説明

内視鏡装置

【課題】操作部に設けられた表示部を好適に視認することができるとともに、操作部を安定して携行することができる内視鏡装置を提供すること。
【解決手段】先端10Aと基端10Bとを有する挿入部10と、挿入部10の先端10Aに固定され、観察対象の像を撮像する撮像部14と、挿入部10の基端10Bに固定され、挿入部10及び撮像部14を操作するための操作部20と、操作部20に設けられ、撮像部14によって撮像された前記像を表示する表示部30と、両端を結ぶ軸方向に表示部30の幅寸法Wより長く延びて形成され、操作部20を支持する支持部50と、操作部20と支持部50との間に介在されて操作部20の外面の少なくとも一部に固定された連結部41と、操作部20を支持部50に回動可能に取り付ける固定部46と、支持部50の前記両端のそれぞれに掛止された帯状あるいは紐状の吊り下げ部60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野や工業分野等の分野においては、使用者が直接は目視できない例えば孔の内部などに位置する観察対象を観察するために、孔に挿入可能な挿入部を有する内視鏡が利用されている。また、近年、CCDカメラ等が挿入部の先端側に内蔵された内視鏡が知られており、このような内視鏡によって、使用者は観察対象の光学像等を観察することができる。
【0003】
このような内視鏡装置の例として、特許文献1には、挿入部を操作するための入力を行う入力手段と、観察対象の画像を表示するためのモニタとが一体化された操作部を備えた内視鏡装置が記載されている。
特許文献1に記載の内視鏡装置は、使用者によって操作部が把持されるとともにモニタに表示された画像が見られて使用されるものである。そのため、操作部の重量を手で支えながら観察対象の観察を使用者が行う場合に、この内視鏡装置は使用者の手や手首等に負担を強いるものであった。
【0004】
また、特許文献2および特許文献3には、使用者の首や肩等の体の一部から操作部を吊り下げるためのストラップが設けられた内視鏡装置が記載されている。
特許文献2に記載の内視鏡装置では、操作部の長手方向に離間する二箇所においてストラップと操作部とが連結されている。また、特許文献3に記載の内視鏡装置では、内視鏡の操作部にストラップを取り付けるためのストラップ取付部は操作部の一箇所に設けられている。
これら特許文献2、3に記載された内視鏡装置によれば、ストラップによって、内視鏡装置の操作部を吊り下げて保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5373317号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0116093号明細書
【特許文献3】特開2007−260130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の内視鏡装置では、肩あるいは首にストラップをかけて内視鏡装置の操作部を使用する場合に、使用者の目と表示部との間にストラップが位置することがあった。このため、この内視鏡装置では、肩あるいは首にストラップをかけたまま操作部および表示部を使用するときの表示部の視認が困難になる場合がある。
【0007】
また、特許文献3に記載の内視鏡装置は、操作部の一箇所で、ストラップと操作部とが連結されているので、この内視鏡装置では、ストラップによって吊り下げられた内視鏡の位置が安定しない場合がある。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、操作部に設けられた表示部を好適に視認することができるとともに、操作部を安定して携行することができる内視鏡装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の内視鏡装置は、先端と基端とを有する挿入部と、前記挿入部の前記先端に固定され、観察対象の像を撮像する撮像部と、前記挿入部の前記基端に固定され、前記挿入部及び前記撮像部を操作するための操作部と、前記操作部に設けられ、前記撮像部によって撮像された前記像を表示する表示部と、両端を結ぶ軸方向に前記表示部の幅寸法より長く延びて形成され、前記操作部を支持する支持部と、前記操作部と前記支持部との間に介在されて前記操作部の外面の少なくとも一部に固定された連結部と、前記操作部を前記支持部に回動可能に取り付ける固定部と、前記支持部の前記両端のそれぞれに掛止された帯状あるいは紐状の吊り下げ部と、を備えることを特徴としている。
【0010】
また、前記連結部は、前記操作部において前記表示部が取り付けられた位置と反対側の前記操作部の外面に着脱可能に設けられていることが好ましい。
【0011】
また、前記連結部は、前記操作部の外面に係合可能な爪部を有することが好ましい。
【0012】
また、前記支持部は、前記端部のそれぞれの間において前記軸方向に延びた被係合部を有し、前記連結部は、前記被係合部に係合するとともに、前記被係合部に沿って前記軸方向に相対移動可能であることが好ましい。
【0013】
また、前記被係合部は、前記支持部を貫通して形成された長孔部であってもよい。
また、前記固定部と前記支持部との間には、前記長孔部の縁部の少なくとも一部に接触して前記連結部と前記支持部との間に付勢力を生じさせる付勢部材が介在されていてもよい。
【0014】
本発明の内視鏡装置は、先端と基端とを有する挿入部と、前記挿入部の前記先端に固定され、観察対象の像を撮像する撮像部と、前記挿入部の前記基端に固定され、前記挿入部及び前記撮像部を操作するための操作部が一体に設けられた本体部と、前記本体部と一体に設けられ、前記撮像部によって撮像された前記像を表示する表示部と、前記本体部の外面の少なくとも一部に固定された連結部と、前記連結部に対して回動可能に連結され、両端を結ぶ軸方向に前記表示部の幅寸法より長く延びて形成された支持部と、前記支持部の前記端部のそれぞれに掛止された帯状あるいは紐状の吊り下げ部と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の内視鏡装置によれば、操作部に設けられた表示部を見る動作と、操作部を携行する動作とのそれぞれにおいて、連結部に対して支持部を回動させて好適な位置関係を切り替えることができる。このため、操作部に設けられた表示部を好適に視認することができるとともに、操作部を安定して携行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態の内視鏡装置を示す図で、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【図2】同内視鏡装置の連結部の一部の構成を分解して示す斜視図である。
【図3】同内視鏡装置の一部の構成を示す三面図で、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【図4】同内視鏡装置の一部の構成を示す部分断面図である。
【図5】(A)及び(B)は同内視鏡装置の使用時の動作を示す図で、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【図6】同内視鏡装置の変形例1の一部の構成を示す三面図で、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【図7】(A)ないし(C)は同内視鏡装置の使用時の動作を示す平面図である。
【図8】本実施形態の変形例2の内視鏡装置における一部の構成を示す三面図で、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【図9】同変形例の内視鏡装置の一部の構成を示す平面図である。
【図10】本発明の第2実施形態の内視鏡装置を示す斜視図である。
【図11】同実施形態の内視鏡装置における挿入部の一部の構成を示す断面図である。
【図12】(A)は同視鏡装置の本体部を示す側面図で、B)は同内視鏡装置に連結部が取り付けられた状態を示す側面図である。
【図13】同内視鏡装置の使用時の一過程を示す図である。
【図14】同内視鏡装置の使用時の一過程を示す図である。
【図15】同内視鏡装置の使用時の一過程を示す図である。
【図16】同内視鏡装置の使用時の一過程を示す図である。
【図17】同内視鏡装置の他の構成例を示す図である。
【図18】同内視鏡装置のさらに他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。まず、本実施形態の内視鏡装置の構成について図1ないし図4を参照して説明する。図1は、本実施形態の内視鏡装置1を示す図で、(A)は斜視図、(B)は側面図である。また、図2は、内視鏡装置1の連結部の構成を分解して示す斜視図である。また、図3は、内視鏡装置1の一部の構成を示す三面図で、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。また、図4は、内視鏡装置1の一部の構成を示す部分断面図である。
【0018】
内視鏡装置1は、図1に示すように、先端10Aと基端10Bとを有し例えば孔や隙間の内部に挿入される挿入部10と、挿入部10の基端10Bに設けられた操作部20と、操作部20に設けられた表示部30と、操作部20を吊り下げて支持する支持具40とを備えている。
【0019】
挿入部10は、観察対象の内部形状に応じて湾曲可能な可撓性を有する可撓管部11と、可撓管部11の先端11Aに設けられ、操作部20による操作で所望の方向へ湾曲可能な湾曲部12と、湾曲部12の先端に設けられた硬質の先端部13とを有する。先端部13には、観察対象を観察するための撮像部14と、LEDなどで構成され先端側を照明する照明部15とが設けられている。撮像部14は、先端部13に内蔵された図示しないCCDあるいはCMOSエリアイメージセンサと、先端部13から外部に露出するように設けられて観察対象の像をエリアイメージセンサに結像させる図示しない光学系とを有する。
【0020】
操作部20は、湾曲部12を湾曲動作させるための操作を入力するためのジョイスティック21と、内視鏡装置1の使用者によって把持されるとともに挿入部10とは逆側へ延びるように配置された把持部22とを有している。ジョイスティック21は、ジョイスティック21を直立状態から傾けることによって、例えば先端部13が水平方向に延びて位置する場合に湾曲部12を湾曲させる方向を上下左右の4方向に指定するようになっている。また、操作部20は、操作部20を例えば床等に載置するための一対の支持脚23、24を有している。支持脚23、24のそれぞれは、操作部20の重心位置を間に挟むように離間して設けられている。
表示部30は、液晶ディスプレイ31を備えており、液晶ディスプレイ31は、撮像部14で取得された像の画像を表示することが可能となっている。
【0021】
支持具40は、図1ないし図3に示すように、操作部20を支持する支持部50と、操作部20と支持部50との間に介在されて操作部の外面の少なくとも一部に固定された連結部41と、操作部20を支持部50に回動可能に取り付ける取り付けねじ(固定部)46と、支持部50に連結された柔軟な帯状の吊り下げ部60とを有している。
【0022】
連結部41は、図1(B)及び図2に示すように、表示部30と反対の側に位置する操作部20の下面のうち、支持脚23、24の下面に設けられた載置面23b、24bに当接する下面部41aと、下面部41aの先端に形成された当接壁45と、当接壁45から先端側に延びて形成された上面部45aと、上面部45aの一部から延びて形成され操作部20のうち挿入部10の側の突出部の外周に係合する第一爪部42と、支持脚23、24のうち把持部22の側に位置する脚つま先部23a、24aに係合する第二爪部43とを有している。
【0023】
第一爪部42は、挿入部10の基端10Bの直径よりも大きい開口部42aを有しており、開口部42aを通じて第一爪部42の内側に挿入部10を挿入した後に第一爪部42を操作部20の突出部の外面に係合させるようになっている。
第二爪部43は、支持脚23、24における脚つま先部23a、24aの側の端部を挟み込むように折り返されて形成されている。
【0024】
第一爪部42と第二爪部43とが操作部20の外面に係合している位置関係において、第一爪部42と第二爪部43との間に設けられた連結部41の一部である当接壁45は、操作部20の支持脚23、24の挿入部10側の外面に当接している。
このように、連結部41は、操作部20の外面に対して第一爪部42、第二爪部43及び当接壁45の三箇所で支持されつつ操作部20に固定されている。
【0025】
支持部50は、中間部において取り付けねじ46が挿通され、連結部41に対して取り付けねじ46の軸回りに自在に回動可能に連結されており、支持部50は、表示部30の幅寸法Wよりも長く延びて形成された支持本体51と、支持本体51に両端が固定されて中間部でU字状に折り曲げられた形状に形成された掛止部52、53と、を有している。
支持本体51は、載置面23b、24bが存する面に平行な面内で操作部20に対して自在に回動可能である。
【0026】
吊り下げ部60は、帯状に形成された帯部材61と、帯部材61の端部のそれぞれに設けられた環状の連結部材62、63と、連結部材62、63のそれぞれと掛止部52、53とを連結する連結部材64、65とを有している。帯部材61は、例えばナイロン(登録商標)などのポリアミド系合成繊維やその他の合成樹脂繊維製の糸を帯状に編組加工して形成されている。連結部材62、63は、底辺の長さが帯部材61の幅と等しい二等辺三角形の形状に形成されており、連結部材62、63において帯部材61からもっとも離間している頂点62a、63aの位置に連結部材64、65が位置するようになっている。
【0027】
図4に示すように、取り付けねじ46と支持部50の支持本体51との間には、取り付けねじ46が挿通されるばねワッシャー(付勢部材)47が介在されている。取り付けねじ46をねじ穴44にねじ込むことで、取り付けねじ46と支持本体51との間の距離は小さくなり、ばねワッシャー47は連結部41と支持本体51との間に付勢力を生じさせる。
【0028】
以上に説明した構成の、本実施形態の内視鏡装置1の使用時の動作について、支持具40の動作を中心に図5を参照して説明する。図5は同内視鏡装置の使用時の動作を示す図で、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
支持具40は、連結部41のねじ孔44に取り付けねじ46がねじ合わされた状態で、連結部41と取り付けねじ46との間に支持本体51が挟み込まれて用意されている。
内視鏡装置1の使用者は、支持具40の連結部41における第一爪部42と第二爪部43とをこの順に操作部20の外面に係合させて、内視鏡装置1の操作部20に支持具40を取り付ける。すると、第一爪部42と第二爪部43と当接壁45とに支持されて操作部20と連結部41とは固定状態になる。
【0029】
内視鏡装置1を携行する場合には、内視鏡装置1の使用者は、取り付けねじ46をねじ穴44に対して緩める方向に回して取り付けねじ46と支持本体51との間の締付を緩める。すると、支持本体51は取り付けねじ46の軸回りに自在に回動するようになる。内視鏡装置1の使用者は、取り付けねじ46の軸回りに支持本体51を回動させて、支持本体51の掛止部52、53のそれぞれが把持部22あるいは挿入部10に近接する位置に支持本体51を移動させる。使用者は取り付けねじ46を締め、支持本体51を連結部41に対して締め付けて固定状態にする。
【0030】
使用者は、内視鏡装置1が位置する側と反対側の肩に帯部材61を掛け、内視鏡装置1を携行する。なお、内視鏡装置1が位置する側の肩に使用者は帯部材61を掛けて内視鏡装置1を携行してもよい。このとき、支持具40の状態は、支持本体51の端部のそれぞれが操作部20から突出する長さが相対的に短くなっている状態であり、使用者が内視鏡装置1を携行する場合に支持本体51の端部及び掛止部52、53が人や物に引っかかりにくくなっている。
【0031】
続いて、内視鏡装置1を使用して観察対象を使用者が観察する場合には、使用者は取り付けねじ46を再び緩める。そして、支持本体51を取り付けねじ46の軸回りに回動させて、表示部30の横方向に向かって両方の端部が延びる位置に支持本体51を移動させる(図1参照)。使用者は取り付けねじ46を締め、支持本体51を締め付けてこの位置で固定状態にする。
【0032】
続いて、使用者は、内視鏡装置1を首から吊り下げるように帯部材61を首に掛ける、あるいは帯部材61を肩に袈裟懸けに掛ける。さらに、内視鏡装置1の使用者は、把持部22を片手で把持し、反対側の手で挿入部10を先端10Aから観察対象の例えば内部に挿入する。
【0033】
使用者は、挿入部10を持って挿入部10を観察対象の内部へ挿入するとともに操作部20のジョイスティック21を操作して、挿入部10の湾曲部12などを駆動させながら挿入部10の先端10Aを観察対象の内部で案内する。使用者がジョイスティック21を動かす場合には、使用者が指を動かすことによって把持部22を把持する力が弱まることがあるが、内視鏡装置1の操作部20は支持具40によって吊り下げられて支持されているので、使用者は把持部22に手を添える程度の把持力で把持部22を把持しつつジョイスティック21を操作することができる。
【0034】
観察対象の内部に挿入部10の先端10Aが挿入されている間、観察対象の内部における光学像などの像が撮像部14によって撮像する。このとき、必要に応じて照明部15によって観察対象の内部に照明光を照射して観察対象の像を明瞭に撮像することができる。
撮像部14によって撮像された像は、表示部30に表示される。表示部30の液晶ディスプレイ31は、支持具40における支持本体51の両端の間に位置しているので、帯部材61が使用者の首に掛けられている状態では使用者の目とディスプレイ31との間には帯部材61は介在されない位置関係にある。このため、帯部材61によって操作部20を支持しつつ使用者はディスプレイ31に表示された画像を観察することができる。
【0035】
観察対象の観察が終了したら、使用者は挿入部10を観察対象の内部から抜き取る。内視鏡装置1を他の場所に携行する必要があれば、上述したように支持本体51の掛止部52、53のそれぞれが把持部22あるいは挿入部10に近接する位置に支持本体51を移動させてもよい。
【0036】
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡装置1によれば、操作部20に設けられた表示部30を見る動作と、内視鏡装置1の操作部20を携行する動作とのそれぞれにおいて、連結部41に対して支持本体51を回動させて好適な位置関係を切り替えることができる。このため、操作部20に設けられた表示部30を好適に視認することができるとともに、操作部20を安定して携行することができる。
【0037】
また、連結部41が、操作部20の外面のうち表示部30よりも下側に位置するように表示部30が取り付けられた側と反対側に設けられているので、連結部41によって表示部30の視野を妨げることがなく表示部30を好適に視認することができる。
【0038】
また、連結部41が、操作部20の外面に係合可能な第一爪部42及び第二爪部43を有しているので、第一爪部42及び第二爪部43を操作部20の外面に係合させるだけで操作部20と支持具40との着脱を容易に行うことができる。
【0039】
また、取り付けねじ46と支持本体51との間にばねワッシャー47が介在されているので、取り付けねじ46をねじ穴44にねじ込む量に応じて支持本体51を連結部41へ押し付ける押圧力を漸次変化させることができる。このため、取り付けねじ46の意図しない緩みを抑えることができるとともに、ばねワッシャー47の付勢力に応じた力で連結部41に対して支持本体51を仮止めできる。
【0040】
(変形例1)
以下では、本実施形態の内視鏡装置1の変形例1について図6及び図7を参照して説明する。なお、以下の各変形例では、上述した第1実施形態の内視鏡装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。図6は、本変形例の内視鏡装置における支持具の一部の構成を示す三面図で、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。また、図7(A)ないし図7(C)は、本変形例の内視鏡装置の使用時の動作を示す平面図である。
【0041】
本変形例では、支持具40は支持本体51に代えて支持本体151を有している。支持本体151は、支持本体51と同様に軸方向に延びて形成されている。また、支持本体151の端部のそれぞれには、軸方向に対して傾斜して形成された傾斜端部151a、151bが設けられており、支持本体151は平面視で平行四辺形状になっている。
さらに、支持本体151の端部のそれぞれには、支持本体51に形成された掛止部52、53と同様に掛止部152、153が形成されている。
【0042】
支持本体151の端部のそれぞれの間には、軸方向に延びる長孔部(被係合部)154が支持本体151を貫通して形成されている。長孔部154は、支持本体151の中央に一端が位置するように形成されている。取り付けねじ46は、長孔部154に沿って直線移動可能である。
【0043】
以上に説明した構成の本変形例の内視鏡装置1の使用時の動作について説明する。
図7(A)は内視鏡装置1を用いて観察対象を観察しているときの支持具40の位置関係を示している。また、図7(B)及び図7(C)は内視鏡装置1を用いて観察対象を観察する動作が終了して、内視鏡装置1を携行するために支持具40を変形させる動作の一過程を示している。
本変形例の内視鏡装置1において、支持本体151は、傾斜端部151aにおいて支持本体151の軸方向に突出する側が挿入部10側に向き、傾斜端部151bにおいて支持本体151の軸方向に突出する側が把持部22側に向くように内視鏡装置1に装着される。
図7(A)に示すように、支持具40の本変形例の支持本体151は、支持本体51と同様に表示部30の幅方向で外側に張り出している。
図7(B)及び図7(C)に示すように、掛止部152、153が把持部22あるいは挿入部10に近接する位置に支持本体151が移動された後、支持本体151は操作部20の基端方向にさらに移動される。
【0044】
本変形例では、支持本体151が操作部20の基端側へ移動された状態で使用者は内視鏡装置1を携行することができる。このため、支持本体151の中央において支持本体151と連結部41とが固定された状態で内視鏡装置1を携行する場合に比べて、表示部30が使用者から離れた位置になるため、表示部30が使用者に当たりにくくなり、内視鏡装置1を安定して携行することができる。
さらに、支持本体151が操作部20の基端側へ移動されることで、内視鏡装置1を操作者が携行するときの操作部20は、支持本体151において掛止部153に近い位置で支持本体151と連結される。その結果、例えば操作部20の重心位置が把持部22よりにある場合に、操作部20の重量が帯部材61の端部のそれぞれに均等にかかり、また操作者の体幹(胴部)に対して操作部20が密着しやすくなるので、内視鏡装置1を安定して携行することができる。
【0045】
また、支持本体151が把持部22あるいは挿入部10に近接する位置にあるときは、支持本体151は、傾斜端部151a、151bにおいて操作部20の幅方向外側に位置する角A、角Bが鈍角になるように内視鏡装置1に取り付けられている。このため、上述の支持本体51が内視鏡装置1の幅方向に突出する量の大きさよりも、本変形例の支持本体151が内視鏡装置1の幅方向に突出する量の大きさを小さくすることができる。
また、支持本体151の傾斜端部151a、151bにおいて鋭角となる部分が内視鏡装置1の幅方向でそれぞれ内側を向いているので、鋭角の部分が操作者に接触することを抑制できる。
【0046】
(変形例2)
以下では、本実施形態の内視鏡装置1の変形例2について図8及び図9を参照して説明する。図8は、本変形例の内視鏡装置における支持具の一部の構成を示す三面図で、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。また、図9は、本変形例の内視鏡装置の一部の構成を示す平面図である。
【0047】
本変形例では、図8及び図9に示すように、支持具40は、変形例1で説明した支持本体151に代えて支持本体251を有している。さらに、内視鏡装置1の操作部20には、連結部41に代えて、操作部20に埋め込まれて形成された連結部141が設けられている。
【0048】
支持本体251は、掛止部152、153に代えて、支持本体251の端部に支持本体251を貫通して形成された孔状の掛止部252、253を有している。
掛止部252、253は、帯部材61の幅と等しい長さを有して形成された孔であり、掛止部252、253のそれぞれには、帯部材61の端部のそれぞれが通されて留められている。
連結部141は、操作部20に埋め込まれることで操作部20と一体に構成されている。連結部141には、取り付けねじ46がねじ込まれるねじ孔144が形成されている。
【0049】
本変形例では、連結部141と取り付けねじ46との間に支持本体251とばねワッシャー47とを介在させて取り付けねじ46をねじ孔144にねじ込むことで連結部141と支持本体251とを締め付けて固定することができる。連結部141が操作部20に埋め込まれて形成されているので、内視鏡装置1の携行時に連結部141が使用者に当たることなく、使用者は内視鏡装置1を安定して携行することができる。
また、連結部141と操作部20とが一体に構成されているので、連結部141を紛失する恐れがなくなると共に、軽微ではあるが内視鏡装置1の軽量化に貢献する。
【0050】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態の内視鏡装置について説明する。なお、本実施形態では、上述した第1実施形態の内視鏡装置1と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
まず、本実施形態の内視鏡装置の構成について図10ないし図12を参照して説明する。図10は、本実施形態の内視鏡装置の構成を示す斜視図である。また、図11は、本実施形態の内視鏡装置における挿入部の一部の構成を示す断面図である。また、図12(A)は本実施形態の内視鏡装置の本体部を示す側面図で、図12(B)は本実施形態の内視鏡装置に連結部が取り付けられた状態を示す側面図である。
【0051】
内視鏡装置2は、図10に示すように、挿入部10に代えて設けられた挿入部210と、操作部20に代えて設けられた本体部220とを備えている点で第1実施形態の内視鏡装置1と構成が異なっている。
【0052】
挿入部210は、内視鏡装置1と同様に可撓管部11、湾曲部12、撮像部14及び照明部15を先端210Aの側に向けてこの順に有している。また、可撓管部11の基端11Bの側には、可撓管部11よりも柔軟に形成された柔軟部211が設けられている。
【0053】
柔軟部211は、図11に示すように、可撓管部11と柔軟部211とにまたがって可撓管部11と柔軟部211とのそれぞれにおいてもっとも内側に配置された内チューブ110と、内チューブ110が内部に挿通されたブレードチューブ111と、ブレードチューブ111を被覆するように設けられた軟性チューブ212と、を有している。また、柔軟部211の基端211Bには、柔軟部211を本体部220に接続するための接続口金214が例えばハンダ付けによってブレードチューブ111に固定されている。
【0054】
内チューブ110は、例えば樹脂などの材料で形成されたチューブであり、可撓性を有している。
ブレードチューブ111は、金属の線材が編まれて形成されたチューブであり、可撓性を有している。
【0055】
軟性チューブ212は、可撓管部11においてブレードチューブ111に被覆された外チューブ112に口金213を介して固定されている。軟性チューブ212としては、加熱することによって収縮する熱収縮チューブを採用することができる。また軟性チューブ212は外チューブ112よりも柔らかい材料で形成されており、軟性チューブ212と外チューブ112との硬さに差があることで可撓管部11と柔軟部211との間に柔軟性の差が生じている。
【0056】
本実施形態では、図12(A)及び図12(B)に示すように本体部220は、把持部22及びジョイスティック21を有しており、内視鏡装置2おける操作部の機能を有している。さらに本体部220は、把持部22の内部に配置されたバッテリー271から電力の供給を受けて表示部30、湾曲部12、撮像部14及び照明部15のそれぞれを制御する制御部272を本体部220の内部に有している。
【0057】
また、本体部220において表示部30が取り付けられた位置と反対側の本体部の外面には、挿入部210の基端210Bに係合可能な第一爪部242と、把持部22に係合可能な第二爪部243とによって本体部220の外面に固定された連結部241が設けられている。
【0058】
連結部241には、上述の第1実施形態及びその変形例に示したねじ穴44、144と同様のねじ孔244が形成されており、取り付けねじ46によって例えば第1実施形態の変形例1で説明した支持本体151を連結部241に取り付けることができる。
【0059】
以上に説明した構成の、本実施形態の内視鏡装置2の使用時の動作について図13ないし図16を参照して説明する。図13は、内視鏡装置2の携行時の一過程を示す図である。また、図14は、内視鏡装置2の使用時の動作を説明するための動作説明図である。図15及び図16は、内視鏡装置2の使用時の一過程を示す図である。
【0060】
内視鏡装置2の携行時には、図13に示すように、内視鏡装置2の使用者は帯部材61を肩から掛けて内視鏡装置2を吊り下げて支持する。このとき、掛止部152は把持部22の側に、また掛止部153は挿入部210の側にそれぞれ位置する位置関係にある。
【0061】
内視鏡装置2を用いて観察対象を観察する場合には、図14に示すように、表示部30の横方向に掛止部152、153が張出すように、まず支持本体151を挿入部210側へ引き出し、続いて支持本体151を取り付けねじ46の軸回りに回動させる。
【0062】
使用者は、観察対象に対して例えば検査用開口部Xへ内視鏡装置2の挿入部210を先端10Aの側から挿入して観察対象を観察する。このとき、本体部220の重量は帯部材61を介して使用者の肩にかかっており、使用者が本体部220の把持部22を例えば上下方向へ移動させると本体部220は支持本体151の掛止部152、153を支点として揺動する。すると、表示部30が使用者に向かう方向が変化して例えば表示部30の視野角の範囲内で使用者が表示部30を視認しやすいように本体部220の角度を調整することができる。
【0063】
さらに、図16に示すように支持本体151は本体部220の表示部30よりも幅W2だけそれぞれ張り出しているので、本体部220の長手軸回りの本体部220の回動や揺動を少なく抑えることができる。
【0064】
このように、本実施形態の内視鏡装置2によっても、本体部220に設けられた表示部30を見る動作と、内視鏡装置2の本体部220を携行する動作とのそれぞれにおいて、連結部241に対して支持本体151を回動させて好適な位置関係を切り替えることができる。このため、本体部220に設けられた表示部30を好適に視認することができるとともに、内視鏡装置2の本体部220を安定して携行することができる。
また、支持本体151を操作部20の基端側へ移動させた状態で操作部20を携行することができるので、上述の内視鏡装置1と同様に内視鏡装置2を安定して携行することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述の第2実施形態では、柔軟部221において最も外側に位置する管を樹脂製のチューブとした例を示したが、これに限らず、例えば図17に示すように、柔軟部221としては蛇腹あるいはラセン管を採用して可撓管部11よりも柔軟性が高い柔軟部211Aを構成することもできる。
【0066】
さらに、柔軟部と可撓管部11との間に、挿入部210を支持するためのフック280を設けてもよい。この場合、挿入部210を吊り下げて支持できるので柔軟部が必要以上に垂れ下がることを抑制して挿入部210を好適な位置に配置して内視鏡装置を使用することができる。
さらに、例えば図18に示すようにフック280に代えて、柔軟部及び可撓管部11の軸方向に進退移動させ、柔軟部及び可撓管部11の外面に例えば摩擦係合させて固定可能なフック280Aを有していてもよい。
【0067】
また、上述の各実施形態では、吊り下げ部60は、帯状に形成された帯部材61を有する例を説明したが、帯部材61に代えて紐状に形成された紐部材を有していてもよい。
【0068】
また、上述の実施形態及び変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1、2 内視鏡装置
10、210 挿入部
10A、210A 先端
10B、210B 基端
11 可撓管部
12 湾曲部
14 撮像部
20 操作部
30 表示部
40 支持具
41、141、241 連結部
42 第一爪部
43 第二爪部
47 ばねワッシャー(付勢部材)
50 支持部
51、151、251 支持本体
52、53、152、153、252、253 掛止部
60 吊り下げ部
154 長孔部(被係合部)
220 本体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端と基端とを有する挿入部と、
前記挿入部の前記先端に固定され、観察対象の像を撮像する撮像部と、
前記挿入部の前記基端に固定され、前記挿入部及び前記撮像部を操作するための操作部と、
前記操作部に設けられ、前記撮像部によって撮像された前記像を表示する表示部と、
両端を結ぶ軸方向に前記表示部の幅寸法より長く延びて形成され、前記操作部を支持する支持部と、
前記操作部と前記支持部との間に介在されて前記操作部の外面の少なくとも一部に固定された連結部と、
前記操作部を前記支持部に回動可能に取り付ける固定部と、
前記支持部の前記両端のそれぞれに掛止された帯状あるいは紐状の吊り下げ部と、
を備える内視鏡装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記操作部において前記表示部が取り付けられた位置と反対側の前記操作部の外面に着脱可能に設けられている請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記連結部は、前記操作部の外面に係合可能な爪部を有する請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記支持部は、前記端部のそれぞれの間において前記軸方向に延びた被係合部を有し、
前記連結部は、前記被係合部に係合するとともに、前記被係合部に沿って前記軸方向に相対移動可能である請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記被係合部は、前記支持部を貫通して形成された長孔部である請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記固定部と前記支持部との間には、前記長孔部の縁部の少なくとも一部に接触して前記連結部と前記支持部との間に付勢力を生じさせる付勢部材が介在されている請求項5に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
先端と基端とを有する挿入部と、
前記挿入部の前記先端に固定され、観察対象の像を撮像する撮像部と、
前記挿入部の前記基端に固定され、前記挿入部及び前記撮像部を操作するための操作部が一体に設けられた本体部と、
前記本体部と一体に設けられ、前記撮像部によって撮像された前記像を表示する表示部と、
前記本体部の外面の少なくとも一部に固定された連結部と、
前記連結部に対して回動可能に連結され、両端を結ぶ軸方向に前記表示部の幅寸法より長く延びて形成された支持部と、
前記支持部の前記端部のそれぞれに掛止された帯状あるいは紐状の吊り下げ部と、
を備える内視鏡装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−62250(P2011−62250A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213492(P2009−213492)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】