説明

入浴車

【課題】本発明の目的は、訪問入浴サービス用の入浴車において、訪問先が傾斜地であっても入浴車の荷台にボイラーを水平な状態で固定することができる入浴車を提供することにある。
【解決手段】本発明の入浴車100は、入浴車100の荷台101に固定され、ボイラー90を入浴車100に固定する機能とボイラー90を水平に調整する機能とを備えた傾斜調整手段10を有し、傾斜調整手段10は、入浴車100の走行時にボイラー90を入浴車100に固定するとともに、入浴車100を傾斜地に停車させてボイラー90を使用する時にボイラー90を水平にした状態で入浴車100に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱形のボイラー、貯水タンク、燃料タンクおよび搬出可能な浴槽等の入浴用設備機器を搭載する訪問入浴サービス用の入浴車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車中に搭載された浴槽等を訪問先の住宅に運び込んで入浴者を入浴させる訪問入浴サービス用の入浴車(移動入浴車)は、箱型商用車(ワンボックス車)の荷室内部(荷台)に、浴槽等への給湯に必要なボイラー、貯水タンク、燃料タンクおよび搬出可能な浴槽等の給湯設備機器を搭載している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような給湯設備機器の中でもボイラーは、貯水タンクからの水を温水にして浴槽に送るための配水管、燃料タンクから燃料を補充するための配管、電源装置と接続される電気配線等の様々な配管、配線が接続されている。
【0004】
ところで、従来の入浴車では、走行中にボイラーが入浴車の荷室内で倒れて破損するのを防止するため、一般に、ボイラーは基盤を介して荷台に固定されている。しかしながら、訪問先で入浴車を傾斜地に長時間停車することも多く、その場合、傾斜した状態のボイラーから基盤に対して不均一に荷重がかかってしまい、基盤に撓み、歪み等が生じてしまうことがある。また、同時に、ボイラーの底面にも不均一に荷重がかかっているため、ボイラー自身にも撓み、歪み等が生じてしまうことがある。このように基盤やボイラーが変形した結果、基盤周辺の荷台を這わせてボイラーに接続される電気配線が接触不良を起こしてしまい、ボイラーを正常に作動させることができないといった問題があった。そのため、訪問先が傾斜地であっても、ボイラーを水平に維持した状態で入浴車の荷台に固定する方法が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−269792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みたものであり、その目的は、訪問入浴サービス用の入浴車において、訪問先が傾斜地であっても入浴車の荷台にボイラーを水平な状態で固定することができる入浴車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は以下の(1)〜(14)の本発明により達成される。
(1) 少なくとも箱型のボイラー、貯水タンク、燃料タンクおよび搬出可能な浴槽を含む入浴用設備機器を搭載する入浴車であって、
前記入浴車の荷台に固定され、前記ボイラーを前記入浴車に固定する機能と前記ボイラーを水平に調整する機能とを備えた傾斜調整手段を有し、
前記傾斜調整手段は、前記入浴車の走行時に前記ボイラーを前記入浴車に固定するとともに、前記入浴車を傾斜地に停車させて前記ボイラーを使用する時に前記ボイラーを水平にした状態で前記入浴車に固定することを特徴とする入浴車。
【0008】
(2) 前記傾斜調整手段は、
略直方体状の空間をなす枠体で構成され、前記入浴車の荷台に該枠体の底部が固定された第1の支持枠と、
該第1の支持枠よりも小さな枠体で構成され、前記ボイラーを該枠体に固定するとともに、前記第1の支持枠の内側に配置される第2の支持枠と、
前記第1の支持枠の上部と前記第2の支持枠の上部とを連結し、前記第1の支持枠から前記第2の支持枠を吊り下げて前記第2の支持枠を水平に調整する吊り下げ部と、
前記第2の支持枠を前記第1の支持枠に固定可能な固定機構とを有し、
前記固定機構は、前記入浴車を傾斜地に停車させて前記ボイラーを使用する時に前記第2の支持枠を水平に調整した状態で前記第1の支持枠に固定する上記(1)に記載の入浴車。
【0009】
(3) 前記固定機構は、前記入浴車の走行時に前記第2の支持枠を前記第1の支持枠に固定する機能と、前記入浴車を傾斜地に停車させて前記ボイラーを使用する時に前記第2の支持枠を水平に調整した状態で前記第1の支持枠に固定する機能とを有する上記(2)に記載の入浴車。
【0010】
(4) 前記吊り下げ部は、前記第1の支持枠の上部との連結点を支点として、前記第2の支持枠をあらゆる方向に揺動可能に吊り下げられている上記(3)に記載の入浴車。
【0011】
(5) 前記傾斜調整手段は、さらに、前記第2の支持枠の傾斜した状態から水平な状態への変位に合わせて、前記第2の支持枠の底部を前記第1の支持枠の底部に可動に連結する可動連結部を有する上記(4)に記載の入浴車。
【0012】
(6) 前記可動連結部は、前記第1の支持枠の底部と固定された底板と、前記第1の支持枠の底部の一辺とほぼ平行な方向へスライド可能に前記底板と連結した第1のスライド部と、該第1のスライド部のスライド方向と直交する方向へスライド可能に前記第1のスライド部と連結するとともに、前記第2の支持枠の底部と固定される第2のスライド部とを有する上記(5)に記載の入浴車。
【0013】
(7) 前記第1のスライド部は枠体で構成されているとともに、前記第2のスライド部は中央に貫通孔が形成された板状の部材で構成されており、
前記固定機構は、前記第2のスライド部の上側に配置される雄ねじと、一端に前記雄ねじと螺合する雌ねじが形成されるとともに、他端に球体が一体に形成され、前記第2のスライド部の貫通孔および前記第1のスライド部の枠内を貫通する軸部と、前記軸部の球体を介して前記軸部に傾動自在に連結し、前記底板に固着する固着部とを有し、
前記雄ねじを前記軸部の雌ねじに螺合することにより、前記底板の傾斜状態にかかわらず前記固着部が前記底板に対して平行に固着され、前記第2の支持枠が水平に調整された状態で前記第1の支持枠に固定される上記(6)に記載の入浴車。
【0014】
(8) 前記傾斜調整手段は、
前記ボイラーの底部に固定される基板と、
前記基板下面のほぼ中央と前記入浴車の荷台とを連結し、該基板を前記入浴車の荷台に対して傾動自在に支持する支持部と、
前記基板下面の4隅に設けられ、前記基板の垂直方向に可動して長さを調整可能な4つの脚部とを有し、
前記入浴車の走行時に、前記4つの脚部の長さを調整して該4つの脚部の先端を前記入浴車の荷台に接触させることにより前記基板を前記入浴車の荷台に固定するとともに、前記入浴車を傾斜地に停車させて前記ボイラーを使用する時に、前記4つの脚部の長さを調整して前記基板を水平に調整した状態で前記入浴車の荷台に固定する上記(1)に記載の入浴車。
【0015】
(9) 前記傾斜調整手段は、
前記入浴車の荷台に固定された脚部と、該脚部から前記入浴車の高さ方向に伸びた支柱部と、該支柱部から略直角に伸びた延出部とを有する略L字状のアームと、
該アームの延出部と連結し、略直方体状の空間をなす枠体で構成されるとともに、前記ボイラーを該枠体に固定する支持枠と、
前記アームの延出部の先端部と前記支持枠の上部とを連結し、前記アームの延出部の先端部から前記支持枠をあらゆる方向に揺動可能に連結して前記支持枠を水平に調整する連結部と、
前記支持枠を前記入浴車の荷台に固定可能な固定機構とを有し、
前記固定機構は、前記入浴車の走行時に前記支持枠を前記入浴車の荷台に固定する機能と、前記入浴車を傾斜地に停車させて前記ボイラーを使用する時に前記支持枠を水平に調整した状態で前記入浴車の荷台に固定する機能とを有する上記(1)に記載の入浴車。
【0016】
(10) 前記傾斜調整手段は、さらに、前記アームの延出部を介して互いに離間して前記入浴車の荷台に固定された一対の脚部と、該一対の脚部から前記入浴車の高さ方向に伸びる一対の支柱部と、各支柱部から略直角に伸びて、各支柱部の前記脚部とは反対側の端部間を連結する支持部とを有するコの字状の補助アームを有し、前記アームの延出部は、その略中央部において前記補助アームの支持部によって支持されている上記(9)に記載の入浴車。
【0017】
(11) 前記連結部は、前記ボイラーが固定された前記支持枠の振動を吸収する振動吸収手段を備えている上記(10)に記載の入浴車。
【0018】
(12) 前記支持枠は、前記ボイラーが固定された状態で前記ボイラーの底部全面を覆う基板を有しており、
前記固定機構は、一端にレバーが設けられた軸部と、前記支持枠の基板の側部に設けられ、前記軸部の他端が挿通されているとともに、前記軸部の一端に設けられたレバーが挿脱可能な溝が形成された筒部と、前記軸部の他端側に設けられ、球体部を有する支持体と、前記支持体の球体部を介して前記軸部の他端に傾動自在に連結し、前記荷台に固着する固着部と、前記軸部の他端が挿通されているとともに、前記筒部の底部と前記固着部との間に配置されたばね部材とを有するばね付勢手段を有しており、
該ばね付勢手段の前記軸部のレバーを回動させて、該レバーが前記筒部の溝部に挿嵌されることにより、前記ばね部材によって前記固着部が前記入浴車の荷台方向にばね付勢され、前記入浴車の荷台の傾斜状態にかかわらず前記固着部が前記荷台に対して平行に固着され、前記支持枠が水平に調整された状態で前記入浴車の荷台に固定される上記(11)に記載の入浴車。
【0019】
(13) 前記傾斜調整手段は、
前記入浴車の荷室天井付近に設けられ、前記入浴車の幅方向にそれぞれ延在する一対の棒材で構成され、各棒材の両端部が前記入浴車の荷室天井付近の側部に固定された一対の支持棒と、
該一対の支持棒と連結し、略直方体状の空間をなす枠体で構成されるとともに、前記ボイラーを該枠体に固定する支持枠と、
前記一対の支持棒間に固定されるとともに、前記支持枠の上部と連結し、前記一対の支持棒から前記支持枠をあらゆる方向に揺動可能に連結して前記支持枠を水平に調整する連結部と、
前記支持枠を前記入浴車の荷台に固定可能な固定機構とを有し、
前記固定機構は、前記入浴車の走行時に前記支持枠を前記入浴車の荷台に固定する機能と、前記入浴車を傾斜地に停車させて前記ボイラーを使用する時に前記支持枠を水平に調整した状態で前記入浴車の荷台に固定する機能とを有する上記(1)に記載の入浴車。
【0020】
(14) 前記固定機構は、前記入浴車の走行時に前記支持枠を前記入浴車の荷台にロックするロック手段を有し、
該ロック手段によって、前記支持枠が前記入浴車の荷台にロックされて固定される上記(9)ないし(13)のいずれかに記載の入浴車。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、訪問入浴サービスを行う訪問先において入浴車を傾斜地に停車する場合であっても、入浴車の荷台にボイラーを水平にした状態で固定することができる。そのため、訪問先において入浴車を傾斜地に長時間停車する場合でも、ボイラー本体の底面に均一に荷重がかかっているため、ボイラー本体に撓み、歪み等が発生するのを確実に防止することができる。その結果、ボイラーに接続される電気配線の接触不良等の不具合を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の入浴車の好適な実施形態(第1実施形態)を斜め後方から見た時に、傾斜調整手段によって荷室内部(荷台)に搭載されたボイラーの状態を説明するための図(内部を透視して示す)である。
【図2】図1に示す傾斜調整手段およびボイラーをA方向から見た側面図である。
【図3】図1に示す傾斜調整手段およびボイラーをA方向とは直交する方向から見た側面図である。
【図4】図1に示す傾斜調整手段およびボイラーを上面から見た上面図である。
【図5】図3に示す傾斜調整手段の可動連結部および固定機構の部分の拡大側面図である。
【図6】図5に示す可動連結部を分解して下から見た図である。
【図7】入浴車を図中左側に傾斜した傾斜地に停車させてボイラーを使用する時に、第2の支持枠を第1の支持枠に固定した状態を示す側面図である。
【図8】入浴車を図中右側に傾斜した傾斜地に停車させてボイラーを使用する時に、第2の支持枠を第1の支持枠に固定した状態を示す側面図である。
【図9】本発明の入浴車の第2実施形態が備える傾斜調整手段の側面図である。
【図10】本発明の入浴車の第3実施形態を斜め後方から見た時に、傾斜調整手段によって荷室内部に搭載されたボイラーの状態を説明するための図(内部を透視して示す)である。
【図11】図10に示す傾斜調整手段およびボイラーをB方向から見た側面図である。
【図12】図10に示す傾斜調整手段およびボイラーをB方向とは直交する方向から見た側面図である。
【図13】図10に示す傾斜調整手段の固定機構を説明するための斜視図である。
【図14】図10に示す傾斜調整手段の固定機構が備えるばね付勢手段の動作を説明するための図であり、(a)は、ばね付勢手段の固着部が荷台から離れた状態を説明するための図であり、(b)は、ばね付勢手段の固着部が荷台に固着(固定)された状態を説明するための図である。
【図15】図10に示す傾斜調整手段の固定機構が備えるロック手段の一例を説明するための図であり、(a)は、ばね付勢手段の固着部が荷台から離れた状態を説明するための図であり、(b)は、ばね付勢手段の固着部が荷台に固着されるとともに、ロック手段によって、ばね付勢手段を介して支持枠が荷台にロックされた状態を説明するための図である。
【図16】本発明の入浴車の第4実施形態において、運転席後部から荷室の斜め後方を見た時に、傾斜調整手段によって荷室内部に搭載されたボイラーの状態を説明するための図(内部を透視して示す)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の入浴車を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の入浴車の好適な実施形態(第1実施形態)を斜め後方から見た時に、傾斜調整手段によって荷室内部(荷台)に搭載されたボイラーの状態を説明するための図(内部を透視して示す)、図2は、図1に示す傾斜調整手段およびボイラーをA方向から見た側面図、図3は、図1に示す傾斜調整手段およびボイラーをA方向とは直交する方向から見た側面図、図4は、図1に示す傾斜調整手段およびボイラーを上面から見た上面図である。
【0024】
図1に示す本発明の入浴車100は、図面奥側に運転席が設けられ、図面手前側にハッチバック式のバックドアが設けられた自動車(ワンボックス車)であり、その荷室内部に荷台101を有する。この荷台101には、搬出可能であり、入浴の際に使用される浴槽(一体型浴槽または分割浴槽)、入浴用水を貯水する貯水タンク、貯水タンク内の入浴用水を加熱する際に使用されるボイラー90、ボイラー90の燃料を貯蔵する燃料タンク等の入浴用設備機器が搭載されている(浴槽、貯水タンクおよび燃料タンクは図示せず)。
【0025】
このようなボイラー90は、ボイラー本体901と、ボイラー本体901の上部に設けられ、入浴水を加熱する際に燃料を燃焼して発生する排ガスを排気するための煙突902とを有しており、ボイラー本体901には図示しない電気配線や配水管、燃料を供給する配管等が接続されている。また、入浴車100の荷室の天井には、ボイラー90の煙突902を覆い、煙突902から出る排ガスを車外に排気するための排気口(図示せず)が設けられている。
【0026】
そして、入浴車100では、ボイラー90が図1に示すような傾斜調整手段10に固定された状態で入浴車100の荷台101のサイドドア102付近に搭載される。
【0027】
このような傾斜調整手段10は、荷台101に固定されており、ボイラー90を入浴車100に固定する機能と、入浴車100を傾斜地に停車した時にボイラー90を水平に調整する機能とを有している。そして、傾斜調整手段10は、これらの機能により、入浴車100の走行時にボイラー90を入浴車100に固定するとともに、入浴車100を傾斜地に停車させてボイラー90を使用する時にボイラー90を水平にした状態で入浴車100に固定する。かかる傾斜調整手段10を備えた入浴車100では、訪問先で入浴車100を傾斜地に長時間停車した場合でも、ボイラー本体901の底面に均一に荷重がかかっているため、ボイラー本体901に撓み、歪み等が発生するのを確実に防止することができる。その結果、ボイラー90に接続される電気配線の接触不良等の不具合の発生を確実に防止することができる。
【0028】
また、入浴車100では、停車してボイラー90を使用する時に、荷台101の傾斜状態に合わせてボイラー90を水平な状態に調整するため、煙突902が排気口内を動く。そのため、ボイラー90の煙突902が荷室の天井に設けられた排気口に接触して損傷しないように、煙突902には耐熱性のカバーを装着しておくのが好ましい。
【0029】
以下、ボイラー90を固定した状態の傾斜調整手段10について詳細に説明する。
傾斜調整手段10は、図2ないし図4に示すように、略直方体状の空間をなす枠体で構成され、底部が荷台101に固定された第1の支持枠1と、第1の支持枠1よりも小さな枠体で構成され、第1の支持枠1の内側に配置される第2の支持枠2と、第1の支持枠1の上部と第2の支持枠2の上部とを連結し、第1の支持枠1から第2の支持枠2を吊り下げる吊り下げ部3と、第2の支持枠2を第1の支持枠1に固定する固定機構5とを有している。この傾斜調整手段10は、第2の支持枠2の枠体内にボイラー90を固定するようになっている。
【0030】
第1の支持枠1は、例えば、溶接、ねじ止め等により、複数の金属製の棒材を組み立ててなる略直方体状の空間をなす枠体であり、その内側に吊り下げ部3を介して第2の支持枠2を支持する。
【0031】
このような第1の支持枠1は、4本の棒材111からなる4つの側部11と、4本の棒材121からなる上部12と、4本の棒材131からなる底部13とから構成されており、底部13は、荷台101にねじ止め等によって固定されている。また、上部12は、図4に示すように、上部12の長手方向に延在する2本の棒材121の中間点付近を互いに連結する2本の棒材122を有しており、この棒材122に吊り下げ部3が固定される。
【0032】
また、第1の支持枠1の内側には、第1の支持枠1よりも小さな枠体で構成された第2の支持枠2が吊り下げ部3に吊り下げられている。
【0033】
第2の支持枠2は、第1の支持枠1と同様に、溶接、ねじ止め等により、複数の金属製の棒材を組み立ててなる略直方体状の空間をなす枠体であり、その大きさが第1の支持枠1よりも小さいものである。そして、第2の支持枠2は、枠体内にボイラー90を固定するようになっている。
【0034】
このような第2の支持枠2は、4本の棒材211からなる4つの側部21と、4本の棒材221からなる上部22と、4本の棒材231からなる底部23と、底部23上に設けられ、側部21を構成する4本の棒材211に固定されるとともに、ボイラー90を支持する支持板24とから構成されている。この上部22と支持板24との間にボイラー90が収納され、ねじ止め等により、ボイラー90と上部22および支持板24とが固定されることによって、ボイラー90が第2の支持枠2に固定される。また、上部22は、図4に示すように、上部22の長手方向に延在する2本の棒材221の中間点付近を互いに連結する棒材222を有しており、この棒材222に吊り下げ部3が固定される。
【0035】
また、第2の支持枠2は、第2の支持枠2の上部22と第1の支持枠1の上部12とを連結する吊り下げ部3によって第1の支持枠1から吊り下げられている。
【0036】
吊り下げ部3は、ボイラー90が固定された第2の支持枠2を第1の支持枠1から吊り下げて、第1の支持枠1の傾斜状態にかかわらず第2の支持枠2を水平に調整する機能を有している。
【0037】
このような吊り下げ部3は、第1の支持枠1の上部12の2本の棒材122に固定され、弾性変形可能な弾性支持部31と、弾性支持部31と軸33を介して連結するとともに、第2の支持枠2の上部22の棒材222に固定される連結板32とを有している。
【0038】
弾性支持部31は、図4に示すように、第1の支持枠1の上部12の下側から3本のねじで棒材122を貫通させ、2本の棒材122の上側に配置される板材34とねじ止めされている。弾性支持部31を構成する部材としては、ボイラー90を固定した第2の支持枠2の荷重がかかった状態で十分に弾性変形することが可能な部材が用いられる。このような部材としては、例えば、ゴム製のエンジンマウントを用いることができる。
【0039】
また、連結板32は、金属製の板材で構成されており、図3に示すように、コの字状に折り曲げられた形状を有している。そして、連結板32は、底面が第2の支持枠2の上部22の棒材222にねじ止めされるとともに、両側面が弾性支持部31を覆うようにして軸33を介して連結されている。
【0040】
このような構成の吊り下げ部3によって、第2の支持枠2は、弾性支持部31の第1の支持枠1の上部12(棒材122)との連結点を支点として、あらゆる方向に揺動可能に第1の支持枠1から吊り下げられる。そのため、入浴車100を傾斜地に停車させた時に、荷台101とともに第1の支持枠1が傾斜した状態であっても、ボイラー90を固定した状態の第2の支持枠2を、自身の重量によって自動的に傾斜した状態から水平な状態へと変位させることができる。また、入浴車100の走行時に荷台101が揺れる(振動する)場合であっても、荷台101(第1の支持枠1)の揺れを弾性支持部31が吸収するため、第2の支持枠2の揺れを低減させることができる。そのため、走行時のボイラー90への負荷を減らすこともできる。
【0041】
このように吊り下げ部3によって、荷台101(第1の支持枠1)の傾斜状態にかかわらず、水平な状態となった第2の支持枠2を固定機構5によって第1の支持枠1に固定することにより、入浴車100を傾斜地に停車させてボイラー90を使用する時にボイラー90を水平な状態で入浴車100に固定することができる。
【0042】
このような固定機構5は、入浴車100の走行時に、第2の支持枠2を第1の支持枠1に固定する機能と、入浴車100を傾斜地に停車させてボイラー90を使用する時に、上述した吊り下げ部3によって水平に調整された状態の第2の支持枠2を第1の支持枠1に固定する機能とを有している。固定機構5の具体的構成については、後に詳述する。
【0043】
以上の構成によって、入浴車100の走行時にボイラー90を入浴車100に固定するとともに、入浴車100を傾斜地に停車させてボイラー90を使用する時にボイラー90を水平にした状態で入浴車100に固定することができるが、本実施形態において傾斜調整手段10は、上記の構成に加え、さらに、第2の支持枠2の底部23を第1の支持枠1の底部13に可動に連結する可動連結部4を有している。
【0044】
以下、可動連結部4および固定機構5について詳細に説明する。
図5は、図3に示す傾斜調整手段の可動連結部および固定機構の部分の拡大側面図、図6は、図5に示す可動連結部を分解して下から見た図である。
【0045】
可動連結部4は、第2の支持枠2の底部23を第1の支持枠1の底部13に連結するとともに、第2の支持枠2の荷台101に対して傾斜した状態から水平な状態への変位に合わせて可動する機能を有している。
【0046】
このような可動連結部4は、図5および図6に示すように、第1の支持枠1の底部13と固定された底板部41と、第1の支持枠1の底部13の一辺とほぼ平行な方向(X方向)へスライド可能に底板部41と連結した第1のスライド部42と、第1のスライド部42のスライド方向と直交する方向(Y方向)へスライド可能に第1のスライド部42と連結するとともに、第2の支持枠2の底部23と固定される第2のスライド部43とを有している。
【0047】
底板部41は、金属製の板材で構成された底板411と、底板411の一方の対向する辺の中央部付近から上側に立設する一対のガイド支持部(一対のステイ)412と、一対のガイド支持部412に連結され、後述する第1のスライド部42の一対のスライドレール425をX方向に摺動可能に支持する一対のガイド部413とを有している。また、底板411は、その底面が第1の支持枠1の底部13と固定される。
【0048】
また、第1のスライド部42は、金属製の枠体で構成された基枠421と、底板部41の一対のガイド支持部412が設けられた位置と基枠421の中心線を介して直交した位置で基枠421の上側に立設する一対のガイド支持部422と、一対のガイド支持部(一対のステイ)422に連結され、後述する第2のスライド部43の一対のスライドレール435をX方向と直交するY方向に摺動可能に支持する一対のガイド部423と、基枠421のX方向と平行な一対の辺部の下側に設けられ、底板部41のガイド部413に摺動可能に支持される一対のスライドレール425と、一対のスライドレール425をその両端で基枠421の底部と固定するレール固定部424とを有している。このような第1のスライド部42は、底板部41に対してX方向にスライドするように構成されている。
【0049】
また、第2のスライド部43は、金属製の板材で構成され、中央に貫通孔431aが形成された基板431と、基板431のY方向と平行な一対の辺部の下側に設けられ、第1のスライド部42のガイド部423に摺動可能に支持される一対のスライドレール435と、一対のスライドレール435をその両端で基板431の底部と固定するレール固定部434とを有している。また、基板431は、その上面が第2の支持枠の底部23と固定される。このような第2のスライド部43は、底板部41に対してY方向にスライドするように構成されている。
【0050】
このような構成の可動連結部4は、第2の支持枠2をX方向およびY方向に自由にスライドさせることができる。そのため、可動連結部4は、入浴車100を傾斜地に停車させた時に、第2の支持枠2の傾斜した状態から水平な状態への変位をスムーズに行うことができるとともに、吊り下げ部3にかかる負荷を低減させることができる。
【0051】
次に、傾斜調整手段10における固定機構5の具体的な構成について説明する。
固定機構5は、図5に示すように、第2のスライド部43の上側に配置される雄ねじ51と、一端に雄ねじ51と螺合する雌ねじが形成され、第2のスライド部43の貫通孔431aおよび第1のスライド部42の枠内421aを貫通する軸部52と、軸部52の他端に連結し、底板部41に固着する固着部53とを有している。
【0052】
軸部52は、一端に雄ねじ51と螺合する雌ねじが形成されるとともに、他端に球体が一体に形成されている。このような軸部52としては、例えば、ボールジョイント等を用いることができる。
【0053】
固着部53は、軸部52の他端に形成された球体を介して軸部52に傾動自在に連結される。そのため、雄ねじ51を軸部52の雌ねじに螺合することにより、底板部41(第1の支持枠1)の傾斜状態にかかわらず固着部53の底面を底板部41に対して平行な状態で固着させることができる。また、このような固着部53の底面部分(底板部41との設置部分)はゴム製の部材で構成されており、固着部53と底板部41とを密着して固着させることが可能である。
【0054】
以下に、入浴車100を傾斜地に停車させて、第2の支持枠2を第1の支持枠1に固定した状態について説明する。
【0055】
図7は、水平方向に対して図中左側に傾斜した傾斜地に入浴車を停車させてボイラーを使用する時に、第2の支持枠を第1の支持枠に固定した状態を示す側面図、図8は、水平方向に対して図中右側に傾斜した傾斜地に入浴車を停車させてボイラーを使用する時に、第2の支持枠を第1の支持枠に固定した状態を示す側面図である。
【0056】
図7および図8に示すように、入浴車100を傾斜地に停車させた状態では荷台101とともに第1の支持枠1も傾斜しているが、上述した吊り下げ部3の作用により第1の支持枠1の傾斜状態にかかわらず、第2の支持枠2は水平な状態に調整される。そして、第2の支持枠2が水平に調整された状態で雄ねじ51を軸部52の雌ねじに螺合することにより、軸部52を鉛直にした状態で、雄ねじ51と軸部52との間で第2のスライド部43を水平に固定するとともに、固着部53の底面が傾斜した底板部41に対して密着して固着され、第2の支持枠2が水平に調整された状態で第1の支持枠1に固定される。
【0057】
なお、固定機構は、上述した構成に限定されず、入浴車100の走行時に第2の支持枠2を第1の支持枠1に固定する機能と、入浴車100を傾斜地に停車させてボイラー90を使用する時に水平に調整された状態の第2の支持枠2を第1の支持枠1に固定する機能とを有していればよい。例えば、第2の支持枠2の底部23の4隅と、第1の支持枠1の底部13とをシリンダー機構を備えた脚部で連結したり、第2の支持枠2の上部22をなす棒材221と第1の支持枠1の上部12をなす棒材121とをシリンダー機構を備えた部材で連結させたりすることによって、入浴車100を傾斜地に停車させてボイラー90を使用する時に、自動的に第2の支持枠2を水平な状態で第1の支持枠1に固定することができる。
【0058】
入浴車100では、以上のような構成の傾斜調整手段10を用いて、訪問先に出発する前に固定機構5によって第2の支持枠2を第1の支持枠1に固定し、訪問先に到着した時に固定機構5による固定を一度解除し、第2の支持枠2が吊り下げ部3によって水平になってから固定機構5により第2の支持枠2を第1の支持枠1に固定する。その後、ボイラー90の電源を入れて作動させる。
【0059】
なお、このような入浴車100では、傾斜調整手段10により、第2の支持枠2に固定されたボイラー90の煙突902が、吊り下げ部3に対して揺動(ピボット)する。そのため、入浴車100の荷室の天井に設けられた排気口の煙突902を覆う部分のサイズは、煙突902が揺動する範囲よりも大きく形成されている。これにより、ボイラー90(第2の支持枠2)が吊り下げ部3によって傾斜状態から水平な状態に変位する時に、煙突902が排気口と接触するのを防止することができる。また、後述するその他の実施形態の入浴車100A、100Bおよび100Cにおいても、同様に、排気口の煙突902を覆う部分のサイズは、煙突902が動く範囲よりも大きく形成される。
【0060】
次に、本発明の入浴車の第2実施形態について説明する。
図9は、本発明の入浴車の第2実施形態が備える傾斜調整手段の側面図である。
【0061】
本実施形態の入浴車100A(図示せず)は、傾斜調整手段の構成が異なる以外は前述した入浴車100と同じ構成を有している。
【0062】
本実施形態の入浴車100Aでは、傾斜調整手段10Aが、図9に示すように、ボイラー90の底部に固定される基板6と、基板6の下面のほぼ中央と荷台101とを連結し、基板6を荷台101に対して傾動自在に支持する支持部7と、基板6の下面の4隅に設けられ、基板6の垂直方向に可動して長さを調整可能な4つの脚部8とを有している。
【0063】
このような支持部7は、荷台101に固定される底部部材71と、基板6と固定される上部部材72とを有している。また、上部部材72は、底部部材71と傾動自在に連結する。このような構成の支持部7は、基板6を荷台101に対して傾動自在に支持する。このような支持部7としては、例えば、ユニバーサルジョイント等を用いることができる。
【0064】
また、各脚部8は、その長さを調整可能に構成されており、基端82が基板6に固定されており、先端81がゴム製に部材で構成されている。このような脚部8としては、例えば、上下可動するねじ部材で構成されている。なお、ねじ部材の代わりにシリンダー部材を用いることもできる。
【0065】
このような傾斜調整手段10Aを用いることにより、入浴車100Aの走行時に、4つの脚部8の長さを調整して4つの脚部8の先端81を荷台101に接触させ、ボイラー90が固定された基板6を荷台101に固定することができる。また、入浴車100を傾斜地に停車させてボイラー90を使用する時に、目視または水準計等を用いて4つの脚部8の長さを調整して基板6を水平にした状態で荷台101に固定することができる。
【0066】
次に、本発明の入浴車の第3実施形態について説明する。
図10は、本発明の入浴車の第3実施形態を斜め後方から見た時に、傾斜調整手段によって荷室内部に搭載されたボイラーの状態を説明するための(内部を透視して示す)、図11は、図10に示す傾斜調整手段およびボイラーをB方向から見た側面図、図12は、図10に示す傾斜調整手段およびボイラーをB方向とは直交する方向から見た側面図、図13は、図10に示す傾斜調整手段の固定機構を説明するための斜視図である。なお、図10、11、12および後述する図15では、本発明の好適な実施形態が備える傾斜調整手段の構成をより明確に示すために、入浴車の荷台に搭載されるボイラーの煙突を図示しないが、前述した入浴車100のボイラー90と同様に、各図に示されるボイラーには煙突が設けられている。
【0067】
本実施形態の入浴車100Bは、傾斜調整手段の構成が異なる以外は前述した入浴車100と同じ構成を有している。
【0068】
本実施形態の入浴車100Bでは、傾斜調整手段10Bが、図10ないし図13に示すように、一端が荷台101に固定された略L字状のアーム600と、アーム600の他端と連結される略直方体状の空間をなす枠体で構成された支持枠500と、アーム600の他端と支持枠500の上部とを連結し、アーム600の他端から支持枠500をあらゆる方向に揺動可能に連結する連結部700と、支持枠500を荷台101に固定可能な固定機構800とを有する。この傾斜調整手段10Bは、支持枠500の枠体内にボイラー90を固定するようになっている。
【0069】
アーム600は、金属製の棒材の一部が曲げられて略L字状をなしており、入浴車100Bの荷台101に固定された脚部601と、脚部601から入浴車100Bの高さ方向に伸びた支柱部602と、支柱部602から略直角に伸びた延出部603とを有する。なお、本実施形態において、アーム600の脚部601は、荷台101のうち、入浴車100Bのサイドドア102近傍の足掛け部(ステップ部)に固定されている。なお、入浴車100Bでは、傾斜調整手段10Bが、荷台101に固定される金属製の底板620と、底板620上に設けられ、底板620との間に段差を有する金属製の台座621とを有している。
【0070】
また、傾斜調整手段10Bは、アーム600と同様に金属製の棒材で構成され、アーム600の延出部603を支持する補助アーム610を有している。このような補助アーム610は、アーム600の延出部603を介して互いに離間して底板620に固定された一対の脚部611、611と、一対の脚部611、611から入浴車100Bの高さ方向に伸びる一対の支柱部612、612と、各支柱部612から略直角に伸びて、各支柱部612の脚部611とは反対側の端部間を連結する支持部613とを有するコの字状の部材である。なお、補助アーム610は、一対の脚部612、612が底板620に固定されることにより、その強度を高くすることができる。また、アーム600の延出部603は、その略中央部で、この補助アーム610の支持部613によってアーム600の延出部603の下側から支持される。これにより、ボイラー90が固定された支持枠500によって、アーム600の延出部603にかかる負荷を減らすことができ、アーム600の耐久性を向上させることができる。
【0071】
支持枠500は、溶接、ねじ止め等により、複数の金属製の帯材および板材を組み合わせてなる略直方体状の空間をなす枠体であり、この枠体内にボイラー90が固定されるようになっている。
【0072】
このような支持枠500は、ボイラー90が支持枠500の枠体内に収納された状態で、ボイラー本体901(ボイラー90)の底部全面を覆う基板503と、基板503の一対の長辺部からそれぞれ立設され、ボイラー本体901の側面部および上面部と固定されるとともに、ボイラー本体901の上側で互いにねじ止めされる2本の帯材501、501と、略L字状の板材で構成され、一方の板片がボイラー本体901の上側において各帯材501のねじ止めされた部分に固定されるとともに、他方の板片が連結部700と連結される連結板502とを有している。
【0073】
連結部700は、アーム600の延出部603の先端部6031とボイラー90が固定された支持枠500の上部(連結板502)とを連結し、アーム600の延出部603の先端部6031から支持枠500をあらゆる方向に揺動可能に連結して支持枠500を水平に調整する機能を有している。
【0074】
このような連結部700は、一端が支持枠500の上部に配置された連結板502に固定される棒材701と、アーム600の延出部603の先端部6031を鉛直方向に貫通して上下に移動可能な軸部7022と、軸部7022の一端側(下端側)に設けられ、棒材701の他端と揺動可能に結合する結合部7021と、軸部7022の他端側(上端側)に設けられた鍔部7023とを有する支持部702と、支持部702の軸部7022が挿通され、支持部702の鍔部7023とアーム600の延出部603の先端部6031との間に配置されたばね部材703とを有している。
【0075】
ばね部材703としては、例えば、自動車のサスペンション等で用いられるスプリング、またはそれと同等のばね定数を有するスプリング等が用いられる。そのため、ばね部材703は、ボイラー90が固定された支持枠500が振動した際に、その振動を吸収する振動吸収手段として機能する。また、支持部702の結合部7021としては、例えば、ユニバーサルジョイント、ユニバーサルボールジョイント等を用いることができる。
【0076】
このような構成の連結部700によって、支持枠500は、支持部702の結合部7021を支点として、あらゆる方向に揺動可能にアーム600の延出部603の先端部6031と連結されている。そのため、入浴車100Bを傾斜地に停車させた際に、ボイラー90が固定された支持枠500を、自身の重量によって自動的に傾斜した状態から水平な状態へと変位させることができる。また、入浴車100Bの走行時に荷台101が揺れる(振動する)場合であっても、荷台101の揺れを連結部700のばね部材703が吸収するため、支持枠500の揺れを低減させることができる。そのため、走行時のボイラー90への負荷を減らすこともできる。
【0077】
また、本実施形態では、上述した第1実施形態の入浴車100が備えるような、ボイラー90が固定された支持枠(第2の支持枠2)が、さらに大きな支持枠(第1の支持枠1)に固定される傾斜調整手段10に比べて、荷台101における傾斜調整手段10Bの設置スペースを小さくすることができる。そのため、図10に示すように、入浴車100Bの車種として、前部座席(運転席、助手席)103の後方の後部座席104と傾斜調整手段10Bとの間に、例えば、後部座席104の脇に取り付けられる図示しない折り畳み式の補助シート等が設けられるような車両にも本発明を好適に適用することができる。
【0078】
このように連結部700によって、荷台101の傾斜状態にかかわらず、水平な状態となった支持枠500を固定機構800によって入浴車100Bの荷台101(台座621)に固定することにより、入浴車100Bを傾斜地に停車させてボイラー90を使用する時にボイラー90を水平な状態で入浴車100Bに固定することができる。
【0079】
このような固定機構800は、入浴車100Bの走行時に、支持枠500を台座621に固定する機能と、入浴車100Bを傾斜地に停車させてボイラー90を使用する時に、上述した連結部700によって水平に調整された状態の支持枠500を台座621に固定する機能を有している。
【0080】
以下、固定機構800について詳細に説明する。
図13に示すように、固定機構800は、レバーの回動により荷台101に対してばね付勢される機構を備えたばね付勢手段801から構成されている。傾斜調整手段10Bでは、このようなばね付勢手段801が支持枠500の基板503の一対の短辺部にそれぞれ1つずつ設けられている。
【0081】
各ばね付勢手段801は、一端にレバー8021が設けられた軸部802と、支持枠500の基板503の側部(短辺部)に設けられ、軸部802の他端が挿通されるとともに、軸部802の一端に設けられたレバー8021が挿脱可能な溝8031が形成された筒部803と、軸部802の他端側に設けられ、球体部を有する支持体(図示せず)と、支持体の球体部を介して軸部802の他端に連結し、台座621(荷台101)に固着する固着部804と、軸部802の他端が挿通されているとともに、筒部803の底部と固着部804との間に配置されたばね部材805とを有している。
【0082】
軸部802は、一端にレバー8021が設けられるとともに、他端に後述する支持体の雄ねじ部と螺合する雌ねじ部(図示せず)が設けられている。
【0083】
支持体は、軸部802の他端側に設けられ、一端に軸部802の他端に設けられた雌ねじ部に螺合した雄ねじ部(図示せず)と、他端に球体部とを有している。
【0084】
支持体は、その雄ねじ部が軸部802の雌ねじ部に螺合して、軸部802に固定される。そして、固着部804は、軸部802に固定された状態の支持体の球体部を介して軸部802の他端に傾動自在に連結される。そのため、ばね部材805によって固着部804が荷台101方向にばね付勢されると、荷台101の傾斜状態にかかわらず固着部804の底面を台座621に対して平行な状態で固着させることができる。また、このような固着部804の底面部分はゴム製の部材で構成されており、固着部804と台座621とを密着して固着させることが可能である。このような固着部804としては、例えば、ボールジョイント等を用いることができる。
【0085】
なお、本実施形態において、球体部を有する支持体は、軸部802、固着部804とは別体で構成されたものであるが、例えば、軸部802または固着部804のいずれかと一体に形成されたものであってもよい。
【0086】
以下に、上記の構成を有するばね付勢手段801の動作について説明する。
図14は、図10に示す傾斜調整手段の固定機構が備えるばね付勢手段の動作を説明するための図であり、(a)は、ばね付勢手段の固着部が荷台から離れた状態を説明するための図であり、(b)は、ばね付勢手段の固着部が荷台に固着(固定)された状態を説明するための図である。
【0087】
図14(a)に示すように、ばね付勢手段801の軸部802のレバー8021が筒部803の上端部に位置した状態では、ばね部材805のばね付勢によって、固着部804が荷台101側に移動するのが防止される(ロック状態)。一方、図14(b)に示すように、ばね付勢手段801の軸部802のレバー8021を筒部803の溝8031の開口端まで回動させると、レバー8021が筒部803の溝8031に挿嵌されて、ばね部材805によって固着部804が台座621方向にばね付勢され、荷台101の傾斜状態にかかわらず固着部804の底面を台座621に対して平行な状態で固着させることができる(アンロック状態)。
【0088】
したがって、本実施形態の入浴車100Bでは、走行時に、傾斜調整手段10Bが備えるばね付勢手段801をアンロック状態にしておくことにより、ボイラー90が固定された支持枠500を荷台101(台座621)に固定することができる。また、入浴車100Bを傾斜地に停車させた時には、ばね付勢手段801をロック状態にする。これにより、ばね付勢手段801の固着部804が台座621から離れるため、連結部700の作用により、荷台101の傾斜状態にかかわらず、支持枠500およびボイラー90が水平な状態に調整される。そして、ボイラー90が水平な状態になった後に、ばね付勢手段801を再びアンロック状態にすることにより、ボイラー90を荷台101に対して水平に固定することができる。
【0089】
また、傾斜調整手段10Bは、固定機構800として、ばね付勢手段801がロック状態の時に、ボイラー90が固定された支持枠500が過度に揺動する(大きく揺れる)のを防止するための揺動抑制手段810を有している。このような揺動抑制手段810としては、支持枠500の基板503の底面と台座621の上面とにワイヤーを固定するための部材をねじ止め等により固定して、これらの間をワイヤーで連結したものが用いられる。これにより、ばね付勢手段801がロック状態の時に、不意の振動等によってボイラー90が固定された支持枠500が過度に揺動するのを防止することができる。
【0090】
また、傾斜調整手段10Bは、固定機構800として、入浴車100Bの走行時に支持枠500を荷台101にロックするロック手段を有している。
【0091】
具体的には、傾斜調整手段10Bでは、支持枠500の基板503の長辺部から荷台101方向に板片504が延在している。この板片504には、略中央と先端部にそれぞれ鍔部505が設けられている。そして、各鍔部505および台座621には、2本のボルト811が貫通する貫通孔が設けられている。傾斜調整手段10Bでは、板片504と2本のボルト811とが、支持枠500を荷台101にロックするロック手段として機能する。入浴車100Bでは、入浴車100Bの走行時に、この板片504に設けられた鍔部505および台座621に設けられた貫通孔に2本のボルト811を挿通させることによって、支持枠500が台座621(荷台101)にロックされて固定される。これにより、入浴車100Bの走行時に支持枠500(支持枠500に固定されたボイラー90)の移動が確実に防止される。
また、ロック手段として、図15に示すような構成のものを用いることもできる。
【0092】
図15は、図10に示す傾斜調整手段の固定機構が備えるロック手段の一例を説明するための図であり、(a)は、ばね付勢手段の固着部が荷台から離れた状態を説明するための図であり、(b)は、ばね付勢手段の固着部が荷台に固着されるとともに、ロック手段によって、ばね付勢手段を介して支持枠が荷台にロックされた状態を説明するための図である。
【0093】
図15に示すロック手段は、台座621の上面からカップ状に突出した嵌合部812と、ばね付勢手段801とから構成される。なお、傾斜調整手段10Bの固定機構800が、図15に示すロック手段を有する場合には、上述した板片504および2本のボルト811からなるロック手段は設けなくてもよい。
【0094】
台座621に設けられた嵌合部812は、ばね付勢手段801の固着部804と嵌合するように構成されている。そして、入浴車100Bの走行時には、ばね付勢手段801をロック状態(図15(a))からアンロック状態(図15(b))にすることにより、ばね付勢手段801の固着部804が、台座621に設けられた嵌合部812に嵌合する。これにより、ばね付勢手段801の固着部804は、台座621の嵌合部812の位置にロックされて固定される。その結果、支持枠500が台座621(荷台101)にロックされて固定される。これにより、入浴車100Bの走行時に支持枠500の移動が確実に防止される。なお、かかる構成のロック手段では、支持枠500に上述したような板片504を設ける必要なく、台座621に嵌合部812を形成すればよいため、傾斜調整手段10Bの製造プロセスの簡略化、製造コストダウンのために有利である。
【0095】
また、図示しないが、台座621に嵌合部812を設ける代わりに、嵌合部812を形成する位置に、嵌合部812と同経の空孔を台座621に形成し、ばね付勢手段801をアンロック状態にした際に、この空孔にばね付勢手段801の固着部804が挿入されるように構成すれば、上記の嵌合部812と同様にして、ロック手段を構成する。
【0096】
次に、本発明の入浴車の第4実施形態について説明する。
図16は、本発明の入浴車の第4実施形態において、運転席後部から荷室の斜め後方を見た時に、傾斜調整手段によって荷室内部に搭載されたボイラーの状態を説明するための図(内部を透視して示す)である。
【0097】
本実施形態の入浴車100Cは、支持枠500を揺動可能に連結する連結部700が、アーム600の代わりに、入浴車100Cの幅方向に延在する一対の棒材で構成された一対の支持棒630、630間に固定されているとともに、ばね付勢手段801が、台座621ではなく、荷台101に直接固定可能に構成されている以外は、前述した入浴車100Bと同じ構成を有している。
【0098】
本実施形態の入浴車100Cでは、傾斜調整手段10Cが、図16に示すように、入浴車100Cの荷室天井付近に設けられ、入浴車100Cの幅方向に延在する一対の金属製の棒材で構成された一対の支持棒630、630を有している。一対の支持棒630、630の両端部は、それぞれ、入浴車100Cの荷室側部の隣り合うピラーの上端間に存在する断面U字状の切り込み部(ルーフレール)に一部が嵌合している金属製の板材631に溶接等により固定されている。
【0099】
入浴車100Cでは、傾斜調整手段10Cが、連結部700を介して、荷室天井付近に設けられた一対の支持棒630、630にボイラー90が固定された支持枠500が揺動可能に連結されている。このような構成の傾斜調整手段10Cは、荷室(荷台101)のスペースが限られるような車両、例えば、軽自動車等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0100】
1…第1の支持枠 11…側部 111…棒材 12…上部 121、122…棒材 13…底部 131…棒材 2…第2の支持枠 21…側部 211…棒材 22…上部 221、222…棒材 23…底部 231…棒材 24…支持板 3…吊り下げ部 31…弾性支持部 32…連結板 33…軸 34…板材 4…可動連結部 41…底板部 411…底板 412…ガイド支持部 413…ガイド部 42…第1のスライド部 421…基枠 421a…枠内 422…ガイド支持部 423…ガイド部 424…レール固定部 425…スライドレール 43…第2のスライド部 431…基板 431a…貫通孔 434…レール固定部 435…スライドレール 5…固定機構 51…雄ねじ 52…軸部 53…固着部 6…基板 7…支持部 71…底部部材 72…上部部材 8…脚部 81…先端 82…基端 10、10A、10B、10C…傾斜調整手段 90…ボイラー 901…ボイラー本体 902…煙突 100、100A、100B、100C…入浴車 101…荷台 102…サイドドア 103…前部座席 104…後部座席 500…支持枠 501…帯材 502…連結板 503…基板 504…板片 505…鍔部 600…アーム 601…脚部 602…支柱部 603…延出部 6031…先端部 610…補助アーム 611…脚部 612…支柱部 613…支持部 620…底板 621…台座 630…支持棒 631…板材 700…連結部 701…棒材 702…支持部 7021…結合部 7022…軸部 7023…鍔部 703…ばね部材 800…固定機構 801…ばね付勢手段 802…軸部 8021…レバー 803…筒部 8031…溝 804…固着部 805…ばね部材 810…揺動抑制手段 811…ボルト 812…嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも箱型のボイラー、貯水タンク、燃料タンクおよび搬出可能な浴槽を含む入浴用設備機器を搭載する入浴車であって、
前記入浴車の荷台に固定され、前記ボイラーを前記入浴車に固定する機能と前記ボイラーを水平に調整する機能とを備えた傾斜調整手段を有し、
前記傾斜調整手段は、前記入浴車の走行時に前記ボイラーを前記入浴車に固定するとともに、前記入浴車を傾斜地に停車させて前記ボイラーを使用する時に前記ボイラーを水平にした状態で前記入浴車に固定することを特徴とする入浴車。
【請求項2】
前記傾斜調整手段は、
略直方体状の空間をなす枠体で構成され、前記入浴車の荷台に該枠体の底部が固定された第1の支持枠と、
該第1の支持枠よりも小さな枠体で構成され、前記ボイラーを該枠体に固定するとともに、前記第1の支持枠の内側に配置される第2の支持枠と、
前記第1の支持枠の上部と前記第2の支持枠の上部とを連結し、前記第1の支持枠から前記第2の支持枠を吊り下げて前記第2の支持枠を水平に調整する吊り下げ部と、
前記第2の支持枠を前記第1の支持枠に固定可能な固定機構とを有し、
前記固定機構は、前記入浴車を傾斜地に停車させて前記ボイラーを使用する時に前記第2の支持枠を水平に調整した状態で前記第1の支持枠に固定する請求項1に記載の入浴車。
【請求項3】
前記固定機構は、前記入浴車の走行時に前記第2の支持枠を前記第1の支持枠に固定する機能と、前記入浴車を傾斜地に停車させて前記ボイラーを使用する時に前記第2の支持枠を水平に調整した状態で前記第1の支持枠に固定する機能とを有する請求項2に記載の入浴車。
【請求項4】
前記吊り下げ部は、前記第1の支持枠の上部との連結点を支点として、前記第2の支持枠をあらゆる方向に揺動可能に吊り下げられている請求項3に記載の入浴車。
【請求項5】
前記傾斜調整手段は、さらに、前記第2の支持枠の傾斜した状態から水平な状態への変位に合わせて、前記第2の支持枠の底部を前記第1の支持枠の底部に可動に連結する可動連結部を有する請求項4に記載の入浴車。
【請求項6】
前記可動連結部は、前記第1の支持枠の底部と固定された底板と、前記第1の支持枠の底部の一辺とほぼ平行な方向へスライド可能に前記底板と連結した第1のスライド部と、該第1のスライド部のスライド方向と直交する方向へスライド可能に前記第1のスライド部と連結するとともに、前記第2の支持枠の底部と固定される第2のスライド部とを有する請求項5に記載の入浴車。
【請求項7】
前記第1のスライド部は枠体で構成されているとともに、前記第2のスライド部は中央に貫通孔が形成された板状の部材で構成されており、
前記固定機構は、前記第2のスライド部の上側に配置される雄ねじと、一端に前記雄ねじと螺合する雌ねじが形成されるとともに、他端に球体が一体に形成され、前記第2のスライド部の貫通孔および前記第1のスライド部の枠内を貫通する軸部と、前記軸部の球体を介して前記軸部に傾動自在に連結し、前記底板に固着する固着部とを有し、
前記雄ねじを前記軸部の雌ねじに螺合することにより、前記底板の傾斜状態にかかわらず前記固着部が前記底板に対して平行に固着され、前記第2の支持枠が水平に調整された状態で前記第1の支持枠に固定される請求項6に記載の入浴車。
【請求項8】
前記傾斜調整手段は、
前記ボイラーの底部に固定される基板と、
前記基板下面のほぼ中央と前記入浴車の荷台とを連結し、該基板を前記入浴車の荷台に対して傾動自在に支持する支持部と、
前記基板下面の4隅に設けられ、前記基板の垂直方向に可動して長さを調整可能な4つの脚部とを有し、
前記入浴車の走行時に、前記4つの脚部の長さを調整して該4つの脚部の先端を前記入浴車の荷台に接触させることにより前記基板を前記入浴車の荷台に固定するとともに、前記入浴車を傾斜地に停車させて前記ボイラーを使用する時に、前記4つの脚部の長さを調整して前記基板を水平に調整した状態で前記入浴車の荷台に固定する請求項1に記載の入浴車。
【請求項9】
前記傾斜調整手段は、
前記入浴車の荷台に固定された脚部と、該脚部から前記入浴車の高さ方向に伸びた支柱部と、該支柱部から略直角に伸びた延出部とを有する略L字状のアームと、
該アームの延出部と連結し、略直方体状の空間をなす枠体で構成されるとともに、前記ボイラーを該枠体に固定する支持枠と、
前記アームの延出部の先端部と前記支持枠の上部とを連結し、前記アームの延出部の先端部から前記支持枠をあらゆる方向に揺動可能に連結して前記支持枠を水平に調整する連結部と、
前記支持枠を前記入浴車の荷台に固定可能な固定機構とを有し、
前記固定機構は、前記入浴車の走行時に前記支持枠を前記入浴車の荷台に固定する機能と、前記入浴車を傾斜地に停車させて前記ボイラーを使用する時に前記支持枠を水平に調整した状態で前記入浴車の荷台に固定する機能とを有する請求項1に記載の入浴車。
【請求項10】
前記傾斜調整手段は、さらに、前記アームの延出部を介して互いに離間して前記入浴車の荷台に固定された一対の脚部と、該一対の脚部から前記入浴車の高さ方向に伸びる一対の支柱部と、各支柱部から略直角に伸びて、各支柱部の前記脚部とは反対側の端部間を連結する支持部とを有するコの字状の補助アームを有し、前記アームの延出部は、その略中央部において前記補助アームの支持部によって支持されている請求項9に記載の入浴車。
【請求項11】
前記連結部は、前記ボイラーが固定された前記支持枠の振動を吸収する振動吸収手段を備えている請求項10に記載の入浴車。
【請求項12】
前記支持枠は、前記ボイラーが固定された状態で前記ボイラーの底部全面を覆う基板を有しており、
前記固定機構は、一端にレバーが設けられた軸部と、前記支持枠の基板の側部に設けられ、前記軸部の他端が挿通されているとともに、前記軸部の一端に設けられたレバーが挿脱可能な溝が形成された筒部と、前記軸部の他端側に設けられ、球体部を有する支持体と、前記支持体の球体部を介して前記軸部の他端に傾動自在に連結し、前記荷台に固着する固着部と、前記軸部の他端が挿通されているとともに、前記筒部の底部と前記固着部との間に配置されたばね部材とを有するばね付勢手段を有しており、
該ばね付勢手段の前記軸部のレバーを回動させて、該レバーが前記筒部の溝部に挿嵌されることにより、前記ばね部材によって前記固着部が前記入浴車の荷台方向にばね付勢され、前記入浴車の荷台の傾斜状態にかかわらず前記固着部が前記荷台に対して平行に固着され、前記支持枠が水平に調整された状態で前記入浴車の荷台に固定される請求項11に記載の入浴車。
【請求項13】
前記傾斜調整手段は、
前記入浴車の荷室天井付近に設けられ、前記入浴車の幅方向にそれぞれ延在する一対の棒材で構成され、各棒材の両端部が前記入浴車の荷室天井付近の側部に固定された一対の支持棒と、
該一対の支持棒と連結し、略直方体状の空間をなす枠体で構成されるとともに、前記ボイラーを該枠体に固定する支持枠と、
前記一対の支持棒間に固定されるとともに、前記支持枠の上部と連結し、前記一対の支持棒から前記支持枠をあらゆる方向に揺動可能に連結して前記支持枠を水平に調整する連結部と、
前記支持枠を前記入浴車の荷台に固定可能な固定機構とを有し、
前記固定機構は、前記入浴車の走行時に前記支持枠を前記入浴車の荷台に固定する機能と、前記入浴車を傾斜地に停車させて前記ボイラーを使用する時に前記支持枠を水平に調整した状態で前記入浴車の荷台に固定する機能とを有する請求項1に記載の入浴車。
【請求項14】
前記固定機構は、前記入浴車の走行時に前記支持枠を前記入浴車の荷台にロックするロック手段を有し、
該ロック手段によって、前記支持枠が前記入浴車の荷台にロックされて固定される請求項9ないし13のいずれかに記載の入浴車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−168267(P2011−168267A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4143(P2011−4143)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【特許番号】特許第4744646号(P4744646)
【特許公報発行日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000134121)株式会社デベロ (8)
【Fターム(参考)】