説明

入退室監視装置

【課題】警報器が警報音を鳴らさない動作モードを備えつつも、監視対象者による出入口の通過の検出を確実に行うことができる入退室監視装置を提供する。
【解決手段】識別信号生成手段とこれを出力する通信手段を有する識別機20と、出入口90の通過物を検出する通過物検出手段と、通過信号を生成する通過信号生成手段と、識別信号と通過信号を出力する通信手段を有する通過検出部30と、警報器40と、第1の動作モードと、第2の動作モードを警報器40に実行させる動作制御手段と、警報器40を第1の動作モードまたは第2の動作モードにする動作モード選択スイッチと、動作モード選択スイッチが第2の動作モードを選択後、所要時間経過後に警報器40を第1の動作モードに自動復帰させる動作モード自動復帰手段と、を有する動作制御部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象者の無断外出や不審者の侵入防止のために、玄関等の出入口を監視し、監視対象者や不審者を検知したときに警報を発する入退室監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
認知症患者や知的障害者などの家からの出入りに監視が必要な監視対象者に対し、所定電波を発信する発信器や可視光線を発生する発信器を、お守りとして持たせたり、発信器であることがわからないように衣服に装着して監視対象者に携帯させ、出入口で発信器からの電波や可視光線を受信し、介護者に知らせる装置が提案されている。このような構成を有する入退室監視装置としては、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているようなものが知られている。
【0003】
また、近年においては、介護者などの非監視対象者に発信器を携行させることで、非監視対象者が近くに居ない場合においてのみ、監視対象者が出入口を通過したことを介護者などに通知することを可能にした入退室監視装置についての提案もなされている。このような構成を有する入退室監視装置としては、例えば特許文献3や特許文献4に開示されているようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−66473号公報
【特許文献2】特開2000−081488号公報
【特許文献3】特開2001−28090号公報
【特許文献4】特開2002−236987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に示した特許文献に開示されている入退室監視装置は、監視対象者のみが出入口を通過した場合に警報器を作動させることにより、介護者などへ通知を行うことで、いわゆる徘徊を未然に防止することができる点において好都合であった。
また、特許文献3,4に開示されている入退室監視装置の構成によれば、監視対象者に発信器を携行させる必要がないため、監視対象者により発信器を破壊されてしまうおそれや、発信器を廃棄されてしまうというおそれもなく、動作信頼性の高い入退室監視装置を実現することが可能になり、介護者の利便性は大幅に向上し、介護施設においては極めて使い勝手が良好であるといえる。
【0006】
近年では、監視対象者が自宅療養をしている場合も多くなっている。このような場合においては、来客中などの特定の条件下では警報器からの警報音の発生を一時的にストップしたい場合がある。特許文献4には、警報音を発生させないようにするための切り替えスイッチを配設した入退室監視装置の構成が開示されている。
しかしながら、来客が去った後に切り替えスイッチの復旧を忘れてしまうと、警報音が鳴らずに、監視対象者の入退室を防止することができないおそれがあるという課題の所在が明らかになった。
【0007】
そこで本願発明は、警報器が警報音を鳴らさない動作モードを備えつつも、監視対象者による出入口の通過の検出を確実に行うことができる入退室監視装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するため本願発明は以下の構成を有する。
すなわち、建物に設けられた出入口から監視対象者が出入りすることを監視するための入退室監視装置であって、非監視対象者であることを識別するための識別信号を間欠的に生成する識別信号生成手段と、生成された識別信号を所要範囲内に出力する通信手段と、を有する識別機と、前記出入口に設けられ、前記出入口における通過物の有無を検出する通過物検出手段と、該通過物検出手段が通過物を検出した際に通過信号を生成する通過信号生成手段と、前記識別機からの識別信号を受信可能であると共に前記通過信号と前記受信した識別信号とをそれぞれ出力可能な通信手段と、を有する通過検出部と、警報音発生手段と警報光発生手段と、を有する警報器と、前記通過検出部の通信手段から出力された通過信号および前記識別機の通信手段から出力された識別信号が受信可能な信号受信手段と、該信号受信手段が前記通過信号および前記識別信号を受信した際には、前記警報器の未作動状態を維持し、前記信号受信手段が前記通過信号のみを受信した際には、前記警報音発生手段または前記警報音発生手段および前記警報光発生手段を作動させる第1の動作モードと、前記信号受信手段が前記通過信号および前記識別信号を受信した際には、前記警報器の未作動状態を維持し、前記信号受信手段が前記通過信号のみを受信した際には、前記警報光発生手段のみを作動させる第2の動作モードと、を前記警報器に実行させる動作制御手段と、該動作制御手段に、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとのうちいずれか一方の動作モードを実行させるかを選択可能な動作モード選択スイッチと、前記動作モード選択スイッチにより前記第2の動作モードが選択された場合、前記第2の動作モードが選択されてから予め設定された時間が経過した後に、前記警報器の動作モードを前記第1の動作モードに自動復帰させる動作モード自動復帰手段と、を有する動作制御部と、を具備することを特徴とする入退室監視装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる入退室監視装置の構成によれば、警報器が警報音を鳴らさない動作モードを備えつつも、監視対象者による出入口の通過の検出を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態にかかる入退室監視装置を建物に設置した状態を示す概略斜視図である。
【図2】図1中の識別機の概略内部構造を示すブロック図である。
【図3】図1中の通過検出部の概略内部構造を示すブロック図である。
【図4】図1中の警報器の概略内部構造を示すブロック図である。
【図5】第2実施形態にかかる入退室監視装置を建物に設置した状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明にかかる入退室監視装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
本実施形態にかかる入退室監視装置10は、図1に示すように、所持者が入退室監視装置10による監視対象外であることを識別するための識別信号を出力する識別機20と、住居等の建物80における外部との出入口90に設けられ、出入口90からの人の通過を検出し、通過信号を出力する通過検出部30と、警報音および警報光を発生させる警報器40と、警報器40に内蔵され、識別機20からの識別信号と通過検出部30からの通過信号を受信し、各信号の受信条件に応じて警報器40の作動状態を制御する動作制御部50とを有している。本実施形態においては図1に示すような2つの部屋82,84を有する建物80について説明しているが、建物80の部屋数や間取りは適宜変更可能である。
【0012】
図2に示すように、識別機20は、加速度センサ22と、加速度センサ22に接続された識別信号生成手段24と、識別信号生成手段24により生成された識別信号を所要範囲に出力する通信手段26と、加速度センサ22、識別信号生成手段24、通信手段26を駆動させるための電源28とを有している。ここでは、電源28としていわゆるボタン電池を用いている。
識別機20は、介護者等に代表される非監視対象者200,200Aにより携行されるものである。ここでの識別信号生成手段24は、加速度センサ22が加速度を検出している間においてのみ識別信号を間欠的に生成するように設定されている。識別信号生成手段24により生成された識別信号は、通信手段26により所要範囲内に出力される。通信手段26により識別信号を出力させることで、識別機20を携行している者(非監視対象者200,200A)が出入口90から入退室した場合や、識別機20を携行している者が出入口90付近にいる場合には警報器40を作動させないようにする処理フローを簡潔にすることができる。通信手段26の出力は適宜調整することが可能であるが、ここではいわゆる微弱無線局に該当する出力としており、通信手段26による識別信号の出力範囲は、識別機20を中心として半径数メートル程度となっている。
【0013】
本実施形態にかかる識別機20のように識別信号生成手段24による識別信号の生成を間欠的に行うと共に、通信手段26により限られた範囲内のみに識別信号の出力を行うことで、識別機20の電源28による駆動可能時間を可及的に長くすることが可能になり好都合である。加速度センサ22は、介護者等の非監視対象者200,200Aが一定速度で移動をしようとしている場合であっても、歩行時における上下動等によりわずかな加速度の変化が生じるため、出入口90付近における非監視対象者200,200Aの移動(活動)状態を検出することは十分可能である。
【0014】
建物80における外部への出入口90には、図3に示すような通過検出部30が配設されている。通過検出部30には、出入口90からの人の出入りの有無を検出する通過物検出手段32と、通過物検出手段32により出入口90からの人の出入りを検出した場合に、通過信号を生成する通過信号生成手段34と、識別機20から出力された識別信号が受信可能であり、受信した識別信号と通過信号生成手段34が生成した通過信号を出力可能な通信手段36と、通過物検出手段32、通過信号生成手段34、通信手段36を駆動させるための電源38が内蔵されている。一例として電源38には乾電池を用いているが、いわゆる商用電源(AC100V)に接続する構成としてもよい。
また、図示しないが、通過検出部30には、複数の出力端子および入力端子が設けられている。これら出力端子および入力端子の具体的な使用形態については後述する。
【0015】
通過物検出手段32としては光電センサ、ライトカーテン、近接センサ等の公知の検出方式を適用した検出手段を用いることができる。通過物検出手段32が通過物を検出すると、通過信号生成手段34が出入口90からの人の通過を通知する通過信号を生成する。通過信号生成手段34により生成された通過信号と識別機20から受信した識別信号を出力する通信手段36は、いわゆる特定小電力無線局または微弱無線局に該当する出力で通過信号と識別信号を無線信号によって出力している。具体的には、通信手段36は、識別信号を受信すると共に通過物検出手段32が通過物(人)を検出した場合に、識別信号と通過信号を出力する第1の信号出力と、識別信号は受信せず、通過物検出手段32が通過物(人)を検出した場合に、通過信号のみを出力する第2の信号出力と、をそれぞれ出力する。
【0016】
本実施形態における警報器40は図4に示すように、警報音を発生する警報音発生手段42と、警報光を発生する警報光発生手段44とを有すると共に、警報音発生手段42と警報光発生手段44の動作を制御する動作制御部50を内蔵している。図示はしていないが、警報器40には複数の入力部が設けられていて、各入力部に各々対応する警報光発生手段44が配設されている。警報音発生手段42は、各入力部に対応させた警報音を発生させることができるため必ずしも複数を配設する必要はない。このように複数の入力部を有していることで、建物80内に複数の出入口90がある場合、それぞれの出入口90に配設された通過検出部30を一括管理することができる点で好都合である。
【0017】
警報器40に内蔵されている動作制御部50について説明する。
動作制御部50は、通過検出部30から出力された識別信号および通過信号が受信可能な信号受信手段52と、警報音発生手段42と警報光発生手段44の動作を制御する動作制御手段54と、介護者等の非監視対象者200,200Aにより信号受信手段52の受信信号の組み合わせに対応させた警報音発生手段42と警報光発生手段44の動作条件を任意に選択するための動作モード選択スイッチ56と、動作モード選択スイッチ56により動作モードを選択した後から所要時間が経過すると基本動作モードである第1の動作モード(詳細は後述)に自動的に復帰させる動作モード自動復帰手段58と、を有している。なお、図示はしていないが、警報器40と警報器40に内蔵されている動作制御手段50の駆動源は、商用電力や乾電池が用いられている。
【0018】
動作制御手段54が行う警報音発生手段42と警報光発生手段44の動作制御方法について説明する。
まずは、通常時に適用される基本動作モードについて説明する。
図1中で建物80の中に監視対象者100と非監視対象者200が居る場合、出入口90付近に非監視対象者200が居るので、出入口90に配設された通過検出部30は識別機20からの識別信号が受信可能な状態である。この状態で監視対象者100が出入口90を通過すると、動作制御部50の信号受信手段52は、第1の信号出力を受信することになる。第1の信号出力を受信した場合、動作制御手段54は、監視対象者100と非監視対象者200である介護者が共に出入口90に居ると判断することができ、警報音発生手段42および警報光発生手段44を未作動の状態を維持させる処理を実行する。
建物80の中に非監視対象者200,200Aのいずれもいない場合や、建物80内に非監視対象者200Aが居る場合であっても出入口90付近以外の場所に非監視対象者200Aが居る場合には、出入口90に配設された通過検出部30は、識別機20からの識別信号が受信できない状態になる。この状態で監視対象者100が出入口90を通過すると、動作制御部50の信号受信手段52は、第2の信号出力を受信することになる。第2の信号出力を受信した場合、動作制御手段54は、非監視対象者200,200Aがいずれも出入口90付近に不在の状態で監視対象者100が出入口90にいると判断することができ、警報音発生手段42および警報光発生手段44のうちの少なくとも警報音発生手段42を作動させる処理を実行する。
以上に説明した警報器40の動作モードが第1の動作モード(基本動作モード)である。
【0019】
これに対して来客時等における変則的な動作モードについて説明する。
図1中で建物80の中に監視対象者100と非監視対象者200が居る場合、出入口90付近に非監視対象者200が居るので、出入口90に配設された通過検出部30は識別機20からの識別信号が受信可能な状態である。この状態で監視対象者100が出入口90を通過すると、動作制御部50の信号受信手段52は、第1の信号出力を受信することになる。第1の信号出力を受信した場合、動作制御手段54は、監視対象者100と非監視対象者200である介護者が共に出入口90に居ると判断することができ、警報音発生手段42および警報光発生手段44を未作動の状態を維持させる処理を実行する。
建物80の中に非監視対象者200,200Aのいずれもいない場合や、建物80内に非監視対象者200Aが居る場合であっても出入口90付近以外の場所に非監視対象者200Aが居る場合には、出入口90に配設された通過検出部30は、識別機20からの識別信号が受信できない状態になる。この状態で監視対象者100が出入口90を通過すると、動作制御部50の信号受信手段52は、第2の信号出力を受信することになる。第2の信号出力を受信した場合、動作制御手段54は、非監視対象者200,200Aいずれも不在の状態で監視対象者100が出入口90にいると判断することができ、警報光発生手段44のみを作動させる処理を実行する。
以上に説明した警報器40の動作モードが第2の動作モード(変則動作モード)である。このように第2の動作モードが適用されている状態では、警報器40の警報音発生手段42を作動させずに警報を発することができるため、来客者に不快な思いをさせることがなく好都合である。
【0020】
また、これら基本動作モードである第1の動作モードと変則動作モードである第2の動作モードは、警報器40に設けられた動作モード選択スイッチ56により非監視対象者200,200Aである介護者等により任意に切り替えすることができる。
特に、動作モード選択スイッチ56を操作して第2の動作モードを選択した場合には、第2の動作モードが選択された後、あらかじめ設定されている所要時間を経過すると、動作モード自動復帰手段58が自動的に動作制御手段52による警報器40の動作制御状態を第1の動作モードに復帰させることができる点においても好都合である。これにより動作モード選択スイッチ56の戻し忘れを確実に防止することができ好適である。本実施形態における動作モード自動復帰手段58にはタイマースイッチを用いた。また、動作モード自動復帰手段58のタイマースイッチの作動時間は、任意の時間に設定可能にしておくことが好ましい。
【0021】
また、警報器40に図示しないUSB端子等の外部接続端子を設けることにより、メール送信手段を兼ねるパーソナルコンピュータ70を警報器40に接続することもできる。パーソナルコンピュータ70はインターネットなどのネットワーク72に接続しておくこともできる。パーソナルコンピュータ70の記憶手段(図示せず)に本発明にかかる入退室監視装置10用の動作プログラムをあらかじめ記憶させておくことで、パーソナルコンピュータ70をメール送信手段として利用することができる。
このとき動作制御手段54には、警報器40のうち、少なくとも警報音発生手段42を作動させる際には、予め指定された電子メールアドレスに警報発生状態を通知する電子メール74をパーソナルコンピュータ70に送信させる処理を実行させるメール送信信号を出力する機能を持たせておけばよい。これにより、警報器40の動作条件に該当した場合には、パーソナルコンピュータ70により非監視対象者200Aの携帯電話76へ電子メール74を送信することができ、非監視対象者200Aは警報発生状態を即座に把握することができる。
【0022】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態にかかる入退室監視装置を建物に配設した状態を示す概略斜視図である。本実施形態においては、第1実施形態と同じ構成については符号をそろえることによりここでの詳細な説明を省略している。
本実施形態においては、出入口90に撮影手段であるカメラ60が配設されている点で第1実施形態と構成を異にしている。
【0023】
カメラ60は、出入口90の状態を撮影可能な位置に取り付けられ、通過検出部30の入力端子および出力端子に接続されている。通過物検出手段32が出入口90付近における通過物を検出し、通過信号生成手段34が通過信号を生成する際に、カメラ60の撮影開始トリガも生成し、出力端子からカメラ60に撮影開始トリガが出力される。カメラ60は自らの入力端子から撮影開始トリガが入力されると、出入口90の状態を撮影した撮影データを自らの出力端子から通過検出部30の入力端子を介して通過検出部30に撮影データを入力する。入力端子から通過検出部30に入力された撮影データは、通信手段36を介して通過信号と共に動作制御部50に送信される。撮影データは静止画データでも動画データのいずれでもよい。
【0024】
動作制御部50の動作制御手段54は、信号受信手段52から通過信号と撮影データを受信すると、メール送信信号を生成すると共に、動作制御部50を内蔵している警報器40のUSB端子からパーソナルコンピュータ70へ通過信号および撮影データとメール送信信号を送信する。USB端子を介して通過信号および撮影データとメール送信信号を受信したパーソナルコンピュータ70は、必要に応じて記憶手段に撮影データを記憶させることもできる。
また、パーソナルコンピュータ70は、メール送信信号を受信すると、記憶手段に予め記憶されている動作プログラムに基づいて、警報発生を通知する電子メール74に撮影データを添付させた状態で予め指定されたメールアドレスに電子メールを送信する処理を実行する。
【0025】
このような入退室監視装置10の構成を採用することにより、警報器40が作動した際に、介護者(非監視対象者200,200A)が出入口90の付近にいない場合であっても、介護者が所有している携帯電話76が警報発生を通知する電子メール74を受信すれば、介護者は出入口90の詳細な状況を正確に把握することができる。これにより何らかの理由により監視対象者100が出入口90から外部に出かけてしまった場合であっても、監視対象者100を速やかに特定することができると共に、監視対象者100の捜索も容易に行うことができる点で好都合である。このような構成は人手不足が慢性化している介護の現場においては極めて使い勝手が良好である。
【0026】
以上に説明したとおり、本願発明にかかる入退室監視装置10によれば、警報器40の動作を制御する動作制御部50に、警報器40が警報音を鳴らす基本動作モードである第1の動作モードと、警報器40が警報音を鳴らさない変則動作モードである第2の動作モードと、を選択可能な動作モード選択スイッチ56と、動作モード自動復帰手段58を設け、動作モード選択スイッチ56により第2の動作モードが選択された場合には、所定時間を経過すると、動作モード自動復帰手段58により自動的に第1の動作モードに復帰させることが可能になる。
これにより、来客時等の特定条件下においては、警報器40は警報音を発生させないようにすることができ、来客へ不安感や不快感を与えることなく対応することが可能になると共に、来客が去った後等に、変則動作モードである第2の動作モード状態から基本動作モードである第1の動作モード状態への切り替え忘れをなくすことができ、監視対象者100による出入口90の入退室を確実に防止することができる。
【0027】
以上に本願発明を実施形態に基づいて詳細に説明したが、本願発明の技術的範囲は以上に示した実施形態に限定されるものではない。例えば、以上に説明した実施形態においては、警報器40に動作制御部50を内蔵させた実施形態について説明を行っているが、警報器40と動作制御部50とをそれぞれ別体にした実施形態を採用することもできる。この場合、警報器40と動作制御部50との間での通信を可能にする通信手段を設けておくことが必要である。通信手段は無線通信の他有線通信であってもよい。
【0028】
また、識別機20はいわゆる微弱無線局に該当する範囲の出力範囲となっているが、微弱無線局に該当する範囲内で最大出力値を採用すると共に、通過検出部30の通信手段36側で識別機20から出力されている識別信号の受信可能な信号強度を調整可能にしておくこともできる。これにより、見通しの良い間取りを有する建物80の出入口90における入退室管理を行う場合と、見通しの悪い間取りを有する建物80の出入口90における入退室管理を行う場合とにおいて、識別信号の受信の可否を適宜変更することができる。すなわち、監視対象者の住環境に応じて警報器40による警報発生状態を任意の条件に設定することができる点において好都合である。
さらに、以上の実施形態においては、識別信号生成手段24が間欠的に識別信号を生成させるための具体的な手段として、識別機20に加速度センサ22を設ける形態を採用しているが、識別信号生成手段24にROM等の記憶手段を設け、ROMに間欠的に識別信号を生成させるための識別信号生成プログラムを予め記憶させておく形態を採用することもできる。
【0029】
また、第2実施形態においては、通過信号が通過信号生成手段34により生成される際に、カメラ60の撮影開始トリガを同時に生成しているが、カメラ60のトリガはこの撮影開始トリガ以外の者であってもよい。例えば、カメラ60は出入口90部分を常時撮影すると共に、撮影データを図示しない不揮発型フラッシュメモリなどの記憶手段に記憶しておくことを可能に設定し、撮影開始トリガに代えて、画像送信トリガを通過信号生成手段34に生成させるようにしてもよい。画像送信トリガの生成タイミングは、撮影開始トリガと同じ生成タイミングでよい。
カメラ60が画像送信トリガを受信すると、カメラ60はトリガ受信時から数秒前から所定時間にわたる撮影データを通信部36を介してパーソナルコンピュータ70に送信し、撮影データを受信したパーソナルコンピュータ70が予め指定された電子メールアドレスに撮影データを添付した電子メール74を送信する処理を実行することもできる。
【0030】
また、以上に説明した実施形態においては、いずれもインターネットなどのネットワーク72に接続可能なパーソナルコンピュータ70を有し、電子メール74を用いて非監視対象者200,200Aに警報発生状態を通知させる形態について説明しているが、これらの構成は本願発明において必須の構成ではなく、省略することが可能である。
さらには、電源28,38にはボタン電池や乾電池が用いられているが、電源28,38は、いわゆる電池に限定されるものではない。
【0031】
さらに、以上に説明した実施形態は、いずれも監視対象者100の徘徊を防止するための入退室監視装置10について建物80の内部と建物80の外部とを連通させる出入口90における通過の有無を監視する実施形態について具体的に説明しているが、この実施形態に限定されるものではない。例えば、通過検出部30は、建物80の内部どうしを連通する出入口90に配設することもできる。これにより、建物80内における特定の部屋への侵入を防止するための入退室監視装置10とすることができる。
【0032】
また、以上に説明した実施形態は、いずれも出入口90に配設された通過検出部30の通過物検出手段32が、通過物(人)を検出した場合は必ず通過信号生成手段34により通過信号を生成させる実施形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。
例えば、出入口90のドアおよびドア枠にマグネットスイッチを配設し、マグネットスイッチのオンオフ信号に基づいて通過信号生成部34の動作条件を切り替え可能にするオプションスイッチが配設された形態を採用することができる。
【0033】
このような構成を有する形態を採用した場合、マグネットスイッチが作動してから通過物検出手段32が通過物を検出した場合には、建物80の中から建物の80の外側へ出入口90からの出入りがあったことを判断することが可能になる。この場合には、通過信号生成手段34により通過信号を生成させ、警報器40を作動させるための一連の動作処理を実行させればよい。これに対して、通過物検出手段32が通過物を検出した後にマグネットスイッチが作動した場合には、出入口90を介して建物80の外部から建物80の内部に人が通過したと判断することができ、通過信号生成手段34に通過信号を生成させないように設定しておけばよい。
これらの一連の動作処理内容によれば、来客時等においては、出入口90の通過検出部30の通過物検出手段32が来客等に反応した場合であっても、警報器40を作動させないようにすることができる。これに対して監視対象者100が建物80の内部から出入口90を介して建物80の外部に出た際には、警報器40を作動させることができるため好都合である。
【0034】
また、動作制御部50が警報器40を作動させるタイミングは、信号受信手段52が通過信号を受信した際に、動作制御手段54が直ちに警報器40の警報音発生手段42、警報光発生手段44を作動させる形態について説明しているがこの形態に限定されるものではない。例えば、信号受信手段52が通過信号を受信した後予め設定した時間を経過した後に、動作制御手段54が警報器40の警報音発生手段42、警報光発生手段44を作動させる形態としてもよい。この場合予め設定した動作制御手段54が警報器40を作動させるまでの時間は任意に設定することが可能であると好都合である。
【0035】
また、出入口90付近に識別機20を携行する非監視対象者200,200Aが不在の状態で、通過検出部30の通過物検出手段32が出入口90の通過物(人)を検出した場合であっても警報器40を作動させることが可能であるので、不審者の侵入防止対策として入退室監視装置10を利用することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 入退室監視装置
20 識別機
22 加速度センサ
24 識別信号生成手段
26 通信手段
28 電源
30 通過検出部
32 通過物検出手段
34 通過信号生成手段
36 通信手段
38 電源
40 警報器
42 警報音発生手段
44 警報光発生手段
50 動作制御部
52 信号受信手段
54 動作制御手段
56 動作モード選択スイッチ
58 動作モード自動復帰手段
60 カメラ(撮影手段)
70 パーソナルコンピュータ(メール送信手段)
72 ネットワーク
74 電子メール
76 携帯電話
80 建物
82,84 部屋
90 出入口
100 監視対象者
200,200A 非監視対象者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられた出入口から監視対象者が出入りすることを監視するための入退室監視装置であって、
非監視対象者であることを識別するための識別信号を間欠的に生成する識別信号生成手段と、生成された識別信号を所要範囲内に出力する通信手段と、を有する識別機と、
前記出入口に設けられ、前記出入口における通過物の有無を検出する通過物検出手段と、該通過物検出手段が通過物を検出した際に通過信号を生成する通過信号生成手段と、前記識別機からの識別信号を受信可能であると共に前記通過信号と前記受信した識別信号とをそれぞれ出力可能な通信手段と、を有する通過検出部と、
警報音発生手段と警報光発生手段と、を有する警報器と、
前記通過検出部の通信手段から出力された通過信号および前記識別機の通信手段から出力された識別信号が受信可能な信号受信手段と、該信号受信手段が前記通過信号および前記識別信号を受信した際には、前記警報器の未作動状態を維持し、前記信号受信手段が前記通過信号のみを受信した際には、前記警報音発生手段または前記警報音発生手段および前記警報光発生手段を作動させる第1の動作モードと、前記信号受信手段が前記通過信号および前記識別信号を受信した際には、前記警報器の未作動状態を維持し、前記信号受信手段が前記通過信号のみを受信した際には、前記警報光発生手段のみを作動させる第2の動作モードと、を前記警報器に実行させる動作制御手段と、該動作制御手段に、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとのうちいずれか一方の動作モードを実行させるかを選択可能な動作モード選択スイッチと、前記動作モード選択スイッチにより前記第2の動作モードが選択された場合、前記第2の動作モードが選択されてから予め設定された時間が経過した後に、前記警報器の動作モードを前記第1の動作モードに自動復帰させる動作モード自動復帰手段と、を有する動作制御部と、
を具備することを特徴とする入退室監視装置。
【請求項2】
前記動作制御手段は、前記警報音発生手段および警報光発生手段のうち少なくとも一方を作動させる際に、外部に設けられたメール送信手段に対して、予め指定されている電子メールアドレスに、前記警報器の作動を通知する電子メール送信を実行させるためのメール送信信号を出力することを特徴とする請求項1記載の入退室監視装置。
【請求項3】
前記出入口には、前記出入口の状態を撮影する撮影手段をさらに有し、該撮影手段は前記通過検出部および前記動作制御部にそれぞれ接続されていて、
前記通過検出部の通信手段が前記通過信号を出力する際に、前記撮影手段による撮影データを併せて前記動作制御部に送信し、
前記メール送信手段は、前記動作制御部が受信した撮影データを前記電子メールに添付する処理を実行可能に設けられていることを特徴とする請求項2記載の入退室監視装置。
【請求項4】
前記通過検出部は、前記識別機からの識別信号の受信距離が調節可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の入退室監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−222001(P2011−222001A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63954(P2011−63954)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(398063397)株式会社カウベルエンジニアリング (1)
【Fターム(参考)】