内視鏡装置
【課題】挿入補助具に対する挿入部の相対的な挿入量を測定したり、挿入部と挿入補助具を同時に引き寄せた際の引寄量を測定したりして、挿入量の総和を求めることによって、挿入部と挿入補助具を繰り返し挿入する場合であっても挿入部の挿入量を把握することのできる内視鏡装置を提供する。
【解決手段】挿入補助具70の把持部74には、内視鏡10の挿入部12に当接して連れ回りするローラ100が回転自在に支持される。ローラ100は、ギア102を介してセンサ104に連結され、センサ104によってローラ100の回転数が測定される。制御装置106は、ローラ100の回転数を挿入部12の挿入量に換算し、その換算値を積算して挿入量の総和を求める。そして、挿入量の総和を表示部108に表示させる。
【解決手段】挿入補助具70の把持部74には、内視鏡10の挿入部12に当接して連れ回りするローラ100が回転自在に支持される。ローラ100は、ギア102を介してセンサ104に連結され、センサ104によってローラ100の回転数が測定される。制御装置106は、ローラ100の回転数を挿入部12の挿入量に換算し、その換算値を積算して挿入量の総和を求める。そして、挿入量の総和を表示部108に表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡装置に係り、特に内視鏡の挿入部に被せる挿入補助具と挿入部とを交互に挿入することによって、挿入部を小腸や大腸等の深部消化管に挿入し、観察を行う内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の挿入部を小腸などの深部消化管に挿入する場合、単に挿入部を押し入れていくだけでは、腸管の複雑な屈曲のために挿入部の先端に力が伝わりにくく、深部への挿入は困難である。例えば、挿入部に余分な屈曲や撓みが生じると、挿入部をさらに深部に挿入することができなくなる。そこで、内視鏡の挿入部に挿入補助具を被せて体腔内に挿入し、この挿入補助具で挿入部をガイドすることによって、挿入部の余分な屈曲や撓みを防止する方法が提案されている。
【0003】
特許文献1には、内視鏡の挿入部の先端部に第1バルーンを設けるとともに、挿入補助具(オーバーチューブまたはスライディングチューブともいう)の先端部に第2バルーンを設けた内視鏡装置が記載されている。この内視鏡装置によれば、まず、図13(a)に示すように、内視鏡の挿入部1に挿入補助具2を被せた状態で腸管3に挿入し、挿入部1の先端部1aをできるだけ深部まで挿入する。そして、図13(b)に示すように、先端部1aに装着した第1バルーン4を膨張させて腸管3に固定する。次いで図13(c)に示すように、挿入部1を手元に手繰り寄せて挿入部1の余分なたわみを取り除き、挿入部1をできるだけ直線状にする。次に、図13(d)に示すように、挿入補助具2を挿入部1に沿って押し込み、挿入補助具2の先端部2aを挿入部1の先端部1aの近傍に配置させる。そして、図13(e)に示すように、第2バルーン5を膨張させ、挿入補助具2の先端部2aを腸管3に固定する。次に、図13(f)に示すように、第1バルーン4を収縮させた後、挿入部1を再度、できるだけ挿入する。その際、挿入部1は挿入補助具2にガイドされているので、挿入部1をスムーズに挿入することができる。以上の操作を繰り返すことによって、複雑に屈曲した腸管3であっても、挿入部1の先端部1aを深部に挿入することができる。
【特許文献1】特開昭51−11689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、腸管を縮めながら挿入部を挿入するため、挿入部の先端を腸管のどの位置まで挿入したかが分からなくなるという問題があった。したがって、腸管内に病変部を発見しても、どの位置に病変部を発見したかが分からなくなり、再度観察あるいは処置する際に支障をきたすという問題があった。
【0005】
そこで、従来は、挿入部や挿入補助具の挿入回数をカウントし、挿入部の先端位置の目安としていた。しかしながら、小腸や大腸を観察する場合には、上述したように挿入部と挿入補助具を交互に何度も繰り返して挿入しなくてはならず、同じ操作を何度も行うために挿入回数が分からなくなるおそれがあった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、挿入部と挿入補助具を繰り返し挿入する場合であっても、挿入部の挿入量を把握することのできる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、体腔内に挿入される挿入部が手元操作部に連設されるとともに前記挿入部の先端近傍に第1バルーンが装着された内視鏡と、前記挿入部に被せられて該挿入部の体腔内への挿入をガイドするとともにその先端近傍に第2バルーンが装着された挿入補助具と、前記第1バルーン及び前記第2バルーンを膨張、収縮させるバルーン制御装置とを備え、前記挿入部と前記挿入補助具とを交互に挿入する内視鏡装置において、前記挿入補助具に対する前記挿入部の挿入方向のみの移動量を測定する測定装置と、前記測定装置で測定した前記挿入部の挿入方向のみの移動量を積算することによって、前記挿入部の体腔内への挿入量の総和を算出する算出装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、挿入補助具に対する挿入部の挿入方向のみの移動量を測定し、この挿入方向のみの移動量を積算することによって、挿入量の総和を求めることができる。これにより、挿入部の先端を体腔内のどの位置まで挿入したかを把握することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記測定装置は、前記挿入補助具に回転自在に支持されるとともに、前記挿入部の外周面に当接され、該挿入部の挿入によって回転するローラと、該ローラの一方向の回転数を検出する回転数検出センサと、を備え、前記回転数検出センサの検出値に基づいて、前記挿入部の挿入方向のみの移動量を求めることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、挿入部にローラを接触させ、このローラの一方向の回転数を検出することによって、挿入補助具に対する挿入部の挿入方向のみの移動量を測定できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記算出装置で算出した挿入量の総和を表示する表示部が、腸管の全長に対して前記挿入量の総和を除いた腸管の残量を表示する残量メータであることを特徴とする。請求項3の発明によれば、表示部が残量メータなので、挿入量の総和だけでなく腸管の残量を知ることができ、内視鏡を腸管にあとどのくらい挿入できるかを把握することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記算出装置で算出した挿入量の総和を表示する表示部が、前記挿入補助具の基端部に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る内視鏡装置によれば、挿入部の体腔内への挿入量の総和を求めることができるので、挿入部の先端を体腔内のどの位置まで挿入したかを把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本発明に係る内視鏡装置の好ましい実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る内視鏡装置の実施形態を示すシステム構成図である。図1に示すように内視鏡装置は主として、内視鏡10、光源装置20、プロセッサ30、バルーン制御装置66、及び挿入補助具70で構成される。
【0016】
内視鏡10は、体腔内に挿入される挿入部12と、この挿入部12に連設される手元操作部14とを備え、手元操作部14には、ユニバーサルケーブル16が接続される。ユニバーサルケーブル16の先端にはLGコネクタ18が設けられ、このLGコネクタ18が光源装置20に連結される。また、LGコネクタ18にはケーブル22を介して電気コネクタ24が接続され、この電気コネクタ24がプロセッサ30に連結される。なお、LGコネクタ18には、エアや水を供給する送気・送水チューブ26や、エアを吸引する吸引チューブ28が接続される。
【0017】
手元操作部14には、送気・送水ボタン32、吸引ボタン34、シャッターボタン36が並設されるとともに、一対のアングルノブ38、38、及び鉗子挿入部40が設けられる。さらに、手元操作部14の基端部には、後述する第1バルーン42に流体を供給したり、第1バルーン42から流体を吸引したりするための供給・吸引口44が設けられる。以下、流体としてエアを用いた例で説明するが、他の流体、例えば不活性ガスや水を用いてもよい。
【0018】
挿入部12は、先端部46、湾曲部48、及び軟性部50で構成され、湾曲部48は、手元操作部14に設けられた一対のアングルノブ38、38を回動することによって遠隔的に湾曲操作される。これにより、先端部46の先端面47を所望の方向に向けることができる。
【0019】
図2に示すように、先端部46の先端面47には、観察光学系52、照明光学系54、54、送気・送水ノズル56、鉗子口58等が設けられる。観察光学系52の後方にはCCD(不図示)が配設されており、このCCDを支持する基板には信号ケーブルが接続されている。信号ケーブルは図1の挿入部12、手元操作部14、ユニバーサルケーブル16に挿通されて電気コネクタ24まで延設され、プロセッサ30に接続されている。したがって、観察光学系52で取り込まれた観察像は、CCDの受光面に結像されて電気信号に変換され、そして、この電気信号が信号ケーブルを介してプロセッサ30に出力され、映像信号に変換される。これにより、プロセッサ30に接続されたモニタ60に観察画像が表示される。
【0020】
図2の照明光学系54、54の後方にはライトガイド(不図示)の出射端が配設されている。このライトガイドは、図1の挿入部12、手元操作部14、ユニバーサルケーブル16に挿通され、入射端がLGコネクタ18に配設されている。これにより、光源装置20から照射された照明光がライトガイドを介して照明光学系54、54に伝送され、照明光学系54、54から照射される。
【0021】
送気・送水ノズル56(図2参照)は、送気・送水ボタン32によって操作されるバルブ(不図示)に連通され、さらに送気・送水チューブ26に連通される。したがって、送気・送水ボタン32を操作することによって、送気・送水ノズル56からエアまたは水が観察光学系52に向けて噴射される。
【0022】
鉗子口58(図2参照)は、鉗子挿入部40に連通されるとともに、吸引ボタン34によって操作されるバルブ(不図示)に連通され、さらに吸引チューブ28に連通される。したがって、吸引ボタン34を操作することによって、鉗子口58から病変部等が吸引され、鉗子挿入部40から処置具を挿入することによって、この処置具が鉗子口58から導出される。
【0023】
図2に示すように、挿入部12の外周面には、ゴム等の弾性体から成る第1バルーン42が装着される。第1バルーン42は、両端部が絞られた略筒状に形成されており、挿入部12を挿通させた後に、第1バルーン42の両端部を挿入部12に固定することによって装着される。第1バルーン42の両端部の固定方法は、例えば第1バルーン42の両端部に糸を巻回し、第1バルーン42を挿入部12の外周面に全周にわたって密着させることによって行われる。なお、糸を巻回する代わりに、固定リングを第1バルーン42の両端部に嵌装してもよい。
【0024】
挿入部12の第1バルーン42の取付位置には、通気孔62が形成される。この通気孔62は、図1の手元操作部14の供給・吸引口44に連通される。供給・吸引口44にはチューブ64が接続され、このチューブ64がバルーン制御装置66に接続される。バルーン制御装置66は、チューブ64を介して第1バルーン42にエアを供給したり、エアを吸引したりするとともに、その際のエア圧を制御する装置であり、前面に設けられた操作ボタン68によって操作される。なお、第1バルーン42はエアを供給することによって略球状に膨張し、エアを吸引することによって挿入部12の外表面に張り付くようになっている。
【0025】
一方、挿入補助具70は、筒状に形成され、挿入部12の外径よりも僅かに大きい内径を有するとともに、十分な可撓性を備えている。挿入補助具70の基端には、硬質の把持部74が設けられており、挿入部12は、この把持部74から挿入される。
【0026】
また、挿入補助具70の基端側には、バルーン送気口78が設けられる。バルーン送気口78には、内径1mm程度のエア供給チューブ76が接続されており、このチューブ76は、挿入補助具70の外周面に接着されて、挿入補助具70の先端部まで延設されている。
【0027】
挿入補助具70の先端近傍には、ラテックス製の第2バルーン72が装着されている。第2バルーン72は、両端が窄まった略筒状に形成されており、挿入補助具70が貫通した状態で装着されている。前述したチューブ76は、第2バルーン72の内部で開口され、第2バルーン72はチューブ76を介してバルーン送気口78に連通される。バルーン送気口78には、チューブ80の先端が接続され、チューブ80の基端は前述したバルーン制御装置66に接続される。したがって、バルーン制御装置66によって、バルーン送気口78にエアが送気されると、第2バルーン72内にエアが吹き出されて膨張される。また、バルーン送気口78からエアを吸引すると、第2バルーン72内からエアが吸い込まれて第2バルーン72が収縮される。なお、図1の符号84は、挿入補助具70内に水等の潤滑剤を注入するための注入口である。
【0028】
次に上記の如く構成された内視鏡装置の操作方法について図3(a)〜(h)に従って説明する。
【0029】
まず、図3(a)に示すように、挿入補助具70を挿入部12に被せた状態で、挿入部12を腸管(例えば十二指腸下行脚)内に挿入する。このとき、第1バルーン42及び第2バルーン72を収縮させておく。
【0030】
次に図3(b)に示すように、挿入補助具70の先端が腸管90の屈曲部まで挿入された状態で、第2バルーン72にエアを送気して膨張させる。これにより、第2バルーン72が腸管90に係止され、挿入補助具70の先端が腸管90に固定される。
【0031】
次に、図3(c)に示すように、内視鏡10の挿入部12のみを腸管90の深部に挿入する(挿入操作)。そして、図3(d)に示すように、第1バルーン42にエアを送気して膨張させる。これにより、第1バルーン42が腸管90に固定される(固定操作)。
【0032】
次いで、第2バルーン72からエアを吸引して第2バルーン72を収縮させた後、図3(e)に示すように、挿入補助具70を押し込んで、挿入部12に沿わせて挿入する(押し込み操作)。そして、挿入補助具70の先端を第1バルーン42の近傍まで持っていった後、図3(f)に示すように、第2バルーン72にエアを送気して膨張させる。これにより、第2バルーン72が腸管90に固定される。すなわち、腸管90が第2バルーン72によって把持される(把持操作)。
【0033】
次に、図3(g)に示すように、挿入補助具70を手繰り寄せる(手繰り寄せ操作)。これにより、腸管90が収縮した状態になり、挿入補助具70の余分な撓みや屈曲は無くなる。
【0034】
次いで、図3(h)に示すように、第1バルーン42からエアを吸引して第1チューブ42を収縮させる。そして、挿入部12の先端部46をできる限り腸管90の深部に挿入する。すなわち、図3(c)に示した挿入操作を再度行う。これにより、挿入部12の先端部46を腸管90の深部に挿入することができる。挿入部12をさらに深部に挿入する場合には、図3(d)に示したような固定操作を行った後、図3(e)に示したような押し込み操作を行い、さらに図3(f)に示したような把持操作、図3(g)に示したような手繰り寄せ操作、図3(h)に示したような挿入操作を順に繰り返し行う。これにより、挿入部12をさらに腸管90の深部に挿入することができる。
【0035】
ところで、本発明に係る内視鏡装置には、体腔内への挿入部12の挿入量の総和を計測する総挿入量計測手段が設けられている。
【0036】
図4は、第1の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図であり、挿入部12に被せた挿入補助具70の基端部の断面図を示している。また、図5は、図4の5−5線に沿う断面図である。
【0037】
図5に示すように、挿入補助具70の把持部74には、三個のローラ100、100、100が回動自在に支持されている。ローラ100、100、100は、等角度間隔で配置されるとともに、挿入補助具70の内周面から突出した状態で配置されている。そして、挿入補助具70内に挿入部12を挿入した際に、全てのローラ100が挿入部12に当接するようになっている。これにより、挿入部12を挿入補助具70に対して移動させると、全てのローラ100が連れ回りする。
【0038】
ローラ100の一つには、ギア102が連結されており、ローラ100の回転力がギア102に伝達されるようになっている。ギア102は不図示のワンウェイクラッチを介してセンサ104に接続されており、ギア102の一方向の回転数のみがセンサ104によって検出される。検出される回転方向は、挿入部12を挿入した際にギア102が回転する方向である。
【0039】
制御装置106は、センサ104に接続されており、センサ104で検出したギア102の回転数を挿入部12の挿入量に換算する。そして、この換算値を積算することによって、挿入量の総和を求める。制御装置106は、こうして求めた挿入量の総和を表示部108に表示させる。
【0040】
表示部108は、挿入補助具70の把持部74の外周面に設けられる。この表示部108には、挿入量の総和を示す画像が表示される。例えば、図6に示すように、残量メータ109が表示される。この残量メータ109は、全長L1が腸管の全長を表しており、点灯した部分の長さL2が挿入部の総和を表している。したがって、残量の長さL3は、腸の残りの部分を表している。よって、残量メータ109を見るだけで、挿入部12を腸管にどのくらい挿入したか、そして、あとどのくらい挿入できるかを把握することができる。なお、表示部108に表示する画像は、挿入量の総和を示すものであればよく、例えば、挿入部の総和を数字で示してもよい。
【0041】
上記の如く構成された第1の実施形態によれば、挿入補助具70に対して挿入部12を相対的に挿入すると(すなわち、図3(c)の挿入操作を行うと)、ローラ100が挿入部12に連れ回りする。そして、このローラ100の回転数がセンサ104によって検出され、制御装置106によって挿入部12の挿入量に換算される。さらに、制御装置106によって、換算された挿入量の値が積算されて、挿入量の総和が求められる。よって、術者は、表示部108を見ることによって挿入量の総和を確認することができ、挿入部12の先端が腸管のどの位置まで挿入されたかを把握することができる。特に第1の実施形態によれば、表示部108に残量メータ109を表示したので、挿入部12を腸管にあとどのくらい挿入できるかを把握することができる。
【0042】
なお、上述した第1の実施形態は、挿入量の総和を表示する表示部108を挿入補助具70の把持部74に設けたが、表示部108の位置は特に限定するものではなく、内視鏡10の手元操作部14の外表面に表示部を設けたり、専用の外部モニタを設けてもよい。或いは、図1のモニタ60に挿入部の総和を表示してもよい。この場合には、内視鏡10で得られた観察画像がモニタ60に表示されているので、観察画像を見ながら挿入部の総和を把握することができる。
【0043】
また、上述した第1の実施形態は、制御装置106を挿入補助具70の把持部74に設けたが、制御装置106の位置は特に限定するものではなく、内視鏡10の手元操作部14に設けたり、外部に専用の制御装置を設けてもよい。或いは、図1のプロセッサ30に同様の機能を設けるようにしてもよい。
【0044】
なお、後述する第2〜第6の実施形態においても同様に、表示部や制御装置の位置は特に限定されるものではなく、様々な態様が可能である。
【0045】
図7は、第2の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図である。
【0046】
図7に示す挿入補助具70の把持部74には、紐状部材110の先端部が着脱自在に連結される。この紐状部材110の基端部は、手元操作部14に設けられた巻取ローラ112に巻き取られる。巻取ローラ112は、不図示の付勢手段によって矢印方向(すなわち、紐状部材110を巻き取る方法)に付勢されており、これによって紐状部材110の余分な撓みを無くすことができる。
【0047】
紐状部材110は、挿入補助具70を挿入部12の先端側に相対移動させた際に巻取ローラ112から繰り出され、反対に、挿入補助具70を挿入部12の基端側に相対移動させた際に巻取ローラ112に自動的に巻き取られる。なお、紐状部材110の長さは、挿入補助具70を挿入部12の先端側に移動させた際に、挿入補助具70の先端が第1バルーン42に接触する前に、挿入補助具70の挿入動作を規制する長さに設定される。
【0048】
巻取ローラ112にはセンサ114が取り付けられ、このセンサ114によって、紐状部材110を巻き取る際の回転数が検出される。センサ114は制御装置116に接続されており、制御装置116は、センサ114によって検出された巻取ローラ112の回転数を、紐状部材110の巻取量に換算する。そして、この換算値を積算し、積算した値を図1のモニタ60に表示させる。
【0049】
上記の如く構成された第2の実施形態は、挿入補助具70に対して挿入部12を相対的に挿入すると、挿入補助具70の基端部と手元操作部12との距離が縮まるため、紐状部材110が余り、この余った紐状部材110が巻取ローラ112に自動的に巻き取られる。その際、センサ114によって巻取ローラ112の回転数を測定され、さらにその測定値が制御装置116によって紐状部材110の巻取量に換算されて積算される。紐状部材110の巻取量は、挿入部12の相対挿入量に相当するので、紐状部材110の巻取量を積算することによって、挿入量の総和を求めることができる。この値がモニタ60(図1参照)に表示されるので、術者は、内視鏡10によって得られた観察画像を見ながら、挿入量の総和を把握することができる。
【0050】
また、第2の実施形態では、挿入部12に対して挿入補助具70を相対的に挿入していくと(すなわち図3(e)の押し込み操作を行うと)、挿入補助具70の先端が第1バルーン42に近接した際に、紐状部材110がストッパとなって挿入補助具70の挿入動作が規制される。よって、第1バルーン42に挿入補助具70の先端が接触して第1バルーン42を損傷することを防止できる。
【0051】
なお、上述した第2の実施形態は、センサ114によって巻取ローラ112の回転数を検出し、この検出値を紐状部材110の巻取量に換算したが、別の方法で紐状部材110の巻取量を検出してもよい。例えば、紐状部材110にローラを接触させ、このローラの回転数を求めてもよい。
【0052】
さらに、上述した第2の実施形態は、巻取ローラ112を手元操作部14に設けたが、挿入補助具70の把持部74に設けてもよい。
【0053】
図8は、第3の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図である。
【0054】
図8に示すように、挿入部12の外周面には、複数の指標線120、120…が形成されている。指標線120、120…は、挿入部12の軸方向に所定の間隔で形成されており、各指標線120は挿入部12を一周するように形成されている。
【0055】
一方、挿入補助具70の把持部74の内周面側には、光学センサ122が設けられている。光学センサ122は、投光素子と受光素子を備え、投光素子から挿入補助具12の外周面に向けて光を照射し、その反射光を受光素子で受光する。そして、受光した光量の変化によって、挿入部12に形成された指標線120を検出する。
【0056】
制御装置124は、光学センサ122に接続されており、光学センサ122の検出値を相対挿入量に換算する。そして、この換算値を積算して挿入部の総和を求める。さらに、求めた値を、把持部74の外周面に設けた表示部126に表示する。
【0057】
上記の如く構成された第3の実施形態によれば、挿入補助具70に対して挿入部12を相対的に挿入すると、この挿入量を光学センサ122によって検出することができる。そして、この挿入量を積算して得られた挿入量の総和が表示部126に表示されるので、術者は、挿入量の総和を把握することができる。
【0058】
また、第3の実施形態によれば、光学センサ122を用いたので、挿入部12や挿入補助具70と非接触で測定を行うことができる。よって、挿入部12と挿入補助具70を相対的に移動させる際に、スムーズに移動させることができる。
【0059】
なお、上述した第3の実施形態は、挿入部12の外周面に光学検出用の指標線120、120…を形成したが、光学センサ122によって検出できる指標であればよく、例えば挿入部12の外周面に予め形成されている目盛り等を利用してもよい。また、挿入部12の先端側から基端側にかけて徐々に反射率の異なるコーティングを施してもよい。
【0060】
図9は、第4の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図である。
【0061】
図9に示すように、挿入部12の内部には、複数の磁性体130、130…が設けられている。磁性体130、130…は、挿入部12の軸方向に所定の間隔で配置されている。また、各磁性体130はリング状に形成されており、この磁性体130の内部を、前述したライトガイドやチューブ等の内容物が挿通されている。なお、磁性体130の形状は特に限定するものではなく、例えば、挿入部12の外周面に磁気テープ等を貼り付けてもよい。
【0062】
一方、挿入補助具70の把持部74には、磁性体130を検出する磁気センサ132が設けられている。磁気センサ132は、制御装置134に接続されており、制御装置134は、磁気センサ132の検出値に基づいて相対挿入量を算出し、さらにこの値を積算して挿入部の総和を求める。そして、求めた値を、把持部74の外周面に設けた表示部136に表示する。
【0063】
上記の如く構成された第4の実施形態によれば、挿入補助具70に対して挿入部12を相対的に挿入すると、この挿入量を磁気センサ132によって検出することができる。そして、この挿入量を積算して求められた挿入量の総和が表示部136に表示されるので、術者は、挿入量の総和を把握することができる。
【0064】
また、第4の実施形態によれば、磁気センサ132を用いたので、挿入部12や挿入補助具70と非接触で測定を行うことができる。よって、挿入部12と挿入補助具70を相対的に移動させる際に、スムーズに移動させることができる。
【0065】
なお、第4の実施形態において、磁性体130の代わりにICチップを埋め込み、このICチップに記憶させた情報を読み出すようにしてもよい。
【0066】
図10は、第5の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図である。
【0067】
図10に示すように、第5の実施形態では、互いに接触したことを検出する一対の接触センサ140、142が設けられている。接触センサ140は、挿入補助具70の基端面に取り付けられており、接触センサ142は、リング状に形成されて、挿入部12の基端位置に着脱自在に装着される。したがって、挿入補助具70に対して挿入部12を相対的に挿入すると、接触センサ140と接触センサ142が接触する。なお、接触センサ142の取付位置は、挿入部12の基端位置に限定するものではなく、例えば手元操作部14に取り付けてもよい。また、接触センサ140、142の形状は特に限定するものではないが、一方をリング状に形成して確実に接触するように構成することが好ましい。
【0068】
接触センサ142は、制御装置144に接続されており、制御装置144は、接触センサ140、142が接触した回数をカウントする。そして、カウントした回数と、挿入部12と挿入補助具70の長さの差とによって、相対挿入量の総和を求める。さらに、求めた値を図1のモニタ60に表示させる。
【0069】
上記の如く構成された第5の実施形態によれば、挿入部12の挿入を行う度に、接触センサ140、142が接触し、その回数がカウントされる。そして、カウントされた回数が、挿入量の総和に換算されてモニタ60に表示される。よって、術者は挿入量の総和を把握することができる。
【0070】
また、第5の実施形態によれば、挿入部12に接触センサ142を装着すればよいので、内視鏡10に指標等の特別な計測手段を設ける必要がない。
【0071】
図11は、第6の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図である。第6の実施形態は、挿入部12と挿入補助具70を同時に体腔内から引き寄せた際の引寄量を測定することによって挿入量の総和を求める例である。
【0072】
図11に示すように、第6の実施形態では、マウスピース150を使用している。マウスピース150には、挿入補助具70の外径よりも若干大きい内径を有する貫通孔150Aが形成されており、この貫通孔150Aに挿入補助具70が挿通される。マウスピース150と挿入補助具70は、必要に応じて固定できるようになっている。マウスピース150の貫通孔150Aの内周面側には、光学センサ152と磁気センサ154とが設けられている。光学センサ152は、後述する指標線156を検出するセンサであり、磁気センサ154は、後述する磁性体158を検出するセンサである。上記の如く構成されたマウスピース150は、被験者がくわえることによって被験者の口に固定される。
【0073】
一方、挿入補助具70の外周面には、光学検出用の複数の指標線156、156…が形成されている。指標線156、156…は、挿入補助具70の軸方向に所定の間隔で形成されており、各指標線156は挿入部12を一周するように形成される。なお、指標線156は、光学検出用のマークであればよく、その形状等は特に限定するものではない。
【0074】
挿入部12の内部には、複数の磁性体158、158…が設けられている。磁性体158は、挿入部12の軸方向に所定の間隔で配置されている。また、各磁性体158は、リング状に形成されており、この磁性体158の内部を、前述したライトガイドやチューブ等の内容物が挿通されている。なお、磁性体158の形状は特に限定するものではなく、例えば磁気テープ等を貼り付けてもよい。
【0075】
前述した光学センサ152は、挿入補助具70の外周面に向けて検査光を照射し、その反射光を受光することによって指標線156を検出する。よって、光学センサ152の検出値によって、挿入補助具70が引き寄せられた際の引寄量を検出することができる。
【0076】
一方、磁気センサ154は、磁気変動を検出することによって、磁性体158を検出する。よって、磁気センサ154の検出値によって、挿入部12が引き寄せられた際の引寄量を検出することができる。
【0077】
制御装置160は、光学センサ152と磁気センサ154に接続されており、光学センサ152によって検出された挿入補助具70の引寄量と、磁気センサ154によって検出された挿入部12の引寄量が同時に変化した際に、その引寄量を記憶する。そして、引寄量を積算し、その積算値に基づいて挿入量の総和を算出する。さらに、算出した挿入量の総和を図1のモニタ60に表示させる。
【0078】
上記の如く構成された第6の実施形態によれば、挿入部12と挿入補助具70が同時に引き寄せられると(図3(g)参照)、制御装置106がこれを検出し、引寄量が測定される。挿入部12と挿入補助具70を同時に引きぬいた際の引寄量は、腸管90を縮めた量に相当するので、引寄量の総和は、腸管90が縮んだ量の総和に相当する。よって、引寄量の総和に、その際の挿入部12の挿入量を加算すれば、挿入量の総和を求めることができる。なお、挿入部12の挿入量も、磁気センサ154によって測定することができる。
【0079】
なお、上述した第6の実施形態は、光学センサ152と磁気センサ154をマウスピース150に取り付けたが、これらのセンサは、体腔内への挿入口(すなわち被験者の口や肛門等、挿入部12が挿入される挿入口)に固定されていればよい。よって、光学センサ152と磁気センサ154を挿入口に貼り付けて固定したり、あるいは、挿入口に固定されるガイドチューブ等に光学センサ152と磁気センサ154を取り付けたりしてもよい。
【0080】
また、上述した第6の実施形態では、挿入補助具70の挿入量を光学センサ152で検出し、挿入部12の挿入量を磁気センサ154によって検出したが、挿入量の検出方法はこれに限定するものではない。例えば、挿入補助具70を透明な材質で構成するとともに、挿入部12の外表面に光学検出用の指標線を形成すれば、光学センサ152によって、挿入部12の挿入量も検出することができる。
【0081】
さらに、上述した第6の実施形態は、挿入部12や挿入補助具70の引寄量を計測して挿入量の総和を求めるようにしたが、同じ装置で挿入部12の相対挿入量を測定して挿入量の総和を求めることもできる。すなわち、光学センサ152で検出した挿入補助具70の挿入量と、磁気センサ154で検出した挿入部12の挿入量との差から、挿入補助具70に対する挿入部12の相対挿入量を求めることができる。よって、相対挿入量を積算することによって、挿入量の総和を求めることができる。
【0082】
なお、上述した第1〜第6の実施形態は、挿入部12に第1バルーン42が装着され、挿入補助具70に第2バルーン72が装着されたダブルバルーン式の内視鏡装置の例であるが、本発明は、バルーンのない内視鏡装置にも適用することができる。例えば、第1バルーン42のない内視鏡装置の場合には、湾曲部48を湾曲させて先端部46を体腔内に引っ掛けることによって挿入部12を体腔内に固定することができ、挿入部12を体腔内の深部に挿入できる。このような内視鏡装置の場合にも、本発明を適用することによって、挿入部12の総挿入量を把握することができる。
【0083】
また、上述した第1〜第6の実施形態は、挿入補助具70を、被験者の口から挿入するオーバーチューブとして利用したが、図12(a)〜図12(c)に示すように、被験者の肛門から挿入するスライディングチューブとして使用してもよい。なお、同図では、挿入部12に第1バルーン42を装着しない例で説明するが、第1バルーン42を装着してもよい。
【0084】
まず、図12(a)に示すように、挿入部12を挿入補助具70に予め挿入し、この挿入補助具70を手元操作部14側に引き寄せておく。その際、第2バルーン72は収縮させておく。この状態で、挿入部12を被検者の肛門から大腸170内に挿入する。
【0085】
そして、挿入部12の先端部46がS状結腸部171を通過し、左結腸曲172に達した際に、挿入部12の湾曲部48を湾曲させ、先端部46を左結腸曲172に引っ掛ける。
【0086】
次に、図12(b)に示すように、S状結腸部171に位置する挿入部12を略直線状にして、S状結腸部171を略直線状にする。
【0087】
次に、図12(c)に示すように、挿入補助具70を挿入部12に沿って大腸170内に挿入する。そして、挿入補助具70の先端位置をX線透視により確認しながら挿入し、先端がS状結腸部171を通過するまで挿入する。これにより、S状結腸部171が挿入補助具70によって略直線状に保持される。
【0088】
次いで、挿入補助具70の先端部に設けた第2バルーン72を膨張させる。これにより、第2バルーン72が大腸170の内壁面を押圧するので、挿入補助具70の先端部が大腸170に固定された状態になる。この状態で、挿入部12をさらに押し込むと、S状結腸部171が挿入補助具70によって略直線状に保持され、且つ、挿入補助具70が大腸170に固定されているので、挿入部12の挿入動作を容易に行うことができる。
【0089】
このように、挿入補助具70を、S状結腸部171を略直線状に保持する用途で使用する場合にも、本発明を適用して挿入部12の挿入量の総和を求めることによって、挿入量を正確に把握することができる。
【0090】
さらに、上述した第1〜第6の実施形態の内視鏡装置の操作方法は、図3に示した手順に限定されず、図13に示した操作方法であっても本発明の効果が得られる。すなわち、第1〜第5の実施形態では、図13(a)、図13(f)のように挿入部1を挿入する際に挿入補助具2に対する挿入部1の相対挿入量を測定し、これを積算することによって挿入量の総和を求めることができる。また、第6の実施形態では、図13(c)のように挿入部1と挿入補助具2を同時に体腔内から引き寄せる際に引寄量を測定し、この測定値の積算量を算出することによって挿入量の総和を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係る内視鏡装置の実施形態を示すシステム構成図
【図2】図1の挿入部の先端部分を示す斜視図
【図3】図1の内視鏡装置の操作方法を示す説明図
【図4】第1の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図
【図5】図4の5−5線に沿う断面図
【図6】表示例を示す図
【図7】第2の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図
【図8】第3の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図
【図9】第4の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図
【図10】第5の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図
【図11】第6の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図
【図12】図3と異なる操作方法を示す説明図
【図13】従来の内視鏡装置の操作方法を示す説明図
【符号の説明】
【0092】
10…内視鏡、12…挿入部、14…手元操作部、42…第1バルーン、46…先端部、48…湾曲部、60…モニタ、66…バルーン制御装置、70…挿入補助具、72…第2バルーン、90…腸管、100…ローラ、104…センサ、106…制御装置、108…表示部、110…紐状部材、112…巻取ローラ、114…センサ、116…制御装置、120…指標線、122…光学センサ、130…磁性体、132…磁気センサ、140、142…接触センサ、150…マウスピース、152…光学センサ、154…磁気センサ、156…指標線、158…磁性体
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡装置に係り、特に内視鏡の挿入部に被せる挿入補助具と挿入部とを交互に挿入することによって、挿入部を小腸や大腸等の深部消化管に挿入し、観察を行う内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の挿入部を小腸などの深部消化管に挿入する場合、単に挿入部を押し入れていくだけでは、腸管の複雑な屈曲のために挿入部の先端に力が伝わりにくく、深部への挿入は困難である。例えば、挿入部に余分な屈曲や撓みが生じると、挿入部をさらに深部に挿入することができなくなる。そこで、内視鏡の挿入部に挿入補助具を被せて体腔内に挿入し、この挿入補助具で挿入部をガイドすることによって、挿入部の余分な屈曲や撓みを防止する方法が提案されている。
【0003】
特許文献1には、内視鏡の挿入部の先端部に第1バルーンを設けるとともに、挿入補助具(オーバーチューブまたはスライディングチューブともいう)の先端部に第2バルーンを設けた内視鏡装置が記載されている。この内視鏡装置によれば、まず、図13(a)に示すように、内視鏡の挿入部1に挿入補助具2を被せた状態で腸管3に挿入し、挿入部1の先端部1aをできるだけ深部まで挿入する。そして、図13(b)に示すように、先端部1aに装着した第1バルーン4を膨張させて腸管3に固定する。次いで図13(c)に示すように、挿入部1を手元に手繰り寄せて挿入部1の余分なたわみを取り除き、挿入部1をできるだけ直線状にする。次に、図13(d)に示すように、挿入補助具2を挿入部1に沿って押し込み、挿入補助具2の先端部2aを挿入部1の先端部1aの近傍に配置させる。そして、図13(e)に示すように、第2バルーン5を膨張させ、挿入補助具2の先端部2aを腸管3に固定する。次に、図13(f)に示すように、第1バルーン4を収縮させた後、挿入部1を再度、できるだけ挿入する。その際、挿入部1は挿入補助具2にガイドされているので、挿入部1をスムーズに挿入することができる。以上の操作を繰り返すことによって、複雑に屈曲した腸管3であっても、挿入部1の先端部1aを深部に挿入することができる。
【特許文献1】特開昭51−11689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、腸管を縮めながら挿入部を挿入するため、挿入部の先端を腸管のどの位置まで挿入したかが分からなくなるという問題があった。したがって、腸管内に病変部を発見しても、どの位置に病変部を発見したかが分からなくなり、再度観察あるいは処置する際に支障をきたすという問題があった。
【0005】
そこで、従来は、挿入部や挿入補助具の挿入回数をカウントし、挿入部の先端位置の目安としていた。しかしながら、小腸や大腸を観察する場合には、上述したように挿入部と挿入補助具を交互に何度も繰り返して挿入しなくてはならず、同じ操作を何度も行うために挿入回数が分からなくなるおそれがあった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、挿入部と挿入補助具を繰り返し挿入する場合であっても、挿入部の挿入量を把握することのできる内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は前記目的を達成するために、体腔内に挿入される挿入部が手元操作部に連設されるとともに前記挿入部の先端近傍に第1バルーンが装着された内視鏡と、前記挿入部に被せられて該挿入部の体腔内への挿入をガイドするとともにその先端近傍に第2バルーンが装着された挿入補助具と、前記第1バルーン及び前記第2バルーンを膨張、収縮させるバルーン制御装置とを備え、前記挿入部と前記挿入補助具とを交互に挿入する内視鏡装置において、前記挿入補助具に対する前記挿入部の挿入方向のみの移動量を測定する測定装置と、前記測定装置で測定した前記挿入部の挿入方向のみの移動量を積算することによって、前記挿入部の体腔内への挿入量の総和を算出する算出装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、挿入補助具に対する挿入部の挿入方向のみの移動量を測定し、この挿入方向のみの移動量を積算することによって、挿入量の総和を求めることができる。これにより、挿入部の先端を体腔内のどの位置まで挿入したかを把握することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は請求項1の発明において、前記測定装置は、前記挿入補助具に回転自在に支持されるとともに、前記挿入部の外周面に当接され、該挿入部の挿入によって回転するローラと、該ローラの一方向の回転数を検出する回転数検出センサと、を備え、前記回転数検出センサの検出値に基づいて、前記挿入部の挿入方向のみの移動量を求めることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、挿入部にローラを接触させ、このローラの一方向の回転数を検出することによって、挿入補助具に対する挿入部の挿入方向のみの移動量を測定できる。
【0011】
請求項3に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記算出装置で算出した挿入量の総和を表示する表示部が、腸管の全長に対して前記挿入量の総和を除いた腸管の残量を表示する残量メータであることを特徴とする。請求項3の発明によれば、表示部が残量メータなので、挿入量の総和だけでなく腸管の残量を知ることができ、内視鏡を腸管にあとどのくらい挿入できるかを把握することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は請求項1又は2の発明において、前記算出装置で算出した挿入量の総和を表示する表示部が、前記挿入補助具の基端部に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る内視鏡装置によれば、挿入部の体腔内への挿入量の総和を求めることができるので、挿入部の先端を体腔内のどの位置まで挿入したかを把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本発明に係る内視鏡装置の好ましい実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る内視鏡装置の実施形態を示すシステム構成図である。図1に示すように内視鏡装置は主として、内視鏡10、光源装置20、プロセッサ30、バルーン制御装置66、及び挿入補助具70で構成される。
【0016】
内視鏡10は、体腔内に挿入される挿入部12と、この挿入部12に連設される手元操作部14とを備え、手元操作部14には、ユニバーサルケーブル16が接続される。ユニバーサルケーブル16の先端にはLGコネクタ18が設けられ、このLGコネクタ18が光源装置20に連結される。また、LGコネクタ18にはケーブル22を介して電気コネクタ24が接続され、この電気コネクタ24がプロセッサ30に連結される。なお、LGコネクタ18には、エアや水を供給する送気・送水チューブ26や、エアを吸引する吸引チューブ28が接続される。
【0017】
手元操作部14には、送気・送水ボタン32、吸引ボタン34、シャッターボタン36が並設されるとともに、一対のアングルノブ38、38、及び鉗子挿入部40が設けられる。さらに、手元操作部14の基端部には、後述する第1バルーン42に流体を供給したり、第1バルーン42から流体を吸引したりするための供給・吸引口44が設けられる。以下、流体としてエアを用いた例で説明するが、他の流体、例えば不活性ガスや水を用いてもよい。
【0018】
挿入部12は、先端部46、湾曲部48、及び軟性部50で構成され、湾曲部48は、手元操作部14に設けられた一対のアングルノブ38、38を回動することによって遠隔的に湾曲操作される。これにより、先端部46の先端面47を所望の方向に向けることができる。
【0019】
図2に示すように、先端部46の先端面47には、観察光学系52、照明光学系54、54、送気・送水ノズル56、鉗子口58等が設けられる。観察光学系52の後方にはCCD(不図示)が配設されており、このCCDを支持する基板には信号ケーブルが接続されている。信号ケーブルは図1の挿入部12、手元操作部14、ユニバーサルケーブル16に挿通されて電気コネクタ24まで延設され、プロセッサ30に接続されている。したがって、観察光学系52で取り込まれた観察像は、CCDの受光面に結像されて電気信号に変換され、そして、この電気信号が信号ケーブルを介してプロセッサ30に出力され、映像信号に変換される。これにより、プロセッサ30に接続されたモニタ60に観察画像が表示される。
【0020】
図2の照明光学系54、54の後方にはライトガイド(不図示)の出射端が配設されている。このライトガイドは、図1の挿入部12、手元操作部14、ユニバーサルケーブル16に挿通され、入射端がLGコネクタ18に配設されている。これにより、光源装置20から照射された照明光がライトガイドを介して照明光学系54、54に伝送され、照明光学系54、54から照射される。
【0021】
送気・送水ノズル56(図2参照)は、送気・送水ボタン32によって操作されるバルブ(不図示)に連通され、さらに送気・送水チューブ26に連通される。したがって、送気・送水ボタン32を操作することによって、送気・送水ノズル56からエアまたは水が観察光学系52に向けて噴射される。
【0022】
鉗子口58(図2参照)は、鉗子挿入部40に連通されるとともに、吸引ボタン34によって操作されるバルブ(不図示)に連通され、さらに吸引チューブ28に連通される。したがって、吸引ボタン34を操作することによって、鉗子口58から病変部等が吸引され、鉗子挿入部40から処置具を挿入することによって、この処置具が鉗子口58から導出される。
【0023】
図2に示すように、挿入部12の外周面には、ゴム等の弾性体から成る第1バルーン42が装着される。第1バルーン42は、両端部が絞られた略筒状に形成されており、挿入部12を挿通させた後に、第1バルーン42の両端部を挿入部12に固定することによって装着される。第1バルーン42の両端部の固定方法は、例えば第1バルーン42の両端部に糸を巻回し、第1バルーン42を挿入部12の外周面に全周にわたって密着させることによって行われる。なお、糸を巻回する代わりに、固定リングを第1バルーン42の両端部に嵌装してもよい。
【0024】
挿入部12の第1バルーン42の取付位置には、通気孔62が形成される。この通気孔62は、図1の手元操作部14の供給・吸引口44に連通される。供給・吸引口44にはチューブ64が接続され、このチューブ64がバルーン制御装置66に接続される。バルーン制御装置66は、チューブ64を介して第1バルーン42にエアを供給したり、エアを吸引したりするとともに、その際のエア圧を制御する装置であり、前面に設けられた操作ボタン68によって操作される。なお、第1バルーン42はエアを供給することによって略球状に膨張し、エアを吸引することによって挿入部12の外表面に張り付くようになっている。
【0025】
一方、挿入補助具70は、筒状に形成され、挿入部12の外径よりも僅かに大きい内径を有するとともに、十分な可撓性を備えている。挿入補助具70の基端には、硬質の把持部74が設けられており、挿入部12は、この把持部74から挿入される。
【0026】
また、挿入補助具70の基端側には、バルーン送気口78が設けられる。バルーン送気口78には、内径1mm程度のエア供給チューブ76が接続されており、このチューブ76は、挿入補助具70の外周面に接着されて、挿入補助具70の先端部まで延設されている。
【0027】
挿入補助具70の先端近傍には、ラテックス製の第2バルーン72が装着されている。第2バルーン72は、両端が窄まった略筒状に形成されており、挿入補助具70が貫通した状態で装着されている。前述したチューブ76は、第2バルーン72の内部で開口され、第2バルーン72はチューブ76を介してバルーン送気口78に連通される。バルーン送気口78には、チューブ80の先端が接続され、チューブ80の基端は前述したバルーン制御装置66に接続される。したがって、バルーン制御装置66によって、バルーン送気口78にエアが送気されると、第2バルーン72内にエアが吹き出されて膨張される。また、バルーン送気口78からエアを吸引すると、第2バルーン72内からエアが吸い込まれて第2バルーン72が収縮される。なお、図1の符号84は、挿入補助具70内に水等の潤滑剤を注入するための注入口である。
【0028】
次に上記の如く構成された内視鏡装置の操作方法について図3(a)〜(h)に従って説明する。
【0029】
まず、図3(a)に示すように、挿入補助具70を挿入部12に被せた状態で、挿入部12を腸管(例えば十二指腸下行脚)内に挿入する。このとき、第1バルーン42及び第2バルーン72を収縮させておく。
【0030】
次に図3(b)に示すように、挿入補助具70の先端が腸管90の屈曲部まで挿入された状態で、第2バルーン72にエアを送気して膨張させる。これにより、第2バルーン72が腸管90に係止され、挿入補助具70の先端が腸管90に固定される。
【0031】
次に、図3(c)に示すように、内視鏡10の挿入部12のみを腸管90の深部に挿入する(挿入操作)。そして、図3(d)に示すように、第1バルーン42にエアを送気して膨張させる。これにより、第1バルーン42が腸管90に固定される(固定操作)。
【0032】
次いで、第2バルーン72からエアを吸引して第2バルーン72を収縮させた後、図3(e)に示すように、挿入補助具70を押し込んで、挿入部12に沿わせて挿入する(押し込み操作)。そして、挿入補助具70の先端を第1バルーン42の近傍まで持っていった後、図3(f)に示すように、第2バルーン72にエアを送気して膨張させる。これにより、第2バルーン72が腸管90に固定される。すなわち、腸管90が第2バルーン72によって把持される(把持操作)。
【0033】
次に、図3(g)に示すように、挿入補助具70を手繰り寄せる(手繰り寄せ操作)。これにより、腸管90が収縮した状態になり、挿入補助具70の余分な撓みや屈曲は無くなる。
【0034】
次いで、図3(h)に示すように、第1バルーン42からエアを吸引して第1チューブ42を収縮させる。そして、挿入部12の先端部46をできる限り腸管90の深部に挿入する。すなわち、図3(c)に示した挿入操作を再度行う。これにより、挿入部12の先端部46を腸管90の深部に挿入することができる。挿入部12をさらに深部に挿入する場合には、図3(d)に示したような固定操作を行った後、図3(e)に示したような押し込み操作を行い、さらに図3(f)に示したような把持操作、図3(g)に示したような手繰り寄せ操作、図3(h)に示したような挿入操作を順に繰り返し行う。これにより、挿入部12をさらに腸管90の深部に挿入することができる。
【0035】
ところで、本発明に係る内視鏡装置には、体腔内への挿入部12の挿入量の総和を計測する総挿入量計測手段が設けられている。
【0036】
図4は、第1の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図であり、挿入部12に被せた挿入補助具70の基端部の断面図を示している。また、図5は、図4の5−5線に沿う断面図である。
【0037】
図5に示すように、挿入補助具70の把持部74には、三個のローラ100、100、100が回動自在に支持されている。ローラ100、100、100は、等角度間隔で配置されるとともに、挿入補助具70の内周面から突出した状態で配置されている。そして、挿入補助具70内に挿入部12を挿入した際に、全てのローラ100が挿入部12に当接するようになっている。これにより、挿入部12を挿入補助具70に対して移動させると、全てのローラ100が連れ回りする。
【0038】
ローラ100の一つには、ギア102が連結されており、ローラ100の回転力がギア102に伝達されるようになっている。ギア102は不図示のワンウェイクラッチを介してセンサ104に接続されており、ギア102の一方向の回転数のみがセンサ104によって検出される。検出される回転方向は、挿入部12を挿入した際にギア102が回転する方向である。
【0039】
制御装置106は、センサ104に接続されており、センサ104で検出したギア102の回転数を挿入部12の挿入量に換算する。そして、この換算値を積算することによって、挿入量の総和を求める。制御装置106は、こうして求めた挿入量の総和を表示部108に表示させる。
【0040】
表示部108は、挿入補助具70の把持部74の外周面に設けられる。この表示部108には、挿入量の総和を示す画像が表示される。例えば、図6に示すように、残量メータ109が表示される。この残量メータ109は、全長L1が腸管の全長を表しており、点灯した部分の長さL2が挿入部の総和を表している。したがって、残量の長さL3は、腸の残りの部分を表している。よって、残量メータ109を見るだけで、挿入部12を腸管にどのくらい挿入したか、そして、あとどのくらい挿入できるかを把握することができる。なお、表示部108に表示する画像は、挿入量の総和を示すものであればよく、例えば、挿入部の総和を数字で示してもよい。
【0041】
上記の如く構成された第1の実施形態によれば、挿入補助具70に対して挿入部12を相対的に挿入すると(すなわち、図3(c)の挿入操作を行うと)、ローラ100が挿入部12に連れ回りする。そして、このローラ100の回転数がセンサ104によって検出され、制御装置106によって挿入部12の挿入量に換算される。さらに、制御装置106によって、換算された挿入量の値が積算されて、挿入量の総和が求められる。よって、術者は、表示部108を見ることによって挿入量の総和を確認することができ、挿入部12の先端が腸管のどの位置まで挿入されたかを把握することができる。特に第1の実施形態によれば、表示部108に残量メータ109を表示したので、挿入部12を腸管にあとどのくらい挿入できるかを把握することができる。
【0042】
なお、上述した第1の実施形態は、挿入量の総和を表示する表示部108を挿入補助具70の把持部74に設けたが、表示部108の位置は特に限定するものではなく、内視鏡10の手元操作部14の外表面に表示部を設けたり、専用の外部モニタを設けてもよい。或いは、図1のモニタ60に挿入部の総和を表示してもよい。この場合には、内視鏡10で得られた観察画像がモニタ60に表示されているので、観察画像を見ながら挿入部の総和を把握することができる。
【0043】
また、上述した第1の実施形態は、制御装置106を挿入補助具70の把持部74に設けたが、制御装置106の位置は特に限定するものではなく、内視鏡10の手元操作部14に設けたり、外部に専用の制御装置を設けてもよい。或いは、図1のプロセッサ30に同様の機能を設けるようにしてもよい。
【0044】
なお、後述する第2〜第6の実施形態においても同様に、表示部や制御装置の位置は特に限定されるものではなく、様々な態様が可能である。
【0045】
図7は、第2の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図である。
【0046】
図7に示す挿入補助具70の把持部74には、紐状部材110の先端部が着脱自在に連結される。この紐状部材110の基端部は、手元操作部14に設けられた巻取ローラ112に巻き取られる。巻取ローラ112は、不図示の付勢手段によって矢印方向(すなわち、紐状部材110を巻き取る方法)に付勢されており、これによって紐状部材110の余分な撓みを無くすことができる。
【0047】
紐状部材110は、挿入補助具70を挿入部12の先端側に相対移動させた際に巻取ローラ112から繰り出され、反対に、挿入補助具70を挿入部12の基端側に相対移動させた際に巻取ローラ112に自動的に巻き取られる。なお、紐状部材110の長さは、挿入補助具70を挿入部12の先端側に移動させた際に、挿入補助具70の先端が第1バルーン42に接触する前に、挿入補助具70の挿入動作を規制する長さに設定される。
【0048】
巻取ローラ112にはセンサ114が取り付けられ、このセンサ114によって、紐状部材110を巻き取る際の回転数が検出される。センサ114は制御装置116に接続されており、制御装置116は、センサ114によって検出された巻取ローラ112の回転数を、紐状部材110の巻取量に換算する。そして、この換算値を積算し、積算した値を図1のモニタ60に表示させる。
【0049】
上記の如く構成された第2の実施形態は、挿入補助具70に対して挿入部12を相対的に挿入すると、挿入補助具70の基端部と手元操作部12との距離が縮まるため、紐状部材110が余り、この余った紐状部材110が巻取ローラ112に自動的に巻き取られる。その際、センサ114によって巻取ローラ112の回転数を測定され、さらにその測定値が制御装置116によって紐状部材110の巻取量に換算されて積算される。紐状部材110の巻取量は、挿入部12の相対挿入量に相当するので、紐状部材110の巻取量を積算することによって、挿入量の総和を求めることができる。この値がモニタ60(図1参照)に表示されるので、術者は、内視鏡10によって得られた観察画像を見ながら、挿入量の総和を把握することができる。
【0050】
また、第2の実施形態では、挿入部12に対して挿入補助具70を相対的に挿入していくと(すなわち図3(e)の押し込み操作を行うと)、挿入補助具70の先端が第1バルーン42に近接した際に、紐状部材110がストッパとなって挿入補助具70の挿入動作が規制される。よって、第1バルーン42に挿入補助具70の先端が接触して第1バルーン42を損傷することを防止できる。
【0051】
なお、上述した第2の実施形態は、センサ114によって巻取ローラ112の回転数を検出し、この検出値を紐状部材110の巻取量に換算したが、別の方法で紐状部材110の巻取量を検出してもよい。例えば、紐状部材110にローラを接触させ、このローラの回転数を求めてもよい。
【0052】
さらに、上述した第2の実施形態は、巻取ローラ112を手元操作部14に設けたが、挿入補助具70の把持部74に設けてもよい。
【0053】
図8は、第3の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図である。
【0054】
図8に示すように、挿入部12の外周面には、複数の指標線120、120…が形成されている。指標線120、120…は、挿入部12の軸方向に所定の間隔で形成されており、各指標線120は挿入部12を一周するように形成されている。
【0055】
一方、挿入補助具70の把持部74の内周面側には、光学センサ122が設けられている。光学センサ122は、投光素子と受光素子を備え、投光素子から挿入補助具12の外周面に向けて光を照射し、その反射光を受光素子で受光する。そして、受光した光量の変化によって、挿入部12に形成された指標線120を検出する。
【0056】
制御装置124は、光学センサ122に接続されており、光学センサ122の検出値を相対挿入量に換算する。そして、この換算値を積算して挿入部の総和を求める。さらに、求めた値を、把持部74の外周面に設けた表示部126に表示する。
【0057】
上記の如く構成された第3の実施形態によれば、挿入補助具70に対して挿入部12を相対的に挿入すると、この挿入量を光学センサ122によって検出することができる。そして、この挿入量を積算して得られた挿入量の総和が表示部126に表示されるので、術者は、挿入量の総和を把握することができる。
【0058】
また、第3の実施形態によれば、光学センサ122を用いたので、挿入部12や挿入補助具70と非接触で測定を行うことができる。よって、挿入部12と挿入補助具70を相対的に移動させる際に、スムーズに移動させることができる。
【0059】
なお、上述した第3の実施形態は、挿入部12の外周面に光学検出用の指標線120、120…を形成したが、光学センサ122によって検出できる指標であればよく、例えば挿入部12の外周面に予め形成されている目盛り等を利用してもよい。また、挿入部12の先端側から基端側にかけて徐々に反射率の異なるコーティングを施してもよい。
【0060】
図9は、第4の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図である。
【0061】
図9に示すように、挿入部12の内部には、複数の磁性体130、130…が設けられている。磁性体130、130…は、挿入部12の軸方向に所定の間隔で配置されている。また、各磁性体130はリング状に形成されており、この磁性体130の内部を、前述したライトガイドやチューブ等の内容物が挿通されている。なお、磁性体130の形状は特に限定するものではなく、例えば、挿入部12の外周面に磁気テープ等を貼り付けてもよい。
【0062】
一方、挿入補助具70の把持部74には、磁性体130を検出する磁気センサ132が設けられている。磁気センサ132は、制御装置134に接続されており、制御装置134は、磁気センサ132の検出値に基づいて相対挿入量を算出し、さらにこの値を積算して挿入部の総和を求める。そして、求めた値を、把持部74の外周面に設けた表示部136に表示する。
【0063】
上記の如く構成された第4の実施形態によれば、挿入補助具70に対して挿入部12を相対的に挿入すると、この挿入量を磁気センサ132によって検出することができる。そして、この挿入量を積算して求められた挿入量の総和が表示部136に表示されるので、術者は、挿入量の総和を把握することができる。
【0064】
また、第4の実施形態によれば、磁気センサ132を用いたので、挿入部12や挿入補助具70と非接触で測定を行うことができる。よって、挿入部12と挿入補助具70を相対的に移動させる際に、スムーズに移動させることができる。
【0065】
なお、第4の実施形態において、磁性体130の代わりにICチップを埋め込み、このICチップに記憶させた情報を読み出すようにしてもよい。
【0066】
図10は、第5の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図である。
【0067】
図10に示すように、第5の実施形態では、互いに接触したことを検出する一対の接触センサ140、142が設けられている。接触センサ140は、挿入補助具70の基端面に取り付けられており、接触センサ142は、リング状に形成されて、挿入部12の基端位置に着脱自在に装着される。したがって、挿入補助具70に対して挿入部12を相対的に挿入すると、接触センサ140と接触センサ142が接触する。なお、接触センサ142の取付位置は、挿入部12の基端位置に限定するものではなく、例えば手元操作部14に取り付けてもよい。また、接触センサ140、142の形状は特に限定するものではないが、一方をリング状に形成して確実に接触するように構成することが好ましい。
【0068】
接触センサ142は、制御装置144に接続されており、制御装置144は、接触センサ140、142が接触した回数をカウントする。そして、カウントした回数と、挿入部12と挿入補助具70の長さの差とによって、相対挿入量の総和を求める。さらに、求めた値を図1のモニタ60に表示させる。
【0069】
上記の如く構成された第5の実施形態によれば、挿入部12の挿入を行う度に、接触センサ140、142が接触し、その回数がカウントされる。そして、カウントされた回数が、挿入量の総和に換算されてモニタ60に表示される。よって、術者は挿入量の総和を把握することができる。
【0070】
また、第5の実施形態によれば、挿入部12に接触センサ142を装着すればよいので、内視鏡10に指標等の特別な計測手段を設ける必要がない。
【0071】
図11は、第6の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図である。第6の実施形態は、挿入部12と挿入補助具70を同時に体腔内から引き寄せた際の引寄量を測定することによって挿入量の総和を求める例である。
【0072】
図11に示すように、第6の実施形態では、マウスピース150を使用している。マウスピース150には、挿入補助具70の外径よりも若干大きい内径を有する貫通孔150Aが形成されており、この貫通孔150Aに挿入補助具70が挿通される。マウスピース150と挿入補助具70は、必要に応じて固定できるようになっている。マウスピース150の貫通孔150Aの内周面側には、光学センサ152と磁気センサ154とが設けられている。光学センサ152は、後述する指標線156を検出するセンサであり、磁気センサ154は、後述する磁性体158を検出するセンサである。上記の如く構成されたマウスピース150は、被験者がくわえることによって被験者の口に固定される。
【0073】
一方、挿入補助具70の外周面には、光学検出用の複数の指標線156、156…が形成されている。指標線156、156…は、挿入補助具70の軸方向に所定の間隔で形成されており、各指標線156は挿入部12を一周するように形成される。なお、指標線156は、光学検出用のマークであればよく、その形状等は特に限定するものではない。
【0074】
挿入部12の内部には、複数の磁性体158、158…が設けられている。磁性体158は、挿入部12の軸方向に所定の間隔で配置されている。また、各磁性体158は、リング状に形成されており、この磁性体158の内部を、前述したライトガイドやチューブ等の内容物が挿通されている。なお、磁性体158の形状は特に限定するものではなく、例えば磁気テープ等を貼り付けてもよい。
【0075】
前述した光学センサ152は、挿入補助具70の外周面に向けて検査光を照射し、その反射光を受光することによって指標線156を検出する。よって、光学センサ152の検出値によって、挿入補助具70が引き寄せられた際の引寄量を検出することができる。
【0076】
一方、磁気センサ154は、磁気変動を検出することによって、磁性体158を検出する。よって、磁気センサ154の検出値によって、挿入部12が引き寄せられた際の引寄量を検出することができる。
【0077】
制御装置160は、光学センサ152と磁気センサ154に接続されており、光学センサ152によって検出された挿入補助具70の引寄量と、磁気センサ154によって検出された挿入部12の引寄量が同時に変化した際に、その引寄量を記憶する。そして、引寄量を積算し、その積算値に基づいて挿入量の総和を算出する。さらに、算出した挿入量の総和を図1のモニタ60に表示させる。
【0078】
上記の如く構成された第6の実施形態によれば、挿入部12と挿入補助具70が同時に引き寄せられると(図3(g)参照)、制御装置106がこれを検出し、引寄量が測定される。挿入部12と挿入補助具70を同時に引きぬいた際の引寄量は、腸管90を縮めた量に相当するので、引寄量の総和は、腸管90が縮んだ量の総和に相当する。よって、引寄量の総和に、その際の挿入部12の挿入量を加算すれば、挿入量の総和を求めることができる。なお、挿入部12の挿入量も、磁気センサ154によって測定することができる。
【0079】
なお、上述した第6の実施形態は、光学センサ152と磁気センサ154をマウスピース150に取り付けたが、これらのセンサは、体腔内への挿入口(すなわち被験者の口や肛門等、挿入部12が挿入される挿入口)に固定されていればよい。よって、光学センサ152と磁気センサ154を挿入口に貼り付けて固定したり、あるいは、挿入口に固定されるガイドチューブ等に光学センサ152と磁気センサ154を取り付けたりしてもよい。
【0080】
また、上述した第6の実施形態では、挿入補助具70の挿入量を光学センサ152で検出し、挿入部12の挿入量を磁気センサ154によって検出したが、挿入量の検出方法はこれに限定するものではない。例えば、挿入補助具70を透明な材質で構成するとともに、挿入部12の外表面に光学検出用の指標線を形成すれば、光学センサ152によって、挿入部12の挿入量も検出することができる。
【0081】
さらに、上述した第6の実施形態は、挿入部12や挿入補助具70の引寄量を計測して挿入量の総和を求めるようにしたが、同じ装置で挿入部12の相対挿入量を測定して挿入量の総和を求めることもできる。すなわち、光学センサ152で検出した挿入補助具70の挿入量と、磁気センサ154で検出した挿入部12の挿入量との差から、挿入補助具70に対する挿入部12の相対挿入量を求めることができる。よって、相対挿入量を積算することによって、挿入量の総和を求めることができる。
【0082】
なお、上述した第1〜第6の実施形態は、挿入部12に第1バルーン42が装着され、挿入補助具70に第2バルーン72が装着されたダブルバルーン式の内視鏡装置の例であるが、本発明は、バルーンのない内視鏡装置にも適用することができる。例えば、第1バルーン42のない内視鏡装置の場合には、湾曲部48を湾曲させて先端部46を体腔内に引っ掛けることによって挿入部12を体腔内に固定することができ、挿入部12を体腔内の深部に挿入できる。このような内視鏡装置の場合にも、本発明を適用することによって、挿入部12の総挿入量を把握することができる。
【0083】
また、上述した第1〜第6の実施形態は、挿入補助具70を、被験者の口から挿入するオーバーチューブとして利用したが、図12(a)〜図12(c)に示すように、被験者の肛門から挿入するスライディングチューブとして使用してもよい。なお、同図では、挿入部12に第1バルーン42を装着しない例で説明するが、第1バルーン42を装着してもよい。
【0084】
まず、図12(a)に示すように、挿入部12を挿入補助具70に予め挿入し、この挿入補助具70を手元操作部14側に引き寄せておく。その際、第2バルーン72は収縮させておく。この状態で、挿入部12を被検者の肛門から大腸170内に挿入する。
【0085】
そして、挿入部12の先端部46がS状結腸部171を通過し、左結腸曲172に達した際に、挿入部12の湾曲部48を湾曲させ、先端部46を左結腸曲172に引っ掛ける。
【0086】
次に、図12(b)に示すように、S状結腸部171に位置する挿入部12を略直線状にして、S状結腸部171を略直線状にする。
【0087】
次に、図12(c)に示すように、挿入補助具70を挿入部12に沿って大腸170内に挿入する。そして、挿入補助具70の先端位置をX線透視により確認しながら挿入し、先端がS状結腸部171を通過するまで挿入する。これにより、S状結腸部171が挿入補助具70によって略直線状に保持される。
【0088】
次いで、挿入補助具70の先端部に設けた第2バルーン72を膨張させる。これにより、第2バルーン72が大腸170の内壁面を押圧するので、挿入補助具70の先端部が大腸170に固定された状態になる。この状態で、挿入部12をさらに押し込むと、S状結腸部171が挿入補助具70によって略直線状に保持され、且つ、挿入補助具70が大腸170に固定されているので、挿入部12の挿入動作を容易に行うことができる。
【0089】
このように、挿入補助具70を、S状結腸部171を略直線状に保持する用途で使用する場合にも、本発明を適用して挿入部12の挿入量の総和を求めることによって、挿入量を正確に把握することができる。
【0090】
さらに、上述した第1〜第6の実施形態の内視鏡装置の操作方法は、図3に示した手順に限定されず、図13に示した操作方法であっても本発明の効果が得られる。すなわち、第1〜第5の実施形態では、図13(a)、図13(f)のように挿入部1を挿入する際に挿入補助具2に対する挿入部1の相対挿入量を測定し、これを積算することによって挿入量の総和を求めることができる。また、第6の実施形態では、図13(c)のように挿入部1と挿入補助具2を同時に体腔内から引き寄せる際に引寄量を測定し、この測定値の積算量を算出することによって挿入量の総和を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係る内視鏡装置の実施形態を示すシステム構成図
【図2】図1の挿入部の先端部分を示す斜視図
【図3】図1の内視鏡装置の操作方法を示す説明図
【図4】第1の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図
【図5】図4の5−5線に沿う断面図
【図6】表示例を示す図
【図7】第2の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図
【図8】第3の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図
【図9】第4の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図
【図10】第5の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図
【図11】第6の実施形態の総挿入量計測手段の構成を示す模式図
【図12】図3と異なる操作方法を示す説明図
【図13】従来の内視鏡装置の操作方法を示す説明図
【符号の説明】
【0092】
10…内視鏡、12…挿入部、14…手元操作部、42…第1バルーン、46…先端部、48…湾曲部、60…モニタ、66…バルーン制御装置、70…挿入補助具、72…第2バルーン、90…腸管、100…ローラ、104…センサ、106…制御装置、108…表示部、110…紐状部材、112…巻取ローラ、114…センサ、116…制御装置、120…指標線、122…光学センサ、130…磁性体、132…磁気センサ、140、142…接触センサ、150…マウスピース、152…光学センサ、154…磁気センサ、156…指標線、158…磁性体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内に挿入される挿入部が手元操作部に連設されるとともに前記挿入部の先端近傍に第1バルーンが装着された内視鏡と、前記挿入部に被せられて該挿入部の体腔内への挿入をガイドするとともにその先端近傍に第2バルーンが装着された挿入補助具と、前記第1バルーン及び前記第2バルーンを膨張、収縮させるバルーン制御装置とを備え、前記挿入部と前記挿入補助具とを交互に挿入する内視鏡装置において、
前記挿入補助具に対する前記挿入部の挿入方向のみの移動量を測定する測定装置と、
前記測定装置で測定した前記挿入部の挿入方向のみの移動量を積算することによって、前記挿入部の体腔内への挿入量の総和を算出する算出装置と、
を備えることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記測定装置は、
前記挿入補助具に回転自在に支持されるとともに、前記挿入部の外周面に当接され、該挿入部の挿入によって回転するローラと、
該ローラの一方向の回転数を検出する回転数検出センサと、を備え、
前記回転数検出センサの検出値に基づいて、前記挿入部の挿入方向のみの移動量を求めることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記算出装置で算出した挿入量の総和を表示する表示部が、腸管の全長に対して前記挿入量の総和を除いた腸管の残量を表示する残量メータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記算出装置で算出した挿入量の総和を表示する表示部が、前記挿入補助具の基端部に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡装置。
【請求項1】
体腔内に挿入される挿入部が手元操作部に連設されるとともに前記挿入部の先端近傍に第1バルーンが装着された内視鏡と、前記挿入部に被せられて該挿入部の体腔内への挿入をガイドするとともにその先端近傍に第2バルーンが装着された挿入補助具と、前記第1バルーン及び前記第2バルーンを膨張、収縮させるバルーン制御装置とを備え、前記挿入部と前記挿入補助具とを交互に挿入する内視鏡装置において、
前記挿入補助具に対する前記挿入部の挿入方向のみの移動量を測定する測定装置と、
前記測定装置で測定した前記挿入部の挿入方向のみの移動量を積算することによって、前記挿入部の体腔内への挿入量の総和を算出する算出装置と、
を備えることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記測定装置は、
前記挿入補助具に回転自在に支持されるとともに、前記挿入部の外周面に当接され、該挿入部の挿入によって回転するローラと、
該ローラの一方向の回転数を検出する回転数検出センサと、を備え、
前記回転数検出センサの検出値に基づいて、前記挿入部の挿入方向のみの移動量を求めることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記算出装置で算出した挿入量の総和を表示する表示部が、腸管の全長に対して前記挿入量の総和を除いた腸管の残量を表示する残量メータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記算出装置で算出した挿入量の総和を表示する表示部が、前記挿入補助具の基端部に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−255440(P2006−255440A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168004(P2006−168004)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【分割の表示】特願2003−426915(P2003−426915)の分割
【原出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【分割の表示】特願2003−426915(P2003−426915)の分割
【原出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】
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