説明

全地球航法衛星受信機における解決遅延の制御

【課題】解決遅延の問題を解決する方法および装置を提供すること。
【解決手段】受信した衛星航法信号と受信した非衛星信号とに基づいて位置を算出する衛星測位装置を開示する。ローカル・クロックが衛星信号プロセッサのエポック区間を制御する。衛星信号プロセッサと非衛星信号プロセッサをよりよく同期させるために、ローカル・クロックに補正信号を適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に衛星航法システムに関し、より詳細には、衛星航法システムにおける解決遅延の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
GNSS(全地球航法衛星システム)(Global Navigation Satellite Systems)は、よく知られ、測位/時間に関連する様々な課題の解決に用いられる。そのようなシステムでよく知られている2つが、米国のGPS(全地球測位システム)(Global Positioning System)とロシアのGLONASS(全地球航法衛星システム)(GLObal NAvigation Satellite System)である。本明細書では主にGPSシステムを参照するが、本明細書の内容がGLONASSや他のGNSSシステムにも等しく当てはまることを理解されたい。
【0003】
近年は、測量業界や建設業界でのGPS受信機の利用がめざましく進んでいる。測量用途では、GPSは主に、地上の点の位置を確定するために使用される。GPS受信機はまた、機械制御にも利用され、建設機械の制御にGPS位置情報が用いられる。たとえば、GPS測位情報を用いて、ブルドーザのブレードを動的に制御することができる。GPS測位を測量や機械制御に利用することには、応答性、信頼性、自律性、全天候動作など、多くの利点がある。
【0004】
GPS測位の精度は、他のソースの測位情報をGPS測位受信機に組み込むことにより、向上してきた。このような他のソースは、測位解の精度を上げることのできる付加的な測位情報を提供する。そのような組み込みの一例が航空機産業に見られる。そこでは、GPS受信機に慣性センサを組み込むことが一般的になっている。そのような組み込みを行う理由の1つは、慣性センサは短期誤差が小さく、長期誤差が大きいのに対し、GPS受信機は短期誤差が大きく、長期誤差が小さいことにある。GPS受信機に慣性センサを組み込むと補完が行われ、組み合わせた装置は短期誤差も長期誤差も小さくなる。これによって測位確定の精度が向上する。
【0005】
慣性センサの代表例は、加速度計とジャイロである。加速度計は加速度を測定し、ジャイロは角速度を測定する。代表的な組み込み手法の1つは、3つの加速度計と3つのジャイロからなるIMU(慣性計測装置)(Inertial Measurement)を備えることである。各3つ組のセンサは、互いに垂直な方向を向いている。センサ信号は、A/D変換器(ADC)によってデジタイズされ、GPS受信機に渡されてGPSデータと結合される。
【0006】
IMUとGPSの一体型システムの重要な要件は、GPSデータとIMUデータの時間同期である。言い換えると、それぞれのシステムで生成されたデータは、時間の基準点が同じでなければならない。そうでないと、取得される最終的な測位結果の精度が低くなるため、2つのシステムを一体化する利点が少なくなる。前述のタイプのIMUでは、同期は、一般に次のようにして実現される。GPS受信機は、GPS受信機内でローカル・クロック信号によって定義される周期的な時点(本明細書ではエポックと呼ぶ)で、位置情報を計算する。このローカル・クロック信号は、高精度の水晶発振器を用いて形成される。GPS受信機は、このローカル・クロック信号をIMUに出力する。IMUは、このローカル・クロック信号に応答して、IMUデータをGPS受信機に出力する。GPSクロック信号を用いてIMUのデータ生成のタイミングを制御することによって、IMUとGPSを同期させることができる。
【0007】
測位情報や幾何情報のソースには、同期させることがあまり容易でないものがある。たとえば、測位情報や幾何情報を提供する装置には、データ生成時点をGPSクロック信号で厳密に制御できないものが存在する。そのような装置の1つが、付加的な測位情報や幾何情報を確定するために使用されることのある回転レーザ・システムである。そのようなシステムについては、米国特許出願公開第2004/0125365 A1号(「Working Position Measuring System」、2004年7月1日公開)で詳細に説明されている。そのような回転レーザ・システムは、一般に、位置が固定されている回転レーザと、GPS受信機と同じ場所にある光検知器とを含む。この光検知器は、周期的に回転レーザ・ビームを検知し、レーザの受信に基づいて(すなわち、レーザ・ビームが検知器の光電セルに当たったときに)信号を生成する。この信号は、光検知器と送信機の間の仰角など、付加的な測位情報や幾何情報を提供するために、様々な手法で処理できる。仰角がわかれば、その角の正接と距離を掛け合わせることにより、送信機と光検知器の高度差を計算できる。距離は、レーザ検知器と同一筐体で一体化されたGPS受信機によって計算される。仰角の測定は小さなレンジでは非常に精度が高いので、高い精度で高度を推定できる。そのような手法については、上記に参照した米国特許出願公開第2004/0125365 A1号で詳細に説明されている。それらの手法の詳細は、本発明に関しては重要ではない。重要なのは、GPSクロック信号を光検知器に供給しても光検知器のデータ生成をGPSシステムに同期させることができない点である。光検知器のデータ生成のタイミングは、レーザ・ビームが光検知器の光電セルに当たった時点によって決まる。そのような時点は、回転レーザ送信機の角速度(および光検知器の力学(たとえば、動いていればその動き))に依存するため、光検知器が受信するクロック信号では制御できない。
【0008】
上記の同期の問題は、位置計算の精度低下につながる。GPS位置計算を実行するエポック時刻に光検知器から入手できる仰角データは、そのエポック時よりいくらか過去の時点のものである。仰角はその過去の時点から変化している可能性が高く、その古くなった仰角データを用いると、位置計算に誤差が入り込む。言い換えると、仰角が計算される時点と、その仰角がGPSデータとともに実際に用いられて位置が求められる時点との間には遅延がある。このような解決遅延は、測位精度の低下につながる。
【0009】
この問題に対する既知の解決法の1つは、仰角データを外挿して、測位を確定するエポック時刻の仰角を推定することである。これは、過去の時点に計算された仰角を用いる場合より改善が見られるが、依然として有意の外挿誤差があり、これによって位置確定の精度が低下する。ブルドーザのブレードの制御のような動的機械制御用途では、そのように精度が低下すると、システム全体の有効性に深刻な影響が生じる。
【0010】
解決遅延の問題を、仰角を計算する回転レーザ・システムとの関連で説明したが、当業者であれば、測位情報の非衛星ソースをGPSシステムに組み込んだ場合において、GPS受信機からのクロック信号を用いてもその非衛星ソースを容易に同期させることができない状況には常に遅延の問題が存在することを理解されよう。
そこで、上記の解決遅延の問題を解決することが求められている。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0125365 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、解決遅延の問題を解決する方法および装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態では、ローカル・クロックを有する衛星測位装置を、非衛星装置から受信した信号に同期させる方法および装置を提供する。衛星測位装置のローカル・クロックは、この装置のエポック区間を制御する。クロック補正量は、非衛星信号の受信時刻に、少なくとも部分的に基づいて計算される。この計算されたクロック補正量は、エポック時刻と非衛星信号の受信時刻とをよりよく同期させるために、ローカル・クロックに適用される。クロック補正量は、非衛星信号を受信するたびに計算できる。
【0013】
有利な一実施形態では、非衛星信号を回転レーザ送信機から発生させる。
【0014】
本発明のこれらの利点や他の利点については、当業者であれば、以下の詳細な説明と添付図面を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を有利に適用できる一システムを示す図である。
【図2】本発明を有利に適用できる別のシステムを示す図である。
【図3】同期の問題を例示し、同期していない2つの時間尺度を示す図である。
【図4】仰角の外挿の例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に従って構成された装置の高レベル・ブロック図である。
【図6】図5で示した装置の動作中に実行される工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を有利に適用できる一システムを図1に示す。このシステムは、回転照射により扇形ビームを投射する回転レーザ装置27と、その扇形ビームを受信する光検知センサ装置28とを備える。
【0017】
三脚台29が、既知点Xにほぼ位置合わせされて設置され、回転レーザ装置27が三脚台29の上に装着される。回転レーザ装置27は、主ユニット31と、主ユニット31に回転自在に装着される回転子32とを含む。レーザ・ビーム33は、回転子32から回転照射によって投射される。光検知センサ装置28は、所定の支持手段によって支持される。図1は、この装置の、現場での動作の様子を示している。光検知センサ装置28は、棒34に取り付けられ、作業者が手動で移動させることができる。棒34の上端には、GPS位置測定装置30が設けられる。GPS位置測定装置30を用いることにより、航法衛星からの信号に基づいて、地上の絶対位置を測定できる。
【0018】
レーザ・ビーム33は、垂直方向の複数の扇形レーザ・ビーム33aおよび33bと、この扇形ビーム33aおよび33bに対して角度θで対角線状に傾斜した扇形ビーム33cとからなり、N字の形状を形成する。また、レーザ・ビーム33aおよび33bは、それぞれ、開度角αで±δ方向に投射される。
【0019】
本発明を有利に適用できる別のシステムを図2に示す。図2では、光検知センサ装置28が建設機械の作業器具(たとえば、ブルドーザ17のブレード18)に固定される。装着ポール19がブレード18の上に立てられ、装着ポール19に光検知センサ装置28が装着される。GPS位置測定装置30は装着ポール19の上端に取り付けられる。ブルドーザ17は、ブレード19の動作を制御するコンピュータなどの掘削動作制御ユニット(図示せず)を備える。
【0020】
図1および図2のいずれのシステムでも、光検知センサ装置は、扇形ビームを受信する光検知ユニットと、光検知ユニットが光ビームを受信したときに生成する光検知信号に基づいて回転レーザ装置に対する仰角を計算する演算ユニットとを備える。光検知センサ装置で生成された仰角を、GPS位置測定装置と併せて用いると、位置確定作業の精度を上げることができる。
【0021】
本明細書で図1および図2と併せて説明したタイプの回転レーザ・システムの動作については、米国特許出願公開第2004/0125365 A1号(「Working Position Measuring System」、2004年7月1日公開)でより詳細に説明されている。そのような詳細は、本発明を理解する上で必要ではないので、本明細書ではこれ以上説明しない。
【0022】
背景技術のところで述べたように、位置情報や幾何情報の非衛星ソースから情報を取り込む際に起こる問題の1つが、解決遅延の問題である。この問題について、図3と併せて詳細に説明する。図3は、前述した同期の問題を例示したものである。
【0023】
図3には、同期していない2つの時間尺度が示されている。実線の信号パルス(たとえば、信号パルス102)は、GPS受信機のローカル・クロックから生成された、等間隔の正確な信号パルスを表す。これらは、GPS受信機のエポック時刻を定義するパルスである。破線の信号パルス(たとえば、信号パルス104)は、レーザ・ビームが光検知センサ装置によって検知され、仰角が計算される時点を表す。これらのパルスを、本明細書ではイベント・パルスとも呼ぶ。図3では、回転レーザの周期とGPSローカル・クロック・パルスの周期がほとんど同じであると仮定している。図3で106として示される遅延(解決遅延)は、(時間パルス104における)仰角の計算の時点からGPSエポック時刻102までの遅延時間を表す。位置確定の精度を上げるために仰角を用いることができるのは、GPSユニットがGPS位置を計算する、時点102においてである。しかしながら、時点102では、時点104で計算された仰角は古い測定結果である(間隔106だけ遅れている)。時間尺度の性質上、現在のエポック・パルスに対する最後のイベント・パルスの遅延は、0からイベント・パルス間隔の範囲で連続的に変動することに注意されたい。
【0024】
従来技術のシステムでは、この遅延の問題は、レーザ仰角を現在のエポック時刻に外挿することによって処理される。この外挿の手法を図4に示す。図4では、線130が、移動ユニットの実際の仰角の時間推移を表している。仰角が変動するのは、たとえば、光検知センサ装置が、図2に示すように建設機械に装着されているためである。縦の破線402a、402b、402c、および402dは、イベント・パルス(図3の104)を表す。これらは、回転レーザ・ビームが光検知センサ装置に当たった時点である。したがって、正確な仰角は次のように計算される。イベント・パルス402aの時点では仰角404aが計算され、イベント・パルス402bの時点では仰角404bが計算され、イベント・パルス402cの時点では仰角404cが計算され、イベント・パルス402dの時点では仰角404dが計算される。時点137は、GPSユニットのローカル・クロックで制御されるGPSエポック時刻を表す。この時点で、GPS位置計算が行われる。前述したように、仰角情報を用いてGPS位置計算の精度を上げることが好ましい。しかしながら、時点137での最新の仰角情報404cは、時点402cで計算されたものである。そこには、120で示される遅延が存在する。この遅延誤差を低減する方法の1つは、仰角計算を時点137に外挿することである。このような外挿には、仰角の変化の数学モデルが必要である。このような外挿には、図4に示した、3つの点404a、404b、および404cに対する放物線状の外挿140のように、多項式モデルを用いるのが一般的である。ただし、仰角の実際の変化はランダムであるため、この代数モデルは効果的ではなく、外挿誤差150が発生する。この外挿誤差により、仰角データとGPS位置データの複合化の効果は低下する。
【0025】
本発明は、GPS位置データの生成を、仰角データの生成とよりよく同期させることによって、外挿誤差を低減する。
【0026】
図5は、本発明の一実施形態に従って構成された装置500の高レベル・ブロック図である。このブロック図は、装置500の高レベルの動作および構成を説明するものであることに注意されたい。当業者であれば、いくつかのブロックがハードウェア・コンポーネントを表し、他のブロックが何らかの機能や動作を表していることを容易に理解されるであろう。その機能や動作は、ハードウェア回路、プロセッサで実行されるソフトウェア命令、ファームウェア、またはハードウェアとソフトウェアの何らかの組み合わせで実行できる。当業者が本明細書の説明を読めば、ハードウェアとソフトウェアのよく知られた様々な組み合わせを用いて、説明された機能を実装することができよう。したがって、本明細書で説明する機能の実装の細部については、当業者であれば容易に察せられるであろうことから、詳細な説明を省くこととする。
【0027】
装置500は、衛星信号を受信し、その衛星信号を衛星信号プロセッサ508に供給する衛星アンテナ502を備える。衛星信号プロセッサ508は、後で詳述するように、衛星信号を処理し、GPS位置を計算し、ローカル・クロック518を制御する。ローカル・クロック518は、衛星信号プロセッサでのGPS信号の処理に使用するエポック信号とローカル時刻を発生させる。
【0028】
装置500はさらに、回転レーザ・ビームを検知し、受信したレーザ・ビームを表す信号をレーザ信号プロセッサ520に供給するレーザ検知器504を備える。レーザ信号プロセッサ520は、前述したように仰角を外挿するために、レーザ検知器504から受け取った信号を処理する。
【0029】
レーザ検知器504は、前述したように、レーザ検知器504がレーザ・ビームを受信した時点を示すタイミング信号であるイベント信号506を出力する。このイベント信号506は、時間差モジュール514に供給される。時間差モジュール514はさらに、ローカル・クロック518からエポック信号516を受け取る。時間差モジュール514は、受信した信号に基づいてクロック補正量を計算する。このクロック補正量は、GPSエポック信号とレーザ検知器イベント信号をよりよく同期させるために、ローカル・クロック518に適用される。この改善された同期により、外挿誤差が低減される。
【0030】
図5に示した装置の動作のさらなる詳細を、図6のフロー図を参照して説明する。当業者であれば、図6に示し、本明細書で説明する工程を、ハードウェアとソフトウェアの様々な構成を用いて実現できることを理解されよう。たとえば、一実施形態では、この工程は、コンピュータ・プログラム命令を実行する1つまたは複数のプロセッサで実行できる。
【0031】
図6に示した工程の処理は、601で示されるように、レーザ・ビーム信号を受信したことを示すイベント信号をレーザ検知器504から受信した後、ただちに開始される。ステップ602では、ローカル時刻tを算出する。ローカル・クロック518は、計数に基づいてローカル時刻を追跡するためのローカル水晶発振器を含む。次に、工程604では、ローカル時刻tを基準とするイベント信号の時刻すなわちイベント時刻(Tevent)を算出する。工程606では、GPS時刻とローカル時刻tの間のオフセット(Toffset)を算出する。GPS時刻は、衛星に搭載されている原子時計によって制御される、衛星システムの時間尺度である。GPS時刻とローカル時刻の間のオフセットを、衛星信号プロセッサ508内での衛星信号の処理の結果として算出する。この計算は、少なくとも4つの衛星からの擬似距離の処理に基づくもので、よく知られたGNSS手法である。
【0032】
次に、工程608では、工程606で算出したToffsetがゼロより大きいかどうかを判別する。ゼロより大きければ、工程610で、エポック区間(Tepoch)の半分をToffsetに加算する。工程606で算出したToffsetがゼロ以下である場合は、工程612で、エポック区間(Tepoch)の半分をToffsetから減算する。この、エポック間隔の半分を足したり引いたりする手法は、GPS時刻とローカル・クロック時刻の間の時間オフセットの平均値がゼロになることを証明する。工程610または612の後、工程614で、次式によってローカル・クロック補正量を算出する。
【0033】
【数1】

【0034】
工程614で算出した補正量Tcorrを、工程616で、ローカル・クロック518に適用してローカル時刻を調整する。レーザ検知器504がレーザ・ビーム信号を受信したことを示すイベント信号506をレーザ検知器504から受け取るたびに、図6に示した工程を繰り返す。本発明には他の様々な実施形態がありうるが、一実施形態では、工程606を衛星信号プロセッサ508で実施し、それ以外の工程を時間差モジュール514およびローカル・クロック518で実施する。
【0035】
図6と併せて説明した方法により、ローカル・クロック518は、イベント時刻とエポック時刻がより密接に同期するように調整される。結果として、レーザ検知器504からレーザ信号プロセッサ520に供給された仰角データ522は、衛星信号プロセッサ508がGPS位置を算出する時点と非常に近い時点の仰角データとなる。これにより、レーザ信号プロセッサ520による仰角計算の外挿誤差が小さくなる。GPS位置524と仰角526は、組み込みモジュール512に供給される。GPS位置と仰角は実質的に同期して算出されるため、両データを利用した位置算出結果は、従来技術による場合より精度が高くなる。
【0036】
上記の「発明を実施するための最良の形態」の記述は、あらゆる点で例示的であって、制限的ではないことを理解されたい。本明細書で開示した本発明の範囲は、「発明を実施するための最良の形態」の記述から決定されるものではなく、特許法で許容される最大範囲に従って解釈される特許請求項から決定される。本明細書で提示および説明した実施形態は本発明の原理を例示したものに過ぎず、当業者であれば、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく種々の修正が可能であることを理解されたい。たとえば、上記の実施形態は主に、GPSデータを補強するために用いる非衛星信号が回転N字形状レーザからのものである実施態様に焦点を当てているが、この非衛星信号は、GPSデータと併用して位置算出を補強できる信号であればどのようなタイプの信号であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカル・クロックを有する衛星測位装置を非衛星信号に同期させる方法であって、
a)第1の時刻に前記非衛星信号を受信する工程と、
b)前記第1の時刻に少なくとも部分的に基づいてクロック補正量を算出する工程と、
c)前記クロック補正量を衛星信号プロセッサのローカル・クロックに適用する工程とを含む方法。
【請求項2】
前記非衛星信号を受信するたびに前記工程a)からc)を繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
クロック補正量を算出する前記工程がさらに、
ローカル時刻tを、前記ローカル・クロックに基づいて算出する工程と、
時刻Teventを、ローカル時刻tを基準とする前記第1の時刻として算出する工程と、
時間オフセットToffsetを、衛星時刻とローカル時刻tの間のオフセットとして算出する工程と、
offsetが0より大きい場合にエポック区間の半分をToffsetに加算する工程と、
offsetが0以下である場合にエポック区間の半分をToffsetから減算する工程と、
クロック補正量Tcorr
【数1】

として算出する工程と、
前記クロック補正量Tcorrを前記ローカル・クロックに適用する工程とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記非衛星信号が、回転レーザ送信機によって生成されたレーザ・ビームである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記回転レーザ送信機の区間が前記エポック区間と実質的に等しい、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記レーザ・ビームがN字形状である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
ローカル・クロックと、
衛星信号を処理し、位置情報を生成する衛星信号プロセッサであって、前記処理のタイミング・エポックが前記ローカル・クロックに基づく衛星信号プロセッサと、
受信した非衛星信号を処理する非衛星信号プロセッサと、
前記非衛星信号を受信した時刻に少なくとも部分的に基づいてクロック補正信号を生成する時間差モジュールとを備えた衛星測位装置。
【請求項8】
前記非衛星信号プロセッサがレーザ信号プロセッサである、請求項7に記載の衛星測位装置。
【請求項9】
前記レーザ信号プロセッサに接続されたレーザ検知器をさらに備えた、請求項8に記載の衛星測位装置。
【請求項10】
前記時間差モジュールが、
ローカル時刻tを、前記ローカル・クロックに基づいて算出する工程と、
時刻Teventを、ローカル時刻tを基準とする、非衛星信号を受信した時刻として算出する工程と、
時間オフセットToffsetを、衛星時刻とローカル時刻tの間のオフセットとして算出する工程と、
offsetが0より大きい場合にエポック区間の半分をToffsetに加算する工程と、
offsetが0以下である場合にエポック区間の半分をToffsetから減算する工程と、
クロック補正量Tcorr
【数2】

として算出する工程とを実行することによってクロック補正信号を生成するように構成された、請求項7に記載の衛星測位装置。
【請求項11】
衛星測位装置において用いられ、受け取った衛星信号と、少なくとも1つの受信した非衛星信号とに基づいて最終位置情報を生成する方法であって、
ローカル・クロックで定義される複数のエポックのそれぞれにおいて衛星位置情報を一定間隔で算出する工程と、
前記非衛星信号を受信した時刻で定義される複数のイベント時刻のそれぞれにおいて、前記非衛星信号に基づいて非衛星位置情報を一定間隔で算出する工程と、
前記衛星位置情報と前記非衛星位置情報とに基づいて最終位置情報を一定間隔で算出する工程と、
前記ローカル・クロックにクロック補正量を適用して、前記エポックと前記イベント時刻とをよりよく同期させる工程とを含む方法。
【請求項12】
前記非衛星信号が、回転レーザ送信機から受信したレーザ信号である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記クロック補正量が、前記イベント時刻に少なくとも部分的に基づく、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ローカル時刻tを、前記ローカル・クロックに基づいて算出する工程と、
時刻Teventを、ローカル時刻tを基準とするイベント時刻として算出する工程と、
時間オフセットToffsetを、衛星時刻とローカル時刻tの間のオフセットとして算出する工程と、
offsetが0より大きい場合にエポック区間の半分をToffsetに加算する工程と、
offsetが0以下である場合にエポック区間の半分をToffsetから減算する工程と、
クロック補正量Tcorr
【数3】

として算出する工程とをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
ローカル・クロックと、
第1の時刻に非衛星信号を受信する手段と、
前記第1の時刻に少なくとも部分的に基づいてクロック補正量を算出する手段と、
前記クロック補正量を衛星信号プロセッサのローカル・クロックに適用する手段とを備えた衛星測位装置。
【請求項16】
クロック補正量を算出する前記手段がさらに、
ローカル時刻tを、前記ローカル・クロックに基づいて算出する手段と、
時刻Teventを、ローカル時刻tを基準とする前記第1の時刻として算出する手段と、
時間オフセットToffsetを、衛星時刻とローカル時刻tの間のオフセットとして算出する手段と、
offsetが0より大きい場合にエポック区間の半分をToffsetに加算する手段と、
offsetが0以下である場合にエポック区間の半分をToffsetから減算する手段と、
クロック補正量Tcorr
【数4】

として算出する手段と、
前記クロック補正量Tcorrを前記ローカル・クロックに適用する手段とを含む、請求項15に記載の衛星測位装置。
【請求項17】
前記非衛星信号が、回転レーザ送信機によって生成されたレーザ・ビームである、請求項15に記載の衛星測位装置。
【請求項18】
前記レーザ・ビームがN字形状を有する、請求項17に記載の衛星測位装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−160157(P2010−160157A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33275(P2010−33275)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【分割の表示】特願2005−87879(P2005−87879)の分割
【原出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(505093552)トップコン ジーピーエス,エルエルシー (11)
【Fターム(参考)】