手段(メモリ)(図示せず)等を備えている。そして、上記発光素子5,上記受光素子6,上記光学式移動量センサ9,上記CPU,上記出力モジュール,上記記憶手段等は、回路基板4に搭載され、電気的に接続されている。
【0022】
上記光学式移動量センサ9は、光を発し、その反射光を読み取ることにより上記入力枠A1の移動量を認識するものであり、その移動量認識が可能となるよう、図2(c)に示すように、上記光学式移動量センサ9が搭載されている回路基板4の部分および上記光学式移動量センサ9の設置位置に対応する上記保持板7の部分に、貫通孔4a,7aが形成され、その貫通孔4a,7aを通して、上記保持板7の裏面から上記光学式移動量センサ9が光を発し、その反射光を読み取るようになっている。
【0023】
また、パソコンP(図1参照)と接続するために用いるUSBケーブル等の前記接続ケーブルCは、上記入力枠A1の回路基板4に接続されており、その接続ケーブルCを介して、上記パソコンPから電気が供給されるとともに、上記入力装置のマウス機能による情報およびメモ機能による情報が上記パソコンPに送信されるようになっている。さらに、この実施の形態では、上記入力装置の入力枠A1に上記記憶手段を備えているため、上記入力枠A1にも上記入力したメモの内容を記憶させておくことができ、後で上記とは別のパソコンを利用して、上記記憶させたメモの内容を引き出す(再生する)ことができる。そして、先に述べたように、マウス機能とメモ機能とを切り換えることができるが、その際、パソコンPのディスプレイDの画面も、パソコン操作画面とメモ入力用画面とが切り換わるようになっている。
【0024】
このような構成を有する光導波路Wおよび制御手段Eを備えた入力枠A1において、上記入力枠A1を移動させると、上記マウス機能に切り換わり、その入力枠A1自体の直交する2方向への移動量が、上記光学式移動量センサ9により認識される。その移動量の情報は、パソコンPに出力され、パソコンPのディスプレイDに表示されるポインタFの移動量に対応するようになっている〔そのようなソフトウェア(プログラム)が上記パソコンPに組み込まれている〕。そのため、上記入力枠A1の移動に対応して、上記ポインタFが動くようになっている。そして、上記入力枠A1を停止させ、必要に応じて、上記指先等(入力体Bの先端入力部)を上記左の領域Lに位置させる(左クリックする)か、または上記右の領域Rに位置させる(右クリックする)等して、パソコンPを操作することができる。
【0025】
また、上記入力枠A1では、上記発光素子5からの光Hは、上記光出射用のコア2aを通り、その先端のレンズ部を経て、それを被覆するオーバークラッド層3のレンズ部3aの表面から投射される。これにより、その光Hは、上記四角枠状の光導波路Wの入力用中空部S内の領域において、格子状に走った状態となる。その格子状に走る光Hは、上記光出射用のコア2aの先端のレンズ部およびそれを被覆するオーバークラッド層3のレンズ部3aの屈折作用により、発散が抑制されている。そして、上記光Hは、受光側のオーバークラッド層3のレンズ部3aで受光され、そのレンズ部3aを透過し、光入射用のコア2bの先端のレンズ部を経て、上記光入射用のコア2bを通り、上記受光素子6に到達する。上記光入射用のコア2bに入射した光は、上記オーバークラッド層3のレンズ部3aおよび上記光入射用のコア2bの先端のレンズ部の屈折作用により、絞られて収束されている。
【0026】
そして、この状態で、上記入力用中空部S内の領域でペンや指等の入力体Bでメモを書き込むと、上記格子状に走る光Hは、上記入力体Bの先端入力部(ペン先や指先等)により遮光され、その遮光が上記受光素子6により感知される。この入力体Bの先端入力部の感知により、上記メモ機能に切り換わる。そして、上記遮光位置の軌跡が、上記入力体Bの先端入力部の移動によるメモ(入力情報)として、上記受光素子6により検知される。そのメモ(入力情報)は、パソコンPに出力され、上記書き込んだメモの内容が、パソコンPのディスプレイDに表示される〔そのようなソフトウェア(プログラム)が上記パソコンPに組み込まれている〕。
【0027】
つぎに、上記入力装置の入力枠A1の作製方法の一例について説明する。この実施の形態では、四角枠状の光導波路Wの作製は、その四角枠形状の各辺の帯状の光導波路部分を個別に作製し、それを四角枠状に接続することにより行われる。なお、光導波路Wの作製方法の説明に引用する図3(a)〜(c),図4(a)〜(c)は、図2(a)のX1−X1断面に相当する部分を図示している。
【0028】
まず、帯状の光導波路部分を形成するための基板10〔図3(a)参照〕を準備する。この基板10の形成材料としては、例えば、金属,樹脂,ガラス,石英,シリコン等があげられる。
【0029】
ついで、図3(a)に示すように、上記基板10の表面に、帯状のアンダークラッド層1を形成する。このアンダークラッド層1は、感光性樹脂を形成材料として、フォトリソグラフィ法により形成することができる。アンダークラッド層1の厚みは、例えば、5〜50μmの範囲内に設定される。
【0030】
つぎに、図3(b)に示すように、上記アンダークラッド層1の表面に、フォトリソグラフィ法により前記パターンの光出射用のコア2aおよび光入射用のコア2bを形成する。これらコア2a,2bの形成材料としては、上記アンダークラッド層1および下記オーバークラッド層3〔図4(b)参照〕の形成材料よりも屈折率が高い感光性樹脂が用いられる。なお、図3(b)は光入射側の断面図であるため、この図3(b)に光出射用のコア2aは図示されない。これは、下記の図4(a)〜(c)でも同様である。
【0031】
ここで、図3(c)に示すように、オーバークラッド層形成用の、透光性を有する成形型20を準備する。この成形型20には、オーバークラッド層3〔図4(b)参照〕の表面形状に対応する型面を有する凹部21が形成されている。そして、その凹部21を上にして、成形型20を成形ステージ(図示せず)の上に設置し、その凹部21に、オーバークラッド層3の形成材料である感光性樹脂3Aを充填する。
【0032】
ついで、図4(a)に示すように、上記アンダークラッド層1の表面にパターン形成したコア2a,2bを、上記成形型20の凹部21に対して位置決めし、その状態で、上記アンダークラッド層1を上記成形型20に押圧し、上記オーバークラッド層3の形成材料である感光性樹脂3A内に、上記コア2a,2bを浸す。そして、この状態で、紫外線等の照射線を、上記成形型20を透して上記感光性樹脂3Aに照射し、その感光性樹脂3Aを露光する。これにより、上記感光性樹脂3Aが硬化し、コア2a,2bの先端部に対応するオーバークラッド層3の部分がレンズ部3aに形成されたオーバークラッド層3が形成される。
【0033】
つぎに、図4(b)〔図4(a)とは上下を逆に図示している〕に示すように、上記成形型20〔図4(a)参照〕から、上記オーバークラッド層3を、上記基板10,アンダークラッド層1およびコア2a,2bと共に脱型する。
【0034】
そして、図4(c)に示すように、上記基板10〔図3(b)参照〕をアンダークラッド層1から剥離し、アンダークラッド層1,コア2a,2bおよびオーバークラッド層3からなる帯状の光導波路部分を得る。
【0035】
つぎに、図5(a)に平面図で示すように、回路基板4を準備し、それに、発光素子5,受光素子6,光学式移動量センサ9,CPU(図示せず),出力モジュール(図示せず),記憶手段(図示せず)等を搭載し、前記制御手段Eを作製する。なお、上記回路基板4には、上記光学式移動量センサ9が搭載される部分に光通過用の貫通孔4a〔図2(c)参照〕を予め形成しておく。
【0036】
ここで、図5(b)に平面図で示すように、入力用中空部Sを有する四角枠状の保持板7を準備する。この保持板7の形成材料としては、例えば、金属,樹脂,ガラス,石英,シリコン等があげられる。なかでも、平面性の保持に優れている点で、ステンレスが好ましい。保持板7の厚みは、例えば、0.5mm程度に設定される。なお、上記保持板7には、上記光学式移動量センサ9の設置位置に対応する部分に光通過用の貫通孔7aを予め形成しておく。
【0037】
そして、図6(a)に平面図で示し、図6(b)に断面図〔図6(a)のX3−X3断面図〕で示すように、上記四角枠状の保持板7の表面に、その四角枠に沿って、上記帯状の光導波路部分を貼着し、四角枠状の光導波路Wを作製する。ついで、その光導波路Wの一端縁に、上記制御手段Eを接続する。このとき、上記発光素子5を光出射用のコア2aに接続し、上記受光素子6を光入射用のコア2bに接続する。
【0038】
その後、図7に断面図で示すように、上記オーバークラッド層3のレンズ部3aを除く頂面と、上記制御手段Eとを、保護板8で被覆する。この保護板8の形成材料としては、例えば、樹脂,金属,ガラス,石英,シリコン等があげられる。保護板8の厚みは、例えば、金属製であれば、0.5mm程度、樹脂製であれば、0.8mm程度に設定される。
【0039】
このようにして、上記入力装置の入力枠A1を作製することができる。この入力枠A1において、上記光導波路Wの部分は、その表裏面の上記保持板7と保護板8とを合わせても、総厚を3mm程度と、薄く形成することができる。上記制御手段Eの部分も、その表裏面の上記保持板7と保護板8とを合わせても、総厚を3mm程度と、薄く形成することができる。この実施の形態では、上記光導波路Wの部分も上記制御手段Eの部分も、同じ厚みに形成している。
【0040】
なお、上記実施の形態では、入力装置の四角枠状の光導波路Wにおいて、入力用中空部S内での光伝送効率を向上させるために、光出射用のコア2aの先端部および光入射用のコア2bの先端部をレンズ部に形成するとともに、それを被覆するオーバークラッド層3の先端部もレンズ部3aに形成したが、入力用中空部S内での光伝送効率が充分であれば、上記レンズ部は、コア2a,2bまたはオーバークラッド層3の一方のみに形成してもよいし、両方とも形成しなくてもよい。また、上記レンズ部を形成しない場合、別体のレンズ体を準備し、上記光導波路Wの入力用中空部S内の周縁に沿って設置してもよい。
【0041】
図8は、本発明の入力装置の第2の実施の形態における入力枠を示す平面図である。この実施の形態の入力枠A2は、四角形状の入力用中空部Sを有する四角枠状の保持板7の、上記入力用中空部Sの対向する一方の周縁に、複数の発光ダイオード(発光手段)11が並設され、他方の周縁に、複数のフォトダイオード(受光手段)12が並設され、上記発光ダイオード11の発光部と、上記フォトダイオード12の受光部とが対向している。なお、上記発光ダイオード11およびフォトダイオード12は、上記保持板7の表面に設けられた四角枠状の回路基板4に搭載されている。また、上記第1の実施の形態と同様に、上記回路基板4には、光学式移動量センサ9,CPU,出力モジュール,記憶手段等が搭載されている。そして、入力用中空部Sに、上記第1の実施の形態と同様の左右の領域L,Rが設定されている。なお、図8では、発光ダイオード11,フォトダイオード12の数を略して図示している。
【0042】
この実施の形態でも、上記複数の発光ダイオード11により、上記入力用中空部S内の領域において、光Hが格子状に走った状態となる。そして、その入力用中空部S内の領域でペンや指等の入力体B(図1参照)を動かすと、上記格子状に走る光Hが、上記入力体Bの先端入力部(ペン先や指先等)により遮光され、その遮光が上記フォトダイオード12により感知されることにより、上記ペン先や指先等の位置情報が検知され、その位置情報がパソコンPに出力される。また、この第2の実施の形態の入力装置は、上記のように、上記光学式移動量センサ9を備え、入力用中空部Sに左右の領域L,Rが設定されている。すなわち、この第2の実施の形態の入力装置も、上記第1の実施の形態と同様に、マウス機能とメモ機能とを有し、同様の作用・効果を奏する。
【0043】
図9は、本発明の入力装置の第3の実施の形態を示す平面図である。この実施の形態の入力装置の入力枠A3は、四角形状の入力用中空部Sを有する四角枠状の保持板7の、上記入力用中空部Sの一つの辺の両側の角部に、発光ダイオード(発光手段)とCMOSイメージセンサ(受光素子)とを上下(上記保持板と直交する方向)に重ねた測定モジュール13がそれぞれ配置され、残りの3辺の内側面に、再帰性光反射テープ14が貼着されている。上記発光ダイオードは、約90°の広がり角度で光Hが投射されるものであり、上記入力用中空部S全体に光Hを行きわたらせるものとなっている。また、上記再帰性光反射テープ14は、入射した光を同じ方向に反射する機能をもっているものである。なお、上記2個の測定モジュール13は、上記保持板7の表面の一部に設けられた帯状の回路基板4に搭載されている。また、上記第1の実施の形態と同様に、上記回路基板4には、光学式移動量センサ9,CPU,出力モジュール,記憶手段等が搭載されている。そして、入力用中空部Sに、上記第1の実施の形態と同様の左右の領域L,Rが設定されている。
【0044】
この実施の形態では、上記各測定モジュール13の発光ダイオードから投射された光が上記再帰性光反射テープ14で反射され、投射元の測定モジュール13のCMOSイメージセンサで受光されるようになっている。このため、上記入力用中空部S内の領域において、上記2個の測定モジュール13を中心とした扇状に光Hが走った状態となる。そして、その入力用中空部S内の領域でペンや指等の入力体Bを動かすと、上記扇状に走る光Hが、上記入力体Bの先端入力部(ペン先や指先等)により遮光され、その遮光が上記2個の測定モジュール13のCMOSイメージセンサにより感知される。その遮光位置(上記ペン先や指先等の位置)は、三角測量を利用して特定され、その位置情報がパソコンPに出力される。また、この第3の実施の形態の入力装置は、上記のように、上記光学式移動量センサ9を備え、入力用中空部Sに左右の領域L,Rが設定されている。すなわち、この第3の実施の形態の入力装置も、上記第1の実施の形態と同様に、マウス機能とメモ機能とを有し、同様の作用・効果を奏する。
【0045】
なお、上記各実施の形態では、入力装置を接続ケーブルCでパソコンPに接続したが、その接続ケーブルCを用いることなく、無線で入力装置からの情報をパソコンPに送信するようにしてもよい。この場合、パソコンPから電気が供給されないため、入力装置の制御手段Eに電池および電源スイッチを設置する。
【0046】
また、上記各実施の形態において、一般的なパソコン操作用マウスに備えられたスクロール用ホイールに相当するホイールボタンを、入力枠A1,A2,A3に設け、このホイールボタンを回動させたり押したり等することにより、上記パソコン操作用マウスに備えられたスクロール用ホイールと同様のパソコン操作(画面のスクロール等)を行えるようにしてもよい。
【0047】
さらに、上記各実施の形態では、入力枠A1,A2,A3の入力用中空部Sを四角形状としたが、他の形状でもよく、例えば、一般的なパソコン操作用マウスのような卵型等でもよい。また、上記各実施の形態では、入力枠A1,A2,A3を四角枠状としたが、その外縁形状も、他の形状でもよく、例えば、一般的なパソコン操作用マウスの外縁形状のような卵型等でもよい。
【0048】
また、上記各実施の形態では、移動量認識手段として、光学式移動量センサ9を用いたが、他でもよく、例えば、ボール式移動量センサを用いてもよい。このボール式移動量センサは、入力枠A1,A2,A3をテーブル上等でスライド移動させた際に、そのテーブル上等に接触するボールが回転し、その回転方向や回転量を感知して直交する2方向への移動量を認識するセンサである。
【0049】
さらに、上記各実施の形態では、入力体Bの先端入力部(ペン先や指先等)の移動軌跡を認識できることから、その機能を利用して、入力枠A1,A2,A3の入力用中空部Sにおける入力体Bの先端入力部の動きに応じて、パソコンPのディスプレイDに表示されるポインタFを動かすことができるようにしてもよい。この場合、入力体Bの先端入力部の移動情報が、上記ポインタFを動かす情報なのかメモとしての情報なのかを選択する切り換え手段を設けることが好ましい。その切り換え手段としては、入力枠A1,A2,A3に設ける切り換えスイッチ、または入力用中空部Sの一部分(左右の領域L,R以外の部分)に設定される切り換え領域等があげられる。
【0050】
つぎに、実施例について説明する。但し、本発明は、実施例に限定されるわけではない。
【実施例】
【0051】
〔実施例1〕
〔アンダークラッド層の形成材料〕
成分A:脂環骨格を含むエポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE3150)
成分B:エポキシ基含有アクリル系ポリマー(日油社製、マープルーフG−0150M)
成分C:光酸発生剤(サンアプロ社製、CPI−200K)
これら成分A:75重量部,成分B:25重量部,成分C:4重量部を、紫外線吸収剤(チバジャパン社製、TINUVIN479)5重量部とともに、シクロヘキサノン(溶剤)に溶解することにより、アンダークラッド層の形成材料を調製した。
【0052】
〔コアの形成材料〕
成分D:ビスフェノールA骨格を含むエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、157S70)
成分E:ビスフェノールA骨格を含むエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)
成分F:エポキシ基含有スチレン系ポリマー(日油社製、マープルーフG−0250SP)
これら成分D:85重量部,成分E:5重量部,成分F:10重量部と上記成分C:4重量部とを、乳酸エチルに溶解することにより、コアの形成材料を調製した。
【0053】
〔オーバークラッド層の形成材料〕
成分G:脂環骨格を有するエポキシ樹脂(アデカ社製、EP4080E)
この成分G:100重量部と上記成分C:2重量部とを混合することにより、オーバークラッド層の形成材料を調製した。
【0054】
〔光導波路の作製〕
ステンレス製基板(厚み50μm)の表面に、上記アンダークラッド層の形成材料を塗布した後、160℃×2分間の加熱処理を行い、感光性樹脂層を形成した。ついで、上記感光性樹脂層に対し、紫外線を照射して積算光量1000mJ/cm2 の露光を行い、厚み10μmのアンダークラッド層(波長830nmにおける屈折率1.510)を形成した。
【0055】
ついで、上記アンダークラッド層の表面に、上記コアの形成材料を塗布した後、170℃×3分間の加熱処理を行い、感光性樹脂層を形成した。つぎに、フォトマスクを介して(ギャップ100μm)、紫外線を照射し、積算光量3000mJ/cm2 の露光を行った。つづいて、120℃×10分間の加熱処理を行った。その後、現像液(γ−ブチロラクトン)を用い現像することにより、未露光部分を溶解除去した後、120℃×5分間の乾燥処理を行い、幅30μm×高さ50μmのコア(波長830nmにおける屈折率1.570)をパターン形成した。
【0056】
ここで、オーバークラッド層形成用の、透光性を有する成形型を準備した。この成形型には、オーバークラッド層の表面形状に対応する型面を有する凹部が形成されている。そして、その凹部を上にして、成形型を成形ステージの上に設置し、その凹部に、上記オーバークラッド層の形成材料を充填した。
【0057】
ついで、上記アンダークラッド層の表面にパターン形成したコアを、上記成形型の凹部に対して位置決めし、その状態で、上記アンダークラッド層を上記成形型に押圧し、上記オーバークラッド層の形成材料内に、上記コアを浸した。そして、この状態で、紫外線を、上記成形型を透して上記オーバークラッド層の形成材料に照射して積算光量8000mJ/cm2 の露光を行い、コアの先端部に対応するオーバークラッド層の部分が凸状のレンズ部に形成されたオーバークラッド層を形成した。その凸状のレンズ部は、側断面形状が略1/4円弧状のレンズ曲面(曲率半径1.4mm)を有するものであった。
【0058】
つぎに、上記成形型から、上記オーバークラッド層を、上記基板,アンダークラッド層およびコアと共に脱型した。
【0059】
そして、上記基板をアンダークラッド層から剥離し、アンダークラッド層,コアおよびオーバークラッド層からなる帯状の光導波路部分(総厚1mm)を得た。
【0060】
〔入力枠の作製〕
つぎに、回路基板を準備し、それに、発光素子(Optowell社製、SM85−2N001),受光素子(浜松ホトニクス社製、S−10226),光学式移動量センサ(Avago社製、ADNS−5050),電源スイッチ,CMOS駆動CPU,水晶振動子,無線モジュール,リチウムイオンポリマー電池(容量110mAh、電圧3.7V)等を搭載し、制御手段を作製した。
【0061】
ここで、四角枠状のステンレス製保持板(厚み0.5mm)を準備した。この保持板の入力用中空部は、縦70mm×横50mmの四角形とした。そして、上記保持板の表面のうち、上記入力用中空部の外側部分に、上記帯状の光導波路部分を貼着し、四角枠状の光導波路を作製するとともに、上記制御手段を固定した。このとき、上記発光素子を光出射用のコアに接続し、上記受光素子を光入射用のコアに接続した。その後、上記オーバークラッド層のレンズ部を除く頂面と、上記制御手段の固定部分とを、四角枠状のステンレス製保護板(厚み0.5mm)で被覆し、入力枠を得た。
【0062】
〔実施例2〕
〔入力枠の作製〕
上記実施例1と同様の四角枠状の保持板を準備し、その入力用中空部の対向する一方の周縁に、複数の発光ダイオード(シャープ社製、GL4800E0000F)を並設し、他方の周縁に、複数のフォトダイオード(シャープ社製、PD411PI2E00P)を並設した。また、上記実施例1と同様に、回路基板に、光学式移動量センサ,電源スイッチ,CMOS駆動CPU,水晶振動子,無線モジュール,リチウムイオンポリマー電池(容量110mAh、電圧3.7V)等を搭載して制御手段を作製し、それを上記保持板に固定した。そして、上記発光ダイオード,フォトダイオード,制御手段を、四角枠状のステンレス製保護板(厚み0.5mm)で被覆し、入力枠を得た。
【0063】
〔入力装置の作動確認〕
パソコンを準備した。このパソコンには、上記実施例1,2の入力枠の光学式移動量センサにより認識された移動量とパソコンのディスプレイに表示されるポインタの移動量とを対応させるソフトウェア(プログラム)が組み込まれている。また、上記パソコンには、上記実施例1,2の入力枠の入力用中空部内の領域の座標を、ディスプレイの画面の座標に変換し、入力用中空部内の領域での遮光位置の移動軌跡を文字等の入力情報としてディスプレイに表示させるソフトウェア(プログラム)も組み込まれている。さらに、上記パソコンは、上記入力枠の無線モジュールからの電波(情報)を受信できるよう受信手段を備えており、上記パソコンと入力枠とを、無線で情報伝達可能に接続した。そして、前記第1の実施の形態と同様にして、入力用中空部内の右上角部に、左右の領域を設定し〔図2(a)参照〕、入力体の先端入力部を上記左の領域に位置させると、パソコン操作用の一般的なマウスにおける左クリックができ、入力体の先端入力部を上記右の領域に位置させると、右クリックができるようにした〔そのようなソフトウェア(プログラム)を上記パソコンに組み込んだ〕。
【0064】
そして、上記実施例1,2の入力枠を、そのステンレス製保持板を下にして、紙の上に載置した。ついで、電源スイッチにより入力枠の電源を入れた後、その入力枠を移動させた。その結果、その入力枠の移動に対応して、パソコンのディスプレイに表示されているポインタが動いた。その後、上記入力枠を停止させ、上記入力枠の入力用中空部から露呈する紙の部分にペンでメモを書いた。その結果、パソコンのディスプレイに、上記メモの内容が表示された。
【0065】
また、上記実施例1,2において、入力枠に、一般的なパソコン操作用マウスに備えられたスクロール用ホイールに相当するホイールボタンを設け、上記パソコン操作用マウスに備えられたスクロール用ホイールと同様のパソコン操作を行えるようにした。そして、その入力装置を使用して、上記と同様にして作動確認を行った後、上記ホイールボタンを回動させると、ディスプレイの画面がスクロールした。その後、上記と同様にして作動確認を行った結果、マウス機能およびメモ機能を発揮することができた。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、パソコン操作において、マウスに代えて使用することができ、しかも、パソコン操作状態からすぐにメモをとることができる入力装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
W 光導波路
S 入力用中空部
L 左の領域
R 右の領域
2a,2b コア
5 発光素子
6 受光素子
7 保持板
9 光学式移動量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定領域上を移動し、その領域内の所望の位置で停止し、その位置で情報を入力し、情報をパーソナルコンピュータに出力する構成を有する枠状の入力装置であって、枠状体と、この枠状体に設けられ光の投射および受光をする一組の発光手段および受光手段と、入力体と、上記枠状体に設けられ上記枠状体の移動量を認識する移動量認識手段と、上記枠状体の枠内の一部分に設定される第1および第2の領域とを備え、上記移動量認識手段で認識された上記枠状体の移動量の情報を、パーソナルコンピュータのディスプレイに表示されるポインタの移動情報とし、上記枠状体停止時における上記入力体の先端入力部による上記投射光における遮光の位置を、上記入力体の先端入力部による入力情報として、上記入力体の先端入力部が上記第1の領域に位置すると認識されるとパーソナルコンピュータ操作用のマウスに備えられた左のクリックボタンを押したことに相当し、上記入力体の先端入力部が上記第2の領域に位置すると認識されると上記マウスに備えられた右のクリックボタンを押したことに相当するように設定されていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
上記発光手段が、発光素子と、この発光素子に接続された、光導波路の複数の光出射用コアとからなり、上記受光手段が、受光素子と、この受光素子に接続された、光導波路の複数の光入射用コアとからなり、上記光出射用コアの先端部と上記光入射用コアの先端部とが、上記枠状体の内側縁に位置決めされた状態で対向している請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
上記発光手段が、複数の発光素子からなり、上記受光手段が、複数の受光素子からなり、上記複数の発光素子と上記複数の受光素子とが、上記枠状体の内側縁に位置決めされた状態で対向している請求項1記載の入力装置。
【請求項4】
上記発光手段と受光手段とが、発光素子と受光素子とを上下に重ねたモジュールからなり、そのモジュールが上記枠状体の一つの辺の両側の角部にそれぞれ配置され、これらモジュールの間の上記一つの辺を除く辺の内側面に、テープ状の再帰性光反射体が配置され、一方のモジュールの発光素子から投射された光が、上記再帰性光反射体に反射されて、この一方のモジュールの受光素子で受光されるようになっている請求項1記載の入力装置。
【請求項5】
パーソナルコンピュータ操作用のマウスに備えられたスクロール用ホイールに相当するホイールボタンが設けられている請求項1〜4のいずれか一項に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−114545(P2013−114545A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261636(P2011−261636)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】