説明

内視鏡装置及びその光源制御方法

【課題】蛍光体の材料選択の自由度を損なうことなく、撮影画像の色むらを低減することのできる内視鏡装置を提供する。
【解決手段】内視鏡11の先端部33に供給する光を出射する光源LD2と、光源LD2から出射される光を内視鏡11の先端部33に導く光ファイバ55と、光ファイバ55の光出射端に設けられた蛍光体59と、光源LD2をパルス駆動する光源制御部49と、記蛍光体59から発せられた蛍光を検出する光センサ72とを備え、光源制御部49は、光センサ72によって検出された蛍光の強度に基づいて、光源LD2に供給するパルスの振幅を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置及びその光源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
照明光を照射して体腔内の内視鏡像を得る内視鏡装置として、励起光を出射する光源と、内視鏡先端部に配置され、光源からの励起光を波長変換する蛍光体とを組み合わせて白色光を照射可能としたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の内視鏡装置は、蛍光体を青色光で励起し、この青色光の一部を緑色〜赤色の光に変換し、この緑色〜赤色の光と、蛍光体を透過した青色光とを併せることで、白色光を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−297313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、励起光と蛍光体によって白色光を生成する内視鏡装置では、時間の経過とともに蛍光体が熱を蓄積して蛍光体の温度が上昇していく。このため、この温度上昇により、蛍光体の発光特性が変化し、撮影画像に色むらが生じる。温度による発光特性の変化が少ない蛍光体を用いれば、このむらを抑えることは可能である。しかし、このような蛍光体を用いることは、材料選択の自由度を大きく損なうことにつながる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、蛍光体の材料選択の自由度を損なうことなく、撮影画像の色むらを低減することのできる内視鏡装置とその光源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内視鏡装置は、内視鏡の先端部に供給する光を出射する光源と、前記光源から出射される光を前記内視鏡の先端部に導く導光部材と、前記導光部材の光出射端に設けられた蛍光体と、前記光源をパルス駆動する光源制御部と、前記蛍光体から発せられた蛍光を検出する光検出部とを備え、前記光源制御部は、前記光検出部によって検出された前記蛍光の強度に基づいて、前記光源に供給するパルスを制御して前記蛍光から発する蛍光光量を制御するものである。
【0007】
本発明の内視鏡装置の光源制御方法は、内視鏡の先端部に供給する光を出射する光源と、前記光源から出射される光を前記内視鏡の先端部に導く導光部材と、前記導光部材の光出射側に設けられた蛍光体とを有する内視鏡装置の光源制御方法であって、前記光源をパルス駆動する光源制御ステップと、前記蛍光体から発せられた蛍光を検出する光検出ステップとを備え、前記光源制御ステップでは、前記光検出ステップにて検出した前記蛍光の強度に基づいて、前記光源に供給するパルスを制御して前記蛍光から発する蛍光光量を制御するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蛍光体の材料選択の自由度を損なうことなく、撮影画像の色むらを低減することのできる内視鏡装置とその光源制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を説明するための内視鏡装置100の外観図
【図2】図1に示される内視鏡装置100の内部構成を示す図
【図3】通常観察時における光源制御部49から光源LD2に供給されるパルス波形を示す図
【図4】内視鏡先端部33の観察窓35付近の拡大図
【図5】蛍光体からの発光量を変更する(増やす)ための光源制御の一例を示す図
【図6】蛍光体からの発光量を変更する(蓄熱をリセットして発光量を増やす)ための光源制御の一例を示す図
【図7】内視鏡装置100の動作の変形例を説明するためのフローチャート
【図8】図2に示す内視鏡装置の変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態を説明するための内視鏡装置100の外観図である。
【0012】
内視鏡装置100は、内視鏡11と、制御装置13と、液晶表示装置等の表示部15と、制御装置13に情報を入力するキーボードやマウス等の入力部17とを備える。
【0013】
制御装置13は、光源装置45と、内視鏡11から出力される撮像画像信号の信号処理等を行うプロセッサ47とを備える。
【0014】
内視鏡11は、被検体内に挿入される内視鏡挿入部19と、内視鏡挿入部19の先端の湾曲操作や観察のための操作を行う操作部23と、内視鏡11を制御装置13に着脱自在に接続するコネクタ部25,27とを備える。
【0015】
内視鏡挿入部19は、可撓性を持つ軟性部29と、湾曲部31と、先端部(以降、内視鏡先端部とも呼称する)33とから構成される。
【0016】
なお、図示はしないが、操作部23及び内視鏡挿入部19の内部には、組織採取用処置具等を挿入する鉗子チャンネルや、送気・送水用のチャンネル等、各種のチャンネルが設けられる。
【0017】
図2は、図1に示される内視鏡装置100の内部構成を示す図である。
【0018】
内視鏡先端部33は、被観察領域へ光を照射するための照明窓35,37と、照明窓35,37の各々に対向配置される蛍光体59と、被観察領域からの反射光を受光するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子21と、撮像素子21の受光面に被観察領域からの反射光を受光させるための観察窓40と、観察窓40と撮像素子21との間に設けられる対物レンズユニット39とを備える。
【0019】
湾曲部31は、軟性部29と先端部33との間に設けられ、操作部23に配置されたアングルノブ43(図1参照)の回動操作により湾曲自在にされている。
【0020】
この湾曲部31は、内視鏡11が使用される被検体の部位等に応じて、任意の方向、任意の角度に湾曲でき、内視鏡先端部33の照明窓35,37及び観察窓40を、所望の観察部位に向けることができる。
【0021】
制御装置13は、内視鏡先端部33の照明窓35,37に供給する照明光を発生する光源装置45と、撮像素子21から出力される赤(R)、緑(G)、青(B)の撮像画像信号を信号処理するプロセッサ47とを備える。光源装置45とプロセッサ47は、コネクタ部25,27を介して内視鏡11と接続される。
【0022】
プロセッサ47には、前述の表示部15と入力部17が接続されている。プロセッサ47は、内視鏡11の操作部23や入力部17からの指示にしたがい、内視鏡11から伝送されてくる撮像画像信号を信号処理し、表示用画像データを生成して当該表示用画像データに基づく内視鏡観察画像を表示部15に表示したり、記憶用画像データを生成して記憶部71に記憶したりする。
【0023】
光源装置45は、光源制御部49と、中心波長405nmの紫色レーザ光源LD1と、中心波長445nmの青色レーザ光源LD2と、合波器51と、分波器53とを備える。
【0024】
光源LD1は、狭帯域光観察のための光源である。光源LD2は、通常観察(白色光観察)のための光源である。各光源LD1,LD2から出射されるレーザ光は、光源制御部49により個別に制御される。
【0025】
各光源LD1,LD2は、LD(レーザダイオード)又はLED(発光ダイオード)等の半導体光源で構成される。
【0026】
レーザダイオードとしては、ブロードエリア型のInGaN系レーザダイオード等を利用することができ、また、InGaNAs系レーザダイオードやGaNAs系レーザダイオード等を利用することができる。
【0027】
蛍光体59は、光源LD2から供給される青色レーザ光を励起光として、主として黄色の蛍光を発するYAG蛍光体等で構成される。蛍光体59としては、以下の表にある赤、青、緑の蛍光物質を組み合わせて構成したものを用いてもよい。表1において、各蛍光物質におけるλmaxは、波長445nmの励起光を照射したときに発する蛍光の発光ピーク波長を示している。
【0028】
【表1】

【0029】
各光源LD1,LD2から出射されるレーザ光は、集光レンズ(図示略)によりそれぞれ光ファイバに入力され、合波器51と、分波器53とを介してコネクタ部25に伝送される。
【0030】
コネクタ部25まで伝送されたレーザ光は、導光部材である光ファイバ55,57によって、それぞれ内視鏡11の先端部33まで伝搬される。光ファイバ55,57を伝搬された青色レーザ光の一部は、内視鏡先端部33の光ファイバ55,57の光出射端に配置された蛍光体59を励起して蛍光(黄色光)を発光させる。
【0031】
また、当該青色レーザ光のうちの蛍光に変化されずに残った光は、そのまま蛍光体59を透過する。これにより、青色レーザ光によって発光された黄色の蛍光と、蛍光体59により吸収されず透過した青色レーザ光とが合わされて、白色の照明光となる。
【0032】
また、光ファイバ55,57を伝搬された紫色レーザ光は、蛍光体59を強く励起させることなく透過して、狭帯域波長の照明光となる。
【0033】
青色レーザ光と蛍光体59からの蛍光とによる白色光、又は、紫色レーザ光による狭帯域光は、内視鏡11の先端部33の照明窓35,37から被検体の被観察領域に向けて照射される。照明光が照射された被観察領域からの反射光は、観察窓40後方に配置された対物レンズユニット39により撮像素子21に入射され、当該反射光に応じた撮像画像信号が撮像素子21から出力される。
【0034】
撮像素子21から出力される撮像画像信号は、スコープケーブル61を通じて内視鏡11内のA/D変換器63に伝送されてここでデジタル信号に変換される。更に、撮像画像信号は、コネクタ部27を介してプロセッサ47の画像処理部65に入力される。そして、画像処理部65は、このデジタル信号を処理して、表示用、記憶用の画像データを生成する。
【0035】
なお、光源制御部49は、通常観察時の照明光(上記白色光)と、光源LD1の狭帯域光とを所定の光量比で同時照射させることも可能である。このようにすることで、粘膜表層の毛細血管や微細模様を、周囲の画像と共により明瞭に表示させることができる。
【0036】
光源制御部49は、パルス駆動によって光源LD1,LD2を制御する。つまり、光源制御部49は、パルス信号を光源LD1,LD2に供給し、パルス信号がハイレベルとなっている期間に光源LD1,LD2からレーザ光を出射させる。
【0037】
図3は、通常観察時における光源制御部49から光源LD2に供給されるパルス波形を示す図である。図3には、各パルス波形によって照射される青色レーザ光に応じて蛍光体59から発光される蛍光の波形(図3中の破線で示す波形)についても併せて示している。
【0038】
図3に示すように、通常観察時には、光源制御部49から光源LD2に矩形の駆動パルスが所定間隔で供給される。駆動パルスの供給開始からしばらくの間は、駆動パルスの強度と、蛍光の発光ピーク強度とが一致する。しかし、時間の経過と共に、蛍光の発光ピーク強度は低下していく。これは、時間の経過と共に、蛍光体59が熱を蓄積していき、この熱によって蛍光体59の発光効率が低下していくためである。このように、時間の経過とともに蛍光の発光ピーク強度が低下すると、観察窓35,37から被検体に照射される白色光の光量(図3において矩形パルスと破線の蛍光波形とが重なる部分の面積に相当)が時間と共に変化することになり、撮影画像の色味が変動してしまう。
【0039】
そこで、内視鏡装置100では、この色味変動を低減するための制御を制御部69が行う。
【0040】
蛍光体59の温度と発光効率とには相関関係がある。そのため、蛍光体59の温度を検出することができれば、蛍光体59の発光効率も分かり、蛍光体59の発光効率に応じて蛍光の発光量が一定になるように光源LD2を駆動することで色味変動を低減することができる。しかし、内視鏡先端部33には撮像素子21が配置され、この撮像素子21自体も熱を持つ。更に、内視鏡先端部33には被検体からの熱も伝わる。このため、内視鏡先端部33に配置された蛍光体59の温度だけを精度良く検出することは難しい。
【0041】
そこで、本実施形態では、内視鏡先端部33に、蛍光体59から発せられる蛍光を検出する光検出部を設けている。そして、この光検出部で検出される蛍光の強度を用いて蛍光体59の発光効率を推定するようにしている。
【0042】
図4は、内視鏡先端部33の観察窓35付近の拡大図である。内視鏡挿入部19には、光ファイバ55を収納するための筒状部材60が設けられる。筒状部材60には先端部33側の端部に開口が形成されており、この開口にガラス等が嵌め込まれることで観察窓35が形成される。観察窓35と光ファイバ55との間には蛍光体59が配置される。この蛍光体59に光ファイバ55の端部が接している。
【0043】
蛍光体59と観察窓35との間の空間には、光検出部が配置される。この光検出部は、フォトダイオード等の光センサ72と、光センサ72の前面(光センサ72と蛍光体59との間)に配置されたフィルタ70とを備える。
【0044】
フィルタ70は、光センサ72に入射する光の波長を制限するものである。具体的に、フィルタ70は、蛍光体59の発光ピーク波長付近(例えば発光ピーク波長の前後10nm程度の範囲)の光を透過し、それ以外の波長の光をカットするバンドパスフィルタが用いられる。このフィルタ70が設けられることにより、光センサ72は、蛍光体59から発せられる蛍光のみを検出することができる。
【0045】
内視鏡先端部33に配置される光センサ72は、配線によってプロセッサ47内の制御部69と接続される。そして、光センサ72で検出された蛍光の強度の情報は、制御部69に伝達される。
【0046】
プロセッサ47に内蔵される記憶部71には、光源LD2に供給される駆動パルスの強度L1に対する光センサ72によって検出される蛍光の強度L2の比(L2/L1)と、蛍光体59の発光効率(青色レーザ光量に対する蛍光光量の比)とを対応付けた(蛍光強度比−発光効率)テーブルが記憶されている。
【0047】
(蛍光強度比−発光効率)テーブルのデータは次のようにして作成される。
【0048】
即ち、蛍光体59と、蛍光体59の温度を検出する温度センサと、蛍光体59から発する蛍光を検出する上述した光検出部とを収納した筒状部材60のサンプルを用意し、このサンプルの蛍光体59に、光源LD2から出射させる青色レーザ光を照射することで得られるデータをもとに、上記テーブルのデータを作成する。
【0049】
このサンプルにおいて、青色レーザ光の蛍光体59への照射を開始してから所定時間が経過した時点で、光検出部によって蛍光の強度L2を取得し、温度センサによって蛍光体59の温度を取得する。そして、青色レーザ光の強度L1に対する蛍光の強度L2の比(L2/L1)を算出し、温度センサから検出された温度により蛍光体59の発光効率を算出する。蛍光体59の発光効率と温度との関係は、蛍光体59の組成によって決まる既知のデータである。このような(L2/L1)及び発光効率の算出を、所定時間おきに行うことで、(蛍光強度比−発光効率)テーブルのデータを生成することができる。
【0050】
通常観察開始時には、光源LD2から出射される青色レーザ光の発光量が100で、蛍光体59から発する蛍光光量が100*0.7=70(発光効率70%)であるとする。通常観察開始からしばらく時間が経過し、(蛍光強度比−発光効率)テーブルから求まる蛍光体59の発光効率が50%に低下したとする。この場合は、青色レーザ光の発光量が100から100*(7/5)=140となるように制御部69が光源制御部49に指示を出す。つまり、制御部69は、光センサ72によって検出される蛍光強度と、これに基づいて求めた発光効率と、通常観察時に決められている蛍光光量の目標値とに基づいて、青色レーザ光の発光量を決定し、この発光量となるように、駆動パルスの振幅を変更するよう光源制御部49に指示を出す。
【0051】
光源制御部49は、この指示にしたがって、図5に示すように駆動パルスの振幅を上げて、発光量を100から140に変更する。蛍光体59の発光効率は蓄熱により50%になっているため、青色レーザ光の発光量が140になると、蛍光体59から発せられる蛍光光量は140*0.5=70となる。この結果、蛍光体59から発せられる蛍光光量が通常観察開始時と同じになる。したがって、観察窓35,37から被検体に照射される白色光の光量は一定となり、撮影画像における色味変動が抑制される。
【0052】
以上のように、内視鏡装置100は、蛍光体59から発せられる蛍光の強度と、(蛍光強度比−発光効率)テーブルとを用いて、蛍光体59の発光効率を算出(推定)し、この発光効率にしたがって、蛍光体59から発せられる蛍光光量が目標値となるように、駆動パルスの振幅を上げて、青色レーザ光の光量を制御する。この制御により、撮影期間中、観察窓35,37から出射される白色光の光量が一定となり、撮影画像における色むらが低減される。
【0053】
なお、内視鏡装置100では、青色レーザ光の強度を上げて白色光の光量が一定となるようにしている。このため、青色レーザ光の強度を上げた分、撮影画像が青味を帯びる可能性がある。そこで、画像処理部65において、撮影画像信号のうちの青色信号に乗じるゲインを、青色レーザ光の強度に合わせて変更する(青色レーザ光強度を上げたときは、青色信号のゲインを下げる)ことで、撮影画像が青味を帯びるのを防ぐことができる。
【0054】
また、青色レーザ光の強度をあまり上げすぎると、上述したゲイン調整だけでは撮影画像の調整が難しくなる。そのため、青色レーザ光の強度の上限値は、ゲインで撮影画像の調整ができる程度の値に設定しておくことが好ましい。
【0055】
青色レーザ光の強度が上限値に達してしまった後は、例えば図6に示すように、制御部69が、光源LD2への駆動パルスの供給を停止する期間を作ることで、蛍光体59の発熱を抑制して色味変動を抑えることができる。この駆動パルスを停止させる期間は、撮影フレーム間の撮影を行っていない期間等に設ければよい。又は、蛍光体59の熱をより効果的に抑制するために、奇数フレームについては撮影を行わないようにし、この奇数フレームにおいて駆動パルスを停止させるようにしてもよい。
【0056】
図7は、図5の駆動と図6の駆動を組み合わせた実施形態における図2の内視鏡装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0057】
撮影開始されると、制御部69は、光センサ72から蛍光の強度の情報を取得し、蛍光強度が閾値Th1を下回るか否かを判定する(ステップS1)。閾値Th1は、通常観察開始時における蛍光光量の目標値よりも小さい値である。
【0058】
ステップS1の判定がYESの場合、制御部69は、光源LD2に供給されている駆動パルスの振幅が上限値に達しているか否かを判定する(ステップS2)。
【0059】
ステップS2の判定がNOの場合、制御部69は、光センサ72から取得した蛍光の強度の情報と、(蛍光強度比−発光効率)テーブルとから、蛍光体59の発光効率を求める(ステップS3)。
【0060】
ステップS3の後、制御部69は、光センサ72によって検出された蛍光強度と、ステップS3で求めた発光効率と、通常観察時に決められている蛍光光量の目標値とに基づいて、青色レーザ光の発光量を決定し、この発光量となるように、駆動パルスの振幅を変更するよう光源制御部49に指示を出し、光量制御を行う(ステップS4)。
【0061】
ステップS4の後、制御部69は、撮影終了か否かを判定する(ステップS5)。制御部69は、撮影終了であった場合は処理を終了し、撮影終了でない場合はステップS1に処理を戻す。制御部69は、ステップS1の判定がNOであった場合は、ステップS5の処理を行う。
【0062】
ステップS2の判定がYESだった場合、制御部69は、光源LD2への駆動パルスの供給を停止する期間を設ける制御が開始されているか否かを判定する(ステップS6)。
【0063】
制御部69は、ステップS6の判定がYESであればステップS5の処理を行う。一方、制御部69は、ステップS6の判定がNOであれば、光源LD2への駆動パルスの供給を停止する期間を設ける制御を開始し(ステップS7)、その後、ステップS5の処理を行う。図7において、ステップS2,3,4,5を削除し、ステップS1の判定がYESのときにステップS6、ステップS7を行うようにしてもよい。
【0064】
なお、蛍光体59として、撮影に必要がない短波長(例えば300〜350nm)の光で励起されるものを用い、光源装置45内に、この短波長の光を蛍光体59に照射するための光源を設けてもよい。この場合、撮像素子21の前面には、この光源から出射される短波長光を遮断するフィルタを設けておく。そして、制御部69は、光センサ72の検出情報に基づいて発光効率を求めた後、蛍光体59からの発光量を増やす場合には、この短波長光源から蛍光体59に光を照射させる。このように、青色レーザ光源とは別の光源を用いて蛍光体59の発光量を増やすことも可能である。この場合は、撮影画像信号のゲイン調整を行う必要はない。また、蛍光光量調整用の光源からの光は撮像素子21には入射しないため、この光源のパルス強度の上限値を大きくすることができる。
【0065】
図2に示した内視鏡装置100において、観察窓37付近に配置される蛍光体59と観察窓37との間にも、図4に示したものと同じ光検出部を配置してもよい。この場合は、制御部69が、2つの光検出部で検出された蛍光の強度を平均した値に基づいて、発光効率を求めるようにすればよい。
【0066】
図8は、図2に示す内視鏡装置の変形例を示す図である。図8に示した内視鏡装置200は、内視鏡先端部33には光検出部を搭載せずに、カプラ81と光検出部82を光源装置45に追加した点を除いては、図2と同じ構成である。
【0067】
カプラ81は、分波器53で分波された2つの光の一方のすべてを光ファイバ57に伝送する。また、カプラ81は、蛍光体59から光ファイバ57に戻ってくる光の例えば95%を光検出部82に伝送し、残りの5%を分波器53に伝送する。
【0068】
光検出部82は、図4に示した構成と同じであり、カプラ81から入射された光の一部をカットするフィルタと、このフィルタの後方に配置された光センサとで構成される。光検出部82の検出信号(蛍光の強度の情報)は制御部69に伝達される。
【0069】
図7に示す構成であっても、光検出部82で検出された蛍光の強度情報とテーブルとから発光効率を求め、この発光効率にしたがって、光源LD2に供給する駆動パルスの強度を上げることで、撮影画像の色むらを低減することができる。
【0070】
以上説明したように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0071】
開示された内視鏡装置は、内視鏡の先端部に供給する光を出射する光源と、前記光源から出射される光を前記内視鏡の先端部に導く導光部材と、前記導光部材の光出射端に設けられた蛍光体と、前記光源をパルス駆動する光源制御部と、前記蛍光体から発せられた蛍光を検出する光検出部とを備え、前記光源制御部は、前記光検出部によって検出された前記蛍光の強度に基づいて、前記光源に供給するパルスを制御して前記蛍光から発する蛍光光量を制御するものである。
【0072】
開示された内視鏡装置は、前記光源制御部が、前記光源に供給するパルスの振幅を制御して前記蛍光から発する蛍光光量を制御するものである。
【0073】
開示された内視鏡装置は、前記光源制御部は、前記光源から出射される光の強度に対する前記蛍光体から発せられる蛍光の強度の比と前記蛍光体の発光効率とを対応付けたテーブル、及び、前記光検出部にて検出された蛍光の強度から前記蛍光体の発光効率を求め、当該発光効率にしたがって、前記蛍光の発光光量が一定となるように前記光源に供給するパルスの振幅を制御するものである。
【0074】
開示された内視鏡装置は、前記光源制御部は、前記光源に供給するパルスの振幅が上限値に達した場合に、撮影動作中に前記パルスの供給を停止する期間を設ける制御を開始するものである。
【0075】
開示された内視鏡装置は、前記光検出部は、前記内視鏡の先端部において前記蛍光体よりも被検体側に配置された光センサであり、前記光センサは、前記蛍光体の発光ピーク波長付近の光のみを検出するものである。
【0076】
開示された内視鏡装置は、前記光検出部は、前記蛍光体から前記導光部材に戻ってくる蛍光の強度を検出する制御装置内に設けられた光センサであり、前記光センサは、前記蛍光体の発光ピーク波長付近の光のみを検出するものである。
【0077】
開示された内視鏡装置の光源制御方法は、内視鏡の先端部に供給する光を出射する光源と、前記光源から出射される光を前記内視鏡の先端部に導く導光部材と、前記導光部材の光出射側に設けられた蛍光体とを有する内視鏡装置の光源制御方法であって、前記光源をパルス駆動する光源制御ステップと、前記蛍光体から発せられた蛍光を検出する光検出ステップとを備え、前記光源制御ステップでは、前記光検出ステップにて検出した前記蛍光の強度に基づいて、前記光源に供給するパルスを制御して前記蛍光から発する蛍光光量を制御するものである。
【0078】
開示された内視鏡装置の光源制御方法は、前記光源制御ステップでは、前記光源に供給するパルスの振幅を制御して前記蛍光から発する蛍光光量を制御するものである。
【0079】
開示された内視鏡装置の光源制御方法は、前記光源制御ステップでは、前記光源から出射される光の強度に対する前記蛍光体から発せられる蛍光の強度の比と前記蛍光体の発光効率とを対応付けたテーブル、及び、前記光検出ステップにて検出した蛍光の強度から前記蛍光体の発光効率を求め、当該発光効率にしたがって、前記蛍光の発光光量が一定となるように前記光源に供給するパルスの振幅を制御するものである。
【0080】
開示された内視鏡装置の光源制御方法は、前記光源制御ステップでは、前記光源に供給するパルスの振幅が上限値に達した場合に、撮影動作中に前記パルスの供給を停止する期間を設ける制御を開始するものである。
【符号の説明】
【0081】
11 内視鏡
33 内視鏡先端部
49 光源制御部
55 光ファイバ
59 蛍光体
72 光センサ
LD2 青色レーザ光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の先端部に供給する光を出射する光源と、
前記光源から出射される光を前記内視鏡の先端部に導く導光部材と、
前記導光部材の光出射端に設けられた蛍光体と、
前記光源をパルス駆動する光源制御部と、
前記蛍光体から発せられた蛍光を検出する光検出部とを備え、
前記光源制御部は、前記光検出部によって検出された前記蛍光の強度に基づいて、前記光源に供給するパルスを制御して前記蛍光から発する蛍光光量を制御する内視鏡装置。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡装置であって、
前記光源制御部は、前記光検出部によって検出された前記蛍光の強度に基づいて、前記光源に供給するパルスの振幅を制御して前記蛍光から発する蛍光光量を制御する内視鏡装置。
【請求項3】
請求項2記載の内視鏡装置であって、
前記光源制御部は、前記光源から出射される光の強度に対する前記蛍光体から発せられる蛍光の強度の比と前記蛍光体の発光効率とを対応付けたテーブル、及び、前記光検出部にて検出された蛍光の強度から前記蛍光体の発光効率を求め、当該発光効率にしたがって、前記蛍光の発光光量が一定となるように前記光源に供給するパルスの振幅を制御する内視鏡装置。
【請求項4】
請求項3記載の内視鏡装置であって、
前記光源制御部は、前記光源に供給するパルスの振幅が上限値に達した場合に、撮影動作中に前記パルスの供給を停止する期間を設ける制御を開始する内視鏡装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の内視鏡装置であって、
前記光検出部は、前記内視鏡の先端部において前記蛍光体よりも被検体側に配置された光センサであり、
前記光センサは、前記蛍光体の発光ピーク波長付近の光のみを検出する内視鏡装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項記載の内視鏡装置であって、
前記光検出部は、前記蛍光体から前記導光部材に戻ってくる蛍光の強度を検出する制御装置内に設けられた光センサであり、
前記光センサは、前記蛍光体の発光ピーク波長付近の光のみを検出する内視鏡装置。
【請求項7】
内視鏡の先端部に供給する光を出射する光源と、前記光源から出射される光を前記内視鏡の先端部に導く導光部材と、前記導光部材の光出射側に設けられた蛍光体とを有する内視鏡装置の光源制御方法であって、
前記光源をパルス駆動する光源制御ステップと、
前記蛍光体から発せられた蛍光を検出する光検出ステップとを備え、
前記光源制御ステップでは、前記光検出ステップにて検出した前記蛍光の強度に基づいて、前記光源に供給するパルスを制御して前記蛍光から発する蛍光光量を制御する内視鏡装置の光源制御方法。
【請求項8】
請求項7記載の内視鏡装置の光源制御方法であって、
前記光源制御ステップでは、前記光検出ステップにて検出した前記蛍光の強度に基づいて、前記光源に供給するパルスの振幅を制御して前記蛍光から発する蛍光光量を制御する内視鏡装置の光源制御方法。
【請求項9】
請求項8記載の内視鏡装置の光源制御方法であって、
前記光源制御ステップでは、前記光源から出射される光の強度に対する前記蛍光体から発せられる蛍光の強度の比と前記蛍光体の発光効率とを対応付けたテーブル、及び、前記光検出ステップにて検出した蛍光の強度から前記蛍光体の発光効率を求め、当該発光効率にしたがって、前記蛍光の発光光量が一定となるように前記光源に供給するパルスの振幅を制御する内視鏡装置の光源制御方法。
【請求項10】
請求項8記載の内視鏡装置の光源制御方法であって、
前記光源制御ステップでは、前記光源に供給するパルスの振幅が上限値に達した場合に、撮影動作中に前記パルスの供給を停止する期間を設ける制御を開始する内視鏡装置の光源制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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