説明

内視鏡診断装置

【課題】光強度の微弱な自家蛍光を高いS/Nで撮像することができる内視鏡診断装置を提供する。
【解決手段】複数の自家蛍光を同時に発光させる所定波長の励起光を発する光源LDと、注目自家蛍光の発光波長範囲を含む第1光を透過させる第1フィルタと、第1光の波長範囲内の光であって、注目自家蛍光の発光波長範囲を含まない第2光を透過させる第2フィルタを有すターレット74と、励起光が被検者に照射されることによって、同時に発せられ、第1および第2フィルタにより分光される、第1および第2自家蛍光の合成光を撮像して第1および第2自家蛍光画像を取得する撮像素子58Bと、合成光の撮像時に、それぞれ、第1および第2フィルタを通して撮像素子の画素で受光される光の有効露光量が調節され、第1および第2自家蛍光画像を画像処理して、注目自家蛍光に対応する注目自家蛍光画像を抽出し、表示装置に表示させる画像処理部70とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者(生体)の被観察領域に含まれる自家蛍光物質から発せられる自家蛍光を撮像して自家蛍光画像を取得する内視鏡診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置から発せられる通常光(白色光)を内視鏡先端部まで導光して被検者の被観察領域に照射し、その反射光を撮像して通常光画像(白色光画像)を取得し、通常光観察(白色光観察)を行う内視鏡装置が用いられている。これに対し、近年では、通常光観察に加えて、自家蛍光観察用の励起光(特殊光)を被検者の被観察領域に照射し、自家蛍光物質から発せられる自家蛍光を撮像して自家蛍光画像(特殊光画像)を取得し、自家蛍光観察(特殊光観察)を行う内視鏡装置が活用されている。
【0003】
自家蛍光観察を行う内視鏡装置として、例えば、特許文献1がある。特許文献1には、光源部から、可視領域の光、および、蛍光物質を励起するための、波長領域の異なる複数の励起光を生体へ順次照射し、励起波長選択フィルターにより、励起光の波長領域の光を遮断しつつ、可視領域の光および自家蛍光を透過させて、生体から時系列に出射される可視領域の光および自家蛍光を撮像素子で取得し、可視光像および蛍光像をモニタに表示する内視鏡装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−296635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、1種ずつ順次励起される自家蛍光を、1チャンネルの狭帯域波長フィルタ(励起波長選択フィルター)で受けるために、元々光強度が微弱な自家蛍光を捉えることが難しいという問題があった。
【0006】
これに対し、例えば、複数種の自家蛍光を同時に励起してその合成光を広帯域波長フィルタで受光すれば、撮像した自家蛍光画像において十分なS/N(信号/ノイズ)が得られるものの、各々の自家蛍光を分離することが難しいという問題があった。
【0007】
加えて、例えば、カラーCCD(固体撮像素子)等の撮像素子を利用して自家蛍光を撮像する場合、分光フィルタの配置は、通常光の撮像に適した配置である(一般的なベイヤー配列は、人間の目の感度に合わせて設計されており、緑色(G)2画素に対して、青色(B)1画素、赤色(R)1画素である)が、光強度が微弱で波長帯域ごとに異なる自家蛍光の成分の分離に最適な配置になっていないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、光強度の微弱な自家蛍光を高いS/Nで撮像することができる内視鏡診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の自家蛍光を同時に発光させる所定波長の励起光を発する光源と、
注目自家蛍光の発光波長範囲を含む第1光を透過させる分光透過特性を有する第1フィルタと、
前記第1光の波長範囲内の光であって、前記注目自家蛍光の発光波長範囲を含まない第2光を透過させる分光透過特性を有する第2フィルタと、
前記励起光が被検者の被観察領域に照射されることによって、該被観察領域から同時に発せられ、前記第1および第2フィルタにより分光される、第1および第2自家蛍光の合成光を撮像して第1および第2自家蛍光画像を取得する撮像素子と、
前記合成光の撮像時に、それぞれ、前記第1および第2フィルタを通して前記撮像素子の画素で受光される光の有効露光量を調節する露光量調節部と、
前記第1および第2自家蛍光画像を画像処理して、前記注目自家蛍光に対応する注目自家蛍光画像を抽出し、該注目自家蛍光画像を表示装置に表示させる画像処理部とを備えることを特徴とする内視鏡診断装置を提供するものである。
【0010】
ここで、前記第1および第2フィルタは、前記撮像素子の受光面に設けられたフィルタであり、
前記撮像素子は、前記合成光を前記第1および第2フィルタを通して同時に撮像する撮像素子であり、
前記露光量調節部は、前記第1フィルタの画素数よりも前記第2フィルタの画素数を多くすることにより、前記有効露光量を調節するものであることが好ましい。
【0011】
また、前記第1および第2フィルタは、前記撮像素子で受光される光の光路上に順次挿入されるフィルタであり、
前記撮像素子は、前記合成光を、前記光路上に挿入される前記第1または第2フィルタを通して面順次で撮像する撮像素子であり、
前記露光量調節部は、前記第1自家蛍光よりも前記第2自家蛍光の撮像時の露光時間を長くすることにより、前記有効露光量を調節するものであることが好ましい。
【0012】
また、前記第1および第2フィルタは、前記撮像素子で受光される光の光路上に順次挿入されるフィルタであり、
前記撮像素子は、前記合成光を、前記光路上に挿入される前記第1または第2フィルタを通して面順次で撮像する撮像素子であり、
前記露光量調節部は、前記第1自家蛍光よりも前記第2自家蛍光の撮像時の前記光源の駆動電流量を大きくすることにより、前記有効露光量を調節するものであることが好ましい。
【0013】
また、前記画像処理部は、前記第1および第2自家蛍光画像の差分を算出することにより、前記注目自家蛍光画像を抽出するものであることが好ましい。
【0014】
また、前記光源は、複数の自家蛍光を同時に発光させる、波長の異なる複数の励起光を同時に発するものであることが好ましい。
【0015】
さらに、白色光を発する第2光源と、
前記白色光が前記被検者の被観察領域に照射されることによって、該被観察領域から反射される反射光を撮像して白色光画像を取得する第2撮像素子とを備え、
前記画像処理部は、前記白色光画像と前記注目自家蛍光画像とを合成して合成画像を作成し、該合成画像を前記表示装置に表示させるものであることが好ましい。
【0016】
また、前記画像処理部は、前記注目自家蛍光画像を前記合成画像のGチャンネル、前記白色光画像を前記合成画像のBおよびRチャンネルに割り当てて、前記合成画像を疑似カラー表示するものであることが好ましい。
【0017】
また、前記注目自家蛍光は、トリプトファン、FAD、もしくは、ポルフィリンから発せられる自家蛍光であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、被観察領域に含まれる複数の自家蛍光物質から同時に発せられる自家蛍光の合成光を広帯域フィルタを通して撮像し、取得した2つの自家蛍光画像を画像処理して注目自家蛍光画像を抽出する。そのため、本発明によれば、1種の自家蛍光物質から発せられる自家蛍光を狭帯域フィルタを通して撮像する場合と比べて、光強度が大きく、S/Nを大幅に向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る内視鏡診断装置の構成を表す一実施形態の外観図である。
【図2】図1に示す内視鏡診断装置の内部構成を表す第1実施形態のブロック図である。
【図3】図1に示す内視鏡診断装置の内視鏡挿入部の先端部の様子を表す概念図である。
【図4】3種の自家蛍光物質から発せられる自家蛍光の波長帯域を表す一例のグラフである。
【図5】第1および第2フィルタの分光透過特性を表す一例のグラフである。
【図6】第1および第2フィルタの画素配列を表す一例の概念図である。
【図7】自家蛍光観察モードの場合の処理の流れを表す一例の概念図である。
【図8】第1および第2フィルタの分光透過特性を表す別の例のグラフである。
【図9】図1に示す内視鏡診断装置の内部構成を表す第3実施形態のブロック図である。
【図10】第1および第2フィルタの一例となるターレットの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明に係る内視鏡診断装置を詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る内視鏡診断装置の構成を表す一実施形態の外観図、図2は、その内部構成を表す第1実施形態のブロック図である。これらの図に示す内視鏡診断装置10は、通常光ないし自家蛍光観察用の励起光を発する光源装置12と、光源装置12から発せられる光を導光して被検者の被観察領域に照射し、被検者からの反射光ないし自家蛍光を撮像する内視鏡装置14と、内視鏡装置14で撮像された画像を画像処理して内視鏡画像を出力するプロセッサ装置16と、プロセッサ装置16から出力される内視鏡画像を表示する表示装置18と、入力操作を受け付ける入力装置20とによって構成されている。
【0022】
ここで、内視鏡診断装置10は、通常光(白色光)を被検者に照射し、その反射光を撮像して通常光画像(白色光画像)を表示(観察)する通常光観察モード(白色光観察モード)と、自家蛍光観察用の励起光(特殊光)を被検者に照射し、自家蛍光を撮像して自家蛍光画像(特殊光画像)を表示する自家蛍光観察モード(特殊光観察モード)とを有する。各観察モードは、内視鏡装置14の切り替えスイッチ66や入力装置20から入力される指示に基づき、適宜切り替えられる。
【0023】
光源装置12は、光源制御部22と、それぞれ中心波長の異なるレーザ光を発する2種のレーザ光源LD1,LD2と、コンバイナ(合波器)24と、カプラ(分波器)26とによって構成されている。
【0024】
本実施形態において、レーザ光源LD1,LD2からは、それぞれ、中心波長が330nm、445nmである、所定の波長範囲(例えば、中心波長±10nm)の狭帯域光が発せられる。レーザ光源LD1は、被検者の被観察領域に含まれる複数の自家蛍光物質、例えば、トリプトファン(Tryptophan)、FAD(Flavin Adenine Dinucleotide)、ポルフィリン(porphyrin)等から自家蛍光を同時に発光させるための励起光を照射する光源である。また、レーザ光源LD2は、後述するように、蛍光体から白色光(疑似白色光)を発生させるための励起光を発生する光源である。
【0025】
図4に示すように、トリプトファンは、約250〜360nmの波長範囲に含まれる、所定の中心波長の励起光が照射された場合に、約300〜380nmの波長範囲の自家蛍光を発する。FADは、約330〜400nmの波長範囲に含まれる、所定の中心波長の励起光が照射された場合に、約450〜550nmの波長範囲の自家蛍光を発する。ポルフィリンは、約350〜550nmの波長範囲に含まれる、所定の中心波長の励起光が照射された場合に、約610〜640nmの自家蛍光を発する。
【0026】
本実施形態の場合、自家蛍光観察用の励起光として、光源装置12から中心波長330nmのレーザ光が被検者に照射されると、トリプトファンおよびFADから自家蛍光が同時に発せられ、ポルフィリンからは自家蛍光が発せられない。
【0027】
なお、本実施形態では、複数の自家蛍光物質から同時に発せられる自家蛍光の合成光から抽出しようとする注目自家蛍光物質として、トリプトファン、FAD、ポルフィリンを例に挙げて説明するが、これらの自家蛍光物質に限定されるわけではない。
【0028】
レーザ光源LD1,LD2は、後述するプロセッサ装置16の制御部によって制御される光源制御部22によりそれぞれ個別にオンオフ制御および光量制御が行われ、各レーザ光源LD1,LD2の発光のタイミングや光量比率は変更自在になっている。レーザ光源LD1,LD2としては、ブロードエリア型のInGaN系レーザダイオードが利用でき、また、InGaNAs系レーザダイオードやGaNAs系レーザダイオード等を用いることもできる。
【0029】
なお、通常光を発生するための通常光光源は、励起光および蛍光体の組合せに限定されず、白色光を発するものであればよく、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、白色LED(発光ダイオード)などを利用することもできる。自家蛍光観察用の励起光を発生するための励起光光源も、レーザ光源(半導体レーザ)に限定されず、自家蛍光物質を励起して自家蛍光を発光させることができる十分な強度の励起光を照射できる各種の光源、例えば、白色光光源と帯域制限フィルタとの組合せ等を利用することができる。
【0030】
また、通常光観察用の励起光の波長(中心波長、狭帯域光の波長範囲)は、特に制限はなく、蛍光体から疑似白色光を発生させることができる波長の励起光が、全て利用可能である。自家蛍光観察用の励起光の波長も、特に制限はなく、複数の自家蛍光物質を同時に励起して自家蛍光を発光させることができる波長の励起光が、全て利用可能であり、例えば、波長330〜360nmの光、もしくは、波長350〜400nmの光を、好適に利用することができる。
【0031】
また、1種の中心波長の励起光を被検者に照射して、複数の自家蛍光物質から同時に自家蛍光を発光させることに限定されず、光源装置12から、複数の自家蛍光を同時に発光させるための、中心波長の異なる複数の励起光を同時に照射する構成としてもよい。また、本実施形態では、通常光光源と励起光光源とを別々に設けているが、両者を共通の光源で構成することも可能である。
【0032】
光源制御部22は、通常光観察モードの場合、レーザ光源LD1を消灯、レーザ光源LD2を点灯する。また、光源制御部22は、自家蛍光観察モードの場合、レーザ光源LD1を点灯、LD2を消灯する。
【0033】
各レーザ光源LD1,LD2から発せられるレーザ光は、集光レンズ(図示略)を介してそれぞれ対応する光ファイバに入力され、コンバイナ24により合波され、カプラ26により4系統の光に分波されてコネクタ部32Aに伝送される。コンバイナ24およびカプラ26は、ハーフミラー、反射ミラー等によって構成される。なお、これに限らず、コンバイナ24およびカプラ26を用いずに、各レーザ光源LD1,LD2からのレーザ光を直接コネクタ部32Aに送出する構成としてもよい。
【0034】
続いて、内視鏡装置14は、被検者内に挿入される内視鏡挿入部の先端から4系統(4灯)の光(通常光、ないし、自家蛍光観察用の励起光)を出射する照明光学系と、被観察領域の内視鏡画像を撮像する2系統(2眼)の撮像光学系とを有する、電子内視鏡である。内視鏡装置14は、内視鏡挿入部28と、内視鏡挿入部28の先端の湾曲操作や観察のための操作を行う操作部30と、内視鏡装置14を光源装置12およびプロセッサ装置16に着脱自在に接続するコネクタ部32A,32Bとを備える。
【0035】
内視鏡挿入部28は、可撓性を持つ軟性部34と、湾曲部36と、先端部(以降、内視鏡先端部とも表記する)38とから構成されている。
【0036】
湾曲部36は、軟性部34と先端部38との間に設けられ、操作部30に配置されたアングルノブ40の回動操作により湾曲自在に構成されている。この湾曲部36は、内視鏡装置14が使用される被検者の部位等に応じて、任意の方向、任意の角度に湾曲でき、内視鏡先端部38を、所望の観察部位に向けることができる。
【0037】
なお、図示していないが、操作部30及び内視鏡挿入部28の内部には、組織採取用処置具等を挿入する鉗子チャンネルや、送気・送水用のチャンネル等、各種のチャンネルが設けられている。
【0038】
内視鏡先端部38の先端面には、図3に示すように、被観察領域へ光を照射する2系統の照明窓42A,42B、被観察領域からの反射光ないし自家蛍光を撮像する1系統の観察窓44の他、鉗子口45等が配置されている。
【0039】
照明窓42Aの奥には、2系統の光ファイバ46A,48Aが収納されている。光ファイバ46A,48Aは、光源装置12からコネクタ部32Aを介してスコープ先端部38まで敷設されている。光ファイバ46Aの先端部(照明窓42A側)にはレンズ50A等の光学系が取り付けられている。一方、光ファイバ48Aの先端部には蛍光体54Aが配置され、さらに蛍光体54Aの先にレンズ52A等の光学系が取り付けられている。
【0040】
同様に、照明窓42Bの奥には、先端部にレンズ50B等の光学系を有する光ファイバ46Bと、先端部に蛍光体54Bおよびレンズ52B等の光学系を有する光ファイバ48Bの、2系統の光ファイバが収納されている。
【0041】
蛍光体54A,54Bは、レーザ光源LD2からの青色レーザ光の一部を吸収して緑色〜黄色に励起発光する複数種の蛍光物質(例えばYAG系蛍光物質、或いはBAM(BaMgAl1017)等の蛍光物質)を含んで構成される。通常光観察用の励起光が蛍光体54A,54Bに照射されると、蛍光体54A,54Bから発せられる緑色〜黄色の励起発光光(蛍光)と、蛍光体54A,54Bにより吸収されず透過した青色レーザ光とが合わされて、白色光(疑似白色光)が生成される。
【0042】
照明窓42A側および照明窓42B側の照明光学系は同等の構成および作用のものであって、照明窓42A,42Bから同時に同等の照明光を照射させることで照明むらを防止することができる。なお、照明窓42A,42Bからそれぞれ異なる照明光を照射させることもできる。また、4系統の照明光を出射する照明光学系を有することは必須ではなく、例えば、2系統ないし1系統の照明光を出射する照明光学系でも同等の機能を実現することができる。
【0043】
一方、観察窓44の奥には、レンズ56等の光学系が取り付けられ、レンズ56の奥には、ハーフミラー57が設けられている。そして、ハーフミラー57を透過する透過光の光路の先、および、ハーフミラー57で反射される反射光の光路の先には、被観察領域の画像情報を取得するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子58A、58Bが取り付けられている。撮像素子58Aは通常光観察用、撮像素子58Bは自家蛍光観察用である。自家蛍光の光強度(発光強度)は微弱であるため、本実施形態では、自家蛍光観察用の撮像素子58Bとして、通常光観察用の撮像素子58Aよりも高感度のものが使用されている。
【0044】
なお、ハーフミラー57に限定されず、例えば、全反射ミラーを受光光の光路上に出し入れすることによって、受光光を撮像素子58Aもしくは撮像素子58Bに振り分けてもよい。
【0045】
撮像素子58Aは、ハーフミラー57を透過する透過光を受光面(撮像面)で受光し、受光した光を光電変換して撮像信号(アナログ信号)を出力するものであって、R画素、G画素、B画素の3色の画素を1組として、複数組の画素がマトリクス状に配列されている。撮像素子58Aの受光面には、R画素、G画素、B画素に対応して、それぞれ、被観察領域からの可視光の約370〜720nmの波長範囲の反射光を3つの波長領域に分割してそれぞれ透過する分光透過特性を有する、R色、G色、B色のカラーフィルタが設けられている。
【0046】
なお、撮像素子58Aとして、カラーの撮像素子を使用してR色、G色、B色の画像を同時に撮像することは必須ではなく、モノクロの撮像素子と、R色、G色、B色のカラーフィルタとを組み合わせて、R色、G色、B色の画像を面順次で撮像してもよい。
【0047】
撮像素子58Bは、ハーフミラー57で反射される反射光を受光面で受光し、受光した光を光電変換して撮像信号(アナログ信号)を出力するものであって、第1画素および第2画素を1組として、複数組の画素がマトリクス状に配列されている。撮像素子58Bの受光面には、図5に示すように、第1画素、第2画素に対応して、それぞれ、自家蛍光物質から発せられる、約335〜640nmの波長範囲の自家蛍光および約365〜640nmの波長範囲の自家蛍光を透過する分光透過特性を有する、第1および第2フィルタが設けられている。
【0048】
ここで、被検者の被観察領域に自家蛍光観察用の励起光が照射されることによって、被観察領域に含まれる複数の自家蛍光物質から自家蛍光が同時に発せられ、全ての自家蛍光の合成光として、約335〜640nmの波長範囲の光が発せられる場合を考える。この場合、撮像素子58Bの第1および第2フィルタのそれぞれを通して第1および第2画素で受光される合成光の有効露光量(第1フィルタの分光透過率と第1帯域画像の受光感度との積、および、第2フィルタの分光透過率と第2帯域画像の受光感度との積)は、受光可能な波長範囲が広い分だけ、第1画素の方が第2画素よりも多くなる。
【0049】
本実施形態は、第1および第2画素の有効露光量の比が3:1の場合であって、第1および第2フィルタの画素は、図6に示すように、両者の有効露光量の差を打ち消すように1:3の割合で配列されている。同図では、第1および第2フィルタの画素を、それぞれ、“1”および“2”と記載している。また、同図に破線で示す4画素を1組とし、組内での配列を変えて、複数組が配列されている。これにより、第1および第2画素の有効露光量がほぼ同一となるように調節される。なお、有効露光量の差を完全に打ち消すことは必須ではなく、例えば、有効露光量が少ない方のフィルタの画素数を、有効露光量が多い方のフィルタの画素数よりも多くすることにより、両者の有効露光量の差を少しでも小さくすることができればよい。
【0050】
このように、第1および第2フィルタの画素数の割合を調節することにより、第1および第2画素の有効露光量を調節することは、本発明の露光量調節部の一実施形態となるものである。
【0051】
光源装置12から光ファイバ46A,46Bおよび48A,48Bによって導光された光は、内視鏡先端部38から被検者の被観察領域に向けて照射される。そして、光が照射された被観察領域からの反射光、もしくは、被観察領域の自家蛍光物質から発せられる自家蛍光がレンズ56により撮像素子58A、58Bの受光面上に結像され、撮像素子58A、58Bにより光電変換されて撮像される。撮像素子58A、58Bからは、撮像された被検者の被観察領域の撮像信号(アナログ信号)が出力される。
【0052】
ここで、通常光観察モードの場合、レーザ光源LD2から発せられた通常光観察用の励起光が光ファイバ48A,48Bによって導光されて蛍光体54A,54Bに照射され、蛍光体54A,54Bから発せられる白色光が、照明窓42A,42Bから被検者の被観察領域に照射される。そして、白色光が照射された被検者の被観察領域からの反射光がレンズ56により集光され、カラーフィルタにより分光され、撮像素子58Aによって通常光画像が撮像される。
【0053】
一方、自家蛍光観察モードの場合、レーザ光源LD1から発せられた自家蛍光観察用の励起光が光ファイバ46A,46Bによって導光され、内視鏡先端部38から、被検者の被観察領域に向けて照射される。そして、励起光が照射された被検者の被観察領域に含まれる複数の自家蛍光物質から同時に発せられる自家蛍光の合成光がレンズ56により集光され、第1および第2フィルタにより分光され、撮像素子58Bによって第1および第2自家蛍光画像が撮像される。
【0054】
自家蛍光観察用の励起光は、中心波長330nmのレーザ光であり、第1自家蛍光画像は、第1フィルタを通して、約335〜640nmの波長範囲の合成光を受光して撮像される。そのため、第1自家蛍光画像には、主にトリプトファンおよびFADの自家蛍光成分が含まれる。一方、第2自家蛍光画像は、第2フィルタを通して、約365〜640nmの波長範囲の合成光を受光して撮像される。そのため、第2自家蛍光画像には、主にFADの自家蛍光成分が含まれる。
【0055】
なお、撮像素子58Bには、自家蛍光観察用の励起光の波長範囲を含む光を透過する分光透過特性を有するフィルタは設けられていない。そのため、中心波長330nmの自家蛍光観察用の励起光はカットされ、撮像素子58Bの受光面には受光されない。
【0056】
撮像素子58A,58Bから出力される画像(通常光画像、自家蛍光画像)の撮像信号(アナログ信号)は、それぞれ、スコープケーブル62A,62Bを通じてA/D変換器64A,64Bに入力される。A/D変換器64A,64Bは、それぞれ、撮像素子58A,58Bからの撮像信号(アナログ信号)を画像信号(デジタル信号)に変換する。変換後の画像信号は、コネクタ部32Bを介してプロセッサ装置16の画像処理部70に入力される。
【0057】
続いて、プロセッサ装置16は、制御部68と、画像処理部70と、記憶部72とを備えている。制御部68には、表示装置18および入力装置20が接続されている。プロセッサ装置16は、内視鏡装置14の切り替えスイッチ66や入力装置20から入力される指示に基づき、光源装置12の光源制御部22を制御するとともに、内視鏡装置14から入力される画像信号を画像処理し、表示用画像を生成して表示装置18に出力する。
【0058】
制御部68は、内視鏡装置14の切り替えスイッチ66や入力装置20からの指示、例えば、観察モード等の指示に基づいて、画像処理部70および光源装置12の光源制御部22の動作を制御する。
【0059】
画像処理部70は、制御部68の制御の下で、観察モードに基づき、通常光画像、自家蛍光画像の画像種別に応じて、内視鏡装置14から入力される画像信号に対して所定の画像処理を施す。画像処理部70は、通常光画像処理部70Aと、自家蛍光画像処理部70Bとを備えている。
【0060】
通常光画像処理部70Aは、通常光観察モードの場合に、A/D変換器64Aから供給される通常光画像の画像信号(画像データ)に対して、通常光画像に適した所定の画像処理を施し、通常光画像信号(通常光画像)を出力(生成)する。
【0061】
自家蛍光画像処理部70Bは、自家蛍光観察モードの場合に、A/D変換器64Bから供給される自家蛍光画像の画像信号(画像データ)に対して、自家蛍光画像に適した所定の画像処理を施し、自家蛍光画像信号(自家蛍光画像)を出力(生成)する。
【0062】
画像処理部70で処理された画像信号は、制御部68に送られる。制御部68では、観察モードに従って、通常光画像信号、自家蛍光画像信号に基づき、通常光画像、もしくは、通常光画像および自家蛍光画像の合成画像が表示装置18に表示される。また、制御部68の制御により、通常光画像信号、自家蛍光画像信号は、必要に応じて、例えば、1枚(1フレーム)の画像を単位として、メモリやストレージ装置からなる記憶部72に記憶される。
【0063】
次に、内視鏡診断装置10の作用を説明する。
【0064】
通常光観察モードの場合、光源制御部22の制御により、レーザ光源LD1が消灯され、レーザ光源LD2が点灯される。レーザ光源LD2から発せられた中心波長445nmのレーザ光は蛍光体54A,54Bに照射され、蛍光体54A,54Bから白色光が発せられる。蛍光体54A,54Bから発せられた白色光は被検者に照射され、その反射光が撮像素子58Aで受光されて、R,G,Bチャンネルの画像信号を含む通常光画像が撮像される。通常光画像は、そのB,G,Rチャンネルの画像信号に基づいてカラー表示される。
【0065】
自家蛍光観察モードの場合、例えば、2フレームを単位として、撮像が繰り返し行われる。2フレームのうち、1フレーム目は通常光観察モードと同じ観察モードであり、2フレーム目が自家蛍光観察モードに固有の観察モードである。
【0066】
図7に示すように、まず、1フレーム目の通常光観察モードでは、前述のように、白色光が被検者に照射され(S1)、R,G,Bチャンネルの画像信号を含む通常光画像が撮像される(S2)。そして、その通常光画像信号が、制御部68の制御により記憶部72に記憶される。
【0067】
続いて、2フレーム目の自家蛍光観察モードでは、光源制御部22の制御により、レーザ光源LD1が点灯され、LD2が消灯される。レーザ光源LD1から発せられた中心波長330nmのレーザ光(励起光)が被検者の被観察領域に照射されることによって(S3)、被観察領域に含まれるトリプトファンおよびFADから同時に自家蛍光が発せられる(S4)。そして、両者の自家蛍光の合成光が撮像素子58Bで受光されて、第1および第2自家蛍光画像が同時に撮像される(S5)。
【0068】
前述のように、撮像素子58Bの第1および第2フィルタのそれぞれを通して撮像素子58Bの第1および第2画素で受光される合成光の有効露光量は、受光可能な波長範囲が広い分だけ、第1画素の方が第2画素よりも多くなる。しかし、第1および第2フィルタの画素は、両者の有効露光量の差を打ち消すような割合で配列されているため、第1および第2画素の有効露光量がほぼ同一となるように調節される(S6)。
【0069】
前述のように、第1自家蛍光画像には、主にトリプトファンおよびFADの自家蛍光成分が含まれる。一方、第2自家蛍光画像には、主にFADの自家蛍光成分が含まれる。自家蛍光画像処理部70Bは、第1自家蛍光画像から第2自家蛍光画像を減算し、両者の差分を算出する。これにより、トリプトファンの自家蛍光に対応する自家蛍光画像が抽出される(S7)。
【0070】
なお、注目自家蛍光画像を抽出するために、第1および第2自家蛍光画像の差分を算出することは限定されず、例えば、マトリクス演算や割算等を含む各種の画像処理を第1および第2自家蛍光画像に施すことにより、注目自家蛍光画像を抽出してもよい。
【0071】
自家蛍光画像は、通常光画像と比べて光強度が非常に微弱である。そのため、特許文献1のように、1種の自家蛍光物質から発せられる自家蛍光を狭帯域フィルタを通して撮像すると、光強度が非常に小さく、S/Nが悪くなるという問題がある。
【0072】
これに対し、本実施形態の内視鏡診断装置10では、被観察領域に含まれる複数の自家蛍光物質から同時に発せられる自家蛍光の合成光を広帯域フィルタを通して撮像し、取得した2つの自家蛍光画像を画像処理して注目自家蛍光画像を抽出する。そのため、1種の自家蛍光物質から発せられる自家蛍光を狭帯域フィルタを通して撮像する場合と比べて、光強度が大きく、S/Nを大幅に向上させることができるという効果がある。
【0073】
また、自家蛍光画像処理部70Bにより、通常光画像と自家蛍光画像との合成画像において自家蛍光画像を適切に観察できるようにするために、両者の特性(γ値、輝度レベル、コントラスト等)のバランスを適切に調節する信号増幅処理等が施される(S8)。
【0074】
そして、記憶部72に記憶された通常光画像信号に対応する通常光画像と、トリプトファンもしくはFADの自家蛍光画像とが合成され、両者の合成画像が表示装置18に表示される。ここで、注目自家蛍光画像の画像信号を合成画像のGチャンネル、通常光画像のRチャンネルおよびBチャンネルの画像信号を、それぞれ、合成画像のRチャンネルおよびBチャンネルに割り当てることによって、合成画像が疑似カラー表示される(S8)。
【0075】
なお、自家蛍光観察モードの場合、2フレームを単位として、撮像を繰り返し行うことは必須ではない。また、合成画像を疑似カラー表示する場合に、どの画像の画像信号を、合成画像のどの色のチャンネルに割り当てるのかは任意である。また、合成画像を疑似カラー表示することも必須ではなく、例えば、通常光画像と自家蛍光画像とを重ね合わせて表示したり、並べて表示したりしてもよい。
【0076】
次に、第2の実施形態の内視鏡診断装置として、複数の自家蛍光の合成光からポルフィリンの自家蛍光を抽出する場合を説明する。
【0077】
第2の実施形態の内視鏡診断装置では、自家蛍光観察モードの場合に、自家蛍光観察用の励起光として、光源装置12のLD1から、中心波長380nm(または、365nm)のレーザ光が照射される。
【0078】
一方、撮像素子58Bの受光面には、図8に示すように、第1画素、第2画素に対応して、それぞれ、自家蛍光物質から発せられる、約450〜600nmの波長範囲の自家蛍光および約450〜650nmの波長範囲の自家蛍光を透過する分光透過特性を有する、第1および第2フィルタが設けられている。同様に、第1および第2フィルタの画素は、第1および第2画素の有効露光量の差を打ち消すような割合で配列されている。
【0079】
第2実施形態の内視鏡診断装置では、自家蛍光観察モードの場合、レーザ光源LD1から発せられた中心波長380nmのレーザ光(励起光)が被検者の被観察領域に照射されることによって、被観察領域に含まれるFADおよびポルフィリンから同時に自家蛍光が発せられる。そして、両者の自家蛍光の合成光が撮像素子58Bで受光されて、第1および第2自家蛍光画像が同時に撮像される。
【0080】
第1自家蛍光画像には、主にFADおよびポルフィリンの自家蛍光成分が含まれ、第2自家蛍光画像には、主にFADの自家蛍光成分が含まれる。自家蛍光画像処理部70Bでは、第2自家蛍光画像から第1自家蛍光画像を減算し、両者の差分を算出することにより、ポルフィリンの自家蛍光に対応する自家蛍光画像が抽出される。これ以後の動作は第1の実施形態の場合と同様である。
【0081】
上記のように、複数の自家蛍光の合成光から、ポルフィリンの自家蛍光の成分を抽出することができる。また、これに限らず、あらゆる組合せの合成光から、任意の自家蛍光物質の自家蛍光成分を抽出することができる。
【0082】
次に、第3実施形態の内視鏡診断装置について説明する。
【0083】
図9は、図1に示す内視鏡診断装置の内部構成を表す第3実施形態のブロック図である。第3の実施形態の内視鏡診断装置80は、第1の実施形態の内視鏡診断装置10において、撮像素子58Bがモノクロの撮像素子であり、自家蛍光観察モードの場合に、その受光面で受光される光(反射光)の光路上に順次挿入される第1および第2フィルタを備えるものである。
【0084】
第1および第2フィルタは、反射光の光路上に垂直に挿入され、制御部68により制御される回転制御部(図示省略)により回転制御されるターレット74で構成されている。ターレット74には、図10に示すように、第1フィルタ部76および第2フィルタ部78が形成されている。自家蛍光観察モードの場合、ターレット74が回転されることにより、第1フィルタ部76および第2フィルタ部78が光路上に順次挿入される。
【0085】
なお、第1および第2フィルタは、ターレット74に限らず、例えば、第1フィルタおよび第2フィルタを別個に設け、それぞれを順次反射光の光路上に出し入れする構成としてもよい。
【0086】
第3実施形態の内視鏡診断装置80では、自家蛍光観察モードの場合に、第1フィルタ部76および第2フィルタ部78が反射光の光路上に順次挿入され、撮像素子58Bにより、第1および第2自家蛍光が面順次で撮像される。
【0087】
第1フィルタ部76および第2フィルタ部78は、第1実施形態の場合と同様に、自家蛍光物質から発せられる、約335〜640nmの波長範囲の自家蛍光および約365〜640nmの波長範囲の自家蛍光を透過する分光透過特性を有する。
【0088】
また、第1および第2フィルタは、自家蛍光観察モードの場合に、制御部68の制御により、第1および第2自家蛍光画像の撮像時の撮像素子58Bの画素(以下、第1および第2画素という)の有効露光量の差を打ち消すように挿入時間が調節されて、反射光の光路上に挿入される。これにより、第1および第2自家蛍光が撮像素子58Bで撮像される場合に、第1自家蛍光よりも第2自家蛍光の露光時間の方が長くなるように調節される。
【0089】
同様に、第1および第2画素の有効露光量の比が3:1の場合、第2フィルタ部78の挿入時間は、第1フィルタ部76の挿入時間の3倍の時間とされる。これにより、第1および第2画素の有効露光量がほぼ同一となるように調節される。なお、両者の有効露光量の差を完全に打ち消すことは必須ではなく、有効露光量が少ない方の挿入時間を、有効露光量が多い方の挿入時間よりも長くすることにより、両者の差を少しでも小さくすることができればよい。
【0090】
このように、第1フィルタ部76および第2フィルタ部78の挿入時間を調節することにより、第1および第2画素の有効露光量を調節することは、本発明の露光量調節部の一実施形態となるものである。
【0091】
内視鏡診断装置では、自家蛍光観察モードの場合、レーザ光源LD1から発せられた中心波長330nmのレーザ光(励起光)が被検者の被観察領域に照射されることによって、被観察領域に含まれるトリプトファンおよびFADから同時に自家蛍光が発せられる。
【0092】
そして、ターレット74が回転されて、まず、第1フィルタ部76が反射光の光路上に挿入され、自家蛍光の合成光が撮像素子58Bで受光されて、第1自家蛍光画像が撮像される。続いて、第2フィルタ部78が光路上に挿入され、自家蛍光の合成光が撮像素子58Bで受光されて、第2自家蛍光画像が撮像される。この時、第1フィルタ部76および第2フィルタ部78の挿入時間が調節されることにより、第1および第2画素の有効露光量がほぼ同一となるように調節される。
【0093】
第1自家蛍光画像には、主にトリプトファンおよびFADの自家蛍光成分が含まれ、第2自家蛍光画像には、主にFADの自家蛍光成分が含まれる。自家蛍光画像処理部70Bでは、第1自家蛍光画像から第2自家蛍光画像を減算し、両者の差分を算出することにより、トリプトファンの自家蛍光に対応する自家蛍光画像が抽出される。これ以後の動作は第1の実施形態の場合と同様である。
【0094】
上記のように、第1フィルタ部76および第2フィルタ部78の挿入時間、言い換えると、第1および第2自家蛍光の露光時間を調節することにより、第1および第2画素の有効露光量がほぼ同じになるように調節することができる。また、これに限らず、例えば、第1自家蛍光よりも第2自家蛍光の撮像時のレーザ光源の駆動電流量を大きくすることにより、第1および第2画素の有効露光量を調節することも可能である。
【0095】
なお、露光量調節部は、第1および第2自家蛍光の撮像時に、それぞれ、第1および第2フィルタを通して撮像素子58Bの第1および第2画素で受光される光の有効露光量を調節することができるものであれば何ら限定されない。
【0096】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0097】
10、80 内視鏡診断装置
12 光源装置
14 内視鏡装置
16 プロセッサ装置
18 表示装置
20 入力装置
22 光源制御部
24 コンバイナ
26 カプラ
28 内視鏡挿入部
30 操作部
32A,32B コネクタ部
34 軟性部
36 湾曲部
38 先端部
40 アングルノブ
42A,42B 照明窓
44 観察窓
45 鉗子口
46A,46B,48A,48B 光ファイバ
50A,50B,52A,52B,56 レンズ
54A,54B 蛍光体
57 ハーフミラー
58A,58B 撮像素子
62A,62B スコープケーブル
64A,64B A/D変換器
66 切り替えスイッチ
68 制御部
70 画像処理部
70A 通常光画像処理部
70B 自家蛍光画像処理部
72 記憶部
74 ターレット
76 第1フィルタ部
78 第2フィルタ部
LD1,LD2 レーザ光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自家蛍光を同時に発光させる所定波長の励起光を発する光源と、
注目自家蛍光の発光波長範囲を含む第1光を透過させる分光透過特性を有する第1フィルタと、
前記第1光の波長範囲内の光であって、前記注目自家蛍光の発光波長範囲を含まない第2光を透過させる分光透過特性を有する第2フィルタと、
前記励起光が被検者の被観察領域に照射されることによって、該被観察領域から同時に発せられ、前記第1および第2フィルタにより分光される、第1および第2自家蛍光の合成光を撮像して第1および第2自家蛍光画像を取得する撮像素子と、
前記合成光の撮像時に、それぞれ、前記第1および第2フィルタを通して前記撮像素子の画素で受光される光の有効露光量を調節する露光量調節部と、
前記第1および第2自家蛍光画像を画像処理して、前記注目自家蛍光に対応する注目自家蛍光画像を抽出し、該注目自家蛍光画像を表示装置に表示させる画像処理部とを備えることを特徴とする内視鏡診断装置。
【請求項2】
前記第1および第2フィルタは、前記撮像素子の受光面に設けられたフィルタであり、
前記撮像素子は、前記合成光を前記第1および第2フィルタを通して同時に撮像する撮像素子であり、
前記露光量調節部は、前記第1フィルタの画素数よりも前記第2フィルタの画素数を多くすることにより、前記有効露光量を調節するものである請求項1に記載の内視鏡診断装置。
【請求項3】
前記第1および第2フィルタは、前記撮像素子で受光される光の光路上に順次挿入されるフィルタであり、
前記撮像素子は、前記合成光を、前記光路上に挿入される前記第1または第2フィルタを通して面順次で撮像する撮像素子であり、
前記露光量調節部は、前記第1自家蛍光よりも前記第2自家蛍光の撮像時の露光時間を長くすることにより、前記有効露光量を調節するものである請求項1に記載の内視鏡診断装置。
【請求項4】
前記第1および第2フィルタは、前記撮像素子で受光される光の光路上に順次挿入されるフィルタであり、
前記撮像素子は、前記合成光を、前記光路上に挿入される前記第1または第2フィルタを通して面順次で撮像する撮像素子であり、
前記露光量調節部は、前記第1自家蛍光よりも前記第2自家蛍光の撮像時の前記光源の駆動電流量を大きくすることにより、前記有効露光量を調節するものである請求項1に記載の内視鏡診断装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記第1および第2自家蛍光画像の差分を算出することにより、前記注目自家蛍光画像を抽出するものである請求項1〜4のいずれかに記載の内視鏡診断装置。
【請求項6】
前記光源は、複数の自家蛍光を同時に発光させる、波長の異なる複数の励起光を同時に発するものである請求項1〜5のいずれかに記載の内視鏡診断装置。
【請求項7】
さらに、白色光を発する第2光源と、
前記白色光が前記被検者の被観察領域に照射されることによって、該被観察領域から反射される反射光を撮像して白色光画像を取得する第2撮像素子とを備え、
前記画像処理部は、前記白色光画像と前記注目自家蛍光画像とを合成して合成画像を作成し、該合成画像を前記表示装置に表示させるものである請求項1〜6のいずれかに記載の内視鏡診断装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、前記注目自家蛍光画像を前記合成画像のGチャンネル、前記白色光画像を前記合成画像のBおよびRチャンネルに割り当てて、前記合成画像を疑似カラー表示するものである請求項7に記載の内視鏡診断装置。
【請求項9】
前記注目自家蛍光は、トリプトファン、FAD、もしくは、ポルフィリンから発せられる自家蛍光である請求項1〜8のいずれかに記載の内視鏡診断装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−217670(P2012−217670A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87011(P2011−87011)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】