説明

内燃機関のピストン測温装置

【課題】使用条件下で要求される耐久強度を十分に有することが可能な内燃機関のピストン測温装置を提供する。
【解決手段】電磁誘導を用いてピストンを含む運動部品の温度を計測する内燃機関のピストン測温装置であって、エンジンブロック側には、送信コイルと、受信コイルと、前記送信コイル及び前記受信コイルが巻回されるとともに磁界を形成するための磁性材料からなる支持体が設けられ、前記支持体のうち前記送信コイル及び前記受信コイルが巻回されている部分は、前記支持体の破壊強度よりも高い強度を有する材料の保護部材により覆われていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のピストン測温装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関のピストンの測温は、硬度法または熱電対法によって行われている。硬度法には、試験時間がかかり、測定誤差が大きく、最高履歴温度のみの推定しかできないという問題がある。一方、熱電対法には、測定装置の製作に多大な工数が必要であること、測定可能な気筒が制限されること、長時間の測定が困難であること、計測中での熱電対の断線が頻繁に発生すること等の種々の問題がある。
【0003】
これに対して、ピストン測温に電磁誘導法を適用させる試みがなされてきた(下記特許文献1〜3)。この電磁誘導法によるピストン測温にあたっては、例えば、電気学会論文集(電学論)C112巻2号により開示されている。この論文集によれば、ピストン測温の原理は次のようなものである。図8にて示すように、送信コイル101及び受信コイル102が、その各軸にて、図示しないピストン軸に対し直交するように、同軸的にかつ相互に間隔をおいて配置される。そして、共振コイル103が、送信コイル101と受信コイル102との間の中間位置にてこれらと同軸的に配置されるように上記ピストンの底壁に装着される。また、サーミスタからなる抵抗測温素子104が、共振コイル103と共に直列閉回路を形成するように、共振コイル103に接続される。
【0004】
このような構成のもとに、高周波発振器105から送信コイル101に高周波電流を流すと、受信コイル102に誘導電流が生ずる。そして、ピストンの下動により共振コイル103が送信コイル101と受信コイル102との間の中間位置に達すると、この共振コイル103と受信コイル102との間に電磁誘導作用が生じる。このような状態で、抵抗測温素子104の抵抗値が、温度によって変動すると、共振コイル103の誘導電流が変化し、その結果、受信コイル102の誘導電流も変化する。そこで、このような現象を利用して、受信コイル102の出力電圧の波高値を、オシロスコープ106により測定することで、測温素子104を設けた部位(ピストンの部位)の温度を測定する。
【0005】
【特許文献1】特開平9−292287号公報
【特許文献2】特開平9−292288号公報
【特許文献3】特開平8−278205号公報
【特許文献4】特開平5−133251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように電磁誘導式のピストン温度測定の方法に関しては、すでに確立されている。同方法において、上記送信コイル及び受信コイルは、例えばフェライトのような強磁性材料からなる支持体に巻回されて支持される。同支持体は、支持部材を介して、または直接的に、内燃機関のシリンダブロックなどの固定部材に立設されている。これら送信コイル、受信コイル、及び上記支持体を有する固定側モジュールは、高温下の条件で内燃機関の振動を受ける箇所に設置されているため、これらの条件に耐久するだけの強度が必要となる。
【0007】
一方、ピストンの下死点付近では、上記固定側モジュールの支持体に対して、ピストン側に設置された共振コイルが挿通する(共振コイルの内径側部分と支持体の外径側部分とが対向する)が、この場合、ピストン測温装置の計測精度及び信頼性の向上の観点からは、この挿通時の両者間のクリアランスを充分かつ正確に確保することが望ましい。
【0008】
本発明の目的は、使用条件下で要求される耐久強度を十分に有することが可能な内燃機関のピストン測温装置を提供することである。
本発明の他の目的は、計測精度及び信頼性を向上させることが可能な内燃機関のピストン測温装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内燃機関のピストン測温装置は、電磁誘導を用いてピストンを含む運動部品の温度を計測する内燃機関のピストン測温装置であって、エンジンブロック側には、送信コイルと、受信コイルと、前記送信コイル及び前記受信コイルが巻回されるとともに磁界を形成するための磁性材料からなる支持体が設けられ、前記支持体のうち前記送信コイル及び前記受信コイルが巻回されている部分は、前記支持体の破壊強度よりも高い強度を有する材料の保護部材により覆われていることを特徴としている。
【0010】
本発明の内燃機関のピストン測温装置は、電磁誘導を用いてピストンを含む運動部品の温度を計測する内燃機関のピストン測温装置であって、エンジンブロック側には、送信コイルと、受信コイルと、前記送信コイル及び前記受信コイルが巻回されるとともに磁界を形成するための磁性材料からなる支持体が設けられ、前記ピストン側には、共振コイルと、前記共振コイルが巻回されるコイルボビンとが設けられ、前記支持体のうち前記ピストンの下死点側において前記コイルボビンによって囲まれる部分は、前記支持体の破壊強度よりも高い強度を有する材料の保護部材により覆われていることを特徴としている。
【0011】
本発明の内燃機関のピストン測温装置は、電磁誘導を用いてピストンを含む運動部品の温度を計測する内燃機関のピストン測温装置であって、エンジンブロック側には、磁界を形成するための磁性材料からなる支持体が設けられ、前記支持体には、大径部と、前記大径部よりも径の小さい小径部とが形成され、前記小径部に、送信コイルと受信コイルとが巻回され、前記支持体のうち、前記小径部と前記大径部との段差部は、前記支持体の破壊強度よりも高い強度を有する材料の保護部材により覆われていることを特徴としている。
【0012】
本発明の内燃機関のピストン測温装置において、更に、前記支持体を前記エンジンブロック側に支持させるボデーを備え、前記ボデーと前記保護部材は、一体構造とされていることを特徴としている。
【0013】
本発明の内燃機関のピストン測温装置において、前記保護部材は、前記支持体の上部を覆うように構成され、更に、前記支持体の下方向の動きを抑制するストッパーを備えたことを特徴としている。
【0014】
本発明の内燃機関のピストン測温装置において、前記ストッパーには、前記送信コイル及び前記受信コイルの配線を通すための切欠部が形成されていることを特徴としている。
【0015】
本発明の内燃機関のピストン測温装置において、前記支持体には、断面形状が非円形形状に形成された非円形部分が設けられ、前記ストッパーには、前記支持体の前記非円形部分の少なくとも一部と面接触する面接触部が設けられていることを特徴としている。
【0016】
本発明の内燃機関のピストン測温装置において、前記支持体と前記保護部材との間には、接着剤が充填されていることを特徴としている。
【0017】
本発明の内燃機関のピストン測温装置において、前記ピストン側には、共振コイルと、前記共振コイルが巻回されるコイルボビンとが設けられ、前記支持体を前記エンジンブロック側に支持させるボデーを備え、前記送信コイル及び前記受信コイルの配線又は前記配線に接続された接続配線は、前記ボデーのうち前記ピストンの下死点側において前記コイルボビンの下面と対向する対向面が概ね平面となるように前記対向面以外の箇所から引き出されていることを特徴としている。
【0018】
本発明の内燃機関のピストン測温装置において、前記送信コイル及び前記受信コイルの配線と、エンジンの外部に接続される接続配線とは、フレキシブル基板又はピンを含む中継要素を用いて接続されていることを特徴としている。
【0019】
本発明の内燃機関のピストン測温装置において、前記ピストン側には、共振コイルと、前記共振コイルが巻回されるコイルボビンとが設けられ、前記コイルボビンは、ボビンボデーに設けられ、前記コイルボビンは、前記ボビンボデーと前記ピストンの面とにより取り囲まれることを特徴としている。
【0020】
本発明の内燃機関のピストン測温装置において、前記コイルボビンの外形形状は、非円形形状に形成されていることを特徴としている。
【0021】
本発明の内燃機関のピストン測温装置において、前記ピストン側には、共振コイルと、前記共振コイルが巻回されるコイルボビンとが設けられ、前記コイルボビンは、ボビンボデーに設けられ、前記ボビンボデーと前記コイルボビンとの間には、接着剤が充填されていることを特徴としている。
【0022】
本発明の内燃機関のピストン測温装置において、前記ピストン側には、共振コイルが設けられ、前記共振コイルに接続された端子は、前記ピストンを含む導電性部材と接触しないように非導電性の部材で覆われていることを特徴としている。
【0023】
本発明の内燃機関のピストン測温装置において、前記支持体を前記エンジンブロック側に支持させるボデーを備え、前記ピストン側には、共振コイルと、前記共振コイルが巻回されるコイルボビンと、前記コイルボビンが設けられるボビンボデーとが設けられ、前記ボデー及び前記ボビンボデーのそれぞれにおいて、ねじが取り付けられる部分には、カラーが設けられていることを特徴としている。
【0024】
本発明の内燃機関のピストン測温装置は、電磁誘導を用いてピストンを含む運動部品の温度を計測する内燃機関のピストン測温装置であって、エンジンブロック側には、送信コイルと、受信コイルと、前記送信コイル及び前記受信コイルが巻回されるとともに磁界を形成するための磁性材料からなる支持体が設けられ、前記支持体には、前記送信コイル及び前記受信コイルの配線を収めるための溝が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、使用条件下で要求される耐久強度を十分に有することが可能な内燃機関のピストン測温装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図1から図7−3を参照して、本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態としてピストン測温センサについて説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係るピストン測温センサが内燃機関に適用された例を示す正断面図である。図1に示すように、ピストン測温センサ100は、固定側モジュール3と、運動側モジュール2とを備えている。固定側モジュール3は、内燃機関Eの一の気筒C内に配設され、エンジンブロックに固定されている。但し、固定側モジュール3の取付位置は、エンジンブロックに限定されず、エンジンブロックのように内燃機関Eの運動しない箇所であればよい。運動側モジュール2は、ピストン1に取り付けられている。但し、運動側モジュール2の取付位置は、ピストン1に限定されず、ピストン1のような運動部品であればよい。
【0028】
固定側モジュール3の詳細を図2−1〜図2−6に示す。
図2−1は、固定側モジュール3を示す平面図である。図2−2は、同正面図である。図2−3は、固定側モジュール3を示す底面図である。図2−4は、図2−3において接着剤18が塗布される前の状態を示す底面図である。図2−5は、図2−1のA−A断面図である。図2−6は、図2−1のB−B断面図である。
【0029】
図2−5に示すように、固定側モジュール3には、3つのコイルユニットUが搭載されている。ここで、コイルユニットUは、フェライトコア21と送信コイル22と受信コイル23とを一つづつ備えている。固定側モジュール3が有するコイルユニットUの数は、3に限定されず、1つでもよいし、3以外の複数でもよい。
【0030】
運動側モジュール2の詳細を図6−1〜図6−4に示す。
図6−1は、運動側モジュール2を示す平面図である。図6−2は、図6−1のA−B−C−D−E−F断面図である。図6−3は、運動側モジュール2の正面図である。図6−4は、運動側モジュール2の底面図である。
【0031】
図6−2に示すように、運動側モジュール2には、3つの共振コイル55が搭載されている。運動側モジュール2が有する共振コイル55の数は、固定側モジュール3が有するコイルユニットUの数に対応して、1又は3以外の複数でもよい。固定側モジュール3の送信コイル22及び受信コイル23と、運動側モジュール2の共振コイル55の1組により1チャンネル分のセンサが構成される。
【0032】
図1には、1組の固定側モジュール3と運動側モジュール2のみが示されている。その1組のモジュールに対して、上記のように、3組のコイルユニットUが搭載されている。但し、ピストン測温センサ100は、その搭載条件次第で、1つの気筒Cに対して複数のモジュールの組を搭載することが可能であり、また、上記のように、1組のモジュールに対して任意の組数のコイルユニットUが搭載されることが可能である。
【0033】
図1に示すように、固定側モジュール3は、支持部材4を介して、内燃機関Eのシリンダブロックに接続されている。ここで、固定側モジュール3は、ある気筒C内を運動するピストン1に連結されるクランクシャフト、クランクシャフトのカウンターウエイト、コンロッドのような運動部品が接触しない場所、もしくは運動部品が接触しない場所が存在しない場合には運動部品を削り、接触しないようにした場所において、内燃機関Eのシリンダブロックのような固定部品に対して、直接または直接が不可能な場合には支持部材4を介して接続されることができる。
【0034】
図2−5に示すように、固定側モジュール3は、送信コイル22と受信コイル23を有しており、これら送信コイル22と受信コイル23は、棒状のフェライトコア21に巻装支持されている。図1に示すように、フェライトコア21は、支持部材4を介してシリンダブロックに立設されている。送信コイル22および受信コイル23は、フェライトコア21の軸方向上下に間隔を置いて配置されている。図1に示すように、各コイルユニットUの送信コイル22には、高周波送受信装置6から高周波電流が流される。これにより、送信コイル22の各々が、フェライトコア21を通過する際に磁界を形成し、対応する受信コイル23に電磁誘導作用のもとに誘導電流を発生させる。
【0035】
運動側モジュール2は、ある気筒C内のピストン1の底壁部1a等に配置されている。抵抗測温素子5は、例えばサーミスタによって構成され、ピストン1の測温部に設けられている。コイルユニットUと同じ個数の抵抗測温素子5がそれぞれピストン1の各測温部に設けられている。
【0036】
図1、図2−5及び図6−2に示すように、共振コイル55は、各コイルユニットUに抵抗する位置にてピストン1の底壁部1aに設けられている。さらに、各共振コイル55は、それぞれ対応するコイルユニットU、すなわちフェライトコア21、送信コイル22および受信コイル23と同軸に位置している。また、共振コイル55は、ピストン1の下方への運動(ストローク)により、それぞれ対応するコイルユニットUに外側から嵌り(挿通し)、ピストン1が下死点に達したときに、送信コイル22と受信コイル23の軸方向中間位置に達するように構成されている。なお、共振コイル55の内径は、それに対応するコイルユニットUの送信コイル22及び受信コイル23の外径より大きい。
【0037】
図1に示すように、各抵抗測温素子5は、ピストン1の各測温部にそれぞれ埋め込まれており、各抵抗測温素子5は、それぞれ対応する共振コイル55と直列閉回路を構成している。各抵抗測温素子5の抵抗値が温度により変化すると、各共振コイル55の誘導電流が変化する。それに伴って、各共振コイル55が通過するコイルユニットUの受信コイル23の交流電圧波形の波高値が両コイル55,23間の電磁誘導作用により変化する。このため、各受信コイル23にオシロスコープ等の電圧測定器7およびパソコン等の記録装置8を接続して、その出力値を監視、記録し、パソコン等の演算装置9にて電圧を温度に変換することで、各抵抗測温素子5の温度、即ちピストン1の各測温部の温度を知ることができる。
【0038】
次に、図2−1から図4−3を参照して固定側モジュール3について説明する。
【0039】
図3は、図2−2のC−C線断面の拡大図である。
図4−1から図4−3は、固定側モジュール3とストッパー15との関係を説明するための説明図であり、図4−1は、その正面図であり、図4−2は、その側面図であり、図4−3は、その底面図である。
【0040】
まず、図2−2、図2−5及び図3を参照して、コイルユニットUを保護するように設けられるカバー12の構成について説明する。
【0041】
固定側モジュール3において、フェライトコア21、送信コイル22、及び受信コイル23がカバー12によって覆われている。図3に示すように、フェライトコア21には、大径部21mと2つの小径部21nとがあり、2つの小径部21nに送信コイル22及び受信コイル23のそれぞれが巻回されて、送信コイル22及び受信コイル23のそれぞれの外周部の径は、大径部21mと実質的に等しくなっている。このことから、カバー12の内周部は、フェライトコア21の大径部21mと、送信コイル22及び受信コイル23のそれぞれの外周部に接触している。
【0042】
カバー12は、樹脂などの電源誘導によって発生する磁界に影響せず、かつ、フェライトコア21の破壊強度よりも高い強度を有する材質により構成されている。このため、内燃機関Eの運転時の振動、潤滑油や異物の接触等により、フェライトコア21、受信コイル23、または送信コイル22が破損することを防止することができる。
【0043】
従来技術においては、図9に示すように、フェライトコア121は、支持部材131に支持されて立設されているが、その支持部材113により支持された部分La以外の部分Lb(フェライトコア121のうち、送信コイル122及び受信コイル123が巻回されている部分が含まれる)は、外部に対して露出した構成であった。そのため、上記のように、内燃機関Eの運転時の振動、潤滑油や異物の接触等によりフェライトコア121等の破損が問題となっていた。これに対して、本実施形態では、図3に示すように、フェライトコア21がカバー12で覆われて保護されているため、その問題が抑制される。
【0044】
この場合、図3及び図9に示すように、従来より、フェライトコア21(121)において、大径部と、送信コイル22(122)、受信コイル23(123)がそれぞれ巻回される小径部との段差部(特に1つの小径部において上下2つの大径部との間の段差部のうち下側の段差部P1)に応力が集中し易く破損し易かった。そのため、図3に示すように、少なくとも、下側の段差部P1の範囲が保護(補強)されていることが望ましい。より好ましくは、その下側の段差部P1の範囲を含むフェライトコア21の送信コイル22及び受信コイル23が巻回された部分L1が保護(補強)されていることが送信コイル22及び受信コイル23の保護の観点から望ましい。本実施形態では、更に、その部分L1よりも上方の先端部分L2を含めて、ボデー(支持体)13よりも上方のフェライトコア21、送信コイル22及び受信コイル23は全て、カバー12により保護されている。
【0045】
図9に示すように、従来技術においては、上記のように、ピストンが下死点に位置したときには、運動側モジュールの共振コイル(図示せず)は、フェライトコア121の軸方向(上下方向)において、送信コイル122と受信コイル123との間に位置し、このとき、共振コイルが巻回されるコイルボビンの最下部(運動側モジュールの最下部)は、ボデー113の上面113aとの間に極僅かな空隙(例えば1〜2mm)が残されるに過ぎない状態となる。つまり、実質的には、フェライトコア121のうちボデー113から突出した部分、即ちボデー113で囲まれている部分(La)以外の部分Lbは、その全体が、上記コイルボビンの内周面の面によって周囲を囲まれた状態(又は上記コイルボビンに挿通/通過された状態)となる。
【0046】
この位置関係において、例えば、コイルボビンの内周面に付着した潤滑油が、フェライトコア121のうちボデー113から突出した部分Lbに押しつけられることにより、フェライトコア121が破損することがあった。このことから、フェライトコア121のうちボデー113から突出した部分Lbは、少なくとも上記段差部P1の範囲を含む部分が、好ましくは、上記部分Lbの全体が、破損から保護されることが望ましいとの認識が本発明者によって得られた。
【0047】
本実施形態(図3)において、ピストン1が下死点にあるときの、共振コイル55が巻回されるコイルボビン51(図7−2)及び共振コイル55と、フェライトコア21及びボデー13との位置関係は、上記従来技術と概ね同じ状態となる。即ち、運動側モジュール2の共振コイル55は、フェライトコア21の軸方向(上下方向)において、送信コイル22と受信コイル23との間に位置し、このとき、共振コイル55が巻回されるコイルボビン51の最下部(図7−2の51a)は、ボデー13の上面13a(図3)との間に極僅かな空隙(例えば1〜2mm)が残されるに過ぎない状態となる。つまり、実質的には、フェライトコア21のうちボデー13から突出した部分、即ちボデー13で囲まれている部分以外の部分(上記において符号L1及びL2で示した部分)は、その全体が、上記コイルボビン51の内周面51kによって周囲を囲まれた状態(又は上記コイルボビン51に挿通/通過された状態)となる。
【0048】
このことから、本実施形態では、フェライトコア21のうちボデー13から突出した部分(上記において符号L1及びL2で示した部分)、即ち、フェライトコア21のうち、コイルボビン51の内周面51kによって周囲を囲まれた状態(又はコイルボビン51に挿通/通過された状態)となる部分には、その全体に対して、カバー12が設けられている。
【0049】
本実施形態では、コイルユニットUが剛性を有するカバー12に覆われていることにより、外部から作用する力によってフェライトコア21自身が傾いたり、動いたり、抜けたりすることが抑制され、フェライトコア21が動いてしまうことにより発生する、フェライトコア21と運動側モジュール2の接触によるフェライトコア21、受信コイル23、又は送信コイル22の破損を防止することができる。
【0050】
また、本実施形態では、カバー12とボデー13を一体構造とすることでカバー12の強度を更に向上させている。即ち、カバー12とボデー13は、それぞれの機能に応じて、別々の名称が付されているが、実際の部材としては、同一の部材(一体構造)である。このため、シリンダブロックの振動等の外力が過酷な条件下において、フェライトコア21自身が傾いたり、動いたり、抜けたりすることが抑制され、フェライトコア21が動くことによるフェライトコア21と運動側モジュール2の接触によるフェライトコア21、受信コイル23、又は送信コイル22の破損を防止することができる。
【0051】
また、上記一体構造により、フェライトコア21、受信コイル23、送信コイル22は、カバー12、ボデー13、ストッパー15(詳細は後に記す)および接着剤26によって外部と完全に遮断されており、水や潤滑油、ブローバイ等の液体、気体の進入を防ぐことができるため、長時間の耐久性も確保することが出来る。
【0052】
次に、図2−5、図3、図4−2及び図4−3を参照して、フェライトコア21に形成された溝24について説明する。
【0053】
フェライトコア21には、コイル配線25を取出すために用いられる溝24が設けられている。ここで、コイル配線25とは、図4−2に示すように、送信コイル22及び受信コイル23のそれぞれに接続された配線であり、図2−4及び図3に示すように、中継要素20を介して外部用配線17に接続されている。なお、外部用配線17は、図1に示すように、高周波送受信装置6に接続されるものである。
【0054】
上記に対して、従来は、溝24のような溝がなく、フェライトコアの外周(径寸法)よりも外側にコイル配線がはみ出していたが、本実施形態では、上記溝24が設けられるため、フェライトコア21の外周よりも外側にコイル配線25がはみ出すことがなくなる。これにより、フェライトコア21とカバー12の隙間を小さくすることができ、結果として、固定側モジュール3の送信コイル22及び受信コイル23と運動側モジュール2の共振コイル55との間の無駄なクリアランスの増加を抑制することが出来る。
【0055】
運動側モジュール2の共振コイル55の径は、小さいほど共振コイル55内の磁束密度が向上するため、計測精度が向上する。したがって、固定側モジュール3のカバー12と運動側モジュール2のコイルボビン51の内周面51k(図7−2)との間のクリアランスは出来るだけ小さいほうが、共振コイル55の径を小さくすることができるので計測精度が高くなるが、あまり小さくしすぎると両モジュール2,3の接触によるセンサ破損の可能性が高くなる。したがって、無駄なクリアランスを出来るだけ少なくすることは計測精度の向上とセンサの信頼性確保の両立のために重要な要素となる。さらに本構造を採用することで、フェライトコア21の中心軸とカバー12の外径の同軸度が保たれ、無駄なクリアランスを少なくすることができる。コイル配線25がフェライトコア21の外周よりもはみ出ていると、その分、両モジュール2,3の接触を避けるために、コイルボビン51(共振コイル55)の内径を大きくする必要があるが、本実施形態では、コイル配線25がフェライトコア21の外周よりもはみ出ていない分、カバー12の外周形状を真円に近づけることができ、コイルボビン51の内径を小さくすることができる。以上のことから、計測精度の向上とセンサ破損の防止が可能となる。
【0056】
なお、上記においては、カバー12の外周形状を実質的に真円に構成するに際して、フェライトコア21側にコイル配線25の径に相当する溝24を設ける構成としたが、このフェライトコア21側に溝24を設ける構成に代えて、カバー12の内側にコイル配線25の径に相当する溝(凹部)を形成することで、カバー12の外周形状を実質的に真円に構成してもよい。
【0057】
次に、図3、図4−1から図4−3を参照して、ストッパー15について説明する。
【0058】
フェライトコア21とホデー13(カバー12)のみの構造ではフェライトコア21は上下方向に動いてしまい、完全に固定することが出来ない。そこで、図3に示すように、ホデー13の側面部に設置された溝部13bからストッパー15を挿入する。ストッパー15は、フェライトコア21を固定するための部材である。ストッパー15の両端部15e(図4−3)は、ボデー13の溝29で支持されて、ボデー13によりストッパー15自身の上下方向の移動が防止される。
【0059】
このとき、ストッパー15の上面15aとフェライトコア21の下面21aが接触し、フェライトコア21は、カバー12の上部12aとストッパー15の上面15aによって上下方向に固定される。これにより、カバー12内部に挿入されたフェライトコア21が内燃機関Eの振動などにより上下方向に移動することによるフェライトコア21、送信コイル22、又は受信コイル23の破損が防止される。なお、図3において、フェライトコア21は、ストッパー15の上面15aの上に載せられ、ストッパー15の下面15dの下方の符号Sで示す部分は空洞である。
【0060】
また、図4−2及び図4−3に示すように、コイル配線25が通過できる面積を有する切り欠き31を設け、ストッパー15の挿入時に切り欠き31内にコイル配線25を納めることで、フェライトコア21の上下方向の動きを抑制すると同時にコイル配線25を外部に取り出すことが可能となる。
【0061】
上記の構造によってフェライトコア21の上下方向の運動を拘束することが可能となったが、フェライトコア21が回転運動してフェライトコア21、送信コイル22、又は受信コイル23が破損する可能性がある。そこで、図4−1及び図4−3に示すように、フェライトコア21に面取り30(又は、穴、突起などの円筒形でない部分)を設け、この部分(面取り30)をストッパー15(又は、カバー12、ホデー13等)に設けられた平面部32(又は、突起、穴)と接触させることで、フェライトコア21が内燃機関Eの振動などにより回転することを防止する。
【0062】
図4−1に示すように、ストッパー15に段差33を設け、フェライトコア21の下面21aと側面21bを段差33(上面15aと平面部32)に同時に接触させる。これにより、上記のように、ストッパー15に設けられた平面部32と、フェライトコア21に設けられた面取り30と接触させることと相まって、フェライトコア21の回転を確実に防止することができる。
【0063】
また、図3に示すように、フェライトコア21の外周部とカバー12の内周部の間に生じる若干の隙間に接着剤26を充填することで、フェライトコア21、送信コイル22、又は受信コイル23の上下、左右方向の運動や回転運動による破損や、ストッパー15の微小なガタによるフェライトコア21の支持能力の低下を抑えることが出来る。
【0064】
また、図1、図2−1及び図2−2に示すように、固定側モジュール3をエンジンブロックに搭載する方法については、ボデー13に貫通穴13g(図2−1)を設け、貫通穴13gを介してねじ28(図1、図2−2)により支持部材4に固定する方法が考えられる。ここで、符号10は、カラーである。
【0065】
その他に、図5−1及び図5−2に示すように、ボデー13を一つのコイルユニットUのみを支持する構成とするとともに、ホデー13の外周部にねじ40を設け、支持部材4に設けたねじ穴と螺合させる構成が考えられる。この場合には、支持部材4には、コイルユニットUの数と同数のねじ穴が形成される。この構成の場合には、取り付け用のねじ穴をホデー13に設けることなく、さらに取り付けねじ28を不要とし、センサを小型化することが可能となり、搭載性を向上させることが出来る。
【0066】
図2−5及び図3に示すように、フェライトコア21に巻かれた送信コイル22と受信コイル23の配線(コイル配線25)はホデー13の下面13cまで取り出され、フレキシブル基板やピン等の中継要素20によって、シールド付き配線等の強度のある外部用配線17に中継される。外部用配線17は、束ねられた状態でホデー13の下面13cを通り内燃機関Eの外部へと取り出される。コイル配線25及び中継要素20は、接着剤18等の固定要素によってホデー13に固定される。
【0067】
従来は、図3において、外部用配線17をボデー13の上面13aから取り出していたのに対し、本実施形態では、上記のように、外部用配線17をボデー13の上面13a以外の箇所から取り出すことで、ボデー13の上面13aを外部用配線17の無い平面とすることができ、さらにピストン1の下死点においてボデー13の上面13aと運動側モジュール2(図1、図6−2、図6−3に示すボビンボデー50の下面50b)とのクリアランスを正確に保つことが可能となる。
【0068】
次に、図6−1から図7−3を参照して運動側モジュール2について説明する。
【0069】
図6−1は、運動側モジュール2の平面図であり、図6−2は、図6−1のA−B−C−D−E−F線正断面図であり、図6−3は、運動側モジュール2の正面図であり、図6−4は、運動側モジュール2の底面図である。図7−1は、運動側モジュール2のコイルボビン51の底面図であり、図7−2は、コイルボビン51の側面図であり、図7−3は、コイルボビン51の平面図である。なお、図7−2は、その上下方向が図6−1〜6−4と逆向きである。
【0070】
図1に示すように、運動側モジュール2は、ピストン1(往復運動部)に設置されている。但し、上記のように、運動側モジュール2は、ピストン1以外の往復運動部に設置されてもよい。図1、図6−1及び図6−2に示すように、運動側モジュール2は、主として、ボビンボデー50と、ボビンボデー50に収容されたコイルボビン51と、コイルボビン51に巻回された共振コイル55とにより構成とされている。ボビンボデー50およびコイルボビン51は、樹脂などの電磁誘導によって発生する磁界に影響しない材質により形成されている。
【0071】
図6−2に示すように、ボビンボデー50には、取り付け穴部50gが形成されている。この取り付け穴部50gにねじ28a(図1、図6−2)が入ることにより、ボビンボデー50の上面50a(図6−1)がピストン1の底壁部1a(図1)に対して固定されている。但し、ボビンボデー50は、ねじ28a以外の溶接、接着、はめ合い等の固定手段によってピストン1に設置されてもよい。この場合、図6−2に示すように、ボビンボデー50に形成された取り付け穴部50gに金属製のカラー10が設けられることにより、ボビンボデー50を構成する樹脂の熱膨張や膨潤による変形でボビンボデー50の取り付け力が低下することを防止している。
【0072】
図6−1に示すように、ボビンボデー50に1つまたは複数(本例では3つ)のコイルボビン51が内蔵されている。コイルボビン51は、ピストン1の取付面1a(図1)とボビンボデー50に挟まれた構造となっており、ピストン1の往復運動によって生じる慣性力によってコイルボビン51や共振コイル55が破損することを防いでいる。コイルボビン51の形状に関しては、楕円形状やたる型形等の完全な円筒形ではない形状とし、ボビンボデー50のコイルボビン51が挿入される壁面の形状もボビンボデー50の外形と同じコイルボビン51が回転できない形状とすることで、ボビンボデー50の内部でコイルボビン51が回転することを防止している。また、ボビンボデー50とコイルボビン51の間に接着剤26が充填し、コイルボビンが動かないようにしてコイルボビン51の破損を防止している。
【0073】
図7−2に示すように、コイルボビン51に巻きつけられた共振コイル55は、端子53を通じボビンボデー50の外部へと取り出される。端子53の共振コイル55への接続側56は共振コイル55の巻き線箇所のごく近くに位置しており、コイル配線25を短くすることで共振コイル55の配線25の断線を防止している。端子53は、コイルボビン51の内部を通るようになっており、端子53が振動することによりコイル配線25aが断線することを防止している。端子53の抵抗測温素子5への接続側57は、ボビンボデー50の外部に飛び出しており、ここにピストン1の測定対象に搭載された抵抗測温素子5が接続される。このとき、非導電性のボビンカバー52等を用いて端子53の飛び出しを防止し、端子53がピストン1等の導電性の部品を接触することを避けることで、抵抗測温素子5で形成される回路が短絡することを防止している。
【0074】
以上述べた本実施形態では、内燃機関(E)の気筒(C)内に嵌装したピストン(1)の軸に平行な軸を有する送信コイル(22)及びこの送信コイルと同軸的な受信コイル(23)の双方をそれぞれ備え、前記気筒内底部に沿い間隔をおいて支持される複数のコイルユニット(U)と、これら複数のコイルユニットにそれぞれ同軸的に対向するように前記ピストンの底壁(1a)に配設されてこのピストンの動作時に前記各受信コイルをその軸方向に通る各共振コイル(55)と、前記ピストンの各測温部にそれぞれ配設され、かつ、前記各共振コイルにそれぞれ接続されて前記各測温部の温度を抵抗変化により測温する各抵抗測温素子(5)と、前記各送信コイルに順次電磁誘導作用を発揮させて当該各送信コイルと同軸的な各受信コイルに順次電圧を誘起させる電圧誘起手段(6)と、前記電圧を誘起する受信コイル毎に、この受信コイルをこれと同軸的な共振コイルが通るときこれら両コイル間の電磁誘導作用により生ずる前記誘起電圧の前記測温値に応じた変化を順次検出する誘起電圧変化検出手段と、この誘起電圧変化検出手段の各検出結果に基づき前記各測温部の温度を算出する算出手段とを具備していることが前提となる。
【0075】
また、前記複数のコイルユニットが、それぞれ、前記各共振コイルと同軸的に前記気筒内底部に立設した棒状フェライトコア(21)を有しており、これらフェライトコアには、前記各コイルユニットの受信コイルがこれと同軸的な送信コイルの下方にてこの送信コイルと共に巻装支持されており、前記ピストンがその動作時に下死点近傍に達するとき、前記各共振コイルがこれらと同軸的な各受信コイルを通り過ぎる。
【0076】
上記実施形態では、以下の項が開示される。
【0077】
電磁誘導によりピストン等の運動部品から非接触で信号を取り出すことで、温度等を計測するピストン側温センサにおいて、
(項1)
エンジンブロック側に搭載されている固定側モジュール3のフェライトコア21、送信コイル22、受信コイル23部をフェライトコア21の破壊強度よりも高い強度を有する材料カバー12で覆うことでフェライトコア21の破損を防止させたことを特徴とするピストン測温装置。
(項2)
カバー12とボデー13を一体構造とすることでカバー12の強度を向上させたことを特徴とするピストン測温装置。
(項3)
フェライトコア21に送信コイル22および受信コイル23のコイル配線25を取り出すための溝24を設置することにより、フェライトコア21の外周よりも外側に配線がはみ出すことをなくし、フェライトコア21とカバー12の隙間を小さくし、さらにフェライトコア21とカバー12の同軸度を保つことが可能なピストン測温装置。
(項4)
フェライトコア21の上下方向の動きを抑制するストッパー15を設置することで、カバー12内部に挿入されたフェライトコア21がエンジンの振動などにより上下方向に動くために生じる、フェライトコア21の破損やフェライトコア21に巻かれた配線25の断線等のセンサ破損を防止することを特徴とするピストン測温装置。
(項5)
ストッパー15にコイル配線25を取り出すことができる切り欠き31をもうけることで、フェライトコア21の上下方向の動きを抑制すると同時にコイル配線25を外部に取り出すことを可能としたピストン測温装置。
(項6)
フェライトコア21に面取り30や溝等を設けることでフェライトコア21がエンジンの振動などにより回転し、フェライトが破損したり、フェライトコア21に巻かれたコイル配線25が断線することを防止することを特徴とするピストン測温装置。
(項7)
ストッパー15にフェライトコア21の面取り部が面接触するように面取り32を設けることで、フェライトコア21の回転運動を抑制することを可能にしたピストン測温装置。
(項8)
フェライトコア21とカバー12の隙間に接着剤26を充填することでフェライトコア21が振動し、フェライトコア21が破損したり、フェライトコア21に巻かれたコイル配線25が断線することを防止したピストン測温装置。
(項9)
固定側モジュール3から内燃機関の外部へつながる外部用配線17を、固定側モジュール3の上面(フェライトコア21が突き出ている面)以外から取り出すことにより、固定側モジュール3の上面を平面とすることができ、さらにピストン下死点において固定側モジュール3と運動側モジュール2とのクリアランスを正確に保つことを可能としたピストン測温装置。
(項10)
送信コイル22および受信コイル23のコイル配線25を、固定側モジュール3から内燃機関の外部へつながる外部用配線17をフレキシブル基板やピン等の中継部の信頼性と配線結合の作業性を向上させたことを特徴とするピストン測温装置。
(項11)
運動側モジュール2のコイルボビン51をボビンボデー50とピストン1の取り付け面で囲むことでコイルボビン51の振動を抑制したことを特徴とするピストン測温装置。
(項12)
コイルボビン51の外形を円筒形以外の形状とすることで、コイルボビン51の回転を抑制したことを特徴とするピストン測温装置。
(項13)
ボビンボデー50とコイルボビン51の隙間に接着剤26を充填することでコイルボビン51が振動し、コイルボビン51、共振コイル55等の運動側モジュール2が破損することを防止したピストン測温装置。
(項14)
運動側モジュール2の端子53の位置が、ボビンボデー50の最端部になることを避けることで、端子53がピストン1等の導電性の部品を接触して回路が短絡することを防止したことを特徴とするピストン測温装置。
(項15)
固定側モジュール3および運動側モジュール2の取り付けねじ部に金属カラー10を設置することにより、ホデー13、ボビンボデー50の樹脂の変形が生じても取り付けねじ28の緩みを防止することができることを特徴とするピストン測温装置。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態を示す正断面図である。
【図2−1】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態の固定側モジュールを示す平面図である。
【図2−2】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態の固定側モジュールを示す正面図である。
【図2−3】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態の固定側モジュールを示す底面図である。
【図2−4】図2−3において接着剤が塗布される前の状態を示す底面図である。
【図2−5】図2−1のA−A断面図である。
【図2−6】図2−1のB−B断面図である。
【図3】図2−2のC−C線断面図である。
【図4−1】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態の固定側モジュールとストッパーとの関係を示す正面図である。
【図4−2】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態の固定側モジュールとストッパーとの関係を示す側面図である。
【図4−3】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態の固定側モジュールを示す底面図である。
【図5−1】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態のコイルユニットの接続構造の変形例を示す平面図である。
【図5−2】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態のコイルユニットの接続構造の変形例を示す側断面図である。
【図6−1】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態の運動側モジュールを示す平面図である。
【図6−2】図6−1のA−B−C−D−E−F断面図である。
【図6−3】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態の運動側モジュールを示す正面図である。
【図6−4】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態の運動側モジュールを示す底面図である。
【図7−1】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態の運動側モジュールのコイルボビンの底面図である。
【図7−2】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態の運動側モジュールのコイルボビンの側面図である。
【図7−3】本発明の内燃機関のピストン測温装置の一実施形態の運動側モジュールのコイルボビンの平面図である。
【図8】従来の電磁誘導法による測温方法の原理を示す図ある。
【図9】従来のフェライトコアとボデーとの接続構造を示す正断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 ピストン
2 運動側モジュール
3 固定側モジュール
4 支持部材
5 抵抗測温素子
6 高周波送受信装置
7 電圧測定器
8 記録装置
9 演算装置
10 カラー
12 カバー
13 ボデー
15 ストッパー
17 外部用配線
21 フェライトコア
22 送信コイル
23 受信コイル
24 溝
25 コイル配線
26 接着剤
28 ねじ
30 面取り
31 切欠部
50 ボビンボデー
51 コイルボビン
52 ボビンカバー
53 端子
55 共振コイル
100 ピストン測温センサ
C 気筒
E 内燃機関
U コイルユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導を用いてピストンを含む運動部品の温度を計測する内燃機関のピストン測温装置であって、
エンジンブロック側には、送信コイルと、受信コイルと、前記送信コイル及び前記受信コイルが巻回されるとともに磁界を形成するための磁性材料からなる支持体が設けられ、
前記支持体のうち前記送信コイル及び前記受信コイルが巻回されている部分は、前記支持体の破壊強度よりも高い強度を有する材料の保護部材により覆われている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項2】
電磁誘導を用いてピストンを含む運動部品の温度を計測する内燃機関のピストン測温装置であって、
エンジンブロック側には、送信コイルと、受信コイルと、前記送信コイル及び前記受信コイルが巻回されるとともに磁界を形成するための磁性材料からなる支持体が設けられ、
前記ピストン側には、共振コイルと、前記共振コイルが巻回されるコイルボビンとが設けられ、
前記支持体のうち前記ピストンの下死点側において前記コイルボビンによって囲まれる部分は、前記支持体の破壊強度よりも高い強度を有する材料の保護部材により覆われている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項3】
電磁誘導を用いてピストンを含む運動部品の温度を計測する内燃機関のピストン測温装置であって、
エンジンブロック側には、磁界を形成するための磁性材料からなる支持体が設けられ、
前記支持体には、大径部と、前記大径部よりも径の小さい小径部とが形成され、
前記小径部に、送信コイルと受信コイルとが巻回され、
前記支持体のうち、前記小径部と前記大径部との段差部は、前記支持体の破壊強度よりも高い強度を有する材料の保護部材により覆われている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関のピストン測温装置において、
更に、
前記支持体を前記エンジンブロック側に支持させるボデーを備え、
前記ボデーと前記保護部材は、一体構造とされている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の内燃機関のピストン測温装置において、
前記保護部材は、前記支持体の上部を覆うように構成され、
更に、
前記支持体の下方向の動きを抑制するストッパーを備えた
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項6】
請求項5記載の内燃機関のピストン測温装置において、
前記ストッパーには、前記送信コイル及び前記受信コイルの配線を通すための切欠部が形成されている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の内燃機関のピストン測温装置において、
前記支持体には、断面形状が非円形形状に形成された非円形部分が設けられ、
前記ストッパーには、前記支持体の前記非円形部分の少なくとも一部と面接触する面接触部が設けられている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の内燃機関のピストン測温装置において、
前記支持体と前記保護部材との間には、接着剤が充填されている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の内燃機関のピストン測温装置において、
前記ピストン側には、共振コイルと、前記共振コイルが巻回されるコイルボビンとが設けられ、
前記支持体を前記エンジンブロック側に支持させるボデーを備え、
前記送信コイル及び前記受信コイルの配線又は前記配線に接続された接続配線は、前記ボデーのうち前記ピストンの下死点側において前記コイルボビンの下面と対向する対向面が概ね平面となるように前記対向面以外の箇所から引き出されている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の内燃機関のピストン測温装置において、
前記送信コイル及び前記受信コイルの配線と、エンジンの外部に接続される接続配線とは、フレキシブル基板又はピンを含む中継要素を用いて接続されている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の内燃機関のピストン測温装置において、
前記ピストン側には、共振コイルと、前記共振コイルが巻回されるコイルボビンとが設けられ、
前記コイルボビンは、ボビンボデーに設けられ、
前記コイルボビンは、前記ボビンボデーと前記ピストンの面とにより取り囲まれる
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の内燃機関のピストン測温装置において、
前記コイルボビンの外形形状は、非円形形状に形成されている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の内燃機関のピストン測温装置において、
前記ピストン側には、共振コイルと、前記共振コイルが巻回されるコイルボビンとが設けられ、
前記コイルボビンは、ボビンボデーに設けられ、
前記ボビンボデーと前記コイルボビンとの間には、接着剤が充填されている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の内燃機関のピストン測温装置において、
前記ピストン側には、共振コイルが設けられ、
前記共振コイルに接続された端子は、前記ピストンを含む導電性部材と接触しないように非導電性の部材で覆われている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の内燃機関のピストン測温装置において、
前記支持体を前記エンジンブロック側に支持させるボデーを備え、
前記ピストン側には、共振コイルと、前記共振コイルが巻回されるコイルボビンと、前記コイルボビンが設けられるボビンボデーとが設けられ、
前記ボデー及び前記ボビンボデーのそれぞれにおいて、ねじが取り付けられる部分には、カラーが設けられている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。
【請求項16】
電磁誘導を用いてピストンを含む運動部品の温度を計測する内燃機関のピストン測温装置であって、
エンジンブロック側には、送信コイルと、受信コイルと、前記送信コイル及び前記受信コイルが巻回されるとともに磁界を形成するための磁性材料からなる支持体が設けられ、
前記支持体には、前記送信コイル及び前記受信コイルの配線を収めるための溝が形成されている
ことを特徴とする内燃機関のピストン測温装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図2−6】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−292591(P2006−292591A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114948(P2005−114948)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】