説明

円筒状繊維強化複合材料の製造方法

【課題】 繊維複合材料成型に好適な製造方法を提供する。
【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面に硬化型シリコーン樹脂を含有する離型層を有し、下記式(1)および(2)を同時に満足する離型フィルムを、張力が10〜15N/mとなるように円筒状プレプレグに巻き付けることを特徴とする円筒状繊維強化複合材料の製造方法。
μ≧0.18 …(1)
25≦F≦235 …(2)
(上記式中、μは離型層表面と未処理ポリエステルフィルム面との摩擦係数、Fは離型層の剥離力(mN/cm)を表す)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状繊維強化複合材料の製造方法に関するものであり、詳しくは、離型フィルムを用いたテープラッピング法による繊維強化複合材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムが繊維強化複合材料成型のテープラッピング法フィルムとして使用されている。繊維強化複合材料は、ゴルフシャフト、釣竿、テニスラケット等の成型品の中間素材としてスポーツレジャー用途に幅広く使用されている。この繊維強化複合材料の成型には、エポキシ樹脂組成物を直接繊維強化材に含浸させオーブンなどを用いて溶媒を蒸発させてプリプレグとした後にマンドレルなどの芯金に巻き付け、プリプレグの外側に離型フィルムからなるラッピングテープをらせん状に巻き付け、オーブン中で樹脂を加熱し硬化させた後にマンドレルを抜き取って円筒状繊維強化複合材料が成型される方法が用いられる。当該用途において、テープ状の離型フィルムのプリプレグへの強固な巻き付け状態が必要であり、そのために適度な張力による巻き付けやすさが求められる。巻き付け難い場合は、不十分な巻き付けとなり、よりしわや巻きずれ、または一定間隔を保ち難いなど支障となり、フィルム間から未硬化樹脂が滲み出ることがある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−253094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その解決課題は、繊維強化複合材料成型のテープラッピング法にて、繊維複合材料を効率よく成型することのできる製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムを用い、適度な巻き付け条件を採用すれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に硬化型シリコーン樹脂を含有する離型層を有し、下記式(1)および(2)を同時に満足する離型フィルムを、張力が10〜15N/mとなるように円筒状プレプレグに巻き付けることを特徴とする円筒状繊維強化複合材料の製造方法に存する。
【0007】
μ≧0.18 …(1)
25≦F≦235 …(2)
(上記式中、μは離型層表面と未処理ポリエステルフィルム面との摩擦係数、Fは離型層の剥離力(mN/cm)を表す)
【0008】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において、ポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても、共重ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。一方、共重合ポリエステルの場合は30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート単位であるポリエチレン−2,6−ナフタレート等であるポリエステルを指す。
【0009】
本発明におけるポリエステル層中には、易滑性を主たる目的として、粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらにポリエステル製造工程中触媒当の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた粒子を用いることもできる。一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等の何れを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。使用する粒子の平均粒径は、0.1〜5μmの範囲を満足するのが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜3μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分となり、一方、5μmを越える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を設ける場合等に不具合を生じるようになる。さらにポリエステル中の粒子の含有量は、0.01〜5重量%を満足するのが好ましく、さらに好ましくは、0.01〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.01%重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分になる場合があり、一方、5重量%を越えて添加する場合には、フィルム表面の平滑性が不十分になる場合がある。ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重集合反応を前がよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
【0010】
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは特に限定されるものではないが、通常、9〜188μm、好ましくは16〜50μmの範囲であり、さらに好ましくは25〜38μmである。
【0011】
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートを二軸方向に延伸する。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常130〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。
【0012】
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。また、同時二軸延伸を行うことも可能である。同時二軸延伸法としては、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態でMD(あるいは縦方向)およびTD(あるいは横方向)に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは、10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。
【0013】
上記の延伸方式をしようする同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動式等、公知の延伸方式を採用することができる。「スクリュー方式」とは、スクリューの溝にクリップを乗せてクリップ間隔を広げていく方式である。「パンタグラフ方式」とは、パンタグラフを用いてクリップ間隔を広げていく方式である。「リニアモーター方式」とは、リニアモーター原理を応用し、クリップを個々に制御可能な方式でクリップ間隔を任意に調整できる利点を有する。
【0014】
さらに同時二軸延伸に関しては二段階以上に分割して行ってもよく、その場合、延伸場所は一つのテンターないで行なってもよいし、複数のテンターを併用してもより。また、上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。それは以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。上述の塗布延伸法にてポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
【0015】
本発明で用いる離型フィルムを構成する離型層は、貼り合わせる相手方の繊維強化複合材料に対する離型性を良好とするために、硬化型シリコーン樹脂を含有する必要がある。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。さらに本発明の主旨を損なわない範囲において、必要に応じてアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。また、離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
【0016】
本発明の離型フィルムを構成する離型層の塗布量(Si)は、通常0.005〜2g/mの範囲であり、好ましくは0.005〜1g/m、さらに好ましくは0.010〜0.5g/mの範囲である。離型層の塗布量(乾燥後)が0.005/m未満の場合、塗工性の面での安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難な場合がある。一方、塗工量が2g/mを超える場合、離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
【0017】
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースグラビアコート、バーコート、ダイコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
【0018】
本発明における離型フィルムの剥離力は10〜300mN/cmの範囲が好ましい。さらに好ましくは25〜235mN/cmの範囲である。上述の範囲を外れる場合、本来剥離する必要の無い場面において離型フィルムが容易に剥離する場合があったり、剥離時に剥離困難になったりする場合がある。
【0019】
本発明の繊維強化複合材料(成型体)は、公知の方法により製造することができる。例えば、ウェット法は、強化繊維をエポキシ樹脂組成物溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブンなどを用いて溶媒を蒸発させてプリプレグを得る方法である。プリプレグを積層後、積層物に圧力を付与しながら樹脂を加熱し、硬化させて成型する方法等により製造することができる。
【0020】
また、本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物(以下、単に「エポキシ樹脂組成物」と略す)に配合するエポキシ樹脂としては、公知のものであれば特に制限されないが、多官能エポキシ樹脂と2官能エポキシ樹脂とを組み合わせたものを用いることが好ましい。
【0021】
繊維強化材としては、炭素繊維、ガラス繊維およびアラミド繊維等を用いることができる。なかでも炭素繊維を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の製造方法によれば、繊維強化複合材料成型のテープラッピング法において、フィルム間で滑りにくく、巻き付けやすく、よりしわや巻きずれを起こすことなく、一定間隔で巻き付けられ、未硬化樹脂の滲み出を防止することができ、効率的に繊維強化複合材料の製造が可能となり、その工業的価値は高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
【0024】
(1)Fの測定(剥離力)
測定試料の離型層に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定する。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(2)μの測定(摩擦力)
平滑なガラス板上に、幅15mm、長さ150mmに切り出した離型フィルムと未処理のフィルム同士を、離型面を挟むように2枚重ね、その上にゴム板を載せ、さらにその上に荷重をのせ、2枚のフィルムの接圧を2g/cmとして、20mm/分でフィルム同士を滑らせて摩擦力を測定した。
【0025】
(3)シリコーン移行量(Si(RT))の測定
蛍光X線測定装置((株)島津製作所(製)型式「XRF−1500」)を用いてFP(Fundamental Parameter Method)法により、下記測定条件下、離型フィルムの離型層が設けられた面および離型層がない面の珪素元素量を測定し、その差をもって、離型層中の珪素元素量とした。次に得られた珪素元素量を用いて、−SiO(CH3)2のユニットとしての塗布量(Si)(g/m2)を算出した。
《測定条件》
分光結晶:PET(ペンタエリスリトール)
2θ:108.88°
管電流:95mA
管電圧:40kv
【0026】
(4)加工適性
厚さ4mmの未硬化エポキシ樹脂を積層した径20mmの鉄製パイプに一定張力で15mm幅の試料を離型面を内面に約1mmピッチでらせん状に巻き付け、130℃、2時間加熱し成型後、テープを剥離した。
○:トラブルなし
△:約1mmピッチを維持し巻き付けできるが、剥離しにくい
×:滑りやすく、巻きずれを生じるか、試料を巻き付け時にフィルム間から未硬化樹脂の滲み出がある
【0027】
実施例1:
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに、下記組成のシリコーン樹脂塗液を塗布量7g/mで塗布し、160℃×20秒の条件で乾燥、硬化処理して離型層の厚み0.04g/mの離型フィルムを15mm幅の試料とし、厚さ4mmの未硬化エポキシ樹脂を積層した20mmの鉄製パイプに10N/mの張力で、約1mmピッチでらせん状に巻き付け、130℃、2時間加熱し成型後、テープを剥離した。
<シリコーン樹脂液の組成>
硬化シリコーン樹脂(KS−847H;信越化学社製) 100重量部
硬化剤(PL−50T;信越化学社製) 5重量部
希釈溶剤;メチルエチルケトン/トルエン混合溶剤 6000重量部
実施例2:
実施例1において、下記組成のシリコーン樹脂塗液を塗布量3.5g/mで塗布し、硬化処理後の離型層の厚みを0.02g/mとする以外は、実施例1と同様に製造した離型フィルムを用い、実施例1と同様条件にて実施した。
<シリコーン樹脂液の組成>
硬化シリコーン樹脂(KS−847H;信越化学社製) 100重量部
硬化剤(PL−50T;信越化学社製) 5重量部
希釈溶剤;メチルエチルケトン/トルエン混合溶剤 6000重量部
実施例3:
実施例1において、15N/mの張力で巻き付ける以外は実施例1と同様条件で実施した。
【0028】
実施例4:
実施例2において、15N/mの張力で巻き付ける以外は実施例2と同様条件で実施した。
【0029】
比較例1:
実施例1において、下記組成のシリコーン樹脂塗液を塗布量7g/mで塗布し、硬化後の離型層の厚みを0.12g/mとする以外は、実施例1と同様に製造した離型フィルムを用い、15N/mの張力で巻き付ける以外は実施例1と同様条件で実施した。
<シリコーン樹脂液の組成>
硬化シリコーン樹脂(KS−847H;信越化学社製) 100重量部
硬化剤(PL−50T;信越化学社製) 5重量部
希釈溶剤;メチルエチルケトン/トルエン混合溶剤 2000重量部
比較例2:
実施例1において、下記組成のシリコーン樹脂塗液を塗布量3g/mで塗布し、硬化処理後の離型層の厚みを0.01g/mとする以外は、実施例1と同様に製造した離型フィルムを用い、実施例1と同様条件にて実施した。
<シリコーン樹脂液の組成>
硬化シリコーン樹脂(KS−847H;信越化学社製) 100重量部
硬化剤(PL−50T;信越化学社製) 5重量部
希釈溶剤;メチルエチルケトン/トルエン混合溶剤 12000重量部
実施例2において、8N/mの張力で巻き付ける以外は実施例2と同様条件で使用した。
【0030】
上記実施例および比較例で得られた各フィルムの特性を表1にまとめて示すとおりであり、実施例1および2の離型フィルムについては、安定的に滑りにくく巻き付けやすく、さらに剥離しやすい特性を満足するものであったが、比較例1および2においては、巻き付け時に滑りやすく、巻き付けに支障を生じ、また、剥離力を要することにより工程上トラブルが発生し、すべてを満足し得るものではなかった。
【0031】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、例えば、円筒状繊維強化複合材料の製造方法として好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルフィルムの少なくとも片面に硬化型シリコーン樹脂を含有する離型層を有し、下記式(1)および(2)を同時に満足する離型フィルムを、張力が10〜15N/mとなるように円筒状プレプレグに巻き付けることを特徴とする円筒状繊維強化複合材料の製造方法。
μ≧0.18 …(1)
25≦F≦235 …(2)
(上記式中、μは離型層表面と未処理ポリエステルフィルム面との摩擦係数、Fは離型層の剥離力(mN/cm)を表す)

【公開番号】特開2009−209296(P2009−209296A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55290(P2008−55290)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】