説明

内視鏡

【課題】 フレックスが締め付けられることを防止した状態で、可撓管と接続口金との間を固定するのに所望の固定強度を得ることができる内視鏡を提供する。
【解決手段】 内視鏡は、その挿入部12に、蛇管26と、操作部に接続するための接続口金100とを備えている。蛇管26は、薄い帯状板を螺旋状に巻回したフレックス62と、このフレックス62の外側を覆うブレード64と、このブレード64の外側に被覆される外皮66とを備えている。そして、接続口金100は、蛇管26の基端部に塑性変形加工されて固定されている。そして、フレックス62の端部は、フレックス62の帯状板の移動(変位)を防止するように、接続口金100に溶接により固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば医療用や産業用など、種々の目的に用いられる内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内視鏡の挿入部やユニバーサルケーブル等に用いられる可撓管(蛇管)を製造する際には、螺旋管(フレックス)と網状管(ブレード)とをロウ接した部分(硬質部)に対して、接続口金を接着により固定するのが一般的である。しかし、ロウ接には、その後のフラックス洗浄工程が必要であるし、接着には乾燥までの放置時間が必要である。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、2つの接続口金で、内側および外側から網状管を挟着する方法が開示されている。この方法を応用して、可撓管を形成する螺旋管、網状管および外皮の3層全てを、2つの接続口金で可撓管の内側および外側から挟着することが考えられる。この方法を実現させると、可撓管の製造の最終工程において、可撓管上の任意の場所を切断して接続口金を取り付けることができ、完成時の全長を安定させることができる。
【0004】
そして、このような方法は、内側の接続口金に、その内側の接続口金が縮径するのを防止するように芯金を挿通した状態で、外側の接続口金を締め付け(カシメ)、塑性変形させることで実現される。
【特許文献1】特開昭57−171311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、網状管および外皮は、接続口金に簡単にカシメることができる。一方、螺旋管は、螺旋状に形成されているので、螺旋管を締め付けるのに伴ってその螺旋に沿って螺旋管自体が移動する。すなわち、螺旋管の内径が小さくなる方向に移動して、螺旋管が引き締められる。したがって、螺旋管の内側にある芯金が螺旋管により締め付けられる。このため、芯金を可撓管から抜去することができなくなることがある。そうすると、螺旋管を強固に締め付けることができないということになるので、可撓管と接続口金との間を固定するのに所望の固定強度を得ることができないことになる。
【0006】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、螺旋管が締め付けられることを防止した状態で、可撓管と接続口金との間を固定するのに所望の固定強度を得ることができる内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明に係る内視鏡は、可撓管と、接続口金と、螺旋管変位防止手段とを備えている。そして、可撓管は、薄い帯状板を螺旋状に巻回した螺旋管と、前記螺旋管の外側を覆う網状管と、前記網状管の外側に被覆される外皮とを有する。また、接続口金は、前記可撓管の端部に塑性変形加工されて固定されている。そして、螺旋管変位防止手段は、前記可撓管の端部に前記接続口金が固定される際に、前記可撓管の前記接続口金が固定される端部で、前記螺旋管の前記帯状板の変位を防止する。
可撓管の端部に接続口金が固定される際に、螺旋管の帯状板の端部の変位を防止することによって、接続口金が可撓管の端部に塑性変形加工される際に、螺旋管の帯状板の端部の変位を防止することができる。このため、可撓管に対して塑性変形加工により接続口金を固定する際に、螺旋管の引き締まりを防止した状態で固定することができる。そうすると、塑性変形加工の際に可撓管の内部に挿入される芯金を、塑性変形加工後に容易に抜去することができる。また、接着剤等を用いていないので、接続口金を可撓管に固定する作業を簡便かつ短時間で行うことができる。
【0008】
また、前記螺旋管変位防止手段は、前記可撓管の前記接続口金が固定された端部で、前記螺旋管の軸方向に隣接する帯状板の端部同士を密着させるとともに、前記螺旋管の端部を前記接続口金に突き当てるようにしたことが好適である。
螺旋管の軸方向に隣接する帯状板の端部同士を密着させるとともに、螺旋管の端部を接続口金に突き当てた状態とすると、帯状板の螺旋方向の端部同士の変位を防止することができるとともに、螺旋管の軸方向の変位も防止することができる。
【0009】
また、前記接続口金は、前記可撓管の端部の内側に配設される内口金を備え、前記内口金は、前記螺旋管の軸方向に隣接する帯状板の端部同士を密着状態に固定するようにしたものの端部を突き当てる突き当て部を備えていることが好適である。
このように、内口金の突き当て部に螺旋管の端部が突き当てられるので、螺旋管を接続口金の内口金に対して軸方向に位置決めすることができる。
【0010】
また、前記接続口金は、前記可撓管の端部の外側に配設される外口金を備え、前記外口金は、前記螺旋管の軸方向に隣接する帯状板の端部同士を密着状態に固定するようにしたものの端部を突き当てる突き当て部を備えていることが好適である。
【0011】
このように、外口金の突き当て部に螺旋管の端部が突き当てられるので、螺旋管を接続口金の外口金に対して軸方向に位置決めすることができる。
【0012】
また、前記接続口金は、前記可撓管の端部の内側に配設される内口金と、前記可撓管の端部の外側に配設される外口金とを備え、前記螺旋管変位防止手段は、前記内口金の外側に前記螺旋管を固定して前記螺旋管の変位を防止するようにしたことが好適である。
内口金の外側で螺旋管を固定しているので、螺旋管の帯状板の変位を防止した状態で外口金を塑性変形加工して、可撓管の端部に接続口金を固定することができる。
【0013】
また、前記螺旋管変位防止手段は、前記内口金に、前記螺旋管の端部を突き当てる突き当て部を備えていることが好適である。
内口金の突き当て部に螺旋管の端部を突き当てることによって、螺旋管の軸方向への移動を防止するとともに、螺旋管の軸方向に対する位置決めを行うことができる。
【0014】
また、前記螺旋管変位防止手段は、前記内口金の外周に、前記螺旋管の帯状板が嵌合される溝部を備えていることが好適である。
【0015】
溝部に螺旋管の帯状板が嵌合され、かつ、螺旋管の端部が内口金の突き当て部に突き当てられることによって、螺旋管が帯状板の螺旋方向および軸方向に移動することを防止して、接続口金を可撓管に固定することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、螺旋管が締め付けられることを防止した状態で、可撓管と接続口金との間を固定するのに所望の固定強度を得ることができる内視鏡を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について説明する。
【0018】
第1の実施の形態について図1ないし図7を用いて説明する。
図1に示すように、内視鏡10は、狭小空間に挿入される挿入部12と、この挿入部12の基端部に配設された操作部14と、この操作部14から延出されたユニバーサルケーブル16とを備えている。
【0019】
挿入部12は、先端硬質部22と、この先端硬質部22の基端部に配設された湾曲部24と、この湾曲部24の基端部に配設された蛇管(可撓管)26とを備えている。また、操作部14は、把持部32aを有する操作部本体32と、この操作部本体32に配設された湾曲操作ノブ34と、蛇管26の基端部に配設されているとともに操作部本体32の把持部32aに配設された折れ止め36とを備えている。ユニバーサルケーブル16は、操作部本体32から延出された可撓管42と、この可撓管42のうち操作部本体32に対して遠位側の端部に配設されたコネクタ44と、可撓管42のうち操作部本体32に対して近位側の端部に配設された折れ止め46とを備えている。
【0020】
そして、図2に示すように、挿入部12の湾曲部24は、操作部14の操作により湾曲される湾曲管52と、この湾曲管52の外側に配設された被覆チューブ54とを備えている。湾曲管52は、複数の湾曲駒52aが軸方向に互いに対して回動可能に連結されることにより形成されている。そして、各湾曲駒52aの内側には、例えば1対の操作ワイヤ56が挿通されている。これら操作ワイヤ56は、操作部14の湾曲操作ノブ34に基端が固定され、湾曲管52の最も先端の湾曲駒52aまたは先端硬質部22に先端が固定されている。すなわち、操作ワイヤ56は、挿入部12の湾曲部24および蛇管26の内部に挿通されている。
【0021】
なお、各操作ワイヤ56は、被覆コイル58により被覆されている。これら被覆コイル58の先端は、後述する第1の接続口金70の内周面に接着やロウ接(ロウ付けまたは半田付け)等により固定されている。そして、これら被覆コイル58は、蛇管26の基端側まで配設されている。また、これら被覆コイル58の基端は、後述する第2の接続口金100に固定されていても良いし、いわゆる自由端であっても良い。
【0022】
蛇管26は、フレックス(螺旋管)62と、このフレックス62の外側に配設されたブレード(網状管)64と、このブレード64の外側に配設された外皮66とを備えている。
【0023】
フレックス62は、例えばステンレス鋼材製の薄い帯状板が螺旋状に巻回されて、略円管状に形成されている。フレックス62の帯状板の横幅は、例えば3mm程度である。このフレックス62の先端は、フレックス62の長手方向の中心軸に対して略90度(90度を含む)となるようにカットされている。
【0024】
ブレード64は、図3に示すように、例えばステンレス鋼材製の複数の素線64aが束にされた素線束を編み込んだものが略円管状に形成されている。また、外皮66は、例えばゴム材などのフレキシブル性を有する樹脂材によりブレード64の外側を覆うように略円管状に形成されている。
【0025】
そして、湾曲部24の湾曲管52の基端と、蛇管26の先端とは、第1の接続口金(湾曲部用接続口金)70を介して接続されている。
図2に示すように、第1の接続口金70は、例えばステンレス鋼材などの金属材等により略円筒状に形成されている。この第1の接続口金70の先端部には、湾曲管52の最も基端側の湾曲駒52aを接続するための接続ピン(または接続ビス)52bが配設されるように貫通し、例えば対向する1対の開口72が形成されている。第1の接続口金70のうち開口72が形成された部位の基端側には、径方向外方に向かって突出したフランジ部74が形成されている。さらに、この第1の接続口金70の基端部の内周面には、第1の接続口金70の先端部よりも内径が大きく形成された凹部76が形成されている。
【0026】
第1の接続口金70の内周面は、その先端から凹部76の先端までは面一である。そして、第1の接続口金70の凹部76は、第1の接続口金70の先端から凹部76の先端までに対して内径が大きく形成されている。また、第1の接続口金70の外周面は、その先端からフランジ部74までの方が、フランジ部74から凹部76が形成された位置の外周面よりも薄肉に形成されている。さらに、第1の接続口金70の外周面は、フランジ部74から基端まで面一である。すなわち、第1の接続口金70の肉厚は、第1の接続口金70の軸方向に沿って、フランジ部74から凹部76の先端までの位置が最も厚く形成されている。
【0027】
そして、第1の接続口金70の先端からフランジ部74までの肉厚は、1対の開口72に第1の接続口金70の外側から配設される接続ピン52bの頭部の大きさを考慮した肉厚に形成されていることが好適である。具体的には、第1の接続口金70の開口72に配設した接続ピン52bの頭部の頂部が、フランジ部74の頂部に対して同じか、それよりも低い位置あることが好適である。
【0028】
また、第1の接続口金70の凹部76の内径は、フレックス62単体を自然状態(一切の外力が加わらない状態)に置いたときに、フレックス62の外周面を凹部76の内周面に密着させるように、フレックス62の外径と同じかそれよりも小さく形成されている。また、フレックス62の先端はその軸方向に対して略90度にカットされている。このため、フレックス62の外周面を第1の接続口金70の凹部76の内周面に付勢しつつ、フレックス62の先端が凹部76の先端の段差部分に当接されている。すなわち、フレックス62の先端が第1の接続口金70の凹部76に位置決めされた状態で嵌合されている。
【0029】
図2(A)に示すように、第1の接続口金70とフレックス62とは、このように嵌合された状態で、第1の接続口金70とフレックス62とが重なり合った箇所(軸方向に沿ってその幅が例えば略1mm程度あれば良い)のみ第1の接続口金70の外側からレーザでスポット溶接が適当な間隔に行われ、または、レーザによるスポット溶接が繰り返し行われて、所定の間隔に溶接または連続した周状(弧状)に溶接された溶接部が形成されている。すなわち、溶接部は、第1の接続口金70に対して周方向または、フレックス62の螺旋に沿って形成されている。このとき、レーザによる溶接は、第1の接続口金70を瞬間加熱するため、外皮66の近くで溶接を行っても、第1の接続口金70から外皮66に熱が伝えられることが極力防止される。
【0030】
さらに、第1の接続口金70のフランジ部74の基端側であって、第1の接続口金70の外側には、ブレード64の先端が配設されている。そして、ブレード64の外側には、カシメ部材80が配設されている。このカシメ部材80は、例えばステンレス鋼材などの金属材で、軸方向の幅が略2mm程度に形成されている。なお、このカシメ部材80は、リング状のほか、例えばC字状などであることも好適である。
【0031】
そして、カシメ部材80は、第1の接続口金70のフランジ部74に略当接した状態に位置決めされている。すなわち、第1の接続口金70のフランジ部74は、カシメ部材80の位置決め部材として機能する。ここで、カシメ部材80の軸方向の長さは、適宜に設定可能であるが、カシメ部材80の基端部が第1の接続口金70の凹部76の先端の外周の位置と同じか、それよりも先端側の位置にあることが好適である。このため、第1の接続口金70のフランジ部74の基端面と、凹部76の先端との間の長さは、カシメ部材80が上述したように略2mm程度であれば、それよりも僅かに大きく形成されていれば良い。そして、カシメ部材80が第1の接続口金70の外側に対してカシメられた(塑性変形加工された)とき、カシメ部材80が第1の接続口金70に対してフランジ部74により位置決めされているとともに、ブレード64を第1の接続口金70の外側とカシメ部材80の内側との間に挟持して固定している。
【0032】
そして、このように湾曲部24の湾曲管52および蛇管26がそれぞれ第1の接続口金70に対して固定された状態で、湾曲部24の被覆チューブ54が外側から被覆されている。被覆チューブ54の基端には、カシメ部材80を第1の接続口金70の径方向内方に向かって押圧するように被覆チューブ54の外側から糸84が巻回されている。この糸84は、隙間なく湾曲部24の被覆チューブ54の基端だけでなく、蛇管26の外皮66の先端まで巻回されている。そして、糸84には、図示しない接着剤が塗布されて、湾曲部24の被覆チューブ54の基端、蛇管26の外皮66の先端、および、第1の接続口金70の間の水密が図られている。このとき、カシメ部材80は、被覆チューブ54の内側に配設されているので、カシメ部材80と挿入部12の外部との間の絶縁を確保することができる。また、糸84が巻回され、接着剤が塗布された部分の下層には、カシメ部材80や第1の接続口金70が配設されているので、この部分(接着剤が塗布された部分の下層)は曲げられることがない。このため、糸84に接着剤を塗布した接着部が割れることが防止されている。
【0033】
続いて、図2および図4を用いて、内視鏡10の挿入部12の蛇管26に、操作部14に接続するための第2の接続口金(操作部用接続口金)100を接続するための構造について説明する。
【0034】
図2および図4に示すように、第2の接続口金100は、それぞれ略円筒状の内口金102と外口金104とを備えている。これら内口金102および外口金104は、それぞれ例えばステンレス鋼材などの金属材等により形成されている。
内口金102は、フレックス62の内側に配設される円筒部102aと、この円筒部102aの基端部に配設された外向きフランジ部102bとを備えている。円筒部102aおよび外向きフランジ部102bの内径は、同じであり、互いに面一である。そして、外向きフランジ部102bは、円筒部102aの外周面に対して径方向外方に突出されている。このため、円筒部102aとフランジ部102bとの間に段差部(突き当て部)102cが形成されている。そして、この段差部102cにより、フレックス62、ブレード64および外皮66の基端、すなわち、蛇管26の基端が位置決めされている。
【0035】
内口金102の外径は、フレックス62を自然状態に置いたときに、フレックス62の内周面で内口金102の外周面に密着するように、フレックス62の基端部の内径よりも大きく形成されている。そして、このフレックス62は、内口金102に対して、フレックス62の外側からレーザなどによりスポット溶接されることによって固定されている。すなわち、図4に示すように、溶接部(螺旋管変位防止手段)Wが形成されている。このため、外口金104の後述する円筒部104aがカシメられる(塑性変形加工される)際に、フレックス62が内口金102の円筒部102aの長手方向およびフレックス62の帯状板の螺旋方向などに対して動くこと(変位すること)が防止されている。すなわち、フレックス62のピッチ間隔が維持される。このため、フレックス62が内口金102の円筒部102aを締め付けて、内口金102の円筒部102aの内径を小さくすることが防止されている。
【0036】
なお、フレックス62と内口金102とが重なり合う部分は、フレックス62および内口金102の外側から視認可能である。このため、フレックス62と内口金102とをレーザ溶接により確実に固定することができる。
【0037】
外口金104は、蛇管26の外側に配設される円筒部104aと、この円筒部104aの基端部に配設された内向きフランジ部104bとを備えている。円筒部104aおよび内向きフランジ部104bの外径は、同じであり、互いに面一である。そして、内向きフランジ部104bは、円筒部104aの外周面に対して径方向内方に突出されている。このため、円筒部104aとフランジ部104bとの間に段差部(突き当て部)104cが形成されている。そして、内口金102の外向きフランジ部102bの外径は、外口金104の円筒部104aの内径よりも小さく、内向きフランジ部104bの内径よりも大きい。また、外口金104の円筒部104aとフランジ部104bとの間の段差部104cにより、内口金102の基端が位置決めされている。
そして、外口金104の円筒部104aは、内口金102だけでなく、フレックス62、ブレード64および外皮66が配設される内径を有する。
【0038】
また、外口金104の内向きフランジ部104bの外周面には、円環状の溝104dが形成されている。この溝104dには、Oリング106が配設されている。さらに、この溝104dの基端側には、例えば1対のネジ孔108が形成されている。
そして、図5に示すように、蛇管26の基端部に配設された第2の接続口金100は、操作部14の折れ止め36の内部に固定されている。
【0039】
折れ止め36は、外装部112と、内装部114と、第1から第3の連結部材116,118,120とを備えている。
外装部112は、折れ止め36の最も外側に配設されている。内装部114は、外装部112の内側に配設されているとともに、蛇管26の基端部を保持する。第1の連結部材116は、外装部112および内装部114の内側に嵌合されている。第2の連結部材118は、第1の連結部材116に螺合されているとともに、図示しないが把持部32aにも連結されている。さらに、第3の連結部材120は、第2の連結部材118に連結されているとともに、第2の接続口金100の外口金104のネジ孔108にネジ122が配設されて連結されている。
【0040】
次に、蛇管26の基端部に第2の接続口金100を装着する際の装着方法について例示する。
まず、図6(A)に示すように、フレックス62、ブレード64および外皮66の基端をカットする。このとき、フレックス62、ブレード64および外皮66の基端をその軸方向に対して略90度にカットする。そして、フレックス62、ブレード64および外皮66の基端のバリを除去して、蛇管26の基端面を揃えておく。
【0041】
次に、図6(B)に示すように、フレックス62、ブレード64および外皮66のうち、フレックス62の基端部をブレード64および外皮66の基端部に対して基端側に引き出す。
【0042】
図6(C)に示すように、第2の接続口金100の内口金102の円筒部102aの外側にフレックス62の内周面を配設するとともに、段差部102cにフレックス62の基端を当接させる。このとき、自然状態のフレックス62の内周面の径は内口金102の円筒部102aの外径よりも小さいので、フレックス62の内周面が内口金102の円筒部102aの外周面に密着する。この状態で、フレックス62の外側からレーザを照射して溶接を行う。このとき、円弧状またはスポット状に溶接を行う。このため、フレックス62の基端部に第2の接続口金100の内口金102が固定される。
【0043】
図7(A)に示すように、フレックス62の基端部に第2の接続口金100の内口金102を固定した状態で、ブレード64の内側にフレックス62を押し込む。そして、ブレード64の基端および外皮66の基端を内口金102のフランジ部102bに当接させる。
【0044】
そして、図7(B)に示すように、外口金104の円筒部104aを内口金102の外側に配置するとともに、外口金104の内向きフランジ部104bを内口金102の外向きフランジ部102bの基端に当接させる。
【0045】
図7(C)に示すように、芯金(カシメ用治具)Cを内口金102の内側に入れる。この状態で外口金104の円筒部104aを内側に向かってカシメる(塑性変形加工する)。すなわち、外口金104の円筒部104aの内周面と、内口金102の円筒部102aの外周面との間で、フレックス62、ブレード64および外皮66の基端部を挟持して固定する。そして、外口金104の円筒部104aを内側に向かってカシメる際に、芯金Cで内口金102の内周面を受けて、内口金102の内径の小径化を防止する。また、フレックス62の基端部は内口金102の円筒部102aの外側に固定され、かつ、内口金102の段差部102cにフレックス62の基端が突き当てられているので、外口金104の円筒部104aを強くカシメて塑性変形させても、フレックス62の引き締まりが抑制される。したがって、蛇管26の基端部に第2の接続口金100をカシメた後に、芯金Cを抜去できなくなることが防止される。そうすると、蛇管26と第2の接続口金100との間の固定に十分な強度が得られる。
【0046】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
蛇管26のフレックス62が第2の接続口金100の内口金102の円筒部102aの外側に固定された状態で、蛇管26の基端部が第2の接続口金100に接続されている。このため、第2の接続口金100の外口金104の円筒部104aが蛇管26の基端部にカシメられる際に、フレックス62が移動すること(変位すること)を防止することができる。そうすると、フレックス62が引き締められることが抑制されるので、内口金102の変形を抑制した状態で、蛇管26を外口金104との間に強固に挟持する(カシメる)ことができる。そして、このように、フレックス62が引き締められることを防止して内口金102の変形を抑制することによって、蛇管26に第2の接続口金100を固定した後に、芯金Cを容易に抜去することができる。
【0047】
そして、第2の接続口金100を蛇管26の基端に固定するには、フレックス62を内口金102に対して固定した状態で、後はフレックス62の外側にブレード64、外皮66および外口金104を配置して外口金104をカシメるだけで済むので、接着剤等の硬化時間を要せず、第2の接続口金100を蛇管26に装着する工程を、簡便かつ短時間で行うことができる。
【0048】
なお、この実施の形態では、フレックス62を内口金102に固定するのにレーザによるスポット溶接を用いる場合について説明したが、それよりも簡略的にかつ短時間でフレックス62を内口金102に確実に固定することができるのであれば、レーザによるスポット溶接に限定されることはなく、他の種々の手段(接着手段や他の方式の溶接等による熱的手段)を用いることもできる。
【0049】
また、第2の接続口金100は、蛇管26を操作部14に接続するための接続口金として設けられていることについて説明したが、ユニバーサルケーブル16の可撓管42とコネクタ44との間を接続するために用いられたり、可撓管42と操作部14との間を接続するために用いられることも好適である。
【0050】
また、この実施の形態では、図2に示すように、図示および説明の簡略化のため、1対の操作ワイヤ56を湾曲管52の内側に配設する例(湾曲部24が2つの方向に湾曲する例)について説明した。その他、図示しないが、例えば2対の操作ワイヤを湾曲管52の内側に配設することも好適である。このような構造にすると、湾曲部24を4つの方向に湾曲させることができる。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について図8を用いて説明する。この実施の形態は第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材または同一の作用を奏する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。これは、第3から第12の実施の形態についても同様である。
この実施の形態は、第1の実施の形態の図2に示す蛇管26の基端部に第2の接続口金100を固定するために用いられた構造を、図8に示すように、蛇管26の先端部に第1の接続口金70を固定するために用いた例である。すなわち、この実施の形態の蛇管26の先端部に第1の接続口金70を固定するための構造は、第1の実施の形態で説明した第2の接続口金100を蛇管26の基端部に固定するための構造と同じである。
【0052】
蛇管26の先端部に固定された第1の接続口金70は、内口金132と、外口金134とを備えている。
内口金132は、フレックス62の内側に配設される円筒部132aと、この円筒部132aの先端部に配設された外向きフランジ部132bとを備えている。円筒部132aおよび外向きフランジ部132bの内径は、同じであり、互いに面一である。そして、外向きフランジ部132bは、円筒部132aの外周面に対して径方向外方に突出されている。このため、円筒部132aとフランジ部132bとの間に段差部(突き当て部)132cが形成されている。そして、円筒部132aとフランジ部132bとの間の段差部132cにより、フレックス62、ブレード64および外皮66の先端、すなわち、蛇管26の先端が位置決めされている。
【0053】
内口金132の外径は、フレックス62を自然状態に置いたときに、フレックス62の内周面で内口金132の外周面に密着するように、フレックス62の先端部の内径よりも大きく形成されている。そして、このフレックス62は、内口金132に対して、フレックス62の外側からレーザ溶接されることによって固定されている。すなわち、溶接部(螺旋管変位防止手段)W(図4参照)が形成されている。このため、外口金134がカシメられる際に、フレックス62が内口金132に対して動くこと(変位すること)が防止されている。このため、フレックス62が引き締められて、内口金132の円筒部132aの内径を小さくすることが防止されている。
【0054】
外口金134は、蛇管26の外側に配設される円筒部134aと、この円筒部134aの先端部に配設された内向きフランジ部134bとを備えている。円筒部134aおよび内向きフランジ部134bの外径は、同じであり、互いに面一である。また、内向きフランジ部134bは、円筒部134aの外周面に対して径方向内方に突出されている。このため、円筒部134aとフランジ部134bとの間に段差部(突き当て部)134cが形成されている。
【0055】
そして、外口金134のフランジ部134bの先端側には、湾曲部24の湾曲管52を係合するための接続ピン52bが配設される開口72が形成されている。このため、外口金134は、先端側の開口72に接続ピン52bが配設されることよって湾曲管52に連結される。
【0056】
内口金132の外向きフランジ部132bの外径は、外口金134の円筒部134aの内径よりも小さく、外口金134の内向きフランジ部134bの内径よりも大きい。また、円筒部134aとフランジ部134bとの間の段差部134cにより、内口金132の先端が位置決めされている。
【0057】
そして、外口金134の円筒部134aは、内口金132だけでなく、フレックス62、ブレード64および外皮66が配設される内径を有する。
【0058】
なお、第2の接続口金100の構造は、第1の実施の形態で説明したものと同じであるから、説明を省略する。
【0059】
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことが言える。
第1の実施の形態で説明したように、蛇管26と操作部14とを接続するための第2の接続口金100の構造を、湾曲部24と蛇管26とを接続するための第1の接続口金70にも同様に用いることができる。
【0060】
なお、この実施の形態では、蛇管26の先端部に湾曲管52と接続するための第1の接続口金70を配置し、蛇管26の基端部に操作部14と連結するための第2の接続口金100を配置するものとして説明したが、このような第1の接続口金70および第2の接続口金100の構造をユニバーサルケーブル16の可撓管(蛇管)42の端部の接続口金の構造として用いることも好適である。すなわち、ユニバーサルケーブル16の可撓管42の端部に、操作部14に接続するための第2の接続口金100と同じ構造の操作部接続口金が設けられていたりすることも好適である。
【0061】
以下、第3の実施の形態から第12の実施の形態では、説明を省略するが、この実施の形態と同様に、操作部14と接続するための第2の接続口金100だけでなく、湾曲部24と連結するための第1の接続口金70、さらには、ユニバーサルケーブル16に同じ構造の接続口金を用いることができる。もちろん、各実施の形態で説明する構造を適宜に組み合わせて用いることも好適である。
【0062】
なお、上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態では、挿入部12およびユニバーサルケーブル16を有する医療用の内視鏡10を図1等に図示して説明したが、産業用の内視鏡(図示せず)など、種々の内視鏡の挿入部等の可撓性を有する部材(蛇管や可撓管)の端部に用いられる。
【0063】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について図9を用いて説明する。
図9に示すように、この実施の形態の第2の接続口金100の外口金104の円筒部104aの内周面には、凸部(山部)142aと凹部(谷部)142bとを有する凹凸部142が形成されている。この外口金104の円筒部104aを内側に向かってカシメたとき、外口金104の円筒部104aの内周面の凸部142aが外皮66に食い込むので、蛇管26の基端部に第2の接続口金100を固定したときに、より強い固定強度が得られる。
【0064】
なお、凹凸部142の一例として、雌ネジが形成されていることも好適である。また、外口金104の円筒部104aの内側に凸部142aが形成されていれば、ザラザラの梨地加工など、種々の形状が許容される。
【0065】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について図10を用いて説明する。
内口金102の円筒部102aおよび外向きフランジ部102bの内径は、蛇管26の最小径、すなわち、フレックス62の最小径と同じか、それよりも大きく形成されている。そうすると、フレックス62の弾性力により、内口金102の円筒部102aの外周面にフレックス62の内周面が密着する。したがって、内口金102にフレックス62を溶接により固定する場合に、安定して溶接を行うことができる。すなわち、容易に溶接部(螺旋管変位防止手段)Wを形成することができる。
【0066】
また、内口金102の円筒部102aおよび外向きフランジ部102bの内径は、蛇管26の最小径、すなわち、フレックス62の最小径と同じか、それよりも大きく形成されている。このため、蛇管26に第2の接続口金100をカシメる際に、芯金(図示せず)が配設されることにより、図10に示すように、蛇管26の内径に対して第2の接続口金100の内径が局所的に小さくなる不都合を解消することができる。すなわち、図10に示すように、第2の接続口金100の内口金102の内径を、蛇管26のフレックス62の最小径と同じか、それよりも大きくすることによって、図示しない照明光学系や観察光学系など、種々の内蔵物を内部に挿入し難くなるなどの不具合が生じることを防止することができる。
【0067】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態について図11を用いて説明する。
図11に示すように、蛇管26の外皮66の基端部の外周面は、例えば研磨や除去加工等により薄肉に形成されている。一般に、外皮66は、例えばフレックス62やブレード64などの他の部材に比べて寸法(厚さ)のバラツキが大きいが、研磨等されることにより外皮66の寸法のバラツキを解消することができる。そして、このように外皮66の外径寸法のバラツキを抑制することによって、蛇管26の基端部に対する第2の接続口金100の接続強度のバラツキを解消することができる。そうすると、蛇管26に第2の接続口金100を固定したものの品質を略一定にすることができる。
【0068】
[第6の実施の形態]
次に、第6の実施の形態について図12を用いて説明する。
図12に示すように、外口金104の円筒部104aがカシメられる部分の外皮66が除去されている。このため、外口金104の円筒部104aが蛇管26の基端部の外側からカシメられる際に、フレックス62やブレード64などの他の部材に比べて寸法(厚さ)のバラツキが大きい外皮66に対して、外口金104の円筒部104aをカシメることがないので、外口金104の円筒部104aをカシメた位置の寸法のバラツキを少なくすることができる。すなわち、蛇管26に第2の接続口金100を固定したものの品質を略一定にすることができる。
【0069】
なお、外皮66の基端は、ブレード64の基端がバラけるのを防止するために残されていることが好適である。
【0070】
[第7の実施の形態]
次に、第7の実施の形態について図13を用いて説明する。この実施の形態は、第6の実施の形態の変形例である。
図13に示すように、図12に示す第6の実施の形態に対して、外皮66の一部も外口金104の円筒部104aにカシメられている。このため、第2の接続口金100の外口金104と外皮66との間の気密性を確保することができる。
【0071】
[第8の実施の形態]
次に、第8の実施の形態について図14を用いて説明する。
フレックス62は弾性的である。このため、フレックス62の帯状板の端部同士の間隔(ピッチ)は負荷を与えることによって容易に変更可能である。図14に示すように、ここでは、フレックス62の基端が内口金102の段差部102cに突き当てられた状態で、フレックス62の基端部の帯状板の端部同士が突き当てられている。そして、蛇管26の先端部に近接する側が内口金102の円筒部102aに対してレーザ溶接されることによって、内口金102と蛇管26とが固定されている。
【0072】
したがって、内口金102の段差部102cに突き当てられたフレックス62の基端と、内口金102の円筒部102aにレーザ溶接された溶接部Wとの間は、フレックス62が移動することが防止されている。このため、例えば一箇所の溶接部Wによって、外口金104の円筒部104aをカシメる際に、フレックス62が引き締まることを防止することができる。
【0073】
[第9の実施の形態]
次に、第9の実施の形態について図15および図16を用いて説明する。この実施の形態は、第8の実施の形態の変形例である。
フレックス62は弾性的であるから、図15に示すように、フレックス62の基端部は、その帯状板の端部同士が突き当てられた状態に形成されている。そして、フレックス62の基端部の、フレックス62の帯状板の端部同士が突き当てられた部分のうち、複数個所がレーザ溶接により連結されている。レーザ溶接された溶接部Wにより、フレックス62の隣接する帯状板が移動(変位)することが防止されている。そして、フレックス62の基端部は、外口金104の段差部104cに突き当てられている。
【0074】
このとき、内口金102にフレックス62が固定されていなくても、すなわち、内口金102が配設されていなくても、外口金104の段差部104cでフレックス62の軸方向の移動(変位)を防止することができるとともに、溶接部Wによってフレックス62の引き締まりを防止することができるので、外口金104の円筒部104aをカシメることによる変形をフレックス62で受けることができる。すなわち、この実施の形態では、第2の接続口金100は、内口金102が不要である。
【0075】
なお、図15および図16中では、溶接部Wは適当な間隔ごとに配置されているが、溶接部が連続していること(溶接部が周状に形成されていること)も好適である。
【0076】
ここで、蛇管26の基端部に第2の接続口金100を装着する際の装着方法について例示する。
まず、第1の実施の形態で説明した図6(A)に示すように、フレックス62、ブレード64および外皮66の基端をカットする。このとき、フレックス62、ブレード64および外皮66の基端はその軸方向に対して略90度にカットする。そして、フレックス62、ブレード64および外皮66の基端のバリを除去して、蛇管26の基端面を揃えておく。
【0077】
次に、図6(B)に示すように、フレックス62、ブレード64および外皮66のうち、フレックス62をブレード64および外皮66に対して基端側に引き出す。
【0078】
そして、図16(A)に示すように、溶接用芯金CRをフレックス62の基端部の内側に入れて、フレックス62の基端部の帯状板の端部同士を突き合わせて、帯状板を密な状態にする。この状態で、レーザ溶接によりフレックス62の基端部の帯状板の端部同士を溶接する。そして、溶接用芯金CRをフレックス62の基端部の内側から抜去しておく。
【0079】
図16(B)に示すように、フレックス62をブレード64および外皮66の内側に押し込み、蛇管26の基端部に外口金104を配設する。
【0080】
図16(C)に示すように、カシメ用芯金Cをフレックス62の基端部側に入れて、外口金104の円筒部104aをカシメる。
【0081】
[第10の実施の形態]
次に、第10の実施の形態について図17を用いて説明する。
図17に示すように、内口金102の円筒部102aの外周面には、フレックス62の帯状板の幅に合わせた溝部146が螺旋状に形成されている。このため、フレックス62の基端部がこの溝部146に入り込んで嵌合し、かつ、フレックス62の基端が内口金102の段差部102cに突き当てられた状態では、フレックス62は移動(変位)しない。すなわち、外口金104の円筒部104aを蛇管26の外側からカシメても、フレックス62が引き締められることが防止される。そして、ブレード64および外皮66との摩擦により、フレックス62がその帯状板の螺旋方向に移動することが防止されている。そうすると、レーザ溶接といった煩わしい作業を行わずに、第2の接続口金100を蛇管26の基端部に固定することができる。
【0082】
[第11の実施の形態]
次に、第11の実施の形態について図18を用いて説明する。この実施の形態は、第10の実施の形態の変形例である。
図18に示すように、第11の実施の形態で説明した図17に示す溝部146の深さをフレックス62の帯状板の板厚よりも大きくした例である。このような構造にすると、内口金102の円筒部102aの最外周面で外口金104の円筒部104aのカシメを受け止める。したがって、外口金104の円筒部104aをカシメたことに対して、フレックス62に直接的に影響を及ぼすことが防止されるので、フレックス62の引き締まりが生じ難く、より強いカシメを行うことが可能である。したがって、蛇管26と接続口金100との間に、より強い固定強度を得ることができる。
【0083】
[第12の実施の形態]
次に、第12の実施の形態について図19を用いて説明する。
図19に示すように、内口金102の円筒部102aおよび外向きフランジ部102bの内周面は、その基端側ほど内径が大きいテーパ状に形成されている。そして、カシメ用芯金Cも、そのテーパ角度に合わせて形成されたものが用いられる。
【0084】
このため、芯金Cを抜去する際に、内口金102の円筒部102aおよび外向きフランジ部102bの内周面が抜き勾配として機能するので、芯金Cを容易に抜去することができる。そして、このように、芯金Cが容易に抜去できるので、外口金104の円筒部104aをより強くカシメることができる。したがって、蛇管26と接続口金100との間に、より強い固定強度を得ることができる。
【0085】
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
【0086】
上記説明によれば、下記の事項の発明が得られる。また、各項の組み合わせも可能である。
【0087】
[付記]
(付記項1)
弾性状の薄い帯状板を間隔を空けて螺旋状に巻回した螺旋管と、前記螺旋管の外側を覆う網状管と、前記網状管の外側に被覆される外皮とを有する内視鏡用可撓管の端部に、接続口金を装着する方法であって、
前記螺旋管の端部の所定の領域について前記螺旋管の前記帯状板の変位を防止する螺旋管変位防止工程と、
前記螺旋管変位防止工程により所定の領域についての螺旋管の端部の外周に前記網状管および前記外皮を被覆する被覆工程と、
前記螺旋管の所定の領域の内側に芯金を配置する芯金配置工程と、
前記螺旋管の所定の領域を含む蛇管の外側から、接続口金を塑性変形させて固定する接続口金固定工程と
を具備することを特徴とする内視鏡用可撓管の端部に接続口金を装着する方法。
【0088】
(付記項2)
前記螺旋管変位防止工程は、前記螺旋管の端部の内側に内口金を配設して、前記螺旋管と前記内口金とを一体化させる工程を含むことを特徴とする付記項1に記載の方法。
【0089】
(付記項3)
前記螺旋管変位防止工程は、前記螺旋管の帯状板の端部同士を前記螺旋管の軸方向に密着させた状態で固定する工程を含むことを特徴とする付記項2に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第1から第12の実施の形態に係る内視鏡を示す概略図。
【図2】第1の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の湾曲部と、蛇管と、湾曲部および蛇管を接続する接続口金と、蛇管の基端部に配設された操作部接続口金とを示す概略的な縦断面図。
【図3】第1から第12の実施の形態に係る内視鏡の挿入部やユニバーサルケーブルに用いられるブレードの一部を示す概略的な斜視図。
【図4】図2中のIV−IV線に沿う挿入部の概略的な横断面図。
【図5】図2に示す挿入部の蛇管の基端部の操作部接続口金を操作部の折れ止めに配設した状態を示す、挿入部および操作部の一部の概略的な縦断面図。
【図6】(A)から(C)は、順に、第1の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管と操作部接続口金とを接続する際の接続手順を示す、挿入部の概略的な縦断面図。
【図7】(A)から(C)は、図6(C)から順に続く、第1の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管と操作部接続口金とを接続する際の接続手順を示す、挿入部の概略的な縦断面図。
【図8】第2の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管の先端部に、第1の実施の形態で説明した操作部接続口金を蛇管の基端部に固定したのと同様の構造により接続口金を固定し、蛇管の基端部に図2に示す第1の実施の形態で説明した操作部接続口金を固定した状態を示す概略的な縦断面図。
【図9】第3の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管の基端部に操作部接続口金を固定した状態を示す概略的な縦断面図。
【図10】第4の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管の基端部に操作部接続口金を固定した状態を示す概略的な縦断面図。
【図11】第5の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管の基端部に操作部接続口金を固定した状態を示す概略的な縦断面図。
【図12】第6の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管の基端部に操作部接続口金を固定した状態を示す概略的な縦断面図。
【図13】第7の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管の基端部に操作部接続口金を固定した状態を示す概略的な縦断面図。
【図14】第8の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管の基端部に操作部接続口金を固定した状態を示す概略的な縦断面図。
【図15】第9の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管の基端部に操作部接続口金を固定した状態を示す概略的な縦断面図。
【図16】(A)から(C)は、図6(B)から順に続く、第9の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管と操作部接続口金とを接続する際の接続手順を示す、挿入部の概略的な縦断面図。
【図17】第10の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管の基端部に操作部接続口金を固定した状態を示す概略的な縦断面図。
【図18】第11の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管の基端部に操作部接続口金を固定した状態を示す概略的な縦断面図。
【図19】第12の実施の形態に係る内視鏡の挿入部の蛇管の基端部に操作部接続口金を固定した状態を示す概略的な縦断面図。
【符号の説明】
【0091】
12…挿入部、24…湾曲部、26…蛇管、52…湾曲管、52a…湾曲駒、52b…接続ピン、54…被覆チューブ、56…操作ワイヤ、58…被覆コイル、62…フレックス、64…ブレード、66…外皮、70…第1の接続口金、72…開口、74…フランジ部、76…凹部、80…カシメ部材、84…糸、100…第2の接続口金、102…内口金、102a…円筒部、102b…外向きフランジ部、102c…段差部、104…外口金、104a…円筒部、104b…内向きフランジ部、104c…段差部、104d…溝、106…Oリング、108…ネジ孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄い帯状板を螺旋状に巻回した螺旋管と、前記螺旋管の外側を覆う網状管と、前記網状管の外側に被覆される外皮とを有する可撓管と、
前記可撓管の端部に塑性変形加工されて固定された接続口金と
を具備する内視鏡において、
前記可撓管の端部に前記接続口金が固定される際に、前記可撓管の前記接続口金が固定される端部で、前記螺旋管の前記帯状板の変位を防止する螺旋管変位防止手段をさらに具備することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記螺旋管変位防止手段は、前記可撓管の前記接続口金が固定された端部で、前記螺旋管の軸方向に隣接する帯状板の端部同士を密着させるとともに、前記螺旋管の端部を前記接続口金に突き当てるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記接続口金は、前記可撓管の端部の内側に配設される内口金を備え、
前記内口金は、前記螺旋管の軸方向に隣接する帯状板の端部同士を密着状態に固定するようにしたものの端部を突き当てる突き当て部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記接続口金は、前記可撓管の端部の外側に配設される外口金を備え、
前記外口金は、前記螺旋管の軸方向に隣接する帯状板の端部同士を密着状態に固定するようにしたものの端部を突き当てる突き当て部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記接続口金は、前記可撓管の端部の内側に配設される内口金と、前記可撓管の端部の外側に配設される外口金とを備え、
前記螺旋管変位防止手段は、前記内口金の外側に前記螺旋管を固定して前記螺旋管の変位を防止するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記螺旋管変位防止手段は、前記内口金に、前記螺旋管の端部を突き当てる突き当て部を備えていることを特徴とする請求項5に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記螺旋管変位防止手段は、前記内口金の外周に、前記螺旋管の帯状板が嵌合される溝部を備えていることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−153714(P2009−153714A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335326(P2007−335326)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】