説明

内装仕上げ材及びそれを用いた複合材

【課題】従来内装仕上げ材として用いられている壁クロス等の不燃性及び繊維強化熱硬化性樹脂板の色・柄等の選択の自由度が低いといった問題点を解決する内装仕上げ材を提供する。
【解決手段】内装仕上げ材は、樹脂成分の質量が190〜350g/m、且つ無機成分の質量が230〜380g/mである繊維強化熱硬化性樹脂板の少なくとも片面に金属箔を積層されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内装仕上げ材として使用される繊維強化熱硬化性樹脂板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築内装に仕上げ材を使用する場合、内装規制に準拠して床より高さ1200mmまでの壁部分以外は、不燃認定が必要であり、床より高さ1200mm以上の壁部分に繊維強化熱硬化性樹脂板を内装仕上げ材として用いることは難しかった。通常、下地となる石膏ボードまたは窯業系ボードなどの不燃材の上に塩化ビニル製クロスなどの内装用仕上げ材を接着して用いられてきた。
【0003】
ところで、繊維強化熱硬化性樹脂板を内装仕上げ材として用いるには、難燃性の樹脂を使用して難燃性にする方法と、フェノール樹脂を使用して不燃性にする方法がある。前者の難燃性の樹脂を試用する方法では、色・柄等はある程度自由になるものの、不燃認定を取得することは難しかった。後者のフェノール樹脂を使用する方法では、不燃認定は得られるものの、フェノール樹脂に色がついており、色・柄の自由な選択は難しかった。このため、建築物の内装には壁クロス仕上げが主流であった。
【0004】
しかし、例えば、湿気の多い地下室などで内装仕上げ材として壁クロスを使用する場合には、清掃が難しいため、表面にカビが発生しやすく改善が求められていた。
また、湿気が多く且つ洗浄が必要な食品工場などの内装仕上げ材には、モルタルまたはプレキャストコンクリート上に防カビ塗装を施しているものもあるが、塗膜が洗浄に耐えられず剥離することが多いという欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、従来内装仕上げ材として用いられている壁クロスの不燃性、及び繊維強化熱硬化性樹脂板の色・柄等の選択の自由度が低いといった問題点や、クロス壁や塗装壁の問題点を解決できる内装仕上げ材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の内装仕上げ材、または複合材により解決される。
本発明の内装仕上げ材は、樹脂成分の質量が190〜350g/m、且つ無機成分の質量が230〜380g/mである繊維強化熱硬化性樹脂板の少なくとも片面に金属箔が積層されたものである。
また、複合材は、前記内装仕上げ材の金属箔側に、不燃性基材を積層したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の内装仕上げ材は、繊維強化熱硬化性樹脂板を用いているにもかかわらず不燃性を得られ、且つ色・柄等の選択の自由度が高くなった。このため、本発明の内装仕上げ材を用いれば、従来クロス壁や塗装壁として施工され、カビの発生や高頻度の洗浄に耐えられないといった問題を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明における内装仕上げ材は、樹脂成分の質量が190〜350g/m、且つ無機成分の質量が230〜380g/mである繊維強化熱硬化性樹脂板の少なくとも片面に金属箔が積層されたものである。この構成により、本発明の内装仕上げ材は、建築基準法施工令第2条第9号(不燃材料)の規程に基づく発熱性試験において、総発熱量が8MJ/m以下であり、且つ最大発熱速度が、10秒以上継続して200kw/mを超えないことを満足することができる。
【0009】
前記内装仕上げ材の樹脂成分として用いられる樹脂は、硬化したときの樹脂の耐熱性、成形性、及びコスト等の諸条件を考慮して選定するが、安価な点で最も良く使われるものとして、不飽和ポリエステル樹脂、尿素ホルマリン樹脂等がある。他の素材としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、及びウレタン樹脂等がある。不飽和ポリエステル樹脂を主成分として用いる場合には、不燃性を高めることから、難燃性を付与した樹脂、例えば臭素化不飽和ポリエステル樹脂を50重量%〜100重量%用いることが好ましい。
【0010】
前記内装材仕上げ材の無機成分としては、ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、水酸化アルミニウム繊維等の不燃性の繊維が用いられる。また、これら繊維の形態としては、チョップドストランドマット、織物、編み物、不織布等が用いられる。無機成分の量は、多いほど不燃性を得やすくなるが、成形機での成形性を考慮すると目付で230g/m〜380g/mが好ましい。
また、柄を付ける場合には、ガラス繊維織物又はガラス繊維不織布に柄を印刷したものを用いればよい。さらに、表面形状に意匠性を持たせるには、エンボス処理を行うことも可能である。
【0011】
前記内装仕上げ材の金属箔としては、鉄、鉄合金、アルミニウム、銅、鉛、ステンレススチール、ジュラルミン、真ちゅう等が用いられる。金属箔は、下地への燃焼を止める役割を担っている。その厚さは、厚いほど燃焼防止に役立つが、成形機での成形性、コスト、カット時の傷・破れなどの加工性を考慮すると50μ〜100μが好ましい。特に、取扱い性、加工性の点からアルミニウム箔が好ましく用いられる。
【0012】
金属箔と繊維強化熱硬化性樹脂板との接着には、ドライラミネート用接着剤が好ましく用いられる。接着剤としては、ウレタン系、ポリエステル−ポリウレタン系接着剤等から耐水性・耐熱性を考慮して選定される。塗布量は、5g/m〜20g/mが好ましい。また、この範囲であれば難燃性の接着剤を使用しなくても良い。
【0013】
繊維強化熱硬化性樹脂板の樹脂には、硬化剤・促進剤・顔料等が必要に応じて適量配合される。
【0014】
本発明の複合パネルは、前記内装仕上げ材の金属箔側に不燃性基材を積層して得られる。不燃性基材としては、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、木毛セメント板、軽量発泡コンクリート板、コンクリート板等が用いられる。積層方法としては、接着剤を用いて接着する方法、釘・ホッチキス・螺子等を用いて機械的に接合する方法などが用いられる。接着剤としては、施工時の安全性、躯体への追従性などを考慮して、一液湿気硬化型弾性シリコン又はアクリル系エマルジョンタイプの接着剤が好ましい。接着剤の塗布量としては、一液湿気硬化型弾性シリコンでは100g/m〜300g/m、アクリル系エマルジョンタイプでは100g/m〜400g/mが好ましい。
【実施例】
【0015】
本発明の実施例を説明する。
〔実施例1〕
公知の繊維強化熱硬化性樹脂板の製造方法を用いて、下部キャリアフィルム上に、難燃性不飽和ポリエステル樹脂と不飽和ポリエステル樹脂を1対1の割合で混合した未硬化の樹脂を投入し、その上に230g/mのガラス繊維織物を載せ、含浸ローラーで含浸させ、続いて樹脂を含浸させたガラス繊維織物にエンボス付き上部キャリアフィルムを被せ、スクイズローラーで所定の厚さにした後、硬化炉を通して硬化させ表面にエンボスがついた繊維強化熱硬化性樹脂板を得た。この繊維強化熱硬化性樹脂板の樹脂成分の量は185g/mであった。
次に、厚さ50μのアルミ箔にウレタン系ドライラミネート接着剤を塗布し乾燥後、繊維強化熱硬化性樹脂板を重ね、圧着して本発明の内装仕上げ材を得た。
【0016】
〔実施例2〕
実施例1で得られた内装仕上げ材の金属箔に一液湿気硬化型弾性シリコン接着剤を200g/m塗布し石膏ボード(基材)と接着して、本発明の複合材を得た。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の内装仕上げ材の説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1 内装仕上げ材
2 繊維強化熱硬化性樹脂板
3 強化繊維
4 金属箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成分の質量が190〜350g/m、且つ無機成分の質量が230〜380g/mである繊維強化熱硬化性樹脂板の少なくとも片面に金属箔が積層された内装仕上げ材。
【請求項2】
請求項1記載の内装仕上げ材の金属箔側に不燃性基材を積層された複合材。

【図1】
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【公開番号】特開2007−270445(P2007−270445A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94372(P2006−94372)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000003975)日東紡績株式会社 (251)
【Fターム(参考)】