内燃機関の排気浄化装置
【課題】オイル希釈量の抑制とポスト噴射による燃費悪化の抑制を両立させる内燃機関の排気浄化装置を提供すること
【解決手段】ディーゼルエンジンの排気ガスから煤や未燃焼成分などの粒子状物質を捕集するDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)において、エンジンオイルを希釈する燃料の量であるオイル希釈量をDPFの再生時間や運転状態から算出し、そのオイル希釈量が所定値を超えた場合、よりオイル希釈量が少なくなるような再生方法を用いて、オイル希釈量の増加を緩和させることでオイル希釈量の抑制とポスト噴射による燃費悪化の抑制を両立させる。
【解決手段】ディーゼルエンジンの排気ガスから煤や未燃焼成分などの粒子状物質を捕集するDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)において、エンジンオイルを希釈する燃料の量であるオイル希釈量をDPFの再生時間や運転状態から算出し、そのオイル希釈量が所定値を超えた場合、よりオイル希釈量が少なくなるような再生方法を用いて、オイル希釈量の増加を緩和させることでオイル希釈量の抑制とポスト噴射による燃費悪化の抑制を両立させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排気管に排気浄化のためのディーゼル・パティキュレート・フィルター(以下、DPFとも称する)を装着した内燃機関の排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、エンジンの排気中に含まれる煤や未燃焼物質などの粒子状物質であるパティキュレート・マター(以下、PMとも称する)のDPFへの堆積量が所定値を超えた場合、DPF内のPMを効果的に燃焼させるためにエンジンのメイン噴射後の膨張行程で追加燃料を噴射して、追加燃料を直接DPFへ送り込むポスト噴射という技術が開示されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特願平8−42326号公報
【0004】
【特許文献2】特願2005−307746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ポスト噴射は、膨張行程で噴射するため、噴射燃料が蒸発しにくく、シリンダの壁面に付着しやすくなる。シリンダの壁面に付着した燃料はピストンリングとシリンダとの隙間から下降し、エンジンオイルを希釈するという問題があった。
【0006】
さらに、ポスト噴射を長期にわたり繰り返し、オイルを希釈する燃料の量(以下、オイル希釈量とも言う)が過大になると、ピストンの潤滑不良を起こしたり、蒸発燃料が吸気側に回り込みエンジン回転が上昇するなどの問題が起こる可能性があった。
【0007】
本発明の課題は、オイル希釈抑制とポスト噴射による燃費悪化抑制とを両立する内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記の課題を解決する為に、本発明における内燃機関の排気浄化装置は、エンジンの排気中に含まれる粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルターを備えた内燃機関の排気浄化装置であり、内燃機関の排気浄化装置の動作を制御する制御部と、ディーゼルパティキュレートフィルター内における粒子状物質の堆積量を測定する粒子状物質堆積量測定部と、粒子状物質堆積量測定部において測定された粒子状物質の堆積量が第1の所定値を超えているか否かを判定する粒子状物質堆積量判定手段と、エンジンオイルの中に希釈される燃料の量であるオイル希釈量を導出するために必要なオイル希釈関係データを測定するオイル希釈関係データ測定手段と、オイル希釈関係データ測定手段によって測定されたオイル希釈関係データが、第2の所定値を超えているか否かを判定するオイル希釈関係データ判定手段と、粒子状物質を燃焼させ、ディーゼルパティキュレートフィルターを再生させる再生手段と、を備え、再生手段は、第1の再生手段とその第1の再生手段よりオイル希釈量が低く、燃料消費率の高い第2の再生手段との2つの再生手段であり、制御部は、粒子状物質堆積量判定手段によって、第1の所定値を超えた粒子状物質がディーゼルパティキュレートフィルターに堆積していると判定され、かつオイル希釈関係データ判定手段によって測定されたオイル希釈関係データが第2の所定値より低いと判定された場合、2つの再生手段から第1の再生手段を選択し、また、粒子状物質堆積量判定手段によって、第1の所定値を超えた粒子状物質がディーゼルパティキュレートフィルターに堆積していると判定され、かつ測定されたオイル希釈関係データが第2の所定値より高いと判定された場合、2つの再生手段から第2の再生手段を選択する選択手段を備えることを特徴とする。
【0009】
この特徴により本発明に記載の内燃機関の排気浄化装置は現在のエンジンにおけるオイル希釈量によって「オイル希釈は多いが燃費悪化が小さい第1の再生手段」と「オイル希釈は少ないが燃費悪化が大きい第2の再生手段」とを選択して用いることが可能となり、オイル希釈量を所定値以下とした上で、燃費悪化を抑制できる。すなわち、DPF再生時のオイル希釈の抑制と燃費悪化抑制を両立できるという効果を奏する。
【0010】
また、第1の再生手段は、膨張行程において燃料噴射を行うポスト噴射を実施し、第2の再生手段は、前記膨張行程中のより進角した噴射時期において前記ポスト噴射を実施するとしてもよい。
【0011】
これにより特別な外部装置を設けることなく「オイル希釈は多いが燃費悪化が小さい第1の再生手段」と「オイル希釈は少ないが燃費悪化が大きい第2の再生手段」という2つの再生手段を設けることができる。すなわち、余分なコストを必要とせず、2種類の再生手段を設けることができるという効果を奏する。
【0012】
また、ポスト噴射は、膨張行程時に複数回に分けて噴射することを特徴とすることができる。
【0013】
この特徴により、同じポスト噴射量であっても1噴射あたりのポスト噴射量を減らすことが可能となる。これによって、シリンダに付着する燃料の量を低減し、オイル希釈量を減らすことができるという効果を奏する。
【0014】
また、オイル希釈関係データ測定手段は、第1の再生手段、もしくは第2の再生手段のいずれかを実行している間の車速と走行距離、または第1の再生手段、もしくは第2の再生手段のいずれかを実行している間の車速と走行時間から測定されるとしてもよい。
【0015】
この特徴により、車速が低く排気温度が低い場合には、DPF再生時間が長くなるためオイル希釈量が増加する。この関係からオイル希釈量を求めることができるという効果を奏する。
【0016】
また、オイル希釈関係データ測定手段は、第1の再生手段、もしくは第2の再生手段のいずれかを実行している間の継続時間から測定されるとすることができる。
【0017】
一般的にDPF再生時間が長くなると、オイル希釈量が増加する。上記の特徴により、本発明における内燃機関の排気浄化装置において、DPF再生時間からオイル希釈量を導出することができるという効果を奏する。
【0018】
また、オイル希釈量測定手段は、オイル希釈量とオイル内から蒸発する燃料の量であるオイル蒸発量との差から導出することを特徴とすることができる。
【0019】
この特徴により、オイル希釈量とオイル蒸発量との差から、オイル希釈量をより正確に導出することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係る内燃機関1の排気浄化装置のシステム図である。まず、原動機であるディーゼルエンジン2がある。また、ディーゼルエンジン2の状態を知るためのセンサとして、ディーゼルエンジン2の吸気側における空気の流量を測定するエアフローメータ3、ディーゼルエンジン2の回転を測定するエンジン回転センサ4、ドライバーのアクセルの開度を測定するアクセル開度センサ5が備え付けられている。ディーゼルエンジン2には燃料を噴射する燃料噴射弁を備えたインジェクターが備え付けられており、制御部であるECU(エンジン・コントロール・ユニット)10に電気的に接続されている。インジェクターが燃料を噴射するための燃料噴射弁の開度とタイミングはECU10によって管理される。また、エアフローメータ3とエンジン回転センサ4とアクセル開度センサ5も制御部であるECU10に電気的に接続され、測定値をECU10に送信する。この測定値に基づき、ECU10はエンジンの状態を把握し、管理する。
【0021】
次に、エンジンからの排気の情報を得る為のセンサとして排気温度を測定する排気温センサ6、ディーゼルエンジン2とPMを取り除く為のDPF9との間の排気の酸素濃度を測定する酸素濃度センサ7、DPF9前後の排気の圧力差を測定する差圧センサ8(粒子状物質堆積量測定部)がある。排気温センサ6、酸素濃度センサ7、差圧センサ8もエンジン回転センサ4とアクセル開度センサ5と同様、制御部であるECU10に接続され、測定値をECU10に送信する。送信された測定値はエンジンの状態を把握する為に用いられる。また、差圧センサ8によって測定される差圧はDPF9のPM堆積量を調べる為に用いられる。
【0022】
図2は本発明の実施形態に係るECU10の構成例を示した図である。ECU10は各構成部を制御するCPU20と、制御プログラムや種々のデータ等を格納するROM21と、CPU20による演算の作業領域となるRAM22と、不揮発性のメモリであり各種設定を保存するEEPROM23とで構成されており、それぞれがバス50を介することでデータのやり取りを行う。各センサ類などの外部との電気的な接続はバス50を介し、I/O51を経由することで実現される。
【0023】
ROM21は、差圧センサ8で測定された差圧からDPF9に堆積されたPMの量を算出するPM堆積量算出プログラム31(粒子状物質堆積量判定手段)と、DPF9の再生中の温度をポスト噴射によって制御するDPF温度制御プログラム32と、オイル希釈量を算出するためのデータとして車速と走行距離と走行時間を測定する運転状態測定プログラム34(オイル希釈関係データ測定手段)と、エンジン冷却水温とオイル希釈量からオイル内から蒸発する燃料の量であるオイル蒸発量算出プログラム35(オイル希釈関係データ測定手段)と、エンジン回転数とエンジン出力トルクからオイル希釈量を算出するオイル希釈量算出プログラム36(オイル希釈関係データ測定手段)と、DPF9の再生時間を測定するDPF再生時間測定プログラム37(オイル希釈関係データ測定手段)とで構成される。CPU20はROM21の内容をRAM22に展開することによって各種処理を行う。また、処理に必要な各種設定の値をEEPROM23からRAM22に展開することで各種処理を行い、設定に変更があった場合、EEPROM23にその値を書き込むことで設定を保存する。
【0024】
以下、フローチャートを参照して、本発明におけるDPF9の再生時におけるポスト噴射の制御について説明する。なお、DPF9の再生処理とは、DPF9が捕集したPM堆積量が所定値を超えた場合、DPF内のPMを燃焼除去させる処理を言う。本例では、メイン噴射後にポスト噴射を実行し、その燃料の燃焼による燃焼等によって、DPF9に堆積しているPMを除去し、DPF9を再生させる。
【0025】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るDPF9の再生処理を示したフローチャートである。まず、ECU10はDPF9へのPM堆積量がDPF9の再生が必要な第1の所定値を超えているか否かの判定を行う(S100)。判定方法は、公知の技術を用いて判定を行う。公知の技術として、例えば、DPF9の入口と出口の圧力差を差圧センサ7で測定し、PM堆積量を推測する方法が挙げられる。まず、PM堆積量が多い場合、差圧センサに計測される差圧は大きくなる。この差圧が所定の値を超えた場合に、DPF9へのPM堆積量がDPF9の再生が必要な第1の所定値を超えていると判定する。一方、S100において、PMの堆積量が第1の所定値を下回った場合(S100:NO)、ECU10は次にPMの堆積量がDPF9の再生が必要となる第1の所定値を超えているか否かの判定を行うまで、ウェイティング状態に入る。
【0026】
PM堆積量がDPF9の再生が必要な第1の所定値を超えていた場合(S100:YES)、ECU10はDPF9の再生を開始する(S110)。DPF9の再生時にポスト噴射を行うことにより、未燃の燃料を排気ガスと共にDPF9へ送り、DPF9に担持されている酸化触媒の酸化熱によって、DPF9内のPMを燃焼させ、これにより、DPF9に堆積しているPMが減少する。多量のPMの堆積は排気の抜けが悪くなることからエンジン出力の低下を招くことになるため、DPF9にとって再生は必要不可欠である。なお、PMが燃焼を始める温度は約550℃である。
【0027】
再生時にポスト噴射を行うということは、上死点を過ぎてピストンが下降した状態において燃料をシリンダ内に噴射するということであり、シリンダ壁に燃料が付着するということでもある。シリンダ壁に付着した燃料は段落0005、0006で述べたようにオイル希釈の原因となり、ピストンの潤滑不良や、蒸発燃料が吸気側に回り込みエンジン回転が上昇するといった現象を引き起こす可能性がある。
【0028】
上記の現象を避ける為に、続いて、ECU10はエンジンオイルに希釈された燃料の量であるオイル希釈量が所定の量を超えているか否かの判定を行う(S120)。オイル希釈量を直接測定することは難しいため、オイル希釈量が所定の量を超えているか否かの判定は、運転状況によって判断する。例えば、低速運転が所定の時間以上の期間にわたって継続された場合、低温の排気が継続されていることとなる。これはシリンダ壁に未燃焼の燃料が多く付着することにつながり、オイル希釈が進行することとなる。そのため、低速運転が所定の時間以上の期間にわたって継続された場合、オイル希釈量が所定の量を超えていると判定される(S120:NO)。例えば、本実施例では、車速20km/h以下の運転が60分以上継続した場合を条件にしている。もちろん、オイル希釈量が所定の量を超えているか否かの条件はこの条件に限定されるものではない。
【0029】
また、オイル希釈量が所定の量を超えているか否かの判定条件として、低速運転が所定以上の距離にわたって継続された場合、としても良い。本実施例では、例えば、車速20km/h以下の運転が20km以上継続した場合を条件とする。もちろん、オイル希釈量が所定の量を超えているか否かの条件はこの条件に限定されるものではない。
【0030】
ECU10が低速運転が継続されていない、すなわち、オイル希釈量が所定の量を超えていないと判定した場合(S120:NO)、続いて、ECU10は、オイル希釈量が所定の量を超えているか否かのもう一つの判定条件として、再生継続時間が第2の所定値を超えたか否かの判定を行う(S130)。DPF9の再生中はポスト噴射を継続して行っており、オイル希釈量が増加し続ける状態にあるため、この判定によって、オイル希釈量が所定値に達しているか否かを判定する基準とすることができる。再生時間が長時間継続している場合は、オイル希釈量が大幅に増加している可能性があるため、オイル希釈量が増加しないように再生手段の切替を行う。
【0031】
もし、S130において、再生継続時間が第2の所定値を超えていなかった場合(S130:NO)、ECU10はオイル希釈量が所定の量を超えていないと判定して、DPF9内のPMの燃焼を効率良く進めるために、第1の再生手段を実施する(S140)。
【0032】
第1の再生手段におけるクランク角度と燃料噴射弁の開度との関係を表した図が図4Aである。燃料噴射弁が開いている部分は左から順に、着火の前に空気と燃料を混合させ、エンジンの動作音を抑えるパイロット噴射61、動力を得る為のメイン噴射62、爆発後にDPF9に堆積したPMを燃焼させる為の燃料としてDPF9に未燃焼燃料を送り込むために行うポスト噴射A63、ポスト噴射B64を表している。上死点を過ぎてピストンが下降した状態においてポスト噴射を一度に大量に行うと、所定の量を超えた未燃の燃料はシリンダ壁に付着することとなり、オイル希釈量が増加する原因となる。しかし、ポスト噴射を分割することにより、1噴射当たりのポスト噴射量を減らすことが可能となり、燃料に対するシリンダ容積が増えることとなる。これは、シリンダ壁に付着する未燃の燃料を減少させ、オイル希釈量を減少させることにつながる。TDC(Top Dead Center)はピストンの上死点を表していて、本例では上死点の直後にメイン噴射が始まることが図4Aからわかる。
【0033】
図4Aではポスト噴射A、ポスト噴射Bがメイン噴射62からかなり遅れたタイミングで実行されている。噴射のタイミングを遅らせることによって、未燃焼のままDPF9へ到達する燃料が増加するため、比較的少ないポスト噴射量で効率よくDPF9内のPMを燃焼させることができる。その反面、シリンダ内の温度が比較的低い状態で噴射される為、シリンダ壁に到達する未燃焼燃料が増加し、オイル希釈量増加の原因となる。
【0034】
また、DPF9へ到達する未燃焼の燃料が増加することは、すなわち一定量の燃料をDPF9に到達させるまでのポスト噴射の噴射量あるいは噴射回数が少なくなるということであり、燃費の悪化が軽減される。
【0035】
続いて、ECU10はDPF9の再生によってPMの堆積量が充分減少したか否かの判定を行う(S160)。判定はS100のときと同様に、公知の技術を用いて行う。PMの堆積量が充分減少した場合、ECU10はDPF9の再生を終了する(S160:YES)。PMの堆積量が減少していない場合、ECU10はS120に戻りDPF9の再生を行う(S160:NO)。
【0036】
一方、S120において、オイル希釈量が所定の量を超えていると判断された場合(S120:YES)、ECU10はオイル希釈量の増加を緩和させるために、第2の再生手段の実施を行う(S150)。
【0037】
第2の再生手段のクランク角度と燃料噴射弁の開度との関係を表したのが図4Bである。図4Aと比較するとポスト噴射の時期が早くなっていることがわかる。ポスト噴射の時期を早めることで、第1の再生手段と比較して、シリンダ内の圧力が高いうちにポスト噴射を行うことになるため、シリンダ壁に到達する燃料も少なくなり、オイル希釈量の増加が緩和される。
【0038】
しかし、噴射時期が早く、ポスト噴射時のシリンダ内温度が高いうちに燃料を噴射するため、ポスト噴射燃料が一部燃焼する。この燃焼はエンジン出力となるが上死点から遅く離れた時期での燃焼となるため燃焼効率が低下し燃費が悪化する。この燃焼効率低下分は熱エネルギとしてエンジンから排気へと排出されるが、DPF9に到達するまでに排気管から外気へと一部の熱が逃げてしまう。従って、ポスト噴射燃料のうちDPF9の温度を上昇させるのに有効に使われる燃料の割合は第1の再生手段と比較して少なくなり、燃費を悪化させる原因となる。第1の再生手段と第2の再生手段とのシリンダ内の温度を比較した図を図5A、オイル希釈量を比較した図を図5B、燃費を比較した図を図5Cで表す。この図からわかるように、シリンダ内の温度、燃料の消費は第1の再生手段より第2の再生手段の方が多く、オイル希釈量は第1の再生手段の方が第2の再生手段より多い。
【0039】
再生を実施したECU10はS160へ移動し、ECU10はPMの堆積量が充分減少したか否かの判定を行う。ECU10がPMの堆積量が充分減少したと判定した場合(S160:YES)、ECU10はDPF9の再生を終了する。また、ECU10がPMの堆積量が充分減少していないと判定した場合(S160:NO)、ECU10はS120へ戻り、オイル希釈量から再生手段を選択する。
【0040】
一方、S130において再生継続時間が第2の所定値を超えていた場合(S130:YES)、ECU10はオイル希釈量が増大していると判断し、オイル希釈量の増加を緩和させるために第2の再生手段を実施する(S150)。
【0041】
以上が第1の実施例である。次に、本発明における第2の実施例について説明する。
【0042】
図6は本発明の第2の実施形態に係るDPF9の再生処理を示したフローチャートである。まず、ECU10はオイルの蒸発量の算出を行う(S200)。オイルの蒸発量はエンジンの暖気状態(エンジン冷却水温などによって知ることが出来る)と現在のオイル希釈量によって変化する。この三者の関係は予め実験的に求められており、ECU10に記憶されている。エンジン冷却水温が高くなるということは、エンジン内部の温度が上昇するということなので、オイル内の燃料も蒸発しやすくなり、オイル蒸発量の上昇につながる。また、オイル希釈量が増加するということは、オイル内の蒸発する燃料も増えることになるため、オイル蒸発量も上昇することになる。エンジン冷却水温とオイル希釈量によるオイル蒸発量の増加を示した図を図7Aに示す。図7Aでは、その線上でオイル蒸発量が等しい当オイル蒸発量線が引かれており、エンジン冷却水温、またはオイル希釈量の少なくともどちらか一方が増加することによって、オイル蒸発量は増加する。
【0043】
続いて、ECU10はDPF9へのPM堆積量がDPF9の再生が必要な第1の所定値を超えているか否かの判定を行う(S210)。この処理は第1実施例と同じであり、PM堆積量がDPF9の再生が必要な第1の所定値を超えていた場合(S210:YES)、ECU10はポスト噴射を実行し、DPF9の再生を開始する(S220)。また、PMの堆積量が第1の所定値を下回った場合(S210:NO)、ECU10は次にPMの堆積量がDPF9の再生が必要な第1の所定値を超えているか否かの判定を行うまで、ウェイティング状態に入る。PMの堆積量は公知の技術で測定し、その例は段落0025に記載されている。
【0044】
続いて、ECU10はDPF9の再生を開始する(S220)。この処理は第1実施例と同じであり、段落0026に記載されている。
【0045】
続いて、ECU10はオイル希釈量の算出を行う(S230)。オイル希釈量はエンジンの回転数と出力トルクに関係する。また、ポスト噴射量に大きく影響される。エンジン出力トルクとエンジン回転数によるオイル希釈量の増加を示した図を図7Bに示す。その線上でオイル希釈量が等い等オイル希釈量線が引かれており、そのオイル希釈量はエンジン出力トルク、またはエンジン回転数の少なくともどちらか一方が増加することによって減少する。エンジンの回転数やエンジン出力トルクが低い場合には排気温度が低いため、DPF9の再生にはポスト噴射によって多量の燃料をDPF9に送り込む必要がある。これはシリンダに多くの燃料が付着することにつながり、オイル希釈量を増加させる原因となるためである。
【0046】
続いて、ECU10はオイル希釈量とオイル蒸発量から現時点でエンジンオイルを希釈している燃料の量を求める。オイル希釈量は蒸発前にエンジンオイルを希釈している燃料の量を表しているので、希釈後に蒸発した燃料の量(オイル蒸発量)も含まれている。希釈後に蒸発した燃料の量をオイル希釈量から引くことにより、現在エンジンオイルを希釈している燃料の量を求めることができる。ECU10はこうして求めたエンジンオイルを希釈している燃料の量が第3の所定値を超えているかどうかの判定を行う(S240)。こうすることにより、第1の実施例と比較して、より正確にエンジンオイルを希釈している燃料の量を求めることができ、ECU10は、再生手段の選択をさらに的確に行うことができる。エンジンオイルを希釈している燃料の量(オイル希釈量とオイル蒸発量の差)の走行距離(走行時間)による推移を表した図を図8に示す。再生時はポスト噴射を実行する為、エンジンオイルに希釈した燃料の量が上昇する。また、非再生時はポスト噴射を行わない為、エンジンオイルを希釈している燃料は蒸発するのみとなり、エンジンオイルを希釈している燃料の量は減少する。エンジンオイルを希釈している燃料の量が閾値Aを越えたとき、ECU10は、再生手段を第1の再生手段から第2の再生手段へ切り替え、エンジンオイルを希釈している燃料の量の増加が緩和する。
【0047】
段落0046で求めたエンジンオイルを希釈している燃料の量が第3の所定値を超えていない場合(S240:NO)、ECU10は、燃費悪化抑止を優先してDPF9内のPMの燃焼を効率良く進めるために、第1の再生手段を実施する(S250)。第1の再生手段については第1の実施例と同じであり、段落0032、0033に記載されている。
【0048】
続いて、ECU10は、DPF9の再生によってPMの堆積量が充分減少したか否かの判定を行う(S270)。判定は第1の実施例のときと同様に、公知の技術を用いて行う(段落0025の記載と同様の手法を用いる)。PMの堆積量が充分減少した場合、ECU10はDPF9の再生を終了する(S270:YES)。PMの堆積量が減少してない場合、ECU10はS230に戻りDPF9の再生を行う(S170:NO)。
【0049】
一方、段落0046で求めたエンジンオイルを希釈している燃料の量が第3の所定値を超えていた場合(S240:YES)、ECU10はオイル希釈量が増大していると判断し、オイル希釈量の増加を緩和させるために第2の再生手段を実施する(S260)。第2の再生手段については第1の実施例と同じであり、段落0037、0038に記載されている。
【0050】
なお、本発明における粒子状物質堆積量判定手段は、図3におけるS100と図6におけるS210であり、オイル希釈関係データ測定手段は、図3におけるS120、S130と図6におけるS200、S220である。
【0051】
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的思想の範囲内において、変更がなしうることは明らかである。例えば、オイルレベルセンサーや粘度センサーまたはそれに値する部品を用いてエンジンオイルの粘度から直接オイル希釈量を求めるような構成をとってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置のシステム図。
【図2】本発明の実施形態に係るECU10の構成例を示した図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るDPF9の再生処理を示したフローチャート。
【図4A】本発明の第1の実施形態に係る第1の再生手段のクランク角度と燃料噴射弁の開度との関係を表した図。
【図4B】本発明の第1の実施形態に係る第2の再生手段のクランク角度と燃料噴射弁の開度との関係を表した図。
【図5A】本発明の第1の実施形態に係る第1の再生手段と第2の再生手段とのシリンダ内の温度を比較した図。
【図5B】本発明の第1の実施形態に係る第1の再生手段と第2の再生手段とのオイル希釈量を比較した図。
【図5C】本発明の第1の実施形態に係る第1の再生手段と第2の再生手段との燃費悪化を比較した図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るDPF9の再生処理を示したフローチャート。
【図7A】エンジン冷却水温とオイル希釈量によるオイル蒸発量の増減を示した図。
【図7B】エンジン出力トルクとエンジン回転数によるオイル希釈量の増減を示した図。
【図8】オイル希釈量からオイル蒸発量を引いたものと走行時間(走行距離)との関係を表した図。
【符号の説明】
【0053】
1 内燃機関
2 ディーゼルエンジン
3 エアフローメータ
4 エンジン回転センサ
5 アクセル開度センサ
6 排気温センサ
7 酸素濃度センサ
8 差圧センサ
9 DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)
10 ECU(エンジン・コントロール・ユニット)
20 CPU
21 ROM
22 RAM
23 EEPROM
31 PM堆積量測定プログラム
32 DPF温度制御プログラム
34 運転状態測定プログラム
35 オイル蒸発量算出プログラム
36 オイル希釈量算出プログラム
37 DPF再生時間測定プログラム
50 バス
51 I/O
61 パイロット噴射
62 メイン噴射
63 ポスト噴射A
64 ポスト噴射B
【技術分野】
【0001】
本発明は排気管に排気浄化のためのディーゼル・パティキュレート・フィルター(以下、DPFとも称する)を装着した内燃機関の排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、エンジンの排気中に含まれる煤や未燃焼物質などの粒子状物質であるパティキュレート・マター(以下、PMとも称する)のDPFへの堆積量が所定値を超えた場合、DPF内のPMを効果的に燃焼させるためにエンジンのメイン噴射後の膨張行程で追加燃料を噴射して、追加燃料を直接DPFへ送り込むポスト噴射という技術が開示されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特願平8−42326号公報
【0004】
【特許文献2】特願2005−307746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ポスト噴射は、膨張行程で噴射するため、噴射燃料が蒸発しにくく、シリンダの壁面に付着しやすくなる。シリンダの壁面に付着した燃料はピストンリングとシリンダとの隙間から下降し、エンジンオイルを希釈するという問題があった。
【0006】
さらに、ポスト噴射を長期にわたり繰り返し、オイルを希釈する燃料の量(以下、オイル希釈量とも言う)が過大になると、ピストンの潤滑不良を起こしたり、蒸発燃料が吸気側に回り込みエンジン回転が上昇するなどの問題が起こる可能性があった。
【0007】
本発明の課題は、オイル希釈抑制とポスト噴射による燃費悪化抑制とを両立する内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記の課題を解決する為に、本発明における内燃機関の排気浄化装置は、エンジンの排気中に含まれる粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルターを備えた内燃機関の排気浄化装置であり、内燃機関の排気浄化装置の動作を制御する制御部と、ディーゼルパティキュレートフィルター内における粒子状物質の堆積量を測定する粒子状物質堆積量測定部と、粒子状物質堆積量測定部において測定された粒子状物質の堆積量が第1の所定値を超えているか否かを判定する粒子状物質堆積量判定手段と、エンジンオイルの中に希釈される燃料の量であるオイル希釈量を導出するために必要なオイル希釈関係データを測定するオイル希釈関係データ測定手段と、オイル希釈関係データ測定手段によって測定されたオイル希釈関係データが、第2の所定値を超えているか否かを判定するオイル希釈関係データ判定手段と、粒子状物質を燃焼させ、ディーゼルパティキュレートフィルターを再生させる再生手段と、を備え、再生手段は、第1の再生手段とその第1の再生手段よりオイル希釈量が低く、燃料消費率の高い第2の再生手段との2つの再生手段であり、制御部は、粒子状物質堆積量判定手段によって、第1の所定値を超えた粒子状物質がディーゼルパティキュレートフィルターに堆積していると判定され、かつオイル希釈関係データ判定手段によって測定されたオイル希釈関係データが第2の所定値より低いと判定された場合、2つの再生手段から第1の再生手段を選択し、また、粒子状物質堆積量判定手段によって、第1の所定値を超えた粒子状物質がディーゼルパティキュレートフィルターに堆積していると判定され、かつ測定されたオイル希釈関係データが第2の所定値より高いと判定された場合、2つの再生手段から第2の再生手段を選択する選択手段を備えることを特徴とする。
【0009】
この特徴により本発明に記載の内燃機関の排気浄化装置は現在のエンジンにおけるオイル希釈量によって「オイル希釈は多いが燃費悪化が小さい第1の再生手段」と「オイル希釈は少ないが燃費悪化が大きい第2の再生手段」とを選択して用いることが可能となり、オイル希釈量を所定値以下とした上で、燃費悪化を抑制できる。すなわち、DPF再生時のオイル希釈の抑制と燃費悪化抑制を両立できるという効果を奏する。
【0010】
また、第1の再生手段は、膨張行程において燃料噴射を行うポスト噴射を実施し、第2の再生手段は、前記膨張行程中のより進角した噴射時期において前記ポスト噴射を実施するとしてもよい。
【0011】
これにより特別な外部装置を設けることなく「オイル希釈は多いが燃費悪化が小さい第1の再生手段」と「オイル希釈は少ないが燃費悪化が大きい第2の再生手段」という2つの再生手段を設けることができる。すなわち、余分なコストを必要とせず、2種類の再生手段を設けることができるという効果を奏する。
【0012】
また、ポスト噴射は、膨張行程時に複数回に分けて噴射することを特徴とすることができる。
【0013】
この特徴により、同じポスト噴射量であっても1噴射あたりのポスト噴射量を減らすことが可能となる。これによって、シリンダに付着する燃料の量を低減し、オイル希釈量を減らすことができるという効果を奏する。
【0014】
また、オイル希釈関係データ測定手段は、第1の再生手段、もしくは第2の再生手段のいずれかを実行している間の車速と走行距離、または第1の再生手段、もしくは第2の再生手段のいずれかを実行している間の車速と走行時間から測定されるとしてもよい。
【0015】
この特徴により、車速が低く排気温度が低い場合には、DPF再生時間が長くなるためオイル希釈量が増加する。この関係からオイル希釈量を求めることができるという効果を奏する。
【0016】
また、オイル希釈関係データ測定手段は、第1の再生手段、もしくは第2の再生手段のいずれかを実行している間の継続時間から測定されるとすることができる。
【0017】
一般的にDPF再生時間が長くなると、オイル希釈量が増加する。上記の特徴により、本発明における内燃機関の排気浄化装置において、DPF再生時間からオイル希釈量を導出することができるという効果を奏する。
【0018】
また、オイル希釈量測定手段は、オイル希釈量とオイル内から蒸発する燃料の量であるオイル蒸発量との差から導出することを特徴とすることができる。
【0019】
この特徴により、オイル希釈量とオイル蒸発量との差から、オイル希釈量をより正確に導出することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係る内燃機関1の排気浄化装置のシステム図である。まず、原動機であるディーゼルエンジン2がある。また、ディーゼルエンジン2の状態を知るためのセンサとして、ディーゼルエンジン2の吸気側における空気の流量を測定するエアフローメータ3、ディーゼルエンジン2の回転を測定するエンジン回転センサ4、ドライバーのアクセルの開度を測定するアクセル開度センサ5が備え付けられている。ディーゼルエンジン2には燃料を噴射する燃料噴射弁を備えたインジェクターが備え付けられており、制御部であるECU(エンジン・コントロール・ユニット)10に電気的に接続されている。インジェクターが燃料を噴射するための燃料噴射弁の開度とタイミングはECU10によって管理される。また、エアフローメータ3とエンジン回転センサ4とアクセル開度センサ5も制御部であるECU10に電気的に接続され、測定値をECU10に送信する。この測定値に基づき、ECU10はエンジンの状態を把握し、管理する。
【0021】
次に、エンジンからの排気の情報を得る為のセンサとして排気温度を測定する排気温センサ6、ディーゼルエンジン2とPMを取り除く為のDPF9との間の排気の酸素濃度を測定する酸素濃度センサ7、DPF9前後の排気の圧力差を測定する差圧センサ8(粒子状物質堆積量測定部)がある。排気温センサ6、酸素濃度センサ7、差圧センサ8もエンジン回転センサ4とアクセル開度センサ5と同様、制御部であるECU10に接続され、測定値をECU10に送信する。送信された測定値はエンジンの状態を把握する為に用いられる。また、差圧センサ8によって測定される差圧はDPF9のPM堆積量を調べる為に用いられる。
【0022】
図2は本発明の実施形態に係るECU10の構成例を示した図である。ECU10は各構成部を制御するCPU20と、制御プログラムや種々のデータ等を格納するROM21と、CPU20による演算の作業領域となるRAM22と、不揮発性のメモリであり各種設定を保存するEEPROM23とで構成されており、それぞれがバス50を介することでデータのやり取りを行う。各センサ類などの外部との電気的な接続はバス50を介し、I/O51を経由することで実現される。
【0023】
ROM21は、差圧センサ8で測定された差圧からDPF9に堆積されたPMの量を算出するPM堆積量算出プログラム31(粒子状物質堆積量判定手段)と、DPF9の再生中の温度をポスト噴射によって制御するDPF温度制御プログラム32と、オイル希釈量を算出するためのデータとして車速と走行距離と走行時間を測定する運転状態測定プログラム34(オイル希釈関係データ測定手段)と、エンジン冷却水温とオイル希釈量からオイル内から蒸発する燃料の量であるオイル蒸発量算出プログラム35(オイル希釈関係データ測定手段)と、エンジン回転数とエンジン出力トルクからオイル希釈量を算出するオイル希釈量算出プログラム36(オイル希釈関係データ測定手段)と、DPF9の再生時間を測定するDPF再生時間測定プログラム37(オイル希釈関係データ測定手段)とで構成される。CPU20はROM21の内容をRAM22に展開することによって各種処理を行う。また、処理に必要な各種設定の値をEEPROM23からRAM22に展開することで各種処理を行い、設定に変更があった場合、EEPROM23にその値を書き込むことで設定を保存する。
【0024】
以下、フローチャートを参照して、本発明におけるDPF9の再生時におけるポスト噴射の制御について説明する。なお、DPF9の再生処理とは、DPF9が捕集したPM堆積量が所定値を超えた場合、DPF内のPMを燃焼除去させる処理を言う。本例では、メイン噴射後にポスト噴射を実行し、その燃料の燃焼による燃焼等によって、DPF9に堆積しているPMを除去し、DPF9を再生させる。
【0025】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るDPF9の再生処理を示したフローチャートである。まず、ECU10はDPF9へのPM堆積量がDPF9の再生が必要な第1の所定値を超えているか否かの判定を行う(S100)。判定方法は、公知の技術を用いて判定を行う。公知の技術として、例えば、DPF9の入口と出口の圧力差を差圧センサ7で測定し、PM堆積量を推測する方法が挙げられる。まず、PM堆積量が多い場合、差圧センサに計測される差圧は大きくなる。この差圧が所定の値を超えた場合に、DPF9へのPM堆積量がDPF9の再生が必要な第1の所定値を超えていると判定する。一方、S100において、PMの堆積量が第1の所定値を下回った場合(S100:NO)、ECU10は次にPMの堆積量がDPF9の再生が必要となる第1の所定値を超えているか否かの判定を行うまで、ウェイティング状態に入る。
【0026】
PM堆積量がDPF9の再生が必要な第1の所定値を超えていた場合(S100:YES)、ECU10はDPF9の再生を開始する(S110)。DPF9の再生時にポスト噴射を行うことにより、未燃の燃料を排気ガスと共にDPF9へ送り、DPF9に担持されている酸化触媒の酸化熱によって、DPF9内のPMを燃焼させ、これにより、DPF9に堆積しているPMが減少する。多量のPMの堆積は排気の抜けが悪くなることからエンジン出力の低下を招くことになるため、DPF9にとって再生は必要不可欠である。なお、PMが燃焼を始める温度は約550℃である。
【0027】
再生時にポスト噴射を行うということは、上死点を過ぎてピストンが下降した状態において燃料をシリンダ内に噴射するということであり、シリンダ壁に燃料が付着するということでもある。シリンダ壁に付着した燃料は段落0005、0006で述べたようにオイル希釈の原因となり、ピストンの潤滑不良や、蒸発燃料が吸気側に回り込みエンジン回転が上昇するといった現象を引き起こす可能性がある。
【0028】
上記の現象を避ける為に、続いて、ECU10はエンジンオイルに希釈された燃料の量であるオイル希釈量が所定の量を超えているか否かの判定を行う(S120)。オイル希釈量を直接測定することは難しいため、オイル希釈量が所定の量を超えているか否かの判定は、運転状況によって判断する。例えば、低速運転が所定の時間以上の期間にわたって継続された場合、低温の排気が継続されていることとなる。これはシリンダ壁に未燃焼の燃料が多く付着することにつながり、オイル希釈が進行することとなる。そのため、低速運転が所定の時間以上の期間にわたって継続された場合、オイル希釈量が所定の量を超えていると判定される(S120:NO)。例えば、本実施例では、車速20km/h以下の運転が60分以上継続した場合を条件にしている。もちろん、オイル希釈量が所定の量を超えているか否かの条件はこの条件に限定されるものではない。
【0029】
また、オイル希釈量が所定の量を超えているか否かの判定条件として、低速運転が所定以上の距離にわたって継続された場合、としても良い。本実施例では、例えば、車速20km/h以下の運転が20km以上継続した場合を条件とする。もちろん、オイル希釈量が所定の量を超えているか否かの条件はこの条件に限定されるものではない。
【0030】
ECU10が低速運転が継続されていない、すなわち、オイル希釈量が所定の量を超えていないと判定した場合(S120:NO)、続いて、ECU10は、オイル希釈量が所定の量を超えているか否かのもう一つの判定条件として、再生継続時間が第2の所定値を超えたか否かの判定を行う(S130)。DPF9の再生中はポスト噴射を継続して行っており、オイル希釈量が増加し続ける状態にあるため、この判定によって、オイル希釈量が所定値に達しているか否かを判定する基準とすることができる。再生時間が長時間継続している場合は、オイル希釈量が大幅に増加している可能性があるため、オイル希釈量が増加しないように再生手段の切替を行う。
【0031】
もし、S130において、再生継続時間が第2の所定値を超えていなかった場合(S130:NO)、ECU10はオイル希釈量が所定の量を超えていないと判定して、DPF9内のPMの燃焼を効率良く進めるために、第1の再生手段を実施する(S140)。
【0032】
第1の再生手段におけるクランク角度と燃料噴射弁の開度との関係を表した図が図4Aである。燃料噴射弁が開いている部分は左から順に、着火の前に空気と燃料を混合させ、エンジンの動作音を抑えるパイロット噴射61、動力を得る為のメイン噴射62、爆発後にDPF9に堆積したPMを燃焼させる為の燃料としてDPF9に未燃焼燃料を送り込むために行うポスト噴射A63、ポスト噴射B64を表している。上死点を過ぎてピストンが下降した状態においてポスト噴射を一度に大量に行うと、所定の量を超えた未燃の燃料はシリンダ壁に付着することとなり、オイル希釈量が増加する原因となる。しかし、ポスト噴射を分割することにより、1噴射当たりのポスト噴射量を減らすことが可能となり、燃料に対するシリンダ容積が増えることとなる。これは、シリンダ壁に付着する未燃の燃料を減少させ、オイル希釈量を減少させることにつながる。TDC(Top Dead Center)はピストンの上死点を表していて、本例では上死点の直後にメイン噴射が始まることが図4Aからわかる。
【0033】
図4Aではポスト噴射A、ポスト噴射Bがメイン噴射62からかなり遅れたタイミングで実行されている。噴射のタイミングを遅らせることによって、未燃焼のままDPF9へ到達する燃料が増加するため、比較的少ないポスト噴射量で効率よくDPF9内のPMを燃焼させることができる。その反面、シリンダ内の温度が比較的低い状態で噴射される為、シリンダ壁に到達する未燃焼燃料が増加し、オイル希釈量増加の原因となる。
【0034】
また、DPF9へ到達する未燃焼の燃料が増加することは、すなわち一定量の燃料をDPF9に到達させるまでのポスト噴射の噴射量あるいは噴射回数が少なくなるということであり、燃費の悪化が軽減される。
【0035】
続いて、ECU10はDPF9の再生によってPMの堆積量が充分減少したか否かの判定を行う(S160)。判定はS100のときと同様に、公知の技術を用いて行う。PMの堆積量が充分減少した場合、ECU10はDPF9の再生を終了する(S160:YES)。PMの堆積量が減少していない場合、ECU10はS120に戻りDPF9の再生を行う(S160:NO)。
【0036】
一方、S120において、オイル希釈量が所定の量を超えていると判断された場合(S120:YES)、ECU10はオイル希釈量の増加を緩和させるために、第2の再生手段の実施を行う(S150)。
【0037】
第2の再生手段のクランク角度と燃料噴射弁の開度との関係を表したのが図4Bである。図4Aと比較するとポスト噴射の時期が早くなっていることがわかる。ポスト噴射の時期を早めることで、第1の再生手段と比較して、シリンダ内の圧力が高いうちにポスト噴射を行うことになるため、シリンダ壁に到達する燃料も少なくなり、オイル希釈量の増加が緩和される。
【0038】
しかし、噴射時期が早く、ポスト噴射時のシリンダ内温度が高いうちに燃料を噴射するため、ポスト噴射燃料が一部燃焼する。この燃焼はエンジン出力となるが上死点から遅く離れた時期での燃焼となるため燃焼効率が低下し燃費が悪化する。この燃焼効率低下分は熱エネルギとしてエンジンから排気へと排出されるが、DPF9に到達するまでに排気管から外気へと一部の熱が逃げてしまう。従って、ポスト噴射燃料のうちDPF9の温度を上昇させるのに有効に使われる燃料の割合は第1の再生手段と比較して少なくなり、燃費を悪化させる原因となる。第1の再生手段と第2の再生手段とのシリンダ内の温度を比較した図を図5A、オイル希釈量を比較した図を図5B、燃費を比較した図を図5Cで表す。この図からわかるように、シリンダ内の温度、燃料の消費は第1の再生手段より第2の再生手段の方が多く、オイル希釈量は第1の再生手段の方が第2の再生手段より多い。
【0039】
再生を実施したECU10はS160へ移動し、ECU10はPMの堆積量が充分減少したか否かの判定を行う。ECU10がPMの堆積量が充分減少したと判定した場合(S160:YES)、ECU10はDPF9の再生を終了する。また、ECU10がPMの堆積量が充分減少していないと判定した場合(S160:NO)、ECU10はS120へ戻り、オイル希釈量から再生手段を選択する。
【0040】
一方、S130において再生継続時間が第2の所定値を超えていた場合(S130:YES)、ECU10はオイル希釈量が増大していると判断し、オイル希釈量の増加を緩和させるために第2の再生手段を実施する(S150)。
【0041】
以上が第1の実施例である。次に、本発明における第2の実施例について説明する。
【0042】
図6は本発明の第2の実施形態に係るDPF9の再生処理を示したフローチャートである。まず、ECU10はオイルの蒸発量の算出を行う(S200)。オイルの蒸発量はエンジンの暖気状態(エンジン冷却水温などによって知ることが出来る)と現在のオイル希釈量によって変化する。この三者の関係は予め実験的に求められており、ECU10に記憶されている。エンジン冷却水温が高くなるということは、エンジン内部の温度が上昇するということなので、オイル内の燃料も蒸発しやすくなり、オイル蒸発量の上昇につながる。また、オイル希釈量が増加するということは、オイル内の蒸発する燃料も増えることになるため、オイル蒸発量も上昇することになる。エンジン冷却水温とオイル希釈量によるオイル蒸発量の増加を示した図を図7Aに示す。図7Aでは、その線上でオイル蒸発量が等しい当オイル蒸発量線が引かれており、エンジン冷却水温、またはオイル希釈量の少なくともどちらか一方が増加することによって、オイル蒸発量は増加する。
【0043】
続いて、ECU10はDPF9へのPM堆積量がDPF9の再生が必要な第1の所定値を超えているか否かの判定を行う(S210)。この処理は第1実施例と同じであり、PM堆積量がDPF9の再生が必要な第1の所定値を超えていた場合(S210:YES)、ECU10はポスト噴射を実行し、DPF9の再生を開始する(S220)。また、PMの堆積量が第1の所定値を下回った場合(S210:NO)、ECU10は次にPMの堆積量がDPF9の再生が必要な第1の所定値を超えているか否かの判定を行うまで、ウェイティング状態に入る。PMの堆積量は公知の技術で測定し、その例は段落0025に記載されている。
【0044】
続いて、ECU10はDPF9の再生を開始する(S220)。この処理は第1実施例と同じであり、段落0026に記載されている。
【0045】
続いて、ECU10はオイル希釈量の算出を行う(S230)。オイル希釈量はエンジンの回転数と出力トルクに関係する。また、ポスト噴射量に大きく影響される。エンジン出力トルクとエンジン回転数によるオイル希釈量の増加を示した図を図7Bに示す。その線上でオイル希釈量が等い等オイル希釈量線が引かれており、そのオイル希釈量はエンジン出力トルク、またはエンジン回転数の少なくともどちらか一方が増加することによって減少する。エンジンの回転数やエンジン出力トルクが低い場合には排気温度が低いため、DPF9の再生にはポスト噴射によって多量の燃料をDPF9に送り込む必要がある。これはシリンダに多くの燃料が付着することにつながり、オイル希釈量を増加させる原因となるためである。
【0046】
続いて、ECU10はオイル希釈量とオイル蒸発量から現時点でエンジンオイルを希釈している燃料の量を求める。オイル希釈量は蒸発前にエンジンオイルを希釈している燃料の量を表しているので、希釈後に蒸発した燃料の量(オイル蒸発量)も含まれている。希釈後に蒸発した燃料の量をオイル希釈量から引くことにより、現在エンジンオイルを希釈している燃料の量を求めることができる。ECU10はこうして求めたエンジンオイルを希釈している燃料の量が第3の所定値を超えているかどうかの判定を行う(S240)。こうすることにより、第1の実施例と比較して、より正確にエンジンオイルを希釈している燃料の量を求めることができ、ECU10は、再生手段の選択をさらに的確に行うことができる。エンジンオイルを希釈している燃料の量(オイル希釈量とオイル蒸発量の差)の走行距離(走行時間)による推移を表した図を図8に示す。再生時はポスト噴射を実行する為、エンジンオイルに希釈した燃料の量が上昇する。また、非再生時はポスト噴射を行わない為、エンジンオイルを希釈している燃料は蒸発するのみとなり、エンジンオイルを希釈している燃料の量は減少する。エンジンオイルを希釈している燃料の量が閾値Aを越えたとき、ECU10は、再生手段を第1の再生手段から第2の再生手段へ切り替え、エンジンオイルを希釈している燃料の量の増加が緩和する。
【0047】
段落0046で求めたエンジンオイルを希釈している燃料の量が第3の所定値を超えていない場合(S240:NO)、ECU10は、燃費悪化抑止を優先してDPF9内のPMの燃焼を効率良く進めるために、第1の再生手段を実施する(S250)。第1の再生手段については第1の実施例と同じであり、段落0032、0033に記載されている。
【0048】
続いて、ECU10は、DPF9の再生によってPMの堆積量が充分減少したか否かの判定を行う(S270)。判定は第1の実施例のときと同様に、公知の技術を用いて行う(段落0025の記載と同様の手法を用いる)。PMの堆積量が充分減少した場合、ECU10はDPF9の再生を終了する(S270:YES)。PMの堆積量が減少してない場合、ECU10はS230に戻りDPF9の再生を行う(S170:NO)。
【0049】
一方、段落0046で求めたエンジンオイルを希釈している燃料の量が第3の所定値を超えていた場合(S240:YES)、ECU10はオイル希釈量が増大していると判断し、オイル希釈量の増加を緩和させるために第2の再生手段を実施する(S260)。第2の再生手段については第1の実施例と同じであり、段落0037、0038に記載されている。
【0050】
なお、本発明における粒子状物質堆積量判定手段は、図3におけるS100と図6におけるS210であり、オイル希釈関係データ測定手段は、図3におけるS120、S130と図6におけるS200、S220である。
【0051】
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的思想の範囲内において、変更がなしうることは明らかである。例えば、オイルレベルセンサーや粘度センサーまたはそれに値する部品を用いてエンジンオイルの粘度から直接オイル希釈量を求めるような構成をとってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係る内燃機関の排気浄化装置のシステム図。
【図2】本発明の実施形態に係るECU10の構成例を示した図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るDPF9の再生処理を示したフローチャート。
【図4A】本発明の第1の実施形態に係る第1の再生手段のクランク角度と燃料噴射弁の開度との関係を表した図。
【図4B】本発明の第1の実施形態に係る第2の再生手段のクランク角度と燃料噴射弁の開度との関係を表した図。
【図5A】本発明の第1の実施形態に係る第1の再生手段と第2の再生手段とのシリンダ内の温度を比較した図。
【図5B】本発明の第1の実施形態に係る第1の再生手段と第2の再生手段とのオイル希釈量を比較した図。
【図5C】本発明の第1の実施形態に係る第1の再生手段と第2の再生手段との燃費悪化を比較した図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るDPF9の再生処理を示したフローチャート。
【図7A】エンジン冷却水温とオイル希釈量によるオイル蒸発量の増減を示した図。
【図7B】エンジン出力トルクとエンジン回転数によるオイル希釈量の増減を示した図。
【図8】オイル希釈量からオイル蒸発量を引いたものと走行時間(走行距離)との関係を表した図。
【符号の説明】
【0053】
1 内燃機関
2 ディーゼルエンジン
3 エアフローメータ
4 エンジン回転センサ
5 アクセル開度センサ
6 排気温センサ
7 酸素濃度センサ
8 差圧センサ
9 DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)
10 ECU(エンジン・コントロール・ユニット)
20 CPU
21 ROM
22 RAM
23 EEPROM
31 PM堆積量測定プログラム
32 DPF温度制御プログラム
34 運転状態測定プログラム
35 オイル蒸発量算出プログラム
36 オイル希釈量算出プログラム
37 DPF再生時間測定プログラム
50 バス
51 I/O
61 パイロット噴射
62 メイン噴射
63 ポスト噴射A
64 ポスト噴射B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気中に含まれる粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルターを備えた内燃機関の排気浄化装置であり、
前記内燃機関の排気浄化装置の動作を制御する制御部と、
前記ディーゼルパティキュレートフィルター内における前記粒子状物質の堆積量を測定する粒子状物質堆積量測定部と、
前記粒子状物質堆積量測定部において測定された前記粒子状物質の堆積量が第1の所定値を超えているか否かを判定する粒子状物質堆積量判定手段と、
エンジンオイルの中に希釈される燃料の量であるオイル希釈量を導出するために必要なオイル希釈関係データを測定するオイル希釈関係データ測定手段と、
前記オイル希釈関係データ測定手段によって測定されたオイル希釈関係データが、第2の所定値を超えているか否かを判定するオイル希釈関係データ判定手段と、
前記粒子状物質を燃焼させ、ディーゼルパティキュレートフィルターを再生させる再生手段と、を備え、
前記再生手段は、第1の再生手段とその第1の再生手段より前記オイル希釈量が低く、燃料消費率の高い第2の再生手段との2つの再生手段であり、
前記制御部は、前記粒子状物質堆積量判定手段によって、前記第1の所定値を超えた粒子状物質がディーゼルパティキュレートフィルターに堆積していると判定され、かつ前記オイル希釈関係データ判定手段によって前記測定されたオイル希釈関係データが前記第2の所定値より低いと判定された場合、前記2つの再生手段から前記第1の再生手段を選択し、
また、前記粒子状物質堆積量判定手段によって、前記第1の所定値を超えた粒子状物質がディーゼルパティキュレートフィルターに堆積していると判定され、かつ前記測定されたオイル希釈関係データが前記第2の所定値より高いと判定された場合、前記2つの再生手段から前記第2の再生手段を選択する選択手段を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記第1の再生手段は、膨張行程において燃料噴射を行うポスト噴射を実施し、
前記第2の再生手段は、前記膨張行程中のより進角した噴射時期において前記ポスト噴射を実施することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
前記ポスト噴射は、前記膨張行程時に複数回に分けて噴射することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項4】
前記オイル希釈関係データ測定手段は、前記オイル希釈関係データを前記第1の再生手段、もしくは前記第2の再生手段のいずれかを実行している間の車速と走行距離、または前記第1の再生手段、もしくは前記第2の再生手段のいずれかを実行している間の車速と走行時間から測定されることを特徴とする請求項1ないし3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項5】
前記オイル希釈関係データ測定手段は、前記第1の再生手段、もしくは前記第2の再生手段のいずれかを実行している間の継続時間から測定されることを特徴とする請求項1ないし3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項6】
前記オイル希釈関係データ測定手段は、前記オイル希釈量とオイル内から蒸発する燃料の量であるオイル蒸発量との差から導出することを特徴とする請求項1ないし3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項1】
エンジンの排気中に含まれる粒子状物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルターを備えた内燃機関の排気浄化装置であり、
前記内燃機関の排気浄化装置の動作を制御する制御部と、
前記ディーゼルパティキュレートフィルター内における前記粒子状物質の堆積量を測定する粒子状物質堆積量測定部と、
前記粒子状物質堆積量測定部において測定された前記粒子状物質の堆積量が第1の所定値を超えているか否かを判定する粒子状物質堆積量判定手段と、
エンジンオイルの中に希釈される燃料の量であるオイル希釈量を導出するために必要なオイル希釈関係データを測定するオイル希釈関係データ測定手段と、
前記オイル希釈関係データ測定手段によって測定されたオイル希釈関係データが、第2の所定値を超えているか否かを判定するオイル希釈関係データ判定手段と、
前記粒子状物質を燃焼させ、ディーゼルパティキュレートフィルターを再生させる再生手段と、を備え、
前記再生手段は、第1の再生手段とその第1の再生手段より前記オイル希釈量が低く、燃料消費率の高い第2の再生手段との2つの再生手段であり、
前記制御部は、前記粒子状物質堆積量判定手段によって、前記第1の所定値を超えた粒子状物質がディーゼルパティキュレートフィルターに堆積していると判定され、かつ前記オイル希釈関係データ判定手段によって前記測定されたオイル希釈関係データが前記第2の所定値より低いと判定された場合、前記2つの再生手段から前記第1の再生手段を選択し、
また、前記粒子状物質堆積量判定手段によって、前記第1の所定値を超えた粒子状物質がディーゼルパティキュレートフィルターに堆積していると判定され、かつ前記測定されたオイル希釈関係データが前記第2の所定値より高いと判定された場合、前記2つの再生手段から前記第2の再生手段を選択する選択手段を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
前記第1の再生手段は、膨張行程において燃料噴射を行うポスト噴射を実施し、
前記第2の再生手段は、前記膨張行程中のより進角した噴射時期において前記ポスト噴射を実施することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
前記ポスト噴射は、前記膨張行程時に複数回に分けて噴射することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項4】
前記オイル希釈関係データ測定手段は、前記オイル希釈関係データを前記第1の再生手段、もしくは前記第2の再生手段のいずれかを実行している間の車速と走行距離、または前記第1の再生手段、もしくは前記第2の再生手段のいずれかを実行している間の車速と走行時間から測定されることを特徴とする請求項1ないし3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項5】
前記オイル希釈関係データ測定手段は、前記第1の再生手段、もしくは前記第2の再生手段のいずれかを実行している間の継続時間から測定されることを特徴とする請求項1ないし3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項6】
前記オイル希釈関係データ測定手段は、前記オイル希釈量とオイル内から蒸発する燃料の量であるオイル蒸発量との差から導出することを特徴とする請求項1ないし3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【公開番号】特開2008−297969(P2008−297969A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144844(P2007−144844)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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