説明

内燃機関の吸気装置

【課題】製造コストや組み付け工数を低減できる内燃機関の吸気装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、内燃機関の吸気装置1において、インテークマニホールド10の空気の流入口側に備わる受入れ部50の内周面の内側にスロットルボデー18のボデー本体28が配置され、同心状に内側から外側へ順に配置されるボデー本体28の流入口側端部46とエアダクト14の流出口側端部48と受入れ部50の流入口側端部52とが締結バンド16で一括して締付けられていることにより、インテークマニホールド10とエアダクト14とスロットルボデー18とが固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関へ吸入される空気の量を制御する内燃機関の吸気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気装置の従来技術として、特許文献1には、吸気通路の下流側内壁に受入れ部を形成するインテークマニホールドと、前記の受入れ部に装着した状態で内外周間に第1隙間を形成し軸方向に第2隙間を形成する開閉弁機構とを備え、前記の第2隙間に弾性部材を配設する技術が開示されている。そして、特許文献1の技術では、このような構造の内燃機関の吸気装置により、開閉弁機構の変形を防止して異音の発生を抑えて、開閉弁機構の耐久性低下を防ぐとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−1855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、開閉弁機構は拘束箇所が無いので、エンジンの振動により開閉弁機構の動作に影響が及ぶおそれがある。そして、このように開閉弁機構の動作に影響が及ぶと、内燃機関に安定して空気を吸入することができない。
【0005】
また、従来の内燃機関の吸気装置においては、インテークマニホールドとスロットルボデーとエアダクトとを互いにボルトにより締結することにより組み付けている。しかし、このとき、最低でもインテークマニホールドとスロットルボデーとの締結を行うためのボルトと、スロットルボデーとエアダクトとの締結を行うためのボルトとが必要である。そのため、2つ以上のボルトを用意して締結する必要がある。あるいは、締結に際して、アダプタ(補助部材)を別途用意して締結しなければならない場合もある。このように、部品点数が多くなってしまうので、製造コストや組み付け工数が増加してしまう。
【0006】
また、インテークマニホールドとスロットルボデーとをボルトにより締結すると、エンジンの振動がインテークマニホールドとボルトとを介してスロットルボデーに伝達して、スロットルバルブの開閉動作に影響を及ぼすおそれがある。
【0007】
さらに、インテークマニホールドやスロットルボデーやエアダクトが樹脂などの剛性の低い材質で形成されている場合には、ボルトを締結するためのインサート部材などの別部品が必要である。そのため、部品点数がさらに多くなってしまうので、製造コストや組み付け工数がさらに増加してしまう。
【0008】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、製造コストや組み付け工数を低減できる内燃機関の吸気装置を提供すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、空気を内燃機関に供給するインテークマニホールドと、前記空気を前記インテークマニホールドに供給するエアダクトと、前記エアダクトから前記インテークマニホールドに供給する前記空気の量を制御するスロットルボデーとを有する内燃機関の吸気装置において、前記インテークマニホールドの前記空気の流入口側に備わる受入れ部の内周面の内側に前記スロットルボデーのボデー本体が配置され、同心状に内側から外側へ順に配置される前記ボデー本体の前記空気の流入口側端部と前記エアダクトの前記空気の流出口側端部と前記受入れ部の前記空気の流入口側端部とが締結バンドで一括して締付けられていることにより、前記インテークマニホールドと前記エアダクトと前記スロットルボデーとが固定されていること、を特徴とする。
【0010】
この態様によれば、スロットルボデーのボデー本体の空気の流入口側端部と、エアダクトの空気の流出口側端部と、インテークマニホールドの受入れ部の空気の流入口側端部とが、同心状に内側から外側へ順に配置され、締結バンドで一括して締付けられている。そして、これにより、スロットルボデーとエアダクトとインテークマニホールドとが固定されている。このように、締結バンドにより複数の部品が一括して固定されており、少ない部品点数により内燃機関の吸気装置が組み付けられている。そのため、製造コストや組み付け工数を低減できる。
【0011】
上記の態様においては、前記エアダクトは、前記流出口側端部の内周面に前記ボデー本体の前記流入口側端部の外周面との間でシール性を確保するシール部を備え、前記流出口側端部の外周面に前記締結バンドが配置される溝部を備えること、が好ましい。
【0012】
この態様によれば、エアダクトは、流出口側端部の内周面にスロットルボデーのボデー本体の流入口側端部の外周面との間でシール性を確保するシール部と、流出口側端部の外周面に締結バンドが配置される溝部と、を備える。このように、スロットルボデーのボデー本体に対してエアダクトを介して締結バンドが配置されているので、締結バンドの締結力によりスロットルボデーのボデー本体が歪まない。また、エアダクトのシール部により、スロットルボデーのボデー本体とエアダクトとの間のシール性を確実に確保できる。そのため、スロットルボデーに内蔵されるスロットルバルブの動作に影響を与えることなく、スロットルボデーとエアダクトとの間のシール性を確保することができる。
【0013】
上記の態様においては、前記スロットルボデーはスロットルバルブの軸を支持する軸受部を備え、前記エアダクトは前記軸受部と嵌合するガイド部を備えること、が好ましい。
【0014】
この態様によれば、スロットルボデーは内蔵されるスロットルバルブの軸を支持する軸受部を備え、エアダクトは当該軸受部と嵌合するガイド部を備える。そのため、スロットルボデーとエアダクトとの間で相対的に回転することを防止できる。
【0015】
上記の態様においては、前記受入れ部の前記空気の流出口側端部の内周面と前記ボデー本体の前記空気の流出口側端部の外周面との間に弾性体が配置されていること、が好ましい。
【0016】
この態様によれば、インテークマニホールドの受入れ部の空気の流出口側端部の内周面とスロットルボデーのボデー本体の空気の流出口側端部の外周面との間に、弾性体が配置されている。このように、スロットルボデーのボデー本体の流出口側端部は弾性体を介してインテークマニホールドの受入れ部の流出口側端部の内周面の内側に配置されているので、エンジンからインテークマニホールドに伝達される振動がスロットルボデーに伝達することを抑制できる。
【0017】
上記の態様においては、前記受入れ部の前記流入口側端部は、周方向の一部に形成されており、前記エアダクトの前記流出口側端部にて周方向の一部に形成される切り欠き部と嵌合していること、が好ましい。
【0018】
この態様によれば、インテークマニホールドの受入れ部の流入口側端部は、周方向の一部に形成されており、エアダクトの流出口側端部にて周方向の一部に形成される切り欠き部と嵌合している。これにより、インテークマニホールドとエアダクトとの間で相対的に回転することを防止できる。
【0019】
上記の態様においては、前記締結バンドは、周方向に沿って凹状に形成された凹部を備え、前記受入れ部の少なくとも1つの前記流入口側端部は、前記締結バンドの前記凹部と嵌合する凸部を備えること、が好ましい。
【0020】
この態様によれば、締結バンドは周方向に沿って凹状に形成された凹部を備え、インテークマニホールドの受入れ部の少なくとも1つの流入口側端部は締結バンドの凹部と嵌合する凸部を備える。これにより、例えば吸気装置の組み付け時などにおいて、締結バンドが回転することを防止できる。
【0021】
上記の態様においては、前記受入れ部の前記流入口側端部は、前記空気の流入口側の最先端部に径方向の外側に突出するように形成された爪部を備えること、が好ましい。
【0022】
この態様によれば、インテークマニホールドの受入れ部の流入口側端部は、空気の流入口側の最先端部に径方向の外側に突出するように形成された爪部を備える。そのため、インテークマニホールドの受入れ部の流入口側端部から締結バンドが流入口側に抜けないようにすることができる。したがって、締結バンドの組み付け位置が移動することを防止することができる。
【0023】
上記の態様においては、前記ボデー本体の外周面から径方向の外側に突出する突起部と、前記受入れ部を径方向に貫通する貫通孔と、を有し、前記突起部の少なくとも一部は前記貫通孔の内部に配置されていること、が好ましい。
【0024】
この態様によれば、スロットルボデーのボデー本体の外周面から径方向の外側に突出する突起部と、インテークマニホールドの受入れ部を径方向に貫通する貫通孔と、を有し、前記の突起部の少なくとも一部は前記の貫通孔の内部に配置されている。そのため、例えば吸気装置の分解時などにおいて、スロットルボデーがインテークマニホールドから脱落したり落下したりすることを防止できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る内燃機関の吸気装置によれば、製造コストや組み付け工数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の内燃機関の吸気装置の上面図である。
【図2】本発明の内燃機関の吸気装置を図1の下側から見た図(本発明の内燃機関の吸気装置の正面図)である。
【図3】本発明の内燃機関の吸気装置を分解した図である。
【図4】本発明の内燃機関の吸気装置を分解した図である。
【図5】開放状態の締結バンドの外観斜視図である。
【図6】締結状態の締結バンドの外観斜視図である。
【図7】図1のA−A断面図である。
【図8】Oリングの代わりにガスケットを組み付けた場合を示す図である。
【図9】変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0028】
〔吸気装置の概要〕
まず、図1〜図6を用いて、本実施例の内燃機関の吸気装置1について説明する。ここで、図1は吸気装置1の上面図であり、図2は吸気装置1を図1の下側から見た図(吸気装置1の正面図)である。また、図3と図4は吸気装置1を分解した図であり、図3は図1と同じ方向から見た図であり、図4は図2と同じ方向から見た図である。さらに、図5は開放状態の締結バンド16の外観斜視図であり、図6は締結状態の締結バンド16の外観斜視図である。
【0029】
図1〜図4に示すように、吸気装置1は、インテークマニホールド10とスロットル装置12とエアダクト14と締結バンド16などを有している。そして、詳しくは後述するように、インテークマニホールド10とスロットル装置12のスロットルボデー18とエアダクト14とを、締結バンド16にて一括して固定している。
【0030】
インテークマニホールド10は、スロットル装置12が配置される側とは反対側の端部が不図示のエンジン(内燃機関)に取り付けられている。インテークマニホールド10は、空気をエンジンに供給する通路20(図7参照)を備える。インテークマニホールド10の材質は、樹脂またはアルミである。
【0031】
スロットル装置12は、スロットルボデー18と角度センサ22とスロットルレバー24とスロットルバルブ26(図7参照)などを備えている。スロットルボデー18は、円筒形状のボデー本体28と、当該ボデー本体28の外周面30から各々径方向に形成される軸受部32a,32bとを備えている。この軸受部32a,32bは、スロットルバルブ26における角度センサ22とスロットルレバー24とを接続する軸を支持する軸受け部分である。そして、ボデー本体28に対して軸受部32aを介してスロットルレバー24が配置されている。また、ボデー本体28に対して軸受部32bを介して角度センサ22が配置されている。なお、スロットルボデー18の材質は、樹脂またはアルミである。
【0032】
このような構造のスロットル装置12は、角度センサ22でスロットルバルブ26の回転角度を検出しながらスロットルレバー24を操作して、弁開度を調整する。このようにして、スロットル装置12は、スロットルボデー18において、エアダクト14からインテークマニホールド10に供給する空気の量を制御する。
【0033】
エアダクト14は、円筒形状に形成され、入口側(図1や図2の右側)の端部が不図示のエアクリーナに取り付けられている。エアダクト14は、(スロットルボデー18のボデー本体28の流路34(図7参照)を介して)インテークマニホールド10に空気を供給するための流路36(図7参照)を備えている。エアダクト14の材質は、ゴムである。
【0034】
締結バンド16は、図5と図6に示すように、円環状のバンド部材38と、スクリュ40と、一対のステー部材42a,42bと、ステー部材42aに一体化されている凹状部材44と、スペーサ45と、ナット部材47などを備えている。凹状部材44は、締結バンド16の周方向に沿って径方向の外側に凹むように凹状に形成されている。また、ナット部材47は、外径が六角形に形成されている。そして、ナット部材47は、雌ネジ部を形成するネジ孔を備えており、このネジ孔がステー部材42bの孔49と同軸に配置された状態(中心軸を同じにした状態)で、ステー部材42bに固定されている。
【0035】
このような構成の締結バンド16は、部品を締結する前の開放状態において、図5に示すようにステー部材42aに一体化されているスクリュ40は他方のステー部材42bから開放されている。そして、図6に示すようにスクリュ40の雄ネジ部をステー部材42bに固定されたナット部材47の雌ネジ部と嵌合させて締結することにより、バンド部材38や凹状部材44の径方向の内側に配置される部品(本実施例ではインテークマニホールド10やスロットルボデー18やエアダクト14)に締結力を与えることができる。なお、スペーサ45は、バンド部材38の締め具合を規定している。
【0036】
このような構造の吸気装置1においては、エアクリーナで清浄化された空気がエアダクト14を通ってスロットル装置12のスロットルボデー18の内部に送られる。そして、スロットルボデー18の内部のスロットルバルブ26の開閉により空気の量を制御しながら、インテークマニホールド10を介してエンジンに空気が送られる。
【0037】
〔固定構造の詳細な説明〕
次に、インテークマニホールド10とエアダクト14とスロットルボデー18との固定構造の詳細について説明する。ここで、図7は、図1のA−A断面図である。
【0038】
本実施例では、図7に示すように、インテークマニホールド10は、空気の流入口側に受入れ部50を備えている。そして、この受入れ部50の内周面の内側にスロットルボデー18のボデー本体28が配置されている。そして、ボデー本体28の流路34の上流側の端部にある空気の流入口である流入口側端部46に対して径方向の外側に、エアダクト14の流路36の下流側の端部にある空気の流出口である流出口側端部48が配置されている。さらに、エアダクト14の流出口側端部48に対して径方向の外側に、インテークマニホールド10の受入れ部50における空気の流入口側端部52が配置されている。すなわち、同心状に内側から外側へ向かって(径方向について内側から外側へ向かって)、ボデー本体28の流入口側端部46、エアダクト14の流出口側端部48、受入れ部50の流入口側端部52の順に配置されている。
【0039】
さらに、図7に示すように、インテークマニホールド10の受入れ部50の径方向の外側に締結バンド16が配置されている。そして、ボデー本体28の流入口側端部46とエアダクト14の流出口側端部48と受入れ部50の流入口側端部52とが、1つの締結バンド16により径方向の外側から一括して締付けられている。このようにして、1つ締結バンド16により、インテークマニホールド10とエアダクト14とスロットルボデー18とが固定されている。
【0040】
このようにして、径方向に積層させたスロットルボデー18の流入口側端部46とエアダクト14の流出口側端部48と受入れ部50の流入口側端部52とが1本の締結バンド16で一括して締付けられることにより、インテークマニホールド10とエアダクト14とスロットルボデー18とが固定されている。このように、1本の締結バンド16により3つの部品が一括して固定されており、少ない部品点数により吸気装置1が組み付けられている。そのため、吸気装置1の製造コストや組み付け工程を低減できる。
【0041】
また、スロットルボデー18のボデー本体28は、インテークマニホールド10の受入れ部50の内部において、当該受入れ部50に対してゴム製のエアダクト14の流出口側端部48を介して配置されている。そのため、エンジンからインテークマニホールド10に伝達する振動は、スロットルボデー18まで伝わり難い。したがって、スロットルボデー18の耐震性を向上させることができる。
【0042】
また、締結バンド16とスロットルボデー18との間には、ゴム製のエアダクト14の流出口側端部48が配置されている。そのため、エアダクト14の流出口側端部48の緩衝作用により、スロットルボデー18に対し締結バンド16の締結力に起因する過大な応力が作用しない。したがって、スロットルボデー18において、締結バンド16の締結力に起因する歪みの発生を防止できる。
【0043】
また、スロットルボデー18のボデー本体28の流入口側端部46を、エアダクト14の流出口側端部48に対して緩く圧入させている。さらに、エアダクト14は、流出口側端部48の内周面54にシール部56を備えている。そして、このシール部56とボデー本体28の流入口側端部46の外周面58との間でシール性を確保している。また、シール部56は、エアダクト14の周方向に沿って形成された溝60を複数備えている。これにより、エアダクト14とスロットルボデー18を、シール性を高めながら確実に固定することができる。
【0044】
なお、図7に示す例ではスロットルボデー18の流入口側端部46の外周面58は平坦に形成されているが、これに限定されず、外周面58において、スロットルボデー18の周方向に沿って形成された凸状線を複数備えていてもよい。そして、このとき、当該凸状線とエアダクト14の流出口側端部48の溝60とを嵌合させる。
【0045】
また、前記の図4に示すように、エアダクト14は、流出口側端部48に一対のガイド部62a,62bを合計2対備えている。この一対のガイド部62a,62bは、流出口側端部48からスロットルボデー18が配置される側に突出するように形成されている。また、この一対のガイド部62a,62bは、一方のガイド部62aと他方のガイド部62bとの間に隙間δを備えている。そして、この隙間δにスロットルボデー18の軸受部32a,32bが挿入されており、これにより、一対のガイド部62a,62bはスロットルボデー18の軸受部32a,32bと嵌合している。このようにして、エアダクト14とスロットルボデー18との間で相対的に回転することを防止できる。
【0046】
また、図7に示すように、径方向についてインテークマニホールド10の受入れ部50の空気の流出口側の端部である流出口側端部53の内周面63とスロットルボデー18のボデー本体28の空気の流出口側の端部である流出口側端部64の外周面65との間に、弾性体であるOリング66が配置されている。さらに、前記のように、インテークマニホールド10の受入れ部50の流入口側端部52とスロットル装置12のスロットルボデー18の流入口側端部46との間に、エアダクト14の流出口側端部48が配置されている。そして、このようにして、軸方向についてスロットルボデー18の流入口側端部46と流出口側端部64との間であって、径方向についてスロットルボデー18と受入れ部50との間において、空間Sが設けられている。
【0047】
このように空間Sが設けられていることにより、スロットルボデー18と受入れ部50とが直接的に接しない。これにより、エンジンからインテークマニホールド10に伝達される振動がスロットルボデー18に伝達することを抑制できる。なお、Oリング66の代わりに、図8に示すようにガスケット68やその他の弾性体を組み付けてもよい。
【0048】
また、前記の図3と図4に示すように、インテークマニホールド10の受入れ部50の流入口側端部52は、受入れ部50における本体部70の周方向の一部にのみ形成されている。さらに詳しくは、受入れ部50の流入口側端部52は、受入れ部50における本体部70の周方向における中心軸対称の2箇所に形成されている。そして、受入れ部50の流入口側端部52は、本体部70からエアダクト14が配置される側に向かって突出するように形成されている。
【0049】
一方、エアダクト14の流出口側端部48にて周方向の一部に切り欠き部74が形成されている。さらに詳しくは、切り欠き部74は、エアダクト14の流出口側端部48の周方向における中心軸対称の2箇所に形成されている。そして、切り欠き部74は、径方向の内側に向かって切り欠かれるようにして、中心軸方向に流出口側端部48を貫通するように形成されている。そして、インテークマニホールド10の受入れ部50の流入口側端部52は、エアダクト14の切り欠き部74と嵌合している。これにより、インテークマニホールド10とエアダクト14との間で相対的に回転することを防止できる。
【0050】
なお、図7に示す例では、インテークマニホールド10の受入れ部50の流入口側端部52と切り欠き部74とが、吸気装置1が車両に搭載されたときに天地側となる位置(上側の位置と下側の位置)に各々配置されている。しかしながら、この例に限定されず、インテークマニホールド10の受入れ部50の流入口側端部52と切り欠き部74をその他の位置に各々配置してもよい。また、図7に示す例ではインテークマニホールド10の受入れ部50の流入口側端部52は周方向に2箇所形成されているが、これに限定されず、インテークマニホールド10の受入れ部50の流入口側端部52は周方向に1箇所のみ形成しても、周方向に3箇所以上形成してもよい。
【0051】
また、インテークマニホールド10の受入れ部50の流入口側端部52は、空気の流入口側(エアダクト14が配置される側)の最先端部に、径方向の外側に向かって突出するように形成された爪部76を備えている。このように、受入れ部50の流入口側端部52は爪部76を備えているので、締結バンド16が軸方向についてエアダクト14が配置される側に抜けないようにすることができる。
【0052】
また、インテークマニホールド10の受入れ部50の1つの流入口側端部52は、径方向の外側に向かって突出するように形成された凸部78を備えている。この凸部78は、締結バンド16の凹状部材44と嵌合している。これにより、締結バンド16が回転することを防止できる。
【0053】
なお、図7などで示す例では、凸部78は、インテークマニホールド10がエンジンに取り付けられたときに上側となる位置に配置されている。しかしながら、これに限定されず、凸部78をその他の位置に配置してもよい。ただし、凸部78を図7に示すように上側となる位置に配置すれば、締結バンド16を締付け易くなるというメリットがある。
【0054】
また、前記の図4に示すように、インテークマニホールド10には、スロットルボデー18の軸受部32a,32bが挿入できるような切り欠き形状に形成した切り欠き部80が設けられている。
【0055】
また、エアダクト14は、前記の図3や図4に示すように、流出口側端部48の外周面72に周方向に沿って溝が形成された溝部82を備えている。この溝部82には締結バンド16が配置されている。そして、エアダクト14は、軸方向について溝部82の両側に一対のリブ84a,84bを備えている。このようにして、リブ84a,84bにより、締結バンド16が軸方向についてエアダクト14から抜けることを防止している。さらに、エアダクト14は、流出口側端部48において切り欠き部74を備えている。この切り欠き部74は、天地側の2箇所に形成されている。そして、切り欠き部74にインテークマニホールド10の受入れ部50の流入口側端部52を嵌合させている。
【0056】
その他変形例として、図9に示すように、インテークマニホールド10の受入れ部50に貫通孔86を備え、スロットルボデー18のボデー本体28にスクリュ88が締結されていてもよい。貫通孔86は、受入れ部50を径方向に貫通するように形成されている。また、スクリュ88は、スロットルボデー18のボデー本体28の外周面30から径方向の外側に突出している。そして、このスクリュ88の一部は、受入れ部50の内周面よりも径方向の外側に突出しており、貫通孔86の内部に配置されている。
【0057】
これにより、例えば吸気装置1の分解時などにおいて、スロットルボデー18のボデー本体28がインテークマニホールド10の受入れ部50から外れようとしても、スクリュ88が貫通孔86に引っかかる。そのため、スロットルボデー18のボデー本体28がインテークマニホールド10の受入れ部50から脱落することを防止できる。
【0058】
なお、図9に示す例では、貫通孔86とスクリュ88とは、吸気装置1が車両に搭載されたときに地側となる位置(下側となる位置)に配置されている。しかしながら、この例に限定されず、貫通孔86とスクリュ88をその他の位置に各々配置してもよい。ただし、貫通孔86とスクリュ88を図9に示すように地側となる位置に配置すれば、貫通孔86をインテークマニホールド10とスロットルボデー18の間に進入した水の抜け穴として共用できる効果がある。
【0059】
〔本実施例の効果〕
以上のような本実施例について、その効果をまとめると以下のように説明できる。本実施例によれば、スロットルボデー18のボデー本体28の空気の流入口側端部46と、エアダクト14の空気の流出口側端部48と、インテークマニホールド10の受入れ部50の空気の流入口側端部52とが、同心状に内側から外側へ順に配置され、締結バンド16で一括して締付けられている。そして、これにより、インテークマニホールド10とエアダクト14とスロットルボデー18とが固定されている。このように、締結バンド16により複数の部品が一括して固定されており、少ない部品点数により吸気装置1が組み付けられている。そのため、製造コストや組み付け工数を低減できる。
【0060】
また、スロットルボデー18はインテークマニホールド10の受入れ部50の中に挿入されているので、小型化を図ることができる。仮に、軸方向についてスロットルボデー18がインテークマニホールド10の受入れ部50から出ていると、エアダクト14のスロットルボデー18からの逃げ部を外側に伸ばす必要があり、大型化してしまう。
【0061】
また、エアダクト14は、流出口側端部48の内周面54にスロットルボデー18のボデー本体28の流入口側端部46の外周面58との間でシール性を確保するシール部56と、流出口側端部48の外周面72に締結バンド16が配置される溝部82と、を備える。このように、スロットルボデー18のボデー本体28に対してエアダクト14を介して締結バンド16が配置されているので、締結バンド16の締結力によりスロットルボデー18のボデー本体28が歪まない。また、エアダクト14のシール部56により、エアダクト14とスロットルボデー18のボデー本体28との間のシール性を確実に確保できる。そのため、スロットルボデー18に内蔵されるスロットルバルブ26の動作に影響を与えることなく、エアダクト14とスロットルボデー18との間のシール性を確保することができる。
【0062】
また、スロットルボデー18は内蔵されるスロットルバルブ26の軸を支持する軸受部32a,32bを備え、エアダクト14は軸受部32a,32bと嵌合する一対のガイド部62a,62bを備える。そのため、エアダクト14とスロットルボデー18との間で相対的に回転することを防止できる。
【0063】
また、インテークマニホールド10の受入れ部50の流出口側端部53の内周面63とスロットルボデー18のボデー本体28の流出口側端部64の外周面65との間に、Oリング66またはガスケット68が配置されている。このように、ボデー本体28の流出口側端部64は弾性体を介して受入れ部50の流出口側端部53の内周面63の内側に配置されているので、エンジンからインテークマニホールド10に伝達される振動がスロットルボデー18に伝達することを抑制できる。
【0064】
また、インテークマニホールド10の受入れ部50の流入口側端部52は、周方向の一部に形成されており、エアダクト14の流出口側端部48にて周方向の一部に形成される切り欠き部74と嵌合している。これにより、インテークマニホールド10とエアダクト14との間で相対的に回転することを防止できる。
【0065】
また、締結バンド16は周方向に沿って凹状に形成された凹状部材44を備え、インテークマニホールド10の受入れ部50の流入口側端部52は締結バンド16の凹状部材44と嵌合する凸部78を備える。これにより、例えば吸気装置1の組み付け時などにおいて、締結バンド16が回転することを防止できる。
【0066】
また、インテークマニホールド10の受入れ部50の流入口側端部52は、空気の流入口側の最先端部に径方向の外側に突出するように形成された爪部76を備える。そのため、締結バンド16が受入れ部50の流入口側端部52から流入口側に抜けないようにすることができる。したがって、締結バンド16の組み付け位置が移動することを防止することができる。
【0067】
また、スロットルボデー18のボデー本体28の外周面30から径方向の外側に突出するスクリュ88と、インテークマニホールド10の受入れ部50を径方向に貫通する貫通孔86と、を有し、スクリュ88の少なくとも一部は貫通孔86の内部に配置されている。そのため、例えば吸気装置1の分解時などにおいて、インテークマニホールド10からスロットルボデー18が脱落したり落下したりすることを防止できる。
【0068】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0069】
1 吸気装置
10 インテークマニホールド
12 スロットル装置
14 エアダクト
16 締結バンド
18 スロットルボデー
28 ボデー本体
32a 軸受部
32b 軸受部
46 (ボデー本体の)流入口側端部
48 (エアダクトの)流出口側端部
50 受入れ部
52 (受入れ部の)流入口側端部
53 (受入れ部の)流出口側端部
56 シール部
62a ガイド部
62b ガイド部
63 (受入れ部の流出口側端部の)内周面
64 (ボデー本体の)流出口側端部
65 (ボデー本体の流出口側端部の)外周面
66 Oリング
74 (エアダクトの)切り欠き部
76 爪部
78 凸部
86 貫通孔
88 スクリュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を内燃機関に供給するインテークマニホールドと、前記空気を前記インテークマニホールドに供給するエアダクトと、前記エアダクトから前記インテークマニホールドに供給する前記空気の量を制御するスロットルボデーとを有する内燃機関の吸気装置において、
前記インテークマニホールドの前記空気の流入口側に備わる受入れ部の内周面の内側に前記スロットルボデーのボデー本体が配置され、
同心状に内側から外側へ順に配置される前記ボデー本体の前記空気の流入口側端部と前記エアダクトの前記空気の流出口側端部と前記受入れ部の前記空気の流入口側端部とが締結バンドで一括して締付けられていることにより、前記インテークマニホールドと前記エアダクトと前記スロットルボデーとが固定されていること、
を特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項2】
請求項1の内燃機関の吸気装置において、
前記エアダクトは、前記流出口側端部の内周面に前記ボデー本体の前記流入口側端部の外周面との間でシール性を確保するシール部を備え、前記流出口側端部の外周面に前記締結バンドが配置される溝部を備えること、
を特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項3】
請求項1または2の内燃機関の吸気装置において、
前記スロットルボデーはスロットルバルブの軸を支持する軸受部を備え、
前記エアダクトは前記軸受部と嵌合するガイド部を備えること、
を特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つの内燃機関の吸気装置において、
前記受入れ部の前記空気の流出口側端部の内周面と前記ボデー本体の前記空気の流出口側端部の外周面との間に弾性体が配置されていること、
を特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つの内燃機関の吸気装置において、
前記受入れ部の前記流入口側端部は、周方向の一部に形成されており、前記エアダクトの前記流出口側端部にて周方向の一部に形成される切り欠き部と嵌合していること、
を特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項6】
請求項5の内燃機関の吸気装置において、
前記締結バンドは、周方向に沿って凹状に形成された凹部を備え、
前記受入れ部の少なくとも1つの前記流入口側端部は、前記締結バンドの前記凹部と嵌合する凸部を備えること、
を特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項7】
請求項5または6の内燃機関の吸気装置において、
前記受入れ部の前記流入口側端部は、前記空気の流入口側の最先端部に径方向の外側に突出するように形成された爪部を備えること、
を特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つの内燃機関の吸気装置において、
前記ボデー本体の外周面から径方向の外側に突出する突起部と、
前記受入れ部を径方向に貫通する貫通孔と、を有し、
前記突起部の少なくとも一部は前記貫通孔の内部に配置されていること、
を特徴とする内燃機関の吸気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−60844(P2013−60844A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198964(P2011−198964)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】