説明

共役ジエン系重合体、共役ジエン系重合体組成物、及び、共役ジエン系重合体の製造方法

【課題】耐摩耗性に優れる重合体組成物を得ることができる共役ジエン系重合体を提供すること。
【解決手段】共役ジエン単位と下記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位とを有する共役ジエン系重合体の一端に下記式(2)で表される化合物を反応させて得られ、式(1)に基づく単量体単位の含有量が0.01〜20重量%である共役ジエン系重合体。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共役ジエン系重合体、共役ジエン系重合体組成物、及び、共役ジエン系重合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への関心の高まりから、自動車に対して省燃費化の要求が強くなっており、自動車用タイヤに用いるゴム組成物に対しても、省燃費性に優れることが求められている。自動車タイヤ用のゴム組成物としては、ポリブタジエンやブタジエン−スチレン共重合体等の共役ジエン系重合体と、補強剤とを含有するゴム組成物が用いられている。
【0003】
例えば、省燃費性を高める重合体、及び、省燃費性が良好な重合体組成物として、特許文献1には、有機過酸化物を開始剤としてブタジエンとスチレンとビニルピリジンとをラジカル重合して得られた重合体、及び、該重合体とカーボンブラックとを含有する重合体組成物が提案されている。また、特許文献2には、アルキルリチウムを重合開始剤としてブタジエンとスチレンとをリビングアニオン重合し、次いで、得られた重合体の片末端をジアルキルアミノ基及びアルコキシ基含有シラン化合物で変性した重合体、及び、該重合体とカーボンブラックとを含有する重合体組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−102117号公報
【特許文献2】特開昭63−186748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の共役ジエン系重合体を用いた重合体組成物は、耐摩耗性において満足のいくものではなかった。
【0006】
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、耐摩耗性に優れる重合体組成物を得ることができる共役ジエン系重合体、該共役ジエン系重合体と補強剤とを含有する重合体組成物、及び、該共役ジエン系重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、共役ジエンに基づく単量体単位と下記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位とを有する共役ジエン系重合体の一端に下記式(2)で表される化合物を反応させて得られ、式(1)で表される化合物に基づく単量体単位の含有量が、共役ジエン系重合体中の単量体単位の総量を100重量%として、0.01〜20重量%である共役ジエン系重合体にかかるものである。

(式中、R11は水素原子又はヒドロカルビル基を表し、mは0又は1であり、R12はヒドロカルビレン基を表し、Aは含窒素複素環基を表す。)

(式中、nは1〜10の数を表し、R21、R22及びR23は、それぞれ、ヒドロカルビル基又はヒドロカルビルオキシ基を表し、R21、R22及びR23の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、R24及びR25は、それぞれ、水素原子、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビル基、あるいは、R24とR25とが結合して、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基、又は、R24とR25は1つの基であって、窒素原子に二重結合で結合する基を表す。)
【0008】
本発明の第2は、上記の共役ジエン系重合体と補強剤とを含有する共役ジエン系重合体組成物にかかるものである。
【0009】
本発明の第3は、下記工程Aおよび工程Bを有する共役ジエン系重合体の製造方法にかかるものである。
(工程A):炭化水素溶媒中で、アルカリ金属触媒により、共役ジエンと下記式(1)で表される化合物とを含む単量体成分を、式(1)で表される化合物の使用量を0.01〜20重量%(但し、単量体成分の総使用量を100重量%とする。)で重合させて、共役ジエンに基づく単量体単位と下記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位とを有する重合体鎖の少なくとも一端にアルカリ金属触媒由来のアルカリ金属を有する重合体を得る工程。
(工程B):工程Aで得られた重合体と下記式(2)で表される化合物とを反応させる工程。

(式中、R11は水素原子又はヒドロカルビル基を表し、mは0又は1であり、R12はヒドロカルビレン基を表し、Aは含窒素複素環基を表す。)

(式中、nは1〜10の数を表し、R21、R22及びR23は、それぞれ、ヒドロカルビル基又はヒドロカルビルオキシ基を表し、R21、R22及びR23の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、R24及びR25は、それぞれ、水素原子、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビル基、あるいは、R24とR25とが結合して、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基、又は、R24とR25は1つの基であって、窒素原子に二重結合で結合する基を表す。)
【発明の効果】
【0010】
本発明により、耐摩耗性に優れる重合体組成物を得ることができる共役ジエン系重合体、該共役ジエン系重合体とシリカなどの補強剤とを含有する重合体組成物、及び、該共役ジエン系重合体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の共役ジエン系重合体は、共役ジエンに基づく単量体単位と下記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位とを有する共役ジエン系重合体の一端に下記式(2)で表される化合物を反応させて得られる共役ジエン系重合体である。

(式中、R11は水素原子又はヒドロカルビル基を表し、mは0又は1であり、R12はヒドロカルビレン基を表し、Aは含窒素複素環基を表す。)

(式中、nは1〜10の数を表し、R21、R22及びR23は、それぞれ、ヒドロカルビル基又はヒドロカルビルオキシ基を表し、R21、R22及びR23の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、R24及びR25は、それぞれ、水素原子、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビル基、あるいは、R24とR25とが結合して、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基、又は、R24とR25は1つの基であって、窒素原子に二重結合で結合する基を表す。)
【0012】
本明細書では、ヒドロカルビル基は炭化水素残基を表す。ヒドロカルビルオキシ基は、ヒドロキシル基の水素原子がヒドロカルビル基で置換されている基を表す。ヒドロカルビレン基は、2価の炭化水素残基を表す。含窒素複素環基は、含窒素複素環を有する化合物の複素環の炭素原子から1つの水素原子を除いた基を表す。なお、含窒素複素環は、環を構成するヘテロ原子として窒素原子を有する複素環を表す。
【0013】
共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどをあげることができ、これらは1種以上用いられる。共役ジエンとして好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレンである。
【0014】
11は水素原子又はヒドロカルビル基を表す。
【0015】
11のヒドロカルビル基としては、アルキル基、アルケニル基などをあげることができる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などをあげることができ、好ましくはメチル基である。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基などをあげることができ、好ましくはビニル基である。
【0016】
11として、好ましくは、水素原子、メチル基、ビニル基である。
【0017】
12のヒドロカルビレン基としては、アルキレン基、アリレーン基、アリレーン基とアルキレン基とが結合した基などをあげることができる。
【0018】
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基などをあげることができる。好ましくは、メチレン基又はエチレン基である。
【0019】
アリレーン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などをあげることができる。好ましくはフェニレン基である。
【0020】
アリレーン基とアルキレン基とが結合した基としては、フェニレン基とアルキレン基とが結合した基、ナフチレン基とアルキレン基とが結合した基、ビフェニレン基とアルキレン基とが結合した基をあげることができる。好ましくは、フェニレン基とアルキレン基とが結合した基である。
【0021】
また、アリレーン基とアルキレン基とが結合した基としては、式(1)のR11が結合している炭素原子に、当該基のアリレーン基の炭素原子が結合していることが好ましい。
【0022】
フェニレン基とアルキレン基とが結合した基(フェニレン−アルキレン基)では、水素原子が除かれたベンゼン環上の炭素原子の位置と、アルキレン基が結合するベンゼン環上の炭素原子の位置とによって、パラ−フェニレン−アルキレン基(例えば、下式(a)で表される基。)、メタ−フェニレン−アルキレン基(例えば、下式(b)で表される基。)、オルト−フェニレン−アルキレン基(例えば、下式(c)で表される基。)をあげることができる。
【0023】






(式中、rは1〜5の整数を表す。)
【0024】
アリレーン基とアルキレン基とが結合した基としては、好ましくは、フェニレン基とアルキレン基とが結合した基(フェニレン−アルキレン基)であり、より好ましくは、上式(a)で表される基、上式(b)で表される基、上式(c)で表される基であり、更に好ましくは、上式(a)で表される基、上式(b)で表される基であり、特に好ましくは、パラ−フェニレン−メチレン基(r=1である式(a)で表される基)、メタ−フェニレン−メチレン基(r=1である式(b)で表される基)、パラ−フェニレン−エチレン基(r=2である式(a)で表される基)、メタ−フェニレン−エチレン基(r=2である式(b)で表される基)である。
【0025】
Aの含窒素複素環基としては、含窒素脂環族複素環基、含窒素芳香族複素環基をあげることができる。
【0026】
Aの含窒素脂環族複素環基としては、環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する基、環を構成するヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する基、環を構成するヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する基などをあげることができる。
【0027】
環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素脂環族複素環基としては、アジリジン環を有する基、アゼチジン環を有する基、ピロリジン環を有する基、ピペリジン環を有する基、ヘキサメチレンイミン環を有する基、イミダゾリジン環を有する基、ピペラジン環を有する基、ピラゾリジン環を有する基などをあげることができる。
【0028】
アジリジン環を有する基としては、N−アルキル−2−アジリジニル基をあげることができる。
アゼチジン環を有する基としては、N−アルキル−2−アゼチジニル基、N−アルキル−3−アゼチジニル基をあげることができる。
ピロリジン環を有する基としては、N−アルキル−2−ピロリジニル基、N−アルキル−3−ピロリジニル基をあげることができる。
ピペリジン環を有する基としては、N−アルキル−2−ピペリジニル基、N−アルキル−3−ピペリジニル基、N−アルキル−4−ピペリジニル基をあげることができる。
ヘキサメチレンイミン環を有する基としては、N−アルキル−2−ヘキサメチレンイミノ基、N−アルキル−3−ヘキサメチレンイミノ基、N−アルキル−4−ヘキサメチレンイミノ基をあげることができる。
イミダゾリジン環を有する基としては、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジル基、1,3−ジアルキル−4−イミダゾリジル基をあげることができる。
ピペラジン環を有する基としては、1,4−ジアルキル−2−ピペラジニル基をあげることができる。
ピラゾリジン環を有する基としては、1,2−ジアルキル−3−ピラゾリジル基、1,2−ジアルキル−4−ピラゾリジル基をあげることができる。
【0029】
環を構成するヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する含窒素脂環族複素環基としては、モルホリン環を有する基、イソオキサゾリジン環を有する基などをあげることができる。
【0030】
モルホリン環を有する基としては、N−アルキル−2−モルホリノ基、N−アルキル−3−モルホリノ基をあげることができる。
イソオキサゾリジン環を有する基としては、N−アルキル−3−イソオキサゾリジニル基、N−アルキル−4−イソオキサゾリジニル基、N−アルキル−5−イソオキサゾリジニル基をあげることができる。
【0031】
環を構成するヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する含窒素脂環族複素環基としては、チオモルホリン環を有する基、イソチアゾリジン環を有する基をあげることができる。
【0032】
チオモルホリン環を有する基としては、N−アルキル−2−チオモルホリノ基、N−アルキル−3−チオモルホリノ基をあげることができる。
イソチアゾリジン環を有する基としては、N−アルキル−3−イソチアゾリジニル基、N−アルキル−4−イソチアゾリジニル基、N−アルキル−5−イソチアゾリジニル基をあげることができる。
【0033】
Aの含窒素芳香族複素環基としては、環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する基、環を構成するヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する基、環を構成するヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する基などをあげることができる。
【0034】
環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素芳香族複素環基としては、ピロール環を有する基、イミダゾール環を有する基、ピラゾール環を有する基、ピリジン環を有する基、ピリダジン環を有する基、ピリミジン環を有する基、ピラジン環を有する基、キノリン環を有する基、イソキノリン環を有する基、シンノリン環を有する基、キナゾリン環を有する基、フタラジン環を有する基などをあげることができる。
【0035】
ピロール環を有する基としては、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−(N−メチルピロリル)基、3−(N−メチルピロリル)基をあげることができる。
イミダゾール環を有する基としては、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、5−イミダゾリル基、2−(N−メチルイミダゾリル)基、4−(N−メチルイミダゾリル)基、5−(N−メチルイミダゾリル)基をあげることができる。
ピラゾール環を有する基としては、3−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、5−ピラゾリル基、3−(N−メチルピラゾリル)基、4−(N−メチルピラゾリル)基、5−(N−メチルピラゾリル)基をあげることができる。
ピリジン環を有する基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基をあげることができる。
ピリダジン環を有する基としては、3−ピリダジル基、4−ピリダジル基をあげることができる。
ピリミジン環を有する基としては、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基をあげることができる。
ピラジン環を有する基としては、2−ピラジル基をあげることができる。
キノリン環を有する基としては、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基をあげることができる。
イソキノリン環を有する基としては、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基をあげることができる。
シンノリン環を有する基としては、3−シンノリニル基、4−シンノリニル基、5−シンノリニル基、6−シンノリニル基、7−シンノリニル基、8−シンノリニル基をあげることができる。
キナゾリン環を有する基としては、2−キナゾリニル基、4−キナゾリニル基、5−キナゾリニル基、6−キナゾリニル基、7−キナゾリニル基、8−キナゾリニル基をあげることができる。
フタラジン環を有する基としては、1−フタラジニル基、5−フタラジニル基、6−フタラジニル基をあげることができる。
環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素芳香族複素環基としては、好ましくは、イミダゾール環を有する基、ピリジン環を有する基、キノリン環を有する基である。
【0036】
環を構成するヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する含窒素芳香族複素環基としては、オキサゾール環を有する基、イソオキサゾール環を有する基などをあげることができる。
【0037】
オキサゾール環を有する基としては、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基をあげることができる。
イソオキサゾール環を有する基としては、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基をあげることができる。
環を構成するヘテロ原子として窒素原子と酸素原子を有する含窒素芳香族複素環基としては、好ましくは、オキサゾール環を有する基である。
【0038】
環を構成するヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する含窒素芳香族複素環基としては、チアゾール環を有する基、イソチアゾール環を有する基などをあげることができる。
【0039】
チアゾール環を有する基としては、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基をあげることができる。
イソチアゾール環を有する基としては、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基をあげることができる。
環を構成するヘテロ原子として窒素原子と硫黄原子を有する含窒素芳香族複素環基としては、好ましくは、チアゾール環を有する基である。
【0040】
Aの含窒素複素環基としては、好ましくは、含窒素芳香族複素環基であり、より好ましくは、環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを有する含窒素芳香族複素環基であり、更に好ましくは、イミダゾール環を有する基、ピリジン環を有する基、キノリン環を有する基であり、特に好ましくはピリジン環を有する基である。
【0041】
式(1)で表される化合物としては、R11が水素原子である化合物として、
1−ビニルイミダゾール、
N−メチル−2−ビニルイミダゾール、
N−メチル−4−ビニルイミダゾール、
N−メチル−5−ビニルイミダゾール、
2−ビニルピリジン、
3−ビニルピリジン、
4−ビニルピリジン、
2−ビニルキノリン、
3−ビニルキノリン、
4−ビニルキノリン
をあげることができる。
【0042】
式(1)で表される化合物としては、R11がメチル基である化合物として、
1−イソプロペニルイミダゾール、
N−メチル−2−イソプロペニルイミダゾール、
N−メチル−4−イソプロペニルイミダゾール、
N−メチル−5−イソプロペニルイミダゾール、
2−イソプロペニルピリジン、
3−イソプロペニルピリジン、
4−イソプロペニルピリジン、
2−イソプロペニルキノリン、
3−イソプロペニルキノリン、
4−イソプロペニルキノリン
をあげることができる。
【0043】
式(1)で表される化合物としては、R11がビニル基である化合物として、
N−メチル−2−(1−メチレン−2−プロペニル)アジリジン、
N−メチル−2−(1−メチレン−2−プロペニル)ピロリジン、
N−メチル−3−(1−メチレン−2−プロペニル)ピロリジン、
N−メチル−2−(1−メチレン−2−プロペニル)ヘキサメチレンイミン、
N−メチル−3−(1−メチレン−2−プロペニル)ヘキサメチレンイミン、
N−メチル−4−(1−メチレン−2−プロペニル)ヘキサメチレンイミン、
1−(1−メチレン−2−プロペニル)イミダゾール、
N−メチル−2−(1−メチレン−2−プロペニル)イミダゾール、
N−メチル−4−(1−メチレン−2−プロペニル)イミダゾール、
N−メチル−5−(1−メチレン−2−プロペニル)イミダゾール、
2−(1−メチレン−2−プロペニル)ピリジン、
3−(1−メチレン−2−プロペニル)ピリジン、
4−(1−メチレン−2−プロペニル)ピリジン、
2−(1−メチレン−2−プロペニル)キノリン、
3−(1−メチレン−2−プロペニル)キノリン、
4−(1−メチレン−2−プロペニル)キノリン
をあげることができる。
【0044】
式(1)で表される化合物としては、好ましくは、R11が水素原子であり、Aがピリジン環を有する基である化合物であり、より好ましくは、R11が水素原子であり、Aがピリジル基である化合物であり、更により好ましくは、4−ビニルピリジンである。
【0045】
21、R22、及びR23は、それぞれヒドロカルビル基、又は、ヒドロカルビルオキシ基を表す。
【0046】
21、R22、及びR23のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基などをあげることができる。ヒドロカルビル基の炭素原子数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜3である。
【0047】
21、R22、及びR23のヒドロカルビル基として、好ましくは、アルキル基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜10のアルキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0048】
21、R22、及びR23のヒドロカルビルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基などをあげることができる。ヒドロカルビルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜3である。
【0049】
21、R22、及びR23のヒドロカルビルオキシ基として、好ましくは、アルコキシ基であり、より好ましくは、炭素原子数が1〜10のアルコキル基であり、更に好ましくは、炭素原子数が1〜3のアルコキシ基であり、特に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基である。
【0050】
21、R22、及びR23の少なくとも1つはヒドロカルビルオキシ基であり、省燃費性を高めるために、好ましくは、R21、R22、及びR23の少なくとも2つがヒドロカルビルオキシ基であり、より好ましくは、R21、R22、及びR23の3つがヒドロカルビルオキシ基である。
【0051】
24及びR25は、それぞれ、水素原子、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビル基、あるいは、R24とR25とが結合して、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基、又は、R24とR25は1つの基であって、窒素原子に二重結合で結合する基を表す。
【0052】
本明細書では、X原子を有するヒドロカルビル基とは、ヒドロカルビル基の水素原子及び/又は炭素原子がX原子に置き換わった構造を有する基を表し、X原子を有するヒドロカルビレン基とは、ヒドロカルビレン基の水素原子及び/又は炭素原子がX原子に置き換わった構造を有する基を表す。例えば、窒素原子を有する基としては、CHがNに置き換わった構造を有する基をあげることができる。また、酸素原子を有する基としては、CH2がOに置き換わった構造を有する基、水素原子2つが、Oに置き換わった構造を有する基をあげることができる。
【0053】
24及びR25のヒドロカルビル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−メチルエテニル基などのアルケニル基;エチニル基、プロパギル基などのアルキニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基をあげることができる。
【0054】
24及びR25の窒素原子を有するヒドロカルビル基としては、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基などのジアルキルアミノアルキル基をあげることができる。
【0055】
24及びR25の酸素原子を有するヒドロカルビル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基などのアルコキシアルキル基;2−オキシラニル基、2−オキセタニル基、2−テトラヒドロフラニル基などのモノオキサシクロアルキル基;2−ジオキソラニル基などのジオキサシクロアルキル基;グリシジル基、テトラヒドロフルフリル基などのモノオキサシクロアルキル基で置換されたアルキル基;3,4−エポキシシクロヘキシル基をあげることができる。
【0056】
本明細書では、モノオキサシクロアルキル基は、シクロアルキル基の1つのCHが酸素原子に置き換わった基を表す。ジオキサシクロアルキル基は、シクロアルキル基の2つのCHが酸素原子に置き換わった基を表す。
【0057】
24及びR25の窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビル基の炭素原子数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜6である。
【0058】
24とR25が結合した基としては、ヒドロカルビレン基、窒素原子を有するヒドロカルビレン基、酸素原子を有するヒドロカルビレン基などをあげることができる。ヒドロカルビレン基としては、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのアルキレン基をあげることができる。窒素原子を有するヒドロカルビレン基としては、−CH2CH2−NH−CH2−で表される基、−CH2CH2−N=CH−で表される基、−CH=CH−N=CH−で表される基、−CH2CH2−NH−CH2CH2−で表される基をあげることができる。酸素原子を有するヒドロカルビレン基としては、−CH2CH2−O−CH2CH2−で表される基をあげることができる。
【0059】
24とR25が結合した基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜12である。
【0060】
24及びR25が窒素原子に二重結合で結合する1つの基としては、エチリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基、1−メチルエチリデン基、1−メチルプロピリデン基、1,3−ジメチルブチリデン基などのヒドロカルビリデン基;4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン基などをあげることができる。
【0061】
24及びR25が窒素原子に二重結合で結合する1つの基の炭素原子数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜12である。
【0062】
24及びR25としては、好ましくは、ヒドロカルビル基、又は、R24とR25とが結合した基であるヒドロカルビレン基、あるいは、R24とR25は1つの基であって、窒素原子に二重結合で結合した基であるヒドロカルビリデン基であり、より好ましくは、ヒドロカルビル基であり、更に好ましくは、アルキル基である。該アルキル基としては、好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0063】
nは1〜10の数であり、好ましくは2〜4であり、より好ましくは3である。
【0064】
式(2)で表される化合物としては、R24及びR25がアルキル基である化合物として、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、
[3−(エチルメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、
[3−(エチルメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシランなどの
[3−(ジアルキルアミノ)プロピル]トリアルコキシシラン;
【0065】
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、
[3−(エチルメチルアミノ)プロピル]メチルジメトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]エチルジメトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]エチルジメトキシシラン、
[3−(エチルメチルアミノ)プロピル]エチルジメトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン、
[3−(エチルメチルアミノ)プロピル]メチルジエトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]エチルジエトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]エチルジエトキシシラン、
[3−(エチルメチルアミノ)プロピル]エチルジエトキシシランなどの
[3−(ジアルキルアミノ)プロピル]アルキルジアルコキシシラン;
【0066】
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ジメチルメトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]ジメチルメトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ジエチルメトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]ジエチルメトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ジメチルエトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]ジメチルエトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]ジエチルエトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]ジエチルエトキシシランなどの
[3−(ジアルキルアミノ)プロピル]ジアルキルアルコキシシラン
をあげることができる。
【0067】
式(2)で表される化合物としては、R24及びR25がアルコキシアルキル基である化合物として、
{3−[ビス(メトキシメチル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシメチル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシエチル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシエチル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシメチル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシメチル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシエチル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシエチル)アミノ]プロピル}トリエトキシシランなどの
{3−[ビス(アルコキシアルキル)アミノ]プロピル}トリアルコキシシラン;
【0068】
{3−[ビス(メトキシメチル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシメチル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシエチル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシエチル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシメチル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシメチル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシエチル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシエチル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシメチル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシメチル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシエチル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシエチル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシメチル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシメチル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシエチル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシエチル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシランなどの
{3−[ビス(アルコキシアルキル)アミノ]プロピル}アルキルジアルコキシシラン;
【0069】
{3−[ビス(メトキシメチル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシメチル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシエチル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシエチル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシメチル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシメチル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシエチル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシエチル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシメチル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシメチル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシエチル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシエチル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシメチル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシメチル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシラン、
{3−[ビス(メトキシエチル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシラン、
{3−[ビス(エトキシエチル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシランなどの
{3−[ビス(アルコキシアルキル)アミノ]プロピル}ジアルキルアルコキシシラン
をあげることができる。
【0070】
式(2)で表される化合物としては、R24及びR25がオキシラニル基である化合物として、
{3−[ジ(オキシラニル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(オキシラニル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ジ(オキシラニル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(オキシラニル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(オキシラニル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(オキシラニル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(オキシラニル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(オキシラニル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ジ(オキシラニル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ジ(オキシラニル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシラン
をあげることができる。
【0071】
式(2)で表される化合物としては、R24及びR25がテトラヒドロフラニル基である化合物として、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフラニル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシラン
をあげることができる。
【0072】
式(2)で表される化合物としては、R24及びR25がグリシジル基である化合物として、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ジ(グリシジル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシラン
をあげることができる。
【0073】
式(2)で表される化合物としては、R24及びR25がテトラヒドロフルフリル基である化合物として、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}トリメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}トリエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}メチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}エチルジメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}メチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}エチルジエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}ジメチルメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}ジエチルメトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}ジメチルエトキシシラン、
{3−[ジ(テトラヒドロフルフリル)アミノ]プロピル}ジエチルエトキシシラン
をあげることができる。
【0074】
式(2)で表される化合物としては、R24及びR25が結合した基である化合物として、
3−(1−ピペリジニル)プロピルトリメトキシシラン、
3−(1−ピペリジニル)プロピルトリエトキシシラン、
3−(1−ピペリジニル)プロピルメチルジメトキシシラン、
3−(1−ピペリジニル)プロピルエチルジメトキシシラン、
3−(1−ピペリジニル)プロピルメチルジエトキシシラン、
3−(1−ピペリジニル)プロピルエチルジエトキシシラン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリメトキシシラン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピルエチルジメトキシシラン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、
3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピルエチルジエトキシシラン、
3−モルホリノプロピルトリメトキシシラン、
3−モルホリノプロピルトリエトキシシラン、
3−モルホリノプロピルメチルジメトキシシラン、
3−モルホリノプロピルエチルジメトキシシラン、
3−モルホリノプロピルメチルジエトキシシラン、
3−モルホリノプロピルエチルジエトキシシラン
をあげることができる。
【0075】
式(2)で表される化合物としては、R24及びR25が窒素原子に二重結合で結合する1つの基である化合物として、
N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン、
N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン
をあげることができる。
【0076】
式(2)で表される化合物としては、より好ましくは、[3−(ジアルキルアミノ)プロピル]トリアルコキシシランである。
更に好ましくは、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、
[3−(ジメチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシランであり、
特に好ましくは、
[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシランである。
【0077】
式(1)で表される化合物に基づく単量体単位の含有量は、共役ジエン系重合体中の単量体単位の総量を100重量%として、0.01〜20重量%である。該含有量は、耐摩耗性を高めるために、好ましくは0.02重量%以上であり、より好ましくは0.05重量%以上である。また、省燃費性を高めるために、好ましくは2重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下であり、更に好ましくは0.5重量%以下である。
【0078】
本発明の共役ジエン系重合体は、強度を高めるために、ビニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位(ビニル芳香族炭化水素単位)を有していることが好ましい。該ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンをあげることができる。好ましくは、スチレンである。
【0079】
ビニル芳香族炭化水素単位の含有量としては、共役ジエン単位とビニル芳香族炭化水素単位との総量を100重量%として、0重量%以上(共役ジエン単位の含有量は100重量%以下)であり、強度を高めるために、好ましくは10重量%以上(共役ジエン単位の含有量は90重量%以下)であり、より好ましくは15重量%以上(共役ジエン単位の含有量は85重量%以下)である。また、省燃費性を高めるために、ビニル芳香族炭化水素単位の含有量は、好ましくは50重量%以下(共役ジエン単位の含有量は50重量%以上)であり、より好ましくは45重量%以下(共役ジエン単位の含有量は55重量%以上)である。
【0080】
共役ジエン単位と式(1)で表される化合物に基づく単量体単位とビニル芳香族炭化水素単位との総量は、共役ジエン系重合体中の単量体単位の総量を100重量%として、耐摩耗性を高めるために、好ましくは、99.9重量%以上であり、より好ましくは99.95重量%以上であり、更に好ましくは100重量%である。
【0081】
本発明の共役ジエン系重合体のムーニー粘度(ML1+4)は、強度を高めるために、好ましくは10以上であり、より好ましくは20以上である。また、加工性を高めるために、好ましくは200以下であり、より好ましくは150以下である。該ムーニー粘度(ML1+4)は、JIS K6300(1994)に従って、100℃にて測定される。
【0082】
本発明の共役ジエン系重合体のビニル結合量は、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、省燃費性を高めるために、好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは70モル%以下である。また、グリップ性を高めるために、好ましくは10モル%以上であり、より好ましくは15モル%以上であり、更に好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは40モル%以上である。該ビニル結合量は、赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm-1付近の吸収強度より求められる。
【0083】
本発明の共役ジエン系重合体の分子量分布は、省燃費性を高めるために、好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜2である。分子量分布は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定し、MwをMnで除すことにより求められる。
【0084】
本発明の共役ジエン系重合体の好適な製造方法としては、下記工程A及びBを有する製造方法をあげることができる。
(工程A):炭化水素溶媒中で、アルカリ金属触媒により、共役ジエンと上記式(1)で表される化合物とを含む単量体成分を、式(1)で表される化合物の使用量を0.01〜20重量%(但し、単量体成分の総使用量を100重量%とする。)で重合させて、共役ジエンに基づく単量体単位と上記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位とを有する重合体鎖の少なくとも一端にアルカリ金属触媒由来のアルカリ金属を有する重合体を得る工程。
(工程B):工程Aで得られた重合体と上記式(2)で表される化合物とを反応させる工程。
【0085】
工程Aで用いられるアルカリ金属触媒としては、アルカリ金属、有機アルカリ金属化合物、アルカリ金属と極性化合物との錯体、アルカリ金属を有するオリゴマーなどをあげることができる。該アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどをあげることがでる。該有機アルカリ金属化合物としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルフェニルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4−シクロペンチルリチウム、ジメチルアミノプロピルリチウム、ジエチルアミノプロピルリチウム、t−ブチルジメチルシリロキシプロピルリチウム、N−モルホリノプロピルリチウム、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、1,4−ジリチオ−2−ブテン、ナトリウムナフタレニド、ナトリウムビフェニリド、カリウムナフタレニドなどをあげることができる。また、アルカリ金属と極性化合物との錯体としては、カリウム−テトラヒドロフラン錯体、カリウム−ジエトキシエタン錯体などをあげることができ、アルカリ金属を有するオリゴマーとしては、α−メチルスチレンテトラマーのナトリウム塩をあげることができる。好ましくは、有機リチウム化合物又は有機ナトリウム化合物であり、より好ましくは、炭素原子数が2〜20の有機リチウム化合物又は炭素原子数が2〜20の有機ナトリウム化合物である。
【0086】
工程Aで用いられる炭化水素溶媒は、有機アルカリ金属化合物触媒を失活させない溶媒であり、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素などをあげることができる。該脂肪族炭化水素としては、プロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、プロペン、1−ブテン、iso−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどをあげることができる。また、芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンをあげることができ、脂環族炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサンなどがあげられる。これらは1種以上用いられ、また、炭化水素溶媒は、工業用ヘキサンのような各種成分の混合物でもかまわない。好ましくは、炭素原子数が2〜12の炭化水素である。
【0087】
工程Aでは、炭化水素溶媒中で、アルカリ金属触媒により、共役ジエン及び上記式(1)で表される化合物とを含む単量体成分を重合させ、共役ジエンに基づく単量体単位、上記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位とを有する重合体を製造する。該共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンをあげることができる。これらは1種以上用いられる。好ましくは、1,3−ブタジエン、イソプレンである。
【0088】
式(1)で表される化合物の使用量は、重合で使用した単量体成分の総使用量を100重量%として、耐摩耗性を高めるために、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.02重量%以上であり、更に好ましくは0.05重量%以上である。また、省燃費性を高めるために、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは2重量%以下であり、更に好ましくは1重量%以下であり、特に好ましくは0.5重量%以下である。
【0089】
工程Aでは、単量体として、共役ジエンと式(1)で表される化合物とに、ビニル芳香族炭化水素を組み合わせて重合を行ってもよく、ビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等をあげることができる。好ましくは、スチレンである。
【0090】
ビニル芳香族炭化水素の使用量は、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との総使用量を100重量%として、0重量%以上(共役ジエンの使用量は100重量%以下)であり、強度を高めるために、好ましくは10重量%以上(共役ジエンの使用量は90重量%以下)であり、より好ましくは15重量%以上(共役ジエンの使用量は85重量%以下)である。また、省燃費性を高めるために、ビニル芳香族炭化水素の使用量は、好ましくは50重量%以下(共役ジエンの使用量は50重量%以上)であり、より好ましくは45重量%以下(共役ジエンの使用量は55重量%以上)である。
【0091】
また、重合において、共役ジエンと式(1)で表される化合物とビニル芳香族炭化水素との総使用量は、単量体の総使用量を100重量%として、耐摩耗性を高めるために、好ましくは99.9重量%以上であり、より好ましくは99.95重量%以上であり、更に好ましくは100重量%である。
【0092】
工程Aの重合は、共役ジエン単位のビニル結合量を調整する剤、共役ジエン系重合体鎖中での共役ジエン単位と共役ジエン以外の単量体に基づく単量体単位の分布を調整する剤(以下、総称して「調整剤」と記す。)などの存在下で行ってもよい。このような調整剤としては、エーテル化合物、第三級アミン、ホスフィン化合物などをあげることができる。該エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなど環状のエーテル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどの脂肪族モノエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどの脂肪族ジエ−テル;ジフェニルエーテル、アニソールなどの芳香族エーテルなどがあげられる。該第三級アミンとして、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、キノリンなどをあげることができる。また、該ホスフィン化合物として、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどをあげることができる。これらは1種類以上用いられる。
【0093】
工程Aでの重合温度は、通常25〜100℃であり、好ましくは35〜90℃である。さらに好ましくは50〜80℃である。重合時間は、通常10分〜5時間である。
【0094】
工程Bにおいて、工程Aで調製された重合体に反応させる式(2)で表される化合物の量は、有機アルカリ金属触媒由来のアルカリ金属1モルあたり、通常、0.1〜3モルであり、好ましくは、0.5〜2モルであり、より好ましくは、0.7〜1.5モルである。
【0095】
工程Bにおいて、工程Aで調製された重合体と式(2)で表される化合物とを反応させる温度は、通常25〜100℃であり、好ましくは35〜90℃である。さらに好ましくは50〜80℃である。反応させる時間は、通常、60秒〜5時間であり、好ましくは5分〜1時間であり、より好ましくは15分〜1時間である。
【0096】
本発明の製造方法においては、必要に応じて、アルカリ金属触媒による単量体の重合開始から重合停止までに、共役ジエン系重合体の炭化水素溶液にカップリング剤を添加してもよい。カップリング剤としては、下式(3)で表される化合物をあげることができる。
【0097】
31aML4-a (3)
(式中、R31はアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基またはアリール基を表し、Mはケイ素原子またはスズ原子を表し、Lはハロゲン原子またはヒドロカルビルオキシ基を表し、aは0〜2の数を表す。)
【0098】
式(3)で表されるカップリング剤としては、四塩化珪素、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、四塩化スズ、メチルトリクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、トリメチルクロロスズ、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、テトラエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエトキシジエチルシランなどをあげることができる。
【0099】
カップリング剤の添加量は、共役ジエン系重合体の加工性を高めるために、アルカリ金属触媒由来のアルカリ金属1モル当たり、好ましくは0.03モル以上であり、より好ましくは0.05モル以上である。また、省燃費性を高めるために、好ましくは0.4モル以下であり、より好ましくは0.3モル以下である。
【0100】
共役ジエン系重合体は、公知の回収方法、例えば、(1)共役ジエン系重合体の炭化水素溶液に凝固剤を添加する方法、(2)共役ジエン系重合体の炭化水素溶液にスチームを添加する方法によって、共役ジエン系重合体の炭化水素溶液から回収することができる。回収した共役ジエン系重合体は、バンドドライヤーや押出型ドライヤーなどの公知の乾燥機で乾燥してもよい。
【0101】
本発明の共役ジエン系重合体は、他の重合体成分や添加剤などを配合して、共役ジエン系重合体組成物にして用いることができる。
【0102】
他の重合体成分としては、従来のスチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、ブチルゴムなどをあげることができる。また、天然ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−オクテン共重合体などもあげることができる。これらの重合体成分は、1種以上用いられる。
【0103】
発明の共役ジエン系重合体に他の重合体成分を配合した共役ジエン系重合体組成物とする場合、本発明の共役ジエン系重合体の含有量は、耐摩耗性を高めるために、重合体成分の総含有量(共役ジエン系重合体の含有量含む)を100重量部として、好ましくは10重量部以上であり、より好ましくは20重量部以上である。
【0104】
添加剤としては、公知のものを用いることができ、シリカ、カーボンブラックなどの補強剤;シランカップリング剤;伸展油;硫黄などの加硫剤;チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤などの加硫促進剤;ステアリン酸、酸化亜鉛などの加硫活性化剤;ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどの有機過酸化物;炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカなどの充填剤;加工助剤;老化防止剤;滑剤を例示することができる。
【0105】
上記シリカとしては、乾式シリカ(無水ケイ酸)、湿式シリカ(含水ケイ酸)、コロイダルシリカ、沈降シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどをあげることができる。これらは1種以上用いることができる。シリカのBET比表面積は、好ましくは、50〜250m2/gである。該BET比表面積は、ASTM D1993−03に従って測定される。市販品としては、デグッサ社製 商品名 ウルトラシルVN3−G、東ソー・シリカ社製 商品名 VN3、AQ、ER、RS−150、Rhodia社製 商品名 Zeosil 1115MP、1165MP等を用いることができる。
【0106】
上記カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどをあげることができる。カーボンブラックとしては、EPC、MPC及びCCのようなチャンネルカーボンブラック;SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFのようなファーネスカーボンブラック;FT及びMTのようなサーマルカーボンブラック;アセチレンカーボンブラックが例示される。これらは1種以上用いることができる。
【0107】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは、5〜200m2/gであり、また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、好ましくは、5〜300ml/100gである。該窒素吸着比表面積は、ASTM D4820−93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。市販品としては、三菱化学社製 商品名 ダイヤブラックN339、東海カーボン社製 商品名 シースト6、シースト7HM、シーストKH、デグッサ社製 商品名 CK 3、Special Black 4A等を用いることができる。
【0108】
本発明の共役ジエン系重合体に補強剤を配合した共役ジエン系重合体組成物とする場合、補強剤の含有量は、本発明の共役ジエン系重合体の含有量を100重量部あたり、好ましくは10〜150重量部である。また、該含有量は、耐摩耗性および強度を高めるために、より好ましくは20重量部以上であり、更に好ましくは30重量部以上である。また、補強性を高めるために、より好ましくは120重量部以下であり、更に好ましくは100重量部以下である。
【0109】
本発明の共役ジエン系重合体に補強剤を配合した共役ジエン系重合体組成物とする場合、省燃費性を高めるために、補強剤として、シリカを用いることが好ましい。シリカの含有量としては、補強剤の総含有量を100重量部として、好ましくは50重量部以上であり、より好ましくは70重量部以上である。
【0110】
また、補強剤として用いるシリカの含有量とカーボンブラックの含有量との重量比(シリカの含有量:カーボンブラックの含有量)としては、省燃費性及び耐摩耗性を高めるために、好ましくは、2:1〜50:1であり、より好ましくは、5:1〜20:1である。
【0111】
上記シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドなどをあげることができる。これらは1種以上用いられる。市販品としては、デグッサ社製 商品名 Si69、Si75等を用いることができる。
【0112】
本発明の共役ジエン系重合体にシランカップリング剤を配合した共役ジエン系重合体組成物とする場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100重量部あたり、好ましくは1〜20重量部であり、より好ましくは2〜15重量部であり、更に好ましくは5〜10重量部である。
【0113】
上記伸展油としては、アロマチック系鉱物油(粘度比重恒数(V.G.C.値)0.900〜1.049)、ナフテン系鉱物油(V.G.C.値0.850〜0.899)、パラフィン系鉱物油(V.G.C.値0.790〜0.849)などをあげることができる。伸展油の多環芳香族含有量は、好ましくは3重量%未満であり、より好ましくは1重量%未満である。該多環芳香族含有量は、英国石油学会346/92法に従って測定される。また、伸展油の芳香族化合物含有量(CA)は、好ましくは20重量%以上である。これらの伸展油は、1種以上用いられる。
【0114】
上記硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄があげられる。硫黄の配合量は、重合体成分100重量部あたり、好ましくは、好ましくは0.1〜15重量部であり、より好ましくは0.3〜10重量部であり、更に好ましくは0.5〜5重量部である。
【0115】
上記加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤をあげることができる。加硫促進剤の配合量は、重合体成分100重量部あたり、好ましくは0.1〜5重量部であり、より好ましくは0.2〜3重量部である。
【0116】
本発明の共役ジエン系重合体に、他の重合体成分や添加剤などを配合して共役ジエン系重合体組成物を製造する方法としては、公知の方法、例えば、各成分をロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法を用いることができる。
【0117】
混練条件としては、加硫剤および加硫促進剤以外の添加剤を配合する場合、混練温度は、通常50〜200℃であり、好ましくは80〜190℃であり、混練時間は、通常30秒〜30分であり、好ましくは1分〜30分である。加硫剤、加硫促進剤を配合する場合、混練温度は、通常100℃以下であり、好ましくは室温〜80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を配合した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理を行って用いられる。加硫温度としては、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
【0118】
本発明の共役ジエン系重合体、共役ジエン系重合体組成物は、耐摩耗性に優れる。また、省燃費性も良好である。
【0119】
本発明の共役ジエン系重合体、共役ジエン系重合体組成物は、タイヤ、靴底、床材、防振材などに用いられ、特に、タイヤに好適に用いられる。
【実施例】
【0120】
以下、実施例によって本発明を説明する。
【0121】
物性評価は次の方法で行った。
【0122】
1.ムーニー粘度(ML1+4
JIS K6300(1994)に従って、100℃にて重合体のムーニー粘度を測定した。
【0123】
2.ビニル結合量(単位:モル%)
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm-1付近の吸収強度より重合体のビニル結合量を求めた。
【0124】
3.スチレン単位の含量(単位:重量%)
JIS K6383(1995)に従って、屈折率から重合体のスチレン単位の含量を求めた。
【0125】
4.分子量分布(Mw/Mn)
下記の条件(1)〜(8)でゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、重合体の分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
【0126】
(1)装置:東ソー社製HLC−8220
(2)分離カラム:東ソー社製HM−H(2本直列)
(3)測定温度:40℃
(4)キャリア:テトラヒドロフラン
(5)流量:0.6mL/分
(6)注入量:5μL
(7)検出器:示差屈折
(8)分子量標準:標準ポリスチレン
【0127】
5.耐摩耗性
リング状の加硫成形体を試験片とし、アクロン摩耗試験機(上島製作所)によって、荷重10ポンド、試験片の回転数300rpmの条件下、500回転から1500回転での摩耗量と、1500回転から2500回転での摩耗量と、2500回転から3500回転での摩耗量とを測定し、それらの平均値を算出した。この値が小さいほど、耐摩耗性に優れる。
【0128】
6.省燃費性
シート状の加硫成形体から幅1mmまたは2mm、長さ40mmの短冊上試験片を打ち抜き、試験に供した。測定は、粘弾性測定装置(上島製作所社製)によって、歪み1%及び周波数10Hzの条件下で、温度70℃での試験片の損失正接(tanδ(70℃))を測定した。この値が小さいほど、省燃費性に優れる。
【0129】
実施例1
内容積20リットルの撹拌装置付きステンレス製重合反応器を、洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した。次に、工業用ヘキサン(密度680kg/m3)10.2kg、1,3−ブタジエン608g、スチレン192g、4−ビニルピリジン 1.41g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル4.0mlを重合反応器内に投入した。次に、n−ブチルリチウム18.26mmolをn−ヘキサン溶液として重合反応器内に投入し、重合反応を開始した。
【0130】
撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、1,3−ブタジエンとスチレンとを重合反応器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエン、スチレン、及び、4−ビニルピリジンの共重合反応を3時間行った。1,3−ブタジエンの供給量は912g、スチレンの供給量は288gであった。重合反応器に投入・供給した単量体総量中、4−ビニルピリジンの投入量は、0.07重量%であった。
【0131】
次に、得られた重合体溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン13.42mmolを重合体溶液に添加し、更に15分間撹拌した。次に、メタノール0.8mlを含むヘキサン溶液20mlを重合体溶液に加えて、更に重合体溶液を5分間撹拌した。
【0132】
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製、商品名:スミライザーGM)8.0g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学社製、商品名:スミライザーTP−D)4.0gを加え、次に、重合体溶液を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、重合体を得た。重合体の評価結果を表1に示す。
【0133】
得られた重合体100重量部、シリカ(デグッサ社製、商品名:ウルトラシルVN3−G)78.4重量部、シランカップリング剤(デグッサ社製、商品名:Si69)6.4重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)6.4重量部、伸展油(ジャパンエナジー社製、商品名:JOMOプロセスNC−140)47.6重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1.5重量部、ステアリン酸2重量部、亜鉛華2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールD)1重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部、硫黄1.4重量部を、ラボプラストミルにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物を6インチロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0134】
実施例2
内容積20リットルの撹拌装置付きステンレス製重合反応器を、洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した。次に、工業用ヘキサン(密度680kg/m3)10.2kg、1,3−ブタジエン608g、スチレン192g、4−ビニルピリジン 4.18g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル4.0mlを重合反応器内に投入した。次に、n−ブチルリチウム22.62mmolをn−ヘキサン溶液として重合反応器内に投入し、重合反応を開始した。
【0135】
撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、1,3−ブタジエンとスチレンとを重合反応器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエン、スチレン、及び、4−ビニルピリジンの共重合反応を3時間行った。1,3−ブタジエンの供給量は912g、スチレンの供給量は288gであった。重合反応器に投入・供給した単量体総量中、4−ビニルピリジンの投入量は、0.21重量%であった。
【0136】
次に、得られた重合体溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン13.26mmolを重合体溶液に添加し、更に15分間撹拌した。次に、メタノール0.8mlを含むヘキサン溶液20mlを重合体溶液に加えて、更に重合体溶液を5分間撹拌した。
【0137】
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製、商品名:スミライザーGM)8.0g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学社製、商品名:スミライザーTP−D)4.0gを加え、次に、重合体溶液を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、重合体を得た。重合体の評価結果を表1に示す。
【0138】
得られた重合体100重量部、シリカ(デグッサ社製、商品名:ウルトラシルVN3−G)78.4重量部、シランカップリング剤(デグッサ社製、商品名:Si69)6.4重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)6.4重量部、伸展油(ジャパンエナジー社製、商品名:JOMOプロセスNC−140)47.6重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1.5重量部、ステアリン酸2重量部、亜鉛華2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールD)1重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部、硫黄1.4重量部を、ラボプラストミルにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物を6インチロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0139】
比較例1
内容積20リットルの撹拌装置付きステンレス製重合反応器を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した。次に、ヘキサン(密度680kg/m3)10.2kg、1,3−ブタジエン547g、スチレン173g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル4.7mlを重合反応器内に投入した。次に、n−ブチルリチウム15.38mmolをn−ヘキサン溶液として重合反応器内に投入し、重合反応を開始した。
【0140】
撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、1,3−ブタジエンとスチレンとを重合反応器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合反応を3時間行った。1,3−ブタジエンの供給量は821g、スチレンの供給量は259gであった。
【0141】
次に、得られた重合体溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、[3−(ジエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン12.80mmolを添加し、15分間撹拌した。重合体溶液にメタノール0.8mlを含むヘキサン溶液20mlを重合体溶液に加えて、更に重合体溶液を5分間撹拌した。
【0142】
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製、商品名:スミライザーGM)8.0g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学社製、商品名:スミライザーTP−D)4.0gを加え、次に、重合体溶液を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、重合体を得た。重合体の評価結果を表1に示す。
【0143】
得られた重合体100重量部、シリカ(デグッサ社製、商品名:ウルトラシルVN3−G)78.4重量部、シランカップリング剤(デグッサ社製、商品名:Si69)6.4重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)6.4重量部、伸展油(ジャパンエナジー社製、商品名:JOMOプロセスNC−140)47.6重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1.5重量部、ステアリン酸2重量部、亜鉛華2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールD)1重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部、硫黄1.4重量部を、ラボプラストミルにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物を6インチロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0144】
比較例2
内容積20リットルの撹拌装置付きステンレス製重合反応器を、洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した。次に、工業用ヘキサン(密度680kg/m3)10.2kg、1,3−ブタジエン608g、スチレン192g、4−ビニルピリジン 1.41g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル4.0mlを重合反応器内に投入した。次に、n−ブチルリチウム18.52mmolをn−ヘキサン溶液として重合反応器内に投入し、重合反応を開始した。
【0145】
撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、1,3−ブタジエンとスチレンとを重合反応器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエン、スチレン、及び、4−ビニルピリジンの共重合反応を3時間行った。1,3−ブタジエンの供給量は912g、スチレンの供給量は288gであった。重合反応器に投入・供給した単量体総量中、4−ビニルピリジンの投入量は、0.07重量%であった。
【0146】
次に、得られた重合体溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、メタノール0.8mlを含むヘキサン溶液20mlを重合体溶液に加えて、更に重合体溶液を5分間撹拌した。
【0147】
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製、商品名:スミライザーGM)8.0g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学社製、商品名:スミライザーTP−D)4.0gを加え、次に、重合体溶液を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、重合体を得た。重合体の評価結果を表1に示す。
【0148】
得られた重合体100重量部、シリカ(デグッサ社製、商品名:ウルトラシルVN3−G)78.4重量部、シランカップリング剤(デグッサ社製、商品名:Si69)6.4重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)6.4重量部、伸展油(ジャパンエナジー社製、商品名:JOMOプロセスNC−140)47.6重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1.5重量部、ステアリン酸2重量部、亜鉛華2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールD)1重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部、硫黄1.4重量部を、ラボプラストミルにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物を6インチロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0149】
比較例3
内容積20リットルの撹拌装置付きステンレス製重合反応器を、洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した。次に、工業用ヘキサン(密度680kg/m3)10.2kg、1,3−ブタジエン608g、スチレン192g、4−ビニルピリジン 4.18g、テトラヒドロフラン6.1ml、エチレングリコールジエチルエーテル4.0mlを重合反応器内に投入した。次に、n−ブチルリチウム21.93mmolをn−ヘキサン溶液として重合反応器内に投入し、重合反応を開始した。
【0150】
撹拌速度を130rpm、重合反応器内温度を65℃とし、1,3−ブタジエンとスチレンとを重合反応器内に連続的に供給しながら、1,3−ブタジエン、スチレン、及び、4−ビニルピリジンの共重合反応を3時間行った。1,3−ブタジエンの供給量は912g、スチレンの供給量は288gであった。重合反応器に投入・供給した単量体総量中、4−ビニルピリジンの投入量は、0.21重量%であった。
【0151】
次に、得られた重合体溶液を130rpmの撹拌速度で撹拌し、メタノール0.8mlを含むヘキサン溶液20mlを重合体溶液に加えて、更に重合体溶液を5分間撹拌した。
【0152】
重合体溶液に2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製、商品名:スミライザーGM)8.0g、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(住友化学社製、商品名:スミライザーTP−D)4.0gを加え、次に、重合体溶液を、常温、24時間で蒸発させ、更に55℃で12時間減圧乾燥し、重合体を得た。重合体の評価結果を表1に示す。
【0153】
得られた重合体100重量部、シリカ(デグッサ社製、商品名:ウルトラシルVN3−G)78.4重量部、シランカップリング剤(デグッサ社製、商品名:Si69)6.4重量部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名:ダイヤブラックN339)6.4重量部、伸展油(ジャパンエナジー社製、商品名:JOMOプロセスNC−140)47.6重量部、老化防止剤(住友化学社製、商品名:アンチゲン3C)1.5重量部、ステアリン酸2重量部、亜鉛華2重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールCZ)1重量部、加硫促進剤(住友化学社製、商品名:ソクシノールD)1重量部、ワックス(大内新興化学工業社製、商品名:サンノックN)1.5重量部、硫黄1.4重量部を、ラボプラストミルにて混練して、重合体組成物を調製した。得られた重合体組成物を6インチロールでシートに成形し、該シートを160℃で45分加熱して加硫させ、加硫シートを調製した。加硫シートの物性評価結果を表1に示す。
【0154】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
共役ジエンに基づく単量体単位と下記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位とを有する共役ジエン系重合体の一端に下記式(2)で表される化合物を反応させて得られ、式(1)で表される化合物に基づく単量体単位の含有量が、共役ジエン系重合体中の単量体単位の総量を100重量%として、0.01〜20重量%である共役ジエン系重合体。

(式中、R11は水素原子又はヒドロカルビル基を表し、mは0又は1であり、R12はヒドロカルビレン基を表し、Aは含窒素複素環基を表す。)

(式中、nは1〜10の数を表し、R21、R22及びR23は、それぞれ、ヒドロカルビル基又はヒドロカルビルオキシ基を表し、R21、R22及びR23の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、R24及びR25は、それぞれ、水素原子、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビル基、あるいは、R24とR25とが結合して、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基、又は、R24とR25は1つの基であって、窒素原子に二重結合で結合する基を表す。)
【請求項2】
式(2)において、R21、R22及びR23がヒドロカルビルオキシ基であり、R24及びR25がヒドロカルビル基である請求項1に記載の共役ジエン系重合体。
【請求項3】
式(1)のR11が水素原子であり、Aがピリジル基である請求項1又は2に記載の共役ジエン系重合体。
【請求項4】
共役ジエン系重合体のビニル結合量が、共役ジエンに基づく単量体単位の含有量を100モル%として、20モル%以上70モル%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の共役ジエン系重合体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の共役ジエン系重合体と補強剤とを含有し、補強剤の含有量が、共役ジエン系重合体100重量部あたり、10〜150重量部である共役ジエン系重合体組成物。
【請求項6】
補強剤としてシリカとカーボンブラックとを含有し、シリカの含有量とカーボンブラックの含有量との重量比(シリカの含有量:カーボンブラックの含有量)が2:1〜50:1である請求項5に記載の共役ジエン系重合体組成物。
【請求項7】
下記工程Aおよび工程Bを有する共役ジエン系重合体の製造方法。
(工程A):炭化水素溶媒中で、アルカリ金属触媒により、共役ジエンと下記式(1)で表される化合物とを含む単量体成分を、式(1)で表される化合物の使用量を0.01〜20重量%(但し、単量体成分の総使用量を100重量%とする。)で重合させて、共役ジエンに基づく単量体単位と下記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位とを有する重合体鎖の少なくとも一端にアルカリ金属触媒由来のアルカリ金属を有する重合体を得る工程。
(工程B):工程Aで得られた重合体と下記式(2)で表される化合物とを反応させる工程。

(式中、R11は水素原子又はヒドロカルビル基を表し、mは0又は1であり、R12はヒドロカルビレン基を表し、Aは含窒素複素環基を表す。)

(式中、nは1〜10の数を表し、R21、R22及びR23は、それぞれ、ヒドロカルビル基又はヒドロカルビルオキシ基を表し、R21、R22及びR23の少なくとも1つがヒドロカルビルオキシ基であり、R24及びR25は、それぞれ、水素原子、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビル基、あるいは、R24とR25とが結合して、窒素原子及び/又は酸素原子を有していてもよいヒドロカルビレン基、又は、R24とR25は1つの基であって、窒素原子に二重結合で結合する基を表す。)
【請求項8】
式(2)において、R21、R22及びR23がヒドロカルビルオキシ基であり、R24及びR25がヒドロカルビル基である請求項7に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。
【請求項9】
式(1)のR11が水素原子であり、Aがピリジル基である請求項7又は8に記載の共役ジエン系重合体の製造方法。

【公開番号】特開2011−252138(P2011−252138A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180021(P2010−180021)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】