説明

再現性のある医薬放出特性を示す医薬固形投与形態

経口デリバリー可能医薬組成物は、水難溶性医薬と、低粘度を有し、及び/又はマルチモードの粒子サイズ分布を示すプレゼラチン化デンプンを含む。当該組成物の製造方法は、低粘度を有し、及び/又はマルチモードの粒子サイズ特性を示すプレゼラチン化デンプンを選択するステップ、及び当該選択されたプレゼラチン化デンプンを、水難溶性医薬と混合して、混合物を提供するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、活性成分として、医薬、例えば、水難溶性の選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害薬を含む経口デリバリー可能医薬組成物、当該組成物の製造方法、当該組成物を患者に経口投与することを含むCOX−2仲介障害の治療方法、及び医薬の製造における当該組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
米国内でFDA及び他国における対応の規制当局による医薬の認可及び登録を求める手続きの間、特定の候補医薬製品、例えば、錠剤は、特定の事前に確立されたインビボにおける生物学的利用能、及びインビトロにおける溶解速度基準に適合することが示されなければならない。品質管理措置として、一旦、このような医薬製品がFDA又は同様の規制許認可を受ければ、製造された製品のバッチから採取されたサンプルは、当該規制許認可されたプロセスの間の確立された溶解速度基準に適合しなければならない。
【0003】
典型的には、医薬製造業者は、製品の各バッチが確立された溶解基準に適合することを保証するために、製造された医薬製品についいて工程内又はバルク最終製品の溶解試験を実施し;このような基準に適合しない医薬製品は、市場に出されることはできず、そしてそれゆえ、潜在的に無駄となる原材料、労働力、エネルギー、及び資源をもたらす。それゆえ、規制、生産効率、財政及び人的資源の観点から、ロット間、バッチ間、及び/又は錠剤間の溶解速度の差異、及び/又は所定の製造行為に潜在的に存在する他の溶解速度の差異は、予め確立された溶解速度基準に製造が適合しないことを回避するために十分に、微差又は僅小であることが望ましい。
【0004】
さらに、安全性及び効率性の観点からも、ロット間、バッチ間、及び/又は錠剤間の溶解速度差は最小であることが好ましい。医薬の溶解に実質的な変動が存在する場合には、ある錠剤は、ひじょうに速く溶解し、一方、他の錠剤はより遅く溶解することができる。上昇した溶解速度を示す錠剤は、より速いインビボ放出をもたらし、これは、次に、投与直後に当該医薬のより高い血中レベルを導くことができ、不所望の副作用のリスクが潜在的に高まる。反対に、低下した溶解速度を示す錠剤は、より遅いインビボ放出を提供することができ、これは次に、投与直後に当該医薬のより低い血中レベルを導くことができ、低下した治療応答についてのリスクが潜在的に増大する。
【0005】
本明細書中、バルデコキシブ(valdecoxib)ともいわれる化合物4−(5−メチル−3−フェニル−4−イソキサゾールイル)ベンゼンスルホンアミドは、上記及び関連化合物の製法とともに、Talleyらに発行された米国特許第5,633,272号中に開示された。バルデコキシブは、以下の構造:
【化1】

を有する。
【0006】
バルデコキシブを含む、上記の米国特許第5,633,272号中に報告された化合物は、その中で、シクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)よりもシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)を高い選択性をもって阻害する、有用な抗炎症、鎮痛、及び解熱薬として開示される。上記の米国特許第5,633,272号は、経口デリバリー可能投与形態、例えば、錠剤及びカプセルを含む、上記化合物の投与のための配合品についての一般的な言及をも含む。
【0007】
ヨーロッパ特許出願第0 863 134号は、微晶性セルロース、ラクトース1水塩、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロース・ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムを含む賦形剤成分とともに、選択的COX−2阻害薬、特に、2−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−(4−メチル−スルホニル)フェニル)−2−シクロペンテン−1−オンを含む経口デリバリー可能組成物を開示する。
【0008】
国際特許出願公開第WO 00/32189号は、好適な希釈剤、崩壊剤、結合剤、水和剤、潤滑剤等の広範囲なリストから選択された賦形剤成分とともに、選択的COX−2阻害薬、特にセレコキシブ(celecoxib)を含む経口デリバリー可能組成物を開示する。
【0009】
国際特許出願公開第WO 01/41762号は、とりわけ、バルデコキシブ、及びプレゼラチン化デンプン(例えば、National Starch 1500)を含有する経口デリバリー可能医薬組成物を記載する。プレゼラチン化デンプン(pregelatinized starch)は、医薬投与形態(剤型)において一般に使用される賦形剤であり、そして希釈剤、崩壊剤、及び/又はバインダーとして一般に使用される。
【0010】
我々は、今般、水難溶性医薬(例えば、バルデコキシブ)と医薬グレードのプレゼラチン化デンプンを含む医薬投与形態(例えば、錠剤)が、医薬溶解速度の望ましくないバラツキ特性を示しうることを発見した。上述のように、医薬溶解速度のバラツキ(変動)は、副作用、ある患者における治療的応答の欠如、及び/又は非効率な生産を導くことができるので、特に望ましくない。
【0011】
もし、水難溶性医薬(例えば、バルデコキシブ)とプレゼラチン化デンプンを含む経口デリバリー可能医薬投与形態が、溶解速度の改善された均質性という望ましい特性を示すように製造されることができるならば、多数の医薬投与形態の安全性、効果、及び生産効率における有意な前進が実現されるであろう。
【発明の開示】
【0012】
本発明の概要
今般、水難溶性医薬、及び低粘度を有し及び/又はマルチモードの粒子サイズ分布を示すプレゼラチン化デンプンを含む経口デリバリー可能医薬組成物が、提供される。本組成物は、水難溶性の選択的COX−2阻害薬、例えば、バルデコキシブに関して、本願明細書中、説明する。
【0013】
このような組成物は、事前に特定されたもの以外のプレゼラチン化デンプンを含む類似の組成物に比較して、医薬の溶解速度において驚くべき、かつ予想外の増加を示すことが発見された。
【0014】
単一の製造工程において調製される医薬錠剤間での医薬溶解速度の一貫性を改善するための方法であって、ここで当該錠剤は、水難溶性医薬、例示的には選択的COX−2阻害薬、及びプレゼラチン化デンプンを含む前記方法がさらに提供される。当該方法は、低い粘度を有し及び/又はマルチモードの粒子サイズ分布を示すプレゼラチン化デンプンを選択するステップを含む。
【0015】
そしてさらに、患者におけるCOX−2仲介症状又は障害の治療及び/又は予防方法であって、本発明に係る組成物の治療的及び/又は予防的有効量を当該患者に投与することを含む前記方法が、提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の詳細な説明
本願発明に係る組成物は、水難溶性の医薬、例示的には、選択的COX−2阻害薬、及び低粘度を有し及び/又はマルチモードの粒子サイズ分布を示すプレゼラチン化デンプンを含む。場合により、1以上の追加の医薬として許容される賦形剤が、本組成物中に存在する。好ましくは、本組成物は、経口デリバリー可能な錠剤、カプセル又は顆粒の形態にある。
【0017】
本明細書中、「水難溶性医薬(“drug of low solubility”又は“poorly water solubility drug”)」とは、37℃で計測するとき、約10mg/ml以下の、そして好ましくは、約1mg/ml以下の溶解度を有する医薬を意味する。本発明に係る組成物は、例えば、周囲温度(約20℃〜約25℃)において及び/又は体温(約37℃)において計測するとき、約0.1mg/ml以下の水中溶解度を有する医薬にとって特に有利であるということが企図される。多数の医薬についての水中溶解度は、標準的な医薬参考文献、例えば、The Merck Index, 13th ed., 2001 (Merck & Co., Inc., Rathway, NJ発行) ; the United States Pharmacopeia, 24th ed. (USP 24), 2000 ; The Extra Pharmacopoeia, 29th ed., 1989 (Pharmacentical Press, London発行) ; 及びthe Physicians Desk Reference (PDR), 2001 ed. (Medical Economics Co., Montvale, NJ発行) から、容易に決定されうる。別段の定めなき限り、本明細書中、「医薬(drug)」とは、医薬のプロドラッグ、塩、及び活性代謝産物を含む。
【0018】
例えば、本明細書中に定義する水難溶性の個々の医薬は、USP 24, pp.2254-2298中の「僅かに溶解性」、「かなり低い溶解性」、「実際上不溶性」、及び「不溶性」として分類される医薬;及びUSP 24, pp.2299-2304中に列記される、医薬1gを溶解させるために100ml以上の水を要求するものとして分類される医薬を含む。
【0019】
例示的には、好適な水難溶性医薬は、非制限的に、以下のクラス:人工妊娠中絶薬、ACE阻害薬、α−及びβ−アドレナリン作動性アゴニスト、α−及びβ−アドレナリン作動性遮断薬、副腎皮質抑制剤、副腎皮質刺激性ホルモン、アルコール制止剤、アルドース・レダクターゼ阻害剤、アルドステロン・アンタゴニスト、同化作用薬、鎮痛薬(麻薬性と非麻薬性鎮痛薬を含む)、アンドロゲン・アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、食欲抑制薬(anorexics)、制酸薬、駆虫薬、抗座瘡薬、抗アレルギー薬、抗脱毛薬、抗アメーバ薬、抗アンドロゲン、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗アテローム性硬化症薬、抗関節炎/抗リウマチ薬(選択的COX−2阻害薬を含む)、抗喘息薬、抗バクテリア剤、抗バクテリア付加物、抗コリン作動性薬、抗凝血薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、下痢止め薬、抗利尿薬、解毒薬、抗運動異常症薬、抗湿疹薬、制吐剤、抗エストロゲン、抗繊維症薬、抗膨満薬、抗真菌薬、抗緑内障薬、抗ゴナドトロピン、抗痛風薬、抗ヒスタミン薬、抗活動過多薬、抗高リポタンパク血症薬、抗高リン酸血症薬、抗高血圧薬、抗甲状腺亢進薬、抗低血圧薬、抗甲状腺低下薬、抗炎症薬、抗マラリア薬、抗躁病薬、抗メトヘモグロビン血症、抗偏頭痛薬、抗ムスカリン薬、抗マイコバクテリア薬、抗新形成薬及び付加物、抗好中球減少症薬、抗骨粗しょう症薬、抗パジェット病薬、抗パーキンソン病薬、抗クロム親和性細胞腫薬、抗ニューモシスチス薬、抗前立腺過栄養薬、抗原生動物薬、抗そう痒薬、抗乾癬薬、抗精神病薬、抗発熱薬、抗リケッチア薬、抗脂漏症薬、防腐剤/消毒剤、抗痙攣薬(antispasmodics)、抗梅毒薬、抗血小板血症薬、抗血栓症薬、抗咳薬、抗潰瘍薬、抗尿結石薬、抗ベニン薬、抗ウイルス薬、不安緩解剤、アロマターゼ阻害薬、収斂剤、ベンゾジアゼピン・アンタゴニスト、骨吸収阻害薬、抗運動緩徐薬、ブラジキニン・アンタゴニスト、気管支抗張薬、カルシウム・チャンネル・ブロッカー、カルシウム調節薬、カルボニック・アントビラーゼ阻害薬、強心薬、CCKアンタゴニスト、キレート剤、胆石溶解薬、胆汁分泌促進薬、コリンエステラーゼ阻害薬、コリンエステラーゼ・アクチベーター、CNS刺激薬、避妊薬、創面切除剤、充血除去剤、色素脱失薬、疱疹状皮膚炎抑制剤、消化補助剤、利尿薬、ドーパミン受容体アゴニスト、ドーパミン受容体アンタゴニスト、殺外部寄生虫薬、催吐薬、エンケファリナーゼ阻害薬、酵素、酵素補因子、エストロゲン、去痰薬、フィブリノーゲン受容体アンタゴニスト、フルオリド補給剤、胃及び膵分泌刺激薬、胃細胞保護剤、胃プロトン・ポンプ阻害剤、胃分泌阻害剤、胃運動促進薬、グルココルチコイド、α−グルコシダーゼ阻害薬、性腺刺激素、成長ホルモン阻害薬、成長ホルモン放出因子、成長刺激薬、造血薬、造血薬(hematopoietics)、溶血薬、止血薬、ヘパリン・アンタゴニスト、肝酵素誘導剤、肝保護薬、ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト、HIVプロテアーゼ阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、免疫調節薬、免疫抑制剤、インスリン増感剤、イオン交換樹脂、表皮剥奪薬、乳汁分泌刺激ホルモン、緩下剤/下剤、ロイコトリエン・アンタゴニスト、LH−RHアゴニスト、抗脂肝薬、5−リポオキシゲナーゼ阻害薬、紅斑性エリテマトーデス抑制薬、マトリックス・メタロプロテイナーゼ阻害薬、電解質コルチコイド、縮瞳薬、モノアミン・オキシダーゼ阻害薬、ムコ多糖分解剤、筋弛緩薬、散瞳薬、麻薬アンタゴニスト、神経保護薬、向知性薬、卵巣ホルモン、分娩促進薬、ペプシン阻害薬、着色料、血漿容量増加剤、カリウム・チャンネル・アクチベーター/開口剤、プロゲストゲン、プロラクチン阻害薬、プロスタグランジン、プロテアーゼ阻害剤、放射性医薬、5α−レダクターゼ阻害剤、呼吸刺激薬、逆転写酵素阻害剤、鎮静剤/催眠薬、セレン薬、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬、セロトニン受容体アゴニスト、セロトニン受容体アンタゴニスト、セロトニン取り込み阻害薬、ソマトスタチン・アナログ、血栓溶解剤、トロンボキサンA2受容体アンタゴニスト、甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、早産防止薬、トポイソメラーゼI及びII阻害剤、尿酸排泄薬、血管拡張神経薬及び血管収縮神経薬を含む血管調節物質、血管保護剤、キサンチン・オキシダーゼ阻害剤、並びにそれらの組合せ;からの医薬を含む。
【0020】
好適な水難溶性医薬の非制限的な実施例は、アセトヘキサミド、アセチルサリチル酸、アルコフェナック、アロプリノール、アトロピン、ベンズサイアジド、カルプロフェン、セレコキシブ、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、クロニジン、コデイン、リン酸コデイン、硫酸コデイン、デラコキシブ、ジアセレイン、ジクロフェナック、ジルチアゼム、エストラジオール、エトドラック、エトポシド、エトリコキシブ、フェンブフェン、フェンクロフェナック、フェンプロフェン、フェンチアザック、フルルビプロフェン、グリセオフルビン、ハロペリドール、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロラゼパム、酢酸メドロキシプロゲステロン、メゲステロール、メトキサレン(methoxsalen)、メチルプレドニゾン、モルフィン、硫酸モルフィン、ナプロキセン、ニセルゴリン、ニフェジピン、ニフルミック、オキサプロジン、オキサゼパム、オキシフェンブタゾン、パクリタキセル、フェニンジオン、フェノバルビタール、ピロキシカム、ピルプロフェン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカイン、プロゲステロン、ピリメタミン、ロフェコキシブ、スルファジアジン、スルファメラジン、スルフィゾキサゾール、スリンダック、スプロフェン、タマゼパム、チアプロフェン酸、チロミゾール、トルメチック、バルデコキシブ等を含む。本明細書中、本発明を、特にバルデコキシブに言及して説明する。
【0021】
本発明の組成物中に取り込まれる医薬の量は、知られた製薬原理に従って選択されうる。医薬の治療的及び/又は予防的有効量は、特に企図される。本明細書中に使用するとき、用語「治療的及び/又は予防的有効量」とは、組成物の単位投与量、例えば、単一の錠剤又はカプセル中に存在する医薬の量であって、要求される又は望ましい治療的及び/又は予防的応答を顕出するために十分な量をいう。
【0022】
何が治療的及び/又は予防的有効量を構成するかということは、特定の医薬に高く依存する。しかしながら、ほとんどの場合、医薬は、本発明の組成物中、少なくとも約0.01重量%、好ましくは少なくとも約0.1重量%、より好ましくは少なくとも1重量%、さらにより好ましくは少なくとも約2.5重量%、そしてさらにより好ましくは少なくとも約5重量%の濃度で存在する。別般の定めなき限り、本明細書中に与える濃度は全て、重量/重量基準である。
【0023】
好ましい態様においては、医薬は、選択的COX−2阻害薬である。本発明において有用な好ましい選択的COX−2阻害薬、又は本発明において有用な塩又はプロドラッグがインビボにおいてそれに変換されるところのものは、以下の式(II):
【化2】

{式中、
Aは、部分不飽和又は不飽和ヘテロシクリル及び部分不飽和又は不飽和炭素環、好ましくはピラゾールイル、フラノニル、イソキサゾールイル、ピリジニル、シクロペンテノニル、及びピリダジノニル基から選ばれる置換基であり;
Xは、O、S又はCH2であり;
nは、0又は1であり;
1は、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールから選ばれる少なくとも1の置換基であり、そして場合により置換可能な位置で、アルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスルフィニル、ハロ、アルコキシ、及びアルキルチオから選ばれる1以上の基で置換され;
2は、メチル、アミノ又はアミノカルボニルアルキルであり;
3は、ヒドリド、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ、シアノ、カルボキシル、シアノアルキル、ヘテロシクリルオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、シクロアルキル、アリール、ハロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、アシル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アラルケニル、アルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールオキシアルキル、アラルキルチオアルキル、アラルコキシアルキル、アルコキシアラルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、N−アリールアミノカルボニル、N−アルキル−N−アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、N−アリールアミノ、N−アラルキルアミノ、N−アルキル−N−アラルキルアミノ、N−アルキル−N−アリールアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、N−アリールアミノアルキル、N−アラルキルアミノアルキル、N−アルキル−N−アラルキルアミノアルキル、N−アルキル−N−アリールアミノアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、N−アリールアミノスルホニル、アリールスルホニル、及びN−アルキル−N−アリールアミノスルホニルから選ばれる1以上の基であり、R3は、場合により置換可能な位置で、アルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスルフィニル、ハロ、アルコキシ、及びアルキルチオから選ばれる1以上の基で置換され;そして
4は、ヒドリド及びハロから選ばれる。}により表される化合物である。
【0024】
本発明の組成物は、以下の式(III);
【化3】

{式中、R5は、メチル又はアミノ基であり、R6は、水素又はC1-4アルキル又はアルコキシ基であり、X′は、N又はCR7(ここで、R7は水素又はハロゲンである。)であり、そしてYとZは、独立に、場合により1以上の位置で、オキソ、ハロ、メチル又はハロメチル基で置換された5−〜6−員環の隣接原子を定める炭素又は窒素原子である。}により表される選択的COX−2阻害薬、あるいはその異性体、互変異性体、医薬として許容される塩又はプロドラッグのために特に有用である。好ましい上記5−〜6−員環は、シクロペンテノン、フラノン、メチルピラゾール、イソキサゾール、及びピリジン環であって1以下の位置で置換されたものである。
【0025】
例示的には、本発明の組成物は、セレコキシブ(celecoxib)、デラコキシブ(deracoxib)、バルデコキシブ(valdecoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)、エトリコキシブ(etoricoxib)、2−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−〔4−(メチルスルホニル)フェニル〕−2−シクロペンテン−1−オン、2−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブトキシ)−5−〔4−(メチルスルホニル)フェニル〕−3−(2H)−ピリダジノン、その医薬として許容される塩及びプロドラッグのために好適である。但し、これらは、本明細書中に確立される溶解度基準に適合するものである。
【0026】
本発明の組成物は、以下の式(IV):
【化4】

{式中、X″は、O、S又はN−低級アルキルであり;R8は、低級ハロアルキルであり;R9は、水素又はハロゲンであり;R10は、水素、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ又はハロアルコキシ、低級アラルキルカルボニル、低級ジアルキルアミノスルホニル、低級アルキルアミノスルホニル、低級アラルキルアミノスルホニル、低級ヘテロアラルキルアミノスルホニル、あるいは5−又は6−員の窒素含有複素環スルホニルであり;そしてR11とR12は、独立に、水素、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、又はアリールである。}により表される選択的COX−2阻害薬、及び医薬として許容されるその塩のためにも有用である。
【0027】
特に好ましい態様においては、水難溶性医薬は、比較的低い日用投与量要求、例えば、約100mg/日以下の要求を有するバルデコキシブの如き医薬でもある。
【0028】
バルデコキシブを含む多くの医薬に関しては、当該医薬が本発明に係る組成物中に配合されるとき、粒子サイズの低下は、改善された生物学的利用能を導くことができる。例として、バルデコキシブの場合には、D90粒子サイズは、好ましくは、約75μm未満、例えば、約1〜約70μm、約1〜約40μm又は約1〜約30μmである。医薬サンプルに関して用語「D90粒子サイズ」とは、粒子の最長寸法における直径を意味し、ここで、サンプル中に存在する全ての粒子の90重量%は、当該直径よりも小さい。さらに又はあるいは、本発明に係る組成物中に使用されるバルデコキシブは、好ましくは、約1〜約10μm、より好ましくは約5〜約7μmの重量平均粒子サイズを有する。いずれかの好適な粉砕、微細化方法を、所望の範囲への粒子サイズの低下のために使用することができる。
【0029】
好ましい本発明に係るバルデコキシブ組成物においては、
各単位投与量は、好ましくは、約1〜約100mg、より好ましくは約2〜約60mg、そしてより好ましくは約5〜約40mg、例えば約5mg、約10mg、約20mg又は約40mgの量で、バルデコキシブを含む。
【0030】
上述の少なくとも1の医薬に加えて、本発明に係る組成物は、低粘度を有し及び/又はマルチモードの粒子サイズ分布を示すプレゼラチン化デンプンを含む。
【0031】
プレゼラチン化デンプンとは、デンプン粒の一部又は全部を破裂するように物理学的及び/又は化学的に処理されているデンプンである。このような処理は、デンプン粒が流動し、そして直接圧縮されることができる傾向がある。本明細書中、用語「プレゼラチン化デンプン(pregelatinited starch)」は、部分的にプレゼラチン化したデンプンとして記載されるデンプンをも含む。例示として、プレゼラチン化デンプンは、約2%〜約10%、例えば、約5%の遊離アミロース、約10%〜約20%、例えば約15%の遊離アミロペクチン、及び約60%〜約90%の、例えば約80%の未修飾デンプンを含有する。プレゼラチン化デンプンは、結合剤、希釈剤、及び/又は崩壊剤として、経口カプセル及び錠剤配合品中に一般に使用される。好適なプレゼラチン化デンプンは、いずれかの植物起源、例えば、コーン(メイズ)、小麦、キャッサバ、ポテト等に由来することができるが、好ましくはコーンに由来する。本発明において有用な低粘度プレゼラチン化デンプンがそれから選択されることができるところの商業的に入手可能なプレゼラチン化コーン・デンプンの非限定的な例は、National Starch 78−1551、及びColorconのStarch 1500を含む。
【0032】
本発明に係る組成物は、約0.1重量%以上の、好ましくは約1重量%以上の、より好ましくは約2.5重量%以上の、そして最も好ましくは約5重量%以上のプレゼラチン化デンプンを含む。例えば、本発明に係る組成物は、約1重量%〜約50重量%の、好ましくは約2.5重量%〜約30重量%の、そしてより好ましくは約5重量%〜約25重量%のプレゼラチン化デンプンを含む。
【0033】
第1の態様においては、プレゼラチン化デンプンは、低い粘度を有する。当該用語を本明細書中に使用するとき、プレゼラチン化デンプンが「低い粘度」を有するものであるか否かは、例えば、以下のテスト1に従って測定されうる。
【0034】
テスト1
A.プレゼラチン化デンプンの試験サンプルを選択し又は提供する。
B.上記試験サンプルの1gアリコートを、室温で20mlのガラス・シンチレーション・バイアル内に入れる。
C.20mlの量の、室温における水を、上記シンチレーション・バイアルに添加して、デンプンとの混合物を形成する。
D.上記混合物を、1分間ボルテックスし、そして次にオービタル・スターラー上、500rpmで2時間撹拌する。
E.上記混合物のサンプル2gを、次いで取り出し、そして、粘度計センサー内に入れる(例えば、PK30−40センサーを備えたHaake CV 100回転粘度計)。
F.3分間にわたる0〜100s-1に増加する剪断応力を、上記粘度計内のサンプルに適用し、そして動的粘度を計測する。
G.上記サンプルが、20s-1の剪断速度において、約1Pa以下の、好ましくは約0.75Pa以下の剪断応力を示す場合、そのプレゼラチン化デンプンは、本態様において要求される「低粘度」を有するとみなす。
【0035】
結果に有意に影響を及ぼさずに上記テスト1を実行するところの条件の僅かな変更はなされうることを理解すべきである。
【0036】
本態様に従えば、テスト1において、プレゼラチン化デンプンは、60s-1の剪断速度において、約2Pa以下の、より好ましくは約1.5Pa以下の剪断応力をさらに示すことが好ましい。
【0037】
例えば、テスト1において、20s-1において約1Pa以下の、60s-1において約2Pa以下の、そして100s-1において約3Pa以下の剪断応力を示す低粘度プレゼラチン化デンプンを、選択することができる。
【0038】
あるいは、テスト1において、20s-1において約0.75Pa以下の、60s-1において約1.5Pa以下の、そして100s-1において約2.5Pa以下の剪断応力を示す低粘度プレゼラチン化デンプンを、選択することができる。
【0039】
あるいは、テスト1において、20s-1において約0.5Pa以下の、60s-1において約1Pa以下の、そして100s-1において約1.5Pa以下の剪断応力を示す低粘度プレゼラチン化デンプンを、選択することができる。
【0040】
第2の態様においては、プレゼラチン化デンプンは、マルチモードの粒子サイズ分布を示すものである。本明細書中、用語「マルチモードの(multimodal)」とは、2以上の最大値を有する粒子サイズ分布を包含する。すなわち、マルチモードは、2モードと3モード分布を含むが、1モード分布は含まない。
【0041】
プレゼラチン化デンプンのサンプルがマルチモードの粒子サイズ分布を示すか否かは、いずれかの好適な分析的粒子サイズ技術を用いて測定することができる。例えば、乾燥プレゼラチン化デンプンの粒子サイズ分布は、例えば、Fraunhofer光学モードにおけるSympatec HELOSを用いる、かつ、500mmレンズを用いる、レーザー回折により測定することができる。
【0042】
本発明に係る組成物は、経口デリバリー可能であり、かつ、例えば、錠剤、キャプレッツ、硬カプセル又は軟カプセル、トローチ剤、カシェ剤、小分け粉末ブレンド、顆粒等の形態にあることができる。一旦、低粘度を有し及び/又はマルチモードの粒子サイズ分布をもつプレゼラチン化デンプンが選択されれば、その組成物は、医薬とプレゼラチン化デンプンとその他の所望の賦形剤を接触させるステップを含むいずれかの好適な製薬方法により調製されうる。一般に、組成物は、医薬、プレゼラチン化デンプン、及び場合により付加される賦形剤を、液体又は微粉砕された固体希釈剤と、物質に、かつ、じかに混合し、そして次に、カプセル又は錠剤が要求される場合、得られたブレンドをカプセル化又は錠剤化することにより調製される。例えば、錠剤は、場合により1以上の追加の賦形剤とともに、上記ブレンドの粉末又は顆粒を圧縮し又は成型することにより調製することができる。圧縮された錠剤は、例えば、好適な装置内で、場合により1以上の希釈剤、崩壊剤、結合剤、及び/又は潤滑剤と混合された上記医薬と上記プレゼラチン化デンプンの混合物を含む粉末又は顆粒の如き、自由流動組成物を、圧縮することにより調製することができる。成型錠剤は、例えば、好適な装置内で、場合により1以上の賦形剤と混合され、液体希釈剤で湿らせた上記医薬と上記プレゼラチン化デンプンの混合物を含む粉末を、成型することにより調製することができる。
【0043】
本発明の組成物は、標準的な放出、即時放出、速い開始、持続放出又はデュアル放出形態にあることができる。本組成物がバルデコキシブを含む場合、標準的なインビトロ溶解アッセイにおいて計測されるとき、約45分以内で、バルデコキシブの少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%を放出する即時放出組成物が、好ましい。特に好ましい本発明のバルデコキシブ組成物は、約15分以内にバルデコキシブの少なくとも約50%を、そして/又は約30分以内にバルデコキシブの少なくとも約60%をインビトロで放出する。
【0044】
例示的な標準的インビトロ溶解アッセイは、75rpmのパドル速度で、37℃に維持された1%重量/体積ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)1000mlの溶解媒質中、装置2を使用してUSP 24に従って行われる。あるいは、USP 24 装置1を使用することもできる。
【0045】
上述のように選択された少なくとも1の医薬及びプレゼラチン化デンプンに加えて、本発明の組成物は、場合により、賦形剤として1以上の追加の医薬として許容される希釈剤を含む。好適な希釈剤は、例えば、個々に又は組合せて、ラクトース(無水ラクトースとラクトース1水塩を含む);マンニトール;ソルビトール;キシリトール;デキストロース(例えば、CereloseTM 2000)及びデキストロース1水塩;2塩基性リン酸カルシウム2水塩;スクロース・ベースの希釈剤;製薬用糖;1塩基性硫酸カルシウム1水塩;硫酸カルシウム2水塩;顆粒状乳酸カルシウム3水塩;デキストレート;イノシトール;加水分解シリアル固形物;アミロース;セルロース(微晶質セルロース、α−及び非晶質セルロースの食品グレード源(例えば、RexcelTM)及び粉末セルロースを含む);炭酸カルシウム;グリセリン;ベントナイト;ポリビニルピロリドン;等を含む。このような希釈剤は、存在する場合には、合計して、当該組成物の約5重量%〜約99重量%、好ましくは、約10重量%〜約85重量%、そしてより好ましくは約20重量%〜約80重量%を構成する。選ばれた希釈剤(単数又は複数)は、好ましくは、好適な流動特性を示し、そして錠剤が望まれる場合には、圧縮性を示す。
【0046】
ラクトースと微晶質セルロースは、個々に又は組合せにおいて、好ましい希釈剤である。これらの希釈剤は両者とは、バルデコキシブに化学的に融和性である。顆粒外(extragranular)微晶質セルロース(すなわち、乾燥ステップの後に湿った顆粒化組成物に添加される微晶質セルロース)の使用は、錠剤の硬さ、及び/又は崩壊時間を改善しうる。ラクトース、特にラクトース1水塩は、特に好ましい。ラクトースは、典型的には、バルデコキシブの好適な放出速度、圧縮前流動性、及び/又は比較的低い希釈剤費用での乾燥特性を有する組成物を提供する。それは、湿式顆粒化の間の濃縮を助ける高密度支持体を提供し、そしてそれゆえブレンドの流動特性を改善する。
【0047】
本発明の組成物は、場合によりさらに、特に錠剤配合品のために、賦形剤として1以上の医薬として許容される崩壊剤を含む。好適な崩壊剤は、個々に又は組合せにおいて、既に存在するプレゼラチン化デンプンに加え、デンプン、例えば、グリコール酸デンプン(例えば、PenWestのExplotabTM);粘土(例えば、VeegumTM HV);セルロス−ベースの崩壊剤、例えば、精製セルロース、微晶質セルロース、メチルセルロース、カルメロース、カルメロース・ナトリウム、及びクロスカルメロース・ナトリウム(例えば、FMCのAc−Di−SolTM);アルギネート;クロスポビドン;及びガム、例えば、アガー、グアー、ローカスト・ビーン、カラヤ、ペクチン、及びトラガカンス・ガムを含む。
【0048】
崩壊剤は、本組成物の製造中のいずれかの好適なステップで、特に顆粒化前に、又は圧縮前のブレンド又は潤滑ステップ中に、添加されうる。1以上の崩壊剤は、存在する場合、合計で、本組成物の約0.2重量%〜約30重量%、好ましくは約0.2重量%〜約10重量%、そしてより好ましくは約0.2重量%〜約5重量%を構成する。
【0049】
クロスカルメロース・ナトリウムは、錠剤又はカプセル配合品のための好ましい崩壊剤であり、そして存在する場合、本組成物の、約0.2重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約7重量%、そしてさらにより好ましくは約0.2重量%〜約5重量%を構成する。クロスカルメロース・ナトリウムは、顆粒化組成物に、優れた顆粒内崩壊能力を付与する。
【0050】
本発明の組成物は、場合によりさらに、特に当該組成物が錠剤の形態にある場合、賦形剤として、1以上の医薬として許容される結合剤又は接着剤を含む。このような結合剤及び接着剤は、好ましくは、錠剤化されるブレンドに十分な粘着性を付与して、正常な処理操作、例えば、サイジング、滑沢、圧縮、及び包装を可能にするが、さらに、当該錠剤が、摂取の間に崩壊し、そして当該組成物が吸収されることを可能にする。好適な結合剤及び接着剤は、個々に又は組合せにおいて、アカシア;トラガカンス;スクロース;ゼラチン;グルコース;セルロース(非制限的に、メチルセルロース、カルメロース・ナトリウム(例えば、TyloseTM)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、KlucelTM)、及びエチルセルロース(例えば、EthocelTM)を含む);アルギン酸、及びアルギン酸塩;ケイ酸アルミニウム・マグネシウム;ポリエチレン・グリコール(PEG);グアー・ガム;多糖酸;ベントナイト;ポリビニルピロリドン(ポビドン又はPVP)、例えば、ポビドンK−15、K−30、及びK−29/32;及びポリメタクリレートを含む。1以上の結合剤及び/又は接着剤は、存在する場合、合計で、本組成物の、約0.5重量%〜約25重量%、好ましくは、約0.75重量%〜約15重量%、そしてより好ましくは約1重量%〜約10重量%を構成する。
【0051】
本発明の組成物は、場合によりさらに、賦形剤として、1以上の医薬として許容される湿潤(水和)剤を含む。このような湿潤剤は、好ましくは、当該医薬が水と密に会合すること、すなわち、本組成物の生物学的利用能を改善すると信じられている条件を、維持するように選択される。
【0052】
湿潤剤として使用することができる界面活性剤の非制限的な例は、第4アンモニウム化合物、例えば、ベンズアルコニウム・クロライド、ベンゼトニウム・クロライド、及びセチルピリジニウム・クロライド;ジオクチル・ナトリウム・スルホスクシネート;ポリオキシエチレン・アルキルフェニル・エーテル、例えば、ノンオキシノール9、ノンオキシノール10、及びオクトキシノール9;ポロキサマー(ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック・コポリマー);ポリオキシエチン脂肪酸グリセリド及び油、例えば、ポリオキシエチレン(8)カプリル/カプリン・モノ−及びジグリセリド(例えば、GattefosseeのLabrasolTM)、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油、及びポリオキシエチレン(40)水添ヒマシ油;ポリオキシエチレン・アルキル・エーテル、例えば、ポリオキシエチレン(20)セトステアリル・エーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えば、ポリオキシエチレン(40)ステアレート;ポリオキシエチレン・ソルビタン・エステル、例えば、ポリソルベート20、及びポリソルベート80(例えば、TweenTM 80);プロピレン・グリコール脂肪酸エステル、例えば、プロピレン・グリコール・ラウレート(例えば、GattefosseeのLauroglycolTM);ラウリル硫酸ナトリウム;脂肪酸及びその塩、例えば、オレイン酸、オレイン酸ナトリウム、及びオレイン酸トリエタノールアミン;グリセリル脂肪酸エステル、例えば、グリセリル・モノステアレート;ソルビタン・エステル、例えば、ソルビタン・モノラウレート、ソルビタン・モノオレエート、ソルビタン・モノパルミテート、及びソルビタン・モノステアレート;チロキサポール;並びにそれらの混合物を含む。1以上の湿潤剤は、存在する場合、合計で、本組成物の、約0.25重量%〜約15重量%、好ましくは約0.4重量%〜約10重量%、そしてより好ましくは、約0.5重量%〜約5重量%を構成する。
【0053】
アニオン界面活性剤である湿潤剤が好ましい。ラウリル硫酸ナトリウムは、特に好ましい湿潤剤である。存在する場合、ラウリル硫酸ナトリウムは、本組成物の約0.25重量%〜約7重量%、より好ましくは約0.4重量%〜約4重量%、そしてさらに好ましくは約0.5重量%〜約2重量%を構成する。
【0054】
本発明の組成物は、場合により、賦形剤として(抗接着剤及び/又は滑沢剤を含む)1以上の医薬として許容される潤滑剤をさらに含む。好適な潤滑剤は、個々に又は組合せにおいて、グリセリル・ビハペート(glyceryl behapate)(例えば、CompritolTM 888);マグネシウム、カルシウム、及びナトリウム・ステアレートを含む、ステアリン酸及びその塩;水添植物油(例えば、SterotexTM);コロイド状シリカ;タルク;ワックス;ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;ギ酸ナトリウム;塩化ナトリウム;DL−ロイシン;PEGs(例えば、CarbowaxTM 4000及びCarbowaxTM 6000);オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;及びラウリル硫酸マグネシウムを含む。1以上の潤滑剤は、存在する場合、合計して、本組成物の約0.1重量%〜約10重量%、好ましくは約0.2重量%〜約8重量%、そしてより好ましくは約0.25重量%〜約5重量%を構成する。
【0055】
ステアリン酸マグネシウムは、例えば、錠剤配合品の圧縮中に装置と顆粒化混合物の間の摩擦を低下させるために、使用される好ましい潤滑剤である。
【0056】
好適な抗接着剤は、タルク、コーンスターチ、DL−ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、及び金属ステアリン酸を含む。タルクは、例えば、配合品が装置表面にくっつくことを減少させ、そしてまたブレンドの静止を減少させるために使用される、好ましい抗接着剤又は滑沢剤である。タルクは、存在する場合、本組成物の約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.25重量%〜約5重量%、そしてより好ましくは、約0.5重量%〜約2重量%を構成する。
【0057】
他の賦形剤、例えば、着色料、香味料、及び甘味料が、製薬分野において知られており、そして本発明の組成物中に使用されうる。錠剤は、例えば、即時放出、遅延放出又は腸溶コーティングで被覆されても、又は被覆されなくてもよい。本発明の組成物は、例えば、緩衝化剤をさらに含むことができる。
【0058】
本発明の組成物は、例えば、直接カプセル化又は直接圧縮により製造されうるけれども、それらは、好ましくは、カプセル化又は錠剤化に先立って湿式顆粒化される。湿式顆粒化は、とりわけ、粉砕された組成物を濃縮して、改善された流動特性、改善された圧縮特性、及びカプセル化又は錠剤化のためのブレンドの容易な計量又は重量小分けをもたらす。注がれ又はタップされるとき得られる顆粒の所望のバルク密度は、通常、約0.3〜約1.0g/ml、例えば、約0.5〜約0.9g/mlである。
【0059】
圧縮により錠剤を調製するためには、錠剤の均質なバッチを製造するために十分な量の顆粒化ブレンドが、(例えば、典型的な錠剤化金型内で約1〜約50kNの力を加える)正常圧縮圧で、慣用の製造スケールの錠剤化装置内で処理されることができる。得られた錠剤の硬度は、取扱い、製造、保存、及び摂取に関して便利なものであるべきである。しかしながら、過度なもろさを回避するために、約4kP、好ましくは約5kP、そしてより好ましくは約6kPの最小硬度が望ましく、そして胃液に晒されるとき錠剤の水和のその後の困難性を回避するために、約18kP、好ましくは約15kP、そしてより好ましくは約12kPの最大硬度が望ましい。硬度が許容範囲内にあるとき、錠剤のもろさは、典型的には、標準試験において、約1.0%未満、より好ましくは約0.8%未満、そしてより好ましくは約0.5%未満である。
【0060】
本発明の即時放出カプセル及び錠剤組成物のための賦形剤、特に崩壊剤は、標準的なインビトロ崩壊試験において、約30分未満の、好ましくは約25分未満の、より好ましくは約20分未満の、そしてより好ましくは約15分未満の崩壊時間を提供するように、好ましくは選択される。
【0061】
本発明の組成物が選択的COX−2阻害薬を含む場合、それは、非制限的に、炎症、疼痛、及び/又は熱を特徴とする障害を含む、COX−2により仲介される非常に広いレンジの障害の治療及び予防において有用である。このような組成物は、COX−1よりもCOX−2についての選択性を欠く慣用のNSAIDsの組成物よりも有害な副作用が有意に小さいという利点をもって、抗炎症薬として、例えば関節炎の治療において特に有用である。特に、本発明の組成物は、慣用のNSAIDsの組成物に比較して、胃腸上部潰瘍及び出血を含む、胃腸毒性及び胃腸刺激について低下した潜在能力を有する。したがって、本発明の組成物は、例えば、消化性潰瘍、胃炎、限局性回腸炎、潰瘍性結腸炎、憩室炎を患う又は胃腸病変;胃腸出血、貧血を含む血液凝固障害、例えば、低プロトロンビン血症、血友病又は他の出血問題;腎臓障害の再発性病歴をもつ患者;又は手術前の患者又は抗血液凝固剤を受容する患者において、上記NSAIDsが禁忌を示す場合、慣用のNSAIDsの代替品として特に有用である。
【0062】
企図される組成物は、非制限的に、リウマチ様関節炎、脊椎関節症、痛風性関節炎、骨関節炎、全身性エリトマトーデス、及び若年性関節炎を含むさまざまな関節炎障害を治療するために有用である。
【0063】
上記組成物は、喘息、気管支炎、月経性痙攣、早産、腱炎、滑液包炎、アレルギー性神経炎、サイトメガロウイルス感染、HIV誘導アポトーシスを含むアポトーシス、腰痛、肝炎を含む肝臓疾患、皮膚関連症状、例えば、乾癬、湿疹、挫瘡、熱傷、皮膚炎、及び日焼けを含む紫外線照射損傷、及び眼科手術、例えば、白内障手術又は屈折手術後のものを含む術後炎症の治療に有用である。
【0064】
上記組成物は、胃腸の症状、例えば、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸多症候群、及び潰瘍性結腸炎を治療するために有用である。
【0065】
上記組成物は、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、硬皮症、リウマチ熱、I型糖尿症、神経筋接合部病であって重症筋無力症を含むもの、白質病であって多発性硬化症を含むもの、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、腎炎、過敏症、脳浮腫を含む外傷後に生じる腫脹、心筋虚血等の疾患における炎症の治療において有用である。
【0066】
上記組成物は、非制限的に、炎症性障害、例えば、眼内炎、上強膜炎、網膜炎、虹彩炎、毛様体炎、角膜炎、結膜炎、及び眼瞼炎、眼の2以上の部分の炎症性疾患、例えば、脈絡網膜炎、虹彩毛様体炎、虹彩毛様体脈絡膜炎(ブドウ膜炎としても知られる)、角結膜炎、眼瞼結膜炎、等を含む眼科障害;糖尿病性網膜症を含む他のCOX−2仲介網膜症;眼の光恐怖症;外科手術後、例えば、白内障又は角膜移植手術後の外傷を含む、眼のいずれかの組織の急性外傷;角膜移植片拒絶;外傷又は感染後のものを含む眼、例えば、網膜の新生血管形成;類嚢胞黄斑水腫;水晶体後線維増殖症;血管新生緑内障;及び眼痛を含む眼科障害の治療に有用である。
【0067】
上記組成物は、肺炎症、例えば、ウイルス感染及び嚢胞性線維症に関連するもの、及び骨吸収、例えば、骨粗しょう症に関連するものの治療に有用である。
【0068】
上記組成物は、特定の中枢神経系障害、例えば、アルツハイマー病を含む皮質性痴呆、神経変性、及び発作、虚血、及び外傷から生じた中枢神経系傷害の治療に有用である。本文脈中、用語「治療」は、アルツハイマー病、血管性痴呆、多発梗塞性痴呆、早老性痴呆、アルコール性痴呆、及び老人性痴呆を含む、痴呆の部分的又は全体的抑制を含む。
【0069】
上記組成物は、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、内毒素ショック症候群、及び肝臓疾患の治療に有用である。
【0070】
上記組成物は、非制限的に、術後の痛み、歯痛、筋肉痛、及び癌から生じる痛みを含む疼痛の治療に有用である。例えば、上記組成物は、リウマチ熱、インフルエンザ、一般的な風邪を含むウイルス他のウイルス感染、腰及び首の痛み、月経困難症、頭痛、歯の痛み、捻挫、筋炎、神経痛、滑膜炎、関節炎、例えば、リウマチ様関節炎、変形性関節疾患、痛風及び強直性脊椎炎、滑液包炎、火傷、及び外科及び歯科手術後の外傷を含むさまざまな症状における、痛み、熱、及び炎症の緩解のために有用である。
【0071】
上記組成物は、脈管疾患、冠状動脈疾患、動脈瘤、脈管拒絶、動脈硬化、アテローム性硬化症、例えば、心臓移植、アテローム性硬化症、心筋梗塞、塞栓症、発作、血栓症、例えば、静脈血栓症、アンギナ、例えば、不安定狭心症、冠状斑炎症、バクテリア誘導炎症、例えば、クラミジア誘導炎症、ウイルス誘導炎症、外科手術、例えば、冠状動脈バイパス手術を含む血管移植血管再生手術、例えば、血管形成術、ステント設置、動脈血管内膜切除術、又は他の手術であって動脈、静脈、及び毛細血管に関するものに関連する炎症を含む炎症関連心臓血管障害の治療及び予防のために有用である。
【0072】
上記組成物は、例えば、腫瘍血管新生を抑制するための、患者における血管新生関連障害の治療に有用である。上記組成物は、新形成、例えば、転移;眼科症状、例えば、角膜移植片拒絶、眼科血管新生、網膜血管新生、例えば、外傷又は感染後の血管新生、糖尿病性網膜症、黄斑変性、水晶体後線維増殖症、及び血管新生緑内障;潰瘍性疾患、例えば、胃潰瘍;病的であるが、悪性ではない症状、例えば、血管腫、例えば、乳児血管腫、鼻咽頭の血管線維腫及び骨の無血管壊死;及び女性生殖系の障害、例えば、子宮内膜症の治療に有用である。
【0073】
上記組成物は、良性及び悪性腫瘍、及び新形成、例えば、癌、例えば、結腸直腸癌、脳癌、骨癌、上皮細胞由来新形成(上皮癌腫)、例えば、基底細胞癌、腺癌、胃腸癌、例えば、口唇癌、口癌、食道癌、小腸癌、胃癌、結腸癌、肝癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、例えば、扁平上皮細胞及び基底細胞癌、前立腺癌、腎細胞癌、及び他の知られた癌であって体全体にわたり上皮細胞に影響を及ぼすものの予防及び治療に有用である。本発明の組成物が特に有用であると企図されるところの新形成は、胃腸癌、バレット食道、肝癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌、及び皮膚癌である。上記組成物は、放射線治療に伴って生じる線維症を治療するためにも使用されうる。上記組成物は、腺腫様ポリープ、例えば、家族性腺腫様ポリープ(FAP)をもつ患者を治療するために使用されることができる。さらに、上記組成物は、FAPのリスクのある患者においてポリープの形成を妨げるために使用されることができる。
【0074】
上記組成物は、収縮性プロスタノイドの合成を阻害することによりプロスタノイド誘導平滑筋収縮を阻害し、そしてそれゆえ、月経困難症、早産、喘息、及び好酸球関連障害の治療にも有用でありうる。それらは、特に、閉経後女性における骨損失を低下させる(すなわち、骨粗しょう症の治療)、及び緑内障の治療のためにも有用でありうる。
【0075】
本発明の組成物の好ましい用途は、リウマチ様関節炎変形性関節炎の治療、一般的な痛みの抑制(特に、口内手術後の痛み、一般手術後の痛み、整形外科手術後の痛み、変形性関節炎の急性の発赤)、アルツハイマー病の治療、及び結腸癌化学療法のためのものである。
【0076】
ヒトの治療のために有用であることに加え、本発明の組成物は、愛玩動物、珍しい動物、家畜動物、その他、特に哺乳動物の獣医学的治療のために有用である。より特に、本発明の組成物は、ウマ、イヌ、及びネコにおけるCOX−2仲介障害の治療に有用である。
【実施例】
【0077】
実施例
以下の実施例は、説明のみを目的として提供し、何ら制限的なものではない。
【0078】
実施例1
11個の異なるロット(ロットA〜K)において製造されたColorconにより供給されたStarch 1500、プレゼラチン化デンプンのサンプルを、入手した。各ロットからのデンプンを、以下の表1に記載の手順に従って、表1に示す組成をもつバルデコキシブの即時放出錠剤のバッチの調製において別個に使用した。
【0079】
【表1】

【0080】
(予め微粉砕された)バルデコキシブ、ラクトース1水和物NF、プレゼラチン化デンプンNF、クロスカルメロース・ナトリウムNF、及び微晶質セルロースNFを、高剪断造粒ボウルに移し、そして高インペラー及びチォッパー速度において混合して、プレミックスを形成した。
【0081】
プレミックスを、高インペラー及びチェッパー速度において混合しながら精製水を用いて顆粒化して、湿った塊を形成した。この混合を、目標の水添加量に達したときに、停止し;水の添加が完了した後には、混合を行わなかった。上記の湿った塊を、上記造粒ボウルから排出し、そしてスクリーン・ミルを通過させて塊りを除去し、そして得られた湿った顆粒を、流動床乾燥ボウル内に集めた。
【0082】
その後、上記の湿った顆粒を、2.0%の上記顆粒の乾燥損失(LOD)が達成されるまで、70℃の入口空気温度で流動床ドライヤー内で、乾燥させた。乾燥された顆粒を、20メッシュ・スクリーンを用いて、カッティング・ミルを通過させることにより、サイジングした。この乾燥し、サイジングされた顆粒を、次に、V型ブレンダー内に充填し、そしてエクストラ顆粒微晶質セルロースNFとクロスカルメロース・ナトリウムNFとブレンドして、均一なブレンドを形成した。次いで、ステアリン酸マグネシウムを添加し、そしてブレンドして、潤滑されたブレンドを形成した。
【0083】
上記潤滑されたブレンドを、錠剤圧縮ホッパー内に充填し、そして6kP、9kP、及び12kPの硬度におけるコア錠剤に圧縮した。
【0084】
実施例2
(それぞれ、ロットA〜Kからのデンプンを使用して)実施例1と同様に調製した錠剤の11個のバッチ(1〜11)を、以下の手順に従うインビトロ溶解試験において、評価した。
【0085】
錠剤を、37℃に維持した1%SDS 1000ml中に、別々に入れ、これを、USP 24 装置1を使用して75rpmで撹拌した。上記SDS中の薬物濃度を、試験開始から45分後に計測した。
【0086】
試験に先立って、目標とする溶解を、45分後に80%以上の医薬が放出されるところに設定した。錠剤中に存在する元の医薬の80重量%以上が、試験開始から45分後に溶解する場合、その錠剤は、許容される溶解性を有し、かつ、試験に「合格した」ものとする。以下の表2に結果を示す。
【0087】
【表2】

【0088】
45分後に溶解した薬物量を示すデータは、各場合において、6つの錠剤の平均値を示す。表2中のデータは、ロットA〜Hからのデンプンを用いて調製された錠剤は合格したが、ロットI〜Kからのデンプンを用いて調製された錠剤は、上記溶解試験に合格しなかったことを、示している。
【0089】
実施例3
実施例1において使用したStarch 1500ロットの6ロットの追加サンプルを入手した。ロットB、C、G、H、J、及びKの各々から得たプレゼラチン化デンプンのサンプルを、先に記載した試験Iに供して、上記ロットが、本明細書において定義する「低粘度」を有するか否かを測定した。試験Iを、3連で実施し、そしてデータを平均した。図1に示すように、4つのロット(ロットB、C、G、及びH)からサンプリングしたプレゼラチン化デンプンは、低粘度を有すると測定され、一方、残りの2つのロット(ロットJとK)からサンプリングしたプレゼラチン化デンプンは、本明細書中に定義する低粘度を有しないと測定された。
【0090】
驚くべきことに、かつ、予想外に、上記データは、低粘度のプレゼラチン化デンプンを用いて調製された錠剤が実施例2のインビトロ溶解試験に合格し、一方、上記低粘度基準を満たさないプレゼラチン化デンプンを用いて調製された同一の錠剤が、上記溶解試験に合格しなかったことを示す。
【0091】
したがって、プレゼラチン化デンプンのロットの選択が行われない場合、錠剤は、上記溶解試験に合格することもあるし合格しないこともある。溶解性能におけるこのような一貫性のなさは、商業的な製造環境において重大な問題である。しかしながら、本発明に従って低粘度プレゼラチン化デンプンを選択することにより、常時、上記溶解試験に合格する錠剤を製造することができる。本発明に係る組成物は、本発明に従って選択されなかったプレゼラチン化デンプンを用いて調製された組成物に比較して、改善されたインビトロ溶解速度の一貫性を示すと結論される。
【0092】
実施例4
実施例1において使用したロットA〜Kからのプレゼラチン化デンプンの追加サンプルを、3cm3サンプル・ポケットを備えた2ポートGlobe Pharma Unit Dose Powder Samplerを使用して保管ドラムから取り出した。上記サンプラーは、長さ約33cmであった。サンプルを、上記デンプンの表面直下のサンプラーの挿入(上部)、上記ドラム中の半分のところ(中央)、及び上記ドラム中の下まで(下部)を指示する、上記ドラム中の3つの異なる位置から、採取した。サンプルを、45cm3ボトルに移し、そして分析されるまでフタをした。上記サンプルを分析するために計量することに先立って、上記ボトルを、水平に、そして2〜3回、回転させた。各サンプル(上部、中央、及び下部)の約500〜600mgを、トップ−ローディング・バランスを用いて、計量紙上で3連で計量した。
【0093】
各サンプルの粒子サイズ分布を、以下の装置設定の下、RODOS+VIBRIを備えたSympatec HELOS System Laser Light Diffraction Particle Size Apparatus, Model H 0790を用いて、測定した;
レンズ:R5(焦点長500mm);
圧力:3.5bar;
真空減圧:100mbar;
供給率:60%;
孔:4mm;
サイクル時間:100ms;
タイムアウト:10秒。
【0094】
ロットA〜Hからのサンプルは、2モードの粒子サイズ分布を示し、一方、ロットI〜Kからのサンプルは、単一モードの粒子サイズ分布を示した。2モードと単一モードの粒子サイズ分布を示したデンプンを示す例示的レーザー回折出力を、それぞれ、図2(ロットH)と図3(ロットK)に示す。
【0095】
ここでの結果は、マルチモードの粒子サイズ分布を示すプレゼラチン化デンプンを用いて調製された錠剤は全て、実施例2のインビトロ溶解試験に合格し、一方、単一モードの粒子サイズ分布を示すプレゼラチン化デンプンを用いて調製された錠剤は全て、上記溶解試験に合格しなかったことを示している。本発明により提供されるデンプン選択が存在しない場合には、実施例2において調製されたバッチの約27%からの錠剤が、上記の確立された溶解基準に合格しなかった;これに反し、本発明に従って選択されたプレゼラチン化デンプンを使用することにより、上記バッチの100%が上記溶解試験に合格した。それゆえ、本発明において提供される組成物は、有利には、本発明に従って選択されないプレゼラチン化デンプンを用いて調製された組成物に比較して、改善されたインビトロ溶解速度の一貫性を示すことができる。
【0096】
実施例5
6つのプレゼラチン化デンプンのロットを、粉末X線回折(PXRD)により特徴付けた。各ロットのサンプル(1.0g)を、25mmサンプル空間をもつ50mm直径のホルダー内にきつく充填し、そしてBruker D8 Advanced Diffractometerに移した。0.02度ステップ・サイズ、及び1秒ステップ時間を用いて、2〜70角度2シータのレンジ内で、データを採取した。
【0097】
上記ロットを用いて実施例1に従って調製されたバルデコキシブ錠剤の溶解試験に基づき、「良い」、「中程度の」、及び「悪い」ロット(各カテゴリーから2つのロット)を指示するように、6つのロットを選択した。ここで、溶解試験は、実施例2のものと同様であった。
【0098】
PXRDプロフィールを、図4に示す。約18と約20角度2シータにおけるピーク強度の比(ここで、「ピーク18/ピーク20比」という。)は、溶解性能に相関することが、判明した;特に、「良い」デンプンは、高いピーク18/ピーク20比を示し、そして「悪い」デンプンは、低いピーク18/ピーク20比を示した。「中程度の」デンプンは、「良い」デンプンと「悪い」デンプンの間の中間のピーク18/ピーク20比を示した。
【0099】
理論に拘束されないが、「良い」デンプン(好ましい溶解特性を有する錠剤を提供するデンプン)は、「悪い」デンプンよりも高く加工されていないと信じられる。原(未加工)デンプンのPXRDは、ひじょうに高いピーク18/ピーク20比を示すことが分っている(データを示さず)。
【0100】
実施例6
11のプレゼラチン化デンプン・ロットのサンプルを、実施例5と同様にしてPXRDにより特徴付け、そしてピーク18/ピーク20比を測定した。バルデコキシブ錠剤を、実施例1に記載したように湿式造粒プロセスにより調製し、そしてインペラー力消費プロフィールを記録した。驚くべきことに、上記ピーク18/ピーク20比と力消費との間に強い相関が観察された。図5に示すように、2つの中心から離れたところにあるデータを除去した後、この相関は、さらに強くなった。低いピーク18/ピーク20比をもつデンプン・ロットは、湿式造粒中により高い(動)力消費をもたらした。
【0101】
表3に要約するように、「良い」デンプンと「悪い」デンプンは、(錠剤製造プロセスにおいて中間体として湿式造粒により調製される)顆粒に対して、及び最終錠剤に対して、それらの特性及び効果において質的に特徴付けられることができる。
【0102】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、6つの異なる製造ロットにおいて製造されたプレゼラチン化デンプン・サンプルについての、本明細書中に記載する試験Iに従って測定された、剪断応力対剪断速度のグラフの形態におけるレオロジーを示す。
【図2】図2は、実施例4に従うレーザー回折により計測される、ロットHからサンプリングされるプレゼラチン化デンプンにより示される2モードの粒子サイズ分布を示す。
【図3】図3は、実施例4に従うレーザー回折により計測される、ロットKからサンプリングされるプレゼラチン化デンプンにより示される単一モードの粒子サイズ分布を示す。
【図4】図4は、実施例5に記載したように計測された6個のプレゼラチン化デンプン・ロットのPXRDプロフィールを示す。
【図5】図5は、実施例6に記載したように計測された、11個のプレゼラチン化デンプン・ロットのPXRDからピーク18/ピーク20比を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水難溶性医薬、及び近粘度を有し及び/又はマルチモードの粒子サイズ分布を示すプレゼラチン化(pregelatinized)デンプンを含む経口デリバリー可能医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬が、選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬が、バルデコキシブ(valdecoxib)である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
錠剤又はカプセルの形態にあり、ここで、バルデコキシブが約1mg〜約100mg、好ましくは、約5mg〜約40mgの量で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記プレゼラチン化デンプンが、20s-1の剪断速度で、約1Pa以下の、好ましくは、約0.75Pa以下の剪断応力を示す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記プレゼラチン化デンプンが、60s-1の剪断速度で、約2Pa以下の、好ましくは、約1.5Pa以下の剪断応力をさらに示す、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記プレゼラチン化デンプンが、マルチモードの粒子サイズ分布を示す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記プレゼラチン化デンプンが、2モードの粒子サイズ分布を示す、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記デンプンは、前記組成物の約1重量%〜約50重量%、好ましくは、約2.5重量%〜約30重量%の量で存在する、請求項1〜8に記載の組成物。
【請求項10】
錠剤の形態にあり、前記組成物の約5重量%〜約99重量%の量の1以上の希釈剤、約0.2重量%〜約30重量%の量の1以上の崩壊剤、及び約0.1重量%〜約10重量%の量の1以上の潤滑剤をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
経口デリバリー可能医薬組成物の製造方法であって、低粘度を有し及び/又はマルチモードの粒子サイズ特性を示すプレゼラチン化デンプンを選択するステップ、及び当該選択されたプレゼラチン化デンプンを水難溶性医薬と混合して、混合物を提供するステップを含む前記製造方法。
【請求項12】
前記医薬が、選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬がバルデコキシブである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記混合物を、1以上の希釈剤とともに湿式顆粒化するステップ、得られた顆粒を乾燥させるステップ、そして得られた乾燥顆粒を圧縮して錠剤を形成するステップをさらに含む、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
単一の製造行為において製造される医薬錠剤間の医薬放出速度の一貫性(consistency)を改善する方法であって、ここで、当該錠剤は、プレゼラチン化デンプン、及び水難溶性医薬を含み、ここで、当該方法は、当該錠剤中に使用されるための、低粘度を有し及び/又はマルチモードの粒子サイズ分布を示すプレゼラチン化デンプンを選択するステップを含む、前記方法。
【請求項16】
シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬による処置が処方される患者における医学的症状又は障害を治療するための医薬の製造における請求項2に記載の組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−514687(P2006−514687A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503257(P2005−503257)
【出願日】平成15年8月25日(2003.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2003/026607
【国際公開番号】WO2005/000296
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(303050964)ファルマシア コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】