再使用型の梱包材及び簡易包装箱
【課題】繰返し再使用できる梱包材と簡易包装箱を提供する。これにより、製作コストの削減、輸送費の低減、梱包・開梱作業の軽減化、廃棄物の抑制を図ることを目的とする。
【解決手段】多様なサイズと形状を持つ物品の梱包に適する弾力性を有するフィルムに着脱部材として面ファスナー3aを設けてなる帯状フィルム2aと紐状フィルムや、合せて用いる簡易包装箱9も、弾力性を有するフィルムで形成される。箱体内面に緩衝材を配置する挿入用ポケット9fに、空気圧でのクッション性能と緩衝性能を持つ袋状フィルム4bを配置し、物品wを載置して帯状フィルム2aや紐状フィルムで包装・固定し、簡易包装箱9に保持し保護する。また、帯状フィルム2aを用いて簡易包装箱9を2個以上連結することで、簡易包装箱9が可変な箱体に形成されてなる。出荷元での梱包作業と納品先での開梱作業は、鋏も使わず簡単で、廃棄物なし。回収も容易で再使用が可能となる。
【解決手段】多様なサイズと形状を持つ物品の梱包に適する弾力性を有するフィルムに着脱部材として面ファスナー3aを設けてなる帯状フィルム2aと紐状フィルムや、合せて用いる簡易包装箱9も、弾力性を有するフィルムで形成される。箱体内面に緩衝材を配置する挿入用ポケット9fに、空気圧でのクッション性能と緩衝性能を持つ袋状フィルム4bを配置し、物品wを載置して帯状フィルム2aや紐状フィルムで包装・固定し、簡易包装箱9に保持し保護する。また、帯状フィルム2aを用いて簡易包装箱9を2個以上連結することで、簡易包装箱9が可変な箱体に形成されてなる。出荷元での梱包作業と納品先での開梱作業は、鋏も使わず簡単で、廃棄物なし。回収も容易で再使用が可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、弾力性のあるフィルムで物品を包装する再使用型の梱包材及び簡易包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルム梱包材は物品を特定し、専用の梱包材と直方体形状の箱体を用いて、フィルムは紙製のケーシングに熱融着や接着剤で取付けられている。この以前は、物品の種類別に発泡スチロール成形体、最近は紙製成形体等からなる緩衝材に嵌め込み、箱に入れて梱包している。簡易的な包装として、発泡緩衝シート等で包装する場合も多く、この場合は箱体と物品の隙間を別な緩衝材等でさらに埋めて梱包している。
【0003】
特許文献1(特表平3−503995号公報)、特許文献2(米国特許5386911号公報)、特許文献3(特開平10−45171号公報)、特許文献4(特開2001−27843号公報)にフィルム包装材が提案されている。しかし、これは載置する物品を特定し、単一の物品を保持するものであった。着脱可能で、帯状フィルムや紐状フィルムを用いた梱包材や、ケーシングに弾力性を有するフィルムを用いた包装箱に関して、公知の技術や市販されている商品は見当たらない。
【0004】
【特許文献1】 特表平3−503995号 公報
【特許文献2】 米国特許5386911号 公報
【特許文献3】 特開平10−45171号 公報
【特許文献4】 特開2001−27843号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術で記載した従来の技術は、特定物品に合う専用の梱包材と箱体を用いることで、高性能な保護緩衝性能を実現しているが、出荷の片道での廃棄か、もしくは出荷と回収の1往復で廃棄されているのが現状である。このため、コスト面や資源の節約上課題が多い。
【0006】
梱包材と箱体は、サイズや形状が同じ物品単位で個別に製作されている。よって商品種類別の多様な梱包材や包装箱となり、在庫スペースや倉庫、作業準備や梱包作業が繁雑となり、また使用範囲が限定されるので、廃棄物の排出量も多く環境問題となっている。
【0007】
物品を複数個収納する場合、包装箱を更にサイズの大きい輸送箱で再梱包している。
箱内の隙間に緩衝材を詰めて固定するので、出荷先では廃棄物の排出量が増加傾向。
【0008】
梱包材と包装箱は5回前後の再使用を設計仕様として、高品質の材料を使用している。
一回の使用で廃棄されている現状では、環境問題や資源節約上問題が多い。
【0009】
フィルム梱包材は、欧米では再資源化対象品と認定されていて、出荷先、回収先での廃棄物の排出量が最小限に抑えられている。
本願発明は以上の問題点を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的達成のため本願発明による再使用型の梱包材及び簡易包装箱は、弾力性を有するフィルムからなる。上記再使用型の梱包材は包装用部材として、帯状フィルムと紐状フィルムの2種類を設けた。該フィルムの両端に面ファスナーを縫製して設けることにより着脱可能。且つ、簡易包装箱は開梱後、小さく畳めるので定形郵便物扱い等の簡便な方法での回収と、輸送費等コストを節減しながら繰返し使用が可能で、環境負荷低減。
【0011】
帯状フィルムや紐状フィルムの包装用部材を、少なくても2個以上連結することで、任意の長さ・角度・幅が適宜に形成される。これにより対象物品の範囲拡大と多様な用途に適応できる。
【0012】
包装用部材の帯状フィルムや紐状フィルムと組み合せて用いる緩衝用部材の袋状フィルムに、空気を充填・加圧・減圧する空気圧用バルブを設ける。空気圧のクッション性能を有する袋状フィルムの上に載置した物品を、特に容器の下面から受ける、輸送中の衝撃や振動から保護する。 また、上記空気圧用バルブに代えて、緩衝材用挿入口を設けて、空気でふくらむ多孔質体からなるスポンジを上記袋状フィルム内に収納することで、緩衝性能を持つ袋状フィルムが、簡易包装箱に収納する複数個の物品間の干渉を防止して、物品を安全に保護する。
【0013】
容器と該容器内に収納される上記再使用型の梱包材とからなり、上記容器を構成するケーシングが弾力性を有するフィルムからなり、組立てると箱体形状となる。箱体内の6辺(正面・平面・左右側面・下面・背面)の中から上記再使用型の梱包材を装着する為、左右側面を取外し,下面に蓋の辺を付加した4辺から形成される胴抜き構造の簡易包装箱となる。
【0014】
上記簡易包装箱において、箱体内の3辺(平面・蓋付の下面・背面)の各々に、上記袋状フィルムを配置する挿入用ポケットを設ける。少なくても2面を活用し空気圧で脹らんだ上記袋状フィルムを挿入用ポケットに挿入して、該挿入用ポケットの上に物品を載置する。物品のサイズ・形状によっては、一つの面に複数個の物品も混載可能である。
【0015】
上記包装用部材の帯状フィルムで物品を包み込み、もしくは、紐状フィルムで物品を抑え、胴抜きした箱体の開口部を通して、上記帯状フィルムや紐状フィルムの両端に設けた面ファスナーを密着させることで、物品を包装し、固定する。
【0016】
物品を収納後、上記簡易包装箱の4辺を折り上げ、正面と蓋付の下面に設けた面ファスナーを密着することで胴抜き構造の箱体となり、サイズ・形状の異なる物品でも混載して収納できる再使用型の簡易包装箱となる。また、紐状フィルムを用いて、簡易包装箱を複数個で段積みにして梱包することで、輸送箱を兼ねて用いることができる。
【0017】
上記簡易包装箱において、平面・蓋付下面・背面に各々物品を収納できる。箱体内で対向する物品が、形状等から干渉する時は、上記緩衝用部材の袋状フィルムの空気圧や、上記包装用部材の帯状フィルムや紐状フィルムのフィルム張力を調整するか、多孔質体のスポンジを収納した袋状フィルムを物品間に挿入して、保護緩衝を図る。
【発明の効果】
【0018】
本願発明によれば、
・ 箱体や梱包材の種類を共通化・集約化することで、製作コスト削減。
・ 出荷元での梱包作業の生産性向上と、発送費の低減。
・ 受取り側での開梱作業の軽減化と、廃棄物の排出量を抑制。
・ 軽量で小さく畳めるので、回収費用が安価で回収が容易となり、再使用により箱 体と梱包材の製作コストを節減し、原価低減により粗利益向上。
このように、作業性の向上、コストの節約、かつ資源効率の向上を図ること等ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、実施の形態を示す図面に基づき本願発明による再使用型の梱包材及び簡易包装箱をさらに詳しく説明する。なお、便宜上同一の機能を有する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0020】
図1は、帯状フィルム2aからなる包装用部材2の実施の形態を示す実施例の平面図である。フィルム素材は物品の保持力を大ならしめるため、摩擦係数及び引張破断強度の大なるウレタン系フィルムがあり、本実施例では熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)からなるフィルムを用いている。帯状フィルム2aの片側の端部に、着脱部材として面ファスナー3aを帯状フィルム面5の表と裏に設けて、対向する端部にサイズが大きい面ファスナー3aが取付けられて構成される。面ファスナー3aを一方の端部の表と裏に設けることで梱包作業が簡単となり、作業効率が飛躍的に向上する、又、対向する端部の面ファスナー3aのサイズが異なることで密着位置が移動可能となり、フィルム張力の調整を図ることで物品を安全に固定する。
【0021】
フィルム張力で固定され安定的に物品Wを保持するために、上記TPUからなる柔軟でよく伸びるフィルムにより、物品Wの周囲を包み込み、摩擦力と伸縮力を利用して物品Wの形状やサイズに併せて包装される。帯状フィルム2aの張力調節機能は、面ファスナー3aの密着位置を変えることで調整が可能である。密着位置は無段階に移動可能なので、張力を微調整することにより、比較的損傷し易い物品Wの包装にも適する。
【0022】
図2は、紐状フィルム2bからなる包装用部材2の実施の形態を示す実施例の平面図である。紐状フィルム2bは伸縮力を強めるために、前記したTPUフィルムを用い、帯状のフィルムを細く長く切断し、束ねて紐状に加工してなる。紐状フィルム2bの両端に、着脱部材として紐状面ファスナー3bが備えられて構成される。紐状面ファスナー3bは、表と裏にオスとメス形式の面ファスナーを有し、巻いて接着すると接続される自己完結型の形式である。紐状フィルム2bの張力調節機能は密着位置を変えるか、上記自己完結型の紐状面ファスナー3bの特性を活用して、フィルムの片端に設けた紐状面ファスナー3bで円形状の輪を作り、対向する端部の紐状面ファスナー3bを、上記円形状の輪に通し、密着位置を変えることで調整する。
箱体を複数で梱包する場合の、段積みする梱包に適するので、流通過程や輸送中に別途用いる輸送箱が不要となる。また、胴抜き構造の簡易包装箱9なので梱包した状態でも物品が確認できる。箱体に添付する荷札や送り状等の書面も糊等使わず挟んで添付できるので、流通過程での物品の積み下ろし作業や開梱作業も軽減化される。
【0023】
図3は、包装用部材2を同一種類で連結した実施の形態を示す平面図である。
帯状フィルム2aを2個連結した例を図示している。
(説明の為に一方を親のフィルムとし、他方を子のフィルムと仮称して記述する)
親のフィルム7の端部に設けられた面ファスナ3aに、子のフィルム8に設けられた面ファスナー3aを密着することで連結される。連結した2個の帯状フィルム2aの接続は、子のフィルム8の端部に設けられた面ファスナ3aを、親のフィルム7に設けられた面ファスナー3aと密着することで、閉ループとなり接続される。密着位置を変えることで、物品wの形状に合わせて角度も持たせられる。
【0024】
包装用部材2の帯状フィルム2aを連結することで、長さと角度を適宜に配置可能で、さらに並列に配置することで、幅も形成される。これにより、包装されるべき対象物品wは任意である。例えば引越運送業における多様な家具や備品等の梱包や、食器類や比較的損傷し易い物品の包装にも適する。
【0025】
図4は、包装用部材2を異なる種類で連結した実施の形態を示す平面図である。
紐状フィルム2bを2個と帯状フィルム2aを連結した例を図示している。
(説明の為に一方を親のフィルムとし、他方を子のフィルムと仮称して記述する)
親のフィルム7の端部に設けられた紐状面ファスナー3bに、子のフィルム8に設けられた紐状面ファスナー3bを密着することで連結される。連結した2個の紐状フィルム2bの接続は、子のフィルム8の端部に設けられた紐状面ファスナー3bを、親のフィルム7に設けられた紐状面ファスナー3bと密着することで、閉ループとなり接続される。
また、帯状フィルム2aの連結は前記した段落番号(0022)記載の自己完結型の紐状面ファスナー3bの特性であるオス・メス形式の面ファスナーと、帯状フィルム2aの面ファスナー3aを密着することで、紐状フィルムと連結される。この図は紐状フィルム2bと直角に交差させて連結した例で、紐状フィルム2bで物品を抑え、帯状フィルム2aで物品を安定的に保持する。 例えば形状が複雑な精密部品等の梱包に適する。
【0026】
図5は、簡易梱包箱9の実施の形態を示す展開図である。
簡易包装箱9は弾力性を有する方形状のフィルムからなり、直方体形状の箱体の6辺(正面9a・平面9b・左右側面・下面・背面9d)から、帯状フィルム2aや紐状フィルム2bを配置する為に、左右側面を削除し,下面に蓋の辺9eを付加した蓋付下面9cからなる胴抜き構造である。胴抜き構造の4辺(正面9a・平面9b・背面9d・蓋付下面9c)の中から3辺(平面9b・背面9d・蓋付下面9c)に、挿入用ポケット9fを縫製して設けて、緩衝用部材4を挿入して配置する。フィルム両端の正面9aと蓋の辺9eに着脱部材として、オスとメス形式の面ファスナー3aをフィルム面の表と裏に縫製して設ける。
【0027】
簡易包装箱9は、保管や開梱した場合、平面状となるので、倉庫や保管場所の省スペースを実現する。使用時における組立方法は、各辺を折り上げて、正面9aと蓋の辺9eに設けた面ファスナー3aを密着させることで、胴抜き構造の箱体に形成される。
【0028】
図6は、袋状フィルム4bからなる緩衝用部材4の実施の形態を示す斜視図である。袋状フィルム4bは、弾力性を有するフィルムからなり、空気を充填し加圧・減圧する空気圧用バルブ4cを備え、クッション性能を持つ密閉された袋状に形成される。
もしくは、上記空気圧用バルブ4cに代えて、緩衝材用挿入口を備えた袋状フィルム4bに、空気でふくらむ多孔質体からなるスポンジを収納して、緩衝性能を有する袋状フィルム4bが形成される。
【0029】
図7は、帯状フィルム2aからなる包装用部材2と緩衝用部材4の作用説明の図である。紙製や木製、合成樹脂製等の板状フレーム4a,もしくは前記した段落番号(0028)記載の袋状フィルム4bに載置した物品Wの周囲を、柔軟かつ滑りにくい帯状フィルム2aで被覆して、帯状フィルム2aの両端に取付けられた着脱部材の面ファスナー3aを密着することで、フィルムの伸縮力と摩擦力で物品Wが安全に固定される。張力が不十分な場合、前記した段落番号(0021)記載の張力調節機能を用いて帯状フィルム2aの張力を調節することで、物品Wがより安全に固定されて保護される。
この梱包方法は従来方法で製作された箱体にも活用できる経済的な梱包である。
【0030】
図8は、再使用型の梱包材及び簡易包装箱を組み合せた作用説明の図である。箱体内の平面9bと蓋付下面9cの挿入ポケット9fに、空気圧用バルブ4cを用いて空気を充填したクッション性能を持つ袋状フィルム4bを挿入して配置し、物品wを挿入ポケット9fの上に載置する。包装用部材の帯状フィルム2aのよく伸びる帯状フィルム面5で物品wを被覆して、箱体の左右側面の胴抜き開口部9gに通して、簡易包装箱9の外周に帯状フィルム2aを巻いて梱包し、帯状フィルム2aの両端に設けた面ファスナー3aを密着させて物品wを固定する。
【0031】
これにより、物品wは帯状フィルム2aで固定されて、さらに平面9bと蓋付下面9cの挿入ポケット9fに装着した袋状フィルム4bの間に挟まれ中空に保持されて、流通過程で受けるさまざまな外的要因からの衝撃や振動からも、確実に物品wを保持し保護する。
【0032】
帯状フィルム2aを用いることで、簡易包装箱9の3辺(平面9b・蓋付下面9c・背面9d)に物品wを収納できる。収納後、簡易包装箱9の各辺を折り上げて、蓋の辺9eと正面9aに設けた面ファスナー3aを密着させることで、胴抜き構造の箱体に形成される。該胴抜き構造の箱体は、直方体形状の箱体に比較して、左右側面分の原材料を節約できるのである。また、物品wの形状やサイズと重量等から帯状フィルム2aに、紐状フィルム2bを重ね巻きすることで、簡易包装箱9の強度と緩衝力を、さらに増強できる。
【0033】
開梱作業は、簡易包装箱9から帯状フィルム2aを外すと、開放されて平面状となる。
袋状フィルム4bも、空気圧用バルブ4cから空気を放出することで平面状となる。
多孔質体のスポンジを収納している袋状フィルムは、袋の上から押して減圧すると、圧縮されて薄くなる。もしくは、緩衝材用挿入口4dから取出すと蒲団綿の如くなり、取扱いし易くなる。再使用型の梱包材及び簡易包装箱は、開梱後は小さく畳めるので、定形郵便物扱い等の安価なコストでの回収と、再使用と再利用で環境問題にも貢献できるのである。応用として、宅急便使用や専用の回収便がある場合でも、小さく畳んだ梱包材や簡易包装箱は平面状となり,軽量で薄く、かつ丈夫なので一つの包装箱にまとめて収納し回収することで、出荷先での廃棄物の排出物を抑制し、物流の効率化を図りながら回収費用の節減と、困難であった再使用のシステム構築が具現できる。
【0034】
図9は、簡易包装箱9の幅(wide)サイズを、可変に構成した作用の説明のための配置図である。2個の簡易包装箱9の対向する胴抜き開口部9gを対称に配置して、簡易包装箱9の蓋付下面9cに設けた挿入用ポケット9fの各々に、袋状フィルム4bの両端をそれぞれ挿入し配置する。これにより、2個の箱体を直列に連結したサイズに拡張される。載置する物品の長さに合わせて、上記挿入用ポケット9fに装着した袋状フィルム4bを前後に移動して微調整を図ることで、物品に適合した箱体サイズが構成される。この例は、簡易包装箱サイズの高さ(high)・奥行き(depth)に合致していて、幅が長い物品に適する。
【0035】
図10は、簡易包装箱9に収納する袋状フィルム4bの連結形態を示す作用説明の図である。2個の袋状フィルム4bを連結する接点を中心にして、包装用部材の帯状フィルム2aを巻き付けて、帯状フィルム2aの両端に設けた面ファスナー3aを密着することにより連結を図る。これにより、簡易包装箱に収納する物品単位での袋状フィルム4bを新規に製作することは不要で、梱包材の再使用効率向上や集約化を図ることができる。
【0036】
図11は、簡易包装箱9の奥行きサイズを、可変に形成した作用の説明のための配置図である。2個の簡易包装箱9の対向する正面9aと蓋の辺9eを開き対称に配置して、正面9aと蓋の辺9eに設けた面ファスナを密着させて連結する。その上に帯状フィルムを巻き付けて、帯状フィルム2aの両端に設けた面ファスナー3aを密着することで箱体サイズが拡張される。この例は、簡易包装箱サイズの高さ(high)・幅(wide)に合致していて、奥行き(depth)が幅広い物品に適する。
また、他の実施形態で3個の簡易包装箱を連結した場合、平面9bを折り上げずに垂直にすることで、高さ(high)・幅(wide)・奥行き(depth)が拡張された箱体が形成される。
【0037】
本願発明は、上記した実施の形態に制限されない。例えば梱包材を構成する緩衝用部材4の素材は任意である。素材は空気をふくむスポンジの如き多孔質体で構成することもできる。例えば、ゴム、ポリエステル、ポリウレタン等からなるケーシングに、ゴム、ポリエステル、ポリウレタン等からなるスポンジを用いることもできる。
【0038】
簡易包装箱に用いる緩衝用部材4の組み合せは任意である。同じ種類との組み合せでもよいし、梱包する対象物品により、異種類の組み合せも任意である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本願発明による帯状フィルムの実施形態を示す実施例の平面図である。
【図2】本願発明による紐状フィルムの実施形態を示す実施例の平面図である。
【図3】本願発明による帯状フィルムの連結形態を示す平面図である。
【図4】本願発明による紐状と帯状フィルムの連結形態を示す平面図である。
【図5】本願発明による簡易包装箱の実施の形態を示す展開図である。
【図6】本願発明による袋状フィルムの実施の形態を示す斜視図である。
【図7】本願発明による包装用部材と緩衝用部材の作用説明のために使用する図である。
【図8】本願発明による梱包材及び簡易包装箱の作用説明のために使用する図である。
【図9】本願発明による簡易包装箱の幅サイズを、可変に構成した作用説明の図である。
【図10】本願発明による袋状フィルムの連結形態を示す作用説明の図である。
【図11】本願発明による簡易包装箱の奥行き幅を、可変に形成した作用説明の図である。
【符号の説明】
【0040】
1 再使用型の梱包材 4 緩衝用部材 9 簡易包装箱
2 包装用部材 4a 板状フレーム 9a 正面
2a 帯状フィルム 4b 袋状フィルム 9b 平面
2b 紐状フィルム 4c 空気圧用バルブ 9c 蓋付下面
3 着脱部材 4d 緩衝材用挿入口 9d 背面
3a 面ファスナー 5 帯状フィルム面 9e 蓋の辺
3b 紐状面ファスナー 6 紐状フィルム面 9f 挿入用ポケット
7 親のフィルム 9g 胴抜き開口部
8 子のフィルム W 物品
【技術分野】
【0001】
本願発明は、弾力性のあるフィルムで物品を包装する再使用型の梱包材及び簡易包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルム梱包材は物品を特定し、専用の梱包材と直方体形状の箱体を用いて、フィルムは紙製のケーシングに熱融着や接着剤で取付けられている。この以前は、物品の種類別に発泡スチロール成形体、最近は紙製成形体等からなる緩衝材に嵌め込み、箱に入れて梱包している。簡易的な包装として、発泡緩衝シート等で包装する場合も多く、この場合は箱体と物品の隙間を別な緩衝材等でさらに埋めて梱包している。
【0003】
特許文献1(特表平3−503995号公報)、特許文献2(米国特許5386911号公報)、特許文献3(特開平10−45171号公報)、特許文献4(特開2001−27843号公報)にフィルム包装材が提案されている。しかし、これは載置する物品を特定し、単一の物品を保持するものであった。着脱可能で、帯状フィルムや紐状フィルムを用いた梱包材や、ケーシングに弾力性を有するフィルムを用いた包装箱に関して、公知の技術や市販されている商品は見当たらない。
【0004】
【特許文献1】 特表平3−503995号 公報
【特許文献2】 米国特許5386911号 公報
【特許文献3】 特開平10−45171号 公報
【特許文献4】 特開2001−27843号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術で記載した従来の技術は、特定物品に合う専用の梱包材と箱体を用いることで、高性能な保護緩衝性能を実現しているが、出荷の片道での廃棄か、もしくは出荷と回収の1往復で廃棄されているのが現状である。このため、コスト面や資源の節約上課題が多い。
【0006】
梱包材と箱体は、サイズや形状が同じ物品単位で個別に製作されている。よって商品種類別の多様な梱包材や包装箱となり、在庫スペースや倉庫、作業準備や梱包作業が繁雑となり、また使用範囲が限定されるので、廃棄物の排出量も多く環境問題となっている。
【0007】
物品を複数個収納する場合、包装箱を更にサイズの大きい輸送箱で再梱包している。
箱内の隙間に緩衝材を詰めて固定するので、出荷先では廃棄物の排出量が増加傾向。
【0008】
梱包材と包装箱は5回前後の再使用を設計仕様として、高品質の材料を使用している。
一回の使用で廃棄されている現状では、環境問題や資源節約上問題が多い。
【0009】
フィルム梱包材は、欧米では再資源化対象品と認定されていて、出荷先、回収先での廃棄物の排出量が最小限に抑えられている。
本願発明は以上の問題点を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的達成のため本願発明による再使用型の梱包材及び簡易包装箱は、弾力性を有するフィルムからなる。上記再使用型の梱包材は包装用部材として、帯状フィルムと紐状フィルムの2種類を設けた。該フィルムの両端に面ファスナーを縫製して設けることにより着脱可能。且つ、簡易包装箱は開梱後、小さく畳めるので定形郵便物扱い等の簡便な方法での回収と、輸送費等コストを節減しながら繰返し使用が可能で、環境負荷低減。
【0011】
帯状フィルムや紐状フィルムの包装用部材を、少なくても2個以上連結することで、任意の長さ・角度・幅が適宜に形成される。これにより対象物品の範囲拡大と多様な用途に適応できる。
【0012】
包装用部材の帯状フィルムや紐状フィルムと組み合せて用いる緩衝用部材の袋状フィルムに、空気を充填・加圧・減圧する空気圧用バルブを設ける。空気圧のクッション性能を有する袋状フィルムの上に載置した物品を、特に容器の下面から受ける、輸送中の衝撃や振動から保護する。 また、上記空気圧用バルブに代えて、緩衝材用挿入口を設けて、空気でふくらむ多孔質体からなるスポンジを上記袋状フィルム内に収納することで、緩衝性能を持つ袋状フィルムが、簡易包装箱に収納する複数個の物品間の干渉を防止して、物品を安全に保護する。
【0013】
容器と該容器内に収納される上記再使用型の梱包材とからなり、上記容器を構成するケーシングが弾力性を有するフィルムからなり、組立てると箱体形状となる。箱体内の6辺(正面・平面・左右側面・下面・背面)の中から上記再使用型の梱包材を装着する為、左右側面を取外し,下面に蓋の辺を付加した4辺から形成される胴抜き構造の簡易包装箱となる。
【0014】
上記簡易包装箱において、箱体内の3辺(平面・蓋付の下面・背面)の各々に、上記袋状フィルムを配置する挿入用ポケットを設ける。少なくても2面を活用し空気圧で脹らんだ上記袋状フィルムを挿入用ポケットに挿入して、該挿入用ポケットの上に物品を載置する。物品のサイズ・形状によっては、一つの面に複数個の物品も混載可能である。
【0015】
上記包装用部材の帯状フィルムで物品を包み込み、もしくは、紐状フィルムで物品を抑え、胴抜きした箱体の開口部を通して、上記帯状フィルムや紐状フィルムの両端に設けた面ファスナーを密着させることで、物品を包装し、固定する。
【0016】
物品を収納後、上記簡易包装箱の4辺を折り上げ、正面と蓋付の下面に設けた面ファスナーを密着することで胴抜き構造の箱体となり、サイズ・形状の異なる物品でも混載して収納できる再使用型の簡易包装箱となる。また、紐状フィルムを用いて、簡易包装箱を複数個で段積みにして梱包することで、輸送箱を兼ねて用いることができる。
【0017】
上記簡易包装箱において、平面・蓋付下面・背面に各々物品を収納できる。箱体内で対向する物品が、形状等から干渉する時は、上記緩衝用部材の袋状フィルムの空気圧や、上記包装用部材の帯状フィルムや紐状フィルムのフィルム張力を調整するか、多孔質体のスポンジを収納した袋状フィルムを物品間に挿入して、保護緩衝を図る。
【発明の効果】
【0018】
本願発明によれば、
・ 箱体や梱包材の種類を共通化・集約化することで、製作コスト削減。
・ 出荷元での梱包作業の生産性向上と、発送費の低減。
・ 受取り側での開梱作業の軽減化と、廃棄物の排出量を抑制。
・ 軽量で小さく畳めるので、回収費用が安価で回収が容易となり、再使用により箱 体と梱包材の製作コストを節減し、原価低減により粗利益向上。
このように、作業性の向上、コストの節約、かつ資源効率の向上を図ること等ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、実施の形態を示す図面に基づき本願発明による再使用型の梱包材及び簡易包装箱をさらに詳しく説明する。なお、便宜上同一の機能を有する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0020】
図1は、帯状フィルム2aからなる包装用部材2の実施の形態を示す実施例の平面図である。フィルム素材は物品の保持力を大ならしめるため、摩擦係数及び引張破断強度の大なるウレタン系フィルムがあり、本実施例では熱可塑性ウレタンエラストマー(TPU)からなるフィルムを用いている。帯状フィルム2aの片側の端部に、着脱部材として面ファスナー3aを帯状フィルム面5の表と裏に設けて、対向する端部にサイズが大きい面ファスナー3aが取付けられて構成される。面ファスナー3aを一方の端部の表と裏に設けることで梱包作業が簡単となり、作業効率が飛躍的に向上する、又、対向する端部の面ファスナー3aのサイズが異なることで密着位置が移動可能となり、フィルム張力の調整を図ることで物品を安全に固定する。
【0021】
フィルム張力で固定され安定的に物品Wを保持するために、上記TPUからなる柔軟でよく伸びるフィルムにより、物品Wの周囲を包み込み、摩擦力と伸縮力を利用して物品Wの形状やサイズに併せて包装される。帯状フィルム2aの張力調節機能は、面ファスナー3aの密着位置を変えることで調整が可能である。密着位置は無段階に移動可能なので、張力を微調整することにより、比較的損傷し易い物品Wの包装にも適する。
【0022】
図2は、紐状フィルム2bからなる包装用部材2の実施の形態を示す実施例の平面図である。紐状フィルム2bは伸縮力を強めるために、前記したTPUフィルムを用い、帯状のフィルムを細く長く切断し、束ねて紐状に加工してなる。紐状フィルム2bの両端に、着脱部材として紐状面ファスナー3bが備えられて構成される。紐状面ファスナー3bは、表と裏にオスとメス形式の面ファスナーを有し、巻いて接着すると接続される自己完結型の形式である。紐状フィルム2bの張力調節機能は密着位置を変えるか、上記自己完結型の紐状面ファスナー3bの特性を活用して、フィルムの片端に設けた紐状面ファスナー3bで円形状の輪を作り、対向する端部の紐状面ファスナー3bを、上記円形状の輪に通し、密着位置を変えることで調整する。
箱体を複数で梱包する場合の、段積みする梱包に適するので、流通過程や輸送中に別途用いる輸送箱が不要となる。また、胴抜き構造の簡易包装箱9なので梱包した状態でも物品が確認できる。箱体に添付する荷札や送り状等の書面も糊等使わず挟んで添付できるので、流通過程での物品の積み下ろし作業や開梱作業も軽減化される。
【0023】
図3は、包装用部材2を同一種類で連結した実施の形態を示す平面図である。
帯状フィルム2aを2個連結した例を図示している。
(説明の為に一方を親のフィルムとし、他方を子のフィルムと仮称して記述する)
親のフィルム7の端部に設けられた面ファスナ3aに、子のフィルム8に設けられた面ファスナー3aを密着することで連結される。連結した2個の帯状フィルム2aの接続は、子のフィルム8の端部に設けられた面ファスナ3aを、親のフィルム7に設けられた面ファスナー3aと密着することで、閉ループとなり接続される。密着位置を変えることで、物品wの形状に合わせて角度も持たせられる。
【0024】
包装用部材2の帯状フィルム2aを連結することで、長さと角度を適宜に配置可能で、さらに並列に配置することで、幅も形成される。これにより、包装されるべき対象物品wは任意である。例えば引越運送業における多様な家具や備品等の梱包や、食器類や比較的損傷し易い物品の包装にも適する。
【0025】
図4は、包装用部材2を異なる種類で連結した実施の形態を示す平面図である。
紐状フィルム2bを2個と帯状フィルム2aを連結した例を図示している。
(説明の為に一方を親のフィルムとし、他方を子のフィルムと仮称して記述する)
親のフィルム7の端部に設けられた紐状面ファスナー3bに、子のフィルム8に設けられた紐状面ファスナー3bを密着することで連結される。連結した2個の紐状フィルム2bの接続は、子のフィルム8の端部に設けられた紐状面ファスナー3bを、親のフィルム7に設けられた紐状面ファスナー3bと密着することで、閉ループとなり接続される。
また、帯状フィルム2aの連結は前記した段落番号(0022)記載の自己完結型の紐状面ファスナー3bの特性であるオス・メス形式の面ファスナーと、帯状フィルム2aの面ファスナー3aを密着することで、紐状フィルムと連結される。この図は紐状フィルム2bと直角に交差させて連結した例で、紐状フィルム2bで物品を抑え、帯状フィルム2aで物品を安定的に保持する。 例えば形状が複雑な精密部品等の梱包に適する。
【0026】
図5は、簡易梱包箱9の実施の形態を示す展開図である。
簡易包装箱9は弾力性を有する方形状のフィルムからなり、直方体形状の箱体の6辺(正面9a・平面9b・左右側面・下面・背面9d)から、帯状フィルム2aや紐状フィルム2bを配置する為に、左右側面を削除し,下面に蓋の辺9eを付加した蓋付下面9cからなる胴抜き構造である。胴抜き構造の4辺(正面9a・平面9b・背面9d・蓋付下面9c)の中から3辺(平面9b・背面9d・蓋付下面9c)に、挿入用ポケット9fを縫製して設けて、緩衝用部材4を挿入して配置する。フィルム両端の正面9aと蓋の辺9eに着脱部材として、オスとメス形式の面ファスナー3aをフィルム面の表と裏に縫製して設ける。
【0027】
簡易包装箱9は、保管や開梱した場合、平面状となるので、倉庫や保管場所の省スペースを実現する。使用時における組立方法は、各辺を折り上げて、正面9aと蓋の辺9eに設けた面ファスナー3aを密着させることで、胴抜き構造の箱体に形成される。
【0028】
図6は、袋状フィルム4bからなる緩衝用部材4の実施の形態を示す斜視図である。袋状フィルム4bは、弾力性を有するフィルムからなり、空気を充填し加圧・減圧する空気圧用バルブ4cを備え、クッション性能を持つ密閉された袋状に形成される。
もしくは、上記空気圧用バルブ4cに代えて、緩衝材用挿入口を備えた袋状フィルム4bに、空気でふくらむ多孔質体からなるスポンジを収納して、緩衝性能を有する袋状フィルム4bが形成される。
【0029】
図7は、帯状フィルム2aからなる包装用部材2と緩衝用部材4の作用説明の図である。紙製や木製、合成樹脂製等の板状フレーム4a,もしくは前記した段落番号(0028)記載の袋状フィルム4bに載置した物品Wの周囲を、柔軟かつ滑りにくい帯状フィルム2aで被覆して、帯状フィルム2aの両端に取付けられた着脱部材の面ファスナー3aを密着することで、フィルムの伸縮力と摩擦力で物品Wが安全に固定される。張力が不十分な場合、前記した段落番号(0021)記載の張力調節機能を用いて帯状フィルム2aの張力を調節することで、物品Wがより安全に固定されて保護される。
この梱包方法は従来方法で製作された箱体にも活用できる経済的な梱包である。
【0030】
図8は、再使用型の梱包材及び簡易包装箱を組み合せた作用説明の図である。箱体内の平面9bと蓋付下面9cの挿入ポケット9fに、空気圧用バルブ4cを用いて空気を充填したクッション性能を持つ袋状フィルム4bを挿入して配置し、物品wを挿入ポケット9fの上に載置する。包装用部材の帯状フィルム2aのよく伸びる帯状フィルム面5で物品wを被覆して、箱体の左右側面の胴抜き開口部9gに通して、簡易包装箱9の外周に帯状フィルム2aを巻いて梱包し、帯状フィルム2aの両端に設けた面ファスナー3aを密着させて物品wを固定する。
【0031】
これにより、物品wは帯状フィルム2aで固定されて、さらに平面9bと蓋付下面9cの挿入ポケット9fに装着した袋状フィルム4bの間に挟まれ中空に保持されて、流通過程で受けるさまざまな外的要因からの衝撃や振動からも、確実に物品wを保持し保護する。
【0032】
帯状フィルム2aを用いることで、簡易包装箱9の3辺(平面9b・蓋付下面9c・背面9d)に物品wを収納できる。収納後、簡易包装箱9の各辺を折り上げて、蓋の辺9eと正面9aに設けた面ファスナー3aを密着させることで、胴抜き構造の箱体に形成される。該胴抜き構造の箱体は、直方体形状の箱体に比較して、左右側面分の原材料を節約できるのである。また、物品wの形状やサイズと重量等から帯状フィルム2aに、紐状フィルム2bを重ね巻きすることで、簡易包装箱9の強度と緩衝力を、さらに増強できる。
【0033】
開梱作業は、簡易包装箱9から帯状フィルム2aを外すと、開放されて平面状となる。
袋状フィルム4bも、空気圧用バルブ4cから空気を放出することで平面状となる。
多孔質体のスポンジを収納している袋状フィルムは、袋の上から押して減圧すると、圧縮されて薄くなる。もしくは、緩衝材用挿入口4dから取出すと蒲団綿の如くなり、取扱いし易くなる。再使用型の梱包材及び簡易包装箱は、開梱後は小さく畳めるので、定形郵便物扱い等の安価なコストでの回収と、再使用と再利用で環境問題にも貢献できるのである。応用として、宅急便使用や専用の回収便がある場合でも、小さく畳んだ梱包材や簡易包装箱は平面状となり,軽量で薄く、かつ丈夫なので一つの包装箱にまとめて収納し回収することで、出荷先での廃棄物の排出物を抑制し、物流の効率化を図りながら回収費用の節減と、困難であった再使用のシステム構築が具現できる。
【0034】
図9は、簡易包装箱9の幅(wide)サイズを、可変に構成した作用の説明のための配置図である。2個の簡易包装箱9の対向する胴抜き開口部9gを対称に配置して、簡易包装箱9の蓋付下面9cに設けた挿入用ポケット9fの各々に、袋状フィルム4bの両端をそれぞれ挿入し配置する。これにより、2個の箱体を直列に連結したサイズに拡張される。載置する物品の長さに合わせて、上記挿入用ポケット9fに装着した袋状フィルム4bを前後に移動して微調整を図ることで、物品に適合した箱体サイズが構成される。この例は、簡易包装箱サイズの高さ(high)・奥行き(depth)に合致していて、幅が長い物品に適する。
【0035】
図10は、簡易包装箱9に収納する袋状フィルム4bの連結形態を示す作用説明の図である。2個の袋状フィルム4bを連結する接点を中心にして、包装用部材の帯状フィルム2aを巻き付けて、帯状フィルム2aの両端に設けた面ファスナー3aを密着することにより連結を図る。これにより、簡易包装箱に収納する物品単位での袋状フィルム4bを新規に製作することは不要で、梱包材の再使用効率向上や集約化を図ることができる。
【0036】
図11は、簡易包装箱9の奥行きサイズを、可変に形成した作用の説明のための配置図である。2個の簡易包装箱9の対向する正面9aと蓋の辺9eを開き対称に配置して、正面9aと蓋の辺9eに設けた面ファスナを密着させて連結する。その上に帯状フィルムを巻き付けて、帯状フィルム2aの両端に設けた面ファスナー3aを密着することで箱体サイズが拡張される。この例は、簡易包装箱サイズの高さ(high)・幅(wide)に合致していて、奥行き(depth)が幅広い物品に適する。
また、他の実施形態で3個の簡易包装箱を連結した場合、平面9bを折り上げずに垂直にすることで、高さ(high)・幅(wide)・奥行き(depth)が拡張された箱体が形成される。
【0037】
本願発明は、上記した実施の形態に制限されない。例えば梱包材を構成する緩衝用部材4の素材は任意である。素材は空気をふくむスポンジの如き多孔質体で構成することもできる。例えば、ゴム、ポリエステル、ポリウレタン等からなるケーシングに、ゴム、ポリエステル、ポリウレタン等からなるスポンジを用いることもできる。
【0038】
簡易包装箱に用いる緩衝用部材4の組み合せは任意である。同じ種類との組み合せでもよいし、梱包する対象物品により、異種類の組み合せも任意である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本願発明による帯状フィルムの実施形態を示す実施例の平面図である。
【図2】本願発明による紐状フィルムの実施形態を示す実施例の平面図である。
【図3】本願発明による帯状フィルムの連結形態を示す平面図である。
【図4】本願発明による紐状と帯状フィルムの連結形態を示す平面図である。
【図5】本願発明による簡易包装箱の実施の形態を示す展開図である。
【図6】本願発明による袋状フィルムの実施の形態を示す斜視図である。
【図7】本願発明による包装用部材と緩衝用部材の作用説明のために使用する図である。
【図8】本願発明による梱包材及び簡易包装箱の作用説明のために使用する図である。
【図9】本願発明による簡易包装箱の幅サイズを、可変に構成した作用説明の図である。
【図10】本願発明による袋状フィルムの連結形態を示す作用説明の図である。
【図11】本願発明による簡易包装箱の奥行き幅を、可変に形成した作用説明の図である。
【符号の説明】
【0040】
1 再使用型の梱包材 4 緩衝用部材 9 簡易包装箱
2 包装用部材 4a 板状フレーム 9a 正面
2a 帯状フィルム 4b 袋状フィルム 9b 平面
2b 紐状フィルム 4c 空気圧用バルブ 9c 蓋付下面
3 着脱部材 4d 緩衝材用挿入口 9d 背面
3a 面ファスナー 5 帯状フィルム面 9e 蓋の辺
3b 紐状面ファスナー 6 紐状フィルム面 9f 挿入用ポケット
7 親のフィルム 9g 胴抜き開口部
8 子のフィルム W 物品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内に収納される梱包材において、上記梱包材は物品を包装・固定する包装用部材と、物品を保持・保護する緩衝用部材から構成されることを特徴とする再使用型の梱包材。
【請求項2】
請求項1記載の再使用型の梱包材において、上記包装用部材は弾力性を有する帯状フィルム、もしくは紐状フィルムからなり、その両端に着脱部材として面ファスナーを縫製して設けることを特徴とする再使用型の梱包材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の再使用型の梱包材において、上記包装用部材を同一種類、もしくは異種類との組合せからなり、少なくても2個以上連結することで長さと角度を適宜に形成されることを特徴とする再使用型の梱包材。
【請求項4】
請求項1記載の再使用型の梱包材において、上記緩衝用部材は弾力性を有するフィルムからなり、ケーシングが袋状フィルムに形成されることを特徴とする再使用型の梱包材。
【請求項5】
請求項1又は請求項4記載の再使用型の梱包材において、上記緩衝用部材に空気を注入し、放出する空気圧用バルブを設けてなり、クッション性能を有することを特徴とする再使用型の梱包材。
【請求項6】
請求項1又は請求項4記載の再使用型の梱包材において、上記緩衝用部材に緩衝材用挿入口を設けてなり、多孔質体からなるスポンジを収納して、緩衝性能を有することを特徴とする再使用型の梱包材。
【請求項7】
容器と該容器内に収納される上記梱包材とからなり、上記容器を構成するケーシングが弾力性を有する方形状のフィルムからなり、その両端に面ファスナーを縫製して設けてなる方形状柱体に形成されることを特徴とする簡易包装箱。
【請求項8】
請求項7記載の簡易包装箱において、上記容器内の6辺(正面・平面・左側面・右側面・下面・背面)の中から、左右の側面を取り外し,下面に蓋の辺を付加した4辺(正面・平面・蓋付下面・背面)で構成し、胴抜き構造に形成されることを特徴とする簡易包装箱。
【請求項9】
請求項7又は請求項8記載の簡易包装箱において、箱内3辺(平面・背面・蓋付下面)の辺別に上記梱包材の袋状フィルムを配置する挿入用ポケットを、縫製して設けることを特徴とする簡易包装箱。
【請求項10】
請求項9記載の簡易包装箱において、上記再使用型の梱包材を構成する包装用部材と緩衝用部材を用いて、上記簡易包装箱の胴抜き構造の開口部を,少なくても2個以上を対称に配置することで、箱体の長さを可変に構成されてなることを特徴とする簡易包装箱。
【請求項11】
請求項9記載の簡易包装箱において、上記簡易包装箱の正面と蓋付下面を用いて、少なくても2個以上連結することで、箱体サイズを可変に形成されてなることを特徴とする簡易包装箱。
【請求項1】
容器内に収納される梱包材において、上記梱包材は物品を包装・固定する包装用部材と、物品を保持・保護する緩衝用部材から構成されることを特徴とする再使用型の梱包材。
【請求項2】
請求項1記載の再使用型の梱包材において、上記包装用部材は弾力性を有する帯状フィルム、もしくは紐状フィルムからなり、その両端に着脱部材として面ファスナーを縫製して設けることを特徴とする再使用型の梱包材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の再使用型の梱包材において、上記包装用部材を同一種類、もしくは異種類との組合せからなり、少なくても2個以上連結することで長さと角度を適宜に形成されることを特徴とする再使用型の梱包材。
【請求項4】
請求項1記載の再使用型の梱包材において、上記緩衝用部材は弾力性を有するフィルムからなり、ケーシングが袋状フィルムに形成されることを特徴とする再使用型の梱包材。
【請求項5】
請求項1又は請求項4記載の再使用型の梱包材において、上記緩衝用部材に空気を注入し、放出する空気圧用バルブを設けてなり、クッション性能を有することを特徴とする再使用型の梱包材。
【請求項6】
請求項1又は請求項4記載の再使用型の梱包材において、上記緩衝用部材に緩衝材用挿入口を設けてなり、多孔質体からなるスポンジを収納して、緩衝性能を有することを特徴とする再使用型の梱包材。
【請求項7】
容器と該容器内に収納される上記梱包材とからなり、上記容器を構成するケーシングが弾力性を有する方形状のフィルムからなり、その両端に面ファスナーを縫製して設けてなる方形状柱体に形成されることを特徴とする簡易包装箱。
【請求項8】
請求項7記載の簡易包装箱において、上記容器内の6辺(正面・平面・左側面・右側面・下面・背面)の中から、左右の側面を取り外し,下面に蓋の辺を付加した4辺(正面・平面・蓋付下面・背面)で構成し、胴抜き構造に形成されることを特徴とする簡易包装箱。
【請求項9】
請求項7又は請求項8記載の簡易包装箱において、箱内3辺(平面・背面・蓋付下面)の辺別に上記梱包材の袋状フィルムを配置する挿入用ポケットを、縫製して設けることを特徴とする簡易包装箱。
【請求項10】
請求項9記載の簡易包装箱において、上記再使用型の梱包材を構成する包装用部材と緩衝用部材を用いて、上記簡易包装箱の胴抜き構造の開口部を,少なくても2個以上を対称に配置することで、箱体の長さを可変に構成されてなることを特徴とする簡易包装箱。
【請求項11】
請求項9記載の簡易包装箱において、上記簡易包装箱の正面と蓋付下面を用いて、少なくても2個以上連結することで、箱体サイズを可変に形成されてなることを特徴とする簡易包装箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−143640(P2010−143640A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−336078(P2008−336078)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【特許番号】特許第4367793号(P4367793)
【特許公報発行日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.宅急便
【出願人】(505319245)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【特許番号】特許第4367793号(P4367793)
【特許公報発行日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.宅急便
【出願人】(505319245)
【Fターム(参考)】
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