説明

内視鏡システム

【課題】 流体が送気用管路、送水用管路、吸引用管路に流れたことを検出することで、管路の使用状態を検出し、使用済みの内視鏡がそのまま再使用されることを防止できる内視鏡システムを提供する。
【解決手段】 吸引ポンプ70、または送気・送水ポンプ71が起動した際に、検出部104は、吸引ポンプ70、または送気・送水ポンプ71の電流値を検出する。MPU102は、この検出結果からスコープユニット3の使用の有無を判断し、使用されている場合ヒューズ108を切断させ、内視鏡画像を表示させない指示を警告部112に送信し、モニタ84に表示させない。またスコープユニット3が接続した際、MPU102は、ヒューズ108の状態からスコープユニット3の使用の有無を判断し、使用されている場合、内視鏡画像を表示させない指示を警告部112に送信し、モニタ84に表示させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの内視鏡がそのまま再使用されることを防止する内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な内視鏡において、検査中に体腔内に挿入される挿入部の先端に配置される先端構成部には、観察光学系である例えば対物レンズが配設されている。挿入部が体腔内に挿入された際に、対物レンズには体腔内の粘液等が付着し、視野が妨げられることがある。このような場合、内視鏡の操作部の送気ボタンや、送水ボタンが押し込み操作されることにより、例えば空気や洗浄水等の流体が挿入部内部に設けられている送気・送水用管路を介して先端構成部に設けられたノズルに供給される。これにより、ノズルから対物レンズの表面に流体が吹き付けられ、対物レンズに付着した粘液等を除去する構成にすることが一般的である。
【0003】
特許文献1には、内視鏡を使用しない状態を検出する検出手段を備え、内視鏡を使用しない状態を検出した場合には検出手段から出力される信号により、照明用光源や、撮像系の駆動電源などを自動的にオフにして省エネルギー化を図る構成が示されている。
【特許文献1】特開平08−122654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、一度、体腔内に挿入されて使用された内視鏡の挿入部は、体腔内から抜去された後、洗浄、消毒される。そして、新たに使用される内視鏡には、洗浄、消毒済みの内視鏡か、新品の内視鏡のいずれかが使用される。しかしながら、従来の内視鏡システムでは、新たに使用される内視鏡が未使用の内視鏡か、使用済みの内視鏡かを判断する手段は格別に設けられていないので、使用済みの内視鏡がそのまま再使用される可能性がある。
【0005】
上述した特許文献1の内視鏡では、内視鏡を把持する際の手振れを検出することにより内視鏡の使用状態と判断し、手振れを検出しない場合には内視鏡を使用しない状態と判断している。しかしながら、特許文献1の内視鏡では、使用済みの内視鏡が洗浄、消毒されることなく体腔内に再使用(挿入)されることを防止するものではないので、使用済みの内視鏡がそのまま再使用されることを防止することはできない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、使用済みの内視鏡がそのまま再使用されることを防止できる内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は目的を達成するために、内視鏡の内部に配設された管路に流体が流れた状態を検出する検出部と、前記内視鏡に設けられ、前記内視鏡の使用の有無に応じて記憶状態が変化する使用状態記憶部と、前記検出部と前記使用状態記憶部とに接続され、前記検出部から出力された検出結果に基づいて前記内視鏡の使用の有無を判断し、前記使用状態記憶部の記憶状態を変化させる制御部と、を具備することを特徴とする内視鏡システムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用済みの内視鏡がそのまま再使用されることを防止できる内視鏡システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る第1の実施形態について図1乃至図6を参照して説明する。
図1は、本実施形態における内視鏡システムの概略構成図である。図2は、内視鏡システムの内部に配設された各管路の配設状態を示す概略構成図である。図3は、送気用管路を示す概略図である。図4は、内視鏡システムの制御構成を示す図である。図5は、送気・送水ポンプが駆動した際の電流値について示す図である。図6は、第1の実施形態における動作方法について示すフローチャートである。
【0010】
図1に示すように内視鏡システム1には、内視鏡(以下、スコープユニット)3と、スコープユニット3と接続する光源装置72が設けられている。スコープユニット3は、患者の体腔内に挿入される細長い挿入部2と、挿入部2の手元側に位置する基端と連結し、挿入部2を操作する操作部4とを有する。
【0011】
操作部4には、ユニバーサルコード6の一端が接続されている。ユニバーサルコード6の他端には、外部機器との接続用のコネクタ8が設けられている。スコープユニット3は、コネクタ8を介して光源装置72やビデオプロセッサ82などと接続している。このコネクタ8は、光源装置72やビデオプロセッサ82に対して着脱自在である。
【0012】
挿入部2には、操作部4と基端部が連結された細長い可撓管部10と、この可撓管部10の先端に基端部が連結された湾曲部12と、この湾曲部12の先端に基端部が連結された先端硬性部14が設けられている。
【0013】
この先端硬性部14の先端面には、例えば図示しない照明光学系の照明レンズと、観察光学系の対物レンズと、図2に示すような先端面から流体(例えば気体(空気)61、または液体62)を流す送気・送水ノズル16と、処置具挿通チャンネル44の先端開口部18などが配設されている。処置具挿通チャンネル44は先端面から流体を吸引する吸引管路を兼ねている。
【0014】
本実施形態における送気・送水ノズル16は、流体を体腔内に流すことで、例えば上述した照明レンズ、観察光学系の対物レンズなどを洗浄する。このような洗浄は、挿入部2が体腔内に挿入された際に、例えば照明レンズ、観察光学系の対物レンズに付着した体腔内の粘液等を除去し、視野を確保するために行われる。また吸引管路は、流体を体腔内から吸引する。このように送気・送水ノズル16や吸引管路は、挿入部2が体腔内に挿入された際に使用される。
【0015】
先端硬性部14において、送気・送水ノズル16には送気・送水チューブ16aが接続し、先端開口部18には吸引チューブ24が接続している。吸引チューブ24の一部は、処置具挿通チャンネル44を兼ねる。この送気・送水チューブ16aは、湾曲部12において送気チューブ20と、送水チューブ22の2股に分かれている。送気チューブ20と、送水チューブ22と、処置具挿通チャンネル44は、湾曲部12と、可撓管部(蛇管部)10の内部を挿通して操作部4にまで連通している。
【0016】
先端硬性部14には、照明レンズの後方に図示しないライトガイドファイバの先端部が固定されている。さらに、対物レンズの後方にはCCD等の撮像素子とその接続回路基板などが固定されている。なお、撮像素子に代えて図示しないイメージガイドファイバの先端部を固定して、スコープユニット3を電子スコープに限らずにファイバースコープとしてもよい。
【0017】
操作部4には、術者が把持する把持部28が配設されている。この把持部28には、ユニバーサルコード6の基端部が連結されている。上述した送気チューブ20と、送水チューブ22と、吸引チューブ24は、ユニバーサルコード6を介してコネクタ8にまで連通している。
【0018】
また把持部28には、湾曲部12を上下に湾曲操作させる上下湾曲操作ノブ32と、湾曲部12を左右に湾曲操作させる左右湾曲操作ノブ34と、後述する吸引ポンプ70を起動させる吸引起動部である吸引ボタン36と、後述する送気・送水ポンプ71を起動させる送気・送水起動部である送気・送水ボタン38と、内視鏡撮影用の各種ボタン40と、処置具挿入部42がそれぞれ設けられている。送気・送水ボタン38は、送気と送水のために個々に分けられて設けられていても良い。処置具挿入部42には、挿入部2内に配設された処置具挿通チャンネル44の基端部に連結される処置具挿入口(鉗子口)48が設けられている。この処置具挿通チャンネル44の先端は、図2に示すように吸引チューブ24と連通している。図示しない内視鏡用処置具は、内視鏡システム1の処置具挿入口48から処置具挿通チャンネル44内と、吸引チューブ24内に挿入されて先端硬性部14側まで押し込み操作される。その後内視鏡用処置具は、処置具挿通チャンネル44の先端開口部18から外部に突出される。
【0019】
コネクタ8には、高周波処置時に漏れ電流を回収するためのアース端子50と、図2に示すように送水チューブ22を送水タンク52に連通させる送水口金54と、送気チューブ20を送水タンク52に連通させる送気口金58と、吸引チューブ24を吸引ポンプ70と連通させる吸引口金60が設けられている。なお送気チューブ20は2股に分かれており、一方は送気口金58を介して送水タンク52と連通し、他方は送気管56と連通している。
【0020】
送水タンク52には、液体62が充填されており、透明の例えば樹脂製の容器である。そのため目視により充填されている液体62の充填量が容易に確認される。送水タンク52には、液体62を計量する計量部64である目盛66が設けられている。計量部64は、液体62の投与(消費、供給)量に比例して移動(低下)する薬液面を目盛66によって確認されることで、送水タンク52に保持されている液体62の残量を計量する残量計量部である。なお目盛66の代わりに例えば送水タンク52に保持されている液体62の液面高さを検出する液面検出センサを使用して液体62の投与量を計量しても良い。
【0021】
送水タンク52の上部には、栓68が設けられている。栓68は、液体62が漏れないように送水タンク52を略密閉する。この栓68には、送水チューブ22が貫通する。なお栓68の材料は、液体成分に影響を与えない材質とし、例えばゴム製である。この送水チューブ22は、送水タンク52の底面近傍にまで延設されている。
【0022】
またコネクタ8は、光源装置72と接続する。これにより送気管56は光源装置72に設けられている送気・送水ポンプ71と接続し、送気管56には送気・送水ポンプ71によって空気61が送気される。またコネクタ8が光源装置72と接続すると、コネクタ8に設けられているライトガイド接続部75もコネクタ受74と接続する。
【0023】
コネクタ8の接続端側外周部には、光源装置72との電気的接続を行う接点76が所定数設けられている。さらにこのコネクタ8には、中間部に電気コネクタ部78が備えられており、この電気コネクタ部78は電気ケーブル80を介してビデオプロセッサ82と接続している。このビデオプロセッサ82は表示部であるモニタ84と接続され、上述した対物レンズで撮像された画像がモニタ84に表示されて、観察可能となっている。
【0024】
送気・送水部である送気・送水ポンプ71は、装置外部から送気管56と、送気チューブ20と、送気・送水チューブ16aと、送気・送水ノズル16を介して空気61を体腔内に送気する。このように送気管56と、送気チューブ20と、送気・送水チューブ16aと、送気・送水ノズル16は、空気を送気するための送気用管路を形成している。
【0025】
また送気・送水ポンプ71は、送気管56と、送気チューブ20を介して空気61を送水タンク52に送気し、送水タンク52を加圧する。これにより液体62は、送水チューブ22と、送気・送水チューブ16aと、送気・送水ノズル16とを介して体腔内に送水される。送気・送水ポンプ71は、このようにして液体62を体腔内に送水する。このように送気管56と、送気チューブ20と、送水タンク52と、送気・送水チューブ16aと、送気・送水ノズル16は、送水用管路を形成している。
【0026】
また吸引部である吸引ポンプ70は、体腔内から流体を先端開口部18と、処置具挿通チャンネル44と、吸引チューブ24を介して吸引する。このように先端開口部18と、処置具挿通チャンネル44と、吸引チューブ24は、吸引用管路を形成している。
【0027】
このように本実施形態において流体が流れる管路は、体腔内に空気61を送気する送気用管路と、体腔内に液体62を送水する送水用管路と、体腔内から流体を吸引する吸引用管路を有し、これら送気用管路と、送水用管路と、吸引用管路は、スコープユニット3内部に配設されている。
【0028】
なお吸引ポンプ70と、送気・送水ポンプ71は、異なる構成部材としたが、空気61を体腔内に送気でき、液体62を体腔内に送水でき、流体を体腔内から吸引できるのであれば同一部材としてもよい。
【0029】
図2、図3に示すように送気・送水ボタン38の押圧部90には、孔92が設けられている。上述したように送気・送水ポンプ71が空気61を体腔内に送気する場合、この孔92は例えば指94等によって塞がれる。この状態では、送気チューブ20が開き、送水チューブ22が閉じる。これにより上述したように、また図3に示すように送気・送水ポンプ71は、空気61を送気管56と、送気チューブ20と、送気・送水チューブ16aと、送気・送水ノズル16を介して体腔内に送気する。
【0030】
また送気・送水ポンプ71が液体62を体腔内に送水する場合、送気・送水ボタン38が押し込まれる(押圧される)。これにより送気チューブ20が閉じ、送水チューブ22が開く。送気・送水ポンプ71は、送気管56を介して空気61を送気チューブ20に供給する。その際、送気・送水ボタン38によって送気チューブ20が閉じているため、空気61は送気チューブ20と、送水チューブ22を介して送水タンク52に送気される。送水タンク52は、栓68によって略密閉されているために、空気61が流入すると、送水タンク52は加圧される。これにより送気・送水ポンプ71は、送水タンク52に充填されている液体62を送水チューブ22と、送気・送水チューブ16aと、送気・送水ノズル16を介して体腔内に送水させる。
【0031】
吸引ボタン36が押し込まれると、上述したように吸引ポンプ70から生じる吸引力により、先端開口部18と、処置具挿通チャンネル44と、吸引チューブ24を介して体腔内から流体を吸引する。
【0032】
次に図4を参照して内視鏡システム1のシステム構成について説明する。図4に示すようにヒューズ108を有するスコープユニット3と、光源装置72は、接続する。光源装置72には、内視鏡システム1等を制御するMPU102と、検出部104と、切り替え部106と、内視鏡停止手段110が設けられている。また光源装置72には、検出部104と接続している送気・送水ポンプ71が設けられている。なお内視鏡停止手段110は、警告部112と、計測部114を有している。MPU102は、これら検出部104と、切り替え部106と、警告部112と、計測部114と接続している。検出部104は吸引ポンプ70と接続し、警告部112はビデオプロセッサ82を介してモニタ84と接続している。なおヒューズ108は、スコープユニット3の例えばコネクタ8に設けられている。
スコープユニット3のコネクタ8が光源装置72と接続した際に、ヒューズ108と光源装置72側の切り替え部106が接続する。
【0033】
検出部104は、送気・送水ポンプ71の電流値を計測し、計測結果をMPU102が受信できる信号状態に変換し、MPU102に計測結果を有する信号を送信する。通常、送気・送水ポンプ71は駆動(流体を体腔内に送気、または送水)した際、図5に示すように送気・送水ポンプ71の電流値は一定値まで上昇する。検出部104は、このような電流値の変化を検出し、電流値によって流体が管路に流れたことを検出する。
MPU102は、検出部104から送信される上述した信号を受信し、この信号に基づいてスコープユニット3の使用の有無を判断する。またMPU102は、この判断のために閾値を格納しており、スコープユニット3の使用の有無を判断する際に各種の演算を行う。なお閾値とは、図5に示すような送気・送水ポンプ71の電流値に対する値である。
【0034】
MPU102は、演算結果に応じた制御信号を切り替え部106に送信し、切り替えスイッチ106Sを切り替えさせ、ヒューズ108の状態を変化させる。このようにMPU102は、検出部104から送信された検出結果に基づいてスコープユニット3の使用の有無を判断し、ヒューズ108の状態を変化させる。
【0035】
またMPU102は、切り替え部106から後述するLOW、またはHIGHの信号を受信し、この信号からでもスコープユニット3の使用の有無を判断することができる。より詳細には、これら信号は後述するヒューズ108の状態に応じて出力されるため、MPU102はヒューズ108の状態からでもスコープユニット3の使用の有無を判断することができる。
【0036】
MPU102はスコープユニット3が使用済みであると判断した際に、MPU102は計測部114に時間の計測を開始させる指示(信号)を送信し、計測部114から計測時間情報を受信する。計測時間情報は、計測部114によって計測された計測時間や後述する情報信号である。
MPU102は計測時間情報を受信した後、MPU102は警告部112に使用状況情報(後述する第1の警告)を送信する。使用状況情報とは、例えばスコープユニット3が使用され始めたこと示す情報や残り時間情報などである。残り時間情報とは、後述する検査可能時間から計測時間を引いた残り時間等である。
【0037】
なお計測時間が検査可能時間に達した(残り時間が0になった)場合や使用済みのスコープユニット3が光源装置72と接続した場合、MPU102は、例えば対物レンズによって撮影される画像(以下、内視鏡画像)をモニタ84に表示させないこと(内視鏡装置の終了)を指示する使用状況情報(後述する第2の警告)を警告部112に送信する。
【0038】
切り替え部106は、抵抗R1(信号読み取り用抵抗)と、抵抗R2(信号書き込み用抵抗)と、切り替えスイッチ106Sを有している。抵抗R1の抵抗値は、抵抗R2の抵抗値よりも大きい。コネクタ8と光源装置72とが接続した際、切り替え部106は、切り替えスイッチ106Sを抵抗R1、または抵抗R2と接続させ、ヒューズ108と抵抗R1と抵抗R2との接続状態を切り替える。
【0039】
このように切り替えることで、切り替え部106は、使用済み信号読み取りモード(以下、読み取りモード)と、使用済み信号書き込みモード(以下、書き込みモード)の切り替えを行う。
読み取りモードとは、ヒューズ108と、抵抗R1と、MPU102の図示しない使用済み信号入力端子と、が導通することである。スコープユニット3が未使用である場合、切り替えスイッチ106Sは、ヒューズ108と抵抗R1を接続状態に保持する(切り替え部106は、読み取りモードに切り替える)。このとき切り替え部106の図示しない電源は、ヒューズ108に小さい値を有する電流を流すため、ヒューズ108は切断されない状態で保持される。また読み取りモードでは、LOWの信号がMPU102に出力される。
書き込みモードとは、ヒューズ108と、抵抗R2と、が導通することである。抵抗R2は、ヒューズ108を切断するのに十分な電流を流すことができる。スコープユニット3が使用状態である場合、MPU102の演算結果に応じた制御信号によって切り替えスイッチ106Sが切り替わる。これにより切り替えスイッチ106Sは、ヒューズ108と抵抗R2を接続状態に保持する(切り替え部106は、書き込みモードに切り替える)。このとき切り替え部106の図示しない電源は、ヒューズ108に大きい値を有する電流を流し、ヒューズ108を切断する。
またこの時、HIGHの信号がMPU102に出力される。
【0040】
またこの時、切り替えスイッチ106Sは切り替わり、抵抗R1と接続する(切り替え部106は、読み取りモードに切り替える)。一度HIGHの信号がMPU102に出力されると、スコープユニット3が光源装置72と接続している限り、ヒューズ108には、値の大きい電流は流れない。よって切り替えスイッチ106Sは抵抗R2と接続することがないため、書き込みモードにならず、読み取りモードが維持される。
【0041】
このようにヒューズ108は、MPU102から出力された制御信号に基づいてスコープユニット3の使用の有無の状態を記憶し、スコープユニット3の使用の有無に応じて記憶状態(切断状態)が変化する使用状態記憶部である。
【0042】
またヒューズ108が導通している場合、切り替え部106から使用済み信号入力端子にヒューズ108の使用状況を表すLOWの信号が入力する。よってMPU102によってスコープユニット3は未使用状態と判断される。
またヒューズ108が切断した場合、切り替え部106から使用済み信号入力端子にスコープユニット3が使用済みであるという情報を有するHIGHの信号が入力する。よってMPU102によってスコープユニット3は使用済状態と判断される。
【0043】
警告部112は、MPU102から第1の警告と第2の警告のそれぞれの使用状況情報を受信する。
【0044】
警告部112は、MPU102から第1の警告を受信した際、警告信号をビデオプロセッサ82に送信する。なお警告部112は、第1の警告を受信した際、例えば音などの警告を出力しても良い。また警告部112は、モニタ84に点滅等の警告を表示させても良い。
【0045】
警告部112は、第2の警告を受信した際、モニタ84に内視鏡画像を表示させないことを、例えば音などで術者等に警告する。この音は、第1の警告における音とは異なる。なお警告部112は、モニタ84に点滅等の警告を表示させても良い。警告部112は、警告後、ビデオプロセッサ82に内視鏡画像を表示させない指示信号を送信する。このように警告部112は、計測時間が検査可能時間を越えた際、またはMPU102がヒューズ108の状態からスコープユニット3は使用済みの状態であると判断した際のいずれか一方において、警告信号や警告を出力する。
【0046】
計測部114は、予め所望な値に設定されている設定時間を格納している。設定時間とは、MPU102が、スコープユニット3が使用済みである、と判断してから内視鏡画像のモニタ出力を停止するまでの時間(検査可能時間)である。この時間内において内視鏡システム1は、検査のために可動可能である。計測部114は、MPU102から上述した指示(信号)を受信した際に時間の計測を開始し、計測時間情報をMPU102に送信する。また計測部114は、計測した時間が検査可能時間に達した際に、MPU102にその旨を有する情報信号を送信する。
【0047】
このようにMPU102が検出部104から送信された信号からスコープユニット3が使用済みの状態であると判断した場合、警告部112と、計測部114を有している内視鏡停止手段110は、検査可能時間経過後において、内視鏡画像のモニタ出力を停止し、内視鏡システム1を停止させる。またMPU102がヒューズ108の状態からスコープユニット3が使用済みの状態であると判断した場合、内視鏡停止手段110は、内視鏡画像のモニタ出力を停止し、内視鏡システム1を停止させる。
【0048】
ビデオプロセッサ82は、内視鏡画像をモニタ84に出力する。
【0049】
またビデオプロセッサ82は、警告部112から警告信号を受信し、スコープユニット3が使用され始めたこと示す情報や残り時間情報等の使用状況情報(警告信号)をモニタ84に表示させる。
またビデオプロセッサ82は、警告部112から内視鏡画像を表示させない指示信号を受信し、内視鏡画像がモニタ84に表示されないように制御し、モニタ84にスコープユニット3が使用済みであるという警告を表示させる。
【0050】
モニタ84は、内視鏡画像と、ビデオプロセッサ82から受信した使用状況情報とスコープユニット3が使用済みであるという警告と、のいずれかを表示する。なおビデオプロセッサ82は、警告部112から内視鏡画像を表示させない指示信号を受信した際、モニタ84は内視鏡画像を表示しない。
【0051】
なお上記において、送気・送水ポンプ71が起動した際のMPU102と、検出部104と、切り替え部106と、ヒューズ108と、計測部114の構成について説明したが、これら構成は、吸引ポンプ70が起動する(流体を吸引する)際も同様である。
【0052】
次に図6に示すフローチャートを参照して内視鏡システムの動作方法について説明する。
スコープユニット3は、ユニバーサルコード6と、コネクタ8と、コネクタ受74を介して光源装置72と接続する。またスコープユニット3は、ユニバーサルコード6と、コネクタ8と、電気コネクタ部78と、電気ケーブル80を介してビデオプロセッサ82と接続する。ビデオプロセッサ82と光源装置72の電源が投入されると、MPU102は、内視鏡システム1全体を制御する。この時、切り替えスイッチ106Sは、抵抗R1と接続しており、切り替え部106は、読み取りモードを維持している。
【0053】
次にMPU102は、ヒューズ108の切断状態の有無を判断するために、使用済み信号入力端子において、切り替え部106からHIGH、またはLOWの信号を受信する。MPU102は、この信号からスコープユニット3が未使用であるか否かを判断する(Step1)。
【0054】
MPU102は、LOWの信号を受信した際、ヒューズ108が導通し、スコープユニット3が未使用であると判断する(Step1:Yes)。次に送気・送水ポンプ71が駆動し、電流値が一定値まで上昇すると、流体が体腔内に流れる。検出部104は、電流値を計測し、MPU102にこの計測結果を有する信号を送信する。MPU102は、この信号を受信し、閾値と比較し、スコープユニット3の使用の有無を判断する(Step2)。
【0055】
MPU102が、電流値が閾値を超えたことを検出すると、スコープユニット3が使用されたと判断する(Step2:Yes)。その際、MPU102は、制御信号を切り替え部106に送信し、切り替えスイッチ106Sを抵抗R2と接続するように切り替えさせる。これにより切り替え部106は、書き込みモードを維持する(Step3)。また切り替え部106の図示しない電源は、ヒューズ108に大きい値を有する電流を流し、ヒューズ108を切断する。
【0056】
次に切り替えスイッチ106Sは抵抗R1と接続するように切り替わり、切り替え部106は読み取りモードを維持する(Step4)。MPU102は、使用済み信号入力端子において、切り替え部106からHIGHの信号を受信し、スコープユニット3が使用済みであると判断する。
【0057】
MPU102は、計測部114において計測時間を初期化し(Step5)、計測部114に時間の計測を開始させる(Step6)。またMPU102は、警告部112に使用状況情報を送信する(Step7)。
【0058】
警告部112は、使用状況情報を受信した際、警告信号をビデオプロセッサ82に送信し、ビデオプロセッサ82は、スコープユニット3が使用され始めたことや、残り時間等の使用状況情報をモニタ84に表示させる。また警告部112は、例えば音などの警告を出力しても良い。また警告部112は、モニタ84に点滅等によって警告を表示させても良い。このようにMPU102は、スコープユニット3が使用され始めたことを警告部112に警告させる(第1の警告)(Step8)。
【0059】
次にMPU102は、計測部114によって計測された計測時間が検査可能時間を越えたか否かを判断する(Step9)。MPU102は、計測部114によって計測時間を管理することで、流体が流れた直後に内視鏡システム1が停止してしまうことを防止する。またスコープユニット3は、この計測時間内に例えば体腔内の組織を処置し、体腔内から抜去される。
【0060】
MPU102が、計測時間が検査可能時間を越えたと判断した場合(Step9:Yes)、MPU102は、内視鏡システム1の使用を制限する(第2の警告)(Step10)。
【0061】
詳細には、MPU102は、警告部112に内視鏡画像を表示しないこと(内視鏡装置の終了)を指示する使用状況情報を送信する。警告部112は、モニタ84に内視鏡画像を表示させないことを、例えば音などで例えば術者に警告する。この音は、第1の警告における音とは異なる。また警告部112は、警告後、ビデオプロセッサ82に内視鏡画像を表示させない指示信号を送信する。ビデオプロセッサ82は、内視鏡画像を表示しないようにモニタ84を制御する。モニタ84は、スコープユニット3が使用済みであるという警告を表示し、内視鏡画像を表示しない。
【0062】
これによりMPU102は、例えばスコープユニット3が体腔内の組織を処置し、体腔内から抜去された後に、再挿入されることを、警告部112に警告を出力させることで防止する。なおMPU102は、このStep10にてStep8の第1の警告を警告部112に停止させる。
【0063】
次にMPU102は、スコープユニット3が光源装置72と、ビデオプロセッサ82から取り外されたか否かを判断する(Step11)。MPU102は、スコープユニット3が光源装置72と、ビデオプロセッサ82から取り外されたと判断した場合(Step11:Yes)、MPU102は、計測時間を初期化し、表示されていない内視鏡画像を再び表示させ、警告部112に第2の警告を停止させ、動作を終了する(Step12)。
【0064】
前述したStep1において、使用済みのスコープユニット3が光源装置72と接続した際、切り替え部106が読み取りモードに切り替えられており、またMPU102は、使用済み信号入力端子において、切り替え部106からHIGHの信号を受信する。よってMPU102は、スコープユニット3が未使用でない(使用済みである)と判断する(Step1:No)。この場合、Step10に進み、MPU102は、内視鏡システム1の使用を制限する。
【0065】
また前述したStep11において、MPU102は、スコープユニット3が光源装置72と、ビデオプロセッサ82から取り外されていないと判断した場合(Step11:No)、Step10に戻る。
【0066】
Step2において、MPU102が、電流値が閾値を超えていないことを検出すると、スコープユニット3が使用されていないと判断する(Step2:No)。これによりMPU102は、スコープユニット3が体腔内で挿入されていないとみなす。そのため、内視鏡システム1は通常の動作を続けることができる。その際、MPU102は、スコープユニット3が光源装置72と、ビデオプロセッサ82から取り外されたか否かを判断する(Step13)。MPU102が、スコープユニット3が光源装置72と、ビデオプロセッサ82から取り外されたことを判断した場合(Step13:Yes)、Step12に進む。なおMPU102は、スコープユニット3が光源装置72と、ビデオプロセッサ82から取り外されていないと判断した場合(Step13:No)、Step1に戻る。
【0067】
Step9において、MPU102が、計測時間が検査可能時間を越えたと判断しなかった場合(Step9:No)、MPU102は、計測時間が検査可能時間を越えていないとみなし、スコープユニット3が光源装置72と、ビデオプロセッサ82から取り外されたか否かを判断する(Step14)。MPU102が、スコープユニット3が光源装置72と、ビデオプロセッサ82から取り外されたことを判断した場合(Step14:Yes)、Step12に進む。なおMPU102は、スコープユニット3が光源装置72と、ビデオプロセッサ82から取り外されていないと判断した場合(Step14:No)、Step6に戻る。
【0068】
なおStep11,13,14において、MPU102は、例えばヒューズ108と切り替え部106の接続状態と電気コネクタ部78とビデオプロセッサ82の接続状態から、スコープユニット3が光源装置72とビデオプロセッサ82と接続しているか否かを、判断する。またStep11,13,14において、MPU102は、スコープユニット3が光源装置72と、ビデオプロセッサ82から取り外されたか否かを判断したが、本実施形態では、これに限定する必要はない。例えば図示しない検査終了ボタンによって動作を終了しても良い。例えば検査終了ボタンが押された際に信号が出力される。MPU102は、この信号を受信した際、Step12の動作を実施しても良い。
【0069】
次に流体が吸引用管路を流れたことを検出することで体腔内に挿入されたスコープユニット3が再挿入されることを防止する動作方法について説明する。
【0070】
この動作は、図6におけるStep2の動作のみが異なるため、この箇所についてのみ説明する。
【0071】
吸引ポンプ70が駆動した際、電流値が一定値まで上昇すると、流体が体腔内から吸引される。検出部104は、電流値を計測し、MPU102にこの計測結果を有する信号を送信する。MPU102は、この信号を受信し、閾値と比較し、スコープユニット3の使用の有無を判断する(Step2)。
【0072】
この後の動作は、上述したように流体を送気、または送水する場合と同様であるために省略する。
【0073】
このように本実施形態の内視鏡システム1において、未使用のスコープユニット3が光源装置72に接続し、吸引ポンプ70、または送気・送水ポンプ71が起動した際に、検出部104は、吸引ポンプ70、または送気・送水ポンプ71の電流値を検出する。電流値が閾値を越えた際、MPU102は管路に流体が流れたことを検出する。MPU102は、検出部104から取得した検出結果から、ヒューズ108を切断するように切換スイッチ106Sを切り換え、切り替え部106からHIGHの信号を受信し、スコープユニット3が使用済みであると判断する。その際、MPU102は、内視鏡が使用され始めたことを警告部112に警告させる(第1の警告)。
【0074】
使用済みのスコープユニット3が光源装置72と接続した際(Step1:No)や、計測時間が検査可能時間を越えた際(Step8:Yes)、モニタ84は、スコープユニット3が使用済みであるという警告(第2の警告)を表示し、内視鏡画像を表示しない。またスコープユニット3が光源装置72と、ビデオプロセッサ82から取り外された際、MPU102は、計測時間を初期化し、表示されていない内視鏡画像を再び表示させ、警告部112に第2の警告を停止させ、動作を終了する。
【0075】
これにより本実施形態の内視鏡システム1は、体腔内に挿入された挿入部を抜去した後、再挿入することを防止することができる。つまり本実施形態の内視鏡システム1は、使用済みの内視鏡がそのまま再使用されることを防止できる。
【0076】
また本実施形態の内視鏡システム1は、未使用の挿入部2が体腔内に挿入された後、計測部114によって使用時間を管理し、挿入部2を所望する時間操作することが可能である。よって本実施形態の内視鏡システム1は、未使用の挿入部2が体腔内に挿入され、送気・送水ポンプ71によって流体が体腔内に流れた際、または吸引ポンプ70によって体腔内から流体が吸引された際、未使用の挿入部2を使用済みと検出し、検出直後に内視鏡システム1の動作を終了させてしまうことを防止できる。
【0077】
また本実施形態の内視鏡システム1は、ヒューズ108をコネクタ8に搭載している。例えばスコープユニット3が使用済みである場合、ヒューズ108は切断されている。よってこのスコープユニット3が光源装置72と接続した際に、MPU102はスコープユニット3が使用済みであることを検出する。このように本実施形態の内視鏡システム1は、スコープユニット3が光源装置72と接続した際に、このスコープユニット3が使用済みであることをヒューズ108の状態から判断でき、体腔内に再挿入してしまうことを防止することができる。
【0078】
また本実施形態は、挿入部2の挿入状態を検出するためにヒューズ108を用いているために安価にすることができる。
【0079】
なお警告部112は、音を出力するとしたが、これに限定する必要はなく、例えばモニタ84に注意を喚起する文字、線、または画像等を表示させても良い。
【0080】
またモニタ84は、計測時間、または残り時間の少なくとも一方を表示しても良い。
【0081】
なお前述した第1の実施形態において、ヒューズ108の状態から挿入部2が挿入されたか否かを検出したがこれに限定する必要はない。例えば第1の変形例において図7に示すようにスコープユニット3に使用状態記憶部である例えばEEPROM等の不揮発性を有するメモリ120を設けても良い。このメモリ120には、挿入部2が体腔内に挿入され使用済みであることを表す使用済み情報が記憶される。
【0082】
例えばMPU102が、送気・送水ポンプ71の電流値が閾値を超えたことを検出した場合、送気・送水ポンプ71が流体を流したと判断する。MPU102は、検出結果を有する制御信号をメモリ120に出力する。メモリ120は、この制御信号(使用済み信号)を取得することで管路の使用状態(使用情報)を記憶する。
【0083】
また使用済みの挿入部2を有するスコープユニット3が光源装置72と接続した際、MPU102は、メモリ120の記憶状態から挿入部2が体腔内に挿入されて使用済みであると判断する。
これにより本変形例は、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
次に図8を参照して本発明に係る第2の実施形態について説明する。
図8は、本実施形態における内視鏡システムの制御構成を示す図である。前述した第1の実施形態と同様の部分には同じ符合を付し、その詳細な説明については省略する。本実施形態における内視鏡システム1は、前述した第1の実施形態とは異なり、吸引ボタン36や送気・送水ボタン38の押圧状態を検出することで挿入部2が体腔内に挿入されて使用済みであるか否かを検出する。
【0085】
図1乃至図3に示すように吸引ボタン36や送気・送水ボタン38は、操作部4に設けられている。検出部104は、例えば送気・送水ボタン38において、送水のために送気・送水ボタン38が押圧されているか否かを検出する。検出部104は、送気・送水ボタン38の押圧状態を検出すると、第1の実施形態と同様に検出結果をMPU102に出力する。この検出動作は、吸引ボタン36が吸引のために押圧された場合も同様である。吸引ボタン36、または送気・送水ボタン38が押圧され、検出部104が検出結果をMPU102に出力した後の動作は、第1の実施形態と同様であるため省略する。また検出部104は、送気・送水ボタン38において、送気のために孔92が塞がれているか否かを検出する。検出部104は、孔92が塞がれていることを検出すると、第1の実施形態と同様に検出結果をMPU102に出力する。検出部104が検出結果をMPU102に出力した後の動作は、第1の実施形態と同様であるため省略する。
【0086】
このように本実施形態は、送気・送水ボタン38の押圧状態、孔92の状態、吸引ボタン36の押圧状態を検出することで挿入部2が体腔内に挿入されて使用済みであるか否かを検出する。これにより本実施形態は、前述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また本実施形態は、送気・送水ポンプ71の電流値に影響されることなく、送気・送水ボタン38、孔92、吸引ボタン36の状態から挿入部2が体腔内に挿入されて使用済みであるか否かを検出するため、より高精度に挿入部2が使用済みであることを検出できる。
【0087】
なお上述したように送気・送水ボタン38が、送気と送水のために個々に分けられている場合、検出部104は、それぞれの押圧状態を検出すればよい。
【0088】
また上述したように検出部104は、送気・送水ボタン38、孔92の状態、吸引ボタン36の押圧状態を検出したが、これに限定する必要はない。例えば第1の変形例として、図9に示すように送気・送水ボタン38の押圧部90に磁石122を設けてもよい。また送気・送水ボタン38において、磁石122から最も離れた位置には、磁石122との相対距離に応じた出力信号を検出部104に出力する例えばホールセンサ等の磁気検出部124が設けられている。
【0089】
送水の際に、送気・送水ボタン38が押圧されると、バネ125が撓み、図9に示すように磁石122と磁気検出部124の相対距離が変化する。磁気検出部124は、この相対距離に応じた出力信号を検出部104に出力する。
【0090】
検出部104は、この出力信号から送気・送水ボタン38が押圧されているか否かを検出する。検出部104は、第1の実施形態と同様に検出結果をMPU102に出力する。この検出動作は、吸引ボタン36が吸引のために押圧された場合も同様である。吸引ボタン36、または送気・送水ボタン38が押圧され、検出部104が検出結果をMPU102に出力した後の動作は、第1の実施形態と同様であるため省略する。
【0091】
なお送気の場合、孔92が塞がれていればよいため、送気・送水ボタン38を、送水の場合に比べて強く押圧せず、図9に比べて相対距離の変化を小さくすればよい。そのためこの距離に応じた出力信号が検出部104に出力される。検出部104は、この出力信号から送気・送水ボタン38が押圧されているか否かを検出する。検出部104は、第1の実施形態と同様に検出結果をMPU102に出力する。検出部104が検出結果をMPU102に出力した後の動作は、第1の実施形態と同様であるため省略する。
【0092】
このように本変形例は、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
なお送気、または送水の場合において、本変形例は、相対距離が第1の実施形態における電流値と同様に設定された閾値以上であるか否かを検出し、送気または送水であることを判断しても良い。
【0094】
また送気・送水ボタン38の押圧状態は2段階に分けられていてもよい。例えば送気・送水ボタン38が一度押圧されると、空気61が送気される。さらに送気・送水ボタン38が押圧されると液体62が送液される。送気・送水ボタン38が一度押圧された(送気)際の磁石122と磁気検出部124の相対距離は、送気・送水ボタン38が二度押圧された(送液)際の磁石122と磁気検出部124の相対距離とは異なる。よって磁気検出部124から出力される出力信号は、それぞれ異なる。よって検出部104は、挿入部2が体腔内に挿入されて使用済みであるか否かを検出できる。
【0095】
次に図10を参照して本発明に係る第3の実施形態について説明する。
図10は、本実施形態における内視鏡システムの制御構成を示す図である。前述した第1の実施形態と同様の部分には同じ符合を付し、その詳細な説明については省略する。本実施形態における内視鏡システム1は、前述した第1の実施形態とは異なり、圧力センサ等の圧力検出部126a,126bを設けている。この圧力検出部126aは、例えば送気・送水チューブ16aに設けられ、送気・送水チューブ16a内の圧力を検出する。圧力検出部126bは、例えば吸引チューブ24に設けられ、吸引チューブ24内の圧力を検出する。
【0096】
例えば送気・送水ポンプ71が起動し、液体62が体腔内に送液される際に、圧力検出部126aは、送気・送水チューブ16a内の圧力を検出する。圧力検出部126aは、検出された圧力値が図示しない設定部によって予め設定されている閾値(所望する値)を越えたか否かを検出する。圧力検出部126aは、圧力値が閾値を超えたことを検出した場合、検出結果をMPU102に出力する。MPU102に検出結果を出力した後の動作は、第1の実施形態と同様であるため省略する。送気、吸引の場合も同様である。
【0097】
このように本実施形態は、送気・送水チューブ16a、吸引チューブ24内の圧力を圧力検出部126a,126bに検出させることで、第1の実施形態と同様に挿入部2が体腔内に挿入されて使用済みであるか否かを検出できる。これにより第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0098】
なお本実施形態は、送気・送水チューブ16a内の圧力を計測したが、これに限定する必要はない。例えば送水用管路内、送気用管路内の圧力をそれぞれ検出するために、圧力検出部126aは、例えば送気チューブ20などの送気用管路や、送水チューブ22などの送水用管路に設けられていてもよい。
【0099】
また送水の場合、圧力検出部126aは、送水タンク52内の圧力を検出しても良い。また送水タンク52内の液面高さを検出する検出部を設けても良い。
【0100】
また本実施形態は、送気・送水チューブ16a、吸引チューブ24内の圧力を計測したが、これに限定する必要はなく、図11に示すように例えば第1の変形例として流体の流れる量(流量)を検出する流量センサ等の流量検出部128a,128bを送気・送水チューブ16a、吸引チューブ24内に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、本発明に係る第1の実施形態における内視鏡システムの概略構成図である。
【図2】図2は、内視鏡システムの内部に配設された各管路の配設状態を示す概略構成図である。
【図3】図3は、送気用管路を示す概略図である。
【図4】図4は、内視鏡システムの制御構成を示す図である。
【図5】図5は、ポンプが起動した際の電流値について示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態における動作方法について示すフローチャートである。
【図7】図7は、ヒューズの代わりにメモリを用いた制御構成の変形例を示す図である
【図8】図8は、第2の実施形態における内視鏡システムの制御構成を示す図である。
【図9】図9は、磁石、磁気検出部を有する送気・送水ボタン、吸引ボタンを示す。
【図10】図10は、第3の実施形態における内視鏡システムの制御構成を示す図である。
【図11】図11は、第3の実施形態において、圧力検出部の代わりに流量検出部を用いた制御構成の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0102】
1…内視鏡システム、2…挿入部、3…スコープユニット、4…操作部、6…ユニバーサルコード、8…コネクタ、16…送気・送水ノズル、16a…送気・送水チューブ、18…先端開口部、20…送気チューブ、22…送水チューブ、24…吸引チューブ、36…吸引ボタン、38…送気・送水ボタン、44…処置具挿通チャンネル、52…送水タンク、56…送気管、70…吸引ポンプ、71…送気・送水ポンプ、72…光源装置、82…ビデオプロセッサ、84…モニタ、90…押圧部、102…MPU、104…検出部、106S…スイッチ、106…切り替え部、108…ヒューズ、110…内視鏡停止手段、112…警告部、114…計測部、126a,126b…圧力検出部、128a,128b…流量検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の内部に配設された管路に流体が流れた状態を検出する検出部と、
前記内視鏡に設けられ、前記内視鏡の使用の有無に応じて記憶状態が変化する使用状態記憶部と、
前記検出部と前記使用状態記憶部とに接続され、前記検出部から出力された検出結果に基づいて前記内視鏡の使用の有無を判断し、前記使用状態記憶部の記憶状態を変化させる制御部と、
を具備することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出部から出力された検出結果に基づいて前記内視鏡が使用有りの状態であると判断した場合に予め所望に設定された設定時間経過後に前記内視鏡を停止させる、または前記使用状態記憶部の状態から前記内視鏡が使用有りの状態であると判断した場合に前記内視鏡を停止させる内視鏡停止手段を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記内視鏡停止手段は、前記検出部から出力された検出結果に基づいて前記内視鏡が使用有りの状態と前記制御部が判断した際に、時間の計測を開始する計測部と、
前記計測部によって計測された前記時間が、前記設定時間を経過した場合、または前記制御部が前記使用状態記憶部の状態から前記内視鏡は使用有りの状態であると判断した場合、の少なくともいずれか一方の場合に警告を出力する警告部と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記管路は、体腔内に気体を送気するための送気用管路と、前記体腔内に液体を送水するための送水用管路と、前記体腔内から前記流体を吸引するための吸引用管路を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記送気用管路を介して前記体腔内に前記気体を送気し、または前記送水用管路を介して前記体腔内に前記液体を送水する送気・送水部と、
前記吸引用管路を介して前記体腔内から前記流体を吸引する吸引部と、
を有し、
前記検出部は、前記気体を送気、または前記液体を送水するために駆動した前記送気・送水部の電流値を検出し、前記流体を吸引するために駆動した際の前記吸引部の電流値を検出することを特徴とする請求項4に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記送気用管路を介して前記体腔内に前記気体を送気し、または前記送水用管路を介して前記体腔内に前記液体を送水する送気・送水部と、
前記吸引用管路を介して前記体腔内から前記流体を吸引する吸引部と、
前記送気・送水部を起動させる送気・送水起動部と、
前記吸引部を起動させる吸引起動部と、
を有し、
前記検出部は、前記送気・送水起動部と前記吸引起動部の押圧状態を検出することを特徴とする請求項4に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記検出部は、前記送気用管路内と、前記送水用管路内と、前記吸引用管路内の圧力を検出する圧力検出部であることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記検出部は、前記送気用管路内と、前記送水用管路内と、前記吸引用管路内の流量を検出する流量検出部であることを特徴とする請求項4に記載の内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−289594(P2008−289594A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136767(P2007−136767)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】