説明

入浴剤

【課題】 分散性、湯を白濁させる効果、および湯の白濁の安定性に優れ、入浴中および入浴後に肌がべたつかず、十分な肌のすべすべ感が得られ、かつ保存安定性に優れた入浴剤を提供すること。
【解決手段】 平均分子量が200〜350の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(a)、平均分子量が480〜600の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(b)、および非イオン性界面活性剤(c)を含有する入浴剤であって、該組成物中に、該(a)と該(b)との質量比(a)/(b)が4/1〜30/1の割合となるように含有され、かつ該(a)と該(b)との合計量が20〜60質量%および該(c)が1〜20質量%含有される、入浴剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴剤に関し、より詳しくは湯への分散性、湯を白濁させる効果、および湯の白濁の安定性に優れ、入浴中および入浴後に肌がべたつかず、十分な肌のすべすべ感が得られ、かつ保存安定性に優れた、乳化型入浴剤に関する。
【背景技術】
【0002】
入浴は、身体を清潔にする、手足のみならず身体を芯まで温める、精神的にリラックスさせるなどの種々の効果があり、日常生活上欠くことのできない行為である。しかし、その一方で入浴による肌からの油分の喪失、特に冬季における入浴後の肌のかさつきを訴える人が多い。そこで、この入浴後の肌のかさつきを抑制するために、入浴後にローションやクリームなどを塗布することが行われている。しかし、ローションやクリームは塗布に手間を要し、十分に体の隅々まで塗ることは困難である。
【0003】
上記のような問題を解決するために、油性成分や保湿剤を配合した入浴剤が用いられている。入浴剤は、入浴中にスキンケアすることができるため、ローションやクリームなどに比べて、塗布する手間が省け、全身の隅々までケアできるという利点がある。
【0004】
ところで、入浴剤には、入浴後の肌のかさつきを抑制する観点から、通常、油性成分が含有される。このような入浴剤として、例えば、オイルバスなどが知られている。しかし、オイルバスは、油性成分を浴槽に浮かべて使用するため、肌のかさつきの抑制効果の発揮が、油層部分のみに限られる。そのため、上記効果を得るために大量のオイルバスが必要となる結果、入浴中に油性成分が必要以上の肌に付着し、べたつきを感じるという問題が生じる。さらに、浴槽を汚す、油性成分が浴槽に浮くために使用上見た目が悪いなどの問題もある。
【0005】
そこで、上述の問題を改善するために、乳化型入浴剤が提案されている。例えば、特許文献1には、油性成分と、HLB8〜14の非イオン性界面活性剤と色素とを特定の比率で組み合わせた入浴剤が開示されている。この入浴剤は、組成物の色が少しのあいた浴槽に残存した後、乳白色となるような保存安定性や湯への分散性を有することが記載されている。また、特許文献2では、特定の非イオン性界面活性剤、多価アルコール、油性成分、および水を特定の比率で組み合わせた、原液の高温安定性と白濁度の持続性を有する入浴剤が開示されている。しかし、これらの入浴剤は、浴槽を白濁にすることでミルクバスのような高級感から精神的なリラックス感を得られるものの、入浴剤を使用した浴槽で十分な白濁度が得られないという問題がある。
【0006】
一方、十分な白濁度を得る観点から、特許文献3には、37.78℃での動粘度が25.00〜76.00cSt(=mm/s)の流動パラフィンと界面活性剤を含有してなる入浴剤が開示されている、しかし、この入浴剤は、分散性および湯の白濁の安定性の点で不十分であり、入浴中および入浴後に肌にべたつき感があり、肌のすべすべ感が不十分であるといった問題がある。
【0007】
そこで、十分な白濁度が得られ、かつ分散性および湯の白濁の安定性に優れ、入浴中および入浴後に肌がべたつかず、十分な肌のすべすべ感が得られる、乳化型入浴剤が望まれている。
【特許文献1】特開平6−92839号公報
【特許文献2】特開平11−189526号公報
【特許文献3】特開2001−139457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、分散性、湯を白濁させる効果、および湯の白濁の安定性に優れ、入浴中および入浴後に肌がべたつかず、十分な肌のすべすべ感が得られ、かつ保存安定性に優れた入浴剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、分子量が異なる少なくとも2種の流動パラフィンまたは流動イソパラフィンと、非イオン性界面活性剤とを特定の割合で組み合わせて得られる入浴剤が、湯への分散性、湯を白濁させる効果、および湯の白濁の安定性に優れ、入浴中および入浴後に肌がべたつかず、十分な肌のすべすべ感が得られ、かつ保存安定性にも優れることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の入浴剤は、平均分子量が200〜350の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(a)、平均分子量が480〜600の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(b)、および非イオン性界面活性剤(c)を含有し、該組成物中に、該(a)と該(b)との質量比(a)/(b)が4/1〜30/1の割合となるように含有され、かつ該(a)と該(b)との合計量が20〜60質量%および該(c)が1〜20質量%含有される。
【0011】
好ましい実施態様においては、さらに、融点が40℃以上の炭素数14〜24の一価アルコール(d)を0.1〜5質量%含有する。
【0012】
好ましい実施態様においては、上記入浴剤中に、前記平均分子量が200〜350の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(a)と前記一価アルコール(d)との質量比(a)/(d)が10/1〜100/1となるように含有される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の入浴剤は、分散性、湯を白濁させる効果、および湯の白濁の安定性に優れ、入浴中および入浴後に肌がべたつかず、十分な肌のすべすべ感が得られ、かつ保存安定性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の入浴剤は、平均分子量が200〜350の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(a)、平均分子量が480〜600の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(b)、および非イオン性界面活性剤(c)を特定の割合で含有し、好ましくはさらに融点が40℃以上の炭素数14〜22の一価アルコール(d)を特定の割合で含有し、必要に応じて、その他の成分(e)を含有し得る。以下、各成分および入浴剤について順次説明する。
【0015】
(流動パラフィンまたは流動イソパラフィン:(a)および(b))
本発明の入浴剤の必須成分の1つは、流動パラフィンまたは流動イソパラフィンである。流動パラフィンは、実質的に直鎖の飽和炭化水素からなる、無色透明、無味無臭で精製度の高い飽和炭化水素油であり、例えば、石油の潤滑油留分に含められる芳香族炭化水素や硫黄化合物のような不純物を無水硫酸や発煙硫酸で除去し、さらに高純度に精製することによって得られる。流動イソパラフィンは、実質的に分岐鎖を有する飽和炭化水素からなる、無色無臭、低刺激性、および経時安定性に優れた炭化水素油であり、例えば、イソブテンなどの炭素数4のオレフィンを原料としてカチオン重合し、さらに高純度に精製することによって得られる。
【0016】
本発明においては、平均分子量が200〜350の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(以下、a成分という場合がある)および平均分子量が480〜600の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(以下、b成分という場合がある)の平均分子量が異なる少なくとも2種の流動パラフィンまたは流動イソパラフィンが用いられる。a成分およびb成分は、それぞれ上記平均分子量の範囲を満たすものであれば特に制限はない。これらのa成分およびb成分は、それぞれ流動パラフィンのみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよいし、流動イソパラフィンのみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよいし、あるいは流動パラフィンと流動イソパラフィンとを組み合わせて用いてもよい。
【0017】
上記a成分およびb成分の平均分子量は、通常、40℃における動粘度を目安に決定され得る。例えば、上記a成分の40℃における動粘度は、具体的には、約2.0〜20.0mm/sであり得、上記b成分の40℃における動粘度は、具体的には、約80.0〜140.0mm/sであり得る。得られる入浴剤の保存安定性、湯の白濁度、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感などの点を考慮すると、上記a成分の40℃における動粘度は、約5.0〜18.0mm/sが好ましく、上記b成分の40℃における動粘度は、約90.0〜130.0mm/sが好ましい。
【0018】
(非イオン性界面活性剤:(c))
本発明の入浴剤に用いられる非イオン性界面活性剤(以下c成分という場合がある)としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが用いられる。これらの非イオン性界面活性剤は、それぞれ単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
上記非イオン性界面活性剤は、HLBが11〜18の非イオン性界面活性剤と、HLBが2〜8の非イオン性界面活性剤とを組み合わせて用いることが好ましい。なお、HLBはGriffinの式により求められる。
【0020】
HLBが11〜18の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(15モル)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(18モル)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(13モル)オレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤;モノステアリン酸ポリエチレングリコール(12モル);モノステアリン酸ポリエチレングリコール(20モル);モノパルミチン酸ポリエチレングリコール(10モル);モノオレイン酸ポリエチレングリコール(20モル);ポリオキシエチレン(40モル)硬化ヒマシ油;モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタン;ポリオキシエチレン(7モル)ヤシ油脂肪酸グリセリンなどが挙げられる。得られる入浴剤の湯の白濁の安定性および保存安定性が優れる点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤が特に好ましい。
【0021】
HLBが2〜8の非イオン性界面活性剤としては、例えば、モノラウリン酸ソルビタン、モノミリスチン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリルなどのグリセリンモノ脂肪酸エステルなどが挙げられる。得られる入浴剤の湯への分散性および保存安定性が優れる点で、ソルビタン脂肪酸エステルがより好ましい。
【0022】
(一価アルコール:(d))
本発明の入浴剤は、湯への分散性をさらに高める点から、融点が40℃以上で、かつ炭素数が14〜24、好ましくは14〜18の一価アルコール(以下、d成分という場合がある)を含有することが好ましい。このような一価アルコール(d)は、通常、鯨ロウ類の加水分解、脂肪酸の高圧水素還元または金属ナトリウム還元、石油資源からの合成などにより得られる。具体的には、セチルアルコール(融点50℃)、セトステアリルアルコール(融点58℃)、ベヘニルアルコール(融点78℃)などが用いられる。好ましくはセトステアリルアルコールである。これらの一価アルコール(d)は、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。融点が40℃未満の場合または炭素数が14未満の場合、あるいは炭素数が24を超える場合は、得られる入浴剤の保存安定性および湯の白濁の安定性が悪くなる場合がある。
【0023】
(その他の成分:(e))
本発明の入浴剤に用いられ得るその他の成分は、当業者が入浴剤に通常用いる添加剤であり、本発明の入浴剤の性能を損なわない範囲で含有され得る。例えば、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類、糖質、アミノ酸、タンパク質などの保湿成分、牛脂、豚脂、魚油などの天然油脂類、トルマリン、粘度鉱物などの鉱物質、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなどの合成トリグリセライド、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オクチルドデシルなどのエステル油、ミツロウ、カルナバロウなどのロウ類、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン誘導体、ラノリン、ラノリン誘導体、レシチンなどの油性基剤、石鹸、アシルメチルタウリン塩、アミドエーテル硫酸エステルなどの陰イオン性界面活性剤、アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルイミノジ酢酸塩などの両性界面活性剤、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミンオキシドなどの半極性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムなどの陽イオン性界面活性剤、クロロフィル、β−カロチンなどの天然色素、タール色素などの合成色素、アルギン酸、カルボキシビニルポリマーなどの水溶性高分子、ホウ砂、クエン酸ナトリウムなどの無機または有機塩類、酸、アルカリなどのpH調整剤、殺菌剤、防腐剤、キレート剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、動植物由来の天然エキス、ビタミン類、美白成分、皮膚保護成分、脱塩素剤、活性酸素除去成分、香料等が挙げられる。
【0024】
(入浴剤)
本発明の入浴剤は、平均分子量が200〜350の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(a)、平均分子量が480〜600の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(b)、および非イオン性界面活性剤(c)を特定の割合で含有し、必要に応じて、融点が40℃以上の炭素数14〜22の一価アルコール(d)およびその他の成分(e)を含有し得る。本発明の入浴剤は、白濁タイプの乳化型入浴剤であり得る。
【0025】
本発明の入浴剤中のa成分およびb成分の含有量は、a成分とb成分との質量比(a)/(b)が4/1〜30/1、好ましくは6/1〜20/1であり、かつa成分とb成分との合計量が20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%である。
【0026】
a成分とb成分との質量比が4/1未満の場合、湯への分散性および湯の白濁度の安定性が悪く、入浴中および入浴後に肌のべたつきを感じ、かつ入浴剤の保存安定性も悪くなる。30/1を超える場合は、入浴剤を使用した湯の白濁度、および入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分である。
【0027】
a成分とb成分との合計量が20質量%未満の場合は、入浴剤を使用した湯の白濁度、湯の白濁の安定性、および入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分である。さらに入浴剤の保存安定性も悪くなる。60質量%を超える場合は、湯への分散性および湯の白濁の安定性が悪く、入浴中および入浴後に肌のべたつきを感じる。さらに入浴剤の保存安定性も悪くなる。
【0028】
本発明の入浴剤中のc成分の含有量は、1〜20質量%、好ましくは3〜15質量%である。1質量%未満の場合、湯への分散性、湯の白濁度、および湯の白濁の安定性が不十分であり、入浴中および入浴後に肌のべたつきを感じ、肌のすべすべ感が不十分である。さらに入浴剤の保存安定性も悪くなる。20質量%を超える場合は、湯の白濁度や入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分になる。
【0029】
本発明の入浴剤にd成分が含有される場合、d成分の含有量は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜3質量%である。0.1質量%未満の場合、保存安定性、湯の白濁の安定性が悪くなる場合がある。5.0質量%を超える場合は、入浴剤がゲル化して使用が困難になるばかりでなく、湯への分散性が悪くなり、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感も不十分となる場合がある。さらに入浴剤自体の保存安定性が悪くなる場合がある。
【0030】
本発明の入浴剤にd成分が含有される場合、a成分とd成分との質量比(a)/(d)は、好ましくは10/1〜100/1、より好ましくは8/1〜80/1である。10/1未満の場合、入浴剤がゲル化して使用が困難になるばかりでなく、湯への分散性が悪く、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感も不十分となる場合がある。さらに入浴剤自体の保存安定性が悪くなる場合がある。100/1を超える場合は、製剤の保存安定性や湯の白濁の安定性が不十分となる場合がある。
【0031】
本発明の入浴剤は、上記a成分〜e成分を上記の割合で適宜混合し、乳化することによって得られる。混合は、例えば、a成分、b成分などの流動パラフィンおよび/または流動イソパラフィンの混合物を予め調製し、さらにc成分の非イオン性界面活性剤、必要に応じて、d成分およびe成分を加えることによって行われる。乳化は、上記混合物をホモミキサー、高圧モホジナイザーなどの当業者が通常用いる乳化装置を用いることによって行われる。
【0032】
上記混合において、a成分とb成分との混合物を予め調製する場合には、その混合物の40℃における動粘度が4〜24mm/sであることが好ましく、12〜20mm/sであることがより好ましい。4mm/s未満の場合、入浴剤を使用した湯の白濁度および入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分となる場合がある。24mm/sを超える場合は、湯への分散性が悪く、入浴中および入浴後に肌のべたつきを感じ、製剤の保存安定性、湯の白濁の安定性が悪くなる場合がある。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0034】
以下の実施例および比較例で調製された各入浴剤について、以下の(1)〜(6)の方法により評価した。
【0035】
(1)分散性
12名の男性(27〜45歳)および8名の女性(23〜58歳)の合計20名をパネラーとし、180Lの湯(約40℃)が入った浴槽中に50mLの入用剤を入れ、入浴させる。入浴中の浴槽での分散性について以下の基準で採点する:
2点:入浴剤投入後に素早く分散し、均一に分散する。
1点:入浴剤投入後の分散に時間を要するが、均一に分散する。
0点:入浴剤を投入しても分散しない。
得られた点数の合計が30点以上であれば分散性が良好であり(○)、30点未満であれば分散性が不十分である(×)として評価する。
【0036】
(2)湯の白濁度
12名の男性(27〜45歳)および8名の女性(23〜58歳)の合計20名をパネラーとし、180Lの湯(約40℃)が入った浴槽中に50mLの入用剤を入れたときの白濁度について以下の基準で採点する:
2点:十分白濁している。
1点:白濁しているものの透明感がある。
0点:ほとんど透明であり、白濁が不十分である。
得られた点数の合計が30点以上であれば白濁度が良好であり(○)、30点未満であれば白濁度が不十分である(×)として評価する。
【0037】
(3)入浴中および入浴後の肌のべたつき感
12名の男性(27〜45歳)および8名の女性(23〜58歳)の合計20名をパネラーとし、180Lの湯(約40℃)が入った浴槽中に50mLの入用剤を入れ、入浴させる。入浴中および入浴後の肌のべたつき感について以下の基準で採点する:
2点:入浴中および入浴後において、肌のべたつきがない。
1点:入浴中および入浴後において、肌にべたつきを感じるが許容範囲である。
0点:入浴中および入浴後において、肌に非常にべたつきを感じる。
得られた点数の合計が30点以上であれば入浴中および入浴後の肌のべたつき感がない(○)、30点未満であれば入浴中および入浴後の肌のべたつき感がある(×)として評価する。
【0038】
(4)入浴中および入浴後の肌のすべすべ感
12名の男性(27〜45歳)および8名の女性(23〜58歳)の合計20名をパネラーとし、180Lの湯(約40℃)が入った浴槽中に50mLの入用剤を入れ、入浴させる。入浴中および入浴後の肌のすべすべ感について以下の基準で採点する:
2点:入浴中および入浴後において、十分な肌のすべすべ感が得られる。
1点:入浴中および入浴後において、許容範囲の肌のすべすべ感を感じる。
0点:入浴中および入浴後において、肌にすべすべ感がないまたは不十分である。
得られた点数の合計が30点以上であれば入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が十分である(○)、30点未満であれば入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分である(×)として評価する。
【0039】
(5)保存安定性
入浴剤を、5℃、25℃、および45℃のそれぞれの条件下で4週間保存する。保存終了後、入浴剤の外観を観察して、以下の基準で評価する。なお、◎または○の評価であれば、実用上問題ない保存安定性を有することとする:
◎:いずれの温度条件においても、分離およびクリーミングを生じない。
○:いずれかの温度条件において、分離またはクリーミングが若干生じる。
×:いずれかの温度条件において、分離またはクリーミングが著しい。
【0040】
(6)使用時の白濁の安定性
入浴剤をイオン交換水で希釈して、入浴剤を0.05質量%含有する水溶液を調製する。この水溶液を100mLのスクリュー管に入れ、45℃にて24時間保存する。保存終了後、水溶液の外観を観察して、以下の基準で評価する。なお、◎または○の評価であれば、実用上問題ない安定性を有することとする:
◎:分離およびクリーミングを生じない。
○:分離またはクリーミングが若干生じる。
×:分離またはクリーミングが著しい。
【0041】
(実施例1〜5)
表1に示す各成分を表1に示す割合で混合して入浴剤を得た(入浴剤1〜5)。得られた入浴剤1〜5を用いて、分散性、湯の白濁度、および入浴中および入浴後の肌のべたつき感および肌のすべすべ感について、上記試験方法(1)〜(4)により評価した。結果を表1に示す。
【0042】
(比較例1〜8)
表1に示す各成分を表1に示す割合で混合して入浴剤を得た(入浴剤6〜13)。得られた入浴剤6〜13を用いて、分散性、湯の白濁度、および入浴中および入浴後の肌のべたつき感および肌のすべすべ感について、上記試験方法(1)〜(4)により評価した。結果を表1に併せて示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表1の結果から、実施例1〜5の入浴剤は、いずれも分散性、湯を白濁させる効果が高く、入浴中および入浴後に肌がべたつかず、十分な肌のすべすべ感が得られた。実施例3では、セトステアリルアルコール(d成分)を含有するため、分散性が特に良好であった。実施例4では、b成分の含有量が高く、湯の白濁度、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が特に良好であった。実施例5では、c成分およびd成分の含有量が高く、分散性が特に良好であった。
【0045】
一方、比較例1〜8の入浴剤は、本発明の範囲を満たさず、入浴剤としての十分な性能が得られていないことがわかる。すなわち、比較例1では、a成分とb成分との合計量が低いため、湯の白濁度が不十分であり、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分であった。比較例2では、a成分とb成分との合計量が高いため、分散性が悪く、入浴中および入浴後に肌のべたつき感があった。比較例3では、a/bが低いため、分散性が悪く、入浴中および入浴後に肌のべたつき感があった。比較例4では、a/bが高いため、湯の白濁度が不十分であり、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分であった。比較例5では、a成分およびb成分が含有せず、かつ平均分子量が低い油性成分(n−ドデカン)を用いているため、湯の白濁度が不十分であり、入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分であった。比較例6では、a成分およびb成分が含有せず、かつ平均分子量が高い油性成分(流動イソパラフィン)を用いているため、分散性が悪く、湯の白濁度が不十分であり、入浴中および入浴後に肌のべたつき感があり、さらに入浴中および入浴後の肌のすべすべ感も不十分であった。比較例7では、c成分の含有量が低いため、分散性が悪く、湯の白濁度が不十分であり、入浴中および入浴後に肌のべたつき感があり、さらに入浴中および入浴後の肌のすべすべ感も不十分であった。なお、浴槽に油が浮いた状態になり、外観も悪かった。比較例8では、c成分の含有量が高いため、湯への分散性および肌のべたつき感は許容範囲であるものの、湯の白濁度および入浴中および入浴後の肌のすべすべ感が不十分であった。
【0046】
(実施例6および7)
表2に示す各成分を表2に示す割合で混合して入浴剤を得た(入浴剤14および15)。得られた入浴剤14および15を用いて、保存安定性および使用時の白濁の安定性について、上記試験方法(5)および(6)により評価した。結果を表2に示す。
【0047】
(比較例9〜12)
表2に示す各成分を表2に示す割合で混合して入浴剤を得た(入浴剤16〜19)。得られた入浴剤16〜19を用いて、保存安定性および使用時の白濁の安定性について、上記試験方法(5)および(6)により評価した。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】

【0049】
表2の結果から、実施例6および実施例7のa成分〜c成分を本発明の範囲で含有する入浴剤(入浴剤14および15)は、保存安定性および使用時の白濁の安定性ともに優れている。実施例6は、d成分を含有しているため、使用時の白濁の安定性に特に優れていた。
【0050】
一方、比較例9〜12では十分な保存安定性および白濁の安定性は得られなかった。すなわち、比較例9では、a成分とb成分との合計量が高いため、保存安定性および使用時の白濁の安定性ともに悪かった。比較例10では、a成分とb成分との合計量が低いため、保存安定性および使用時の白濁の安定性ともに悪かった。比較例11では、a成分とb成分との比率が低いため、保存安定性および使用時の白濁の安定性ともに悪かった。比較例12では、c成分の含有量が低いため、保存安定性および使用時の白濁の安定性ともに悪かった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、分散性、湯を白濁させる効果、および湯の白濁の安定性に優れ、入浴中および入浴後の肌がべたつかず、十分な肌のすべすべ感が得られ、かつ製剤の保存安定性にも優れた入浴剤が提供される。本発明の入浴剤は、乳化型の白濁入浴剤として利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均分子量が200〜350の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(a)、平均分子量が480〜600の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(b)、および非イオン性界面活性剤(c)を含有する入浴剤であって、
該組成物中に、該(a)と該(b)との質量比(a)/(b)が4/1〜30/1の割合となるように含有され、かつ該(a)と該(b)との合計量が20〜60質量%および該(c)が1〜20質量%含有される、
入浴剤。
【請求項2】
さらに、融点が40℃以上の炭素数14〜24の一価アルコール(d)を0.1〜5質量%含有する、請求項1に記載の入浴剤。
【請求項3】
前記入浴剤中に、前記平均分子量が200〜350の流動パラフィンまたは流動イソパラフィン(a)と前記一価アルコール(d)との質量比(a)/(d)が10/1〜100/1となるように含有される、請求項2に記載の入浴剤。

【公開番号】特開2006−240992(P2006−240992A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−54264(P2005−54264)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000004341)日本油脂株式会社 (896)
【Fターム(参考)】