説明

六ホウ化ランタン多孔質粒子及びその製造方法並びに二次電池負極材料

【課題】二次電池の負極活物質として用いた場合に、デンドライトを抑制する効果を有する高純度なLaB6多孔質粒子及びその製造方法、並びにそのLaB6多孔質粒子を用いた二次電池負極材料を提供すること。
【解決手段】粒子径が10nm以上10μm以下である複数の六ホウ化ランタン一次粒子から構成され、La、C、O及びBの中から選ばれる少なくとも1種の元素から構成される不純物の含有量が炭素換算で0.1質量%以下かつ酸素換算で1.0質量%以下であり、 孔径が1nm以上10μm以下の空孔を含み、比表面積が0.4m2/g以上100m2/g以下であることを特徴とする六ホウ化ランタン多孔質粒子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、六ホウ化ランタン(LaB6)多孔質粒子及びその製造方法、並びにそれを用いた二次電池負極材料に関する。詳しくは、純度が高く、比表面積の大きいホウ化ランタン多孔質粒子及びその製造方法、並びにそれを用いた二次電池負極材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やラップトップコンピュータ、あるいはカメラ一体型VTRなどの携帯機器が大きな市場を形成している。これら携帯機器に用いる電源として、軽量、小型、高エネルギー密度を有する二次電池の要望が強い。主な二次電池としては鉛蓄電池、アルカリ二次電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池、亜鉛ハロゲン電池、ナトリウム硫黄電池が挙げられる。その中でも、大出力放電でサイクル特性に優れた二次電池としてはアルカリ二次電池、リチウム系二次電池、亜鉛ハロゲン電池が挙げられ、電極材料、電解液など様々な開発が進められている。
【0003】
電池の負極に用いられる材料の特性としては、放電電位が卑であること、単位質量及び単位体積あたりの取り出せるエネルギーが大きいことが要求される。このため、亜鉛やリチウムは高エネルギーな電池負極活物質として一次電池に広く利用されている。
また、二次電池の負極活物質としては、酸化還元電位が低く、単位質量及び体積あたりの比容量が大きく、かつ優れた充放電サイクル特性を有していることが必要とされている。
【0004】
前記アルカリ二次電池は、正極にニッケル粉末の焼結基板に水酸化ニッケルを充填したものを用い、負極にカドミウムや亜鉛金属が適用される。アルカリ二次電池の負極において 充電時の電流密度が小さい場合、カドミウムや亜鉛は負極基板に沿って結晶成長する。しかし、電流密度が大きい場合に負極基板にデンドライトが析出し、正極までデンドライトが成長していくと短絡してしまうという問題があった。
また、リチウムイオン二次電池は、負極活物質の炭素系材料、正極活物質のリチウム(Li)含有複合酸化物、多孔質セパレータ、有機電解質から構成されており、充電時の反応初期にはLiイオンは炭素材料の層間にインターカレートされる。充電反応の進行に伴い、Liイオンの炭素材料層間へのインターカレート量が多くなってくると、負極に移動してきたLiイオンは炭素層間の最表層にインターカレートしたLiに吸着される。これは、炭素層間のLiイオン量が多くなると、負極に移動してきたLiイオンは炭素層間にインターカレートできずに炭素よりも仕事関数が小さなLiに吸着されるからである。そして、充電反応の進行に伴ってLiが粒成長し、粒成長したLiの先端には著しい電流集中が生じることで粒成長が促進されてデンドライトとなり、正極と陰極の短絡が発生するという問題があった。
【0005】
なお、デンドライトとは、充電反応時に負極基板に形成される負極基板と同じ物質で構成された突起状物質のことであり、電流密度が大きい場合に形成されることが判明している。電流密度が大きくなると、負極基板に沿った二次元的な結晶成長よりも核生成が優勢となり、特に電極基板の原子層段差であるステップライン近傍に電流が集中し、その付近に形成された核の成長が他の部分よりも促進される。その結果、突起状析出物が形成され、更に突起の先端に著しい電流集中が起きて突起が成長しデンドライトとなる。負極基板と正極基板との間にこのデンドライトが形成されると、電極間が短絡してしまう。デンドライトの形成は、二次電池の多くに共通した問題である。
【0006】
上記問題を解決するために、例えば特許文献1では、負極としてリチウムと合金化する金属材料を使用した電極が報告されている。この負極としては、リチウムと合金を形成する際に体積膨張を起こすのを防ぐため、多孔質な金属材料が用いられている。
また特許文献2では、平均直径3μm以下の細孔を有する多孔質のニッケル(Ni)やアルミニウム(Al)製の集電体上に、電池反応に関わる負極活物質としてLiまたは亜鉛(Zn)を保持した構成のものが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−260886号公報
【特許文献2】特開平8−321310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記特許文献1に開示された多孔質金属材料においては、導電性の基板上に樹脂粒子を堆積させ、その上にリチウムと合金化する金属材料をメッキし、次いで、上記樹脂粒子を溶媒により除去することで多孔質金属を成形しているため、その多孔質金属中に樹脂分等の不純物が残留しやすく、仕事関数が大きくなり、結果としてデンドライト抑制効果が減少するという問題があった。
また、前記特許文献2に開示された負極においては、集電体自体は多孔質であるものの、負極活物質は多孔質でないため、負極活物質の体積膨張の影響が十分に緩和されず、同様にデンドライト析出に繋がるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、二次電池の負極活物質として用いた場合に、デンドライトを抑制する効果を有する高純度なLaB6多孔質粒子及びその製造方法、並びにそのLaB6多孔質粒子を用いた二次電池負極材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、高純度なLaB6顆粒を用いこれらを特定の製造条件で結着させることにより、化学的に安定で、導電性に優れた高純度なLaB6多孔質粒子を得ることができることを見出した。また、このLaB6多孔質粒子を負極活物質に用いることで、電解液中の金属イオンは電子を放出しやすい仕事関数の小さなLaB6多孔質粒子に吸着されるので、負極に発生するデンドライトを抑制することができることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、
〔1〕 粒子径が10nm以上10μm以下である複数の六ホウ化ランタン一次粒子から構成され、
La、C、O及びBの中から選ばれる少なくとも1種の元素から構成される不純物の含有量が炭素換算で0.1質量%以下かつ酸素換算で1.0質量%以下であり、孔径が1nm以上10μm以下の空孔を含み、比表面積が0.4m2/g以上100m2/g以下であることを特徴とする六ホウ化ランタン多孔質粒子、
〔2〕 粒子径が1μm以上100μm以下、個数平均粒子径(D50)が30μm以上50μm以下である〔1〕に記載の六ホウ化ランタン多孔質粒子、
〔3〕 前記不純物が、ランタン炭化物、ホウ素炭化物及びランタン−ホウ素複合酸化物の中から選ばれる少なくとも1種以上であり、その含有量が炭素換算で0.1質量%以下かつ酸素換算で1.0質量%以下である〔1〕または〔2〕に記載の六ホウ化ランタン多孔質粒子、
〔4〕 〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の六ホウ化ランタン多孔質粒子を負極活物質として用いることを特徴とする二次電池負極材料、
〔5〕 前記二次電池が、リチウムイオン二次電池である〔4〕に記載の二次電池負極材料、
【0012】
〔6〕 〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の六ホウ化ランタン多孔質粒子の製造方法であって、
(a)六ホウ化ランタン粉末を、大気中にて600℃以上800℃以下の温度で加熱酸化処理し、次いで無機酸中で酸処理する工程と、(b)前記(a)工程で得られた六ホウ化ランタン粒子をバインダーを含む溶媒中に分散させてスラリーとし、該スラリーを造粒し六ホウ化ランタン顆粒を作製する工程と、(c)前記(b)工程で得られた六ホウ化ランタン顆粒を不活性ガス雰囲気中または真空中で脱脂した後、不活性ガス雰囲気中、真空中及び還元雰囲気中から選ばれるいずれかの雰囲気中にて1400℃以上1800℃以下の温度で熱処理し、前記六ホウ化ランタン顆粒を結着して六ホウ化ランタン結着粒子とする工程とを有することを特徴とする六ホウ化ランタン多孔質粒子の製造方法、及び
〔7〕 〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の六ホウ化ランタン多孔質粒子の製造方法であって、
(d)ランタン化合物及びホウ素化合物をバインダーを含む溶媒中に分散させて六ホウ化ランタン前駆体分散液を調製する工程と、(e)前記(d)工程で得られた六ホウ化ランタン前駆体分散液を造粒し六ホウ化ランタン前駆体顆粒を作製する工程と、(f)前記(e)工程で得られた六ホウ化ランタン前駆体顆粒を、不活性ガス雰囲気中または真空中で脱脂した後、不活性ガス雰囲気中、真空中及び水素雰囲気中から選ばれるいずれかの雰囲気中にて1300℃以上1800℃以下の温度で熱処理し、前記六ホウ化ランタン前駆体顆粒を反応・結着して六ホウ化ランタン結着粒子とする工程と、(g)前記(f)工程で得られた六ホウ化ランタン結着粒子を、大気中にて600℃以上800℃以下の温度にて加熱酸化処理し、次いで無機酸中で酸処理する工程とを有することを特徴とする多孔質粒子の製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、二次電池の負極活物質として用いた場合に、デンドライトを抑制する効果を有する高純度で、導電性に優れ、しかも仕事関数が小さいLaB6多孔質粒子及びその製造方法、並びにそのLaB6多孔質粒子を用いた二次電池負極材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1で得られたLaB6多孔質粒子のX線回折パターンである。
【図2】比較例5で得られたLaB6多孔質粒子のX線回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施形態により説明する。なお、この実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
<六ホウ化ランタン多孔質粒子及びその製造方法>
(六ホウ化ランタン多孔質粒子)
本実施形態のLaB6多孔質粒子(以下、単に「多孔質粒子」と称する場合がある)は、粒子径10nm以上10μm以下である複数のLaB6一次粒子から構成され、La(ランタン)、C(炭素)、O(酸素)、B(ホウ素)から選ばれる少なくとも1種の元素から構成される不純物の含有量が炭素換算で0.1質量%以下、かつ酸素換算で1.0質量%以下であり、孔径が1nm以上10μm以下の空孔を含み、比表面積が0.4m2/g以上100m2/g以下であることを特徴とする。
【0016】
二次電池における負極にLaB6粒子を含む負極活物質膜を設ける場合、充電反応において、効率的に電解液中の金属イオンを吸着させるためには、LaB6粒子の比表面積が大きいことが求められる。前記負極活物質膜は、例えば負極集電体(基板)表面にLaB6粒子を含む塗布膜を形成することで設けられ、粒径の小さいLaB6粒子を適用することで比表面積の大きなLaB6粒子含有塗布膜が得られる。しかし、LaB6粒子の粒径が小さすぎると塗工性が悪く、基板と膜との密着性が悪くなり、塗布膜が剥離してしまう場合がある。
【0017】
基板との密着性に優れかつ粒子の充填性に優れた負極活物質膜を得るためには、粒度分布が広いLaB6粒子が好適に用いられる。また、負極活物質膜の厚みは放電容量により異なり、一般的には数μm〜100μmの範囲である。従って、LaB6粒子の粒径は最大でも100μm以下にすることが好ましい。
【0018】
このようなある程度大きな粒径と大きな比表面積を兼ね備えさせるためには、用いるLaB6粒子は多孔質な粒子であることが必要である。具体的には、そのLaB6多孔質粒子が、粒子径が10nm以上10μm以下の複数のLaB6一次粒子で構成され、比表面積が0.4m2/g以上100m2/g以下であり、粒子中に含まれる空孔の孔径が1nm以上10μm以下であることが必要である。
【0019】
上記比表面積が0.4m2/gに満たない場合、平均粒子径が3μm以上のLaB6多孔質粒子では殆ど空孔は存在せず、一方、比表面積が100m2/gを超える微細なLaB6多孔質粒子を製造することは事実上困難である。比表面積の下限は1.0m2/g以上であることが好ましく、50m2/g以上であることがより好ましい。
【0020】
また、前記空孔の孔径が1nm未満では製造が困難であり、孔径が10μmを超えると、多孔質粒子における比表面積が0.4m2/g未満になってしまう。空孔の孔径は10nm以上10μm以下であることが好ましく、10nm以上5μm以下であることがより好ましい。ここで、「孔径が1nm以上10μm以下」とは、対象となる粒子における空孔の95個数%以上の孔径がこの範囲内に含まれることを意味する。
なお、本実施形態における空孔は、多孔質粒子中に含まれていればよく、空孔全体が多孔質粒子中に存在してもよいし、空孔が多孔質粒子の表面側に存在し空孔の一部が欠けた状態で存在してもよい。また、空孔の形状は特に限定されず、球状、楕円体状等いずれでもよく、また例えば球状の空孔が複数個結合したような形状であってもよい。
【0021】
さらに、多孔質粒子を構成するLaB6一次粒子に関しては、粒子径が10nm未満では粒子の製造が困難であり、10μmを超えると、多孔質粒子における比表面積が0.4m2/g未満になってしまう。LaB6一次粒子の粒子径は100nm以上10μm以下であることが好ましく、100nm以上5μm以下であることがより好ましい。なお、本実施形態における「粒子径が10nm以上10μm以下」とは、対象となる粒子全体の95個数%以上がこの範囲内に含まれることを意味する。「粒子径」という場合には以下同様である。
【0022】
また、二次電池の負極材料としてLaB6多孔質粒子を使用する場合は、多孔質粒子の粒子径は、1μm以上100μm以下であることが好ましい。正極の充放電容量とその膜厚、及び負極活物質の容量によって負極の膜厚が決定されるため、LaB6多孔質粒子の粒径は負極の膜厚以下にする必要がある。一般的な正極材料とその膜厚から、LaB6多孔質粒子の粒子径は最大でも100μm以下にすることが好ましい。また、粒子径が1μm未満では、塗膜にした時の塗工性が悪くなってしまう場合がある。
【0023】
また、本実施形態の多孔質粒子を構成するLaB6一次粒子は、仕事関数が小さいことが求められる。すなわち、本実施形態の六ホウ化ランタン多孔質粒子は、多孔質粒子であるので電極に流れる実効電流密度を低減させることができ、かつ仕事関数の小さい高純度な六ホウ化ランタンであれば、イオンの吸着効率を上げることができ、負極に発生するデンドライトを抑制することができる。
例えば、ニッケル亜鉛二次電池の負極材料に使用されている亜鉛の仕事関数は3.1eVであり、LaB6の仕事関数2.3eVよりも大きい。従って、LaB6を負極材料に用いることで、負極充電反応中の亜鉛イオンは仕事関数が小さいLaB6に選択的に吸着され、その結果デンドライトの形成を抑制できる。
本実施形態におけるLaB6一次粒子の仕事関数は3eV以下であることが好ましい。
【0024】
さらに、負極活物質に適用する材料は、上記仕事関数が小さいだけではなく、化学的に安定である必要がある。これは、負極活物質は二次電池の中で電解液と反応して劣化するのを避けるためである。このため、負極活物質に適用する材料は高純度であることが求められる。市販粉末には、不純物としてランタン酸化物、ホウ素酸化物、ランタン−ホウ素複合酸化物が、酸素換算で1.5質量%以上、ランタン炭化物、ホウ素炭化物が炭素換算で0.2質量%以上含まれている。これらの不純物はLaB6合成用の原料粉末由来の物であり、顆粒形成後の熱処理ではすべて除去することはできないため、市販のLaB6粉末を用いて顆粒を作製すると、原料粉末中の不純物がそのままLaB6多孔質粒子に残存してしまう。なおここで、前記LaB6顆粒とは、後述するように最終的な熱処理を行う前の造粒された前記LaB6粒子の凝集粒子をいう。
【0025】
また、このような不純物は仕事関数が大きいため、不純物が含まれるLaB6多孔質粒子を二次電池の負極材料に適用すると電解液中の金属イオン吸着量が低減され、その結果、デンドライト形成の抑制効果が小さくなってしまう。すなわち、デンドライト形成を抑制するためにも、LaB6多孔質粒子中の不純物が少ないことが必要である。
すなわち、本実施形態におけるLaB6多孔質粒子中の不純物(La、C、O及びBの中から選ばれる少なくとも1種の元素から構成される)の含有量は、炭素換算で0.1質量%以下、かつ酸素換算で1.0質量%以下であることが必要である。不純物の含有量が炭素換算で0.1質量%を超える、あるいは酸素換算で1.0質量%を越えると、LaB6多孔質粒子の仕事関数を所望以下とすることができないだけでなく、負極活物質として用いた場合に二次電池の中で電解液と反応して劣化してしまう。不純物の含有量は、炭素換算で0.08質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましい。また、酸素換算では0.5質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以下であることがより好ましい。
【0026】
なお、本実施形態のLaB6多孔質粒子は、後述する製造方法によりLaB6一次粒子のみから構成されるため、多孔質粒子について測定した不純物含有量には、本実施形態におけるLaB6一次粒子の不純物含有量が反映されている。
【0027】
以上述べた本実施形態の六ホウ化ランタン多孔質粒子は、以下に説明する2つの製造方法(以下、各々「第1の製造方法」、「第2の製造方法」という)により得ることができる。
【0028】
(第1の製造方法)
本実施形態の第1の製造方法は、(a)六ホウ化ランタン粉末を、大気中にて600℃以上800℃以下の温度で加熱酸化処理し、次いで無機酸中で酸処理する工程と、(b)前記(a)工程で得られた六ホウ化ランタン粒子をバインダーを含む溶媒中に分散させてスラリーとし、該スラリーを造粒して六ホウ化ランタン顆粒を作製する工程と、(c)前記(b)工程で得られた六ホウ化ランタン顆粒を不活性ガス雰囲気中または真空中で脱脂した後、不活性ガス雰囲気中、真空中及び還元雰囲気中から選ばれるいずれかの雰囲気中にて1400℃以上1800℃以下の温度で熱処理し、前記六ホウ化ランタン顆粒を結着して六ホウ化ランタン結着粒子とする工程とを有するものである。
【0029】
−(a)工程−
本工程では、LaB6粉末を大気中で加熱酸化処理し、次いで、酸化処理後のLaB6粉末を無機酸中で酸処理する。
原料のLaB6粉末は合成して用いてもよいし、市販品を用いてもよいが、この市販品のLaB6粉末には、製造時に不可避的に混入されるランタン酸化物、ランタン炭化物、ホウ素酸化物、ランタンホウ素複合酸化物及びホウ素炭化物の中から選ばれる少なくとも1種の不純物が含まれている。したがって、第1の製造方法においては、まず、原料のLaB6粉末を大気中で加熱酸化処理して、ランタン炭化物やホウ素炭化物を、それぞれ酸化物に変換する。これらのランタン酸化物、ホウ素酸化物及びランタンホウ素複合酸化物は、次工程の(b)酸処理工程によって、容易に除去することができる。
【0030】
大気中でLaB6粉末を酸化する温度は、600℃以上800℃以下とする。600℃未満ではLaB6粉末中に含まれるランタン炭化物やホウ素炭化物が十分に酸化されないためであり、800℃を超えるとLaB6粉末自体が酸化されて収率が低下するためである。
好ましい酸化処理温度は600℃以上750℃以下であり、より好ましくは600℃以上700℃以下である。また、大気中で熱処理する時間は、0.5時間以上4時間以下が好ましい。熱処理時間を上記範囲とすることにより、LaB6粒子の酸化を抑制しつつ不純物炭化物を酸化できる。
【0031】
次に、得られた酸化処理後のLaB6粉末を無機酸で洗浄処理(酸処理)することで、上記熱処理で生成した不純物由来の酸化物を、酸に溶解させて除去する。
酸処理に用いる無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられるが、無機酸が強い酸化力を持つと、LaB6自体を酸化させて収率を低下させてしまう場合があることから、塩酸を用いることが好ましい。また、塩酸を用いる場合のその濃度は2N(規定)以上6N以下とすることが好ましい。2N未満の濃度ではLaB6中に含まれる不純物の溶出に時間がかかる場合があり、一方、6Nを越える濃度ではLaB6自体が酸化されて収率が低下する場合があるためである。
また、上記酸処理は常温で行ってもよいが、加熱して行うのが好ましく、この場合の無機酸の加熱温度は40℃以上80℃以下が好ましい。40℃未満ではLaB6粉末中の不純物の溶出速度が遅くなる場合があり、80℃を超えるとLaB6自体が酸化されてしまう場合があるからである。
【0032】
酸処理後の粉末は、イオン交換水にて酸成分を除去した後に、水分を除去するために乾燥処理される。この乾燥処理としては、特に水分が蒸発する際にLaB6と反応して不純物酸化物が生成するのを避けるため、真空乾燥処理されることが好ましい。真空乾燥処理が好ましいのは、水分が蒸発する際にLaB6と反応して酸化不純物を生成するのを避けるのに有効だからである。
【0033】
以上の加熱酸化処理及び酸処理の高純度化処理により、原料のLaB6粉末が高純度化されたLaB6粒子となる。
【0034】
−(b)工程−
本工程では、上記(a)工程で得られた高純度のLaB6粒子を、バインダーを含む溶媒中に投入、混合して分散させることによりスラリーを得、次いでそのスラリーを造粒してLaB6顆粒にする。
【0035】
前記バインダーは、造粒処理後の顆粒形状を維持するために添加される。バインダー種としては、後述の熱処理工程(c)後の残渣が少ないバインダーであれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の一般的なバインダーや、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂等の各種熱硬化樹脂、さらにその他の熱可塑性樹脂を適用することができる。
【0036】
前記溶媒としては、上記バインダーを溶解させ、また前記LaB6粒子の分散に有効なものであれば特に限定されず、例えば、水、アルコール類、ケトンなどを挙げることができる。溶媒の添加量は、必要な顆粒径にするために、適宜調整すればよい。
また、前記LaB6粒子とバインダーとの混合比は、最終的に得ようとする多孔質粒子の個数平均粒子径や、平均孔径により、適宜調整すればよいが、本実施形態では、バインダーの質量Aに対するLaB6粒子の質量Bの比(B/A)を100/1〜100/10の範囲とすることが好ましい。
【0037】
混合・分散方法としては、通常のV型混合機、回転式ボールミル、遊星式ボールミル、サンドミル等を用いる一般的な混合方法が挙げられ、これら公知の分散機を選択して混合・分散処理すればよい。また、複数の分散方法を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
上記LaB6スラリーを顆粒形状に造粒する方法は、特に限定されず、転動造粒法、流動層造粒法、攪拌造粒法、噴霧乾燥造粒法等の公知の造粒法が挙げられ、造粒装置としては、例えばスプレードライヤー等が好適に用いられる。
【0039】
造粒により作製されるLaB6顆粒の粒子径は、10nm〜10μmの範囲であることが望ましい。顆粒の粒子径が10nmよりも小さいと、LaB6粒子の活性が高すぎるため、後述する熱処理時に、LaB6粒子が焼結されて顆粒内が緻密質となるため、空孔が少なくなって比表面積が小さくなる。その結果、この比表面積が小さいLaB6粒子を二次電池の負極活物質として用いた場合に、電解液中の金属イオン吸着量が低減してしまう場合がある。一方粒径が10μmを越えるLaB6粒子を用いると、顆粒中のLaB6充填量が少なくなり、前記同様の使用において金属イオンの吸着量が低減してしまう場合がある。
【0040】
造粒条件は、最終的に得ようとするLaB6多孔質粒子の個数平均粒子径や、平均孔径により適宜調整すればよい。すなわち、この造粒工程により最終的なLaB6多孔質粒子の粒子径や空孔の形状、分布状態等がほぼ決定される。
【0041】
−(c)工程−
本工程では、前記(b)工程で得られたLaB6顆粒を、不活性ガス雰囲気中または真空中で脱脂した後、不活性ガス雰囲気中、真空中及び還元雰囲気中から選ばれるいずれかの雰囲気中にて1400℃以上1800℃以下の温度で熱処理し、前記LaB6顆粒を結着してLaB6結着粒子、すなわちLaB6多孔質粒子とする。
【0042】
上記不活性ガス雰囲気中または真空中での脱脂処理において、脱脂温度と脱脂処理時間は特に限定されず、バインダー成分が十分に分解する温度で適宜実施すればよい。この脱脂処理後に上記バインダー由来の残渣が残っていると不純物の原因となる。
なお、本実施形態における上記脱脂処理とは、前記(b)工程のスラリー製造時に加えられたバインダーを分解する処理をいう。以下同様である。
【0043】
次いで、不活性ガス雰囲気中、真空中及び還元雰囲気中から選ばれるいずれかの雰囲気中で1400℃以上1800℃以下の温度にて熱処理する。ここで、熱処理温度が1400℃未満では、LaB6粉末同士の結着が不十分で顆粒形状を保つことができなくなる。一方、熱処理温度が1800℃を超えると、焼結が進んで顆粒内の空孔体積が少なくなるだけでなく、顆粒同士も結着して、必要な粒径のLaB6多孔質粒子が得られない。熱処理温度は1400℃以上1700℃以下が好ましく、1400℃以上1600℃以下がより好ましい。
なお、熱処理時間は、顆粒内のLaB6粒子同士が十分に結着すれば良く、適宜調整すればよいが、2〜10時間の範囲とすることが好ましい。
【0044】
不活性ガス雰囲気に用いる不活性ガスの種類は特に限定されず、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素等が挙げられる。
【0045】
真空中での熱処理は、LaB6顆粒中に含まれる吸着水分や、不純物由来の炭素と酸素により生成する一酸化炭素等の副生成物を系外に速やかに除去することから、得られるLaB6結着粒子(多孔質粒子)に不純物が残留しにくいため、好ましい。
【0046】
還元雰囲気中とは、還元性成分を共存させた状態をいい、例えば、一酸化炭素、水素等のような還元性ガスや、カーボン等の還元性成分と共存させることをいう。例えば、上記LaB6顆粒をカーボン坩堝に入れた状態で、真空中、または水素を含む雰囲気中で熱処理をする方法が挙げられる。
水素を含む雰囲気とは、水素のみの雰囲気でもよいし、安全に配慮して、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスと混合させた雰囲気でもよい。不活性ガスと混合して水素を用いる場合は、還元反応を促進させて、LaB6結着粒子の生成効率をあげるために、水素の混合比は50体積%以上であることが好ましい。
【0047】
上記雰囲気中で顆粒形状にしたLaB6粒子を熱処理することで、顆粒内でLaB6粒子同士が結着するため、顆粒の形状を殆ど変えることなくLaB6結着粒子、すなわち粒子径が10nm以上10μm以下である複数の六ホウ化ランタン一次粒子から構成されるLaB6多孔質粒子を得ることができる。
なお、LaB6一次粒子を顆粒形状にする(b)工程を経ずに熱処理工程(c)を行うと、LaB6一次粒子は周囲の粒子と結着して粒成長し、形状及び大きさは不揃いとなり、粒成長したLaB6粒子は緻密な粒子で、多孔質粒子を作製することはできない。
【0048】
(第2の製造方法)
本実施形態の第2の製造方法は、(d)ランタン化合物及びホウ素化合物をバインダーを含む溶媒中に分散させて六ホウ化ランタン前駆体分散液を調製する工程と、(e)前記(d)工程で得られた六ホウ化ランタン前駆体分散液を用いて造粒し六ホウ化ランタン前駆体顆粒を作製する工程と、(f)前記(e)工程で得られた六ホウ化ランタン前駆体顆粒を、不活性ガス雰囲気中または真空中で脱脂した後、不活性ガス雰囲気中、真空中及び水素雰囲気中から選ばれるいずれかの雰囲気中にて1300℃以上1800℃以下の温度で熱処理し、前記六ホウ化ランタン前駆体顆粒を反応・結着して六ホウ化ランタン結着粒子(多孔質粒子)とする工程と、(g)前記(f)工程で得られた六ホウ化ランタン結着粒子を、大気中にて600℃以上800℃以下の温度にて加熱酸化処理し、次いで無機酸中で酸処理する工程とを有するものである。
【0049】
−(d)工程−
本工程では、La源となるLa化合物及びB源となるB化合物を、バインダーを含む溶媒中に投入して分散処理を行い、六ホウ化ランタン前駆体分散液を作製する。
La化合物としては、水酸化物、酸化物、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、La錯体などが挙げられる。具体的には、例えば、La(OH)3、La23、LaCO3等が挙げられ、それらの中でも、La(OH)3は、塩化物、硫酸塩、硝酸塩などのLa塩の水溶液にアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などを40℃以上の温度で化学量論比以上添加し、反応速度を上げて、粒成長よりも核生成を促進させることで、粒径が小さいものでも簡単に合成することが可能であるので好ましい。
【0050】
B化合物としては、ホウ素、ホウ素酸化物、ホウ素炭化物、ホウ素窒化物等を用いることができ(本実施形態では、便宜上ホウ素をB化合物に含める)、具体的には、B、B23、B4C、BNなどを挙げることができる。
本実施形態において用いる前記La化合物及びB化合物の平均粒径は、10nm〜500nmの範囲が好ましく、より好ましくは10nm〜100nmの範囲である。平均粒径が10nm〜500nmの範囲にあると、混合などの取り扱いが容易となり、また、多孔質粒子を構成する複数のLaB6一次粒子の粒径が小さくなり、その結果、比表面積が大きくなるので好ましい。
なお、バインダー、溶媒に関しては、前記第1の製造方法における(b)工程で説明したものを同様に用いることができる。
【0051】
La化合物及びB化合物は、LaB6の化学量論比に近いLa/B原子比で混合することが好ましく、1/5.5〜1/6.5の範囲であることが好ましい。LaB6の化学量論比よりもLa化合物またはB化合物が過剰に存在しても(g)の酸洗浄工程で除去できるが、その除去量が多いと溶出成分が多くなって顆粒形状を保持できなくなる。
バインダー量、溶媒量は、必要な顆粒径にするために、適宜調整すればよいが、本実施形態では、バインダーの質量Cに対するLa化合物及びB化合物の総質量Dの比(D/C)を10/1〜10/4の範囲とすることが好ましい。
混合・分散方法としては、前記第1の製造方法における(b)工程の場合と同様に行うことができる。
【0052】
−(e)工程−
本工程では、前記(d)工程で得られたLaB6前駆体分散液を造粒処理することにより、LaB6前駆体顆粒を作製する。なおここで、LaB6前駆体顆粒とは、最終的な熱処理を行う前の造粒されたLaB6前駆体の凝集粒子をいう。
造粒処理における造粒方法、造粒条件等は、前記第1の製造方法における(b)工程で説明した内容と同様である。すなわち、前記(b)工程におけるLaB6粒子の代わりにLaB6前駆体が用いられ、この造粒工程により最終的なLaB6多孔質粒子の粒子径や空孔の形状、分布状態等がほぼ決定される。
【0053】
−(f)工程−
本工程では、前記(d)工程で得られたLaB6前駆体顆粒を、不活性ガス雰囲気中または真空中で脱脂処理を行い、その後、不活性ガス雰囲気中、真空中及び水素雰囲気中から選ばれるいずれかの雰囲気中にて熱処理し、LaB6前駆体顆粒を反応、結着させ、LaB6結着粒子を作製する。
【0054】
上記脱脂処理は、(c)工程の脱脂処理と同様である。
次いで行われる、不活性ガス雰囲気中、真空中及び水素雰囲気中から選ばれるいずれかの雰囲気中での熱処理における熱処理温度は、1300℃以上1800℃以下である。熱処理温度が1300℃未満では、LaB6生成反応が十分に進行しない。また、熱処理温度が1800℃を超えると、焼結が進んで顆粒内の空孔体積が少なくなるだけでなく、顆粒同士も結着して、必要な粒径のLaB6多孔質粒子が得られなくなる。熱処理温度は1300℃以上1500℃以下が好ましく、1300℃以上1350℃以下がより好ましい。
なお、熱処理時間は、LaB6前駆体顆粒が反応してLaB6結着粒子を形成する程度の時間でよく、熱処理時間が長くなりすぎると、LaB6結着粒子が大きく粒成長してしまうため、1時間〜2時間とすることが好ましい。
【0055】
上記真空中での熱処理は、La化合物中の水分、LaB6顆粒中に含まれる吸着水分、不純物由来の炭素と酸素により生成する一酸化炭素等の副生成物を系外に速やかに除去することから、得られるLaB6結着粒子(多孔質粒子)に不純物が残留しにくいため、好ましい。
【0056】
上記水素雰囲気中では、水素ガスのみの雰囲気中で熱処理をしてもよく、安全に配慮して、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスと混合して用いてもよい。不活性ガスと混合して用いる場合は、還元反応を促進させて、LaB6結着粒子の生成効率をあげるために、水素の混合比は50体積%以上であることが好ましい。
なお、上記不活性ガス雰囲気は、上記第1の製造方法における(c)工程で説明したのと、同様である。
【0057】
−(g)工程−
本工程では、前記(f)工程で得られたLaB6結着粒子に含まれる未反応物や副生成物を除去するために、前記第1の製造方法における(a)工程同様、LaB6結着粒子を大気中で酸化処理し、次いで無機酸中で酸処理を行う。
酸化処理条件及び酸処理条件については、前記第1の製造方法における(a)工程で説明した内容と同様である。すなわち、前記(a)工程におけるLaB6一次粒子の代わりにLaB6結着粒子が用いられ、この高純度化工程により、最終的なLaB6多孔質粒子が得られる。
【0058】
以上のようにして作製される本実施形態のLaB6多孔質粒子は、比表面積が0.4m2/g以上100m2/g以下、孔径が1nm以上10μm以下の空孔を含み、不純物の含有量が炭素換算で0.1質量%以下かつ酸素換算で1.0質量%以下であることが好ましい。
また、粒子径が1μm以上100μm以下であり、個数平均粒子径(D50)が30μm以上50μm以下であることが好ましい。多孔質粒子の粒子径及び粒度分布が上記範囲にあることにより、二次電池の負極基板上に負極活物質層として形成したときに、基板との充分な密着性を得ることができる。
【0059】
<二次電池負極材料>
本実施形態の二次電池負極材料は、本実施形態の高純度の六ホウ化ランタン多孔質粒子を負極活物質として含み、周知の任意の電極製造法に従って作製することができる。例えば、上記高純度のLaB6多孔質粒子、結着材等から、負極材料を作製することができる。
負極活物質としてのLaB6を負極電極基板に形成する方法として、本実施形態のLaB6多孔質粒子をバインダー(結着材)とともに混練してペースト化し、負極基板上に塗布する方法が好適に用いられる。負極の作製方法は、例えば、まず高純度のLaB6多孔質粒子及び結着材を混合し、溶媒を添加して粘度を調整してペーストを作製する。次いで、そのペーストを集電体上に塗布し、乾燥させることで、負極活物質層を有する負極を作製することができる。ここで、前記ペーストは本実施形態の二次電池負極材料として用いられる。
【0060】
本実施形態の二次電池負極材料は、二次電池がリチウム電池である負極材料用として好適に用いることができる。二次電池がリチウム電池である場合には、充放電サイクルにおいて負極を構成する材料とリチウムとが合金を形成する際、大きな体積変化を起こすため、二次電池の実用化にとって問題となる。
そこで、本実施形態のLaB6多孔質粒子を二次電池負極材料として用いれば、上記体積変化を効果的に吸収・緩和できるため電池の繰り返し使用における安定性にとって有効である。さらに、本実施形態のLaB6多孔質粒子を用いることにより、デンドライトの発生を防止できるため、二次電池の長寿命化を図ることができる。
【実施例】
【0061】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各実施例、比較例における諸特性は、下記の方法に従って測定した。
(1)不純物含有量(酸素換算量及び炭素換算量)
酸素換算の不純物含有量は、試料粉末40mgを取り、LECO社製TC−436型を使用して、不活性ガス溶融法にて測定した。
また、炭素換算の不純物含有量は、試料粉末120mgを取り、LECO社製WC−200型を使用して、赤外線吸収を用いる方法にて測定した。
(2)顆粒径、多孔質粒子の粒子径及び個数平均粒子径、多孔質粒子内のLaB6一次粒子径
各LaB6顆粒径、LaB6多孔質粒子の粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所(株)製、S−4000)にて多孔質粒子を観察し、視野数5視野内の全粒子500個の最大径(長径)を測定し、それらの最大値、最小値として求めた。LaB6多孔質粒子の個数平均粒子径(D50)は、粒度分布における累積個数が50%となる粒径である。
一方、各LaB6多孔質粒子内のLaB6一次粒子径は、上記条件での測定における一次粒子径の最大値、最小値として求めた。
(3)空孔の孔径
各多孔質粒子の空孔の孔径は、実施例6〜10では、BET(Belsorp mini、日本ベル株式会社製)を用いて測定した。実施例1〜5、11、比較例1〜6では、走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所(株)製、S−4000)を用いて、視野内の粒子の空孔の孔径を測定した。
(4)比表面積
各粒子の比表面積は、試料0.5gを200℃にて真空乾燥後、BET(Belsorp mini、日本ベル株式会社製)を用いて、N2ガス吸着法による吸着等温線を求め、BET法で求めた。
(5)X線回折パターン
X線回折パターンは、X線回折装置(XRD、PANalitical社製、X‘Pert PROMPD)により測定した。
(6)元素分析
多孔質粒子中の不純物の元素分析は、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA:Electron probe microanalyser、日本電子株式会社製、JXA−8800)の定性分析により行った。
【0062】
まず、以下に第1の製造方法に関する実施例を説明する。
<実施例1>
(LaB6粉末の高純度化)
平均粒子径が100nmのLaB6粉末を大気中700℃にて酸化処理を行い、次いで6N塩酸中で60℃にて酸処理を行った。酸処理後の粉末をイオン交換水にて、濾液のpHが6以上、塩素イオン濃度が1mg/L以下になるまで洗浄し、110℃にて真空乾燥した。得られたLaB6粒子は、不純物酸化物が酸素換算で0.42質量%、不純物炭化物が炭素換算で0.05質量%であった。
【0063】
(LaB6多孔質粒子の作製)
上記高純度化したLaB6粒子40質量部と、バインダーとしてポリエチレングリコール0.4質量部とを、60質量部の純水中に投入し、ボールミルにて混合してLaB6一次粒子のスラリーを作製した。
得られたスラリーを、スプレードライヤーを用いて造粒させて、粒子径が1〜100μmのLaB6顆粒を得た。次いで、このLaB6顆粒を窒素中600℃にて4時間熱処理することによりバインダーを分解し、その後アルゴン雰囲気中1400℃にて2時間保持した。
得られた多孔質粒子は、粒子径が0.5〜5μmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が1〜100μm、D50が40μm、孔径が0.1〜5μmの空孔を含み、比表面積が0.5m2/g、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.33質量%であり、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.08質量%のLaB6多孔質粒子であった。また、上記LaB6多孔質粒子のX線回折パターンを図1に示すが、得られた回折パターンはLaB6回折パターンと一致した。
【0064】
<実施例2>
実施例1において、アルゴン雰囲気中1400℃の熱処理を、アルゴン雰囲気中1800℃とした以外は、実施例1と同様の工程を行い、LaB6多孔質粒子を得た。
得られた多孔質粒子は、粒子径が3〜10μmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が1〜100μm、D50が35μm、孔径1〜10μmの空孔を含み、比表面積が0.4m2/g、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.30質量%であり、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.08質量%のLaB6多孔質粒子であった。
【0065】
<実施例3>
実施例1において、アルゴン雰囲気中1400℃の熱処理を、アルゴン雰囲気中1600℃とした以外は、実施例1と同様の工程を行い、LaB6多孔質粒子を得た。
得られた多孔質粒子は、粒子径が1〜5μmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が1〜100μm、D50が38μm、孔径が0.5〜5μmの空孔を含み、比表面積が0.7m2/g、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.36質量%であり、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.07質量%のLaB6多孔質粒子であった。
【0066】
<実施例4>
実施例1のLaB6粉末の高純度化において、平均粒子径100nmのLaB6粉末の代わりに、平均粒子径300nmのLaB6粉末を用いた以外は、実施例1と同様に酸化、洗浄、乾燥して高純度のLaB6粒子を得た。得られたLaB6粒子の不純物酸化物は酸素換算で0.38質量%、不純物炭化物が炭素換算で0.03質量%であった。このLaB6粒子を用い、実施例1と同様にしてLaB6多孔質粒子を得た。
得られた多孔質粒子は、粒子径が0.1〜5μmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が1〜100μm、D50が45μm、孔径が0.05〜3μmの空孔を含み、比表面積が1.5m2/g、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.34質量%であり、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.05質量%のLaB6多孔質粒子であった。
【0067】
<実施例5>
実施例1のLaB6粉末の高純度化において、平均粒子径100nmのLaB6粉末の代わりに、平均粒子径5μmのLaB6粉末を用いた以外は、実施例1と同様に酸化、洗浄、乾燥してLaB6粒子を得た。得られたLaB6粒子の不純物酸化物は酸素換算で0.26質量%、不純物炭化物が炭素換算で0.006質量%であった。このLaB6粒子を用い、実施例1におけるスプレードライヤーでの造粒によるLaB6顆粒の粒子径を10〜100μmとし、その後のアルゴン雰囲気中での熱処理温度を1800℃とした以外は、実施例1と同様の工程を行い、LaB6多孔質粒子を得た。
得られた多孔質粒子は、粒子径が5〜10μmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が10〜100μm、D50が40μm、孔径が5〜10μmの空孔を含み、比表面積が0.4m2/g、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.24質量%であり、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.01質量%のLaB6多孔質粒子であった。
【0068】
<比較例1>
実施例1のLaB6多孔質粒子の作製において、アルゴン雰囲気中1400℃の熱処理を、アルゴン雰囲気中1850℃とした以外は、実施例1と同様の工程を行い、LaB6多孔質粒子を得た。
得られた多孔質粒子は、粒子径10〜15μmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が1〜100μm、D50が29μm、孔径が5〜20μmの空孔を含み、比表面積が0.2m2/g、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.22質量%であり、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.07質量%と不純物量は少ないものの、多孔質粒子を構成するLaB6一次粒子の粒子径が大きく比表面積が小さい粒子であった。
【0069】
<比較例2>
実施例1のLaB6多孔質粒子の作製において、アルゴン雰囲気中1400℃の熱処理を、アルゴン雰囲気中1350℃とした以外は、実施例1と同様の工程を行い、LaB6粒子を得た。
得られた粒子は、LaB6一次粒子同士の結着が弱いため崩れてしまい、多孔質粒子とはならなかった。
【0070】
<比較例3>
実施例1のLaB6粉末の高純度化において、平均粒子径100nmのLaB6粉末の代わりに、平均粒子径10μmのLaB6粉末を用いた以外は、実施例1と同様に酸化、洗浄、乾燥して、高純度のLaB6粒子を得た。得られたLaB6粒子の不純物酸化物は酸素換算で0.25質量%、不純物炭化物が炭素換算で0.01質量%であった。このLaB6粒子を用い、実施例1のLaB6多孔質粒子の作製におけるスプレードライヤーでの造粒によるLaB6顆粒の粒子径を30〜100μmとし、その後のアルゴン雰囲気中での熱処理温度を1800℃とした以外は、実施例1と同様の工程を行い、LaB6多孔質粒子を得た。
得られた多孔質粒子は、粒子径が10〜15μmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が30〜100μm、D50が55μm、孔径が10〜20μmの空孔を含み、不純物酸化物は酸素換算で0.25質量%、不純物炭化物が炭素換算で0.03質量%であったが、比表面積が0.2m2/gと、多孔質粒子を構成するLaB6一次粒子の粒子径がやや大きく比表面積の小さいLaB6多孔質粒子であった。
【0071】
<比較例4>
実施例1のLaB6粉末の高純度化と同様にして酸化、洗浄、乾燥して、高純度のLaB6粒子を得た。そのLaB6粒子を、造粒しないでアルゴン雰囲気中1400℃にて2時間保持した。
得られた粒子は、粒子径が0.5〜5μmのLaB6一次粒子から構成され、数十nm程度の空孔しか観察されない緻密なLaB6粒子であり、多孔質粒子とはならなかった。
【0072】
<比較例5>
実施例1のLaB6粉末の高純度化において、平均粒子径100nmのLaB6粉末の代わりに、平均粒子径が1.5μmで、不純物酸化物含有量が酸素換算で1.6質量%、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.13質量%のLaB6粉末を用い、酸化処理及び酸洗浄せずにバインダーとともに純水中に投入した以外は、同様にしてLaB6粒子スラリーを作製した。このスラリーを、スプレードライヤーを用いて造粒させて、粒子径が30〜100μmのLaB6顆粒を得た。次いでこのLaB6顆粒を窒素中600℃にて熱処理することによりバインダーを分解し、その後アルゴン雰囲気中1800℃にて2時間保持した。
得られたLaB6多孔質粒子は、粒子径が1〜5μmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が30〜100μm、D50が65μm、孔径が1〜5μmの空孔を含み、比表面積が0.8m2/gと多孔質であるものの、不純物酸化物含有量が酸素換算で1.4質量%、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.27質量%と不純物が多かった。また、上記LaB6多孔質粒子のX線回折パターンを図2に示すが、得られた回折パターンは、LaB6回折パターンの他に2θが27度付近にLaBO3由来のピークが観察された。
【0073】
また、比較例5で得られた多孔質粒子の不純物部をEPMAにより元素分析した結果を第1表に示す。測定箇所の異物部1〜5では、いずれも炭化物(ランタン炭化物、ホウ素炭化物)由来と推定される不純物が検出された。
以上の結果を、まとめて第2表に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
以下は、第2の製造方法に関する実施例である。
<実施例6>
(LaB6前駆体粒子の作製)
まず、La/B原子比で1/6となるように、平均粒子径10nmのLa(OH)327.2質量部と、平均粒子径0.2μmのB4C12.3質量部とを、60質量部の純水中に投入し、バインダーとしてポリエチレングリコール0.4質量部を加えて混合し、超音波ホモジナイザーにより1時間分散処理を行って、LaB6前駆体分散液を得た。得られたLaB6分散液を、スプレードライヤーを用いて造粒して、粒子径が1〜100μmのLaB6前駆体顆粒を得た。
【0077】
(LaB6多孔質粒子の作製)
次いで、このLaB6前駆体顆粒を窒素中600℃にて熱処理することによりバインダーを分解し、その後アルゴン雰囲気中1300℃にて2時間保持した。得られたLaB6結着粒子(多孔質粒子)に対して大気中700℃にて酸化処理を行い、次いで6N塩酸中で60℃にて酸処理を行った。酸処理後の結着粒子をイオン交換水にて、濾液のpHが6以上、塩素イオン濃度が1mg/L以下になるまで洗浄し、110℃にて真空乾燥した。
得られた多孔質粒子は、粒子径が10nm〜200nmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が1〜100μm、D50が40μm、孔径が1nm〜100nmの空孔を含み、比表面積が50m2/g、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.44質量%であり、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.01質量%のLaB6多孔質粒子であった。
【0078】
<実施例7>
実施例6のLaB6前駆体粒子の作製において、平均粒子径が0.2μmのB4Cの代わりに、平均粒子径が0.2μmのBを用いた以外は、実施例6と同様の工程を行い、LaB6多孔質粒子を得た。
得られた多孔質粒子は、粒子径が10nm〜100nmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が1〜100μm、D50が35μm、孔径が1nm〜100nmの空孔を含み、比表面積が100m2/g、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.46質量%であり、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.007質量%のLaB6多孔質粒子であった。
【0079】
<実施例8>
実施例7のLaB6多孔質粒子の作製において、アルゴン雰囲気中1300℃の熱処理を、アルゴン雰囲気中1500℃にした以外は、実施例7と同様の工程を行い、LaB6多孔質粒子を得た。
得られた多孔質粒子は、粒子径が50nm〜150nmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が1〜100μm、D50が30μm、孔径が10nm〜100nmの空孔を含み、比表面積が60m2/g、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.43質量%であり、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.02質量%のLaB6多孔質粒子であった。
【0080】
<実施例9>
実施例7のLaB6多孔質粒子の作製において、アルゴン雰囲気中1300℃の熱処理を、水素雰囲気中1300℃にした以外は、実施例7と同様の工程を行い、LaB6多孔質粒子を得た。
得られた多孔質粒子は、粒子径50nm〜150nmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が1〜100μm、D50が39μm、孔径が10nm〜100nmの空孔を含み、比表面積が50m2/g、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.43質量%であり、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.03質量%のLaB6多孔質粒子であった。
【0081】
<実施例10>
実施例7のLaB6多孔質粒子の作製において、アルゴン雰囲気中1300℃の熱処理を、真空中1300℃にした以外は、実施例7と同様の工程を行い、LaB6多孔質粒子を得た。
得られた多孔質粒子は、粒子径50nm〜100nmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が1〜100μm、D50が41μm、孔径が10nm〜100nmの空孔を含み、比表面積が65m2/g、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.37質量%であり、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.02質量%のLaB6多孔質粒子であった。
【0082】
<実施例11>
実施例7のLaB6多孔質粒子の作製において、アルゴン雰囲気中1300℃の熱処理を、アルゴン雰囲気中1800℃にした以外は、実施例7と同様の工程を行い、LaB6多孔質粒子を得た。
得られた多孔質粒子は、粒子径0.5μm〜10μmのLaB6一次粒子から構成され、粒子径が1〜100μm、D50が42μm、孔径が0.5μm〜10μmの空孔を含み、比表面積が0.4m2/g、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.33質量%であり、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.01質量%のLaB6多孔質粒子であった。
【0083】
<比較例6>
実施例7のLaB6多孔質粒子の作製において、アルゴン雰囲気中1300℃の熱処理を、アルゴン雰囲気中1850℃にした以外は、実施例7と同様の工程を行い、LaB6多孔質粒子を得た。
得られた多孔質粒子は、空孔の孔径が1〜5μm、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.25質量%であり、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.07質量%と不純物量は少ないものの、粒子径が10μmを超えるLaB6一次粒子から構成され、粒子径が1〜100μm、D50が31μm、空孔の孔径が1〜5μm、比表面積が0.1m2/g、不純物酸化物含有量が酸素換算で0.25質量%、不純物炭化物含有量が炭素換算で0.07質量%と、不純物量は少ないものの、LaB6一次粒子が大きく、比表面積が小さい粒子であった。
【0084】
<比較例7>
実施例7のLaB6多孔質粒子の作製において、アルゴン雰囲気中1300℃の熱処理を、アルゴン雰囲気中1200℃にした以外は、実施例7と同様の工程を行い、LaB6粒子を得た。
得られた粒子は、未反応物、副生成物が多量に含まれていたため、酸洗浄後に崩れてしまい、多孔質粒子は得られなかった。
以上の結果を、まとめて第3表に示す。
【0085】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のLaB6多孔質粒子は、高純度で、導電性に優れ、しかも仕事関数が小さい特性を有するので、負極活物質として二次電池用負極材料等に用いられるほか、広く電極材料等としても好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子径が10nm以上10μm以下である複数の六ホウ化ランタン一次粒子から構成され、
La、C、O及びBの中から選ばれる少なくとも1種の元素から構成される不純物の含有量が炭素換算で0.1質量%以下かつ酸素換算で1.0質量%以下であり、 孔径が1nm以上10μm以下の空孔を含み、比表面積が0.4m2/g以上100m2/g以下であることを特徴とする六ホウ化ランタン多孔質粒子。
【請求項2】
粒子径が1μm以上100μm以下、個数平均粒子径(D50)が30μm以上50μm以下である請求項1に記載の六ホウ化ランタン多孔質粒子。
【請求項3】
前記不純物が、ランタン炭化物、ホウ素炭化物及びランタン−ホウ素複合酸化物の中から選ばれる少なくとも1種以上であり、その含有量が炭素換算で0.1質量%以下かつ酸素換算で1.0質量%以下である請求項1または2に記載の六ホウ化ランタン多孔質粒子。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の六ホウ化ランタン多孔質粒子を負極活物質として用いることを特徴とする二次電池負極材料。
【請求項5】
前記二次電池が、リチウムイオン二次電池である請求項4に記載の二次電池負極材料。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の六ホウ化ランタン多孔質粒子の製造方法であって、
(a)六ホウ化ランタン粉末を、大気中にて600℃以上800℃以下の温度で加熱酸化処理し、次いで無機酸中で酸処理する工程と、(b)前記(a)工程で得られた六ホウ化ランタン粒子をバインダーを含む溶媒中に分散させてスラリーとし、該スラリーを造粒し六ホウ化ランタン顆粒を作製する工程と、(c)前記(b)工程で得られた六ホウ化ランタン顆粒を不活性ガス雰囲気中または真空中で脱脂した後、不活性ガス雰囲気中、真空中及び還元雰囲気中から選ばれるいずれかの雰囲気中にて1400℃以上1800℃以下の温度で熱処理し、前記六ホウ化ランタン顆粒を結着して六ホウ化ランタン結着粒子とする工程とを有することを特徴とする六ホウ化ランタン多孔質粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の六ホウ化ランタン多孔質粒子の製造方法であって、
(d)ランタン化合物及びホウ素化合物をバインダーを含む溶媒中に分散させて六ホウ化ランタン前駆体分散液を調製する工程と、(e)前記(d)工程で得られた六ホウ化ランタン前駆体分散液を造粒し六ホウ化ランタン前駆体顆粒を作製する工程と、(f)前記(e)工程で得られた六ホウ化ランタン前駆体顆粒を、不活性ガス雰囲気中または真空中で脱脂した後、不活性ガス雰囲気中、真空中及び水素雰囲気中から選ばれるいずれかの雰囲気中にて1300℃以上1800℃以下の温度で熱処理し、前記六ホウ化ランタン前駆体顆粒を反応・結着して六ホウ化ランタン結着粒子とする工程と、(g)前記(f)工程で得られた六ホウ化ランタン結着粒子を、大気中にて600℃以上800℃以下の温度にて加熱酸化処理し、次いで無機酸中で酸処理する工程とを有することを特徴とする多孔質粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−96958(P2012−96958A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246293(P2010−246293)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】