説明

内蔵型無線周波数識別(RFID)タグを備えた濾過装置

本発明の実施形態は、データを格納し、取り出すための内蔵型無線周波数識別(RFID)タグを含む逆浸透フィルタおよびシステムからなる。RFIDタグは、好ましくは、濾過装置の保護外殻下に埋め込むことができる。情報は、内蔵型RFIDタグに容易に格納したり、そこから取り出したりすることができる。内蔵型RFID装置にデータを容易に格納し、そこからデータを容易に取り出すことができる機能によって、ローディングマップの作成、流体濾過装置の監視、追加および交換が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透濾過装置および濾過システムに関し、より詳しくは内蔵型RFIDタグを有する濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
限外濾過、精密濾過、および逆浸透用スパイラル膜要素は、長い間、流体混合物の成分を分離するのに有効な装置と考えられてきた。典型的な過程では、加圧された流体混合物が膜表面に接触させられ、化学的ポテンシャルの差により、その流体混合物の一つまたは複数の成分が膜を通過し、この膜を通過する質量輸送速度がまちまちであるために分離が可能となる。
【0003】
逆浸透濾過システムは、一般に、直列に接続された複数の濾過装置を使用する。こうしたシステムは、フィルタ装置間のさまざまな複数の特性を考慮に入れるコンピュータ生成ローディングマップで設計されることが多い。濾過装置の製造プロセスは、装置特性のばらつきをもたらす可能性があるため、複数の濾過装置を含む濾過システムを設計する際、こうしたばらつきは、一般に重要な一要因となる。装置を最適に構成するには、特に、装置の経時的出力対除去のさまざまな特徴が考慮される。さらに、濾過装置の性能特性は、時間が経つにつれて変化する可能性があり、特定の装置を取り除くかまたは交換する必要がある場合がある。
【0004】
ロードマップの作成、濾過装置の監視および交換は、濾過の情報を迅速かつ容易に格納し、後で取り出すことができる場合、かなり役立つ。しかし、容易に取り出すことができる重要な情報を濾過装置に提供する試みは非常に難しい。濾過中、濾過装置は非常に高い水圧に曝され、これは、バーコードなど、装置の紙ベースのタグを容易に剥ぎ取る可能性がある。さらに、読み取りを光学機器に依存するバーコードおよび他のデータ記憶機構は、濾過システムが圧力容器内に配置されている場合、容易にアクセスしたり読み取ったりすることができない。
【特許文献1】米国特許第3,417,870号明細書
【特許文献2】米国特許第3,554,378号明細書
【特許文献3】米国特許第4,235,723号明細書
【特許文献4】米国特許第4,855,058号明細書
【特許文献5】米国特許第5,461,385号明細書
【特許文献6】米国特許第5,528,222号明細書
【特許文献7】米国特許第6,040,773号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2003/0017804号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、データを格納し、取り出すための内蔵型無線周波数識別(RFID)タグを含む逆浸透フィルタおよびシステムを含む。RFIDタグは、濾過装置の保護外殻下に埋め込むか、濾過装置に取り付けられている液体および/または気体不透過性の容器内に含めることができることが好ましい。情報は、内蔵型RFIDタグに容易に格納したり、そこから取り出したりすることができる。RFIDタグは、濾過装置の保護外殻下に埋め込むことができるため、通常はデータ記憶装置に損害を与える流体や高圧に曝されることがない。内蔵型RFID装置にデータを容易に格納し、そこからデータを容易に取り出すことができる機能によって、ローディングマップの作成、流体濾過装置の監視、追加および交換が容易になる。
【0006】
本発明のスパイラル型膜濾過装置の好ましい実施形態は、中央多孔コアチューブ、一端が中央多孔コアチューブに取り付けられ、その周りで外側にらせん状に巻かれる少なくとも一対の膜シート、保護外殻、およびこの保護外殻下またはその中に内蔵された(埋め込まれた)無線周波数識別(RFID)タグを含む。特に好ましい実施形態は、一対の膜シート間に固定された透過物スペーサシート、少なくとも一つの透過チャネルを形成するために膜シートに取り付けられた供給物スペーサシート、および移動防止具(anti-telescoping device)をさらに含む。特に好ましい実施形態において保護外殻は、繊維強化プラスチックからなる。外殻のプラスチックは好ましくはエポキシを含み、外殻の繊維は好ましくは撚り糸などのガラス繊維を含む。
【0007】
本発明の濾過装置およびシステムは、好ましくは複数のRFIDタグを含み、これらのタグはデータを格納したり、取り出したりすることができる。好ましい実施形態によれば内蔵型RFIDタグは、流体および/または高圧に直接曝されない。
【0008】
逆浸透濾過装置の製造方法は、好ましくは、中央多孔コアチューブの周りで外側にらせん状に巻かれる一対の膜シートをコアチューブに取り付け、膜シートを外部ラップで覆い、RFIDタグを外部ラップに取り付け、外部ラップおよびRFIDタグを保護外殻で覆うステップを含む。
【0009】
異なる性能特性を有する、RFIDを備える複数の濾過装置をロードする方法は、各濾過装置の性能特性を示すデータを装置のRFIDタグに入力し、少なくとも最低限の性能標準によって特徴付けられるグループを得るために膜濾過装置をグループ化するステップを含む。好ましい実施形態においては、ソフトウェアを使用してローディングマップを作成したり、変更したりすることができる。
【0010】
経時的に異なる性能特性を有する、RFIDを備える複数の濾過装置を監視する方法は、各濾過装置の性能特性を示すデータを装置のRFIDタグに入力し、後のデータを装置のRFIDタグに入力し、当該データを定期的に調べるステップを含む。
【0011】
経時的に異なる性能特性を有する、RFIDを備える複数の濾過装置を取り除き、または交換する方法は、各濾過装置の性能特性を示すデータを装置のRFIDタグに入力し、そのRFIDタグ上のデータが規定された特徴と一致する場合、このRFIDタグ付き濾過装置を取り除くかまたは交換するステップを含む。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、RFIDタグに入力されたデータは、それだけには限定されないが、フィルタの経時的出力対除去データ、位置、性能履歴、製造履歴、ロードマップデータおよび検査データを含むことが好ましい。好ましい実施形態において、データは、定期的にRFIDタグに追加され、そこから取り出され、かつ/または削除されてもよい。その他の実施形態において、入力されたデータを使用して、濾過装置の性能を監視し、かつ/またはRFIDタグ付き濾過装置を交換すべき時期を決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態は、RFIDタグを含む、スパイラル型膜フィルタ装置を含む逆浸透脱塩システムからなる。本発明の逆浸透装置およびシステムの実施形態は、逆浸透濾過装置およびシステムに取り付けられ、かつ/またはその中に内蔵された(埋め込まれた)RFIDタグを含む。情報は、内蔵型RFIDタグに格納したり、そこから取り出したりすることができることが好ましい。本発明の実施形態では、内蔵型RFID装置にデータを容易に格納し、そこからデータを取り出すことができる機能によって、ローディングマップの作成、流体濾過装置の監視、追加および交換が容易になる。さらに、RFIDタグの使用は、バーコードを読み取るよりもRFIDタグを読み取る方が時間は掛からないため、バーコードなどの他のデータ格納機構の使用よりも有利である。さらに、RFIDタグを読み取るのに照準線(line of sight)は必要がない。さらに、RFIDの読み取りのプロセスは向きに依存しない。さらに、いくつかのRFIDタグは同時に読み取ることができる。
【0014】
スパイラル型膜逆浸透装置、およびその構成および動作は、当業者には、よく知られている。こうした装置は、例えば米国特許第3,417,870号明細書(特許文献1)、米国特許第3,554,378号明細書(特許文献2)、米国特許第4,235,723号明細書(特許文献3)および米国特許第4,855,058号明細書(特許文献4)に開示されている。
【0015】
図1は、内蔵型RFIDタグ30を備える逆浸透濾過装置10を大まかに示している。図2に示されるように、スパイラル型逆浸透フィルタ装置10において、2枚のフラットシート膜12が透過物スペーサシート14によって分けられて膜アセンブリ16が形成されている。この膜アセンブリ16は、三つの側面において密封されており、第4の側面は、透過水が出るように開いたままである。供給物スペーサシート18は、膜アセンブリの膜シート12の一方に追加され、好ましくは少なくとも一つの透過チャネルを形成する。これら複数の膜アセンブリ16は、中央多孔浸透チューブ20の周りに巻かれている。この多孔チューブ20は、複数の膜アセンブリ16から透過水を集めるための穿孔22を含む。図3に示されているように、好ましい実施形態は、フィルタ装置10の中心軸に沿って膜アセンブリ16および/または供給物スペーサ18のシートが動くのを防ぐ移動防止具24も含み得る。濾過装置の好ましい実施形態は、複数の膜シート、供給物スペーサシートおよび透過物スペーサシートを含むことが好ましい。濾過装置10の好ましい実施形態は、長さ約100または150cm、直径約10または20cmである。
【0016】
給水の一部分は、フィルタ装置10を横切って流れる間に、スパイラルパスに沿って膜12に浸潤し、中央多孔浸透チューブ20方向に向かう。図4に示したように、外部ラップ26は、最も外側の膜アセンブリ16の周りに巻かれることが好ましい。外部ラップ26は、最も外側の膜アセンブリ16に貼り付けることができるプラスチックシートまたは繊維シートを含むことが好ましい。好ましい実施形態において、保護外殻28は、外部ラップ26に取り付けられる。外殻28は、繊維強化プラスチックからなることが好ましい。
【0017】
図4に示すように、本発明の実施形態は、濾過装置10の保護外殻28の下に配置される少なくとも一つのRFIDタグ30を含むことが好ましい。特に好ましい実施形態では、RFIDタグ30は、糊または当業者に知られている他の接着剤によって外部ラップ26に取り付けられ、好ましくは繊維強化プラスチックからなる外殻28によって覆われる。この構成を採用する際、タグ30は、通常、データ記憶装置に損害を与える流体または高圧に曝されないことが有利である。本発明の好ましい実施形態において、RFIDを覆うために使用されるプラスチックはエポキシを含む。本発明の好ましい実施形態は、当業者に知られている他のプラスチックを使用することができる。好ましい実施形態において、保護外殻の繊維はガラス繊維を含む。別の好ましい実施形態において、保護外殻の繊維はプラスチック繊維を含む。保護外殻の繊維の好ましい実施形態は、ロープやより糸の形態、または当業者によく知られている他の類似の形態のガラスまたはプラスチック繊維を含む。保護外殻として接着テープを使用することもできる。
【0018】
好ましい代替実施形態において、RFIDタグは、液体不透過性の保護容器内に収められる。この容器は、濾過装置およびシステムに取り付けられてもよく、またはその極めて近くに配置することもできる。容器は、好ましくは、ガラス、プラスチック、または当業者によく知られている他の液体不透過性物質からなる。
【0019】
フィルタ装置10の好ましい実施形態は、さまざまな方法で製造することができる。フィルタ装置の好ましい実施形態を製造する好ましい一つの方法では、透過物スペーサシート14が一対の膜シート12の間に配置されていることが好ましい。糊または当業者によく知られている他の接着剤が、膜シート12の間に配置されている透過物スペーサシート14に接する膜シート12の側面の周りに沿って塗布される。この糊付けによって、透過物スペーサシート14が膜シート12に取り付けられたままとなり、こうして膜アセンブリ16が形成されることが好ましい。供給物スペーサシート18は膜アセンブリ16上に配置される。次いで膜アセンブリは、供給物スペーサシート18に配置され、次いで別の供給物スペーサシート18が続く。このプロセスは、複数の膜アセンブリ16および供給物スペーサシート18で繰り返され、これらが中央多孔透過チューブの周りに巻かれる。好ましい代替実施形態では、膜シート12、接着剤、透過物スペーサシート14、および供給物スペーサシート18を、巻きプロセス中に追加することができる。次いで、外部ラップ26を取り付けるために、最も外側の膜シート12、透過物スペーサシート14、または供給物スペーサシート18に接着剤の層が塗布されることが好ましい。外部ラップは、プラスチック、繊維、または当業者によく知られている他の好適な材料からなることが好ましい。次いで、糊または当業者によく知られている他の接着剤がRFIDタグ30に塗布され、RFIDタグ30が外部ラップ26に取り付けられることが好ましい。次いで、保護外殻28が外部ラップ26およびRFIDタグ30の周りに巻かれることが好ましい。保護外殻28は、外部ラップ26およびRFIDタグ30の全表面を覆うことが好ましい。保護外殻28は、濾過プロセスによってもたらされる液体、湿気、高圧にRFIDタグ30が曝されるのを防ぐためにシールを形成することが好ましい。好ましい実施形態では、保護外殻28は、プラスチックベースの接着剤を外部ラップ26に塗布することによって作られる。例えば、使用できる一つのプラスチックベースの接着剤はエポキシである。代替実施形態において、プラスチック保護外殻28に繊維が付加される。特に好ましい実施形態では、繊維は、エポキシの周りに巻かれる、より糸を含む。他の好ましい実施形態では、図2に示すように、移動防止具24をフィルタ装置の側面に取り付けることができる。移動防止具24はプラスチックからなることが好ましく、また、糊または当業者によく知られている他の接着剤によってフィルタに取り付けられることが好ましい。
【0020】
RFIDタグの構成および機能は当業者にはよく知られている。RFIDタグは、例えば、米国特許第5,461,385号明細書(特許文献5)、米国特許第5,528,222号明細書(特許文献6)および米国特許第6,040,773号明細書(特許文献7)に開示されている。本発明の好ましい実施形態では、無線周波数識別タグシステムは、格納されているタグ情報を含む無線周波数識別タグを使用する。タグは、アンテナ要素および共通の電極を含むことが好ましい。アンテナ要素は、すぐ近くに配置された静電励振器(electrostatic exciter)から励振信号を静電気的に受信する。好ましい実施形態では、静電励振器は、有利なことを言えば、例えばMotorola IndalaのASR-120基地局(Motorola Indala Corporation, 3041 Orchard Parkway, San Jose, Calif. 95134から入手可能な部品番号05200-006)など、利用可能なタグ励振器回路から構成することができる。ASR-120装置は、好ましくは、例えば銅板電極など適した励振器電極を形成し、ダイポール電極接続子のうちの一つに結合し、それによって励振器アンテナ要素を形成することによって構成できる。他方のダイポール電極接続子は、好ましくは接地され、励振器共通電極を形成する。ASR-120は無線周波数識別タグから読み取り信号を受信するよう構成することもできるため、読み取り電極接続子に結合されるリーダアンテナ要素を含むように、さらに構成され得ることは理解されよう。
【0021】
励振信号を受信すると、タグは励振され、それによって、格納されているタグ情報に基づいて読み取り信号が生成される。次いでアンテナ要素は、読み取り信号を、格納されているタグ情報を検出するすぐ近くに配置されているリーダに静電気的に送信する。さらに、正確には、タグ共通電極およびタグアンテナ要素のうちの一方が、タグ状態情報を磁気的に格納するように構成される。タグ状態情報は、正確には、考え得る二つの状態のうちの一つの状態を表し、すぐ近くに配置されている磁気リーダによって読み取られることが好ましい。
【0022】
RFIDタグには、さまざまな方法で電力を供給することができる。本発明の別の好ましい実施形態では、RFIDタグが充電式バッテリを有しており、これは、RFIDタグおよび/または測定装置に電力を供給するために使用することができる。当業者ならば、結合されたバッテリおよび受動電源を有するRFIDタグを製造することができる。こうしたRFIDタグは、米国特許出願公開第2003/0017804号明細書(特許文献8)に開示されている。
【0023】
本発明の好ましい一実施形態は、内部バッテリによって、または呼掛けRFフィールド(interrogating RF field)によって受動的に電力が供給されるRFIDタグを提供する。その結果、RFIDタグには、内部バッテリが消耗した後も電力を受動的に供給することができる。さらに、充電式バッテリは、流量計や導電率計など、データ収集および転送装置に電力を供給できることが好ましい。
【0024】
より詳細には、RFIDタグの一実施形態は、RFID機能を提供する電子回路、および作動電圧を提供するように電子回路に結合されているエネルギー記憶装置を含む。バッテリは、エネルギー記憶装置を充電するように、エネルギー記憶装置に動作可能に結合される。呼掛けRFフィールドから導出された整流RF電源も、エネルギー記憶装置を充電するようにエネルギー記憶装置に動作可能に結合される。整流RF電源およびバッテリは、互いに電気的に分離される。エネルギー記憶装置は、バッテリが残存容量を有している間、RF呼掛けフィールド無しにバッテリによって充電されたままである。バッテリが消耗した後、エネルギー記憶装置がRF呼掛けフィールドの存在によって充電される。
【0025】
図5に示したように、好ましくは、圧力チューブ40内に直列に接続された複数の膜フィルタ装置10で逆浸透濾過システム50に段を設けてもよい。図1〜図4の濾過装置は、好ましくは、図5の逆浸透濾過システム50で使用されてもよい。フィルタシステム50の特に好ましい実施形態は3ないし10個の濾過装置を直列に含む。フィルタ装置10は、このフィルタ装置10の透過チューブ20を接続するコネクタ42によって接続される。塩水などの濃縮液は、入口チューブ48を通ってシステム50に入る。入口チューブ48は、別のフィルタシステムの出口チューブ44を含めて、流体の外部ソースに取り付けることができることが好ましい。第1のフィルタ装置(VI)からの塩水の流れが第2のフィルタ装置(VII)への供給になるなど、圧力チューブ40内の各フィルタ装置10ごとに供給が行われる。最後のフィルタ(VIII)装置からの塩水の流れが濃縮液として出口チューブ44から圧力チューブ40を出る。各フィルタ装置10からの透過水は、圧力容器40に沿って直列に接続されている、次のフィルタ装置10の中央チューブ20で複合液として一つになる。透過水の流れの方向に配置されているそれぞれ次のフィルタ装置10の透過水は、所与のフィルタ装置10と、その上流に取り付けられているフィルタ装置10からの透過水とを一つにした複合透過水である。透過水のイオン組成は、同じようにして形成された複合濃縮液である。例えば、第1のフィルタ装置(VI)から生成された透過水は、第2のフィルタ装置(VII)の透過チューブ20に流れ込み、第2のフィルタ装置(VII)で生成された透過水と一つになる。この一つになった透過水は、第3のフィルタ装置(VIII)の透過チューブ20に流れ込み、第3のフィルタ装置(VIII)で生成された透過水との複合透過水を形成する。このプロセスは、全てのフィルタ装置10からの混合済み透過水が圧力容器を離れて単一の流れとして透過水口46を通るまで続行する。商用の逆浸透ユニットでは、複数の圧力容器が並列に動作し、対応するマニホルドに共に接続されている給水口、濃縮液口および透過水口を有していることが好ましい。
【0026】
逆浸透システムの性能は、一般に、膜ステージまたはRO列の給水、透過水、および濃縮液の流れ、圧力、および導電性に関する情報を収集することによって監視される。透過水の流れの測定は、逆浸透ユニットのフィルタ装置の全てによって生成される混合済み透過水に関係する。さらに、透過水の導電性は、各個々の圧力容器から測定することができる。RFIDは、濾過システム50の個々の濾過装置10に取り付けることができることが好ましい。さらにRFIDタグを、RFIDシステムの他の構成要素に取り付けてもよい。例えばRFIDタグを、好ましくはコネクタ42、透過水出口ポート46、濃縮液出口ポート44、入口ポート48、または透過水チューブに取り付けてもよい。好ましい実施形態において濾過システム50のRFIDタグは、高圧、および/または液体、および/または湿度に直接には曝されない。濾過システム50のRFIDタグは、図1〜図4に示すように、フィルタ装置の保護外殻下に埋め込まれてもよい。他の好ましい実施形態では、RFIDタグは、逆浸透濾過システムのさまざまな構成要素に取り付けられている流体および/または気体不透過性容器内に封入されてもよい。
【0027】
本発明の好ましい実施形態は、複数の逆浸透濾過装置を含む濾過システムを作るために使用されるロードマップを作成する方法を含む。濾過システムを作る際、一般に、個々のフィルタ装置間の性能のばらつきを考慮に入れることによって、システムの所望の性能を達成することが必要である。個々の濾過装置の特性は、容易に内蔵型RFIDタグに格納したり、そこから取り出したりすることができ、これによって逆浸透濾過システムの製造、監視およびメンテナンスが容易になる。
【0028】
濾過装置間の性能のばらつきは、一般に、濾過装置の製造の過程で生じる欠陥または単なる普通のばらつきの結果として起こる。図6に示されるように、性能のばらつきは、一般に、フィルタの経時的出力対除去データとして観察され、分析され得る。フィルタの経時的出力対除去データは、互いに関してフィルタを配置すべき場所を決定するために使用することができる。
【0029】
ロードマップの作成の方法は、好ましくは、少なくとも一つの最低限の性能標準によって特徴付けられるグループを得るために膜濾過装置をグループにまとめるステップを含む。濾過システムの好ましい実施形態では、供給流体から少なくとも95%の塩を取り除くことができない個々の装置は、濾過システムでは使用されない。本発明の他の好ましい実施形態では、供給流体から少なくとも99%の塩を取り除くことができない個々の装置は、濾過システムでは使用されない。本発明の特に好ましい実施形態では、供給流体から少なくとも99.6%の塩を取り除くことができない個々の装置は、濾過システムでは使用されない。本発明の他の好ましい実施形態では、800psiで1日当たり少なくとも5000ガロンの供給水を濾過することができない個々の装置は、濾過システムでは使用されない。本発明のその他の好ましい実施形態では、800psiで1日当たり少なくとも6000ガロンの供給水を濾過することができない個々の装置は、濾過システムでは使用されない。特に好ましい実施形態では、フィルタ装置の場所は、個々のフィルタの経時的出力および除去の特性の組み合わせを考慮に入れる。目的は、妥当な範囲内に含まれる経時的出力および除去の特性を有することである。例えば、この特定の例に限定されるものではないが、フィルタ装置は、少なくとも95%の塩を供給流体から取り除くことができ、1平方フィート、1日、1psi当たり0.05から0.5ガロンの透過水の透過性を有する場合のみ使用される。
【0030】
逆浸透濾過システムのローディングマップを作成する方法の好ましい実施形態は、個々のフィルタの性能特性に基づいてローディングマップを構築するソフトウェアを含む。このソフトウェアは、好ましくは、それだけには限定されないが、フィルタの性能特性、フィルタのRFIDタグデータ、およびフィルタの位置、製造履歴、性能データ、経時的出力対除去データ、検査データ、およびロードマップデータなど他のデータを含めて、フィルタごとにデータを格納することができる。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、RFID装置の入力データは、それだけには限定されないが、フィルタの位置、製造履歴、性能データ、経時的出力対除去データ、検査データ、およびローディングマップデータを含む。本発明の濾過装置および濾過システムの好ましい実施形態は、複数のRFIDタグを含む。
【0032】
好ましい実施形態においては、データを、定期的にRFIDタグに追加し、またはそこから削除することができる。RFIDタグは、システムを監視するために定期的に走査することができる。データは、濾過装置およびシステムから装置を交換し、および/または取り除くべき時期を決定するために使用することができる。RFIDタグからのデータは、それだけには限定されないが、例えば、デジタル形式で格納され、コンピュータによって使用されるなど、当業者によく知られているさまざまな方法で格納され、使用され得る。
【0033】
例えば、フィルタ装置は、いったん製造されると、その性能特性についてテストすることができる。次いでデータを、その特定の装置のRFIDタグに追加することができることが好ましい。データは、経時的出力、除去特性、フィルタが製造された時期、フィルタの製造者、フィルタが製造された場所、フィルタの製造に使用された材料の供給業者、および当業者によく知られている他の種類のデータを含むことができる。代替実施形態では、データをコンピュータのデータベース、または当業者によく知られている他の場所または形式で格納することもできる。次いで、ソフトウェアを使用して、複数のフィルタ装置の経時的出力および除去特性を分析し、ローディングマップを作成することができることが好ましい。最終的にローディングマップ上のある位置に割り当てられるフィルタは、所望の範囲内に含まれる性能特性(経時的出力および除去の割合など)を有することが好ましい。
【0034】
フィルタの特性およびローディングマップに基づいて、フィルタを濾過システムに配置することができることが好ましい。他のフィルタに対するその位置は、コンピュータソフトウェアやユーザによって割り当てることができる。好ましい実施形態において、システム内のフィルタの姿勢および位置を、コンピュータに格納し、フィルタ装置のRFIDタグに入力することもできる。RFIDタグは、上述したように、システム全体に取り付けることもでき、情報をコンピュータに入力することもできる。フィルタおよびシステムを定期的に検査し、かつ/または監視することもできる。好ましい実施形態において、データを、定期的にRFIDタグに入力し、そこから取り出すことができる。一部の好ましい実施形態において、RFIDタグは、ハンドヘルド装置や当業者によく知られている他の情報取り出し装置によって一つずつ読み取られる。他の好ましい実施形態で、複数のRFIDタグからの情報を同時に取り出すことができる。好ましい実施形態では、フィルタおよびフィルタシステムのデータを使用してシステムまたは装置の性能を分析するために、コンピュータによってソフトウェアを使用することができる。こうしたデータは、好ましくは、装置またはシステムを取り除きかつ/または交換する必要がある時期を決定するために使用することもできる。
【0035】
本発明の特定の形式について説明してきたが、本発明の要旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を加えることができることを理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】内蔵型RFIDタグを備える逆浸透濾過装置を示す図である。
【図2】内蔵型RFIDタグを備える逆浸透濾過装置を示す切開図である。
【図3】濾過装置の外部ラップを示す切開部分を含む、内蔵型RFIDタグを備える逆浸透濾過装置を示す別の図である。
【図4】図4の線Iに沿った断面図である。
【図5】逆浸透濾過システムを示す図である。
【図6】多数の逆浸透濾過装置の流量対除去データを示すグラフである。
【符号の説明】
【0037】
10 逆浸透濾過装置
12 膜シート
14 透過物スペーサシート
16 膜アセンブリ
18 供給物スペーサシート
20 中央多孔透過チューブ
22 穿孔
24 移動防止具
26 外部ラップ
28 保護外殻
30 内蔵型RFIDタグ
40 圧力チューブ
42 コネクタ
44 出口チューブ
46 透過水口
48 入口チューブ
50 逆浸透濾過システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)中央多孔コアチューブと、
b)一端が前記中央多孔コアチューブに取り付けられ、その周りを外側にらせん状に巻かれる少なくとも一対の膜シートと、
c)保護外殻と、
d)前記保護外殻下またはその中に内蔵された無線周波数識別(RFID)タグと、
を含むことを特徴とするスパイラル型膜濾過装置。
【請求項2】
前記内蔵型RFIDタグはデータを格納したり取り出したりすることができるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の濾過装置。
【請求項3】
前記内蔵型RFIDタグは、直接、流体に曝されないようになっていることを特徴とする請求項1に記載の濾過装置。
【請求項4】
複数の内蔵型RFIDタグをさらに具備してなることを特徴とする請求項1に記載の濾過装置。
【請求項5】
一対の膜シート間に固定された透過物スペーサシートをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の濾過装置。
【請求項6】
供給物スペーサシートをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の濾過装置。
【請求項7】
移動防止具をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の濾過装置。
【請求項8】
前記供給物スペーサシートが膜シートに取り付けられて、少なくとも一つの透過チャネルを形成するようになっていることを特徴とする請求項6に記載の濾過装置。
【請求項9】
前記保護外殻が繊維強化プラスチックを具備してなることを特徴とする請求項1に記載の濾過装置。
【請求項10】
前記保護外殻の繊維がガラス繊維を具備してなることを特徴とする請求項9に記載の濾過装置。
【請求項11】
前記保護外殻のプラスチックがエポキシを含むことを特徴とする請求項9に記載の濾過装置。
【請求項12】
a)前記中央多孔コアチューブの周りでその外側に、らせん状に巻かれる前記一対の膜シートを前記コアチューブに取り付けるステップと、
b)前記膜シートを外部ラップで覆うステップと、
c)前記外部ラップにRFIDタグを取り付けるステップと、
d)前記外部ラップおよびRFIDタグを前記保護外殻で覆うステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の逆浸透濾過装置を製造する方法。
【請求項13】
前記保護外殻がエポキシを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
異なる性能特性を有する、少なくとも一つのRFIDタグをそれぞれ備える複数の濾過装置をロードする方法であって、
a)各濾過装置の前記性能特性を示すデータを前記装置のRFIDタグに入力するステップと、
b)少なくとも一つの最低限の性能標準によって特徴付けられるグループを得るために膜濾過装置をグループ化するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記グループの中の前記フィルタの位置を入力するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
経時的に異なる性能特性を有する、少なくとも一つのRFIDタグをそれぞれ備える複数の濾過装置を監視する方法であって、
a)各濾過装置の前記性能特性を示すデータを前記装置のRFIDタグに入力するステップと、
b)データを後に前記装置のRFIDタグに入力するステップと、
c)前記データを定期的に調べるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
経時的に異なる性能特性を有する、少なくとも一つのRFIDタグをそれぞれ備える複数の濾過装置を取り除き、または交換する方法であって、
a)各濾過装置の前記性能特性を示すデータを前記装置のRFIDタグに入力するステップと、
b)そのRFIDタグ上の前記データが、規定された特徴と一致する場合、前記RFIDタグ付き濾過装置を取り除くかまたは交換するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記入力されたデータが前記フィルタの経時的出力対除去データを含むことを特徴とする請求項14、請求項16および請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルタの位置を入力するステップをさらに含むことを特徴とする請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記入力されたデータが前記フィルタの性能履歴を含むことを特徴とする請求項14、請求項16および請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記入力されたデータが前記フィルタの製造履歴を含むことを特徴とする請求項14、請求項16および請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記入力されたデータが前記フィルタの検査データを含むことを特徴とする請求項14、請求項16および請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記入力されたデータが、フィルタローディングマップを構築するためにコンピュータによって使用されることを特徴とする請求項14、請求項16および請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記入力されたデータが前記フィルタのローディングマップデータを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記RFIDタグが流体に曝されることから保護されることを特徴とする請求項14、請求項16および請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記RFIDタグが前記フィルタ装置に取り付けられる流体不透過性の材料内に包装されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記不透過性包装材がプラスチック容器を具備してなることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記不透過性包装材がガラス容器を具備してなることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
情報を前記RFIDタグに定期的に追加するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14、請求項16および請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
情報を前記RFIDタグから定期的に取り出すステップをさらに含むことを特徴とする請求項14、請求項16および請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記入力データを使用して、前記RFIDタグ付き濾過装置を交換すべき時期を決定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14、請求項16および請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記濾過装置の性能を監視するために情報を前記RFIDタグから取り出すステップをさらに含むことを特徴とする請求項14、請求項16および請求項17のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−527318(P2007−527318A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501988(P2007−501988)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/006945
【国際公開番号】WO2005/091959
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506299098)
【Fターム(参考)】