説明

共役リノール酸粉末

共役リノール酸またはその他の油を多量に含む粉末を提供する。この粉末は、CLAを含むトリグリセリド、CLAの遊離脂肪酸、もしくはCLAのアルキルエステル、または別の所望の油のいずれかを含む。この粉末は流動性であり、優れた官能特性を有する。この粉末は、栄養補助食品として用いること、または動物もしくはヒトによる摂取のために適した食品を作るために食品材料と配合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は, 2000年4月18日に提出された米国仮出願第60/198,487号の優先権を主張している、2001年4月17日に提出された米国特許出願第09/836,788号の一部継続出願である。
【0002】
発明の分野
本発明は、ヒトおよび動物の栄養の分野に関し、特に共役リノール酸(CLA)粉末の新規組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
1978年にウィスコンシン大学の研究者らは、調理された牛肉に含まれ、突然変異誘発を抑制するように思われる物質の実体を明らかにした。この物質は、共役二重結合を有するリノール酸(C18:2)の複数の位置異性体(positional isomer)の混合物であることが判明した。c9,t11異性体およびt10,c12異性体が最も多く存在するが、どの異性体が観察された生物活性の原因であるかは不明である。標識取り込み試験により、9,11異性体が動物組織のリン脂質画分に幾分優先的に取り込まれて組み込まれ、それよりも10,12異性体は程度が落ちることが確認されている(Haら、Cancer Res., 50: 1097 [1990])。
【0004】
共役リノール酸(CLAと呼ぶ)に付随してみられる生物活性は多様かつ複雑である。現在はその作用機序に関してはほとんどわかっていないが、進行中のいくつかの前臨床試験および臨床試験により、生理学的および生化学的な作用様式に対して新たな光が当てられる可能性が高い。CLAの抗発癌性は文献的に十分に立証されている。Birtら、Cancer Res., 52: 2035s [1992]によって示されているように、CLAの投与はラット乳腺腫瘍の形成を抑制する。Haら、Cancer Res., 50: 1097 [1990]は、マウス前胃新形成(forestomach neoplasia)モデルで同様の結果を報告している。CLAはインビトロで標的のヒト黒色腫細胞、結腸癌細胞、および乳癌細胞に対する強力な細胞毒性物質としても同定されている。最近の主な総説論文では、個々の研究から導かれた結論の妥当性を認めている(Ip, Am. J. Clin. Nutr., 66(6Supp): 1523s [1997])。
【0005】
CLAの作用機序は未だに明確ではないが、少なくともインビボでは、免疫系の何らかの要素が関係しているという証拠が得られている。参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,585,400号(Cookら)は、CLAを含む食事を与えることによる、動物におけるI型過敏性反応またはTgE過敏性反応により媒介されるアレルギー反応を減弱させるための方法を開示している。CLAは濃度約0.1%〜1.0%では白血球を保存する際の有効な補助物質となることも示されている。米国特許第5,674,901号(Cookら、これは参照として本明細書に組み入れられる)は、遊離酸または塩の形態にあるCLAの経口投与または非経口的投与が、細胞性免疫に付随するCD-4およびCD-8リンパ球サブポピュレーションの増加をもたらすことを開示している。外因性腫瘍壊死因子の前処理によって生じる有害作用は、CLAを投与する動物におけるCD-4細胞およびCD-8細胞のレベルの上昇または維持によって間接的に軽減しうると考えられる。さらに、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,430,066号は、免疫刺激によって体重減少および食欲不振を防ぐCLAの効果を記載している。
【0006】
以上に示したようなCLAの治療的および薬理学的な利用に加えて、CLAを栄養補助食品として栄養学的に用いることに関しても大きな反響がある。CLAは身体組成に対して大きな全身的影響を及ぼすこと、特に脂肪量および除脂肪組織量の配分を変更させることが明らかになっている。参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,554,646号(Cookら)は、0.5%CLAを含む食事をブタ、マウスおよびヒトに与えるという、CLAを栄養補助食品として利用する方法を開示している。それぞれの種で、脂肪含有量の有意な減少がタンパク質量の増加とともに観察された。これらの動物では、CLAの添加によって食事の脂肪酸含有量を増加させても体重は増加しなかったが、体内の脂肪および除脂肪組織の再分布がみられたことは興味深い。食事面で興味深いもう1つの現象は、飼料転換に対するCLA補充の効果である。米国特許第5,428,072号(Cookら、これは参照として本明細書に組み入れられる)は、CLAを動物飼料(鳥類および哺乳動物)に混入することによって飼料転換効率が高まり、CLAを補充した動物の方がより大きい体重増加が得られたことを示すデータを提供している。食用動物飼育者にとってCLA補充に有益な効果がある可能性は明らかである。
【0007】
CLAに対する関心のもう1つの重要な源であり、その早期の商業的な可能性を強く示すものは、それがヒトおよび動物によって摂取される食物および飼料のいずれにも天然に存在するという点である。特にCLAは反芻動物による生産物に多く存在する。例えば、種々の酪農製品におけるCLAを調べた研究がいくつか行われている。Anejaら、J. Dairy Sci., 43: 231 [1990]は、乳をヨーグルトに加工するとCLAが濃縮されることを観察しており(Shantaら、Food Chem., 47: 257 [1993])、加工温度の上昇および乳清の添加の併用により、プロセスチーズの製造時にCLA濃度が上昇することを示している。別の研究で、Shantaら、J. Food Sci., 60: 695 [1995]は、加工および保存の条件はCLA濃度の大きな低下をもたらさないが、何ら上昇も観察されなかったことを報告している。実際に、いくつかの研究では、季節変動または動物間の変動によって牛乳のCLA含有量に3倍もの差が生じうることが示されている(例えば、Parodiら、J. Dairy Sci., 60: 1550 [1977]を参照)。また、Chinら、J. Food Camp. Anal., 5: 185 [1992]によって指摘されているように、食事要因もCLA含有量の変動と関連付けられている。天然の源におけるCLA含有量のこのような変動のため、各種の食品を処方された量だけ摂取しても、その個人または動物が所望の栄養上の効果を確実に得られる適量を受けることは保証されないと考えられる。
【0008】
リノール酸は生体脂質の重要な成分の一つであり、トリグリセリドおよびリン脂質のかなりの割合を占める。リノール酸は「必須」脂肪酸として知られ、これは動物が自己合成を行えないため、外部の食物源から入手しなければならないことを意味する。CLA型のリノール酸が組み込まれると、非共役リノール酸が移動するはずであった脂質上の位置へのCLAの直接置換が起こる可能性がある。しかし、このことは証明されておらず、有益性は高いが未解明の観察された効果の一部は、脂質構造の内部における、非共役リノール酸が通常であれば移動しないと考えられる部位でのCLAの再配置に起因する可能性もある。動物CLAの源の一つは、特に酪農製品の場合には、まずリノール酸をCLAに異性化し、続いてそれをルーメンの腔内に分泌するという、天然のリノール酸に対するある種のルーメン細菌の生化学的作用によることが現在では明らかになっている。Keplerら、J. Nutrition, 56: 1191 [1966]は、ルーメン細菌の一種であり、リノール酸の生体水素添加反応における中間体として9,11-CLAの生成を触媒するブチリビブリオ・フィブリソルベンス(Butyrivibrio fibrisolvens)を単離した。Chinら、J. Nutrition, 124: 694 [1994]はさらに、対応する無菌ラットではCLAが生じなかったことから、齧歯類の組織中に認められたCLAが細菌に付随することを見いだした。
【0009】
治療的な用途および栄養学的な用途の双方を目的とする、確定的な商業用のCLA源の開発においては、風味が良く、食品中に一成分として混入することが可能なCLAを生成するための工程が必要である。遊離脂肪酸油として提供されるCLAは不快な味であることが多く、個体によってはその摂取は望ましくないおくびの原因になる。さらに、遊離脂肪酸油を食品に、特に乾燥食品に混入することは困難な場合がある。したがって、当技術分野で求められているのは、優れた官能特性および配合特性を有するCLA組成物である。
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
本発明は、ヒトおよび動物の栄養の分野に関し、特に共役リノール酸(CLA)粉末の新規組成物に関する。
【0011】
いくつかの態様において、本発明は、共役リノール酸成分(conjugated linoleic acid moiety)および添加剤を含む組成物を提供する。本発明はいかなる特定の共役リノール酸成分にも限定されない。実際には、トリグリセリド、遊離脂肪酸、およびアルキルエステルを非制限的に含む、種々の共役リノール酸成分を想定している。
【0012】
本発明はいかなる特定の添加剤にも限定されない。実際には、HI-CAP 100およびHI-CAP 200を非制限的に含む、種々の添加剤を想定している。
【0013】
本発明は、添加剤と対比した場合の、共役リノール酸成分のいかなる特定の割合にも限定されない。いくつかの態様において、粉末の重量比(weight/weight basis)にして20%より多くが共役リノール酸成分である。また別の態様において、粉末の重量比にして35%より多くが共役リノール酸成分である。さらに別の態様において、粉末の重量比にして50%より多くが共役リノール酸成分である。さらに別の態様において、粉末の重量比にして65%より多くが共役リノール酸成分である。さらにまた別の態様において、粉末の重量比にして20%〜65%が共役リノール酸成分である。いくつかの態様において、粉末は流動性(free flowing)である。また別の態様において、粉末は無臭性である。
【0014】
さらにまた別の態様において、本発明は、食品材料および上記の粉末を含む組成物を提供する。本発明はいかなる特定の食品材料にも限定されない。実際には、野菜、肉、果物、酪農製品、パン、および粉末、加工製品(例えば、ニュートリションバー(nutrition bar)、セーキ類など)ならびにそれらの組み合わせを非制限的に含む、種々の食品材料を想定している。
【0015】
いくつかの態様において、本発明は、添加剤および油を含む組成物を提供する。好ましい態様において、組成物の重量比にして50%より多くが油である。また別の態様において、組成物の重量比にして60%より多くが油である。さらにまた別の好ましい態様において、添加剤はHI-CAP 100およびHI-CAP 200から選択される。特に好ましい態様において、組成物は流動性粉末である。また別の好ましい態様において、油は、遊離脂肪酸、トリグリセリド、およびアルキルエステル、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択されるCLA成分を含む。
【0016】
本発明はまた、流動性粉末を製造するための方法であって、添加剤および油を提供する段階、添加剤および油から水中油型エマルションを形成させる段階、ならびに流動性粉末が形成されるような条件下でエマルションの噴霧乾燥を行う段階を含む方法を提供する。本方法は、いかなる特定の油を含む粉末にも限定されない。実際には、共役リノール酸トリグリセリド、ルリヂサ油、月見草油、亜麻仁油(flax oil)、および共役リノール酸の遊離脂肪酸などの遊離脂肪酸油を非制限的に含む、種々の油の使用を想定している。
【0017】
いくつかの態様において、流動性の粉末組成物は、不活性雰囲気(例えば、希ガスまたは非反応性ガスの組成物)下での噴霧乾燥によって製造される。本発明は、不活性ガス雰囲気中で粉末組成物の噴霧乾燥を行うことにより、酸化が約95%またはそれ以上減少すると考えている。本発明はさらに、これらの態様のいくつかは、酸化を約20%〜約75%またはそれ以上減少させると考えている。本発明は、酸化を約30%〜約50%またはそれ以上減少させる、さらに別の態様も考えている。
【0018】
しかし、本発明の噴霧乾燥されたCLA粉末は、いかなる特定の種類の噴霧乾燥の工程および装置によって製造されることにも限定されないものとする。実際には、開放サイクル式、閉鎖サイクル式、半閉鎖サイクル式、無菌性、超音波式およびパルス燃焼式の噴霧乾燥工程を非制限的に含む、さまざまな噴霧乾燥工程が、本発明のCLA粉末の製造のために適している。
【0019】
本発明はいかなる特定の添加剤にも限定されない。実際には、HI-CAP 100およびHI-CAP 200を非制限的に含む、種々の添加剤の使用を想定している。いくつかの好ましい態様において、油および添加剤は、結果として生成される粉末において、添加剤との対比で、重量比にして約40%より多くが油であるような濃度で提供される。さらにまた別の態様において、油および添加剤は、結果として生成される粉末のうち、添加剤との対比で重量比にして約50%より多くが油であるような濃度で提供される。さらに別の態様において、油および添加剤は、結果として生成される粉末で、添加剤との対比で重量比にして約60%より多くが油であるような濃度で提供される。また別の好ましい態様において、油は、遊離脂肪酸、トリグリセリド、およびアルキルエステル、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択されるCLA成分を含む。さらにまた別の態様において、本発明は、前記の方法によって製造された組成物を提供する。
【0020】
定義
本明細書で用いる場合、「共役リノール酸」または「CLA」とは、任意の共役リノール酸またはオクタデカジエン遊離脂肪酸のことを指す。この用語は、分子内のいずれかの位置に共役した2つの炭素-炭素二重結合を有する、リノール酸のすべての位置異性体および幾何異性体を含むとともにそれらを示すことを意図している。通常のリノール酸は炭素原子9および12に二重結合がある点で、CLAは通常のリノール酸とは異なる。CLAの例には、以下の位置異性体のシス異性体およびトランス型異性体(「E/Z異性体」)が含まれる:2,4-オクタデカジエン酸、4,6-オクタデカジエン酸、6,8オクタデカジエン酸、7,9-オクタデカジエン酸、8,10オクタデカジエン酸、9,11オクタデカジエン酸および10,12オクタデカジエン酸、11,13オクタデカジエン酸。本明細書で用いる場合、「CLA」には、単一の異性体、2種類またはそれ以上の異性体の選択的混合物、および天然の源から得られた異性体の非選択的混合物、さらには合成性および半合成性のCLAが含まれる。
【0021】
本明細書で用いる場合、「異性化された共役リノール酸」という用語は、化学的方法(例えば、水性環境でのアルカリ異性化、非水性環境でのアルカリ異性化、またはアルカリアルコラート異性化)によって合成されたCLAのことを指す。
【0022】
本明細書で用いる場合、「共役リノール酸成分」という用語は、共役リノール酸または誘導体を含む、任意の1つまたは複数の化合物のことを指す。その例には、共役リノール酸の脂肪酸、アルキルエステル、およびトリグリセリドが非制限的に含まれる。
【0023】
本明細書で用いる場合、CLAの「トリグリセリド」は、CLAをトリグリセリド骨格の3つの位置(例えば、SN-1、SN-2またはSN-3の位置)の任意の位置またはすべての位置に含むことを意図している。したがって、CLAを含むトリグリセリドは、CLAの位置異性体および幾何異性体のうち任意のものを含みうる。
【0024】
本明細書で用いる場合、CLAの「エステル」には、生理的に許容される天然に存在するアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)を非制限的に含む、アルコールまたは任意の他の化学基とエステル結合によって結合した、CLAの任意の、またはすべての位置異性体および幾何異性体が含まれることを意図している。したがって、CLAのエステルまたはエステル型CLAは、CLAの位置異性体および幾何異性体のうち任意のものを含みうる。
【0025】
CLAの「天然由来ではない異性体」には、オクタデカジエン酸のc11,t13;t11,c13;t11,t13;c11,c13;c8,t10;t8,c10;t8,t10;c8,c10異性体;およびトランス-トランス型異性体は含まれるが、オクタデカジエン酸のt10,c12およびc9,t11異性体は含まれないものとする。これらの異性体はCLAをアルカリ異性化によって合成した時に一般に少量生成されるため、「天然由来ではない異性体」をCLAの「微量異性体」と呼んでもよい。
【0026】
本明細書で用いる場合、「低純度」CLAとは、8,10オクタデカジエン酸、11,13オクタデカジエン酸、およびトランス-トランス型オクタデカジエン酸の含有率が合計1%未満である遊離脂肪酸、アルキルエステル、およびトリグリセリドを含む、CLA組成物のことを指す。
【0027】
本明細書で用いる場合、「c」はシス配向性の化学結合を包括的に含み、「t」はトランス配向性の化学結合のことを指す。CLAの位置異性体が「c」または「t」を伴わずに指定されているならば、その指定は考えられる4つの異性体すべてを含む。例えば、10,12オクタデカジエン酸にはc10,t12;t10,c12;t10,t12;およびc10,c12オクタデカジエン酸が含まれ、t10,c12オクタデカジエン酸またはCLAは、単一の異性体のみを指す。
【0028】
本明細書で用いる場合、「油」という用語は、長鎖脂肪酸(例えば、CLA)、トリグリセリド、またはその他の長鎖炭化水素基を含む、流動性の液体のことを指す。長鎖脂肪酸にはCLAの種々の異性体が非制限的に含まれる。
【0029】
本明細書で用いる場合、「生理的に許容される担体」という用語は、油性医薬品に一般に用いられる任意の担体または添加剤のことを指す。このような担体または添加剤には、油、デンプン、スクロース、およびラクトースが非制限的に含まれる。
【0030】
本明細書で用いる場合、「経口送達用媒体」という用語は、カプセル剤、丸剤、錠剤、およびシロップ剤を非制限的に含む、医薬品を経口的に送達するための任意の手段のことを指す。
【0031】
本明細書で用いる場合、「食品」という用語は、ヒト、非反芻動物、または反芻動物による摂取のために適した任意の食物または飼料のことを指す。「食品」は、加工されて包装された食品(例えば、マヨネーズ、サラダドレッシング、パン、またはチーズ食品)、または動物飼料(例えば、押出成形およびペレット化がなされた動物飼料または粗混合飼料)でもよい。「加工食品」とは、ヒトの摂取が承認されている包装済みの任意の食品のことを意味する。
【0032】
本明細書で用いる場合、「食品材料」という用語は、ヒトまたは動物の摂取に対する適合性のある任意の物質のことを指す。
【0033】
本明細書で用いる場合、「揮発性有機化合物」という用語は、所定の温度で部分的または完全にガス状態として存在する任意の炭素含有化合物のことを指す。揮発性有機化合物を、有機化合物(例えば、CLA)の酸化によって生成してもよい。揮発性有機化合物には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2-ブテナール、エタノール、3-メチルブタナール、4-メチルペンタノン、ヘキサナール、ヘプタナール、2-ペンチルフラン、オクタナールが非制限的に含まれる。
【0034】
本明細書で用いる場合、「金属酸化体キレート剤(metal oxidant chelator)」という用語は、金属をキレート化する任意の抗酸化剤のことを指す。その例には、レシチンおよびクエン酸エステルが非制限的に含まれる。
【0035】
本明細書で用いる場合、「アルコラート触媒」という用語は、カリウムメチラートおよびカリウムエチラートを非制限的に含む、任意の一価アルコールのアルカリ金属化合物のことを指す。
【0036】
本明細書で用いる場合、「流動性」という用語は、粒子が相互または他の材料との凝集を伴わずに流動する、粒子状物質の能力のことを指す。
【0037】
本明細書で用いる場合、CLAの粉末に言及して用いられる「無臭」という用語は、粉末の形成に用いられる添加剤と同じにおいを有する(またはにおいのない)粉末のことを指す。
【0038】
本明細書で用いる場合、「粉末化剤」という用語は、油またはその他の液体の粉末を形成するために用いられる組成物(例えば、デンプンを基剤とする組成物)のことを指す。
【0039】
本明細書で用いる場合、本明細書で開示される本発明の粉末化CLAの製造に言及して用いられる「噴霧乾燥」という用語は、溶液、エマルション、および懸濁液などの液体供給材料を、粉末、顆粒、または凝集物の形態にある乾燥固体に変換するための工程のことを指す。本明細書で用いる場合、噴霧乾燥製造法を用いて加工された組成物は「噴霧乾燥された」と呼ばれる。好ましい態様において、「噴霧乾燥」工程は、予測可能な特性(例えば、粒径の分布、残存含水率、容積密度、および粒子の形状、その他)を備えた乾燥固体組成物が製造されるように制御される。好ましい態様において、噴霧乾燥工程によって製造されるCLA組成物の含水率は、約5%またはそれ未満から約95%またはそれ以上までと多岐にわたる。
【0040】
本明細書で用いる場合、噴霧乾燥工程およびこれらの工程によって製造される組成物に言及して用いられる「不活性雰囲気」という用語は、噴霧乾燥装置の少なくとも一部分の内部で提供される、化学的反応性のない環境のことを指す。好ましい態様において、不活性雰囲気は、希ガス(例えば、He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rn)またはその他の非反応性ガス(例えば、N)を噴霧乾燥工程に導入することにより、噴霧乾燥工程において作成される。
【0041】
発明の詳細な説明
本発明は、ヒトおよび動物の栄養の分野に関し、特に共役リノール酸(CLA)粉末の新規組成物に関する。CLA粉末には多くの用途がある。詳細には、CLA粉末は、CLAの遊離脂肪酸またはトリグリセリドが通常用いられている任意の用途に用いうる。CLA粉末は遊離脂肪酸のみからなる組成物よりも酸化に対する安定性も高い。さらに、CLA粉末は優れた官能特性を有する。この粉末は本質的には無臭であり、それを摂取しても、一部の個体でCLAの遊離脂肪酸油が原因で起こる望ましくないおくびは生じない。いくつかの好ましい態様において、本発明のCLA粉末は、当技術分野で知られた噴霧乾燥工程またはその変法を用いて製造される。また別の好ましい態様において、噴霧乾燥工程を用いて製造された本発明のCLA粉末は、噴霧乾燥工程によって製造されていない粉末化CLA組成物と比較して製造物の酸化レベルが低い。
【0042】
本発明のCLA粉末は食品および動物飼料における使用に特に適している。本出願の目的に関して、CLAを含む食品とは、CLAが添加された任意の天然食品、加工食品、ダイエット食品、または非ダイエット食品のことを意味する。CLA粉末を、ダイエット飲料、ダイエットバー(diet bar)、サプリメント、冷凍加工された食品、キャンディー、スナック製品(例えばチップス類)、加工肉製品、ミルク、チーズ、ヨーグルト、および、脂肪または油を含む任意の他の食品を非制限的に含む、さまざまな食品に直接混入してもよい。いくつかの好ましい態様において、CLA粉末は、超低カロリー食のために処方された製品として提供される。本発明のCLA粉末は、CLAの遊離脂肪酸を含む食品よりも味およびにおいの点で優れると考えている。したがって、本発明のいくつかの態様は、食品の味およびにおいが影響されていない、CLA粉末を含む食品を提供する。
【0043】
本発明のCLA粉末は種々の形態で提供しうる。いくつかの態様において、投与は経口的である。CLA粉末をさらに、デンプン、スクロース、またはラクトースなどの適した担体とともに、錠剤、丸剤、糖衣錠、およびカプセル剤として製剤化することもできる。好ましくは、CLA粉末の製剤は、Controx(Grunau(Henkel), Illertissen, DE)、Herbalox(ローズマリー抽出物;Kalsec, Kalamazoo, MI)、Covi-OX(Grunau(Henkel), Illertissen, DE)および油溶性型ビタミンCを非制限的に含む抗酸化剤を含む。CLAは水溶液、油性溶液または以上に考察した他の形態のいずれかとして提供しうる。本発明の錠剤またはカプセル剤に、pH約6.0〜7.0で溶解する腸溶コーティングを施してもよい。小腸内では溶解するが胃内では溶解しない適した腸溶コーティングには、酢酸フタル酸セルロースがある。
【0044】
本発明のCLA粉末は、CLA成分(例えば、CLAの遊離脂肪酸、CLAアルキルエステルまたはCLAを含むトリグリセリド)を添加剤または粉末化剤と配合することによって形成される。続いて混合物を、噴霧乾燥などの方法(例えば、米国特許第4,232,052号を参照されたい。これは参照として本明細書に組み入れられる)によって粉末の形状にする。一般に、噴霧乾燥は、物質を液化または乳化させた後に、わずかな比率の水を除いてすべてが除去されるようにそれを微粒化し、流動性粉末を得ることを含む。適した噴霧乾燥装置には、高圧ノズル噴霧乾燥器および回転板式または遠心式の噴霧乾燥器が含まれる。特に好ましい態様において、不活性雰囲気は、CLA粉末の製造のために用いられる噴霧乾燥装置の少なくとも一部分の内部に与えられる。いくつかの態様において、不活性雰囲気は、希ガス(例えば、He、Ne、Ar、Kr、Xe、Rn)またはその他の非反応性ガス(例えば、N)などの化学的反応性のないガスを含む。一般的には、不活性雰囲気は噴霧乾燥装置の1つまたは複数のチャンバー(例えば、乾燥チャンバー)内で得られる。不活性雰囲気中での噴霧乾燥のための技法はさまざまなものが当技術分野で知られている(例えば、第6,344,182号、第6,313, 199号、および第6,307,012号を参照されたい。これらはそれぞれその全体が参照として本明細書に組み入れられる)。また別の好ましい態様において、CLA噴霧乾燥システム/設備は、噴霧乾燥工程の際に放出された水を除去するために、噴霧乾燥器の雰囲気をコンデンサーを通して循環させる閉鎖ループ式雰囲気システムを提供する。
【0045】
本発明者らは、共役リノール酸および/またはその他の油(例えば、月見草油、ルリヂサ油、亜麻仁油、CLA油)を高率に(例えば、40%〜65%)含む粉末が、油、添加剤、および水から構成されるエマルションの単純な噴霧乾燥によって形成されうることを見いだした。好ましい態様において、CLA粉末の噴霧乾燥は不活性雰囲気中で行われる。流動層(fluidized bed)への噴霧または対向流様式での噴霧を伴う、より複雑な方法を取り入れる必要はない。
【0046】
また別の好ましい態様において、噴霧乾燥工程によって製造されるCLA組成物の含水率は約5%またはそれ未満から約95%またはそれ以上までの多岐にわたる。当業者は、本明細書で開示する噴霧乾燥工程を、好ましい物理特性(例えば、粒径の分布、残存含水率、容積密度、および粒子の形状、その他)を有するCLA組成物が製造されるように容易に改変しうることを容易に理解すると考えられる。
【0047】
本発明は、いかなる特定の添加剤にも限定されない。実際には、HI-CAP 100(National Starch, Bridgewater, NJ)およびHI-CAP 200(National Starch, Bridgewater, NJ)を非制限的に含む、種々の添加剤を想定している。本発明の粉末は、添加剤と比較して高い割合で油を含む。いくつかの態様において、油は重量比にして粉末の20%である(すなわち、粉末100グラム当たり油20グラムを含む)。また別の態様において、油は重量比にして粉末の35%である。さらに別の態様において、油は重量比にして粉末の少なくとも50%である。さらに別の態様において、油は重量比にして粉末の少なくとも60%〜65%である。いずれの場合にも、油の粉末は流動性かつ無臭である。好ましい態様において、油はCLA成分を含む。特に好ましい態様において、油はCLA脂肪酸、CLAトリグリセリドおよび/またはCLAアルキルエステルを含む。
【0048】
いくつかの好ましい態様において、CLA成分は、実施例5、6、および12に述べるように、CLAを含むトリグリセリドである。これらの態様において、トリグリセリドはグリセロール骨格と結合したCLAによって部分的または完全に構成される。トリアシルグリセロールの合成に用いられるCLAは、異性化されたCLAが8,10オクタデカジエン酸、11,13オクタデカジエン酸、およびトランス-トランス型オクタデカジエン酸を1%未満しか含まないような条件下で、アルカリアルコラート触媒を用いて生成されることが好ましい。トリアシルグリセロールの生成のために用いるCLAは、揮発性有機化合物を100ppm未満、好ましくは10ppm未満のレベルまで除去するために処理することが好ましい(例えば、分子蒸留および吸着による)。CLAを多く含む(90〜96%)高純度のトリアシルグリセロールはH NMRによって確認しうる。エステル化は、固定化したカンジダ・アンタークチカ(Candida antarctica)リパーゼを用いて進行させる。好ましくは、CLAは、c9,t11-オクタデカジエン酸およびt10,c12-オクタデカジエン酸、ならびにそれらの混合物を少なくとも40%、さらには45〜48%を上回って含むと考えられる。
【0049】
固定化されたカンジダ・アンタークチカリパーゼは、n-3型多価不飽和脂肪酸に関して記載されているものと同様の様式で用いられる。エステル化反応は溶媒の非存在下にて50〜75℃で、好ましくは65℃で、同時に生成される水またはアルコール(エステルから)を形成され次第、除去するために真空を用いて行われる。これはトリアシルグリセロール生成を完了に向かわせるとともに、モノアシルグリセロールおよびジアシルグリセロールを事実上含まない高い純度の生成物が本質的に定量的な収量で確実に得られるようにする。化学量論量の遊離脂肪酸(すなわち、グリセロールベースでは3モル当量、またはグリセロール成分中に存在する水酸基のモル当量数ベースでは1モル当量)を用いることができる。必要なリパーゼは基質の総重量に対して10%の用量のみでよく、これを多数回用いることができる。このことは生産性の観点から極めて重要である。以上のすべてを溶媒が全く必要でないという事実と総合して考えると、この工程は分量および嵩高性の削減が非常に大きいため、規模拡大および工業化の観点からみた実現性が高い。また、反応を早く終了させ、反応を確実に完了させるために、幾分過剰な量の遊離脂肪酸を用いることもできる。
【0050】
反応が開始すると1-モノ-アシルグリセリドまたは3-モノ-アシルグリセリドがまず生成され、続いて1,3ジアシルグリセリド、最後にトリグリセリドが比較的長い反応時間で生成される。モノアシルグリセリドおよびジアシルグリセリドは生物活性を示す点で有用な中間体であるが、水性の細胞環境への溶解性が高く、リン脂質またはその他の機能性脂質の合成といった別の分子合成経路に加わる。これに対して、トリグリセリドはそのままの状態で細胞膜または貯蔵小胞内に沈着する。このため、遊離脂肪酸またはエステルではなくモノグリセロール、ジグリセロール、またはトリグリセロールの形態にあるCLAの投与は、取り込みの様式および分布、CLA要素の代謝速度および構造的または生理的な役割に影響を及ぼす可能性がある。
【0051】
実施例
以下の実施例は、本発明のいくつかの好ましい態様および局面を示すとともにさらに例示するために提供されるものであり、その範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0052】
以下の実施例の開示においては以下の略号を用いる:M(モル濃度);mM(ミリモル濃度);μM(マイクロモル濃度);kg(キログラム);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);ng(ナノグラム);Lまたはl(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);nm(ナノメートル);℃(摂氏温度);KOH(水酸化カリウム);HCL(塩酸);Hg(水銀)。
【0053】
実施例1
プロピレングリコールを低温で用いる、ベニバナ油の異性化
KOHを触媒として用いて、低温のプロピレングリコール中でベニバナ油を異性化した。異性化装置は、一方の口に温度計を配置し、過剰な圧力を開放するために少し口を開けた状態の二口フラスコからなる。窒素供給路をフラスコのもう一方の口に接続した。フラスコに添加した溶液を磁気バーおよびマグネチックスターラーを用いて攪拌した。フラスコの温度は、マグネチックスターラーの上に乗せたサーモスタット制御式の油浴にフラスコを入れることによって制御した。
【0054】
フラスコをプロピレングリコール60.27gおよびKOH 28.20gで満たした上で、油浴中に浸漬した。KOHを溶解させるために温度を130℃に上昇させた。KOHが溶解した後に、ベニバナ油60.09gをフラスコに導入した。大量の窒素を二口フラスコを通して5分間循環させ、その後は少ない量に減らした。混合物を約40分かけて150℃まで加熱した。続いて混合物を150℃で3.5時間反応させた。一定間隔で試料を3ml分析用に採取した。
【0055】
試料を6mlの熱水に直接入れ、遊離脂肪酸が上に層として分離されるまで過剰量のクエン酸を添加した。クエン酸を添加している間の固化を防ぐために加熱が必要であった。ガスクロマトグラフィーによる分析用に遊離脂肪酸をメチルエステルに変換するために、遊離脂肪酸0.025g、5mlの4%HCl溶液、およびエタノールを試験管に添加した。この試験管に窒素を添加して管を密封した上で、60℃の水浴中に20分間置いた。続いて管を冷却し、精製水1mlおよびイソオクタン5mlを添加した。窒素を管に添加して管を30秒間振盪した。この結果得られた上層を、新たな試験管に入れた1μlの精製水に添加し、さらに窒素中で振盪した。この結果得られた上層を洗浄してイソオクタンを除去し、デカントして第3の試験管に入れた。少量の硫酸ナトリウムを水分吸収のために添加した。続いて1μlの試料をガスクロマトグラフ装置に直接注入した。
【0056】
ガスクロマトグラフィーの条件は以下の通りとした:
システム:Perkins-Elmer自動システム(Auto System)
注入器:Splitless、240℃
検出器:水素炎イオン化検出器(Flame Ionization Detector)、280℃
担体:ヘリウム
カラム:WCOT融解石英、0.25mm×100M、FAME用にはCP-SL 88、DF 0.2
オーブン加熱プログラム:80℃(0分)から毎分10℃で220℃まで上昇させ、220℃に10分間保つ。
【0057】
結果はすべて相対ピーク面積のパーセンテージとして表されている。標準物質は一般に利用できないため、溶出したピークを他のシステムを用いて確かめた。GC-MSはシス結合およびトランス結合の数は決定するが、その位置は決定しない。このため、結合位置を確かめるためにNMR分析を用いた。主ピークはc9,t11およびt10,c12であった。CLA異性体のNMR分析に関しては、Marcel S.F. Lie Ken JieおよびJ. Mustafa, Lipids, 32(10) 1019-34 (1997)(これは参照として本明細書に組み入れられる)を参照されたい。
【0058】
表1に提示した上で表5に概要を示したこのデータは、ポリプロピレングリコールを溶媒として用い、KOHを触媒として用い、かつ低温を用いたベニバナ油の異性化により、8,10異性体および11,13異性体を含まない共役リノール酸が生成されることを示している。この実験に用いた極性の高いカラムは、8,10異性体および11,13異性体をc9,t11異性体およびt10,c12異性体から首尾良く分離するために用いうると考えられる。8,10異性体はc9,t11異性体と共溶出するか、またはその直後に溶出する傾向がある。11,13異性体は、カラム条件に依存して、t10,c11異性体よりも前に溶出するか、またはt10,c12異性体と共溶出する。
【0059】
本方法に従って生成された共役リノール酸を、生成された種々の異性体と比較することによって特徴付ける。第1に、異性化反応は本質的には完了までに至った。反応の完了度(completeness)は、リノール酸異性体に関する全ピーク面積から残存c9,t12リノール酸を差し引いた上で全ピーク面積で除算することによって得られる。この値は0.994である。第2に、c9,t11異性体およびt10,c12異性体の全ピーク面積に対する比を求めることもできる。この値は0.953である。第3に、t9,t11異性体およびt10,t12異性体とc9,t11異性体およびt10,c12異性体との比を求めることもできる。この値は0.010である。第4に、t9,t11異性体およびt10,t12異性体の全ピーク面積に対する比を求めることもできる。この値は0.009である。第5に、t10,c12異性体とc9,t11異性体との比を求めることもできる。この値は1.018である。これらの比を表11にまとめて示した。
【0060】
実施例2
高温および高圧下における水性環境での異性化
水50gおよびNaOH 25.32gを高圧反応装置(Parr Model 450ML Benchtop Alloy 400、圧力計およびスターラーを装備)に添加した。NaOHを溶解させた上で、ベニバナ油94.0gを反応装置に添加した。反応装置を閉じて、窒素を2分間流した後に、すべての弁を閉じた。反応装置を電気式ガスケット(electrical gasket)に入れて210℃に加熱し、この温度に6時間保った。続いて温度を60℃に下げ、その後に圧力を解放させた上で反応装置を開いた。この結果生じた固化石鹸の2グラムを反応装置から取り出し、約40℃の水に溶かした。続いてクエン酸を添加して溶液のpHを6未満にした。試料を脂肪酸の上層から採取し、実施例1の通りにガスクロマトグラフィー用に調製した。
【0061】
ガスクロマトグラフィーの結果を表2に提示するとともに表5にまとめている。これらのデータは、この異性化方法により、8,10異性体および11,13異性体が比較的多量に生成されることを示している。これらの比を表6に提示している。
【0062】
実施例3
高温および高圧下におけるベニバナ油の非水性環境でのアルカリ異性化
プロピレングリコール(100.48g)およびKOH 46.75gを実施例2に記載の通りに高圧反応装置に添加した。続いて、KOHを溶解するために反応装置を130℃に加熱した。続いて、このKOH-プロピレングリコール混合物にベニバナ油100.12gを添加した。反応装置を閉じて窒素を1分間流した上ですべての弁を閉じた。続いて反応装置を210℃に加熱し、この温度に1時間保った。次に反応装置を冷却し、内容物をデカントして熱水120gに入れた。攪拌しながら、この脂肪酸に37%HCl 35.3gおよびクエン酸27.59gを連続して添加した。試料を上層から採取し、60℃の真空フラスコ内で乾燥させた。この結果得られた脂肪酸の試料を実施例1に記載した通りのガスクロマトグラフィーによって分析した。
【0063】
その結果を表3に提示するとともに表5にまとめている。この実験は、KOHおよび非水性溶媒を高温で用いてのベニバナ油の異性化により、t9,t11異性体およびt10,t12異性体とともに、顕著な量の8,10異性体および11,13異性体が形成されることを示している。これらの比を表6に提示している。
【0064】
実施例4
低温の水性環境でのアルカリ反応
水(49.94g)およびNaOH 39.96gを実施例3の記載の通りに高圧反応装置に添加した。この混合物をNaOHが溶解するまで加熱した。次にベニバナ油100.54gを高圧反応装置に添加し、反応装置に窒素を流した上ですべての弁を閉じた。高圧反応装置を179℃で22.5時間加熱した。試料は実施例3の通りにガスクロマトグラフィー用に調製した。このデータを表4に提示するとともに表5にまとめている。この実験は、水性環境でのアルカリ異性化のために低温を用いた場合には共役反応が完了しないことを示している。さらに、明らかな量の8,10異性体および11,13異性体が生成される。これらの比を表6に提示している。
【0065】
(表1)

【0066】
(表2)


【0067】
(表3)


【0068】
(表4)


【0069】
(表5)相対面積比率

*-8,10のパーセンテージの合計は0.5未満である
na-値にはc9,t11/8,10成分が反映されている
【0070】
(表6)

*c9,t11は8,10異性体を含む
na-11,13が検出されず
【0071】
実施例5
直接エステル化によるCLAのトリアシルグリセロールの調製
概要.水素核磁気共鳴スペクトルを、重水素化クロロホルムを溶媒として用いてBruker AC 250 NMR分光器で記録した。HPLC分離はWaters社のPrepLC(商標)システム500A装置により、Millipore社のPrepPak(登録商標)500/Silica Cartridgeカラムを用いて行い、10%ジエチルエーテルを含む石油エーテルで溶出させた。分析用GLCは、Perkin-Elmer 8140 Gas Chromatograph装置を用いて、Haraldssonら、Acta Chem Scanned 45: 723 (1991)に記載されたような、以前に記載された手順に従って行った。
【0072】
固定化されたカンジダ・アンタークチカリパーゼは、デンマークのNovo Nordisk社からNovozyme(商標)として販売されているものを入手した。これを、供給されている状態で直接エステル化実験に用いた。Merck社から購入した分析用ジエチルエーテルは精製せずに用いたが、同じくMerck社製の合成用n-ヘキサンは抽出およびHPLCクロマトグラフィーに用いる前に新たに蒸留した。グリセロール(99%)はSigma社およびAldrich Chemical Companyから購入し、それ以上精製せずに用いた。CLA濃縮物はノルウェーのNatural Lipids社からTonalin(商標)として販売されている遊離脂肪酸として入手した。その純度を分析用GLCによっておよび高磁場NMR分光法によって確かめたところ、グリセリド不純物が若干認められた。Science InstituteでGLCにより定量したところ、CLA濃縮物は9-シス,11-トランス-リノール酸を43.3%、10-トランス,12-シス-リノール酸を44.5%、その他のCLA異性体を5.4%、オレイン酸を5.6%、ならびにパルミチン酸およびステアリン酸をそれぞれ0.6%の比率で含むことが明らかになった。
【0073】
実施例6
直接エステル化によるCLAのトリアシルグリセロールの調製
固定化されたカンジダ・アンタークチカリパーゼ(1.25g)を、グリセロール(1.22g. 13.3mmol)および遊離脂肪酸としてのCLA(M.wt.280.3g/mol;11.6g、41.5mmol)の混合物に添加した。この混合物を、0.01-0.5 Torrの連続真空下においてマグネチックスターラー付ホットプレートの上で65℃で静かに攪拌した。反応の進行に伴って生成された揮発性水分を液体窒素で冷却したトラップ内に連続的に凝結させた。48時間後に反応を停止させ、n-ヘキサンを添加した上で濾過により酵素を分離した。過剰な遊離脂肪酸を除去するために、有機相を炭酸ナトリウムのアルカリ性水溶液で処理した(必要な場合)。有機溶媒を(適宜、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後に)ロータリーエバポレーターで除去し、その後に高真空処理を行い、事実上純粋な生成物を幾分黄色味を帯びた油として得た(10.9g;平均M.wt.878.6g/mol;収率93%)。化学量論的な量の遊離脂肪酸を用いた場合には、粗反応生成物の遊離脂肪酸含有率を決定するために標準化水酸化ナトリウムによる滴定を行った(エステル群のモル数ベースで遊離脂肪酸含有率が1%未満であることは少なくとも99%の組み入れに対応し、トリグリセリド含有率が最低97%であることと等価である)。粗生成物を直接HPCLに導入し、10%ジエチルエーテルを含むn-ヘキサンで溶出させて、純度100%のトリグリセリドを無色の油として得た。

【0074】
反応の進行をモニターして、反応中の個々のグリセリドの組成をさらに詳細に把握するために、反応の進行に伴って試料を定期的に収集した。それらをHNMR分光法によって分析したところ、反応の進行過程におけるモノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、およびトリアシルグリセロールの組成に関して優れた洞察が得られた。その結果は以下の表7に示されている。この表から見てとれるように、反応の最初の2時間は1,3ジアシルグリセロールが反応混合物の大半を占めた。4時間後にはトリアシルグリセロールがとって代わり、22時間後には組成の98%、48時間後には100%を占めた。予想された通り、1,2-ジアシルグリセロールの到達レベルは1,3-ジアシルグリセロールよりもかなり低かった。1-モノアシルグリセロールは反応の最初の1時間で最大値に達したが、2-モノアシルグリセロールは反応全体を通じて検出されなかった。
【0075】
(表7)

【0076】
実施例7
CLAの収率および組成に対する種々の温度および反応時間の影響
ベニバナ油の共役に対する温度および反応時間の影響について調べた。水およびNaOHを、表1の列1および列2に示された通りに、高圧反応装置(Parr Model 450ML Benchtop Alloy 400、圧力計およびスターラーを装備)に添加した。NaOHを溶解させた上でベニバナ油(列3)を反応装置に添加した。反応装置を閉じ、窒素を2分間流した後にすべての弁を閉じた。反応装置を電気式ガスケットに入れて所望の温度(列4)に加熱し、その温度に所望の時間(列5)にわたり保った。続いて温度を60℃に下げ、その後に圧力を解放させた上で反応装置を開いた。各反応物に関して、この結果生じた固化石鹸の2グラムを反応装置から取り出し、約40℃の水に溶解した。続いてクエン酸を添加して溶液のpHを6未満にした。試料を脂肪酸の上層から採取し、ガスクロマトグラフィー用に調製した。
【0077】
ガスクロマトグラフィーの結果を、列6(9,11異性体および10,12異性体の合計パーセンテージ)、列7(11,13異性体の合計パーセンテージ)、および列8(すべてのCLA異性体の合計パーセンテージまたは収率)に提示している。これらのデータは、反応時間および温度が増すとともに、総共役量および11,13異性体のパーセンテージが増大することを示している。11,13異性体の形成がわずかである条件下では、総共役量も少ない。
【0078】
(表8)

【0079】
実施例8
ベニバナ脂肪酸メチルエステル(FAME)の共役
反応は密閉容器内で行った。以下の成分を混合した:ベニバナFAME 100gおよびKOCH 約2.8gとメタノール2.8gとの混合物。この2つの成分の混合中にはメタノールの蒸発のためにメタノールよりもKOMeがおそらく多く存在すると思われる。この混合物を、密閉した反応容器内で窒素雰囲気中にて111〜115℃で5時間攪拌した。異性体の分布をガスクロマトグラフィーにより分析した。その結果を表2にまとめている。GC生データは表9に提示されている。これらのデータは、ベニバナFAMEの共役を穏和な条件下で行うことができ、望ましくない8,10異性体および11,13異性体を計測しうるほどの量としては含まない生成物が得られることを示している。
【0080】
(表9)異性体の配分
パルミチン酸 6.6%
ステアリン酸 2.7%
オレイン酸 12.9%
リノール酸 5.7%(非共役)
CLA c9,t11 34.1%
CLA t10,c12 33.3%
CLA c,c 1.8%
CLA t,t 1.0%
CLA合計 70.2%
【0081】
実施例9
共役ベニバナFAMEの大規模バッチ製造
ベニバナ共役FAMEの製造をメタノール分解および共役という2つの段階に分けることもできる。メタノール分解のためにベニバナ油6,000kgを密閉反応装置に投入した。反応装置に大気圧の窒素を流し、メタノール1150リットルおよびNaOCH 160kg(30%溶液)を添加した。混合物を攪拌しながら65℃に加熱し、65℃で2時間反応させた。反応装置に窒素ガスを流しながら、この結果生じた最下層をデカントした。続いて、水1000リットル(40〜50℃、これにはクエン酸一水和物50kgが溶解されている)を攪拌しながら添加した。層を分離させ(約60分間)、反応装置に窒素ガスを流しながら最下層をデカントした。この結果生じたベニバナFAME生成物を真空下にて80℃で1時間乾燥させた。
【0082】
ベニバナFAMEを共役させるために、KOCH 250kgをメタノール中に溶解してペーストを形成させたものを反応装置に添加した。続いて混合物を攪拌しながら120℃に加熱し、反応を3時間進行させた。次に混合物を100℃まで冷却し、水1000リットル(40〜50℃、これにはクエン酸一水和物50kgが溶解されている)を攪拌しながら添加した。混合物を15分間攪拌した後に、20分間おいて層を分離させた。最下層をデカントし、生成物を80℃で1時間乾燥させた後に窒素中で保存した。
【0083】
この結果生じたCLAを、Perkin Elmer自動システムXL GCを用いて、以下の条件下で分析した:
カラム:WCOT 融解石英 100m×0.25mm、コーティング CP SIL 88
担体:Heガス、30.0 PSI
温度:220 C
実行時間:35〜90分間
注入器:Splitless、240 C
検出器:FID、280 C
【0084】
GCの結果を表10にまとめた。
(表10)

【0085】
実施例10
以下は、本発明のCLA遊離脂肪酸、トリグリセリド、およびエステルを含む、代表的な動物飼料の例である。
【0086】
A.豚の初期糧食
(表11)

【0087】
B.豚用の飼育−仕上げ(grower-finisher)糧食(40〜240 lb[18〜109kg])
(表12)

【0088】
C.豚の飼育仕上げ糧食(121〜240 lb[55〜109kg]の豚用)
(表13)

【0089】
豚用の微量金属プレミックスの組成および分析
(表14)

【0090】
豚用のビタミンプレミックスの組成
(表15)

【0091】
D.タンパク質18%雌鶏の産卵用(layer)糧食
(表16)

【0092】
E.ブロイラー用の初期糧食および仕上げ糧食
(表17)

【0093】
F.七面鳥の飼育/仕上げ糧食
(表18)

【0094】
G.乾燥ドッグフードの処方
(表19)

【0095】
H.半湿潤(semi-moist)ドッグフードの処方
(表20)

【0096】
実施例11
CLAの大規模調製
本実施例では、ベニバナ油の異性化によってCLAの遊離脂肪酸をパイロット規模で調製する方法を例示する。KOH 1000kgをプロピレングリコール2070L中に溶解した。続いてこの混合物を攪拌しながら100℃に加熱した。次にベニバナ油2340Lを添加し、温度を3時間150℃に上昇させた。続いて混合物を冷却し、水1000LおよびHCL 1350Lを添加した。この時点で溶液は2つの層に分離し、遊離脂肪酸が上層となった。これらの層を分離し、下方の水層を廃棄した。上層をクエン酸50kgを含む水1000Lで洗った。水層を廃棄し、油(CLA)を含む層を真空下で乾燥させた。
【0097】
実施例12
トリアシルグリセリドの製造
CLAを実施例11の方法に従って調製した。続いて生成物を分子蒸留プラントで150℃および圧力10-2mbarの下で蒸留した。次に蒸留した生成物1000kgを純グリセロール97kgおよびリパーゼ80kgと混合した。真空下にて攪拌しながら反応を55℃で12時間進行させた。反応しなかった脂肪酸を除去するために、トリアシルグリセリド生成物を分子蒸留装置により蒸留した。
【0098】
実施例13
吸着剤による処理
CLAのトリアシルグリセリドを実施例14の通りに調製した。150℃および1mm Hgにて試料の脱臭処理を3時間行った。次に、試料500mlを粉末シリカで処理した。シリカを2%となるように添加し、真空下にて90〜100℃に30分間加熱した。続いて試料を冷却し、濾過した。
【0099】
実施例14
アルコラート触媒によるCLAの製造
この実施例では、カリウムメチラートを触媒として用いた、ベニバナ油からのCLAの製造について述べる。ナタネ油の蒸留メチルエステル(41.5g)をメタノール0.207gおよびカリウムメチラート0.62gとともに反応装置に入れ、密閉する前に反応装置に窒素を流した。反応装置の内容物を攪拌しながら120℃に加熱した。続いて反応を120℃で4時間進行させた。その後に反応装置を80℃に冷却し、内容物を分液漏斗に移し、高温の蒸留水で洗浄し、さらにクエン酸を含む熱水で洗浄した。続いてメチルエステルを真空下にて中熱で乾燥させた。乾燥したメチルエステルををイソオクタン中に溶解し、Perkin Elmerオートサンプラーを用いるGLCによって分析した。カラムは極性の高い融解石英型とした。以下のプログラムを用いた:
注入:Splitless、250℃
検出:水素炎イオン化検出器、280℃
担体:ヘリウム、psig
オーブン加熱プログラム:80℃〜130℃(45℃/分)に続いて1℃/分で220℃まで上昇させ、220℃に10分間保つ。
カラム:WCOT融解石英0.25mm 100m、FAME用にはCP-SIL 88、df+0.2。
【0100】
表21に示すように、得られたCLAはほぼすべてc9,t11異性体およびt10,c12異性体からなった。
【0101】
(表21)カリウム-メチラートを用いた異性化によって生成されたCLA

【0102】
実施例15
CLA粉末の製造
本実施例では、CLAトリグリセリドを含む粉末の製造について述べる。CLAトリグリセリドは上記のようにして調製しうる。温水(538.2ml、110〜120°F)およびHI-CAP 100(約230.9g、National Starch, Bridgewater, NJ)を混合し、分散液に塊がみられなくなるまで振盪する。次にCLAトリグリセリド(230.9g)を添加し、Arde Berinco研究用ホモジナイザーを設定30で用いて混合物を2分間ホモジネート化する。続いてこのプレエマルション(pre-emulsion)を最高速度で2〜5分間ホモジネート化する(全圧3500psiでのワンパス処理)。粒径を検査し、約0.8〜1.0ミクロンであることを確かめる。続いてエマルションを7フィートのコニカルドライヤー内で以下の設定により噴霧乾燥させる:入口温度(190〜215℃);出口温度(95〜100℃)。出口温度はエマルションの供給速度を調整することによって保つ。この工程により、CLAトリグリセリドを約50%含む流動性粉末が製造される。
【0103】
実施例16
不活性雰囲気下でのCLA粉末の製造
本実施例では、不活性雰囲気下での噴霧乾燥による、CLAトリグリセリドを含む粉末の製造について考える。簡潔に述べると、不活性ガスの存在下で乾燥工程を行いながら、CLAトリグリセリドを実施例15の記載の通りに製造する。
【0104】
実施例17
他の油を含む粉末の製造
CLAトリグリセリドの代わりにTONALIN遊離脂肪酸CLA、亜麻仁油、月見草油、およびルリヂサ油を用いた点を除き、実施例15に記載したものと同じ方法を行った。それぞれの遊離脂肪酸または油を約50%含む流動性粉末が得られた。
【0105】
実施例18
他の封入剤を用いた粉末の製造
HI-CAP 100の代わりにMIRA-CAP(A.E. Stanley)および麦芽デキストリンを用いた点を除き、実施例15に記載したものと同じ方法を行った。油配合率50%で試験したところ、これらの物質ではエマルションを生成させることができず、このため噴霧乾燥も行えなかった。
【0106】
実施例19
油配合率がさらに高い粉末の製造
油濃度をそれぞれ60%または65%とした点を除き、実施例15に記載したものと同じ方法を行った。HI-CAP 100ではエマルションの形成が可能であり、噴霧乾燥によって流動性粉末が生成された。しかし、このエマルションは最大10ミクロンの小球を含んでいた。
【0107】
以上より明らかとなるべきことは、本発明がCLAトリグリセリドまたはその他の油を大量に含む流動性粉末を提供するということである。この粉末は動物飼料およびヒトの摂取に適した食品の配合に用いることができる。
【0108】
以上の明細書で言及したすべての刊行物および特許は参照として本明細書に組み入れられる。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本発明の説明された方法およびシステムにさまざまな変更および変化を加えうることは当業者には明らかである。本発明は特定の好ましい態様とともに説明されたが、特許請求の範囲に記載される本発明は、このような特定の態様に過度に限定されないことが理解されるべきである。実際に、本発明を実施するための説明された様式に対するさまざまな改変は、医学、生化学、または関連分野の当業者には明らかであり、それらは以下の特許請求の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共役リノール酸成分(conjugated linoleic acid moiety)の粉末を含む組成物であり、該粉末の重量比にして20%より多くが共役リノール酸成分であり、該粉末が不活性雰囲気中で噴霧乾燥されている組成物。
【請求項2】
共役リノール酸成分がトリグリセリドである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
共役リノール酸成分が遊離脂肪酸およびアルキルエステルからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
粉末の重量比にして25%より多くが共役リノール酸成分である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
粉末の重量比にして40%より多くが共役リノール酸成分である、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
粉末の重量比にして50%より多くが共役リノール酸成分である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
不活性雰囲気が、希ガスおよびガス状のNからなる群より選択されるガスを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
食品材料および共役リノール酸成分の粉末を含む組成物であり、該粉末の重量にして20%より多くが共役リノール酸成分であり、該粉末が不活性雰囲気中で噴霧乾燥されている組成物。
【請求項9】
共役リノール酸成分がトリグリセリドである、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
共役リノール酸成分が、遊離脂肪酸およびアルキルエステルからなる群より選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項11】
粉末の重量比にして25%より多くが共役リノール酸成分である、請求項8記載の組成物。
【請求項12】
粉末の重量比にして40%より多くが共役リノール酸成分である、請求項8記載の組成物。
【請求項13】
粉末の重量比にして50%より多くが共役リノール酸成分である、請求項8記載の組成物。
【請求項14】
不活性雰囲気が、希ガスおよびガス状のNからなる群より選択されるガスを含む、請求項8記載の組成物。
【請求項15】
共役リノール酸成分の粉末を含む組成物であり、該粉末の重量比にして約20%〜65%が共役リノール酸成分であり、該粉末が不活性雰囲気中で噴霧乾燥されている組成物。
【請求項16】
共役リノール酸成分がトリグリセリドである、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
共役リノール酸成分が遊離脂肪酸およびアルキルエステルからなる群より選択される、請求項15記載の組成物。
【請求項18】
不活性雰囲気が、希ガスおよびガス状のNからなる群より選択されるガスを含む、請求項15記載の組成物。
【請求項19】
食品材料および共役リノール酸成分の粉末を含む組成物であり、該粉末の重量比にして約20%〜65%が共役リノール酸成分であり、該粉末が不活性雰囲気中で噴霧乾燥されている組成物。
【請求項20】
共役リノール酸成分がトリグリセリドである、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
共役リノール酸成分が遊離脂肪酸およびアルキルエステルからなる群より選択される、請求項19記載の組成物。
【請求項22】
不活性雰囲気が、希ガスおよびガス状のNからなる群より選択されるガスを含む、請求項19記載の組成物。
【請求項23】
油および添加剤を含む組成物であり、該組成物が油を重量比にして少なくとも40%含む流動性(free flowing)粉末であり、該粉末が不活性雰囲気中で噴霧乾燥されている組成物。
【請求項24】
流動性粉末が油を重量比にして少なくとも50%含む、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
油がCLA成分を含む、請求項23記載の組成物。
【請求項26】
CLA成分が、遊離脂肪酸、トリグリセリド、およびアルキルエステル、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項23記載の組成物。
【請求項27】
不活性雰囲気が、希ガスおよびガス状のNからなる群より選択されるガスを含む、請求項23記載の組成物。
【請求項28】
a)油および添加剤を提供する段階;
b)該油および該添加剤から水中油型エマルションを形成させる段階;ならびに
c)流動性粉末が形成されるような条件下で不活性雰囲気中で該エマルションの噴霧乾燥を行う段階、
を含む方法。
【請求項29】
油および添加剤を、流動性粉末が油を重量比にして少なくとも40%含むような濃度で提供する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
油および添加剤を、流動性粉末が油を重量比にして少なくとも50%含むような濃度で提供する、請求項28記載の方法。
【請求項31】
油および添加剤を、流動性粉末が油を重量比にして少なくとも60%含むような濃度で提供する、請求項28記載の方法。
【請求項32】
不活性雰囲気が、希ガスおよびガス状のNからなる群より選択されるガスを含む、請求項28記載の方法。
【請求項33】
油がCLA成分を含む、請求項31記載の方法。
【請求項34】
CLA成分が、遊離脂肪酸、トリグリセリド、およびアルキルエステル、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項33記載の方法。

【公表番号】特表2006−508200(P2006−508200A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−523185(P2004−523185)
【出願日】平成15年7月21日(2003.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/022674
【国際公開番号】WO2004/009071
【国際公開日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(505027834)ナチュラル エイエスエイ (6)
【Fターム(参考)】