説明

内装材の取付構造

【課題】従来の内装材の取付構造は、内装材が内装材の下地面に弾性的に取付けられた構造ではないので、地震の際に地震による力が内装材に直接に伝達されて内装材が破壊されやすい。
【解決手段】所定厚さに形成されたゴム4とゴムの内部に埋め込まれた金属板(鉄板6)とを備えたゴム構造体3を用いた内装材の取付構造であって、ゴム構造体が内装材の下地面(床コンクリートスラブ2)に向けて設置され、一端に頭部15を有する第1の止着具(鋲8)の他端部がゴム構造体を貫通して下地面に固定されるとともに頭部が金属板の一面に係止されたことによってゴム構造体が下地面に取付けられ、取付けられたゴム構造体の上に内装材(ランナー1)が載置され、一端に頭部19を有する第2の止着具(ビス20)の他端部が内装材を貫通してゴム構造体の金属板に固定されるとともに頭部が内装材に係止されたことによって内装材がゴム構造体に取付けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震の際に内装材が破壊されにくい内装材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
天井側のランナーがビスによって天井コンクリートスラブに取付けられ、床側のランナーがビスによって床コンクリートスラブに取付けられ、ゴムが床側のランナーの内側に配置され、パネルがゴムの上に載置され、パネルの上端部がビスによって天井側のランナーに取付けられたランナーの取付構造が知られている。しかしながら、従来のランナーの取付構造は、床側のランナーが床コンクリートスラブに直接に取付けられ、ランナーとパネルとの間にゴムが設けられたことによって、ランナーとパネルとの間がゴムの厚さだけ離されてランナーとパネルとの係合が浅くなった構造である。即ち、ランナーが床コンクリートスラブに弾性的に取付けられた構造ではないので、地震の際に地震による力がランナーに直接に伝達されることによってランナーの側板部がパネルと干渉して変形してしまうというようにランナーが破壊されやすくなり、ランナーが破壊されると、パネルによる壁が崩落しやすい。
【特許文献1】特開平06−248720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明が解決しようとする問題は、従来のランナーのような内装材の取付構造は、内装材が床コンクリートスラブのような内装材の下地面に直接に取付けられた構造であり、内装材が内装材の下地面に弾性的に取付けられた構造ではないので、地震の際に地震による力が内装材に直接に伝達されて内装材が破壊されやすいという点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、所定厚さに形成されたゴムとゴムの内部に埋め込まれた金属板とを備えたゴム構造体を用いた内装材の取付構造であって、ゴム構造体が内装材の下地面に向けて設置され、一端に頭部を有する第1の止着具の他端部がゴム構造体を貫通して下地面に固定されるとともに頭部が金属板の一面に係止されたことによってゴム構造体が下地面に取付けられ、取付けられたゴム構造体の上に内装材が載置され、一端に頭部を有する第2の止着具の他端部が内装材を貫通してゴム構造体の金属板に固定されるとともに頭部が内装材に係止されたことによって内装材がゴム構造体に取付けられたことを特徴とする。
下地面が床コンクリートスラブであり、内装材が間柱の下端部を収容する床側のランナーであることも特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、内装材がゴム構造体によって下地面に弾性的に取付けられた構造としたため、地震の際に地震による力がゴム構造体の弾性により緩和されて内装材に伝わるとともに内装材がゴム構造体の弾性に追従して緩やかに動くので、地震の際に内装材が破壊されにくくなる。
床側のランナーがゴム構造体を介して床コンクリートスラブに弾性的に取付けられた構造により、地震の際に地震による力がゴム構造体の弾性により緩和されてランナーに伝わるとともにランナーがゴム構造体の弾性に追従して緩やかに動くので、地震の際にランナーが破壊されにくくなり、壁の耐震性能を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1乃至図3は最良の形態を示し、図1はランナーの取付構造を断面で示し、図2はゴム構造体の断面を示し、図3はゴム構造体の平面を示す。
【0007】
図1を参照し、内装材としての床側のランナー1(以下、ランナー1と略す)の取付構造を説明する。ランナー1の取付構造は、ランナー1を取付けるための下地面としての床コンクリートスラブ2にゴム構造体3が取付けられ、ゴム構造体3にランナー1が取付けられた構造である。即ち、ランナー1がゴム構造体3を介して床コンクリートスラブ2に弾性的に取付けられた構造である。
【0008】
図2に示すように、ゴム構造体3は、所定厚さHの平板状に形成されたゴム4と、ゴム4の内部においてゴム4の一面5側に埋め込まれてゴム4の一面5と平行に設けられた金属板としての鉄板6とを備えた構成である。図2;3に示すように、ゴム構造体3は、例えば、縦の長さaが60mm、横の長さbが100mm、厚さHが30mmの直方体形状に形成されたゴム4と、縦の長さa1が40mm、横の長さb1が100mm、厚さH1が0.6mmの矩形の平板により形成された鉄板6とにより形成される。例えば、鉄板6は、ゴム4の一面5から他面7側に一定の距離(例えば5mm)だけ下方の位置に埋め込まれる。ゴム構造体3のゴム4の一面5の中央位置には、ゴム構造体3を床コンクリートスラブ2に固定するためのアンカーピンのような鋲8の打ち込み位置を示す凹部9が形成される。図1に戻り、ランナー1は、長尺な方向と直交する方向に切断された断面が凹形状である長尺金物よりなり、凹形状は、底板部10と底板部10の両縁より同方向に延長して互いに平行に相対峙する側板部11;12とで形成される。
【0009】
図1を参照し、ランナー1の取付構造の詳細を説明する。ゴム構造体3がゴム4の一面5とは反対側の面であるゴム4の他面7を床コンクリートスラブ2に向けて床コンクリートスラブ2に設置され、一端に頭部15を有する第1の止着具としての上記鋲8の他端部16がゴム構造体3を上下に貫通して床コンクリートスラブ2の内部に係止されたことで床コンクリートスラブ2に固定されるとともに頭部15が鉄板6の一面17に係止されたことによって、ゴム構造体3が床コンクリートスラブ2に取付けられる。床コンクリートスラブ2に取付けられたゴム構造体3の一面5にランナー1の底板部10の下面18が載置され、一端に頭部19を有する第2の止着具としてのビス20の他端部21がランナー1の底板部10を上下に貫通してゴム構造体3の鉄板6にねじ込まれて固定されるとともに頭部19がランナー1の底板部10の上面22に係止されたことによって、ランナー1が床コンクリートスラブ2に取付けられる。以上によって、ランナー1がゴム構造体3を介して床コンクリートスラブ2に取付けられた構造である。
【0010】
すなわち、作業者が、ゴム構造体3のゴム4の他面7側を下に向けてゴム構造体3を床コンクリートスラブ2に設置する。鋲打機等を使用してゴム4の一面5側から凹部9に鋲8を打ち込む。これにより、鋲8の他端部16がゴム構造体3を貫通して床コンクリートスラブ2に固定されるとともに鋲8の頭部15が鉄板6の一面17に係止して、ゴム構造体3が床コンクリートスラブ2に取付けられる。この場合、図1の紙面と直交する方向において所定の間隔を隔てて複数設けられる各間柱32の下に位置するように、ゴム構造体3を図1の紙面と直交する方向において所定の間隔を隔てて複数取付ける。次に、床コンクリートスラブ2に取付けられた複数のゴム構造体3の一面5にランナー1の底板部10の下面18を載置し、電動ドライバー等でタッピングスクリューのようなビス20を底板部10に打ち込む。これにより、ビス20の他端部21がランナー1の底板部10を貫通してゴム構造体3の鉄板6にねじ込まれて固定されるとともにビス20の頭部19がランナー1の底板部10の上面22に係止して、ランナー1が複数のゴム構造体3の一面5側に取付けられる。
【0011】
天井コンクリートスラブ30には天井側のランナー31が鋲8により固定される。そして、天井側のランナー31と床側のランナー1との間に間柱32を建てる。間柱32は、図1の紙面と直交する方向において所定の間隔を隔てて複数設けられる。そして、壁ボード33の下地面としての間柱32に壁ボード33を図外のビスで取付ける。壁ボード33の下端34と床コンクリートスラブ2との間にはシーリング剤が充填されたシーリング部35が形成される。天井コンクリートスラブ30側には図外の野縁などの天井下地が構築され、野縁に天井ボード36が取付けられて天井37が形成される。
【0012】
最良の形態によるランナー1の取付構造によれば、ランナー1がゴム構造体3によって床コンクリートスラブ2に弾性的に取付けられた構造としたため、地震の際に地震による力がゴム構造体3の弾性により緩和されてランナー1に伝わるとともにランナー1がゴム構造体3の弾性に追従して緩やかに動くので、地震の際にランナー1が破壊されにくくなり、壁の耐震性能を向上できる。
【0013】
また、図1に示すように、ランナー1の底板部10と間柱32との間に介在物がなくなり、ランナー1の凹部40と間柱32の下端部41との係合を深くできる。つまり、間柱32の下端部41をランナー1の底板部10に近接させることができて、ランナー1の側板部11;12の内面と間柱32との接触面積を大きくできるので、ランナー1の側板部11;12と間柱32とが干渉することによるランナー1の側板部11;12の変形が少なくなる。
【0014】
ゴム構造体3が一面5の中央位置に凹部9を備えるために、鋲8の取付位置が明瞭となるので、鋲打ち作業が容易となるとともに、鋲8の頭部15が凹部9内に収容されることで、ランナー1を載せるゴム構造体3の一面5を平坦にできる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
下地面としての天井コンクリートスラブ30にゴム構造体3を用いて内装材としての天井側のランナー31を取付けてもよい。下地面としての壁下地面にゴム構造体3を用いて内装材を取付けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ランナーの取付構造の断面図(最良の形態)。
【図2】ゴム構造体の断面図(最良の形態)。
【図3】ゴム構造体の平面図(最良の形態)。
【符号の説明】
【0017】
1 床側のランナー(内装材)、2 床コンクリートスラブ(内装材の下地面)、
3 ゴム構造体、4 ゴム、5 ゴム構造体の一面、6 鉄板(金属板)、
8 鋲(第1の止着具)、15;19 頭部、16;21 他端部、
20 ビス(第2の止着具)、32 間柱、41 間柱の下端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定厚さに形成されたゴムとゴムの内部に埋め込まれた金属板とを備えたゴム構造体を用いた内装材の取付構造であって、ゴム構造体が内装材の下地面に向けて設置され、一端に頭部を有する第1の止着具の他端部がゴム構造体を貫通して下地面に固定されるとともに頭部が金属板の一面に係止されたことによってゴム構造体が下地面に取付けられ、取付けられたゴム構造体の上に内装材が載置され、一端に頭部を有する第2の止着具の他端部が内装材を貫通してゴム構造体の金属板に固定されるとともに頭部が内装材に係止されたことによって内装材がゴム構造体に取付けられたことを特徴とする内装材の取付構造。
【請求項2】
下地面が床コンクリートスラブであり、内装材が間柱の下端部を収容する床側のランナーであることを特徴とする内装材の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−218009(P2007−218009A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41840(P2006−41840)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(391017654)日本建工株式会社 (10)
【Fターム(参考)】