説明

内装パネルの組付構造

【課題】内装パネルを相手側部品に組み付ける際、ハーネスが噛み込まないようにする。
【解決手段】先端に係合爪25を有するとともに、係合爪25よりも基端側に段部29を有する複数個の係合突起19をカバー部材3の裏面外周に一体に突設する。略水平に延びるフランジ部43をボックス本体5の上方開口部33内周に上方開口部33上端縁から下方寄りに位置するように一体に形成する。複数個の傾斜リブ45をボックス本体5の上方開口部33から内向きに下傾するようにフランジ部43の上面に一体に形成するとともに、係合孔47を隣り合う傾斜リブ45間に形成する。カバー部材3をボックス本体5に組み付けた状態で、各係合突起19の係合爪25を各係合孔47に上方から挿入してフランジ部43下面の各係合孔47周縁に下方から係合させるとともに、各係合突起19の段部29をフランジ部43上面に上方から当接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内装パネルの組付構造、特に、内装パネル側に設けられたハーネスが相手側部品に噛み込まないようにする対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車の運転席と助手席との間に設けられたコンソールボックスにおいて、カップホルダ等が設けられたカバー部材をボックス本体にその上方開口部を塞ぐように組み付ける組付構造が開示されている。具体的には、カバー部材の裏面外周から突出する係合爪やクリップを、ボックス本体の上方開口部内周に形成された係合孔に上方から挿入係合させることで、カバー部材をボックス本体に組み付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−196084号公報(段落0015欄、段落0016欄、段落0018欄、図1〜図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の如くしてカバー部材をボックス本体に組み付ける際、一般には、コンソールボックスのカバー部材には、オーディオ機器等の外部機器を接続するAUX端子等の接続用端子が予め組み込まれているため、この接続用端子から延びるハーネスがカバー部材の外周縁とボックス本体の上方開口部上端縁との間に噛み込むおそれがあり、相当の注意を払って組付作業を行わなければならず、作業性の低下を招く。
【0005】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ハーネスが噛み込まないようにカバー部材等の内装パネルをボックス本体等の相手側部品に組み付けることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、この発明は、ハーネス噛込み防止用のガイド手段をボックス本体側に設けたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、この発明は、ハーネス付き内装パネルを相手側部品にその上方開口部を塞ぐように組み付ける組付構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、この発明は、上記内装パネルの裏面外周には、先端に係合爪を有するとともに、該係合爪よりも基端側に段部を有する複数個の係合突起が一体に突設され、一方、上記相手側部品の上方開口部内周には、略水平に延びるフランジ部が上方開口部上端縁から下方寄りに位置するように一体に形成され、該フランジ部の上面には、複数個の傾斜リブが相手側部品の上方開口部上端縁から内向きに下傾するように一体に形成されているとともに、隣り合う傾斜リブ間には係合孔が形成され、上記内装パネルを相手側部品に組み付けた状態で、上記各係合突起の係合爪が上記各係合孔に上方から挿入されてフランジ部下面の各係合孔周縁に下方から係合しているとともに、上記各係合突起の段部がフランジ部上面に上方から当接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、組付け時、内装パネルから垂れ下がっているハーネスが傾斜リブに沿って相手側部品の内方に案内されるため、ハーネスは内装パネルの外周縁と相手側部品の上方開口部上端縁との間に噛み込まず、スムーズに組付作業が行われる。
【0010】
また、係合突起が係合するフランジ部の係合孔周りは、上記傾斜リブで補強されて剛性が確保されているため、係合突起の押付け力に十分に抗して係合突起の係合が確実に行われるとともに、係合動作がハーネスに邪魔されない。
【0011】
さらに、係止突起の段部がフランジ部上面に上方から当接することで、内装パネルの相手側部品に対する組付け時の位置決めが確実に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンソールボックスの斜視図である。
【図2】ボックス本体の部分斜視図である。
【図3】カバー部材の平面図である。
【図4】カバー部材の側面図である。
【図5】図4のV−V線における断面図である。
【図6】図2のVI−VI線における断面図である。
【図7】係合突起の斜視図である。
【図8】カバー部材をボックス本体に組み付けた状態を示す図5のA部及び図6のB部に対応する拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0014】
図1はこの発明の実施形態に係る組付構造が適用されたコンソールボックス1を示す。該コンソールボックス1は、内装パネルとしてのカバー部材3と、該カバー部材3が組み付けられる相手側部品としてのボックス本体5とからなり、これらカバー部材3及びボックス本体5は共に樹脂材からなる。
【0015】
上記カバー部材3の車体前端側には、図3及び図4にも示すように、電源ソケット7と接続用端子としてのAUX端子9とが予め横並びに接近して組み込まれているとともに、車体後端側にはパワーウィンド用のON・OFFスイッチ11が設けられ、さらに、これら電源ソケット7及びAUX端子9とON・OFFスイッチ11との間には円形のカップホルダ13が凹陥形成されている。上記電源ソケット7、AUX端子9及びON・OFFスイッチ11からは、ハーネス15a,15b,15cがそれぞれ延びて1本の集束ハーネス15として集束され、該集束ハーネス15の延出端部には外部機器に接続するためのカプラー17が取り付けられている。
【0016】
上記カバー部材3の裏面外周には、複数個の係合突起19が周方向に間隔をあけて一体に突設されている。これら係合突起19は、図5及び図7に示すように、係合片部21と、該係合片部21の幅方向両端に一体に形成された補強片部23とからなり、上記係合片部21の先端には、係合爪25が撓み変形可能なようにコ字状スリット27により囲まれて形成され、該係合爪25の幅方向両端には、係合爪25基端に行くに従って突出寸法が次第に小さくなるガイド面部25aがそれぞれ一体に形成されている。また、上記補強片部23の上記係合爪25よりも基端側には、段部29が形成され、該段部29より先端側の先端側片部31aが段部29より基端側の基端側片部31bよりも狭幅になっている。
【0017】
一方、上記ボックス本体5は、図2及び図6に示すように、上方開口部33を有するように周壁37と該周壁37の内側に部分的に橋架された橋架壁38とで構成され、橋架壁38には凹陥形成されたカップホルダ39や補強梁40等が設けられている。また、橋架壁38がない部分は底が貫通しており、サイドブレーキ収納孔41等が設けられている。さらに、また、上記ボックス本体5の上方開口部33内周には、略水平に延びるフランジ部43が上方開口部33上端縁から下方寄りに位置するように一体に形成され、該フランジ部43の上面には、三角形状の複数個の傾斜リブ45がボックス本体5の上方開口部33上端縁から内向きに下傾するように一体に形成されているとともに、隣り合う傾斜リブ45間には矩形状の係合孔47が形成されている。
【0018】
そして、上記カバー部材3をボックス本体5に組み付けるには、カバー部材3をボックス本体5の上方に配置して、カバー部材3から垂れ下がっている集束ハーネス15(ハーネス15a,15b,15c)をボックス本体5の内部に入れ、カバー部材3をボックス本体5に押し付ける。これにより、係合片部21の係合爪25及び補強片部23の先端側片部31aが係合孔47に上方から挿入され、上記係合爪25のガイド面部25aが係合孔47の内周縁に圧接して係合爪25が撓みながら係合孔47を通過する。この際、上記ハーネス15a,15b,15cは傾斜リブ45に沿ってボックス本体5の内方に案内されるので、ハーネス15a,15b,15cをカバー部材3の外周縁とボックス本体5の上方開口部33上端縁との間に噛み込まないようにすることができ、上記カバー部材3をボックス本体5にその上方開口部33を塞ぐようにスムーズに組み付けることができる。
【0019】
この組付け状態で、図8に示すように、上記各係合突起19(補強片部23)の先端側片部31aと、上記各係合片部21の係合爪25とが上記各係合孔47に上方から挿入されてフランジ部43下面の各係合孔47周縁に下方から係合しているとともに、上記各補強片部23の段部29がフランジ部43上面に上方から当接している。これにより、カバー部材3のボックス本体5に対する組付け時の位置決めを確実に行うことができる。
【0020】
また、係合片部21の係合爪25が係合するフランジ部43の係合孔47周りを、上記傾斜リブ45で補強して剛性を確保しているので、係合突起19の押付け力に十分に抗して係合爪25の係合を確実に行うことができるとともに、係合動作をハーネス15a,15b,15cに邪魔されることなく行うことができる。
【0021】
なお、上記の実施形態では、コンソールボックス1を対象としたが、これ以外に、例えば、ドアトリムにおけるアームレストのスイッチパネル類にも適用することができるものであり、さらには、自動車の内装部品に限らず、ハーネス付き内装パネルを相手側部品にその上方開口部を塞ぐように組み付ける組付構造であれば適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明は、ハーネス付き内装パネルを相手側部品にその上方開口部を塞ぐように組み付ける組付構造について有用である。
【符号の説明】
【0023】
3 カバー部材(内装パネル)
5 ボックス本体(相手側部品)
15a,15b,15c ハーネス
19 係合突起
25 係合爪
29 段部
33 上方開口部
43 フランジ部
45 傾斜リブ
47 係合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーネス付き内装パネルを相手側部品にその上方開口部を塞ぐように組み付ける組付構造であって、
上記内装パネルの裏面外周には、先端に係合爪を有するとともに、該係合爪よりも基端側に段部を有する複数個の係合突起が一体に突設され、
一方、上記相手側部品の上方開口部内周には、略水平に延びるフランジ部が上方開口部上端縁から下方寄りに位置するように一体に形成され、該フランジ部の上面には、複数個の傾斜リブが相手側部品の上方開口部上端縁から内向きに下傾するように一体に形成されているとともに、隣り合う傾斜リブ間には係合孔が形成され、
上記内装パネルを相手側部品に組み付けた状態で、上記各係合突起の係合爪が上記各係合孔に上方から挿入されてフランジ部下面の各係合孔周縁に下方から係合しているとともに、上記各係合突起の段部がフランジ部上面に上方から当接していることを特徴とする内装パネルの組付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−42241(P2011−42241A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191302(P2009−191302)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】