説明

共鳴型無線電力伝送装置

【課題】送電側装置の電源から受電側装置の負荷へ電力を伝送する共鳴型無線電力伝送装置において、受電側から送電側に情報を伝送できる様にする。
【解決手段】受電側装置は、スイッチのオンオフにより負荷インピーダンスを所定の範囲で変化させる手段と、受電側装置から送電側装置へ伝送する送信データと負荷インピーダンスの変化を対応付けてスイッチのオンオフを制御する制御部とを備え、送電側装置は、送信データに対応する負荷インピーダンスの変化に応じて発生する電流または電圧の変化を検出し、送信データを復元する復調部を備え、受電側装置の制御部は、受電側装置と送電側装置で既知の信号を送信する構成であり、送電側装置の復調部は、復元した既知の信号からビット反転の有無を検出し、ビット反転している場合には後続する送信データをビット反転して出力する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電側装置から受電側装置へ給電するとともに受電側から送電側に情報を伝送する共鳴型無線電力伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の2次電池の充電や、非接触ICカード、RFIDタグ等への電力供給には、有線接続を要しない給電方法が採用されている。これを実現する手段の代表例は電磁誘導方式である。電磁誘導方式の無線電力伝送装置では、送電側と受電側とにコイルを配置し、両者が近接して送電側コイルの磁束が受電側コイルを通過することで、受電側に電力が得られる。この詳細な原理は非特許文献1に記載されている。電磁誘導方式は一般に、十分な伝送効率を得るために、送受信コイルは近接して漏れ磁束を少なくする方法がとられる。
【0003】
このような無線電力伝送装置では、装置の認証等のため、送電側と受電側とが通信を行う場合がある。ここで、送電側から受電側への通信回線を下りリンク、受電側から送電側への通信回線を上りリンクと呼ぶ。電磁誘導を用いて下りリンクを構成するには、送信する電力に変調を加える方法が用いられる。電磁誘導を用いて上りリンクを構成するには、受電側で負荷インピーダンスを変化させ、その変化を送電側で検出する負荷変調が用いられる。
【0004】
図8は、無線電力伝送装置の構成例を示す。
図8において、送電側装置10の電源11に接続される送電側コイル13と、受電側装置20の負荷23に接続される受電側コイル22が電磁誘導で電気的に結合し、電源11から負荷23に電力が供給される。さらに、受電側コイル22と負荷23との間に制御部26により開閉するスイッチ25を挿入し、送電側コイル13に復調部12を接続する。制御部26は、上りリンクで送信する送信データに対応してスイッチ25をオンオフすることにより、受電側装置20の負荷インピーダンスが変化する。送電側装置10の復調部12は、これを電流または電圧の変化として検出し、受電側装置20から送信された送信データを復元する。
【0005】
また、近年では、ある程度(例えば1m)の伝送距離を有する場合でも高い給電効率が得られる共鳴型無線電力伝送装置が提案されている(非特許文献2)。
【0006】
図9は、共鳴型無線電力伝送装置の構成例を示す。
図9において、送電側装置10の送電側コイル13と電磁誘導で電気的に結合する送電側共鳴コイル14と、受電側装置20の受電側コイル22と電磁誘導で電気的に結合する受電側共鳴コイル25との共鳴現象によって電力が伝達される。共鳴は特定の周波数でのみ発生する。図10は共鳴コイルのSパラメータ(S21) の例を示す。図よりピークが得られる周波数は限定的であること、負荷に依存してピークの周波数が変動することがわかる。また、ピークの周波数は、送電側装置10と受電側装置20との間隔によっても変動する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】苅部浩、「非接触ICカード設計入門」、日刊工業新聞社.
【非特許文献2】Aristeidis Karalis, J.D. Joannopoulos and Marin Soljacic, 'Efficient wireless non-radiative mid-range energy transfer,' Annals of Physics, Vol.323 Issue 1, pp.34-48, Apr 2007.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図9に示す共鳴型無線電力伝送装置においても、受電側で負荷インピーダンスを変化させる負荷変調により、受電側から送電側に送信データを伝送することができる。このとき、送電側の電源周波数を共鳴周波数に一致させる必要があるが、その場合でも送電側装置と受電側装置との距離等の設置条件によっては、負荷変調による負荷インピーダンスの高低と、送電側で検出される電流または電圧の大小との対応が逆転することがある(後述する図2および図3を参照)。その結果、送信データがビット反転して受信され、正しい情報伝送ができなくなる。すなわち、上りリンクを用いた受電側装置の認証や、受電側から受電状態の通知を受けて送電側で電源周波数を調整する等の制御ができなくなる。
【0009】
本発明は、送信データのビット反転に拘らず受電側から送電側への送信データの伝送を可能にする共鳴型無線電力伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、送電側装置の送電側コイルと電磁誘導で電気的に結合される送電側共鳴コイルと、受電側装置の受電側コイルと電磁誘導で電気的に結合される受電側共鳴コイルとの間の共鳴現象を利用し、送電側装置の電源から受電側装置の負荷へ電力を伝送する共鳴型無線電力伝送装置において、受電側装置は、スイッチのオンオフにより負荷インピーダンスを所定の範囲で変化させる手段と、受電側装置から送電側装置へ伝送する送信データと負荷インピーダンスの変化を対応付けてスイッチのオンオフを制御する制御部とを備え、送電側装置は、送信データに対応する負荷インピーダンスの変化に応じて発生する電流または電圧の変化を検出し、送信データを復元する復調部を備え、受電側装置の制御部は、受電側装置と送電側装置で既知の信号を送信する構成であり、送電側装置の復調部は、復元した既知の信号からビット反転を有無を検出し、ビット反転している場合には後続する送信データをビット反転して出力する構成である。
【0011】
ここで、既知の信号は複数ビットのビット列とし、送電側装置の復調部は、復元した信号と既知の信号との相関検出を行ってビット反転の有無を検出する構成としてもよい。
【0012】
また、受電側装置の制御部は、送信データをバースト信号として送信し、かつ当該送信データの送信開始前に既知の信号として1ビットの信号を送信する構成であり、送電側装置の復調部は、復元した1ビットの既知の信号からビット反転を有無を検出し、ビット反転している場合には後続する送信データをビット反転して出力する構成としてもよい。
【0013】
第2の発明は、送電側装置の送電側コイルと電磁誘導で電気的に結合される送電側共鳴コイルと、受電側装置の受電側コイルと電磁誘導で電気的に結合される受電側共鳴コイルとの間の共鳴現象を利用し、送電側装置の電源から受電側装置の負荷へ電力を伝送する共鳴型無線電力伝送装置において、受電側装置は、スイッチのオンオフにより負荷インピーダンスを所定の範囲で変化させる手段と、受電側装置から送電側装置へ伝送する送信データと負荷インピーダンスの変化を対応付けてスイッチのオンオフを制御する制御部とを備え、送電側装置は、送信データに対応する負荷インピーダンスの変化に応じて発生する電流または電圧の変化を検出し、送信データを復元する復調部を備え、受電側装置の制御部は、受電側装置と送電側装置で既知のビット列を送信データとして用い、当該既知のビット列を反転したビット列を送信データとして用いない構成であり、送電側装置の復調部は、復元した信号についてビット反転した信号とビット反転しない信号とを生成し、既知のビット列に一致する信号を送信データとして出力する構成である。
【0014】
第3の発明は、送電側装置の送電側コイルと電磁誘導で電気的に結合される送電側共鳴コイルと、受電側装置の受電側コイルと電磁誘導で電気的に結合される受電側共鳴コイルとの間の共鳴現象を利用し、送電側装置の電源から受電側装置の負荷へ電力を伝送する共鳴型無線電力伝送装置において、受電側装置は、スイッチのオンオフにより負荷インピーダンスを所定の範囲で変化させる手段と、受電側装置から送電側装置へ伝送する送信データと負荷インピーダンスの変化を対応付けてスイッチのオンオフを制御する制御部とを備え、送電側装置は、送信データに対応する負荷インピーダンスの変化に応じて発生する電流または電圧の変化を検出し、送信データを復元する復調部を備え、受電側装置の制御部は、受電側装置と送電側装置で既知のビット列を送信データとして用い、当該既知のビット列を反転したビット列を送信データとして用いない構成であり、かつ送信データとしてビット反転した信号とビット反転しない信号とを交互に出力する構成であり、送電側装置の復調部は、復元した信号について既知のビット列に一致する信号を送信データとして出力する構成である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の共鳴型無線電力伝送装置は、負荷変調による負荷インピーダンスの高低と送電側で検出される電流または電圧の大小との対応が逆転して出力された場合にもビット列を修正し、送信データを確実に伝送することができる。すなわち、負荷変調による情報の伝送精度を高め、認証や受電側からの受電状態通知に基づく送電側の電源周波数の調整などを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の共鳴型無線電力伝送装置の構成例を示す図である。
【図2】送信データと受信波形の例1を示すタイミングチャートである。
【図3】送信データと受信波形の例2を示すタイミングチャートである。
【図4】復調部12の第1の構成例を示す図である。
【図5】制御部26および復調部12の第2の構成例を示す図である。
【図6】復調部12の第3の構成例を示す図である。
【図7】制御部26および復調部12の第4の構成例を示す図である。
【図8】無線電力伝送装置の構成例を示す図である。
【図9】共鳴型無線電力伝送装置の構成例を示す図である。
【図10】共鳴コイルのSパラメータ(S21)の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の共鳴型無線電力伝送装置の構成例を示す。
図1において、共鳴型無線電力伝送装置は、電力の送電を担う送電側装置10と、送電された電力を受け取る受電側装置20とからなり、受電側装置20から送電側装置10に送信データを伝送するための構成を含む。送電側装置10から受電側装置20への電力、送信データの流れが下り、受電側装置20から送電側装置10への送信データの流れが上りである。
【0018】
送電側装置10は、電源11、受電側装置20から送られた上り送信データを復元する復調部12、送電側コイル13、送電側共鳴コイル14、電源11の電源周波数を調整する周波数調整部15を備える。受電側装置20は、受電側共鳴コイル21、受電側コイル22、負荷23、抵抗24、スイッチ25、制御部26を備える。送電側コイル13と送電側共鳴コイル14とは電磁誘導で電気的に結合している。送電側共鳴コイル14と受電側共鳴コイル21とは共鳴により電気的に結合している。受電側共鳴コイル21と受電側コイル22とは電磁誘導で電気的に結合している。これにより電源11から負荷23および制御部26に給電することができる。
【0019】
上りリンクで伝送される送信データは、送電側装置10および受電側装置20を認証するためのものでもよいし、受電側装置20が通信端末である場合の上りデータであってもよい。ここで、簡単のため負荷23単体のインピーダンスは不変とし、図中のB−B’から右側をみたインピーダンスを負荷インピーダンスと呼ぶ。負荷インピーダンスは、スイッチ25のオンオフで抵抗24の通過の有無を選択することにより、2つの状態を取り得る。制御部26は、送信データに応じてスイッチ25をオンオフし、負荷インピーダンスを変化させる構成である。ただし、本実施例の構成では、スイッチ25がオンの場合もオフの場合も負荷23への接続は開放されないため、負荷23への電力供給は継続される。
【0020】
なお、図1の構成では、抵抗24とスイッチ25が並列に接続され、抵抗24と負荷23とが直列に接続されているが、抵抗24とスイッチ25を直列に接続し、抵抗24と負荷23とを並列に接続してもよい。
【0021】
受電側装置20と送電側装置10とは電気的に結合しているため、負荷インピーダンスの変化は送電側装置10のA−A’から受電側装置20をみたインピーダンスの変化となり、電流または電圧の変化として現れる。復調部12はこの変化を検出し、受電側装置20から送信された送信データを復元する。
【0022】
図2は、送電側装置10の復調部12における電流または電圧を包絡線検波した波形を表しており、送信データの変化に連動して電流または電圧が変化するのがわかる。これは、送電側装置10の電源周波数と共鳴周波数が一致している例であり、送信データの1と受信波形の振幅の上昇とが対応し、送信データの0と受信波形の振幅の下降とが対応している。復調部12はこの変化を適当なタイミングでサンプリングすることにより、受電側装置20から送信された送信データを復元することができる。
【0023】
ところで、共鳴周波数が複数存在するため、送電側装置10の電源周波数が別な共鳴周波数になる場合や、送電側装置10と受電側装置20の距離等の設置条件によっては、負荷変調による負荷インピーダンスの高低と、送電側から受電側をみたときのインピーダンスの高低および送電側で検出される電流または電圧の大小との対応が逆転することがある。図3は、この場合の送信ビットと受信波形の関係を示す。ここでは、送信データの1と受信波形の振幅の下降とが対応し、送信データの0と受信波形の振幅の上昇とが対応し、図2の場合と逆転している。すなわち、図2の受信波形を想定して送信データを復元すると、全ビットが反転した信号が得られることになる。しかし、得られたビット列のみを参照しただけでは、ビット列が反転しているかいないかは判別できない。そこで、以下に示す手段を用いてこの問題を解決する。
【0024】
図4は、復調部12の第1の構成例を示す。
図4において、復調部12は、検波部120、A/D変換部121、符号判定部122、相関検出部123、パターン記憶部124、ビット反転部125により構成される。
【0025】
検波部120は、受信波形、すなわち送電側装置10における電流または電圧を検波する。これは、包絡線を抽出するAM検波回路で実現できる。この検波出力をA/D変換部121でデジタル化し、符号判定部122でビット判定して出力する。ここで、受電側装置20からの送信データには送電側および受電側の双方で既知の信号が付加されているものとし、これをパターン記憶部124が保有している。この既知の信号には、例えば、バースト信号の先頭に付与されるプリアンブル信号や、連続信号の中の特定のタイミングで付与されるパイロット信号を用いることができる。
【0026】
相関検出部123は、例えばプリアンブル部に相当するタイミングの符号判定部122の出力ビット列と、パターン記憶部124が保有している既知の信号とを比較する。ビットが反転していない場合には正の相関が得られ、ビットが反転している場合には負の相関が得られる。符号判定部122の出力ビット列を入力するビット反転部125は、相関検出部123で正の相関のビット列に対しては符号を反転せずに出力し、負の相関のビット列に対しては符号を反転して出力する。
【0027】
これにより、負荷変調による負荷インピーダンスの高低と送電側で検出される電流または電圧の大小との対応が逆転して出力された場合にもビット列を修正し、正しい信号を伝送することができる。すなわち、負荷変調による情報の伝送精度を高めることができる。
【0028】
図5は、制御部26および復調部12の第2の構成例を示す。
図5において、制御部26は、ビット1出力部261およびスイッチ262により構成される。復調部12は、検波部120、A/D変換部121、符号判定部122、バースト検出部126により構成される。ここで、検波部120、A/D変換部121、符号判定部122の機能は、図4に示す第1の構成例のものと同様である。
【0029】
本構成例の制御部26および復調部12を用いるためには、上りリンクの送信データは間欠的に生じるバースト信号とする。図1に示す受電側装置20のスイッチ25は常時オフのときに受電のみを行い、送信データを送信しない状態とする。送信データが1でスイッチ25がオン、送信データが0でスイッチ25がオフで、スイッチ25がオンオフするときに送信データを送信する状態とする。
【0030】
制御部26は、送信データをスイッチ262を介して出力するが、送信データを送信しない初期状態ではスイッチ25をオフとする0のみを出力する。ここで、バースト信号として送信データの送信を開始するときに、スイッチ262はビット1出力部261に切り替えてビット1を出力し、スイッチ25をオンとした後にスイッチ262を送信データに切り替える。すなわち、当該ビット1が送信データの開始となる。
【0031】
復調部12では、第1の構成例と同様に送信データを復元するが、バースト検出部126で送信データの開始となるビット1に対応する電流または電圧の変化(増加または減少)を検出し、符号判定部122に通知する。符号判定部122は、送信データの開始となるビット1に対応する電流または電圧が減少した場合はビット反転になっているので、以後の受信信号に対して元の電流または電圧が生じれば0、電流または電圧が減少すれば1を出力する。同様に、送信データの開始となるビット1に対応する電流または電圧が増加した場合はビット反転になっていないので、以後の受信信号に対して元の電流または電圧が生じれば0、電流または電圧が増加すれば1を出力する。すなわち、本構成例は、第1の構成例における既知のプリアンブルが1ビットで1の場合に相当する。
【0032】
これにより、負荷変調による負荷インピーダンスの高低と送電側で検出される電流または電圧の大小との対応が逆転して出力された場合にもビット列を修正し、正しい信号を伝送することができる。すなわち、負荷変調による情報の伝送精度を高めることができる。
【0033】
図6は、復調部12の第3の構成例を示す。
図6において、復調部12は、検波部120、A/D変換部121、符号判定部122、ビット反転部127、出力選択部128により構成される。ここで、検波部120、A/D変換部121、符号判定部122の機能は、図4に示す第1の構成例のものと同様である。
【0034】
本構成例の復調部12を用いるためには、受電側装置20から送信する送信データとして送電側および受電側の双方で既知のビット列を用意する。簡単のため、所定の送信データを4ビットで構成し、そのビット列を「1101」とする。復調部12でビット列が反転した場合は「0010」となるので、この反転したビット列が送信データとして割り当てられないように送信データを構成する。
【0035】
符号判定部122は、符号判定したビット列(ここでは4ビット)をビット反転部127と出力選択部128に出力する。ビット反転部127は、符号判定部122から出力されたビット列を反転して出力選択部128に出力する。出力選択部128は、符号判定部122から出力されるビット列と、ビット反転部127から出力される反転したビット列の内、既知のビット列と一致するビット列を送信データとして出力する。なお、出力選択部128は、符号判定部122とビット反転部127の各出力を交互に出力するスイッチを用い、その一方は送信データとして既知のビット列であるため有意な送信データとして出力し、他方は既知のビット列ではないため破棄する構成でもよい。
【0036】
これにより、負荷変調による負荷インピーダンスの高低と送電側で検出される電流または電圧の大小との対応が逆転して出力された場合にもビット列を修正し、正しい信号を伝送することができる。すなわち、負荷変調による情報の伝送精度を高めることができる。
【0037】
図7は、制御部26および復調部12の第4の構成例を示す。
図7において、制御部26は、ビット反転部263およびスイッチ262により構成される。復調部12は、検波部120、A/D変換部121、符号判定部122、出力選択部129により構成される。ここで、検波部120、A/D変換部121、符号判定部122の機能は、図4に示す第1の構成例のものと同様である。
【0038】
本構成例の制御部26および復調部12を用いるためには、復調部12の第2の構成例の場合と同様に、受電側装置20から送信する送信データとして送電側および受電側の双方で既知のビット列を用意し、その反転したビット列が送信データとして割り当てられないように送信データを構成する。
【0039】
制御部26では、送信データのビット列をビット反転部263とスイッチ262に入力する。ビット反転部263は、入力するビット列を反転してスイッチ262に出力する。スイッチ262はバッファ機能を有し、入力するビット列と、ビット反転部263から出力される反転したビット列を交互に出力し、図1に示す受電側装置20のスイッチ25のオンオフを制御する。したがって、受電側装置20は、既知のビット列で表される所定の送信データと、そのビット列を反転させた信号を交互に送信することになる。
【0040】
復調部12では、第1の構成例と同様に送信データを復元するが、符号判定部123の出力を出力選択部129で既知のビット列と比較する。ここで、送信データのビット反転が生じても、その一方は送信データとして既知のビット列であるため、有意な送信データとして出力し、他方は既知のビット列ではないため破棄する。
【0041】
これにより、負荷変調による負荷インピーダンスの高低と送電側で検出される電流または電圧の大小との対応が逆転して出力された場合にもビット列を修正し、正しい信号を伝送することができる。すなわち、負荷変調による情報の伝送精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0042】
10 送電側装置
11 電源
12 復調部
120 検波部
121 A/D変換部
122 符号判定部
123 相関検出部
124 パターン記憶部
125 ビット反転部
126 バースト検出部
127 ビット反転部
128,129 出力選択部
13 送電側コイル
14 送電側共鳴コイル
20 受電側装置
21 受電側共鳴コイル
22 受電側コイル
23 負荷
24 抵抗
25 スイッチ
26 制御部
261 ビット1出力部
262 スイッチ
263 ビット反転部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電側装置の送電側コイルと電磁誘導で電気的に結合される送電側共鳴コイルと、受電側装置の受電側コイルと電磁誘導で電気的に結合される受電側共鳴コイルとの間の共鳴現象を利用し、送電側装置の電源から受電側装置の負荷へ電力を伝送する共鳴型無線電力伝送装置において、
前記受電側装置は、スイッチのオンオフにより負荷インピーダンスを所定の範囲で変化させる手段と、前記受電側装置から前記送電側装置へ伝送する送信データと前記負荷インピーダンスの変化を対応付けて前記スイッチのオンオフを制御する制御部とを備え、
前記送電側装置は、前記送信データに対応する前記負荷インピーダンスの変化に応じて発生する電流または電圧の変化を検出し、前記送信データを復元する復調部を備え、
前記受電側装置の制御部は、前記受電側装置と前記送電側装置で既知の信号を送信する構成であり、
前記送電側装置の復調部は、復元した前記既知の信号からビット反転を有無を検出し、ビット反転している場合には後続する送信データをビット反転して出力する構成である
ことを特徴とする共鳴型無線電力伝送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の共鳴型無線電力伝送装置において、
前記既知の信号は複数ビットのビット列とし、
前記送電側装置の復調部は、復元した信号と前記既知の信号との相関検出を行ってビット反転の有無を検出する構成である
ことを特徴とする共鳴型無線電力伝送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の共鳴型無線電力伝送装置において、
前記受電側装置の制御部は、前記送信データをバースト信号として送信し、かつ当該送信データの送信開始前に前記既知の信号として1ビットの信号を送信する構成であり、
前記送電側装置の復調部は、復元した前記1ビットの既知の信号からビット反転を有無を検出し、ビット反転している場合には後続する送信データをビット反転して出力する構成である
ことを特徴とする共鳴型無線電力伝送装置。
【請求項4】
送電側装置の送電側コイルと電磁誘導で電気的に結合される送電側共鳴コイルと、受電側装置の受電側コイルと電磁誘導で電気的に結合される受電側共鳴コイルとの間の共鳴現象を利用し、送電側装置の電源から受電側装置の負荷へ電力を伝送する共鳴型無線電力伝送装置において、
前記受電側装置は、スイッチのオンオフにより負荷インピーダンスを所定の範囲で変化させる手段と、前記受電側装置から前記送電側装置へ伝送する送信データと前記負荷インピーダンスの変化を対応付けて前記スイッチのオンオフを制御する制御部とを備え、
前記送電側装置は、前記送信データに対応する前記負荷インピーダンスの変化に応じて発生する電流または電圧の変化を検出し、前記送信データを復元する復調部を備え、
前記受電側装置の制御部は、前記受電側装置と前記送電側装置で既知のビット列を前記送信データとして用い、当該既知のビット列を反転したビット列を前記送信データとして用いない構成であり、
前記送電側装置の復調部は、復元した信号についてビット反転した信号とビット反転しない信号とを生成し、前記既知のビット列に一致する信号を前記送信データとして出力する構成である
ことを特徴とする共鳴型無線電力伝送装置。
【請求項5】
送電側装置の送電側コイルと電磁誘導で電気的に結合される送電側共鳴コイルと、受電側装置の受電側コイルと電磁誘導で電気的に結合される受電側共鳴コイルとの間の共鳴現象を利用し、送電側装置の電源から受電側装置の負荷へ電力を伝送する共鳴型無線電力伝送装置において、
前記受電側装置は、スイッチのオンオフにより負荷インピーダンスを所定の範囲で変化させる手段と、前記受電側装置から前記送電側装置へ伝送する送信データと前記負荷インピーダンスの変化を対応付けて前記スイッチのオンオフを制御する制御部とを備え、
前記送電側装置は、前記送信データに対応する前記負荷インピーダンスの変化に応じて発生する電流または電圧の変化を検出し、前記送信データを復元する復調部を備え、
前記受電側装置の制御部は、前記受電側装置と前記送電側装置で既知のビット列を前記送信データとして用い、当該既知のビット列を反転したビット列を前記送信データとして用いない構成であり、かつ前記送信データとしてビット反転した信号とビット反転しない信号とを交互に出力する構成であり、
前記送電側装置の復調部は、復元した信号について前記既知のビット列に一致する信号を前記送信データとして出力する構成である
ことを特徴とする共鳴型無線電力伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−60730(P2012−60730A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199726(P2010−199726)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】