説明

内視鏡システム

【課題】本発明では、携帯端末を用いて無線で映像信号を高転送レートで、かつ、セキュリティ保護が強い内視鏡システムを提供する。
【解決手段】内視鏡により撮像された画像データを分割する分割手段と、前記分割した画像データである分割画像データのそれぞれを分配する分配手段と、前記分配された分割データを無線で送信する複数の送信手段と、を備える分割画像データ生成送信装置と、前記各送信手段に対応し、該送信手段により送信された前記分割画像データを受信する複数の携帯端末であって、当該携帯端末以外の携帯端末または外部の装置へ該分割画像データを転送する該複数の携帯端末と、を備える内視鏡システムにより、上記課題の解決を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型内視鏡を用いた内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡を用いた手術が普及している。内視鏡には、在宅療養中の患者等に対しても往診によって容易に内視鏡による診断が行えるようにするため、携帯に便利な携帯型の内視鏡(在宅内視鏡システム)が使用されている。
【0003】
在宅療養中の患者の家で在宅内視鏡システムを使用したとき、その場にいる担当医のみで診断することになり、他の医師がリアルタイムで十分に正確な診断を行うことができなかった。そこで携帯端末などの通信機器により無線で映像信号を送信し、診断することが考えられる。
【0004】
なお、医療機器に関して以下の文献が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−226035号公報
【特許文献2】特開平9−80329号公報
【特許文献3】特開2007−97653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、携帯端末を用いて無線で映像信号を送信する場合、データの転送レートが遅い、及びセキュリティが脆弱という問題があった。
そこで、本発明では、携帯端末を用いて無線で映像信号を高転送レートで、かつ、セキュリティ保護が強い内視鏡システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる内視鏡システムは、内視鏡により撮像された画像データを分割する分割手段と、前記分割した画像データである分割画像データのそれぞれを分配する分配手段と、前記分配された分割データを無線で送信する複数の送信手段と、を備える分割画像データ生成送信装置と、前記各送信手段に対応し、該送信手段により送信された前記分割画像データを受信する複数の携帯端末であって、当該携帯端末以外の携帯端末または外部の装置へ該分割画像データを転送する該複数の携帯端末と、を備える。
【0008】
前記内視鏡システムにおいて、該各携帯端末は、前記分割画像データを受信した場合、該複数の携帯端末のうちマスター端末として予め設定されたいずれかの携帯端末に該分割画像データを送信し、該送信されたマスター端末としての携帯端末は該分割画像データを合成して画像を復元することを特徴とする。
【0009】
前記内視鏡システムにおいて、該各携帯端末は前記分割画像データを受信してさらに前記外部装置に送信し、前記外部装置は、前記送信された分割画像データを合成して画像を復元することを特徴とする。
【0010】
前記内視鏡システムにおいて、前記分割画像データ生成送信装置は、前記内視鏡に内蔵、または着脱可能であることを特徴とする。
前記内視鏡システムは、さらに、前記内視鏡に接続可能で、該内視鏡で撮像された画像についての画像処理を行うプロセッサを備え、前記分割画像データ生成送信装置は、前記プロセッサに内蔵、または着脱可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る内視鏡システムによれば、携帯端末を用いて無線で映像信号を高転送レートで伝送できると共に、セキュリティを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態(実施例1)における内視鏡システム1の全体構成を示す。
【図2】第1の実施形態(実施例1)における、内視鏡画像を分割して、各携帯端末に分割画像データを送信する説明図である。
【図3】第1の実施形態(実施例1)における1フレームの内視鏡画像の分割を説明するための図である。
【図4】第1の実施形態(実施例1)における送信されるデータのフォーマットの一例を示す。
【図5】第1の実施形態(実施例1)における操作部3またはプロセッサ5内の画像分割・送信に関する処理を行う分割画像データ生成送信装置のハードウェア構成を示す。
【図6】第1の実施形態における携帯端末6のデータの復元に関する部分のハードウェア構成を示す。
【図7】第1の実施形態(実施例2)における内視鏡システム1の全体構成を示す。
【図8】第1の実施形態(実施例2)における病院サーバ51による受信データの管理を説明するための図である。
【図9】第1の実施形態(実施例3)における内視鏡システム1の全体構成を示す。
【図10】第2の実施形態における内視鏡システムの全体構成を示す。
【図11】第3の実施形態における内視鏡システムの全体構成を示す。
【図12】第3の実施形態の変形例における内視鏡システムの全体構成を示す。
【図13】第4の実施形態における内視鏡を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
本実施形態における内視鏡システムは、分割画像データ生成送信装置と、複数の携帯端末から構成される。分割画像データ生成送信装置は、分割手段、分配手段、複数の送信手段から構成される。分割画像データ生成送信装置は、例えば本実施携帯でいえば、図5の分割画像データ生成送信装置8に相当する。
【0014】
分割手段は、内視鏡により撮像された画像データを分割する。分割手段は、例えば本実施形態で言えば、映像処理部41に相当する。
分配手段は、前記分割した画像データである分割画像データのそれぞれを分配する。分配手段は、例えば本実施形態でいえば、データ処理部43に相当する。
【0015】
送信手段は、前記分配された分割データを無線で送信する。送信手段は、例えば本実施形態でいえば、送信部11に相当する。
携帯端末は、前記各送信手段に対応し、該送信手段により送信された前記分割画像データを受信することができる。そして、携帯端末は、自身以外の携帯端末または外部の装置へ該分割画像データを転送することができる。携帯端末は、例えば本実施形態でいえば、携帯端末6に相当する。
【0016】
このように構成することにより、携帯端末を用いて無線で映像信号を高転送レートで伝送できると共に、セキュリティを確保することができる。
さらに、各携帯端末は、前記分割画像データを受信した場合、該複数の携帯端末のうちマスター端末として予め設定されたいずれかの携帯端末に該分割画像データを送信し、該送信されたマスター端末としての携帯端末は該分割画像データを合成して画像を復元することができる。
【0017】
このように構成することにより、マスター端末で内視鏡画像を再生することができる。
また、各携帯端末は、前記分割画像データを受信してさらに前記外部装置に送信する場合、前記外部装置(例えば本実施形態で言えば、病院サーバ51)は、前記送信された分割画像データを合成して画像を復元することができる。
【0018】
このように構成することにより、病院サーバは復元した画像を時系列で管理することができる。
なお、前記分割画像データ生成送信装置は、前記内視鏡に内蔵、または着脱可能であってよい。また、前記内視鏡に接続可能で、該内視鏡で撮像された画像についての画像処理を行うプロセッサがある場合、前記分割画像データ生成送信装置は、前記プロセッサに内蔵、または着脱可能であってよい。
【0019】
(実施例1)
第1の実施形態では、携帯型内視鏡で撮像した画像データを分割し、その分割した画像データを複数の携帯端末に送信し、複数の携帯端末側ではそれぞれが受信した分割画像データをいずれかの携帯端末(マスター端末)へ送信して、その携帯端末で再生することができる内視鏡システムについて説明する。
【0020】
図1は、本実施形態(実施例1)における内視鏡システム1の全体構成を示す。図1(A)は、画像処理機能を操作部3に設けた場合の内視鏡システム1を示す。図1(A)において、内視鏡システム1は、携帯型内視鏡2、携帯端末6(6−1,6−2,・・・6−n)から構成される。
【0021】
携帯型内視鏡2は、操作部3、挿入部4から構成される。挿入部4は、細長で患者の体腔内へ挿入可能な可撓性を有する部材で構成されている。挿入部4の先端には観察部位を観察するための観察光学レンズ4aが設けられている。また、操作者は、操作部3に設けられているアングルノブ等により、諸操作を行うことができる。
【0022】
観察光学レンズ4aを介して得られた光学像は、CCD(Charge Coupled Device)4bに結像されることにより、光電変換されて電気信号になり、操作部3に送られる。
【0023】
その電気信号は、操作部3内で所定の画像処理が施されて映像信号に加工される。その映像信号に基づく画像データは、後述するように、操作部3内で分割される。その分割された画像データ(以下、「分割画像データ」という)は、リアルタイムで各携帯端末6(6−1,6−2,・・・,6−n)に無線により送信される。各携帯端末に送信された分割画像データは、それら携帯端末のうちのいずれかの携帯端末(マスター端末)に有線または無線で送信される。そのマスター端末では、それぞれの携帯端末から送信されたデータを合成して、1フレームの画像を構築し、そのフレーム画像を携帯端末の表示部に表示させる。これを連続することにより、複数フレームの画像が表示され、リアルタイムで内視鏡の観察映像を表示させることができる。
【0024】
図1(B)は、画像処理機能を外部のプロセッサ5に設けた場合の内視鏡システム1を示す。操作部3は、プロセッサ5と有線で接続されている。観察光学レンズ4aにより得られた光学像は、CCD(Charge Coupled Device)4bに結像されると、光電変換されて電気信号になり、操作部3を介して、プロセッサ5へ送られる。
【0025】
その電気信号は、プロセッサ5内で所定の画像処理が施されて映像信号に加工される。その映像信号に基づく画像データは、操作部3内で分割される。その分割された画像データ(分割画像データ)は、リアルタイムで各携帯端末6(6−1,6−2,・・・,6−n)に無線により送信される。これ以降は、図1(A)の場合と同様である。
【0026】
図1(A)に示すように、操作部3と携帯端末6間では、所定のワイヤレス通信プロトコルで通信することができる。または、図1(B)に示すように、プロセッサ5と携帯端末6間では、所定の通信プロトコルで通信することができる。所定の通信プロトコルとしては、本実施形態では、リアルタイム性を考慮してIrDA(赤外線通信)を例に説明するが、これに限定されない。例えば、可視光通信、WLAN、Bluetooth等を通信プロトコルとして用いてもよい。
【0027】
また、携帯端末は、赤外線通信、Bluetooth等のデータ通信機能を有する携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等の装置であってよい。
【0028】
図2は、本実施形態(実施例1)における、内視鏡画像を分割して、各携帯端末に分割画像データを送信する説明図である。図1(A)の場合、操作部3内において、携帯型内視鏡2により取得した画像データDが複数に分割される。また、図1(B)の場合には、プロセッサ5内において、携帯型内視鏡2により取得した内視鏡画像データDが複数に分割される。ここで、その分割された画像データ(分割画像データ)をそれぞれ、D1,D2,・・・,Dn(n:任意の整数)で表す。
【0029】
その分割画像データD1,D2,・・・,Dnは、複数の送信モジュール、すなわち送信部11−1,11−2,・・・11−nによりそれぞれ対応する携帯端末6−1,6−2,・・・,6−nへ送信される。
【0030】
送信された分割画像データD1,D2,・・・,Dnは、各携帯端末6−1,6−2,6−nの受信部21−1,21−2,・・・,21−nにより受信される。受信された分割画像データD1,D2,・・・,Dnは、携帯端末6−1,6−2,・・・,6−nのうちのいずれか(例えば、携帯端末6−n)に転送され、その携帯端末6−n上で1つの画像データに復元される。
【0031】
図3は、本実施形態(実施例1)における1フレームの内視鏡画像の分割を説明するための図である。1フレームの内視鏡画像の分割はライン毎に行う。送信する際には、分割した内視鏡画像データのそれぞれにライン番号を付加して送信する。なお、最終ラインは第Eライン目(E:任意の整数)で表す。
【0032】
図3において、内視鏡画像Dの1ライン目のデータは、送信部11−1により送信される。2ライン目のデータは、送信部11−2により送信される。nライン目のデータは、送信部11−nにより送信される。n+1,n+2,・・・ライン目のデータはそれぞれ、再び送信部1,2,・・・により送信される。
【0033】
図4は、本実施形態(実施例1)における送信されるデータのフォーマットの一例を示す。上述の通り、K(K:任意の整数)フレーム目の内視鏡画像を送信する場合には、その内視鏡画像データは、まずライン毎に分割される。そのライン毎に分割された分割画像データに対して、送信の際にヘッダ情報及びフッダ情報が付加される。
【0034】
図4において、第1ライン目のデータのフォーマットは、「内視鏡のシリアルNo.」31、「フレーム開始」32、「フレーム番号」33、「画像データ」34、「ライン番号」35から構成される。「内視鏡のシリアルNo.」31には、携帯型内視鏡2を識別するためのNo.がセットされる。「フレーム開始」32には、そのKフレームの開始を表す情報がセットされる。「フレーム番号」33には、そのフレームを識別するためのフレーム番号(この場合、「K」)がセットされる。「画像データ」34には、第1ライン目の分割画像データがセットされる。「ライン番号」35には、ライン番号(この場合、「1」)がセットされる。
【0035】
第2ライン目〜第(E−1)ライン目のデータのフォーマットは、「フレーム番号」33、「画像データ」34、「ライン番号」35から構成される。「フレーム番号」33には、フレームを識別するためのフレーム番号(この場合、「K」)がセットされる。「画像データ」34には、最終ラインの1つ前までのラインの分割画像データがセットされる。「ライン番号」35には、ライン番号(2〜E−1)がセットされる。
【0036】
最終ラインのデータのフォーマットは、「フレーム番号」33、「画像データ」34、「ライン番号」35、「フレーム終了」36から構成される。「フレーム番号」33には、フレームを識別するためのフレーム番号(この場合、「K」)がセットされる。「画像データ」34には、最終ラインの分割画像データがセットされる。「ライン番号」35には、ライン番号(この場合、「E」)がセットされる。「フレーム終了」36には、Kフレームの終了を示す情報がセットされる。
【0037】
図5は、本実施形態(実施例1)における操作部3またはプロセッサ5内の画像分割・送信に関する処理を行う分割画像データ生成送信装置8のハードウェア構成を示す。分割画像データ生成送信装置8は、映像処理部41、メモリ42、データ処理部43、ROM44、DIPスイッチ45、送信部11(11−1,・・・,11−n)から構成される。
【0038】
ROM44には、携帯型内視鏡2の製造番号等のシリアルNo.が格納されている。DIPスイッチ45により、送信先として使用する携帯端末の数を予め設定することができる。
【0039】
映像処理部41は、CCD4bから送られた電気信号に対して、所定の画像処理を施し映像信号に加工するとともに、8ビットのデータバスを介して、1フレームの画像データを1ラインずつメモリ42に出力する。
【0040】
映像処理部41は、さらに、所定周波数のクロック信号CLK、水平同期信号(HSYNC)、垂直同期信号(VSYNC)を生成する。HSYNC及びVSYNCはCLKとともにメモリ42に供給される。
【0041】
メモリ42は、CLK、HSYNC及びVSYNCに基づいて、映像処理部41から出力された画像データを保持する。メモリ42は、1ライン分の画像データ(分割画像データ)が貯まると、その旨をデータ処理部43へ通知する。データ処理部43は、その通知を受けて、その1ライン分の画像データをメモリ42から読み出す。すると、メモリ42からデータ処理部43へ1ライン分の画像データが転送される。
【0042】
データ処理部43は、その転送された1ライン分の分割画像データに対して、図4で示したように、送信及び画像の復元に必要なヘッダ情報(「内視鏡のシリアルNo.」31、「フレーム開始」32、「フレーム番号」33)及びフッダ情報(「ライン番号」35、「フレーム終了」36)を付加する。
【0043】
具体的には、データ処理部43は、メモリ42から分割画像データが転送された回数を計測するカウンタ機能を有しており、このカウンタにより計測された値を「ライン番号」35としてその分割画像データに付加する。また、データ処理部43は、ROM44から読み出したシリアルNo.を「内視鏡のシリアルNo.」31としてその分割画像データに付加する。また、データ処理部43は、「フレーム開始」32、「フレーム番号」33、「フレーム終了」36をその画像データに付加する。
【0044】
データ処理部43は、各送信部11(11−1,・・・,11−n)へ順次、分割画像データを送る。このとき、データ処理部43は、DIPスイッチ45で指定された数に応じて、送信部11へ送信する。すなわち、DIPスイッチ45で指定された数が送信部11の数より少なければ、データ処理部43は、その差に相当する送信部11へはデータを送らない。
【0045】
送信部11は、データ処理部43から送られた分割画像データを変調し、逐次、対応する携帯端末6へ送信する。
なお、本実施例では、図5の分割画像データ生成送信装置8を操作部3またはプロセッサ5に内蔵したものについて説明したが、これに限定されない。例えば、分割画像データ生成送信装置8を操作部3またはプロセッサ5とは別体にした独立した装置に組み込み、その装置を操作部3またはプロセッサ5に着脱可能なようにしてもよい。これにより、既存の操作部及びプロセッサに対しても本実施形態を適用することができる。
【0046】
図6は、本実施形態における携帯端末6のデータの復元に関する部分のハードウェア構成を示す。各携帯端末6は、受信部21、メモリ22、制御部23、通信インターフェース(I/F)24から構成されている。なお、仕様によっては、メモリ22はなくてもよい。
【0047】
以下では、複数の携帯端末のうちいずれか1つをマスター端末とし、その他をスレーブ端末とする。マスター端末とする携帯端末においては、携帯端末6の設定メニューで「マスター端末」とする設定を行う。また、スレーブ端末とする携帯端末においては、携帯端末6の設定メニューで「スレーブ端末」とする設定を行う。
【0048】
マスター端末と、各スレーブ端末との間では、通信I/F24により有線または無線で通信が確立している。マスター端末は、スレーブ端末を識別するためのアドレスを各スレーブ端末に割り当てる。データの送受信に関しては、マスター端末がすべて管理している。各スレーブ端末は、マスター端末からの指示に従い、データを送信する。
【0049】
図6において、送信部11から送信された1ラインずつの画像データは、各携帯端末6の受信部21で受信される。受信部21で受信されたその画像データは、メモリ22に一時的に記憶され、制御部23へ送られる。
【0050】
マスター端末は、スレーブ端末を識別するためのアドレスを各スレーブ端末に割り当てる。分割画像データの送受信に関しては、マスター端末がすべて管理している。各スレーブ端末は、マスター端末からの指示に従い、分割画像データをマスター端末へ送信する。
【0051】
図6において、マスター端末6−nの制御部24−nは、各スレーブ端末6−1〜6−(n−1)に対し、通信I/F24を介して、データ送信要求を行う。このデータ送信要求に基づいて、各スレーブ端末6−1〜6−(n−1)の制御部23−1〜23−(n−1)は、それぞれの通信I/F24を介して、マスター端末6−nに分割画像データを送信する。
【0052】
マスター端末6−nの制御部23−nは、自身の受信部21で受信した分割画像データ及び各スレーブ端末から受信した分割画像データのヘッダ情報またはフッダ情報を参照し、「内視鏡のシリアルNo.」31、「フレーム開始」32、「フレーム番号」33、「ライン番号」35、「フレーム終了」36に基づいて、「画像データ」34を合成してフレーム画像を復元する。復元されたフレーム画像は、マスター端末6−nの表示部で再生される。
【0053】
なお、1サイクル目に各スレーブ端末から送信された分割画像データのヘッダ情報、フッダ情報より、どのスレーブ端末が第何番目のラインの画像データを保持しているかというのが分かる。そこで、マスター端末の制御部24−nは、各スレーブ端末から送信された分割画像データの「ライン番号」35に対応させて、上記で割り当てたスレーブ端末のアドレスを並べたリストを作成し、そのリストに基づいて、各スレーブ端末に順次データ送信要求を送るようにしてもよい。これにより、2サイクル目以降、スレーブ端末からは、ライン番号順に画像データが送られてくるので、マスター端末側では、受信した順に画像を復元すればよく、画像の復元に要する時間を短縮することができる。
【0054】
なお、各送信部11−1,11−2,・・・,11−nは、分割画像データを受信する携帯端末間で混信しないように、すなわち、対応する受信部21−1,21−2,・・・,21−nへ送信するように、赤外線の指向性を調整する必要がある。また、携帯端末の台数が少なく、送信するデータに対して転送レートが不足している場合、必要に応じて、例えばデータ処理部43により圧縮処理を行って送信するようにしてもよい。
【0055】
本実施例によれば、携帯端末に無線で映像信号等の大容量の画像データを送信する場合、分割してデータ容量を小さくし、その容量を小さくしたデータを別個の通信線でほぼ同時に、順次送るので、全体として高転送レートでデータを送ることができる。
【0056】
また、複数の携帯端末に映像信号を分割して送信するために、送信途中でいずれかの通信線のデータが傍受されても、一部のデータした得ることができず、1つのフレーム画像を復元することができない。よって、従来の1台の通信機器を使用する場合と比べ、セキュリティの面においても保護が強化される。
【0057】
(実施例2)
実施例2では、各携帯端末6で受信した1ラインずつの画像データをマスター端末へ転送して、そのマスター端末上で再生する内視鏡システムについて説明した。それに対して、本実施例では、各携帯端末6で受信した1ラインずつの画像データを、各携帯端末が病院のサーバに無線で送信し、病院のサーバ上で画像を復元して再生する内視鏡システムについて説明する。なお、本実施例では、実施例1で説明した構成については同一の符号を付与し、その説明を省略する。
【0058】
図7は、本実施形態(実施例2)における内視鏡システム1の全体構成を示す。各携帯端末6は、実施例1で説明したように、対応する送信部11から1ラインずつの分割画像データを受信する。その後、各携帯端末6は、無線LANによりアクセスポイント54へその分割画像データを送信する。そのアクセスポイント54へ送信された分分割画像データは、インターネット55等のネットワークを介して、病院サーバ51へ送信される。
【0059】
病院サーバ51は、それらの分割画像データを受信する。すると、画像合成部52は、その分割画像データを合成して、フレーム画像を復元する。復元されたフレーム画像は、モニタ53で再生される。
【0060】
図8は、本実施形態(実施例2)における病院サーバ51による受信データの管理を説明するための図である。画像合成部52は、「フレーム番号」33に基づいてデータを管理する。画像合成部52は、実施例1と同様に、「フレーム番号」33のフレーム番号毎に、携帯端末6から送信された分割画像データを合成し、フレーム画像を復元する(S1,S2)。これにより、複数のフレーム画像が撮影された順に時系列で生成される(S3)。
【0061】
それから、画像合成部52は、例えば、画像再生のフレームレートが30[f/s]の場合、フォルダF1に第1〜第30枚目のフレーム画像を格納し、フォルダF2に第31〜第60枚目のフレーム画像を格納し、・・・、フォルダFmに第30×(m−1)+1〜30m枚目のフレーム画像を格納する(S4)。これにより、各フォルダに1秒間で再生されるフレーム画像を格納することができる。なお、これらのフォルダは、大容量記憶装置56に格納されている。
【0062】
本実施例によれば、携帯型内視鏡による在宅診療の場合でも、病院でその内視鏡画像を再生することができる。よって、病院でリアルタイムにセカンドオピニオンを得ることができ、より正確な診断を行うことができる。
【0063】
なお、上記では、携帯端末6から無線LANを経由して病院サーバ51へ分割画像データを送信したが、例えば、携帯端末が電子メール送受信機能を有する携帯電話の場合、その機能を用いて分割画像データを送信するようにしてもよい。すなわち、電子メールその携帯電話の公衆のネットワークを経由して分割画像データを電子メールとして病院サーバ51へ送信するようにしてもよい。
【0064】
また、本実施例では、無線LAN及びインターネットを介して携帯端末から病院サーバ間へ分割画像データを送信したが、通信形態はこれに限定されず、携帯端末から病院サーバ間へデータ送信できるのであればどのような通信形態でもよい。
【0065】
(実施例3)
本実施例では携帯型内視鏡としてカプセル内視鏡を用いた内視鏡システムについて説明する。なお、本実施例では、実施例1で説明した構成については同一の符号を付与し、その説明を省略する。
【0066】
図9は、本実施形態(実施例3)における内視鏡システム1の全体構成を示す。図9(A)は、図1(A)の携帯型内視鏡2をカプセル内視鏡61に置き換えたものである。図9(B)は、図7(B)の携帯型内視鏡2をカプセル内視鏡61に置き換えたものである。中継器62は、実施例1で説明した操作部3またはプロセッサ5と同様に、フレーム画像データを1ラインずつ分割し、各携帯端末へ送信する機能を有する。
【0067】
カプセル内視鏡61から出力された映像信号は、人体を媒体として中継器62に送られる。中継器62は、必ず人体に接触している必要がある。中継器62は、その映像信号に基づくフレーム画像データを1ラインずつ分割し、その分割画像データを各携帯端末6へ送信する。これ以降は、実施例1,2と同様である。
【0068】
本実施例によれば、中継器62から携帯端末6へリアルタイムでカプセル内視鏡61で取得した映像信号を無線で送信することができる。
<第2の実施形態>
本実施形態では、車載の中継器を介して、携帯型内視鏡で取得された映像を病院サーバへ送信する内視鏡システムについて説明する。
【0069】
図10は、本実施形態における内視鏡システム70の全体構成を示す。携帯型内視鏡2は、バッテリーで駆動する。携帯型内視鏡2の観察用照明は、バッテリー式光源か携帯型内視鏡2にLED(Light Emitting Diode)を組み込んだものである。
【0070】
携帯型内視鏡2で撮影された画像データは、室外の自動車71に搭載したプロセッサ73に無線で送信される。プロセッサ73は、受信用アンテナ76を介してその画像データを受信し、記録装置72に記録する。
【0071】
なお、自動車71に送信装置74及び送信用アンテナ75を搭載してもよい。この場合、プロセッサ73は、送信装置74及び送信用アンテナ75を介して、その画像データを病院内の受信装置76に無線で送信することができる。病院内の受信装置76で受信された画像データは、表示装置77に表示させることができる。これにより、病院内で、在宅患者の内視鏡画像をリアルタイムで観察することができる。
【0072】
また、図10(B)に示すように、バイク81にプロセッサ82及び送受信用アンテナ83を搭載してもよい。この場合、プロセッサ82は、送受信用アンテナ83を介して、その画像データを携帯型内視鏡2から受信し、病院内の受信装置76に無線で送信することができる。病院内の受信装置76で受信された画像データは、表示装置77に表示させることができる。これにより、病院内で、在宅患者の内視鏡画像をリアルタイムで観察することができる。
【0073】
また、図10(C)に示すように、自動車71にプロセッサ73、送信装置74、送信用アンテナ75の他に、光源装置85を搭載してもよい。この場合、室内の携帯型内視鏡2とケーブル86で接続することができる。
【0074】
ケーブル86には、画像信号伝送用ケーブルと照明用ライトガイドケーブルが含まれている。なお、画像信号伝送用ケーブルと照明用ライトガイドケーブルは別体であってもよい。
【0075】
また、光源装置85の代わりにLED駆動装置を搭載してもよい。この場合、照明用ライトガイドケーブルの代わりに、携帯型内視鏡2に組み込んだ照明用LEDを自動車71内に搭載したLED駆動装置とケーブル86で接続してもよい。
【0076】
<第3の実施形態>
内視鏡で観察した画像を記録する方法としては、内視鏡を接続したビデオプロセッサに画像記録装置を接続して、リアルタイムで録画する方法が一般的である。しかし、内視鏡とビデオプロセッサ間が無線でつながっているワイヤレス内視鏡では、無線通信が不安定な場合は、乱れた画像がそのまま録画されてしまうという問題があった。
【0077】
また、携帯型内視鏡において、内視鏡内の記録装置に記録した静止画、動画などの画像を外部に転送する方法としては、画像を記録したメモリーカードを取り出すか、USBケーブル等を経由してパーソナルコンピュータ等の外部機器にデータを転送する方法がある。しかしながら、データ転送に手間がかかっていた。
【0078】
そこで、本実施形態では、乱れのない内視鏡画像を簡単に伝送することについて説明する。
図11は、本実施形態における内視鏡システム1の全体構成を示す。本実施形態では、携帯型内視鏡2内の記録装置に一旦記録した静止画、動画、及び各種データをワイヤレスで外部機器に伝送する。ワイヤレス伝送の手段は、赤外線、可視光、WLAN,Bluetooth等の通信手段が考えられるがこれに限定されない。
【0079】
図11(A)に示すように、携帯型内視鏡2は、その内視鏡検査中の画像(動画、静止画)を表示する表示装置91と記憶装置とを兼用している。
図11(B)に示すように、内視鏡検査後、伝送先であるPC(パーソナルコンピュータ)93や内視鏡画像専用記録装置92に、携帯型内視鏡2を近づけて、安定した無線通信環境を構築し、携帯型内視鏡2に記録した画像データを無線通信にて一括伝送する。
【0080】
本実施形態によれば、内視鏡検査中に一旦内視鏡内に蓄積した乱れのない画像を、内視鏡検査後にまとめて外部機器へ簡単に転送できる。
なお、場合によっては、安定した無線通信環境を構築することができないことも起こりうる。そこで、以下のように、無線通信が不安定な場合に操作者がそのことを察知できるようにしてもよい。
【0081】
図12は、本実施形態の変形例における内視鏡システム1の全体構成を示す。図12(A)に示すように、無線通信が正常な場合、携帯型内視鏡2から受信装置95へ画像データは正しく送られ、その画像はモニタ96に正常に表示される。
【0082】
しかし、図12(B)に示すように、携帯型内視鏡2と受信装置95との間に障害物97がある場合、通信不良のため、受信装置95は画像データを正常に取得することができず、モニタ96に表示される画像が乱れてしまう。そこで、通信状態が不良であることを告知する表示をモニタ96の表示領域のいずれかに表示させる。これにより、操作者は、無線通信が不安定な場合にそのことを察知することができる。
【0083】
<第4の実施形態>
従来、ビデオ内視鏡装置は、スコープ以外にプロセッサ、モニタなどの多くの大型機器が必要であり、在宅内視鏡などの持ち運びが必要な携帯型内視鏡の用途には向かなかった。また、携帯用としてバッテリー光源を搭載したファイバースコープが存在するが、接眼レンズをのぞく必要があること及び検査画像の記録ができないという欠点があった。そこで、これらの欠点を解消した内視鏡を説明する。
【0084】
図13は、本実施形態における内視鏡を示す。図13は、内視鏡挿入部の先端側に対物レンズ101を有し、結像した画像をイメージバンドルにて手元側に伝送する内視鏡(ファイバースコープ)100である。図13において、カメラ付き携帯電話102の対物レンズ103と、イメージバンドル手元端の光学中心を合わせ、かつ結像した画像がカメラ付き携帯電話102の被写界深度に入るようなアダプター104を設けた。
【0085】
これにより、ファイバースコープ100とアダプター104と市販のカメラ付き携帯電話102があれば、内視鏡画像をビデオ化できるため、持ち運びを容易にしつつ、画像を携帯電話102に保存することもできる。
【0086】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を取ることができる。
【符号の説明】
【0087】
1 内視鏡システム
2 携帯型内視鏡
3 操作部
4 挿入部
4a 観察光学レンズ
4b CCD
5 プロセッサ
6(6−1,6−2,・・・,6−n) 携帯端末
8 分割画像データ生成送信装置
11(11−1,11−2,・・・,11−n) 送信部
21(21−1,21−2,・・・,21−n) 受信部
22(22−1,22−2,・・・,22−n) メモリ
23(23−1,23−2,・・・,23−n) 制御部
24(24−1,24−2,・・・,24−n) 通信I/F
41 映像処理部
42 メモリ
43 データ処理部
44 ROM
45 DIPスイッチ
51 病院サーバ
52 画像合成部
53 モニタ
54 アクセスポイント
55 インターネット
56 大容量記憶装置
61 カプセル内視鏡
62 中継器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡により撮像された画像データを分割する分割手段と、
前記分割した画像データである分割画像データのそれぞれを分配する分配手段と、
前記分配された分割データを無線で送信する複数の送信手段と、
を備える分割画像データ生成送信装置と、
前記各送信手段に対応し、該送信手段により送信された前記分割画像データを受信する複数の携帯端末であって、当該携帯端末以外の携帯端末または外部の装置へ該分割画像データを転送する該複数の携帯端末と、
を備えることを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
該各携帯端末は、前記分割画像データを受信した場合、該複数の携帯端末のうちマスター端末として予め設定されたいずれかの携帯端末に該分割画像データを送信し、該送信されたマスター端末としての携帯端末は該分割画像データを合成して画像を復元する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
該各携帯端末は前記分割画像データを受信してさらに前記外部装置に送信し、
前記外部装置は、前記送信された分割画像データを合成して画像を復元する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記分割画像データ生成送信装置は、前記内視鏡に内蔵、または着脱可能である
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記内視鏡システムは、さらに、
前記内視鏡に接続可能で、該内視鏡で撮像された画像についての画像処理を行うプロセッサを備え、
前記分割画像データ生成送信装置は、前記プロセッサに内蔵、または着脱可能である
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
内視鏡により撮像された画像データを分割する分割手段と、
前記分割した画像データである分割画像データのそれぞれを分配する分配手段と、
前記分配された分割データを無線で送信する複数の送信手段と、
を備えることを特徴とする分割画像データ生成送信装置。
【請求項7】
前記分割画像データ生成送信装置は、前記内視鏡に内蔵、または着脱可能である
ことを特徴とする請求項6に記載の分割画像データ生成送信装置。
【請求項8】
前記内視鏡に接続可能で、該内視鏡で撮像された画像についての画像処理を行うプロセッサがある場合、前記分割画像データ生成送信装置は、前記プロセッサに内蔵、または着脱可能である
ことを特徴とする請求項6に記載の分割画像データ生成送信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−187729(P2010−187729A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32345(P2009−32345)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】