入球ユニット及び遊技機
【課題】始動入賞口等に用いられる開閉羽根を有する入球ユニットにおいて、無理に開閉羽根を開かせる不正行為を防止することができ、かつ省スペース化もはかることのできる入球ユニット及び遊技機を提供すること。
【解決手段】この入球ユニット40は、流入開口を有する入球ユニットであって、流入開口41a近傍に取り付けられ、閉状態と開状態とを実現する一対の開閉羽根部材41と、開閉羽根部材41を駆動するソレノイド46と、ソレノイド46の駆動力を開閉羽根部材41へと伝達する伝達機構43,44とを有し、伝達機構は、開閉羽根部材41の開閉移動を前後方向成分を有する往復移動へと変換する方向変換構造と、閉状態にある開閉羽根部材41の開状態への移動の規制及び解除を実現する第1ロック構造とを有する。
【解決手段】この入球ユニット40は、流入開口を有する入球ユニットであって、流入開口41a近傍に取り付けられ、閉状態と開状態とを実現する一対の開閉羽根部材41と、開閉羽根部材41を駆動するソレノイド46と、ソレノイド46の駆動力を開閉羽根部材41へと伝達する伝達機構43,44とを有し、伝達機構は、開閉羽根部材41の開閉移動を前後方向成分を有する往復移動へと変換する方向変換構造と、閉状態にある開閉羽根部材41の開状態への移動の規制及び解除を実現する第1ロック構造とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入球ユニット及び遊技機に係り、特に不正防止機能を有する入球ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機においては、弾球された遊技球が遊技領域(遊技盤面上又はその近傍に形成された領域であって、遊技球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で遊技球が遊技領域内の障害釘(ゲージともいう。)や羽根車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域上に配置された各種入賞口に球が入賞すれば所定の景品球払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に球が流入すれば景品球払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は遊技球の流下における偶然性を利用しつつ遊技球の入賞及び景品球払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
【0003】
このようなパチンコ機においては、上述の各種入賞口に、入球ユニットが用いられている。この入球ユニットのうち、例えばアタッカーと呼ばれる大入賞口やスタートチャッカーと呼ばれる始動入賞口等に用いられる入球ユニットには、一般に、開閉扉又は開閉羽根が設けられており、遊技球の入球が困難な閉状態と遊技球の入球が容易な開状態とを実現している。このような入賞口においては、一般的に遊技球が入球することにより遊技者にとって大きな利益が付与されるので、特定の遊技状況においてのみ遊技球の入球が容易な開状態となり、通常時は閉状態となるように動作制御されている。
【0004】
しかしながら、閉状態にあるこれらの入賞口の開閉扉や開閉羽根を、不正具を用いて強制的に開状態とし、遊技球の入球を容易とさせる不正行為が行われる場合がある。このような不正行為を防止すべく、例えば特許文献1は、大入賞口の開閉扉が閉状態にあるときに、係合部と制動片との作用によって、開閉扉が無理に開けられてしまうのを防止する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−269455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のものは、1枚の開閉扉が遊技盤に対して前後に開閉する大入賞口の場合における不正防止の構造であるので、例えば、2枚の開閉羽根が遊技盤と平行な平面内で上下方向に揺動開閉する始動入賞口における不正防止に適用することが難しい。また、駆動手段としてのソレノイドがそのプランジャを上下動作させる位置に取り付けられているので、上下方向における設置スペースを多く消費してしまう。入球ユニットは遊技盤に取り付けられるのであるが、遊技盤のスペースには限りがあるので、上下方向における設置スペースを多く消費する構成は好ましくない。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、始動入賞口等に用いられる開閉羽根を有する入球ユニットにおいて、無理に開閉羽根を開かせる不正行為を防止することができ、かつ省スペース化もはかることのできる入球ユニット及び遊技機を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての入球ユニットは、遊技球の流下による遊技を実現する遊技盤に取り付けられ、遊技球が流入するための流入開口を有する入球ユニットであって、流入開口近傍に取り付けられ、起立することにより遊技球の流入が困難となる閉状態と、傾倒することにより遊技球の流入が容易となる開状態とを、遊技盤面に平行な平面内での揺動開閉により実現する一対の開閉羽根部材と、開閉羽根部材の揺動開閉を駆動する駆動手段と、駆動手段の駆動力を開閉羽根部材へと伝達する伝達機構と、を有し、伝達機構は、開閉羽根部材の揺動開閉移動を平面の法線方向成分を有する往復移動へと変換する方向変換構造と、閉状態にある開閉羽根部材の開状態への移動の規制及び解除を実現する第1ロック構造と、を有する。
【0009】
伝達機構が、開閉羽根部材の揺動開閉移動を平面の法線方向成分を有する往復移動へと変換する。つまり、開閉羽根部材の、遊技盤面と平行な平面内での移動を、その直交方向成分を有する移動、すなわち遊技盤に対して実質的に奥行き方向となる方向への移動へと変換する。その結果、開閉羽根部材の移動を、奥行き方向での往復移動によって実現することができ、入球ユニット全体として遊技盤面内(上下左右方向)での省スペース化を図ることができる。
【0010】
そして、第1ロック構造が一対の開閉羽根部材の閉状態から開状態への移動の規制及び解除を実現している。第1ロック構造が開状態への移動を規制していれば、無理やり開閉羽根部材を開状態として遊技球を不正に流入させる不正行為を防止することができる。なお、もちろん第1ロック部材は、開閉羽根部材を無理に開けようとする不正行為に対しては、その移動を規制するが、駆動手段によって開閉羽根部材が閉状態から開状態へと移動する際には、その規制を解除して移動を許容する。
【0011】
なお、本明細書においては、遊技盤が遊技機に取り付けられた状態における、上下方向を上下方向とし、遊技者から遊技盤を見た場合の左右方向を左右方向とする。また、遊技盤から遊技者に向かう方向を前方向、その逆方向を後ろ方向とする。
【0012】
伝達機構が、開状態にある開閉羽根部材の閉状態への移動の規制及び解除を実現する第2ロック構造を更に有してもよい。
【0013】
第2ロック構造が、開閉羽根部材の開状態から閉状態への移動の規制及び解除を実現している。第2ロック構造が閉状態への移動を規制していれば、例えば、開状態であるにも拘らず、開閉羽根部材に遊技球等が衝突することにより偶発的に閉状態となってしまう、という不測の事態を回避することができる。なお、もちろん第2ロック部材は、開閉羽根部材への不測の外力による閉状態への移動に関しては、その移動を規制するが、駆動手段によって開閉羽根部材が開状態から閉状態へと移動する際には、その規制を解除して移動を許容する。
【0014】
第1ロック構造及び第2ロック構造の発揮する機能により、開閉羽根部材側からの不測の外力による開状態への移動及び閉状態への移動を規制することができる。一方、駆動手段側からの駆動による開状態への移動及び閉状態への移動は問題なく許容され、駆動手段による開閉羽根部材の状態の実現を確実とすることができる。
【0015】
なお、第1ロック構造が、伝達機構の下方への移動を規制することにより開閉羽根部材の開状態への移動の規制を実現してもよい。また、第1ロック構造が、伝達機構の後方への移動を規制することにより開閉羽根部材の開状態への移動の規制を実現してもよい。これらは、設計上の事情により適宜選択可能な構造である。
【0016】
本発明の他の例示的側面としての遊技機は、遊技球の流下による遊技を実現する遊技盤と、遊技盤に取り付けられた上記の入球ユニットと、遊技盤を内包するように保持する遊技機枠と、遊技球を遊技盤に構成される遊技領域に向けて発射する発射ユニットと、遊技球を貯留する球皿と、を有する。
【0017】
この遊技機は、入球ユニットに対する不正防止機能を有している。したがって、不正行為者に対して不測の利益を与えることが防止され、ひいては不正行為の抑制に繋がる。また、この遊技機の入球ユニットが第2ロック構造を有している場合には、不測の外力によって開状態の開閉羽根部材が閉状態となってしまうことが防止されるので、遊技者が不測の不利益を被ることが防止される。更に、伝達機構の作用によって、入球ユニットの省スペース化が図られており、遊技盤面積を有効に活用した興趣性の高い遊技機とすることができる。
【0018】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、一対の開閉羽根部材を有する入球ユニットに対して、閉状態から無理に開状態へと開かせる不正行為を防止することができる。また、遊技盤における入球ユニットに設置面積を低減し、省スペース化に寄与することができる。更に、遊技球の衝突等の不測の外力による、開閉羽根部材の閉状態から開状態への偶発的な移動を防止することができ、遊技者への不測の不利益を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の背面図である。
【図3】図1に示すパチンコ機が有する入球ユニットの要部構成を示す斜視図であって、開閉羽根部材の閉状態を示す図である。
【図4】図1に示すパチンコ機が有する入球ユニットの要部構成を示す斜視図であって、開閉羽根部材の開状態を示す図である。
【図5】図3に示す入球ユニットの分解斜視図である。
【図6】図3に示す入球ユニットの要部を側方から見た側面図であって、開閉羽根部材の閉状態を示す図である。
【図7】図4に示す入球ユニットの要部を側方から見た側面図であって、開閉羽根部材の開状態を示す図である。
【図8】本発明の変形例に係る入球ユニットの要部を側方から見た側面図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る入球ユニットの要部構成を示す斜視図であって、開閉羽根部材の閉状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る入球ユニットの要部構成を示す斜視図であって、開閉羽根部材の開状態を示す図である。
【図11】図9に示す入球ユニットの要部を側方から見た側面図であって、開閉羽根部材の閉状態を示す図である。
【図12】図10に示す入球ユニットの要部を側方から見た側面図であって、開閉羽根部材の開状態を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る入球ユニットの要部を側方から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係るパチンコ機(遊技機)2の正面図であり、図2は、図1に示すパチンコ機2の背面図である。このパチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤ユニット5、ガラス10、発射ユニット(不図示)、球皿14を有している。発射ユニットは、1個ずつ遊技球23を遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて発射可能である。
【0022】
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射装置ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて遊技球が発射ユニットによって発射され、遊技球の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にコインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。
【0023】
なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態1においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
【0024】
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲側面及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内部側には、遊技盤ユニット5の他にも後述する各種制御基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前方又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
【0025】
パチンコ機2の周囲を囲む外枠4、その内側にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する前枠9、前枠9の前方にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されガラス10及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持するガラス枠12、を有して遊技機枠3が構成される。なお、ガラス10は、遊技機枠3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。
【0026】
ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。ガラス10は、2枚の透明平板ガラスで形成されてガラス枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないように不正アクセスを防止する機能、を発揮する。
【0027】
球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは、球抜き部材14cを有して遊技盤6の下方、すなわちガラス枠12の下方部分に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
【0028】
発射ユニットは、球送り装置(不図示)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の遊技球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、前枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射装置ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
【0029】
遊技盤ユニット5は、遊技盤面(遊技盤の表面)6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されるとともに、この演出表示装置7aの表示部7bを露出させるための表示開口部7dが形成されている。
【0030】
遊技盤6は、その表面側に遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠3(本実施の形態においては、遊技機枠3の一部としての前枠9。)に保持されている。その遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の外レール26aが遊技盤に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の外レール26aによって画定され、外レール26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
【0031】
遊技釘27は、遊技領域16を流下する遊技球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、始動入賞口29、大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、ゲート33、風車34等が配置されており、流下する遊技球23が各入球部材に流入したり、ゲート33を通過したり、風車34を回転させたりすることによって、遊技球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。この始動入賞口29は、後述する入球ユニットによって構成されている。
【0032】
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示部7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示部7bには、第1図柄に連動する第1装飾図柄の表示がなされる。第1装飾図柄は、第1抽選手段の抽選結果を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示部7b上に表示されるようになっている。演出表示装置7aには、遊技制御手段としての演出制御基板が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板によって画像表示が制御される。
【0033】
遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う遊技制御手段としての主制御基板を収容した主制御基板ケース35と、演出表示装置7aの画像表示や発光ユニットの発光演出の制御等を行う演出制御基板を収容した演出制御基板ケース36と、賞球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
【0034】
図示しない球発射装置により遊技球23が発射されると、遊技球23はレール飾り26の外レール26aに沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、遊技球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、あるものはレール飾り26の外レール26aに沿って右側に移動し、あるものはゲージに衝突しつつ遊技領域16内を下方に流下し、あるものは普通入賞口28に流入して一定数の景品球払出しの契機となり、あるものはいずれの入球装置にも流入せずに遊技領域16内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
【0035】
図柄変動遊技中に遊技球23が始動入賞口29に流入すると、その流入に起因して演出表示装置7aの表示図柄7cが回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当り(第1の特別遊技。以下、図柄変動大当りという。)が発生する。そして、大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の景品球が球皿14へと払い出されるようになっている。
【0036】
次いで、この発明の実施の形態1に係るパチンコ機2の始動入賞口29を構成する入球ユニット40について詳細に説明する。図3及び図4は、この入球ユニット40の要部構成を示す斜視図であり、図5は、その分解斜視図である。入球ユニット40は、一対の開閉羽根部材41,41、リンク部材(伝達機構の一部)43、アーム部材(伝達機構の一部)44、ガイド部材45、ソレノイド(駆動手段)46を有して大略構成されている。入球ユニット40は、入球した遊技球23を誘導する誘導部材、遊技球23の入球を検出する入球センサ等、その他の構成部材を有しているが、図示及び説明を省略する。なお、図3においては、開閉羽根部材41の閉状態を示し、図4においては、開閉羽根部材41の開状態を示している。
【0037】
開閉羽根部材41は、起立することにより遊技球23の流入が困難な状態(閉状態)と、傾倒することにより遊技球23の流入が容易な状態(開状態)とを実現する部材である。入球ユニット40が遊技盤6に取り付けられた状態で、この開閉羽根部材41は遊技盤6に平行な平面内で揺動開閉移動を行い、その開閉移動方向は、軸42を中心とする図中の±X方向である。なお、この遊技盤6に平行な平面とは、上下左右方向に延びる平面であり、その法線方向は前後方向である。
【0038】
2つの開閉羽根部材41の間は流入開口41aを形成し、この流入開口41aに遊技球23が流入するようになっている。流入した遊技球23は、図示しない入球センサによって検出され、ガイド部材45の中央凹部45aを通過してパチンコ機2の後方側へと排出されるようになっている。開閉羽根部材41の後面側には、突起部41bが形成されている。この突起部41bがリンク部材43によって上下移動されることにより、開閉羽根部材41の開閉移動が実現されている。
【0039】
リンク部材43は、平面視略コ字状とされた部材であって、伝達機構の一部を構成する。リンク部材43の左右2つの遊嵌部43aが各々2つの開閉羽根部材41の突起部41bと遊嵌されて連係動作するようになっている。図6及び図7は、この入球ユニット40の要部を側方から見た側面図である。図6は、開閉羽根部材41の閉状態を示し、図7は、開閉羽根部材41の開状態を示している。この図6及び図7においては、構造理解を容易とするために、リンク部材43とアーム部材44との連係部分近傍を部分的に断面にて示している。
【0040】
リンク部材43は、遊嵌部43aの後方に下方に突出する第1突部43b及び第2突部43cを有している。リンク部材43は、左右方向に延びる軸43dを中心に図6及び図7に示す±Y方向に回転移動可能となっている。その回転移動により遊嵌部43aが上方に移動すると、遊嵌部43aによって突起部41bが上方に押し上げられて開閉羽根部材41が閉状態となる。回転移動により遊嵌部43aが下方に移動すると、遊嵌部43aによって突起部41bが下方に引き下げられて開閉羽根部材41が開状態となる。
【0041】
リンク部材43の第2突部43cは、アーム部材44の孔部44aに遊嵌挿入されて連係動作するようになっている。すなわち、アーム部材44が後方に移動すると、孔部44aによって第2突部43cが後方に引っ張られる。そうすると、リンク部材43が+Y方向へと移動し、それによって開閉羽根部材41が+X方向へと移動する(開状態となる)。また、アーム部材44が前方に移動すると、孔部44aによって第2突部43cが前方に押される。そうすると、リンク部材43が−Y方向へと移動し、それによって開閉羽根部材41が−X方向へと移動する(閉状態となる)。
【0042】
ここで、第1突部43bは、遊嵌部43aと同位相で上下移動する。すなわち、遊嵌部43aが+Y方向移動する際に第1突部43bも+Y方向移動し、遊嵌部43aが−Y方向移動する際に第1突部43bも−Y方向移動する。したがって、開閉羽根部材41が閉状態のとき第1突部43bは上方へ移動しており、開閉羽根部材41が開状態のとき第1突部43bは下方へ移動している。
【0043】
アーム部材44は、平面視略コ字状とされた部材であって、リンク部材43の下方から後方にかけて配置されて伝達機構の一部を構成する。アーム部材44は、ソレノイド46のプランジャ46aと係合する係合部44bを有しており、プランジャ46aと共に前後方向へ移動するようになっている。アーム部材44は、左右2つの孔部44aを有しており、その孔部44aに各々2つの第2突部43cが遊嵌挿入されている。それにより、アーム部材44の前後方向移動によって、リンク部材43が±Y方向移動するようになっている。
【0044】
孔部44aの前方位置には、各々上向き傾斜の傾斜面を有する傾斜部44cが形成されている。この傾斜部44cは、アーム部材44が前方移動する際に、第1突部43bの上方移動を開始させるためのものである。アーム部材44の前方移動により、第1突部43bは前方に押されつつすくい上げられてアーム部材44の上面部44dにまで至る。傾斜部44cの存在により、開閉羽根部材41の開状態から閉状態への移動がスムーズとなる。
【0045】
第2突部43cと孔部44aとの嵌め合いには、隙間Gが形成されている。この隙間Gは、ソレノイド46の駆動によるスムーズな開閉羽根部材41の開閉移動と、開閉羽根部材41側からの外力による閉状態から開状態への移動規制とを両立させるためのものである。すなわち、第1突部43b、第2突部43c、孔部44a、傾斜部44c、上面部44d及び隙間Gの存在が第1ロック構造を構成している。第1ロック構造の機能及び作用については、後述する。
【0046】
ガイド部材45は、アーム部材44の開口44eに挿入されるように配置された部材であって、中央凹部45aを有している。その中央凹部45aには、流入開口41aに流入した遊技球23が通過するようになっている。ガイド部材45の外壁面45bは、アーム部材44の開口44eの内壁面44fの近傍に位置し、アーム部材44の前後方向移動の際に内側からその前後移動を支持する機能を発揮している。そして、後述するように、開閉羽根部材41が外力によって不正に開けられようとした場合には、アーム部材44が内側方向に向かう応力を受けて撓み、内壁面44fとガイド部材45の外壁面45bとが接触する。その接触摩擦によってアーム部材44の後方への移動が困難となり、補助的に不正防止効果を発揮している。
【0047】
ソレノイド46は、開閉羽根部材41の揺動開閉を駆動する駆動手段である。ソレノイド46はプランジャ46aを有しており、図示しない遊技制御手段からの制御指令に基づいて、プランジャ46aを前後移動させる。なお、この実施の形態1においては、ソレノイド46のプランジャ46aの移動方向が前後方向とされているので、この入球ユニット40の上下及び左右方向の寸法は比較的小型である。したがって、遊技盤6に入球ユニット40を取り付けた場合に、遊技盤面6a又はその裏面側で入球ユニット40が占める面積を小さくすることができ、省スペースに寄与している。
【0048】
<ソレノイド46による閉状態から開状態への移動:第1ロック構造による移動許容>
開閉羽根部材41の閉状態においては、アーム部材44が前方に進出した位置となっている(図6参照)。この状態では、リンク部材43の遊嵌部43aは上方に位置し、突起部41bが押し上げられて開閉羽根部材41が閉状態となっている。また、リンク部材43の第1突部43bも上方に位置し、前方位置にあるアーム部材44の上面部44dの上方に位置している。
【0049】
ソレノイド46が駆動され、プランジャ46aが後方に退避移動すると、アーム部材44がプランジャ46aと同期して後方移動する。そうすると、まず、上面部44dが後方移動して第1突部43bの下方位置よりも後方へと移動する。その結果、第1突部43bの下方への移動を阻止する部分がなくなる。
【0050】
その後、孔部44aが第2突部43cに当接して第2突部43cを後方へ引っ張る。それによって、リンク部材43が+Y方向への回転移動を開始する。+Y方向への回転移動によって第1突部43bが下方へと移動するが、その移動を阻止(規制)するものがないので、スムーズな下方移動が実現する。その結果、遊嵌部43aがスムーズに下方移動し、遊嵌部43aによって突起部41bが下方に引き下げられて開閉羽根部材41が開状態へとスムーズに移動する(図7参照)。
【0051】
隙間Gの存在により、孔部44aが第2突部43cを後方へ引っ張るよりも早いタイミングで第1突部43bの下方位置に上面部44dが不在となる。その結果、第1ロック構造は、開閉羽根部材41の開状態へのスムーズな移動を許容する。
【0052】
<ソレノイド46による開状態から閉状態への移動>
開閉羽根部材41の開状態においては、アーム部材44が後方に退避した位置となっている(図7参照)。この状態では、リンク部材43の遊嵌部43aは下方に位置し、突起部41bが引き下げられて開閉羽根部材41が開状態となっている。また、リンク部材43の第1突部43bも下方に位置しており、その後方位置にアーム部材44の傾斜部44cが存在している。
【0053】
ソレノイド46が駆動され、プランジャ46aが前方に進出移動すると、アーム部材44がプランジャ46aと同期して前方移動する。そうすると、まず、傾斜部44cが第1突部43bをすくい上げる。それによって、第1突部43bが上方への移動を開始し、アーム部材44の−Y方向の回転移動が開始する。
【0054】
続いて、孔部44aが第2突部43cに当接して第2突部43cを前方へ押し込む。それによって、リンク部材43の−Y方向への回転移動が更に補助される。アーム部材44の前方移動により、第1突部43bが傾斜部44cにすくい上げられて上って行き、最終的には上面部44dの上方位置へと至る。つまり、再び、第1突部43bの下方位置に上面部44dが存在する状態となる(図6参照)。
【0055】
リンク部材43の−Y方向移動によって、遊嵌部43aがスムーズに上方移動し、遊嵌部43aによって突起部41bが上方に押し上げられて開閉羽根部材41が閉状態へとスムーズに移動する。
【0056】
隙間Gの存在により、孔部44aが第2突部43cを前方へと押し込むよりも早いタイミングで第1突部43bに傾斜部44cが接触する。しかしながら、傾斜部44cが第1突部43bをすくい上げるように構成されているので、開閉羽根部材41の閉状態へのスムーズな移動が実現している。
【0057】
<開閉羽根部材41を不正に開けようとした場合:第1ロック構造による移動規制>
次に、開閉羽根部材41を不正に開けようとした場合の第1ロック構造の作用について説明する。この場合は、ソレノイド46の駆動による閉状態から開状態への移動でなく、開閉羽根部材41に外力を加えて閉状態から無理に開状態へと移動させようとする状況である。
【0058】
閉状態の開閉羽根部材41に対して開く方向に外力を加えると、まず、突起部41bが遊嵌部43aに対して下向きの力を作用させる(図6参照)。遊嵌部43aに下向きの力を受けたリンク部材43は、軸43dを中心に+Y方向へと回転しようとする。そして、それに伴って、第1突部43bも下向きへと移動しようとする。
【0059】
しかしながら、ソレノイド46の駆動を伴っていないので、プランジャ46a及びアーム部材44は前方の進出位置に位置している。つまり、第1突部43bの下方位置にアーム部材44の上面部44dが位置している。そのため、第1突部43bが下方に移動しようとしても、上面部44dに干渉して第1突部43bは殆ど下方への移動を行うことができない。その結果、リンク部材43は+Y方向への回転移動を殆ど行うことができず、開閉羽根部材41の開状態へと移動することができない。このように、アーム部材44の上面部44dが、リンク部材43の第1突部43bの下方移動を規制することにより、開閉羽根部材41の開状態への移動が規制される。
【0060】
なお、開閉羽根部材41を無理に開こうとしたときの、第1突部43bと上面部44dとの当接により第1突部43bから上面部44dへと加えられる下向きの力は、アーム部材44の開口44eよりも左右方向両外側で作用する。そのアーム部材44は、図5に示すように平面視略コ字状とされ、上下方向に沿って立設する内壁面44fの左右外側に略L字状に外方に屈曲して突出した位置に上面部44dを有している。
【0061】
そのため、この上面部44dに下向きの力が加えられると、左右の内壁面44fが内向きに撓む方向のモーメント力を受けることとなる。その内壁面44fの内側には隣接するようにガイド部材45の外壁面45bが立設形成されている。したがって、内壁面44fが内側へ撓むと、外壁面45bを挟み込むように接触して、外壁面45bを内側向きに付勢する。
【0062】
この内壁面44fから外壁面45bに作用する付勢力は、アーム部材44の前後方向移動に対して摩擦抵抗を発生させる。したがって、開閉羽根部材41が不正に開けられようとした場合には、この摩擦抵抗力も補助的にアーム部材44の後方移動を阻止している。
【0063】
[変形例]
図8は、この実施の形態1の変形例に係る入球ユニット40の要部を側方から見た側面図である。図8は、開閉羽根部材41の開状態を示している。この入球ユニット40においては、孔部44aの前方面が下向き傾斜の傾斜面44gとされている。そして、リンク部材43の第2突部43cの前方面が上向き傾斜の傾斜面43eとされている。この2つの傾斜面44g,43eは開閉羽根部材41の開状態から閉状態への移動の規制及び解除を実現する第2ロック構造を構成している。
【0064】
すなわち、ソレノイド46の駆動に基づく、開状態から閉状態への移動の際は、この変形例においても上記実施の形態1の場合と同様に、スムーズにその移動が行われる。第2ロック構造は、この場合の閉状態への移動を許容する。しかし、開状態にある開閉羽根部材41に外力を作用させて閉状態へと移動させようとした場合、前方へ移動しようとする第2突部43cの傾斜面43eと、後方の退避位置にあるアーム部材44の孔部44aの傾斜面44gとが当接する。
【0065】
両者が傾斜しているので、両傾斜面に作用する力はアーム部材44を上方へと移動させようとする上方向成分を有する。傾斜角度を緩やかにすれば、前方方向への成分に比較して上方向への成分を大きくすることができる。アーム部材44の上方移動は、プランジャ46aとの係合部44bによって規制されているので、アーム部材44は上方移動ができない。その結果、アーム部材44は上方へも前方へも移動できず、結果としてリンク部材43が−Y方向に回転できない。このように、第2ロック構造によって、開閉羽根部材41側からの外力による開状態から閉状態への移動が規制される。
【0066】
[実施の形態2]
図9及び図10は、本発明の実施の形態2に係る入球ユニット140の要部構成を示す斜視図である。また、図11及び図12は、この入球ユニット140の要部を側方から見た側面図である。なお、図9及び図11においては、開閉羽根部材141の閉状態を示し、図10及び図12においては、開閉羽根部材141の開状態を示している。
【0067】
この入球ユニット140は、一対の開閉羽根部材141,141、リンク部材(伝達機構の一部)143、アーム部材(伝達機構の一部)144、中継部材(伝達機構の一部)145、ソレノイド(駆動手段)146を有して大略構成されている。なお、その他の構成については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0068】
開閉羽根部材141は、後方に突出する突起部141bを有し、その突起部141bがリンク部材143の遊嵌部143aと連動するようになっている。リンク部材143は、遊嵌部143aの後方に位置する軸143dを中心に±Y方向に回転移動するが、その軸143dも中継部材145の前方溝145aを左右に貫通しており中継部材145に同期して前後方向に移動可能となっている。
【0069】
リンク部材143における軸143dの更に後方には係合軸143bが設けられ、この係合軸143bがアーム部材144の溝部144aと連結されている。溝部144aは、係合軸143bの上下移動を規制するが、前後移動は許容するように形成されている。このアーム部材144は、ソレノイド146のプランジャ146aに固定されてプランジャ146aと共に上下移動するようになっている。その上下移動の際に、係合軸143bが連動して上下移動し、軸143dを中心にリンク部材143が±Y方向に回転移動する。すなわち、係合軸143bが上方移動すると、遊嵌部143aが下方移動し、開閉羽根部材141が開状態へと移動する。そして、係合軸143bが下方移動すると、遊嵌部143aが上方移動し、開閉羽根部材141が閉状態へと移動する。
【0070】
アーム部材144には、左右の溝部144a同士を連絡するように左右方向に延びる連絡軸144bが設けられている。この連絡軸144bは、中継部材145の後方溝145bを左右に貫通している。
【0071】
中継部材145は、前方溝145aと後方溝145bとを有しており、リンク部材143とアーム部材144とを中継する部材である。中継部材145の前方溝145aにはリンク部材143の軸143d、後方溝145bにはアーム部材144の連絡軸144bが貫通している。前方溝145aは、上下に延びる略U字状の溝であって、軸143dを回転可能に保持している。後方溝145bは、図11及び図12に示すように、上下に延びる縦溝部145cとその下方から斜め下後方に向かって延びる傾斜溝部145dとを有している。
【0072】
開閉羽根部材141の閉状態、すなわちソレノイド146のプランジャ146aが下方に位置している状態においては、連絡軸144bは後方溝145bの傾斜溝部145dに位置している(図11参照)。そして、プランジャ146aが上方へ移動すると、連絡軸144bが傾斜溝部145dの上面側に接触しつつ上方へ移動し、縦溝部145c内へと移動する。そして、連絡軸144bに押されるように中継部材145が後方へと移動する。中継部材145の後方移動に従って、前方溝145a内を貫通する軸143dも後方へ移動するので、リンク部材143全体が後方へと移動することとなる。
【0073】
プランジャ146aの上方移動に伴い、アーム部材144の溝部144aもリンク部材143の係合軸143bを上方に押し上げる。それにより、リンク部材143は、+Y方向への回転移動を行う。つまり、プランジャ146aの上方移動に伴って、リンク部材143は、後方へ移動しつつ同時に+Y方向への回転移動を行い、その結果、遊嵌部143aが突起部141bを上に引き下げて開閉羽根部材141が開状態へと移動するのである(図12参照)。
【0074】
逆に、開閉羽根部材141の開状態、すなわちプランジャ146aが上方に位置している状態からプランジャ146aが下方に移動すると、連絡軸144bが縦溝部145cの最下方から傾斜溝部145dへと進入する。ここで、中継部材145が例えばバネ等の付勢部材によって前方へと付勢されていれば、プランジャ146aの下方移動に従って、中継部材145が前方へと移動する。
【0075】
その際、プランジャ146aと共に、溝部144aに連結された係合軸143bも下方移動する。そうすると、リンク部材143が−Y方向に回転移動する。つまり、プランジャ146aの下方移動により、リンク部材143が前方へ移動しつつ同時に−Y方向への回転移動を行い、その結果、遊嵌部143aが突起部141bを上に押し上げて開閉羽根部材141が閉状態へと移動するのである(図11参照)。
【0076】
なお、この開閉羽根部材141の閉状態において、ソレノイド146の駆動によるのでなく、開閉羽根部材141を無理に開こうとすると、突起部141bからリンク部材143の遊嵌部143aへと下向きの力が作用する。そして、リンク部材143が+Y方向に回転しようとして係合軸143bが溝部144aを介してアーム部材144を上方へ押し上げようとする。
【0077】
しかし、この状態では中継部材145が後方へ移動していないので、連絡軸144bが傾斜溝部145dの上面に当接してしまい、連絡軸144bが上方へ移動できない。したがって、リンク部材143は、+Y方向へ回転移動できず、結果として開閉羽根部材141の開状態への移動が規制されることとなる。
【0078】
[実施の形態3]
図13は、本発明の実施の形態3に係る入球ユニット240の要部を側方から見た側面図である。この入球ユニット240は、一対の開閉羽根部材241、リンク部材(伝達機構の一部)243、アーム部材(伝達機構の一部)244、ソレノイド(駆動手段)246を有して大略構成されている。
【0079】
開閉羽根部材241の突起部241bがリンク部材243の遊嵌部243aに遊嵌され、リンク部材243が軸243dを中心に±Y方向へ回転移動するようになっている点については、上記実施の形態1と同様である。リンク部材243の後端部243bは、アーム部材244に前後方向に延びて形成された溝部244a内に挿入されていて、ソレノイド246のプランジャ246aの上下移動に伴って、後端部243bも上下移動しつつ前後に移動するようになっている。
【0080】
プランジャ246aが下方に位置する状態、すなわち開閉羽根部材241の閉状態においては、溝部244aの上面側に形成された段付き部244bに後端部243bが当接するようになっている。この状態で、開閉羽根部材241を開こうとすると、後端部243bが溝部244aの上面に当接しつつ後方への移動を伴う+Y方向の回転移動をしようとするが、段付き部244bが後端部243bの後方移動を規制している。その結果、閉状態の開閉羽根部材241を無理に開こうとしても、開くことができないようになっている。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
2:パチンコ機(遊技機)
3:遊技機枠
4:外枠
5:遊技盤ユニット
6:遊技盤
6a:遊技盤面(遊技盤の表面)
7:センター役物
7a:演出表示装置
7b:表示部
7c:表示図柄
7d:表示開口部
9:前枠
10:ガラス
12:ガラス枠
14:球皿
14a:上球皿
14b:下球皿
14c:球抜き部材
15:発射装置ハンドル
16:遊技領域
22:ヒンジ
23:遊技球
26:レール飾り
26a:外レール
27:遊技釘
28:普通入賞口
29:始動入賞口
30:アウト口
31:大入賞口
32:装飾部材
33:ゲート
34:風車
35:主制御基板ケース
36:演出制御基板ケース
37:払出制御基板ケース
38:電源基板ケース
39:外部出力端子板
40:入球ユニット
41:開閉羽根部材
41a:流入開口
41b:突起部
42:軸
43:リンク部材(伝達機構の一部)
43a:遊嵌部
43b:第1突部
43c:第2突部
43d:軸
43e:傾斜面
44:アーム部材(伝達機構の一部)
44a:孔部
44b:係合部
44c:傾斜部
44d:上面部
44e:開口
44f:内壁面
44g:傾斜面
45:ガイド部材
45a:中央凹部
45b:外壁面
46:ソレノイド(駆動手段)
46a:プランジャ
140:入球ユニット
141:開閉羽根部材
141b:突起部
143:リンク部材(伝達機構の一部)
143a:遊嵌部
143b:係合軸
143d:軸
144:アーム部材(伝達機構の一部)
144a:溝部
144b:連絡軸
145:中継部材(伝達機構の一部)
145a:前方溝
145b:後方溝
145c:縦溝部
145d:傾斜溝部
146:ソレノイド(駆動手段)
146a:プランジャ
240:入球ユニット
241:開閉羽根部材
241b:突起部
243:リンク部材(伝達機構の一部)
243a:遊嵌部
243b:後端部
243d:軸
244:アーム部材(伝達機構の一部)
244a:溝部
244b:段付き部
246:ソレノイド(駆動手段)
246a:プランジャ
【技術分野】
【0001】
本発明は、入球ユニット及び遊技機に係り、特に不正防止機能を有する入球ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機においては、弾球された遊技球が遊技領域(遊技盤面上又はその近傍に形成された領域であって、遊技球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で遊技球が遊技領域内の障害釘(ゲージともいう。)や羽根車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域上に配置された各種入賞口に球が入賞すれば所定の景品球払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に球が流入すれば景品球払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は遊技球の流下における偶然性を利用しつつ遊技球の入賞及び景品球払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
【0003】
このようなパチンコ機においては、上述の各種入賞口に、入球ユニットが用いられている。この入球ユニットのうち、例えばアタッカーと呼ばれる大入賞口やスタートチャッカーと呼ばれる始動入賞口等に用いられる入球ユニットには、一般に、開閉扉又は開閉羽根が設けられており、遊技球の入球が困難な閉状態と遊技球の入球が容易な開状態とを実現している。このような入賞口においては、一般的に遊技球が入球することにより遊技者にとって大きな利益が付与されるので、特定の遊技状況においてのみ遊技球の入球が容易な開状態となり、通常時は閉状態となるように動作制御されている。
【0004】
しかしながら、閉状態にあるこれらの入賞口の開閉扉や開閉羽根を、不正具を用いて強制的に開状態とし、遊技球の入球を容易とさせる不正行為が行われる場合がある。このような不正行為を防止すべく、例えば特許文献1は、大入賞口の開閉扉が閉状態にあるときに、係合部と制動片との作用によって、開閉扉が無理に開けられてしまうのを防止する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−269455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のものは、1枚の開閉扉が遊技盤に対して前後に開閉する大入賞口の場合における不正防止の構造であるので、例えば、2枚の開閉羽根が遊技盤と平行な平面内で上下方向に揺動開閉する始動入賞口における不正防止に適用することが難しい。また、駆動手段としてのソレノイドがそのプランジャを上下動作させる位置に取り付けられているので、上下方向における設置スペースを多く消費してしまう。入球ユニットは遊技盤に取り付けられるのであるが、遊技盤のスペースには限りがあるので、上下方向における設置スペースを多く消費する構成は好ましくない。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、始動入賞口等に用いられる開閉羽根を有する入球ユニットにおいて、無理に開閉羽根を開かせる不正行為を防止することができ、かつ省スペース化もはかることのできる入球ユニット及び遊技機を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての入球ユニットは、遊技球の流下による遊技を実現する遊技盤に取り付けられ、遊技球が流入するための流入開口を有する入球ユニットであって、流入開口近傍に取り付けられ、起立することにより遊技球の流入が困難となる閉状態と、傾倒することにより遊技球の流入が容易となる開状態とを、遊技盤面に平行な平面内での揺動開閉により実現する一対の開閉羽根部材と、開閉羽根部材の揺動開閉を駆動する駆動手段と、駆動手段の駆動力を開閉羽根部材へと伝達する伝達機構と、を有し、伝達機構は、開閉羽根部材の揺動開閉移動を平面の法線方向成分を有する往復移動へと変換する方向変換構造と、閉状態にある開閉羽根部材の開状態への移動の規制及び解除を実現する第1ロック構造と、を有する。
【0009】
伝達機構が、開閉羽根部材の揺動開閉移動を平面の法線方向成分を有する往復移動へと変換する。つまり、開閉羽根部材の、遊技盤面と平行な平面内での移動を、その直交方向成分を有する移動、すなわち遊技盤に対して実質的に奥行き方向となる方向への移動へと変換する。その結果、開閉羽根部材の移動を、奥行き方向での往復移動によって実現することができ、入球ユニット全体として遊技盤面内(上下左右方向)での省スペース化を図ることができる。
【0010】
そして、第1ロック構造が一対の開閉羽根部材の閉状態から開状態への移動の規制及び解除を実現している。第1ロック構造が開状態への移動を規制していれば、無理やり開閉羽根部材を開状態として遊技球を不正に流入させる不正行為を防止することができる。なお、もちろん第1ロック部材は、開閉羽根部材を無理に開けようとする不正行為に対しては、その移動を規制するが、駆動手段によって開閉羽根部材が閉状態から開状態へと移動する際には、その規制を解除して移動を許容する。
【0011】
なお、本明細書においては、遊技盤が遊技機に取り付けられた状態における、上下方向を上下方向とし、遊技者から遊技盤を見た場合の左右方向を左右方向とする。また、遊技盤から遊技者に向かう方向を前方向、その逆方向を後ろ方向とする。
【0012】
伝達機構が、開状態にある開閉羽根部材の閉状態への移動の規制及び解除を実現する第2ロック構造を更に有してもよい。
【0013】
第2ロック構造が、開閉羽根部材の開状態から閉状態への移動の規制及び解除を実現している。第2ロック構造が閉状態への移動を規制していれば、例えば、開状態であるにも拘らず、開閉羽根部材に遊技球等が衝突することにより偶発的に閉状態となってしまう、という不測の事態を回避することができる。なお、もちろん第2ロック部材は、開閉羽根部材への不測の外力による閉状態への移動に関しては、その移動を規制するが、駆動手段によって開閉羽根部材が開状態から閉状態へと移動する際には、その規制を解除して移動を許容する。
【0014】
第1ロック構造及び第2ロック構造の発揮する機能により、開閉羽根部材側からの不測の外力による開状態への移動及び閉状態への移動を規制することができる。一方、駆動手段側からの駆動による開状態への移動及び閉状態への移動は問題なく許容され、駆動手段による開閉羽根部材の状態の実現を確実とすることができる。
【0015】
なお、第1ロック構造が、伝達機構の下方への移動を規制することにより開閉羽根部材の開状態への移動の規制を実現してもよい。また、第1ロック構造が、伝達機構の後方への移動を規制することにより開閉羽根部材の開状態への移動の規制を実現してもよい。これらは、設計上の事情により適宜選択可能な構造である。
【0016】
本発明の他の例示的側面としての遊技機は、遊技球の流下による遊技を実現する遊技盤と、遊技盤に取り付けられた上記の入球ユニットと、遊技盤を内包するように保持する遊技機枠と、遊技球を遊技盤に構成される遊技領域に向けて発射する発射ユニットと、遊技球を貯留する球皿と、を有する。
【0017】
この遊技機は、入球ユニットに対する不正防止機能を有している。したがって、不正行為者に対して不測の利益を与えることが防止され、ひいては不正行為の抑制に繋がる。また、この遊技機の入球ユニットが第2ロック構造を有している場合には、不測の外力によって開状態の開閉羽根部材が閉状態となってしまうことが防止されるので、遊技者が不測の不利益を被ることが防止される。更に、伝達機構の作用によって、入球ユニットの省スペース化が図られており、遊技盤面積を有効に活用した興趣性の高い遊技機とすることができる。
【0018】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、一対の開閉羽根部材を有する入球ユニットに対して、閉状態から無理に開状態へと開かせる不正行為を防止することができる。また、遊技盤における入球ユニットに設置面積を低減し、省スペース化に寄与することができる。更に、遊技球の衝突等の不測の外力による、開閉羽根部材の閉状態から開状態への偶発的な移動を防止することができ、遊技者への不測の不利益を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の背面図である。
【図3】図1に示すパチンコ機が有する入球ユニットの要部構成を示す斜視図であって、開閉羽根部材の閉状態を示す図である。
【図4】図1に示すパチンコ機が有する入球ユニットの要部構成を示す斜視図であって、開閉羽根部材の開状態を示す図である。
【図5】図3に示す入球ユニットの分解斜視図である。
【図6】図3に示す入球ユニットの要部を側方から見た側面図であって、開閉羽根部材の閉状態を示す図である。
【図7】図4に示す入球ユニットの要部を側方から見た側面図であって、開閉羽根部材の開状態を示す図である。
【図8】本発明の変形例に係る入球ユニットの要部を側方から見た側面図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る入球ユニットの要部構成を示す斜視図であって、開閉羽根部材の閉状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る入球ユニットの要部構成を示す斜視図であって、開閉羽根部材の開状態を示す図である。
【図11】図9に示す入球ユニットの要部を側方から見た側面図であって、開閉羽根部材の閉状態を示す図である。
【図12】図10に示す入球ユニットの要部を側方から見た側面図であって、開閉羽根部材の開状態を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る入球ユニットの要部を側方から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係るパチンコ機(遊技機)2の正面図であり、図2は、図1に示すパチンコ機2の背面図である。このパチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤ユニット5、ガラス10、発射ユニット(不図示)、球皿14を有している。発射ユニットは、1個ずつ遊技球23を遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて発射可能である。
【0022】
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射装置ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて遊技球が発射ユニットによって発射され、遊技球の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にコインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。
【0023】
なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態1においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
【0024】
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲側面及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内部側には、遊技盤ユニット5の他にも後述する各種制御基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前方又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
【0025】
パチンコ機2の周囲を囲む外枠4、その内側にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する前枠9、前枠9の前方にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されガラス10及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持するガラス枠12、を有して遊技機枠3が構成される。なお、ガラス10は、遊技機枠3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。
【0026】
ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。ガラス10は、2枚の透明平板ガラスで形成されてガラス枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないように不正アクセスを防止する機能、を発揮する。
【0027】
球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは、球抜き部材14cを有して遊技盤6の下方、すなわちガラス枠12の下方部分に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
【0028】
発射ユニットは、球送り装置(不図示)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の遊技球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、前枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射装置ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
【0029】
遊技盤ユニット5は、遊技盤面(遊技盤の表面)6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されるとともに、この演出表示装置7aの表示部7bを露出させるための表示開口部7dが形成されている。
【0030】
遊技盤6は、その表面側に遊技球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠3(本実施の形態においては、遊技機枠3の一部としての前枠9。)に保持されている。その遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の外レール26aが遊技盤に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の外レール26aによって画定され、外レール26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
【0031】
遊技釘27は、遊技領域16を流下する遊技球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、始動入賞口29、大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、ゲート33、風車34等が配置されており、流下する遊技球23が各入球部材に流入したり、ゲート33を通過したり、風車34を回転させたりすることによって、遊技球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。この始動入賞口29は、後述する入球ユニットによって構成されている。
【0032】
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示部7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示部7bには、第1図柄に連動する第1装飾図柄の表示がなされる。第1装飾図柄は、第1抽選手段の抽選結果を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示部7b上に表示されるようになっている。演出表示装置7aには、遊技制御手段としての演出制御基板が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板によって画像表示が制御される。
【0033】
遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う遊技制御手段としての主制御基板を収容した主制御基板ケース35と、演出表示装置7aの画像表示や発光ユニットの発光演出の制御等を行う演出制御基板を収容した演出制御基板ケース36と、賞球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
【0034】
図示しない球発射装置により遊技球23が発射されると、遊技球23はレール飾り26の外レール26aに沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、遊技球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、あるものはレール飾り26の外レール26aに沿って右側に移動し、あるものはゲージに衝突しつつ遊技領域16内を下方に流下し、あるものは普通入賞口28に流入して一定数の景品球払出しの契機となり、あるものはいずれの入球装置にも流入せずに遊技領域16内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
【0035】
図柄変動遊技中に遊技球23が始動入賞口29に流入すると、その流入に起因して演出表示装置7aの表示図柄7cが回転表示(第1の特別遊技の抽選)を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当り(第1の特別遊技。以下、図柄変動大当りという。)が発生する。そして、大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の景品球が球皿14へと払い出されるようになっている。
【0036】
次いで、この発明の実施の形態1に係るパチンコ機2の始動入賞口29を構成する入球ユニット40について詳細に説明する。図3及び図4は、この入球ユニット40の要部構成を示す斜視図であり、図5は、その分解斜視図である。入球ユニット40は、一対の開閉羽根部材41,41、リンク部材(伝達機構の一部)43、アーム部材(伝達機構の一部)44、ガイド部材45、ソレノイド(駆動手段)46を有して大略構成されている。入球ユニット40は、入球した遊技球23を誘導する誘導部材、遊技球23の入球を検出する入球センサ等、その他の構成部材を有しているが、図示及び説明を省略する。なお、図3においては、開閉羽根部材41の閉状態を示し、図4においては、開閉羽根部材41の開状態を示している。
【0037】
開閉羽根部材41は、起立することにより遊技球23の流入が困難な状態(閉状態)と、傾倒することにより遊技球23の流入が容易な状態(開状態)とを実現する部材である。入球ユニット40が遊技盤6に取り付けられた状態で、この開閉羽根部材41は遊技盤6に平行な平面内で揺動開閉移動を行い、その開閉移動方向は、軸42を中心とする図中の±X方向である。なお、この遊技盤6に平行な平面とは、上下左右方向に延びる平面であり、その法線方向は前後方向である。
【0038】
2つの開閉羽根部材41の間は流入開口41aを形成し、この流入開口41aに遊技球23が流入するようになっている。流入した遊技球23は、図示しない入球センサによって検出され、ガイド部材45の中央凹部45aを通過してパチンコ機2の後方側へと排出されるようになっている。開閉羽根部材41の後面側には、突起部41bが形成されている。この突起部41bがリンク部材43によって上下移動されることにより、開閉羽根部材41の開閉移動が実現されている。
【0039】
リンク部材43は、平面視略コ字状とされた部材であって、伝達機構の一部を構成する。リンク部材43の左右2つの遊嵌部43aが各々2つの開閉羽根部材41の突起部41bと遊嵌されて連係動作するようになっている。図6及び図7は、この入球ユニット40の要部を側方から見た側面図である。図6は、開閉羽根部材41の閉状態を示し、図7は、開閉羽根部材41の開状態を示している。この図6及び図7においては、構造理解を容易とするために、リンク部材43とアーム部材44との連係部分近傍を部分的に断面にて示している。
【0040】
リンク部材43は、遊嵌部43aの後方に下方に突出する第1突部43b及び第2突部43cを有している。リンク部材43は、左右方向に延びる軸43dを中心に図6及び図7に示す±Y方向に回転移動可能となっている。その回転移動により遊嵌部43aが上方に移動すると、遊嵌部43aによって突起部41bが上方に押し上げられて開閉羽根部材41が閉状態となる。回転移動により遊嵌部43aが下方に移動すると、遊嵌部43aによって突起部41bが下方に引き下げられて開閉羽根部材41が開状態となる。
【0041】
リンク部材43の第2突部43cは、アーム部材44の孔部44aに遊嵌挿入されて連係動作するようになっている。すなわち、アーム部材44が後方に移動すると、孔部44aによって第2突部43cが後方に引っ張られる。そうすると、リンク部材43が+Y方向へと移動し、それによって開閉羽根部材41が+X方向へと移動する(開状態となる)。また、アーム部材44が前方に移動すると、孔部44aによって第2突部43cが前方に押される。そうすると、リンク部材43が−Y方向へと移動し、それによって開閉羽根部材41が−X方向へと移動する(閉状態となる)。
【0042】
ここで、第1突部43bは、遊嵌部43aと同位相で上下移動する。すなわち、遊嵌部43aが+Y方向移動する際に第1突部43bも+Y方向移動し、遊嵌部43aが−Y方向移動する際に第1突部43bも−Y方向移動する。したがって、開閉羽根部材41が閉状態のとき第1突部43bは上方へ移動しており、開閉羽根部材41が開状態のとき第1突部43bは下方へ移動している。
【0043】
アーム部材44は、平面視略コ字状とされた部材であって、リンク部材43の下方から後方にかけて配置されて伝達機構の一部を構成する。アーム部材44は、ソレノイド46のプランジャ46aと係合する係合部44bを有しており、プランジャ46aと共に前後方向へ移動するようになっている。アーム部材44は、左右2つの孔部44aを有しており、その孔部44aに各々2つの第2突部43cが遊嵌挿入されている。それにより、アーム部材44の前後方向移動によって、リンク部材43が±Y方向移動するようになっている。
【0044】
孔部44aの前方位置には、各々上向き傾斜の傾斜面を有する傾斜部44cが形成されている。この傾斜部44cは、アーム部材44が前方移動する際に、第1突部43bの上方移動を開始させるためのものである。アーム部材44の前方移動により、第1突部43bは前方に押されつつすくい上げられてアーム部材44の上面部44dにまで至る。傾斜部44cの存在により、開閉羽根部材41の開状態から閉状態への移動がスムーズとなる。
【0045】
第2突部43cと孔部44aとの嵌め合いには、隙間Gが形成されている。この隙間Gは、ソレノイド46の駆動によるスムーズな開閉羽根部材41の開閉移動と、開閉羽根部材41側からの外力による閉状態から開状態への移動規制とを両立させるためのものである。すなわち、第1突部43b、第2突部43c、孔部44a、傾斜部44c、上面部44d及び隙間Gの存在が第1ロック構造を構成している。第1ロック構造の機能及び作用については、後述する。
【0046】
ガイド部材45は、アーム部材44の開口44eに挿入されるように配置された部材であって、中央凹部45aを有している。その中央凹部45aには、流入開口41aに流入した遊技球23が通過するようになっている。ガイド部材45の外壁面45bは、アーム部材44の開口44eの内壁面44fの近傍に位置し、アーム部材44の前後方向移動の際に内側からその前後移動を支持する機能を発揮している。そして、後述するように、開閉羽根部材41が外力によって不正に開けられようとした場合には、アーム部材44が内側方向に向かう応力を受けて撓み、内壁面44fとガイド部材45の外壁面45bとが接触する。その接触摩擦によってアーム部材44の後方への移動が困難となり、補助的に不正防止効果を発揮している。
【0047】
ソレノイド46は、開閉羽根部材41の揺動開閉を駆動する駆動手段である。ソレノイド46はプランジャ46aを有しており、図示しない遊技制御手段からの制御指令に基づいて、プランジャ46aを前後移動させる。なお、この実施の形態1においては、ソレノイド46のプランジャ46aの移動方向が前後方向とされているので、この入球ユニット40の上下及び左右方向の寸法は比較的小型である。したがって、遊技盤6に入球ユニット40を取り付けた場合に、遊技盤面6a又はその裏面側で入球ユニット40が占める面積を小さくすることができ、省スペースに寄与している。
【0048】
<ソレノイド46による閉状態から開状態への移動:第1ロック構造による移動許容>
開閉羽根部材41の閉状態においては、アーム部材44が前方に進出した位置となっている(図6参照)。この状態では、リンク部材43の遊嵌部43aは上方に位置し、突起部41bが押し上げられて開閉羽根部材41が閉状態となっている。また、リンク部材43の第1突部43bも上方に位置し、前方位置にあるアーム部材44の上面部44dの上方に位置している。
【0049】
ソレノイド46が駆動され、プランジャ46aが後方に退避移動すると、アーム部材44がプランジャ46aと同期して後方移動する。そうすると、まず、上面部44dが後方移動して第1突部43bの下方位置よりも後方へと移動する。その結果、第1突部43bの下方への移動を阻止する部分がなくなる。
【0050】
その後、孔部44aが第2突部43cに当接して第2突部43cを後方へ引っ張る。それによって、リンク部材43が+Y方向への回転移動を開始する。+Y方向への回転移動によって第1突部43bが下方へと移動するが、その移動を阻止(規制)するものがないので、スムーズな下方移動が実現する。その結果、遊嵌部43aがスムーズに下方移動し、遊嵌部43aによって突起部41bが下方に引き下げられて開閉羽根部材41が開状態へとスムーズに移動する(図7参照)。
【0051】
隙間Gの存在により、孔部44aが第2突部43cを後方へ引っ張るよりも早いタイミングで第1突部43bの下方位置に上面部44dが不在となる。その結果、第1ロック構造は、開閉羽根部材41の開状態へのスムーズな移動を許容する。
【0052】
<ソレノイド46による開状態から閉状態への移動>
開閉羽根部材41の開状態においては、アーム部材44が後方に退避した位置となっている(図7参照)。この状態では、リンク部材43の遊嵌部43aは下方に位置し、突起部41bが引き下げられて開閉羽根部材41が開状態となっている。また、リンク部材43の第1突部43bも下方に位置しており、その後方位置にアーム部材44の傾斜部44cが存在している。
【0053】
ソレノイド46が駆動され、プランジャ46aが前方に進出移動すると、アーム部材44がプランジャ46aと同期して前方移動する。そうすると、まず、傾斜部44cが第1突部43bをすくい上げる。それによって、第1突部43bが上方への移動を開始し、アーム部材44の−Y方向の回転移動が開始する。
【0054】
続いて、孔部44aが第2突部43cに当接して第2突部43cを前方へ押し込む。それによって、リンク部材43の−Y方向への回転移動が更に補助される。アーム部材44の前方移動により、第1突部43bが傾斜部44cにすくい上げられて上って行き、最終的には上面部44dの上方位置へと至る。つまり、再び、第1突部43bの下方位置に上面部44dが存在する状態となる(図6参照)。
【0055】
リンク部材43の−Y方向移動によって、遊嵌部43aがスムーズに上方移動し、遊嵌部43aによって突起部41bが上方に押し上げられて開閉羽根部材41が閉状態へとスムーズに移動する。
【0056】
隙間Gの存在により、孔部44aが第2突部43cを前方へと押し込むよりも早いタイミングで第1突部43bに傾斜部44cが接触する。しかしながら、傾斜部44cが第1突部43bをすくい上げるように構成されているので、開閉羽根部材41の閉状態へのスムーズな移動が実現している。
【0057】
<開閉羽根部材41を不正に開けようとした場合:第1ロック構造による移動規制>
次に、開閉羽根部材41を不正に開けようとした場合の第1ロック構造の作用について説明する。この場合は、ソレノイド46の駆動による閉状態から開状態への移動でなく、開閉羽根部材41に外力を加えて閉状態から無理に開状態へと移動させようとする状況である。
【0058】
閉状態の開閉羽根部材41に対して開く方向に外力を加えると、まず、突起部41bが遊嵌部43aに対して下向きの力を作用させる(図6参照)。遊嵌部43aに下向きの力を受けたリンク部材43は、軸43dを中心に+Y方向へと回転しようとする。そして、それに伴って、第1突部43bも下向きへと移動しようとする。
【0059】
しかしながら、ソレノイド46の駆動を伴っていないので、プランジャ46a及びアーム部材44は前方の進出位置に位置している。つまり、第1突部43bの下方位置にアーム部材44の上面部44dが位置している。そのため、第1突部43bが下方に移動しようとしても、上面部44dに干渉して第1突部43bは殆ど下方への移動を行うことができない。その結果、リンク部材43は+Y方向への回転移動を殆ど行うことができず、開閉羽根部材41の開状態へと移動することができない。このように、アーム部材44の上面部44dが、リンク部材43の第1突部43bの下方移動を規制することにより、開閉羽根部材41の開状態への移動が規制される。
【0060】
なお、開閉羽根部材41を無理に開こうとしたときの、第1突部43bと上面部44dとの当接により第1突部43bから上面部44dへと加えられる下向きの力は、アーム部材44の開口44eよりも左右方向両外側で作用する。そのアーム部材44は、図5に示すように平面視略コ字状とされ、上下方向に沿って立設する内壁面44fの左右外側に略L字状に外方に屈曲して突出した位置に上面部44dを有している。
【0061】
そのため、この上面部44dに下向きの力が加えられると、左右の内壁面44fが内向きに撓む方向のモーメント力を受けることとなる。その内壁面44fの内側には隣接するようにガイド部材45の外壁面45bが立設形成されている。したがって、内壁面44fが内側へ撓むと、外壁面45bを挟み込むように接触して、外壁面45bを内側向きに付勢する。
【0062】
この内壁面44fから外壁面45bに作用する付勢力は、アーム部材44の前後方向移動に対して摩擦抵抗を発生させる。したがって、開閉羽根部材41が不正に開けられようとした場合には、この摩擦抵抗力も補助的にアーム部材44の後方移動を阻止している。
【0063】
[変形例]
図8は、この実施の形態1の変形例に係る入球ユニット40の要部を側方から見た側面図である。図8は、開閉羽根部材41の開状態を示している。この入球ユニット40においては、孔部44aの前方面が下向き傾斜の傾斜面44gとされている。そして、リンク部材43の第2突部43cの前方面が上向き傾斜の傾斜面43eとされている。この2つの傾斜面44g,43eは開閉羽根部材41の開状態から閉状態への移動の規制及び解除を実現する第2ロック構造を構成している。
【0064】
すなわち、ソレノイド46の駆動に基づく、開状態から閉状態への移動の際は、この変形例においても上記実施の形態1の場合と同様に、スムーズにその移動が行われる。第2ロック構造は、この場合の閉状態への移動を許容する。しかし、開状態にある開閉羽根部材41に外力を作用させて閉状態へと移動させようとした場合、前方へ移動しようとする第2突部43cの傾斜面43eと、後方の退避位置にあるアーム部材44の孔部44aの傾斜面44gとが当接する。
【0065】
両者が傾斜しているので、両傾斜面に作用する力はアーム部材44を上方へと移動させようとする上方向成分を有する。傾斜角度を緩やかにすれば、前方方向への成分に比較して上方向への成分を大きくすることができる。アーム部材44の上方移動は、プランジャ46aとの係合部44bによって規制されているので、アーム部材44は上方移動ができない。その結果、アーム部材44は上方へも前方へも移動できず、結果としてリンク部材43が−Y方向に回転できない。このように、第2ロック構造によって、開閉羽根部材41側からの外力による開状態から閉状態への移動が規制される。
【0066】
[実施の形態2]
図9及び図10は、本発明の実施の形態2に係る入球ユニット140の要部構成を示す斜視図である。また、図11及び図12は、この入球ユニット140の要部を側方から見た側面図である。なお、図9及び図11においては、開閉羽根部材141の閉状態を示し、図10及び図12においては、開閉羽根部材141の開状態を示している。
【0067】
この入球ユニット140は、一対の開閉羽根部材141,141、リンク部材(伝達機構の一部)143、アーム部材(伝達機構の一部)144、中継部材(伝達機構の一部)145、ソレノイド(駆動手段)146を有して大略構成されている。なお、その他の構成については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
【0068】
開閉羽根部材141は、後方に突出する突起部141bを有し、その突起部141bがリンク部材143の遊嵌部143aと連動するようになっている。リンク部材143は、遊嵌部143aの後方に位置する軸143dを中心に±Y方向に回転移動するが、その軸143dも中継部材145の前方溝145aを左右に貫通しており中継部材145に同期して前後方向に移動可能となっている。
【0069】
リンク部材143における軸143dの更に後方には係合軸143bが設けられ、この係合軸143bがアーム部材144の溝部144aと連結されている。溝部144aは、係合軸143bの上下移動を規制するが、前後移動は許容するように形成されている。このアーム部材144は、ソレノイド146のプランジャ146aに固定されてプランジャ146aと共に上下移動するようになっている。その上下移動の際に、係合軸143bが連動して上下移動し、軸143dを中心にリンク部材143が±Y方向に回転移動する。すなわち、係合軸143bが上方移動すると、遊嵌部143aが下方移動し、開閉羽根部材141が開状態へと移動する。そして、係合軸143bが下方移動すると、遊嵌部143aが上方移動し、開閉羽根部材141が閉状態へと移動する。
【0070】
アーム部材144には、左右の溝部144a同士を連絡するように左右方向に延びる連絡軸144bが設けられている。この連絡軸144bは、中継部材145の後方溝145bを左右に貫通している。
【0071】
中継部材145は、前方溝145aと後方溝145bとを有しており、リンク部材143とアーム部材144とを中継する部材である。中継部材145の前方溝145aにはリンク部材143の軸143d、後方溝145bにはアーム部材144の連絡軸144bが貫通している。前方溝145aは、上下に延びる略U字状の溝であって、軸143dを回転可能に保持している。後方溝145bは、図11及び図12に示すように、上下に延びる縦溝部145cとその下方から斜め下後方に向かって延びる傾斜溝部145dとを有している。
【0072】
開閉羽根部材141の閉状態、すなわちソレノイド146のプランジャ146aが下方に位置している状態においては、連絡軸144bは後方溝145bの傾斜溝部145dに位置している(図11参照)。そして、プランジャ146aが上方へ移動すると、連絡軸144bが傾斜溝部145dの上面側に接触しつつ上方へ移動し、縦溝部145c内へと移動する。そして、連絡軸144bに押されるように中継部材145が後方へと移動する。中継部材145の後方移動に従って、前方溝145a内を貫通する軸143dも後方へ移動するので、リンク部材143全体が後方へと移動することとなる。
【0073】
プランジャ146aの上方移動に伴い、アーム部材144の溝部144aもリンク部材143の係合軸143bを上方に押し上げる。それにより、リンク部材143は、+Y方向への回転移動を行う。つまり、プランジャ146aの上方移動に伴って、リンク部材143は、後方へ移動しつつ同時に+Y方向への回転移動を行い、その結果、遊嵌部143aが突起部141bを上に引き下げて開閉羽根部材141が開状態へと移動するのである(図12参照)。
【0074】
逆に、開閉羽根部材141の開状態、すなわちプランジャ146aが上方に位置している状態からプランジャ146aが下方に移動すると、連絡軸144bが縦溝部145cの最下方から傾斜溝部145dへと進入する。ここで、中継部材145が例えばバネ等の付勢部材によって前方へと付勢されていれば、プランジャ146aの下方移動に従って、中継部材145が前方へと移動する。
【0075】
その際、プランジャ146aと共に、溝部144aに連結された係合軸143bも下方移動する。そうすると、リンク部材143が−Y方向に回転移動する。つまり、プランジャ146aの下方移動により、リンク部材143が前方へ移動しつつ同時に−Y方向への回転移動を行い、その結果、遊嵌部143aが突起部141bを上に押し上げて開閉羽根部材141が閉状態へと移動するのである(図11参照)。
【0076】
なお、この開閉羽根部材141の閉状態において、ソレノイド146の駆動によるのでなく、開閉羽根部材141を無理に開こうとすると、突起部141bからリンク部材143の遊嵌部143aへと下向きの力が作用する。そして、リンク部材143が+Y方向に回転しようとして係合軸143bが溝部144aを介してアーム部材144を上方へ押し上げようとする。
【0077】
しかし、この状態では中継部材145が後方へ移動していないので、連絡軸144bが傾斜溝部145dの上面に当接してしまい、連絡軸144bが上方へ移動できない。したがって、リンク部材143は、+Y方向へ回転移動できず、結果として開閉羽根部材141の開状態への移動が規制されることとなる。
【0078】
[実施の形態3]
図13は、本発明の実施の形態3に係る入球ユニット240の要部を側方から見た側面図である。この入球ユニット240は、一対の開閉羽根部材241、リンク部材(伝達機構の一部)243、アーム部材(伝達機構の一部)244、ソレノイド(駆動手段)246を有して大略構成されている。
【0079】
開閉羽根部材241の突起部241bがリンク部材243の遊嵌部243aに遊嵌され、リンク部材243が軸243dを中心に±Y方向へ回転移動するようになっている点については、上記実施の形態1と同様である。リンク部材243の後端部243bは、アーム部材244に前後方向に延びて形成された溝部244a内に挿入されていて、ソレノイド246のプランジャ246aの上下移動に伴って、後端部243bも上下移動しつつ前後に移動するようになっている。
【0080】
プランジャ246aが下方に位置する状態、すなわち開閉羽根部材241の閉状態においては、溝部244aの上面側に形成された段付き部244bに後端部243bが当接するようになっている。この状態で、開閉羽根部材241を開こうとすると、後端部243bが溝部244aの上面に当接しつつ後方への移動を伴う+Y方向の回転移動をしようとするが、段付き部244bが後端部243bの後方移動を規制している。その結果、閉状態の開閉羽根部材241を無理に開こうとしても、開くことができないようになっている。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
2:パチンコ機(遊技機)
3:遊技機枠
4:外枠
5:遊技盤ユニット
6:遊技盤
6a:遊技盤面(遊技盤の表面)
7:センター役物
7a:演出表示装置
7b:表示部
7c:表示図柄
7d:表示開口部
9:前枠
10:ガラス
12:ガラス枠
14:球皿
14a:上球皿
14b:下球皿
14c:球抜き部材
15:発射装置ハンドル
16:遊技領域
22:ヒンジ
23:遊技球
26:レール飾り
26a:外レール
27:遊技釘
28:普通入賞口
29:始動入賞口
30:アウト口
31:大入賞口
32:装飾部材
33:ゲート
34:風車
35:主制御基板ケース
36:演出制御基板ケース
37:払出制御基板ケース
38:電源基板ケース
39:外部出力端子板
40:入球ユニット
41:開閉羽根部材
41a:流入開口
41b:突起部
42:軸
43:リンク部材(伝達機構の一部)
43a:遊嵌部
43b:第1突部
43c:第2突部
43d:軸
43e:傾斜面
44:アーム部材(伝達機構の一部)
44a:孔部
44b:係合部
44c:傾斜部
44d:上面部
44e:開口
44f:内壁面
44g:傾斜面
45:ガイド部材
45a:中央凹部
45b:外壁面
46:ソレノイド(駆動手段)
46a:プランジャ
140:入球ユニット
141:開閉羽根部材
141b:突起部
143:リンク部材(伝達機構の一部)
143a:遊嵌部
143b:係合軸
143d:軸
144:アーム部材(伝達機構の一部)
144a:溝部
144b:連絡軸
145:中継部材(伝達機構の一部)
145a:前方溝
145b:後方溝
145c:縦溝部
145d:傾斜溝部
146:ソレノイド(駆動手段)
146a:プランジャ
240:入球ユニット
241:開閉羽根部材
241b:突起部
243:リンク部材(伝達機構の一部)
243a:遊嵌部
243b:後端部
243d:軸
244:アーム部材(伝達機構の一部)
244a:溝部
244b:段付き部
246:ソレノイド(駆動手段)
246a:プランジャ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球の流下による遊技を実現する遊技盤に取り付けられ、前記遊技球が流入するための流入開口を有する入球ユニットであって、
前記流入開口近傍に取り付けられ、起立することにより前記遊技球の流入が困難となる閉状態と、傾倒することにより前記遊技球の流入が容易となる開状態とを、遊技盤面に平行な平面内での揺動開閉により実現する一対の開閉羽根部材と、
該開閉羽根部材の揺動開閉を駆動する駆動手段と、
該駆動手段の駆動力を前記開閉羽根部材へと伝達する伝達機構と、を有し、
該伝達機構は、
前記開閉羽根部材の揺動開閉移動を前記平面の法線方向成分を有する往復移動へと変換する方向変換構造と、
前記閉状態にある前記開閉羽根部材の前記開状態への移動の規制及び解除を実現する第1ロック構造と、を有する入球ユニット。
【請求項2】
前記伝達機構が、
前記開状態にある前記開閉羽根部材の前記閉状態への移動の規制及び解除を実現する第2ロック構造を更に有する請求項1に記載の入球ユニット。
【請求項3】
前記遊技球の流下による遊技を実現する前記遊技盤と、
該遊技盤に取り付けられた請求項1又は請求項2のうちいずれか1項に記載の入球ユニットと、
該遊技盤を内包するように保持する遊技機枠と、
前記遊技球を前記遊技盤に構成される遊技領域に向けて発射する発射ユニットと、
前記遊技球を貯留する球皿と、を有する遊技機。
【請求項1】
遊技球の流下による遊技を実現する遊技盤に取り付けられ、前記遊技球が流入するための流入開口を有する入球ユニットであって、
前記流入開口近傍に取り付けられ、起立することにより前記遊技球の流入が困難となる閉状態と、傾倒することにより前記遊技球の流入が容易となる開状態とを、遊技盤面に平行な平面内での揺動開閉により実現する一対の開閉羽根部材と、
該開閉羽根部材の揺動開閉を駆動する駆動手段と、
該駆動手段の駆動力を前記開閉羽根部材へと伝達する伝達機構と、を有し、
該伝達機構は、
前記開閉羽根部材の揺動開閉移動を前記平面の法線方向成分を有する往復移動へと変換する方向変換構造と、
前記閉状態にある前記開閉羽根部材の前記開状態への移動の規制及び解除を実現する第1ロック構造と、を有する入球ユニット。
【請求項2】
前記伝達機構が、
前記開状態にある前記開閉羽根部材の前記閉状態への移動の規制及び解除を実現する第2ロック構造を更に有する請求項1に記載の入球ユニット。
【請求項3】
前記遊技球の流下による遊技を実現する前記遊技盤と、
該遊技盤に取り付けられた請求項1又は請求項2のうちいずれか1項に記載の入球ユニットと、
該遊技盤を内包するように保持する遊技機枠と、
前記遊技球を前記遊技盤に構成される遊技領域に向けて発射する発射ユニットと、
前記遊技球を貯留する球皿と、を有する遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−206318(P2011−206318A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77911(P2010−77911)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】
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