説明

共振器の支持装置

【課題】共振器に特殊な加工を施さなくとも、共振器の任意の位置をクランプして該共振器を固有振動数がずれないように支持することができる技術を提供する。
【解決手段】共振器7に当接する当接部材21aおよび共振器7を当接部材21aに押圧する押圧部材21bにクランプされて共振器7が支持されるが、押圧部材21bは、該押圧部材21bの本体部21dに設けられた緩衝構造部21fの押圧部21eが共振器7の第1被支持部41に接触して共振器7を押圧するため、支持装置44に共振器7の振動が伝達するのが抑制されて、共振器7および支持装置44が一体的に振動するのが防止されるため、従来のように、共振器7にフランジ構造やリブなどを形成する特殊な加工を施さなくとも、共振器7の任意の位置をクランプして共振器7を固有振動数がずれないように支持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振器をクランプして支持するクランプ手段を備える共振器の支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波振動を利用した装置として、重ね合わされた複数の対象物に超音波振動を印加して対象物どうしを接合する接合装置や、カッターなどの切断工具に超音波振動を印加して対象物を切断する切断装置、やすりなどの研磨工具に超音波振動を印加して対象物を研磨する研磨装置などが知られている。これらの超音波振動を利用した装置は、一般的に、共振器および該共振器に連結して設けられた振動子を備えており、共振器の固有振動数に合わせた振動子の振動に共振器が共振することで、振動子の振動が増幅されて共振器から対象物に超音波振動が効率よく印加される。
【0003】
ところで、振動子が連結された共振器を支持する際、共振器を単にクランプ手段によりクランプして支持すると、共振器の振動がクランプ手段に伝達されて共振器およびクランプ手段が一体的に振動するため、共振器の固有振動数は簡単に変動する。したがって、クランプ手段による共振器の支持態様によっては、共振器の固有振動数が大きくずれて共振器が設計上の所定の固有振動数で共振しないおそれがあるので、固有振動数がずれないように共振器をクランプ支持して共振器を所定の固有振動数で安定して振動させるための種々の対策が講じられている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の装置では、共振器の中心軸上のノーダルポイント(最小振動振幅点)に相当する位置の共振器の外周上に、ノーダルポイントを中心に所定幅に削り出された凸部が共振器と一体的に形成されており、該凸部が機械的に強靭にクランプされて共振器が支持されることで、共振器の振動がクランプ手段に伝達するのが防止されて、共振器の固有振動数がずれるのが防止される。
【0005】
また、特許文献2に記載の装置では、共振器の中心軸上のノーダルポイントに相当する位置の外周上に、所謂、フランジ構造が共振器と一体的に形成されており、該フランジ構造がクランプされて共振器が支持されることで、共振器の振動がクランプ手段に伝達するのが防止されて、共振器の固有振動数がずれるのが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2583398号公報(段落0018,0019,0021,0022,0024、図2,3など)
【特許文献2】特開平9−57466号公報(段落0007〜0010、図4,8など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従来の装置では、クランプ手段により固有振動数がずれないように共振器をクランプするために、共振器のノーダルポイントに相当する位置の外周上に正確に凸部やフランジ構造を形成する必要があるため、共振器を形成するのに高い加工精度が要求され、共振器の製造コストの増大を招いていた。
【0008】
本発明は上記した課題に鑑みてなされたものであり、共振器に特殊な加工を施さなくとも、共振器の任意の位置をクランプして該共振器を固有振動数がずれないように支持することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、本発明にかかる共振器の支持装置は、共振器をクランプして支持するクランプ手段を備える共振器の支持装置において、前記クランプ手段は、前記共振器に当接する当接部材と、前記共振器を前記当接部材に押圧する押圧部材とを備え、前記押圧部材は、本体部と、前記本体部に設けられた緩衝構造部とを有し、前記緩衝構造部が前記共振器に接触して該共振器を押圧することを特徴としている(請求項1)。
【0010】
また、前記緩衝構造部は、前記押圧部材にスリットが設けられることにより形成されたスプリング構造を有し、前記スプリング構造は、前記共振器を押圧する方向にばね力を有することを特徴としている(請求項2)。
【0011】
また、前記緩衝構造部は、前記押圧部材に空洞が設けられることにより形成された振動板構造を有し、前記振動板構造の振動面は、前記共振器を押圧する方向にほぼ直交して形成されていることを特徴としている(請求項3)。
【0012】
また、前記緩衝構造部は、弾性部材により形成されていてもよい(請求項4)。
【0013】
また、前記クランプ手段は、前記当接部材および前記押圧部材と、前記当接部材と前記押圧部材とを連結する連結部材とにより形成されたトグル機構をさらに備え、前記トグル機構のロック状態において、前記当接部材および前記押圧部材により前記共振器をクランプすることを特徴としている(請求項5)。
【0014】
また、前記共振器を加熱する加熱手段と、前記クランプ手段を冷却する冷却手段とをさらに備えていてもよい(請求項6)。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、共振器に当接する当接部材と、共振器を当接部材に押圧する押圧部材とにクランプされることにより共振器が支持されるが、押圧部材は、該押圧部材の本体部に設けられた緩衝構造部が共振器に接触して該共振器を押圧するため、緩衝構造部により共振器の振動がクランプ手段に伝達するのが抑制されて、共振器およびクランプ手段が一体的に振動するのが防止されるため、共振器に特殊な加工を施さなくとも、共振器の任意の位置をクランプして該共振器を固有振動数がずれないように支持することができる。
【0016】
したがって、従来のように共振器に特殊な加工を施さなくとも、クランプ手段が有する押圧部材が共振器と接触する部分に緩衝構造部を設けるだけで、共振器を固有振動数がずれないようにクランプ支持することができるため、共振器の製造コストの大幅な削減を図ることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、押圧部材にスリットを設けることで、共振器を押圧する方向にばね力を有するスプリング構造を緩衝構造部に容易に形成することができるため実用的である。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、押圧部材に空洞を設けることで、振動面が共振器を押圧する方向にほぼ直交して形成された振動板構造を、緩衝構造部に容易に形成することができるため実用的である。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、緩衝構造部が弾性部材により形成されることで、弾性部材の弾性により、より効率よく共振器の振動がクランプ手段に伝達されるのを防止できる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、当接部材および押圧部材と、当接部材および押圧部材を連結する連結部材とにより形成されたトグル機構のロック状態において、当接部材および押圧部材により共振器がクランプされるため、当接部材および押圧部材をねじやボルトで固定することによる共振器のクランプと比較すると簡単にワンタッチで共振器をクランプ支持することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、加熱手段により共振器が加熱されたときに、冷却手段によりクランプ手段が冷却されるため、加熱された共振器から熱が伝導することでクランプ手段が昇温するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態たる共振器の支持装置を備える接合装置を示す図である。
【図2】共振器の一例を示す図である。
【図3】共振器の支持装置を示す図であって、(a)は分解図、(b)は(a)の点線で囲まれた部分の拡大図である。
【図4】共振器が支持装置に支持された状態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線矢視断面図である。
【図5】共振器の支持装置の第2実施形態を示す図である。
【図6】図5の共振器の支持装置の異なる状態を示す図である。
【図7】共振器の支持装置の第3実施形態を示す図であって、(a)は要部拡大図、(b)は(a)のB−B線矢視断面図である。
【図8】共振器の支持装置の第4実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図1〜図4を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態たる共振器の支持装置を備える接合装置を示す図である。図2は共振器を一例を示す図である。図3は共振器の支持装置を示す図であって、(a)は分解図、(b)は(a)の点線で囲まれた部分の拡大図である。図4は共振器が支持装置に支持された状態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線矢視断面図である。
【0024】
(接合装置の構成)
図1に示す接合装置100は、チップ23や電子部品などの対象物を、基板24やウエハなどの被実装物の所定の位置に超音波振動により接合する。例えば、GaAsやSiなどの半導体の接合面に金属バンプ23aを有するチップ23と、金属バンプ24aを有する基板24とが超音波振動が印加されることにより接合され、チップ23が基板24の所定の位置に接合される。なお、チップ23は後述する共振器7の保持手段40の保持面に保持され、基板24は後述するステージ10の上面(載置面)に載置される。
【0025】
図1に示すように、接合装置100は、接合機構27と、ステージテーブル12を有する実装機構28と、位置認識部29と、搬送部30と、制御装置31とを備えている。
【0026】
接合機構27は、上下駆動機構25とヘッド部26とを備え、上下駆動機構25は上下駆動モータ1とボルト・ナット機構2とにより、共振器支持部6を上下ガイド3でガイドしながら上下動する。そして、接合機構27はフレーム34に結合され、フレーム34はヘッド部26の加圧中心の周辺を囲むように配設された4本の支柱13により架台35と連結されている。なお、支柱13およびフレーム34の一部は図示省略されている。
【0027】
共振器支持部6は、ヘッド逃がしガイド5で上下方向にガイドされ、自重をキャンセルするための自重カウンター4に牽引された状態でボルト・ナット機構2に連結されている。そして、この共振器支持部6に、共振器7を有するヘッド部26が結合されている。
【0028】
また、共振器支持部6には圧力センサ32が設けられており、圧力センサ32は、共振器7とステージ10との間に挟持されたチップ23、基板24などの接合対象物への加圧力を検出する。そして、圧力センサ32により検出された接合対象物に対する加圧力が制御装置31にフィードバックされ、当該フィードバック値に基づいて上下駆動機構25が制御されることで、両接合対象物への加圧力が制御される。また、共振器支持部6は、リニアセンサなどにより形成される共振器部高さ検出手段36を備えており、これによりヘッド部26の高さが検出される。
【0029】
共振器支持部6に結合されたヘッド部26は、共振器7と、振動子8と、チップ23を吸着保持する保持手段40と、共振器7を支持する支持装置44とを備えている。
【0030】
共振器7は、鉄やチタン、ステンレスなどの金属により形成された一般的なものであり、振動子8が発生する超音波振動に共振するものであって、共振器7のほぼ中央の位置と、両端位置とが最大振幅点となるように、共振周波数の一波長の長さで形成されている。このように構成すれば、最大振幅点から1/4波長離れた位置それぞれが最小振幅点(ノーダルポイント)に相当する。また、共振器7は、断面形状が円形状である円柱状に形成されている。
【0031】
振動子8は、共振器7の中心軸と同軸に共振器7の一端に連結されている。また、振動子8は、制御装置31により制御されて共振器7の固有振動数とほぼ同じ振動数で振動し、共振器7は、振動子8の振動に共振して、その中心軸の方向に振動する。
【0032】
保持手段40は、最大振幅点である共振器7のほぼ中央の位置における外周下面に、熱硬化型樹脂などの接着剤により取着されて、チップ23や電子部品などの接合対象物を保持面に保持する。また、保持手段40は、チップ23や電子部品などの接合対象物を保持面に吸着保持できるように、真空吸着機構(図示省略)を備えている。なお、チップ23などの接合対象物を保持する構成としては真空吸着機構に限らず、静電吸着機構、機械式のチャック機構など、対象物を保持できる機構であればどのような構成であってもよい。また、接合対象物を保持手段40に直接貼付けることにより接合対象物が保持手段40に保持されるようにしてもよい。
【0033】
また、保持手段40を、超硬タングステンカーバイト、セラミック、ダイヤモンドなど、金属以外の部材により形成してもよく、このように構成した保持手段40を、エポキシ系の接着剤や、Ni、Cu、Agなどの金属ろうなどによって共振器7に接着してもよい。
【0034】
また、共振器7の最小振幅点に相当する位置の外周に凹状の溝が形成されて、共振器7の外周面より内側に埋没した外周面を有する第1被支持部41および第2被支持部42が形成されている。そして、凹状に形成された第1被支持部41および第2被支持部42が、それぞれ支持装置44が有する第1クランプ手段21および第2クランプ手段22にクランプされて、共振器7は支持装置44に支持される。
【0035】
なお、この実施形態では、第1被支持部41および第2被支持部42は、共振器7の中心軸にほぼ直交する断面形状が八角形状に形成されているが、第1被支持部41および第2被支持部42の断面形状は、八角形状に限らず、円形状やその他の多角形状であってもよい。また、第1被支持部41および第2被支持部42が形成される位置は、共振器7の最小振幅点f1、f3に限られるものではなく、共振器7の任意の位置に第1被支持部41および第2被支持部42を形成すればよい。また、第1被支持部41および第2被支持部42は、必ずしも上記したような共振器7の外周に形成された凹状の溝により形成される必要はなく、共振器7の任意の位置の外周上に凸状に第1被支持部41および第2被支持部42を形成してもよいし、共振器7の任意の位置の外周面を加工を施さずに第1被支持部41および第2被支持部としてもよく、第1被支持部41および第2被支持部42は、共振器7の使用態様および支持態様に応じて、適宜、共振器7の任意の位置に任意の形状で形成すればよい。
【0036】
また、支持装置44の基部20は共振器支持部6に固定されており、共振器支持部6が上下駆動機構25により上下に駆動されることで、支持装置44に支持された共振器7が上下動し、チップ23および基板24などの接合対象物が加圧される。
【0037】
なお、保持手段40を、上記した材質のうち、比較的硬度の高い、ガラス、超硬タングステンカーバイト、セラミックやダイヤモンドなどで形成すれば、共振器7を音響特性の優れた材質、例えばチタン合金により形成するとよい。また、保持手段40を、硬度の高い材質で形成すれば、共振器7を安価な材質、例えばAlにより形成してもよい。
【0038】
支持装置44の構成および動作については後で詳細に説明する。
【0039】
実装機構28は、被実装物としての基板24が載置されるステージ10と、ステージ10を上下方向(図1中の矢印Z方向)にほぼ直交する水平面内で移動するステージテーブル12とを備えている。
【0040】
ステージ10は、基板24をステージ10の上面に吸着保持するため真空吸着機構(図示省略)を備えている。また、基板24やウエハなどの被実装物をステージ10の上面に保持する構成としては真空吸着機構に限らず、静電吸着機構や、機械式のチャック機構など、被実装物を保持できる機構であればどのような構成であってもよい。また、被実装物をステージ10上に載置するだけでもよい。
【0041】
ステージテーブル12は、平行・回転移動自在な移動軸を備え、ステージ10をヘッド部26に対して相対的に移動することで、ステージ10の上面に保持された基板24の、保持手段40に保持されたチップ23に対する相対的な位置を調整する。なお、この実施形態では、後述する上下マーク認識手段14により読取られたチップ23および基板24の金属バンプ23a,24a(アライメントマーク)の相対的な位置関係に基づいてステージテーブル12が制御装置31により制御されて、チップ23と基板24との相対的な位置調整が行われる。
【0042】
位置認識部29は、対向配置されたチップ23と基板24の間に挿入されて、チップ23および基板24にそれぞれ設けられた位置認識用のアライメントマーク(金属バンプ23a,24a)を光学的に読取る上下マーク認識手段14と、チップ23、基板24および共振器7の振幅を検出する振幅検出器33と、上下マーク認識手段14および振幅検出器33を水平面内および上下方向に移動させる認識手段移動テーブル15とを備えている。なお、上下マーク認識手段14は、ミラーやプリズムで構成される、周知の2視野光学系レンズと、2視野光学系レンズを介してその上下に隔離して配置されたチップ23および基板24を撮像するCCDカメラとを備えている(図示省略)。
【0043】
搬送部30は、チップ23を搬送するチップ供給装置16およびチップトレイ17と、基板24を搬送する基板搬送装置18および基板搬送コンベア19とを備えている。
【0044】
制御装置31は、ヘッド部26を介してチップ23および基板24に加えられる加圧力や、振動子8へ印加される電圧および電流を調整してチップ23および基板24に加えられる超音波振動エネルギーの大きさなどを制御する。また、制御装置31は、共振器部高さ検出手段36によるヘッド部26の高さ位置の検出信号に基づいて上下駆動機構25を制御し、ヘッド部26の図1中の矢印Z方向の高さを調節する。また、制御装置31は、接合装置100全体の制御を行うための操作パネル(図示省略)を備えている。
【0045】
(支持装置の構成)
支持装置44の構成について、主に図3および図4を参照して説明する。図3(a)および図4(a)に示すように、支持装置44は、基部20と、第1クランプ手段21および第2クランプ手段22とを備え、基部20が共振器支持部6に固定されてることで支持装置44は接合装置100に配設される。
【0046】
第1クランプ手段21および第2クランプ手段22は、それぞれ共振器7に当接する当接部材21a,22aと、共振器7を当接部材21a,22aに押圧する押圧部材21b,22bとを備えている。なお、第1クランプ手段21および第2クランプ手段22の構成はほぼ同一であるため、以下では第1クランプ手段21の構成の説明のみ行い、第2クランプ手段22の構成の説明ついては、その構成の説明を省略する。
【0047】
当接部材21aは、共振器7に設けられた第1被支持部41の外周面の一部に確実に当接することができるように、鉄やステンレス(SUS304)などの金属からなる板状の部材に、第1被支持部41の外周面の一部の外形とほぼ一致する形状を有する凹状の当接部21cが形成されたものであり、凹状の当接部21cの開口側が基部20とは反対方向を向くようにボルトなどの固定手段により基部20に固定される。
【0048】
押圧部材21bは、当接部材21aと同じ材質の略L字形状の板状部材からなる本体部21dを有し、本体部21dの先端に、共振器7の第1被支持部41の外周面に接触する押圧部21eを有する緩衝構造部21fが設けられている。この実施形態では、押圧部21eは、共振器7に設けられた第1被支持部41の外周面の一部に確実に接触して共振器7を押圧することができるように、押圧部材21bの本体部21dの先端側の内側の隅部が切り落とされることで、第1被支持部41の外周面の一部の外形とほぼ一致する形状を有するように形成されている。
【0049】
緩衝構造部21fには、押圧部21eを挟んだ両側から互い違いに押圧部21eと略平行に形成されたスリット21gが設けられることにより形成されたスプリング構造21hが設けられており、スプリング構造21hは、押圧部21eにより共振器7の第1被支持部41の外周面を押圧する方向にばね力を有している(図3(b)参照)。
【0050】
このように構成すると、第1被支持部41が当接部材21aの当接部21cに当接するように共振器7が配置された状態で、2つの押圧部材21bを、それぞれの押圧部21eが内側を向くように凹状の当接部21cの開口の両側に配置することにより、それぞれの押圧部21eを共振器7の第1被支持部41に接触させて、共振器7を挟むように2つの押圧部材21bを当接部材21aにボルト43により固定すると、2つの押圧部21eにより共振器7が当接部21cに押圧されるため、第1被支持部41が当接部21cおよび2つの押圧部21eにより3方向からクランプされて、共振器7が第1クランプ手段21によりクランプ支持される(図4(b)参照)。
【0051】
なお、板状の部材により形成される当接部材21aおよび押圧部材21bの厚みは、支持装置44によりクランプ支持される共振器7の大きさや、共振器7に設けられる第1被支持部41および第2被支持部42の形状や幅に応じて、適宜、決定すればよい。
【0052】
また、この実施形態では、共振器7に設けられた第1被支持部41および第2被支持部42は、共振器7が支持装置44にクランプされて支持されたときに、保持手段40の保持面とステージ10の上面とがほぼ平行となるように、断面形状が多角(八角)形状に形成されている。したがって、共振器7の第1被支持部41および第2被支持部42を、支持装置44によりクランプ支持するだけで、保持手段40の保持面を、ステージ10の上面に対向配置することができる。
【0053】
このとき、共振器7の外周上に保持手段40を複数設けると共に、共振器7を、ボルト43を緩めることで共振器7の中心軸を回転の中心として回転可能に構成し、第1被支持部41および第2被支持部42の断面形状を、共振器7が支持装置44にクランプ支持されたときに、いずれか一つの保持手段40の保持面とステージ10の上面とがほぼ平行となるように形成すれば、ボルト43を緩めて、共振器7の中心軸を中心に共振器7を回転させることによって、例えば、保持手段40の保持面が劣化した場合に、ステージ10の上面に対向する保持面が劣化した保持手段40を、簡単に他の保持手段40に交換することができる。
【0054】
また、支持装置44の基部20と共振器支持部6との連結部分に、一般的に使用される周知の倣い機構などの平面調整機構を設けることにより、支持装置44に支持された共振器7の保持手段40の保持面と、ステージ10の上面との傾きをより精度よく一致させることができる。
【0055】
(接合動作)
次に、接合装置100における、チップ23を基板24の所定の位置に超音波振動により接合する接合動作の一例について説明する。
【0056】
まず、接合対象物としてのチップ23および被実装物としての基板24の供給が行われる。チップ23は、チップ供給装置16によりチップトレイ17から共振器7に取着された保持手段40に供給されて吸着保持される。また、基板24は、基板搬送装置18により基板搬送コンベア19からステージ10に供給されて吸着保持される。
【0057】
次に、それぞれの接合面が対向するように保持されたチップ23と基板24との間に上下マーク認識手段14が認識手段移動テーブル15により挿入されて、対向保持されたチップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマーク(金属バンプ23a,24a)の位置が上下マーク認識手段14により検出される。そして、上下マーク認識手段14により読取られたチップ23および基板24のアライメントマークの相対的な位置関係に基づいて、チップ23の位置を基準としてステージテーブル12が平行・回転移動されて基板24の位置が調整されて、チップ23と基板24との相対的な位置調整が行われる。
【0058】
続いて、チップ23および基板24の相対的な位置が整合された状態(金属バンプ23a,24aの位置が合わされた状態)で、認識手段移動テーブル15により上下マーク認識手段14が退避されると共に、上下駆動機構25によりヘッド部26の下降が開始され、チップ23と基板24とが接近される。そして、チップ23の金属バンプ23aと基板24の金属バンプ24aとが接触することによる圧力センサ32からの検出信号に基づき、チップ23と基板24とが共振器7およびステージ10との間に挟持されたことが検出されると、所定の加圧力がチップ23および基板24に加えられると共に超音波振動が印加されて、金属バンプ23a,24aどうしが接合される。
【0059】
このとき、制御装置31により、振動子8に印加される電流値および電圧値から導出される超音波振動エネルギー、共振器7の共振振幅、チップ23および基板24に対する加圧力などの監視と制御が行われる。なお、接合処理を終了するタイミングは、目的とされる接合面積で接合されるために必要な加圧力、超音波振動エネルギーおよび接合時間を予め求めておき、予め求めたそれぞれの値に達したときに接合処理を終了すればよい。
【0060】
この実施形態では、一例として、振動子8の発信周波数は40kHzに設定され、振動子8への印加電圧は0V〜10Vの範囲内に設定されている。また、この実施形態では、一例として、チップ23と基板24との間の相対的な振動振幅の大きさが0.1μm〜0.5μm程度の振幅となるように構成されているが、相対的な振動振幅の大きさは、接合対象物および被実装物の種類(材質、機能など)や接触面積などに応じて適宜変更すればよい。
【0061】
そして、チップ23および基板24の接合が終了して接合処理が完了すると共振器7によるチップ23の吸着が解除され、ヘッド部26が上方へ復帰移動される。最後に、チップ23が実装された状態で、ステージ10上に保持された基板24が基板搬送装置18により基板搬送コンベア19へ排出されて一連の接合処理が終了する。なお、基板24へ接合されるチップ23の数は1つに限られず、複数のチップ23を基板24へ連続的に接合してもよい。
【0062】
以上のように、この実施形態によれば、共振器7に当接部21cが当接する当接部材21aと、共振器7を当接部材21aに押圧する押圧部材21bとにクランプされることにより共振器7が支持されるが、押圧部材21bは、該押圧部材21bの本体部21dに設けられた緩衝構造部21f(スプリング構造21h)の押圧部21eが共振器7の第1および第2被支持部41,42に接触して該共振器7を押圧するため、支持装置44に伝達される共振器7の振動は緩衝構造部21fのスプリング構造21hにより吸収され、支持装置44に共振器7の振動が伝達するのが抑制されて、共振器7および支持装置44が一体的に振動するのが防止されるため、従来のように、共振器7にフランジ構造やリブなどを形成する特殊な加工を施さなくとも、共振器7の任意の位置をクランプして該共振器7を固有振動数がずれないように支持することができる。
【0063】
したがって、従来のように共振器7に特殊な加工を施さなくとも、第1および第2クランプ手段21,22が有する押圧部材21b,22bが共振器7と接触する部分に緩衝構造部21fを設けるだけで、固有振動数がずれないように共振器7をクランプ支持することができるため、共振器7の製造コストの大幅な削減を図ることができる。
【0064】
ところで、従来では、超音波振動する共振器に直接接触して共振器をクランプ支持すると、共振器とクランプ手段との接触部分が摩擦により融着したり、共振器の振動伝達方向への振動により、共振器のクランプ手段との接触面が一方向に波打つため、クランプ手段に支持された共振器が振動伝達方向に移動し、クランプ手段による共振器の支持位置に位置ずれが生じたりするおそれがあるため、共振器に凸部やフランジ構造などの振動減衰構造を一体的に形成し、共振器の振動が十分に減衰された状態の当該凸部やフランジ構造をクランプすることにより共振器を支持することが当業者の技術常識であった。
【0065】
しかしながら、上記したように、従来の技術常識を鑑みれば想到するのが困難であった、超音波振動する共振器を直接クランプして支持することがこの実施形態の最も大きな特徴である。このように構成すると、共振器に振動減衰構造としての凸部やフランジ構造を形成する必要がなくなるため、共振器設計の自由度を大幅に向上することができる。
【0066】
また、押圧部材21b,22bにスリット21gを設けることで、共振器7を押圧する方向にばね力を有するスプリング構造21hを緩衝構造部21fに容易に形成することができるため実用的である。
【0067】
また、接合装置100において超音波振動により接合対象物と被実装物とを接合する際、図示省略されたヒータなどにより共振器7を加熱して接合対象物および被実装物を加熱する場合に、加熱された共振器7から支持装置44に伝熱されて押圧部材21b,22bが高温になっても、緩衝構造部21fの構造による振動吸収機能は劣化することがないため、高温状態の共振器7を支持装置44により支持した状態で、上記した接合動作を適正に実行することができる。
【0068】
<第2実施形態>
この発明の第2実施形態について図5および図6を参照して説明する。図5は共振器の支持装置の第2実施形態を示す図である。図6は図5の共振器の支持装置の異なる状態を示す図である。この実施形態が上記した第1実施形態と異なる点は、図5に示すように、第1クランプ手段121がトグル機構200を備える点である。その他の構成および動作は上記した第1実施形態と同様であるため、同一符号および相当符号を付すことにより、その構成および動作の説明は省略する。また、この実施形態では、第2クランプ手段は第1クランプ手段121と同一のトグル機構200を備えるが、その構成および動作は第1クランプ手段121が備えるトグル機構200の構成および動作と同一であるため、その構成および動作の説明は、第1クランプ手段121が備えるトグル機構200の構成および動作を説明することにより省略する。
【0069】
また、図5に示すように、支持装置144は、基部120に固定配置された当接部材121aの両側にそれぞれほぼ同一の構成を有するトグル機構200を備えており、以下では、一方のトグル機構200の構成および動作の説明を行うことにより、他方のトグル機構200の構成および動作については、同一符号を付すことにより、その構成および動作の説明は省略する。
【0070】
トグル機構200は、連結ピン201により軸支された当接部材121aおよび押圧部材121bと、当接部材121aおよび押圧部材121bを連結する連結部材202とにより形成されている。すなわち、押圧部材121bは、スリット121gが設けられることにより形成されたスプリング機構121hを有する緩衝構造部121fが、共振器7に接触して押圧するために内側に向けられて当接部材121aに軸支されている。
【0071】
また、連結部材202は、操作レバー203が設けられた第1連結体202aおよび第2連結体202bの一端どうしが連結ピン202cにより軸支されて形成されており、第1連結体202aの他端は、当接部材121aが固定配置された基部120に連結ピン204により軸支され、第2連結体202bの他端は、押圧部材121bの緩衝構造部121fの外側部分に延設された連結片に連結ピン205により軸支されている。
【0072】
このように構成すると、図5に示すアンロック状態において、当接部材121aの当接部121cに当接するように共振器7が配置された状態で、操作レバー203が同図中の矢印方向に操作されてトグル機構200がロック状態に切換えられると、図6に示すように、押圧部材121bの2つの押圧部121eにより共振器7が当接部121cに押圧されるため、共振器7が当接部121cおよび2つの押圧部21eにより3方向からクランプされて、共振器7が第1クランプ手段121によりクランプ支持される。
【0073】
このように構成すると、図6に示すロック状態において、操作レバー203が同図中の矢印方向に操作されてトグル機構200がアンロック状態に切換えられると、図5に示すように、押圧部材121bの2つの押圧部121eによる共振器7の当接部121cへの押圧状態が解除されるため、第1クランプ手段121による共振器7の支持状態が解除されて、共振器7を支持装置144から取り外すことができる。
【0074】
以上のように、この実施形態では、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができると共に、以下の効果を奏することができる。すなわち、当接部材121aおよび押圧部材121bと、当接部材121aおよび押圧部材121bを連結する連結部材202とにより形成されたトグル機構200のロック状態において、当接部材121aおよび押圧部材121bにより共振器7がクランプされるため、図3および図4に示す、当接部材21aおよび押圧部材21bをボルト43で固定することにより共振器7をクランプ支持する第1クランプ手段21の構成と比較すると、図5および図6に示す、この実施形態の第1クランプ手段121では、簡単にワンタッチで共振器7をクランプ支持することができると共に、共振器7を支持装置144から取り外すことができる。
【0075】
このとき、押圧部材121bの緩衝構造部121fが有するスプリング構造121hの押圧部121eが共振器7に接触して共振器7がクランプ支持されて、スプリング構造121hにより、共振器7の振動の支持装置144への伝達が抑制されるため、共振器7を第1クランプ手段121によりクランプ支持する際に、第1クランプ手段121による共振器7のクランプ位置に多少の位置ずれが生じても、共振器7は適正に所定の固有振動数で共振することができる。
【0076】
また、第1クランプ手段121では、トグル機構200がロック状態に移行することにより、スプリング構造121hの押圧部121eが共振器7に接触して共振器7がクランプ支持されるため、図3および図4に示す第1クランプ手段21のように、ボルト43の締め付け状態を調整することにより第1クランプ手段21による共振器7のクランプ状態を微調整することができない。しかしながら、トグル機構200がロック状態に移行してスプリング構造121hの押圧部121eが共振器7に接触する際に、スプリング構造121hが共振器7を押圧する方向に弾性変形することで共振器7のクランプ状態が微調整される。
【0077】
したがって、トグル機構200がロック状態に移行した際に第1クランプ手段121によりクランプされるべき対象物の設計上の大きさと、共振器7の第1クランプ手段121によりクランプされる部分の大きさとに多少の製造誤差が生じても、第1クランプ手段121により共振器7を適正にクランプ支持することができる。
【0078】
また、図6に示すように、共振器7を支持した状態の支持装置144が上下駆動機構25により下降する際に、操作レバー203の下方に固定配置される係止部材を有する冶具(図示省略)をさらに備えていてもよい。このように構成すると、支持装置144の下降に伴い、操作レバー203の下方に固定配置された係止部材が操作レバー203の下側に係止し、支持装置144をさらに下降させることにより、係止部材が係止した操作レバー203が図6中矢印方向に移動するため、支持装置144のロック状態を冶具により解除することができる。
【0079】
また、冶具が有する係止部材が、図5に示すように、アンロック状態において、当接部121cに当接するように共振器7が配置された状態の支持装置144が上下駆動機構25により上昇する際に、操作レバー203の上方に固定配置されるようにするとよい。このように構成すると、支持装置144の上昇に伴い、操作レバー203の上方に固定配置された係止部材が操作レバー203の上側に係止し、支持装置144をさらに上昇させることにより、係止部材が係止した操作レバー203が図5中矢印方向に移動するため、冶具により支持装置144を共振器7を支持した状態でロック状態とすることができる。したがって、このように構成された冶具を用いることにより、必要に応じて共振器7を簡単に自動で交換することができる。
【0080】
<第3実施形態>
この発明の第3実施形態について図7を参照して説明する。図7は共振器の支持装置の第3実施形態を示す図であって、(a)は要部拡大図、(b)は(a)のB−B線矢視断面図である。この実施形態が上記した第1および第2実施形態と異なる点は、図7(a),(b)に示すように、支持装置244の第1クランプ手段221が有する押圧部材221bの緩衝構造部221fが、空洞221gが設けられることにより形成された振動板構造221hを備えている点である。その他の構成および動作は上記した第1実施形態と同様であるため、同一符号および相当符号を付すことにより、その構成および動作の説明は省略する。
【0081】
また、この実施形態では、第2クランプ手段は第1クランプ手段221と同一の振動板構造221hを備えるが、その構成および動作は第1クランプ手段221が備える振動板構造221hの構成および動作と同一であるため、その構成および動作の説明は、第1クランプ手段221が備える振動板構造221hの構成および動作を説明することにより省略する。以下では、第1クランプ手段221が有する2つの押圧部材221bのうち、一方の押圧部材221bの構成および動作の説明を行うことにより、他方の押圧部材221bの構成および動作については、その構成および動作の説明は省略する。
【0082】
押圧部材221bは、上記した第1および第2実施形態と同様に、本体部221dの先端に、共振器7の第1被支持部41の外周面に接触する押圧部221eを有する緩衝構造部221fが設けられている。
【0083】
緩衝構造部221fには、本体部221dを構成する板状部材の両面側から互い違いに押圧部221eと略平行に形成された空洞221gが設けられることにより形成された振動板構造221hが設けられている。振動板構造221hは、空洞221gが押圧部221eと略平行に設けられることにより形成された振動板221iを有しており、振動板221iの振動面221jは、押圧部221eが共振器7を押圧する方向にほぼ直交して形成されている。
【0084】
このように構成すると、押圧部材221bは、該押圧部材221bの本体部221dに設けられた緩衝構造部221f(振動板構造221h)の押圧部221eが共振器7の第1被支持部41に接触して該共振器7を押圧するため、支持装置244に伝達される共振器7の振動は緩衝構造部221fの振動板構造221hにより吸収され、支持装置244への共振器7の振動の伝達が抑制されて、共振器7および支持装置244が一体的に振動するのが防止されるため、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0085】
また、押圧部材221bに空洞221gを設けることで、振動面221jが共振器7を押圧する方向にほぼ直交して形成された振動板構造221hを、緩衝構造部221fに容易に形成することができるため実用的である。
【0086】
<第4実施形態>
この発明の第4実施形態について図8を参照して説明する。図8は共振器の支持装置の第4実施形態を示す図である。この実施形態が上記した第1実施形態と異なる点は、図8に示すように、支持装置44の第1クランプ手段21が有する当接部材21aに、送風口口301および排気口302を両端に有する通気穴303が設けられており、送風手段(図示省略)から送風口301に冷却用の空気が供給されて、供給された空気が排気口302から排気されることにより、第1クランプ手段21が冷却される点である。また、この実施形態では、図示省略されたヒータ(本発明の「加熱手段」に相当)により共振器7が加熱されることにより、上記した接合動作において接合対象が加熱されるように構成されている。なお、第1クランプ手段21に形成される送風口301および排気口302の位置や、通気穴303の第1クランプ手段21への配設態様や配設数は、図8に示す例に限られるものではなく、第1クランプ手段21の大きさや形状に応じて、適宜、通気穴303の第1クランプ手段21への配設態様および配設数を変更すればよい。
【0087】
また、その他の構成および動作は上記した第1実施形態と同様であるため、同一符号を付すことにより、その構成および動作の説明は省略する。また、この実施形態では、第2クランプ手段22は第1クランプ手段21と同一の通気穴303を備えるが、その構成および動作は第1クランプ手段21が備える通気穴303の構成および動作と同一であるため、その構成および動作の説明は、第1クランプ手段21が備える通気穴303の構成および動作を説明することにより省略する。
【0088】
以上のように、送風手段および通気穴303により本発明の「冷却手段」が構成されており、第1クランプ手段21は空冷されるが、液冷用の穴を当接部材21aに形成し、形成された液冷用の穴に冷却用の水や油などの液体を供給することにより、第1クランプ手段21を液冷してもよい。また、ペルチェ素子などの冷却素子により第1クランプ手段21を冷却してもよく、第1クランプ手段21を確実に冷却できる手段であれば、本発明の「冷却手段」をどのように構成してもよい。
【0089】
このように構成すると、ヒータなどの加熱手段により共振器7が加熱されたときに、冷却手段により第1クランプ手段21を冷却することにより、加熱された共振器7から熱が伝導することで第1クランプ手段21や基部20が昇温するのを防止することができるため、加熱された共振器7の熱が接合装置100の共振器支持部6に伝導するのを防止することができる。
【0090】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて上記した実施形態において説明した各構成をどのように組合わせてもよい。例えば、緩衝構造部21f、121f、221fを、ウレタンゴムやシリコンゴム、樹脂などの弾性部材により形成してもよい。このように構成すると、緩衝構造部21f,121f,221fが弾性部材により形成されることで、弾性部材の弾性により、より効率よく共振器7の振動がクランプ手段に伝達されるのを防止することができる。
【0091】
また、緩衝構造部が備える緩衝構造としては上記した例に限るものではなく、ダイアフラム型のエアシリンダなどを緩衝構造部に設けてもよい。また、上記したスプリング構造21h、121hを形成するスリット21g、121gの形成数や、上記した振動板構造221hを形成する空洞221gの形成数は、上記した例に限られるものではなく、1つであってもよいし、3つ以上形成してもよく、要は、共振器7の振動の支持装置への伝達が確実に抑制されればよい。
【0092】
また、共振器の形状、材質、大きさなどは、上記した例に限らず、どのようなものであってもよく、共振器の中心軸方向の長さは、共振器の共振周波数の一波長の長さに限らず、どのような長さであってもよい。また、支持装置44,144,244による共振器の支持位置は、上記した例のように2箇所に限られず、例えば、共振周波数の半波長の長さを有する共振器を支持する際には、共振器の1箇所を支持するのみでもよく、共振器の長さや大きさに応じて、支持装置44,144,244による共振器の支持位置の数を増やすなどして、適宜、変更すればよい。
【0093】
また、クランプ手段が備える当接部材および押圧部材の個数は上記した例に限らず、それぞれ少なくとも1つあればよく、それぞれ2個以上設けてももちろんよい。
【0094】
そして、共振器をクランプして支持するクランプ手段を備える共振器支持装置に本発明を広く適用することができる。
【符号の説明】
【0095】
7…共振器
21,121,221…第1クランプ手段
22…第2クランプ手段
21a,22a,121a…当接部材
21b,22b,121b,221b…押圧部材
21d,221d…本体部
21f,121f,221f…緩衝構造部
21g,121g…スリット
21h,121h…スプリング構造
44,144,244…支持装置
200…トグル機構
202…連結部材
221g…空洞
221h…振動板構造
221j…振動面
301…送風口(冷却手段)
302…排気口(冷却手段)
303…通気穴(冷却手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振器をクランプして支持するクランプ手段を備える共振器の支持装置において、
前記クランプ手段は、
前記共振器に当接する当接部材と、
前記共振器を前記当接部材に押圧する押圧部材とを備え、
前記押圧部材は、本体部と、前記本体部に設けられた緩衝構造部とを有し、前記緩衝構造部が前記共振器に接触して該共振器を押圧する
ことを特徴とする共振器の支持装置。
【請求項2】
前記緩衝構造部は、前記押圧部材にスリットが設けられることにより形成されたスプリング構造を有し、前記スプリング構造は、前記共振器を押圧する方向にばね力を有することを特徴とする請求項1に記載の共振器の支持装置。
【請求項3】
前記緩衝構造部は、前記押圧部材に空洞が設けられることにより形成された振動板構造を有し、前記振動板構造の振動面は、前記共振器を押圧する方向にほぼ直交して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の共振器の支持装置。
【請求項4】
前記緩衝構造部は、弾性部材により形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の共振器の支持装置。
【請求項5】
前記クランプ手段は、
前記当接部材および前記押圧部材と、前記当接部材と前記押圧部材とを連結する連結部材とにより形成されたトグル機構をさらに備え、前記トグル機構のロック状態において、前記当接部材および前記押圧部材により前記共振器をクランプすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の共振器の支持装置。
【請求項6】
前記共振器を加熱する加熱手段と、前記クランプ手段を冷却する冷却手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の共振器の支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−161767(P2012−161767A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25583(P2011−25583)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(307044493)株式会社アドウェルズ (24)
【Fターム(参考)】