説明

再封式容器

【課題】
従来の再封式容器は、袋状で内容物がつぶれてしまうおそれがあった。また、蝶番部の強度を上げようとすると、蓋も硬くなってしまい、開封時に蓋が摘みにくくなるといった問題があった。
【解決手段】
本願発明に係る再封式容器はトレイと、トップフィルムと、リシールラベルとを備え、該トレイの開口部は該トップフィルムによって覆われ、切込部が該トップフィルムに施され、該切込部によって該トップフィルムに開閉部と蝶番部が形成され、該リシールラベルは該トップフィルムに剥離可能かつ再貼着可能に貼着され、該切込部全体と該蝶番部とが該リシールラベルに覆われ、該リシールラベルが外蓋として機能し、該開閉部が内蓋として機能するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は再封式容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、再封式容器は、ウエットティッシュ等の容器に多く使用されている。この再封式容器が包装容器であれば、例えばウエットティッシュを別の容器に移さなくても、ウエットティッシュに染み込んだ液体を揮発させずに保管することができる。
【0003】
再封式容器は、一般的に図4に示す構造を有している。この再封式容器101は、袋状の容器本体102に、再貼着可能な外蓋104が開閉するものである。
【0004】
ところが、このような容器本体が袋状の再封式容器は、再封式容器を重ねると内容物がつぶれてしまうおそれがある。そのため、ウエットティッシュのようにある程度つぶれてもよい内容物には使用できるが、ハム等の食品のようにつぶれてはいけない内容物には使用することはできなかった。
【0005】
また、図4の再封式容器は、外蓋104が固定部105で固定されているため、固定部105の縁に力が集中しやすく、蝶番部106が破れてしまうことがあった。一方、破れを防ごうと外蓋104を硬くすると、開封の際に外蓋104が摘みにくくなってしまっていた。
【0006】
これに対して、特許文献1で開示されている図5に示す再封式容器201は、内蓋203が完全には分離しないため、蝶番部206が2重構造となっている。この構造によれば、内蓋203の材料を硬くして蝶番206の強度を上げ、一方で外蓋204の材料を軟らかくして摘みやすくできるようにも思える。ところが、外蓋204は固定部205で固定されているため、結局は固定部205の縁に亀裂が入りやすく、外蓋204を硬くしなければならなかった。
【0007】
以上のように、従来の再封式容器は内容物がつぶれやすく、また、蝶番部の強度を上げようと蝶番部を硬くすると、開封時に蓋が摘みにくくなるという問題があった。
【特許文献1】実用新案出願公開昭63−91460
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明では、内容物がつぶれにくく、蝶番部が破れにくく、開封時に蓋が摘みやすい再封式容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願発明に係る再封式容器は、トレイと、トップフィルムと、リシールラベルとを備え、該トレイの開口部は該トップフィルムによって覆われ、切込部が該トップフィルムに施され、該切込部によって該トップフィルムに開閉部と蝶番部が形成され、該リシールラベルは該トップフィルムに剥離可能かつ再貼着可能に貼着され、該切込部全体と該蝶番部とが該リシールラベルに覆われ、該リシールラベルが外蓋として機能し、該開閉部が内蓋として機能するものとした(請求項1)。
【0010】
これにより、内容物に力がかかりにくく、また、蝶番部が2重の構造になる。
【0011】
また、該外蓋は該内蓋の該蝶番部の位置を超えて剥離可能としてもよい(請求項2)。
【0012】
これにより、外蓋の蝶番部にはせん断力が働きにくくなり、リシールラベルの材料として軟らかいものを使用できる。
【0013】
さらに、該切込部の形状を略コの字形としてもよく(請求項3)、該切込部の両端部を曲線的にかつ該開閉部の内側に向かって折り返してもよく(請求項4)、該切込部は該トップフィルムを貫通しない連続的な一定の深さの溝としてもよい(請求項5)。
【発明の効果】
【0014】
本願発明によれば、内容物がつぶれにくく、蝶番部が破れにくく、開封時に蓋が摘みやすい再封式容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本願発明を実施するための最良の形態について、図を参照しながら以下に説明する。
【0016】
まず、本願発明にかかる再封式包装容器の構造について図1を参照しつつ詳細に説明する。図1(a)は再封式容器1の斜視図であり、図1(b)は再封式容器1の分解図である。再封式容器1は、トレイ2と、トップフィルム3と、リシールラベル5とを備える。
【0017】
トレイ2は、任意の深さを有する収容部6とフランジ部7から成る。トレイ2は成形型によって収容部6とフランジ部7とが一体として成形される。収容部6はハム等の内容物が収容される部分である。
【0018】
トップフィルム3は、トレイ2の開口部を覆う。トップフィルム3には、切込部4が施されている。トップフィルム3とトレイ2とはフランジ部7で融着される。トップフィルム3とトレイ2との融着は、収容部6に内容物が収容された後に行われる。
【0019】
切込部4は、トップフィルム3を予め決めた形状にせん断するための補助的な役割を果たす。切込部4によってトップフィルム3に開閉部10と蝶番部12が形成される。切込部4は等間隔にトップフィルム3に貫通する穴を開けるいわゆるミシン目によって構成されても良いが、本実施例では、切込部4は、トップフィルム3に貫通する穴を開けることなく、連続的な一定の深さの溝によって構成される。切込部4の形状は、略コの字形である。切込部4の両端部8は、曲線的にかつ開閉部10の内側に向かって折り返されている。切込部4はトップフィルム3がトレイ2に融着される前にトップフィルム3に施される。
【0020】
リシールラベル5は、トップフィルム3に剥離可能かつ再貼着可能に貼着される。トップフィルム3は、フランジ部7またはその付近までリシールラベル5により覆われる。これにより、切込部4全体と蝶番部12とがリシールラベル5によって覆われる。リシールラベル5は、貼着用の糊によってトップフィルム3に貼着される。ただし、リシールラベル5の隅には、貼着がされない把持部9が設けられる。リシールラベル5のトップフィルム3への貼着は、トップフィルム3に切込部4が施された後トップフィルム3がトレイ2に融着される前に行われる。
【0021】
再封式容器1が食品の包装や保存に使用される場合は、再封式容器1の材料が食品に害を与えず、かつ、食品から生じる物質により再封式容器1の材料が影響を受けないものとする。例えば、シールラベル5をトップフィルム3に貼着させる糊は、人体に悪影響を及ぼさず合成樹脂の貼着に適したものを使用する。トレイ2の材料は従来食品用包装容器のトレイに使用されている合成樹脂性の材料を使用することができる。トップフィルム3の材料は従来食品用包装器のトップフィルムに使用されている可撓性のある合成樹脂性の材料を使用することができる。リシールラベル5の材料は従来食品用包装容器に貼着されているシールラベルに使用される可撓性のある合成樹脂性の材料を使用することができる。
【0022】
次に、図2及び図3を参照しつつ、再封式容器1の開封及び再密封の動作について説明する。
【0023】
図2は、開封途中状態の再封式容器1を表した図である。また、図3は、全開状態の再封式容器1を表した図である。
【0024】
再封式容器1を未開封の状態から開封する場合は、把持部9を摘みシールラベル5を引き上げる。把持部9はトップフィルムと貼着されていないため、容易に摘むことができる。
【0025】
シールラベル5を引き上げると、シールラベル5はトップフィルム3に貼着された状態から、把持部9周辺を始点としてトップフィルム3から徐々に剥離される。
【0026】
シールラベル5の剥離範囲が切込部4に及ぶと、トップフィルム3の切込部4で囲まれた部分は、シールラベル5に貼着し、シールラベル5と共に引き上げられる。そうすると、トップフィルム3の切込部4で囲まれた部分と、その他のトップフィルム3の部分との間に両部分をせん断する力が加わり、トップフィルム3は切込部4でせん断される。
【0027】
さらにシールラベル5が引き上げられると、トップフィルム3のせん断部分は切込部4に沿って進み、切込部4の起端8に達した時点でせん断の進行が終了する。リシールラベル5とトップフィルム3の切込部4で囲まれた部分とは貼着されているため、トップフィルム3のせん断の進行が終了した時点でリシールラベル5の剥離も終了する。この状態が全開状態である。
【0028】
一旦切込部4の起端8までトップフィルム3がせん断されると、内蓋10及び外蓋11が形成される。つまり、トップフィルム3の切込部4で囲まれた部分が内蓋10となり、リシールラベル5が外蓋11となる。また、トップフィルム3の切込部4の両起端8をつなぐ部分が内蓋10の蝶番部12となり、この部分と一体に貼着されるリシールラベル5の部分が外蓋11の蝶番部13となる。つまり、トップフィルム3とリシールラベル5が一体となって2重の構造の蝶番部14となる。
【0029】
リシールラベル5はトップフィルム3から剥離可能となっており、外蓋11は内蓋10の蝶番部12の位置を超えて剥離可能である。
【0030】
再封式容器1を再密封する場合は、リシールラベル5をトップフィルム3に貼着させる。リシールラベル5の内蓋10と貼着していない部分の貼着用の糊によって、トップフィルム3と再貼着することができる。内蓋10周辺が完全に貼着することにより、再封式容器1を密封することができる。
【0031】
次に本実施形態の構造によって得られる効果について説明する。
【0032】
本実施例に係る再封式容器1は、トレイ2は、任意の深さを有する収容部6とフランジ部7から成り、トップフィルム3により開口部が覆われる。このような構造を有することにより、常に収容部6に一定の空間が確保され、再封式容器1を重ねても収容部6内の内容物はつぶれにくくなる。よって、本実施例に係る再封式容器1は、ハム等のつぶれてはいけない内容物にも使用することができる。
【0033】
本実施例に係る蝶番部14は、内蓋10の蝶番部12と外蓋11の蝶番部13との2つの蝶番部から構成されている。そのため、トップフィルム3(内蓋10)を硬くするのみで蝶番部14全体としては十分な強度を有することができる。
【0034】
本実施例に係る内蓋10の蝶番部12の端部、つまり切込部4の両端部8の形状は、曲線的にかつ開閉部の内側に向かって折り返されている。このような形状を有していることにより、蝶番部12の端部8に力がかかっても力を逃がすことができる。また、端部8の部分はリシールラベル5に貼着され、2重の構造になっている。このような構造により、蝶番部12の端部8にわずかに亀裂が入ったとしても、リシールラベル5が亀裂部分周辺に貼着しているため、亀裂部分に力がかかるのを防ぎ、亀裂の進行を止めることができる。
【0035】
本実施例に係る外蓋11は、内蓋10の蝶番部12の位置を超えて剥離可能な構造である。このような構造を有するため、上蓋11の蝶番部13の端部にせん断応力がかかった場合には、外蓋11は、内蓋10の蝶番部12の位置を超えて剥離し、引張り応力に変換することができる。つまり、蝶番部13には亀裂させる力が入りにくくなる。これにより、外蓋11(リシールラベル5)は軟らかい材料を使用することができる。
【0036】
本実施例に係る再封式容器1は、フランジ部7またはその近傍までリシールラベル5が貼着されている。リシールラベル5がトップフィルム3の中央付近にのみ貼着されている場合や、容器本体がトレイ状ではなく袋状になっている場合は、リシールラベル5がやわらかい部分に貼着される。そのため、十分にリシールラベル5を押さえることができず、再密封の際に十分な密封ができない場合がある。ところが、本実施例ではリシールラベル5がトップフィルム3中央付近等に比べて硬いフランジ部7またはその近傍にまで貼着される。よって、十分にリシールラベル5を押さえてトップフィルム3に貼着させることができ、確実に密封することができる。
【0037】
本実施例に係る切込部4は、トップフィルム3に貫通する穴を開けることなく、連続的な一定の深さの溝によって構成される。このような構成を採ることにより、再封式容器1が未開封の場合であれば、リシールラベル5のシールが十分でない場合であっても再封式容器1を完全に密封することができる。再封式容器の未開封期間が長いような場合には有効である。
【0038】
以上、本願発明を実施するための最良の形態について、図を参照しながら説明した。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本実施例に係る再封式容器の図であって、(a)は再封式容器の斜視図であり、(b)は再封式容器の分解図である。
【図2】図2は、開封途中状態の再封式容器の斜視図である。
【図3】図3は、全開状態の開封式容器の斜視図である。
【図4】図4は、一般的な再封式容器の斜視図である。
【図5】図5は、従来の蝶番部が2重になっている再封式容器の斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 再封式容器
2 トレイ
3 トップフィルム
4 切込部
5 リシールラベル
6 収容部
7 フランジ部
8 端部
9 把持部
10 内蓋
11 外蓋
12、13、14 蝶番部
101、201 再封式容器
102、202 容器本体
103、203 内蓋
104、204 外蓋
105、205 固定部
106、206、207 蝶番部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイと、トップフィルムと、リシールラベルとを備え、
該トレイの開口部は該トップフィルムによって覆われ、
切込部が該トップフィルムに施され、
該切込部によって該トップフィルムに開閉部と蝶番部が形成され、
該リシールラベルは該トップフィルムに剥離可能かつ再貼着可能に貼着され、
該切込部全体と該蝶番部とが該リシールラベルに覆われ、
該リシールラベルが外蓋として機能し、
該開閉部が内蓋として機能する、再封式容器。
【請求項2】
該外蓋は、該内蓋の該蝶番部の位置を超えて剥離可能である請求項1記載の再封式容器。
【請求項3】
該切込部の形状が略コの字形である、請求項1または2記載の再封式容器。
【請求項4】
該切込部の両端部が、曲線的にかつ該開閉部の内側に向かって折り返された、請求項1乃至3のいずれか一の項に記載の再封式容器。
【請求項5】
該切込部は該トップフィルムを貫通しない連続的な一定の深さの溝である請求項1乃至4のいずれか一の項に記載の再封式容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−341875(P2006−341875A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168439(P2005−168439)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000118497)伊藤ハム株式会社 (57)
【Fターム(参考)】